(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050913
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】複数の回路基板を備えたセンサ
(51)【国際特許分類】
H01H 35/00 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
H01H35/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024020519
(22)【出願日】2024-02-14
(62)【分割の表示】P 2020071193の分割
【原出願日】2020-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】水崎 紘行
(72)【発明者】
【氏名】中村 潤平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 俊也
(72)【発明者】
【氏名】川上 友也
(57)【要約】
【課題】複数の回路基板をコンパクトに収容できるセンサを提供する。
【解決手段】センサは、センシングに用いる電子部品39が実装された第1リジッド基板31及び第2リジッド基板32を含み、かつ第1リジッド基板31に第2リジッド基板32が対向するように180度折り返されたリジッドフレキシブル基板3と、平板状の底壁22及び該底壁22から突出した柱状の第1突出部44、第2突出部45及び第3突出部46を含むベース部材4と、を備えている。第1リジッド基板31は、底壁22に形成された第1設置面S1に固定され、第2リジッド基板32は、第1突出部44、第2突出部45及び第3突出部46の先端部に跨って形成された第2設置面S2に固定されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センシングに用いる電子部品が実装された第1リジッド基板及び第2リジッド基板を含み、かつ前記第1リジッド基板に前記第2リジッド基板が対向するように180度折り返されたリジッドフレキシブル基板と、
平板状の底壁及び該底壁から突出した柱状の第1突出部、第2突出部及び第3突出部を含むベース部材と、を備え、
前記第1リジッド基板は、前記底壁に形成された第1設置面に固定され、
前記第2リジッド基板は、前記第1突出部、前記第2突出部及び前記第3突出部の先端部に跨って形成された第2設置面に固定されている、
センサ。
【請求項2】
投光部及び/又は受光部をさらに備え、
前記ベース部材は、前記投光部及び/又は前記受光部を固定している、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記受光部を備え、
前記第2リジッド基板は、前記第1リジッド基板よりも前記受光部から遠くに位置し、
前記第1リジッド基板には、前記受光部からの信号を処理する信号回路が実装され、
前記第2リジッド基板には、電子部品に電力を供給する電源回路が実装されている、
請求項2に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の回路基板を備えたセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
光センサ等のセンサの筐体には、レンズ等の光学部品に加え、センサの機能を実現する電子回路を実装した回路基板が収容されている。種々のワークを検出できる高機能なセンサを構成すると、複雑な処理を行うために回路基板のサイズが大きくなる。回路基板に合わせて筐体のサイズを大きくする代わりに、筐体に収容できるサイズ以下に回路基板を分割し、筐体内に小分けして配置することがある。
【0003】
しかるに、複数の回路基板を平行に並べて配置すると、回路基板の実装スペースの厚みが増してしまう。筐体のサイズが同一であれば、回路基板の実装スペースが薄ければ薄いほど大きなレンズを搭載できて光学性能が向上する。センサの小型化や性能向上のために、回路基板の実装スペースをできるだけ薄くしたいという要望がある。
【0004】
特許文献1には、二枚の回路基板を平行ではなく直交するように配置した光電センサが開示されている。一枚目の回路基板である配線用基板は、右側面を構成する蓋体に沿って配置されている。二枚目の回路基板である入出力用実装基板は、蓋体に垂直な上面に沿って配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上面は右側面よりも狭いため、配置できる回路基板のサイズが制限されてしまう。そこで、本発明は、複数の回路基板をコンパクトに収容できるセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るセンサは、第1設置面及び該第1設置面に平行な第2設置面が形成されたベース部材と、第1設置面に固定された第1リジッド基板と、第2設置面に固定された第2リジッド基板と、を備えている。センシングに用いる電子部品が第1リジッド基板及び第2リジッド基板に跨って実装されている。ベース部材は、第1設置面から突出した柱状の第1突出部、第2突出部及び第3突出部を備えている。第1突出部、第2突出部及び第3突出部の先端部には、第2設置面が形成されている。第1突出部は、第2設置面から突出して第2リジッド基板に挿通された第4ピンを備え、第2突出部は、第2設置面から突出して第2リジッド基板に挿通された第5ピンを備えている。第4ピンの周面には、第4ピンから見た位置がそれぞれ180度未満の角度をなすように配置された三つのリブが形成されている。第5ピンの周面には、第4ピン及び第5ピンを結んだ第3直線に直交する第4直線に沿って突出した二つのリブが形成されている。
【0008】
この態様によれば、周面にリブが形成された位置決めのピンによって第2リジッド基板を精密に位置決めできる。詳しく述べると、少なくとも三つの支持部により、第2設置面が規定される。第2設置面において、第2リジッド基板は、交差角が180度未満の三つのリブが形成された第4ピンにより、該第4ピンを軸にした回転移動を除き、すべての移動が規制される。さらに、第2リジッド基板は、回転の接線方向に二つのリブが突出した第5ピンにより、第4ピンを軸にした回転移動も規制される。ベース部材を介して第1リジッド基板と第2リジッド基板とを基板同士が干渉しないように精密に位置決めできるため、複数の基板を限界まで近づけて配置することができる。基板の実装スペースを最小化できるため、筐体を小型化できる。光学部品を大きくして光学性能を向上させることがで
きる。
【0009】
上記態様において、ベース部材は、第1リジッド基板を固定する第1固定部、第2固定部及び第3固定部を備え、第1固定部は、第1設置面から突出して第1リジッド基板に挿通された第1ピンを備え、第2固定部は、第1設置面から突出して第1リジッド基板に挿通された第2ピンを備え、第3固定部は、第1設置面から突出して第1リジッド基板に挿通された第3ピンを備え、第1ピンの周面には、第1ピンの中心から見た位置がそれぞれ180度未満の角度をなすように配置された三つのリブが形成され、第2ピンの周面には、第1ピン及び第2ピンを結んだ第1直線に直交する第2直線に沿って突出した二つのリブが形成されていてもよい。
【0010】
この態様によれば、周面にリブが形成された位置決めのピンによって第1リジッド基板をより精密に位置決めできる。複数の基板を限界まで近づけて配置することができる。
【0011】
上記態様において、第1リジッド基板及び第2リジッド基板は、同一のリジッドフレキシブル基板の一部であり、第1リジッド基板に第2リジッド基板が対向するようにリジッドフレキシブル基板を180度折り返してベース部材に第1リジッド基板及び第2リジッド基板を固定していてもよい。
【0012】
この態様によれば、第1リジッド基板及び第2リジッド基板と一体構造物として構成されたフレキシブル基板によって第1リジッド基板と第2リジッド基板とを接続できる。第1リジッド基板及び第2リジッド基板にそれぞれコネクタを設け、コネクタ間を別体のフレキシブル基板で接続する場合と比べてコネクタがない分だけ第1リジッド基板及び第2リジッド基板の面積を小さくできる。
【0013】
上記態様において、投光部及び/又は受光部をさらに備え、ベース部材は、投光部及び/又は受光部を固定していてもよい。
【0014】
この態様によれば、投光部及び/又は受光部を固定する樹脂ブラケットを第1リジッド基板及び第2リジッド基板の位置決めのためのベース部材として流用できる。部品点数を増やすことなく第1リジッド基板と第2リジッド基板とを精密に位置決めできる。
【0015】
上記態様において、受光部を備え、第2リジッド基板は、1リジッド基板よりも受光部から遠くに位置し、第1リジッド基板には、受光部からの信号を処理する信号回路が実装され、第2リジッド基板には、電子部品に電力を供給する電源回路が実装されていてもよい。
【0016】
この態様によれば、大電流が流れる電源回路と、繊細な信号回路とをブロック分けして配置する。受光部から遠く排熱しやすい筐体の外周部に発熱量が大きい第2リジッド基板を配置するため、効率的に回路基板を冷却できる。
【0017】
上記態様において、第4ピン及び第5ピンの周囲には、第2設置面よりも凹んだ凹部が形成されていてもよい。
【0018】
この態様によれば、リブを圧縮しながらピンを第2リジッド基板に挿通して位置決めするとき、こそぎ落とされたリブの樹脂くずが第2設置面と第2リジッド基板との間ではなく、ピンの周囲に形成された凹部のポケットに収容される。第2リジッド基板の高さを第2設置面に精密に位置決めできる。
【0019】
本開示の一態様に係るセンサは、硬質の第1リジッド基板及び第2リジッド基板を含み、かつ第1リジッド基板に第2リジッド基板が対向するように180度折り返されたリジッドフレキシブル基板と、平板状の底壁及び該底壁から突出した柱状の第1突出部、第2突出部及び第3突出部を含むベース部材と、を備えている。第1リジッド基板は、底壁に形成された第1設置面に固定され、第2リジッド基板は、第1突出部、第2突出部及び第3突出部の先端部に跨って形成された第2設置面に固定されている。
【0020】
この態様によれば、180度折り返したコンパクトな状態でリジッドフレキシブル基板をベース部材に固定する。複数の回路基板をコンパクトに収容できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の回路基板をコンパクトに収容できるセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態のセンサの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された蓋体を取り外してセンサの内部構造を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示されたベース部材を筐体から取り出して示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示された投光部及び受光部を示す正面図である。
【
図6】
図6は、リジッドフレキシブル基板等を取り外したベース部材を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示された第1設置面に着目して示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図6に示された第2設置面に着目して示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図7に示された第1ピンの凹部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の参照符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
図1は、本発明の一実施形態のセンサ1の一例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示された蓋体21を取り外してセンサ1の内部構造を示す斜視図である。
【0024】
図示した例では、センサ1として、光を出す投光部及び光を受ける受光部の少なくとも一方を備えた光電センサを開示している。受光部に到達する光の量は、投光された光がワークによって遮られたり反射したりすると変化する。光電センサは、この変化を検出して電気信号に変換し、外部機器へ出力できる。
【0025】
ただし、センサ1は、光電センサに限定されない。センサ1は、対象物の物理変化量を光学式素子で検知し,その変化量を距離に演算することでセンサ1から対象物までの距離を計測する変位センサであってもよいし、カメラでとらえた映像を画像処理することで、対象物の面積、重心、長さ、位置等を算出し、データや判定結果を出力する画像センサであってもよいし、バーコードや二次元コードを読み取るコードリーダであってもよい。センサ1は、光電センサ、変位センサ、画像センサ、コードリーダ等の光センサに限定されず、他種のセンサであってもよい。
【0026】
図示した例では、センサ1が、拡散反射型の光電センサとして構成され、センシングに用いる投光部11、受光部12、信号処理部、制御部、出力部、電源部等を内蔵し、ケーブル16を介して外部電源及び制御機器に接続されている。なお、センサ1を透過型や回帰反射型の光電センサとして構成し、投光部11と受光部12とを別々の筐体2,2にそれぞれ収容してもよい。電源部に電力を供給する外部電源を筐体2内に内蔵した電源内蔵型の光電センサとして構成してもよい。
【0027】
筐体2は、投光部11及び受光部12が設けられた検出面24と、ユーザがセンサ1に操作を入力する操作部15と、を除いて、例えば、ステンレスや亜鉛ダイカスト等の金属材料から形成されている。ただし、筐体2の材質は金属材料に限定されない。例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂やABS樹脂等の樹脂材料から筐体2を形成してもよい。検出面24は、例えば、メタクリル樹脂やガラス等の透光性材料から形成されたカバーレンズに覆われている。操作部15には、操作ボタンや表示パネルが設けられている。
【0028】
筐体2は、略直方体のカップ状に形成されたケース本体20と、ケース本体20の開口を覆う蓋体21と、を含んでいる。ケース本体20は、底壁22と、底壁22から起立して蓋体21に向かって延びる周壁23と、を含んでいる。筐体2において、底壁22は、蓋体21とは反対側に位置している。
【0029】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う断面図である。筐体2内には、平行に配置された複数のリジッド基板31,32,…が収容されている。図示した例では、平行に配置された二枚のリジッド基板31,32が筐体2内に収容されている。図示しないが平行に配置された三枚以上のリジッド基板が筐体2内に収容されていてもよい。第2リジッド基板32は、筐体2の蓋体21に沿って配置されている。第1リジッド基板31は、第2リジッド基板32に平行に配置されている。
【0030】
第1リジッド基板31は、第1面31Aと、該第1面31Aとは反対側の第2面31Bと、を有した硬質の平板状に形成されている。同様に、第2リジッド基板32は、第1面32Aと、該第1面32Aとは反対側の第2面32Bと、を有した硬質の平板状に形成されている。隣り合うリジッド基板31,32は、第1面31A,32A同士が対向するように配置されている。
【0031】
第1リジッド基板31は、その両面31A,31Bに電子部品39が実装されている。同様に、第2リジッド基板32は、その両面32A,32Bに電子部品39が実装されている。なお、第1及び第2面31A,31Bのいずれか片面のみに電子部品39を実装してもよいし、第1及び第2面32A,32Bのいずれか片面のみに電子部品39を実装してもよい。
【0032】
電子部品39は、例えば、前述した信号処理部や電源部を構成している。詳しく述べると、第1リジッド基板31には、受光部からの信号を処理する信号回路13が実装され、信号処理部を構成している。第2リジッド基板32には、信号回路13に加え、外部電源から受け取った電力を電子回路に供給する電源回路14が実装され、電源部を構成している。
【0033】
図示した例では、第1リジッド基板31のサイズが、第2リジッド基板32よりも小さい。第2リジッド基板32が第1リジッド基板31に対向していない部位において、第2リジッド基板32には、該第2リジッド基板32を貫通するアース部材17(
図2に示す)が設けられている。大電流が流れる第2リジッド基板32のアース部材17を第1リジッド基板31と干渉しないように配置できる。第1リジッド基板31を迂回するように配線を延ばし、アース部材17と接続する必要がないため、アース部材17の実装スペースをコンパクトにできる。
【0034】
図示した例では、第1リジッド基板31及び第2リジッド基板32が、同一のリジッドフレキシブル基板3の一部である。リジッドフレキシブル基板3は、第1リジッド基板31と第2リジッド基板32とを繋ぐ可撓性のフレキシブル基板33をさらに含んでいる。リジッドフレキシブル基板3は、第1リジッド基板31と第2リジッド基板32とが対向するように、フレキシブル基板33を屈曲部にして180度折り返されている。
【0035】
リジッドフレキシブル基板3は、第1面(31A,32A)と、該第1面(31A,32A)とは反対側の第2面(31B,32B)と、を有している。第1リジッド基板31及び第2リジッド基板32の第1面31A,32Aは、リジッドフレキシブル基板3の第1面(31A,32A)上に区画されている。同様に、第1リジッド基板31及び第2リジッド基板32の第2面31B,32Bは、リジッドフレキシブル基板3の第2面(31B,32B)上に区画されている。
【0036】
投光部11及び受光部12の少なくとも一方は、底壁22と第1リジッド基板31との間のスペースに収容されている。第2リジッド基板32は、第1リジッド基板31よりも受光部12から遠くに位置している。筐体2のサイズが同一であれば、第1リジッド基板31及び第2リジッド基板32の実装スペースが薄ければ薄いほど大きなレンズを搭載できて投光部11及び/又は受光部12の光学性能が向上する。投光部11及び/又は受光部12は、樹脂材料等から形成されたベース部材4に固定されている。
【0037】
図4は、
図2に示されたベース部材4を筐体2から取り出して示す斜視図である。
図4に示すように、ベース部材4には、投光部11及び/又は受光部12と、第1リジッド基板31及び第2リジッド基板32が取り付けられている。ベース部材4は、第1設置面S1(
図7に示す)が形成された底壁40と、第1設置面S1から突出した複数(少なくとも三つ、図示した例では四つ)のボス44,45,46と、を備えている。ボスの先端部に形成された第2設置面S2に第2リジッド基板32が固定されている。ボス44,45,46は、突出部の一例である。
【0038】
ボス44,45,46の形状は、円柱状であってもよいし、角柱状であってもよいし、略円錐台や略角錐台であってもよい。突出部は、柱状や略錐台に形成されたボスに限定されず、底壁40から起立した側壁の先端を突出部として構成してもよいし、側壁を階段状に形成して段差部を突出部として構成してもよい。
【0039】
図5は、
図4に示された投光部11及び受光部12を示す正面図である。
図5に示すように、ベース部材4の底壁40は、投光部11及び/又は受光部12に沿って延在する平板状に形成されている。底壁40は、投光部11及び/又は受光部12に対向する第1面40Aと、該第1面40Aとは反対側の第2面40Bと、を有している。第2面40Bは、第1リジッド基板31が固定される第1設置面S1として形成されている。
【0040】
図6は、リジッドフレキシブル基板3等を取り外したベース部材4を示す斜視図である。
図6に示すように、複数のボス44,45,46の先端部に跨って形成された第2設置面S2は、底壁40の第2面40B及びその延長上の第1設置面S1と平行に形成されている。
【0041】
図7は、
図6に示された第1設置面S1に着目して示す斜視図である。第1設置面S1を構成する底壁40の第2面40Bには、第1リジッド基板31が固定される複数の固定部が設けられている。図示した例では、第1固定部41、第2固定部42及び第3固定部43の三つの固定部が設けられている。第1固定部41は、第1設置面S1から突出して第1リジッド基板31に挿通される第1ピンP1を備えている。同様に、第2固定部42は、第1設置面S1から突出して第1リジッド基板31に挿通される第2ピンP2を備えている。第3固定部43は、第1設置面S1から突出して第1リジッド基板31に挿通される第3ピンP3を備えている。
【0042】
第1ピンP1の周面には、第1ピンP1の径方向に突出し、軸方向に延在する三つのリブ(第1リブR1、第2リブR2及び第3リブR3)が形成されている。三つのリブR1,R2,R3は、第1ピンP1の中心から見た位置がそれぞれ180度未満の角度をなすように配置されている。
【0043】
図示した例では、三つのリブR1,R2,R3が、第1ピンP1の周方向において略等間隔に形成され、第1ピンP1の中心から見たとき、第1リブR1と第2リブR2とが120度の角度をなし、第2リブR2と第3リブR3とが120度の角度をなし、第3リブR3と第1リブR1とが120度をなすように配置されている。
【0044】
三つのリブの位置関係は、必ずしも等間隔でなくてもよい。第1リブR1と第2リブR2とがなす角度を第1の角度とし、第2リブR1と第3リブR3とがなす角度を第2の角度とし、第3リブR3と第1リブR1とがなす角度を第3の角度とすると、例えば、第1の角度が180度よりも僅かに小さく、第2の角度と第3の角度とを合わせた角度が180度よりも僅かに大きくなるように配置してもよい。各々の角度は、90度以上が好ましい。
【0045】
第2ピンP2の周面には、第2ピンP2の径方向に突出し、軸方向に延在する二つのリブ(第4リブR4及び第5リブR5)が形成されている。第4リブR4は、第1ピンP1と第2ピンP2とを結んだ第1直線L1に直交する第2直線L2に沿って突出している。第5リブR5は、第2直線L2に沿って第4リブR4とは反対側に突出している。第3ピンP3の周面には、リブが形成されていない。固定部の数が四つ以上の場合、リブが形成されていない第3ピンP3(第3固定部43)の数が増加する。
【0046】
図8は、
図6に示された第2設置面S2に着目して示す斜視図である。ベース部材4は、第4ピンP4を備えた第1ボス44と、第5ピンP5を備えた第2ボス45と、少なくとも一つの第3ボス46と、を備えている。図示した例では、ベース部材4が、二つの第3ボス46を備えている。前述したように、各々のボス44,45,46の先端部には、第2リジッド基板32が固定される第2設置面S2が形成されている。第1ボス44の第4ピンP4は、第2設置面S2から突出して第2リジッド基板32に挿通される。同様に、第2ボス45の第4ピンP5は、第2設置面S2から突出して第2リジッド基板32に挿通される。
【0047】
第4ピンP4の周面には、第1ピンP1と同様に、第4ピンP4の径方向に突出し、軸方向に延在する三つのリブ(第6リブR6、第7リブR7及び第8リブR8)が形成されている。詳しく述べると、三つのリブR6,R7,R8は、第4ピンP4の中心から見た位置がそれぞれ180度未満の角度をなすように配置されている。図示した例では、三つのリブR6,R7,R8が、第4ピンP4の周方向において略等間隔に形成され、第4ピンP4の中心から見たとき、第6リブR6と第7リブR7とが120度の角度をなし、第7リブR7と第8リブR8とが120度の角度をなし、第8リブR8と第6リブR6とが120度をなすように配置されている。三つのリブの位置関係は、必ずしも等間隔でなくてもよい。
【0048】
第5ピンP5の周面には、第2ピンP2と同様に、第5ピンP5の径方向に突出し、軸方向に延在する二つのリブ(第9リブR9及び第10リブR10)が形成されている。詳しく述べると、第9リブR9は、第4ピンP4と第5ピンP5とを結んだ第3直線L3に直交する第4直線L4に沿って突出している。第10リブR10は、第4直線L4に沿って第9リブR9とは反対側に突出している。第3ボス46には、ピンの代わりにねじ穴が形成されている。
【0049】
第1リジッド基板31の第2面31Bが第1設置面S1に当接した状態で、ピンP1,P2,P3を加熱及び加圧すれば、熱カシメによって第1リジッド基板31を第1設置面S1に固定することができる。第2リジッド基板32の第1面32Aが第2設置面S2に当接した状態で、第2リジッド基板32を第3ボス46にねじ止めし、ピンP4,P5を熱カシメすれば、第2リジッド基板32を第2設置面S2に固定することができる。
【0050】
図9は、
図7に示された第1ピンP1の凹部47を拡大して示す斜視図である。
図9に示すように、第1ピンP1の周囲にはリブR1,R2,R3に隣接して、第1設置面S1よりも凹んだ凹部47が形成されている。同様に、第2ピンP2の周囲にはリブR4,R5に隣接して、第1設置面S1よりも凹んだ凹部47が形成されている。第4ピンP4及び第5ピンP5の周囲には、第2設置面S2よりも凹んだ凹部47が形成されている。なお、凹部47はこそぎ落とされたリブの樹脂くずが収容可能な程度にリブR1、R2、R3と隣接しておればよい。
【0051】
以上のように構成された本実施形態のセンサ1によれば、周面にリブR6,R7,R8,R9,R10が形成された位置決めのピンP4,P5によって第2リジッド基板32を精密に位置決めできる。ベース部材4を介して第1リジッド基板31と第2リジッド基板32とを基板同士が干渉しないように精密に位置決めできるため、複数の基板を限界まで近づけて配置することができる。基板の実装スペースを最小化できるため、筐体を小型化できる。光学部品を大きくして光学性能を向上させることができる。
【0052】
第2設置面S2だけでなく、第1設置面S1にも、周面にリブR1,R2,R3,R4,R5が形成された位置決めのピンP4,P5があれば、第1リジッド基板31をより精密に位置決めし、複数の基板を限界まで近づけて配置することができる。リジッドフレキシブル基板3を180度折り返したコンパクトな状態でベース部材4に固定するため、筐体2内で複数のリジッド基板31,32をコンパクトに収容できる。なお、リジッドフレキシブル基板3を第1リジッド基板31と第2リジッド基板32との境界において分割し、コネクタ等により接続することも可能である。
【0053】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。本実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0054】
[付記]
第1設置面(S1)及び該第1設置面に平行な第2設置面(S2)が形成されたベース部材(4)と、
前記第1設置面に固定された第1リジッド基板(31)と、
前記第2設置面に固定された第2リジッド基板(32)と、を備え、
前記ベース部材は、前記第1設置面が形成された底壁(40)と、該底壁から突出した柱状の第1突出部(44)、第2突出部(45)及び第3突出部(46)と、を備え、
前記第1突出部、前記第2突出部及び前記第3突出部の先端部には、前記第2設置面が形成され、
前記第1突出部は、前記第2設置面から突出して前記第2リジッド基板に挿通された第4ピン(P4)を備え、
前記第2突出部は、前記第2設置面から突出して前記第2リジッド基板に挿通された第5ピン(P5)を備え、
前記第4ピンの周面には、該第4ピンの中心から見た位置がそれぞれ180度未満の角度をなすように配置された三つのリブ(R6,R7,R8)が形成され、
前記第5ピンの周面には、前記第4ピン及び前記第5ピンを結んだ第3直線(L3)に直交する第4直線(L4)に沿って突出した二つのリブ(R9,R10)が形成されている、
センサ(1)。
【符号の説明】
【0055】
1…センサ、2…筐体、3…リジッドフレキシブル基板、4…ベース部材、11…投光部、12…受光部、13…信号回路、14…電源回路、15…操作部、16…ケーブル、17…アース部材、20…ケース本体、21…蓋体、22…底壁、23…周壁、24検出面、31…第1リジッド基板、32…第2リジッド基板、31A,32A…第1面、31B,32B…第2面、33…フレキシブル基板、39…電子部品、40…底壁、41…第1固定部、42…第2固定部、43…第3固定部、44…第1ボス(第1突出部の一例)、45…第2ボス(第2突出部の一例)、46…第3ボス(第3突出部の一例)、L1…第1直線、L2…第2直線、L3…第3直線、L4…第4直線、R1-R10…リブ、S1…第1設置面、S2…第2設置面。