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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005097
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】紙幣識別装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 7/00 20160101AFI20240110BHJP
   G07D 11/26 20190101ALI20240110BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G07D7/00 D
G07D11/26
G07D9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105113
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】307003777
【氏名又は名称】株式会社日本コンラックス
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100140165
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】児玉 康幸
(72)【発明者】
【氏名】山根 寛久
(72)【発明者】
【氏名】星野 裕樹
【テーマコード(参考)】
3E041
3E141
【Fターム(参考)】
3E041AA10
3E041DB03
3E141AA11
3E141BA13
3E141CA06
3E141DA06
3E141FC16
(57)【要約】
【課題】
効率的に識別センサをクリーニングできる紙幣識別装置を提供する。
【解決手段】
紙幣識別装置1であって、紙幣101を識別する識別センサ5と、制御部9と、を備え、紙幣101を受け入れるモードである通常モードと、識別センサ5をクリーニングするためのクリーニングシート102を受け入れるモードであるクリーニングモードと、をとることができ、制御部9は、クリーニングモードにおいて、クリーニングシート102による識別センサ5のクリーニングの後、クリーニングが十分であるか否かの判定を行い、クリーニングが十分であると判定した場合は、クリーニングシート101の返却位置を第1位置(OK位置)とし、クリーニングが十分でないと判定した場合は、クリーニングシート102の返却位置を第1位置とは異なる位置である第2位置(NG位置)とする制御を行う。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を識別する識別センサと、制御部と、を備え、
紙幣を受け入れるモードである通常モードと、前記識別センサをクリーニングするためのクリーニングシートを受け入れるモードであるクリーニングモードと、をとることができ、
前記制御部は、
前記クリーニングモードにおいて、前記クリーニングシートによる前記識別センサのクリーニングの後、クリーニングが十分であるか否かの判定を行い、
クリーニングが十分であると判定した場合は、前記クリーニングシートの返却位置を第1位置とし、
クリーニングが十分でないと判定した場合は、前記クリーニングシートの返却位置を前記第1位置とは異なる位置である第2位置とする制御を行う
紙幣識別装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紙幣識別装置であって、
前記第1位置における前記クリーニングシートのうち装置本体から露出する部分の割合 と、前記第2位置における前記クリーニングシートのうち装置本体から露出する部分の割合と、の差は、20%以上である
紙幣識別装置。
【請求項3】
請求項1に記載の紙幣識別装置であって、
前記第1位置は、前記クリーニングシートの全部が排出される位置であり、
前記第2位置は、前記クリーニングシートの一部が排出される位置である
紙幣識別装置。
【請求項4】
請求項1に記載の紙幣識別装置であって、
前記識別センサは、発光素子と受光素子とを有する光学センサであって、
前記制御部による前記クリーニングが十分であるか否かの判定は、前記受光素子の受光量が所定値以上であるか否かを判定することによりなされ、
前記制御部は、
前記受光量が前記所定値以上である場合は、クリーニングが十分であると判定し、
前記受光量が前記所定値未満である場合は、クリーニングが十分でないと判定する
紙幣識別装置。
【請求項5】
請求項1に記載の紙幣識別装置であって、
さらに、装置本体に開閉自在に取り付けられた紙幣収納部を備え、
前記通常モードと前記クリーニングモードとの切り替えは、前記紙幣収納部の開閉動作によってなされる
紙幣識別装置。
【請求項6】
請求項5に記載の紙幣識別装置であって、
前記通常モードから前記クリーニングモードへの切り替えは、前記紙幣収納部の開け、閉め、開けが所定時間内に行われることによってなされ、
前記クリーニングモードから前記通常モードへの切り替えは、前記紙幣収納部が閉じられることによってなされる
紙幣識別装置。
【請求項7】
紙幣を識別する識別センサと、
装置本体に開閉自在に取り付けられた紙幣収納部と、を備え、
紙幣を受け入れるモードである通常モードと、前記識別センサをクリーニングするためのクリーニングシートを受け入れるモードであるクリーニングモードと、をとることができ、
前記通常モードと前記クリーニングモードとの切り替えは、前記紙幣収納部の開閉動作によってなされる
紙幣識別装置。
【請求項8】
請求項7に記載の紙幣識別装置であって、
前記通常モードから前記クリーニングモードへの切り替えは、前記紙幣収納部が閉じられた後、所定時間内に前記紙幣収納部が開けられることによってなされ、
前記クリーニングモードから前記通常モードへの切り替えは、前記紙幣収納部が閉じられることによってなされる
紙幣識別装置。
【請求項9】
請求項7に記載の紙幣識別装置であって、
さらに、制御部を備え、
前記制御部は、
前記クリーニングモードにおいて、前記クリーニングシートによる前記識別センサのクリーニングの後、クリーニングが十分であるか否かの判定を行い、
クリーニングが十分であると判定した場合は、前記クリーニングシートの返却位置を第1位置とし、
クリーニングが十分でないと判定した場合は、前記クリーニングシートの返却位置を前記第1位置とは異なる位置である第2位置とする制御を行う
紙幣識別装置。
【請求項10】
請求項9に記載の紙幣識別装置であって、
前記第1位置における前記クリーニングシートのうち装置本体から露出する部分の割合 と、前記第2位置における前記クリーニングシートのうち装置本体から露出する部分の割合と、の差は、20%以上である
紙幣識別装置。
【請求項11】
請求項9に記載の紙幣識別装置であって、
前記第1位置は、前記クリーニングシートの全部が排出される位置であり、
前記第2位置は、前記クリーニングシートの一部が排出される位置である
紙幣識別装置。
【請求項12】
請求項9に記載の紙幣識別装置であって、
前記識別センサは、発光素子と受光素子とを有する光学センサであって、
前記制御部による前記クリーニングが十分であるか否かの判定は、前記受光素子の受光量が所定値以上であるか否かを判定することによりなされ、
前記制御部は、
前記受光量が前記所定値以上である場合は、クリーニングが十分であると判定し、
前記受光量が前記所定値未満である場合は、クリーニングが十分でないと判定する
紙幣識別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣識別装置は、紙幣を処理する装置であって、多くの場合、自動販売機、両替機、精算機、券売機、POSレジ、サービス機器等に接続又は搭載されて利用されている。このような紙幣識別装置は、その運用に伴って、紙幣を識別するための識別センサに汚れが蓄積し、その識別センサの感度が低下していくことになる。そのため、紙幣識別装置においては、その識別センサの定期的なクリーニングが必要となる。
【0003】
紙幣識別装置の識別センサのクリーニングについては、識別センサの汚れを取るためのクリーニングシートを用いる方法が知られている。この方法は、紙幣識別装置の紙幣挿入口にクリーニングシートを挿入し、そのクリーニングシートを、紙幣と同様に、識別センサまで搬送させて、そのクリーニングシートによって、識別センサの汚れを取るというものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-90321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の紙幣識別装置は、クリーニングシートのための特別な制御を組み込んでおらず、紙幣挿入口から挿入されたクリーニングシートを、紙幣と同じように搬送して、識別センサによって受け入れ可能な紙幣でないと判定されたところで、そのクリーニングシートを紙幣挿入口から返却するというものであった。そして、従来の紙幣識別装置においては、このクリーニングシートの挿入と返却とを繰り返すことによって、識別センサのクリーニングを行っていた。
【0006】
このように、従来の紙幣識別装置は、クリーニングシートの挿入と返却とを繰り返し行う必要があるものであった。また、そのクリーニングシートの挿入と返却とをどの程度繰り返せばよいのかの判断が困難であった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑み、効率的に識別センサをクリーニングできる紙幣識別装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の紙幣識別装置は、紙幣を識別する識別センサと、制御部と、を備え、紙幣を受け入れるモードである通常モードと、前記識別センサをクリーニングするためのクリーニングシートを受け入れるモードであるクリーニングモードと、をとることができ、前記制御部は、前記クリーニングモードにおいて、前記クリーニングシートによる前記識別センサのクリーニングの後、クリーニングが十分であるか否かの判定を行い、クリーニングが十分であると判定した場合は、前記クリーニングシートの返却位置を第1位置とし、クリーニングが十分でないと判定した場合は、前記クリーニングシートの返却位置を前記第1位置とは異なる位置である第2位置とする制御を行う。
【0009】
前記第1位置における前記クリーニングシートのうち装置本体から露出する部分の割合 と、前記第2位置における前記クリーニングシートのうち装置本体から露出する部分の割合と、の差は、20%以上であってもよい。または、前記第1位置は、前記クリーニングシートの全部が排出される位置であり、前記第2位置は、前記クリーニングシートの一部が排出される位置であってもよい。
【0010】
前記識別センサは、発光素子と受光素子とを有する光学センサであって、前記制御部による前記クリーニングが十分であるか否かの判定は、前記受光素子の受光量が所定値以上であるか否かを判定することによりなされ、前記制御部は、前記受光量が前記所定値以上である場合は、クリーニングが十分であると判定し、前記受光量が前記所定値未満である場合は、クリーニングが十分でないと判定してもよい。
【0011】
また、本発明の紙幣識別装置は、紙幣を識別する識別センサと、装置本体に開閉自在に取り付けられた紙幣収納部と、を備え、紙幣を受け入れるモードである通常モードと、前記識別センサをクリーニングするためのクリーニングシートを受け入れるモードであるクリーニングモードと、をとることができ、前記通常モードと前記クリーニングモードとの切り替えは、前記紙幣収納部の開閉動作によってなされる。前記通常モードから前記クリーニングモードへの切り替えは、前記紙幣収納部が閉じられた後、所定時間内に前記紙幣収納部が開けられることによってなされ、前記クリーニングモードから前記通常モードへの切り替えは、前記紙幣収納部が閉じられることによってなされてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の紙幣識別装置によれば、効率的に識別センサをクリーニングすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の紙幣識別装置の構成を示す縦断面図である。
図2A】本実施形態の紙幣識別装置の正面斜視図である。
図2B】本実施形態の紙幣識別装置の背面斜視図である。
図2C】本実施形態の紙幣識別装置の背面斜視図であって、紙幣収納部が開いている状態を示す。
図3】本実施形態の紙幣識別装置の識別センサ周辺の構成を示す縦断面図である。
図4A】識別センサの配置を示す縦断面図であり、図3のA-A断面を背面側から見たものである。
図4B】識別センサの配置を示す縦断面図であり、図3のA-A断面を正面側から見たものである。
図5】本実施形態の紙幣識別装置の紙幣収納部周辺の構成を示す縦断面図である。
図6A】紙幣収納部に紙幣を収納する方法を示す横断面図であり、図5のB-B断面を示す。
図6B図6Aに続く横断面図である。
図6C図6Bに続く横断面図である。
図7】本実施形態の紙幣識別装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図8】本実施形態の紙幣識別装置にクリーニングシートを挿入している状態を示す正面斜視図である。
図9A】クリーニングが十分であると判定された場合のクリーニングシートの返却位置の一例を示す正面斜視図である。
図9B】クリーニングが十分でないと判定された場合のクリーニングシートの返却位置の一例を示す正面斜視図である。
図10】本実施形態の紙幣識別装置のクリーニングモードにおける処理の流れの一例を示すフロー図である。
図11A】クリーニング動作の一例を示す縦断面図であり、挿入口にクリーニングシートが挿入されている状態を示す。
図11B図11Aに続く縦断面図であり、順方向クリーニング動作がなされている状態を示す。
図11C図11Bに続く縦断面図であり、クリーニングシートが順方向停止位置で停止している状態を示す。
図11D図11Cに続く縦断面図であり、逆方向クリーニング動作がなされている状態を示す。
図11E図11Dに続く縦断面図であり、クリーニングシートが逆方向停止位置で停止している状態を示す。
図12A】返却位置の一例を示す縦断面図であり、クリーニングシートがOK位置で停止している状態を示す。
図12B】返却位置の一例を示す縦断面図であり、クリーニングシートがNG位置で停止している状態を示す。
図13A】変形例の紙幣識別装置における、クリーニングが十分であると判定された場合のクリーニングシートの返却位置を示す正面斜視図である。
図13B】変形例の紙幣識別装置における、クリーニングが十分でないと判定された場合におけるクリーニングシートの返却位置を示す正面斜視図である。
図14A】変形例の紙幣識別装置における、返却位置を示す縦断面図であり、クリーニングシートがOK位置で停止している状態を示す。
図14B】変形例の紙幣識別装置における、返却位置を示す縦断面図であり、クリーニングシートがNG位置で停止している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。
【0015】
本実施形態の紙幣識別装置1は、クリーニングシート102を受け入れる際の制御に特徴を有するものである。
【0016】
まず、紙幣識別装置1の基本的構成について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態の紙幣識別装置1の構成を示す縦断面図である。図2Aは、本実施形態の紙幣識別装置1の正面斜視図である。図2Bは、本実施形態の紙幣識別装置1の背面斜視図である。図2Cは、本実施形態の紙幣識別装置1の背面斜視図であり、紙幣収納部6が開いている状態を示す。
【0018】
なお、本明細書においては、紙幣識別装置1の挿入口2が配置されている側(つまり、図1の左側)を正面側といい、その反対側(つまり、図1の右側)を背面側ということにする。
【0019】
紙幣識別装置1は、挿入口2と、搬送通路3と、搬送手段4と、識別センサ5と、紙幣収納部6と、入口センサ81と、開閉検知手段82と、引抜き検知手段83と、制御部9と、を備える。
【0020】
挿入口2は、紙幣101又はクリーニングシート102(以下、紙幣101とクリーニングシート102とを合わせて「紙幣等101、102」という。)が挿入される開口である。
【0021】
搬送通路3は、挿入口2に挿入された紙幣等101、102が搬送される通路である。搬送通路3は、挿入口2につながっている。
【0022】
搬送手段4は、紙幣等101、102を搬送通路3に沿って搬送するための手段である。搬送手段4は、搬送ベルト41と、駆動プーリ42と、従動プーリ43と、押圧ローラ44と、モータ45と、を有する。図1に示す例では、搬送手段4は、2つの従動プーリ43を有している。また、搬送手段4は、4つの押圧ローラ44を有している。
【0023】
モータ45は、その回転方向、回転角度及び回転速度を制御できるステッピングモータである。モータ45の回転方向は、モータ45に入力する回転方向信号によって制御される。具体的には、順方向に回転させる場合には、Highレベル信号を入力し、逆方向に回転させる場合には、Lowレベル信号を入力する。モータ45の回転角度は、モータ45に入力するパルス信号のパルス数によって制御される。具体的には、モータ45の回転角度は、パルス信号のパルス数に比例する。モータの回転速度は、モータ45に入力するパルス信号のパルス速度(パルス周波数)によって制御される。具体的には、モータ45の回転速度は、パルス信号のパルス速度に比例する。
【0024】
駆動プーリ42は、モータ45から伝達される駆動力によって回転する。搬送ベルト41は、駆動プーリ42と従動プーリ43とに巻き付けられている。搬送ベルト41は、駆動プーリ42の回転を受けて移動する。搬送ベルト41の移動方向は、モータ45に入力する回転方向信号によって制御される。搬送ベルト41の移動距離は、モータ45に入力するパルス信号のパルス数によって制御される。搬送ベルト41の速度は、モータ45に入力するパルス信号のパルス速度によって制御される。
【0025】
押圧ローラ44は、搬送ベルト41を挟んで駆動プーリ42又は従動プーリ43と対向して配置される。紙幣等101、102は、搬送ベルト41と押圧ローラ44とによって挟持されて搬送される。搬送ベルト41と押圧ローラ44とによって挟持された紙幣等101、102は、搬送ベルト41の移動に合わせて移動することになる。つまり、紙幣等101、102の搬送方向は、モータ45に入力する回転方向信号によって制御される。紙幣等101、102の搬送距離は、モータ45に入力するパルス信号のパルス数によって制御される。紙幣等101、102の搬送速度は、モータ45に入力するパルス信号のパルス速度によって制御される。
【0026】
なお、本実施形態のモータ45は、その回転方向、回転角度及び回転速度を、それぞれ、回転方向信号、パルス信号のパルス数及びパルス信号のパルス速度によって制御するステッピングモータであるが、本発明のモータ45は、これに限定されない。本発明のモータ45は、少なくとも、搬送ベルト41の移動方向、移動距離及び移動速度を制御できるものであればよい。例えば、モータ45として、DCモータを用いてもよい。この場合、搬送ベルト41の移動方向は、DCモータに入力する電流の方向によって制御される。また、搬送ベルト41の移動距離及び移動速度は、タコメータなどの測定器を用いたフィードバック制御によって制御される。
【0027】
識別センサ5は、紙幣101の種類及び真偽を識別するためのセンサである。識別センサ5は、搬送通路3の内壁面に配置される。
【0028】
図3は、本実施形態の紙幣識別装置1の識別センサ5周辺の構成を示す縦断面図である。図4Aは、識別センサ5の配置を示す縦断面図であり、図3のA-A断面を背面側から見たものである。図4Bは、識別センサ5の配置を示す縦断面図であり、図3のA-A断面を正面側から見たものである。
【0029】
紙幣識別装置1は、識別センサ5として、光学センサ51と、磁気センサ52と、を備える。光学センサ51は、発光素子51aと受光素子51bとを有する。発光素子51aと受光素子51bとは、搬送通路3を挟んで対向して配置される。磁気センサ52は、磁気ヘッド52aと押圧ローラ52bとを有する。磁気ヘッド52aと押圧ローラ52bとは、搬送通路3を挟んで対向して配置される。
【0030】
図4A及び図4Bに示す例では、3つの光学センサ51が、搬送通路3の内壁面に、紙幣等101、102の搬送方向R1と直交する方向に並んで配置されている。また、2つの磁気センサ52が、搬送通路3の内壁面に、搬送方向R1と直交する方向に並んで配置されている。
【0031】
紙幣収納部6は、紙幣101を収納する部分である。紙幣収納部6は、その下端部付近に装置本体との枢着部6aを有し、装置本体に対して、開閉自在に取り付けられている。
【0032】
図5は、本実施形態の紙幣識別装置1の紙幣収納部6周辺の構成を示す縦断面図である。図6A図6Cは、紙幣収納部6に紙幣101を収納する方法を示す横断面図であり、図5のB-B断面を示す。
【0033】
紙幣収納部6は、スタックプレート61と、スタックプレート61を搬送通路3側に向かって常時付勢する付勢部材62と、を有する。付勢部材62は、例えば、圧縮スプリングである。また、紙幣識別装置1は、搬送通路3を挟んで紙幣収納部6のスタックプレート61と対向する位置に配置された紙幣押圧板65を有する。
【0034】
図6A図6Cに示すとおり、紙幣識別装置1は、紙幣押圧板65を紙幣収納部6内に向けて移動させて、搬送通路3内の紙幣101をスタックプレート61上に押圧することによって、その紙幣101をスタックプレート61上に積層収納させる。
【0035】
入口センサ81は、搬送通路3内の挿入口2付近の領域における紙幣等101、102の存在を検知するためのセンサである。例えば、入口センサ81は、挿入口2への紙幣等101、102の挿入や、挿入口2からの紙幣等101、102の排出を検知できる。入口センサ81は、例えば、発光素子及び受光素子を有する光学センサによって構成される。
【0036】
開閉検知手段82は、紙幣収納部6の開閉を検知するための手段である。開閉検知手段82は、例えば、機械式スイッチ、光学センサ、近接センサなどにより構成される。図2Cに示す例では、開閉検知手段82は、紙幣収納部6が閉じているときは、紙幣収納部6から押圧されてONになり、紙幣収納部6が開いているときは、紙幣収納部6から解放されてOFFとなる、機械式スイッチによって構成されている。
【0037】
引抜き検知手段83は、紙幣等101、102の紙幣識別装置1からの引抜きを検知するための手段である。紙幣等101、102の搬送が停止している状態において、紙幣等101、102に引抜きの力が働くと、その引抜きの力が搬送ベルト41に伝わり、その搬送ベルト41が移動することになる。また、搬送ベルト41が移動すると、それに伴って、駆動プーリ42、従動プーリ43、押圧ローラ44及びモータ45も回転することになる。引抜き検知手段83は、これらの移動及び回転のうちの少なくとも1つを検知する手段によって構成できる。本実施形態の引抜き検知手段83は、モータ45の回転を検知するタコメータによって構成されている。
【0038】
制御部9は、紙幣識別装置1全体の動作を制御する。本明細書において、紙幣識別装置1によってなされると記載されている制御や処理などについては、紙幣識別装置1の制御部9によってなされているといえる。
【0039】
図7は、本実施形態の紙幣識別装置1の制御部9の構成を示すブロック図である。
【0040】
制御部9は、プロセッサ91と記憶部92とを有する。プロセッサ91は、記憶部92に記録されたプログラムに従って、紙幣識別装置1の動作を制御する。プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって構成される。記憶部92は、プロセッサ91が使用するプログラムや演算パラメータなどを記憶する。記憶部92は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などによって構成される。
【0041】
制御部9は、例えば、モータ45に回転方向信号及びパルス信号を入力することにより、紙幣等101、102の搬送方向、移動距離及び移動速度を制御する。また、制御部9は、識別センサ5の出力に基づいて、紙幣の種類及び真偽を判定する。また、制御部9は、識別センサ5の出力に基づいて、後述の識別センサ5のクリーニングが十分であるか否かの判定を行う。また、制御部9は、入口センサ81、開閉検知手段82及び引抜き検知手段83の出力を受けて、後述のクリーニングシート102を受け入れる際の紙幣識別装置1の動作を制御する。
【0042】
次に、本実施形態の紙幣識別装置1がクリーニングシート102を受け入れる際の制御について説明する。
【0043】
本実施形態の紙幣識別装置1は、紙幣101を受け入れるモードである通常状態と、識別センサ5をクリーニングするためのクリーニングシート102を受け入れるモードであるクリーニングモードと、をとることができるように構成されている。そして、この通常モードとクリーニングモードとの切り替えは、紙幣収納部6の開閉動作によってなされる。
【0044】
本実施形態の紙幣識別装置1は、通常モードからクリーニングモードへの切り替えが、開いた状態にある紙幣収納部6が閉じられた後、所定時間内に紙幣収納部6が開けられることによってなされるものとなっている。つまり、紙幣識別装置1は、通常モードにおいて、開閉検知手段82において、紙幣収納部6の閉めが検知された後、所定時間内に紙幣収納部6の開けが検知されたとき、クリーニングモードに切り替わる。この所定期間は、0.1秒以上、180秒以下が好ましい。好ましい所定時間の上限を比較的長い時間である180秒としているのは、オペレータが、紙幣収納部6から紙幣101を回収して、紙幣収納部6を閉じ、回収した紙幣101の確認や携帯容器への収納などの一定の作業を行った後、再び紙幣収納部6を開けて、クリーニングの作業を行うことが想定されるためである。
【0045】
また、紙幣識別装置1は、通常モードからクリーニングモードへの切り替えが、比較的短い時間として設定された所定時間内に紙幣収納部6の開け、閉め、開けの動作を行うことによってなされるものであってもよい。この場合、紙幣識別装置1は、通常モードにおいて、開閉検知手段82によって、所定時間内に紙幣収納部6の開け、閉め、開けが検知されたとき、クリーニングモードに切り替わる。この所定時間は、1秒以上、5秒以下であることが好ましい。
【0046】
紙幣識別装置1は、クリーニングモードにおいて、紙幣収納部6が常に開いた状態になっている。
【0047】
クリーニングモードから通常モードへの切り替えは、紙幣収納部6を閉じることによって行う。つまり、紙幣識別装置1は、クリーニングモードにおいて、開閉検知手段82によって、紙幣収納部6が閉じられたことが検知されたとき、通常モードに切り替わる。
【0048】
このように、本実施形態の紙幣識別装置1は、クリーニングモードをとることができるように構成されていることから、クリーニングのための特別な制御を行うことができるものとなっている。
【0049】
また、本実施形態の紙幣識別装置1は、通常モードとクリーニングモードとの切り替えが紙幣収納部6の開閉によってなされるものであることから、モード切替えのためのスイッチなどを設ける場合と比較して、簡易な構成のものとなっている。さらに、本実施形態の紙幣識別装置1は、通常モードとクリーニングモードとの切り替えが紙幣収納部6の開閉によってなされるものであることから、オペレータが識別センサ5のクリーニングと紙幣101の回収とを同時に行うことが可能なものとなっている。つまり、本実施形態の紙幣識別装置1は、識別センサ5のクリーニング及び紙幣101の回収の作業をオペレータが効率よく行えるものとなっている。
【0050】
また、本実施形態の紙幣識別装置1は、クリーニングモードから通常モードへの切り替えが紙幣収納部6を閉じることによってなされるものであることから、通常モードへの戻し忘れを防止できるものとなっている。
【0051】
図8は、本実施形態の紙幣識別装置1にクリーニングシート102を挿入している状態を示す正面斜視図である。図9Aは、クリーニングが十分であると判定された場合のクリーニングシート102の返却位置の一例を示す正面斜視図である。図9Bは、クリーニングが十分でないと判定された場合のクリーニングシート102の返却位置の一例を示す正面斜視図である。
【0052】
紙幣識別装置1は、クリーニングモードにおいてクリーニングシート102を受け入れると、クリーニングシート102によるクリーニングのための処理を行う。このクリーニングモードにおける処理の詳細については後述する。
【0053】
そして、紙幣識別装置1は、クリーニングシート102によるクリーニングの後、クリーニングが十分であるか否かの判定を行い、その結果に応じて、クリーニングシート102の返却時の最後の送り量を異なるものとなっている。言い換えると、紙幣識別装置1は、クリーニングシート102によるクリーニングの後、クリーニングが十分であるか否かの判定を行い、その結果に応じて、クリーニングシート102の返却位置が異なるものとなっている。
【0054】
ここで、返却位置とは、紙幣識別装置1がクリーニングシート102の返却動作においてクリーニングシート102を停止させる位置である。本明細書では、クリーニングが十分である場合の返却位置として設定される位置を「OK位置」といい、クリーニングが十分でない場合の返却位置として設定される位置を「NG位置」ということとする。
【0055】
図9A及び図9Bに示すとおり、本実施形態の紙幣識別装置1において、OK位置は、クリーニングシート102の全部が排出される位置に設定され、NG位置は、クリーニングシート102の全部が排出されず、クリーニングシート102の一部が排出される位置に設定されている。
【0056】
このように、本実施形態の紙幣識別装置1は、クリーニングシート102の返却位置によって、クリーニングが十分であるか否かをオペレータに認識させるものとなっている。クリーニングが十分でない場合には、オペレータは、再度、クリーニングシート102を紙幣識別装置1の挿入口2に挿入して、識別センサ5のクリーニングを行うことになる。
【0057】
また、本実施形態の紙幣識別装置1は、NG位置で停止しているクリーニングシート102をオペレータが引き抜くとき、その引抜きをアシストする制御を行うものとなっている。具体的には、紙幣識別装置1は、クリーニングシート102の返却動作の後、引抜き検知手段83がクリーニングシート102の引抜きを検知すると、搬送手段4によって、クリーニングシート102を引抜き方向へ搬送する制御を行うものとなっている。
【0058】
上述のとおり、本実施形態の紙幣識別装置1においては、クリーニングシート102の返却時のOK位置が、クリーニングシート102の全部が排出される位置となっており、NG位置が、クリーニングシート102の一部が排出される位置となっている。しかし、本発明のOK位置及びNG位置は、これに限定されず、両者の違いを認識できるものであればよい。
【0059】
例えば、本実施形態の紙幣識別装置1とは逆に、OK位置を、クリーニングシート102の一部が排出される位置とし、NG位置を、クリーニングシート102の全部が排出される位置としてもよい。ただし、クリーニングシート102の返却位置がNG位置となる頻度よりも、OK位置となる頻度の方が多いと想定されることから、OK位置を、クリーニングシート102の全部が排出される位置とし、NG位置を、クリーニングシート102の一部が排出される位置とするのが好ましい。
【0060】
また、本発明のOK位置は、クリーニングシート102の全部が排出される位置でなくてもよい。ただし、クリーニングシート102の取り出しの容易性や、制御の簡易性の観点から、OK位置は、クリーニングシート102の全部が排出される位置とするのが好ましい。なお、クリーニングシート102の全部が排出される位置とは、クリーニングシート102が挿入口2から完全に排出される位置を意味するのではなく、クリーニングシート102の後端が搬送ベルト41から外れた状態にある位置を意味する(図12A参照)。
【0061】
OK位置とNG位置との違いの視認性の観点から、OK位置におけるクリーニングシート102のうち装置本体から露出する部分の割合と、NG位置におけるクリーニングシート102のうち装置本体から露出する部分の割合と、の差は、20%以上であることが好ましい。また、OK位置におけるクリーニングシート102のうち装置本体から露出する部分の割合は、70%以上であり、NG位置におけるクリーニングシート102のうち装置本体から露出する部分の割合は、50%以下であるのがさらに好ましい。ここで、クリーニングシート102のうち装置本体から露出する部分とは、紙幣識別装置1の外部から視認できる部分をいう。
【0062】
クリーニングが十分であるか否かの判定は、識別センサ5の感度が所定レベル以上であるか否かによって行われる。具体的には、識別センサ5の感度が所定レベル以上である場合に、クリーニングが十分であると判定し、識別センサ5の感度が所定レベル未満である場合に、クリーニングが十分でないと判定する。本実施形態の紙幣識別装置1においては、光学センサ51の受光素子51bの受光量が所定値以上である場合に、クリーニングが十分であると判定し、その受光量が所定値未満である場合に、クリーニングが十分でないと判定する。この受光量の所定値については、光学センサ51の性質などに応じて、適宜設定される。また、この所定値は、受光量の値として設定されてもよいし、光学センサ51の出力電圧又は出力電流の値として設定されてもよい。
【0063】
次に、クリーニングモードにおける処理の詳細について説明する。
【0064】
図10は、本実施形態の紙幣識別装置1のクリーニングモードにおける処理の流れの一例を示すフロー図である。図11A図11Eは、クリーニング動作の一例を示す縦断面図である。図12A及び図12Bは、返却位置の一例を示す縦断面図である。
【0065】
本明細書では、搬送通路3に沿って挿入口2から識別センサ5へ向かう方向を順方向といい、その逆の、識別センサ5から挿入口2へ向かう方向を逆方向ということにする。
【0066】
まず、紙幣識別装置1は、クリーニングモードにおいて、クリーニングシート102が挿入口2に挿入されて(図11A参照)、入口センサ81がクリーニングシート102の挿入を検知すると(S1)、往復回数の値を0に設定する(S2)。この往復回数は、クリーニングシート102の往復回数を記憶するために導入された変数である。この往復回数は、制御部9の記憶部92に記憶される(図7参照)。
【0067】
次に、紙幣識別装置1は、クリーニングシート102を、識別センサ5のクリーニングに適した搬送速度で、順方向に搬送する順方向クリーニング動作を行い(図11B参照)、クリーニングシート102を順方向停止位置で停止させる(図11C参照)(S3)。この順方向クリーニング動作によって、識別センサ5がクリーニングされる。
【0068】
ここで、順方向停止位置とは、順方向クリーニング動作においてクリーニングシート102を停止させる位置として設定された位置をいう。この順方向停止位置は、次に識別センサ5の感度レベルの判定を行うことから、クリーニングシート102が識別センサ5を完全に通過した位置に設定される。
【0069】
次に、紙幣識別装置1は、識別センサ5の感度レベルが所定レベル以上であるか否かの判定を行う(S4)。この所定レベルは、判定のために予め設定された定数である。この所定レベルは、制御部9の記憶部92に記憶されている。前述のとおり、本実施形態の紙幣識別装置1においては、感度レベルが所定レベル以上であるか否かを、光学センサ51の受光素子51bの受光量が所定値以上であるか否かによって判定する。そのため、本実施形態の紙幣識別装置1においては、受光量の所定値が、所定レベルとして、制御部9の記憶部に記憶されている。
【0070】
識別センサ5の感度レベルの判定において、識別センサ5の感度レベルが所定レベル以上であると判定した場合、紙幣識別装置1は、クリーニングシート102を返却する返却動作を行い、クリーニングシート102をOK位置で停止させて(図12A参照)(S5)、クリーニングの処理を終了する。なお、設定されたOK位置が、クリーニングシート102の全部が排出される位置でない場合、後述の引抜きを検知した後の引抜きアシストの処理(S10、S11)を行った上で、クリーニングの処理を終了する(図10の破線矢印を参照)。
【0071】
識別センサ5の感度レベルの判定(S4)において、識別センサ5の感度レベルが所定レベル未満であると判定した場合、往復回数が所定回数以上であるか否かの判定を行う(S6)。この所定回数は、後述の逆方向クリーニング動作及び順方向クリーニング動作の繰り返しによってクリーニングシート102を往復させる回数の上限として予め設定された定数である。この所定回数は、オペレータの許容できる待機時間などの観点から、1回以上、10回以下とするのが好ましい。この所定回数は、制御部9の記憶部92に記憶されている。
【0072】
往復回数の判定(S4)において、往復回数が所定回数未満であると判定された場合、紙幣識別装置1は、クリーニングシート102を、識別センサ5のクリーニングに適した搬送速度で、逆方向に搬送する逆方向クリーニング動作を行い(図11D参照)、クリーニングシート102を逆方向停止位置で停止させる(図11E参照)(S7)。この逆方向クリーニング動作によって、識別センサ5がクリーニングされる。
【0073】
逆方向停止位置とは、逆方向クリーニング動作においてクリーニングシート102を停止させる位置として設定された位置をいう。この逆方向停止位置は、識別センサ5のクリーニングを効率的に行う観点から、クリーニングシート102が識別センサ5を完全に通過した位置に設定されることが好ましい。
【0074】
この逆方向クリーニング動作の後、往復回数に1を加算して(S8)、前述の順方向クリーニング動作(S3)を行い、前述の識別センサ5の感度レベルの判定(S4)に戻ることになる。
【0075】
往復回数の判定(S6)において、往復回数が所定回数以上であると判定された場合、紙幣識別装置1は、クリーニングシート102を返却する返却動作を行い、クリーニングシート102をNG位置で停止させる(図12B参照)(S9)
【0076】
クリーニングシート102がNG位置で停止した状態において、引抜き検知手段83がクリーニングシート102の引抜きを検知すると(S10)、紙幣識別装置1は、クリーニングシート102の引抜きをアシストする処理を行い(S11)、クリーニングの処理を終了する。この引抜きをアシストする処理は、搬送手段4によって、クリーニングシート102を引抜き方向へ搬送する制御を行うものとなっている。
【0077】
以上をまとめると、本実施形態の紙幣識別装置1は、識別センサ5と、制御部9と、を備え、紙幣101を受け入れるモードである通常モードと、クリーニングシート102を受け入れるモードであるクリーニングモードと、をとることができ、制御部9は、クリーニングモードにおいて、クリーニングシート102による識別センサ5のクリーニングの後、クリーニングが十分であるか否かの判定を行い、クリーニングが十分であると判定した場合は、クリーニングシート102の返却位置をOK位置(第1位置)とし、クリーニングが十分でないと判定した場合は、クリーニングシート102の返却位置をNG位置(第2位置)とする制御を行うものである。
【0078】
このような紙幣識別装置1は、識別センサ5のクリーニングを効率的に行うことでできるとともに、さらなるクリーニングが必要であるか否かを、オペレータに容易に認識させることができる。
【0079】
また、本実施形態の紙幣識別装置1は、識別センサ5と、装置本体に開閉自在に取り付けられた紙幣収納部6と、を備え、紙幣101を受け入れるモードである通常モードと、クリーニングシート102を受け入れるモードであるクリーニングモードと、をとることができ、その通常モードとクリーニングモードとの切り替えが、紙幣収納部6の開閉動作によってなされるものである。
【0080】
このような紙幣識別装置1は、識別センサ5のクリーニング及び紙幣101の回収の作業をオペレータに効率よく行わせることができる。
【0081】
次に、変形例の紙幣識別装置1について説明する
【0082】
図13Aは、変形例の紙幣識別装置1における、クリーニングが十分であると判定された場合のクリーニングシート102の返却位置を示す正面斜視図である。図13Bは、変形例の紙幣識別装置1における、クリーニングが十分でないと判定された場合におけるクリーニングシート102の返却位置を示す正面斜視図である。また、図14Aは、変形例の紙幣識別装置1における、返却動作後の停止位置を示す縦断面図であり、クリーニングシート102がOK位置で停止している状態を示す。図14Bは、変形例の紙幣識別装置1における、返却動作後の停止位置を示す縦断面図であり、クリーニングシート102がNG位置で停止している状態を示す。
【0083】
変形例の紙幣識別装置1は、識別センサ5のクリーニングの後に、クリーニングシート102を、挿入口2側ではなく、紙幣収納部6側に返却するものとなっている。その他の構成は、本実施形態の紙幣識別装置1と同じである。
【0084】
図12A図14Bに示すとおり、変形例の紙幣識別装置1において、クリーニングシート102返却時のOK位置は、紙幣収納部6側に、クリーニングシート102の全部が排出される位置となっており、NG位置は、紙幣収納部6側に、クリーニングシート102の一部が排出される位置となっている。
【0085】
このように、変形例の紙幣識別装置1においても、本実施形態の紙幣識別装置1と同様、クリーニングシート102の返却位置によって、オペレータにクリーニングが十分であるか否かを認識させるものとなっている。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の紙幣識別装置は上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の紙幣識別装置は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加を行うことができる。
【0087】
なお、本発明は、以下のような構成をとることも可能である。
[項目1]
紙幣を識別する識別センサと、制御部と、を備え、
紙幣を受け入れるモードである通常モードと、前記識別センサをクリーニングするためのクリーニングシートを受け入れるモードであるクリーニングモードと、をとることができ、
前記制御部は、
前記クリーニングモードにおいて、前記クリーニングシートによる前記識別センサのクリーニングの後、クリーニングが十分であるか否かの判定を行い、
クリーニングが十分であると判定した場合は、前記クリーニングシートの返却位置を第1位置とし、
クリーニングが十分でないと判定した場合は、前記クリーニングシートの返却位置を前記第1位置とは異なる位置である第2位置とする制御を行う
紙幣識別装置。
[項目2]
項目1に記載の紙幣識別装置であって、
前記第1位置における前記クリーニングシートのうち装置本体から露出する部分の割合 と、前記第2位置における前記クリーニングシートのうち装置本体から露出する部分の割合と、の差は、20%以上である
紙幣識別装置。
[項目3]
項目1又は2に記載の紙幣識別装置であって、
前記第1位置は、前記クリーニングシートの全部が排出される位置であり、
前記第2位置は、前記クリーニングシートの一部が排出される位置である
紙幣識別装置。
[項目4]
項目1から3のいずれか1つに記載の紙幣識別装置であって、
前記識別センサは、発光素子と受光素子とを有する光学センサであって、
前記制御部による前記クリーニングが十分であるか否かの判定は、前記受光素子の受光量が所定値以上であるか否かを判定することによりなされ、
前記制御部は、
前記受光量が前記所定値以上である場合は、クリーニングが十分であると判定し、
前記受光量が前記所定値未満である場合は、クリーニングが十分でないと判定する
紙幣識別装置。
[項目5]
項目1から4のいずれか1つに記載の紙幣識別装置であって、
さらに、装置本体に開閉自在に取り付けられた紙幣収納部を備え、
前記通常モードと前記クリーニングモードとの切り替えは、前記紙幣収納部の開閉動作によってなされる
紙幣識別装置。
[項目6]
項目5に記載の紙幣識別装置であって、
前記通常モードから前記クリーニングモードへの切り替えは、前記紙幣収納部の開け、閉め、開けが所定時間内に行われることによってなされ、
前記クリーニングモードから前記通常モードへの切り替えは、前記紙幣収納部が閉じられることによってなされる
紙幣識別装置。
[項目7]
紙幣を識別する識別センサと、
装置本体に開閉自在に取り付けられた紙幣収納部と、を備え、
紙幣を受け入れるモードである通常モードと、前記識別センサをクリーニングするためのクリーニングシートを受け入れるモードであるクリーニングモードと、をとることができ、
前記通常モードと前記クリーニングモードとの切り替えは、前記紙幣収納部の開閉動作によってなされる
紙幣識別装置。
[項目8]
項目7に記載の紙幣識別装置であって、
前記通常モードから前記クリーニングモードへの切り替えは、前記紙幣収納部が閉じられた後、所定時間内に前記紙幣収納部が開けられることによってなされ、
前記クリーニングモードから前記通常モードへの切り替えは、前記紙幣収納部が閉じられることによってなされる
紙幣識別装置。
[項目9]
項目7又は8に記載の紙幣識別装置であって、
さらに、制御部を備え、
前記制御部は、
前記クリーニングモードにおいて、前記クリーニングシートによる前記識別センサのクリーニングの後、クリーニングが十分であるか否かの判定を行い、
クリーニングが十分であると判定した場合は、前記クリーニングシートの返却位置を第1位置とし、
クリーニングが十分でないと判定した場合は、前記クリーニングシートの返却位置を前記第1位置とは異なる位置である第2位置とする制御を行う
紙幣識別装置。
[項目10]
項目9に記載の紙幣識別装置であって、
前記第1位置における前記クリーニングシートのうち装置本体から露出する部分の割合 と、前記第2位置における前記クリーニングシートのうち装置本体から露出する部分の割合と、の差は、20%以上である
紙幣識別装置。
[項目11]
項目9又は10に記載の紙幣識別装置であって、
前記第1位置は、前記クリーニングシートの全部が排出される位置であり、
前記第2位置は、前記クリーニングシートの一部が排出される位置である
紙幣識別装置。
[項目12]
項目9から11のいずれか1つに記載の紙幣識別装置であって、
前記識別センサは、発光素子と受光素子とを有する光学センサであって、
前記制御部による前記クリーニングが十分であるか否かの判定は、前記受光素子の受光量が所定値以上であるか否かを判定することによりなされ、
前記制御部は、
前記受光量が前記所定値以上である場合は、クリーニングが十分であると判定し、
前記受光量が前記所定値未満である場合は、クリーニングが十分でないと判定する
紙幣識別装置。
【符号の説明】
【0088】
1 紙幣識別装置
2 挿入口
3 搬送通路
4 搬送手段
41 搬送ベルト
42 駆動プーリ
43 従動プーリ
44 押圧ローラ
45 モータ
5 識別センサ
51 光学センサ
51a 発光素子
51b 受光素子
52 磁気センサ
52a 磁気ヘッド
52b 押圧ローラ
6 紙幣収納部
6a 枢着部
61 スタックプレート
62 付勢部材
65 紙幣押圧板
9 制御部
91 プロセッサ
92 記憶部
81 入口センサ
82 開閉検知手段
83 引抜き検知手段
101 紙幣
102 クリーニングシート
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B