IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セルタ ドース,インコーポレイティドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050949
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】放射線投与システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20240403BHJP
   A61M 31/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61N5/10 Z
A61M31/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024022887
(22)【出願日】2024-02-19
(62)【分割の表示】P 2022030073の分割
【原出願日】2017-05-11
(31)【優先権主張番号】62/334,990
(32)【優先日】2016-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/282,732
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/588,497
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514194716
【氏名又は名称】セルタ ドース,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】ケイレブ ヘルナンデス
(57)【要約】
【課題】適切な放射線量を決定及び投与するための方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の態様は、患者に放射線を投与するために、送達するためのシステム及び方法を開示する。この方法は、患者を複数のコード化された投薬量ゾーンのうちの1つと関連付けることを含むことができ、ここで、複数のコード化された投薬量ゾーンのそれぞれは、身体的特徴の1つ以上の値に対応する。該方法は、複数のコード化された投薬量ゾーンのうちの1つを放射線量と相関させ、次に放射線量を患者に適用することをさらに含むことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に放射線を投与する方法であって、該方法は、
患者を複数のコード化された投薬量ゾーンのうちの1つと関連付けるステップであって、ここで、複数のコード化された投薬量ゾーンのそれぞれは、身体的特徴の1つ以上の値に対応するステップ;
複数のコード化された投薬量ゾーンのうちの1つを放射線量と相関させるステップ;及び
患者に放射線量を適用するステップ
を含む上記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Radiological Dosing System and Method」と題する、2016年5月11日に出願された米国仮特許出願第62/334,990号の優先権及び利益を主張する。本出願はまた、「System for Delivering Medication」と題する、2012年2月1日に出願された米国仮特許出願第61/593,674号と「System for Delivering Medication」と題する、2012年10月23日に出願された米国仮特許出願第61/717,474号に対する優先権を主張する、「System for Delivering Medication」と題する、2013年1月30日に出願されたPCT出願第PCT/US2013/023873号の国内段階移行である、「System for Delivering Medication」と題する、2015年9月2日に出願された米国特許出願第14/392,087号の一部継続出願、及び「Apparatuses,Methods,and Systems for Delivering Measured Doses of Medication」と題する、2016年9月30日に出願された米国特許出願第15/282,732号の一部継続出願、及び「Apparatuses,Methods,and Systems for Delivering Medication Using Medication Kits」と題する、2017年5月5日に出願された米国特許出願第15/588,497号の一部継続出願である。上記の参照されるすべての出願は、参照により本明細書に明示的に援用される。
【0002】
開示の分野
本開示は、適切な放射線量を決定及び投与するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
適切な投薬量を正確かつ効率的に投与することは極めて重要である。少量の投与ミスでも悲惨な結果を招く可能性があるため、これは小児科患者に放射線量を決定及び/又は提供するときに不可欠である。さらに、放射線過剰投薬、放射線中毒、さらには癌の発症など、過剰投与が行われた場合、放射線治療には付加的なリスクがある。放射線治療を受けている一部の患者はまた、IV造影剤及び/又は鎮静剤を受けることがある。(本明細書で言及するとき、用語「造影剤(contrast media)」はまた、造影剤(contrast dye)又は造影剤(contrast agent)を指すこともある。)これは、誤りが生じる可能性があり、過剰量のIV造影剤が恒久的な腎臓損傷及び/又は腎疾患につながる可能性がある付加的なステップを伴う。
【0004】
最善の状況下であっても、医療関係者の最善の努力にもかかわらず、放射線を管理することに含まれる多数のステップのために、時々不注意な間違いがなされる。より具体的には、典型的な状況では、適切な投薬量を最初に決定しなければならず、これは通常、多段階の数学的計算を含む。これには実際の投与過程に含まれる複数のステップが続き、それは適用される用量の強度及び期間を含む、投与されるべき正しい用量の選択を含み得る。さらに、例えば放射線の強度及び適用のための期間を含むものなどの多数の他の計算が投薬の過程の一部として行われる必要がある。
【0005】
投薬量の正確性における問題は、緊急事態、経験の浅いスタッフ、注意散漫、及び/又は投与放射線及び静脈内造影剤及び/又は鎮静剤によって同時に又は連続してさらに悪化する可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本開示は、患者に放射線を投与する方法に関する。この方法は、患者を複数のコード化された投薬量ゾーンのうちの1つと関連付けることを含むことができ、ここで、複数のコード化された投薬量ゾーンのそれぞれは、身体的特徴の1つ以上の値に対応する。この方法はさらに、複数のコード化された投薬量ゾーンのうちの1つを放射線量と相関させ、患者に放射線量を適用することを含むことができる。放射線量は、放射線が適用されるべき患者の位置に依存し得る。いくつかの実施形態では、身体的特性は、体重、身長、及び表面積のうちの少なくとも1つであり得る。
【0007】
本開示はまた、患者に放射線を投与する方法に関する。この方法は、放射線装置に関連付けられるプロセッサにおいて、患者が複数のコード化された領域に含まれるコード化された領域に関連付けられることを示す情報を受け入れるステップを含み、ここで、複数のコード化された領域のそれぞれは、身体的特徴の1つ以上の値に対応する。この方法は、プロセッサにおいて、患者のための放射線位置を受け入れるステップをさらに含む。プロセッサは、コード化された領域及び放射線位置を放射線量と相関させることができる。該方法はさらに、放射線位置で患者に放射線量を適用することを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、患者のサイズを決定し得る。さらに、患者に安全な放射線範囲は、プロセッサにおいて、患者のサイズに基づいて決定され得る。患者への放射線量の適用は、患者に与えられるべき放射線量が安全な範囲内にあることを検証することを含み得る。
【0009】
いくつかの実装形態では、患者のサイズは、複数のコード化された領域のうちの1つに相関し得る。コード化された領域は色分けされてもよい。いくつかの実施形態では、安全な放射線範囲は、放射線の位置に基づいて決定される。
【0010】
他の実装形態では、本方法は、追加の患者が複数のコード化された領域のうちに含まれる追加のコード化された領域に関連付けられることを示す追加の情報をプロセッサで受け入れることをさらに含み得る。追加の患者のための追加の放射線位置もまたプロセッサで受け入れることができる。追加のコード化された領域及び追加の放射線位置は、プロセッサにおいて、追加の放射線量と相関させることができる。追加の患者に安全な放射線範囲は、プロセッサにおいて、患者のサイズに基づいて計算され得る。追加の放射線量が安全な範囲内にないと決定された場合、追加の放射線量は追加の患者には適用されない。いくつかのこのような実施形態では、追加の放射線量が安全な範囲内にないと決定されたとき、プロセッサにおいて、放射線装置に関連するスクリーン上に表示するための通知が作成されてもよい。
【0011】
別の態様では、本開示は、患者に放射線を投与する方法に関する。この方法は、放射線装置に関連付けられるプロセッサで、患者の計算された放射線量を受け入れるステップ、患者の放射線位置を受け入れるステップ、及び患者の特徴及び患者の特徴に対応するコード化された領域の少なくとも1つを受け入れるステップを含む。この方法はさらに、患者の特徴及び/又は患者の特徴に対応するコード化された領域を患者の放射線位置における安全な放射線量範囲と相関させることを含む。プロセッサは、計算された放射線量を安全な線量範囲と比較することができる。計算された放射線量が安全な線量範囲内にあるとき、計算された放射線量は放射線位置で患者に適用される。いくつかの実施形態では、計算された放射線量が安全な線量範囲内にない場合、メッセージが作成されて、放射線装置に関連する画面に表示され、計算された放射線量は放射線位置で患者に適用されない。
【0012】
いくつかの実施形態では、患者に安全な線量範囲は、放射線位置に応じて変わり得る。
【0013】
いくつかの実装形態では、本方法は、放射位置で第2の患者の特徴を決定するステップをさらに含み得る。第2のコード化された領域は、プロセッサにおいて、第2の患者の特徴に基づいて決定されてもよい。患者のための第2のコード化された領域は、プロセッサにおいて、患者のための放射線位置における放射線の第2の安全な線量範囲と相関し得る。プロセッサは、計算された線量が第2の安全な線量範囲内にあると決定することができる。計算された線量が安全な線量範囲及び第2の安全な線量範囲内にあるとき、計算された用量を適用することができる。計算された線量が安全な線量範囲及び第2の安全な線量範囲内にないとき、表示するためのメッセージが作成されてもよく、そのメッセージは放射線装置に関連付けられるスクリーン上に表示されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、本方法は、放射位置における第2の患者の特徴を決定するステップをさらに含み得る。患者のための第2のコード化された領域は、プロセッサにおいて、第2の患者の特徴に基づいて決定され得る。表示すべきメッセージは、第2のコード化された領域がコード化された領域と同じではないときに作成されてもよく、メッセージは放射線装置に関連付けられるスクリーン上に表示されてもよい。
【0015】
別の態様では、本開示は、患者に放射線を投与する方法に関する。この方法は、放射線装置に関連付けられるプロセッサにおいて、患者の身体的特徴の値に対応する色分けされた領域を同定する情報を受け入れることを含み、ここで、色分けされた領域は複数の色分けされた領域の中に含まれる。本方法は、プロセッサで、患者上の位置に対応する放射線位置を受け入れるステップをさらに含む。次に、プロセッサは、造影剤及び鎮静剤の少なくとも1つが患者に与えられるべきであると決定し、さらに少なくとも部分的に色分けされた領域に基づいて、造影剤及び鎮静剤の少なくとも1つの投与量及び投与濃度のうちの少なくとも1つをさらに決定し得る。この方法は、色分けされた領域及び放射線位置を放射線量と相関させるステップ、ならびに造影剤及び鎮静剤の少なくとも1つを患者に提供するステップをさらに含み得る。次に、放射線量を放射線位置に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態による放射線量を投与する方法を示す流れ図である。
図2A】他の実施形態による放射線量を投与する方法を示す流れ図である。
図2B】他の実施形態による放射線量を投与する方法を示す流れ図である。
図3】別の実施形態による放射線量を投与する方法を示す流れ図である。
図4A】いくつかの実施形態による例示的な薬剤投与装置の斜視図を示す。
図4B】いくつかの実施形態による例示的な薬剤投与装置の斜視図を示す。
図4C】いくつかの実施形態による例示的な薬剤投与装置の斜視図を示す。
図4D】いくつかの実施形態による例示的な薬剤投与装置の斜視図を示す。
図5A】他の実施形態による例示的な薬剤投与装置の斜視図を示す。
図5B】他の実施形態による例示的な薬剤投与装置の斜視図を示す。
図5C】他の実施形態による例示的な薬剤投与装置の斜視図を示す。
図5D】他の実施形態による例示的な薬剤投与装置の斜視図を示す。
図6A】他の実施形態による例示的な薬剤投与装置の斜視図を示す。
図6B】他の実施形態による例示的な薬剤投与装置の斜視図を示す。
図6C】他の実施形態による例示的な薬剤投与装置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出願は、適切な放射線量及び/又は薬剤投薬量を患者に投与するための装置、システム、及び方法を記載する。放射線量は、放射線が患者に適用される強度及び期間によって決定され得る。特定の患者に対する線量の決定において、患者のサイズ、放射線が適用される身体上の位置、及び放射線種(すなわち、CTスキャン、X線など)を考慮に入れることができる。さらに、IV造影剤及び/又は鎮静剤と組み合わせていくつかの種類の放射線が適用される。造影剤及び/又は鎮静剤が必要かどうかを含む、IV造影剤の投薬量及び鎮静剤の投薬量はまた、患者のサイズ、適用される放射線の種類、及び放射線の位置に依存する。
【0018】
少なくとも部分的には、放射線の投与、IV造影剤、及び鎮静のために考慮しなければならないすべての要因のため、これらのうちの1つ又はすべての線量を決定する際にエラーが生じる可能性がある。これらのエラーは、放射線の過剰投薬、放射線中毒、癌の発症、腎臓の損傷、腎不全などを含む、患者にとって重大な影響を及ぼし得る。したがって、複雑な計算の必要性を単純化し、除去することは、そのような治療を受けている患者によって被る危険性を著しく減少させることができる。
【0019】
これを達成するために、投与量は、患者のサイズに基づいて決定される様々なゾーンに標準化することができる。患者の大きさは、患者の体重、長さ、表面積、及び/又は他の要因に基づいて決定することができる。患者の大きさが決まったら、その大きさをゾーンと相関させることができる。例えば、ゾーンは、患者の体重及び/又は患者の身長に基づく範囲を含み得るので、患者が測定されるとき、測定はゾーンのうちの1つの範囲内であり得る。
【0020】
一実施形態では、色分けされた測定テープを使用して、患者の身長が相関しているゾーンを決定することができる。例えば、Broselow(登録商標)Pediatric Emergency Tapeは、容易に入手可能な患者の身長を薬物投与量と相関させる周知の機器である。器具の詳細及びその使用方法は、例えば、参照により本開示に組み込まれる米国特許第4,716,888号及び第6,132,416号に開示されている。一般的に、この方法は、患者の身長を測定してテープ上に設けられたカラーゾーンのうちの1つにコード化し、その色分けされた長さを使用して患者に投与される薬物投与量を決定することを含む。テープを典型的に使用されるインチ又はセンチメートルではなく複数の色分けされたゾーンに分割することによって、各色ゾーンは所与の長さ範囲に対応し、患者の身長は容易に読み取られ、センチメートル又はインチでの特定の測定値ではなくある種のカラーのものとして通知される。言い換えれば、各色分けされた長さゾーンは、メートル単位又は帝国単位のいずれかで測定された実際の長さの一定の所定の範囲に対応する。例えば、テープ上のグレーカラーゾーンは42.20cmから60.79cmの範囲の長さに対応し、テープ上のピンク色ゾーンは60.80cmから67.79cmの範囲の長さに対応する。したがって、身長が第1の長さ範囲内に入る患者はグレーとしてコード化され、長さが第2の長さ範囲内に入る患者はピンク色としてコード化されることになる。次に、2人の患者に対する適切な薬物投与量は、テープに記載されている所定の薬物投与量のリストから選択される。
【0021】
一実施形態では、各患者ゾーンには、特定の色に割り当てられる代わりに、それぞれ特定の記号、番号などを割り当てることができる。ゾーンが色と関連付けられている実施形態では、使用される色分けは、Broselow(登録商標)テープで使用される色と同じであるか、又はそれと相関していてもよい。そのような実施形態では、Broselow(登録商標)テープを使用して特定の色域を測定する患者は、その色域に相関する放射線量、IV造影剤、及び/又は鎮静剤を受ける。いくつかの実施形態では、それぞれが9色のうちの1つに関連付けられ得る9つの標準化されたゾーンがあり得る。
【0022】
さらに、患者に対する放射線量は、身体のどこに放射線が適用されているかによる。例えば、頭部への放射線量の強度及び/又は期間は、同じ患者内又は同様のサイズの患者でさえも、腹部への放射線量の強度及び/又は期間とは異なる。したがって、放射線の標準化には、放射線が適用される場所に応じた線量が含まれる。したがって、例えば、患者がいったん「黄色」ゾーンに割り当てられると、与えられる放射線量は適用領域に依存するため、「黄色」ゾーンには、頭部CT、胸部CT、及び/又は同等のものの放射線量が含まれる。このゾーンはまた、異なる種類及び濃度のIV造影剤及び鎮静剤についての用量を含み得る。
【0023】
結果として、複数の計算をする代わりに、技術者、看護師、医師などは、患者のサイズ(体重、身長など)に相関する色範囲を知るだけでよい。色の範囲は、少なくとも、身体の各位置(例えば、頭、腕、脚、腹部、胸部など)について放射線の強度及び放射線を適用するための時間枠を決定する。
【0024】
投薬量を決定するために、技術者、看護師、及び/又は医師はチャート/表を読むことができる。例えば、色は上から横に並んでいてもよく、放射線の位置は横に並んでいてもよく、各色及び位置についての強度及び時間枠は各ボックス内に並んでもよい。他の実施形態では、決定は、X線又はCT装置などの放射線送達装置の一部であり得る。技術者は、患者のサイズに基づいてカラーゾーンを決定し、その色を装置に入力することができる。次に、機械は、患者のカラーゾーンに基づいて、既知の投与量計算を実行し、関連付けられるカラーゾーンに適した放射線量を患者に送達する。いくつかの実施形態では、技術者は、体重及び/又は身長に基づいて、患者のサイズを入力することができ、機械は、色及び/又は適切な用量を決定し、その用量を患者の色域に送達することができる。さらに別の実施形態では、技術者、看護師、医師などが計算を実行して患者の用量を決定することができる。次に、決定された用量は、患者のサイズに相関する色の範囲に対して検証され得る。このようにして、計算に誤りがある場合、技術者、看護師、医師などは、決定された用量がその患者について決定された色範囲内にあることを迅速に確認することができる。このようにして、計算が実行され、次にその患者にとって適切な領域内にあることが検証される。
【0025】
図1は、一実施形態による例示的フローチャートを示す。色分けされた領域は、患者のサイズに基づいて決定され得る(段階105)。上述したように、患者のサイズは、患者の体重、身長、表面積などに基づいてもよい。サイズは、各ゾーンが特定のカラー、数、記号などに対応する複数のゾーンのうちの1つの中にあり得る。例えば、カラーは、Broselowテープの色と類似した色か、又は同じ色である場合があり得る。色分けされた領域が決定されると、色分けされた領域を放射線量と相関させることができ(段階110)、放射線量を適用することができる(段階115)。
【0026】
図2は、本明細書に開示された方法に従って、X線装置、CT装置などのような放射線装置が放射線量を決定することができる実施形態による別の例示的なフローチャートを示す。図2Aを参照すると、患者に対応する色分けされた領域を受け入れることができる(段階205)。いくつかの実施形態において、色分けされた領域は、技術者、看護師、及び/又は医師によって入力され得る。他の実施形態では、機械は、例えば患者の体重を決定するために内蔵の目盛りを使用して患者のサイズを決定し、機械は、患者のサイズ、患者のサイズに対応する色分けされた領域に基づいて決定することができる。放射位置も受け入れることができる(段階210)。再度、放射線位置は、技術者、看護師、及び/又は医師によって入力されてもよく、又は機械が位置を決定することができる。色分けされた領域及び放射線位置は、放射線量と相関させることができる(段階215)。放射線量は、放射線の強度が適用されるべき強度及び時間枠を含み得る。放射線量を適用することができる(段階220)。
【0027】
別の実施形態では、図2Bに示すように、技術者、看護師、医師などが患者の線量を計算し、計算された放射線量とそれが適用され得る領域を入力することができる(段階225、230)。患者に対応する色分けされた領域は、技術者、看護師、医師などによって入力されてもよく、及び/又は機械は、上述のように患者のサイズを決定してもよく、患者のサイズを色分けされた領域と相関してもよい(段階235)。機械は、色分けされた領域を相関させることができ、放射線位置は、安全な放射線量及び/又は安全な放射線量の範囲と相関させることができる(段階240)。機械は、技術者、看護師、医師などによって入力された線量が安全な線量であり、及び/又は安全な範囲内にあることを検証することができる(段階245)。線量が安全であると機械が決定したら、機械はその線量をその領域に適用することができる。線量が安全ではない場合、機械は線量を適用しない場合がある。機械はまた、線量が患者にとって安全ではないことを技術者、看護師、又は医師などに通知することができる(段階250)。
【0028】
図3に示すように、いくつかの実施形態では、患者に対応する色分けされた領域及び/又は放射線位置を受け入れることができる(305)。図2A及び図2Bに関して論じたように、実施形態に応じて、領域及び/又は位置を入力又は決定することができる。色分けされた領域及び/又は放射位置に基づいて、造影剤が必要であるかどうかに関して決定がなされ得る(段階310)。造影剤が使用される場合、患者に与えられるべき用量及び/又は濃度が決定され得る(段階315)。いくつかの実施形態では、用量及び/又は濃度は、技術者、看護師、及び/又は医師に表示され得る。鎮静剤が必要であるかどうかについての決定がなされ得、用量及び/又は濃度が技術者、看護師、及び/又は医師に表示され得るように、鎮静剤に関して同様の決定がなされ得る。適用される造影剤及び/又は鎮静剤の用量及び/又は濃度は、患者のサイズ、色分けされた領域、及び/又は放射線位置に依存し得る。さらに、色分けされた領域及び放射線位置はまた、患者に適用されるべき放射線量と相関し(段階320)、放射線量が適用される(段階325)。造影剤及び/又は鎮静剤が放射線の適用の前に患者に与えられたことを確実にするために、線量の適用を遅らせることができる。
【0029】
鎮静剤及び/又はIV造影剤が適用されるとき、造影剤及び/又は鎮静剤の種類及び/又は濃度について、シリンジを所定の色分けされた体積用量でマークしてもよい。これは、米国特許出願第15/588,497号、第15/282,732号及び第14/392,087号、ならびにPCT出願第PCT/US2013/023873号にさらに記載されており、それらの全ては参照によりその全体が本明細書に明確に組み込まれる。
【0030】
ここで、図4及び図5に注目する。これらの図は、IV造影剤及び/又は鎮静剤を送達するための薬剤投薬装置10の一実施形態を示している。示されるように、投薬装置10は、所定の色分けされた体積薬剤の投与量100でマークされた細長い胴部30を含むシリンジ15と、プランジャ50とを含む。薬剤投薬装置は、一実施形態によれば、さらに、患者に投与されるべき薬剤に対応する流体105が予め充填されていてもよい。図4Aに示されるように、シリンジ15は、近位端25と、この近位端の反対側の遠位端20とを含む。シリンジ15はさらに、その中に分配されるべき薬剤を保持するためのシリンジ胴部30のような容器と、シリンジ胴部の近位端35(円筒部)に位置する開口部36から近位端25のプランジャの近位端55まで近位に延びるプランジャ50とを含む。シリンジ胴部30及びプランジャ50は両方とも、典型的には、不活性であるか、又は内部の液体の化学バランスを乱さない、プラスチック、ガラス又は他の任意の適切な透明な医療用グレードの材料から製造される。
【0031】
図4Bに示すように、シリンジ胴部30は細長くかつ実質的に円筒形であり、遠位端31及び近位端35を含む。シリンジ胴部はさらに、外周面37及び内周面38を含む。プランジャ及び流体をその中に受け入れることができるチャンバ32は、遠位端部31と近位端部35との間の胴部の内周面38によって画定される。フランジ33は、シリンジの取り扱いを容易にするためのフィンガーグリップとして機能し得、胴部の近位端に一体に形成され、プランジャを受け入れるための開口部36を画定する。胴部の内面に沿って開口部36に近接するのは隆起部34であり、図4Cに示すように、プランジャが胴部と係合したときにプランジャが胴部から滑り落ちるのを防止する。
【0032】
開口部36は、チャンバ32及びシリンジ胴部の遠位端20に配置された開口部39と連通している。シリンジ胴部30内に収容された液体を放出するための針、ノズル又は管を取り付けるための先端部40は、胴部の遠位端20と一体に形成され、開口部39と連通している。先端部は、同軸に配置された内側部材41及び外側部材42を含み得る。一実施形態によれば、先端部はルアーテーパーフィッティングを含み得る。
【0033】
図4Bに示す一実施形態によれば、プランジャ50は、プランジャロッド51と、プランジャロッドの遠位端56に取り付けられたゴム製又はプラスチック製のガスケット又はストッパー52とを含む。ガスケットは、シリンジの内容物がシリンジの後部から漏れるのを防ぐために、胴部の内面とプランジャとの間に気密シールを形成する。環状フランジ53が、プランジャロッドの近位端55と一体的に形成される。プランジャ50は、チャンバ30の形状と相補的な細長い形状を有し、チャンバに沿って(円筒形胴部又はチューブの内側に)押し込まれて、シリンジが、胴部の先端で先端部40又は開口部39を通って流体を放出できるように設計される。あるいは、プランジャは、チャンバ30の内側からチップ40又は開口部39を通して流体を押し出すことができる任意の他の構成を含み得る。
【0034】
本開示の一実施形態によれば、薬剤投与装置は、予め選択された薬物で予め充填されてもよい。最初に、薬剤投与装置が、予め充填され、シリンジが投薬前の投与位置にあるとき、プランジャロッドの実質的な長さはシリンジ胴部の長手方向外側に延びる。言い換えれば、図4Aに示されるように、薬剤の投与前には、ガスケット52とプランジャロッドの遠位端56のみが、最初は、胴部の近位端35で、シリンジ胴部の内側にあり、プランジャ長の残り部分は、その近位端55がその最も伸長した構成になるように胴部の外側にある。あるいは、薬剤投与プロセスの直前に、含まれる薬剤容器内に提供された薬剤を薬剤投与装置内に引き込むために要するキットの一部として薬剤投与装置をもたらす場合、プランジャロッドは、薬物がシリンジに引き込まれるまで、シリンジ胴部の内側に留まることができる。
【0035】
図5Aに示される別の実施形態によれば、シリンジ15は、細長い胴部70と、所定の色分けされた体積測定薬用量100でマークされ、患者に投与される薬剤に対応する流体105で予め充填されたプランジャ80とを含み得る。この構成では、図5Cに示すように、シリンジ胴部は、円筒形胴部のより大きい直径と概して同軸に整列している内側管状体75を含む。内側管状体は、内側管状体内に同軸に配置されかつ内側管状体と長手方向に整列した針76を有する。図5Dに示されるプランジャ80は、実質的に円筒形部材又はバイアル81及びストッパー82を含む。図5Bに示されるように、薬剤の投与前に、シリンジ胴部及びプランジャは最初に分離されているため、ストッパー82が内側管状体75及び針76と完全に係合するように、シリンジ胴部の近位端35に挿入する必要がある。
【0036】
本開示のなお別の実施形態によれば、プランジャ及び/又はプランジャストッパーは、胴部に含まれる薬物に基づいて色分けされ得る。プランジャのそのような色分けは、薬剤が投与される効率をさらに向上させることができ、プランジャの目視検査が投与されるべき薬剤の正確さの迅速な検証を提供し得るので投与をさらにエラーを起こしにくくし得る。
【0037】
あるいは、薬剤投与装置は、例えばチューブ、バイアル、バッグ又はボトルのような、その中に収容し、そこから所望の薬剤を放出することができる任意の容器を含むことができる。例えば、薬剤投与装置は、静脈内輸液を含むバッグであり得る。この実施形態によれば、バッグは、従来の体積マーキングと共に一連の色分けされたゾーンでマーキングすることができる。従来の体積マーキングと組み合わせて使用すると、色分けされたゾーンを医療担当者に、患者のカラーゾーンに基づいて患者に与えることができる各薬物の正しい量を思い出させることができる。色分けされたゾーンはまた、所与の薬剤についてIVポンプに分配されるべき正しい総量を入力するためのキーとしても使用され得る。
【0038】
ここで、薬剤投薬装置の表面上のマーキングについて説明する。シリンジの場合、マーキングはシリンジ胴部又はプランジャの円周面に沿って配置されてもよい。図4Aから5Dに示されるように、マーキングは、患者に投与される可能性のある薬剤投薬量を示す一連の実質的に半透明のバンド又はゾーン100を含む。図に示されるマーキングは一連の色分けされたゾーンを含むが、マーキングは異なるパターン、テクスチャなどを有するゾーンを含むこともできる。使用されるマーキングのタイプに関係なく、マーキングは、薬剤投与装置の内面又は外面に直接、プリント、塗装、エッチング又は染色され、あるいは薬剤投与装置の外面上に貼付又は配置することができるラベル又はスリーブを作成し得る。適用されたマーキングは、一旦装置が満たされると、流体レベルがマーキングを通して容易に見ることができるようなものである。
【0039】
薬剤投薬シリンジのさらなる実施形態は、図6A~6Cに示される。
【0040】
本出願に提示されている特許、特許出願、記事、ウェブページ、本などを含むがこれらに限定されない刊行物又は他の文書へのありとあらゆる言及は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0041】
装置、システム及び方法の例示的な実施形態は本明細書に記載されている。他の箇所で述べたように、これらの実施形態は。例示目的のためにのみ記載されており、限定的ではない。他の実施形態も可能であり、本開示によって網羅されており、それは本明細書に含まれる教示から明らかになる。したがって、本開示の広さ及び範囲は、上記の実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、本開示によって支持される特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。さらに、本開示の実施形態は、標的粒子の分離、集束/濃縮に対応するありとあらゆる要素を含む、任意の他の開示された方法、システム、及び装置からのありとあらゆる要素をさらに含み得る方法、システム、及び装置を含み得る。言い換えれば、1つ又は別の開示された実施形態からの要素は、他の開示された実施形態からの要素と交換可能であり得る。さらに、開示された実施形態の1つ以上の特徴/要素は削除されてもよく、それでも特許性のある主題をもたらす(したがって、主題の開示のさらに多くの実施形態をもたらす)。それに対応して、本開示のいくつかの実施形態は、1つ以上の要素/特徴を具体的に欠くことによって、1つ及び/又は別の参考文献と特許的に異なる可能性がある。言い換えれば、特定の実施形態に対する請求は、1つ以上の要素/特徴を具体的に除外するために負の制限を含み、そのような特徴/要素を含む先行技術と特許的に異なる実施形態をもたらし得る。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C