(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050968
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】基板搬送装置および基板搬送方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240403BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/06 D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024023697
(22)【出願日】2024-02-20
(62)【分割の表示】P 2019170692の分割
【原出願日】2019-09-19
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼原 丈二
(57)【要約】
【課題】基板収容器内の基板の前後方向の位置を高い精度で検出できる基板搬送装置を提供する。
【解決手段】基板搬送装置TIDは、ハンド1と、進退機構31と、昇降機構32と、移動機構33と、検出部2とを備える。進退機構31はハンド1を前後方向に移動させて、ハンド1を基板収容器に対して進入および退避させる。昇降機構32はハンド1を上昇させてハンド1で基板Wを下方から持ち上げる。移動機構33はハンドを基板収容器と対向する位置に移動させる。検出部2はハンド1と一体に移動し、進退機構31がハンド1を基板収容器の内部に進入させた進入状態で、前後方向D1に交差する測定方向D2において基板Wと隣り合う位置に設けられており、当該進入状態において前後方向D1の基板Wの位置を検出する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板が水平姿勢で、かつ、鉛直方向に間隔を空けて積層された状態で収納される内部構造を有する基板収容器から、当該基板を取り出し、当該基板を基板保持部に搬送する基板搬送装置であって、
ハンドと、
前記ハンドを前後方向に移動させて、前記ハンドを前記基板収容器に対して進入および退避させる進退機構と、
前記ハンドを上昇させて前記ハンドで前記基板を下方から持ち上げる昇降機構と、
前記ハンドを前記基板収容器と対向する位置に移動させる移動機構と、
前記ハンドと一体に移動し、前記進退機構が前記ハンドを前記基板収容器の内部に進入させた進入状態で、前後方向に交差する測定方向において前記基板と隣り合う位置に設けられており、前記進入状態において前後方向の前記基板の位置を検出する検出部と
を備える、基板搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板搬送装置であって、
前記基板収容器の内部の前記基板の前後方向の基準位置を記憶した記憶媒体と、
前記検出部によって検出された前記基板の前後方向の位置と、前記記憶媒体に記憶された前記基準位置との比較に基づいて、前記進入状態における前記ハンドの前後方向の位置を前記進退機構に調整させる制御部をさらに備える、基板搬送装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基板搬送装置であって、
前記検出部は、
測定方向において互いに向かい合って配置される発光部および受光部と、
演算部と
を含み、
前記発光部は、前後方向を幅方向とする帯状の光を前記受光部に向かって照射し、
前記演算部は、前記受光部が受光した光の受光量に基づいて、前記基板の前後方向の位置を求める、基板搬送装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の基板搬送装置であって、
前記検出部は、前記基板を載置する前記ハンドの載置面よりも上に設けられる、基板搬送装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の基板搬送装置であって、
前記ハンドには、少なくとも2つの吸引口が形成されている、基板搬送装置。
【請求項6】
請求項3に記載の基板搬送装置を用いて、基板を搬送する基板搬送方法であって、
前記基板収容器の内部において、前後方向に直交する左右方向における前記基板の両端部が支持される工程と、
前記昇降機構が、前記進入状態において、前記発光部から照射された光が前記基板によって遮られない高さ位置から前記ハンドを上昇させる工程と、
前記演算部が、前記ハンドの上昇中に前記受光部によって受光された光の受光量が所定値以上、変化したときの前記ハンドの位置に基づいて、前記基板の撓み量を求める工程と
を備える、基板搬送方法。
【請求項7】
請求項6に記載の基板搬送方法であって、
前記進退機構が、前記基板を支持した前記ハンドを前記基板保持部の上に移動させる第1工程と、
前記昇降機構が、前記第1工程の後、前記ハンドを下降させて前記基板保持部に前記基板を受け渡す際に、前記演算部によって求められた前記基板の撓み量に基づいた高さ位置から前記ハンドの下降速度を低下させつつ、前記ハンドを下降させて前記基板保持部に前記基板を受け渡す工程と
をさらに備える、基板搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、基板搬送装置および基板搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板が収納されたカセットから基板を取り出す基板搬送装置が従来から提案されている(例えば特許文献1~3)。基板搬送装置は、基板を載置するハンドを含んでいる。基板搬送装置は次に説明する動作を行って、基板をカセットから取り出す。即ち、まず、基板搬送装置はカセットと向かい合う位置において、ハンドの高さ位置を調整する。具体的には、基板搬送装置は、搬出対象となる基板の僅かに下方に位置するように、ハンドの高さ位置を調整する。その後、基板搬送装置はハンドをカセットの内部へと前後方向に沿って移動させる。基板搬送装置は、基板の直下の予め決められた位置でハンドを停止させた上で、ハンドを上昇させる。これにより、ハンドが基板を持ち上げることができる。次に、基板搬送装置はハンドをカセットから退避させる。これにより、カセットから基板を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-33220号公報
【特許文献2】特開2010-287783号公報
【特許文献3】特開2009-88222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カセットの内部において基板の載置位置がずれることがある。具体的には、基板の前後方向の載置位置が規定の基準位置からずれ得る。基板の載置位置が基準位置からずれると、ハンドと基板との相対位置関係もずれる。これによれば、基板がハンドに対して適切な位置に載置されない。つまり、適切な位置でハンドが基板を持ち上げることができず、適切に基板を取り出すことができない。
【0005】
そこで、本願は、基板収容器内の基板の前後方向の位置を高い精度で検出できる基板搬送装置および基板搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
基板搬送装置の第1の態様は、複数の基板が水平姿勢で、かつ、鉛直方向に間隔を空けて積層された状態で収納される内部構造を有する基板収容器から、当該基板を取り出し、当該基板を基板保持部に搬送する基板搬送装置であって、ハンドと、前記ハンドを前後方向に移動させて、前記ハンドを前記基板収容器に対して進入および退避させる進退機構と、前記ハンドを上昇させて前記ハンドで前記基板を下方から持ち上げる昇降機構と、前記ハンドを前記基板収容器と対向する位置に移動させる移動機構と、前記ハンドと一体に移動し、前記進退機構が前記ハンドを前記基板収容器の内部に進入させた進入状態で、前後方向に交差する測定方向において前記基板と隣り合う位置に設けられており、前記進入状態において前後方向の前記基板の位置を検出する検出部とを備える。
【0007】
基板搬送装置の第2の態様は、第1の態様にかかる基板搬送装置であって、前記基板収容器の内部の前記基板の前後方向の基準位置を記憶した記憶媒体と、前記検出部によって検出された前記基板の前後方向の位置と、前記記憶媒体に記憶された前記基準位置との比較に基づいて、前記進入状態における前記ハンドの前後方向の位置を前記進退機構に調整させる制御部をさらに備える。
【0008】
基板搬送装置の第3の態様は、第1または第2の態様にかかる基板搬送装置であって、前記検出部は、測定方向において互いに向かい合って配置される発光部および受光部と、演算部とを含み、前記発光部は、前後方向を幅方向とする帯状の光を前記受光部に向かって照射し、前記演算部は、前記受光部が受光した光の受光量に基づいて、前記基板の前後方向の位置を求める。
【0009】
基板搬送装置の第4の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様にかかる基板搬送装置であって、前記検出部は、前記基板を載置する前記ハンドの載置面よりも上に設けられる。
【0010】
基板搬送装置の第5の態様は、第1から第4のいずれか一つの態様にかかる基板搬送装置であって、前記ハンドには、少なくとも2つの吸引口が形成されている。
【0011】
基板搬送方法の第1の態様は、第3の態様にかかる基板搬送装置を用いて、基板を搬送する基板搬送方法であって、前記基板収容器の内部において、前後方向に直交する左右方向における前記基板の両端部が支持される工程と、前記昇降機構が、前記進入状態において、前記発光部から照射された光が前記基板によって遮られない高さ位置から前記ハンドを上昇させる工程と、前記演算部が、前記ハンドの上昇中に前記受光部によって受光された光の受光量が所定値以上、変化したときの前記ハンドの位置に基づいて、前記基板の撓み量を求める工程とを備える。
【0012】
基板搬送方法の第2の態様は、第1の態様にかかる基板搬送方法であって、前記進退機構が、前記基板を支持した前記ハンドを前記基板保持部の上に移動させる第1工程と、前記昇降機構が、前記第1工程の後、前記ハンドを下降させて前記基板保持部に前記基板を受け渡す際に、前記演算部によって求められた前記基板の撓み量に基づいた高さ位置から前記ハンドの下降速度を低下させつつ、前記ハンドを下降させて前記基板保持部に前記基板を受け渡す工程とをさらに備える。
【発明の効果】
【0013】
基板搬送装置の第1および第4の態様によれば、検出部は、前後方向と交差する測定方向において基板と隣り合う状態で、基板の前後方向の位置を検出する。前後方向と交差する方向では、基板の前後方向の位置を検出しやすいので、高い検出精度で前後方向の基板の位置を検出できる。
【0014】
基板搬送装置の第2の態様によれば、ハンドを基板に対して適切な位置に補正できる。
【0015】
基板搬送装置の第3の態様によれば、簡易な発光部および受光部により、基板の前後方向の位置を検出できる。
【0016】
基板搬送装置の第5の態様によれば、ハンドが基板を吸着して保持できる。
【0017】
基板搬送方法の第1の態様によれば、検出部は、基板の前後方向の位置のみならず、基板の撓みも検出できる。よって、基板の撓みを検出するための専用の検出部を別途設ける必要がない。
【0018】
基板搬送方法の第2の態様によれば、ハンドの下降速度を低減させて基板保持部に渡すので、基板へ生じる衝突力を低減できる。また、撓み量が大きいときには、より高い高さ位置からハンドの下降速度を低下させ、撓み量が小さいときには、より低い高さ位置からハンドの下降速度を低下させることができる。これにより、基板の撓み量に応じて十分に下降速度を低下させつつも、その高さ位置までは高い下降速度でハンドを下降させることができる。よって、スループットを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】基板処理装置の構成の一例を概略的に示す図である。
【
図2】基板収容器の構成の一例を概略的に示す正面図である。
【
図3】基板収容器の構成の一例を概略的に示す側面図である。
【
図4】基板の構成の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図5】基板搬送装置の構成の一例を概略的に示す側面図である。
【
図6】基板搬送装置の構成の一例を概略的に示す上面図である。
【
図7】基板とセンサとの位置関係の一例を概略的に示す図である。
【
図8】発光部からの光の一部が基板によって遮られた様子の概略的な一例を示す平面図である。
【
図9】発光部からの光の一部が基板によって遮られた様子の概略的な他の一例を示す平面図である。
【
図10】基板搬送装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図11】基板収容器に収納された基板の形状の一例を概略的に示す図である。
【
図12】基板搬送装置の動作の他の一例を示すフローチャートである。
【
図13】基板搬送装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化がなされるものである。また、図面に示される構成の大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。
【0021】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0022】
<基板処理装置の概略構成>
図1は、基板処理装置の構成の一例を概略的に示す平面図である。
図1の基板処理装置は、基板(例えば、半導体ウエハ)Wにレジスト膜等を形成するとともに、露光された基板Wを現像する装置である。
【0023】
図1の例では、基板処理装置は、インデクサ部110と、処理部120と、インターフェイス部130と、制御部140とを含んでいる。制御部140は基板処理装置の各種構成を制御する。
【0024】
制御部140は電子回路であって、例えばデータ処理装置および記憶媒体を有していてもよい。データ処理装置は例えばCPU(Central Processor Unit)などの演算処理装置であってもよい。記憶媒体は非一時的な記憶媒体(例えばROM(Read Only Memory)またはハードディスク)および一時的な記憶媒体(例えばRAM(Random Access Memory))を有していてもよい。非一時的な記憶媒体には、例えば制御部140が実行する処理を規定するプログラムが記憶されていてもよい。処理装置がこのプログラムを実行することにより、制御部140が、プログラムに規定された処理を実行することができる。もちろん、制御部140が実行する処理の一部または全部がハードウェアによって実行されてもよい。
【0025】
処理部120の両側にはインデクサ部110とインターフェイス部130が隣接して設けられている。インターフェイス部130には、さらに本装置とは別体の外部装置である露光機EXPが隣接して設けられる。
【0026】
インデクサ部110は、複数(図では4個)の収容器載置台111と、ID用搬送機構TIDとを含んでいる。複数の収容器載置台111は1列に配列されており、各カセット載置台111には1個のカセットCが載置される。
【0027】
基板収容器Cは、基板Wを密閉した状態で収納するFOUP(Front Opening Unified Pod)であってもよいし、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドまたはOC(Open Cassette)等であってもよい。基板収容器Cでは、水平姿勢の複数枚の基板Wが互いに間隔を開けて鉛直方向に積層された状態となる。ここでいう水平姿勢とは、基板Wの厚み方向が鉛直方向に沿う状態をいう。
【0028】
ID用搬送機構TIDは、収容器載置台111の側方を基板収容器Cの並び方向に水平移動可能に設けられ、各基板収容器Cと向かい合う位置で停止できる。ID用搬送機構TIDは保持アームを含み、各基板収容器Cおよび処理部120の各々と基板Wの受け渡しを行う。ID用搬送機構TIDは基板収容器Cから基板Wを取り出して処理部120に搬送するとともに、処理部120から受け取った基板Wを基板収容器Cに収納する。
【0029】
インデクサ部110には、基板収容器C内の各段における基板の存否を検出するためのマッピングセンサ(不図示)が設けられている。例えばマッピングセンサは、発光部と、受光部とを含む。発光部および受光部は複数の基板収容器Cが並ぶ配列方向で互いに向かい合って設けられる。発光部は受光部に対して光を照射し、受光部はこの光を受光する。発光部および受光部は、互いに一体で、水平方向および鉛直方向に移動可能に設けられており、基板収容器Cの内部に進入することができる。具体的には、発光部および受光部は、基板収容器Cの内部において、平面視にて基板Wの一部を挟む位置に進入する。発光部および受光部がある段と同じ高さ位置に位置する場合、当該段に基板Wが載置されていれば、発光部からの光は当該基板Wによって遮られ、当該段に基板Wが載置されていなければ、発光部からの光が受光部に受光される。
【0030】
逆に言えば、受光部が光を受光しないときには、それは当該段において基板Wが載置されていることを示し、受光部が光を受光したときには、それは当該段に基板Wが載置されていないことを示す。発光部および受光部が基板収容器C内の最下段から最上段まで上昇することで、基板収容器C内における各段の基板の存否を検出することができる。マッピングセンサの検出結果は制御部140に出力される。制御部140は当該マッピングセンサの検出結果に応じてID用搬送機構TIDを制御する。
【0031】
処理部120は基板Wに対して処理を行う。
図1の例では、処理部120はセル121、122に分けられている。セル121は主搬送機構T1を含み、セル122は主搬送機構T2を含む。セル121、122の各々には、複数の処理ユニットが設けられる。
図1の例では、セル121、122のみが示されているが、処理部120には、セル121、122が鉛直方向に複数設けられてもよい。つまり、セル121の上には、セル121と同様のセルが積層されてもよく、セル122の上にも、セル122と同様のセルが積層されてもよい。要するに、処理部120は複数階層の構造を有していてもよい。セル121(およびその上層階のセル)では、基板Wにレジスト膜等を形成し、セル122(およびその上層階のセル)では基板Wを現像する。
【0032】
セル121、122は横方向に並んで互いに連結されて、インデクサ部110とインターフェイス部130との間を結ぶ一の基板処理列を構成する。各階層においても同様である。これら各基板処理列は鉛直方向に略平行に設けられている。言い換えれば、処理部120は階層構造の基板処理列で構成されている。
【0033】
インターフェイス部130は処理部120と露光機EXPとの間に配置されており、これらの間で基板Wを中継する。
【0034】
以下では、説明の簡単のために、上層階のセルの説明を省略してセル121、122について述べる。セル121には、基板Wを搬送するための搬送スペースA1が形成される。搬送スペースA1はセル121の中央を通り、セル121、122の並び方向に平行な帯状に形成されている。セル121の処理ユニットは、基板Wに処理液を塗布する塗布処理ユニット123と、基板Wに熱処理を行う熱処理ユニット124とを含む。塗布処理ユニット123は搬送スペースA1に対して一方側に配置されており、他方側には熱処理ユニット124が配置されている。
【0035】
塗布処理ユニット123は、それぞれ搬送スペースA1に面するように複数個並べて設けられている。本実施の形態では、複数の塗布処理ユニット123が鉛直方向にも並べて配置される。例えば2列2段で合計4つの塗布処理ユニット123が配置される。塗布処理ユニット123は、基板Wに反射防止膜を形成する処理を行う反射防止膜用塗布処理ユニットと、基板Wにレジスト膜を形成する処理を行うレジスト膜用塗布処理ユニットとを含む。例えば下段の2つの塗布処理ユニット123が基板Wに反射防止膜を形成し、上段の2つの塗布処理ユニット123が基板Wにレジスト膜を形成する。
【0036】
熱処理ユニット124は、それぞれ搬送スペースA1に面するように複数個並べられて設けられている。本実施の形態では、複数の熱処理ユニット124が鉛直方向にも並べて配置される。例えば、横方向に3つの熱処理ユニット124を配置可能に、鉛直方向に5つの熱処理ユニット124を積層可能である。熱処理ユニット124はそれぞれ基板Wを載置するプレート125などを含んでいる。熱処理ユニット124は、基板Wを冷却する冷却ユニット、加熱処理と冷却処理を続けて行う加熱冷却ユニット、および、基板Wと被膜の密着性を向上させるためにヘキサメチルシラザン(HMDS)の蒸気雰囲気で熱処理するアドヒージョン処理ユニットを含む。なお、加熱冷却ユニットはプレート125を2つ有するとともに、2つのプレート125間で基板Wを移動させる図示省略のローカル搬送機構を含む。各種の熱処理ユニットはそれぞれ複数個であり、適宜の位置に配置される。
【0037】
インデクサ部110とセル121との境界には、載置部PASS1が設けられ、セル121、122の境界には、載置部PASS2が設けられる。載置部PASS1はインデクサ部110とセル121との間で基板Wを中継し、載置部PASS2はセル121、122の間で基板Wを中継する。載置部PASS1、PASS2は、基板Wを水平姿勢で支持する複数の支持ピンを含んでいる。ここでいう水平姿勢とは、基板Wの厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢である。載置部PASS1は、例えば2枚の基板Wを載置可能である。載置部PASS1は例えば2段構成を有しており、各段に1枚の基板Wが載置される。一方の段はインデクサ部110からセル121へ搬送される基板Wが載置され、他方の段には、セル121からインデクサ部110へ搬送される基板Wが載置される。載置部PASS2も同様に2段構成を有している。
【0038】
搬送スペースA1の略中央には、主搬送機構T1が設けられている。主搬送機構T1はセル121の処理ユニット、載置部PASS1および載置部PASS2の各々と基板Wの受け渡しを行う。
図1の例では、主搬送機構T1は2つの保持アームH1、H2を含んでいる。よって、主搬送機構T1は一方の保持アームH1を用いて対象部(例えばセル121の処理ユニット)から基板Wを取り出しつつ、別の基板Wを他方の保持アームH2を用いて当該対象部に渡すことができる。
【0039】
セル122には、基板Wを搬送するための搬送スペースA2が形成される。搬送スペースA2は搬送スペースA1の延長上となるように形成されている。
【0040】
セル122の処理ユニットは、基板に処理液を塗布する塗布処理ユニット127と、基板Wに熱処理を行う熱処理ユニット126と、基板Wの周縁部を露光するエッジ露光ユニット(不図示)とを含む。塗布処理ユニット127は搬送スペースA2に対して一方側に配置され、熱処理ユニット126およびエッジ露光ユニットは他方側に配置される。ここで、塗布処理ユニット127は塗布処理ユニット123と同じ側に配置されることが好ましい。また、熱処理ユニット126およびエッジ露光ユニットは熱処理ユニット124と同じ並びとなることが好ましい。
【0041】
本実施の形態では、複数の塗布処理ユニット127が鉛直方向にも並べて配置される。例えば3列2段で合計6つの塗布処理ユニット127が配置される。塗布処理ユニット127は、基板Wを現像する現像処理ユニットと、基板Wにレジストカバー膜を形成する処理を行うレジストカバー膜用塗布処理ユニットとを含む。例えば下段の3つの塗布処理ユニット127が基板Wにレジストカバー膜を形成し、上段の3つの塗布処理ユニット127が基板Wを現像する。
【0042】
熱処理ユニット126は、搬送スペースA2に沿う横方向に複数並べられるとともに、鉛直方向に複数積層されている。熱処理ユニット126は、基板Wを加熱する加熱ユニットと、基板Wを冷却する冷却ユニットとを含む。
【0043】
エッジ露光ユニットは単一であり、所定の位置に設けられている。エッジ露光ユニットは、基板Wを回転可能に保持する回転保持部(不図示)と、この回転保持部に保持された基板Wの周縁を露光する光照射部(不図示)とを含む。
【0044】
セル122とインターフェイス部130との境界には、載置兼バッファ部P-BFが設けられる。載置兼バッファ部P-BFには、セル122からインターフェイス部130へ搬送される基板Wが載置される。
【0045】
主搬送機構T2は平面視で搬送スペースA2の略中央に設けられている。主搬送機構T2は主搬送機構T1と同様に構成されている。そして、主搬送機構T2は、載置部PASS2、塗布処理ユニット127、熱処理ユニット126、エッジ露光ユニットおよび載置兼バッファ部P-BFの各々と基板Wを受け渡す。
【0046】
インターフェイス部130は、洗浄処理ブロック131と、搬出搬入ブロック132とを含んでいる。洗浄処理ブロック131と搬出搬入ブロック132との境界には、載置部PASS3が設けられている。載置部PASS3の構成の一例は載置部PASS1,PASS2と同様である。載置部PASS3の上側または下側には、不図示の載置兼冷却ユニットが設けられている。載置兼冷却ユニットは基板Wを露光に適した温度に冷却する。
【0047】
搬出搬入ブロック132には、IF用搬送機構TIFが設けられている。IF用搬送機構TIFは載置兼冷却ユニットから露光機EXPの搬入部LPaに基板Wを搬送するとともに、露光機EXPの搬出部LPbからの基板Wを載置部PASS3へ搬送する。
【0048】
洗浄処理ブロック131は2つの洗浄処理ユニット133a,133bと、2つの搬送機構T3a,T3bとを含んでいる。2つの洗浄処理ユニット133a,133bは、搬送機構T3a,T3bの一組を挟むように配置されている。洗浄処理ユニット133aは露光前の基板Wを洗浄して乾燥する。複数の洗浄処理ユニット133aが多段に積層されていてもよい。搬送機構T3aは載置兼バッファ部P-BFから洗浄処理ユニット133aに基板Wを搬送し、洗浄済みの基板Wを洗浄処理ユニット133aから載置兼冷却ユニットに搬送する。
【0049】
洗浄処理ユニット133bは露光後の基板Wを洗浄して乾燥する。複数の洗浄処理ユニット133bが多段に積層されていてもよい。搬送機構T3bは載置部PASS3から洗浄乾燥処理ユニット133bに基板Wを搬送し、洗浄済みの基板Wを洗浄乾燥処理ユニット133bから載置兼バッファ部P-BFに搬送する。
【0050】
このような基板処理システムにおいて、基板Wは次のように処理される。即ち、基板収容器Cから取り出された基板Wは、セル121の冷却ユニットによって冷却される。冷却後の基板Wはセル121の反射防止膜用塗布処理ユニットによって塗布処理を受ける。これにより、基板Wの表面には反射防止膜が形成される。反射防止膜が形成された基板Wは加熱冷却ユニットによって加熱された後に冷却される。冷却された基板Wはレジスト膜用塗布処理ユニットによって塗布処理を受ける。これにより、基板Wの表面にはレジスト膜が形成される。レジスト膜が形成された基板Wは、再び加熱冷却ユニットで加熱された後に冷却される。レジスト膜が形成された基板Wはセル122のレジストカバー膜用塗布処理ユニットによって塗布処理を受ける。これにより、基板Wの表面にはレジストカバー膜が形成される。レジストカバー膜が形成された基板Wはセル122の加熱冷却ユニットで加熱された後に冷却される。
【0051】
冷却された基板Wの周縁部は、セル122のエッジ露光ユニットで露光される。周縁部が露光された基板Wは洗浄処理ユニット133aにおいて洗浄乾燥処理を受ける。洗浄された基板Wは載置兼冷却ユニットで冷却される。冷却された基板Wは外部の露光機EXPで露光される。露光された基板Wは洗浄乾燥処理ユニット133bで洗浄乾燥処理を受ける。洗浄された基板Wはセル122の加熱冷却ユニットで露光後ベーク処理を受ける。ベークされた基板Wはセル122の冷却ユニットで冷却される。冷却された基板Wは現像処理ユニットで現像処理を受ける。現像処理が施された基板Wは加熱冷却ユニットで加熱された後に冷却される。冷却された基板Wはインデクサ部110の基板収容器Cに搬送される。以上のようにして、基板処理装置は基板Wに対して処理を行う。
【0052】
<基板収容器>
図2は、基板収容器Cの構成の一例を概略的に示す正面図であり、
図3は、基板収容器Cの構成の一例を示す側面図である。基板収容器Cは、例えば、略水平な一方向(
図2において紙面手前側)に向かって開口した箱形の形状を有している。基板収容器Cは、その開口部51がID用搬送機構TID側に向くように、収容器載置台111の上に載置される(
図1も参照)。基板収容器Cの互いに向かい合う両側壁53の内側面には、基板Wの下面を支持するための突起支持部52が突設されている。突起支持部52は各側壁53の内側面から内側に突出する。突起支持部52の上面は略水平である。両側壁53に形成された突起支持部52は、それぞれ基板Wの左右方向における端部を支持する。なお、左右方向とは、基板収容器Cの両側壁53が向かい合う方向である。
【0053】
突起支持部52は鉛直方向において間隔を空けて複数設けられており、複数の基板Wがそれぞれ左右の突起支持部52によって支持される。複数の基板Wは鉛直方向において間隔を空けて積層された状態で基板収容器Cに収納される。
【0054】
図3の例では、基板収容器CがFOUPである場合の構成が示されており、基板収容器Cは蓋54も含んでいる。蓋54は開口部51を開閉する。インデクサ部110には、蓋54を開閉するための駆動部材が設けられており、基板収容器Cが収容器載置台111の上に載置されると、当該駆動部材が蓋54を開く。これにより、基板収容器CはID用搬送機構TID側に開口する。
【0055】
<基板>
基板Wは例えば半導体ウエハであり、略円板形状を有する。
図4は、基板Wの構成の一例を概略的に示す斜視図である。本実施の形態では一例として、基板Wは、中央部91と、中央部91よりも外周側の周縁部92とを有している。基板Wの上面は、その中央部91において凹む凹形状を有している。逆に言えば、基板Wは、その周縁部92が中央部91に対して上方に突出した形状を有している。中央部91は平面視において略円形状を有している。周縁部92は中央部91を囲む略円環形状を有しており、中央部91の周縁が周縁部92の内面に連結されている。基板Wの下面は略平坦である。よって、基板Wの周縁部92は中央部91よりも厚い。
【0056】
基板Wの直径は例えば300mm程度であり、周縁部92の幅(径方向の幅)は例えば2mm~3mm程度である。基板Wの周縁部92の厚みは例えば800μm程度であり、基板Wの中央部91の厚みは例えば45μm~60μm程度である。
【0057】
<ID用基板搬送機構>
図5は、ID用搬送機構TIDの構成の一例を概略的に示す側面図であり、
図6はID用搬送機構TIDの構成の一例を概略的に示す上面図である。なお、以下では、ID用搬送機構TIDを基板搬送装置TIDとも呼ぶ。基板搬送装置TIDは、保持アーム13の一例であるハンド1と、センサ(検出部)2と、ハンド移動機構3とを含んでいる。
【0058】
ハンド1は、基板Wを載置するための部材である。
図5および
図6の例では、ハンド1は、一対のフィンガ11と、連結部材12とを含んでいる。各フィンガ11は長尺形状を有しており、平面視において(つまり、鉛直方向に沿って見て)互いに略平行に配置される。フィンガ11の上面は略水平である。
【0059】
連結部材12は、フィンガ11の基端同士を連結する部材である。
図5および
図6の例では、連結部材12は長尺状の板状形状を有しており、その厚み方向が鉛直方向に沿うように配置される。連結部材12は例えばフィンガ11と同一材料で一体に形成される。両フィンガ11の先端は互いに離れている。このようなハンド1は平面視においてU字形状を有する。
【0060】
図5および
図6の例では、各フィンガ11の上面には、2つの突起部13が設けられている。突起部13はフィンガ11の上面から上方に突出する。各突起部13は例えば平面視において略円形状を有している。一対のフィンガ11に設けられた計4つの突起部13は平面視において、仮想的な四角形の頂点にそれぞれ設けられている。突起部13の上面は略水平である。突起部13の上面には基板Wが載置される。より具体的には、各突起部13の上面は基板Wの周縁部92の下面に当接して基板Wを支持する。
【0061】
図6の例では、各突起部13の上面には、吸引口13aが形成されている。各突起部13には少なくとも一つの吸引口13aが形成される。
図6の例では、4つの突起部13が設けられているので、ハンド1には少なくとも4つの吸引口13aが形成される。この吸引口13aは、ハンド1の内部に設けられた吸引経路を介して外部の吸引機構(不図示)に繋がる。吸引機構が吸引口13a内の気圧を負圧にすることにより、ハンド1は基板Wを下方から吸着することができる。これにより、ハンド1は基板Wを保持することができる。
【0062】
図6の例では、吸引口13aは基板Wの周縁部92の直下に位置する。よって、ハンド1は、厚い周縁部92に対して吸引力を作用させることができる。これによれば、ハンド1は基板Wを安定して保持することができる。
【0063】
ハンド移動機構3はハンド1を少なくとも前後方向D1および鉛直方向に移動させる。ここでは、ハンド移動機構3は、さらに所定の回転軸線Q1についての周方向にもハンド1を移動させる。具体的な一例として、ハンド移動機構3は、進退機構31と、昇降機構32と、回動機構33とを含んでいる。進退機構31は制御部140によって制御され、ハンド1を前後方向D1に沿って移動させる。進退機構31は、例えば複数の多関節アームを有していてもよく、あるいは、ボールねじ構造を有していてもよい。進退機構31は例えばハンド1の連結部材12に結合される。
【0064】
昇降機構32は制御部140によって制御され、ハンド1を鉛直方向に沿って移動させる。つまり、昇降機構32はハンド1を昇降させる。昇降機構32は例えばボールねじ構造を有している。
図5の例では、昇降機構32は進退機構31を昇降させることにより、ハンド1を昇降させる。
【0065】
回動機構33は制御部140によって制御され、鉛直方向に延びる回転軸線Q1のまわりでハンド1を回動させる。これにより、ハンド1は回転軸線Q1についての周方向に沿って移動する。回動機構33は例えばモータを有している。
図5の例では、回動機構33は、進退機構31、昇降機構32およびハンド1を一体に回動させる。回動機構33がハンド1を回動させることにより、ハンド1の向きを変更することができる。
図1も参照して、回動機構33は、ハンド1(保持アーム113)が基板収容器Cと対向する状態と、ハンド1が載置部PASS1と対向する状態との間で、ハンド1を移動させる。
【0066】
進退機構31は回動機構33によって回動するので、進退機構31がハンド1を移動させる前後方向D1は回転軸線Q1についての径方向となる。ハンド1は、そのフィンガ11の長手方向が前後方向D1に沿うように配置されている。
【0067】
ここで、基板収容器Cから基板Wを取り出す際の基板搬送装置TIDの動作について概説する。まず、回動機構33が空のハンド1を回動させて、ハンド1を基板収容器Cに対向させる。なお、ここでいう空のハンド1とは、基板Wが載置されていないハンド1をいう。次に、昇降機構32がハンド1の高さ位置を調整する。具体的には、取り出し対象となる基板Wの下面(左右の突起支持部52の上面を結ぶ位置)を基準高さ位置とし、ハンド1が、当該基準高さ位置よりも僅かに下方に位置するように、昇降機構32がハンド1の高さ位置を調整する。
図2では、フィンガ11の高さ位置の一例が仮想線で示されている。次に、進退機構31がハンド1を前方に移動させて、ハンド1を基板Wの直下の予め決められた停止位置に移動させる。
【0068】
図6の例では、基板収容器C内の規定の基準位置に載置された基板Wが示されている。つまり、
図6では、ハンド1が基板収容器C内に進入した進入状態における基板Wおよびハンド1が示されている。
図6の例では、予め決められた停止位置で停止したハンド1が示されている。
図6に例示するように、基板Wが規定の基準位置に載置されている場合には、ハンド1が停止位置で停止した状態で、ハンド1の4つの突起部13が基板Wの周縁部92の下面と対向する。
【0069】
次に、昇降機構32がハンド1を上昇させる。このハンド1の上昇により、ハンド1の突起部13が基板Wの周縁部92の下面に当接して、吸着することにより、ハンド1が基板を保持する。その後、更に昇降機構32がハンド1を僅か上昇させ、突起支持部52から、基板Wを持ち上げる。ハンド1が基板Wを持ち上げると、昇降機構32は上昇を停止させる。次に、進退機構31がハンド1を後方に移動させることにより、基板Wが載置されたハンド1を基板収容器Cから退避させる。以上のように、基板搬送装置TIDは基板収容器Cから基板Wを取り出すことができる。
【0070】
上述のように、基板Wが基板収容器C内において基準位置に載置されているときには、ハンド1の突起部13が基板Wの周縁部92と当接する。よって、ハンド1は基板Wを安定して保持することができる。その一方で、基板Wの載置位置が基準位置から前後方向D1に大きくずれると、基板Wとハンド1との相対位置関係もずれる。例えば、突起部13が基板Wの周縁部92から外れ、ハンド1が基板Wを適切に保持できない。
【0071】
そこで、本基板搬送装置TIDには、基板Wの前後方向D1における位置を検出するためのセンサ2が設けられている。このセンサ2は、ハンド1と一体に移動可能に設けられる。
図5および
図6の例では、センサ2はフィンガ11に設けられている。このセンサ2は、ハンド1が基板収容器Cの内部に進入した進入状態において、基板収容器Cに収納された基板Wと隣り合う。より具体的には、ハンド1が上述の停止位置で停止した状態において、センサ2は平面視にて、基板Wの前後方向D1の端部と測定方向D2において対向する。測定方向D2は前後方向D1と交差する方向であり、例えば前後方向D1と直交する方向である。言い換えれば、センサ2が上述の状態で基板Wの端部と測定方向D2において対向するように、センサ2のフィンガ11に対する配置位置が決められる。
図6の例では、センサ2はフィンガ11の基端側(後方)に設けられており、平面視において、基板Wの後方の端部と測定方向D2において対向している。
【0072】
センサ2は、ハンド1が基板収容器Cの内部に進入した進入状態において、基板Wの前後方向D1における位置を検出する。つまり、センサ2は、前後方向D1に交差する測定方向D2から、基板Wの前後方向D1の位置を測定する。前後方向D1と交差する測定方向D2では、基板Wの前後方向D1の位置を測定しやすいので、センサ2は高い測定精度で前後方向D1における基板Wの位置を測定できる。
【0073】
図5および
図6の例では、センサ2は発光部21および受光部22を含んでいる。発光部21および受光部22は、測定方向D2において互いに向かい合って配置されている。より具体的には、発光部21および受光部22は、進入状態において、基板Wの後方の端部を測定方向D2において挟む位置に設けられている。つまり、発光部21は基板Wの当該端部に対して受光部22とは反対側に設けられている。
図6の例では、発光部21は一対のフィンガ11の一方に設けられており、受光部22は一対のフィンガ11の他方に設けられている。
【0074】
発光部21は、前後方向D1を幅方向とする帯状の光(つまり、電磁波)を、受光部22に向けて照射する。発光部21は例えばレーザ光源またはランプ光源などの光源を有している。発光部21が照射する光の波長は特に限定されないものの、例えば赤外線を採用できる。
【0075】
受光部22は、発光部21から照射された光を受光し、その受光量を示す電気信号(以下、検出信号と呼ぶ)を制御部140に出力する。受光部22はフォトディテクタとも呼ばれる。
【0076】
空のハンド1が基板収容器Cの外部に位置している状態では、発光部21から照射された光はそのまま受光部22に受光される。ここでは、進退機構31がハンド1を基板収容器Cの内部に進入させて所定の停止位置で停止させた状態でも、ハンド1の上昇前では、発光部21からの光はそのまま受光部22に受光されるものとする。
図7は、基板Wとセンサ2との位置関係の一例を概略的に示す図である。
図7は、
図6のA-A断面の一例を概略的に示している。
図7では、ハンド1が停止位置で停止したときのセンサ2が仮想線で示されている。この状態では、発光部21および受光部22は基板Wよりも下方に位置しており、発光部21から照射された光は基板Wによって遮られることなく、受光部22に受光される。
【0077】
昇降機構32がハンド1を上昇させると、発光部21および受光部22もハンド1とともに上昇する。よって、
図7に例示するように、いずれ発光部21からの光の一部が基板Wの後方の端部によって遮られる。
図8は、発光部21からの光の一部が基板Wによって遮られた様子の概略的な一例を示す平面図である。
図8は、基板Wが基準位置に位置するときの当該様子の一例を示している。
図8から理解できるように、発光部21からの帯状の光のうち、前方の一部は基板Wの後方の端部に照射されて基板Wによって遮られるのに対して、帯状の光のうち後方の一部は基板Wによって遮られずに、そのまま受光部22へと進む。よって、帯状の光の後方の一部が受光部22によって受光される。
【0078】
図9は、基板Wが基板収容器C内において、基準位置よりも後方にずれて載置されたときの当該様子の一例を示す平面図である。
図9では、基準位置に載置された基板Wを仮想線で示している。
図8および
図9の比較から理解できるように、受光部22が受光する光の受光量は基板Wの前後方向D1における位置に応じて変化する。具体的には、基板Wが後方にずれるほど、基板Wによって遮られる光の量が大きくなり、受光部22によって受光される量が小さくなる。
【0079】
そこで、制御部140の演算部141(
図5参照)は受光部22の受光量に基づいて、基板Wの前後方向D1における位置を求める。例えば、基板Wの前後方向D1における位置と受光部22の受光量との対応関係をシミュレーションまたは実験等により、予め設定する。この対応関係を示す対応関係情報は、例えばルックアップテーブルまたは関数として制御部140の記憶媒体に記憶される。
【0080】
受光部22は、検出した受光量を示す検出信号を制御部140に出力する。演算部141は、検出信号によって示される受光量と、記憶媒体に記憶された対応関係情報とに基づいて、基板Wの前後方向D1における位置を求める。この演算部141は発光部21および受光部22とともにセンサ2を構成している、と言える。
【0081】
なお、上述の例では、演算部141は制御部140に含まれているものの、この演算部141は制御部140とは別に設けられてもよい。演算部141は電子回路であって、例えば制御部140と同様の構成を有していてもよい。
【0082】
制御部140は、演算部141によって求められた基板Wの位置に基づいて、ハンド1の前後方向D1における位置の調整量を求める。具体的には、制御部140は4つの突起部13が基板Wの周縁部92の下面に当接するように、ハンド1の位置の調整量を求める。制御部140は進退機構31に当該調整量でハンド1の位置を調整させる。これにより、基板Wが基板収容器C内において規定の基準位置から前後方向D1にずれて載置されていたとしても、ハンド1の前後方向D1における位置はその基板Wの位置ずれに応じて調整される。したがって、ハンド1は適切に基板Wを持ち上げることができる。
【0083】
なお、ハンド1が基板Wの下面と当接する前に、ハンド1の位置を調整する必要があるので、ハンド1が基板Wの下面と当接する前に、基板Wの位置を検出する必要がある。つまり、ハンド1が基板Wの下面と当接する前に、発光部21からの光の一部が基板Wによって遮られる必要がある。よって、発光部21および受光部22は、それぞれの発光面および受光面が少なくともハンド1の突起部13の上面(つまり、基板Wを載置する載置面)よりも上方に位置するように、設けられる。
【0084】
<基板搬送装置の搬出動作>
図10は、基板搬送装置TIDの基板収容器Cに対する搬出動作の一例を示すフローチャートである。初期的には、ハンド1には基板Wが載置されておらず、基板収容器Cの外部に位置している。まず、回動機構33が空のハンド1を回動させて、ハンド1を基板収容器Cに対向させる(ステップS1)。次に、昇降機構32がハンド1の高さ位置を調整する(ステップS2)。具体的には、昇降機構32は、取り出し対象となる基板Wの下面の僅かに下方の高さ位置に、ハンド1を移動させる。
【0085】
次に、センサ2は全体受光量P1を測定する(ステップS3)。全体受光量P1とは、センサ2の発光部21からの光が基板Wによって遮られない状態で受光部22が受光する光の受光量である。具体的な動作として、まず制御部140は発光部21に照射を指示し、発光部21が当該指示に応じて光を照射する。受光部22は当該光を受光して、その受光量を示す検出信号を制御部140に出力する。このとき、発光部21から照射した光はそのまま受光部22によって受光される。制御部140は、この受光量を全体受光量P1として記憶媒体に記憶する。
【0086】
次に、進退機構31がハンド1を前方に移動させて、所定の停止位置で停止させる(ステップS4)。この所定の停止位置において、ハンド1は基板収容器Cの内部に進入しており、平面視において、発光部21および受光部22は基板Wの後方の端部に対して互いに反対側に位置する(
図8および
図9参照)。ここでは、ハンド1の上昇前では、発光部21からの光は未だ基板Wによって遮られていないものとする(
図7の仮想線参照)。なお、この場合、全体受光量P1の検出(ステップS3)は、ハンド1が停止位置で停止した状態で行われてもよい。つまり、ステップS3がステップS4の後に実行されてもよい。
【0087】
次に、昇降機構32がハンド1を上昇させる(ステップS5)。センサ2はハンド1と一体に移動するので、センサ2も上昇する。次に、演算部141は、受光部22から入力される検出信号に基づいて、受光部22によって受光された受光量P2と、全体受光量P1との比R1(=P2/P1)を算出する(ステップS6)。発光部21からの光が基板Wによって遮られていない場合には、比R1は理想的には1.0である。センサ2の上昇によって、発光部21からの光の一部はいずれ基板Wによって遮られ(
図8および
図9参照)、受光部22によって受光される光の受光量P2は大きく低下する。このとき、受光量P2は、予め設定された第1所定値以上、変化する。言い換えれば、比R1も、予め設定された第2所定値以上、低下する。
【0088】
演算部141は、比R1が、1.0未満の所定の比基準値を下回っているか否かを判断する(ステップS7)。この比基準値は予め設定されて制御部140の記憶媒体に記憶されている。比基準値は1.0未満の値であり、基板Wが基板収容器C内において最も前方に位置する状態での受光部22の受光量よりも大きい値である。比基準値は、1.0から第2所定値を減算した値である。
【0089】
発光部21からの光が未だ基板Wによって遮られていない期間においては、比R1は理想的には1.0であるので、演算部141はステップS6,S7の一組を繰り返し実行する。センサ2が上昇して発光部21からの光が基板Wによって遮られると、比R1は比基準値未満となる。比R1が比基準値未満になると、演算部141は比R1に基づいて基板Wの前後方向D1における位置を求める(ステップS8)。例えば比R1と基板Wの前後方向D1における位置との対応関係はシミュレーションまたは実験などにより予め設定される。この対応関係を示す対応関係情報は例えばルックアップテーブルまたは関数として記憶媒体に記憶される。演算部141は、求めた比R1と、記憶媒体に記憶された対応関係情報とに基づいて、基板Wの前後方向D1における位置を求める。
【0090】
次に、制御部140は、求めた基板Wの位置が許容範囲内であるか否かを判断する(ステップS9)。許容範囲とは、基板Wの前後方向D1における位置の許容範囲を示しており、この許容範囲であれば、昇降機構32がハンド1を上昇させることにより、適切な位置でハンド1が基板Wを持ち上げることができる。
【0091】
基板Wの位置が許容範囲外である場合には、制御部140は基板Wの位置と基板Wの基準位置との比較に基づいてハンド1の調整量を算出し、その調整量に基づいて進退機構31にハンド1の前後方向D1における位置を調整させる(ステップS10)。具体的には、制御部140は、求めた基板Wの位置と、基板Wの基準位置との差を調整量として算出する。基板Wの基準位置は例えば制御部140の記憶媒体に記憶されている。
【0092】
なお、ハンド1の前後方向D1における位置を調整する際に、昇降機構32は一旦、ハンド1の上昇を中断してもよい。そして、進退機構31によるハンド1の位置調整後に、昇降機構32が再びハンド1を上昇させる。
【0093】
一方、演算部141によって求められた基板Wの位置が許容範囲内であるときには、ステップS10を実行せずに、昇降機構32はハンド1を上昇させ続ける。
【0094】
ハンド1が基板Wを持ち上げると、昇降機構32はハンド1の上昇を停止させる。次に、進退機構31はハンド1を後方に移動させて、ハンド1を基板収容器Cの内部から退避させる(ステップS11)。
【0095】
以上のように、基板搬送装置TIDによれば、基板Wの搬出動作中に、センサ2によって基板Wの前後方向D1における位置を検出する。そして、基板搬送装置TIDはその検出位置に応じてハンド1を基板Wに対して適切な位置に移動させた上で、ハンド1を上昇させる。よって、基板収容器C内において基板Wの前後方向D1の位置ずれが生じていたとしても、基板搬送装置TIDは適切に基板Wを搬出することができる。
【0096】
しかも、上述の例では、簡易な発光部21および受光部22により、基板Wの前後方向D1における位置を検出することができる。
【0097】
ところで、上述の例では、基板Wは、薄い中央部91と、厚い周縁部92とを有しており、支持対象となる領域(周縁部92)が狭い。よって、当該基板Wとハンド1との間の前後方向D1における位置ずれの許容量は小さい。したがって、基板Wの位置を検出してハンド1の位置を調整できる基板搬送装置TIDは、中央部91および周縁部92を有する基板Wに対して特に有益である。
【0098】
<発光部および受光部の高さ位置>
図7の例では、発光部21は受光部22と異なる高さ位置に設けられている。
図7の例では、発光部21は受光部22よりも高い位置に設けられているものの、同じ高さ位置に設けられてもよい。
【0099】
<基板の撓み>
基板Wの左右方向の両端部は基板収容器Cの内部において、突起支持部52によって支持される。よって、基板Wはその両端部を支点として自重により撓む。
図11は、基板収容器Cに収納された基板Wの形状の一例を概略的に示す図である。
図11の例では、基板Wはその中央部が両端部に対して下方に位置するように撓む。つまり、基板Wは下に凸となる形状に撓む。なお、基板収容器C内において、基板Wはその両端部のみが支持されているので、前後方向D1から見た断面(
図11)では基板Wは撓むものの、左右方向から見た断面では、基板Wはほとんど撓まない。
【0100】
図11では、センサ2も示されている。本実施の形態では、ハンド1およびセンサ2の上昇前では、発光部21からの光は基板Wには遮られていない。つまり、発光部21からの光は基板Wよりも下方を進んでそのまま受光部22に入射する。そして、ハンド1およびセンサ2の上昇により、発光部21からの光がいずれ基板Wに遮られ始める。光が基板Wによって遮られ始めるときの発光部21の高さ位置は、基板Wの撓み量が大きいほど低い。つまり、受光量が大きく変化するときのハンド1の高さ位置は、基板Wの撓み量が大きいほど低い。言い換えれば、比R1が1.0から比基準値未満の値に変化するときのハンド1の高さ位置は、基板Wの撓み量が大きいほど低い。ハンド1の当該高さ位置と基板Wの撓み量の関係は例えばシミュレーションまたは実験などにより、予め設定することができる。そこで、当該高さ位置と撓み量との関係を示す対応関係情報を予め制御部140の記憶媒体に記憶しておく。
【0101】
演算部141は、ハンド1およびセンサ2の上昇時に、受光量P2が大きく変化するときのハンド1の高さ位置をモニタし、その高さ位置と基準高さ位置との差(距離)に基づいて基板Wの撓み量を求める。
図12は、基板搬送装置TIDの当該動作の一例を示すフローチャートである。
図12では、
図10のフローチャートと比べて、ステップS12がさらに実行される。
図12の例では、ステップS12は、ステップS7において比R1が比基準値未満と判断されたときに実行される。ステップS12においては、演算部141はハンド1の高さ位置に基づいて基板Wの撓み量を求める。ハンド1の高さ位置は、例えば、ハンド1およびセンサ2の上昇開始からの経過時間と、上昇速度とに基づいて求められる。あるいは、ハンド1の高さ位置を検出するためのセンサが設けられてもよい。例えば昇降機構32がモータを有している場合には、当該センサは、モータの回転位置を検出する、いわゆるエンコーダであってもよい。演算部141は、求めた高さ位置と、記憶媒体に記憶された対応関係情報とに基づいて基板Wの撓み量を求める。
【0102】
その後、ステップS8~S11により、基板Wが基板搬送装置TIDによって取り出される。
【0103】
以上のように、基板搬送装置TIDによれば、基板収容器Cの取り出しの際に、基板Wの撓み量を検出することができる。よって、撓み量を検出するための専用の検出部を別途に設ける必要がなく、低コストで基板Wの撓み量を検出できる。
【0104】
<基板保持部への受け渡し>
図6の例では、ハンド1は平面視においてU字形状を有しており、基板Wの周縁部92を支持している。よって、基板Wの中央付近はハンド1と対向しておらず、基板Wはハンド1に載置された状態でも自重により撓み得る。ハンド1上の基板Wの撓み量は、基板収容器Cにおける基板Wの撓み量とは相違し得るものの、基板収容器Cにおける基板Wの撓み量が大きいほど、ハンド1上の基板Wの撓み量も大きくなると考えられる。つまり、基板収容器Cにおける基板Wの撓み量が大きい場合には、その基板Wは比較的撓みやすいので、ハンド1上でもより大きく撓む。
【0105】
この基板収容器Cにおける基板Wの撓み量と、ハンド1上の基板Wの撓み量との対応関係も実験またはシミュレーションなどにより、予め設定することができる。当該対応関係を示す対応関係情報も、例えばルックアップテーブルまたは関数として制御部140の記憶媒体に記憶される。よって、演算部141は、基板収容器Cにおける基板Wの撓み量に基づいてハンド1上の基板Wの撓み量を求めることもできる。要するに、演算部141は、受光量が大きく変化したときのハンド1の高さ位置に基づいて、ハンド1上の基板Wの撓み量を求めることができる。
【0106】
基板搬送装置TIDが基板Wを載置部PASS1に渡す際には、ハンド1を下降させて基板Wを載置部PASS1の基板保持部に載置させる。基板保持部は例えば複数の支持ピンを有しており、当該支持ピンが基板Wの下面を支持する。例えば、支持ピンは、少なくとも基板Wの中央部91の下面を支持する。この受け渡しの際に、基板Wの撓み量が大きいほど、より高い位置で基板Wの下面が基板保持部(支持ピン)に当接する。
【0107】
基板Wを基板保持部に載置させる際には、その衝撃を低減すべく下降速度を低くすることが望ましい一方で、スループットの向上のためには、下降速度は高い方が望ましい。そこで、基板Wが基板保持部に当接するまでは下降速度を高めつつ、基板Wが基板保持部に当接する瞬間の下降速度を低く設定することが望ましい。
【0108】
そこで、制御部140はハンド1上の基板Wの撓み量に基づいて、載置部PASS1への基板Wの受け渡しの際の下降速度を決定する。
図13は、基板搬送装置TIDの動作の一例を示すフローチャートである。
図13の例では、載置部PASS1への基板Wの受け渡し動作の一例が示されている。ハンド1の上には基板Wが載置されている。まず、回動機構33がハンド1を回動させて、ハンド1を載置部PASS1に対向させる(ステップS21)。次に、昇降機構32がハンド1の高さ位置を予め設定された高さ位置に移動させる(ステップS22)。次に、進退機構31がハンド1を前方に移動させて、載置部PASS1の基板保持部よりも上方の位置で停止させる(ステップS23)。当該位置は例えば予め設定されている。
【0109】
次に、昇降機構32はハンド1を下降させ始める(ステップS24)。これにより、ハンド1の下降速度は目標値まで増加する。次に、制御部140はハンド1上の基板Wの撓み量に基づいて高さ基準値を設定する(ステップS25)。この高さ基準値は基板Wの撓み量が大きいほど高く設定される。その高さ基準値と基板Wの撓み量との対応関係は例えば実験またはシミュレーションなどにより、予め設定されている。この対応関係を示す対応関係情報は例えばルックアップテーブルまたは関数として制御部140の記憶媒体に記憶される。制御部140は、基板Wの撓み量と、記憶媒体に記憶された対応関係情報とに基づいて、高さ基準値を設定する。
【0110】
次に、制御部140は、現在のハンド1の高さ位置が高さ基準値よりも低いか否かを判断する(ステップS26)。なお、高さ基準値の設定はこの判断処理の前に行われていればよく、ハンド1の下降(ステップS24)よりも前に行われてもよい。
【0111】
制御部140は、例えばハンド1の下降開始からの経過時刻と下降速度とに基づいて、ハンド1の高さ位置を算出する。制御部140はこの高さ位置と高さ基準値とを比較し、高さ位置が未だ高さ基準値以上であるときには、再びステップS26を実行する。
【0112】
ハンド1の高さ位置が高さ基準値未満であるときには、昇降機構32は下降速度を低下させる(ステップS27)。これにより、昇降機構32は、基板Wの撓み量が大きいときには、より高い位置から下降速度を下降させ始めることができる。よって、十分に下降速度を低下させた状態で、基板Wを載置部PASS1の基板保持部に渡すことができる。
【0113】
また、ハンド1の高さ位置が高さ基準値に至るまでは、高い下降速度でハンド1を下降させることもできる。よって、高いスループットで基板Wを載置部PASS1の基板保持部に渡すことができる。
【0114】
基板Wを基板保持部(支持ピン)の上に載置すると、昇降機構32は空のハンド1の下降を停止し、進退機構31はハンド1を載置部PASS1から退避させる(ステップS28)。
【0115】
以上のように、撓み量が大きいときには、より高い高さ位置からハンド1の下降速度を低下させ、撓み量が小さいときには、より低い高さ位置からハンド1の下降速度を低下させることができる。これにより、基板Wが基板載置部に当接するまでに下降速度を十分に低下させつつも、その高さ位置までは高い下降速度でハンド1を下降させることができる。よって、基板搬送装置TIDは高いスループットで基板Wを載置部PASS1の基板保持部に受け渡しつつ、基板Wが基板保持部に載置される瞬間の下降速度を低くすることができる。
【0116】
以上、実施の形態が説明されたが、この基板搬送装置はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。本実施の形態は、その開示の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【0117】
例えば上述の具体例では、センサ2はハンド1のフィンガ11の基端側(後方端側)に設けられている。しかしながら、センサ2はハンド1のフィンガ11の先端側(前方側)に設けられていてもよい。要するに、センサ2は、ハンド1が基板収容器Cに進入した進入状態において、基板Wの前方の端部と測定方向D2において対向する位置に設けられてもよい。
【0118】
また、上述の具体例では、センサ2はハンド1のフィンガ11に設けられている。しかしながら、必ずしもこれに限らない。例えばフィンガ11および連結部材12に他の部材が連結される場合、センサ2は当該他の部材に連結されてもよい。
【0119】
また、上述の例では、基板Wの撓み量を求めるべく、発光部21からの光が基板Wによって遮られない高さ位置からハンド1を上昇させた。しかしながら、基板Wの撓み量を求める必要がない場合には、必ずしもこれに限らない。例えば、発光部21からの光が基板Wによって遮られる高さ位置で、ハンド1を基板収容器C内に進入させてもよい。この場合、ハンド1を基板収容器C内の停止位置に停止させた状態で、センサ2は基板Wの前後方向D1における位置を検出できる。
【0120】
また、上述の具体例では、基板搬送装置TIDは載置部PASS1へ基板Wを載置する際に、基板Wの撓み量に応じてハンド1の下降速度を調整した。しかるに、この下降速度の調整は必ずしも載置部PASS1への載置に限らない。例えば、処理部120の各処理ユニットにおいて、基板Wを保持する基板保持部が設けられる。基板保持部は、例えば基板Wの下面を吸着する吸引口が形成された板状の基板載置部と、基板Wを昇降するリフトピンとを含む場合がある。基板載置部は、基板Wの少なくとも中央付近において、基板Wの下面と当接する。リフトピンが上昇した状態では、リフトピンは基板載置部よりも上方で基板Wを支持する。基板Wの搬入時には、リフトピンが上昇した状態で、主搬送機構T1または主搬送機構T2が基板Wをリフトピンの上に基板Wを載置する。リフトピンは基板Wを支持したまま下降し、基板載置部の上に載置する。この場合、リフトピンは基板Wの撓み量に応じて下降速度を調整してもよい。リフトピン上の基板Wの撓み量と、ハンド1上の基板Wの撓み量との対応関係もシミュレーションまたは実験等により、予め設定できる。リフトピンは基板Wの撓み量が大きいほど、より高い位置から下降速度を低下させて始める。これにより、高いスループットで基板Wを基板載置部に受け渡すことができつつ、基板Wを基板載置部に受け渡す時点での下降速度を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0121】
C 基板収容器
1 ハンド
2 検出部(センサ)
21 発光部
22 受光部
31 進退機構
32 昇降機構
33 移動機構(回動機構)
13a 吸引口
140 制御部
141 演算部