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特開2024-50933サンプル調製、データ生成、タンパク質コロナ分析のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050933
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】サンプル調製、データ生成、タンパク質コロナ分析のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20240403BHJP
   C12Q 1/37 20060101ALN20240403BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20240403BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALN20240403BHJP
【FI】
C12M1/34 B
C12M1/34 Z
C12Q1/37
C12Q1/686 Z
C12Q1/6869 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024021900
(22)【出願日】2024-02-16
(62)【分割の表示】P 2022507411の分割
【原出願日】2020-08-04
(31)【優先権主張番号】62/883,107
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521436957
【氏名又は名称】シアー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム マニング
(72)【発明者】
【氏名】ヤング キム
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン クワン-レオン
(72)【発明者】
【氏名】ホープ リオウ
(72)【発明者】
【氏名】シャオヤン ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ホーンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ゴールドバーグ
(57)【要約】
【課題】サンプル調製、データ生成、タンパク質コロナ分析のためのシステムおよび方法の提供。
【解決手段】自動化サンプル調製およびタンパク質コロナの処理のためのシステムおよび方法、ならびに進歩した診断ツールおよび治療薬の発見におけるその適用が本明細書に記載されている。いくつかの態様において、本開示は、複合的な生物学的サンプルから生体分子のサブセットを生成させるための自動化機器を提供し、前記自動化機器は、(i)複数のパーティションを含む基材(ここで、前記複数のパーティションは、複数の粒子を含む);(ii)前記複合的な生物学的サンプルを含むローディングユニット;および(iii)少なくとも基板全域にわたって移動可能なローディングユニットを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年8月5日出願の米国仮出願第62/883,107号(その全内容は、参照により本明細書に援用される)に基づく優先権を主張し、その利益を受ける。
【背景技術】
【0002】
背景
プロテオミクス情報の科学および医学における大規模な構築は、主として、タンパク質分子自体に内在する複雑性(このため、そのような分析の大規模化を制限する複雑なワークフローが必要とされる)のために、ゲノミクスよりも遅れている。本明細書において、迅速かつ自動化されたサンプル調製、プロテオミクスデータの処理、および疾患状態に関連する鍵となるバイオマーカーの同定のためのシステム、方法、およびキットが開示される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
本開示は、タンパク質コロナの調製および分析のための自動化システム、方法、およびキットを提供する。いくつかの態様において、本開示は、複合的な生物学的サンプルから生体分子のサブセットを生成させるための自動化機器を提供し、前記自動化機器は、(i)複数のパーティションを含む基材(ここで、前記複数のパーティションは、複数の粒子を含む);(ii)前記複合的な生物学的サンプルを含むサンプル貯蔵ユニット;および(iii)少なくとも基板全域にわたって移動可能なローディングユニット(ここで、前記ローディングユニットは、前記サンプル貯蔵ユニット内の前記複合的な生物学的サンプルの1つまたはそれを超えるボリュームを、前記基材上の前記複数のパーティションに移送し、それによって前記複数のパーティション内の前記複数の粒子を前記複合的な生物学的サンプルの生体分子と接触させて生体分子コロナを形成させ、それによって前記複合的な生物学的サンプルの前記生体分子のサブセットを生成させ、またここで、前記生体分子のサブセットのダイナミックレンジは、前記複合的な生物学的サンプル中に存在する生体分子のダイナミックレンジと比較して圧縮されている)を含む。いくつかの実施形態において、前記基材は、マルチウェルプレートである。いくつかの実施形態において、前記生体分子のサブセットは、前記複合的な生物学的サンプルからの前記生体分子の種類の少なくとも20%~少なくとも60%を、6桁の濃度範囲内で含む。いくつかの実施形態において、前記生体分子のサブセットは、前記複合的な生物学的サンプルからの前記タンパク質の種類の少なくとも20%~少なくとも60%を、6桁の濃度範囲内で含む。いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、複合的な生物学的サンプルから、前記生体分子のサブセットを、7時間未満で生成させる。
【0004】
いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、前記複数のパーティション内の前記複合的な生物学的サンプルのボリューム内の前記複数の粒子のボリュームを撹拌または加熱するインキュベーションエレメントを含む。いくつかの実施形態において、前記インキュベーションエレメントは、振とうする、混合する、かき回す、スピンする、振動する、静的である、またはそれらの任意の組み合わせであるように構成されている。いくつかの実施形態において、前記インキュベーションエレメントは、前記基材を、約20℃~約100℃の温度に、加熱および/またはインキュベートするように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態において、前記複数のパーティションは、少なくとも部分的にカバーまたはシールされている。いくつかの実施形態において、前記複数のパーティションの中の1つのパーティションは、カバーまたはシールされている。いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、前記基材上に蓋を付加する、または前記基材上の蓋を除去する能力を有し、ここで、前記蓋は、前記複数のパーティション中の少なくとも1つのパーティションをカバーする。
【0006】
いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、再懸濁溶液を含むユニットを含む。いくつかの実施形態において、前記再懸濁溶液は、トリスEDTA 150mM KCl
0.05%CHAPSバッファーを含む。いくつかの実施形態において、前記再懸濁溶液は、10mMトリスHCl pH 7.4、1mM EDTAを含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、前記機器は、変性溶液を含むユニットを含む。いくつかの実施形態において、前記変性溶液は、プロテアーゼを含む。いくつかの実施形態において、前記変性溶液は、還元剤、メチル化剤、グアニジン、尿素、デオキシコール酸ナトリウム、アセトニトリル、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、前記変性溶液は、質量が4600ダルトン未満の平均ペプチドフラグメントを生じさせる。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記ローディングユニットは、複数のピペットを含む。いくつかの実施形態において、前記ローディングユニットは、10μL~400μLの溶液を、前記複数のパーティションの1つまたはそれを超えるパーティション内に分注するように構成されている。いくつかの実施形態において、前記ローディングユニットは、5μL~150μLの溶液を、前記複数のパーティションの1つまたはそれを超えるパーティション内に分注するように構成されている。いくつかの実施形態において、前記ローディングユニットは、35μL~80μLの溶液を、前記複数のパーティションの1つまたはそれを超えるパーティション内に分注するように構成されている。いくつかの実施形態において、前記溶液は、洗浄溶液、前記再懸濁溶液、前記変性溶液、バッファー、および試薬からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記ローディングユニットは、10μL~400μLの前記複合的な生物学的サンプルを、前記複数のパーティションの1つまたはそれを超えるパーティション内に分注するように構成されている。いくつかの実施形態において、前記ローディングユニットは、5μL~150μLの前記複合的な生物学的サンプルを、前記複数のパーティションの1つまたはそれを超えるパーティション内に分注するように構成されている。いくつかの実施形態において、前記ローディングユニットは、35μL~80μLの前記複合的な生物学的サンプルを、前記複数のパーティションの1つまたはそれを超えるパーティション内に分注するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記複合的な生物学的サンプルは、対象からの体液を含む。いくつかの実施形態において、前記複合的な生物学的サンプルは、血漿、血清、尿、脳脊髄液、滑液、涙、唾液、全血、乳、乳頭吸引液、乳管洗浄、膣液、鼻汁、内耳液、胃液、膵液、線維柱帯液、肺洗浄、汗、歯肉溝滲出液、精液、前立腺液、痰、糞便、気管支洗浄、スワブからの流体、気管支吸引物、流動化固形物、細針穿刺吸引サンプル、組織のホモジネート、リンパ液.細胞培養サンプル、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、磁石をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記複数の粒子の1つまたはそれを超える粒子は、磁性粒子であり、前記基材と前記磁石は、前記1つまたはそれを超える磁性粒子が前記基材上に固定化されるように、近接している。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、ハウジングをさらに含み、前記基材と前記ローディングユニットは、前記ハウジング内に配置され、前記ハウジングは、少なくとも部分的に囲われている。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記圧縮されたダイナミックレンジは、濃度が前記サンプルにおいて最も多量な生体分子に対して6桁の範囲内である生体分子の種類の数の増加を含む。いくつかの実施形態において、前記圧縮されたダイナミックレンジは、濃度が前記サンプルにおいて最も多量な生体分子に対して5桁の範囲内である生体分子の種類の数の増加を含む。いくつかの実施形態において、前記圧縮されたダイナミックレンジは、濃度が前記サンプルにおいて最も多量な生体分子に対して4桁の範囲内である生体分子の種類の数の増加を含む。いくつかの実施形態において、前記圧縮されたダイナミックレンジは、濃度が前記サンプルにおいて最も多量なタンパク質に対して6桁の範囲内であるタンパク質の種類の数の増加を含む。いくつかの実施形態において、濃度が前記サンプルにおいて最も濃縮された生体分子に対して6桁の範囲内である生体分子の種類の数の前記増加は、少なくとも25%、50%、100%、200%、300%、500%、または1000%である。いくつかの実施形態において、前記圧縮されたダイナミックレンジは、濃度が前記サンプルにおいて最も多量なタンパク質に対して6桁の範囲内であるタンパク質の種類の数の増加を含む。いくつかの実施形態において、濃度が前記サンプルにおいて最も多量なタンパク質に対して6桁の範囲内であるタンパク質の種類の数の前記増加は、少なくとも25%、50%、100%、200%、300%、500%、または1000%である。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記生体分子コロナの前記生体分子の前記ダイナミックレンジは、前記複数の生体分子コロナにおける、上位十分位の生体分子と、下位十分位の生体分子の第1の比である。いくつかの実施形態において、前記生体分子コロナの前記生体分子の前記ダイナミックレンジは、前記複数の生体分子コロナ中の生体分子の四分位範囲の範囲を含む第1の比である。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記生成は、前記複合的な生物学的サンプルからの低存在量の生体分子を富化させる。いくつかの実施形態において、前記低存在量の生体分子は、前記複合的な生物学的サンプル中の、10ng/mLまたはそれより低い濃度の生体分子である。いくつかの実施形態において、前記複合的な生物学的サンプルからの前記生体分子のサブセットは、タンパク質を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記複合的な生物学的サンプルの脂質濃度における最大10mg/mLの変化は、前記複合的な生物学的サンプルから生成される前記生体分子のサブセット中の前記タンパク質の組成における10%、5%、2%、または1%未満の変化をもたらす。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記複数の粒子の中の少なくとも2つの粒子は、少なくとも1つの物理化学的特性が異なる。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの物理化学的特性は、組成、サイズ、表面電荷、疎水性、親水性、表面官能性、表面トポグラフィー、表面曲率、多孔度、コア材料、シェル材料、形状、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記表面官能性は、アミノプロピル官能化、アミン官能化、ボロン酸官能化、カルボン酸官能化、メチル官能化、N-サクシニミジルエステル官能化、PEG官能化、ストレプトアビジン官能化、メチルエーテル官能化、トリエトキシルプロピルアミノシラン官能化、チオール官能化、PCP官能化、シトレート官能化、リポ酸官能化、BPEI官能化を含む。いくつかの実施形態において、前記複数の粒子の中の粒子は、ミセル、リポソーム、酸化鉄粒子、銀粒子、金粒子、パラジウム粒子、量子ドット、白金粒子、チタン粒子、シリカ粒子、金属または無機酸化物粒子、合成ポリマー粒子、コポリマー粒子、ターポリマー粒子、金属コアを有するポリマー粒子、金属酸化物コアを有するポリマー粒子、ポリスチレンスルホネート粒子、ポリエチレンオキシド粒子、ポリオキシエチレングリコール粒子、ポリエチレンイミン粒子、ポリ乳酸粒子、ポリカプロラクトン粒子、ポリグリコール酸粒子、ポリ(ラクチド-co-グリコリドポリマー粒子、セルロースエーテルポリマー粒子、ポリビニルピロリドン粒子、ポリビニルアセテート粒子、ポリビニルピロリドン-ビニルアセテートコポリマー粒子、ポリビニルアルコール粒子、アクリレート粒子、ポリアクリル酸粒子、クロトン酸コポリマー粒子、ポリエチレンホスホネート(polyethlene phosphonate)粒子、ポリアルキレン粒子、カルボキシビニルポリマー粒子、アルギン酸ナトリウム粒子、カラギーナン粒子、キサンタンガム粒子、アラビアゴム粒子、アラビアガム粒子、グアーガム粒子、プルラン粒子、寒天粒子、キチン粒子、キトサン粒子、ペクチン粒子、カラヤガム(karaya tum)粒子、ローカストビーンガム粒子、マルトデキストリン粒子、アミロース粒子、トウモロコシデンプン粒子、ジャガイモデンプン粒子、コメデンプン粒子、タピオカデンプン粒子、エンドウマメデンプン粒子、サツマイモデンプン粒子、オオムギデンプン粒子、小麦デンプン粒子、ヒドロキシプロピル化高アミロースデンプン粒子、デキストリン粒子、レバン粒子、エルシナン粒子、グルテン粒子、コラーゲン粒子、乳清タンパク質単離物粒子、カゼイン粒子、乳タンパク質粒子、ダイズタンパク質粒子、ケラチン粒子、ポリエチレン粒子、ポリカーボネート粒子、ポリ酸無水物粒子、ポリヒドロキシ酸粒子、ポリプロピルフマレート(polypropylfumerate)粒子、ポリカプロラクトン粒子、ポリアミン粒子、ポリアセタール粒子、ポリエーテル粒子、ポリエステル粒子、ポリ(オルトエステル)粒子、ポリシアノアクリレート粒子、ポリウレタン粒子、ポリホスファゼン粒子、ポリアクリレート粒子、ポリメタクリレート粒子、ポリシアノアクリレート粒子、ポリウレア粒子、ポリアミン粒子、ポリスチレン粒子、ポリ(リジン)粒子、キトサン粒子、デキストラン粒子、ポリ(アクリルアミド)粒子、誘導体化ポリ(アクリルアミド)粒子、ゼラチン粒子、デンプン粒子、キトサン粒子、デキストラン粒子、ゼラチン粒子、デンプン粒子、ポリ-β-アミノ-エステル粒子、ポリ(アミドアミン)粒子、ポリ乳酸・グリコール酸粒子、ポリ酸無水物粒子、生物還元性ポリマー粒子、および2-(3-アミノプロピルアミノ)エタノール粒子、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記複数の粒子の1つまたはそれを超える粒子は、前記複合的な生物学的サンプルと接触した際に、少なくとも100種類のタンパク質を吸着する。いくつかの実施形態において、前記複数の粒子は、少なくとも2つの特異な粒子種、少なくとも3つの特異な粒子種、少なくとも4つの特異な粒子種、少なくとも5つの特異な粒子種、少なくとも6つの特異な粒子種、少なくとも7つの特異な粒子種、少なくとも8つの特異な粒子種、少なくとも9つの特異な粒子種、少なくとも10の特異な粒子種、少なくとも11の特異な粒子種、少なくとも12の特異な粒子種、少なくとも13の特異な粒子種、少なくとも14の特異な粒子種、少なくとも15の特異な粒子種、少なくとも20の特異な粒子種、少なくとも25の粒子種、または少なくとも30の特異な粒子種を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記生体分子コロナの生体分子は、多数のタンパク質グループを含む。いくつかの実施形態において、前記多数のタンパク質グループは、1~20,000のタンパク質グループを含む。いくつかの実施形態において、前記多数のタンパク質グループは、100~10,000のタンパク質グループを含む。いくつかの実施形態において、前記多数のタンパク質グループは、100~5000のタンパク質グループを含む。いくつかの実施形態において、前記多数のタンパク質グループは、300~2,200のタンパク質グループを含む。いくつかの実施形態において、前記多数のタンパク質グループは、1,200~2,200のタンパク質グループを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記複数のパーティションの少なくとも2つのパーティションは、異なるバッファーを含む。いくつかの実施形態において、前記異なるバッファーは、pH、塩分濃度、オスモル濃度、粘度、誘電率、またはそれらの任意の組み合わせが異なる。いくつかの実施形態において、前記複数のパーティションの少なくとも2つのパーティションは、異なる比率のバッファーと前記複合的な生物学的サンプルを含む。いくつかの実施形態において、前記複数のパーティションの1つまたはそれを超えるパーティションは、1pM~100nMのナノ粒子を含む。いくつかの実施形態において、前記複数のパーティションの少なくとも2つのパーティションは、異なる濃度のナノ粒子を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、精製ユニットをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記精製ユニットは、固相抽出(SPE)プレートを含む。
【0020】
本開示の種々の態様は、(i)前記生物学的サンプルから前記生体分子のサブセットを単離するように構成された自動化機器;(ii)前記生体分子のサブセットを受け取り、質量分析シグナルまたはタンデム質量分析シグナルを含むデータを生成させるように構成された質量分析計;ならびに(iii)1つまたはそれを超えるコンピュータープロセッサーを含むコンピューター、および前記1つまたはそれを超えるコンピュータープロセッサーによる実行の際、生体分子フィンガープリントを生成させること、および前記生体分子フィンガープリントに基づいて生物学的状態を割り当てること、を含む方法を実行するマシン実行可能コードを含むコンピューター可読媒体、を含む自動化システムを提供する。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記生体分子フィンガープリントは、複数の特異な生体分子コロナシグネチャーを含む。いくつかの実施形態において、前記生体分子フィンガープリントは、少なくとも5、10、20、40、または80、150、もしくは200の特異な生体分子コロナシグネチャーを含む。いくつかの実施形態において、前記コンピューターは、複数の前記特異な生体分子コロナシグネチャーの間の質量分析シグナルまたはタンデム質量分析シグナルの強度、APEX、ペプチドのスペクトル的カウントもしくは数、またはイオン移動度挙動を含むデータを処理するように構成されている。いくつかの実施形態において、前記コンピューターは、複数の前記特異な生体分子コロナシグネチャーの間の100~2000の質量分析シグナルまたはタンデム質量分析シグナルからのデータを処理するように構成されている。いくつかの実施形態において、前記コンピューターは、複数の前記特異な生体分子コロナシグネチャーの間の10,000~5,000,000の質量分析シグナルまたはタンデム質量分析シグナルの強度を含むデータを処理するように構成されている。いくつかの実施形態において、前記生体分子フィンガープリントは、単一の質量分析またはタンデム質量分析の実施からのデータから生成される。いくつかの実施形態において、前記単一の質量分析またはタンデム質量分析の実施は、1時間未満で行われる。いくつかの実施形態において、前記コンピューターは、質量分析シグナルまたはタンデム質量分析シグナルおよびまたはイオン移動度およびクロマトグラフ的挙動に基づいて生体分子を同定するか、または未同定の分子特性を特徴付けするように構成され、またここで、前記コンピューターは、特性を同定または未同定の特性(and unidentified feature)を特徴付けするための少なくとも95%の確実性閾値をもたらす。いくつかの実施形態において、前記自動化システムは、前記複合的な生物学的サンプルから、前記生体分子フィンガープリントを、約10時間未満で生成させるように構成されている。いくつかの実施形態において、前記決定は、前記複合的な生物学的サンプル中の濃度が少なくとも7~少なくとも12桁に及ぶ2つの生体分子の存在量を比較することを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、前記コンピューターは、差異が10%、5%、2%、または1%未満である生体分子フィンガープリントに関連する2つまたはそれを超える生物学的状態の間を識別することができる。いくつかの実施形態において、前記生物学的状態は、疾患、障害、または組織の異常である。いくつかの実施形態において、前記疾患は、初期相および中間相の疾患状態である。いくつかの実施形態において、前記疾患は、癌である。いくつかの実施形態において、前記癌は、ステージ0の癌またはステージ1の癌である。いくつかの実施形態において、前記癌は、肺癌(lung cancer)、膵臓癌、骨髄腫、骨髄性白血病、髄膜腫、神経膠芽腫、乳癌、食道扁平上皮癌、胃腺癌、前立腺癌、膀胱癌、卵巣癌、甲状腺癌、神経内分泌癌、結腸癌、卵巣癌、頭頸部癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、直腸癌(rectum cancer)、泌尿器癌、子宮癌、口腔癌(oral cancer)、皮膚癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌、喉頭癌、食道癌、乳房腫瘍、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、ユーイング肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌(cystandeocarcinoma)、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、子宮内膜癌、肺癌(lung carcinoma)、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠芽腫、ニューロノーマ(neuronomas)、頭蓋咽頭腫(craniopharingioma)、シュワン腫、神経膠腫、星細胞腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、網膜芽腫、白血病およびリンパ腫、急性リンパ性白血病および急性骨髄球性真性赤血球増加症、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、および重鎖病、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、小児ヌル細胞型急性リンパ性白血病(ALL)、胸腺性ALL(急性リンパ球性白血病)、B細胞ALL(急性リンパ球性白血病)、急性巨核球性白血病、バーキットリンパ腫、およびT細胞白血病、小細胞および大細胞(非小細胞)肺癌、急性顆粒球白血病、胚細胞腫瘍、子宮内膜癌、胃癌、毛様細胞性白血病、甲状腺癌、ならびに当該技術分野において知られている他の癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記生物学的状態は、前疾患状態である。
【0023】
本開示の種々の態様は、複合的な生物学的サンプルの生物学的状態を識別するための方法を提供し、前記方法は、自動化機器に前記複合的な生物学的サンプルを供給して生体分子のサブセットを生成させること;前記生体分子のサブセットをアッセイして生体分子フィンガープリントを生成させること;および前記生体分子フィンガープリントによって、前記複合的な生物学的サンプルの生物学的状態を識別すること、を含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、前記生体分子フィンガープリントは、タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、前記複合的な生物学的サンプルからの前記生体分子のサブセットは、前記複合的な生物学的サンプルよりも小さい、アルブミンと非アルブミンペプチドの比を有する。いくつかの実施形態において、前記生体分子のサブセットは、前記複合的な生物学的サンプル中の濃度範囲が少なくとも6~少なくとも12桁に及ぶ生体分子を含む。いくつかの実施形態において、前記生体分子のサブセットは、前記複合的な生物学的サンプル中の濃度範囲が少なくとも6~少なくとも12桁に及ぶタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、前記生体分子フィンガープリントは、1~74,000のタンパク質グループを含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、前記アッセイは、前記複数の生体分子コロナの中の生体分子コロナから、複数の生体分子を脱着させることを含む。いくつかの実施形態において、前記アッセイは、前記複数の吸着生体分子の中の生体分子を化学的に改変することを含む。いくつかの実施形態において、前記アッセイは、前記複数の吸着生体分子の中の生体分子を断片化することを含む。いくつかの実施形態において、前記断片化は、プロテアーゼ消化を含む。いくつかの実施形態において、前記断片化は、化学的ペプチド切断を含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、前記アッセイは、前記複数の吸着生体分子を収集することを含む。いくつかの実施形態において、前記アッセイは、前記収集した複数の吸着生体分子を精製することを含む。いくつかの実施形態において、前記精製は、固相抽出を含む。いくつかの実施形態において、前記精製は、前記収集した複数の吸着生体分子から非タンパク質生体分子を枯渇させる。いくつかの実施形態において、前記アッセイは、前記複数の吸着生体分子を廃棄することを含む。いくつかの実施形態において、前記アッセイは、前記複数の生体分子コロナの中の生体分子コロナから生体分子の第1のサブセットと生体分子の第2のセットを脱着させること、前記生体分子の第1のサブセットの中の生体分子を分析すること、および前記生体分子の第2のサブセットの中の生体分子を分析すること、を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、前記アッセイは、質量分析、タンデム質量分析、マスサイトメトリー、マスサイトメトリー、電位差測定、蛍光定量、吸収分光法、ラマン分光法、クロマトグラフィー、電気泳動、免疫組織化学、PCR、次世代シークエンシング(NGS)、またはそれらの任意の組み合わせによって、前記複数の生体分子コロナの中の生体分子コロナを分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記アッセイは、質量分析またはタンデム質量分析を含む。いくつかの実施形態において、前記アッセイは、前記生体分子のサブセットの中のタンパク質の立体構造を同定することを含む。いくつかの実施形態において、前記アッセイは、前記生体分子のサブセットの中のタンパク質に対する翻訳後修飾を同定することを含む。いくつかの実施形態において、前記識別は、前記生体分子のサブセットからの少なくとも200~少なくとも1000の生体分子の相対的存在量を比較することを含む。いくつかの実施形態において、前記アッセイによって、前記複合的な生物学的サンプル中の10ng/mL未満の濃度の生体分子が同定される。
【0028】
本開示の種々の態様は、複合的な生物学的サンプルから生体分子のサブセットを生成させるための自動化機器を提供し、前記自動化機器は、複数の粒子と前記複合的な生物学的サンプルを含み、ここで、前記自動化機器は、前記複数の粒子を前記複合的な生物学的サンプルと接触させることによって前記生体分子のサブセットを生成させ、前記生体分子のサブセットを含む複数の生体分子コロナを形成させるように構成されており、またここで、前記生体分子のサブセットのダイナミックレンジは、前記複合的な生物学的サンプル中に存在する生体分子のダイナミックレンジと比較して圧縮されている。いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、基材を含む。いくつかの実施形態において、前記基材は、マルチウェルプレートを含む。いくつかの実施形態において、前記基材は、マルチウェルプレートである。いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、複合的な生物学的サンプルから、前記生体分子のサブセットを、7時間未満で生成させる。
【0029】
いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、インキュベーションエレメントを含む。いくつかの実施形態において、前記インキュベーションエレメントは、前記複数の粒子および前記複合的な生物学的サンプルを、4℃~40℃の温度に加熱および/またはインキュベートするように構成されている。
【0030】
いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、洗浄溶液、再懸濁溶液、変性溶液、バッファー、および試薬からなる群から選択される少なくとも1つの溶液を含む。いくつかの実施形態において、前記再懸濁溶液は、トリスEDTAバッファー、リン酸バッファー、および/または水を含む。いくつかの実施形態において、前記変性溶液は、プロテアーゼを含む。いくつかの実施形態において、前記変性溶液は、ペプチド切断を行うことができる小分子を含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、複数のピペットを含むローディングユニットを含む。いくつかの実施形態において、前記複数のピペットの各ピペットは、前記溶液、前記複合的な生物学的サンプル、および/または前記複数の粒子の約5μL~150μLを分注するように構成されている。いくつかの実施形態において、前記複合的な生物学的サンプルは、血漿、血清、尿、脳脊髄液、滑液、涙、唾液、全血、乳、乳頭吸引液、乳管洗浄、膣液、鼻汁、内耳液、胃液、膵液、線維柱帯液、肺洗浄、汗、歯肉溝滲出液、精液、前立腺液、痰、糞便、気管支洗浄、スワブからの流体、気管支吸引物、流動化固形物、細針穿刺吸引サンプル、組織のホモジネート、リンパ液、細胞培養サンプル、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、磁石を含む。いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、フィルターを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、前記圧縮されたダイナミックレンジは、濃度が前記サンプルにおいて最も多量な生体分子に対して4~6桁の範囲内である生体分子の種類の数の増加を含む。いくつかの実施形態において、前記生体分子の種類は、タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、前記生体分子コロナの前記生体分子の前記ダイナミックレンジは、前記複数の生体分子コロナにおける、上位十分位の生体分子と、下位十分位の生体分子の第1の比である。いくつかの実施形態において、前記生成は、前記複合的な生物学的サンプルからの低存在量の生体分子を富化させる。いくつかの実施形態において、前記低存在量の生体分子は、前記複合的な生物学的サンプル中の、10ng/mLまたはそれより低い濃度の生体分子である。
【0033】
いくつかの実施形態において、前記複数の粒子の中の少なくとも2つの粒子は、少なくとも1つの物理化学的特性が異なる。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの物理化学的特性は、組成、サイズ、表面電荷、疎水性、親水性、表面官能性、表面トポグラフィー、表面曲率、多孔度、コア材料、シェル材料、形状、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記複数の粒子の中の粒子は、ミセル、リポソーム、酸化鉄粒子、銀粒子、金粒子、パラジウム粒子、量子ドット、白金粒子、チタン粒子、シリカ粒子、金属または無機酸化物粒子、合成ポリマー粒子、コポリマー粒子、ターポリマー粒子、金属コアを有するポリマー粒子、金属酸化物コアを有するポリマー粒子、ポリスチレンスルホネート粒子、ポリエチレンオキシド粒子、ポリオキシエチレングリコール粒子、ポリエチレンイミン粒子、ポリ乳酸粒子、ポリカプロラクトン粒子、ポリグリコール酸粒子、ポリ(ラクチド-co-グリコリドポリマー粒子、セルロースエーテルポリマー粒子、ポリビニルピロリドン粒子、ポリビニルアセテート粒子、ポリビニルピロリドン-ビニルアセテートコポリマー粒子、ポリビニルアルコール粒子、アクリレート粒子、ポリアクリル酸粒子、クロトン酸コポリマー粒子、ポリエチレンホスホネート(polyethlene phosphonate)粒子、ポリアルキレン粒子、カルボキシビニルポリマー粒子、アルギン酸ナトリウム粒子、カラギーナン粒子、キサンタンガム粒子、アラビアゴム粒子、アラビアガム粒子、グアーガム粒子、プルラン粒子、寒天粒子、キチン粒子、キトサン粒子、ペクチン粒子、カラヤガム(karaya tum)粒子、ローカストビーンガム粒子、マルトデキストリン粒子、アミロース粒子、トウモロコシデンプン粒子、ジャガイモデンプン粒子、コメデンプン粒子、タピオカデンプン粒子、エンドウマメデンプン粒子、サツマイモデンプン粒子、オオムギデンプン粒子、小麦デンプン粒子、ヒドロキシプロピル化高アミロースデンプン粒子、デキストリン粒子、レバン粒子、エルシナン粒子、グルテン粒子、コラーゲン粒子、乳清タンパク質単離物粒子、カゼイン粒子、乳タンパク質粒子、ダイズタンパク質粒子、ケラチン粒子、ポリエチレン粒子、ポリカーボネート粒子、ポリ酸無水物粒子、ポリヒドロキシ酸粒子、ポリプロピルフマレート(polypropylfumerate)粒子、ポリカプロラクトン粒子、ポリアミン粒子、ポリアセタール粒子、ポリエーテル粒子、ポリエステル粒子、ポリ(オルトエステル)粒子、ポリシアノアクリレート粒子、ポリウレタン粒子、ポリホスファゼン粒子、ポリアクリレート粒子、ポリメタクリレート粒子、ポリシアノアクリレート粒子、ポリウレア粒子、ポリアミン粒子、ポリスチレン粒子、ポリ(リジン)粒子、キトサン粒子、デキストラン粒子、ポリ(アクリルアミド)粒子、誘導体化ポリ(アクリルアミド)粒子、ゼラチン粒子、デンプン粒子、キトサン粒子、デキストラン粒子、ゼラチン粒子、デンプン粒子、ポリ-β-アミノ-エステル粒子、ポリ(アミドアミン)粒子、ポリ乳酸・グリコール酸粒子、ポリ酸無水物粒子、生物還元性ポリマー粒子、および2-(3-アミノプロピルアミノ)エタノール粒子、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0034】
いくつかの実施形態において、前記生体分子コロナの生体分子は、多数のタンパク質グループを含む。いくつかの実施形態において、前記多数のタンパク質グループは、1~20,000のタンパク質グループを含む。いくつかの実施形態において、前記多数のタンパク質グループは、100~10,000のタンパク質グループを含む。いくつかの実施形態において、前記多数のタンパク質グループは、100~5000のタンパク質グループを含む。いくつかの実施形態において、前記多数のタンパク質グループは、300~2,200のタンパク質グループを含む。いくつかの実施形態において、前記多数のタンパク質グループは、1,200~2,200のタンパク質グループを含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、精製ユニットを含む。いくつかの実施形態において、前記精製ユニットは、固相抽出(SPE)プレートを含む。
【0036】
本開示の種々の態様は、複合的な生物学的サンプルから生体分子のサブセットを生成させるための方法を提供し、前記方法は、自動化機器に前記複合的な生物学的サンプルを供給することを含み、ここで、前記自動化機器は、前記複合的な生物学的サンプルを複数の粒子と接触させて生体分子コロナを生成させ、ここで、前記自動化機器は、前記生体分子コロナを処理して前記生体分子のサブセットを生成させ、またここで、前記生体分子のサブセットのダイナミックレンジは、前記複合的な生物学的サンプル中に存在する生体分子のダイナミックレンジと比較して圧縮されている。
【0037】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記生体分子のサブセットをアッセイして生体分子フィンガープリントを生成させることを含む。いくつかの実施形態において、前記アッセイによって、前記複合的な生物学的サンプル中の10ng/mL未満の濃度の生体分子が同定される。いくつかの実施形態において、前記アッセイは、質量分析、タンデム質量分析、マスサイトメトリー、マスサイトメトリー、電位差測定、蛍光定量、吸収分光法、ラマン分光法、クロマトグラフィー、電気泳動、免疫組織化学、またはそれらの組み合わせによって、生体分子コロナを分析することを含む。いくつかの実施形態において、前記アッセイは、質量分析またはタンデム質量分析を含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記生体分子フィンガープリントによって、前記複合的な生物学的サンプルの生物学的状態を識別することを含む。いくつかの実施形態において、前記生体分子フィンガープリントは、複数の特異な生体分子コロナシグネチャーを含む。いくつかの実施形態において、前記生体分子フィンガープリントは、少なくとも5、10、20、40、または80、150、もしくは200の特異な生体分子コロナシグネチャーを含む。いくつかの実施形態において、前記生物学的状態は、疾患、障害、または組織の異常である。いくつかの実施形態において、前記疾患は、初期相および中間相の疾患状態である。いくつかの実施形態において、前記疾患は、癌である。いくつかの実施形態において、前記癌は、ステージ0の癌またはステージ1の癌である。いくつかの実施形態において、前記癌は、肺癌(lung cancer)、膵臓癌、骨髄腫、骨髄性白血病、髄膜腫、神経膠芽腫、乳癌、食道扁平上皮癌、胃腺癌、前立腺癌、膀胱癌、卵巣癌、甲状腺癌、神経内分泌癌、結腸癌、卵巣癌、頭頸部癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、直腸癌(rectum cancer)、泌尿器癌、子宮癌、口腔癌(oral cancer)、皮膚癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌、喉頭癌、食道癌、乳房腫瘍、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、ユーイング肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌(cystandeocarcinoma)、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、子宮内膜癌、肺癌(lung carcinoma)、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠芽腫、ニューロノーマ(neuronomas)、頭蓋咽頭腫(craniopharingioma)、シュワン腫、神経膠腫、星細胞腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、網膜芽腫、白血病およびリンパ腫、急性リンパ性白血病および急性骨髄球性真性赤血球増加症、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、および重鎖病、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、小児ヌル細胞型急性リンパ性白血病(ALL)、胸腺性ALL(急性リンパ球性白血病)、B細胞ALL(急性リンパ球性白血病)、急性巨核球性白血病、バーキットリンパ腫、およびT細胞白血病、小細胞および大細胞(非小細胞)肺癌、急性顆粒球白血病、胚細胞腫瘍、子宮内膜癌、胃癌、毛様細胞性白血病、または甲状腺癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記生物学的状態は、前疾患状態である。
【0039】
本開示の種々の態様は、生物学的サンプル中のタンパク質を同定するための自動化機器を提供し、前記自動化機器は、サンプル調製ユニット;複数のチャンネルを含む基材;複数のピペット;複数の溶液、複数のナノ粒子を含み、またここで、前記自動化機器は、タンパク質コロナを形成させ、および前記タンパク質コロナを消化するように構成されている。
【0040】
本開示の種々の態様は、生物学的サンプル中のタンパク質を同定するための自動化機器を提供し、前記自動化機器は、サンプル調製ユニット;複数のチャンネルを含む基材;複数のピペット;複数の溶液、複数のナノ粒子を含み、ここで、前記自動化機器は、タンパク質コロナを形成させ、および前記タンパク質コロナを消化するように構成されており、またここで、前記溶液の少なくとも1つは、TE 150mM KCl 0.05% CHAPSバッファーである。
【0041】
いくつかの態様において、前記サンプル調製ユニットは、前記複数のピペットで、前記基材に、前記複数のナノ粒子を添加するように構成されている。いくつかの態様において、前記サンプル調製ユニットは、前記複数のピペットで、前記基材に、前記生物学的サンプルを添加するように構成されている。いくつかの態様において、前記サンプル調製ユニットは、前記複数のナノ粒子と前記生物学的サンプルをインキュベートして前記タンパク質コロナを形成させるように構成されている。いくつかの態様において、前記サンプル調製ユニットは、上清から前記タンパク質コロナを分離させてタンパク質コロナペレットを形成させるように構成されている。いくつかの態様において、前記サンプル調製ユニットは、前記タンパク質コロナペレットを、TE 150mM KCl 0.05% CHAPSバッファーで再構成させるように構成されている。
【0042】
いくつかの態様において、前記自動化機器は、磁性源を含む。いくつかの態様において、前記自動化機器は、BCA、ゲル、またはタンパク質コロナのトリプシン消化のために構成されている。いくつかの態様において、前記自動化機器は、囲われている。いくつかの態様において、前記自動化機器は、使用前に滅菌される。いくつかの態様において、前記自動化機器は、質量分析に適合化されている。いくつかの態様において、前記自動化機器は、温度制御されている。
【0043】
本開示の種々の態様は、生物学的サンプル中のタンパク質を同定する方法を提供し、前記方法は、自動化機器に前記生物学的サンプルを加えること;前記自動化機器によってプロテオミクスデータを生成させること;および前記プロテオミクスデータを定量すること、を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、複数のナノ粒子を、前記自動化機器内で、前記生物学的サンプルとインキュベートしてタンパク質コロナを形成させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記自動化機器内で、上清から前記タンパク質コロナを分離させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記自動化機器内で、前記タンパク質コロナを消化して消化サンプルを形成させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記自動化機器内で、前記消化サンプルを洗浄することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記プロテオミクスデータの定量は、前記プロテオミクスデータを質量分析に提供することを含む。いくつかの実施形態において、前記生物学的サンプルは、体液である。いくつかの実施形態において、前記体液は、血清または血漿である。
【0044】
いくつかの態様において、本開示は、異なる物理化学的特性を有する表面を有する複数の粒子を用いた複合的な生物学的サンプルの状態の識別において分化した機能を有するユニットのネットワークを含む自動化システムを提供し、ここで、第1のユニットは、前記システム内のユニットからユニットに流体を移送するための多チャンネル流体移送機器を含み;第2のユニットは、複数の生物学的サンプルを貯蔵するための支持体を含み;第3のユニットは、前記複合的な生物学的サンプル内の分析物の集団を結合するための、異なる物理化学的特性を有する表面を有する前記複数の粒子を含むパーティションを持つセンサーアレイプレートのための支持体を含み;第4のユニットは、複数の試薬を貯蔵するための支持体を含み;第5のユニットは、廃棄されることになる試薬を貯蔵するための支持体を含み;第6のユニットは、前記多チャンネル流体移送機器によって使用される消耗品を貯蔵するための支持体を含み;またここで、前記システムは、前記複合的な生物学的サンプルを前記センサーアレイの特定のパーティションと接触させること;前記複合的な生物学的サンプルを前記センサーアレイプレートの前記パーティション内に含まれる前記複数の粒子とインキュベートすること;前記複数の粒子および粒子と相互作用する分析物の集団を除いて、パーティションから全てのコンポーネントを除去すること;および質量分析のためのサンプルを調製すること、を含む一連のステップを実行するようにプログラムされている。
【0045】
いくつかの実施形態において、前記第1のユニットは、前記システム内の他の全てのユニットへのアクセスを可能にする程度の可動性を有している。いくつかの実施形態において、前記第1のユニットは、ピペッティング機能を果たす能力を有している。
【0046】
いくつかの実施形態において、前記第2および/または第3のユニットの前記支持体は、シングルプレート、6ウェルプレート、12ウェルプレート、96ウェルプレート、またはマイクロチューブのラックのための支持体を含む。いくつかの実施形態において、第2および/またはユニットは、前記支持体とサンプルの温度を調節することができるサーマルユニットを含む。いくつかの実施形態において、前記第2および/または第3のユニットは、サンプルを物理的に撹拌および/または混合することができる回転ユニットを含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、前記複合的な生物学的サンプル内の分析物の集団を結合するための、異なる物理化学的特性を有する表面を有する前記複数の粒子は、前記センサーアレイのパーティション内の表面に固定化されている。いくつかの実施形態において、前記複数の粒子は、前記複合的な生物学的サンプル内の分析物の集団を結合するための、異なる物理化学的特性を有する複数の磁性ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態において、前記システムは、前記センサーアレイプレートが、磁化支持体と、前記支持体およびサンプルの温度を調節することができるサーマルユニットとを含む追加の第7のユニットに移送され、追加の時間にわたってインキュベートされるステップを含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、前記第4のユニットは、前記センサーアレイプレートを生成させ;未結合のサンプルを洗浄し;および/または質量分析のためのサンプルを調製するための試薬のセットを含む。いくつかの実施形態において、前記生物学的サンプルを前記センサーアレイの特定のパーティションと接触させることは、前記生物学的サンプルの特定のボリュームを、前記センサーアレイの前記特定のパーティション内にピペッティングすることを含む。いくつかの実施形態において、前記生物学的サンプルを前記センサーアレイの特定のパーティションと接触させることは、溶液中の複数の粒子と前記生物学的サンプルの、1:1、1:2:1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、または1:20の比に対応するボリュームをピペッティングすることを含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、前記生物学的サンプルを前記センサーアレイの特定のパーティションと接触させることは、前記生物学的サンプルの少なくとも10マイクロリットル、少なくとも50マイクロリットル、少なくとも100マイクロリットル、少なくとも250マイクロリットル、少なくとも500マイクロリットル、または少なくとも1000マイクロリットルのボリュームを、前記センサーアレイの前記特定のパーティション内にピペッティングすることを含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、前記生物学的サンプルを前記センサーアレイプレートの前記パーティション内に含まれる前記複数の粒子とインキュベートすることは、少なくとも約10秒、少なくとも約15秒、少なくとも約20秒、少なくとも約25秒、少なくとも約30秒、少なくとも約40秒、少なくとも約50秒、少なくとも約60秒、少なくとも約90秒、少なくとも約2分、少なくとも約3分、少なくとも約4分、少なくとも約5分、少なくとも約6分、少なくとも約7分、少なくとも約8分、少なくとも約9分、少なくとも約10分、少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約25分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約50分、少なくとも約60分、少なくとも約90分、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、少なくとも約14時間、少なくとも約15時間、少なくとも約16時間、少なくとも約17時間、少なくとも約18時間、少なくとも約19時間、少なくとも約20時間、または少なくとも約24時間のインキュベーション時間を含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、前記生物学的サンプルを前記基材の前記パーティション内に含まれる前記複数の粒子とインキュベートすることは、約4℃~約40℃のインキュベーション温度を含む。前記生物学的サンプルを前記基材の前記パーティション内に含まれる前記複数の粒子とインキュベートすることは、約4℃~約37℃のインキュベーション温度を含んでいてもよい。前記生物学的サンプルを前記基材の前記パーティション内に含まれる前記複数の粒子とインキュベートすることは、約4℃~約100℃のインキュベーション温度を含んでいてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、前記複数の粒子および粒子と相互作用する分析物の集団を除いて、パーティションから全てのコンポーネントを除去することは、一連の洗浄ステップを含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、前記第2のユニットは、質量分析のための前記サンプルの質量分析ユニットへの移送を促進することができる。
【0054】
いくつかの態様において、本開示は、生物学的サンプル中のタンパク質を同定するための自動化機器を提供し、前記自動化機器は、サンプル調製ユニット;複数のチャンネルを含む基材;複数のピペット;複数の溶液、複数のナノ粒子を含み、またここで、前記自動化機器は、タンパク質コロナを形成させ、および前記タンパク質コロナを消化するように構成されている。
【0055】
いくつかの態様において、本開示は、生物学的サンプル中のタンパク質を同定するための自動化機器を提供し、前記自動化機器は、サンプル調製ユニット;複数のチャンネルを含む基材;複数のピペット;複数の溶液、複数のナノ粒子を含み、ここで、前記自動化機器は、タンパク質コロナを形成させ、および前記タンパク質コロナを消化するように構成されており、またここで、前記溶液の少なくとも1つは、TE 150mM KCl 0.05% CHAPSバッファーである。
【0056】
いくつかの実施形態において、前記サンプル調製ユニットは、前記複数のピペットで、前記基材に、前記複数のナノ粒子を添加するように構成されている。いくつかの実施形態において、前記サンプル調製ユニットは、前記複数のピペットで、前記基材に、前記生物学的サンプルを添加するように構成されている。いくつかの実施形態において、前記サンプル調製ユニットは、前記複数のナノ粒子と前記生物学的サンプルをインキュベートして前記タンパク質コロナを形成させるように構成されている。
【0057】
いくつかの実施形態において、前記サンプル調製ユニットは、上清から前記タンパク質コロナを分離させてタンパク質コロナペレットを形成させるように構成されている。いくつかの実施形態において、前記サンプル調製ユニットは、前記タンパク質コロナペレットを、TE 150mM KCl 0.05% CHAPSバッファーで再構成させるように構成されている。
【0058】
いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、磁性源をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、BCA、ゲル、またはタンパク質コロナのトリプシン消化のために構成されている。
【0059】
いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、囲われている。いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、使用前に滅菌される。いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、質量分析に適合化されている。いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、温度制御されている。
【0060】
いくつかの態様において、本開示は、生物学的サンプル中のタンパク質を同定する方法を提供し、前記方法は、本明細書に開示されている自動化機器に前記生物学的サンプルを加えること;前記自動化機器によってプロテオミクスデータを生成させること;および前記プロテオミクスデータを定量すること、を含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、前記方法は、複数のナノ粒子を、前記自動化機器内で、前記生物学的サンプルとインキュベートしてタンパク質コロナを形成させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記自動化機器内で、上清から前記タンパク質コロナを分離させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記自動化機器内で、前記タンパク質コロナを消化して消化サンプルを形成させることをさらに含む。
【0062】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記自動化機器内で、前記消化サンプルを洗浄することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記プロテオミクスデータの定量は、前記プロテオミクスデータを質量分析に提供することを含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、前記生物学的サンプルは、体液である。いくつかの実施形態において、前記体液は、血清または血漿である。
【0064】
本開示の別の態様は、1つまたはそれを超えるコンピュータープロセッサーによる実行の際、上記または本明細書の他の箇所の方法のいずれかを実行するマシン実行可能コードを含む非一時的なコンピューター可読媒体を提供する。
【0065】
本開示の別の態様は、1つまたはそれを超えるコンピュータープロセッサーと、それに接続されたコンピューターメモリーとを含むシステムを提供する。前記コンピューターメモリーは、前記1つまたはそれを超えるコンピュータープロセッサーによる実行の際、上記または本明細書の他の箇所の方法のいずれかを実行するマシン実行可能コードを含む。
【0066】
本開示の追加の態様および利点は、以下の詳細な説明(ここで、前記詳細な説明には、本開示の例示的な実施形態だけが示され、かつ説明されている)から、当業者に容易に明らかとなるであろう。認識されるであろうように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの細部は種々の明白な点で変更することが可能であり、それらは全て本開示から逸脱するものではない。したがって、図面および説明は、本質的に例示とみなされるべきであり、限定とみなされるべきではない。
参照による援用
【0067】
本明細書において言及されている全ての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、および特許出願が、それぞれ具体的かつ個別に参照により援用されるべきものと示されている場合と同程度に、参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記述されている。以下の(本発明の原理が利用されている)例証的な実施形態を記述する詳細な説明、および添付の図面(drawing)(本明細書において、「Figure」および「FIG.」とも呼ばれる)を参照することによって、本発明の特徴および利点のよりよい理解が得られるであろう。
【0069】
図1図1は、ナノ粒子またはタンパク質コロナ法を用いてデータを生成させるためのステップの概略図を示す。
【0070】
図2図2は、ナノ粒子またはタンパク質コロナ法を用いてデータを生成するためのステップ、およびそれらが行われ得る自動化システムのユニットの例示的概略図を示す。
【0071】
図3図3は、前記システムと、ハイスループットな適用のための連続的MSへの接続の例示的レイアウトを示す。
【0072】
図4図4は、センサーアレイ分析物捕捉方法の例示的概略図を示す。
【0073】
図5図5は、磁性センサーアレイ粒子のための自動化サンプル処理のステップ的概略図を示す。
【0074】
図6図6は、固定化センサーアレイ粒子のための自動化サンプル処理のステップ的概略図を示す。
【0075】
図7図7は、磁性ナノ粒子センサーアレイのための表面化学を示す。
【0076】
図8図8は、癌患者における疾患バイオマーカーを検出するためのタンパク質コロナベースの方法の例を示す(US20180172694A1(参照によりその全体が本明細書に援用される)を参照している)。
【0077】
図9図9は、プロテオミクス解析のためのプロセスを示す。このプロセスは、数時間で多様なサンプル全体にわたって並行して実行され得る、ハイスループットな自動化のために適合化されている。このプロセスは、粒子マトリックス会合、粒子洗浄(3回)、前記タンパク質コロナの形成、プレート内消化、および質量分析を含む。このプロセスを使用すると、96サンプルのバッチあたり4~6時間しかかからないであろう。一度に、1つのナノ粒子、またはそれを超えるナノ粒子が、サンプルとインキュベートされ得る。
【0078】
図10図10は、1粒子種~12粒子種を含む複数の粒子上に収集されたタンパク質カウント(コロナ分析によって同定されたタンパク質の数)を示す。複数の粒子の中の各粒子は、ユニークな材料、表面官能化、および/または物理的特性(例えば、サイズまたは形状)を有していてもよい。健常な対象のグループからのプールされた血漿を使用した。カウントは、複数の粒子から収集され、約2時間の質量分析(MS)の実施において観察される、ユニークなタンパク質の数である。1318種のタンパク質が、12粒子種を含む複数の粒子と接触させたサンプルから同定された。
【0079】
図11図11は、56サンプルNSCLC比較試験についての、存在でフィルタリングし、クラスター品質でフィルタリングした、中央値正規化MS特性強度の分布を示す。各ラインは、疾患サンプルまたは対照サンプルのいずれかについての、log特性強度の密度を示す。密度は、y軸上の0.00~0.15にプロットされ、log特性強度は、x軸上の15~35にプロットされる。約28のlog特性強度付近に位置する最大のピーク(密度約0.13~約0.17の範囲)において、2本の最大の軌跡は対照サンプルに対応し、一方で、最小の軌跡は疾患サンプルに対応する。残りの対照の軌跡および疾患の軌跡は、最大の軌跡と最小の軌跡の間に分布している。2つのショルダーピーク(約20 log特性強度および約23 log特性強度に存在する)において、20 log特性強度における最大の2つの軌跡は対照の軌跡、最小の2つの軌跡は対照の軌跡であり、23 log特性強度における最大の軌跡は疾患の軌跡である。
【0080】
図12図12は、ポリ(N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド)(PDMAPMA)コートSPION粒子を用いた非小細胞肺癌(NSCLC)パイロットスタディーにおいて変化した特性を示す。7つのMS特性が、ステージIVのNSCLC(関連する共存症および治療効果を有する)の28人の対象と、年齢および性別を合わせた28人の明らかに健常な対象との間で、統計的に有意に異なるものと認定された。下部の表は、有意に異なる7つのタンパク質のリストである。これには、5つの既知のタンパク質と、2つの未知のタンパク質が含まれる。前記特性と関連するMS2データについてペプチド-スペクトルがマッチした場合、そのペプチド配列(および電荷)ならびに潜在的な親タンパク質が示され;MS2マッチが前記特性と関連していなかった場合、そのペプチドとタンパク質は、両方とも「不明」と記述される。
【0081】
図13図13は、粒子コロナタンパク質および血漿タンパク質の最大強度と、同じタンパク質の公表されている濃度の相関を示す。青でプロットされた線は、データに対する線形回帰モデルであり、網掛けされた領域は、そのモデルフィットの標準誤差を示す。粒子(「S-003」、「S-007」、および「S-011」、表1に列挙されている)でアッセイしたサンプルのダイナミックレンジは、粒子を使用してアッセイしていない血漿サンプル(「血漿」)と比較して、直線フィットの傾きの減少によって示されているように、圧縮されたダイナミックレンジを示した。各プロットの傾きは、粒子なしの血漿、S-003粒子ありの血漿、S-007粒子ありの血漿、およびS-011粒子ありの血漿について、それぞれ、0.47、0.19、0.22、および0.18である。
【0082】
図14図14は、粒子コロナ形成なしの質量分析と比較した、質量分析によるタンパク質コロナ分析アッセイのダイナミックレンジ圧縮を示す。図13においてアッセイされた血漿サンプル中の粒子コロナにおいて同定された、共通のタンパク質のタンパク質強度(「ナノ粒子MS(強度)」)は、粒子なしの血漿の質量分析によって同定されたタンパク質強度(「血漿MS(強度)」)に対してプロットされている。最大の点線は、傾き1を示し、粒子なしの質量分析のダイナミックレンジを示す。タンパク質強度に対する直線フィットの傾きは、S-003、S-007、およびS-011粒子について、それぞれ、0.12、0.36、および0.093である。灰色の領域は、回帰フィットの標準誤差領域を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
本明細書において、本発明の種々の実施形態が示され、および説明されているが、そのような実施形態は単に例示の目的で提供されていることが、当業者には明らかであろう。本発明を逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換が、当業者によって見出され得る。本発明の実施形態に対する種々の代替が採用されうることを理解すべきである。
【0084】
2つまたはそれを超える一連の数値における最初の数値の前に用語「少なくとも(at
least)」、「より大きい(greater than)」、または「より大きいまたはそれと等しい(greater than or equal to)」が付けられている場合は、常に、それらの用語「少なくとも(at least)」、「より大きい(greater than)」、または「より大きいまたはそれと等しい(greater than or equal to)」は、それら一連の数値中のそれぞれの数値に適用される。例えば、1、2、または3より大きいまたはそれと等しいは、1より大きいまたはそれと等しい、2より大きいまたはそれと等しい、または3より大きいまたはそれと等しい、と同義である。
【0085】
2つまたはそれを超える一連の数値における最初の数値の前に用語「以下(no more than)」、「未満(less than)」、または「より小さいまたはそれと等しい(less than or equal to)」が付けられている場合は、常に、それらの用語「以下(no more than)」、「未満(less than)」、または「より小さいまたはそれと等しい(less than or equal to)」は、それら一連の数値中のそれぞれの数値に適用される。例えば、1、2、または3より小さいまたはそれと等しいは、1より小さいまたはそれと等しい、2より小さいまたはそれと等しい、または3より小さいまたはそれと等しい、と同義である。
【0086】
本明細書で使用される場合、質量分析によって同定される「特性(feature)」には、保持時間とm/z(質量電荷比)の特定の組み合わせにおけるシグナルが含まれ、ここで、各特性は、関連する強度を有する。いくつかの特性は、同定のために、第2の質量分析(MS2)においてさらに断片化される。
【0087】
本明細書で使用される場合、用語「センサーエレメント」は、サンプルと接触した際に複数の生体分子と結合し得るエレメントを指し、用語「ナノスケールセンサーエレメント」を包含する。センサーエレメントは、粒子(例えば、ナノ粒子、またはマイクロ粒子など)であり得る。センサーエレメントは、表面、または表面の部分であり得る。センサーエレメントは、1つの粒子、または複数の粒子を含み得る。センサーエレメントは、生体分子を吸着または結合することができる複数の表面を含み得る。センサーエレメントは、多孔質材料(例えば、その内部に生体分子が入り込み得る材料など)を含み得る。
【0088】
本明細書で使用される場合、「センサーアレイ」は、複数のセンサーエレメントを含み得、ここで、前記複数のセンサーエレメント(例えば、粒子)は、多様な種類のセンサーエレメントを含む。前記センサーエレメントは、互いに少なくとも1つの物理化学的特性が相異する、異なる種類であり得る。センサーアレイは、複数のセンサーエレメント(例えば、粒子)を含む複数のパーティションを有する基材であり得る。例えば、センサーアレイは、複数のウェル間に分布する複数の粒子を有するマルチウェルプレートを含み得る。センサーアレイは、複数のパーティションを含む基材であり得、ここで、前記複数のパーティションは、複数の粒子を含む。いくつかの実施形態において、各センサーエレメントまたは粒子は、サンプル中の複数の生体分子に結合し、生体分子コロナシグネチャーを生成し得る。いくつかの実施形態において、各センサーエレメント(例えば、粒子種)は、特異な生体分子コロナシグネチャーを有する。
【0089】
本明細書で使用される場合、用語「生体分子コロナ」は、センサーエレメントに結合する前記複数の異なる生体分子を指す。用語「生体分子コロナ」は、生物学的サンプルまたは生体システムに接触した場合に粒子(例えば、ナノ粒子)に結合する、タンパク質、脂質、およびその他の血漿コンポーネントを指し得る。本明細書で使用するために、用語「生体分子コロナ」は、また、Milaniら、‘‘Reversible versus
Irreversible Binding of Transferring to
Polystyrene Nanoparticles:Soft and Hard
Corona’’ACS NANO,2012,6(3),pp.2532-2541;Mirshafieeら、‘‘Impact of protein pre-coating on the protein corona composition and nanoparticle cellular uptake’’BiomateriALS vol.75,January 2016 pp.295-304、Mahmoudiら、‘‘Emerging understanding of the protein corona at the nano-bio interfaces’’Nanotoday 11(6)December 2016,pp.817-832、およびMahmoudiら、‘‘Protein-Nanoparticle Interactions:Opportunities and Challenges’’Chem.Rev.,2011,111(9),pp.5610-5637(これらの内容全体が、参照により本明細書に援用される)において呼ばれるような、ソフトタンパク質コロナとハードタンパク質コロナの両方も包含する。それらに記載されているように、吸着曲線は、強く結合した単一層の集積から、(幾何学的に規定されたタンパク質対NP比における)単一層の飽和点までを示し、これを超えると、第2の、弱く結合した層が形成される。第1の層は、非可逆的に結合している(ハードコロナ)のに対して、第2の層(ソフトコロナ)は、動的な交換を示し得る。高いアフィニティーで吸着するタンパク質は、容易には脱着しない強く結合したタンパク質を含む「ハード」コロナを形成し得、また、低いアフィニティーで吸着するタンパク質は、緩く結合したタンパク質を含む「ソフト」コロナを形成し得る。ソフトおよびハードコロナは、また、それらの交換時間に基づいて特徴付けすることもできる。ハードコロナは、数時間という水準の、はるかに長い交換時間を示し得る。例えば、M.Rahmanら、Protein-Nanoparticle Interactions,Spring Series in BiopHysics 15,2013(その全体が参照により援用される)を参照のこと。
【0090】
用語「生体分子」は、コロナ形成し得る生物学的コンポーネント(それらに限定されないが、例えば、タンパク質、ポリペプチド、ポリサッカライド、糖、脂質、リポタンパク質、代謝物、オリゴヌクレオチド、メタボローム、またはそれらの組み合わせを含む)を指す。特異な粒子の生体分子コロナは、同じ生体分子のいくつかを含み得、他のセンサーエレメントに対して特異な生体分子を含み得、および/または各センサーエレメントに結合する前記生体分子のレベル、分量(quantity)、種類、または立体構造が異なり得ることが意図されている。一実施形態において、前記生体分子は、タンパク質、核酸、脂質、およびメタボロームの群から選択される。
【0091】
用語「生体分子コロナシグネチャー」は、各種類の粒子または別々のセンサーエレメントに結合した異なる生体分子の組成、シグネチャー、またはパターンを指す。前記シグネチャーは、前記異なる生体分子を指し得るだけではなく、前記センサーエレメントに結合する前記生体分子の量、レベル、または分量(quantity)の相異、または前記粒子もしくはセンサーエレメントに結合している前記生体分子の立体構造の相異もまた指し得る。特異な種類のセンサーエレメントのそれぞれの前記生体分子コロナシグネチャーは、同じ生体分子のいくつかを含み得、他のセンサーエレメントに対して特異な生体分子を含み得、および/または種々の生体分子のレベルもしくは分量(quantity)、種類、または立体構造が異なり得ることが意図されている。前記生体分子コロナシグネチャーは、センサーエレメント(例えば、粒子)の物理化学的特性だけではなく、前記サンプルの性質および生物学的サンプルに対する曝露の持続時間にも依存し得る。
【0092】
本明細書において、マルチオミクス解析のための組成および方法が開示される。「マルチ-オミック」または「マルチオミック」は、大スケールでの生体分子の解析のための分析アプローチを指し得、ここで、データセットは、多様なオーム(ome)(例えば、プロテオーム、ゲノム、トランスクリプトーム、リピドーム、およびメタボロームなど)である。マルチオミクスデータの非限定的な例としては、プロテオミクスデータ、ゲノムデータ、リピドミクスデータ、グリコミクスデータ、トランスクリプトミクスデータ、またはメタボロミックデータがあげられる。
【0093】
「生体分子コロナ」中の「生体分子」は、生物によって生成され得る、または生物に存在する任意の分子または生物学的コンポーネントを指し得る。生体分子の非限定的な例としては、タンパク質(タンパク質コロナ)、ポリペプチド、オリゴペプチド、ポリケタイド、ポリサッカライド、糖、脂質、リポタンパク質、代謝物、オリゴヌクレオチド、核酸(DNA、RNA、マイクロRNA、プラスミド、一本鎖核酸、二本鎖核酸)、メタボローム、ならびに一次代謝物、二次代謝物、および他の天然産物などの小分子、またはそれらの組み合わせがあげられる。いくつかの実施形態において、前記生体分子は、タンパク質、核酸、脂質、およびメタボロームからなる群から選択される。
【0094】
現在、臨床的診断のために今日使用されているタンパク質ベースのバイオマーカーは少数であり、マーカーの数を増やすための前記血漿プロテオーム分析の広範な試みにかかわらず、臨床的に有用な指標として認められている新たな候補は、比較的少数である。血漿プロテオームは、>10,000のタンパク質を含み、潜在的に、10桁を超える濃度範囲(mg/mL~pg/mL)に及ぶ、さらなる桁数のタンパク質アイソフォームを含む。これらの属性によって、プロテオーム分析のための便宜な分子ツールがないことと相まって、前記血漿プロテオームの網羅的な研究が極めて困難になっている。生物学的サンプル中のタンパク質の幅広いダイナミックレンジを克服するためのアプローチは、数千の固有のタンパク質およびさらに多くのタンパク質バリアントのバックグランドに対して、同定および定量が可能でなければならない。しかしながら、十分なスループットを有し、かつバリデーションおよび再現の頑健性が見込まれる適切な規模の研究を可能にする現実的なコストプロファイルを有するフォーマットで、全ての血漿濃度範囲にわたってタンパク質を同時に測定することができる既存の技術は存在しない。これらの難題によって、新規な疾患バイオマーカーの発見が制限されるだけではなく、ゲノムバリアントのプロテオゲノミクスおよびタンパク質アノテーションの採用が妨げられてきた。質量分析(MS)の進歩と、改善されたデータ解析学の開発によって、深く幅広いプロテオミクス解析のためのツールが提供されている。低存在量のタンパク質の検出を大幅に改善するために、いくつかの試み(例えば、非常に多量に存在するタンパク質の枯渇化、血漿の分画、およびペプチドの分画など)が行われてきた。現在、血漿中の4,500を超えるタンパク質の同定が可能である。しかしながら、現行のアプローチは、かなり複雑で、時間がかかり(数日から数週間)、そのため、タンパク質カバー率の範囲と、サンプルスループットのトレードオフが要求される。したがって、プロテオームにおいて利用可能な情報群の網羅的かつ迅速な解析のための単純で頑健な戦略は、未だ満たされていない要求のままである。
【0095】
さらに、疾患が早く診断されるほど、その疾患が治癒またはうまく管理され、それによって患者のより良好な予後がもたらされる可能性が高くなる。疾患が早期に処置された場合、その疾患による問題を防ぐか、または遅延させることが可能となり得、その患者の転帰を改善し得る(患者の生命および/またはクオリティ・オブ・ライフの延長が含まれる)。
【0096】
多くの種類の癌は、初期において良好に処置し得ることから、癌の早期診断は極めて重要である。例えば、乳癌、卵巣癌、および肺癌は、疾患が最も進行したステージで診断された患者については、5年生存率が、それぞれ、15%、5%、および10%であるのに対して、早期診断および処置後は、90%、90%、および70%である。癌細胞がひとたび原発組織から離脱すると、利用可能な確立した治療薬を使用して良好に治療される見込みは非常に薄くなる。癌の警告徴候を認識し、素早く対処することによって、早期診断がなされ得るが、大多数の癌(例えば、肺癌)は、癌細胞が周囲組織に浸潤し、また全身に転移してしまった後に、初めて徴候を示す。例えば、乳癌、肺癌、結腸癌、および卵巣癌の患者の60%超は、癌が発見される時までに、潜在性コロニーを、または転移性コロニーまでも有し得る。したがって、癌の早期検出のための効果的なアプローチを開発する緊急の必要性が存在する。このようなアプローチは、種々のステージにおいて癌を同定する感度、および検査を受けている人が癌を有していない場合、陰性の結果をもたらす特異性を有するべきである。癌の早期検出のための方法を開発するための広範な試みがなされてきており、莫大な数のリスクファクターおよびバイオマーカーが提唱されているが、幅広い癌の早期検出のための、広範囲に妥当なプラットフォームは実現が困難なままである。
【0097】
種々の種類の癌は、初期段階においてさえ、血漿の組成を変化させ得るため、早期検出のための1つの有望なアプローチは、バイオマーカーに関する分子的な血液分析である。この戦略は、いくつかの癌について(前立腺癌についてのPSAのように)すでに機能しているが、大多数の癌の早期検出のための特異的なバイオマーカーは未だ存在しない。そのような癌(例えば、肺癌)について、明らかにされた候補循環バイオマーカーは、いずれも臨床的にバリデートされておらず、臨床開発の後期段階に到達しているものはごくわずかである。したがって、非常に初期の段階で、癌(ならびに他の疾患)を検出する我々の能力を改善するための、新規なアプローチの緊急の必要性が存在する。
自動化サンプル調製
【0098】
本開示は、自動化サンプル調製、データ生成、タンパク質コロナ分析のためのシステムおよび方法を提供する。図1に図示されているように、本システムおよび方法は、(1)サンプルを、センサーアレイ、基材、プレート上、または前述のいずれかのパーティション内の(例えば、粒子混合物中の)粒子と接触させること、(2)前記サンプル中の生体分子を前記粒子に結合させること、(3)前記粒子から未結合のサンプルを除去すること、および(4)(例えば、質量分析(「MS」を使用した)分析のためのサンプルを調製すること、を含み得る。例えば、(1)において、本開示の方法は、生物学的サンプルを複数の粒子に接触させることを含み得る。(2)において、前記サンプルは、前記複数の粒子と、生体分子の前記粒子への吸着を促進するようにインキュベートされ得る。(3)において、未結合のサンプルは、前記粒子とその粒子に吸着された前記生体分子を保持したまま、除去され得る。(4)において、前記吸着された生体分子は、前記粒子から脱着され、質量分析(これによって、例証データが生成され得る)のために調製され得る。
【0099】
本開示は、生体分子コロナ調製および分析のための自動化システム、方法、およびキットを提供する。前記自動化機器は、少なくとも、図2に図示されている種々のユニットを使用して、図1に概略説明されている前述のデータ生成ステップを実行し得る。前記自動化機器は、センサーエレメント205と生物学的サンプル210を含む複数のパーティションを有する基材を含み得る。前記機器上のローディングユニット215は、前記基材205上のパーティションの中に前記生物学的サンプル210の部分を移送し得、前記生物学的サンプルからの生体分子の、前記基材上の前記パーティション中のセンサーエレメント上への吸着を引き起こす。前記自動化機器は、次いで、前記パーティションから未結合の生体分子を除去し得、場合により、廃棄物貯蔵部220の中に前記未結合のサンプルを移送する。残った生体分子(例えば、前記センサーエレメントに吸着された生体分子)は、脱着され、収集され、および質量分析のために調製され得る。前記試薬225は、バッファー(例えば、生体分子コロナから生体分子を脱着させることができる再懸濁バッファー、または生体分子を変性または断片化することができる変性バッファーなど)を含み得る。試薬(例えば、バッファープロテアーゼ)225もまた、前述のいずれかを促進するために、前記ローディングユニット215を使用してローディングされ得る。
【0100】
いくつかの態様において、本開示は、異なる物理化学的特性を有する表面を有する複数の粒子を用いた複合的な生物学的サンプルの状態の識別において分化した機能を有するユニットのネットワークを含む自動化システムを提供し、ここで、第1のユニットは、前記システム内のユニットからユニットに流体を移送するための多チャンネル流体移送機器を含み;第2のユニットは、複数の生物学的サンプルを貯蔵するための支持体を含み;第3のユニットは、前記複合的な生物学的サンプル内の分析物の集団と前記複数の粒子の間の結合相互作用を検出するための、異なる物理化学的特性を有する表面を有する前記複数の粒子を含むパーティションを持つセンサーアレイプレート(例えば、センサーエレメントを含む複数のパーティションを含む基材(例えばナノ粒子を含む96ウェルプレートなど))のための支持体を含み;第4のユニットは、複数の試薬を貯蔵するための支持体を含み;第5のユニットは、廃棄されることになる試薬を貯蔵するための支持体を含み;第6のユニットは、前記多チャンネル流体移送機器によって使用される消耗品を貯蔵するための支持体を含み;またここで、前記システムは、前記生物学的サンプルを前記センサーアレイの特定のパーティションと接触させること;前記生物学的サンプルを前記センサーアレイプレートの前記パーティション内に含まれる前記複数の粒子とインキュベートすること;前記複数の粒子および粒子と相互作用する分析物の集団を除いて、パーティションから全てのコンポーネントを除去すること;および質量分析のためのサンプルを調製すること、を含む一連のステップを実行するようにプログラムされている。
【0101】
このような機器の例を図3に示す。前記機器は、生物学的サンプル貯蔵ユニット、複数のセンサーエレメントを含む複数のパーティションを含む基材、廃棄物収集ユニット、変性溶液を含むユニット、および再懸濁溶液を含むユニットの間を、ボリュームを移送することができる自動化ピペットを含む。前記自動化機器は、センサーエレメントを含む前記基材内のパーティションの中に前記生物学的サンプルの部分を移送すること、前記サンプルの部分を前記センサーエレメントとインキュベートして前記生物学的サンプルからの生体分子を前記センサーエレメントに結合させること、前記センサーエレメントに結合していない生体分子を含む前記パーティションから内容物を除去すること、および、その次に、前記パーティション内に残った前記生体分子を質量分析(MS)解析(例えば、LC-MS)のために調製すること、を含む生体分子コロナアッセイを行うことができる。
【0102】
前記ローディングは、前記システム内の他の全てのユニットへのアクセスを可能にする程度の可動性を有し得る。前記ローディングは、ピペッティング機能を果たす能力を有し得る。
【0103】
本開示のシステムまたは機器は、シングルプレート、6ウェルプレート、12ウェルプレート、96ウェルプレート、192ウェルプレート、384ウェルプレート、またはマイクロチューブのラックのための支持体を含み得る。いくつかの実施形態において、本開示のシステムまたは機器は、前記支持体とサンプルの温度を調節することができるサーマルユニットを含み得る。いくつかの実施形態において、本開示のシステムまたは機器は、サンプルを物理的に撹拌および/または混合することができる回転ユニットを含み得る。
【0104】
いくつかの実施形態において、前記複合的な生物学的サンプル内の分析物の集団と前記複数の粒子の間の結合相互作用を検出するための、異なる物理化学的特性を有する表面を含む前記複数の粒子は、前記センサーアレイのパーティション内の表面に固定化されている。いくつかの実施形態において、前記複数の粒子は、前記複合的な生物学的サンプル内の分析物の集団と前記複数の粒子の間の結合相互作用を検出するための、異なる物理化学的特性を有する、溶液中の複数の磁性ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態において、前記システムは、前記センサーアレイプレートが、磁化支持体と、前記支持体およびサンプルの温度を調節することができるサーマルユニットとを含む追加の第7のユニットに移送され、追加の時間にわたってインキュベートされるステップを含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、前記第4のユニットは、前記センサーアレイプレートを生成させ;未結合のサンプルを洗浄し;および/または質量分析のためのサンプルを調製するための試薬のセットを含む。いくつかの実施形態において、前記生物学的サンプルを前記センサーアレイの特定のパーティションと接触させることは、前記生物学的サンプルの特定のボリュームを、前記センサーアレイの前記特定のパーティション内にピペッティングすることを含む。いくつかの実施形態において、前記生物学的サンプルを前記センサーアレイの特定のパーティションと接触させることは、溶液中の複数の粒子と前記生物学的サンプルの、1:1、1:2:1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、または1:20の比に対応するボリュームをピペッティングすることを含む。
【0106】
いくつかの実施形態において、前記生物学的サンプルを前記センサーアレイの特定のパーティションと接触させることは、前記生物学的サンプルの少なくとも10マイクロリットル、少なくとも50マイクロリットル、少なくとも100マイクロリットル、少なくとも250マイクロリットル、少なくとも500マイクロリットル、または少なくとも1000マイクロリットルのボリュームを、前記センサーアレイの前記特定のパーティション内にピペッティングすることを含む。
自動化機器
【0107】
いくつかの態様において、本開示は、複数のパーティションを含む基材、前記生物学的サンプルを含む第1のユニット、および基板全域にわたって移動可能であり、かつ前記機器の異なるユニットの間を、ボリューム(例えば、バッファーのボリューム)を移送することができるローディングユニットを含む、生物学的サンプルから生体分子のサブセットを生成させるための自動化機器を提供する。いくつかのケースにおいて、前記基材は、マルチウェルプレートである。
【0108】
前記複数のパーティションは、複数のセンサーエレメントを含み得る。前記複数のセンサーエレメントは、粒子を含み得る。前記複数のセンサーエレメントは、粒子(例えば、ナノ粒子または微小粒子)であり得る。
【0109】
前記複数のパーティションの中のパーティションは、1~100種類のセンサーエレメント(例えば、特異な粒子種)を含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、2~50種類のセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、2~5種類のセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、3~8種類のセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、4~10種類のセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、5~12種類のセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、6~15種類のセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、8~20種類のセンサーエレメントを含み得る。
【0110】
前記複数のパーティションの中の2つまたはそれを超えるパーティションは、異なる個数のセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中の2つまたはそれを超えるパーティションは、異なる種類のセンサーエレメントを含み得る。複数のパーティションの中のパーティションは、前記複数中の他のパーティションとは異なるセンサーエレメント(単数または複数)の種類および/または個数の組み合わせを含み得る。複数のパーティション中のパーティションのサブセットは、それぞれ、前記複数中の他のパーティションに対して特異である、特異なセンサーエレメントの組み合わせを含み得る。
【0111】
センサーエレメントは、乾燥形態で、前記パーティションの内側または内部に保管され得る。乾燥したセンサーエレメントは、使用前に、再構成または再水和され得る。センサーエレメントは、また、溶液中で保管され得る。例えば、基材パーティションは、高濃度の粒子を含む溶液を含み得る。
【0112】
前記複数のパーティションの中のパーティションは、異なる濃度または量(例えば、単位体積のサンプルあたりの質量/モル量で)のセンサーエレメントを含む。前記複数のパーティションの中のパーティションは、1pM~100nMのセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、1pM~500pMのセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、10pM~1nMのセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、100pM~10nMのセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、500pM~100nMのセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、50μg/ml~300μg/mlのセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、100μg/ml~500μg/mlのセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、250μg/ml~750μg/mlのセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、400μg/ml~1mg/mlのセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、600μg/ml~1.5mg/mlのセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、800μg/ml~2mg/mlのセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、1mg/ml~3mg/mlのセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、2mg/ml~5mg/mlのセンサーエレメントを含み得る。前記複数のパーティションの中のパーティションは、5mg/ml超のセンサーエレメントを含み得る。
【0113】
前記ローディングユニットは、前記機器の中の任意のユニット、コンパートメント、またはパーティションの間を移動するように、およびその間をボリューム(例えば、溶液または粉末のボリューム)を移送するように構成され得る。前記ローディングユニットは、正確なボリューム(例えば、特定のボリュームの0.1%、0.01%、0.001%以内)を移動させるように構成され得る。前記ローディングユニットは、前記基材または前記基材内のコンパートメントもしくはパーティションからボリュームを収集し、前記ボリュームを前記基材または前記基材内のコンパートメントもしくはパーティションの中に分注して戻すように構成されるか、または前記ボリュームまたは前記ボリュームの部分を、異なるユニット、コンパートメント、またはパーティションの中に分注するように構成され得る。前記ローディングユニットは、多様なボリューム(例えば、2~400の別々のボリュームなど)を同時に移動させるように構成され得る。前記ローディングユニットは、複数のピペットチップを含み得る。
【0114】
前記ローディングユニットは、脂質のボリュームを移動させるように構成され得る。前記ボリュームは、約0.1μl、0.2μl、0.3μl、0.4μl、0.5μl、0.6μl、0.7μl、0.8μl、0.9μl、1μl、2μl、3μl、4μl、5μl、6μl、7μl、8μl、9μl、10μl、12μl、15μl、20μl、25μl、30μl、40μl、50μl、60μl、70μl、80μl、90μl、100μl、120μl、150μl、180μl、200μl、250μl、300μl、400μl、500μl、600μl、800μl、1ml、または1ml超であり得る。前記脂質は、生物学的サンプルまたは溶液であり得る。
【0115】
いくつかのケースにおいて、前記溶液は、洗浄溶液、再懸濁溶液、変性溶液、バッファー、試薬(例えば、還元試薬)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかのケースにおいて、前記溶液は、生物学的サンプルを含む。
【0116】
部分的にこれらの機能性ゆえに、前記ローディングユニットは、サンプルを分割できることがあり得る。いくつかの実施形態において、これは、サンプルを多数のパーティションの中に分配することを含む。サンプルは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、120、150、180、200、250、300、350、400、500、またはそれを超えるパーティションの中に分配され得る。サンプルは、96、192、または384パーティションの中に分配され得る。前記自動化機器は、パーティションを含む多様な基材を含み得る。前記自動化機器は、パーティションを含む1、2、3、4、5、またはそれを超える基材を含み得る。いくつかのケースにおいて、前記ローディングユニットは、異なるパーティションの中に、異なるボリュームの前記生物学的サンプルをロードする。いくつかのケースにおいて、前記ローディングユニットは、2つまたはそれを超えるパーティションの中に同じボリュームをロードする。パーティションの中にロードされる生物学的サンプルの前記ボリュームは、約0.1μl、0.2μl、0.3μl、0.4μl、0.5μl、0.6μl、0.7μl、0.8μl、0.9μl、1μl、2μl、3μl、4μl、5μl、6μl、7μl、8μl、9μl、10μl、12μl、15μl、20μl、25μl、30μl、40μl、50μl、60μl、70μl、80μl、90μl、100μl、120μl、150μl、180μl、200μl、250μl、300μl、400μl、500μl、600μl、800μl、1ml、または1ml超であり得る。パーティションの中にロードされる生物学的サンプルの前記ボリュームは、約10μl~400μlであり得る。パーティションの中にロードされる生物学的サンプルの前記ボリュームは、約5μl~150μlであり得る。パーティションの中にロードされる生物学的サンプルの前記ボリュームは、約35μl~80μlであり得る。いくつかのケースにおいて、前記ローディングユニットは、2つまたはそれを超える生物学的サンプルを分配し得る。例えば、サンプル貯蔵ユニットは、前記システムが、1ウェルプレートの中に分配する2つの生物学的サンプルを含み得る。いくつかの実施形態において、前記ローディングユニットは、質量分析のための前記サンプルの質量分析ユニットへの移送を促進し得る。
【0117】
前記システムは、サンプルまたはサンプルパーティションを希釈するように構成され得る。サンプルまたはサンプルパーティションは、バッファー、水(例えば、精製水、非水溶媒、またはそれらの任意の組み合わせで希釈され得る。前記希釈剤は、基材パーティションの中に分配される前に、前記自動化機器中に保管され得る。前記自動化機器は、pH、塩分濃度、オスモル濃度、粘度、誘電率、またはそれらの任意の組み合わせが異なる複数の希釈剤を保管し得る。前記希釈剤は、サンプルまたはサンプルパーティションの化学的特性を調節するために使用され得る。前記自動化機器は、サンプルまたはサンプルパーティションを、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、8倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、150倍、200倍、300倍、400倍、500倍、または500倍超希釈し得る。前記自動化機器は、2つのサンプルまたはサンプルパーティションに対して、異なる希釈を実行し得る。前記システムは、複数のパーティションの中の各パーティションに対して、異なる希釈を実行し得る。例えば、前記システムは、96ウェルプレート中の96の各サンプルパーティションに対して、異なる希釈を実行し得る。いくつかのケースにおいて、前記異なる希釈は、異なる程度(例えば、2倍対4倍)の希釈を含む。いくつかのケースにおいて、前記異なる希釈は、異なる溶液(例えば、異なるバッファー)による希釈を含む。いくつかのケースにおいて、2つのサンプルパーティションは、1つまたはそれを超える化学的特性(例えば、pH、塩分濃度、または粘度)が異なるように作成され得る。
【0118】
いくつかのケースにおいて、前記システムは、サンプルまたはサンプルパーティションの化学組成を改変し得る。前記システムは、サンプルまたはサンプルパーティションのpH、塩分濃度、オスモル濃度、誘電率、粘度、バッファーの種類、塩の種類、糖の種類、界面活性剤の種類、またはそれらの任意の組み合わせを改変または調節し得る。このような改変または調節は、前記第4のユニットからの試薬と、サンプルまたはサンプルパーティションの混合を含み得る。前記システムは、2つのサンプルまたはサンプルパーティションの化学組成を異なるように改変し得る。
【0119】
本開示のシステムまたは自動化機器は、また、インキュベーションエレメントも含み得る。前記インキュベーションエレメントは、前記自動化機器の別のコンポーネント(例えば、前記基材またはユニット)を接触させ、担持し、または保持し得る。前記インキュベーションユニットは、前記自動化機器の多様なコンポーネントを接触させ、担持し、または保持し得る。前記インキュベーションエレメントは、前記基材を接触させ、前記インキュベーションエレメントと前記基材の間の熱移動を促進させ得る。前記インキュベーションユニットは、前記自動化機器の前記1つまたはそれを超えるコンポーネントの温度を(例えば、加熱または冷却によって)調節するように構成され得る。前記インキュベーションエレメントは、前記機器のコンポーネントを20℃~1℃に冷却することが可能であり得る。前記インキュベーションエレメントは、前記機器のコンポーネントを25℃~100℃に加熱することが可能であり得る。前記インキュベーションエレメントは、前記機器のコンポーネントの温度を4℃~37℃に合わせることが可能であり得る。前記インキュベーションエレメントは、前記自動化機器のコンポーネントの異なる部分を、異なる温度に加熱または冷却するように構成され得る。例えば、前記インキュベーションエレメントは、前記基材中の第1のパーティションを30℃に保持し、前記基材中の第2のパーティションを35℃に保持し得る。前記インキュベーションエレメントは、サンプルまたはパーティションの温度を制御し得る。前記インキュベーションエレメントは、パーティションまたは容器内の温度を検出するための温度センサー(例えば、熱電対)を含み得る。前記インキュベーションエレメントは、前記温度センサーからの読み取り値に、その加熱または冷却をキャリブレートし得る。
【0120】
前記インキュベーションエレメントは、前記自動化機器のコンポーネントを物理的に撹拌するように構成され得る。前記撹拌は、振盪もしくは回転、振動、揺動、超音波処理、またはそれらの任意の組み合わせの形態であり得る。前記インキュベーションエレメントは、多様な撹拌強度および/または振動数を与えることが可能であり得る。例えば、前記インキュベーションエレメントは、異なる振動数および振幅で振盪するための多様な設定を含み得る。前記インキュベーションエレメントは、また、ボリューム(例えば、前記生物学的サンプルの部分)をかき回す、および/または混合することも可能であり得る。
【0121】
前記自動化機器は、再懸濁溶液を含むユニットを含み得る。前記ローディングユニットは、前記再懸濁溶液のボリュームを、前記基材の前記複数のパーティションの中のパーティションに移送することが可能であり得る。いくつかのケースにおいて、これが、前記パーティション内に存在するサンプルの希釈をもたらし、また、前記パーティション内のセンサーエレメント上に配置された生体分子コロナからの複数の生体分子の脱着をさらにもたらし得る。生体分子コロナから脱着された生体分子の分量(quantity)は、前記パーティションに加えられる前記再懸濁溶液のボリューム、前記パーティションの温度、前記再懸濁溶液の組成(例えば、塩分濃度、オスモル濃度、粘度、誘電率、またはpH)、前記パーティション内の前記生物学的サンプルのボリューム、ならびに前記生体分子コロナ中のセンサーエレメントの種類および生体分子の組成に依存し得る。パーティションの中への前記再懸濁溶液のボリュームの移送は、生体分子コロナからの5%未満の前記生体分子の脱着をもたらし得る。パーティションの中への前記再懸濁溶液のボリュームの移送は、生体分子コロナからの10%~20%の前記生体分子の脱着をもたらし得る。パーティションの中への前記再懸濁溶液のボリュームの移送は、生体分子コロナからの20%~30%の前記生体分子の脱着をもたらし得る。パーティションの中への前記再懸濁溶液のボリュームの移送は、生体分子コロナからの30%~40%の前記生体分子の脱着をもたらし得る。パーティションの中への前記再懸濁溶液のボリュームの移送は、生体分子コロナからの40%~50%の前記生体分子の脱着をもたらし得る。パーティションの中への前記再懸濁溶液のボリュームの移送は、生体分子コロナからの50%~60%の前記生体分子の脱着をもたらし得る。パーティションの中への前記再懸濁溶液のボリュームの移送は、生体分子コロナからの60%~70%の前記生体分子の脱着をもたらし得る。パーティションの中への前記再懸濁溶液のボリュームの移送は、生体分子コロナからの70%~80%の前記生体分子の脱着をもたらし得る。パーティションの中への前記再懸濁溶液のボリュームの移送は、生体分子コロナからの80%~90%の前記生体分子の脱着をもたらし得る。パーティションの中への前記再懸濁溶液のボリュームの移送は、生体分子コロナからの90%超の前記生体分子の脱着をもたらし得る。
【0122】
いくつかのケースにおいて、多数のラウンドの脱着が行われる。各ラウンドにおいて、前記脱着された生体分子を含む上清は、収集され、分析され、または廃棄され得る。前記上清中の生体分子の種類および存在量は、脱着ラウンド間で異なり得る。前記自動化機器は、1つまたはそれを超える脱着および廃棄サイクル(すなわち、洗浄)(その後、サンプル収集および/または分析を含む1つまたはそれを超える脱着サイクルが続く)を実行し得る。
【0123】
前記再懸濁溶液は、特定のバイオマーカーの富化を最適化するように合わせて作られ得る。前記再懸濁溶液は、バッファー(例えば、トリス-EDTA(TE)、CHAPS、PBS、クエン酸、HEPES、MES、CHES、または別のバイオバッファーなど)を含み得る。前記再懸濁溶液は、トリスEDTA(TE)150mM KCl 0.05%CHAPSバッファーを含み得る。前記再懸濁溶液は、10mMトリスHCl pH 7.4、1mM EDTAを含み得る。前記再懸濁溶液は、また、高度精製水(例えば、蒸留または脱イオン水)も含むか、または高度精製水(例えば、蒸留または脱イオン水)であり得る。生体分子の脱着は、インキュベーションエレメントによる加熱または撹拌によって増大され得る。前記上清は、脱着に続いて、新しいパーティションに移送され得る。再懸濁溶液は、サンプルを希釈するために使用され得る。
【0124】
前記自動化機器は、変性溶液を含むユニットを含み得る。前記変性溶液は、プロテアーゼを含み得る。前記変性溶液は、ペプチド切断を行うことができる化学物質(例えば、臭化シアン、ギ酸、またはヒドロキシルアミン、2-ニトロ-5-チオシアナト安息香酸)を含み得る。前記変性溶液は、グアニジン、尿素、デオキシコール酸ナトリウム、アセトニトリル、トリクロロ酢酸、酢酸、スルホサリチル酸、炭酸水素ナトリウム、エタノール、パークロレート、ドデシル硫酸、またはそれらの任意の組み合わせなどの化学変性剤を含み得る。前記変性溶液は、還元剤(例えば、2-メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、またはトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンなど)を含み得る。前記プロテアーゼは、トリプシンであり得る。前記変性溶液は、脱着に続いて、パーティションに加えられ得る。前記変性溶液は、生体分子コロナを含むパーティションに加えられ得る。
【0125】
前記自動化機器は、磁石または磁石のアレイを含み得る。前記自動化機器は、前記基材を、前記磁石または磁石のアレイの上に、および前記磁石または磁石のアレイから離れるように動かすことが可能であり得る。前記磁石のアレイは、前記磁石のアレイの複数の磁石が、前記基材の複数のパーティションの直下に静止できるように構築され得る。前記磁石は、磁性センサーエレメント(例えば、コートされた、またはコートされていない超常磁性酸化鉄ナノ粒子などの磁性粒子)を、前記基材上のパーティション内に固定化することが可能であり得る。例えば、前記磁石は、洗浄ステップの間にパーティションから磁性ナノ粒子が除去されることを防ぎ得る。前記磁石は、また、磁性粒子の収集物から、ペレットを生成させ得る。前記磁石は、10分未満で、粒子ペレットを生成させ得る。前記磁石は、5分未満で、粒子ペレットを生成させ得る。前記粒子ペレットは、生体分子コロナを有する粒子を含み得る。
【0126】
前記自動化機器は、精製ユニットを含み得る。前記精製ユニットは、吸着剤または樹脂を含む複数のパーティションを含み得る。前記精製ユニットは、固相抽出アレイまたはプレートを含み得る。前記固相抽出アレイまたはプレートは、極性の固定相材料を含み得る。前記固相抽出アレイまたはプレートは、非極性の固定相材料を含み得る。前記固相抽出アレイまたはプレートは、C18の固定相材料(例えば、オクタデシル基シリカゲル)を含み得る。前記自動化機器は、精製ユニットのためのコンディショニング溶液(例えば、固相抽出材料のためのコンディショニング溶液)を有するユニットを含み得る。前記自動化機器は、前記精製ユニットから生体分子を除去するための溶離溶液を有するユニットを含み得る。
【0127】
いくつかの実施形態において、前記複数のセンサーエレメントおよび前記複数のセンサーエレメントと相互作用する分析物の集団を除いて、パーティションからコンポーネントが除去される(すなわち、洗浄ステップ)。いくつかの例において、前記自動化機器は、一連の洗浄ステップを実行し得る。洗浄ステップは、前記パーティション内の前記センサーエレメントに結合していない生体分子を除去し得る。洗浄ステップは、パーティション内のセンサーエレメントに結合した生体分子のサブセットを脱着し得る。例えば、洗浄ステップは、前記センサーエレメントに結合したハードコロナ分析物の大部分を残したまま、ソフトコロナ分析物のサブセットの脱着および除去をもたらし得る。
【0128】
いくつかの態様において、本開示は、生物学的サンプル中のタンパク質を同定するための自動化機器を提供し、前記自動化機器は、サンプル調製ユニット;複数のチャンネルを含む基材;複数のピペット;複数の溶液、複数の粒子を含み、またここで、前記自動化機器は、タンパク質コロナを形成し、かつ前記タンパク質コロナを消化するように構成されている。
【0129】
いくつかの態様において、本開示は、生物学的サンプル中のタンパク質を同定するための自動化機器を提供し、前記自動化機器は、サンプル調製ユニット;複数のチャンネルを含む基材;複数のピペット;複数の溶液、複数のナノ粒子を含み、ここで、前記自動化機器は、タンパク質コロナを形成させ、および前記タンパク質コロナを消化するように構成されており、またここで、前記溶液の少なくとも1つは、TE 150mM KCl 0.05% CHAPSバッファーである。
【0130】
いくつかの実施形態において、前記サンプル調製ユニットは、前記複数のピペットで、前記基材に、前記複数のナノ粒子を添加するように構成されている。いくつかの実施形態において、前記サンプル調製ユニットは、前記複数のピペットで、前記基材に、前記生物学的サンプルを添加するように構成されている。いくつかの実施形態において、前記サンプル調製ユニットは、前記複数のナノ粒子と前記生物学的サンプルをインキュベートして前記タンパク質コロナを形成させるように構成されている。
【0131】
いくつかの実施形態において、前記サンプル調製ユニットは、上清から前記タンパク質コロナを分離させてタンパク質コロナペレットを形成させるように構成されている。いくつかの実施形態において、前記サンプル調製ユニットは、前記タンパク質コロナペレットを、TE 150mM KCl 0.05% CHAPSバッファーで再構成させるように構成されている。
【0132】
いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、磁性源をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、BCA、ゲル、またはタンパク質コロナのトリプシン消化のために構成されている。
【0133】
いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、囲われている。いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、使用前に滅菌される。いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、質量分析に適合化されている。いくつかの実施形態において、前記自動化機器は、温度制御されている。
アッセイ方法
【0134】
いくつかの態様において、本開示は、生物学的サンプル中のタンパク質を同定する方法を提供する。いくつかのケースにおいて、前記方法は、本明細書に開示されている自動化機器に前記生物学的サンプルを加えること;前記自動化機器によってプロテオミクスデータを生成させること;および前記プロテオミクスデータを定量すること、を含む。
【0135】
いくつかの実施形態において、前記方法は、複数の生体分子を、前記自動化機器内で、前記生物学的サンプルとインキュベートして生体分子コロナを形成させることを含む。いくつかの実施形態において、前記生物学的サンプルを前記基材の前記パーティション内に含まれる前記複数のセンサーエレメント(例えば、粒子)とインキュベートすることは、少なくとも約10秒、少なくとも約15秒、少なくとも約20秒、少なくとも約25秒、少なくとも約30秒、少なくとも約40秒、少なくとも約50秒、少なくとも約60秒、少なくとも約90秒、少なくとも約2分、少なくとも約3分、少なくとも約4分、少なくとも約5分、少なくとも約6分、少なくとも約7分、少なくとも約8分、少なくとも約9分、少なくとも約10分、少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約25分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約50分、少なくとも約60分、少なくとも約90分、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、少なくとも約14時間、少なくとも約15時間、少なくとも約16時間、少なくとも約17時間、少なくとも約18時間、少なくとも約19時間、少なくとも約20時間、または少なくとも約24時間のインキュベーション時間を含む。いくつかのケースにおいて、2つのウェルは、2つの異なるインキュベーション時間を有するであろう。いくつかの実施形態において、前記生物学的サンプルを前記基材の前記パーティション内に含まれる前記複数の粒子とインキュベートすることは、約4℃~約37℃のインキュベーション温度を含む。いくつかの実施形態において、前記生物学的サンプルを前記基材の前記パーティション内に含まれる前記複数の粒子とインキュベートすることは、約4℃~約100℃のインキュベーション温度を含む。
【0136】
本開示の方法、システム、および機器は、前記基材上のパーティションをカバーまたはシールすることを含み得る。これは、前記機器の表面を蓋またはシールでカバーすることを含み得る。前記蓋またはシールは、溶液または種が、パーティションを離れること(例えば、パーティションから蒸発すること)を防止し得る。前記自動化機器は、蓋またはシールを付加および/または除去するように構成され得る。前記蓋またはシールは突き刺し可能であり得(例えば、セプタムを含み得る)、それによって前記蓋またはシールを取り除くことなく、シリンジまたはニードルが基材パーティションに進入することが可能になる。
【0137】
いくつかのケースにおいて、本開示のシステム、機器、および方法は、分析(例えば、質量分析)のために、前記生体分子コロナから分析物を調製することをさらに含む。これは、前記自動化機器中で、前記上清から前記生体分子コロナを分離することを含み得る。前記生体分子コロナは、前記上清を除去し、次いで前記生体分子コロナからの複数のタンパク質を脱着剤溶液(例えば、再懸濁溶液)の中に脱着することによって、前記上清から分離され得る。いくつかのケースにおいて、生体分子コロナからの生体分子の第1の部分は、前記生体分子コロナから脱着して廃棄され、また生体分子コロナからの生体分子の第2の部分は、前記生体分子コロナから脱着して(例えば、分析のために)収集される。生体分子コロナからの生体分子の多数の部分が、別々に、脱着され、収集され、および分析され得る。
【0138】
いくつかのケースにおいて、生体分子コロナの中の生体分子は、変性され、断片化され、化学的に修飾され、またはそれらの任意の組み合わせを受ける。これらの処理は、脱着された生体分子に対して、または生体分子コロナに対して行われ得る。生体分子コロナから脱着された前記複数の生体分子は、前記生体分子コロナからの1%、2%、3%、4%、5%、6%、8%、10%、12%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または99%超の生体分子を含み得る。前記脱着は、5秒、15秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、8分、10分、12分、15分、20分、30分、40分、50分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、12時間、または12時間超を含む、異なる長さの時間にわたって行われ得る。いくつかのケースにおいて、前記脱着は、物理的撹拌(例えば、振盪または超音波処理など)を含む。粒子コロナから脱着されるタンパク質のパーセントは、脱着時間、その中にタンパク質が脱着される前記脱着剤溶液の化学組成(例えば、pHまたはバッファー種)、脱着温度、適用される物理的撹拌の形態および強度、またはそれらの任意の組み合わせに依存し得る。さらに、タンパク質コロナから脱着される前記タンパク質の種類は、脱着条件および方法に応答性であり得る。タンパク質コロナから脱着される前記タンパク質の種類は、2つの脱着条件または方法の間で、1%、2%、3%、4%、5%、6%、8%、10%、12%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、または60%超異なり得る。
【0139】
いくつかのケースにおいて、分析のために生体分子コロナから分析物を調製することは、前記自動化機器内で、前記生体分子コロナ、前記タンパク質コロナの中の生体分子のサブセット、または前記生体分子コロナから脱着された生体分子を消化して消化サンプルを形成させることを含む。分析のために前記生体分子コロナから分析物を調製することは、また、前記生体分子コロナからの生体分子を化学的に修飾すること(例えば、前記生体分子をメチル化すること、または還元することなど)も含み得る。
【0140】
脱着された生体分子は、さらなる分析(例えば、質量分析)のために収集され得る。前記自動化機器は、例えば、生体分子コロナから脱着された生体分子を含む基材パーティションからサンプルのボリュームを収集することによって、前記収集を実行し得る。方法は、パーティションまたは複数のパーティション(例えば、ウェルプレート)(これらは、前記分析を行うための機器内に直接設置され得る)を設置することを含む。
【0141】
方法は、分析のために生体分子コロナからの分析物の調製の多数のラウンドを含み得る。方法は、調製の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超えるラウンドを含み得る。いくつかのケースにおいて、各ラウンドは、分析のための別々のサンプルを生成させる(例えば、脱着された生体分子は、各ラウンドの後に収集され、質量分析にかけられ得る)。2つのラウンドは、生体分子コロナから異なる複数のタンパク質を脱着させることを含み得る。2つのラウンドは、また、異なる脱着方法または条件(例えば、異なる脱着剤溶液ボリューム、異なる脱着剤溶液タイプ(例えば、異なるバッファーまたはオスモル濃度を含む脱着剤溶液)、異なる温度、または異なる種類または程度の物理的撹拌)も含み得る。1つの生体分子コロナからの調製の2つまたはそれを超える連続したラウンド(例えば、生体分子コロナからの生体分子の第1のサブセットの脱着および収集と、それに続く生体分子コロナからの生体分子の第2のサブセットの脱着および収集)は、2セットの生体分子を生成させ得る。これは、タンパク質コロナの中の生体分子相互作用の検出または分析の情報をもたらし得る。そうであるから、1つの生体分子コロナからの調製の多数のラウンドは、パーティションの数またはセンサーの種類を超える数の生体分子サブセットを生成させるために使用され得る。例えば、96パーティションを有する基材(例えば、96ウェルプレート)を利用する方法によって、各パーティションが粒子と溶液条件のユニークな組み合わせを含み、かつ各パーティションについて10ラウンドの分析物調製が行われる場合、960ものユニークな生体分子サブセットが生成され得る。
【0142】
別々のパーティションにおいて、分析物調製の異なる回数のラウンドが行われ得る。パーティションは、また、異なる分析物調製条件に曝露され得る。より多くのラウンドの分析物調製を行うことによって、分析のために収集されるタンパク質の数またはタンパク質の種類が増大し得る(例えば、同時的な質量分析的検出に利用できる濃度範囲内のより多くのタンパク質を生じさせる)。分析物調製の多数のラウンドが行われる場合に検出される前記タンパク質の数またはタンパク質の種類は、分析物調製の単一のラウンドが行われた場合よりも、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、または200%超多いことがあり得る。
【0143】
いくつかのケースにおいて、前記方法は、センサーエレメントを、パーティション内に固定化することを含む。前記固定化は、前記パーティションからボリュームが除去される場合(例えば、前記ローディングユニットは、前記パーティションから前記溶液の95%を除去する)に、前記パーティションから前記センサーエレメントが除去されることを防ぎ得る。固定化は、例えば、化学的に行われ得る(例えば、基材への共有結合または非共有結合)。化学的固定化は、センサーエレメントと、前記パーティションの表面を反応させることを含み得る。化学的固定化は、また、センサーエレメントを、前記パーティションの表面と、非共有的に結合させることも含み得る。例えば、センサーエレメントは、パーティションの表面と結合しているストレプトアビジンに結合するビオチン部位を含み得る。固定化は、磁界を与えて磁性センサーエレメントをパーティション内に保持することによって実現され得る。例えば、複数のセンサーエレメントは、複数の磁性粒子を含み得、また前記基材と前記磁石は、前記1つまたはそれを超える磁性粒子が前記基材中のパーティション内に固定化されるように近接していてもよい。固定化は、基材に、前記基材上のパーティション内に形成または埋設されたセンサーエレメントを供給することによって実現され得る。例えば、センサーエレメントは、前記基材の中のパーティションの表面上に形成された半粒子であり得る。
【0144】
いくつかのケースにおいて、センサーエレメント固定化は、生体分子コロナが前記センサーエレメントから分離することを可能にする。これは、センサーエレメントに結びついている生体分子コロナから複数の生体分子を脱着させること、前記パーティション内に前記センサーエレメントを固定化すること、および、その次に、前記生体分子コロナから前記複数の生体分子と共に前記溶液を収集し、それによってセンサーエレメントから少なくとも生体分子コロナの一部を分離させること、を含み得る。
【0145】
図4は、センサーエレメントの固定化を含む方法の例を示し、これは、本開示の自動化機器によって行われ得る。これらの方法は、サンプル中の生体分子のサブセット403および404を捕捉するために、粒子402および411を利用する。
【0146】
パネル400は、粒子402と生体分子を含むパーティション401を示す。前記粒子は、前記パーティション内に懸濁されており、また前記サンプルから生体分子403を吸着し、それによって生体分子コロナを形成する。多くの生体分子404は、前記粒子に吸着し得ず、その代わりに前記パーティション内に懸濁されるであろう。パネル410は、代替的な方法を示し、前記パーティションの表面上に形成された粒子411を含んでいる。
【0147】
パネル420および430は、前記粒子を固定化するための2つの方法を示す。パネル420において、前記粒子は、磁石421によって前記パーティションの底部に集められている。パネル430によって、前記粒子は、リンカー431によって前記パーティションに架橋されている。これらの方法は、両方とも、前記粒子を前記パーティションに固定化する。前記固定化プロセスを通して、粒子吸着生体分子403は、前記粒子に吸着されたままであり、一方で、未結合の生体分子404は、前記粒子に未結合のままである。
【0148】
パネル440は、パネル410、420、および430からの前記パーティションに対する洗浄ステップの結果を示す。3つのケース全てにおいて、前記洗浄は、前記固定化された粒子と、それに吸着された前記生体分子を残したまま、前記パーティションから未結合の生体分子を除去する。次に、パネル450は、前記生体分子コロナからの脱着を示し、ここで、第1の複数の生体分子451は、前記粒子から溶離し、第2の複数の生体分子403は、前記粒子に吸着されたままである。溶離する生体分子と吸着している生体分子の比、および前記粒子から溶離する生体分子の種類は、溶離条件(例えば、温度、物理的撹拌の程度と種類、pHなどの溶液条件)に依存する。前記溶離する生体分子は、さらなる処理(例えば、断片化)または直接分析のために(例えば、ローディングユニットによって)収集され得る。
【0149】
図5は、本開示の自動化機器によって行われ得るサンプル調製方法の例を示す。方法は、センサーエレメント512を利用して、生物学的サンプル502から生体分子のサブセットを生成させる。前記生物学的サンプル(パネル500に示す)(サンプル容器501に保管されている)は、多数の生体分子を含む。前記サンプルのボリュームは、場合により、処理504されてもよく(例えば、前記サンプルの中の細胞は溶解されてもよい、核酸およびタンパク質は断片化されてもよい、前記サンプルは大きな生体分子を除去するために濾過されてもよい、など)、次いで、センサーエレメント512を含むパーティション511に加えられてもよい。パネル520に図示されているように、前記生体分子521の部分は、前記センサーエレメントに結合し得、それによって前記センサーエレメントに結合しない生体分子522の部分から分離され得る。パネル530に示されるように、前記センサーエレメントは、次いで、前記パーティションを磁石531と接触させることによって、前記パーティション内に固定化され得る。前記パーティションは、次いで、洗浄サイクル(例えば、前記パーティションへのバッファーの添加と、それに続く前記パーティションからのサンプルの除去)にかけてもよく、それによって前記センサーエレメントに結合していない生体分子522の部分が除去される(パネル540に示す)。結合した生体分子521は、前記センサーエレメントから溶離され、さらなる処理または分析のために収集され得る。
【0150】
図6は、本開示の自動化機器によって行われ得るサンプル調製方法を示す。この方法は、サンプル502から生体分子503を収集するために基板パーティション511の表面上に形成されたセンサーエレメント512を利用する。前記生物学的サンプルは、前記サンプル保持ユニット501から前記基板パーティション511に移送504される。パネル520に示すように、前記センサーエレメントは、前記サンプルから前記生体分子の第1の部分521を吸着するであろうが、第2の部分522は未結合のままであろう。パネル530は、未結合の生体分子の除去を図示し、前記センサーエレメント512および前記センサーエレメント結合生体分子521は、前記パーティション内に残される。これらの生体分子は、次いで、前記センサーエレメントから脱着され、さらなる処理または分析のために(例えば、前記ローディングユニットによって)収集され得る。
【0151】
本明細書に開示されている方法は、溶液からセンサーエレメントを濾過することを含み得る。例えば、前記方法は、センサーエレメントに結びついている生体分子コロナから複数の生体分子を脱着させること、および前記センサーエレメントがフィルター上に収集され前記複数の生体分子が溶液中に残るように、前記溶液を濾過することを含み得る。前記濾過は、変性(例えば、消化)後に行われ得る。前記濾過は、また、インタクトなタンパク質などの複数の生体分子または生物学的な種も除去し得る(例えば、前記生物学的サンプルからの未消化タンパク質またはプロテアーゼ)。
【0152】
いくつかのケースにおいて、前記方法は、精製ステップを含む。前記精製ステップは、生体分子コロナからの分析物の調製に先行し得るか、または後続し得る。精製ステップは、生物学的サンプル(例えば、生体分子コロナから溶離または収集された生体分子)を、精製ユニット(例えば、クロマトグラフィーカラム)または精製ユニット内のパーティションに移送することを含み得る。精製は、前記基材からの複数のサンプルパーティションを、前記精製ユニット中の別々のパーティションの中に移送することを含み得る。前記精製ユニットは、固相抽出プレートを含み得る。前記精製ステップは、前記変性溶液から試薬(例えば、化学物質および酵素)を除去し得る。精製に続いて、前記生物学的サンプルは、さらなる富化または化学処理のために前記基材または精製ユニット内に再収集されてもよく、または直接分析(例えば、質量分析)のために収集されてもよい。
【0153】
まとめると、本開示の方法は、生物学的サンプルのための高度なプロファイリング深さを可能にする。本開示の方法において収集される前記生体分子のサブセットは、前記生体分子のサブセットをさらに操作または改変することなく、その生体分子のサブセットを収集した前記生物学的サンプル中の少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または60%超の種類の生体分子の質量分析的検出を可能にし得る。前記生体分子のサブセットは、前記生体分子のサブセットをさらに操作または改変することなく、サンプル中の少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、または50%超の種類のタンパク質の質量分析的検出を可能にし得る。センサーエレメント上に収集されるか、または分析のために調製される前記生体分子のサブセットは、前記生体分子のサブセットをさらに操作または改変することなく、サンプルにおいて6、7、8、9、10、11、12、またはそれを超える桁数におよぶ2つの生体分子(例えば、タンパク質)の同時的な質量分析的検出を可能にし得る。例えば、前記2つの生体分子は、単一のサンプルの中で6桁の範囲内の濃度で脱着および収集され、断片化され、次いで、質量分析にかけられ得る。
【0154】
いくつかのケースにおいて、ある種類のセンサーエレメント(例えば、単一のサンプルと接触している所与の種類の全てのセンサーエレメント)は、生物学的サンプルと接触した際に、少なくとも100~300種類のタンパク質を吸着する。ある種類のセンサーエレメントは、生物学的サンプルと接触した際に、少なくとも200~500種類のタンパク質を吸着する。ある種類のセンサーエレメントは、生物学的サンプルと接触した際に、少なくとも300~800種類のタンパク質を吸着する。ある種類のセンサーエレメントは、生物学的サンプルと接触した際に、少なくとも400~1000種類のタンパク質を吸着する。ある種類のセンサーエレメントは、生物学的サンプルと接触した際に、少なくとも500~1200種類のタンパク質を吸着する。
【0155】
いくつかのケースにおいて、複数のセンサーエレメントから収集された前記タンパク質は、タンパク質グループのレベルで同定されるであろう。パーティション中のセンサーエレメント上に収集された前記複数のタンパク質グループは、1~20,000のタンパク質グループを含むであろう。パーティション中のセンサーエレメント上に収集された前記複数のタンパク質グループは、100~10,000のタンパク質グループを含むであろう。パーティション中のセンサーエレメント上に収集された前記複数のタンパク質グループは、100~5,000のタンパク質グループを含むであろう。パーティション中のセンサーエレメント上に収集された前記複数のタンパク質グループは、300~2,200のタンパク質グループを含むであろう。パーティション中のセンサーエレメント上に収集された前記複数のタンパク質グループは、1,200~2,200のタンパク質グループを含むであろう。パーティション中のセンサーエレメント上に収集された前記複数のタンパク質グループは、20,000~25,000のタンパク質グループを含むであろう。パーティション中のセンサーエレメント上に収集された前記複数のタンパク質グループは、25,000~30,000のタンパク質グループを含むであろう。パーティション中のセンサーエレメント上に収集された前記複数のタンパク質グループは、30,000~50,000のタンパク質グループを含むであろう。
【0156】
本開示の方法は、生物学的サンプルからの低存在量の生体分子(例えば、タンパク質)の富化をもたらし得る。低存在量の生体分子は、生物学的サンプル中の濃度が10ng/mL以下の生体分子であり得る。
【0157】
本開示の方法は、同じサンプル中の同じ種類の最も多量な生体分子の濃度に対して、少なくとも6桁低い濃度で存在する生体分子(例えば、タンパク質)(例えば、低存在量のタンパク質は、前記サンプル中の最も多量なタンパク質に対して、濃度が少なくとも6桁低いタンパク質であり得る)の富化をもたらし得る。データベース(例えば、血漿プロテオームを特徴付けするCarrデータベース(Keshishianら、Mol.Cell Proteomics 14,2375-2393(2015)、Plasma Proteome Database(plasmaproteomedatabase.org))など)は、検出されたタンパク質または生体分子が、血漿サンプル中に存在する他の生体分子(単数または複数)に対して富化されているか否かを確認できるように、比較の基礎を提供し得る。類似のデータベースが、他の種類の生物学的サンプルのために使用され得る。
【0158】
特定のケースにおいて、前記生物学的サンプルは、血液、血漿、または血清を含み、生体分子コロナは、前記生物学的サンプルよりも、非アルブミンタンパク質に対するアルブミンの比率が低い。生体分子コロナにおいて、非アルブミンタンパク質に対するアルブミンの比は、タンパク質が脱着された前記サンプル中よりも、20%、30%、40%、50%、60%、または70%低いことがあり得る。
【0159】
複数の生体分子の濃度範囲は、生体分子コロナ形成の際に圧縮され得る。例えば、前記自動化機器は、濃度が前記サンプルにおいて最も濃縮された生体分子に対して6桁の範囲内である生体分子の種類の数を、少なくとも25%、50%、100%、200%、300%、500%、または1000%増加させ得る。同様に、前記自動化機器は、前記圧縮されたダイナミックレンジは、濃度が前記サンプルにおいて最も多量な生体分子に対して6桁の範囲内であるタンパク質の種類の数の増加を含み得る。前記自動化機器は、濃度が前記サンプルにおいて最も濃縮されたタンパク質に対して6桁の範囲内であるタンパク質の種類の数を、少なくとも25%、50%、100%、200%、300%、500%、または1000%増加させ得る。前記自動化機器は、生物学的サンプルからの生体分子のサブセットを富化させ得、また前記生体分子のサブセットは、前記生物学的サンプルからの生体分子の種類の少なくとも10%を、6桁の濃度範囲で含み得る。前記自動化機器は、生物学的サンプルからの生体分子のサブセットを富化させ得、また前記生体分子のサブセットは、前記生物学的サンプルからの生体分子の種類の少なくとも20%を、6桁の濃度範囲で含み得る。前記自動化機器は、生物学的サンプルからの生体分子のサブセットを富化させ得、また前記生体分子のサブセットは、前記生物学的サンプルからの生体分子の種類の少なくとも30%を、6桁の濃度範囲で含み得る。前記自動化機器は、生物学的サンプルからの生体分子のサブセットを富化させ得、また前記生体分子のサブセットは、前記生物学的サンプルからの生体分子の種類の少なくとも40%を、6桁の濃度範囲で含み得る。前記自動化機器は、生物学的サンプルからの生体分子のサブセットを富化させ得、また前記生体分子のサブセットは、前記生物学的サンプルからの生体分子の種類の少なくとも50%を、6桁の濃度範囲で含み得る。前記自動化機器は、生物学的サンプルからの生体分子のサブセットを富化させ得、また前記生体分子のサブセットは、前記生物学的サンプルからの生体分子の種類の少なくとも60%を、6桁の濃度範囲で含み得る。前記自動化機器は、生物学的サンプルからの生体分子のサブセットを富化させ得、また前記生体分子のサブセットは、前記生物学的サンプルからの生体分子の種類の少なくとも70%を、6桁の濃度範囲で含み得る。前記自動化機器は、生物学的サンプルからの生体分子のサブセットを富化させ得、また前記生体分子のサブセットは、前記生物学的サンプルからのタンパク質の種類の少なくとも10%を、6桁の濃度範囲で含み得る。前記自動化機器は、生物学的サンプルからの生体分子のサブセットを富化させ得、また前記生体分子のサブセットは、前記生物学的サンプルからのタンパク質の種類の少なくとも20%を、6桁の濃度範囲で含み得る。前記自動化機器は、生物学的サンプルからの生体分子のサブセットを富化させ得、また前記生体分子のサブセットは、前記生物学的サンプルからのタンパク質の種類の少なくとも30%を、6桁の濃度範囲で含み得る。前記自動化機器は、生物学的サンプルからの生体分子のサブセットを富化させ得、また前記生体分子のサブセットは、前記生物学的サンプルからのタンパク質の種類の少なくとも40%を、6桁の濃度範囲で含み得る。前記自動化機器は、生物学的サンプルからの生体分子のサブセットを富化させ得、また前記生体分子のサブセットは、前記生物学的サンプルからのタンパク質の種類の少なくとも50%を、6桁の濃度範囲で含み得る。前記自動化機器は、生物学的サンプルからの生体分子のサブセットを富化させ得、また前記生体分子のサブセットは、前記生物学的サンプルからのタンパク質の種類の少なくとも60%を、6桁の濃度範囲で含み得る。前記自動化機器は、生物学的サンプルからの生体分子のサブセットを富化させ得、また前記生体分子のサブセットは、前記生物学的サンプルからのタンパク質の種類の少なくとも70%を、6桁の濃度範囲で含み得る。
【0160】
本開示の方法およびセンサーエレメントは、生体分子コロナの組成が、サンプル脂質濃度に対して不変であるように適合化され得る。生物学的サンプル中の脂質濃度の最大で10%の変化は、生体分子コロナにおけるタンパク質の組成の5%、2%、1%、または0.1%未満の変化をもたらし得る。生物学的サンプル中の脂質濃度の最大で10%の変化は、生体分子コロナにおけるタンパク質の種類の数の5%、2%、1%、または0.1%未満の変化をもたらし得る。生物学的サンプル中の脂質濃度の最大で10%の変化は、生体分子コロナにおけるタンパク質の総数の5%、2%、1%、または0.1%未満の変化をもたらし得る。
【0161】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記自動化機器内で、前記消化サンプルを洗浄することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記プロテオミクスデータを定量することは、前記プロテオミクスデータを質量分析計に提供することを含む。いくつかの実施形態において、前記生物学的サンプルは、体液である。いくつかの実施形態において、前記体液は、血清または血漿である。
【0162】
いくつかのケースにおいて、単一のサンプル(例えば、プールされた血漿サンプルなど)に要する総アッセイ時間(サンプル調製およびLC-MSを含む)は、約8時間であり得る。単一のサンプル(例えば、プールされた血漿サンプルなど)に要する総アッセイ時間(サンプル調製およびLC-MSを含む)は、約、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、20時間未満、19時間未満、18時間未満、17時間未満、16時間未満、15時間未満、14時間未満、13時間未満、12時間未満、11時間未満、10時間未満、9時間未満、8時間未満、7時間未満、6時間未満、5時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満、少なくとも5分~10分、少なくとも10分~20分、少なくとも20分~30分、少なくとも30分~40分、少なくとも40分~50分、少なくとも50分~60分、少なくとも1時間~1.5時間、少なくとも1.5時間~2時間、少なくとも2時間~2.5時間、少なくとも2.5時間~3時間、少なくとも3時間~3.5時間、少なくとも3.5時間~4時間、少なくとも4時間~4.5時間、少なくとも4.5時間~5時間、少なくとも5時間~5.5時間、少なくとも5.5時間~6時間、少なくとも6時間~6.5時間、少なくとも6.5時間~7時間、少なくとも7時間~7.5時間、少なくとも7.5時間~8時間、少なくとも8時間~8.5時間、少なくとも8.5時間~9時間、少なくとも9時間~9.5時間、または少なくとも9.5時間~10時間であり得る。
ダイナミックレンジ
【0163】
本明細書に記載されている前記生体分子コロナ分析方法は、本開示のサンプル中の生体分子を、幅広いダイナミックレンジにわたってアッセイすることを含み得る。サンプルにおいてアッセイされる生体分子のダイナミックレンジは、サンプルの中に含まれる前記生体分子のためのアッセイ方法(例えば、質量分析、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、分光法、またはイムノアッセイ)によって測定した場合の、生体分子存在量の測定されたシグナルの範囲であり得る。例えば、幅広いダイナミックレンジにわたってタンパク質を検出することができるアッセイは、非常に存在量が少ないタンパク質から非常に存在量が多いタンパク質まで検出することが可能であり得る。アッセイのダイナミックレンジは、生体分子存在量の関数としてのアッセイシグナル強度の傾きと直接的に関係があり得る。例えば、低ダイナミックレンジによるアッセイは、生体分子存在量の関数としてのアッセイシグナル強度の小さい(しかしながら、正の)傾きを有し得、例えば、高存在量の生体分子について検出されるシグナルの比と、低存在量の生体分子について検出されるシグナルの比は、高ダイナミックレンジによるアッセイよりも、低ダイナミックレンジによるアッセイの方が小さいことがあり得る。特定のケースにおいて、ダイナミックレンジは、サンプルまたはアッセイ方法の中のタンパク質のダイナミックレンジを指し得る。
【0164】
本明細書に記載されている生体分子コロナ分析方法は、アッセイのダイナミックレンジを圧縮し得る。アッセイのダイナミックレンジは、生体分子存在量の関数としてのアッセイシグナル強度の傾きが別のアッセイのものよりも小さい場合、その別のアッセイに比べて圧縮されていることがあり得る。例えば、図13および図14に示すように、質量分析と共にタンパク質コロナ分析を用いてアッセイされる血漿サンプルは、質量分析のみを用いてアッセイされる血漿サンプルと比較して、圧縮されたダイナミックレンジを有し得る(アッセイは、サンプルについて直接的に、またはデータベース(例えば、Keshishianら、Mol.Cell Proteomics 14,2375-2393(2015)、本明細書において「Carrデータベース」とも呼ばれる)において提供される血漿タンパク質の存在量値と比較して行われる)。圧縮されたダイナミックレンジによって、質量分析のみを使用した場合よりも、質量分析と共に生体分子コロナ分析を用いた場合に、生物学的サンプル中のより低存在量の生体分子の検出が可能になり得る。
【0165】
いくつかの実施形態において、プロテオミクス解析アッセイの前記ダイナミックレンジは、存在量が最も多いタンパク質(例えば、存在量が上位10%のタンパク質)によって生成されるシグナルと存在量が最も少ないタンパク質(例えば、存在量が下位10%のタンパク質)の比であり得る。プロテオミクス解析のダイナミックレンジの圧縮は、第1のプロテオミクス解析アッセイにおける存在量が最も多いタンパク質によって生成されるシグナルと存在量が最も少ないタンパク質によって生成されるシグナルの比を、第2のプロテオミクス解析アッセイにおける比に比べて、低下させることを含み得る。本明細書に開示されているタンパク質コロナ分析アッセイは、総タンパク質分析方法(例えば、質量分析、ゲル電気泳動、または液体クロマトグラフィー)のダイナミックレンジに比べて、ダイナミックレンジを圧縮し得る。
【0166】
本明細書において、生体分子分析アッセイのダイナミックレンジを圧縮して、高存在量の生体分子に比べて低存在量の生体分子の検出を促進するためのいくつかの方法が提供される。例えば、本開示の粒子種は、サンプルを逐次的に調べるために使用され得る。前記サンプル中で前記粒子種をインキュベートすると、前記粒子種の表面上に生体分子コロナができる。前記粒子種を使用せずに前記サンプル中で生体分子を(例えば、前記サンプルの直接的な質量分析によって)直接検出した場合、ダイナミックレンジは、前記生体分子を前記粒子種の表面上で検出した場合よりも、より広い濃度範囲、またはより多い桁数に及び得る。よって、本明細書に開示されている前記粒子種を使用することは、サンプル中の生体分子のダイナミックレンジを圧縮するために使用され得る。理論に拘束されないが、この効果は、前記粒子種の生体分子コロナにおいて、アフィニティーがより高く、存在量がより少ない生体分子の捕捉がより多く、また粒子種の生体分子コロナにおいて、アフィニティーがより低く、存在量がより多い生体分子の捕捉がより少ないために観察される可能性がある。
【0167】
プロテオミクス解析アッセイのダイナミックレンジは、前記サンプル中のタンパク質の総存在量の関数としての、前記プロテオミクス解析アッセイによって測定されるタンパク質シグナルのプロットの傾きであり得る。前記ダイナミックレンジを圧縮することは、前記サンプル中のタンパク質の総存在量の関数としての、プロテオミクス解析アッセイによって測定されるタンパク質シグナルのプロットの傾きを、前記サンプル中のタンパク質の総存在量の関数としての、第2のプロテオミクス解析アッセイによって測定されるタンパク質シグナルのプロットの傾きに比べて、低下させることを含み得る。本明細書に開示されているタンパク質コロナ分析アッセイは、総タンパク質分析方法(例えば、質量分析、ゲル電気泳動、または液体クロマトグラフィー)のダイナミックレンジに比べて、ダイナミックレンジを圧縮し得る。
自動化システム
【0168】
本開示の種々の態様は、生物学的サンプルから生体分子のサブセットを単離するように構成された自動化機器、前記生体分子のサブセットを受け取り、質量分析シグナルまたはタンデム質量分析シグナルを含むデータを生成するように構成された質量分析計、ならびに1つまたはそれを超えるコンピュータープロセッサーを含むコンピューター、および(そのコードを実行した際に)生物学的フィンガープリントを生成させ、前記生物学的フィンガープリントに基づき生物学的状態を割り当てる、マシン実行可能コードを含むコンピューター可読媒体、を含む自動化システムを提供する。
【0169】
多くのケースにおいて、前記自動化機器は、生物学的溶液から生体分子を吸着し、それによって生体分子コロナを形成させる、センサーエレメントまたは複数のセンサーエレメントを含む。これらの生体分子コロナを構成する前記生体分子の種類、量、およびカテゴリーは、前記センサーエレメント自体の物理化学的特性、および前記異なる生体分子自体と前記センサーエレメントの間の複雑な相互作用に強く関連する。これらの相互作用は、センサーエレメントごとにユニークな生体分子コロナシグネチャーの生成を引き起こす。言い換えると、どの生体分子がセンサーエレメントと相互作用するかによって、前記生体分子コロナの構成が影響を受けるだけではなく、他の異なる生体分子のどれが、同様にその特定のセンサーエレメントと相互作用し得るかが変わり得る。
【0170】
それぞれが特有の生体分子コロナシグネチャーを有する異なるセンサーエレメントは、サンプルと接触し、そのサンプルついてユニークな生体分子フィンガープリントを生成させ得る。このフィンガープリントは、次いで、対象の疾患状態を決定するために使用され得る。複数のセンサーエレメントは、サンプル中の複数の生体分子に結合し、生体分子コロナシグネチャーを生成することが可能であり得る。複数のセンサーエレメントは、特異な生体分子コロナシグネチャーを有し得る。特定のケースにおいて、それぞれの種類のセンサーエレメントは、特異な生体分子コロナシグネチャーを有する。例えば、5種の粒子をそれぞれ5pM含む複数の粒子は、各粒子種について1つの生体分子コロナシグネチャーを有し得る。
【0171】
前記複数のセンサーエレメントは、サンプルと接触したとき、複数の生体分子コロナシグネチャー(これらが一緒になって生体分子フィンガープリントを形成する)を生成させる。前記「生体分子フィンガープリント」は、前記複数のセンサーエレメントについて少なくとも2つの生体分子コロナシグネチャーを有する生体分子の複合的な組成またはパターンである。前記生体分子フィンガープリントは、少なくとも5、10、20、40、80、150、または200の特異な生体分子コロナシグネチャーを含み得る。
【0172】
いくつかのケースにおいて、前記自動化システムは、前記生体分子コロナが各センサーエレメントについて別々にアッセイされ、それによって前記生体分子コロナシグネチャーが各エレメントについて決定されることが可能になり得るように構成される。より概括的には、前記自動化システムは、各サンプルパーティション(前記基材中の各ウェル)が、別々にアッセイされ得、それによって生体分子コロナシグネチャーの組み合わされたセットが各パーティションについて決定され得るように構成され得る。
【0173】
同様に、前記コンピューターは、(例えば、多数のラウンドの脱着によって)個々のパーティションから収集された多様な生体分子コロナシグネチャー、パーティション、または生体分子の別々のサブセットからのデータを比較するように構成され得る。これは、従来の方法では不可能なプロファイリング感度を実現し得る。多くの生物学的状態(多くの前疾患状態など)は、バイオマーカー分析単独では識別できないことが多い患者の生物学的サンプル(例えば、血液、尿など)において、微小な変化を生じさせる。本機器、システム、方法、およびセンサーエレメントの能力は、部分的に、生体分子コロナの組成に対する、センサーエレメントの特性と、生物学的サンプルの組成の相互依存に由来し、それゆえ、存在密度が低い生体分子の集団的な小さな変化、化学的な状態(例えば、翻訳後修飾の状態)の小さな変化、または構造的な小さな変化さえも、特定のセンサーエレメントについての前記生体分子コロナシグネチャーに対して重大な影響を与え得る。さらに、単一のセットのデータからでは明白ではない可能性がある生物学的状態は、多様な生体分子コロナシグネチャーまたはサンプルパーティション測定にわたる、異なる生体分子存在量の間の相関関係によって、明確に解明され得る。よって、ほぼ同一な生体分子コロナシグネチャーの組み合わせによって、健常な対象と癌に冒された対象が、高精度で識別され得る。
【0174】
いくつかのケースにおいて、前記コンピューターは、複数の前記特異な生体分子コロナシグネチャーの間の質量分析シグナルまたはタンデム質量分析シグナルの強度、APEX、ペプチドのスペクトル的カウントもしくは数、イオン移動度挙動を含むデータを処理するように構成されている。前記コンピューターは、複数の前記特異な生体分子コロナシグネチャーまたはサンプルパーティションの間の5,000~5,000,000のシグナルを処理するように構成され得る。前記コンピューターは、複数の前記特異な生体分子コロナシグネチャーまたはサンプルパーティションの間の10,000~5,000,000のシグナルを処理するように構成され得る。前記コンピューターは、複数の前記特異な生体分子コロナシグネチャーまたはサンプルパーティションの間の20,000~200,000のシグナルを比較するように構成され得る。前記コンピューターは、複数の前記特異な生体分子コロナシグネチャーまたはサンプルパーティションの間の400,000~1,000,000のシグナルを比較するように構成され得る。前記コンピューターは、複数の前記特異な生体分子コロナシグネチャーまたはサンプルパーティションの間の600,000~2,000,000のシグナルを比較するように構成され得る。前記コンピューターは、複数の前記特異な生体分子コロナシグネチャーまたはサンプルパーティションの間の1,000,000~5,000,000のシグナルを比較するように構成され得る。いくつかのケースにおいて、前記シグナルは、質量分析またはタンデム質量分析シグナルを含む。
【0175】
本開示の態様は、質量分析データ、タンデム質量分析データ、クロマトグラフデータ、イオン移動度データ、またはそれらの任意の組み合わせの1つまたはそれを超えるセットから生体分子フィンガープリントを生成させるための方法を提供する。いくつかのケースにおいて、質量分析データ、タンデム質量分析データ、クロマトグラフデータ、またはイオン移動度データは、生物学的サンプルからの生体分子の濃度を決定するために使用され得る。複数のサンプルパーティションは、単独の質量分析またはタンデム質量分析のランにかけられ得る。複数のサンプルパーティションは、また、プールされ、そして単一の質量分析またはタンデム質量分析のランにおいてまとめて分析され得る。多数の質量分析のランは、多様な異なるクロマトグラフ法(例えば、異なるカラム、バッファー、またはグラジエント)と連結され得る。単一の質量分析またはタンデム質量分析のラン単一の質量分析またはタンデム質量分析のランは、2時間未満、1時間未満、または1/2時間未満で行われる。
【0176】
本開示の態様は、生物学的状態および生体分子を、高い確実性および精度で同定するための方法を提供する。前記コンピューターは、質量分析シグナルまたはタンデム質量分析シグナルおよび/またはイオン移動度およびクロマトグラフ的挙動に基づいて、少なくとも95%の確率または確実性閾値で、生体分子を同定または未同定の分子特性を特徴付けするように構成され得る。前記コンピューターは、生体分子フィンガープリントを、生物学的状態と、少なくとも70%の精度、少なくとも75%の精度、少なくとも80%の精度、少なくとも85%の精度、少なくとも90%の精度、少なくとも92%の精度、少なくとも95%の精度、少なくとも96%の精度、少なくとも97%の精度、少なくとも98%の精度、少なくとも99%の精度、または100%の精度で関連づけし得る。前記コンピューターは、生体分子フィンガープリントを、生物学的状態と、少なくとも70%の感度で、少なくとも75%の感度で、少なくとも80%の感度で、少なくとも85%の感度で、少なくとも90%の感度で、少なくとも92%の感度で、少なくとも95%の感度で、少なくとも96%の感度で、少なくとも97%の感度で、少なくとも98%の感度で、少なくとも99%の感度で、または100%の感度で関連づけし得る。前記コンピューターは、生物学的フィンガープリントに関係する、違いが20%、15%、10%、または8%、5%、3%、2%、または1%未満である2つの生物学的状態の間を識別することが可能であり得る。いくつかの態様において、生体分子の同定は、閾値レベルの診断シグナルが検出された場合に確証される。例えば、質量分析アッセイにおいて、閾値数の3つのユニークに割り当て可能なペプチド断片シグナルがタンパク質グループ同定に提供された場合、特定のタンパク質グループに対応する2つのペプチドはカウントされないであろう。
センサーエレメント
【0177】
本明細書で使用される場合、用語「センサーエレメント」は、サンプルと接触した場合に複数の生体分子に結合することができるエレメントを指し、また、用語「粒子」を包含する。前記センサーエレメントは、少なくとも1つの方向に約5ナノメートル(nm)~約50000nmのエレメントであり得る。適切なセンサーエレメントは、それらに限定されないが、例えば、少なくとも1つの方向に約5nm~約50,000nmのセンサーエレメントを含み、約5nm~約40000nm、あるいは約5nm~約30000nm、あるいは約5nm~約20,000nm、あるいは約5nm~約10,000nm、あるいは約5nm~約5000nm、あるいは約5nm~約1000nm、あるいは約5nm~約500nm、あるいは約5nm~50nm、あるいは約10nm~100nm、あるいは約20nm~200nm、あるいは約30nm~300nm、あるいは約40nm~400nm、あるいは約50nm~500nm、あるいは約60nm~600nm、あるいは約70nm~700nm、あるいは約80nm~800nm、あるいは約90nm~900nm、あるいは約100nm~1000nm、あるいは約1000nm~10000nm、あるいは約10000nm~50000nm、およびそれらの組み合わせ、またはそれらの中間(例えば5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、S0nm、55nm、60nm、65nm、70nm、80nm、90nm、100nm、125nm、150nm、175nm、200nm、225nm、250nm、275nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、1000nm、1200nm、1300nm、1400nm、1500nm、1600nm、1700nm、1800nm、1900nm、2000nm、2500nm、3000nm、3500nm、4000nm、4500nm、5000nm、5500nm、6000nm、6500nm、7000nm、7500nm、8000nm、8500nm、9000nm、10000nm、11000nm、12000nm、13000nm、14000nm、15000nm、16000nm、17000nm、18000nm、19000nm、20000nm、25000nm、30000nm、35000nm、40000nm、45000nm、50000nm、およびそれらの中間の任意の数)が含まれる。ナノスケールセンサーエレメントは、少なくとも1つの方向に1ミクロン未満のセンサーエレメントを指す。ナノスケールセンサーエレメントの範囲の適切な例は、それらに限定されないが、例えば、1つの方向に約5nm~約1000nmのエレメントを含み、例えば、約5nm~約500nm、あるいは約5nm~約400nm、あるいは約5nm~約300nm、あるいは約5nm~約200nm、あるいは約5nm~約100nm、あるいは約5nm~約50nm、あるいは約10nm~約1000nm、あるいは約10nm~約750nm、あるいは約10nm~約500nm、あるいは約10nm~約250nm、あるいは約10nm~約200nm、あるいは約10nm~約100nm、あるいは約S0nm~約1000nm、あるいは約50nm~約500nm、あるいは約50nm~約250nm、あるいは約50nm~約200nm、あるいは約50nm~約100nm、およびそれらの任意の組み合わせ、それらの間の範囲または値(例えば5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、S0nm、55nm、60nm、65nm、70nm、80nm、90nm、100nm、125nm、150nm、175nm、200nm、225nm、250nm、275nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、1000nmなど)が含まれる。本明細書に記載されているセンサーアレイに関して、用語センサーエレメントの使用は、前記センサーエレメントのためのナノスケールセンサーエレメントの使用および関連する方法を含む。
【0178】
用語「複数のセンサーエレメント」は、1つを超える、例えば、少なくとも2つのセンサーエレメントを指す。いくつかの実施形態において、前記複数のセンサーエレメントは、少なくとも2つのセンサーエレメント~少なくとも1015のセンサーエレメントを含む。いくつかの実施形態において、前記複数のセンサーエレメントは、10~10、10~10、10~10、10~1010、10~1011、10~1012、10~1013、10~1014、10~1015、10~10、10~10、10~1010、10~1011、10~1012、10~1013、10~1014、10~1015、10~10、10~1010、10~1011、10~1012、10~1013、10~1014、10~1015、10~1010、10~1011、10~1012、10~1013、10~1014、10~1015、1010~1011、1010~1012、1010~1013、1010~1014、1010~1015、1011~1012、1011~1013、1011~1014、1011~1015、1012~1013、1012~1014、1012~1015、1013~1014、1013~1015、または1014~1015の異なるセンサーエレメントを含む。
【0179】
いくつかの実施形態において、複数のセンサーエレメントは、複数の種類のセンサーエレメントを含む。複数のセンサーエレメントは、少なくとも2~少なくとも1000種類のセンサーエレメント、あるいは少なくとも2~少なくとも50種類のセンサーエレメント、あるいは少なくとも2~30種類のセンサーエレメント、あるいは少なくとも2~20種類のセンサーエレメント、あるいは少なくとも2~10種類のセンサーエレメント、あるいは少なくとも3~少なくとも50種類のセンサーエレメント、あるいは少なくとも3~少なくとも30種類のセンサーエレメント、あるいは少なくとも3~少なくとも20種類のセンサーエレメント、あるいは少なくとも3~少なくとも10種類のセンサーエレメント、あるいは少なくとも4~少なくとも50種類のセンサーエレメント、あるいは少なくとも4~少なくとも30種類のセンサーエレメント、あるいは少なくとも4~少なくとも20種類のセンサーエレメント、あるいは少なくとも4~少なくとも10種類のセンサーエレメント、およびそれらの中間を意図する任意の数の種類のセンサーエレメント(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800など)が含まれる。前記複数のセンサーエレメントは、少なくとも6種類のセンサーエレメント~少なくとも20種類のセンサーエレメント、あるいは少なくとも6種類のセンサーエレメント~少なくとも10種類のセンサーエレメントを含み得る。
【0180】
いくつかのケースにおいて、センサーエレメントの数を増やすことは、所与のサンプル中で同定することができる生体分子(例えば、タンパク質)の数を増やすための方法であり得る。パネルサイズの拡大が、同定されるタンパク質の数をどのように増加させ得るかを、図10に示す。この図は、1~12の粒子種を含むパネルを利用したアッセイにおけるコロナ分析によって同定されるタンパク質の数を示す。これらのアッセイにおいて、特異なタンパク質は、タンパク質グループとは対照的に、質量分析によって同定された。同定されたタンパク質の種類の数は、粒子種の数が増えるにつれて増加し、その数は419のユニークな同定タンパク質(1つの粒子種を使用してタンパク質を収集した場合)から、1318のユニークな同定タンパク質(12種の粒子を使用してタンパク質を収集した場合)に及ぶ。
【0181】
前記センサーエレメントは、幅広い物理化学的特性を持たせるために官能化され得る。前記センサーエレメントを官能化する適切な方法は、当該技術分野において知られており、また前記センサーエレメントの組成(例えば金、酸化鉄、シリカ、銀など)に依存し、官能化は、それらに限定されないが、例えば、アミノプロピル官能化、アミン官能化、ボロン酸官能化、カルボン酸官能化、メチル官能化、サクシニミジルエステル官能化、PEG官能化、ストレプトアビジン官能化、メチルエーテル官能化、トリエトキシルプロピルアミノシラン官能化、チオール官能化、PCP官能化、シトレート官能化、リポ酸官能化、BPEI官能化、カルボキシル官能化、ヒドロキシル官能化などを含む。一実施形態において、前記センサーエレメントは、アミン基(-NHまたはカルボキシル基(COOH)によって官能化され得る。いくつかの実施形態において、前記ナノスケールセンサーエレメントは、極性官能基によって官能化される。極性官能基の非限定的な例としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基、シアノ基、ニトロ基、アンモニウム基、イミダゾリウム基、スルホニウム基、ピリジニウム基、ピロリジニウム基、ホスホニウム基、またはそれらの任意の組み合わせがあげられる。いくつかの実施形態において、前記官能基は、酸性官能基(例えば、スルホン酸基、カルボキシル基など)、塩基性官能基(例えば、アミノ基、環状第2級アミノ基(ピロリジル基およびピペリジル基など)、ピリジル基、イミダゾール基、グアニジン基など)、カルバモイル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基などである。いくつかの実施形態において、前記極性官能基は、イオン性官能基である。前記イオン性官能基の非限定的な例としては、アンモニウム基、イミダゾリウム基、スルホニウム基、ピリジニウム基、ピロリジニウム基、ホスホニウム基があげられる。いくつかの実施形態において、前記センサーエレメントは、重合可能な官能基によって官能化される。前記重合可能な官能基の非限定的な例としては、ビニル基および(メタ)アクリル基があげられる。いくつかの実施形態において、前記官能基は、ピロリジルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなどである。
【0182】
前記センサーエレメントの物理化学的特性は、表面電荷の改変によって改変され得る。例えば、前記表面は、中性の実効電荷、正の実効表面電荷、負の実効表面電荷、または両性イオン性電荷をもたらすために改変され得る。前記表面の電荷は、前記エレメントの合成の間に制御され得るか、または表面官能化による電荷の合成後改変によって制御され得る。ポリマーセンサーエレメント(例えば、ポリマー粒子)について、電荷の違いは、異なる合成手順を使用して、異なる荷電コモノマーを使用して、または無機物質において混合した酸化状態を有することによって、合成の間に実現され得る。
【0183】
前記複数のセンサーエレメントの非限定的な例としては、それらに限定されないが、なかでも、(a)同じ材料でできているが、生理化学的特性が異なる複数のセンサーエレメント、(b)1つまたはそれを超えるセンサーエレメントが、同じまたは異なる生理化学的特性を有する、異なる物質でできている複数のセンサーエレメント、(c)サイズが異なる、同じ材料でできている複数のセンサーエレメント、(d)サイズがほぼ同じである、異なる材料でできている複数のセンサーエレメント;(e)異なるサイズでできている、異なる材料でできている複数のセンサーエレメント、(f)各エレメントが異なる材料でできている、複数のセンサーエレメント、(g)異なる電荷を有する、複数のセンサーエレメントがあげられる。前記複数のセンサーエレメントは、各センサーエレメントがユニークな生体分子コロナシグネチャーをもたらす2つまたはそれを超えるセンサーエレメントの任意の適切な組み合わせであり得る。例えば、前記複数のセンサーエレメントは、本明細書に記載されている1つまたはそれを超えるリポソームおよび1つまたはそれを超える粒子を含み得る。一実施形態において、前記複数のセンサーエレメントは、種々の脂質含量および/または種々の電荷(カチオン性/アニオン性/中性)を有する、複数のリポソームであり得る。別の実施形態において、前記複数のセンサーは、同じ材料でできているが、サイズおよび生理化学的特性が異なる1つまたはそれを超えるナノ粒子を含み得る。別の実施形態において、前記複数のセンサーは、異なる材料(例えばシリカおよびポリスチレン)でできている、類似もしくは異なるサイズおよび/または生理化学的特性(例えば修飾、例えば、-NH、-COOH官能化)を有する1つまたはそれを超える粒子を含み得る。これらの組み合わせは、純粋に例として提供されており、本開示の範囲を限定するのもではない。
【0184】
センサーエレメントは、粒子(例えば、ナノ粒子またはマイクロ粒子)を含み得る。センサーエレメントは、粒子(例えば、ナノ粒子またはマイクロ粒子)であり得る。センサーエレメントは、材料の表面、または表面の部分を含み得る。センサーエレメントは、その内部に生体分子が入り込み得る多孔質材料(例えば、ポリマーマトリックス)を含み得る。センサーエレメントは、突起を有する材料(例えば、ポリマー、オリゴマー、または金属樹状突起など)を含み得る。センサーエレメントは、粒子の凝集体(例えば、ナノワームなど)を含み得る。
粒子材料
【0185】
本明細書に開示されている複数の粒子は、種々の異なる材料からできていてもよい。複数の粒子は、前記サンプル中の幅広い範囲のタンパク質を同定するために、または興味の対象となる特定のタンパク質もしくはタンパク質のセットについて選択的にアッセイするために、特定の種類のナノ粒子を含み得る。
【0186】
複数の粒子は、少なくとも1つの特異な粒子種、少なくとも2つの特異な粒子種、少なくとも3つの特異な粒子種、少なくとも4つの特異な粒子種、少なくとも5つの特異な粒子種、少なくとも6つの特異な粒子種、少なくとも7つの特異な粒子種、少なくとも8つの特異な粒子種、少なくとも9つの特異な粒子種、少なくとも10の特異な粒子種、少なくとも11の特異な粒子種、少なくとも12の特異な粒子種、少なくとも13の特異な粒子種、少なくとも14の特異な粒子種、少なくとも15の特異な粒子種、少なくとも16の特異な粒子種、少なくとも17の特異な粒子種、少なくとも18の特異な粒子種、少なくとも19の特異な粒子種、少なくとも20の特異な粒子種、少なくとも25の特異な粒子種、少なくとも30の特異な粒子種、少なくとも35の特異な粒子種、少なくとも40の特異な粒子種、少なくとも45の特異な粒子種、少なくとも50の特異な粒子種、少なくとも55の特異な粒子種、少なくとも60の特異な粒子種、少なくとも65の特異な粒子種、少なくとも70の特異な粒子種、少なくとも75の特異な粒子種、少なくとも80の特異な粒子種、少なくとも85の特異な粒子種、少なくとも90の特異な粒子種、少なくとも95の特異な粒子種、少なくとも100の特異な粒子種、1~5の特異な粒子種、5~10の特異な粒子種、10~15の特異な粒子種、15~20の特異な粒子種、20~25の特異な粒子種、25~30の特異な粒子種、30~35の特異な粒子種、35~40の特異な粒子種、40~45の特異な粒子種、45~50の特異な粒子種、50~55の特異な粒子種、55~60の特異な粒子種、60~65の特異な粒子種、65~70の特異な粒子種、70~75の特異な粒子種、75~80の特異な粒子種、80~85の特異な粒子種、85~90の特異な粒子種、90~95の特異な粒子種、95~100の特異な粒子種、1~100の特異な粒子種、20~40の特異な粒子種、5~10の特異な粒子種、3~7の特異な粒子種、2~10の特異な粒子種、6~15の特異な粒子種、または10~20の特異な粒子種を含み得る。複数の粒子は、3~10の粒子種を含み得る。複数の粒子は、4~11の特異な粒子種を含み得る。複数の粒子は、5~15の特異な粒子種を含み得る。複数の粒子は、5~15の特異な粒子種を含み得る。複数の粒子は、8~12の特異な粒子種を含み得る。複数の粒子は、9~13の特異な粒子種を含み得る。複数の粒子は、10の特異な粒子種を含み得る。前記粒子種は、ナノ粒子を含み得る。
【0187】
例えば、本開示は、少なくとも2つの特異な粒子種、少なくとも3つの異なる表面化学、少なくとも4つの異なる表面化学、少なくとも5つの異なる表面化学、少なくとも6つの異なる表面化学、少なくとも7つの異なる表面化学、少なくとも8つの異なる表面化学、少なくとも9つの異なる表面化学、少なくとも10の異なる表面化学、少なくとも11の異なる表面化学、少なくとも12の異なる表面化学、少なくとも13の異なる表面化学、少なくとも14の異なる表面化学、少なくとも15の異なる表面化学、少なくとも20の異なる表面化学、少なくとも25の異なる表面化学、少なくとも30の異なる表面化学、少なくとも35の異なる表面化学、少なくとも40の異なる表面化学、少なくとも45の異なる表面化学、少なくとも50の異なる表面化学、少なくとも100の異なる表面化学、少なくとも150の異なる表面化学、少なくとも200の異なる表面化学、少なくとも250の異なる表面化学、少なくとも300の異なる表面化学、少なくとも350の異なる表面化学、少なくとも400の異なる表面化学、少なくとも450の異なる表面化学、少なくとも500の異なる表面化学、2~500の異なる表面化学、2~5の異なる表面化学、5~10の異なる表面化学、10~15の異なる表面化学、15~20の異なる表面化学、20~40の異なる表面化学、40~60の異なる表面化学、60~80の異なる表面化学、80~100の異なる表面化学、100~500の異なる表面化学、4~15の異なる表面化学、または2~20の異なる表面化学を有する複数の粒子。
【0188】
本開示は、少なくとも2の異なる物理的特性、少なくとも3の異なる物理的特性、少なくとも4の異なる物理的特性、少なくとも5の異なる物理的特性、少なくとも6の異なる物理的特性、少なくとも7の異なる物理的特性、少なくとも8の異なる物理的特性、少なくとも9の異なる物理的特性、少なくとも10の異なる物理的特性、少なくとも11の異なる物理的特性、少なくとも12の異なる物理的特性、少なくとも13の異なる物理的特性、少なくとも14の異なる物理的特性、少なくとも15の異なる物理的特性、少なくとも20の異なる物理的特性、少なくとも25の異なる物理的特性、少なくとも30の異なる物理的特性、少なくとも35の異なる物理的特性、少なくとも40の異なる物理的特性、少なくとも45の異なる物理的特性、少なくとも50の異なる物理的特性、少なくとも100の異なる物理的特性、少なくとも150の異なる物理的特性、少なくとも200の異なる物理的特性、少なくとも250の異なる物理的特性、少なくとも300の異なる物理的特性、少なくとも350の異なる物理的特性、少なくとも400の異なる物理的特性、少なくとも450の異なる物理的特性、少なくとも500の異なる物理的特性、2~500の異なる物理的特性、2~5の異なる物理的特性、5~10の異なる物理的特性、10~15の異なる物理的特性、15~20の異なる物理的特性、20~40の異なる物理的特性、40~60の異なる物理的特性、60~80の異なる物理的特性、80~100の異なる物理的特性、100~500の異なる物理的特性、4~15の異なる物理的特性、または2~20の異なる物理的特性を有する複数の粒子を提供する。
【0189】
粒子は、種々の材料からできていてもよい。例えば、本開示に合致するナノ粒子材料は、金属、ポリマー、磁性材料、および脂質を含む。磁性ナノ粒子は、酸化鉄ナノ粒子であり得る。金属材料としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、イリジウム、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、レニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニオブ、モリブデン、タングステン、タンタル、鉄、およびカドミウムのいずれか1つ、もしくはそれらの任意の組み合わせ、またはUS7749299に記載されている任意の他の材料があげられる。
【0190】
ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ酸無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフマレート(polypropylfumerate)、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリウレア、ポリスチレン、またはポリアミン、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))、ポリエステル(例えば、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、ポリ乳酸、またはポリカプロラクトン)、もしくは2つまたはそれを超えるポリマーのコポリマー(例えば、ポリアルキレングリコール(例えば、PEG)とポリエステル(例えば、PLGA)のコポリマーなど)のいずれか1つ、またはそれらの任意の組み合わせがあげられる。いくつかの実施形態において、前記ポリマーは、脂質末端ポリアルキレングリコールおよびポリエステル、またはUS9549901に開示されている任意の他の材料である。ポリマーは、また、リポソームであり得る。
【0191】
本開示のナノ粒子を形成するために使用し得る脂質としては、例えば、カチオン性、アニオン性、および中性荷電脂質があげられる。例えば、ナノ粒子は、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシド、およびジアシルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、およびジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-サクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リジルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(palmitoyloleyolphosphatidylglycerol)(POPG)、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(palmitoyloleyolphosphatidylglycerol)(POPG)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(1-stearoyl-2-oleoyl-phosphatidyethanolamine)(SOPE)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、リン酸ジセチル、ならびにコレステロール、またはUS9445994に開示されている任意の他の材料のいずれか1つ、またはそれらの任意の組み合わせからできていてもよい。
【0192】
種々のケースにおいて、前記ナノ粒子のコアは、有機粒子、無機粒子、または有機材料と無機材料の両方を含む粒子を含み得る。例えば、前記粒子は、金属粒子、量子ドット粒子、金属酸化物粒子、またはコアシェル粒子であるコア構造、またはそれらを含むコア構造を有し得る。例えば、前記コア構造は、ポリマー粒子または脂質ベースの粒子であり得るか、またはそれらを含み得、また前記リンカーは、脂質、界面活性剤、ポリマー、炭化水素鎖、または両親媒性ポリマーを含み得る。例えば、前記リンカーは、ポリエチレングリコールまたはポリアルキレングリコールを含み得、例えば、前記リンカーの第1の末端は、ポリエチレングリコール(polyethelene glycol)(PEG)に結合した脂質を含み得、第2の末端は、前記PEGに結合した官能基を含み得る。粒子は、コアシェル構造を有し得る。いくつかのケースにおいて、前記粒子は、第1の材料または複合材料を含むコア、および異なる材料または複合材料を含む複数のシェルを有する。いくつかのケースにおいて、粒子は、1つの非磁性シェルまたは複数の非磁性シェルで囲まれた磁性コアを有する。例えば、粒子は、非磁性ポリマーシェルで囲まれた磁性酸化鉄コアを含み得る。いくつかのケースにおいて、磁性コアは、10nm~500nmの直径を有し、前記シェルは、5nm~100nmの厚さを有する。
【0193】
本開示に合致する粒子種の例を、以下の表1に示す。粒子の追加の例(例えば、磁性コアナノ粒子(MNP(magnetic core nanoparticle))および対応する表面化学を図7に示す。
【表1】
粒子の特性
【0194】
本開示に合致するナノ粒子は、幅広いサイズで、体液中でインキュベーションした後にタンパク質コロナを形成する方法において作成および使用され得る。例えば、本明細書に開示されている前記ナノ粒子は、少なくとも10nm、少なくとも100nm、少なくとも200nm、少なくとも300nm、少なくとも400nm、少なくとも500nm、少なくとも600nm、少なくとも700nm、少なくとも800nm、少なくとも900nm、10nm~50nm、50nm~100nm、100nm~150nm、150nm~200nm、200nm~250nm、250nm~300nm、300nm~350nm、350nm~400nm、400nm~450nm、450nm~500nm、500nm~550nm、550nm~600nm、600nm~650nm、650nm~700nm、700nm~750nm、750nm~800nm、800nm~850nm、850nm~900nm、100nm~300nm、150nm~350nm、200nm~400nm、250nm~450nm、300nm~500nm、350nm~550nm、400nm~600nm、450nm~650nm、500nm~700nm、550nm~750nm、600nm~800nm、650nm~850nm、700nm~900nm、または10nm~900nmであり得る。
【0195】
さらに、粒子は、均一な粒度分布または不均一な粒度分布を有し得る。多分散指数(PDI)(動的光散乱などの技術によって測定し得る)は、粒度分布の尺度である。低いPDIは、粒度分布がより均一であることを意味し、より高いPDIは、粒度分布がより不均一であることを意味する。いくつかのケースにおいて、複数の粒子のPDIは、0.01~0.1、0.1~0.5、0.5~1、1~5、5~20、または20超であり得る。
【0196】
本明細書に開示されている粒子は、ある範囲の異なる表面電荷を有し得る。粒子は、負に荷電し得、正に荷電し得、または電荷が中性であり得る。いくつかの実施形態において、粒子の表面電荷は、-500mV~-450mV、-450mV~-400mV、-400mV~-350mV、-350mV~-300mV、-300mV~-250mV、-250mV~-200mV、-200mV~-150mV、-150mV~-100mV、-100mV~-90mV、-90mV~-80mV、-80mV~-70mV、-70mV~-60mV、-60mV~-50mV、-50mV~-40mV、-40mV~-30mV、-30mV~-20mV、-20mV~-10mV、-10mV~0mV、0mV~10mV、10mV~20mV、20mV~30mV、30mV~40mV、40mV~50mV、50mV~60mV、60mV~70mV、70mV~80mV、80mV~90mV、90mV~100mV、100mV~110mV、110mV~120mV、120mV~130mV、130mV~140mV、140mV~150mV、150mV~200mV、200mV~250mV、250mV~300mV、300mV~350mV、350mV~400mV、400mV~450mV、450mV~500mV、-500mV~-400mV、-400mV~-300mV、-300mV~-200mV、-200mV~-100mV、-100mV~0mV、0mV~100mV、100mV~200mV、200mV~300mV、300mV~400mV、または400mV~500mVであり得る。
【0197】
種々の粒子形態が、本開示のパネルにおける粒子種に合致する。例えば、粒子は、球状、コロイド状、立方体状、ロッド状、ワイヤー状、錐状、ピラミッド状、または楕円状であり得る。
生体分子コロナ
【0198】
本明細書において、複数のセンサーエレメントを含む、から本質的になる、またはからなる生体分子コロナを生成させることができる自動化機器、システム、方法、およびセンサーエレメントが提供され、ここで、前記複数のセンサーエレメントは、互いに少なくとも1つの物理化学的特性が異なる。前記複数のセンサーエレメントは、複数の粒子(例えば、ナノ粒子)を含み得る。前記複数のセンサーエレメントは、複数の粒子であり得る。複数のセンサーエレメントは、複合的な生物学的サンプル中の複数の生体分子に結合し、生体分子コロナシグネチャーを生成することが可能であり得る。複数のセンサーエレメントは、複数の特異な生体分子コロナシグネチャーを含み得る。
【0199】
興味の対象となる生体分子(例えば、低存在量のタンパク質)は、生体分子コロナにおいて、未処理のサンプル(例えば、粒子を使用してアッセイされないサンプル)と比較して富化され得る。前記興味の対象となる生体分子は、タンパク質であり得る。前記生体分子コロナは、タンパク質コロナであり得る。富化のレベルは、その生体分子コロナを収集した生物学的サンプルと比較した、前記生体分子コロナ中の興味の対象となる生体分子の相対的存在量(例えば、生体分子の総数に対する、前記興味の対象となる生体分子のコピー数)の、パーセントで表した増加または倍率で表した増加であり得る。興味対象となる生体分子は、前記センサーエレメントと接触させていないサンプルと比較して、生体分子コロナ中の興味の対象となる生体分子の存在量を増加させることによって、前記生体分子コロナ中で富化させ得る。興味の対象となる生体分子は、高存在量の生物学的サンプルとなっている生体分子の存在量を減少させることによって富化させ得る。
【0200】
生体分子コロナ分析アッセイを使用して、生物学的サンプル(例えば、体液)中の低存在量の生体分子を迅速に同定し得る。生体分子コロナ分析を使用して、生物学的サンプル中の少なくとも約500の低存在量の生体分子を、前記生物学的サンプルをセンサーエレメント(例えば、粒子)と最初に接触させてから約8時間以内に同定し得る。生体分子コロナ分析は、生物学的サンプル中の少なくとも約1000の低存在量の生体分子を、前記生物学的サンプルをセンサーエレメント(例えば、粒子)と最初に接触させてから約8時間以内に同定し得る。生体分子コロナ分析は、生物学的サンプル中の少なくとも約500の低存在量の生体分子を、前記生物学的サンプルをセンサーエレメント(例えば、粒子)と最初に接触させてから約4時間以内に同定し得る。生体分子コロナ分析は、生物学的サンプル中の少なくとも約1000の低存在量の生体分子を、前記生物学的サンプルをセンサーエレメント(例えば、粒子)と最初に接触させてから約4時間以内に同定し得る。
【0201】
生体分子コロナシグネチャーは、タンパク質、ペプチド、ポリサッカライド、オリゴ糖、モノサッカライド、代謝物、脂質、核酸、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。前記生体分子コロナシグネチャーは、タンパク質コロナシグネチャーであり得る。前記生体分子コロナシグネチャーは、多糖類コロナシグネチャーであり得る。前記生体分子コロナシグネチャーは、代謝物コロナシグネチャーであり得る。前記生体分子コロナシグネチャーは、リピドミックコロナシグネチャーであり得る。前記生体分子コロナシグネチャーは、ソフトコロナおよびハードコロナに見いだされる前記生体分子を含み得る。前記ソフトコロナは、ソフトタンパク質コロナであり得る。前記ハードコロナは、ハードタンパク質コロナであり得る。
【0202】
前記生体分子コロナシグネチャーは、別々のセンサーエレメントのそれぞれ、またはナノ粒子のそれぞれに結合している異なる生体分子の組成、シグネチャー、またはパターンを指す。いくつかのケースにおいて、前記生体分子コロナシグネチャーは、タンパク質コロナシグネチャーである。別のケースにおいて、前記生体分子コロナシグネチャーは、多糖類コロナシグネチャーである。さらに別のケースにおいて、前記生体分子コロナシグネチャーは、代謝物コロナシグネチャーである。いくつかのケースにおいて、前記生体分子コロナシグネチャーは、リピドミックコロナシグネチャーである。前記シグネチャーは、前記異なる生体分子を指し得る。前記シグネチャーは、また、前記センサーエレメントもしくは前記ナノ粒子に結合した前記生体分子の量、レベル、もしくは分量(quantity)の違い、または前記センサーエレメントもしくは前記粒子に結合した前記生体分子の立体構造に違いも指し得る。各センサーエレメントの生体分子コロナシグネチャーは、同じ生体分子のいくつかを含み得ること、他のセンサーエレメントもしくはナノ粒子に関して特異な生体分子を含み得ること、および/または前記生体分子のレベルもしくは分量(quantity)、種類、もしくは立体構造(confirmation)が異なり得ることが意図されている。前記生体分子コロナシグネチャーは、前記センサーエレメントまたは前記粒子の物理化学的特性だけではなく、前記サンプルの性質および曝露の持続時間にも依存し得る。いくつかの実施形態において、前記生体分子コロナシグネチャーは、ソフトコロナおよびハードコロナに見いだされる前記生体分子を含む。
【0203】
いくつかの実施形態において、複数のセンサーエレメントは、前記センサーアレイが複合的な生物学的サンプルに接触した場合に、第1の生体分子コロナシグネチャーを生成させる第1のセンサーエレメント、および少なくとも1つの第2の生体分子コロナシグネチャーを生成させる少なくとも1つの第2のセンサーエレメント(例えば、少なくとも1つのナノ粒子)を含む。いくつかのケースにおいて、複数のセンサーエレメントの中のそれぞれの種類のセンサーエレメントは、特異な生体分子コロナシグネチャーを生成させる。
【0204】
前記複数のセンサーエレメントは、サンプルと接触した場合に、一緒になって生体分子フィンガープリントを形成し得る複数の生体分子コロナシグネチャーを生成させる。「生体分子フィンガープリント」は、前記複数のセンサーエレメントに関する少なくとも2つの生体分子コロナシグネチャーの生体分子の組み合わされた組成またはパターンを指す。前記生体分子フィンガープリントは、多くの異なる生体分子シグネチャーがアッセイされる時、少なくとも2つの生体分子コロナシグネチャー~例えば少なくとも1000の特異な生体分子コロナシグネチャーから形成され得ることが意図されている。前記生体分子コロナは、各センサーエレメント(例えば、各ナノ粒子または各リポソーム)について別々にアッセイされて各センサーエレメントについて前記生体分子コロナシグネチャーを決定し、また組み合わされて前記生体分子フィンガープリントを形成し得る。いくつかのケースにおいて、前記生体分子フィンガープリントは、2つまたはそれを超える生体分子コロナを同時にアッセイすることによって生成され得る。
同定されたタンパク質
【0205】
本明細書に開示されている自動化機器、システム、方法、およびセンサーエレメント(例えば、粒子)は、多くの生体分子、タンパク質、ペプチド、またはタンパク質グループを同定するために使用され得る。特性強度は、本明細書に開示されている場合、分析的測定からのシグナルの強度(例えばサンプルの質量分析ランからの質量電荷比の強度)を指す。本明細書に記載されているデータ分析方法を使用して、ペプチドおよびペプチドフラグメントの特性強度は、タンパク質グループの中にソートされ得る。タンパク質グループは、共通のペプチド配列によって同定される2つまたはそれを超えるタンパク質を指す。あるいは、タンパク質グループは、ユニークな同定配列を使用して同定される1つのタンパク質を指し得る。例えば、あるサンプルにおいて、2つのタンパク質(タンパク質1:XYZZXおよびタンパク質2:XYZYZ)の間で共通するペプチド配列がアッセイされた場合、タンパク質グループは、2つのメンバー(タンパク質1およびタンパク質2)を有する「XYZタンパク質グループ」であり得る。あるいは、前記ペプチド配列がただ1つのタンパク質(タンパク質1)にユニークである場合、タンパク質グループは、1つのメンバー(タンパク質1)を有する「ZZX」タンパク質グループであり得る。各タンパク質グループは、1つを超えるペプチド配列によって支持され得る。本開示に従って検出または同定されるタンパク質は、前記サンプルにおいて検出される特異なタンパク質(例えば、質量分析を使用して検出される他のタンパク質に対して特異な)を指し得る。よって、前記特異なセンサーエレメント種に対応する特異なコロナに存在するタンパク質の分析は、多数の特性強度を生じさせる。この数は、特性強度が特異なペプチドに処理されると減少し、特異なペプチドが特異なタンパク質に処理されるとさらに減少し、ペプチドがタンパク質グループ(特異なペプチド配列を共有する2つまたはそれを超えるタンパク質)にグループ化されるとさらに減少する。
【0206】
本明細書に開示されている自動化機器、システム、方法、およびセンサーエレメント(例えば、粒子)は、少なくとも少なくとも100のタンパク質グループ、少なくとも200のタンパク質グループ、少なくとも300のタンパク質グループ、少なくとも400のタンパク質グループ、少なくとも500のタンパク質グループ、少なくとも600のタンパク質グループ、少なくとも700のタンパク質グループ、少なくとも800のタンパク質グループ、少なくとも900のタンパク質グループ、少なくとも1000のタンパク質グループ、少なくとも1100のタンパク質グループ、少なくとも1200のタンパク質グループ、少なくとも1300のタンパク質グループ、少なくとも1400のタンパク質グループ、少なくとも1500のタンパク質グループ、少なくとも1600のタンパク質グループ、少なくとも1700のタンパク質グループ、少なくとも1800のタンパク質グループ、少なくとも1900のタンパク質グループ、少なくとも2000のタンパク質グループ、少なくとも2100のタンパク質グループ、少なくとも2200のタンパク質グループ、少なくとも2300のタンパク質グループ、少なくとも2400のタンパク質グループ、少なくとも2500のタンパク質グループ、少なくとも2600のタンパク質グループ、少なくとも2700のタンパク質グループ、少なくとも2800のタンパク質グループ、少なくとも2900のタンパク質グループ、少なくとも3000のタンパク質グループ、少なくとも3100のタンパク質グループ、少なくとも3200のタンパク質グループ、少なくとも3300のタンパク質グループ、少なくとも3400のタンパク質グループ、少なくとも3500のタンパク質グループ、少なくとも3600のタンパク質グループ、少なくとも3700のタンパク質グループ、少なくとも3800のタンパク質グループ、少なくとも3900のタンパク質グループ、少なくとも4000のタンパク質グループ、少なくとも4100のタンパク質グループ、少なくとも4200のタンパク質グループ、少なくとも4300のタンパク質グループ、少なくとも4400のタンパク質グループ、少なくとも4500のタンパク質グループ、少なくとも4600のタンパク質グループ、少なくとも4700のタンパク質グループ、少なくとも4800のタンパク質グループ、少なくとも4900のタンパク質グループ、少なくとも5000のタンパク質グループ、少なくとも10000のタンパク質グループ、少なくとも20000のタンパク質グループ、少なくとも100000のタンパク質グループ、100~5000のタンパク質グループ、200~4700のタンパク質グループ、300~4400のタンパク質グループ、400~4100のタンパク質グループ、500~3800のタンパク質グループ、600~3500のタンパク質グループ、700~3200のタンパク質グループ、800~2900のタンパク質グループ、900~2600のタンパク質グループ、1000~2300のタンパク質グループ、1000~3000のタンパク質グループ、3000~4000のタンパク質グループ、4000~5000のタンパク質グループ、5000~6000のタンパク質グループ、6000~7000のタンパク質グループ、7000~8000のタンパク質グループ、8000~9000のタンパク質グループ、9000~10000のタンパク質グループ、10000~11000のタンパク質グループ、11000~12000のタンパク質グループ、12000~13000のタンパク質グループ、13000~14000のタンパク質グループ、14000~15000のタンパク質グループ、15000~16000のタンパク質グループ、16000~17000のタンパク質グループ、17000~18000のタンパク質グループ、18000~19000のタンパク質グループ、19000~20000のタンパク質グループ、20000~25000のタンパク質グループ、25000~30000のタンパク質グループ、10000~20000のタンパク質グループ、10000~50000のタンパク質グループ、20000~100000のタンパク質グループ、2000~20000のタンパク質グループ、1800~20000のタンパク質グループ、または10000~100000のタンパク質グループを同定するために使用され得る。
【0207】
本明細書に開示されている自動化機器、システム、方法、およびセンサーエレメント(例えば、粒子)は、少なくとも少なくとも100のタンパク質、少なくとも200のタンパク質、少なくとも300のタンパク質、少なくとも400のタンパク質、少なくとも500のタンパク質、少なくとも600のタンパク質、少なくとも700のタンパク質、少なくとも800のタンパク質、少なくとも900のタンパク質、少なくとも1000のタンパク質、少なくとも1100のタンパク質、少なくとも1200のタンパク質、少なくとも1300のタンパク質、少なくとも1400のタンパク質、少なくとも1500のタンパク質、少なくとも1600のタンパク質、少なくとも1700のタンパク質、少なくとも1800のタンパク質、少なくとも1900のタンパク質、少なくとも2000のタンパク質、少なくとも2100のタンパク質、少なくとも2200のタンパク質、少なくとも2300のタンパク質、少なくとも2400のタンパク質、少なくとも2500のタンパク質、少なくとも2600のタンパク質、少なくとも2700のタンパク質、少なくとも2800のタンパク質、少なくとも2900のタンパク質、少なくとも3000のタンパク質、少なくとも3100のタンパク質、少なくとも3200のタンパク質、少なくとも3300のタンパク質、少なくとも3400のタンパク質、少なくとも3500のタンパク質、少なくとも3600のタンパク質、少なくとも3700のタンパク質、少なくとも3800のタンパク質、少なくとも3900のタンパク質、少なくとも4000のタンパク質、少なくとも4100のタンパク質、少なくとも4200のタンパク質、少なくとも4300のタンパク質、少なくとも4400のタンパク質、少なくとも4500のタンパク質、少なくとも4600のタンパク質、少なくとも4700のタンパク質、少なくとも4800のタンパク質、少なくとも4900のタンパク質、少なくとも5000のタンパク質、100~5000のタンパク質、200~4700のタンパク質、300~4400のタンパク質、400~4100のタンパク質、500~3800のタンパク質、600~3500のタンパク質、700~3200のタンパク質、800~2900のタンパク質、900~2600のタンパク質、1000~2300のタンパク質、1000~3000のタンパク質、3000~4000のタンパク質、4000~5000のタンパク質、5000~6000のタンパク質、6000~7000のタンパク質、7000~8000のタンパク質、8000~9000のタンパク質、9000~10000のタンパク質、10000~11000のタンパク質、11000~12000のタンパク質、12000~13000のタンパク質、13000~14000のタンパク質、14000~15000のタンパク質、15000~16000のタンパク質、16000~17000のタンパク質、17000~18000のタンパク質、18000~19000のタンパク質、19000~20000のタンパク質、20000~25000のタンパク質、25000~30000のタンパク質、または10000~20000のタンパク質を同定するために使用され得る。
【0208】
本明細書に開示されているセンサーエレメントは、本明細書に開示されている前記多数の特異なタンパク質、および/または本明細書に開示されている前記特定のタンパク質のいずれかを、幅広いダイナミックレンジにわたって同定するために使用され得る。例えば、本明細書に開示されている特異な粒子種を含む複数の粒子は、サンプル中のタンパク質(これは、本開示の方法を使用して同定し得る)について、タンパク質がサンプル(例えば、血漿サンプル)中に存在し得るダイナミックレンジ全体にわたって富化し得る。粒子のパネルは、本明細書に開示されている任意の数の特異な粒子種を含み得、また、サンプルにおいて少なくとも2桁~少なくとも12桁の濃度範囲にわたる生体分子を富化および同定し得る。
疾患の検出
【0209】
本明細書に開示されているシステムおよび方法は、対象からのサンプル中のマーカー(これは、特定の生物学的(例えば、疾患)状態に合致する)の検出のために使用され得る。前記生物学的状態は、疾患、障害、または組織の異常であり得る。前記疾患状態は、初期相および中間相の疾患状態であり得る。
【0210】
本開示のシステムおよび方法は、所与のサンプルにおいて、幅広い範囲の疾患状態を検出するために使用され得る。例えば、本開示のシステムおよび方法は、癌を検出するために使用され得る。前記癌は、脳癌、肺癌(lung cancer)、膵臓癌、神経膠芽腫、髄膜腫、骨髄腫、または膵臓癌であり得る。
【0211】
いくつかのケースにおいて、生体分子フィンガープリントは、対象の疾患状態を決定、対象における疾患を診断もしくは予測、または疾患状態もしくは疾患もしくは障害に関連するバイオマーカーのユニークなパターンを同定するために使用され得る。例えば、対象における経時的(数日、数か月、数年)な前記生体分子フィンガープリントの変化(これは、疾患または任意の他の疾患状態と関連し得る生体分子フィンガープリントの決定に幅広く適用され得る)によって、対象における疾患または障害(例えば疾患状態)を追跡する能力が可能になる。本明細書に開示されているように、疾患(例えば癌)を初期の段階に(さらには疾患が十分に発症または転移する以前であっても)検出する能力は、その患者のポジティブな転帰の著しい向上、ならびに平均余命を延長およびその疾患に関連する死亡率を低下させる能力を可能にする。
【0212】
本明細書に開示されている自動化機器、システム、方法、およびセンサーエレメント(例えば、粒子)は、ハイスループットな様式で、前記疾患の前段階または前駆段階に関連する生体分子フィンガープリントを生成させることが可能であるユニークな機会を提供し得る。本開示は、ハイスループットな様式で生体分子フィンガープリントを生成させるための、大スケールで迅速なサンプル処理を提供し、それによって多くの対象全体にわたって、対象の疾患状態の大スケールな決定、対象における疾患の診断もしくは予測、または疾患状態もしくは疾患もしくは障害に関連するバイオマーカーのユニークなパターンの同定が可能になる。
【0213】
いくつかの実施形態において、対象において疾患または障害を検出する方法が提供される。前記方法は、(a)前記対象からサンプルを得るステップ;(b)前記サンプルを本明細書に記載されているセンサーアレイと接触させるステップ;および(c)前記サンプルに関連する生体分子フィンガープリントを決定するステップを含み、ここで、前記生体分子フィンガープリントは、疾患状態にある対象の健康状態を、例えば、疾患または障害なしの健康状態、疾患または障害の前駆状態を有する健康状態、および疾患または障害を有する健康状態と区別する。
【0214】
生体分子フィンガープリントが前記サンプルと関連するか否かを決定することは、少なくとも2つのセンサーエレメントについて前記生体分子コロナシグネチャーを検出することを含み得、ここで、前記少なくとも2つの生体分子コロナシグネチャーの組み合わせは、前記生体分子フィンガープリントを生成させる。いくつかの実施形態において、前記少なくとも2つのセンサーエレメントの前記生体分子コロナシグネチャーは、別々にアッセイされ、その結果を組み合わせて前記生体分子フィンガープリントが決定される。いくつかの実施形態において、前記少なくとも2つのエレメントの前記生体分子コロナシグネチャーは、同時に、または同じサンプル中でアッセイされる。
【0215】
本明細書に記載されている自動化機器、システム、センサーアレイ、および方法は、疾患状態を決定するために、および/または疾患もしくは障害を予測もしくは診断するために使用され得る。意図される前記疾患または障害は、それらに限定されないが、例えば、癌、心血管疾患、内分泌疾患、炎症性疾患、神経性疾患などを含む。
【0216】
一実施形態において、前記疾患または障害は、癌である。用語「癌」は、腫瘍および良性の増殖を含む、細胞の異常な増殖によって特徴付けられる任意の癌、新生物性疾患、および前新生物性疾患を包含することが意図されている。癌は、例えば、肺癌(lung cancer)、膵臓癌、または皮膚癌であり得る。適切な実施形態において、本明細書に記載されている自動化機器、システム、センサーアレイ、および方法は、癌を診断することができる(例えば、対象が(a)癌を有していない、(b)前癌発生段階にある、(c)癌の初期段階にある、(d)癌の後期段階にあるか否かを決定することができる)だけではなく、いくつかの実施形態において、癌の種類も決定することができる。下記の実施例において実証されているように、6つのセンサーエレメントを含むセンサーアレイは、癌が存在する、または癌が存在しない疾患状態を正確に決定することができた。さらに、実施例によって、6つのセンサーエレメントを含むセンサーアレイは、異なる癌の種類(例えば、肺癌(lung cancer)、神経膠芽腫、髄膜腫、骨髄腫、および膵臓癌)の間を識別することができた。
【0217】
本開示の自動化機器、システム、センサーアレイ、および方法は、さらに、他の癌、例えば、急性リンパ性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);若年者における癌;副腎皮質癌;小児副腎皮質癌;小児の希少癌;AIDS関連癌;カポジ肉腫(軟部組織肉腫);AIDS関連リンパ腫(lympHoma);中枢神経系原発リンパ腫(lympHoma);肛門癌;虫垂癌(胃腸カルチノイド腫瘍を参照のこと);星細胞腫、小児(脳癌);異型性テラトイド/ラブドイド腫瘍、小児、中枢神経系(脳癌);皮膚の基底細胞癌(皮膚癌を参照のこと);胆管癌;膀胱癌;小児膀胱癌;骨癌(ユーイング肉腫および骨肉腫および悪性線維性組織球腫);脳腫瘍;乳癌;小児乳癌;気管支腫瘍、小児;バーキットリンパ腫(非ホジキンリンパ腫を参照のこと);カルチノイド腫瘍(胃腸の);小児カルチノイド腫瘍;原発不明の癌腫;小児原発不明の癌腫;心臓(cardiac(heart))腫瘍、小児;中枢神経系;異型性テラトイド/ラブドイド腫瘍、小児(脳癌);胚芽腫、小児(脳癌);胚細胞腫瘍、小児(脳癌);原発性CNSリンパ腫;子宮頸癌;小児子宮頸癌;小児癌;小児の癌、希少;胆管細胞癌(胆管癌を参照のこと);脊索腫、小児;慢性リンパ性白血病(CLL);慢性骨髄性白血病(CML);慢性骨髄増殖性新生物;結腸直腸癌;小児結腸直腸癌;頭蓋咽頭腫、小児(脳癌);皮膚T細胞リンパ腫(リンパ腫を参照のこと)(菌状息肉症およびセザリー症候群);非浸潤性乳管癌(DCIS)(乳癌を参照のこと);胚芽腫、中枢神経系、小児(脳癌);子宮内膜癌(子宮癌);上衣腫、小児(脳癌);食道癌;小児食道癌;鼻腔神経芽細胞腫(頭頸部癌);ユーイング肉腫(骨癌);頭蓋外胚細胞腫瘍、小児;性腺外胚細胞腫瘍;眼癌;小児眼球内メラノーマ;眼球内メラノーマ;網膜芽腫;卵管癌;骨の線維性組織球腫、悪性、および骨肉腫;胆嚢癌;胃(gastric(stomach))癌;小児胃(gastric(stomach))癌;胃腸カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍(GIST)(軟部組織肉腫);小児消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍;小児中枢神経系胚細胞腫瘍(脳癌);小児頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;卵巣胚細胞腫瘍;精巣癌;妊娠性絨毛性疾患;毛様細胞性白血病;頭頸部癌;心臓腫瘍、小児;肝細胞(肝臓)癌;組織球症、ランゲルハンス細胞;ホジキンリンパ腫;下咽頭癌(頭頸部癌);眼球内メラノーマ;小児眼球内メラノーマ;膵島腫瘍、膵神経内分泌腫瘍;カポジ肉腫(軟部組織肉腫);腎臓(腎細胞)癌;ランゲルハンス細胞組織球症;喉頭癌(頭頸部癌);白血病;口唇および口腔癌(oral cavity cancer)(頭頸部癌);肝臓癌;肺癌(lung cancer)(非小細胞および小細胞);小児肺癌;リンパ腫;男性乳癌;骨の悪性線維性組織球腫および骨肉腫;メラノーマ;小児メラノーマ;メラノーマ、眼内(目);小児眼球内メラノーマ;メルケル細胞癌(皮膚癌);中皮腫、悪性;小児中皮腫;転移癌;原発不明の頸部転移性扁平上皮癌(頭頸部癌);nut遺伝子変異を伴う正中線上の癌腫;口腔癌(mouth cancer)(頭頸部癌);多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞新生物;菌状息肉症(リンパ腫);骨髄異形成症候群、骨髄異形成性/骨髄増殖性新生物;骨髄性白血病、慢性(cml);骨髄性白血病、急性(aml);骨髄増殖性新生物、慢性;鼻腔および副鼻腔癌(頭頸部癌);鼻咽頭癌(頭頸部癌);神経芽細胞腫;非ホジキンリンパ腫;非小細胞肺癌;口腔癌(oral cancer)、口唇および口腔癌(oral cavity cancer)および中咽頭癌(頭頸部癌);骨肉腫および骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌;小児卵巣癌;膵臓癌;小児膵臓癌;膵神経内分泌腫瘍(膵島腫瘍);乳頭腫(小児の喉頭の);傍神経節腫;小児傍神経節腫;副鼻腔および鼻腔癌(頭頸部癌);副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌(頭頸部癌);クロム親和性細胞腫;小児クロム親和性細胞腫;下垂体腫瘍;形質細胞新生物/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;妊娠性乳癌;原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫;原発性腹膜癌;前立腺癌;直腸癌(rectal cancer);再発癌;腎臓細胞(腎臓)癌;網膜芽腫;横紋筋肉腫、小児(軟部組織肉腫);唾液腺癌(頭頸部癌);肉腫;小児横紋筋肉腫(軟部組織肉腫);小児血管腫瘍(軟部組織肉腫);ユーイング肉腫(骨癌);カポジ肉腫(軟部組織肉腫);骨肉腫(骨癌);軟部組織肉腫;子宮肉腫;セザリー症候群(リンパ腫);皮膚癌;小児皮膚癌;小細胞肺癌;小腸癌;軟部組織肉腫;皮膚の扁平上皮癌(皮膚癌を参照のこと);原発不明の頸部扁平上皮癌、転移性(頭頸部癌);胃(stomach(gastric))癌;小児胃(stomach(gastric))癌;T細胞リンパ腫、皮膚(リンパ腫を参照のこと)(菌状息肉症およびセザリー症候群);精巣癌;小児精巣癌;咽頭癌(頭頸部癌);鼻咽頭癌;中咽頭癌;下咽頭癌;胸腺腫および胸腺癌;甲状腺癌;腎盂および尿管の移行上皮癌(腎臓(腎細胞)癌);原発不明の癌腫;原発不明の小児癌;小児の希少癌;尿管および腎盂、移行上皮癌(腎臓(腎細胞)癌;尿道癌;子宮癌、子宮内膜;子宮肉腫;腟癌;小児腟癌;血管腫瘍(軟部組織肉腫);外陰癌;ウィルムス腫瘍および他の小児腎臓腫瘍;または若年成人の癌を検出するために使用され得る。
【0218】
いくつかのケースにおいて、前記疾患または障害は、心血管疾患である。本明細書で使用される場合、用語「心血管疾患」(CVD)または「心臓血管疾患」は、心臓、心臓弁、および身体の脈管構造(例えば、静脈および動脈)を冒す膨大な状態を分類するために使用され、また、それらに限定されないが、粥状動脈硬化、心筋梗塞、急性冠動脈症候群、狭心症(angina)、うっ血性心不全、大動脈瘤、大動脈解離、腸骨または大腿動脈瘤、肺塞栓症、心房細動、ストローク、一過性脳虚血発作、収縮不全、拡張機能障害、心筋炎、心房頻拍、心室細動、心内膜炎、末梢血管疾患、および冠動脈疾患(CAD)を含む疾患および状態を包含する。さらに、用語心血管疾患は、最終的には心血管イベントまたは心血管合併症(心血管疾患によって引き起こされる、対象における有害な状態の現れを指す)を生じさせる原因を指し、それらに限定されないが、心筋梗塞、不安定狭心症、動脈瘤、ストローク、心不全、非致死性心筋梗塞、ストローク、狭心症(angina
pectoris)、一過性脳虚血発作、大動脈瘤、大動脈解離、心筋症、異常な心臓カテーテル、異常な心臓画像、ステントまたはグラフト血行再建、異常なストレス試験を経験するリスク、異常な心筋灌流を経験するリスク、および死を含む。
【0219】
本明細書で使用される場合、心血管疾患(例えば、粥状動脈硬化)を検出、診断、または予測する能力は、患者が、心血管疾患の前段階にあるかどうか、初期形態、中等症形態、または重症形態の心血管疾患を発症しているかどうか、または心血管疾患に関連する1つまたはそれを超える心血管イベントもしくは合併症を経験したかどうかを決定することを含み得る。
【0220】
粥状動脈硬化(動脈硬化性血管疾患またはASVDとしても知られる)は、動脈壁最内層への白血球細胞を含む動脈プラークの浸潤ならびに蓄積および沈着の結果として動脈壁が肥厚し、それによって動脈が狭窄および硬化している心血管疾患である。動脈プラークは、マクロファージ細胞またはデブリの蓄積物であり、脂質(コレステロールおよび脂肪酸)、カルシウム、および様々な量の線維性結合組織を含む。粥状動脈硬化に関連する疾患は、それらに限定されないが、アテローム血栓症、冠動脈心疾患、深部静脈血栓症、頸動脈疾患、狭心症(angina pectoris)、末梢動脈疾患、慢性腎疾患、急性冠動脈症候群、血管狭窄、心筋梗塞、動脈瘤、またはストロークを含む。一実施形態において、本開示の自動化機器、組成、および方法は、異なる段階の粥状動脈硬化(それらに限定されないが、対象における異なる程度の狭窄を含む)を識別し得る。
【0221】
いくつかのケースにおいて、前記疾患または障害は、内分泌疾患である。用語「内分泌疾患」は、対象の内分泌系の調節不全に関連する障害を指す。内分泌疾患は、ホルモンの平衡失調の原因となる、内分泌性ホルモンを過剰に、または過小に生成する腺に起因し得るか、または内分泌系における病変(例えば結節または腫瘍など)(これらは、ホルモンレベルに影響し得るか、または影響し得ない)の発生に起因し得る。処置され得る適当な内分泌疾患としては、それらに限定されないが、例えば、先端巨大症、アジソン病、副腎癌、副腎障害、組織非形成性甲状腺癌、クッシング症候群、ド・ケルヴァン甲状腺炎、糖尿病、濾胞性甲状腺癌、妊娠糖尿病、甲状腺腫、グレーブス病、成長障害、成長ホルモン欠乏症、橋本甲状腺炎、ハースル細胞甲状腺癌、高血糖、副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、低血糖、副甲状腺機能低下症、甲状腺機能低下症、低テストステロン、甲状腺髄様癌、MEN 1、MEN 2A、MEN 2B、閉経期、メタボリックシンドローム、肥満、骨粗しょう症、乳頭様甲状腺癌、副甲状腺疾患、クロム親和性細胞腫、下垂体障害、下垂体腫瘍、多嚢胞性卵巣症候群、前糖尿病、サイレント(Silent)、甲状腺炎、甲状腺癌、甲状腺疾患、甲状腺結節、甲状腺炎、ターナー症候群、1型糖尿病、2型糖尿病などがあげられる。
【0222】
いくつかのケースにおいて、前記疾患または障害は、炎症性疾患である。本明細書において言及する場合、炎症性疾患は、対象の身体における制御されていない炎症によって引き起こされる疾患を指す。炎症は、外的または内的であり得る有害な刺激(例えば病原体、ネクローシスした細胞および組織、刺激物質などに)に対する、対象の生物学的反応である。しかしながら、炎症反応が異常になる場合、組織自体の傷害をもたらし、また、種々の疾患および障害を引き起こし得る。炎症性疾患は、それらに限定されないが、喘息、糸球体腎炎、炎症性腸疾患、関節リウマチ、過敏症、骨盤内炎症性疾患、自己免疫疾患、関節炎;壊死性腸炎(NEC)、胃腸炎、骨盤内炎症性疾患(PID)、肺気腫、胸膜炎、腎盂炎、咽頭炎、狭心症(angina)、尋常性ざ瘡、尿路感染症、虫垂炎、滑液包炎、大腸炎、膀胱炎、皮膚炎、静脈炎、鼻炎、腱炎、扁桃炎、血管炎、自己免疫疾患;セリアック病;慢性前立腺炎、過敏症、再灌流傷害;サルコイドーシス、移植片拒絶、血管炎、間質性膀胱炎、枯草熱、歯周炎、粥状動脈硬化、乾癬、強直性脊椎炎、若年性特発性関節炎、ベーチェット病、脊椎関節炎、ぶどう膜炎、全身性エリテマトーデス、および癌を含み得る。例えば、前記関節炎は、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、または若年性特発性関節炎などを含む。
【0223】
前記疾患または障害は、神経性疾患であり得る。神経障害または神経性疾患は、互換的に使用され、脳、脊髄、およびそれらをつなぐ神経を指す。神経性疾患は、それらに限定されないが、脳腫瘍、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、ALS、動静脈奇形、脳血管疾患、脳動脈瘤、てんかん、多発性硬化症、末梢神経障害、帯状疱疹後神経痛、ストローク、前頭側頭葉型認知症、脱髄性疾患(それらに限定されないが、多発性硬化症、デビック病(すなわち、視神経脊髄炎)、橋中心髄鞘崩壊症、進行性多巣性白質脳症、白質ジストロフィー、ギラン・バレー症候群、進行性炎症性ポリニューロパチー、シャルコー・マリー・トゥース病、慢性炎症性脱髄性ポリニューロパチー、および抗MAG末梢性ニューロパチーを含む)などを含む。神経障害は、また、免疫介在性神経障害(IMND(immune-mediated neurological disorder))も含み、免疫介在性神経障害は、免疫システムの少なくとも1つのコンポーネントが、中枢または末梢神経系中に存在する宿主タンパク質に反応し、疾患の病理に寄与する疾患を含む。IMNDは、それらに限定されないが、脱髄性疾患、傍腫瘍性神経症候群、免疫介在性脳脊髄炎、免疫介在性自律神経ニューロパチー、重症筋無力症、自己免疫性脳症、および急性散在性脳脊髄炎を含み得る。
【0224】
本開示の方法、システム、および/または機器は、アルツハイマー病に罹患している患者と、罹患していない患者を、正確に識別することが可能であり得る。これらは、症状が出る前の、スクリーニングの数年後にアルツハイマー病を発症し得る患者を検出することが可能であり得る。このことは、非常に初期の段階(さらには疾患の発症前であっても)で、患者を処置することが可能であるという利点をもたらす。
【0225】
本開示の方法、システム、および機器は、疾患または障害の前疾患段階を検出し得る。前疾患段階は、患者が、疾患のいかなる徴候または症状も発現していない段階である。前癌段階は、患者の体内に癌または腫瘍または癌性細胞が同定されていない段階であろう。前神経疾患段階は、人間が、前記神経性疾患の1つまたはそれを超える症状を発現していない段階であろう。疾患の1つまたはそれを超える徴候または症状が現れる前に疾患を診断する能力は、非常に早い段階で対象を詳細にモニタリングすることおよび疾患を処置する能力を可能にし、それが疾患の進行を停止させることが可能である見込み、または重症度を低減させることが可能である見通しを向上させる。
【0226】
本開示の自動化機器、システム、センサーアレイ、および方法は、いくつかの実施形態において、疾患または障害の初期段階を検出することが可能である。疾患の初期段階は、対象の内部で、疾患の最初の徴候または症状が顕在化し得る時を指し得る。疾患の初期段階は、外面的な徴候または症状が存在しない段階であり得る。例えば、アルツハイマー病において、初期段階は、まだ症状が検出されないが、数か月または数年後に患者がアルツハイマー病を発症するであろう、前アルツハイマー段階であり得る。
【0227】
疾患発症前または初期段階のいずれかにおいて疾患を同定することは、患者のポジティブな転帰の見込みを高め得ることが多い。例えば、初期段階(ステージ0またはステージ1)において癌を診断することによって、生存可能性が80%超向上し得る。ステージ0の癌は、癌が近傍組織に転移し始める前の癌を意味し得る。このステージの癌は、治癒可能性が高いことが多い(通常外科的な腫瘍全体の切除による)。ステージ1の癌は、通常、近傍組織中に深く成長しておらず、かつリンパ節または身体の他の部位に転移していない、小さな癌または腫瘍であり得る。
【0228】
図8は、本開示の自動化機器を使用して行われ得る、癌検出方法の概略的な全体図を示す。全血サンプルは、健常患者ならびに異なる種類およびステージの癌を有する患者を含む、患者の範囲から収集され得る。前記全血は、血漿サンプルに分画し、次いで、正に荷電した粒子、負に荷電した粒子、および中性粒子を含む、複数の種類の粒子と接触させてもよい。各粒子種は、前記血漿サンプルから異なる種類のタンパク質を収集し、それが各患者にユニークな生体分子フィンガープリントをもたらす。前記生体分子フィンガープリントは、各粒子種についてのタンパク質の相対的存在量を含むだけではなく、粒子種全体にわたるタンパク質の相対的存在量も含む。例えば、第1の粒子種についてのフィブロネクチンの存在量の増加は、第2の粒子種について補体成分4の存在量が低い場合にのみ、適切な指標であり得る。前記生体分子フィンガープリントは、どの患者が癌を有するかを決定するために使用され得るだけではなく、癌のステージおよび種類を決定するためにも使用され得る。
【0229】
いくつかの実施形態において、前記自動化機器、システム、センサーアレイ、および方法は、前記疾患の中間段階を検出することができる。疾患の中間状態は、最初の徴候および症状を通り越した疾患の段階を意味し、前記患者は、前記疾患の1つまたはそれを超える症状を有している。例えば、癌については、ステージIIまたはIIIの癌は、中間段階とみなされ、近傍組織中に深く成長した、より大きな癌または腫瘍を指す。いくつかの例において、ステージIIまたはIIIの癌は、また、リンパ節への転移も有し、身体の他の部位への転移は有さないことがあり得る。
【0230】
さらに、前記自動化機器、システム、センサーアレイ、および方法は、前記疾患の後期または進行段階を検出することができる。前記疾患の後期または進行段階は、また、「重症」または「進行した」とも呼ばれ、通常、対象がその疾患の多様な症状および影響を経験していることを指す。例えば、重症段階の癌は、ステージIVを含み、この場合、その癌は、身体の他の器官または部位に転移しており、進行癌または転移癌と呼ばれることがある。
【0231】
本開示の方法は、複数の疾患および/または複数の疾患状態に関連する生体分子フィンガープリントの生体分子フィンガープリントのコレクションに対して、前記サンプルの生体分子フィンガープリントを処理して、前記サンプルが疾患および/または疾患状態を指し示すかどうかを決定することを含み得る。例えば、サンプルは、経時的に、対象の集団から収集され得る。前記対象が疾患または障害を発症した際、本開示は、疾患を発症する前の同じ対象からの前記サンプルの前記生体分子フィンガープリントを、前記疾患を発症した後の前記対象の前記生体分子フィンガープリントに対して、計算的に分析することによって、前記対象における生体分子フィンガープリントの経時的な変化を特徴付けおよび検出する能力を可能にする。サンプルは、また、全てが同じ疾患を発症した患者のコホートから採取することもでき、これによって、これらの患者について、前記疾患の異なる段階(例えば、未発症から疾患状態まで)に関連する前記生体分子フィンガープリントの分析および特徴付けが可能になる。
【0232】
いくつかのケースにおいて、本開示の機器、システム、組成、および方法は、異なる種類の疾患の間を識別し得るだけではなく、前記疾患の異なる段階(例えば、癌の初期段階)の間も識別し得る。これは、健常な対象と前疾患状態の対象を識別することを含み得る。前記前疾患状態は、ステージ0またはステージ1の癌、神経変性疾患、認知症、冠疾患、腎疾患、心血管疾患(例えば、冠動脈疾患)、糖尿病、または肝疾患であり得る。前記疾患の異なる段階の間を識別することは、癌の2つのステージ(例えば、ステージ0とステージ1、またはステージ1とステージ3)の間を識別することを含み得る。
サンプル
【0233】
本開示のパネルは、タンパク質コロナからプロテオミクスデータを生成させるために使用し得、次いで、本明細書に記載されている前記生物学的状態いずれかと関連づけられ得る。本開示に合致するサンプルは、対象からの生物学的サンプルを含む。前記対象は、ヒトまたは非ヒト動物であり得る。生物学的サンプルは、体液であり得る。例えば、前記体液は、血漿、血清、CSF、尿、涙、または唾液であり得る。前記生物学的サンプルは、複数のタンパク質またはプロテオミクスデータを含み得、タンパク質のパネルにおける種々のセンサーエレメント(例えば、粒子)種の表面への吸着と、それに続くタンパク質コロナの消化の後に分析され得る。プロテオミクスデータは、核酸、ペプチド、またはタンパク質を含み得る。
【0234】
幅広い範囲の生物学的サンプルが、本開示の自動化機器の中での使用に適合する。前記生物学的サンプルは、血漿、血清、尿、脳脊髄液、滑液、涙、唾液、全血、乳、乳頭吸引液、乳管洗浄、膣液、鼻汁、内耳液、胃液、膵液、線維柱帯液、肺洗浄、汗、歯肉溝滲出液、精液、前立腺液、痰、糞便、気管支洗浄、スワブからの流体、気管支吸引物、流動化固形物、細針穿刺吸引サンプル、組織のホモジネート、リンパ液、細胞培養サンプル、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。前記生物学的サンプルは、多様な生物学的サンプル(例えば、多様な対象からのプールされた血漿、または単一のからの多様な組織サンプル)を含み得る。前記生物学的サンプルは、単一の起源からの単一の種類の体液または生体材料を含み得る。
【0235】
前記生物学的サンプルは、希釈または前処理され得る。前記生物学的サンプル(例えば、前記生物学的サンプルは、血清を含む)は、前記自動化機器の中で使用する前に、枯渇化され得る。前記生物学的サンプルは、また、前記自動化機器の中で使用する前に、物理的(例えば、ホモジナイズまたは超音波処理)または化学的処理も受け得る。前記生物学的サンプルは、前記自動化機器の中で使用する前に、希釈され得る。希釈媒体は、バッファーもしくは塩を含み得るか、または精製水(例えば、蒸留水)であり得る。生物学的サンプルの異なるパーティションは、異なる程度の希釈を受け得る。生物学的サンプルまたはサンプルパーティションは、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、8倍、10倍、12倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、200倍、500倍、または1000倍の希釈を受け得る。
【0236】
いくつかの実施形態において、本開示のパネルは、センサーエレメント上に形成されたコロナの消化による前記プロテオミクスデータの処理による、前記生物学的サンプル中の特定のタンパク質の同定および測定を提供する。同定および測定され得るタンパク質としては、例えば、存在量が多いタンパク質、存在量が中程度のタンパク質、および存在量が少ないタンパク質があげられる。存在量が多いタンパク質としては、例えば、アルブミンおよびIgGがあげられる。
【0237】
いくつかの実施形態において、測定および同定され得るタンパク質としては、例えば、アルブミン、免疫グロブリンG(IgG)、リゾチーム、癌胎児性抗原(CEA)、レセプターチロシンプロテインキナーゼerbB-2(HER-2/neu)、膀胱腫瘍抗原、チログロブリン、αフェトプロテイン、前立腺特異抗原(PSA)、ムチン16(CA125)、糖鎖抗原19-9(CA19.9)、癌抗原15-3(CA15.3)、レプチン、プロラクチン、オステオポンチン、インスリン様増殖因子2(IGF-II)、4F2細胞表面抗原重鎖(CD98)、ファスシン、sPigR、14-3-3 eta、トロポニンI、B型ナトリウム利尿ペプチド、BRCA1(breast cancer
type 1 susceptibility)タンパク質、c-Myc癌原遺伝子タンパク質(c-Myc)、インターロイキン-6(IL-6)、フィブリノーゲン.上皮増殖因子レセプター(EGFR)、ガストリン、PH、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、デスミン、エノラーゼ1(NSE)、卵胞刺激ホルモン(folice-stimulating hormone)(FSH)、血管内皮増殖因子(VEGF)、P21、増殖細胞核抗原(PCNA)、カルシトニン、感染特異的タンパク質(PR)、黄体形成ホルモン(LH)、ソマトスタチン.S100、インスリン.アルファープロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、B細胞リンパ腫2(Bcl2)、エストロゲンレセプターα(ERα)、抗原k(Ki-67)、癌タンパク質(p53)、カテプシンD、βカテニン、フォン・ヴィルブランド因子(VWF)、CD15、k-ras、カスパーゼ3、ENTHドメイン含有タンパク質(EPN)、CD10、FAS、BRCA2(breast cancer type 2 susceptibility)タンパク質、CD30L、CD30、CGA、CRP、プロトロンビン、CD44、APEX、トランスフェリン、GM-CSF、E-カドヘリン、インターロイキン-2(IL-2)、Bax、IFN-γ、β-2-MG、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、分化抗原クラスター340、トリプシン、サイクリンD1、MG B、XBP-1、HG-1、YKL-40、S-ガンマ、NESP-55、ネトリン-1、ジェミニン、GADD45A、CDK-6、CCL21、乳癌転移サプレッサー1(BrMS1)、17βHDI、血小板由来増殖因子受容体A(PDGRFA)、P300/CBP関連因子(Pcaf)、ケモカインリガンド5(CCL5)、マトリックスメタロプロテアーゼ-3(MMP3)、クローディン-4、およびクローディン-3があげられる。
分析方法
【0238】
前記サンプルの前記プロテオミクスデータは、多数の異なる分析技術を使用して同定、測定、および定量され得る。例えば、プロテオミクスデータは、ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)または任意のゲルベースの分離技術を使用して分析され得る。ペプチドおよびタンパク質は、イムノアッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着測定(ELISA)など)を使用して同定、測定、および定量され得る。あるいは、プロテオミクスデータは、質量分析、高速液体クロマトグラフィー、LC-MS/MS、および他のタンパク質分離技術を使用して同定、測定、および定量され得る。
【0239】
いくつかのケースにおいて、前記生体分子フィンガープリントを決定する方法は、前記少なくとも2つのセンサーエレメントの前記生体分子コロナシグネチャーを検出および決定することを含む。このステップは、各センサーエレメントに結合した前記複数の生体分子を分離させること(例えば、前記センサーエレメントから前記生体分子コロナを分離させること)、および前記複数の生体分子をアッセイして前記複数の生体分子コロナの組成を決定し、生体分子フィンガープリントを決定することによって実施され得る。いくつかのケースにおいて、各センサーエレメントの各生体分子コロナシグネチャーの組成は、独立してアッセイされ、またその結果は、組み合わされて、前記生体分子フィンガープリントを生成させる(例えば、各センサーエレメントは、別々のチャンネルまたはコンパートメントの中にあり、ここで、その特定のセンサーエレメントについての前記生体分子コロナの特定の組成は、(例えば、前記生体分子を脱離させて、質量分析および/もしくはクロマトグラフィーによって分析すること、または前記センサーエレメントに依然として結合している前記複数の生体分子を、蛍光、ルミネッセンス、または他の手段によって検出すること、のいずれかによって)別々に分析され得る。前記少なくとも2つのセンサーエレメントは、また、同じパーティションの中にあってもよく、また前記少なくとも2つのセンサーエレメントについての前記生体分子コロナの組成は、両方のセンサーエレメントから前記生体分子コロナを1つの溶液中に分離させ、その溶液をアッセイして生体分子シグネチャーを決定することによって、同時にアッセイされる。
【0240】
前記生体分子コロナシグネチャーまたは前記生体分子フィンガープリントを構成する前記複数の生体分子をアッセイする方法は、それらに限定されないが、例えば、ゲル電気泳動、液体クロマトグラフィー、質量分析、核磁気共鳴分光法(NMR)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、円偏光二色性、ラマン分光分析、およびそれらの組み合わせを含み得る。いくつかのケースにおいて、前記アッセイは、分析物特異的な同定技術、例えば、ELISA、免疫染色、またはハイブリダイゼーションによる核酸捕獲を含む。好ましい実施形態において、前記アッセイは、液体クロマトグラフィー、質量分析、またはそれらの組み合わせを含む。
【0241】
本明細書で使用される場合、核酸は、下流の適用のために、標準的な分子生物学的技術によって処理され得る。本明細書で開示されている方法および組成の実施形態は、核酸(ポリヌクレオチド)シークエンシングに関する。本明細書に記載されているいくつかの方法および組成において、標的核酸またはそのフラグメントの部分のヌクレオチド配列は、種々の方法およびデバイスを使用することによって決定され得る。シークエンシング方法の例には、電気泳動的方法、合成によるシークエンシング方法、ライゲーションによるシークエンシング方法、ハイブリダイゼーションによるシークエンシング方法、単分子シークエンシング方法、およびリアルタイムシークエンシング方法が含まれる。いくつかの実施形態において、標的核酸またはそのフラグメントのヌクレオチド配列を決定するための方法は、自動化プロセスであり得る。いくつかの実施形態において、捕捉プローブは、テンプレートとしての核酸サンプルからのポリヌクレオチドを使用したヌクレオチド合成反応の開始を可能にするプライマーとして機能し得る。このように、アレイに供給される前記ポリヌクレオチドの配列に関する情報が得られ得る。いくつかの実施形態において、前記捕捉プローブに結合したポリヌクレオチドにハイブリダイズするプライマー、およびシークエンシング試薬がアレイにさらに供給された場合、アレイ上で捕捉プローブにハイブリダイズしたポリヌクレオチドは、シークエンシングテンプレートとして働き得る。アレイを使用したシークエンシング方法は、当該技術分野において、以前に説明されている。
【0242】
いくつかの実施形態において、アレイなどの基材上のシークエンシングに関して、ペアードエンドのリードが、核酸クラスター上で得られ得る。ペアードエンドのリードを得るための方法は、WO/07010252およびWO/07091077(これらは、それぞれ参照によりその全体が本明細書に援用される)に記載されている。ペアードエンドシークエンシングは、1回のペアードエンドリードの間、各クラスターのフォワードテンプレート鎖およびリバーステンプレート鎖の両方のリーディングを促進する。一般に、テンプレートクラスターは、ブリッジ増幅によって基材(例えば、フローセル)の表面上で増幅され、またペアードプライマーによって逐次的にシークエンシングされ得る。テンプレート鎖の増幅の際、架橋二本鎖構造が生成され得る。これは、前記表面から各二本鎖の1つの鎖の部分を遊離させるために処理され得る。前記一本鎖核酸は、シークエンシング、プライマーハイブリダイゼーション、およびプライマー伸長のサイクルのために利用され得る。第1のシークエンシングランの後、第1の一本鎖テンプレートの末端は、最初のクラスター増幅手順で残った固定化されたプライマーにハイブリダイズされ得る。前記固定化されたプライマーは、元の二本鎖構造を再合成するために、ハイブリダイズされた第1の一本鎖をテンプレートとして使用して延長され得る。前記二本鎖構造は、前記固定化された再合成鎖を1本鎖形態で遊離させるために、少なくとも前記第1のテンプレート鎖の部分を除去するために処理され得る。前記再合成鎖は、第2のリード(その位置は、前記断片化プロセスから得られた元のテンプレートフラグメントの逆末端から始まる)を決定するためにシークエンシングされ得る。
【0243】
核酸シークエンシングは、単分子シークエンシングまたは合成によるシークエンシングであり得る。シークエンシングは、超並列アレイシークエンシング(これは、支持体(例えば、フローセルなど)上に固定化されたテンプレート核酸分子を使用して行われ得る)であり得る。例えば、シークエンシングは、第1世代のシークエンシング方法(例えば、マクサム・ギルバートシークエンシングまたはサンガーシークエンシング)、またはハイスループットシークエンシング(例えば、次世代シークエンシングまたはNGS)方法を含み得る。ハイスループットシークエンシング方法は、同時に(または実質的に同時に)、少なくとも約10,000、100,000、100万、1億、1億、10億、またはそれを超えるポリヌクレオチド分子をシークエンシングし得る。シークエンシング方法は、それらに限定されないが、パイロシークエンシング、合成によるシークエンシング、単分子シークエンシング、ナノポアシークエンシング、半導体シークエンシング、ライゲーションによるシークエンシング、ハイブリダイゼーションによるシークエンシング、Digital Gene Expression(Helicos)、超並列シークエンシング(例えば、Helicosプラットフォーム、Clonal Single Molecule Arrayプラットフォーム(Solexa/Illumina)、PacBioプラットフォーム、SOLiDプラットフォーム、Ion Torrentプラットフォーム、またはNanoporeプラットフォームを使用したシークエンシング)を含み得る。
【0244】
センサーエレメントは、第1のコンポーネントと、前記第1のコンポーネントと化学的に相補的なポリマーフルオロフォアまたは他のクエンチャーコンポーネントとの複合体を含み得る(ここで、このような複合体は、イニシャルバックグラウンド蛍光またはリファレンス蛍光を有する)。前記第1のコンポーネントが生体分子と接触すると(例えば、生体分子コロナの形成の際)、それによって前記フルオロフォアのクエンチングが影響を受け得、またこの蛍光の変化が測定され得る。センサーがレーザーによって照射を受け、および/または励起された後、各センサーエレメントについての効果および/または蛍光の変化が測定され得、また、前記バックグラウンド蛍光と比較または前記バックグラウンド蛍光に対して処理され、前記生体分子フィンガープリントを生じさせ得る。
コンピューターシステム
【0245】
本開示は、本開示の方法を実行するようにプログラムされたコンピューター制御システムを提供する。この決定、分析、または統計的分類は、当該技術分野において知られている方法(それらに限定されないが、例えば、なかでも、階層的クラスター分析(HCA)、主成分分析(PCA)、部分的最小二乗判別分析(PLSDA)、機械学習(ランダムフォレストとしても知られる)、ロジスティック回帰、決定木、サポートベクターマシン(SVM)、k最近傍法、単純ベイズ、線形回帰、多項式回帰、回帰のためのSVM(サポートベクターマシン)、K平均法、および隠れマルコフモデルなどの、非常に多様な教師あり、または教師なしデータ分析およびクラスタリングアプローチがあげられる)によって行われる。前記コンピューターシステムは、本開示のタンパク質セットまたはタンパク質コロナを分析する種々の態様(例えば、いくつかのサンプルの生体分子コロナを比較/分析して個々の生体分子コロナの間でどのようなパターンが共通であるかを統計的有意性で決定し、前記生物学的状態と関連するタンパク質セットを決定する、など)を実施し得る。前記コンピューターシステムは、異なるタンパク質セットまたはタンパク質コロナを検出および識別するための分類指標(例えば、タンパク質コロナの組成の特徴)を生じさせるために使用され得る。ここで開示されたセンサーアレイから収集されたデータは、機械学習アルゴリズム(特に、患者からのアレイ測定値を受け、また、各患者からの特定の生体分子コロナ組成を出力するアルゴリズム)を訓練するために使用され得る。前記アルゴリズムを訓練する前に、前記アレイからの生データは、各変数の変動を低下させるために、まずノイズ除去され得る。
【0246】
機械学習は、学習機械が、学習データセットを経験した後、新たな、見たことがない例/タスクに対して正確に実施する能力として一般化され得る。機械学習は、以下のコンセプトおよび方法を含み得る。教師ありコンセプトは、AODE;人工ニューラルネットワーク、例えば、逆行性伝播、オートエンコーダー、ホップフィールドネットワーク、ボルツマンマシン、制限ボルツマンマシン、およびスパイキングニューラルネットワークなど;ベイズ統計学、例えば、ベイジアンネットワークおよびベイジアンナレッジベースなど;事例ベース推論;ガウス過程回帰;遺伝子発現プログラミング;データ処理のグループ方式(GMDH(group method of data handling));帰納論理プログラミング;例に基づく学習;怠惰学習;
【0247】
学習オートマトン;学習ベクトル量子化;ロジスティックモデル木;最小メッセージ長(決定木、決定グラフなど)、例えば、最近傍アルゴリズムおよびアナロジーモデリングなど;確率的で近似的に正しい学習(PAC(probably approximately correct))学習;リップルダウンルール、知識獲得手法;シンボリック機械学習アルゴリズム;サポートベクターマシン;ランダムフォレスト;分類器のアンサンブル、例えば、ブートストラップ・アグリゲーティング(バギング)およびブースティング(メタアルゴリズム)など;順序分類;情報ファジーネットワーク(IFN);条件付き確率場;ANOVA;線形分類器、例えば、フィッシャーの線形判別、線形回帰、ロジスティック回帰、多項ロジスティック回帰、単純ベイズ分類器、パーセプトロン、サポートベクターマシンなど;二次分類器;k最近傍法;ブースティング;決定木、例えば、C4.5、ランダムフォレスト、ID3、CART、SLIQ SPRINTなど;ベイジアンネットワーク、単純ベイズなど;および隠れマルコフモデルを含み得る。教師なし学習コンセプトは、期待値最大化アルゴリズム;ベクトル量子化;GTM(generative topograpHic map);情報ボトルネック法;人工ニューラルネットワーク、例えば、自己組織化マップなど;アソシエーションルール学習、例えば、アプリオリアルゴリズム、Eclatアルゴリズム、およびFP-growthアルゴリズム;階層的クラスタリング、例えば、単リンククラスタリングおよび概念的クラスタリングなど;クラスター解析、例えば、K平均アルゴリズム、ファジークラスタリング、DBSCAN、およびOPTICSアルゴリズムなど;および外れ値検知、例えば、局所外れ値因子法などを含み得る。半教師あり学習コンセプトは、生成モデル;低密度分離;グラフベースの方法;および共訓練を含み得る。
【0248】
強化学習コンセプトは、時間的差分学習;Q学習;学習オートマトン;およびSARSAを含み得る。ディープラーニングコンセプトは、ディープビリーフネットワーク;ディープボルツマンマシン;深層畳み込みニューラルネットワーク;深層回帰型ニューラルネットワーク;およびHTM(Hierarchical temporal memory)を含み得る。コンピューターシステムは、本明細書に記載されている方法を実行するために適合化され得る。前記システムは、本明細書に記載されている方法を実行するためにプログラムされた中央コンピューターサーバーを含む。前記サーバーは、シングルコアプロセッサー、マルチコアプロセッサー、または並列処理のための複数のプロセッサーであり得る中央演算処理装置(CPU、「プロセッサー」とも呼ばれる)を含む。前記サーバーは、また、メモリー(例えば、ランダムアクセスメモリー、リードオンリーメモリー、フラッシュメモリー);電子的記憶ユニット(例えば、ハードディスク);1つまたはそれを超える他のシステムと通信するための通信インターフェース(例えば、ネットワークアダプター);および周辺機器(キャッシュ、他のメモリー、データ保存装置、および/または電子ディスプレーアダプターを含み得る)も含む。前記メモリー、記憶ユニット、インターフェース、および周辺機器は、コミュニケーションバス(実線)(例えば、マザーボードなど)を通して前記プロセッサーと通信している。前記記憶ユニットは、データを保存するためのデータ保存ユニットであり得る。前記サーバーは、前記通信インターフェースの助けによってコンピューターネットワーク(「ネットワーク」)に動作可能に結合されている。前記ネットワークは、インターネット、イントラネットおよび/またはエクストラネット、インターネットと通信しているイントラネットおよび/またはエクストラネット、遠距離通信またはデータネットワークであり得る。前記ネットワークは、いくつかのケースにおいて、前記サーバーの助けによって、ピア・トゥ・ピアネットワーク(これは、前記サーバーに結合されたデバイスが、クライアントまたはサーバーとして振る舞うことを可能にし得る)を実現し得る。
【0249】
前記記憶ユニットは、ファイル、例えば、対象レポート、および/または個人についてのデータとの通信、本開示に関連するデータの任意の態様を保存し得る。
【0250】
前記コンピューターサーバーは、前記ネットワークを通して1つまたはそれを超えるリモートコンピューターシステムと通信し得る。前記1つまたはそれを超えるリモートコンピューターシステムは、例えば、パーソナルコンピューター、ラップトップ、タブレット、電話、スマートフォン、またはパーソナルデジタルアシスタントであり得る。
【0251】
いくつかの適用において、前記コンピューターシステムは、単一のサーバーを含む。他の状況において、前記システムは、イントラネット、エクストラネット、および/またはインターネットを通して互いに通信している多数のサーバーを含む。
【0252】
前記サーバーは、本明細書において提供されている測定データまたはデータベース、対象からの患者データ(例えば、病歴など)、家族歴、人口動態データ、および/または特定の適用に潜在的関連性がある他の臨床情報または個人情報を保存するように適合化され得る。このような情報は、前記記憶ユニットまたは前記サーバーに保存され得、このようなデータは、ネットワークによって伝達され得る。
【0253】
本明細書に記載されている方法は、前記サーバーの電子的保存領域に(例えば、メモリー、または電子的記憶ユニットなどに)保存された、マシン(またはコンピュータープロセッサー)実行可能コード(またはソフトウェア)によって実行され得る。使用の間、前記コードは、前記プロセッサーによって実行され得る。いくつかのケースにおいて、前記コードは、前記記憶ユニットから取り出され、前記プロセッサーが即座にアクセスできるように前記メモリーに保存され得る。いくつかの状況において、前記前記電子的記憶ユニットを排除し、マシン実行可能命令は、メモリーに保存され得る。
【0254】
あるいは、前記コードは、第2のコンピューターシステムで実行し得る。
【0255】
本明細書において提供されているシステムおよび方法の態様(例えば、前記サーバーなど)は、プログラミングに組み込まれ得る。このテクノロジーの種々の態様は、典型的には、マシン可読媒体の一種に保持される、または組み込まれる、マシン(またはプロセッサー)実行可能コードおよび/または関連するデータの形態の、「製品」または「製造物品」であると考えられ得る。マシン実行可能コードは、電子的記憶ユニット(例えば、メモリー(例えば、リードオンリーメモリー、ランダムアクセスメモリー、フラッシュメモリー)、またはハードディスクに保存され得る。「記憶」型媒体は、前記コンピューター、プロセッサーなど、またはその付属モジュールの、いずれかまたは全ての有形メモリー(例えば、種々の半導体メモリー、テープドライブ、ディスクドライブなど)を含み得、これらは、ソフトウェアプログラミングの任意の時点において、非一時的な記憶を提供し得る。前記ソフトウェアの全体または部分は、時により、インターネットまたは種々の他の遠距離通信ネットワークを通して通信し得る。このような通信は、例えば、1つのコンピューターまたはプロセッサーから別のコンピューターまたはプロセッサーに、例えば、例えば、マネージメントサーバーからホストコンピューターからアプリケーションサーバーのコンピュータープラットフォームに、ソフトウェアをロードすることを可能にし得る。よって、ソフトウェア要素を運び得る別の種類の媒体としては、光波、電波、または電磁波(例えば、有線および光学的地上線ネットワークを通して、ならびに種々の無線接続によって、ローカルデバイス間の物理的インターフェースを横断して使用されるもの)があげられる。このような波を搬送する前記物理的要素(例えば、有線または無線接続(wired or wireless likes)、光学接続など)は、また、前記ソフトウェアを運ぶ媒体とも考えられ得る。本明細書で使用される場合、非一時的な有形「記憶」媒体に限定されない限り、コンピューターまたはマシン「可読媒体」などの用語は、実行のためのプロセッサーへの命令の提供に関与する、任意の媒体を指し得る。
【0256】
本明細書に記載されているコンピューターシステムは、本明細書に記載されているアルゴリズムまたはアルゴリズムベースの方法を実行するための、コンピューター実行可能コードを含み得る。いくつかの適用において、本明細書に記載されているアルゴリズムは、少なくとも1つのデータベースからなるメモリーユニットを利用するであろう。
【0257】
本開示に関連するデータは、受け手による受信および/またはレビューのためのネットワークまたは接続によって伝達され得る。前記受け手は、それらに限定されないが、前記レポートが関係する対象;またはその介護者、例えば、医療提供者、管理者、他の医療専門家、または他の世話人;前記分析を実施および/または指示した者もしくは主体である。前記受け手は、また、そのようなレポートを保存するためのローカルまたはリモートシステム(例えば、サーバー、または「クラウドコンピューティング」アーキテクチャーの他のシステム)であり得る。一実施形態において、コンピューター可読媒体は、本明細書に記載されている方法を使用した生物学的サンプルの分析結果を伝達するために適した媒体を含む。
【0258】
本明細書において提供されているシステムおよび方法の態様は、プログラミングに組み込まれ得る。このテクノロジーの種々の態様は、典型的には、マシン可読媒体の一種に保持される、または組み込まれる、マシン(またはプロセッサー)実行可能コードおよび/または関連するデータの形態の、「製品」または「製造物品」であると考えられ得る。マシン実行可能コードは、電子的記憶ユニット(例えば、メモリー(例えば、リードオンリーメモリー、ランダムアクセスメモリー、フラッシュメモリー)、またはハードディスクに保存され得る。「記憶」型媒体は、前記コンピューター、プロセッサーなど、またはその付属モジュールの、いずれかまたは全ての有形メモリー(例えば、種々の半導体メモリー、テープドライブ、ディスクドライブなど)を含み得、これらは、ソフトウェアプログラミングの任意の時点において、非一時的な記憶を提供し得る。前記ソフトウェアの全体または部分は、時により、インターネットまたは種々の他の遠距離通信ネットワークを通して通信し得る。このような通信は、例えば、1つのコンピューターまたはプロセッサーから別のコンピューターまたはプロセッサーに、例えば、例えば、マネージメントサーバーからホストコンピューターからアプリケーションサーバーのコンピュータープラットフォームに、ソフトウェアをロードすることを可能にし得る。よって、ソフトウェア要素を運び得る別の種類の媒体としては、光波、電波、または電磁波(例えば、有線および光学的地上線ネットワークを通して、ならびに種々の無線接続によって、ローカルデバイス間の物理的インターフェースを横断して使用されるもの)があげられる。このような波を搬送する前記物理的要素(例えば、有線または無線接続、光学接続など)は、また、前記ソフトウェアを運ぶ媒体とも考えられ得る。本明細書で使用される場合、非一時的な有形「記憶」媒体に限定されない限り、コンピューターまたはマシン「可読媒体」などの用語は、実行のためのプロセッサーへの命令の提供に関与する、任意の媒体を指す。
【0259】
したがって、マシン可読媒体(例えば、コンピューター実行可能コード)は、それらに限定されないが、有形記憶媒体、搬送波媒体、または物理的伝達媒体を含む、多くの形態を取り得る。不揮発性記憶媒体としては、例えば、図面に示されているような、任意のコンピューターなどにおける任意の記憶デバイスなど、データベースを実現するために使用し得るものなどの、光学または磁気ディスクがあげられる。揮発性記憶媒体としては、ダイナミックメモリー(そのようなコンピュータープラットフォームのメインメモリーなど)があげられる。有形伝達媒体としては、同軸ケーブル;銅線および光学繊維(コンピューターシステム内のバスを含む線材を含む)があげられる。搬送波伝達媒体は、無線周波数(RF)データ通信および赤外線(IR)データ通信の間に生成されるものなどの、電気信号もしくは電磁信号、または音波もしくは光波の形態を取り得る。コンピューター可読媒体の一般的な形態としては、したがって、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVDまたはDVD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード 紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROMおよびEPROM、フラッシュEPROM、任意の他のメモリーチップまたはカートリッジ、搬送波搬送データまたは命令、そのような搬送波を伝達するケーブルまたはリンク、またはコンピューターがコードおよび/またはデータを読み出すことができる任意の他の媒体があげられる。これらの形態のコンピューター可読媒体の多くは、実行のための、プロセッサーへの1つまたはそれを超える命令の1つまたはそれを超えるシークエンスの搬送に関与し得る。
【実施例0260】
以下の実施例は、本開示のいくつかの態様をさらに説明するために含められており、本開示の範囲を限定するために用いるべきではない。
実施例1:完全な再懸濁による磁性ナノ粒子と体液を有するタンパク質コロナの形成
【0261】
この例示的な手順は、ナノ粒子の完全な再懸濁による、磁性ナノ粒子のパネルを使用した、体液サンプルにおける手作業でのタンパク質コロナの生成に適用される。本開示のシステムおよび方法は、本明細書に記載されている手順に適用され得る。
【0262】
材料:
【0263】
タンパク質コロナの生成において使用される材料を表2に示す。
【表2】
【0264】
保存およびハンドリング:
【0265】
表3に示すように、以下の試薬は室温で保存した。
【表3】
【0266】
表4に示すように、以下の試薬は約2~8℃で保存した。
【表4】
【0267】
調製:
【0268】
体液サンプルをフリーザーから取り出し、完全に解凍した。ナノ粒子を、使用の約10分前に、超音波処理およびボルテックスした。アッセイを開始する前に、TE 150mM KCl 0.05% CHAPSバッファーを調製した。
【0269】
TE 150mM KCl 0.05% CHAPSバッファーの調製。11.18g
塩化カリウムおよび500mg CHAPSを、Corning 1Lボトルに加えた。998.3gの1×TE pH7.4バッファーを加えた。ハウスバキュームを使用して、前記バッファーを0.1μmまたは0.2μm 1000mLフィルターセットで濾過した。前記バッファーは、室温(約1か月)または2~8℃(1か月超)で保存できる。前記バッファーは、使用前に十分に撹拌した。
【0270】
ナノ粒子調製。前記ナノ粒子(水性)は、試薬グレードの水の中に、適切な指定の濃度まで希釈した。乾燥した粉末ナノ粒子については、乾燥した粉末ナノ粒子は、適切な体積の水を加える前に、必要な濃度になるように天秤で秤取した。
【0271】
サンプル調製。サンプルをフリーザーから取り出した。サンプルを完全に解凍し、そのサンプルを16,000Gで約2分間遠心した。
このサンプルを、TE 150mM KCl 0.05% CHAPSバッファーで希釈(1:5)するか、または希釈しないでおいた。
【0272】
図9は、本開示に合致するサンプル調製方法を示す。この方法は、生物学的サンプルから生体分子のサブセットを生成させ、次いでその生体分子のサブセットを使用して生体分子フィンガープリントを生成させる4つのステップを含む。第1のステップは、複数のセンサーエレメント(例えば、磁性ナノ粒子)を含む複数のパーティション(ウェルプレート内のウェル)の中に血漿サンプルを移送することを含む。前記サンプルは、パーティション内で、振盪しながら、37℃で1時間インキュベートし、それによってセンサーエレメント上に生体分子コロナを生成させる。複数のパーティションを、次いで、その複数のパーティションの中のセンサーエレメントを固定化するのに足りる強い磁界に曝す。複数のパーティションを、次いで、3回洗浄(例えば、再懸濁バッファーを順次添加および除去)して、センサーエレメントに吸着しなかった生体分子を除去する。3回目の洗浄後、粒子をバッファー中に再懸濁し、それによって生体分子コロナから生体分子のサブセットを脱着させる。生体分子のサブセットを、次いで、1セットの変性および化学処理ステップ(95℃への加熱、還元およびアルキル化、プロテアーゼ消化、およびさらなる洗浄を含む)にかける。生体分子のサブセットを、次いで、質量分析にかけ、それがサンプルについての生体分子フィンガープリントを生じさせる。
【0273】
手順:
【0274】
試薬および機器を、前のセクション(「調製」を参照のこと)に記載されているように準備した。100μLの希釈したナノ粒子を、マルチチャンネルピペットを使用して、各ウェルの中にロードした。ナノ粒子ウェルあたり100μLの希釈したサンプルを、ピペットを使用して加えた。ウェルを、ピペットを使用して、アスピレーションによって、約10回かき混ぜた。プレートを粘着性プレートシーラーでカバーし、300rpmに設定したプレートシェーカー上で、37℃で約1時間インキュベートした。この約1時間のインキュベートの後、粘着性プレートシーラーを除去し、プレートを磁石の上に約5分置き、ウェルの底にナノ粒子コロナペレットを形成させた。洗浄のために、上清をマルチチャンネルピペットで除去した。約200μLのTE 150mM KCl 0.05% CHAPSバッファーを、ピペットを使用して加え、ナノ粒子を十分に再懸濁させた。溶液を、再び磁石の上に約5分間置いた。洗浄ステップを3回繰り返した。ナノ粒子ペレットを、BCA、ゲル、またはトリプシン消化のために、適切な試薬中に再懸濁した。
実施例2:Trypsin Gold消化
【0275】
材料:
【0276】
Trypsin Gold消化で使用される材料を表5に示す。
【表5-1】
【0277】
調製:
【0278】
50mM ABC(炭酸水素アンモニウム)。0.25mLの2M ABCを、9.75mLの水に加えて10mLの50mM ABCを得た。この溶液をボルテックスし、4℃で、最長1週間保存した。
【0279】
8M尿素。4.8gの尿素を秤量し、50mMのABCを、10mLの目盛の近くまで加えた。この溶液を、ボルテックスし、必要に応じて37℃のインキュベーター内で回旋させ、溶解を促した。50mMのABCを10mLの目盛まで加え、ボルテックスした。
【0280】
200mM DTT。0.031gのDTTを秤取し、1mLの50mM ABCを加えた。この溶液をボルテックスし、光を避けて、4℃で保存した。
【0281】
200mM IAA。400μLの50mM ABCを、事前に計量した0.015gのIAAに加えた。この溶液をボルテックスして、4℃で保存した。この溶液は、使用前に正確にする。
【0282】
Trypsin Goldの再構成。溶液を、製造PI指示に従って調製した。100μLの50mM酢酸を、100μgのトリプシンに加え、ボルテックスした。最終濃度は、1μg/μLトリプシンであった。
【0283】
サンプル/トリプシン調製
【0284】
40μLの8M尿素を各サンプルに加えた。この溶液をボルテックスし、約1分間超音波処理した。2μLの200mM DTTを各サンプルに加え、ボルテックスした。この溶液を、暗所にて、室温で約30分間インキュベートした。8μLの200mM IAAを各サンプルに加え、ボルテックスした。この溶液を、暗所にて、室温で約30分間インキュベートした。8μLの200mM DTTを各サンプルに加え、ボルテックスした。この溶液を、暗所にて、室温で約30分間インキュベートした。50mM ABCを、前記の加えた尿素が2M未満になるように加えた。110μLの50mM ABCを、58μLのサンプル中に加えた。このサンプルに、適量のトリプシンを加えた。3μLの再構成したトリプシンを、各管に加えた。タンパク質:トリプシンの比=約30μgタンパク質:1μgトリプシン。この溶液を、37℃で終夜インキュベートした。17μLの10%FAを加えて消化を停止させた。
実施例3:NSCLCサンプルおよび健常対照のプロテオミクス解析
【0285】
この実施例は、NSCLCサンプルおよび健常対照のプロテオミクス解析を示す。コロナ分析プラットフォームの有用性を実証するために、単一の粒子種(ポリ(N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド)(PDMAPMA)コートSPION)と、56人の対象(28人のステージIV NSCLC、および28人の年齢と性別を合わせた対照)からの血清サンプルを使用して、このプラットフォームの能力を評価し、これらの群の間の相異を観察した。選択された対象サンプルは、これらの群の間で相異する潜在的なMS特性を同定するために適度に釣り合いの取れた研究となった。疾患の状態および共存症を含む対象のアノテーションについての全データを、表5にまとめた。
【表5-2】
【0286】
MS1特性を収集およびフィルタリングし、それに続き、それらの強度をlog2変換した後、そのデータセットを、分類と無関係にメジアンスケール化した。図11は、56の対象データセット全てについての正規化強度分布を示す。NSCLC対対照研究からの56のサンプルMS生データファイル全てを、OpenMS pipelineスクリプトによって処理し、MS1特性およびそれらの強度を抽出し、特定された許容度内のオーバーラップmzおよびRT値に基づいて、それらを特性群にクラスター化した。1)比較の少なくとも1つの腕からの群における特性の少なくとも50%が存在する特性群と、2)25パーセンタイルを上回る特性群クラスター品質を有する特性群だけを保持した。保持された特性を、分類と無関係にメジアン正規化し、それに続く一変量解析比較に使用した。分布のインスペクションによって外れ値は存在せず、全てのデータセットは、一変量解析のために保持された。
【0287】
インスペクションによって、いかなる外れ値も存在しないようであった。分類と分類の間の特性群強度の一変量比較を、ノンパラメトリックのウィルコクソン検定(両側)で行った。この比較について得られたp値は、Benjamini-Hochbergの方法を使用して、多数の試験のために補正した。補正したp値カットオフ0.05を使用して、図12にまとめられているように、合計で7つの特性群が統計的有意性を示した。
【0288】
NSCLC疾患群と対照群の間で存在量が異なるものと同定された5つのタンパク質全てが、以前に、NSCLC自体ではないにしても、癌との関与が示されている。PON1(パラオキソナーゼ-1(paraoxanase-1)とも呼ばれる)は、リスクファクターとして、比較的共通のマイナーなアレルバリアント(Q192R)の関与を含む、肺癌(lung cancer)における複雑なパターンを有する。タンパク質レベルで、PON1は、肺腺癌において中程度に低下している。SAA1は、MS関連研究において、NSCLCで過剰発現していることが示されている急性期タンパク質であり、また、同定されたペプチドは、疾患対象において5.4倍増加していることが見いだされた。マトリソーム因子テネイシンC(TENA)は、正常組織と比較して、原発性肺腫瘍および関連するリンパ節転移において増加していることが示されており、また、この研究において、関連するMS特性は、2倍増加していることが見いだされた。神経細胞接着分子1(NCAM1)は、肺神経内分泌腫瘍を診断するためのマーカーの役割を果たす。FIBAペプチドは、MS分析によって、進行する肺癌(lung cancer)増悪に相関して上昇したレベルで同定された。特に注目されるのは、対照群と疾患群の間の相異を示す2つの未知の特性(群2および群7)である。群2は、56人の対象のうち54人の対象において見いだされ、疾患対象において中程度(33%)低下していた。対照的に、群7は、疾患対象においてのみ見いだされた(この分類の28人のメンバーのうち14人)。これらの結果によって、異なる疾患状態についての既知マーカーおよび未知マーカーの同定を助ける粒子コロナの潜在的有用性が実証された。
実施例4:タンパク質コロナ分析を使用した、血漿のダイナミックレンジ圧縮
【0289】
この実施例は、血漿サンプルからタンパク質を収集する粒子を使用した、ダイナミックレンジ圧縮を記述する。
【0290】
測定されたダイナミックレンジを圧縮する粒子の能力を評価するために、測定および同定されたタンパク質の特性強度を、同じタンパク質濃度についての公表されている値と比較した。まず、各タンパク質について、得られたペプチド特性を、タンパク質についての全ての可能な特性のMSで決定された最大強度によって選択し(OpenMS質量データ処理ツールを使用して単一の同位体のピーク値を抽出する)、次いで、その強度を、同じタンパク質の存在量レベルの公表値に対してモデル化した。図13は、粒子コロナタンパク質および血漿タンパク質の最大強度と、同じタンパク質の公表されている濃度の相関を示す。青でプロットされた線は、データに対する線形回帰モデルであり、網掛けされた領域は、そのモデルフィットの標準誤差を示す。粒子(「S-003」、「S-007」、および「S-011」、表1に列挙されている)でアッセイしたサンプルのダイナミックレンジは、粒子を使用してアッセイしていない血漿サンプル(「血漿」)と比較して、直線フィットの傾きの減少によって示されているように、圧縮されたダイナミックレンジを示した。各プロットの傾きは、粒子なしの血漿、S-003粒子ありの血漿、S-007粒子ありの血漿、およびS-011粒子ありの血漿について、それぞれ、0.47、0.19、0.22、および0.18である。図14は、粒子コロナ形成なしの質量分析と比較した、質量分析によるタンパク質コロナ分析アッセイのダイナミックレンジ圧縮を示す。図13においてアッセイされた血漿サンプル中の粒子コロナにおいて同定された、共通のタンパク質のタンパク質強度(「ナノ粒子MS(強度)」)は、粒子なしの血漿の質量分析によって同定されたタンパク質強度(「血漿MS(強度)」)に対してプロットされている。最大の点線は、傾き1を示し、粒子なしの質量分析のダイナミックレンジを示す。タンパク質強度に対する直線フィットの傾きは、S-003、S-007、およびS-011粒子について、それぞれ、0.12、0.36、および0.093である。灰色の領域は、回帰フィットの標準誤差領域を示す。
【0291】
回帰モデルの傾きと測定データの強度範囲の比較で、生体分子コロナは、血漿よりも、より低い存在量(測定値または報告値)で、より多くのタンパク質を含む。これらの測定値のダイナミックレンジは、血漿の測定値と比較して、粒子の測定値について圧縮されていた(回帰モデルの傾きが減少している)。これは、粒子が、得られたコロナにおける存在量についての測定されたダイナミックレンジを、血漿における元のダイナミックレンジと比較して、効果的に圧縮することができるという以前の観察と合致しており、これは、タンパク質の絶対的な濃度、粒子に対する結合親和性、および隣接するタンパク質との相互作用の組み合わせに起因し得る。この結果は、生体分子コロナ戦略が、幅広いスペクトルの血漿タンパク質の同定、特に、従来のプロテオミクスによる迅速な検出が困難である低存在量における同定を促進することを示す。
【0292】
本明細書において、本発明の好ましい態様を示し、説明してきたが、それらの実施形態は例として示されているにすぎないことが、当業者には明白であろう。多数の変形、変更、および置換が、本発明を逸脱することなく、当業者によって直ちに見いだされるであろう。本発明の実施において、本明細書に記載されている本発明の実施形態に対する種々の代替が採用されうることを理解すべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定し、その特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの等価物が、特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
複合的な生物学的サンプルから生体分子のサブセットを生成させるための自動化機器であって、
(a)複数のパーティションを含む基材であって、前記複数のパーティションが複数の粒子を含む基材;
(b)前記複合的な生物学的サンプルを含むサンプル貯蔵ユニット;および
(c)少なくとも基材全域にわたって移動可能なローディングユニット、
を含み、
前記ローディングユニットが、前記サンプル貯蔵ユニット内の前記複合的な生物学的サンプルの1つまたはそれを超えるボリュームを、前記基材上の前記複数のパーティションに移送し、それによって前記複数のパーティション内の前記複数の粒子を前記複合的な生物学的サンプルの生体分子と接触させて生体分子コロナを形成させ、それによって前記複合的な生物学的サンプルの前記生体分子のサブセットを生成させ、
前記生体分子のサブセットのダイナミックレンジが、前記複合的な生物学的サンプル中に存在する生体分子のダイナミックレンジと比較して圧縮されている、自動化機器。
(項目2)
前記複数のパーティション内の前記複合的な生物学的サンプルのボリューム内の前記複数の粒子のボリュームを撹拌または加熱するインキュベーションエレメントをさらに含む、項目1の自動化機器。
(項目3)
前記インキュベーションエレメントが、振とうする、混合する、かき回す、スピンする、振動する、静的である、またはそれらの任意の組み合わせであるように構成されている、項目2の自動化機器。
(項目4)
前記インキュベーションエレメントが、前記基材を、約20℃~約100℃の温度に、加熱および/またはインキュベートするように構成されている、項目2または3の自動化機器。
(項目5)
前記複数のパーティションが、少なくとも部分的にカバーまたはシールされている、項目1~4のいずれか一項の自動化機器。
(項目6)
前記自動化機器が、前記基材上に蓋を付加する、または前記基材上の蓋を除去する能力を有し、ここで、前記蓋が、前記複数のパーティション中の少なくとも1つのパーティションをカバーする、項目5の自動化機器。
(項目7)
再懸濁溶液を含むユニットをさらに含む、項目1~6のいずれか一項の自動化機器。
(項目8)
前記再懸濁溶液が、トリスEDTA 150mM KCl 0.05%CHAPSバッファーを含む、項目7の自動化機器。
(項目9)
前記再懸濁溶液が、10mMトリスHCl pH7.4、1mM EDTAを含む、項目7の自動化機器。
(項目10)
変性溶液を含むユニットをさらに含む、項目1~9のいずれか一項の自動化機器。
(項目11)
前記変性溶液が、プロテアーゼを含む、項目10の自動化機器。
(項目12)
前記変性溶液が、還元剤、メチル化剤、グアニジン、尿素、デオキシコール酸ナトリウム、アセトニトリル、またはそれらの任意の組み合わせを含む、項目10または11の自動化機器。
(項目13)
前記変性溶液が、質量が4600ダルトン未満の平均ペプチドフラグメントを生じさせる、項目10~12のいずれか一項の自動化機器。
(項目14)
前記基材が、マルチウェルプレートである、項目1~13のいずれか一項の自動化機器。
(項目15)
前記ローディングユニットが、複数のピペットを含む、項目1~14のいずれか一項の自動化機器。
(項目16)
前記ローディングユニットが、10μL~400μLの溶液を、前記複数のパーティションの1つまたはそれを超えるパーティション内に分注するように構成されている、項目1~15のいずれか一項の自動化機器。
(項目17)
前記ローディングユニットが、5μL~150μLの溶液を、前記複数のパーティションの1つまたはそれを超えるパーティション内に分注するように構成されている、項目16の自動化機器。
(項目18)
前記ローディングユニットが、35μL~80μLの溶液を、前記複数のパーティションの1つまたはそれを超えるパーティション内に分注するように構成されている、項目16の自動化機器。
(項目19)
前記溶液が、洗浄溶液、前記再懸濁溶液、前記変性溶液、バッファー、および試薬からなる群から選択される、項目16~18のいずれか一項の自動化機器。
(項目20)
前記ローディングユニットが、10μL~400μLの前記複合的な生物学的サンプルを、前記複数のパーティションの1つまたはそれを超えるパーティション内に分注するように構成されている、項目1~19のいずれか一項の自動化機器。
(項目21)
前記ローディングユニットが、5μL~150μLの前記複合的な生物学的サンプルを、前記複数のパーティションの1つまたはそれを超えるパーティション内に分注するように構成されている、項目20の自動化機器。
(項目22)
前記ローディングユニットが、35μL~80μLの前記複合的な生物学的サンプルを、前記複数のパーティションの1つまたはそれを超えるパーティション内に分注するように構成されている、項目20の自動化機器。
(項目23)
前記複合的な生物学的サンプルが、対象からの体液を含む、項目1~22のいずれか一項の自動化機器。
(項目24)
前記複合的な生物学的サンプルが、血漿、血清、尿、脳脊髄液、滑液、涙、唾液、全血、乳、乳頭吸引液、乳管洗浄、膣液、鼻汁、内耳液、胃液、膵液、線維柱帯液、肺洗浄、汗、歯肉溝滲出液、精液、前立腺液、痰、糞便、気管支洗浄、スワブからの流体、気管支吸引物、流動化固形物、細針穿刺吸引サンプル、組織のホモジネート、リンパ液.細胞培養サンプル、またはそれらの任意の組み合わせを含む、項目23の自動化機器。
(項目25)
磁石をさらに含む、項目1~18のいずれか一項の自動化機器。
(項目26)
前記複数の粒子の1つまたはそれを超える粒子が、磁性粒子であり、またここで、前記基材と前記磁石が、前記1つまたはそれを超える磁性粒子が前記基材上に固定化されるように、近接している、項目25の自動化機器。
(項目27)
ハウジングをさらに含み、ここで、前記基材と前記ローディングユニットが、前記ハウジング内に配置され、またここで、前記ハウジングが、少なくとも部分的に囲われている、項目1~26のいずれか一項の自動化機器。
(項目28)
前記圧縮されたダイナミックレンジが、濃度が前記サンプルにおいて最も多量な生体分子に対して6桁の範囲内である生体分子の種類の数の増加を含む、項目1~27のいずれか一項の自動化機器。
(項目29)
前記圧縮されたダイナミックレンジが、濃度が前記サンプルにおいて最も多量な生体分子に対して5桁の範囲内である生体分子の種類の数の増加を含む、項目28の自動化機器。
(項目30)
前記圧縮されたダイナミックレンジが、濃度が前記サンプルにおいて最も多量な生体分子に対して4桁の範囲内である生体分子の種類の数の増加を含む、項目29の自動化機器。
(項目31)
前記圧縮されたダイナミックレンジが、濃度が前記サンプルにおいて最も多量なタンパク質に対して6桁の範囲内であるタンパク質の種類の数の増加を含む、項目30の自動化機器。
(項目32)
濃度が前記サンプルにおいて最も濃縮された生体分子に対して6桁の範囲内である生体分子の種類の数の前記増加が、少なくとも25%、50%、100%、200%、300%、500%、または1000%である、項目31の自動化機器。
(項目33)
前記圧縮されたダイナミックレンジが、濃度が前記サンプルにおいて最も多量なタンパク質に対して6桁の範囲内であるタンパク質の種類の数の増加を含む、項目1~32のいずれか一項の自動化機器。
(項目34)
濃度が前記サンプルにおいて最も多量なタンパク質に対して6桁の範囲内であるタンパク質の種類の数の前記増加が、少なくとも25%、50%、100%、200%、300%、500%、または1000%である、項目33の自動化機器。
(項目35)
前記生体分子のサブセットが、前記複合的な生物学的サンプルからの前記生体分子の種類の少なくとも20%~少なくとも60%を、6桁の濃度範囲内で含む、項目1~34のいずれか一項の自動化機器。
(項目36)
前記生体分子のサブセットが、前記複合的な生物学的サンプルからの前記タンパク質の種類の少なくとも20%~少なくとも60%を、6桁の濃度範囲内で含む、項目35の自動化機器。
(項目37)
前記生体分子コロナの前記生体分子の前記ダイナミックレンジが、前記複数の生体分子コロナにおける、上位十分位の生体分子と、下位十分位の生体分子の第1の比である、項目1~36のいずれか一項の自動化機器。
(項目38)
前記生体分子コロナの前記生体分子の前記ダイナミックレンジが、前記複数の生体分子コロナ中の生体分子の四分位範囲の範囲を含む第1の比である、項目1~36のいずれか一項の自動化機器。
(項目39)
前記生成が、前記複合的な生物学的サンプルからの低存在量の生体分子を富化させる、項目1~38のいずれか一項の自動化機器。
(項目40)
前記低存在量の生体分子が、前記複合的な生物学的サンプル中の、10ng/mLまたはそれより低い濃度の生体分子である、項目33の自動化機器。
(項目41)
前記複合的な生物学的サンプルからの前記生体分子のサブセットが、タンパク質を含む、項目1~34のいずれか一項の自動化機器。
(項目42)
前記複合的な生物学的サンプルの脂質濃度における最大10mg/mLの変化が、前記複合的な生物学的サンプルから生成される前記生体分子のサブセット中の前記タンパク質の組成における10%、5%、2%、または1%未満の変化をもたらす、項目41の自動化機器。
(項目43)
前記複数の粒子の中の少なくとも2つの粒子が、少なくとも1つの物理化学的特性が異なる、項目1~42のいずれか一項の自動化機器。
(項目44)
前記少なくとも1つの物理化学的特性が、組成、サイズ、表面電荷、疎水性、親水性、表面官能性、表面トポグラフィー、表面曲率、多孔度、コア材料、シェル材料、形状、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、項目43の自動化機器。
(項目45)
前記表面官能性が、アミノプロピル官能化、アミン官能化、ボロン酸官能化、カルボン酸官能化、メチル官能化、N-サクシニミジルエステル官能化、PEG官能化、ストレプトアビジン官能化、メチルエーテル官能化、トリエトキシルプロピルアミノシラン官能化、チオール官能化、PCP官能化、シトレート官能化、リポ酸官能化、BPEI官能化を含む、項目44の自動化機器。
(項目46)
前記複数の粒子の中の粒子が、ミセル、リポソーム、酸化鉄粒子、銀粒子、金粒子、パラジウム粒子、量子ドット、白金粒子、チタン粒子、シリカ粒子、金属または無機酸化物粒子、合成ポリマー粒子、コポリマー粒子、ターポリマー粒子、金属コアを有するポリマー粒子、金属酸化物コアを有するポリマー粒子、ポリスチレンスルホネート粒子、ポリエチレンオキシド粒子、ポリオキシエチレングリコール粒子、ポリエチレンイミン粒子、ポリ乳酸粒子、ポリカプロラクトン粒子、ポリグリコール酸粒子、ポリ(ラクチド-co-グリコリドポリマー粒子、セルロースエーテルポリマー粒子、ポリビニルピロリドン粒子、ポリビニルアセテート粒子、ポリビニルピロリドン-ビニルアセテートコポリマー粒子、ポリビニルアルコール粒子、アクリレート粒子、ポリアクリル酸粒子、クロトン酸コポリマー粒子、ポリエチレンホスホネート(polyethlene phosphonate)粒子、ポリアルキレン粒子、カルボキシビニルポリマー粒子、アルギン酸ナトリウム粒子、カラギーナン粒子、キサンタンガム粒子、アラビアゴム粒子、アラビアガム粒子、グアーガム粒子、プルラン粒子、寒天粒子、キチン粒子、キトサン粒子、ペクチン粒子、カラヤガム(karaya tum)粒子、ローカストビーンガム粒子、マルトデキストリン粒子、アミロース粒子、トウモロコシデンプン粒子、ジャガイモデンプン粒子、コメデンプン粒子、タピオカデンプン粒子、エンドウマメデンプン粒子、サツマイモデンプン粒子、オオムギデンプン粒子、小麦デンプン粒子、ヒドロキシプロピル化高アミロースデンプン粒子、デキストリン粒子、レバン粒子、エルシナン粒子、グルテン粒子、コラーゲン粒子、乳清タンパク質単離物粒子、カゼイン粒子、乳タンパク質粒子、ダイズタンパク質粒子s、ケラチン粒子、ポリエチレン粒子、ポリカーボネート粒子、ポリ酸無水物粒子、ポリヒドロキシ酸粒子、ポリプロピルフマレート(polypropylfumerate)粒子、ポリカプロラクトン粒子、ポリアミン粒子、ポリアセタール粒子、ポリエーテル粒子、ポリエステル粒子、ポリ(オルトエステル)粒子、ポリシアノアクリレート粒子、ポリウレタン粒子、ポリホスファゼン粒子、ポリアクリレート粒子、ポリメタクリレート粒子、ポリシアノアクリレート粒子、ポリウレア粒子、ポリアミン粒子、ポリスチレン粒子、ポリ(リジン)粒子、キトサン粒子、デキストラン粒子、ポリ(アクリルアミド)粒子、誘導体化ポリ(アクリルアミド)粒子、ゼラチン粒子、デンプン粒子、キトサン粒子、デキストラン粒子、ゼラチン粒子、デンプン粒子、ポリ-β-アミノ-エステル粒子、ポリ(アミドアミン)粒子、ポリ乳酸・グリコール酸粒子、ポリ酸無水物粒子、生物還元性ポリマー粒子、および2-(3-アミノプロピルアミノ)エタノール粒子、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、項目1~45のいずれか一項の自動化機器。
(項目47)
前記複数の粒子の1つまたはそれを超える粒子が、前記複合的な生物学的サンプルと接触した際に、少なくとも100種類のタンパク質を吸着する、項目1~46のいずれか一項の自動化機器。
(項目48)
前記複数の粒子が、少なくとも2つの特異な粒子種、少なくとも3つの特異な粒子種、少なくとも4つの特異な粒子種、少なくとも5つの特異な粒子種、少なくとも6つの特異な粒子種、少なくとも7つの特異な粒子種、少なくとも8つの特異な粒子種、少なくとも9つの特異な粒子種、少なくとも10の特異な粒子種、少なくとも11の特異な粒子種、少なくとも12の特異な粒子種、少なくとも13の特異な粒子種、少なくとも14の特異な粒子種、少なくとも15の特異な粒子種、少なくとも20の特異な粒子種、少なくとも25の粒子種、または少なくとも30の特異な粒子種を含む、項目1~47のいずれか一項の自動化機器。
(項目49)
前記生体分子コロナの生体分子が、多数のタンパク質グループを含む、項目1~48のいずれか一項の自動化機器。
(項目50)
前記多数のタンパク質グループが、1~20,000のタンパク質グループを含む、項目49の自動化機器。
(項目51)
前記多数のタンパク質グループが、100~10,000のタンパク質グループを含む、項目50の自動化機器。
(項目52)
前記多数のタンパク質グループが、100~5000のタンパク質グループを含む、項目51の自動化機器。
(項目53)
前記多数のタンパク質グループが、300~2,200のタンパク質グループを含む、項目52の自動化機器。
(項目54)
前記多数のタンパク質グループが、1,200~2,200のタンパク質グループを含む、項目53の自動化機器。
(項目55)
前記複数のパーティションの少なくとも2つのパーティションが、異なるバッファーを含む、項目1~54のいずれか一項の自動化機器。
(項目56)
前記異なるバッファーが、pH、塩分濃度、オスモル濃度、粘度、誘電率、またはそれらの任意の組み合わせが異なる、項目55の自動化機器。
(項目57)
前記複数のパーティションの少なくとも2つのパーティションが、異なる比のバッファーと前記複合的な生物学的サンプルを含む、項目1~56のいずれか一項の自動化機器。(項目58)
前記複数のパーティションの1つまたはそれを超えるパーティションが、1pM~100nMのナノ粒子を含む、項目1~57のいずれか一項の自動化機器。
(項目59)
前記複数のパーティションの少なくとも2つのパーティションが、異なる濃度のナノ粒子を含む、項目1~58のいずれか一項の自動化機器。
(項目60)
精製ユニットをさらに含む、項目1~59のいずれか一項の自動化機器。
(項目61)
前記精製ユニットが、固相抽出(SPE)プレートを含む、項目60の自動化機器。
(項目62)
前記自動化機器が、複合的な生物学的サンプルから、前記生体分子のサブセットを、7時間未満で生成させる、項目1~61のいずれか一項の自動化機器。
(項目63)
(a)前記生物学的サンプルから前記生体分子のサブセットを単離するように構成された項目1~56のいずれか一項の自動化機器;
(b)前記生体分子のサブセットを受け取り、質量分析シグナルまたはタンデム質量分析シグナルを含むデータを生成させるように構成された質量分析計;ならびに
(c)1つまたはそれを超えるコンピュータープロセッサーを含むコンピューター、および前記1つまたはそれを超えるコンピュータープロセッサーによる実行の際、
i.生体分子フィンガープリントを生成させること、および
ii.前記生体分子フィンガープリントに基づいて生物学的状態を割り当てること、
を含む方法を実行するマシン実行可能コードを含むコンピューター可読媒体、
を含む、自動化システム。
(項目64)
前記生体分子フィンガープリントが、複数の特異な生体分子コロナシグネチャーを含む、項目63の自動化システム。
(項目65)
前記生体分子フィンガープリントが、少なくとも5、10、20、40、または80、150、もしくは200の特異な生体分子コロナシグネチャーを含む、項目64の自動化システム。
(項目66)
前記コンピューターが、複数の前記特異な生体分子コロナシグネチャーの間の質量分析シグナルまたはタンデム質量分析シグナルの強度、APEX、ペプチドのスペクトル的カウントもしくは数、またはイオン移動度挙動を含むデータを処理するように構成されている、項目63~65のいずれか一項の自動化システム。
(項目67)
前記コンピューターが、複数の前記特異な生体分子コロナシグネチャーの間の100~2000の質量分析シグナルまたはタンデム質量分析シグナルからのデータを処理するように構成されている、項目66の自動化システム。
(項目68)
前記コンピューターが、複数の前記特異な生体分子コロナシグネチャーの間の10,000~5,000,000の質量分析シグナルまたはタンデム質量分析シグナルの強度を含むデータを処理するように構成されている、項目67の自動化システム。
(項目69)
前記生体分子フィンガープリントが、単一の質量分析またはタンデム質量分析の実施からのデータから生成される、項目63~68のいずれか一項の自動化システム。
(項目70)
前記単一の質量分析またはタンデム質量分析の実施が、1時間未満で行われる、項目69の自動化システム。
(項目71)
前記コンピューターが、質量分析シグナルまたはタンデム質量分析シグナルおよびまたはイオン移動度およびクロマトグラフ的挙動に基づいて生体分子を同定するか、または未同定の分子特性を特徴付けするように構成され、またここで、前記コンピューターが、特性を同定または未同定の特性を特徴付けするための少なくとも95%の確実性閾値をもたらす、項目63~70のいずれか一項の自動化システム。
(項目72)
前記自動化システムが、前記複合的な生物学的サンプルから、前記生体分子フィンガープリントを、約10時間未満で生成させるように構成されている、項目63~71のいずれか一項の自動化システム。
(項目73)
前記コンピューターが、差異が10%、5%、2%、または1%未満である生体分子フィンガープリントに関連する2つまたはそれを超える生物学的状態の間を識別することができる、項目63~72のいずれか一項の自動化システム。
(項目74)
前記生物学的状態が、疾患、障害、または組織の異常である、項目63~73のいずれか一項の自動化システム。
(項目75)
前記疾患が、初期相および中間相の疾患状態である、項目75の自動化システム。
(項目76)
前記疾患が、癌である、項目74または75の自動化システム。
(項目77)
前記癌が、ステージ0の癌またはステージ1の癌である、項目76の自動化システム。(項目78)
前記癌が、肺癌(lung cancer)、膵臓癌、骨髄腫、骨髄性白血病、髄膜腫、神経膠芽腫、乳癌、食道扁平上皮癌、胃腺癌、前立腺癌、膀胱癌、卵巣癌、甲状腺癌、神経内分泌癌、結腸癌、卵巣癌、頭頸部癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、直腸癌(rectum cancer)、泌尿器癌、子宮癌、口腔癌(oral cancer)、皮膚癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌、喉頭癌、食道癌、乳房腫瘍、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、ユーイング肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌(cystandeocarcinoma)、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、子宮内膜癌、肺癌(lung carcinoma)、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠芽腫、ニューロノーマ(neuronomas)、頭蓋咽頭腫(craniopharingioma)、シュワン腫、神経膠腫、星細胞腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、網膜芽腫、白血病およびリンパ腫、急性リンパ性白血病および急性骨髄球性真性赤血球増加症、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、および重鎖病、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、小児ヌル細胞型急性リンパ性白血病(ALL)、胸腺性ALL(急性リンパ球性白血病)、B細胞ALL(急性リンパ球性白血病)、急性巨核球性白血病、バーキットリンパ腫、およびT細胞白血病、小細胞および大細胞(非小細胞)肺癌、急性顆粒球白血病、胚細胞腫瘍、子宮内膜癌、胃癌、毛様細胞性白血病、または甲状腺癌からなる群から選択される、項目76または77の自動化システム。
(項目79)
前記生物学的状態が、前疾患状態である、項目74~78のいずれか一項の自動化システム。
(項目80)
前記決定が、前記複合的な生物学的サンプル中の濃度が少なくとも7~少なくとも12桁に及ぶ2つの生体分子の存在量を比較することを含む、項目63~79のいずれか一項の自動化システム。
(項目81)
複合的な生物学的サンプルの生物学的状態を識別するための方法であって、
(a)項目1~56のいずれか一項の自動化機器に複合的な生物学的サンプルを供給して生体分子のサブセットを生成させること;
(b)前記生体分子のサブセットをアッセイして生体分子フィンガープリントを生成させること;および
(c)前記生体分子フィンガープリントによって、前記複合的な生物学的サンプルの生物学的状態を識別すること、
を含む、方法。
(項目82)
前記生体分子フィンガープリントが、タンパク質を含む、項目81の方法。
(項目83)
前記複合的な生物学的サンプルからの前記生体分子のサブセットが、前記複合的な生物学的サンプルよりも小さい、アルブミンと非アルブミンペプチドの比を有する、項目81または82の方法。
(項目84)
前記生体分子のサブセットが、前記複合的な生物学的サンプル中の濃度範囲が少なくとも6~少なくとも12桁に及ぶ生体分子を含む、項目81~83のいずれか一項の方法。(項目85)
前記生体分子のサブセットが、前記複合的な生物学的サンプル中の濃度範囲が少なくとも6~少なくとも12桁に及ぶタンパク質を含む、項目81~84のいずれか一項の方法。
(項目86)
前記生体分子フィンガープリントが、1~74,000のタンパク質グループを含む、項目81~85のいずれか一項の方法。
(項目87)
前記アッセイが、前記複数の生体分子コロナの中の生体分子コロナから、複数の生体分子を脱着させることを含む、項目81~86のいずれか一項の方法。
(項目88)
前記アッセイが、前記複数の吸着生体分子の中の生体分子を化学的に改変することを含む、項目87の方法。
(項目89)
前記アッセイが、前記複数の吸着生体分子の中の生体分子を断片化することを含む、項目87の方法。
(項目90)
前記断片化が、プロテアーゼ消化を含む、項目89の方法。
(項目91)
前記断片化が、化学的ペプチド切断を含む、項目89の方法。
(項目92)
前記アッセイが、前記複数の吸着生体分子を収集することを含む、項目87~91のいずれか一項の方法。
(項目93)
前記アッセイが、前記収集した複数の吸着生体分子を精製することを含む、項目92の方法。
(項目94)
前記精製が、固相抽出を含む、項目93の方法。
(項目95)
前記精製が、前記収集した複数の吸着生体分子から非タンパク質生体分子を枯渇させる、項目93または94の方法。
(項目96)
前記アッセイが、前記複数の吸着生体分子を廃棄することを含む、項目87の方法。
(項目97)
前記アッセイが、前記複数の生体分子コロナの中の生体分子コロナから生体分子の第1のサブセットと生体分子の第2のセットを脱着させること、前記生体分子の第1のサブセットの中の生体分子を分析すること、および前記生体分子の第2のサブセットの中の生体分子を分析すること、を含む、項目87~96のいずれか一項の方法。
(項目98)
前記アッセイが、質量分析、タンデム質量分析、マスサイトメトリー、マスサイトメトリー、電位差測定、蛍光定量、吸収分光法、ラマン分光法、クロマトグラフィー、電気泳動、免疫組織化学、PCR、次世代シークエンシング(NGS)、またはそれらの任意の組み合わせによって、前記複数の生体分子コロナの中の生体分子コロナを分析することを含む、項目81~97のいずれか一項の方法。
(項目99)
前記アッセイが、質量分析またはタンデム質量分析を含む、項目98の方法。
(項目100)
前記アッセイが、前記生体分子のサブセットの中のタンパク質の立体構造を同定することを含む、項目81~99のいずれか一項の方法。
(項目101)
前記アッセイが、前記生体分子のサブセットの中のタンパク質に対する翻訳後修飾を同定することを含む、項目81~100のいずれか一項の方法。
(項目102)
前記識別が、前記生体分子のサブセットからの少なくとも200~少なくとも1000の生体分子の相対的存在量を比較することを含む、項目81~101のいずれか一項の方法。
(項目103)
前記アッセイによって、前記複合的な生物学的サンプル中の10ng/mL未満の濃度の生体分子が同定される、項目81~102のいずれか一項の方法。
(項目104)
複合的な生物学的サンプルから生体分子のサブセットを生成させるための自動化機器であって、
複数の粒子;および
前記複合的な生物学的サンプルを含み、
前記複数の粒子を前記複合的な生物学的サンプルと接触させることによって前記生体分子のサブセットを生成させ、前記生体分子のサブセットを含む複数の生体分子コロナを形成させるように構成されており、
前記生体分子のサブセットのダイナミックレンジが、前記複合的な生物学的サンプル中に存在する生体分子のダイナミックレンジと比較して圧縮されている、自動化機器。
(項目105)
基材をさらに含み、ここで、前記基材が、マルチウェルプレートである、項目104の自動化機器。
(項目106)
インキュベーションエレメントをさらに含む、項目104または105の自動化機器。(項目107)
前記インキュベーションエレメントが、前記複数の粒子および前記複合的な生物学的サンプルを、4℃~40℃の温度に加熱および/またはインキュベートするように構成されている、項目106の自動化機器。
(項目108)
洗浄溶液、再懸濁溶液、変性溶液、バッファー、および試薬からなる群から選択される少なくとも1つの溶液をさらに含む、項目104~107のいずれか一項の自動化機器。(項目109)
前記再懸濁溶液が、トリスEDTAバッファー、リン酸バッファー、および/または水を含む、項目108の自動化機器。
(項目110)
前記変性溶液が、プロテアーゼを含む、項目108の自動化機器。
(項目111)
前記変性溶液が、ペプチド切断を行うことができる小分子を含む、項目108の自動化機器。
(項目112)
ローディングユニットをさらに含み、ここで、前記ローディングユニットが、複数のピペットを含む、項目104~111のいずれか一項の自動化機器。
(項目113)
前記複数のピペットの各ピペットが、前記溶液、前記複合的な生物学的サンプル、および/または前記複数の粒子の約5μL~150μLを分注するように構成されている、項目112の自動化機器。
(項目114)
前記複合的な生物学的サンプルが、血漿、血清、尿、脳脊髄液、滑液、涙、唾液、全血、乳、乳頭吸引液、乳管洗浄、膣液、鼻汁、内耳液、胃液、膵液、線維柱帯液、肺洗浄、汗、歯肉溝滲出液、精液、前立腺液、痰、糞便、気管支洗浄、スワブからの流体、気管支吸引物、流動化固形物、細針穿刺吸引サンプル、組織のホモジネート、リンパ液.細胞培養サンプル、またはそれらの任意の組み合わせを含む、項目104~113のいずれか一項の自動化機器。
(項目115)
磁石をさらに含む、項目104~114のいずれか一項の自動化機器。
(項目116)
フィルターをさらに含む、項目104~115のいずれか一項の自動化機器。
(項目117)
前記圧縮されたダイナミックレンジが、濃度が前記サンプルにおいて最も多量な生体分子に対して4~6桁の範囲内である生体分子の種類の数の増加を含む、項目104~116のいずれか一項の自動化機器。
(項目118)
前記生体分子の種類が、タンパク質を含む、項目117の自動化機器。
(項目119)
前記生体分子コロナの前記生体分子の前記ダイナミックレンジが、前記複数の生体分子コロナにおける、上位十分位の生体分子と、下位十分位の生体分子の第1の比である、項目104~118のいずれか一項の自動化機器。
(項目120)
前記生成が、前記複合的な生物学的サンプルからの低存在量の生体分子を富化させる、項目104~119のいずれか一項の自動化機器。
(項目121)
前記低存在量の生体分子が、前記複合的な生物学的サンプル中の、10ng/mLまたはそれより低い濃度の生体分子である、項目120の自動化機器。
(項目122)
前記複数の粒子の中の少なくとも2つの粒子が、少なくとも1つの物理化学的特性が異なる、項目104~121のいずれか一項の自動化機器。
(項目123)
前記少なくとも1つの物理化学的特性が、組成、サイズ、表面電荷、疎水性、親水性、表面官能性、表面トポグラフィー、表面曲率、多孔度、コア材料、シェル材料、形状、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、項目114の自動化機器。
(項目124)
前記複数の粒子の中の粒子が、ミセル、リポソーム、酸化鉄粒子、銀粒子、金粒子、パラジウム粒子、量子ドット、白金粒子、チタン粒子、シリカ粒子、金属または無機酸化物粒子、合成ポリマー粒子、コポリマー粒子、ターポリマー粒子、金属コアを有するポリマー粒子、金属酸化物コアを有するポリマー粒子、ポリスチレンスルホネート粒子、ポリエチレンオキシド粒子、ポリオキシエチレングリコール粒子、ポリエチレンイミン粒子、ポリ乳酸粒子、ポリカプロラクトン粒子、ポリグリコール酸粒子、ポリ(ラクチド-co-グリコリドポリマー粒子、セルロースエーテルポリマー粒子、ポリビニルピロリドン粒子、ポリビニルアセテート粒子、ポリビニルピロリドン-ビニルアセテートコポリマー粒子、ポリビニルアルコール粒子、アクリレート粒子、ポリアクリル酸粒子、クロトン酸コポリマー粒子、ポリエチレンホスホネート(polyethlene phosphonate)粒子、ポリアルキレン粒子、カルボキシビニルポリマー粒子、アルギン酸ナトリウム粒子、カラギーナン粒子、キサンタンガム粒子、アラビアゴム粒子、アラビアガム粒子、グアーガム粒子、プルラン粒子、寒天粒子、キチン粒子、キトサン粒子、ペクチン粒子、カラヤガム(karaya tum)粒子、ローカストビーンガム粒子、マルトデキストリン粒子、アミロース粒子、トウモロコシデンプン粒子、ジャガイモデンプン粒子、コメデンプン粒子、タピオカデンプン粒子、エンドウマメデンプン粒子、サツマイモデンプン粒子、オオムギデンプン粒子、小麦デンプン粒子、ヒドロキシプロピル化高アミロースデンプン粒子、デキストリン粒子、レバン粒子、エルシナン粒子、グルテン粒子、コラーゲン粒子、乳清タンパク質単離物粒子、カゼイン粒子、乳タンパク質粒子、ダイズタンパク質粒子、ケラチン粒子、ポリエチレン粒子、ポリカーボネート粒子、ポリ酸無水物粒子、ポリヒドロキシ酸粒子、ポリプロピルフマレート(polypropylfumerate)粒子、ポリカプロラクトン粒子、ポリアミン粒子、ポリアセタール粒子、ポリエーテル粒子、ポリエステル粒子、ポリ(オルトエステル)粒子、ポリシアノアクリレート粒子、ポリウレタン粒子、ポリホスファゼン粒子、ポリアクリレート粒子、ポリメタクリレート粒子、ポリシアノアクリレート粒子、ポリウレア粒子、ポリアミン粒子、ポリスチレン粒子、ポリ(リジン)粒子、キトサン粒子、デキストラン粒子、ポリ(アクリルアミド)粒子、誘導体化ポリ(アクリルアミド)粒子、ゼラチン粒子、デンプン粒子、キトサン粒子、デキストラン粒子、ゼラチン粒子、デンプン粒子、ポリ-β-アミノ-エステル粒子、ポリ(アミドアミン)粒子、ポリ乳酸・グリコール酸粒子、ポリ酸無水物粒子、生物還元性ポリマー粒子、および2-(3-アミノプロピルアミノ)エタノール粒子、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、項目104~123のいずれか一項の自動化機器。
(項目125)
前記生体分子コロナの生体分子が、多数のタンパク質グループを含む、項目104~124のいずれか一項の自動化機器。
(項目126)
前記多数のタンパク質グループが、1~20,000のタンパク質グループを含む、項目125の自動化機器。
(項目127)
前記多数のタンパク質グループが、100~10,000のタンパク質グループを含む、項目125の自動化機器。
(項目128)
前記多数のタンパク質グループが、100~5000のタンパク質グループを含む、項目125の自動化機器。
(項目129)
前記多数のタンパク質グループが、300~2,200のタンパク質グループを含む、項目125の自動化機器。
(項目130)
前記多数のタンパク質グループが、1,200~2,200のタンパク質グループを含む、項目125の自動化機器。
(項目131)
精製ユニットをさらに含む、項目104~130のいずれか一項の自動化機器。
(項目132)
前記精製ユニットが、固相抽出(SPE)プレートを含む、項目131の自動化機器。(項目133)
前記自動化機器が、複合的な生物学的サンプルから、前記生体分子のサブセットを、7時間未満で生成させる、項目104~132のいずれか一項の自動化機器。
(項目134)
複合的な生物学的サンプルから生体分子のサブセットを生成させるための方法であって、
自動化機器に前記複合的な生物学的サンプルを供給することを含み、
前記自動化機器が、前記複合的な生物学的サンプルを複数の粒子と接触させて生体分子コロナを生成させ、
前記自動化機器が、前記生体分子コロナを処理して前記生体分子のサブセットを生成させ、
前記生体分子のサブセットのダイナミックレンジが、前記複合的な生物学的サンプル中に存在する生体分子のダイナミックレンジと比較して圧縮されている、方法。
(項目135)
前記自動化機器が、項目104~133のいずれか一項の自動化機器である、項目134の方法。
(項目136)
前記生体分子のサブセットをアッセイして生体分子フィンガープリントを生成させることをさらに含む、項目134または135の方法。
(項目137)
前記アッセイによって、前記複合的な生物学的サンプル中の10ng/mL未満の濃度の生体分子が同定される、項目136の方法。
(項目138)
前記アッセイが、質量分析、タンデム質量分析、マスサイトメトリー、マスサイトメトリー、電位差測定、蛍光定量、吸収分光法、ラマン分光法、クロマトグラフィー、電気泳動、免疫組織化学、またはそれらの組み合わせによって、生体分子コロナを分析することを含む、項目136または137のいずれか一項の方法。
(項目139)
前記アッセイが、質量分析またはタンデム質量分析を含む、項目138の方法。
(項目140)
前記生体分子フィンガープリントによって、前記複合的な生物学的サンプルの生物学的状態を識別することをさらに含む、項目134~139のいずれか一項の方法。
(項目141)
前記生体分子フィンガープリントが、複数の特異な生体分子コロナシグネチャーを含む、項目140の方法。
(項目142)
前記生体分子フィンガープリントが、少なくとも5、10、20、40、または80、150、もしくは200の特異な生体分子コロナシグネチャーを含む、項目140または141の方法。
(項目143)
前記生物学的状態が、疾患、障害、または組織の異常である、項目140~142のいずれか一項の方法。
(項目144)
前記疾患が、初期相および中間相の疾患状態である、項目143の方法。
(項目145)
前記疾患が、癌である、項目143または144の方法。
(項目146)
前記癌が、ステージ0の癌またはステージ1の癌である、項目145の方法。
(項目147)
前記癌が、肺癌(lung cancer)、膵臓癌、骨髄腫、骨髄性白血病、髄膜腫、神経膠芽腫、乳癌、食道扁平上皮癌、胃腺癌、前立腺癌、膀胱癌、卵巣癌、甲状腺癌、神経内分泌癌、結腸癌、卵巣癌、頭頸部癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、直腸癌(rectum cancer)、泌尿器癌、子宮癌、口腔癌(oral cancer)、皮膚癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌、喉頭癌、食道癌、乳房腫瘍、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、ユーイング肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌(cystandeocarcinoma)、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、子宮内膜癌、肺癌(lung carcinoma)、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠芽腫、ニューロノーマ(neuronomas)、頭蓋咽頭腫(craniopharingioma)、シュワン腫、神経膠腫、星細胞腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、網膜芽腫、白血病およびリンパ腫、急性リンパ性白血病および急性骨髄球性真性赤血球増加症、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、および重鎖病、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、小児ヌル細胞型急性リンパ性白血病(ALL)、胸腺性ALL(急性リンパ球性白血病)、B細胞ALL(急性リンパ球性白血病)、急性巨核球性白血病、バーキットリンパ腫、およびT細胞白血病、小細胞および大細胞(非小細胞)肺癌、急性顆粒球白血病、胚細胞腫瘍、子宮内膜癌、胃癌、毛様細胞性白血病、または甲状腺癌からなる群から選択される、項目145または146の方法。(項目148)
前記生物学的状態が、前疾患状態である、項目143の方法。
(項目149)
異なる生理化学的特性を有する表面を有する複数の粒子を用いた複合的な生物学的サンプルの状態の識別において分化した機能を有するユニットのネットワークを含む自動化システムであって、
(a)第1のユニットが、前記システム内のユニットからユニットに流体を移送するための多チャンネル流体移送機器を含み;
(b)第2のユニットが、複数の生物学的サンプルを貯蔵するための支持体を含み;
(c)第3のユニットが、前記複合的な生物学的サンプル内の分析物の集団と前記複数の粒子の間の結合相互作用を検出するための、異なる生理化学的特性を有する表面を有する前記複数の粒子を含むパーティションを持つセンサーアレイプレートのための支持体を含み;
(d)第4のユニットが、複数の試薬を貯蔵するための支持体を含み;
(e)第5のユニットが、廃棄されることになる試薬を貯蔵するための支持体を含み;
(f)第6のユニットが、前記多チャンネル流体移送機器によって使用される消耗品を貯蔵するための支持体を含み;
i.前記生物学的サンプルを前記センサーアレイの特定のパーティションと接触させること;
ii.前記生物学的サンプルを前記センサーアレイプレートの前記パーティション内に含まれる前記複数の粒子とインキュベートすること;
iii.前記複数の粒子および粒子と相互作用する分析物の集団を除いて、パーティションから全てのコンポーネントを除去すること;および
iv.質量分析のためのサンプルを調製すること、を含む一連のステップを実行するようにプログラムされている、自動化システム。
(項目150)
前記第1のユニットが、前記システム内の他の全てのユニットへのアクセスを可能にする程度の可動性を有している、項目149の自動化システム。
(項目151)
前記第1のユニットが、ピペッティング機能を果たす能力を有している、項目149または150のいずれかの自動化システム。
(項目152)
前記第2および/または第3のユニットの前記支持体が、シングルプレート、6ウェルプレート、12ウェルプレート、96ウェルプレート、またはマイクロチューブのラックのための支持体を含む、項目149~151のいずれか一項の自動化システム。
(項目153)
第2および/またはユニットが、前記支持体とサンプルの温度を調節することができるサーマルユニットを含む、項目149~152のいずれか一項の自動化システム。
(項目154)
前記第2および/または第3のユニットが、サンプルを物理的に撹拌および/または混合することができる回転ユニットを含む、項目149~153のいずれか一項の自動化システム。
(項目155)
前記複合的な生物学的サンプル内の分析物の集団と前記複数の粒子の間の結合相互作用を検出するための、異なる生理化学的特性を有する表面を有する前記複数の粒子が、前記センサーアレイのパーティション内の表面に固定化されている、項目149~154のいずれか一項の自動化システム。
(項目156)
前記表面を有する複数の粒子が、前記複合的な生物学的サンプル内の分析物の集団と前記複数の粒子の間の結合相互作用を検出するための、異なる生理化学的特性を有する、溶液中の複数の磁性ナノ粒子を含む、項目149~155のいずれか一項の自動化システム。
(項目157)
前記センサーアレイプレートが、磁化支持体と、前記支持体およびサンプルの温度を調節することができるサーマルユニットとを含む追加の第7のユニットに移送され、追加の時間にわたってインキュベートされるステップを含む、項目156の自動化システム。
(項目158)
前記第4のユニットが、
(a)前記センサーアレイプレートを生成させ;
(b)未結合のサンプルを洗浄し;および/または
(c)質量分析のためのサンプルを調製する
ための試薬のセットを含む、項目149~157のいずれか一項の自動化システム。
(項目159)
(i)前記生物学的サンプルを前記センサーアレイの特定のパーティションと接触させることが、前記生物学的サンプルの特定のボリュームを、前記センサーアレイの前記特定のパーティション内にピペッティングすることを含む、項目149~158のいずれか一項の自動化システム。
(項目160)
(i)前記生物学的サンプルを前記センサーアレイの特定のパーティションと接触させることが、溶液中の複数の粒子と前記生物学的サンプルの、1:1、1:2:1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、または1:20の比に対応するボリュームをピペッティングすることを含む、項目149~159のいずれか一項の自動化システム。
(項目161)
前記生物学的サンプルを前記センサーアレイの特定のパーティションと接触させることが、前記生物学的サンプルの少なくとも10マイクロリットル、少なくとも50マイクロリットル、少なくとも100マイクロリットル、少なくとも250マイクロリットル、少なくとも500マイクロリットル、または少なくとも1000マイクロリットルのボリュームを、前記センサーアレイの前記特定のパーティション内にピペッティングすることを含む、項目149~160のいずれか一項の自動化システム。
(項目162)
(ii)前記生物学的サンプルを前記センサーアレイプレートの前記パーティション内に含まれる前記複数の粒子とインキュベートすることが、少なくとも約10秒、少なくとも約15秒、少なくとも約20秒、少なくとも約25秒、少なくとも約30秒、少なくとも約40秒、少なくとも約50秒、少なくとも約60秒、少なくとも約90秒、少なくとも約2分、少なくとも約3分、少なくとも約4分、少なくとも約5分、少なくとも約6分、少なくとも約7分、少なくとも約8分、少なくとも約9分、少なくとも約10分、少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約25分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約50分、少なくとも約60分、少なくとも約90分、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、少なくとも約14時間、少なくとも約15時間、少なくとも約16時間、少なくとも約17時間、少なくとも約18時間、少なくとも約19時間、少なくとも約20時間、または少なくとも約24時間のインキュベーション時間を含む、項目149~161のいずれか一項の自動化システム。
(項目163)
(ii)前記生物学的サンプルを前記センサーアレイプレートの前記パーティション内に含まれる前記複数の粒子とインキュベートすることが、約4℃~約40℃のインキュベーション温度を含む、項目149~162のいずれか一項の自動化システム。
(項目164)
前記複数の粒子および粒子と相互作用する分析物の集団を除いて、パーティションから全てのコンポーネントを除去することが、一連の洗浄ステップを含む、項目149~163のいずれか一項の自動化システム。
(項目165)
前記第2のユニットが、質量分析のための前記サンプルの質量分析ユニットへの移送を促進することができる、項目149~164のいずれか一項の自動化システム。
(項目166)
生物学的サンプル中のタンパク質を同定するための自動化機器であって、
サンプル調製ユニット;
複数のチャンネルを含む基材;
複数のピペット;
複数の溶液、複数のナノ粒子を含み、
タンパク質コロナを形成させ、および前記タンパク質コロナを消化するように構成されている、自動化機器。
(項目167)
生物学的サンプル中のタンパク質を同定するための自動化機器であって、
サンプル調製ユニット;
複数のチャンネルを含む基材;
複数のピペット;
複数の溶液、複数のナノ粒子を含み、
前記自動化機器が、タンパク質コロナを形成させ、および前記タンパク質コロナを消化するように構成されており、
、前記溶液の少なくとも1つが、TE 150mM KCl 0.05% CHAPSバッファーである、自動化機器。
(項目168)
前記サンプル調製ユニットが、前記複数のピペットで、前記基材に、前記複数のナノ粒子を添加するように構成されている、項目166または167の自動化機器。
(項目169)
前記サンプル調製ユニットが、前記複数のピペットで、前記基材に、前記生物学的サンプルを添加するように構成されている、項目166~168のいずれか一項の自動化機器。
(項目170)
前記サンプル調製ユニットが、前記複数のナノ粒子と前記生物学的サンプルをインキュベートして前記タンパク質コロナを形成させるように構成されている、項目166~169のいずれか一項の自動化機器。
(項目171)
前記サンプル調製ユニットが、上清から前記タンパク質コロナを分離させてタンパク質コロナペレットを形成させるように構成されている、項目166~170のいずれか一項の自動化機器。
(項目172)
前記サンプル調製ユニットが、前記タンパク質コロナペレットを、TE 150mM KCl 0.05% CHAPSバッファーで再構成させるように構成されている、項目166~171のいずれか一項の自動化機器。
(項目173)
磁性源をさらに含む、項目166~172のいずれか一項の自動化機器。
(項目174)
前記自動化機器が、BCA、ゲル、またはタンパク質コロナのトリプシン消化のために構成されている、項目166~173のいずれか一項の自動化機器。
(項目175)
前記自動化機器が、囲われている、項目166~174のいずれか一項の自動化機器。(項目176)
前記自動化機器が、使用前に滅菌される、項目166~175のいずれか一項の自動化機器。
(項目177)
前記自動化機器が、質量分析に適合化されている、項目166~176のいずれか一項の自動化機器。
(項目178)
前記自動化機器が、温度制御されている、項目166~177のいずれか一項の自動化機器。
(項目179)
生物学的サンプル中のタンパク質を同定する方法であって、
項目166~178のいずれか一項の自動化機器に前記生物学的サンプルを加えること;
前記自動化機器によってプロテオミクスデータを生成させること;および
前記プロテオミクスデータを定量すること
を含む、方法。
(項目180)
複数のナノ粒子を、前記自動化機器内で、前記生物学的サンプルとインキュベートしてタンパク質コロナを形成させることをさらに含む、項目179の方法。
(項目181)
前記自動化機器内で、上清から前記タンパク質コロナを分離させることをさらに含む、項目179または180の方法。
(項目182)
前記自動化機器内で、前記タンパク質コロナを消化して消化サンプルを形成させることをさらに含む、項目179~181のいずれか一項の方法。
(項目183)
前記自動化機器内で、前記消化サンプルを洗浄することをさらに含む、項目179~182のいずれか一項の方法。
(項目184)
前記プロテオミクスデータの定量が、前記プロテオミクスデータを質量分析に提供することを含む、項目179~183のいずれか一項の方法。
(項目185)
前記生物学的サンプルが、体液である、項目179~184のいずれか一項の方法。
(項目186)
前記体液が、血清または血漿である、項目179~185のいずれか一項の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14