(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050951
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240403BHJP
H01G 2/06 20060101ALI20240403BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 512
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 201H
H01G4/30 201N
H01G4/30 201M
H01G2/06 500
H01G4/228 H
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024023016
(22)【出願日】2024-02-19
(62)【分割の表示】P 2020212824の分割
【原出願日】2020-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】筑摩 忍
(57)【要約】
【課題】コンデンサ本体へのインターポーザとの接触による応力集中の低減が可能な積層セラミックコンデンサ及び積層セラミックコンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の積層セラミックコンデンサ1は、積層体2と、積層体第1端面CS1に設けられた第1外部電極3および積層体第2端面CS2に設けられた第2外部電極3を含む外部電極3とを有するコンデンサ本体1Aと、コンデンサ本体1Aの積層体第2主面AS2における、第1外部電極3上に配置された第1インターポーザ4Aと、第2外部電極3上に配置された第2インターポーザ4Bと、を備え、第1インターポーザ4Aおよび第2インターポーザ4Bは互いに離間されるとともに、それぞれが、外部電極3と接している電極接続領域と、電極接続領域から長さ方向中央へ向かって延びる電極非接続領域とを有し、電極非接続領域に絶縁性の樹脂材料が入り込んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に相対する積層体第1主面および積層体第2主面、長さ方向に相対する積層体第1端面および積層体第2端面、並びに、幅方向に相対する積層体第1側面および積層体第2側面、を含む積層体と、
前記積層体第1端面に設けられた第1外部電極および前記積層体第2端面に設けられた第2外部電極を含む外部電極と
を有するコンデンサ本体と、
前記コンデンサ本体の前記積層体第2主面における、前記第1外部電極上に配置された第1インターポーザと、前記第2外部電極上に配置された第2インターポーザと、
を備える積層セラミックコンデンサであって、
前記第1インターポーザおよび前記第2インターポーザは互いに離間されるとともに、それぞれが、前記外部電極と接している電極接続領域と、電極接続領域から前記長さ方向中央へ向かって延びる電極非接続領域とを有し、
前記電極非接続領域に絶縁性の樹脂材料が入り込んでいる、積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記樹脂材料は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂である、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記第1インターポーザおよび前記第2インターポーザは、前記電極非接続領域に配置される角部を有し、
前記樹脂材料は、前記角部と前記積層体第2主面との間に入り込んでいる、請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
前記樹脂材料は、
前記第1インターポーザ側の前記電極非接続領域に入り込んでいる第1部分と、
前記第2インターポーザ側の前記電極非接続領域に入り込んでいる第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分とを接続する部分と
を備える、請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項5】
前記第1部分と前記第2部分との間を延びる部分は、
前記第1部分および前記第2部分よりも厚い、請求項4に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項6】
前記樹脂材料は、
前記第1インターポーザ側の前記電極非接続領域に入り込んでいる第1部分と、
前記第2インターポーザ側の前記電極非接続領域に入り込んでいる第2部分と、
前記第1インターポーザから前記長さ方向の中央に延びる部分と、
前記第2インターポーザから前記長さ方向の中央に延びる部分と
を備え、
前記第1インターポーザから前記長さ方向の中央に延びる前記部分と前記第2インターポーザから前記長さ方向の中央部側に延びる前記部分とは接続されていない、請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項7】
前記第1インターポーザおよび前記第2インターポーザは、
前記積層方向に相対する面のうちの前記コンデンサ本体側の外表面であるコンデンサ対向面と、
前記第1インターポーザと前記第2インターポーザとが互いに対向する側の面であるインターポーザ対向面と
を含み、
前記樹脂材料は、
前記第1インターポーザ側の前記電極非接続領域に入り込んでいる第1部分と、
前記第2インターポーザ側の前記電極非接続領域に入り込んでいる第2部分と、
前記インターポーザ対向面上に配置される部分と
を備える、請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項8】
前記インターポーザ対向面上に配置される部分の厚みは、
前記第1部分および前記第2部分の厚みよりも厚い、請求項7に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項9】
前記第1インターポーザおよび前記第2インターポーザは、
CuおよびNiから選ばれる少なくとも1種の高融点金属と低融点金属としてのSnとを含む金属間化合物を主成分としている、請求項1ないし請求項8に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項10】
前記第1インターポーザおよび前記第2インターポーザは、前記金属間化合物と単体のSn金属とを含む、請求項9に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項11】
前記積層体は、
前記長さ方向の寸法が、0.2mm以上10mm以下であり、
前記幅方向の寸法が、0.1mm以上10mm以下であり、
前記積層方向の寸法が0.1mm以上5.0以下である、請求項1~10に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項12】
前記積層体は、
積層体本体を備え、
前記積層体本体は、
内層部と、
前記内層部の前記積層方向の両側にそれぞれ配置される外層部と
を備え、
前記外層部の厚みは、20μm以下である、請求項1~11に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項13】
前記外層部の厚みは、10μm以下である、請求項12に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項14】
前記積層体は、
積層体本体と、
前記積層体本体の前記幅方向の両側に配置されたサイドギャップ部と、を備え、
前記サイドギャップ部の厚みは、20μm以下である、請求項1~13に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項15】
前記サイドギャップ部の厚みは、10μm以下である、請求項14に記載の積層セラミックコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量且つ小型の積層セラミックコンデンサが求められている。このような積層セラミックコンデンサは、誘電率の比較的高い強誘電体材料である誘電体層と内部電極とが交互に積み重ねられた内層部を有する。
そして、その内層部の上部と下部とに外層部としての誘電体層が配置されて直方体状の積層体が形成され、積層体の長手方向の両端面に外部電極が設けられてコンデンサ本体が形成される。
さらに、いわゆる「鳴き」の発生を抑制するために、コンデンサ本体における基板に実装される側に配置されるインターポーザを備える積層セラミックコンデンサが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/098990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、積層セラミックコンデンサが実装されている基板に曲げ等によるストレスが加わると、インターポーザの端部がコンデンサ本体を押圧し、接触部に応力が集中してコンデンサ本体にクラックが発生する可能性がある。
【0005】
本発明は、コンデンサ本体へのインターポーザとの接触による応力集中の低減が可能な積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、積層方向に相対する積層体第1主面および積層体第2主面、長さ方向に相対する積層体第1端面および積層体第2端面、並びに、幅方向に相対する積層体第1側面および積層体第2側面、を含む積層体と、前記積層体第1端面に設けられた第1外部電極および前記積層体第2端面に設けられた第2外部電極を含む外部電極とを有するコンデンサ本体と、前記コンデンサ本体の前記積層体第2主面における、前記第1外部電極上 に配置された第1インターポーザと、前記第2外部電極上に配置された第2インターポーザと、を備える積層セラミックコンデンサであって、前記第1インターポーザおよび前記第2インターポーザは互いに離間されるとともに、それぞれが、前記外部電極と接している電極接続領域と、電極接続領域から前記長さ方向中央へ向かって延びる電極非接続領域とを有し、前記電極非接続領域に絶縁性の樹脂材料が入り込んでいる、積層セラミックコンデンサを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コンデンサ本体へのインターポーザとの接触による応力集中の低減が可能な積層セラミックコンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の積層セラミックコンデンサ1の概略斜視図である。
【
図2】第1実施形態の積層セラミックコンデンサ1の
図1におけるII-II線に沿った断面図である。
【
図3】第1実施形態の積層セラミックコンデンサ1の
図1におけるIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明するフローチャートである。
【
図5】コンデンサ本体製造工程S1を説明する図である。
【
図6】インターポーザ配置工程S2と絶縁樹脂膜形成工程S3を説明する図である。
【
図7】第2実施形態の積層セラミックコンデンサ200の断面図である。
【
図8】第3実施形態の積層セラミックコンデンサ300の断面図である。
【
図9】第4実施形態の積層セラミックコンデンサ400の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態にかかる積層セラミックコンデンサ1について説明する。
図1は、第1実施形態の積層セラミックコンデンサ1の概略斜視図である。
図2は、第1実施形態の積層セラミックコンデンサ1の
図1におけるII-II線に沿った断面図である。
図3は、第1実施形態の積層セラミックコンデンサ1の
図1におけるIII-III線に沿った断面図である。
【0010】
積層セラミックコンデンサ1は、略直方体形状で、積層体2及び積層体2の両端に設けられた一対の外部電極3とを備えるコンデンサ本体1Aと、コンデンサ本体1Aに取り付けられたインターポーザ4と、絶縁樹脂膜50とを備える。また、積層体2は、誘電体層14と内部電極層15とを複数組含む内層部11を含む。
【0011】
以下の説明において、積層セラミックコンデンサ1の向きを表わす用語として、積層セラミックコンデンサ1において、一対の外部電極3が設けられている方向を長さ方向Lとする。誘電体層14と内部電極層15とが積層されている方向を積層方向Tとする。長さ方向L及び積層方向Tのいずれにも交差する方向を幅方向Wとする。なお、実施形態においては、幅方向Wは長さ方向L及び積層方向Tのいずれにも直交している。
【0012】
(積層体2の外表面)
また、積層体2の6つの外表面のうち、積層方向Tに相対する一対の外表面を積層体第1主面AS1と積層体第2主面AS2とし、幅方向Wに相対する一対の外表面を積層体第1側面BS1と積層体第2側面BS2とし、長さ方向Lに相対する一対の外表面を積層体第1端面CS1と積層体第2端面CS2とする。
なお、積層体第1主面AS1と積層体第2主面AS2とを特に区別して説明する必要のない場合、まとめて積層体主面ASとし、積層体第1側面BS1と積層体第2側面BS2とを特に区別して説明する必要のない場合、まとめて積層体側面BSとし、積層体第1端面CS1と積層体第2端面CS2とを特に区別して説明する必要のない場合、まとめて積層体端面CSとして説明する。
【0013】
(コンデンサ本体1Aの外表面)
また、コンデンサ本体1Aの6つの外表面のうち、積層方向Tに相対する一対の外表面をコンデンサ第1主面AC1とコンデンサ第2主面AC2とし、幅方向Wに相対する一対の外表面をコンデンサ第1側面BC1とコンデンサ第2側面BC2とし、長さ方向Lに相対する一対の外表面をコンデンサ第1端面CC1とコンデンサ第2端面CC2とする。なお、コンデンサ第2主面AC2は、コンデンサ本体1Aの基板実装側面AC2でもある。
コンデンサ第1主面AC1とコンデンサ第2主面AC2とを特に区別して説明する必要のない場合、まとめてコンデンサ主面ACとし、コンデンサ第1側面BC1とコンデンサ第2側面BC2とを特に区別して説明する必要のない場合、まとめてコンデンサ側面BCとし、コンデンサ第1端面CC1とコンデンサ第2端面CC2とを特に区別して説明する必要のない場合、まとめてコンデンサ端面CCとして説明する。
【0014】
(インターポーザ4の外表面)
また、インターポーザ4は、第1インターポーザ4Aと第2インターポーザ4Bとの2つ設けられているがそれぞれのインターポーザ4の6つの外表面のうち、積層方向Tに相対する一対の外表面のうちのコンデンサ本体1A側の外表面を、コンデンサ対向面AIとし、長さ方向Lに設けられた第1インターポーザ4Aと第2インターポーザ4Bとの互いに対向する側の面をインターポーザ対向面CIとする。
インターポーザ4のコンデンサ対向面AIとコンデンサ本体1Aの基板実装側面AC2とは対向し、第1インターポーザ4Aのインターポーザ対向面CIと、第2インターポーザ4Bのインターポーザ対向面CIとは対向している。
【0015】
積層体2は、角部を含む稜線部R1に丸みがつけられていることが好ましい。稜線部R1は、積層体2の2面、すなわち積層体主面ASと積層体側面BS、積層体主面Aと積層体端面CS、又は、積層体側面BSと積層体端面CSが交わる部分である。
積層体2の寸法は、特に限定されないが、長さ方向L寸法が0.2mm以上10mm以下、幅方向W寸法が0.1mm以上10mm以下、積層方向T寸法が0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。
【0016】
(積層体2)
積層体2は、内層部11と、内層部11の積層方向T両側にそれぞれ配置される外層部12とを備える積層体本体10と、積層体本体10の幅方向Wの両側に設けられたサイドギャップ部30とを備える。
【0017】
(内層部11)
内層部11は、積層方向Tに沿って交互に積層された誘電体層14と内部電極層15とを複数組含む。
誘電体層14は、厚みが0.5μm以下である。誘電体層14は、セラミック材料で製造されている。セラミック材料としては、例えば、BaTiO3を主成分とする誘電体セラミックが用いられる。また、セラミック材料として、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物等の副成分のうちの少なくとも一つを添加したものを用いてもよい。なお、誘電体層14の枚数は、外層部12も含めて15枚以上700枚以下であることが好ましい。
【0018】
内部電極層15は、複数の第1内部電極層15aと、複数の第2内部電極層15bとを備える。第1内部電極層15aと第2内部電極層15bとは、交互に配置されている。なお、第1内部電極層15aと第2内部電極層15bとを特に区別して説明する必要のない場合、まとめて内部電極層15として説明する。
【0019】
第1内部電極層15aは、第2内部電極層15bと対向する第1対向部152aと、第1対向部152aから積層体第1端面CS1側に引き出された第1引き出し部151aとを備える。第1引き出し部151aの端部は、積層体第1端面CS1に露出し、後述の第1外部電極3aに電気的に接続されている。
第2内部電極層15bは、第1内部電極層15aと対向する第2対向部152bと、第2対向部152bから積層体第2端面CS2に引き出された第2引き出し部151bとを備える。第2引き出し部151bの端部は、後述の第2外部電極3bに電気的に接続されている。
第1内部電極層15aの第1対向部152aと、第2内部電極層15bの第2対向部152bとに電荷が蓄積され、コンデンサの特性が発現する。
【0020】
内部電極層15は、例えばNi、Cu、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等に代表される金属材料により形成されていることが好ましい。内部電極層15の厚みは、例えば、0.5μm以上2.0mm程度であることが好ましい。内部電極層15の枚数は、第1内部電極層15a及び第2内部電極層15bを合わせて15枚以上700枚以下であることが好ましい。
【0021】
(外層部12)
外層部12は、内層部11の誘電体層14と同じ材料で製造されている。そして、外層部12の厚みは例えば20μm以下であり、10μm以下であることがより好ましい。
【0022】
サイドギャップ部30は、積層体本体10の積層体側面BS側に設けられた第1サイドギャップ部30aと、積層体本体10の積層体第2側面BS2側に設けられた第2サイドギャップ部30bと、を備える。
なお、第1サイドギャップ部30aと第2サイドギャップ部30bとを特に区別して説明する必要のない場合、まとめてサイドギャップ部30として説明する。
【0023】
(サイドギャップ部30)
サイドギャップ部30は、誘電体層14と同様の材料で製造されている。サイドギャップ部30の厚みは、例えば20μmであり、10μm以下であることが好ましい。
【0024】
(外部電極3)
外部電極3は、積層体第1端面CS1に設けられた第1外部電極3aと、積層体第2端面CS2に設けられた第2外部電極3bとを備える。なお、第1外部電極3aと第2外部電極3bとを特に区別して説明する必要のない場合、まとめて外部電極3として説明する。外部電極3は、積層体端面CSだけでなく、積層体主面AS及び積層体側面BSの積層体端面CS側の一部も覆っている。
【0025】
上述のように、第1内部電極層15aの第1引き出し部151aの端部は積層体第1端面CS1に露出し、第1外部電極3aに電気的に接続されている。また、第2内部電極層15bの第2引き出し部151bの端部は積層体第2端面CS2に露出し、第2外部電極3bに電気的に接続されている。これにより、第1外部電極3aと第2外部電極3bとの間は、複数のコンデンサ要素が電気的に並列に接続された構造となっている。
【0026】
また、外部電極3は、例えば下地電極層とめっき層との2層構造であってもよい。また、めっき層は1層であってもよく、2層であってもよい。さらに下地電極層とめっき層との間に導電性樹脂層を備えていてもよい。
下地電極層は、例えば、導電性金属とガラスとを含む導電性ペーストを塗布、焼き付けることにより形成される。下地電極層の導電性金属としては、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等を用いることができる。
めっき層は、例えば、Cu、Ni、Su、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等からなる群から選ばれる1種の金属又は当該金属を含む合金のめっきからなることが好ましい。
【0027】
(インターポーザ4)
インターポーザ4は、一対の第1インターポーザ4Aと、第2インターポーザ4Bとを備える。以下、第1インターポーザ4Aと、第2インターポーザ4Bとを区別して説明する必要のない場合、まとめてインターポーザ4として説明する。
【0028】
コンデンサ本体1Aの基板実装側面AC2における、長さ方向Lの一方のコンデンサ第1端面CC1側に第1インターポーザ4Aが配置され、他方のコンデンサ第2端面CC2側に第2インターポーザ4Bが配置されている。第1インターポーザ4Aと第2インターポーザ4Bとは同形であり、互いに対向し、一定の距離、離間して配置されている。
【0029】
インターポーザ4は、Cu及びNiから選ばれる少なくとも1種の高融点金属と低融点金属としてのSnとを含む金属間化合物を主成分とした材料とした部材により構成される。インターポーザ4は、金属間化合物とは別に単体のSn金属を含む。インターポーザ4中のSn金属は、積層セラミックコンデンサ1を基板に実装するとき、インターポーザ4において良好なはんだ付け性を実現する。
【0030】
図2に示すように、インターポーザ4のコンデンサ対向面AIは、コンデンサ本体1Aの基板実装側面AC2における外部電極3が設けられている部分と接している電極接続領域AI1と、電極接続領域からさらに長さ方向Lの中央側に向かって延びる電極非接続領域AI2とを有する。
【0031】
コンデンサ本体1Aの基板実装側面AC2における外部電極3が設けられていない部分、すなわち積層体第2主面AS2が露出している部分と、電極非接続領域AI2との間には、外部電極3の厚さ分の隙間Dが形成されている。隙間Dは、第1インターポーザ4A側の隙間DAと、第2インターポーザ4B側の隙間DBとを有する。隙間DA及び隙間DBは、後述する絶縁樹脂膜50が侵入するために設けられる。
【0032】
(絶縁樹脂膜50)
絶縁樹脂膜50は、第1インターポーザ4A側の隙間DAに配置されている部分と、第2インターポーザ4B側の隙間DBに配置されている部分と、隙間DAと隙間DBとを接続する部分とを有する。すなわち、絶縁樹脂膜50は、隙間DA及び隙間DBを埋めて、隙間DA及び隙間DBを接続するように、コンデンサ本体1Aの基板実装側面AC2に沿って延びている。第1実施形態で絶縁樹脂膜50は積層方向Tの厚みが略均一である。また、絶縁樹脂膜50は、例えばポリスチレンで製造されている。
【0033】
(積層セラミックコンデンサの製造方法)
図4は、積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明するフローチャートである。積層セラミックコンデンサ1の製造方法はコンデンサ本体製造工程S1と、インターポーザ配置工程S2と、絶縁樹脂膜形成工程S3とを備える。
図5は、コンデンサ本体製造工程S1を説明する図である。
図6はインターポーザ配置工程S2と絶縁樹脂膜形成工程S3とを説明する図である。
【0034】
(コンデンサ本体製造工程S1)
コンデンサ本体製造工程S1は、積層体製造工程S11と外部電極形成工程S12とを備える。
【0035】
(積層体製造工程S11)
セラミックス粉末、バインダ及び溶剤を含むセラミックスラリーをキャリアフィルム上においてダイコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ等を用いてシート状に成形して誘電体層14となる積層用セラミックグリーンシート101を製作する。
次いで、積層用セラミックグリーンシート101に導電体ペーストをスクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷等によって帯状に印刷し、積層用セラミックグリーンシート101の表面に内部電極層15となる導電パターン102を印刷するが印刷された素材シート103を製作する。
【0036】
続いて、
図5(a)に示すように、導電パターン102が同一の方向を向き且つ導電パターン102が隣り合う素材シート103間において幅方向において半ピッチずつずれた状態になるように、複数の素材シート103を積み重ねる。
さらに、複数枚積層された素材シート103の両側にそれぞれ、外層部12となる上部外層部用セラミックグリーンシート112を積み重ねる。
積み重ねた複数の素材シート103と外層部用セラミックグリーンシート113とを熱圧着し、
図5(b)に示すマザーブロック110を作成する。
次いで、マザーブロック110を、
図5(b)に示す切断線X及び切断線Xと交差する切断線Yに沿って切断し、
図5(c)に示す積層体本体10を複数製造する。
【0037】
(外部電極形成工程S12)
続いて、
図5(d)に示すように積層体2の積層体端面CSに、導電性金属とガラスとを含む導電性ペーストを塗布、焼き付けることにより外部電極3を形成する。外部電極3は、積層体2両側の積層体端面CSのみならず、積層体主面AS及び積層体側面側まで延びて、積層体主面ASの積層体端面CS側の一部も覆うように形成する。以上の工程により、コンデンサ本体1Aを製造する。
【0038】
(インターポーザ配置工程S2)
インターポーザの材料となるCu及びNiから選ばれる少なくとも1種の高融点金属と低融点金属としてのSnとを含む金属材料ペーストを用意する。また、例えばアルミナ板のように、金属材料ペーストがリフロー条件下で接合しない保持板40を用意する。
図6(a)に示すように保持板40の上に、金属材料ペーストをスクリーン印刷法またはディスペンス法等により付与することにより、金属材料ペースト厚膜41を形成する。
【0039】
コンデンサ本体1Aを
図6(b)に示すように、基板実装側面AC2が保持板40に対向する姿勢で保持板40の上に搭載する。このとき、コンデンサ本体1Aの外部電極3と金属材料ペースト厚膜41とが位置合わせされ、金属材料ペースト厚膜41がコンデンサ本体1Aに付着する。金属材料ペースト厚膜41は、積層体2との間に隙間DA及び隙間DBが設けられるように付着する。
【0040】
この状態で、リフロー工程を実施する。これにより、金属材料ペースト厚膜41中の金属が金属間化合物を生成するとともに、金属材料ペースト厚膜41が硬化し、コンデンサ本体1Aならびに外部電極3に接合した状態のインターポーザ4が形成される。
その後、コンデンサ本体1Aがインターポーザ4とともに、保持板40から分離され、
図6(c)の状態となる。
以上の工程によりコンデンサ本体1Aにインターポーザ4が取り付けられているが、まだ絶縁樹脂膜50が設けられていない状態の積層セラミックコンデンサ1Bが製造される。
【0041】
(絶縁樹脂膜形成工程S3)
絶縁樹脂膜形成工程S3は、絶縁樹脂配置工程S31と、絶縁樹脂拡張工程S32と、絶縁樹脂硬化工程S33とを備える。
【0042】
(絶縁樹脂配置工程S31)
次いで、
図6(d)に示すように、積層セラミックコンデンサ1Bの基板実装側面AC2の外部電極3が設けられていない積層体第2主面AS2部分に、絶縁樹脂膜の材料として、硬化前の、例えばフィラーレスの熱硬化樹脂である樹脂材料51を配置する。この時点で、樹脂材料51はまだ、隙間Dに入り込んでいない。
【0043】
(絶縁樹脂拡張工程S32)
樹脂材料51が塗布された状態の積層セラミックコンデンサ1Bを真空デシケータに15分間入れる。ここで樹脂材料51が拡張して
図6(e)に示すように隙間Dに侵入する。また、積層セラミックコンデンサ1Bを真空デシケータに15分間に入れることにより、樹脂材料51が脱泡される。
【0044】
(絶縁樹脂硬化工程S33)
樹脂材料51が広がって隙間Dに侵入された状態の積層セラミックコンデンサ1Bを、例えば230°での環境に60分間置くことにより、樹脂材料51が熱硬化する。なお、実施形態では樹脂材料51として熱硬化樹脂を用いたが、これに限定されず光硬化樹脂を用いてもよい。
これにより、
図6(f)に示すように樹脂材料51が硬化した絶縁樹脂膜50となり、隙間Dを埋め、且つ隙間DA及び隙間DBを接続するように、コンデンサ本体1Aの基板実装側面AC2に沿って延びている積層セラミックコンデンサ1が製造される。なお、この後、積層セラミックコンデンサ1は、基板に実装される。
なお、第1実施形態では、インターポーザ4を配置した後に樹脂材料51を配置したが、これに限定されず、樹脂材料51を配置した後にインターポーザ4を配置してもよい。
【0045】
(第1実施形態の効果)
積層セラミックコンデンサ1が実装されている基板に曲げ等によるストレスが加わる場合がある。このとき、絶縁樹脂膜50が存在しないと、インターポーザ4における、インターポーザ対向面CIとコンデンサ対向面AIとの間の
図2に示す角部Kが、コンデンサ本体1Aの基板実装側面AC2における、外部電極3が設けられていない積層体第2主面AS2部分と当接する可能性がある。
このとき角部Kが当接するコンデンサ本体1Aの部分は、外部電極3が設けられておらず、積層体2のセラミック部分である。ゆえに、この当接部に応力が集中するとセラミック部分にクラックが発生する可能性がある。
【0046】
しかし、実施形態では、インターポーザ4の角部Kと基板実装側面AC2の積層体第2主面AS2部分との間に絶縁樹脂膜50が存在する。したがって、角部Kは積層体第2主面AS2に直接当接しない。
ゆえにコンデンサ本体1Aへのインターポーザ4との接触による応力集中の低減が可能となり、コンデンサ本体1Aのクラック発生の可能性が低減する。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の積層セラミックコンデンサ200について説明する。
図7は、第1実施形態の
図2に相当する、第2実施形態の積層セラミックコンデンサ200の断面図である。
第2実施形態の積層セラミックコンデンサ200が第1実施形態と異なる点は、絶縁樹脂膜50であり、それ以外については第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0048】
第2実施形態の絶縁樹脂膜50は、第1インターポーザ4A側の隙間DAに配置され、隙間DAからわずかに長さ方向Lの中央部側に延びる絶縁樹脂膜50Aと、第2インターポーザ4B側の隙間DBに配置され、隙間DBからわずかに長さ方向Lの中央部側に延びる絶縁樹脂膜50Bとを備える。絶縁樹脂膜50Aと絶縁樹脂膜50Bとは接続されておらず、分離されている。
【0049】
このように、絶縁樹脂膜50が、絶縁樹脂膜50Aと絶縁樹脂膜50Bとに分離されていても、第1インターポーザ4Aの角部Kと基板実装側面AC2の積層体第2主面AS2部との間に絶縁樹脂膜50Aが配置され、第2インターポーザ4Bの角部Kと基板実装側面AC2の積層体第2主面AS2部分との間に絶縁樹脂膜50Bが配置されている。
したがって、両方の角部Kは積層体第2主面AS2に直接当接しない。ゆえにコンデンサ本体1Aへのインターポーザ4との接触による応力集中の低減が可能となり、コンデンサ本体1Aのクラック発生の可能性が低減する。
【0050】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態の積層セラミックコンデンサ300について説明する。
図8は、第1実施形態の
図2に相当する、第3実施形態の積層セラミックコンデンサ300の断面図である。
第3実施形態の積層セラミックコンデンサ300が第1実施形態と異なる点は、絶縁樹脂膜50であり、それ以外については第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
絶縁樹脂膜50は、第3実施形態の絶縁樹脂膜50は、第1実施形態と同様に第1インターポーザ4A側の隙間DAに配置されている部分と、第2インターポーザ4B側の隙間DBに配置されている部分と、隙間DAと隙間DBとを接続する部分とを有する点で第1実施形態と同様である。
しかし、第3実施形態の絶縁樹脂膜50は、隙間DAと隙間DBとを接続する部分の厚みが、隙間DAに配置されている部分及び隙間DBに配置されている部分より厚い。
【0051】
第3実施形態においても、第1インターポーザ4Aの角部Kと基板実装側面AC2の積層体第2主面AS2部分との間及び第2インターポーザ4Bの角部Kと基板実装側面AC2の積層体第2主面AS2部分との間に絶縁樹脂膜50が配置されている。
したがって、両方の角部Kは積層体第2主面AS2に直接当接しない。ゆえにコンデンサ本体1Aへのインターポーザ4との接触による応力集中の低減が可能となり、コンデンサ本体1Aのクラック発生の可能性が低減する。
さらに、絶縁樹脂膜50の製造時に、樹脂材料51の量を、絶縁樹脂膜50の厚みが均一にするように厳密に調整する必要がないので積層セラミックコンデンサ1の製造が容易である。
【0052】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態の積層セラミックコンデンサ400について説明する。
図9は、第4実施形態の積層セラミックコンデンサ400の断面図であり、積層セラミックコンデンサ400が実装される基板100も図示する。
第4実施形態は、コンデンサ本体1Aについては第1実施形態と同様であるのでコンデンサ本体1Aについての説明は省略する。
【0053】
第4実施形態のインターポーザ404は、第1インターポーザと第2インターポーザとの2つに分かれておらず、1枚の板状の基板本体430と、第1本体接続用電極432A及び第2本体接続用電極432Bと、第1実装用電極433A及び第2実装用電極433Bとを備える。
【0054】
基板本体430は材質が絶縁性樹脂である。また基板本体430の両端面における幅方向Wの中央部に、積層方向Tに延び且つ平面形状が半円弧状の第1溝部431A及び第2溝部431Bが設けられている。
【0055】
第1本体接続用電極432A及び第2本体接続用電極432Bは、基板本体430のコンデンサ対向面AIに形成されている。第1本体接続用電極432Aは、外部電極3aにはんだ等で接続されている。第2本体接続用電極432Bは、外部電極3bにはんだ等で接続されている。
【0056】
インターポーザ404のコンデンサ対向面AIと、コンデンサ本体1Aのコンデンサ第2主面AC2の一部である積層体2の積層体第2主面AS2との間に、隙間Dが形成されている。隙間Dの積層方向Tの厚みは、外部電極3と本体接続用電極432とを足した厚みで、この隙間Dに絶縁樹脂膜50が配置されている。
【0057】
第1実装用電極433A及び第2実装用電極433Bは、基板本体430の基板実装面AI2に形成されている。一方、基板100には、第1実装用ランド101A及び第2実装ランド101Bが設けられている。
インターポーザ404を基板100に実装する際、インターポーザ404の第1実装用電極433Aと、基板100の第1実装用ランド101Aとをはんだ等で接続し、第2実装用電極433Bと、第2実装ランド101Bとをはんだ等で接続する。
【0058】
第1溝部431Aには、はんだが配置され、はんだは第1溝部431Aを埋めるとともに、第1本体接続用電極432Aを超えて第1外部電極3aまで延び、さらに、第1実装用電極433Aを超えて第1実装用ランド101Aまで延びる第1側面電極434Aを形成する。第1側面電極434Aは本体接続用電極432Aと、実装用電極433Aと、第1実装用ランド101Aを導通させる。
【0059】
第2溝部431Bには、はんだが配置され、はんだは第2溝部431Bを埋めるとともに、第2本体接続用電極432Bを超えて第2外部電極3bまで延び、さらに、第2実装用電極433Bを超えて第2実装ランド101Bまで延びて第2側面電極434Bを形成する。第2側面電極434Bは本体接続用電極432Bと、実装用電極433Bと、第2実装ランド101Bとを導通させる。
【0060】
なお、第4実施形態の積層セラミックコンデンサ400を製造する場合、例えば、第1実施形態と異なり、樹脂材料51を配置した後にインターポーザ404が配置され、その後、絶縁樹脂膜が硬化される。
【0061】
第4実施形態の場合、インターポーザ404は1枚の板部材であるので角部Kは存在しない。しかし、この場合であっても、絶縁樹脂膜50が配置されていないと、積層セラミックコンデンサ400が実装されている実装基板に曲げ等によるストレスが加わったときに、インターポーザ404のコンデンサ対向面AIの一部が、積層体第2主面AS2と接触して押圧し、接触部に応力が集中して、積層体第2主面AS2側にクラックが発生する可能性がある。
【0062】
しかし、第4実施形態において、インターポーザ404のコンデンサ対向面AIと、積層体第2主面AS2との間に絶縁樹脂膜50が配置されている。したがって、インターポーザ404のコンデンサ対向面AIは、積層体第2主面AS2に直接当接しない。ゆえにコンデンサ本体1Aへのインターポーザ4との接触による応力集中の低減が可能となり、コンデンサ本体1Aのクラック発生の可能性が低減する。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0064】
AS 積層体主面
BS 積層体側面
CS 積層体端面
AC コンデンサ主面
AC1 コンデンサ第1主面
AC2 コンデンサ第2主面(基板実装側面)
BC コンデンサ側面
CC コンデンサ端面
AI コンデンサ対向面
AI1 電極接続領域
AI2 電極非接続領域
CI インターポーザ対向面
D 隙間
DA 隙間
DB 隙間
K 角部
1 積層セラミックコンデンサ
1A コンデンサ本体
2 積層体
3 外部電極
4 インターポーザ
4A 第1インターポーザ
4B 第2インターポーザ
10 積層体本体
11 内層部
12 外層部
14 誘電体層
15 内部電極層
50 絶縁樹脂膜
50A 絶縁樹脂膜
50B 絶縁樹脂膜
51 樹脂材料
200 積層セラミックコンデンサ
300 積層セラミックコンデンサ