(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050906
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】組織マーキングアセンブリを有する外科用器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20240403BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20240403BHJP
G16Y 10/60 20200101ALI20240403BHJP
【FI】
A61B17/072
A61M37/00 590
G16Y10/60
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024020135
(22)【出願日】2024-02-14
(62)【分割の表示】P 2020534984の分割
【原出願日】2018-10-23
(31)【優先権主張番号】62/611,339
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/611,340
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/611,341
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/691,230
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/024,141
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.FRAM
(71)【出願人】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】イェイツ・デビッド・シー
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー・ケビン・エル
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】ウィーナー・アイタン・ティー
(72)【発明者】
【氏名】アルドリッジ・ジェフリー・エル
(72)【発明者】
【氏名】メサーリー・ジェフリー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ウィデンハウス・タマラ
(72)【発明者】
【氏名】モルガン・ジェローム・アール
(57)【要約】
【課題】外科用器具を提供すること。
【解決手段】外科用器具は、エンドエフェクタ及びマーキングアセンブリを含む。エンドエフェクタは、第1のジョーと、第1のジョーとの間に組織を把持するように第1のジョーに対して移動可能な第2のジョーと、第1のジョーと第2のジョーとの間に把持された組織に組織処理を適用するように構成された組織処理機構と、を含む。各組織処理適用に固有の別個のマーキングを組織に施すように構成されたマーキングアセンブリであって、別個のマーキングは、組織処理適用を他の組織処理適用と区別する。
【選択図】
図30
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
エンドエフェクタであって、
第1のジョーと、
前記第1のジョーとの間に組織を把持するように前記第1のジョーに対して移動可能な第2のジョーと、
外科処置中に前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に把持された前記組織に組織処理適用を行うように構成された組織処理機構と、を含む、エンドエフェクタと、
マーキングアセンブリと、
前記組織に対する前記組織処理適用を検出するためのセンサと、
制御回路であって、
前記センサからのセンサ信号を分析して、前記組織に対する前記組織処理適用が行われたか、又は行われているかどうかを判定することと、
前記組織に対する前記組織処理適用が行われた、又は前記組織に対する前記組織処理適用が行われていると判断した後、前記マーキングアセンブリに、各前記組織処理適用に固有の別個のマーキングを前記組織に施させることと、
を行うように構成され、前記別個のマーキングは、前記組織処理適用の1つを、前記外科処置中に実施された他の組織処理適用と区別するものである、制御回路と、を備え、
前記マーキングアセンブリは、複数のマーカーを含み、前記マーキングアセンブリは、前記マーカーの全てがアクティブ化されて組織マーキングを生成する状態と、前記マーカーのうちのいくつかのみがアクティブ化されて組織マーキングを生成する状態とを備え、前記状態のうち一方の前記組織マーキングが、前記外科用器具のユーザに読み取り可能であるか、または画像処理技術によって解読可能である、前記組織処理適用の前記1つに固有のマーキングであり、前記状態のうち他方の前記組織マーキングが、前記ユーザに読み取り可能であるか、または前記画像処理技術によって解読可能である、前記他の組織処理適用に固有のマーキングである、外科用器具。
【請求項2】
前記エンドエフェクタが、組織を横切するように構成された切断部材を含み、前記マーキングアセンブリが、前記切断部材によって前記組織内に画定された横切開線に隣接して前記別個のマーキングを形成するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記別個のマーキングが、可視スペクトルの外側の光源の存在下でのみ可視である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記別個のマーキングが、可視スペクトルの外側の適用光源下で蛍光を発するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記別個のマーキングが、光源、放射線源、及び照明源のうちの少なくとも1つによる刺激を通じて検出可能である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記組織処理機構が、前記組織処理適用において前記組織内にステープルを配置するように構成されたステープルカートリッジを備える、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記組織処理機構が、前記組織処理適用において前記組織に治療エネルギーを送達するように構成された電極を備える、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記組織処理機構が、前記組織処理適用において前記組織を横切するように移動可能な横切開部材を備える、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記組織処理機構による前記組織処理適用が、前記マーキングアセンブリによる前記組織への前記別個のマーキングの適用をトリガする、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記マーキングアセンブリが、複数の離間したアプリケータを含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項11】
前記複数の離間したアプリケータが、
近位アプリケータと、
遠位アプリケータと、を含む、請求項10に記載の外科用器具。
【請求項12】
前記エンドエフェクタが、長手方向スロットを含み、前記複数の離間したアプリケータが、
前記長手方向スロットの第1の側にある第1のアプリケータと、
前記長手方向スロットの前記第1の側と反対側の第2の側にある第2のアプリケータと、を含む、請求項10に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記外科処置は、前記エンドエフェクタによって把持された前記組織への封止及び/又は切断のためのエネルギー印加を含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項14】
前記組織処理機構は、前記エンドエフェクタによって把持された前記組織内にステープルを配備することによって前記組織処理適用を施すように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項15】
前記組織処理機構は、前記エンドエフェクタによって把持された前記組織を横切することによって前記組織処理適用を施すように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項16】
前記制御回路は、前記エンドエフェクタによって把持された前記組織に印加される力を測定するための歪みゲージセンサから、所定の閾値を超える前記力を示す信号を受信すると、前記マーキングアセンブリに前記組織をマーキングさせるように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項17】
前記制御回路は、前記組織へのステープルの配備又はエネルギーの印加を検出するためのセンサから信号を受信すると、前記マーキングアセンブリに前記組織をマーキングさせるように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項18】
外科用器具であって、
エンドエフェクタであって、
第1のジョーと、
前記第1のジョーとの間に組織を把持するように前記第1のジョーに対して移動可能な第2のジョーと、
外科処置中に前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に把持された前記組織に組織処理適用を行うように構成された組織処理機構と、を含む、エンドエフェクタと、
マーキングアセンブリと、
前記組織に対する前記組織処理適用を検出するためのセンサと、
制御回路であって、
前記センサからのセンサ信号を分析して、前記組織に対する前記組織処理適用が行われたか、又は行われているかどうかを判定することと、
前記組織に対する前記組織処理適用が行われた、又は前記組織に対する前記組織処理適用が行われていると判断した後、前記マーキングアセンブリに、各前記組織処理適用に固有の別個のマーキングを前記組織に施させることと、
を行うように構成され、前記別個のマーキングは、前記組織処理適用を、前記外科処置中に実施された他の組織処理適用と区別するものである、制御回路と、を備え、
前記マーキングアセンブリは、前記マーキングを生成するために選択的にアクティブ化可能な電極の形態であるマーカーを含み、前記制御回路は、前記電極のアクティブ時間を制御することによって各前記マーキングの強度を制御するように構成されており、前記電極がより長時間アクティブ化されるほど前記マーキングの強度が大きくなり、前記マーキングは、前記外科用器具のユーザに読み取り可能であるか、または画像処理技術によって解読可能である、外科用器具。
【請求項19】
前記複数の離間したアプリケータは、それぞれ異なるマーカー配列で前記マーキングを配置するように構成されている、請求項10に記載の外科用器具。
【請求項20】
前記複数のマーカーは、各前記組織処理適用に固有の予め定められた前記別個のマーキングを前記組織に施すように個別に操作可能である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項21】
前記画像処理技術による解読は、前記外科用器具の外部にある可視化システムにおいて実行される、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項22】
前記外科用器具は、前記可視化システムに通信可能に連結されている、請求項21に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE ELECTRODE」と題する2018年6月28日出願の米国特許仮出願第62/691,230号に対する優先権を主張する。本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「A METHOD OF USING REINFORCED FLEX CIRCUITS WITH MULTIPLE SENSORS WITH ELECTROSURGICAL DEVICES」と題する2018年6月28日出願の米国特許仮出願第62/691,228号に対する優先権を主張する。
【0002】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「SURGICAL SYSTEMS WITH OPTIMIZED SENSING CAPABILITIES」と題する2018年3月30日出願の米国特許仮出願第62/650,887号、「SURGICAL SMOKE EVACUATION SENSING AND CONTROLS」と題する2018年3月30日出願の米国特許仮出願第62/650,877号、「SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2018年3月30日出願の米国特許仮出願第62/650,882号、及び「CAPACITIVE COUPLED RETURN PATH PAD WITH SEPARABLE ARRAY ELEMENTS」と題する2018年3月30日出願の米国特許仮出願第62/650,898号の優先権の利益を主張する。
【0003】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TEMPERATURE CONTROL IN ULTRASONIC DEVICE AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する2018年3月8日出願の米国特許仮出願第62/640,417号、及び「ESTIMATING STATE OF ULTRASONIC END EFFECTOR AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する2018年3月8日出願の米国特許仮出願第62/640,415号の優先権の利益を主張する。
【0004】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号、「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,340号、及び「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,339号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0005】
本開示は様々な外科用システムに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
外科用器具が開示される。外科用器具は、エンドエフェクタと、マーキングアセンブリと、を備える。エンドエフェクタは、第1のジョーと、第1のジョーとの間に組織を把持するように第1のジョーに対して移動可能な第2のジョーと、第1のジョーと第2のジョーとの間に把持された組織に組織処理を適用するように構成された組織処理機構と、を含む。マーキングアセンブリは、各組織処理適用に固有の別個のマーキングを組織に施すように構成されている。別個のマーキングは、組織処理適用を他の組織処理適用と区別する。
【0007】
外科用器具が開示される。外科用器具は、エンドエフェクタと、マーキングアセンブリと、制御回路とを備える。エンドエフェクタは、第1のジョーと、第1のジョーとの間に組織を把持するように第1のジョーに対して移動可能な第2のジョーと、第1のジョーと第2のジョーとの間に把持された組織に組織処理を適用するように構成された組織処理機構と、を含む。制御回路は、組織に対する組織処理の適用を示すセンサ信号を受信し、マーキングアセンブリに、組織処理適用に固有の別個のマーキングを組織に施させるように構成され、別個のマーキングは、この組織処理適用を他の組織処理適用と区別する。
【0008】
外科用器具が開示される。外科用器具は、第1のジョーと、第1のジョーとの間に組織を把持するように第1のジョーに対して移動可能な第2のジョーと、第1のジョーと第2のジョーとの間に把持された組織に組織処理を適用するように構成された組織処理機構と、を含むエンドエフェクタを備える。外科用器具は、各組織処理適用に固有の別個のマーキングを組織に施すための手段を更に備え、別個のマーキングは、この組織処理適用を他の組織処理適用と区別する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
様々な態様の特徴が、添付された特許請求の範囲で詳細に説明される。ただし、機構、及び動作の方法の両方についての様々な態様は、それらの更なる目的及び利点と共に、以降の添付図面と併せて、以下の説明を参照することにより最もよく理解することができる。
【
図1】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムのブロック図である。
【
図2】本開示の少なくとも1つの態様による、手術室内で外科処置を行うために使用される外科用システムである。
【
図3】本開示の少なくとも1つの態様による可視化システム、ロボットシステム、及びインテリジェント器具とペアリングされた外科用ハブである。
【
図4】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ筐体、及び外科用ハブ筐体のドロアー内に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュールの部分斜視図である。
【
図5】本開示の少なくとも1つの態様による、双極、超音波、及び単極接点、並びに排煙構成要素を備える組み合わせ発生器モジュールの斜視図である。
【
図6】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受容するように構成された横方向モジュール式ハウジングの複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。
【
図7】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受容するように構成された垂直モジュール式ハウジングを示す。
【
図8】本開示の少なくとも1つの態様による、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、又は外科処置のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドに接続するように構成されたモジュール式通信ハブを備える外科用データネットワークを示す。
【
図9】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムを示す。
【
図10】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式制御タワーに連結された複数のモジュールを備える外科用ハブを示す。
【
図11】本開示の少なくとも1つの態様による、ユニバーサルシリアルバス(USB)ネットワークハブ装置の一態様を示す。
【
図12】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの制御システムの論理図を示す。
【
図13】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路を示す。
【
図14】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路を示す。
【
図15】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路を示す。
【
図16】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を実行するために起動され得る複数のモータを備える外科用器具又はツールを示す。
【
図17】本開示の少なくとも1つの態様による、本明細書で説明される外科用ツールを操作するように構成されたロボット外科用器具の概略図である。
【
図18】本開示の少なくとも1つの態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具のブロック図を示す。
【
図19】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具の概略図である。
【
図20】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具の概略図である。
【
図21】本開示の少なくとも1つの態様による、動作可能に結合された交換式シャフトアセンブリを有する外科用器具の斜視図である。
【
図22】本開示の少なくとも1つの態様による、
図21の外科用器具の一部の分解組立図である。
【
図23】本開示の少なくとも1つの態様による、交換式シャフトアセンブリの一部の分解組立図である。
【
図24】本開示の少なくとも1つの態様による、
図21の外科用器具の分解組立図である。
【
図25A】本開示の少なくとも1つの態様による、2つの図面にまたがる、
図21の外科用器具の制御回路のブロック図である。
【
図25B】本開示の少なくとも1つの態様による、2つの図面にまたがる、
図21の外科用器具の制御回路のブロック図である。
【
図26】本開示の少なくとも1つの態様による、ハンドルアセンブリと電源アセンブリ、及びハンドルアセンブリと交換式シャフトアセンブリとの間のインターフェースを示す、
図21の外科用器具の制御回路のブロック図である。
【
図27】本開示の少なくとも1つの態様による、組織をマーキングするための制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理フロー図である。
【
図28】本開示の少なくとも1つの態様による、ステープルカートリッジを含むエンドエフェクタのジョー部材を示す。
【
図29】本開示の少なくとも1つの態様による、超音波外科用器具のエンドエフェクタのジョー部材を示す。
【
図30】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ステープル留め及び切断用器具のエンドエフェクタを示す。
【
図31】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具の制御システムを示す。
【
図32】本開示の少なくとも1つの態様による、結腸の癌部を除去するために組織に適用される組織処理を示す。
【
図33】本開示の少なくとも1つの態様による、外科処置中の電動外科用器具のクランプ力(FTC)読み取り値及び発射力(FTF)読み取り値、並びに外科用ハブへの読み取り値の伝送の対応する通信速度を示すグラフであり、読み取り値及び通信速度は、時間に対してプロットされている。
【
図34】本開示の少なくとも1つの態様による、
図33のグラフにおける4つの例示的点におけるFTCデータ及びFTFデータの伝送速度を示す。
【
図35】本開示の少なくとも1つの態様による、電動外科用器具と外科用ハブとの間のデータの伝送を調整するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理フロー図である。
【
図36】本開示の少なくとも1つの態様による、
図33の電動外科用器具の制御システムである。
【
図37】本開示の少なくとも1つの態様による、電動外科用器具と外科用ハブとの間のデータの伝送を調整するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「CAPACITIVE COUPLED RETURN PATH PAD WITH SEPARABLE ARRAY ELEMENTS」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8542USNP/170755、
・「CONTROLLING A SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO SENSED CLOSURE PARAMETERS」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8543USNP/170760、
・「SYSTEMS FOR ADJUSTING END EFFECTOR PARAMETERS BASED ON PERIOPERATIVE INFORMATION」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8543USNP1/170760-1、
・「SAFETY SYSTEMS FOR SMART POWERED SURGICAL STAPLING」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8543USNP2/170760-2、
・「SAFETY SYSTEMS FOR SMART POWERED SURGICAL STAPLING」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8543USNP3/170760-3、
・「SURGICAL SYSTEMS FOR DETECTING END EFFECTOR TISSUE DISTRIBUTION IRREGULARITIES」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8543USNP4/170760-4、
・「SYSTEMS FOR DETECTING PROXIMITY OF SURGICAL END EFFECTOR TO CANCEROUS TISSUE」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8543USNP5/170760-5、
・「SURGICAL INSTRUMENT CARTRIDGE SENSOR ASSEMBLIES」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8543USNP6/170760-6、
・「VARIABLE OUTPUT CARTRIDGE SENSOR ASSEMBLY」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8543USNP7/170760-7、
・「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE ELECTRODE」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8544USNP/170761、
・「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE CIRCUIT」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8544USNP1/170761-1、
・「SURGICAL SYSTEMS WITH PRIORITIZED DATA TRANSMISSION CAPABILITIES」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8544USNP3/170761-3、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND MOTOR CONTROL」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8545USNP/170762、
・「SURGICAL EVACUATION SENSOR ARRANGEMENTS」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8545USNP1/170762-1、
・「SURGICAL EVACUATION FLOW PATHS」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8545USNP2/170762-2、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND GENERATOR CONTROL」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8545USNP3/170762-3、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND DISPLAY」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8545USNP4/170762-4、
・「COMMUNICATION OF SMOKE EVACUATION SYSTEM PARAMETERS TO HUB OR CLOUD IN SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8546USNP/170763、
・「SMOKE EVACUATION SYSTEM INCLUDING A SEGMENTED CONTROL CIRCUIT FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8546USNP1/170763-1、
・「SURGICAL EVACUATION SYSTEM WITH A COMMUNICATION CIRCUIT FOR COMMUNICATION BETWEEN A FILTER AND A SMOKE EVACUATION DEVICE」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8547USNP/170764、及び
・「DUAL IN-SERIES LARGE AND SMALL DROPLET FILTERS」と題する、米国特許出願第__________号;代理人整理番号END8548USNP/170765。
【0011】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月28日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「A METHOD OF USING REINFORCED FLEX CIRCUITS WITH MULTIPLE SENSORS WITH ELECTROSURGICAL DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/691,228号、
・「CONTROLLING A SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO SENSED CLOSURE PARAMETERS」と題する米国特許仮出願第62/691,227号、
・「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE ELECTRODE」と題する米国特許仮出願第62/691,230号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND MOTOR CONTROL」と題する米国特許仮出願第62/691,219号、
・「COMMUNICATION OF SMOKE EVACUATION SYSTEM PARAMETERS TO HUB OR CLOUD IN SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/691,257号、
・「SURGICAL EVACUATION SYSTEM WITH A COMMUNICATION CIRCUIT FOR COMMUNICATION BETWEEN A FILTER AND A SMOKE EVACUATION DEVICE」と題する米国特許仮出願第62/691,262号、及び
・「DUAL IN-SERIES LARGE AND SMALL DROPLET FILTERS」と題する米国特許仮出願第62/691,251号。
【0012】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国特許出願第15/940,641号、
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH CONDITION HANDLING OF DEVICES AND DATA CAPABILITIES」と題する米国特許出願第15/940,648号、
・「SURGICAL HUB COORDINATION OF CONTROL AND COMMUNICATION OF OPERATING ROOM DEVICES」と題する米国特許出願第15/940,656号、
・「SPATIAL AWARENESS OF SURGICAL HUBS IN OPERATING ROOMS」と題する米国特許出願第15/940,666号、
・「COOPERATIVE UTILIZATION OF DATA DERIVED FROM SECONDARY SOURCES BY INTELLIGENT SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第15/940,670号、
・「SURGICAL HUB CONTROL ARRANGEMENTS」と題する米国特許出願第15/940,677号、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国特許出願第15/940,632号、
・「COMMUNICATION HUB AND STORAGE DEVICE FOR STORING PARAMETERS AND STATUS OF A SURGICAL DEVICE TO BE SHARED WITH CLOUD BASED ANALYTICS SYSTEMS」と題する米国特許出願第15/940,640号、
・「SELF DESCRIBING DATA PACKETS GENERATED AT AN ISSUING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/940,645号、
・「DATA PAIRING TO INTERCONNECT A DEVICE MEASURED PARAMETER WITH AN OUTCOME」と題する米国特許出願第15/940,649号、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許出願第15/940,654号、
・「SURGICAL SYSTEM DISTRIBUTED PROCESSING」と題する米国特許出願第15/940,663号、
・「AGGREGATION AND REPORTING OF SURGICAL HUB DATA」と題する米国特許出願第15/940,668号、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国特許出願第15/940,671号、
・「DISPLAY OF ALIGNMENT OF STAPLE CARTRIDGE TO PRIOR LINEAR STAPLE LINE」と題する米国特許出願第15/940,686号、
・「STERILE FIELD INTERACTIVE CONTROL DISPLAYS」と題する米国特許出願第15/940,700号、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願第15/940,629号、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国特許出願第15/940,704号、
・「CHARACTERIZATION OF TISSUE IRREGULARITIES THROUGH THE USE OF MONO-CHROMATIC LIGHT REFRACTIVITY」と題する米国特許出願第15/940,722号、及び
・「DUAL CMOS ARRAY IMAGING」と題する米国特許出願第15/940,742号。
【0013】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第15/940,636号、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第15/940,653号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国特許出願第15/940,660号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR LINKING OF LOCAL USAGE TRENDS WITH THE RESOURCE ACQUISITION BEHAVIORS OF LARGER DATA SET」と題する米国特許出願第15/940,679号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR MEDICAL FACILITY SEGMENTED INDIVIDUALIZATION OF INSTRUMENT FUNCTION」と題する米国特許出願第15/940,694号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国特許出願第15/940,634号、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国特許出願第15/940,706号、及び
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第15/940,675号。
【0014】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,627号、
・「COMMUNICATION ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,637号、
・「CONTROLS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,642号、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,676号、
・「CONTROLLERS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,680号、
・「COOPERATIVE SURGICAL ACTIONS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,683号、
・「DISPLAY ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,690号、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,711号。
【0015】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月28日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国特許仮出願第62/649,302号、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国特許仮出願第62/649,294号、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許仮出願第62/649,300号、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国特許仮出願第62/649,309号、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許仮出願第62/649,310号、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国特許仮出願第62/649,291号、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/649,296号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国特許仮出願第62/649,333号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国特許仮出願第62/649,327号、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国特許仮出願第62/649,315号、
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/649,313号、
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許仮出願第62/649,320号、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許仮出願第62/649,307号、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許仮出願第62/649,323号。
【0016】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年4月19日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「METHOD OF HUB COMMUNICATION」と題する米国特許仮出願第62/659,900号。
【0017】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月30日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「SURGICAL SYSTEMS WITH OPTIMIZED SENSING CAPABILITIES」と題する米国特許仮出願第62/650,887号、
・「SURGICAL SMOKE EVACUATION SENSING AND CONTROLS」と題する米国特許仮出願第62/650,877号、
・「SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/650,882号、及び
・「CAPACITIVE COUPLED RETURN PATH PAD WITH SEPARABLE ARRAY ELEMENTS」と題する米国特許仮出願第62/650,898号。
【0018】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月8日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「TEMPERATURE CONTROL IN ULTRASONIC DEVICE AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する米国特許仮出願第62/640,417号、及び
・「ESTIMATING STATE OF ULTRASONIC END EFFECTOR AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する米国特許仮出願第62/640,415号。
【0019】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,341号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する米国特許仮出願第62/611,340号、及び
・「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,339号。
【0020】
外科用装置及びシステムの様々な態様を詳細に説明する前に、例示される実施例は、適用又は用途において、添付の図面及び説明で示される部品の構造及び配置の詳細に限定されないことに留意すべきである。例示的な実施例は、他の態様、変形形態、及び修正で実施されるか、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な方法で実施又は実行されてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な実施例を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。また、以下に記述される態様、態様の具現、及び/又は実施例のうち1つ若しくは2つ以上を、以下に記載される他の態様、態様の具現、及び/又は実施例のうちの任意の1つ若しくは2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。
【0021】
本開示の態様は、癌治療において利用される様々な外科用器具を提示し、これらの外科用器具は、癌組織に対する近接性を評価し、かつ/又は、ユーザが癌組織から離れた安全な距離をナビゲートするのを支援するための様々なセンサ及びアルゴリズムを用いる。外科用器具は、単独で、又はコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムの構成要素として利用することができる。
【0022】
図1を参照すると、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム100は、1つ又は2つ以上の外科用システム102と、クラウドベースのシステム(例えば、ストレージ装置105に連結されたリモートサーバ113を含み得るクラウド104)と、を含む。各外科用システム102は、リモートサーバ113を含み得るクラウド104と通信する少なくとも1つの外科用ハブ106を含む。一実施例では、
図1に示すように、外科用システム102は、互いに、及び/又はハブ106と通信するように構成された、可視化システム108と、ロボットシステム110と、手持ち式インテリジェント外科用器具112と、を含む。いくつかの態様では、外科用システム102は、M個のハブ106と、N個の可視化システム108と、O個のロボットシステム110と、P個の手持ち式インテリジェント外科用器具112と、を含んでもよく、ここでM、N、O、及びPは1以上の整数である。
【0023】
図3は、外科手術室116内の手術台114上に横たわる患者に対して外科処置を実施するために使用される外科用システム102の一例を示す。本開示の外科用器具の1つ又は2つ以上は、ロボットシステムと共に使用するためのロボットツールとして実装することができる。ロボットシステム110は、外科処置において外科用システム102の一部として使用される。ロボットシステム110は、外科医のコンソール118と、患者側カート120(外科用ロボット)と、外科用ロボットハブ122と、を含む。患者側カート120は、患者の身体の低侵襲切開中に、外科医が外科医のコンソール118を介して手術部位を見る間、少なくとも1つの取り外し可能に連結された外科用ツール117を操作することができる。手術部位の画像は医療用撮像装置124によって得ることができ、医療用撮像装置124は撮像装置124を配向するために患者側カート120によって操作され得る。ロボットハブ122は、外科医のコンソール118を介して外科医に対するその後の表示のために、手術部位の画像を処理するよう用いることができる。
【0024】
他のタイプのロボットシステムを、外科用システム102と共に使用するために容易に適合させることができる。本開示と共に使用するのに好適なロボットシステム及び外科用ツールの様々な例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,339号に記載されている。
【0025】
クラウド104によって実施され、本開示と共に使用するのに好適なクラウドベース分析の様々な例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する米国特許仮出願第62/611,340号に記載されている。
【0026】
様々な態様では、撮像装置124は、少なくとも1つの画像センサと1つ又は2つ以上の光学構成要素とを含む。好適な画像センサとしては、電荷結合素子(CCD)センサ及び相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
撮像装置124の光学構成要素は、1つ若しくは2つ以上の照明光源及び/又は1つ若しくは2つ以上のレンズを含んでもよい。1つ又は2つ以上の照明光源は、手術野の一部を照明するように方向付けられてもよい。1つ又は2つ以上の画像センサは、組織及び/又は外科用器具から反射又は屈折された光を含む、手術野から反射又は屈折された光を受信することができる。
【0028】
1つ又は2つ以上の照明光源は、可視スペクトル及び不可視スペクトル内の電磁エネルギーを放射するように構成され得る。光学スペクトル又は発光スペクトルと呼ばれることもある可視スペクトルは、人間の目に可視の(すなわち、人間の目で検出可能な)電磁スペクトルの一部分であり、可視光、又は単に光と呼ばれることがある。典型的な人間の目は、空気中の約380nm~約750nmの波長に反応する。
【0029】
不可視スペクトル(すなわち、非発光スペクトル)は、可視スペクトルの下方及び上方に位置する電磁スペクトルの一部分である(すなわち、約380nm未満及び約750nm超の波長)。不可視スペクトルは、人間の目で検出可能ではない。約750nmを超える波長は、赤色可視スペクトルよりも長く、これらは不可視赤外線(IR)、マイクロ波、及び無線電磁放射線になる。約380nm未満の波長は、紫色スペクトルよりも短く、これらは不可視紫外線、X線、及びガンマ線電磁放射線になる。
【0030】
様々な態様では、撮像装置124は、低侵襲性手術で使用するように構成されている。本開示と共に使用するのに好適な撮像装置の例としては、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、胆道鏡、結腸鏡、サイトスコープ(cytoscope)、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃十二指腸鏡(胃鏡)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎盂鏡(nasopharyngo-neproscope)、S状結腸鏡、胸腔鏡、及び尿管鏡が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
一態様では、撮像装置は、トポグラフィーと下層構造とを区別するためにマルチスペクトルモニタリングを用いる。マルチスペクトル画像は、電磁スペクトルにわたって特定の波長範囲内の画像データを取り込むものである。波長は、フィルタによって、又は可視光範囲を超える周波数、例えば、IR及び紫外光を含む特定の波長からの光に感受性の器具を使用することによって分離することができる。スペクトル撮像法は、人間の目がその赤色、緑色、及び青色の受容体で捕捉することのできない追加情報の抽出を可能にすることができる。マルチスペクトル撮像法の使用は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で詳細に説明されている。マルチスペクトルモニタリングは、1つの手術作業が完了した後に、処置された組織上で上述の試験の1つ又は2つ以上を実施するために手術野を再配置するのに有用なツールであり得る。
【0032】
いかなる外科手術においても手術室及び外科用器具の厳格な滅菌が必要であることは自明である。「手術現場(surgical theater)」、すなわち手術室又は処置室に必要とされる厳格な衛生及び滅菌条件は、全ての医療装置及び機器の最大級の滅菌性を必要とする。その滅菌プロセスの一部は、撮像装置124並びにその付属品及び構成要素を含む、患者と接触する、又は滅菌野に侵入するあらゆるものを滅菌する必要性である。滅菌野は、トレイ内又は滅菌タオル上などの、微生物を含まないと見なされる特定の領域と見なされ得ること、又は滅菌野は、外科処置のために準備された患者のすぐ周囲の領域と見なされ得ることは理解されよう。滅菌野は、適切な衣類を着用した洗浄済みのチーム構成員、並びにその領域内の全ての備品及び固定具を含み得る。
【0033】
様々な態様では、可視化システム108は、
図2に示されるように、滅菌野に対して戦略的に配置された1つ又は2つ以上の撮像センサと、1つ又は2つ以上の画像処理ユニットと、1つ又は2つ以上のストレージアレイと、1つ又は2つ以上のディスプレイと、を含む。一態様では、可視化システム108は、HL7、PACS、及びEMRのインターフェースを含む。可視化システム108の様々な構成要素については、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で説明されている。
【0034】
図2に示すように、一次ディスプレイ119は、手術台114に位置する操作者に可視であるように、滅菌野内に配置される。加えて、可視化タワー111は、滅菌野の外に位置付けられる。可視化タワー111は、互いに離れる方向に面する第1の非滅菌ディスプレイ107及び第2の非滅菌ディスプレイ109を含む。ハブ106によって誘導される可視化システム108は、ディスプレイ107、109、及び119を使用して、滅菌野の内側及び外部の操作者に対する情報フローを調整するように構成されている。例えば、ハブ106は、可視化システム108に、一次ディスプレイ119上の手術部位のライブ映像を維持させながら、撮像装置124によって記録される手術部位のスナップショットを非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示させることができる。非滅菌ディスプレイ107又は109上のスナップショットは、例えば、非滅菌操作者が外科処置に関連する診断工程を実施することを可能にすることができる。
【0035】
一態様では、ハブ106は、滅菌野内で、可視化タワー111に位置する非滅菌操作者によって入力された診断入力又はフィードバックを滅菌領域内の一次ディスプレイ119に送り、これを手術台に位置する滅菌操作者が見ることができるようにも構成される。一実施例では、入力は、ハブ106によって一次ディスプレイ119に送ることのできる、非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示されるスナップショットに対する修正の形態であってもよい。
【0036】
図2を参照すると、外科用器具112は、外科処置において外科用システム102の一部として使用されている。ハブ106はまた、外科用器具112のディスプレイへの情報フローを調整するようにも構成されている。例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号における。可視化タワー111の位置で非滅菌操作者によって入力される診断入力又はフィードバックは、滅菌野内でハブ106によって外科用器具ディスプレイ115に送られてもよく、ここで診断入力又はフィードバックは外科用器具112の操作者によって見られてもよい。外科用システム102と共に用いるのに好適な例示的外科用器具については、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Surgical Instrument Hardware」の項目、及び「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号で説明されている。
【0037】
ここで
図3を参照すると、ハブ106が、可視化システム108、ロボットシステム110、及び手持ち式インテリジェント外科用器具112と通信している状態で示されている。ハブ106は、ハブディスプレイ135、撮像モジュール138、発生器モジュール140、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、及びストレージアレイ134を含む。特定の態様では、
図3に示すように、ハブ106は、排煙モジュール126及び/又は吸引/灌注モジュール128を更に含む。
【0038】
外科処置中、封止及び/又は切断のため組織へのエネルギー印加は、一般に、排煙、過剰な流体の吸引、及び/又は組織の灌注を伴う。異なる供給源からの流体、電力、及び/又はデータラインは、外科処置中に絡まり合うことが多い。外科処置中にこの問題に対処することで貴重な時間が失われる場合がある。ラインの絡まりをほどくには、それらの対応するモジュールからラインを抜くことが必要となる場合があり、そのためにはモジュールをリセットすることが必要となる場合がある。ハブのモジュール式筐体136は、電力、データ、及び流体ラインを管理するための統一環境を提供し、このようなライン間の絡まりの頻度を低減させる。
【0039】
本開示の態様は、手術部位における組織へのエネルギー印加を伴う外科処置において使用するための外科用ハブを提示する。外科用ハブは、ハブ筐体と、ハブ筐体のドッキングステーション内に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュールと、を含む。ドッキングステーションはデータ及び電力接点を含む。組み合わせ発生器モジュールは、単一ユニット内に収容された、超音波エネルギー発生器構成要素、双極高周波(RF)エネルギー発生器構成要素、及び単極RFエネルギー発生器構成要素のうちの2つ以上を含む。一態様では、組み合わせ発生器モジュールは、更に、排煙構成要素と、組み合わせ発生器モジュールを外科用器具に接続するための少なくとも1つのエネルギー供給ケーブルと、組織への治療エネルギーの印加によって発生した煙、流体、及び/又は微粒子を排出するように構成された少なくとも1つの排煙構成要素と、遠隔手術部位から排煙構成要素まで延在する流体ラインと、を含む。
【0040】
一態様では、流体ラインは第1の流体ラインであり、第2の流体ラインは、遠隔手術部位から、ハブ筐体内に摺動可能に受容される吸引及び灌注モジュールまで延在する。一態様では、ハブ筐体は、流体インターフェースを備える。
【0041】
特定の外科処置は、2つ以上のエネルギータイプを組織に印加することを必要とする場合がある。あるエネルギータイプは、組織を切断するのにより有益であり得るが、別の異なるエネルギータイプは、組織を封止するのにより有益であり得る。例えば、双極発生器は組織を封止するために使用することができ、一方で、超音波発生器は封止された組織を切断するために使用することができる。本開示の態様は、ハブのモジュール式筐体136が様々な発生器を収容して、これらの間の双方向通信を促進するように構成される解決法を提示する。ハブのモジュール式筐体136の利点の1つは、様々なモジュールの迅速な取り外し及び/又は交換を可能にすることである。
【0042】
本開示の態様は、組織へのエネルギー印加を伴う外科処置で使用するためのモジュール式外科用筐体を提示する。モジュール式外科用筐体は、組織に印加するための第1のエネルギーを発生させるように構成された第1のエネルギー発生器モジュールと、第1のデータ及び電力接点を含む第1のドッキングポートを備える第1のドッキングステーションと、を含み、第1のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第1のエネルギー発生器モジュールは、第1の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0043】
上記に加えて、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギーとは異なる、組織に印加するための第2のエネルギーを発生させるように構成された第2のエネルギー発生器モジュールと、第2のデータ及び電力接点を含む第2のドッキングポートを備える第2のドッキングステーションと、を更に含み、第2のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第2のエネルギー発生器モジュールは、第2の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0044】
更に、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギー発生器モジュールと第2のエネルギー発生器モジュールとの間の通信を容易にするように構成された、第1のドッキングポートと第2のドッキングポートとの間の通信バスを更に含む。
【0045】
図3~
図7を参照すると、発生器モジュール140と、排煙モジュール126と、吸引/灌注モジュール128と、のモジュール式統合を可能にするハブのモジュール式筐体136に関する本開示の態様が提示される。ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128間の双方向通信を更に促進する。
図5に示すように、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式筐体136に摺動可能に挿入可能な単一のハウジングユニット139内に支持される、統合された単極、双極、及び超音波構成要素を備える発生器モジュールであってもよい。
図5に示すように、発生器モジュール140は、単極装置146、双極装置147、及び超音波装置148に接続するように構成され得る。あるいは、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式筐体136を介して相互作用する一連の単極、双極、及び/又は超音波発生器モジュールを備えてもよい。ハブのモジュール式筐体136は、複数の発生器が単一の発生器として機能するように、複数の発生器の挿入と、ハブのモジュール式筐体136にドッキングされた発生器間の双方向通信と、を促進するように構成されてもよい。
【0046】
以下により詳細に記載されるように、単極装置146、双極装置147、及び超音波装置148のうちの1つ又は2つ以上は、癌組織への近接性を評価し、かつ/又は、ユーザが癌組織から離れた安全な距離をナビゲートするのを支援するためのセンサ及びアルゴリズムを備え得る。
【0047】
一態様では、ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128の取り外し可能な取り付け及びそれらの間の双方向通信を可能にするために、外部及び無線通信ヘッダを備えるモジュール式電力及び通信バックプレーン149を備える。
【0048】
一態様では、ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128を摺動可能に受容するように構成された、本明細書ではドロアーとも称されるドッキングステーション又はドロアー151を含む。
図4は、外科用ハブ筐体136、及び外科用ハブ筐体136のドッキングステーション151に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュール145の部分斜視図を示す。組み合わせ発生器モジュール145の後側に電力及びデータ接点を有するドッキングポート152は、組み合わせ発生器モジュール145がハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151内の位置へと摺動されると、対応するドッキングポート150をハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の電力及びデータ接点と係合するように構成される。一態様では、組み合わせ発生器モジュール145は、
図5に示すように、双極、超音波、及び単極モジュールと、単一のハウジングユニット139と共に一体化された排煙モジュールと、を含む。
【0049】
様々な態様では、排煙モジュール126は、捕捉/回収された煙及び/又は流体を手術部位から遠ざけて、例えば、排煙モジュール126へと搬送する流体ライン154を含む。排煙モジュール126から発生する真空吸引は、煙を手術部位のユーティリティ導管の開口部に引き込むことができる。流体ラインに連結されたユーティリティ導管は、排煙モジュール126で終端する可撓管の形態であってもよい。ユーティリティ導管及び流体ラインは、ハブ筐体136内に受容される排煙モジュール126に向かって延在する流体経路を画定する。
【0050】
様々な態様では、吸引/灌注モジュール128は、吸い込み(aspiration)流体ライン及び吸引(suction)流体ラインを含む外科用ツールに連結される。一実施例では、吸い込み及び吸引流体ラインは、手術部位から吸引/灌注モジュール128に向かって延在する可撓管の形態である。1つ又は2つ以上の駆動システムは、手術部位への、及び手術部位からの流体の灌注及び吸い込みを引き起こすように構成され得る。
【0051】
一態様では、外科用ツールは、その遠位端にエンドエフェクタを有するシャフトと、エンドエフェクタに関連付けられた少なくとも1つのエネルギー処置部と、吸い込み管と、灌注管と、を含む。吸い込み管は、その遠位端に入口ポートを有することができ、吸い込み管はシャフトを通って延在する。同様に、灌注管はシャフトを通って延在することができ、かつ、エネルギー送達器具に近接した入口ポートを有することができる。エネルギー送達器具は、超音波及び/又はRFエネルギーを手術部位に送達するように構成され、最初にシャフトを通って延在するケーブルによって発生器モジュール140に連結される。
【0052】
灌注管は流体源と流体連通することができ、吸い込み管は真空源と流体連通することができる。流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128内に収容され得る。一実施例では、流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128とは別にハブ筐体136内に収容され得る。このような実施例では、流体インターフェースは、吸引/灌注モジュール128を流体源及び/又は真空源に接続するように構成され得る。
【0053】
一態様では、モジュール140、126、128及び/又はハブのモジュール式筐体136上のそれらの対応するドッキングステーションは、モジュールのドッキングポートを位置合わせして、ハブのモジュール式筐体136のドッキングステーション内でこれらの対応部品と係合させるように構成された位置合わせ機構を含み得る。例えば、
図4に示すように、組み合わせ発生器モジュール145は、ハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の対応するブラケット156と摺動可能に係合するように構成された側部ブラケット155を含む。ブラケットは協働して、組み合わせ発生器モジュール145のドッキングポート接点をハブのモジュール式筐体136のドッキングポート接点と電気係合させるように誘導する。
【0054】
いくつかの態様では、ハブのモジュール式筐体136のドロアー151はサイズが同じ又は実質的に同じであり、モジュールはドロアー151内に受容されるサイズに調整される。例えば、側部ブラケット155及び/又は156は、モジュールのサイズに応じてより大きくなっても小さくなってもよい。他の態様では、ドロアー151はサイズが異なり、それぞれ特定のモジュールを収容するように設計される。
【0055】
更に、適合しない接点を備えるドロアーにモジュールを挿入することを避けるために、特定のモジュールの接点を、特定のドロアーの接点と係合するように鍵付きにしてもよい。
【0056】
図4に示されるように、1つのドロアー151のドッキングポート150は、通信リンク157を介して別のドロアー151のドッキングポート150に連結されて、ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュール間の双方向通信を容易にすることができる。あるいは又は更に、ハブのモジュール式筐体136のドッキングポート150は、ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュール間の無線双方向通信を容易にしてもよい。例えば、Air Titan-Bluetoothなどの任意の好適な無線通信を用いてもよい。
【0057】
図6は、外科用ハブ206の複数のモジュールを受容するように構成された横方向モジュール式ハウジング160の複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。横方向モジュール式ハウジング160は、モジュール161を横方向に受容して相互接続するように構成される。モジュール161は、モジュール161を相互接続するためのバックプレーンを含む横方向モジュール式ハウジング160のドッキングステーション162内に摺動可能に挿入される。
図6に示すように、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング160内で横方向に配置される。あるいは、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング内で垂直方向に配置されてもよい。
【0058】
図7は、外科用ハブ106の複数のモジュール165を受容するように構成された垂直モジュール式ハウジング164を示す。モジュール165は、モジュール165を相互接続するためのバックプレーンを含む垂直モジュール式ハウジング164のドッキングステーション又はドロアー167内に摺動可能に挿入される。垂直モジュール式ハウジング164のドロアー167は垂直方向に配置されているが、特定の場合では、垂直モジュール式ハウジング164は、横方向に配置されたドロアーを含んでもよい。更に、モジュール165は、垂直モジュール式ハウジング164のドッキングポートを介して互いに相互作用し得る。
図7の実施例では、モジュール165の動作に関連するデータを表示するためのディスプレイ177が提供される。加えて、垂直モジュール式ハウジング164は、マスタモジュール178内に摺動可能に受容される複数のサブモジュールを収容するマスタモジュール178を含む。
【0059】
様々な態様では、撮像モジュール138は、内蔵型のビデオプロセッサ及びモジュール式光源を備え、様々な撮像装置と共に使用するように適合されている。一態様では、撮像装置は、光源モジュール及びカメラモジュールと共に組み立てることが可能なモジュール式ハウジングで構成される。ハウジングは、使い捨て式ハウジングであってもよい。少なくとも1つの実施例では、使い捨て式ハウジングは、再利用可能なコントローラ、光源モジュール、及びカメラモジュールと取り外し可能に連結される。光源モジュール及び/又はカメラモジュールは、外科処置の種類に応じて選択的に選択することができる。一態様では、カメラモジュールはCCDセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールはCMOSセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールは走査されたビームの撮像用に構成される。同様に、光源モジュールは、外科処置に応じて白色光又は異なる光を送達するように構成することができる。
【0060】
外科処置中に、手術野から外科用装置を除去して異なるカメラ又は異なる光源を含む別の外科用装置と交換することは非効率的であり得る。手術野の視野を一時的に喪失することは、望ましからぬ結果をもたらし得る。本開示のモジュール撮像装置は、手術野から撮像装置を除去する必要なく、外科処置中に光源モジュール又はカメラモジュール中間体(midstream)の交換を可能にするように構成される。
【0061】
一態様では、撮像装置は、複数のチャネルを含む管状ハウジングを備える。第1のチャネルは、第1のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得るカメラモジュールを摺動可能に受容するように構成されている。第2のチャネルは、第2のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得る光源モジュールを摺動可能に受容するように構成されている。別の実施例では、カメラモジュール及び/又は光源モジュールは、これらの対応するチャネル内の最終位置へと回転させることができる。スナップ嵌め係合の代わりにねじ係合が採用されてもよい。
【0062】
様々な実施例で、複数の撮像装置が、複数の視野を提供するために手術野内の様々な位置に位置決めされる。撮像モジュール138は、最適な視野を提供するために撮像装置間を切り替えるように構成することができる。様々な態様では、撮像モジュール138は、異なる撮像装置からの画像を統合するように構成することができる。
【0063】
本開示と共に使用するのに好適な様々な画像プロセッサ及び撮像装置は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「COMBINED SBI AND CONVENTIONAL IMAGE PROCESSOR」と題する2011年8月9日発行の米国特許第7,995,045号に記載されている。更に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SBI MOTION ARTIFACT REMOVAL APPARATUS AND METHOD」と題する2011年7月19日発行の米国特許第7,982,776号は、画像データからモーションアーチファクトを除去するための様々なシステムについて記載している。こうしたシステムは、撮像モジュール138と一体化され得る。更に、「CONTROLLABLE MAGNETIC SOURCE TO FIXTURE INTRACORPOREAL APPARATUS」と題する2011年12月15日公開の米国特許出願公開第2011/0306840号、及び「SYSTEM FOR PERFORMING A MINIMALLY INVASIVE SURGICAL PROCEDURE」と題する2014年8月28日公開の米国特許出願公開第2014/0243597号は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
図8は、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、又は外科処置のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドベースのシステム(例えばストレージ装置205に連結されたリモートサーバ213を含み得るクラウド204)に接続するように構成されたモジュール式通信ハブ203を備える外科用データネットワーク201を示す。一態様では、モジュール式通信ハブ203は、ネットワークルータと通信するネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209を備える。モジュール式通信ハブ203は更に、ローカルコンピュータ処理及びデータ操作を提供するために、ローカルコンピュータシステム210に連結することができる。外科用データネットワーク201は、受動的、インテリジェント、又は切替式として構成されてもよい。受動的外科用データネットワークはデータの導管として機能し、データが1つの装置(又はセグメント)から別の装置(又はセグメント)に、及びクラウドコンピューティングリソースに行くことを可能にする。インテリジェントな外科用データネットワークは、トラフィックが監視対象の外科用データネットワークを通過することを可能にし、ネットワークハブ207又はネットワークスイッチ209内の各ポートを構成する追加の機構を含む。インテリジェントな外科用データネットワークは、管理可能なハブ又はスイッチと称され得る。スイッチングハブは、各パケットの宛先アドレスを読み取り、次いでパケットを正しいポートに転送する。
【0065】
手術室に配置されるモジュール式装置1a~1nは、モジュール式通信ハブ203に連結されてもよい。ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、ネットワークルータ211に連結されて、装置1a~1nをクラウド204又はローカルコンピュータシステム210に接続することができる。装置1a~1nに関連付けられたデータは、遠隔データ処理及び操作のためにルータを介してクラウドベースのコンピュータに転送されてもよい。装置1a~1nに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。同じ手術室に位置するモジュール式装置2a~2mもまた、ネットワークスイッチ209に連結されてもよい。ネットワークスイッチ209は、ネットワークハブ207及び/又はネットワークルータ211に連結されて、装置2a~2mをクラウド204に接続することができる。装置2a~2nに関連付けられたデータは、データ処理及び操作のためにネットワークルータ211を介してクラウド204に転送されてもよい。装置2a~2mに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。
【0066】
複数のネットワークハブ207及び/又は複数のネットワークスイッチ209を複数のネットワークルータ211と相互接続することによって、外科用データネットワーク201が拡張され得ることが理解されるであろう。モジュール式通信ハブ203は、複数の装置1a~1n/2a~2mを受容するように構成されたモジュール式制御タワー内に収容され得る。ローカルコンピュータシステム210もまた、モジュール式制御タワーに収容されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、ディスプレイ212に接続されて、例えば外科処置中に、装置1a~1n/2a~2mのうちのいくつかによって取得された画像を表示する。様々な態様では、装置1a~1n/2a~2mとしては、外科用データネットワーク201のモジュール式通信ハブ203に接続され得るモジュール式装置の中でもとりわけ、例えば、内視鏡に連結された撮像モジュール138、エネルギーベースの外科用装置に連結された発生器モジュール140、排煙モジュール126、吸引/灌注モジュール128、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、ストレージアレイ134、ディスプレイに連結された外科用装置、及び/又は非接触センサモジュールなどの様々なモジュールが挙げられ得る。
【0067】
一態様では、外科用データネットワーク201は、装置1a~1n/2a~2mをクラウドに接続する、ネットワークハブ(複数可)、ネットワークスイッチ(複数可)、及びネットワークルータ(複数可)との組み合わせを含んでもよい。ネットワークハブ又はネットワークスイッチに連結された装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全ては、リアルタイムでデータを収集し、データ処理及び操作のためにデータをクラウドコンピュータに転送することができる。クラウドコンピューティングは、ソフトウェアアプリケーションを取り扱うために、ローカルサーバ又はパーソナル装置を有するのではなく、共有コンピューティングリソースに依存することは理解されるであろう。用語「クラウド」は「インターネット」の隠喩として用いられ得るが、この用語はそのように限定はされない。したがって、用語「クラウドコンピューティング」は、本明細書では「インターネットベースのコンピューティングの一種」を指すために用いることができ、この場合、サーバ、ストレージ、及びアプリケーションなどの様々なサービスは、手術現場(例えば、固定式、移動式、一時的、又は現場の手術室又は空間)に位置するモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に、かつインターネットを介してモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に接続された装置に送達される。クラウドインフラストラクチャは、クラウドサービスプロバイダによって維持され得る。この文脈において、クラウドサービスプロバイダは、1つ又は2つ以上の手術室内に位置する装置1a~1n/2a~2mの使用及び制御を調整する事業体であり得る。クラウドコンピューティングサービスは、スマート外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置によって収集されたデータに基づいて、多数の計算を実行することができる。ハブハードウェアは、複数の装置又は接続部がクラウドコンピューティングリソース及びストレージと通信するコンピュータに接続することを可能にする。
【0068】
装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータにクラウドコンピュータデータ処理技術を適用することで、外科用データネットワークは、外科的成果の改善、コスト低減、及び患者満足度の改善を提供する。組織の封止及び切断処置後に、組織の状態を観察して封止された組織の漏出又は灌流を評価するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。クラウドベースのコンピューティングを使用して、身体組織の試料の画像を含むデータを診断目的で検査して疾患の影響などの病状を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。これは、組織及び表現型の位置特定及びマージン確認を含む。撮像装置と一体化された様々なセンサ、及び複数の撮像装置によってキャプチャされた画像をオーバーレイするなどの技術を使用して、身体の解剖学的構造を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。画像データを含む、装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータは、画像処理及び操作を含むデータ処理及び操作のために、クラウド204若しくはローカルコンピュータシステム210又はその両方に転送されてもよい。データは、組織特異的部位及び状態に対する内視鏡的介入、新興技術、標的化放射線、標的化介入、及び精密ロボットの適用などの更なる治療を遂行できるかを判定することによって、外科処置の結果を改善するために分析することができる。こうしたデータ分析は、予後分析処理を更に採用してもよく、標準化されたアプローチを使用することは、外科治療及び外科医の挙動を確認するか、又は外科治療及び外科医の挙動に対する修正を提案するかのいずれかのために有益なフィードバックを提供することができる。
【0069】
一実装態様では、手術室装置1a~1nは、ネットワークハブに対する装置1a~1nの構成に応じて、有線チャネル又は無線チャネルを介してモジュール式通信ハブ203に接続されてもよい。ネットワークハブ207は、一態様では、開放型システム間相互接続(OSI)モデルの物理層上で機能するローカルネットワークブロードキャスト装置として実装されてもよい。ネットワークハブは、同じ手術室ネットワーク内に位置する装置1a~1nに接続性を提供する。ネットワークハブ207は、パケット形態のデータを収集し、それらを半二重モードでルータに送信する。ネットワークハブ207は、装置データを転送するための任意の媒体アクセス制御/インターネットプロトコル(MAC/IP)は記憶しない。装置1a~1nのうちの1つのみが、ネットワークハブ207を介して一度にデータを送信することができる。ネットワークハブ207は、情報の送信先に関する経路選択テーブル又はインテリジェンスを有さず、全てのネットワークデータを各コネクション全体、及びクラウド204上のリモートサーバ213(
図9)にブロードキャストする。ネットワークハブ207は、コリジョンなどの基本的なネットワークエラーを検出することができるが、全ての情報を複数のポートにブロードキャストすることは、セキュリティリスクとなりボトルネックを引き起こすおそれがある。
【0070】
別の実装形態では、手術室装置2a~2mは、有線チャネル又は無線チャネルを介してネットワークスイッチ209に接続されてもよい。ネットワークスイッチ209は、OSIモデルのデータリンク層内で機能する。ネットワークスイッチ209は、同じ手術室内に位置する装置2a~2mをネットワークに接続するためのマルチキャスト装置である。ネットワークスイッチ209は、フレームの形態のデータをネットワークルータ211に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置2a~2mは、ネットワークスイッチ209を介して同時にデータを送信することができる。ネットワークスイッチ209は、データを転送するために装置2a~2mのMACアドレスを記憶かつ使用する。
【0071】
ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、クラウド204に接続するためにネットワークルータ211に連結される。ネットワークルータ211は、OSIモデルのネットワーク層内で機能する。ネットワークルータ211は、装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全てによって収集されたデータを更に処理及び操作するために、ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ211から受信したデータパケットをクラウドベースのコンピュータリソースに伝送するための経路を作成する。ネットワークルータ211は、例えば、同じ医療施設の異なる手術室、又は異なる医療施設の異なる手術室に位置する異なるネットワークなどの、異なる位置に位置する2つ以上の異なるネットワークを接続するために用いられてもよい。ネットワークルータ211は、パケット形態のデータをクラウド204に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置が同時にデータを送信することができる。ネットワークルータ211は、データを転送するためにIPアドレスを使用する。
【0072】
一実施例では、ネットワークハブ207は、複数のUSB装置をホストコンピュータに接続することを可能にするUSBハブとして実装されてもよい。USBハブは、装置をホストシステムコンピュータに接続するために利用可能なポートが多くなるように、単一のUSBポートをいくつかの階層に拡張することができる。ネットワークハブ207は、有線チャネル又は無線チャネルを介して情報を受信するための有線又は無線能力を含むことができる。一態様では、無線USB短距離高帯域無線通信プロトコルが、手術室内に位置する装置1a~1nと装置2a~2mとの間の通信のために使用されてもよい。
【0073】
他の実施例では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、固定及びモバイル装置から短距離にわたってデータを交換し(2.4~2.485GHzのISM帯域における短波長UHF電波を使用して)、かつパーソナルエリアネットワーク(PAN)を構築するために、Bluetooth無線技術規格を介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。他の態様では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、並びにEv-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、及びこれらのイーサネット派生物、のみならず3G、4G、5G、及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどの短距離無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどの長距離無線通信専用であってもよい。
【0074】
モジュール式通信ハブ203は、手術室装置1a~1n/2a~2mの1つ又は全ての中央接続部として機能することができ、フレームとして知られるデータ型を取り扱う。フレームは、装置1a~1n/2a~2mによって生成されたデータを搬送する。フレームがモジュール式通信ハブ203によって受信されると、フレームは増幅されてネットワークルータ211へ送信され、ネットワークルータ211は本明細書に記載される数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを使用することによってこのデータをクラウドコンピューティングリソースに転送する。
【0075】
モジュール式通信ハブ203は、スタンドアロンの装置として使用されてもよく、又はより大きなネットワークを形成するために互換性のあるネットワークハブ及びネットワークスイッチに接続されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、一般に据え付け、構成、及び維持が容易であるため、モジュール式通信ハブ203は手術室装置1a~1n/2a~2mをネットワーク接続するための良好な選択肢となる。
【0076】
図9は、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200を示す。コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200は、多くの点で、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム100と類似している。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200は、多くの点で外科用システム102と類似する1つ又は2つ以上の外科用システム202を含む。各外科用システム202は、リモートサーバ213を含み得るクラウド204と通信する少なくとも1つの外科用ハブ206を含む。一態様では、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システム200は、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置などの複数の手術室装置に接続されたモジュール式制御タワー236を備える。
図10に示されるように、モジュール式制御タワー236は、コンピュータシステム210に連結されたモジュール式通信ハブ203を備える。
図9の実施例に例示するように、モジュール式制御タワー236は、内視鏡239に連結された撮像モジュール238、エネルギー装置241に連結された発生器モジュール240、排煙器モジュール226、吸引/灌注モジュール228、通信モジュール230、プロセッサモジュール232、ストレージアレイ234、任意でディスプレイ237に連結されたスマート装置/器具235、及び非接触センサモジュール242に連結される。手術室装置は、モジュール式制御タワー236を介してクラウドコンピューティングリソース及びデータストレージに連結される。ロボットハブ222もまた、モジュール式制御タワー236及びクラウドコンピューティングリソースに接続されてもよい。中でもとりわけ、装置/器具235、可視化システム208が、本明細書に記載される有線又は無線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式制御タワー236に連結されてもよい。モジュール式制御タワー236は、撮像モジュール、装置/器具ディスプレイ、及び/又は他の可視化システム208から受信した画像を表示及びオーバーレイするためにハブディスプレイ215(例えば、モニタ、スクリーン)に連結されてもよい。ハブディスプレイはまた、画像及びオーバーレイ画像と共にモジュール式制御タワーに接続された装置から受信したデータを表示してもよい。
【0077】
図10は、モジュール式制御タワー236に連結された複数のモジュールを備える外科用ハブ206を示す。モジュール式制御タワー236は、例えばネットワーク接続装置などのモジュール式通信ハブ203と、例えば局所処理、可視化、及び撮像を提供するためのコンピュータシステム210と、を備える。
図10に示すように、モジュール式通信ハブ203は、モジュール式通信ハブ203に接続できるモジュール(例えば、装置)の数を拡張するために階層化構成で接続されて、モジュールに関連付けられたデータをコンピュータシステム210、クラウドコンピューティングリソース、又はその両方に転送することができる。
図10に示すように、モジュール式通信ハブ203内のネットワークハブ/スイッチのそれぞれは、3つの下流ポート及び1つの上流ポートを含む。上流のネットワークハブ/スイッチは、クラウドコンピューティングリソース及びローカルディスプレイ217への通信接続を提供するためにプロセッサに接続される。クラウド204への通信は、有線又は無線通信チャネルのいずれかを介して行うことができる。
【0078】
外科用ハブ206は、非接触センサモジュール242を使用して、手術室の寸法を測定し、また超音波又はレーザ型非接触測定装置のいずれかを使用して手術現場のマップを生成する。その全体が参照により本明細書に組み込まれる「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号中の「Surgical Hub Spatial Awareness Within an Operating Room」の項で説明されるように、超音波ベースの非接触センサモジュールは、超音波のバーストを送信し、超音波のバーストが手術室の外壁に反射したときのエコーを受信することによって手術室を走査し、ここでセンサモジュールが、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリングの距離限界を調整するように構成される。レーザベースの非接触センサモジュールは、例えば、レーザ光パルスを送信し、手術室の外壁に反射するレーザ光パルスを受信し、送信されたパルスの位相を受信したパルスと比較して、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリング距離限界を調整することによって手術室を走査する。
【0079】
コンピュータシステム210は、プロセッサ244とネットワークインターフェース245とを備える。プロセッサ244は、システムバスを介して、通信モジュール247、ストレージ248、メモリ249、不揮発性メモリ250、及び入力/出力インターフェース251に連結される。システムバスは、9ビットバス、業界標準アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェントドライブエレクトロニクス(IDE)、VESAローカルバス(VLB)、周辺装置相互接続(PCI)、USB、アドバンスドグラフィックスポート(AGP)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会バス(PCMCIA)、小型計算機システム・インターフェース(SCSI)、又は任意の他の専用バスが挙げられるがこれらに限定されない任意の様々なバスアーキテクチャを用いる、メモリバス若しくはメモリコントローラ、ペリフェラルバス若しくは外部バス、及び/又はローカルバスを含むいくつかのタイプのバス構造(複数可)のうちのいずれかであっってもよい。
【0080】
プロセッサ244は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、及び/又は、1つ若しくは2つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ若しくは2つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ若しくは2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0081】
一態様では、プロセッサ244は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0082】
システムメモリとしては、揮発性メモリ及び不揮発性メモリが挙げられる。起動中などにコンピュータシステム内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリに記憶される。例えば、不揮発性メモリとしては、ROM、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、EEPROM、又はフラッシュメモリが挙げられ得る。揮発性メモリとしては、外部キャッシュメモリとして機能するランダムアクセスメモリ(RAM)が挙げられる。更に、RAMは、SRAM、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンスドSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)、及びダイレクトランバスRAM(DRRAM)などの多くの形態で利用可能である。
【0083】
コンピュータシステム210はまた、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性コンピュータストレージ媒体、例えばディスクストレージなどを含む。ディスクストレージとしては、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-60ドライブ、フラッシュメモリカード、又はメモリスティックのようなデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。加えて、ディスクストレージは、ストレージ媒体を、独立して、又はコンパクトディスクROM装置(CD-ROM)、コンパクトディスク記録可能ドライブ(CD-Rドライブ)、コンパクトディスク書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)、若しくはデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)などの光ディスクドライブが挙げられるがこれらに限定されない他のストレージ媒体との組み合わせで含むことができる。ディスクストレージ装置のシステムバスへの接続を容易にするために、取り外し可能な又は取り外し不可能なインターフェースが用いられてもよい。
【0084】
コンピュータシステム210は、好適な動作環境で説明されるユーザと基本コンピュータリソースとの間で媒介として機能するソフトウェアを含むことを理解されたい。このようなソフトウェアとしてはオペレーティングシステムが挙げられる。ディスクストレージ上に記憶され得るオペレーティングシステムは、コンピュータシステムのリソースを制御及び割り当てするように機能する。システムアプリケーションは、システムメモリ内又はディスクストレージ上のいずれかに記憶されたプログラムモジュール及びプログラムデータを介して、オペレーティングシステムによるリソース管理を活用する。本明細書に記載される様々な構成要素は、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせで実装することができることを理解されたい。
【0085】
ユーザは、I/Oインターフェース251に連結された入力装置(複数可)を介してコンピュータシステム210にコマンド又は情報を入力する。入力装置としては、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッドなどのポインティングデバイス、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライト・ディッシュ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラなどが挙げられるが、これらに限定されない。これら及び他の入力装置は、インターフェースポート(複数可)を介し、システムバスを通してプロセッサに接続する。インターフェースポート(複数可)としては、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート、及びUSBが挙げられる。出力装置(複数可)は、入力装置(複数可)と同じ種類のポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータシステムに入力を提供し、またコンピュータシステムからの情報を出力装置に出力してもよい。出力アダプタは、特別なアダプタを必要とする出力装置の中でもとりわけ、モニタ、ディスプレイ、スピーカ、及びプリンタなどのいくつかの出力装置が存在することを示すために提供される。出力アダプタとしては、例示としてのものであり限定するものではないが、出力装置とシステムバスとの間の接続手段を提供するビデオ及びサウンドカードが挙げられる。遠隔コンピュータ(複数可)などの他の装置及び/又は装置のシステムは、入力及び出力機能の両方を提供することに留意されたい。
【0086】
コンピュータシステム210は、クラウドコンピュータ(複数可)などの1つ若しくは2つ以上の遠隔コンピュータ又はローカルコンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化環境で動作することができる。遠隔クラウドコンピュータ(複数可)は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの機器、ピア装置、又は他の一般的なネットワークノードなどであり得、典型的には、コンピュータシステムに関して説明される要素の多く又は全てを含む。簡潔にするために、遠隔コンピュータ(複数可)と共にメモリストレージ装置のみが示される。遠隔コンピュータ(複数可)は、ネットワークインターフェースを介してコンピュータシステムに論理的に接続され、続いて、通信接続を介して物理的に接続される。ネットワークインターフェースは、ローカルエリアネットワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク(WAN)などの通信ネットワークを包含する。LAN技術としては、光ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、銅線分散データインターフェース(CDDI)、Ethernet/IEEE802.3、Token Ring/IEEE802.5などが挙げられる。WAN技術としては、ポイントツーポイントリンク、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)及びその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク、並びにデジタル加入者回線(DSL)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0087】
様々な態様では、
図10のコンピュータシステム210、
図9及び
図10の撮像モジュール238、及び/又は可視化システム208、及び/又はプロセッサモジュール232は、画像プロセッサ、画像処理エンジン、メディアプロセッサ、又はデジタル画像の処理に使用される任意の専用デジタル信号プロセッサ(DSP)を含んでもよい。画像プロセッサは、単一命令複数データ(SIMD)、又は複数命令複数データ(MIMD)技術を用いた並列コンピューティングを使用して速度及び効率を高めることができる。デジタル画像処理エンジンは、様々なタスクを実行することができる。画像プロセッサは、マルチコアプロセッサアーキテクチャを備えるチップ上のシステム(SoC)であってもよい。
【0088】
通信接続(複数可)とは、ネットワークインターフェースをバスに接続するために用いられるハードウェア/ソフトウェアを指す。例示の明瞭さのために通信接続はコンピュータシステム内部に示されているが、通信接続はコンピュータシステム210の外部にあってもよい。例示のみを目的として、ネットワークインターフェースへの接続に必要なハードウェア/ソフトウェアとしては、通常の電話グレードモデム、ケーブルモデム、及びDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、並びにイーサネットカードなどの内部及び外部技術が挙げられる。
【0089】
図11は、本開示の少なくとも1つの態様による、USBネットワークハブ300装置の一態様の機能ブロック図を示す。図示した態様では、USBネットワークハブ装置300は、Texas Instruments製TUSB2036集積回路ハブを採用する。USBネットワークハブ300は、USB2.0規格に準拠する、上流USB送受信ポート302及び最大3つの下流USB送受信ポート304、306、308を提供するCMOS装置である。上流USB送受信ポート302は、差動データプラス(DP0)入力とペアリングされた差動データマイナス(DM0)入力を含む差動ルートデータポートである。3つの下流USB送受信ポート304、306、308は、各ポートが差動データマイナス(DM1~DM3)出力とペアリングした差動データプラス(DP1~DP3)出力を含む差動データポートである。
【0090】
USBネットワークハブ300装置は、マイクロコントローラの代わりにデジタル状態マシンを備えて実装され、ファームウェアのプログラミングを必要としない。完全準拠したUSB送受信機が、上流USB送受信ポート302及び全ての下流USB送受信ポート304、306、308の回路に統合される。下流USB送受信ポート304、306、308は、ポートに取り付けられた装置の速度に応じてスルーレートを自動的に設定することによって、最高速度及び低速の装置の両方をサポートする。USBネットワークハブ300装置は、バスパワーモード又はセルフパワーモードのいずれかで構成されてもよく、電力を管理するためのハブパワー論理312を含む。
【0091】
USBネットワークハブ300装置は、シリアルインターフェースエンジン(SIE)310を含む。SIE310は、USBネットワークハブ300ハードウェアのフロントエンドであり、USB仕様書の第8章に記載されているプロトコルの大部分を取り扱う。SIE310は、典型的には、トランザクションレベルまでのシグナリングを理解する。これが取り扱う機能としては、パケット認識、トランザクションの並べ替え、SOP、EOP、RESET、及びRESUME信号の検出/生成、クロック/データ分離、非ゼロ復帰逆転(NRZI)データ符号化/復号及びビットスタッフィング、CRC生成及びチェック(トークン及びデータ)、パケットID(PID)の生成、及びチェック/復号、並びに/又はシリアル・パラレル/パラレル・シリアル変換が挙げられ得る。SIE310はクロック入力314を受信し、ポート論理回路320、322、324を介して上流USB送受信ポート302と下流USB送受信ポート304、306、308との間の通信を制御するためにサスペンド/レジューム論理並びにフレームタイマー316回路及びハブリピータ回路318に連結される。SIE310は、シリアルEEPROMインターフェース330を介してシリアルEEPROMからコマンドを制御するためのインターフェース論理を介してコマンドデコーダ326に連結される。
【0092】
様々な態様では、USBネットワークハブ300は、最大6つの論理層(階層)内に構成された127個の機能を単一のコンピュータに接続することができる。更に、USBネットワークハブ300は、通信及び電力分配の両方を提供する標準化された4本のワイヤケーブルを使用して全ての周辺機器に接続することができる。電力構成は、バスパワーモード及びセルフパワーモードである。USBネットワークハブ300は、個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるバスパワーハブ、及び個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるセルフパワーハブの、電力管理の4つのモードをサポートするように構成されてもよい。一態様では、USBケーブル、USBネットワークハブ300を使用して、上流USB送受信ポート302はUSBホストコントローラにプラグ接続され、下流USB送受信ポート304、306、308はUSBに互換性のある装置を接続するために露出される、といった具合である。
【0093】
外科用器具のハードウェア
図12は、本開示の1つ又は2つ以上の態様による、外科用器具又はツールの制御システム470の論理図を示す。制御システム470は、プロセッサ462及びメモリ468を備えるマイクロコントローラ461を含む。例えば、センサ472、474、476のうちの1つ又は2つ以上が、プロセッサ462にリアルタイムなフィードバックを提供する。モータドライバ492によって駆動されるモータ482は、長手方向に移動可能な変位部材を動作可能に連結して、Iビームナイフ部材を駆動する。追跡システム480は、長手方向に移動可能な変位部材の位置を決定するように構成されている。位置情報は、長手方向に移動可能な駆動部材の位置、並びに発射部材、発射バー、及びIビームナイフ要素の位置を決定するようにプログラム又は構成され得るプロセッサ462に提供される。追加のモータが、Iビームの発射、閉鎖管の移動、シャフトの回転、及び関節運動を制御するために、ツールドライバインターフェースに提供されてもよい。ディスプレイ473は、器具の様々な動作条件を表示し、データ入力のためのタッチスクリーン機能を含んでもよい。ディスプレイ473上に表示された情報は、内視鏡撮像モジュールを介して取得された画像とオーバーレイさせることができる。
【0094】
一態様では、マイクロコントローラ461は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、主マイクロコントローラ461は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ若しくは2つ以上のPWMモジュール、1つ若しくは2つ以上のQEIアナログ、及び/又は12個のアナログ入力チャネルを備える1つ若しくは2つ以上の12ビットADCを含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0095】
一態様では、マイクロコントローラ461は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0096】
マイクロコントローラ461は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密制御など、様々な機能を実行するようにプログラムされてもよい。一態様では、マイクロコントローラ461は、プロセッサ462及びメモリ468を含む。電動モータ482は、ギアボックス、及び関節運動又はナイフシステムへの機械的連結部を備えたブラシ付き直流(DC)モータであってもよい。一態様では、モータドライバ492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータドライバを、絶対位置決めシステムを備える追跡システム480で使用するために容易に置き換えることができる。絶対位置決めシステムの詳細な説明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年10月19日公開の米国特許出願公開第2017/0296213号に記載されている。
【0097】
マイクロコントローラ461は、変位部材及び関節運動システムの速度及び位置に対する正確な制御を提供するようにプログラムされてもよい。マイクロコントローラ461は、マイクロコントローラ461のソフトウェア内で応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの判定に用いられる。観測された応答は、シミュレーションによる応答の滑らかで連続的な性質と、測定による応答とのバランスを取る好適な調整された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0098】
一態様では、モータ482は、モータドライバ492によって制御されてもよく、外科用器具又はツールの発射システムによって使用され得る。様々な形態において、モータ482は、例えば、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。別の構成において、モータ482はブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでよい。モータドライバ492は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)を含むHブリッジドライバを備えてもよい。モータ482は、外科用器具又はツールに制御電力を供給するために、ハンドルアセンブリ又はツールハウジングに解除可能に装着された電源アセンブリによって給電され得る。電源アセンブリは、外科用器具又はツールに給電するための電源として使用され得る、直列に接続された多数の電池セルを含み得る電池を含んでもよい。特定の状況下では、電源アセンブリの電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源アセンブリに連結可能かつ電源アセンブリから分離可能であり得るリチウムイオン(LI)電池であり得る。
【0099】
モータドライバ492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941 492は、特にブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と共に使用するためのフルブリッジコントローラである。ドライバ492は、固有の電荷ポンプレギュレータを備え、これは、完全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に提供し、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。NチャネルMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を与えるために、ブートストラップコンデンサが用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を用いて高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、レジスタで調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を指示するものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。他のモータドライバを、絶対位置決めシステムを備えた追跡システム480で使用するために容易に置換することができる。
【0100】
追跡システム480は、本開示の少なくとも1つの態様による位置センサ472を備える制御されたモータ駆動回路構成を備える。絶対位置決めシステム用の位置センサ472は、変位部材の位置に対応する固有の位置信号を提供する。一態様では、変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するための駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す。他の態様では、変位部材は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る発射部材を表す。更に別の態様では、変位部材は、発射バー又はIビームを表し、それらの各々は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る。それに応じて、本明細書で使用する場合、変位部材という用語は、駆動部材、発射部材、発射バー、Iビーム、又は変位され得る任意の要素など、外科用器具の任意の移動可能な部材を総称して指すために使用される。一態様では、長手方向に移動可能な駆動部材は、発射部材、発射バー、及びIビームに連結される。したがって、絶対位置決めシステムは、実際には、長手方向に移動可能な駆動部材の直線変位を追跡することによって、Iビームの直線変位を追跡することができる。様々な他の態様では、変位部材は、直線変位を測定するのに好適な任意の位置センサ472に連結されてもよい。したがって、長手方向可動駆動部材、発射部材、発射バー、若しくはIビーム、又はそれらの組み合わせは、任意の好適な直線変位センサに連結され得る。直線変位センサは、接触式又は非接触式変位センサを含んでよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(linear variable differential transformers、LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(differential variable reluctance transducers、DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、固定された光源及び一連の移動可能な直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0101】
電動モータ482は、変位部材上の駆動歯のセット又はラックと噛合係合で装着されるギアアセンブリと動作可能にインターフェースする回転式シャフトを含んでもよい。センサ素子は、位置センサ472素子の1回転が、変位部材のいくらかの直線長手方向並進に対応するように、ギアアセンブリに動作可能に連結されてもよい。ギアリング及びセンサ機構を、ラックピニオン機構によって直線アクチュエータに、又はスパーギア若しくは他の接続によって回転アクチュエータに接続することができる。電源は、絶対位置決めシステムに電力を供給し、出力インジケータは、絶対位置決めシステムの出力を表示することができる。変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するために、その上に形成された駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す。変位部材は、長手方向に移動可能な発射部材、発射バー、Iビーム、又はこれらの組み合わせを表す。
【0102】
位置センサ472に付随するセンサ素子の1回転は、変位部材の長手方向直線変位d1に相当し、d1は、変位部材に連結したセンサ素子の1回転した後で、変位部材が点「a」から点「b」まで移動する長手方向の直線距離である。センサ機構は、位置センサ472が変位部材のフルストロークに対して1回以上の回転を完了する結果をもたらすギアの減速を介して接続されてもよい。位置センサ472は、変位部材のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
【0103】
位置センサ472の2回以上の回転に対する固有の位置信号を提供するために、一連のスイッチ(ここでnは1より大きい整数である)が、単独で用いられても、ギアの減速との組み合わせで用いられてもよい。スイッチの状態はマイクロコントローラ461にフィードバックされ、マイクロコントローラ461は論理を適用して、変位部材の長手方向の直線変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を判定する。位置センサ472の出力はマイクロコントローラ461に提供される。センサ機構の位置センサ472は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、電位差計などのアナログ回転センサ、又はアナログホール効果素子のアレイを備えてもよい。
【0104】
位置センサ472は、例えば、磁界の全磁界又はベクトル成分を測定するか否かに基づいて分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気感知素子を備えてもよい。両タイプの磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁界の感知に用いられる技術としては、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動(nuclear precession)、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、磁気光学、及び微小電気機械システムベースの磁気センサが挙げられる。
【0105】
一態様では、絶対位置決めシステムを備える追跡システム480の位置センサ472は、磁気回転絶対位置決めシステムを備える。位置センサ472は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ472は、マイクロコントローラ461と連携して絶対位置決めシステムを提供する。位置センサ472は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石の上方に位置する位置センサ472の領域に、4つのホール効果素子を含む。更に、高解像度ADC及びスマート電力管理コントローラがチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、桁毎法(digit-by-digit method)及びボルダーアルゴリズム(Volder's algorithm)としても知られる、座標回転デジタルコンピュータ(CORDIC)プロセッサが設けられる。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、シリアル周辺インターフェース(SPI)インターフェースなどの標準的なシリアル通信インターフェースを介してマイクロコントローラ461に伝送される。位置センサ472は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ472は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0106】
絶対位置決めシステムを備える追跡システム480は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、かつ/又はこれを実装するようにプログラムされてもよい。電源が、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のPWMが挙げられる。位置センサ472によって測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサ(複数化)が設けられてもよい。いくつかの態様では、他のセンサ(複数可)としては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2016年5月24日発行の米国特許第9,345,481号、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2014年9月18日公開の米国特許出願公開第2014/0263552号、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年6月20日出願の米国特許出願第15/628,175号に記載されているものなどのセンサ機構を挙げることができる。デジタル信号処理システムでは、絶対位置決めシステムはデジタルデータ取得システムに連結され、ここで絶対位置決めシステムの出力は有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。絶対位置決めシステムは、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを用いて、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備え得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れる。
【0107】
絶対位置決めシステムは、モータ482が単に前方又は後方に経たステップの数をカウントして装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推定する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、変位部材をリセット(ゼロ又はホーム)位置へ後退又は前進させることなしに、器具の電源投入時に変位部材の絶対位置を提供する。
【0108】
例えば歪みゲージ又は微小歪みゲージなどのセンサ474は、例えば、アンビルに適用される閉鎖力を示すことができる、クランプ動作中にアンビルに及ぼされる歪みの振幅などのエンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成される。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供される。センサ474の代わりに、又はこれに加えて、例えば、負荷センサなどのセンサ476が、閉鎖駆動システムによってアンビルに加えられる閉鎖力を測定することができる。例えば、負荷センサなどのセンサ476は、外科用器具又はツールの発射ストローク中にIビームに加えられる発射力を測定することができる。Iビームは、楔形スレッドと係合するように構成されており、楔形スレッドは、ステープルドライバを上向きにカム作用して、ステープルを押し出してアンビルと変形接触させるように構成されている。Iビームはまた、Iビームを発射バーによって遠位に前進させる際に組織を切断するために使用することができる、鋭利な切刃を含む。あるいは、モータ482による電流引き込みを測定するために、電流センサ478を用いることができる。発射部材を前進させるのに必要な力は、例えば、モータ482によって引き込まれる電流に相当し得る。測定された力は、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供される。
【0109】
一形態では、歪みゲージセンサ474を使用して、エンドエフェクタによって組織に加えられる力を測定することができる。治療される組織に対するエンドエフェクタによる力を測定するために、歪みゲージをエンドエフェクタに連結することができる。エンドエフェクタによって把持された組織に印加される力を測定するためのシステムは、例えば、エンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成された微小歪みゲージなどの歪みゲージセンサ474を備える。一態様では、歪みゲージセンサ474は、把持動作中にエンドエフェクタのジョー部材に及ぼされる歪みの振幅又は大きさを測定することができ、これは組織の圧縮を示すことができる。測定された歪みはデジタル信号に変換されて、マイクロコントローラ461のプロセッサ462に提供される。負荷センサ476は、例えば、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉された組織を切断するために、ナイフ要素を操作するのに用いられる力を測定することができる。磁界センサは、捕捉された組織の厚さを測定するために用いることができる。磁界センサの測定値もデジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供され得る。
【0110】
センサ474、476によってそれぞれ測定される、組織の圧縮、組織の厚さ、及び/又はエンドエフェクタを組織上で閉鎖するのに必要な力の測定値は、発射部材の選択された位置、及び/又は発射部材の速度の対応する値を特性決定するために、マイクロコントローラ461によって使用することができる。一例では、メモリ468は、評価の際にマイクロコントローラ461によって用いることができる技術、等式及び/又はルックアップテーブルを記憶することができる。
【0111】
外科用器具又はツールの制御システム470はまた、
図8~
図11に示されるようにモジュール式通信ハブと通信するための有線又は無線通信回路を備えてもよい。
【0112】
図13は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路500を示す。制御回路500は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。制御回路500は、少なくとも1つのメモリ回路504に連結された1つ又は2つ以上のプロセッサ502(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を備えるマイクロコントローラを備えることができる。メモリ回路504は、プロセッサ502によって実行されると、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ502に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ502は、当該技術分野で既知の多数のシングル又はマルチコアプロセッサのうち任意の1つであってもよい。メモリ回路504は、揮発性及び不揮発性のストレージ媒体を含むことができる。プロセッサ502は、命令処理ユニット506及び演算ユニット508を含んでよい。命令処理ユニットは、本開示のメモリ回路504から命令を受信するように構成されてもよい。
【0113】
図14は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路510を示す。組み合わせ論理回路510は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。組み合わせ論理回路510は、入力514で外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理512によってデータを処理し、出力516を提供するように構成された組み合わせ論理512を含む有限状態マシンを含み得る。
【0114】
図15は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路520を示す。順序論理回路520又は組み合わせ論理522は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。順序論理回路520は有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路520は、例えば、組み合わせ論理522、少なくとも1つのメモリ回路524、及びクロック529を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路524は、有限状態マシンの現在の状態を記憶することができる。特定の例では、順序論理回路520は、同期式又は非同期式であってもよい。組み合わせ論理522は、入力526から外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理522によってデータを処理し、出力528を提供するように構成される。他の態様では、回路は、プロセッサ(例えば、
図13のプロセッサ502)と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含んでもよい。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路(例えば
図14の組み合わせ論理回路510)と順序論理回路520の組み合わせを含むことができる。
【0115】
図16は、様々な機能を実行するために起動され得る複数のモータを備える外科用器具又はツールを示す。特定の例では、第1のモータを起動させて第1の機能を実行することができ、第2のモータを起動させて第2の機能を実行することができ、第3のモータを起動させて第3の機能を実行することができ、第4のモータを起動させて第4の機能を実行することができる、といった具合である。特定の例では、ロボット外科用器具600の複数のモータは個々に起動されて、エンドエフェクタにおいて発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動を生じさせることができる。発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動は、例えばシャフトアセンブリを介してエンドエフェクタに伝達することができる。
【0116】
特定の例では、外科用器具システム又はツールは発射モータ602を含んでもよい。発射モータ602は、具体的にはIビーム要素を変位させるために、モータ602によって生成された発射運動をエンドエフェクタに伝達するように構成することができる、発射モータ駆動アセンブリ604に動作可能に連結されてもよい。特定の例では、モータ602によって生成される発射運動によって、例えば、ステープルをステープルカートリッジから、エンドエフェクタによって捕捉された組織内へと配備し、かつ/又はIビーム要素の切刃を前進させて、捕捉された組織を切断してもよい。Iビーム要素は、モータ602の方向を逆転させることによって後退させられ得る。
【0117】
特定の例では、外科用器具又はツールは閉鎖モータ603を含んでもよい。閉鎖モータ603は、具体的には閉鎖管を変位させてアンビルを閉鎖し、アンビルとステープルカートリッジとの間で組織を圧縮するためにモータ603によって生成された閉鎖運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、閉鎖モータ駆動アセンブリ605と動作可能に連結されてもよい。閉鎖運動によって、例えば、エンドエフェクタが開放構成から接近構成へと遷移して組織を捕捉することができる。エンドエフェクタは、モータ603の方向を逆転させることによって開放位置に遷移され得る。
【0118】
特定の例では、外科用器具又はツールは、例えば、1つ又は2つ以上の関節運動モータ606a、606bを含んでもよい。モータ606a、606bは、モータ606a、606bによって生成された関節運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、対応する関節運動モータ駆動アセンブリ608a、608bに動作可能に連結され得る。特定の例では、関節運動によって、例えば、エンドエフェクタがシャフトに対して関節運動することができる。
【0119】
上述したように、外科用器具又はツールは、様々な独立した機能を実施するように構成され得る複数のモータを含んでもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、他のモータが停止した状態を維持している間に、独立して又は別個に起動させて、1つ又は2つ以上の機能を実施することができる。例えば、関節運動モータ606a、606bを起動させて、発射モータ602が停止した状態を維持している間に、エンドエフェクタを関節運動させることができる。あるいは、発射モータ602を起動させて、関節運動モータ606が停止している間に、複数のステープルを発射させ、及び/又は刃先を前進させることができる。更に、閉鎖モータ603は、本明細書の以下でより詳細に説明されるように、閉鎖管及びIビーム要素を遠位に前進させるために、発射モータ602と同時に起動されてもよい。
【0120】
特定の例では、外科用器具又はツールは、外科用器具又はツールの複数のモータと共に用いることができる、共通の制御モジュール610を含んでもよい。特定の例では、共通の制御モジュール610は、一度に複数のモータのうちの1つに対応することができる。例えば、共通の制御モジュール610は、ロボット外科用器具の複数のモータ対して個々に連結及び分離が可能であってもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610などの1つ又は2つ以上の共通の制御モジュールを共有してもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610に独立してかつ選択的に係合することができる。特定の例では、共通の制御モジュール610は、外科用器具又はツールの複数のモータのうち一方との連携から、外科用器具又はツールの複数のモータのうちもう一方との連携へと選択的に切り替えることができる。
【0121】
少なくとも1つの例では、共通の制御モジュール610は、関節運動モータ606a、606bとの動作可能な係合と、発射モータ602又は閉鎖モータ603のいずれかとの動作可能な係合と、の間で選択的に切り替えることができる。少なくとも1つの実施例では、
図16に示すように、スイッチ614は、複数の位置及び/又は状態間を移動又は遷移させることができる。例えば、第1の位置616では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を発射モータ602と電気的に連結してもよく、第2の位置617では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を閉鎖モータ603と電気的に連結してもよく、第3の位置618aでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第1の関節運動モータ606aと電気的に連結してもよく、第4の位置618bでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第2の関節運動モータ606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、同時に、別個の共通の制御モジュール610を、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、スイッチ614は、機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、固体スイッチ、又は任意の好適な切り替え機構であってもよい。
【0122】
モータ602、603、606a、606bのそれぞれは、モータのシャフト上の出力トルクを測定するためのトルクセンサを備えてもよい。エンドエフェクタ上の力は、ジョーの外側の力センサによって、又はジョーを作動させるモータのトルクセンサなどによって、任意の従来の方法で感知されてもよい。
【0123】
様々な例では、
図16に示されるように、共通の制御モジュール610は、1つ又は2つ以上のHブリッジFETを備え得るモータドライバ626を備えてもよい。モータドライバ626は、例えば、マイクロコントローラ620(「コントローラ」)からの入力に基づいて、電源628から共通の制御モジュール610に連結されたモータへと伝達された電力を変調してもよい。特定の例では、上述したように、例えば、モータが共通の制御モジュール610に連結されている間にマイクロコントローラ620を用いて、モータによって引き込まれる電流を判定することができる。
【0124】
特定の例では、マイクロコントローラ620は、マイクロプロセッサ622(「プロセッサ」)と、1つ又は2つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体又はメモリユニット624(「メモリ」)と、を含んでもよい。特定の例では、メモリ624は、様々なプログラム命令を記憶することができ、それが実行されると、プロセッサ622に、本明細書に記載される複数の機能及び/又は計算を実施させることができる。特定の例では、メモリユニット624の1つ又は2つ以上が、例えば、プロセッサ622に連結されてもよい。
【0125】
特定の例では、電源628を用いて、例えばマイクロコントローラ620に電力を供給してもよい。特定の例では、電源628は、例えば、LI電池などの電池(又は「電池パック」若しくは「パワーパック」)を含んでもよい。特定の例では、電池パックは、外科用器具600に電力を供給するため、ハンドルに解除可能に装着されるように構成されてもよい。直列で接続された多数の電池セルを、電源628として使用してもよい。特定の例では、電源628は、例えば、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0126】
様々な例では、プロセッサ622は、モータドライバ626を制御して、共通の制御モジュール610に連結されたモータの位置、回転方向、及び/又は速度を制御することができる。特定の例では、プロセッサ622は、モータドライバ626に信号伝達して、共通の制御モジュール610に連結されたモータを停止及び/又は使用不能にすることができる。用語「プロセッサ」は、本明細書で使用されるとき、任意の好適なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上で統合したその他の基本コンピューティング装置を含むと理解されるべきである。プロセッサは、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラマブルデバイスである。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。プロセッサは、2進数法で表される数字及び記号で動作する。
【0127】
一例では、プロセッサ622は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。特定の例では、マイクロコントローラ620は、例えばTexas Instrumentsから入手可能なLM 4F230H5QRであってもよい。少なくとも1つの実施例では、Texas InstrumentsのLM4F230H5QRは、製品データシートで容易に利用可能な特性の中でもとりわけ、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ又は2つ以上のPWMモジュール、1つ又は2つ以上のQEIアナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットADCを含むARM Cortex-M4Fプロセッサコアである。他のマイクロコントローラが、モジュール4410と共に使用するのに容易に代用されてもよい。したがって、本開示は、この文脈に限定されるべきではない。
【0128】
特定の例では、メモリ624は、共通の制御モジュール610に連結可能な外科用器具600のモータをそれぞれ制御するためのプログラム命令を含んでもよい。例えば、メモリ624は、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bを制御するためのプログラム命令を含んでもよい。このようなプログラム命令は、プロセッサ622に、外科用器具又はツールのアルゴリズム又は制御プログラムからの入力に従って、発射機能、閉鎖機能、及び関節運動機能を制御させることができる。
【0129】
特定の例では、例えば、センサ630などの1つ又は2つ以上の機構及び/又はセンサを用いて、特定の設定で使用すべきプログラム命令をプロセッサ622に警告することができる。例えば、センサ630は、エンドエフェクタの発射、閉鎖、及び関節運動に関連するプログラム命令を使用するようにプロセッサ622に警告することができる。特定の例では、センサ630は、例えば、スイッチ614の位置を感知するために用いることができる位置センサを備えてもよい。したがって、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第1の位置616にあることを検出すると、エンドエフェクタのIビームの発射と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第2の位置617にあることを検出すると、アンビルの閉鎖と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第3の位置618a又は第4の位置618bにあることを検出すると、エンドエフェクタの関節運動と関連付けられたプログラム命令を使用することができる。
【0130】
図17は、本開示の少なくとも1つの態様による、本明細書で説明される外科用ツールを操作するように構成されたロボット外科用器具700の概略図である。ロボット外科用器具700は、単一又は複数の関節運動駆動連結部のいずれかを用いて、変位部材の遠位/近位並進、閉鎖管の遠位/近位変位、シャフトの回転、及び関節運動を制御するようにプログラム又は構成されてもよい。一態様では、外科用器具700は、発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、又は1つ若しくは2つ以上の関節運動部材を個別に制御するようにプログラム又は構成されてもよい。外科用器具700は、モータ駆動式の発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、及び/又は1つ若しくは2つ以上の関節運動部材を制御するように構成された制御回路710を備える。
【0131】
一態様では、ロボット外科用器具700は、複数のモータ704a~704eを介して、エンドエフェクタ702のアンビル716及びIビーム714(鋭利な切刃を含む)部分、取り外し可能なステープルカートリッジ718、シャフト740、並びに1つ又は2つ以上の関節運動部材742a、742bを制御するように構成された制御回路710を備える。位置センサ734は、Iビーム714の位置フィードバックを制御回路710に提供するように構成されてもよい。他のセンサ738は、制御回路710にフィードバックを提供するように構成されてもよい。タイマー/カウンタ731は、制御回路710にタイミング及びカウント情報を提供する。モータ704a~704eを動作させるためにエネルギー源712が設けられてもよく、電流センサ736はモータ電流フィードバックを制御回路710に提供する。モータ704a~704eは、開ループ又は閉ループフィードバック制御において制御回路710によって個別に操作することができる。
【0132】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに1つ又は2つ以上のタスクを実施させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ731は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路710に提供して位置センサ734によって決定されたIビーム714の位置をタイマー/カウンタ731の出力と相関させ、その結果、制御回路710は、Iビーム714が開始位置に対して特定の位置にあるときの、開始位置又は時間(t)に対する特定の時間(t)におけるIビーム714の位置を決定することができる。タイマー/カウンタ731は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0133】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいてエンドエフェクタ702の機能を制御するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、本明細書に説明されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、組織状態に基づいて発射制御プログラム又は閉鎖制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。閉鎖制御プログラムは、アンビル716によって組織に加えられる閉鎖力を制御し得る。その他の制御プログラムは、シャフト740及び関節運動部材742a、742bの回転を制御する。
【0134】
一態様では、制御回路710は、モータ設定点信号を生成することができる。モータ設定値信号は、様々なモータコントローラ708a~708eに提供されてもよい。モータコントローラ708a~708eは、本明細書で説明するように、モータ704a~704eにモータ駆動信号を提供してモータ704a~704eを駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ704a~704eはブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ704a~704eの速度は、それぞれのモータ駆動信号に比例してもよい。いくつかの実施例では、モータ704a~704eはブラシレスDC電動モータであってもよく、それぞれのモータ駆動信号は、モータ704a~704eの1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ708a~708eは省略されてもよく、制御回路710がモータ駆動信号を直接生成してもよい。
【0135】
一態様では、制御回路710は、最初に、モータ704a~704eのそれぞれを、変位部材のストロークの第1の開ループ部分では開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間のロボット外科用器具700の応答に基づいて、制御回路710は、閉ループ構成の発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ704a~704eのうちの1つに提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後で、制御回路710は、変位部材ストロークの第2の部分に対して選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路710は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ704a~704eのうちの1つを閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
【0136】
一態様では、モータ704a~704eは、エネルギー源712から電力を受け取ることができる。エネルギー源712は、主交流電源、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源によって駆動されるDC電源であってもよい。モータ704a~704eは、それぞれの伝達装置706a~706eを介して、Iビーム714、アンビル716、シャフト740、関節運動742a、及び関節運動742bなどの個々の可動機械的要素に機械的に連結されてもよい。伝達装置706a~706eは、モータ704a~704eを可動機械的要素に連結するための1つ又は2つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ734は、Iビーム714の位置を感知し得る。位置センサ734は、Iビーム714の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ734は、Iビーム714が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路710に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路710は、パルスを追跡してIビーム714の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム714の運動を示す他の信号を提供することができる。また、一部の実施例では、位置センサ734は省略されてもよい。モータ704a~704eのいずれかがステップモータである場合、制御回路710は、モータ704が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、Iビーム714の位置を追跡することができる。位置センサ734は、エンドエフェクタ702内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。モータ704a~704eのそれぞれの出力は、力を感知するためのトルクセンサ744a~744eを含み、駆動シャフトの回転を感知するエンコーダを有する。
【0137】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のIビーム714部分などの発射部材を駆動するように構成されている。制御回路710はモータ制御部708aにモータ設定値を提供し、モータ制御部708aはモータ704aに駆動信号を提供する。モータ704aの出力シャフトは、トルクセンサ744aに連結される。トルクセンサ744aは、Iビーム714に連結された伝達装置706aに連結される。伝達装置706aは、エンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向へのIビーム714の移動を制御するための回転要素及び発射部材などの可動機械的要素を備える。一態様では、モータ704aは、第1のナイフ駆動ギア及び第2のナイフ駆動ギアを含むナイフギア減速セットを含むナイフギアアセンブリに連結されてもよい。トルクセンサ744aは、制御回路710に発射力フィードバック信号を提供する。発射力信号は、Iビーム714を発射又は変位させるために必要な力を表す。位置センサ734は、発射ストロークに沿ったIビーム714の位置又は発射部材の位置を、フィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702は、制御回路710にフィードバック信号を提供するように構成された追加のセンサ738を含んでもよい。使用準備が整ったら、制御回路710は、モータ制御部708aに発射信号を提供することができる。発射信号に応答して、モータ704aは、発射部材をエンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。発射部材が遠位に並進すると、遠位端に位置付けられた切断要素を備えるIビーム714は、遠位に前進して、ステープルカートリッジ718とアンビル716との間に位置する組織を切断する。
【0138】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のアンビル716部分などの閉鎖部材を駆動するように構成されている。制御回路710は、モータ704bに駆動信号を提供するモータ制御部708bにモータ設定点を提供する。モータ704bの出力シャフトは、トルクセンサ744bに連結される。トルクセンサ744bは、アンビル716に連結された伝達装置706bに連結される。伝達装置706bは、開放位置及び閉鎖位置からのアンビル716の移動を制御するための回転要素及び閉鎖部材などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704bは、閉鎖スパーギアと噛合係合して支持される閉鎖減速ギアセットを含む閉鎖ギアアセンブリに連結される。トルクセンサ744bは、制御回路710に閉鎖力フィードバック信号を提供する。閉鎖力フィードバック信号は、アンビル716に適用される閉鎖力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702内の追加のセンサ738は、閉鎖力フィードバック信号を制御回路710に提供することができる。枢動可能なアンビル716は、ステープルカートリッジ718の反対側に位置決めされる。使用準備が整うと、制御回路710は、モータ制御部708bに閉鎖信号を提供することができる。閉鎖信号に応答して、モータ704bは、閉鎖部材を前進させて、クランプアーム716とステープルカートリッジ718との間で組織を把持する。
【0139】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を回転させるためにシャフト740などのシャフト部材を回転させるように構成されている。制御回路710は、モータ704cに駆動信号を提供するモータ制御部708cにモータ設定点を提供する。モータ704cの出力シャフトは、トルクセンサ744cに連結される。トルクセンサ744cは、シャフト740に連結された伝達装置706cに連結される。伝達装置706cは、シャフト740の時計回り又は反時計回りの回転を360度まで及びそれを超えて制御するために回転要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704cは、ツール装着プレート上に動作可能に支持された回転ギアアセンブリによって動作可能に係合されるように、近位閉鎖管の近位端上に形成された(又はこれに取り付けられた)管状ギアセグメントを含む回転伝達装置アセンブリに連結される。トルクセンサ744cは、制御回路710に回転力フィードバック信号を提供する。回転力フィードバック信号は、シャフト740に加えられる回転力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。シャフトエンコーダなどの追加のセンサ738が、シャフト740の回転位置を制御回路710に提供してもよい。
【0140】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を関節運動させるように構成されている。制御回路710は、モータ704dに駆動信号を提供するモータ制御部708dにモータ設定点を提供する。モータ704dの出力シャフトは、トルクセンサ744dに連結される。トルクセンサ744dは、関節運動部材742aに連結された伝達装置706dに連結される。伝達装置706dは、エンドエフェクタ702の±65度の関節運動を制御するための関節運動要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704dは、関節運動ナットに連結され、関節運動ナットは、遠位スパイン部分の近位端部分上で回転可能に軸支され、遠位スパイン部分の近位端部分上で関節運動ギアアセンブリによって回転可能に駆動される。トルクセンサ744dは、制御回路710に関節運動力フィードバック信号を提供する。関節運動力フィードバック信号は、エンドエフェクタ702に適用される関節運動力を表す。関節運動エンコーダなどのセンサ738は、エンドエフェクタ702の関節運動位置を制御回路710に提供してもよい。
【0141】
別の態様では、ロボット外科用システム700の関節運動機能は、2つの関節運動部材、又は連結部742a、742bを含んでもよい。これらの関節運動部材742a、742bは、2つのモータ708d、708eによって駆動されるロボットインターフェース(ラック)上の個別のディスクによって駆動される。個別の発射モータ704aが提供されると、ヘッドが運動していないときにヘッドに抵抗保持運動及び負荷を提供するために、かつヘッドが関節運動しているときに関節運動を提供するために、関節運動連結部742a、742bのそれぞれは他の連結部に対して拮抗的に駆動され得る。関節運動部材742a、742bは、ヘッドが回転するときに固定された半径でヘッドに取り付けられる。したがって、ヘッドが回転すると、プッシュプル連結部の機械効率は変化する。この機械効率の変化は、他の関節運動連結部の駆動システムでより顕著であり得る。
【0142】
一態様では、1つ又は2つ以上のモータ704a~704eは、ギアボックス、及び発射部材、閉鎖部材、又は関節運動部材への機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータを備えてもよい。別の例としては、変位部材、関節運動連結部、閉鎖管、及びシャフトなどの可動機械的要素を動作させる電動モータ704a~704eが挙げられる。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電動モータ704a~704eの1つに反して作用する障害と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0143】
一態様では、位置センサ734は、絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。一態様では、位置センサ734は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを備えてもよい。位置センサ734は、制御回路710と連係して絶対位置決めシステムを提供することができる。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0144】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上のセンサ738と通信してもよい。センサ738は、エンドエフェクタ702上に位置付けられ、ロボット外科用器具700と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ738は、磁気センサ、磁場センサ、歪ゲージ、ロードセル、圧力センサ、力センサ、トルクセンサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、静電容量型センサ、光センサ、及び/又はエンドエフェクタ702の1つ若しくは2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを含み得る。センサ738は、1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。センサ738は、分割された電極を使用して組織の位置を決定するために、ステープルカートリッジ718のデッキ上に配置されてもよい。トルクセンサ744a~744eは、とりわけ、発射力、閉鎖力、及び/又は関節運動力などの力を感知するように構成されてもよい。したがって、制御回路710は、(1)遠位閉鎖管によって経験される閉鎖負荷及びその位置、(2)ラックにある発射部材及びその位置、(3)ステープルカートリッジ718のどの部分がその上に組織を有しているか、及び(4)両方の関節運動ロッド上の負荷及び位置を感知することができる。
【0145】
一態様では、1つ又は2つ以上のセンサ738は、把持状態の間のアンビル716における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0146】
一態様では、センサ738は、とりわけ、1つ又は2つ以上のリミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、磁気抵抗(MR)装置、巨大磁気抵抗(GMR)装置、及び磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ光センサ、IRセンサ、及び紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチとして実装されてもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
【0147】
一態様では、センサ738は、閉鎖駆動システムによってアンビル716に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ738は、閉鎖管によってアンビル716に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル716との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル716に対して及ぼされる力は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ738を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に配置して、閉鎖駆動システムによりアンビル716に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ738は、制御回路710のプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路710は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル716に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0148】
一態様では、電流センサ736を用いて、モータ704a~704eのそれぞれによって引き込まれる電流を測定することができる。Iビーム714などの可動機械的要素のいずれかを前進させるのに必要な力は、モータ704a~704eのうちの1つによって引き込まれる電流に対応する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路710に提供される。制御回路710は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成され得る。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ702内のIビーム714を目標速度又はその付近で移動させることができる。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、線形二次(LQR)、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月29日出願の「CLOSED LOOP VELOCITY CONTROL TECHNIQUES FOR ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/636,829号に開示されている。
【0149】
図18は、本開示の少なくとも1つの態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具750のブロック図を示す。一態様では、外科用器具750は、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具750は、アンビル766、Iビーム764(鋭利な切刃を含む)、及び取り外し可能なステープルカートリッジ768を備え得るエンドエフェクタ752を備える。
【0150】
Iビーム764などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ機構、及び位置センサ784によって測定することができる。Iビーム764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、Iビーム764の位置は、位置センサ784を使用する長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、Iビーム764の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成され得る。制御回路760は、Iビーム764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路760は、1つ若しくは2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、記載される方法で変位部材、例えばIビーム764を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ781は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に提供して、位置センサ784によって判定されたIビーム764の位置をタイマー/カウンタ781の出力と相関させ、その結果、制御回路760は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるIビーム764の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0151】
制御回路760は、モータ設定値信号772を生成してもよい。モータ設定値信号772は、モータコントローラ758に提供されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書で説明するように、モータ754にモータ駆動信号774を提供してモータ754を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ754は、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754はブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
【0152】
モータ754は、エネルギー源762から電力を受信することができる。エネルギー源762は、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ754は、伝達装置756を介してIビーム764に機械的に連結され得る。伝達装置756は、モータ754をIビーム764に連結するための1つ若しくは2つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ784は、Iビーム764の位置を感知し得る。位置センサ784は、Iビーム764の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ784は、Iビーム764が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路760に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡してIビーム764の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム764の運動を示す他の信号を提供することができる。また、一部の実施例では、位置センサ784は省略されてもよい。モータ754がステップモータである場合、制御回路760は、モータ754が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、Iビーム764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ752内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。
【0153】
制御回路760は、1つ又は2つ以上のセンサ788と通信することができる。センサ788は、エンドエフェクタ752上に位置付けられ、外科用器具750と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合され得る。センサ788は、磁気センサ、磁場センサ、歪ゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、静電容量型センサ、光センサ、及び/又はエンドエフェクタ752の1つ若しくは2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを含み得る。センサ788は、1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。
【0154】
1つ又は2つ以上のセンサ788は、クランプ留め状態の間のアンビル766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0155】
センサ788は、閉鎖駆動システムにより、アンビル766上に及ぼされる力を測定するように構成されてよい。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってアンビル766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル766との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル766に対して及ぼされる力は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ788を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に配置して、閉鎖駆動システムによりアンビル766に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ788は、制御回路760のプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル766に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0156】
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。Iビーム764を前進させるのに必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に提供される。
【0157】
制御回路760は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成され得る。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ752内のIビーム764を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具750は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。外科用器具750は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0158】
外科用器具750の実際の駆動システムは、ギアボックス、並びに関節運動及び/又はナイフシステムへの機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材、又はIビーム764を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフトアセンブリの、例えば変位部材及び関節運動ドライバを操作する電気モータ754である。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ754に反して作用する障害と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0159】
様々な例示的態様は、モータ駆動の外科用ステープル留め及び切断手段を有するエンドエフェクタ752を備える外科用器具750を対象とする。例えば、モータ754は、エンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ752は、枢動可能なアンビル766と、使用のために構成される場合は、アンビル766の反対側に配置されたステープルカートリッジ768とを備えてもよい。臨床医は、本明細書に記載されるように、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に組織を把持してもよい。器具750を使用する準備が整った場合、臨床医は、例えば器具750のトリガを押すことによって発射信号を提供してもよい。発射信号に応答して、モータ754は、変位部材をエンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。変位部材が遠位方向に並進するにつれて、遠位端に配置された切断要素を有するIビーム764は、ステープルカートリッジ768とアンビル766との間の組織を切断することができる。
【0160】
様々な実施例で、外科用器具750は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいて、例えば、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路760を備えてもよい。制御回路760は、本明細書に説明されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路760は、組織状態に基づいて発射制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
【0161】
いつくかの実施例では、制御回路760は、最初に、モータ754を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分に対する開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の外科用器具750の応答に基づいて、制御回路760は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ754に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後、制御回路760は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路760は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ754を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月29日出願の「SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/720,852号に開示されている。
【0162】
図19は、本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具790の概略図である。一態様では、外科用器具790は、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具790は、アンビル766と、Iビーム764と、RFカートリッジ796(破線で示す)と交換することができる着脱可能なステープルカートリッジ768と、を備え得るエンドエフェクタ792を備える。
【0163】
一態様では、センサ788は、とりわけ、リミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、MR装置、GMR装置、及び磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ788は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチであってもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ788は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
【0164】
一態様では、位置センサ784は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを備える絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。位置センサ784は、制御回路760と連係して絶対位置決めシステムを提供することができる。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0165】
一態様では、Iビーム764は、上に組織切断刃を動作可能に支持するナイフ本体を備えるナイフ部材として実装されてもよく、アンビル係合タブ又は特徴部及び通路係合特徴部又は足部を更に含んでよい。一態様では、ステープルカートリッジ768は、標準的な(機械的)外科用締結具カートリッジとして実装され得る。一態様では、RFカートリッジ796はRFカートリッジとして実装されてもよい。これら、及び他のセンサ構成は、その全体が本明細書に参照により組み込まれる、2017年6月20日に出願された同一所有者の米国特許出願第15/628,175号、表題「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」に記載されている。
【0166】
Iビーム764などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ構成、及び位置センサ784として表される位置センサにより、測定可能である。Iビーム764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、Iビーム764の位置は、位置センサ784を使用する長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、Iビーム764の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成され得る。制御回路760は、本明細書に記載されるように、Iビーム764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路760は、1つ若しくは2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、記載される方法で変位部材、例えばIビーム764を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ781は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に提供して、位置センサ784によって判定されたIビーム764の位置をタイマー/カウンタ781の出力と相関させ、その結果、制御回路760は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるIビーム764の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0167】
制御回路760は、モータ設定値信号772を生成してもよい。モータ設定値信号772は、モータコントローラ758に提供されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書で説明するように、モータ754にモータ駆動信号774を提供してモータ754を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ754は、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754はブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
【0168】
モータ754は、エネルギー源762から電力を受信することができる。エネルギー源762は、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ754は、伝達装置756を介してIビーム764に機械的に連結され得る。伝達装置756は、モータ754をIビーム764に連結するための1つ若しくは2つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ784は、Iビーム764の位置を感知し得る。位置センサ784は、Iビーム764の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ784は、Iビーム764が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路760に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡してIビーム764の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム764の運動を示す他の信号を提供することができる。また、一部の実施例では、位置センサ784は省略されてもよい。モータ754がステップモータである場合、制御回路760は、モータが実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、Iビーム764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ792内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。
【0169】
制御回路760は、1つ又は2つ以上のセンサ788と通信することができる。センサ788は、エンドエフェクタ792上に位置付けられ、外科用器具790と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合され得る。センサ788は、磁気センサ、磁場センサ、歪ゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、静電容量型センサ、光センサ、及び/又はエンドエフェクタ792の1つ若しくは2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを含み得る。センサ788は、1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。
【0170】
1つ又は2つ以上のセンサ788は、クランプ留め状態の間のアンビル766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0171】
センサ788は、閉鎖駆動システムにより、アンビル766上に及ぼされる力を測定するように構成されてよい。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってアンビル766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル766との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル766に対して及ぼされる力は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ788を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に配置して、閉鎖駆動システムによりアンビル766に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ788は、制御回路760のプロセッサ部分によるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル766に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0172】
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。Iビーム764を前進させるのに必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に提供される。
【0173】
RFエネルギー源794はエンドエフェクタ792に連結され、RFカートリッジ796が、ステープルカートリッジ768の代わりにエンドエフェクタ792にロードされるときに、RFカートリッジ796に適用される。制御回路760は、RFエネルギーのRFカートリッジ796への送達を制御する。
【0174】
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月28日出願の「SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAME」と題する米国特許出願第15/636,096号に開示されている。
【0175】
図20は、多くの点で外科用器具790と類似している外科用器具791の概略図である。外科用器具791は、第1ジョー765及び第2ジョー767を含むエンドエフェクタ769を含む。エンドエフェクタ769は、開放構成から閉鎖構成に移行するように構成されている。第1ジョー765及び第2ジョー767は、閉鎖構成において互いに接近している。一態様では、閉鎖構成でエンドエフェクタ769によって把持された組織は、エネルギー源795によって生成された超音波エネルギーによって処理される。別の態様では、閉鎖構成でエンドエフェクタ769によって把持された組織は、エネルギー源795又は別個のRFエネルギー源によって生成されるRFエネルギーによって処理される。
【0176】
一態様では、閉鎖管773(破線で示される)は、エンドエフェクタ769を閉鎖構成に移行させることができる。モータ754は、エンドエフェクタ769に閉鎖運動を伝達するために伝達装置756を介して閉鎖管773に機械的に連結されてもよい。あるいは、閉鎖管773を手動で移動させて、開放構成と閉鎖構成との間でエンドエフェクタ769を移行させることができる。一態様では、Iビーム764と類似しているIビーム771(破線で示される)は、エンドエフェクタ769を閉鎖構成に移行させることができる。モータ754は、エンドエフェクタ769に閉鎖運動を伝達するために伝達装置756を介してIビーム771に機械的に連結されてもよい。あるいは、Iビーム771を手動で移動させて、開放構成と閉鎖構成との間でエンドエフェクタ769を移行させることができる。位置センサ784は、Iビーム771及び/又は閉鎖管773の位置を感知し得る。
【0177】
図21~
図24は、再使用され得る、又は再使用され得ない、切断及び締結用のモータ駆動式外科用器具150010を示している。図示した実施例では、外科用器具150010は、臨床医が把持し、操作し、作動させるように構成されたハンドルアセンブリ150014を備えるハウジング150012を含む。ハウジング150012は、1つ若しくは2つ以上の外科的タスク又は処置を行うように構成されたエンドエフェクタ150300が動作可能に結合されている、交換式シャフトアセンブリ150200に動作可能に取り付けられるように構成されている。本開示によると、様々な形態の交換式シャフトアセンブリが、ロボット制御された外科用システムと関連させて効果的に使用され得る。したがって、「ハウジング」という用語は、交換式シャフトアセンブリを作動させるために利用できる少なくとも1つの制御運動を生成及び加えるように構成された少なくとも1つの駆動システムを収容するか又は動作可能に支持する、ロボットシステムのハウジング又は類似部分を包含することができる。「フレーム」という用語は、手持ち式外科用器具の一部分を指してもよい。「フレーム」という用語はまた、ロボット制御式の外科用器具の一部分、及び/又は外科用器具を動作可能に制御するために使用され得るロボットシステムの一部分を表す場合もある。交換式シャフトアセンブリは、その全体が参照として本明細書に組み込まれる、米国特許第9,072,535号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」に開示されている、様々なロボットシステム、器具、構成要素、及び方法と共に用いられてもよい。
【0178】
図21は、本開示の少なくとも1つの態様による、動作可能に結合された交換式シャフトアセンブリ150200を有する外科用器具150010の斜視図である。ハウジング150012はエンドエフェクタ150300を含み、エンドエフェクタ150300は、外科用ステープルカートリッジ150304を動作可能に支持するように構成された外科用切断及び締結装置をその中に備える。ハウジング150012は、交換式シャフトアセンブリと接続して使用するように構成されていてもよく、交換式シャフトアセンブリは、様々なサイズ及び種類のステープルカートリッジを支持するように適合されたエンドエフェクタを含み、様々なシャフト長さ、サイズ及び種類を有する。ハウジング150012は、様々な交換式シャフトアセンブリと共に用いられてもよく、交換式シャフトアセンブリは、様々な外科的用途及び処置に関連して用いるように適合されたエンドエフェクタ構成に対して、RFエネルギー、超音波エネルギー、及び/又は運動などの、他の運動及びエネルギー形態を印加するように構成されたアセンブリを含む。エンドエフェクタ、シャフトアセンブリ、ハンドル、外科用器具、及び/又は外科用器具システムは、組織を締結するために任意の好適な締結具を利用できる。例えば、中に着脱可能に格納された複数の締結具を備える締結具カートリッジが、シャフトアセンブリのエンドエフェクタに着脱可能に挿入及び/又は装着され得る。
【0179】
ハンドルアセンブリ150014は、ねじ、スナップ機構、接着剤などで相互接続され得る一対の相互接続可能なハンドルハウジングセグメント150016、150018を備え得る。ハンドルハウジングセグメント150016、150018は協働して、臨床医によって把持及び操作され得るピストルグリップ部分150019を形成する。ハンドルアセンブリ150014は複数の駆動システムを動作可能に支持し、駆動システムは、ハンドルアセンブリに動作可能に取り付けられた交換式シャフトアセンブリの対応部分に、制御運動を生成及び適用するように構成されている。ディスプレイはカバー150045の下方に設けられてもよい。
【0180】
図22は、本開示の少なくとも1つの態様による、
図21の外科用器具150010の一部の分解組立図である。ハンドルアセンブリ150014は、複数の駆動システムを動作可能に支持するフレーム150020を含んでもよい。フレーム150020は、「第1の」、すなわち閉鎖駆動システム150030を動作可能に支持することができ、閉鎖駆動システムは、交換式シャフトアセンブリ150200に対して閉鎖及び開放運動を適用することができる。閉鎖駆動システム150030は、フレーム150020によって枢動可能に支持される閉鎖トリガ150032などのアクチュエータを含んでもよい。閉鎖トリガ150032は、枢動ピン150033によってハンドルアセンブリ150014に枢動可能に結合されて、閉鎖トリガ150032が臨床医によって操作されることを可能にする。臨床医がハンドルアセンブリ150014のピストルグリップ部分150019を把持する場合に、閉鎖トリガ150032は、開始位置又は「非作動」位置から「作動」位置へ、より具体的には完全圧縮位置又は完全作動位置へと枢動できる。
【0181】
ハンドルアセンブリ150014及びフレーム150020は発射駆動システム150080を動作可能に支持してもよく、発射駆動システム150080は、それに取り付けられた交換式シャフトアセンブリの対応する部分に対して発射運動を適用するように構成されていてもよい。発射駆動システム150080は、ハンドルアセンブリ150014のピストルグリップ部分150019に設置された電気モータ150082を用いてもよい。電気モータ150082は、例えば約25,000RPMの最大回転スピードを有するブラシ付きDCモータであってもよい。その他の構成では、モータとしては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又はその他の任意の好適な電気モータを挙げてもよい。電気モータ150082は、取り外し可能な電源パック150092を備え得る電源150090によって給電されてもよい。取り外し可能な電源パック150092は、遠位ハウジング部分150096に取り付けるように構成された、近位ハウジング部分150094を備えてもよい。近位ハウジング部分150094及び遠位ハウジング部分150096は、その中で複数の電池150098を動作可能に支持するように構成される。電池150098はそれぞれ、例えば、LI又は他の好適な電池を含んでもよい。遠位ハウジング部分150096は、制御回路基板150100に取り外し可能かつ動作可能に取り付けられるように構成され、制御回路基板150100は電気モータ150082に動作可能に結合されている。直列に接続されたいくつかの電池150098は、外科用器具150010に給電することができる。電源150090は、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。カバー150045の下方に位置するディスプレイ150043は、制御回路基板150100に電気的に結合されている。ディスプレイ150043を暴露させるために、カバー150045を取り除いてもよい。
【0182】
電気モータ150082は、長手方向に移動可能な駆動部材150120上にある駆動歯150122の組又はラックと噛合係合して装着されるギア減速機アセンブリ150084と動作可能にインターフェースする、回転式シャフト(図示せず)を含み得る。長手方向に移動可能な駆動部材150120は、ギア減速機アセンブリ150084の対応する駆動ギア150086と噛合係合するための、その上に形成された駆動歯150122のラックを有する。
【0183】
使用の際、電源150090によって提供される電圧極性によって電気モータ150082を時計方向に動作させることができるが、電池によって電気モータに印加される電圧極性は、電気モータ150082を反時計方向に動作させるために反転させることができる。電気モータ150082が一方向に回転されると、長手方向に移動可能な駆動部材150120は、遠位方向「DD」に軸方向駆動されることになる。電気モータ150082が反対の回転方向に駆動されると、長手方向に移動可能な駆動部材150120は、近位方向「PD」に軸方向駆動されることになる。ハンドルアセンブリ150014は、電源150090によって電気モータ150082に印加される極性を反転させるように構成され得るスイッチを含むことができる。ハンドルアセンブリ150014は、長手方向に移動可能な駆動部材150120の位置、及び/又は長手方向に移動可能な駆動部材150120が動かされている方向を検出するように構成されたセンサを含んでもよい。
【0184】
電気モータ150082の作動は、ハンドルアセンブリ150014上に枢動可能に支持される発射トリガ150130によって制御され得る。発射トリガ150130は、非作動位置と作動位置との間を枢動してもよい。
【0185】
図21に戻ると、交換式シャフトアセンブリ150200はエンドエフェクタ150300を含み、エンドエフェクタ150300はその中に、外科用ステープルカートリッジ150304を動作可能に支持するように構成された細長いチャネル150302を備える。エンドエフェクタ150300は、細長いチャネル150302に対して枢動可能に支持されるアンビル150306を含んでもよい。交換式シャフトアセンブリ150200は、関節継手150270を含んでもよい。エンドエフェクタ150300及び関節継手150270の構成及び動作は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0263541号、表題「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING AN ARTICULATION LOCK」に記述されている。交換式シャフトアセンブリ150200は、ノズル部分150202、150203から構成される近位ハウジング又はノズル150201を含んでもよい。交換式シャフトアセンブリ150200は、シャフト軸SAに沿って延びる閉鎖管150260を含んでもよく、閉鎖管150260はエンドエフェクタ150300のアンビル150306を閉鎖及び/又は開放するために利用され得る。
【0186】
また
図21で、前述の参考文献である米国特許出願公開第2014/0263541号に記載されている方法で、例えば、閉鎖トリガ150032の作動に応じて、閉鎖管150260を遠位方向(方向「DD」)に並進させてアンビル150306が閉鎖される。アンビル150306は、閉鎖管150260を近位方向に並進させることによって開かれる。アンビル開位置において、閉鎖管150260は、その近位位置へと動かされる。
【0187】
図23は、本開示の少なくとも1つの態様による、交換式シャフトアセンブリ150200の一部の別の分解組立図である。交換式シャフトアセンブリ150200は、スパイン150210内部で軸方向移動するように支持される発射部材150220を含んでもよい。発射部材150220は、遠位切断部分又はナイフバー150280に取り付けるように構成された中間発射シャフト150222を含む。発射部材150220は、「第2のシャフト」又は「第2のシャフトアセンブリ」と呼ばれる場合もある。中間発射シャフト150222は、その遠位端に、ナイフバー150280の近位端150282にあるタブ150284を受容するように構成された長手方向スロット150223を含んでもよい。長手方向スロット150223及び近位端150282は、それらの間の相対移動が可能なように構成されてもよく、スリップ継手150286を備えることができる。スリップ継手150286は、ナイフバー150280を動かさずに、又は少なくとも実質的に動かさずに、発射部材150220の中間発射シャフト150222が、エンドエフェクタ150300を関節継手150270の周りに関節運動させることを可能にし得る。いったんエンドエフェクタ150300が適切に向けられたら、長手方向スロット150223の近位側壁がタブ150284に接触するまで、中間発射シャフト150222を遠位方向に前進させて、ナイフバー150280を前進させ、チャネル150302内に位置するステープルカートリッジを発射することができる。スパイン150210は内部に細長い開口部又は窓150213を有して、スパイン150210の中への中間発射シャフト150222の組み付け及び挿入を容易にしている。いったん中間発射シャフト150222が挿入されたら、頂部フレームセグメント150215がシャフトフレーム150212と係合されて、中間発射シャフト150222及びナイフバー150280を中に囲い込んでもよい。発射部材150220の動作は、米国特許出願公開第2014/0263541号に見出すことができる。スパイン150210は、発射部材150220と、スパイン150210の周りに延びる閉鎖管150260とを摺動可能に支持するように構成され得る。スパイン150210は、関節運動ドライバ150230を摺動可能に支持してもよい。
【0188】
交換式シャフトアセンブリ150200は、関節運動ドライバ150230を発射部材150220に選択的かつ取り外し可能に結合させるように構成されたクラッチアセンブリ150400を含み得る。クラッチアセンブリ150400は、発射部材150220の周りに位置付けられるロックカラー又はロックスリーブ150402を含み、ロックスリーブ150402は、ロックスリーブ150402が関節運動ドライバ150230を発射部材150220に結合する係合位置と、関節運動ドライバ150230が発射部材150220に動作可能に結合されない係合解除位置との間で回転され得る。ロックスリーブ150402がその係合位置にある場合は、発射部材150220の遠位方向移動によって、関節運動ドライバ150230を遠位方向に動かすことができ、それに対応して、発射部材150220の近位方向移動によって、関節運動ドライバ150230を近位方向に動かすことができる。ロックスリーブ150402がその係合解除位置にある場合は、発射部材150220の移動は関節運動ドライバ150230に伝達されず、その結果、発射部材150220を関節運動ドライバ150230とは無関係に動かすことができる。ノズル150201は、米国特許出願公開第2014/0263541号に記載されている様々な方式で、関節駆動システムと発射駆動システムとを動作可能に係合及び係合解除させるために用いることができる。
【0189】
交換式シャフトアセンブリ150200は、スリップリングアセンブリ150600を備えることができ、スリップリングアセンブリ150600は、例えば、エンドエフェクタ150300に及び/若しくはエンドエフェクタ150300から電力を伝え、並びに/又は、エンドエフェクタ150300に及び/若しくはエンドエフェクタ150300から信号を通信するように構成することができる。スリップリングアセンブリ150600は、ノズル部分150202、150203内に画定されたスロットの内部に配置された近位コネクタフランジ150604及び遠位コネクタフランジ150601を備え得る。近位コネクタフランジ150604は第1の面を備えることができ、遠位コネクタフランジ150601は、第1の面に隣接して配置され、第1の面に対して移動可能である第2の面を備えることができる。遠位コネクタフランジ150601は、シャフト軸線SA-SA(
図21)を中心にして、近位コネクタフランジ150604に対して回転することができる。近位コネクタフランジ150604は、その第1の面に画定される、複数の同心の、又は少なくとも実質的に同心の導体150602を備えることができる。コネクタ150607は、遠位コネクタフランジ150601の近位側に装着することができ、複数の接点を有してもよく、各接点は、導体150602のうちの1つに対応し、それと電気的に接触している。かかる構成により、近位側コネクタフランジ150604と遠位側コネクタフランジ150601とが、それらの間の電気的接触を維持したまま相対回転することが可能になる。近位コネクタフランジ150604は、例えば、導体150602をシャフト回路基板と信号通信させることができる、電気コネクタ150606を含み得る。少なくとも一事例では、複数の導体を含むワイヤハーネスが、電気コネクタ150606とシャフト回路基板との間に延び得る。電気コネクタ150606は、シャーシ取り付けフランジに画定されたコネクタ開口部を通って近位に延びてもよい。「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する、米国特許出願公開第2014/0263551号が、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する、米国特許出願公開第2014/0263552号が、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。スリップリングアセンブリ150600に関する更なる詳細が、米国特許出願公開第2014/0263541号に見出され得る。
【0190】
交換式シャフトアセンブリ150200は、ハンドルアセンブリ150014に固定可能に取り付けられている近位部分と、長手方向軸を中心に回転可能である遠位部分とを含み得る。回転可能な遠位シャフト部分は、スリップリングアセンブリ150600を中心にして近位部分に対して回転させることができる。スリップリングアセンブリ150600の遠位コネクタフランジ150601は、回転可能な遠位シャフト部分内に位置付けることができる。
【0191】
図24は、本開示の少なくとも1つの態様による、
図21の外科用器具150010のエンドエフェクタ150300の一態様の分解図である。エンドエフェクタ150300は、アンビル150306及び外科用ステープルカートリッジ150304を含んでもよい。アンビル150306は、細長いチャネル150302に結合されてもよい。アンビル150306から延びるピン150152を受容するように、細長いチャネル150302内にアパーチャ150199を画定することができて、細長いチャネル150302及び外科用ステープルカートリッジ150304に対してアンビル150306を開放位置から閉鎖位置まで枢動させることができる。発射バー150172が、エンドエフェクタ150300の中へと長手方向に並進するように構成される。発射バー150172は、1つの中実部分から構築されてもよく、又は鋼板のスタックを含む積層材料を含んでもよい。発射バー150172は、Iビーム150178と、その遠位端にある切断縁部150182とを備える。発射バー150172の遠位方向に突出する端部は、Iビーム150178に取り付けることができて、アンビル150306が閉鎖位置にある場合に、細長いチャネル150302内に配置された外科用ステープルカートリッジ150304から間隔を空けてアンビル150306を配置する手助けをすることができる。Iビーム150178は、Iビーム150178を発射バー150172によって遠位方向に前進させながら組織を切るための鋭利な切断縁部150182を含んでもよい。動作時に、Iビーム150178は、外科用ステープルカートリッジ150304を発射してもよい。外科用ステープルカートリッジ150304は、ステープルドライバ150192上に載置された複数のステープル150191を、対応する上向きに開いたステープルキャビティ150195内に保持する成形されたカートリッジ本体150194を含むことができる。楔形スレッド150190は、Iビーム150178によって遠位方向に駆動され、外科用ステープルカートリッジ150304のカートリッジトレイ150196上を摺動する。Iビーム150178の切断縁部150182がクランプされた組織を切る間に、楔形スレッド150190はステープルドライバ150192を上向きにカム駆動して、ステープル150191を追い出して変形させてアンビル150306と接触させる。
【0192】
Iビーム150178は、発射の間に、アンビル150306に係合する上部ピン150180を含むことができる。Iビーム150178は、カートリッジ本体150194、カートリッジトレイ150196、及び細長いチャネル150302の一部分に係合するために、中央ピン150184及び底部フット150186を含んでもよい。外科用ステープルカートリッジ150304が細長いチャネル150302内に配置される場合、カートリッジ本体150194内に画定されたスロット150193を、カートリッジトレイ150196内に画定された長手方向スロット150197、及び細長いチャネル150302内に画定されたスロット150189と位置合わせすることができる。使用時は、Iビーム150178は、位置合わせされた長手方向スロット150193、150197、及び150189を通って摺動することができ、
図24に示されるように、Iビーム150178の底部フット150186は、スロット150189の長さに沿って細長いチャネル150302の底面に沿って通っている溝に係合することができ、中央ピン150184は、長手方向スロット150197の長さに沿ってカートリッジトレイ150196の上面に係合することができ、上部ピン150180は、アンビル150306に係合することができる。発射バー150172が遠位方向へと前進して、外科用ステープルカートリッジ150304からステープルを発射し、及び/又はアンビル150306と外科用ステープルカートリッジ150304との間に捕捉された組織を切開する際に、Iビーム150178は、アンビル150306と外科用ステープルカートリッジ150304との間の間隔を空けるか、又はそれらの相対移動を制限することができる。発射バー150172及びIビーム150178を近位方向へと後退させ、それによりアンビル150306が開かれ、ステープル留めされ切られた2つの組織部分を解放することが可能になる。
【0193】
図25A及び
図25Bは、本開示の少なくとも1つの態様による、2つの図面にまたがる、
図21の外科用器具150010の制御回路150700のブロック図である。主として
図25A及び
図25Bを参照すると、ハンドルアセンブリ150702はモータ150714を含んでよく、このモータは、モータドライバ150715によって制御され得るものであり、また外科用器具150010の発射システムによって用いられ得る。様々な形態において、モータ150714は、約25,000RPMの最大回転速度を有する、ブラシ付きDC駆動モータであってよい。別の構成において、モータ150714はブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでよい。モータドライバ150715は、例えば、FET150719を含むHブリッジドライバを備えてもよい。モータ150714は、制御電力を外科用器具150010に供給するためにハンドルアセンブリ150200に解放可能に取り付けられた電源アセンブリ150706により給電されてもよい。電源アセンブリ150706は、外科用器具150010に給電するための電源として使用され得る、直列に接続された多数の電池セルを含み得る電池を含んでもよい。特定の状況下では、電源アセンブリ150706の電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源アセンブリ150706に別個に連結可能であり得るLI電池であってよい。
【0194】
シャフトアセンブリ150704は、シャフトアセンブリ150704と電源アセンブリ150706がハンドルアセンブリ150702に連結されている間に、インターフェースを介して安全コントローラ及び電力管理コントローラ150716と通信可能である、シャフトアセンブリコントローラ150722を含むことができる。例えば、インターフェースは、シャフトアセンブリ150704及び電源アセンブリ150706がハンドルアセンブリ150702に連結されている間にシャフトアセンブリコントローラ150722と電力管理コントローラ150716との間の電気通信を可能にするために、対応するシャフトアセンブリ電気コネクタとの連結係合のために1つ又は2つ以上の電気コネクタを含み得る第1のインターフェース部分150725、及び、対応する電源アセンブリ電気コネクタとの連結係合のために1つ又は2つ以上の電気コネクタを含み得る第2のインターフェース部分150727を備え得る。インターフェースを介して1つ又は2つ以上の通信信号を伝送して、取り付けられて交換式シャフトアセンブリ150704の1つ又は2つ以上の電力要件を電力管理コントローラ150716に伝送することができる。それに応じて、電力管理コントローラは、取り付けられたシャフトアセンブリ150704の電力要件に従って、以下に更に詳細に記載されているように、電源アセンブリ150706の電池の電力出力を変調し得る。コネクタは、ハンドルアセンブリ150702の、シャフトアセンブリ150704及び/又は電源アセンブリ150706への機械的連結係合の後に起動して、シャフトアセンブリコントローラ150722と電力管理コントローラ150716との電気的通信を可能にすることができるスイッチを備えることができる。
【0195】
インターフェースは、例えば、ハンドルアセンブリ150702に収められたメインコントローラ150717を通して、通信信号の経路指定を行うことにより、電力管理コントローラ150716とシャフトアセンブリコントローラ150722との1つ又は2つ以上のこのような通信信号の伝達を容易にすることができる。他の状況下では、シャフトアセンブリ150704及び電源アセンブリ150706がハンドルアセンブリ150702に連結されている間、インターフェースは、ハンドルアセンブリ150702を介した電力管理コントローラ150716とシャフトアセンブリコントローラ150722との間の直接線の通信を容易にし得る。
【0196】
メインコントローラ150717は、Texas Instrumentsの商標名ARM Cortexとして知られるものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってよい。一態様では、メインコントローラ150717は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ若しくは2つ以上のPWMモジュール、1つ若しくは2つ以上のQEIアナログ、又は12個のアナログ入力チャネルを備える1つ若しくは2つ以上の12ビットADCを含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0197】
安全コントローラは、やはりTexas Instrumentsの商標名Hercules ARM Cortex R4として知られている、TMS570及びRM4xなど、2つのコントローラベースファミリを備える安全コントローラプラットフォームであってよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0198】
電源アセンブリ150706は、電力管理回路を含んでよく、電力管理回路は、電力管理コントローラ150716、電力変調器150738、及び電流センサ回路150736を含み得る。シャフトアセンブリ150704及び電源アセンブリ150706がハンドルアセンブリ150702に連結されている間に、電力管理回路は、シャフトアセンブリ150704の電力要件に基づいて電池の電力出力を変調するように構成され得る。例えば、電力管理コントローラ150716は、電源アセンブリ150706の電力出力の電力変調器150738を制御するようにプログラムされ得、電流センサ回路150736は、電池の電力出力に関するフィードバックを電力管理コントローラ150716に提供するため、電源アセンブリ150706の電力出力を監視するように用いられ得、そのため、電力管理コントローラ150716は、電源アセンブリ150706の電力出力を調節して、所望の出力を維持することができる。電力管理コントローラ150716及び/又はシャフトアセンブリコントローラ150722はそれぞれ、多数のソフトウェアモジュールを記憶可能な1つ若しくは2つ以上のプロセッサ、及び/又はメモリユニットを備えることができる。
【0199】
外科用器具150010(
図21~
図24)は、感覚フィードバックをユーザに提供するための装置を含み得る、出力装置150742を備えることができる。このような装置は、例えば、視覚的フィードバック装置(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)表示画面、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカ、ブザー)又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を含んでもよい。特定の状況下では、出力装置150742は、ハンドルアセンブリ150702に含まれ得るディスプレイ150743を備えてよい。シャフトアセンブリコントローラ150722及び/又は電力管理コントローラ150716は、出力装置150742を介して外科用器具150010のユーザにフィードバックを提供し得る。インターフェースは、シャフトアセンブリコントローラ150722及び/又は電力管理コントローラ150716を出力装置150742に接続するように構成することができる。出力装置150742は代わりに、電源アセンブリ150706と一体化することができる。このような状況下では、シャフトアセンブリ150704がハンドルアセンブリ150702に連結されている一方で、出力装置150742とシャフトアセンブリコントローラ150722との間の通信はインターフェースを介して成し遂げられ得る。
【0200】
制御回路150700は、電動外科用器具150010の動作を制御するように構成された回路セグメントを備える。安全コントローラセグメント(セグメント1)は、安全コントローラ、及びメインコントローラ150717セグメント(セグメント2)を備える。安全コントローラ及び/又はメインコントローラ150717は、加速度セグメント、ディスプレイセグメント、シャフトセグメント、エンコーダセグメント、モータセグメント、及び電力セグメントなどの1つ又は2つ以上の追加の回路セグメントと相互作用するように構成されている。回路セグメントのそれぞれは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ150717に連結されてよい。メインコントローラ150717もまた、フラッシュメモリに連結される。メインコントローラ150717は、シリアル通信インターフェースもまた備える。メインコントローラ150717は、例えば、1つ若しくは2つ以上の回路セグメント、電池、及び/又は複数のスイッチに連結された、複数の入力を備える。セグメント化回路は、例えば、電動外科用器具150010内のプリント回路基板アセンブリ(printed circuit board assembly、PCBA)など、任意の好適な回路によって実装されてもよい。プロセッサという用語は、本明細書で使用するとき、任意のマイクロプロセッサ、プロセッサ、1つ若しくは複数のコントローラ、又は、コンピュータのCPUの機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上に組み込んだ、他の基本コンピューティングデバイスを含むと理解されるべきである。メインコントローラ150717は、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラム可能装置である。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。制御回路150700は、本明細書で記載されるプロセスの1つ又は2つ以上を実装するように構成されてもよい。
【0201】
加速度セグメント(セグメント3)は加速度計を備える。加速度計は、電動外科用器具150010の移動又は加速度を検出するように構成されている。加速度計からの入力は、スリープモードとの間での遷移、電動外科用器具の配向の識別、及び/又は外科用器具が落下したときの識別に使用されてもよい。いくつかの例では、加速度セグメントは安全コントローラ及び/又はメインコントローラ150717に連結される。
【0202】
ディスプレイセグメント(セグメント4)は、メインコントローラ150717に連結されたディスプレイコネクタを備える。ディスプレイコネクタは、メインコントローラ150717を、ディスプレイの1つ又は2つ以上の集積回路ドライバを通して、ディスプレイに連結している。ディスプレイの集積回路ドライバは、ディスプレイと一体化されてよく、かつ/又はディスプレイとは別個に配置されてよい。ディスプレイは、例えば、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、LCD、及び/又は任意の他の好適なディスプレイなど、任意の好適なディスプレイを含んでもよい。いくつかの例では、ディスプレイセグメントは安全コントローラに連結される。
【0203】
シャフトセグメント(セグメント5)は、外科用器具150010(
図21~
図24)に結合されている、交換式シャフトアセンブリ150200(
図21及び
図23)用の制御部、及び/又は、交換式シャフトアセンブリ150200に結合されたエンドエフェクタ150300用の1つ若しくは2つ以上の制御部を備える。シャフトセグメントは、メインコントローラ150717をシャフトPCBAに連結するように構成された、シャフトコネクタを備える。シャフトPCBAは、強誘電性ランダムアクセスメモリ(FRAM)、関節運動スイッチ、シャフト解放ホール効果スイッチ、及びシャフトPCBA EEPROMを有する低電力マイクロコントローラを備える。シャフトPCBA EEPROMは、交換式シャフトアセンブリ150200及び/又はシャフトPCBAに固有の、1つ若しくは2つ以上のパラメータ、ルーチン、及び/又はプログラムを含む。シャフトPCBAは交換式シャフトアセンブリ150200に連結されてもよく、かつ/又は、外科用器具150010と一体であってもよい。いくつかの例では、シャフトセグメントは、第2のシャフトEEPROMを備える。第2のシャフトEEPROMは、電動外科用器具150010と連係され得る1つ若しくは2つ以上のシャフトアセンブリ150200及び/又はエンドエフェクタ150300に対応する複数のアルゴリズム、ルーチン、パラメータ、及び/又は他のデータを含む。
【0204】
位置エンコーダセグメント(セグメント6)は、1つ又は2つ以上の磁気式角度回転位置エンコーダを備える。1つ又は2つ以上の磁気角度回転位置エンコーダは、外科用器具150010(
図21~
図24)のモータ150714、交換式シャフトアセンブリ150200(
図21及び
図23)、及び/又はエンドエフェクタ150300の回転位置を識別するように構成されている。いくつかの例では、磁気角度回転位置エンコーダは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ150717に連結されてよい。
【0205】
モータ回路セグメント(セグメント7)は、電動外科用器具150010(
図21~
図24)の移動を制御するように構成されたモータ150714を備える。モータ150714は、1つ又は2つ以上のHブリッジFET、及びモータコントローラを備える、Hブリッジドライバによりメインマイクロコントローラプロセッサ150717に連結される。Hブリッジドライバはまた、安全コントローラにも連結される。モータ電流センサは、モータの電引き込み電流を測定するため、モータと直列に連結されている。モータ電流センサは、メインコントローラ150717及び/又は安全コントローラと信号通信している。いくつかの例では、モータ150714は、モータ電磁干渉(EMI)フィルタに連結されている。
【0206】
モータコントローラは、第1のモータフラグ及び第2のモータフラグを制御して、モータ150714のステータス及び位置をメインコントローラ150717に示す。メインコントローラ150717は、PWM高信号、PWM低信号、方向信号、同期信号及びモータリセット信号をモータコントローラに、バッファを介して供給する。電力セグメントは、セグメント電圧を回路セグメントのそれぞれに提供するように構成される。
【0207】
電力セグメント(セグメント8)は、安全コントローラ、メインコントローラ150717、及び追加の回路セグメントに連結された電池を備える。電池は、電池コネクタ及び電流センサによってセグメント化回路に連結されている。電流センサは、セグメント化回路の合計引き込み電流を測定するように構成されている。いくつかの例では、1つ又は2つ以上の電圧変換器が、所定の電圧値を1つ又は2つ以上の回路セグメントに提供するように構成されている。例えば、いくつかの例では、セグメント化回路は、3.3V電圧変換器及び/又は5V電圧変換器を備えてもよい。ブースト変換器は、例えば最大13Vなど、既定量までのブースト電圧を提供するように構成されている。ブースト変換器は、電力集約的な動作の間、追加の電圧及び/又は電流を提供し、電圧低下又は低電力状態を防止するように構成されている。
【0208】
複数のスイッチは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ150717に連結されている。スイッチは、セグメント化回路の、外科用器具150010(
図21~
図24)の動作を制御し、かつ/又は外科用器具150010のステータスを示すように構成されてよい。緊急離脱ドアスイッチ、及び緊急離脱用のホール効果スイッチは、緊急離脱ドアのステータスを示すように構成される。例えば、左側関節運動左スイッチ、左側関節運動右スイッチ、左側関節運動中央スイッチ、右側関節運動左スイッチ、右側関節運動右スイッチ、及び右側関節運動中央スイッチなど、複数の関節運動スイッチは、交換式シャフトアセンブリ150200(
図21及び
図23)及び/又はエンドエフェクタ150300(
図21~
図24)の関節運動を制御するように構成されている。左側反転スイッチ及び右側反転スイッチは、メインコントローラ150717に連結される。左側関節運動左スイッチ、左側関節運動右スイッチ、左側関節運動中央スイッチ、及び左側反転スイッチを備える左側スイッチは、左側可撓コネクタによってメインコントローラ150717に連結されている。右側関節運動左スイッチ、右側関節運動右スイッチ、右側関節運動中央スイッチ、及び右側反転スイッチを備える右側スイッチは、右側可撓コネクタによってメインコントローラ150717に連結されている。発射スイッチ、クランプ解放スイッチ、及びシャフト係合スイッチは、メインコントローラ150717に連結されている。
【0209】
任意の好適な機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、又は固体スイッチを用いて、任意の組み合わせで、複数のスイッチを実装してよい。例えば、スイッチは、外科用器具150010(
図21~
図24)、又は対象体の存在と関連した構成要素の運動により操作される、制限スイッチであってよい。このようなスイッチを用いて、外科用器具150010と関連した様々な機能を制御することができる。制限スイッチは、一組の接触部と機械的につながったアクチュエータからなる、電気機械装置である。対象体がアクチュエータと接触すると、装置はその接触部を操作して、電気的接続を作成する、又は破壊する。その丈夫さ、取り付けの容易さ、及び動作の信頼性により、制限スイッチは様々な用途及び環境で用いられる。制限スイッチは、対象体の有無、通過、配置、及び移動の終了を判定することができる。他の実装形態においては、スイッチは、とりわけホール効果装置、MR装置、GMR装置、及び磁力計などの、磁場の影響下にて稼働する、固体スイッチであってもよい。他の実装形態では、スイッチは、とりわけ光センサ、IRセンサ、及び紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチであってもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他のスイッチは、とりわけ、無線スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
【0210】
図26は、本開示の少なくとも1つの態様による、ハンドルアセンブリ150702と電源アセンブリ150706との間のインターフェース、及びハンドルアセンブリ150702と交換式シャフトアセンブリ150704との間のインターフェースを示す、
図21の外科用器具の制御回路150700の別のブロック図である。ハンドルアセンブリ150702は、メインコントローラ150717、シャフトアセンブリコネクタ150726、及び電源アセンブリコネクタ150730を備えることができる。電源アセンブリ150706は、電源アセンブリコネクタ150732、電力管理回路150734を含んでよく、電力管理回路は、電源管理コントローラ150716、電力変調器150738、及び電流センサ回路150736を含み得る。シャフトアセンブリコネクタ150730、150732はインターフェース150727を形成する。交換式シャフトアセンブリ150704及び電源アセンブリ150706がハンドルアセンブリ150702に連結されている間、電力管理回路150734は、交換式シャフトアセンブリ150704の電力要件に基づいて電池150707の電力出力を変調するように構成され得る。例えば、電力管理コントローラ150716は、電源アセンブリ150706の電力出力の電力変調器150738を制御するようにプログラムされ得、電流センサ回路150736は、電池150707の電力出力に関するフィードバックを電力管理コントローラ150716に提供するため、電源アセンブリ150706の電力出力を監視するように用いられ得、そのため、電力管理コントローラ150716は、電源アセンブリ150706の電力出力を調節して、所望の出力を維持することができる。シャフトアセンブリ150704は、不揮発性メモリ150721及びシャフトアセンブリコネクタ150728に連結され、シャフトアセンブリ150704をハンドルアセンブリ150702に電気的に連結する、シャフトプロセッサ150720を備える。シャフトアセンブリコネクタ150726、150728は、インターフェース150725を形成する。メインコントローラ150717、シャフトプロセッサ150720、及び/又は電力管理コントローラ150716は、本明細書で記載されるプロセスの1つ又は2つ以上を実装するように構成することができる。
【0211】
外科用器具150010(
図21~
図24)は、感覚フィードバックをユーザに送る出力装置150742を備えることができる。このような装置は、視覚的フィードバック装置(例えば、LCD表示画面、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカ、ブザー)又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を含んでよい。特定の状況下では、出力装置150742は、ハンドルアセンブリ150702に含まれ得るディスプレイ150743を備えてよい。シャフトアセンブリコントローラ150722及び/又は電力管理コントローラ150716は、出力装置150742を介して外科用器具150010のユーザにフィードバックを提供し得る。インターフェース150727は、シャフトアセンブリコントローラ150722及び/又は電力管理コントローラ150716を出力装置150742に接続するように構成され得る。出力装置150742は電源アセンブリ150706と一体化されてもよい。交換式シャフトアセンブリ150704がハンドルアセンブリ150702に連結されている間に、出力装置150742とシャフトアセンブリコントローラ150722との通信が、インターフェース150725を介して成し遂げられ得る。
【0212】
組織マーキング
様々な外科処置において、外科用器具は、組織内へのエネルギーの印加又はステープルの配備によって組織を封止する。外科用器具はまた、封止された組織を切るか又は切断してもよい。外科処置では、組織サイズが外科用器具により1回の適用で取り扱われ得る最大組織サイズよりも大きい場合に、1つ又は2つ以上の外科用器具を、処理される組織のいくつかの別個の組織部分に適用することができる。処理された組織部分のうちの1つに漏れが生じた場合、関連した外科用器具、又はステープルカートリッジなどのその構成要素を識別することは困難であり得る。このような識別を行うことなく、漏れの原因を判断することは困難になる。
【0213】
本開示の態様は、組織処理を組織に適用するように構成されたエンドエフェクタを含む外科用器具を提示する。エンドエフェクタは、第1のジョーと、それらの間に組織を把持するように第1のジョーに対して移動可能な第2のジョーと、第1のジョーと第2のジョーとの間に把持された組織に組織処理を適用するように構成された組織処理機構と、を含む。加えて、外科用器具は、各組織処理適用に固有の別個のマーキングを組織に施すように構成されたマーキングアセンブリを含み、別個のマーキングは、その組織処理適用をその外科用器具又は他の外科用器具によって実施される他の組織処理適用と区別する。
【0214】
様々な態様において、組織処理機構は、エンドエフェクタによって把持された組織内にステープルを配備することによって組織処理適用を施すように構成されたステープルカートリッジを備える。他の態様では、組織処理機構は、エンドエフェクタによって把持された組織に治療エネルギーを送達することによって組織処理適用を施すように構成されたエネルギー装置を備える。エネルギーデバイスによって送達されるエネルギーは、例えば、RFエネルギー又は超音波エネルギーの形態であり得る。
【0215】
様々な態様において、組織処理機構は、把持された組織を切除することによって組織処理適用を施すように移動可能な横切開部材を備える。エンドエフェクタのジョーの一方又は両方は、横切開部材を収容するように構成された長手方向スロットを含んでもよい。横切開部材は、その遠位部分に切断縁部を含んでもよい。
【0216】
図27は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具のエンドエフェクタによって処理された組織をマーキングするための制御プログラム又は論理構成を示すプロセス31010の論理フロー図を示す。一態様では、以下により詳細に記載されるように、プロセス31010は、制御回路500によって実行される(
図13)。別の態様では、プロセス31010は、組み合わせ論理回路510(
図14)によって実行され得る。更に別の態様では、プロセス31010は、逐次論理回路520(
図15)によって実行され得る。
【0217】
図28~
図31の例では、組織は、外科用ステープル留め及び切断用器具31006のエンドエフェクタ31000によって処置され、制御システム31470のマーキングアセンブリ31020によってマーキングされる。
【0218】
外科用器具31006は、多数の点で外科用器具150010と類似している。例えば、エンドエフェクタ31000及び制御システム31470は、それぞれ、エンドエフェクタ150300及び制御回路470(
図12)に多くの点で類似している。外科用器具150010の上述の構成要素と同様の外科用器具31006の構成要素は、簡潔にするために本明細書では繰り返さない。
【0219】
エンドエフェクタ31000は、交換式シャフトアセンブリ150200から延在する第1のジョー31001及び第2のジョー31002を含む。エンドエフェクタ31000は、第1のジョー31001内に画定されたアンビルと、第2のジョー31002内に画定されたステープルカートリッジ31005と、を更に含む。第1のジョー31001及び第2のジョー31002のうちの少なくとも1つは、エンドエフェクタ26000を開放構成と閉鎖構成との間で移行させて、アンビルとステープルカートリッジ31005との間の組織を把持するために、互いに対して移動可能である。動作中、外科用器具31006による組織処理は、発射部材によってステープルをステープルカートリッジ26005から把持された組織内に配備することを伴う。配備されたステープルは、アンビルによって変形される。様々な態様において、組織はまた、第1のジョー31001及び第2のジョー31002のうちの少なくとも1つに画定された長手方向スロット31007に対して移動可能な切断部材を使用して、切断によって処理され得る。
【0220】
様々な態様において、本開示による外科用器具は、RFエネルギー又は超音波エネルギーを組織に印加することによって組織を処理するエンドエフェクタを含んでもよい。様々な態様において、外科用器具26010は、手持ち式外科用器具であり得る。あるいは、外科用器具26010は、ロボットアームの構成要素としてロボットシステムに組み込むことができる。本願は、2017年12月28日に出願された米国特許仮出願第62/611,339号で開示され、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0221】
再び
図27を参照すると、プロセス31010は、組織処理適用を示す31011センサ信号を受信することを含む。組織処理が組織に適用されたか、又は組織に適用されていることが受信したセンサ信号に基づいて決定された(31012)場合、別個のマーキングが組織に適用される(31013)。別個のマーキングは、組織処理適用に固有であり、他の組織処理適用から組織処理適用を区別するために利用することができる。
【0222】
様々な態様で
図31を参照すると、プロセス31010は、外科用器具31006の制御システム31470によって実行され得る。制御システム31470は、多くの点で制御システム470(
図12)に類似している。例えば、制御システム31470は、マイクロコントローラ470を有する制御回路を含む。多数のセンサ472、474、476、31473は、マイクロコントローラ470に様々なセンサ信号を提供する。このようなセンサ信号のうちの1つ又は2つ以上は、組織処理が組織に適用されたか、又は組織に適用されているかどうかを判定するために、単独で、又は他のセンサ信号と組み合わせて分析することができる。制御システム31470は、マイクロコントローラ470と通信するマーキングアセンブリ31020を更に含む。組織処理が組織に適用されたか、又は組織に適用されていると判断した後、マイクロコントローラ470は、マーキングアセンブリ31020に組織をマーキングさせる。
【0223】
様々な例において、マーキングアセンブリ31020による組織のマーキングは、例えばディスプレイ473などのユーザインターフェースを介して送達され得る外科用器具31006の操作者からの入力によってトリガされ得る。あるいは、又は加えて、組織のマーキングは、1つ又は2つ以上のセンサ信号によってトリガされ得る。
【0224】
一実施例では、エンドエフェクタ31000によって把持された組織に印加される力を測定するために使用することができる歪みゲージセンサ474からの読み取り値は、組織マーキングをトリガすることができる。マイクロコントローラ461は、センサ474から所定の閾値を超えて、組織がエンドエフェクタ31000によって把持されることを示すセンサ信号を受信すると、マーキングアセンブリ31020に組織をマーキングさせることができる。
【0225】
一実施例では、組織へのステープルの配備又はエネルギーの印加を検出するために使用することができる起動センサ31473からの読み取り値は、組織マーキングをトリガすることができる。センサ31473から所定の閾値を超えてセンサ信号を受信すると、マイクロコントローラ461は、マーキングアセンブリ31020に組織をマーキングするように指示することができる。
【0226】
図28及び
図30の例では、マーキングアセンブリ31020は、第2のジョー31002上に配置された2つのマーキングアプリケータ31021、31022を含む。より具体的には、アプリケータ31021は、アプリケータ31022がステープルカートリッジ31005の遠位部分31009上に配置されている間に、第2のジョー31002と共に組み立てられたステープルカートリッジ31005の近位部分31008上に配置される。他の構成では、エンドエフェクタによって処理された組織にマーキングを施すために、2つより多いか少ないアプリケータをエンドエフェクタの1つ又は2つ以上のジョーの上に配置することができる。
【0227】
アプリケータ31021、31022のそれぞれは、所定のパターンで配置されたマーカー31023を含む。
図31に示すように、アプリケータ31021、31022のマーカー31023は、3列に配置されている。また、アプリケータ31021、31022は、同じ数及び配列のマーカー31023を含む。しかしながら、特定の例では、アプリケータのマーカーは、任意の好適な配置で配置することができる。異なるアプリケータは、同じ又は異なるマーカー配列を含んでもよい。特定の例では、アプリケータのマーカーの全てがアクティブ化されて組織マーキングを生成する。他の例では、アプリケータのマーカーのうちのいくつかのみがアクティブ化されて、組織マーキングを生成する。マーカーのアクティブ化を、マイクロコントローラ461によって制御して、所定のマーキングを得ることができる。
【0228】
様々な例において、マーカー31023は、それらの個々のマークを同じ強度で施すように構成され得る。あるいは、マーカー31023は、それらの個々のマークを異なる強度で施すように構成されてもよい。マークの強度を、マイクロコントローラ461によって制御して、所定のマーキングを得ることができる。
【0229】
様々な例において、
図28に示すように、アプリケータ31021、31022は、第2のジョー31002の近位部分31008、及び遠位部分31009にそれぞれ配置される。この構成により、アプリケータ31021、31022は、組織処理の近位及び遠位にそれらのマーキングを施すことが可能になり、これは、組織処理の開始及び終了を識別するのを支援することができる。
【0230】
様々な例において、マーキングのうちの1つ又は2つ以上は、光源、放射線源、及び照明源のうちの少なくとも1つによる刺激を通じて検出可能である。特定の例では、マーカー31023は、1つ又は2つ以上の蛍光材料を組織に適用して、可視スペクトルの外側の光源の存在下でのみマーキングを可視化させるように構成されている。換言すれば、マーキングは、可視スペクトルの外側の適用光源下で蛍光を発する。
【0231】
特定の例では、マーカー31023は、マーキングを生成する際にIR読み取り可能なインク配合を使用するように構成されている。インク配合は、IRにおける光の吸収及び反射に基づくことができる。
図32に示すように、マーカー31023は、固有のIRインクマーキング31035、31037を生成するように構成することができる。
【0232】
特定の例では、マーカー31023は、マーキングを生成するためにマイクロコントローラ461によって選択的にアクティブ化可能な電極の形態である。マイクロコントローラ461は、電極のアクティブ化時間を制御することによって、各マークの強度を制御することができる。電極がより長くアクティブ化されるほど、マークの強度が大きくなる。電極内に分割を導入して、特徴的なマーキングを残すことができる。特定の例では、マーカー31023は、組織処理適用毎に、光学的に識別可能な別個のマーキングを溶接するように構成された一連の微小電極を含むRF電極を備え得る。
【0233】
図29及び
図32を参照すると、8つの組織部分は、外科用器具31036のエンドエフェクタ31030によって実施される8カ所の処理を受けた。
図3は、エンドエフェクタ31030のジョー31002を示す。8カ所の処理のそれぞれにおいて、エンドエフェクタ31030は組織部分を把持し、組織部分を封止し、組織部分を切断した。
図32に示すように、特定の順序で処理を適用して、隣接する組織Tから結腸の癌性部分を分離した。アプリケータ31031、31032を含むマーキングアセンブリ31033は、処理毎に各組織部分に別個の組織マーキングを施した。
【0234】
外科用器具31036は、多数の点で外科用器具31006、150010と類似している。例えば、エンドエフェクタ31000は、多くの点でエンドエフェクタ31000、150300と類似している。外科用器具31006、150010の上述の構成要素と同様の外科用器具31036の構成要素は、簡潔にするために本明細書では繰り返さない。
【0235】
図29の例では、アプリケータ31031、31032は、長手方向軸LAに沿って長手方向スロット31007によって画定される横断経路の両側31038、31039上の第2のジョー31034の近位部分31009に配置される。この構成では、横切開された組織の各側面は、別個のマーキングを受容する。
【0236】
様々な例において、
図32に示されるように、マーキングは、ある使用から次の使用までの一連のマークが、連続する一連の処理のための別個のマーキングを提供するような順序で作製され得る。これにより、個々の処理に関連するマーキングに加えて、一連の処理の間に一意的なマーキングを可能にする。別の言い方をすれば、関連する処理に対応付けられたマーキングは、それらの一意の識別子に加えて、共通識別子を含んでもよい。処理は、外科処置において、又は単一の外科用器具によって連続的に発射されることによって関連付けられ得る。
【0237】
様々な態様では、例えば、外科用器具26010、31006、310036などの本開示の外科用器具は、有線及び/又は無線通信チャネルを介して外科用ハブ(例えば、外科用ハブ106(
図2、
図3)、206(
図10))に通信可能に連結される。このような外科用器具によって収集されたデータを、外科用ハブ106、206に伝送することができ、外科用ハブは、更なる分析のために、クラウドベースのシステム(例えば、クラウドベースのシステム104、204)にデータを更に伝送することができる。
【0238】
上記に加えて、可視化システム(例えば、可視化システム108(
図3)、208(
図9))は、外科用器具が手術部位から移動された後の後続の識別のためにマークされた組織のフレームを記録することができる。外科用器具からのデータ及び可視化システムによって記録されたフレームは、外科用ハブに伝送することができ、外科用ハブは、両方の供給源から受信したデータにタイムスタンプを付与する、かつ/又はそれらのデータを相関させることができる。データはまた、追加の分析のためにクラウドベースのシステムに転送され得る。
【0239】
このプロセスは、失敗を分析する際に有用であり得る。例えば、
図32に示すように、第7の組織処理において漏れ31039が発生している。可視化システムによって記録される第7の組織処理における別個のマーキングは、第7の処理を実行する外科用器具を識別するのに役立つ。したがって、第7の処理における動作データ31040を検査し、同様処理の適用の成功をもたらした同じ環境内の同じ外科用器具の動作データ31042と比較することができる。上述したように、単一の外科処置のマーキング又は単一の外科用器具によって生成されたマーキングは、動作データ31040と動作データ31042との迅速な比較を可能にする共通識別子を含んでもよい。
【0240】
図32の例では、封止の成功をもたらした第1の組織処理適用における動作データを、漏れが生じた第7の組織処理適用における動作データと比較する。2つのデータセットを比較すると、漏れは、クランプ力の異常な低下によって引き起こされ、これは、同じ又は類似の外科用器具を用いた後続の組織処理で対処することができることが明らかになる。他の例では、失敗に関連する外科用器具の動作データは、事前設定された基準と比較される。
【0241】
特定の例では、上述の失敗分析は、外科処置中にリアルタイムで外科用ハブによって実行され得る。漏れ検出及び組織マーキング解読は、様々な画像処理技術によって実行することができる。外科手術者は、ドットバイドットの解析技術を使用して解剖学的標識点、及び組織の固有の可変陰影を識別することによって、外科用ハブを用いて手術部位に案内されて戻ることができる。特定の例では、標識点は、エネルギー印加後に組織内のホットスポットを観察することによって識別及び獲得することができる。
【0242】
データ伝送優先順位付け
様々なデータは、外科処置中に電動外科用器具によって収集及び/又は生成され得る。例えば、電動外科用ステープル留め及び切断器具は、とりわけ、クランプ力(FTC)読み取り値及び発射力(FTF)読み取り値を収集することができ、読み取り値は、更なる処理のためにデータをクラウドベースのシステムに更に伝送する外科用ハブに伝送され得る。電動外科用器具と外科用ハブとの間の通信経路は、所定の帯域幅を有する。同様に、外科用ハブとクラウドベースのシステムとの間の通信経路もまた、所定の帯域幅を有する。特定の事例では、様々な環境干渉が、そのような帯域幅を更に制限し得る。更に、様々なデータ源は、制限された帯域幅に対して競合し得る。
【0243】
外科処置中、外科用ハブは、その制御における様々なパラメータをリアルタイムで調整することによって、受信されたデータに反応することができる。実施される外科的工程に応じて、特定のデータ源及び/又は外科的活動は、他よりも重要となる。その重要性を考慮することなくデータを伝送することは、外科用ハブの動作、及び時宜を得て決定する能力に干渉し得る。同様に、帯域幅制限によるデータ伝送の遅延は、外科用ハブの動作、及び時宜を得て決定する能力に干渉し得る。
【0244】
様々な態様では、外科用システム32002は外科処置で使用される。外科用システム32002は、外科用ハブ(例えば、外科用ハブ106(
図3、
図4、
図36)、外科用ハブ206(
図10))、電動外科用器具(例えば、デバイス/器具235(
図9)、外科用器具32235(
図36))、及び通信モジュール32004(
図36)を含む。通信モジュール32004は、シフト/レジスタ32005及び送受信機32007を含む。
【0245】
図35は、本開示の少なくとも1つの態様による、電動外科用器具32235と外科用ハブ(例えば、外科用ハブ106(
図3、
図4、
図36)、外科用ハブ206(
図10))との間のデータの伝送を調整するための制御プログラム又は論理構成を示す、プロセス32000の論理フロー図を示す。プロセス32000は、外科処置の第1の外科的活動に関する第1のデータを受信すること(32006)と、外科処置の第2の外科的活動に関する第2のデータを受信すること(32008)と、第1の外科的活動及び第2の外科的活動のうちの少なくとも1つの少なくとも1つの特性に基づいて、電動外科用器具32235と外科用ハブ106との間で第1のデータ及び第2のデータを伝送するための伝送速度を選択すること(32010)と、電動外科用器具と外科用ハブとの間で第1のデータ及び第2のデータを選択された伝送速度で伝送すること(32012)と、を含む。
【0246】
少なくとも1つの例では、プロセス32000は、第1の外科的活動及び第2の外科的活動のうちの少なくとも1つの少なくとも1つの特性並びに利用可能な帯域幅に基づいて、電動外科用器具32235と外科用ハブ106との間で第1のデータ及び第2のデータを伝送するための伝送速度を選択又は調節する。通信モジュール32004は、利用可能な帯域幅を決定することができ、これは、例えば、干渉及び他の環境要因などの様々な要因に基づいて経時的に変化し得る。
【0247】
図36は、
図35のプロセスを実行するために使用され得る、外科用器具32235の制御システム32470を示す。制御システム32470は、多くの点で制御システム470(
図12)に類似している。様々な態様では、プロセス32000は、
図36に示すように、センサ472、474、476に連結されたマイクロコントローラ461を含む外科用器具32235の通信モジュール32004によって実行され得る。
【0248】
様々な態様では、第1のデータは、第1の供給源から受信することができ、第2のデータは、第1の供給源とは異なる第2の供給源から受信することができる。第1の供給源及び/又は第2の供給源は、例えば、センサ472、474、476のいずれかであってもよい。
【0249】
様々な態様では、外科用器具32235は、外科用器具235(
図9)、150010(
図25)に多くの点で類似している。例えば、外科用器具150010と同様に、外科用器具32235は、第1の外科的活動において組織を把持するために
図25に示されるような開放構成から閉鎖構成に移行可能なエンドエフェクタ150300を含む。モータ482(
図36)は、開放構成と閉鎖構成との間でエンドエフェクタ150300の移行を駆動してもよい。特定の例では、第1のデータは、
図33に示すように、経時的にエンドエフェクタ150300のFTCに必要な力を表す。
【0250】
様々な態様において、外科用器具32235は、第2の外科的活動において移動可能な変位部材(例えば、
図26の駆動部材150120)を備えて、エンドエフェクタ150300によって把持された組織内にステープルを配備/発射する。特定の例では、第2のデータは、
図33に示すように、経時的にエンドエフェクタ150300のFTFを表す。
【0251】
図33は、時間(t)に対してプロットされた外科処置中の、電動外科用器具32235のFTC読み取り値及びFTF読み取り値を示すグラフである。外科用ハブ106へのFTC読み取り値及びFTF読み取り値の対応する伝送速度はまた、時間(t)に対してプロットされる。
図33及び
図34の例では、センサ472、474、476は、毎秒30サンプルの理想のサンプリングレードを含む。サンプリングレートは、読み取りが行われる速度である。
【0252】
電動外科用器具32235と外科用ハブ106との間の通信チャネルは、毎秒25メガビットまでの伝送が可能な第1の帯域幅を含み、これは、毎秒伝送される最大62サンプルに対応する。第1の帯域幅は、手術室内の環境干渉に起因して、時間t=t2で第2の帯域幅まで低減される。第2の帯域幅は、毎秒最大48サンプルに対応する、毎秒20メガビットまでの伝送が可能である。
図34はまた、例示目的のために選択された4つの例示的な時点(t1、t2、t3、t4)で、毎秒伝送された実際のFTCサンプル及びFTFサンプルを列挙する。
【0253】
再び
図33及び
図34を参照すると、FTCデータによって表される第1の外科的活動は、時間t=0で始まり、一方FTFデータによって表される第2の外科的活動は、時間t=t3で始まる。第1の外科的活動はまた、t=t1において、最大FTCに達し、このことは第1の外科的活動の重要な特性を定義する。したがって、時間t=t3まで、第1の外科的活動に関連するFTCデータの伝送を第2の外科的活動に関連するFTFデータよりも優先させることが望ましい。最大FTC値に対応するt=t1に示されるように、FTCデータは、毎秒30サンプルに対応する最適な伝送速度で伝送されるが、この初期段階の間にFTFデータは伝送されない。
【0254】
上記に加えて、帯域幅の負の変化又は最大利用可能伝送速度が、t=taで発生し、通信モジュール32004によって感知される。これに応答して、FTCデータの伝送速度は、環境干渉によって引き起こされる負の変化に適応するために、t=t2で示されるように、毎秒26サンプルに対応する伝送速度まで下げられる。様々な例において、第1のデータ及び第2のデータは、電動外科用器具32235と外科用ハブ106との間に確立された通信チャネルを介して伝送され、通信モジュール32004は、通信チャネルの帯域幅の変化に応じて、第1のデータ及び第2のデータのうちの少なくとも1つの伝送速度を調整する。
【0255】
図34及び
図35の実施例では、FTFデータ伝送速度が既に毎秒0サンプルであるので、FTCデータ伝送速度のみが、毎秒30サンプルから26サンプルに下げられる。他の例では、以下により詳細に記載されるように、第1の外科的活動及び第2の外科的活動のうちの少なくとも1つの特性に基づいて設定される進行中の優先順位付けスキームは、第1のデータ及び/又は第2のデータの伝送速度に対する帯域幅の負の変化の効果に影響を及ぼし得る。
【0256】
t=t3では、FTFデータ及びFTCデータが等しく関連するようになる。しかしながら、帯域幅の低減又は最大利用可能な伝送速度により、毎秒48サンプルしか伝送することができない。したがって、FTCデータ及びFTFデータの伝送速度は、毎秒24サンプルで同じになるように調整される。換言すれば、FTCデータ及びFTFデータの伝送速度は、FTFデータの関連性の増大、及び帯域幅又は最大利用可能伝送速度の負の変化に適応するように調整される。
【0257】
上記に加えて、FTFデータが上方に傾斜し、FTCデータが次第に小さくなると、FTFデータは、FTCデータよりも優先され得る。したがって、FTFデータの伝送速度を増加させることができ、FTCデータの伝送速度は、第2の外科的活動の残りの部分で減少し得る。換言すれば、通信モジュール32004は、第1の外科的活動及び第2の外科的活動のうちの少なくとも1つのある特性に基づいて、電動外科用器具と外科用ハブとの間で第1のデータ及び第2のデータを伝送するための伝送速度を調節してもよい。
【0258】
t=t4において、FTFが所定の閾値を超えたときに、異常なFTFが検出される。異常なFTFを調査するために、通信モジュール32004は、FTC伝送速度を毎秒8サンプルに減少させつつ、FTFデータ伝送速度を毎秒40サンプルに増加させることによって応答する。換言すれば、通信モジュール32004は、FTCデータよりもFTFデータの伝送を優先させるために伝送速度を調整することによって、感知された異常なFTFデータに応答する。
【0259】
図37は、本開示の少なくとも1つの態様による、電動外科用器具32235と外科用ハブ(例えば、外科用ハブ106(
図3、
図4、
図36)、外科用ハブ206(
図10))との間のデータの伝送を調整するための制御プログラム又は論理構成を示す、プロセス32100の論理フロー図を示す。プロセス32100は、外科処置の第1の外科的活動に関する第1のデータを受信すること(32106)と、外科処置の第2の外科的活動に関する第2のデータを受信すること(32108)と、電動外科用器具32235と外科用ハブ106との間で第1のデータ及び第2のデータを伝送すること(32112)と、を含む。
【0260】
上記に加えて、異常が検出された(32109)場合、プロセス32100は、異常を包含するデータの伝送を優先させるために、電動外科用器具32235と外科用ハブ106との間で第1のデータ及び第2のデータを伝送するための伝送速度を調整する(32110)。上述のように、プロセス32109に従う異常は、所定の閾値を超えることであり得る。
【0261】
様々な態様では、通信モジュール32004は、低速帯域幅データの優先順位付けがより高い優先度である場合に、低速帯域幅データの優先順位付けを可能にしたままで、低速データフロー及び高速接続を確実にするように好ましい又は優先的な通信プロセス構成を設定する。
【実施例0262】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
【0263】
実施例1-外科用器具を開示する。外科用器具は、エンドエフェクタと、マーキングアセンブリと、を備える。エンドエフェクタは、第1のジョーと、それらの間に組織を把持するように第1のジョーに対して移動可能な第2のジョーと、第1のジョーと第2のジョーとの間に把持された組織に組織処理を適用するように構成された組織処理機構と、を含む。マーキングアセンブリは、各組織処理適用に固有の別個のマーキングを組織に施すように構成されている。別個のマーキングは、組織処理適用を他の組織処理適用と区別する。
【0264】
実施例2-エンドエフェクタは、組織を横切するように構成された切断部材を含み、マーキングアセンブリは、切断部材によって組織内に画定された横切開線に隣接する別個のマーキングを形成するように構成されている、実施例1に記載の外科用器具。
【0265】
実施例3-別個のマーキングが、可視スペクトルの外側の光源の存在下でのみ可視である、実施例1及び2のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0266】
実施例4-別個のマーキングが、可視スペクトルの外側の適用光源下で蛍光を発するように構成されている、実施例1~3のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0267】
実施例5-別個のマーキングが、光源、放射線源、及び照明源のうちの少なくとも1つによる刺激を通じて検出可能である、実施例1~4のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0268】
実施例6-組織処理機構が、組織処理適用において組織内にステープルを配備するように構成されたステープルカートリッジを備える、実施例1~5のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0269】
実施例7-組織処理機構が、組織処理適用において組織に治療エネルギーを送達するように構成された電極を備える、実施例1~6のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0270】
実施例8-組織処理機構が、組織処理適用において組織を横切するように移動可能な横切開部材を備える、実施例1~7のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0271】
実施例9-組織処理機構による組織処理適用が、マーキングアセンブリによる組織への別個のマーキングの適用をトリガする、実施例1~8のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0272】
実施例10-マーキングアセンブリが、複数の離間したアプリケータを備える、実施例1~9のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0273】
実施例11-複数のアプリケータが、近位アプリケータ及び遠位アプリケータを備える、実施例10に記載の外科用器具。
【0274】
実施例12-エンドエフェクタが長手方向スロットを備え、長手方向スロットの第1の側にある第1のアプリケータと、長手方向スロットの第1の側と反対側の第2の側にある第2のアプリケータと、実施例10及び11のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0275】
実施例13-外科用器具を開示する。外科用器具は、エンドエフェクタと、マーキングアセンブリと、制御回路とを備える。エンドエフェクタは、第1のジョーと、それらの間に組織を把持するように第1のジョーに対して移動可能な第2のジョーと、第1のジョーと第2のジョーとの間に把持された組織に組織処理を適用するように構成された組織処理機構と、を含む。制御回路は、組織に対する組織処理の適用を示すセンサ信号を受信し、マーキングアセンブリに、組織処理適用に固有の別個のマーキングを組織に施させるように構成され、別個のマーキングは、この組織処理適用を他の組織処理適用と区別する。
【0276】
実施例14-エンドエフェクタは、組織を横切するように構成された切断部材を含み、マーキングアセンブリは、切断部材によって組織内に画定された横切開線に隣接する別個のマーキングを形成するように構成されている、実施例13に記載の外科用器具。
【0277】
実施例15-別個のマーキングが、可視スペクトルの外側の光源の存在下でのみ可視である、実施例13及び14のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0278】
実施例16-別個のマーキングが、可視スペクトルの外側の適用光源下で蛍光を発するように構成されている、実施例13~15のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0279】
実施例17-別個のマーキングが、光源、放射線源、及び照明源のうちの少なくとも1つによる刺激を通じて検出可能である、実施例13~16のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0280】
実施例18-組織処理機構による組織処理適用が、マーキングアセンブリによる組織への別個のマーキングの適用をトリガする、実施例13~17のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0281】
実施例19-マーキングアセンブリが、複数の離間したアプリケータを備える、実施例13~18のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0282】
実施例20-外科用器具を開示する。外科用器具は、第1のジョーと、それらの間に組織を把持するように第1のジョーに対して移動可能な第2のジョーと、第1のジョーと第2のジョーとの間に把持された組織に組織処理を適用するように構成された組織処理機構と、を含むエンドエフェクタを備える。外科用器具は、各組織処理適用に固有の別個のマーキングを組織に施すための手段を更に備え、別個のマーキングは、この組織処理適用を他の組織処理適用と区別する。
【0283】
様々な態様では、外科用ハブと電動外科用器具との間の通信モジュールによって確立された通信チャネルは、無線通信チャネルである。外科用器具と外科用ハブとの間の好適な無線通信の例は、本開示の他の箇所に記載される。他の例では、外科用ハブと電動外科用器具との間の通信モジュールによって確立された通信チャネルは、有線通信チャネルである。様々な態様では、上記のように、そのような通信チャネル(複数可)を通じた通信は、帯域幅全体ではなく、通信されるデータの重要度で優先順位付けされる。
【0284】
様々な態様では、外科用ハブと電動外科用器具との間の通信は、システムが起動し、識別番号を割り当てる、又はシステム自体の内部で通信するときにシステム内のデータの傍受又は変更を防止するために、暗号化された通信である。
【0285】
上記の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例を用いて装置及び/又はプロセスの様々な形態について記載してきた。そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例が1つ若しくは2つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者に理解されたいこととして、そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの事実上の任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる。当業者には、本明細書で開示される形態のうちのいくつかの態様の全部又は一部が、1台以上のコンピュータ上で稼働する1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又はこれらの実質的に任意の組み合わせとして集積回路上で等価に実現することができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び、若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが理解されよう。更に、当業者には理解されることとして、本明細書に記載した主題の機構は、多様な形式で1つ又は2つ以上のプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載した主題の具体的な形態は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定の種類にかかわらず用いられる。
【0286】
様々な開示された態様を実行するように論理をプログラムするために使用される命令は、DRAM、キャッシュ、フラッシュメモリ、又は他のストレージなどのシステム内メモリに記憶され得る。更に、命令は、ネットワークを介して、又は他のコンピュータ可読媒体によって分配され得る。したがって、機械可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で情報を記憶又は送信するための任意の機構が挙げられ得るが、フロッピーディスケット、光ディスク、CD-ROM、並びに磁気光学ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、磁気若しくは光カード、フラッシュメモリ、又は、電気的、光学的、音響的、若しくは他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、IR信号、デジタル信号)を介してインターネットを介した情報の送信に使用される有形機械可読ストレージに限定されない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で電子命令又は情報を記憶又は送信するのに好適な任意の種類の有形機械可読媒体が挙げられる。
【0287】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、用語「制御回路」は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路(例えば、1つ又は2つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、DSP、プログラマブル論理機構(PLD)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、状態機械回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、及びこれらの任意の組み合わせを指すことができる。制御回路は、集合的に又は個別に、より大きなシステム、例えば、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、SoC、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、又はスマートフォンの一部を形成する回路として具現化されてもよい。したがって、本明細書で使用されるとき、「制御回路」は、少なくとも1つの個々の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つのASICを有する電気回路、コンピュータプログラムで構成された汎用コンピューティング装置(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成された汎用コンピュータ、又は、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリ装置(例えば、RAMの形態)を形成する電気回路、及び/又は、通信装置(例えばモデム、通信スイッチ、又は光学電気機器)を形成する電気回路を含むが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ若しくはデジタルの形式又はこれらのいくつかの組み合わせで実現されてもよいことを認識するであろう。
【0288】
本明細書の任意の態様で使用される場合、用語「論理」は、前述の動作のいずれかを実行するように構成されたアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は回路を指し得る。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、及び/又はデータとして具現化されてもよい。ファームウェアは、メモリ装置内のコード、命令、若しくは命令セット、及び/又はハードコードされた(例えば、不揮発性の)データとして具現化されてもよい。
【0289】
本明細書の任意の態様で使用するとき、用語「構成要素」、「システム」、「モジュール」などは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのどちらかであるコンピュータ関連エンティティを指すことができる。
【0290】
本明細書の任意の態様で使用するとき、「アルゴリズム」とは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、転送、結合、比較、及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をなすことができる物理量及び/又は論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などとして言及することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、また単に、これらの量及び/又は状態に適用される便利なラベルである。
【0291】
ネットワークとしては、パケット交換ネットワークが挙げられ得る。通信装置は、選択されたパケット交換ネットワーク通信プロトコルを使用して、互いに通信することができる。1つの例示的な通信プロトコルとしては、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)を使用して通信を可能にすることができるイーサネット通信プロトコルを挙げることができる。イーサネットプロトコルは、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)によって発行された2008年12月発行の表題「IEEE802.3 Standard」、及び/又は本規格の後のバージョンのイーサネット規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、X.25通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。X.25通信プロトコルは、International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector(ITU-T)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、フレームリレー通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。フレームリレー通信プロトコルは、Consultative Committee for International Telegraph and Telephone(CCITT)及び/又はthe American National Standards Institute(ANSI)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、送受信機は、非同期転送モード(ATM)通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。ATM通信プロトコルは、ATM Forumによって「ATM-MPLS Network Interworking 2.0」という題で2001年8月に公開されたATM規格及び/又は本規格の後のバージョンに準拠するか、又は互換性があり得る。当然のことながら、異なる及び/又は後に開発されたコネクション型ネットワーク通信プロトコルは、本明細書で等しく企図される。
【0292】
別段の明確な定めがない限り、前述の開示から明らかなように、前述の開示全体を通じて、「処理する」、「計算する」、「算出する」、「決定する」、「表示する」などの用語を使用する議論は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又はそのような情報記憶、伝送、若しくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置の動作及び処理を指していることが理解されよう。
【0293】
1つ又は2つ以上の構成要素が、本明細書中で、「ように構成される(configured to)」、「ように構成可能である(configurable to)」、「動作可能である/ように動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「ことが可能である(able to)」、「準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及され得る。当業者は、「ように構成される」は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンドバイ状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0294】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。簡便かつ明瞭にするため、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語は、本明細書において図面に対して使用される場合があることが更に理解されるであろう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0295】
当業者は、一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の「特許請求の範囲」(例えば、添付の「特許請求の範囲」の本文)で使用される用語は、概して「オープンな」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「~を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「~を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである)ことを理解するであろう。更に、導入された請求項記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該請求項中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ以上の(one or more)」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む請求項に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0296】
更に、導入された請求項記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、又は2つ若しくは3つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てを有するシステムを含む)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ若しくは3つ以上の選択的な用語を表わすあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0297】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図がシーケンス(複数可)で示されているが、様々な動作は、例示されたもの以外の順序で行われてもよく、又は同時に行われてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆、又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「~に応答する」、「~に関連する」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0298】
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへの任意の参照は、その態様に関連して記載される特定の機構、構造、又は特性が少なくとも1つの態様に含まれると意味することは特記に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる語句「一態様では」、「態様では」、「例示では」、及び「一例示では」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特色は、1つ又は2つ以上の態様で、任意の好適なやり方で組み合わせることができる。
【0299】
本明細書で参照され、かつ/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示資料は、組み込まれる資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参考として本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0300】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ又は2つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ又は2つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されたものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0301】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
エンドエフェクタであって、
第1のジョーと、
前記第1のジョーとの間に組織を把持するように前記第1のジョーに対して移動可能な第2のジョーと、
前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に把持された組織に組織処理を適用するように構成された組織処理機構と、を含む、エンドエフェクタと、
各組織処理適用に固有の別個のマーキングを前記組織に施すように構成されたマーキングアセンブリであって、前記別個のマーキングは、前記組織処理適用を他の組織処理適用と区別する、マーキングアセンブリと、を備える、外科用器具。
(2) 前記エンドエフェクタが、組織を横切するように構成された切断部材を含み、前記マーキングアセンブリが、前記切断部材によって前記組織内に画定された横切開線に隣接して前記別個のマーキングを形成するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記別個のマーキングが、前記可視スペクトルの外側の光源の存在下でのみ可視である、実施態様1に記載の外科用器具。
(4) 前記別個のマーキングが、前記可視スペクトルの外側の適用光源下で蛍光を発するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(5) 前記別個のマーキングが、光源、放射線源、及び照明源のうちの少なくとも1つによる刺激を通じて検出可能である、実施態様1に記載の外科用器具。
【0302】
(6) 前記組織処理機構が、前記組織処理適用において前記組織内にステープルを配置するように構成されたステープルカートリッジを備える、実施態様1に記載の外科用器具。
(7) 前記組織処理機構が、前記組織処理適用において前記組織に治療エネルギーを送達するように構成された電極を備える、実施態様1に記載の外科用器具。
(8) 前記組織処理機構が、前記組織処理適用において前記組織を横切するように移動可能な横切開部材を備える、実施態様1に記載の外科用器具。
(9) 前記組織処理機構による前記組織処理の適用が、前記マーキングアセンブリによる前記組織への前記別個のマーキングの適用をトリガする、実施態様1に記載の外科用器具。
(10) 前記マーキングアセンブリが、複数の離間したアプリケータを含む、実施態様1に記載の外科用器具。
【0303】
(11) 前記複数のアプリケータが、
近位アプリケータと、
遠位アプリケータと、を含む、実施態様10に記載の外科用器具。
(12) 前記エンドエフェクタが、長手方向スロットを含み、前記複数のアプリケータが、
前記長手方向スロットの第1の側にある第1のアプリケータと、
前記長手方向スロットの前記第1の側と反対側の第2の側にある第2のアプリケータと、を含む、実施態様10に記載の外科用器具。
(13) 外科用器具であって、
エンドエフェクタであって、
第1のジョーと、
前記第1のジョーとの間に組織を把持するように前記第1のジョーに対して移動可能な第2のジョーと、
前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に把持された組織に組織処理を適用するように構成された組織処理機構と、を含む、エンドエフェクタと、
マーキングアセンブリと、
制御回路であって、
前記組織に対する組織処理の適用を示すセンサ信号を受信し、
前記マーキングアセンブリに、前記組織処理適用に固有の別個のマーキングを前記組織に施させるように構成され、前記別個のマーキングは、前記組織処理適用を他の組織処理適用と区別する、制御回路と、を備える、外科用器具。
(14) 前記エンドエフェクタが、組織を横切するように構成された切断部材を含み、前記マーキングアセンブリが、前記切断部材によって前記組織内に画定された横切開線に隣接して前記別個のマーキングを形成するように構成されている、実施態様13に記載の外科用器具。
(15) 前記別個のマーキングが、前記可視スペクトルの外側の光源の存在下でのみ可視である、実施態様13に記載の外科用器具。
【0304】
(16) 前記別個のマーキングが、前記可視スペクトルの外側の適用光源下で蛍光を発するように構成されている、実施態様13に記載の外科用器具。
(17) 前記別個のマーキングが、光源、放射線源、及び照明源のうちの少なくとも1つによる刺激を通じて検出可能である、実施態様13に記載の外科用器具。
(18) 前記組織処理機構による前記組織処理の適用が、前記マーキングアセンブリによる前記組織への前記別個のマーキングの適用をトリガする、実施態様13に記載の外科用器具。
(19) 前記マーキングアセンブリが、複数の離間したアプリケータを含む、実施態様13に記載の外科用器具。
(20) 外科用器具であって、
エンドエフェクタであって、
第1のジョーと、
前記第1のジョーとの間に組織を把持するように前記第1のジョーに対して移動可能な第2のジョーと、
前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に把持された組織に組織処理を適用するように構成された組織処理機構と、を含む、エンドエフェクタと、
各組織処理適用に固有の別個のマーキングを前記組織に適用するための手段であって、前記別個のマーキングが、前記組織処理適用を他の組織処理適用と区別する、手段と、を備える、外科用器具。