(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050987
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】薬剤払出し装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240403BHJP
B65B 1/30 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
A61J3/00 310E
B65B1/30 B
B65B1/30 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024024369
(22)【出願日】2024-02-21
(62)【分割の表示】P 2021156687の分割
【原出願日】2013-09-18
(31)【優先権主張番号】P 2012206146
(32)【優先日】2012-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】吉名 克憲
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 千晴
(72)【発明者】
【氏名】竹田 仲治
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 高志
(72)【発明者】
【氏名】小田 智生
(57)【要約】
【課題】 散薬を量り出す作業をより高度に自動化することができる薬剤フィーダを開発することを課題とする。
【解決手段】 薬剤フィーダは、薬剤容器2Cと、本体装置3によって構成されている。本体装置3は、上から振動台、加振手段、中間台、防振台、重量測定手段及び基礎部材によって構成されている。薬剤容器2Cを移動し、本体装置3に載置して振動台に内蔵された電磁石に通電する。そして振動台を振動させて散薬を排出させる。振動台に設置直後の薬剤容器2Cの原重量Gと、現重量gとを比較し、散薬の落下量H(Gマイナスg)を常時演算する。そして散薬の落下量Hが所望の重量となったところで、振動台の振動を停止する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤容器収容棚と、薬剤容器投入口と、薬剤フィーダと、薬剤容器移動装置と、制御装置とを備えた薬剤払出し装置であって、
薬剤容器収容棚は、薬剤払出し装置の内部に設けられ、
薬剤容器収容棚には、第一の薬剤容器が配置され、
薬剤容器投入口は、薬剤払出装置の外壁に設けられており、
薬剤容器投入口には、薬剤排出部を有し、2面開放型であり、水平姿勢とした際に天面に相当する部位が大きく開放されたものであるか、または水平姿勢とした際に上面に開口が設けられた第二の薬剤容器が配置可能であり、
前記第二の薬剤容器に投入する薬剤は、錠剤又はカプセルを潰した薬剤であり、
薬剤フィーダは、本体装置を含み、
本体装置は、振動台と、振動台を振動させる加振手段と、前記第一の薬剤容器または前記第二の薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、
制御装置は、自動で、薬剤容器移動装置により前記第一の薬剤容器を、薬剤容器収容棚から振動台に搬送して載置し、重量測定手段を用いて、加振手段で振動台を振動させて振動台に載置された前記第一の薬剤容器から処方情報に基づいた量の薬剤を払い出す動作と、
手動で前記第二の薬剤容器が薬剤容器投入口にセットされると、薬剤容器移動装置により薬剤容器投入口にセットされた前記第二の薬剤容器を薬剤容器投入口から振動台に搬送して載置し、加振手段で振動台を振動させて振動台に載置された前記第二の薬剤容器から処方情報に基づいた量の薬剤を払い出す動作とを行う薬剤払出し装置。
【請求項2】
前記重量測定手段によって、前記第一の薬剤容器または前記第二の薬剤容器の原重量を測定するとともに記憶し、前記第一の薬剤容器または前記第二の薬剤容器の現重量を監視し、前記振動台の振動を開始するとともに前記第一の薬剤容器または前記第二の薬剤容器の原重量と現重量の差が所望する払出し量に達すれば、前記重量測定手段によって前記振動台の振動を停止させる計量機能を備えた請求項1に記載の薬剤払出し装置。
【請求項3】
本体装置は、容器保持手段をさらに有し、
容器保持手段により、前記第一の薬剤容器または前記第二の薬剤容器は、前記振動台に一時的に固定される請求項1又は2に記載の薬剤払出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を所定量計量して取り出す薬剤フィーダに関するものである。本発明の薬剤フィーダは、散薬を分配する散薬分配装置に対して散薬を供給する装置として好適に使用される。また本発明の薬剤フィーダは、散薬を前記散薬分配装置で分配し、さらにこれを個別に包装する機能を備えた散薬分包装置に内蔵される装置として好適である。
また本発明は、薬剤フィーダを内蔵した薬剤払出し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大病院や、大規模の薬局では、散薬分包装置や散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置が導入されている。ここで散薬分包装置とは、散薬等を一服用分ずつ個別に包装する装置である。散薬分包装置を使用すれば、散薬等を一服用分ずつ包装する作業の大半を自動化することができる。
特許文献1に開示された散薬分包装置200は、散薬を一服用分ずつ個別に包装する装置であり、
図49の様に、内部に薬剤供給装置201と、散薬分配装置202と、薬剤包装装置203とを有している。
特許文献1に開示された薬剤供給装置201は、
図49、
図50の様に、投入ホッパ205と、粉体フィーダ206とによって構成されている。
粉体フィーダ206は、
図50に示す様に、トラフ210の下に2枚の圧電素子207,208が設けられており、トラフ210を振動させるものである。
【0003】
散薬分配装置202は、
図49の様に、分配皿212と、掻出装置215によって構成されている。分配皿212は、断面が円弧状であって、平面視が環状の溝216を有している。分配皿212は、モータ219によって一定の速度で回転される。
掻出装置215は、昇降及び回転するディスク217を有し、当該ディスク217に掻き板218が設けられたものである。
【0004】
薬剤包装装置203は、
図49の様に包装用ホッパ220と、包装装置221によって構成されている。
【0005】
次に、散薬分包装置200を使用して散薬を分包する場合の手順について説明する。
散薬を分包する作業は、医師の処方箋に従い、薬剤師が散薬分包装置200を操作して行う。即ち薬剤師は、医師の処方箋を確認し、図示しない薬棚から、処方された散薬が入った薬瓶を取り出す。そして天秤等の秤を使用して処方された特定の散薬の総重量を量り出す。
即ち、一日3回服用する散薬であり、1回あたり、1.0グラム処方され、且つ20日分の薬剤が処方されている場合には、(1.0×3×20=60)グラムの散薬が、取り出される。より具体的には、秤に容器をおいて風袋引きを行い、薬さじを使用して薬瓶から散薬を取り出し、秤上の容器に散薬を入れ、60グラムの散薬を量り出す。
【0006】
そして量り出された60グラムの散薬が、薬剤供給装置201の投入ホッパ205に投入される。
また同時に、粉体フィーダ206の圧電素子207,208(
図50)に通電してトラフ210を振動させ、さらに、分配皿212を毎分20乃至30回転程度で回転させる。
投入ホッパ205に投入された散薬は、投入ホッパ205の下端の開口から粉体フィーダ206のトラフ210に落ちる。そしてトラフ210が振動することによって、散薬は、ゆっくりと先端側に移動し、整流される。またトラフ210上を移動する内に、整流が進み、薬剤の流れは層流状態となる。即ち流れに対して直交する方向の断面における薬剤の分布が一定となり、かつ単位時間当たりに薬剤が進行する距離も一定となる。その結果、60グラムの散薬は均一に分散され、また時間あたり一定の速度でゆっくりと先端側に向かって移動する。
そして遂には、先頭を移動する散薬がトラフ210の先端に至り、先頭を移動する散薬が、トラフ210の先端から分配皿212の溝216に落下する。また後に続く散薬は、時間あたり一定の量だけ分配皿212に落下してゆくこととなる。そして遂には最後尾の散薬が、分配皿212に落下し、60グラム全ての散薬が、溝216内に入る。
【0007】
一方、分配皿212は、所定の速度で回転しているので、トラフ210から落下する散薬は、分配皿212の溝216に均等に分散される。
即ち粉体フィーダ206によって、散薬が少しずつ分配皿212に落下し、かつ分配皿212は一定速度で回転するので、散薬は、分配皿212の溝216に均等に分散される。
【0008】
分配皿212に対する散薬の落下が終了すると、一旦、分配皿212の回転を停止する。そしてその後に、掻き出し装置215のディスク217を分配皿212の溝216内に落とす。さらにその後、分配皿212を分配個数に応じた角度だけ回転させる。先の例で説明すると、60グラムの散薬を60包に分包するから、(60/360)度だけ分配皿212を回転し、(60/360)度分だけ散薬をディスク217の前面側に集める。そしてディスク217を回転し、掻き板218によって(60/360)度分の散薬を分配皿212の外に掻き出して、包装用ホッパ220に投入する。包装用ホッパ220から落下した散薬は、包装装置221で包装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示された散薬分包装置200を使用すると、散薬を一服用分ずつ包装する作業の大半を自動化することができる。
しかしながら、従来技術の散薬分包装置200は、人手に頼らざるを得ない工程が残っており、散薬の分包を完全に自動化できる装置であるとは言いがたい。
即ち従来技術の散薬分包装置200は、薬剤師が薬棚から所望の散薬が入った薬瓶を取り出し、その薬瓶から所定量の散薬を量り出す作業が必須である。
【0011】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、散薬を量り出す作業をより高度に自動化することができる薬剤フィーダを開発することを課題とするものである。
また、自動化することが難しい薬剤にも対応できる薬剤払出し装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するための一つの態様は、薬剤容器収容棚と、薬剤容器投入口と、薬剤フィーダと、薬剤容器移動装置と、制御装置とを備えた薬剤払出し装置であって、薬剤容器収容棚は、薬剤払出し装置の内部に設けられ、薬剤容器収容棚には、第一の薬剤容器が配置され、薬剤容器投入口は、薬剤払出装置の外壁に設けられており、薬剤容器投入口には、薬剤排出部を有し、2面開放型であり、水平姿勢とした際に天面に相当する部位が大きく開放されたものであるか、または水平姿勢とした際に上面に開口が設けられた第二の薬剤容器が配置可能であり、前記第二の薬剤容器に投入する薬剤は、錠剤又はカプセルを潰した薬剤であり、薬剤フィーダは、本体装置を含み、本体装置は、振動台と、振動台を振動させる加振手段と、前記第一の薬剤容器または前記第二の薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、制御装置は、自動で、薬剤容器移動装置により前記第一の薬剤容器を、薬剤容器収容棚から振動台に搬送して載置し、重量測定手段を用いて、加振手段で振動台を振動させて振動台に載置された前記第一の薬剤容器から処方情報に基づいた量の薬剤を払い出す動作と、手動で前記第二の薬剤容器が薬剤容器投入口にセットされると、薬剤容器移動装置により薬剤容器投入口にセットされた前記第二の薬剤容器を薬剤容器投入口から振動台に搬送して載置し、加振手段で振動台を振動させて振動台に載置された前記第二の薬剤容器から処方情報に基づいた量の薬剤を払い出す動作とを行う薬剤払出し装置である。
好ましい態様は、前記重量測定手段によって、前記第一の薬剤容器または前記第二の薬剤容器の原重量を測定するとともに記憶し、前記第一の薬剤容器または前記第二の薬剤容器の現重量を監視し、前記振動台の振動を開始するとともに前記第一の薬剤容器または前記第二の薬剤容器の原重量と現重量の差が所望する払出し量に達すれば、前記重量測定手段によって前記振動台の振動を停止させる計量機能を備えた薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、本体装置は、容器保持手段をさらに有し、容器保持手段により、前記第一の薬剤容器または前記第二の薬剤容器は、前記振動台に一時的に固定される薬剤払出し装置である。
上記した課題を解決するための別の態様は、薬剤容器と、本体装置によって構成される薬剤フィーダであって、前記薬剤容器は、本体装置に対して着脱自在であり、前記薬剤容器には当該薬剤容器から外部に薬剤を排出する薬剤排出部があり、前記薬剤排出部を開閉可能であり、本体装置は、振動台と、振動台を振動させる加振手段と、振動台に薬剤容器を一時的に固定する容器保持手段と、薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、薬剤容器を振動台に載置し、容器保持手段で薬剤容器を振動台に固定し、振動台を振動させて前記薬剤排出部から薬剤を少量ずつ排出し、重量測定手段によって薬剤の排出量を検知することが可能であることを特徴とする薬剤フィーダである。
薬剤容器は可動蓋部を有し、前記可動蓋部は前記薬剤排出部を閉じた状態と開いた状態に維持することが可能であることが望ましい。
【0013】
本態様の薬剤フィーダでは、振動台に薬剤容器を固定し、薬剤容器を振動台に直接接触させる。この状態で振動台を振動させることによって、薬剤容器の全体または一部を振動させることができる。そのため薬剤容器内の薬剤はゆっくりと薬剤排出部側に移動し、薬剤は整流されて流れが層流化し、薬剤排出部から排出される。
また本発明の薬剤フィーダには、重量測定手段が装備されているから、薬剤の排出量を検知することができ、散薬等を量り出す作業を自動化することができる。
【0014】
薬剤フィーダは、振動台に薬剤容器が接触しているか否かを検出する接触センサーが複数設けられたものであることが望ましい。
【0015】
本態様の薬剤フィーダでは、振動台に薬剤容器が接触しているか否かを検出する接触センサーが複数設けられているから、振動台に対する薬剤容器の姿勢を確認することができる。そのため本発明の薬剤フィーダは、振動台に対する薬剤容器の姿勢のばらつきを一定範囲内に収めることができる。
即ち本態様の薬剤フィーダは、薬剤容器を振動台に直接接触させ、振動台を振動させることによって、薬剤容器を振動させて薬剤を移動させるものであるから、薬剤容器の姿勢は、一定の許容範囲内でなければならない。
例えば、振動によって薬剤容器から単位時間あたり一定量の薬剤を排出させるためには、薬剤容器は水平姿勢であることが望ましい。仮に薬剤容器の薬剤排出部側が上方に傾斜した姿勢で薬剤容器が振動台に取り付けられたと仮定すると、振動を与えても薬剤は薬剤排出部側に移動しにくい。
また仮に薬剤容器の軸線と、振動台の中心線がずれていたり、交差する様な姿勢であるならば、振動によって薬剤を移動させた際に、薬剤が層流状態とはならず、乱流状態となってしまう。即ち振動台が薬剤を移動させようとする方向と、薬剤容器の周壁によって規制される散薬等の流路の方向が異なることとなり、流れ方向に交差する断面における薬剤の分布がばらついてしまう。
これに対して本態様では、振動台に対する薬剤容器の姿勢のばらつきを一定範囲内に収めることができるので、流れ方向に交差する断面における薬剤の分布が一様となる。そのため本発明によると、薬剤の移動が整流されやすく、層流状態となりやすい。そのため本態様の薬剤フィーダによると、単位時間あたりの排出量のばらつきが小さい。
【0016】
薬剤フィーダは、薬剤容器は一部又は全部が磁性体であり、容器保持手段は磁石を有したものであることが望ましい。
磁石は、電磁石であることが望ましい。
【0017】
本態様では、容器保持手段に電磁石が採用されている。そのため電磁石に通電するだけで薬剤容器を吸着して振動台に保持することができる。また電磁石に対する通電を停止すると、薬剤容器を振動台から離すことができる。
【0018】
磁石は振動台に設けられており、振動台と磁石との間には弾性部材があり、薬剤容器が磁石に吸着された際には磁石の吸着力によって磁石が振動台に対して相対移動し、磁石と薬剤容器及び振動台と薬剤容器が当接することが望ましい。
磁石は電磁石であることが望ましい。
【0019】
本発明の薬剤フィーダでは、薬剤容器が電磁石等に吸着された際に電磁石等の吸着力によって電磁石等が振動台に対して相対移動し、電磁石等と薬剤容器及び振動台と薬剤容器が当接することができる。そのため本発明の薬剤フィーダでは、振動台と薬剤容器との密着性が高く、振動台の振動を正確に薬剤容器に伝えることができる。
【0020】
薬剤容器は一部又は全部が磁性体であり、容器保持手段は永久磁石と電磁石とを有し、少なくとも永久磁石の磁力によって薬剤容器を振動台に固定し、電磁石に通電して永久磁石の磁力を打ち消す磁力を発生させることによって薬剤容器の振動台に対する固定を解除する構成の薬剤フィーダであることが推奨される。
【0021】
本態様の薬剤フィーダは、容器保持手段が永久磁石と電磁石とを有し、少なくとも永久磁石の磁力によって薬剤容器を振動台に固定するものである。そのため薬剤容器が本体装置に装着された状態において、電磁石に対する通電量が少ない。仮に永久磁石の磁力のみによって薬剤容器を振動台に固定する構成を採用する場合であれば、薬剤容器を振動台に固定している間に、電磁石に対して通電する必要はない。そのため、電磁石が発熱せず、薬剤容器内の薬剤が加熱されることはない。また薬剤容器を振動台に固定している間、電磁石に対して通電する必要がないから、消費電力が小さい。そのため薬剤フィーダ全体でも消費電力が小さく、発熱が少ないから薬剤に影響を与えにくい。
【0022】
薬剤フィーダは、本体装置を冷却する冷却手段を備えていることが望ましい。
【0023】
薬剤フィーダは、防振台を有し、加振手段と防振台との間に防振部材があり、前記重量測定手段は、防振台の総重量を検知するものであり、重量測定手段の検知重量の変化によって薬剤の排出量を検知するものであることが望ましい。
【0024】
本態様の薬剤フィーダでは、重量測定手段は、防振台の総重量を検知する。また振動台は、加振手段によって振動されるが、加振手段と防振台との間に防振部材があるので、加振手段の振動は防振台には伝わりにくい。
本態様の薬剤フィーダでは、前記した様に防振台の総重量を重量測定手段で検知するので、重量測定手段は振動の影響を受けにくく、薬剤容器等の重量を正確に測定することができる。
【0025】
中間台と、中間台を防振部材を介して支持する防振台とを備え、前記中間台に前記加振手段と、前記振動台および前記容器保持手段が載置され、前記重量測定手段は、防振台の総重量を検知するものであり、重量測定手段の検知重量の変化によって薬剤の排出量を検知する薬剤フィーダであることが望ましい。
【0026】
本態様の薬剤フィーダについても、重量測定手段は、防振台の総重量を検知する。即ち、重量測定手段は、振動台と、振動台上の薬剤容器の他、中間台と、防振部材と、加振手段と、容器保持手段の全ての重量を測定する。
また振動台は、加振手段によって振動されるが、振動する部材は、いずれも中間台に載置されており、防振台は、防振部材を介して中間台を支持しているから、中間台等の振動は防振台には伝わりにくい。
本態様の薬剤フィーダでは、前記した様に防振台の総重量を重量測定手段で検知するので、重量測定手段は振動の影響を受けにくく、薬剤容器等の重量を正確に測定することができる。
【0027】
薬剤容器は、薬剤を貯留する薬剤貯留部があり、当該薬剤貯留部と薬剤排出部との間に、狭窄開口部と、導出路部とを有し、薬剤容器を振動台に載置して薬剤容器を振動させ、薬剤貯留部の薬剤を狭窄開口部から導出路部内に排出し、さらに薬剤を導出路部内を薬剤排出部側に向かって移動させ、薬剤を薬剤排出部から落下させる薬剤フィーダであることが望ましい。
【0028】
本態様の薬剤フィーダは、従来技術の薬剤フィーダにおけるホッパ205の役目と、トラフ210の役目を薬剤容器に果たさせるものであると言える。
即ち、本態様で採用する薬剤容器は、薬剤を貯留する薬剤貯留部があり、当該薬剤貯留部と薬剤排出部との間に、狭窄開口部がある。そのため振動によって薬剤排出部側に移動する薬剤は、狭窄開口部で流量が規制され、層流化のきっかけが作られる。
即ち、薬剤容器中の散薬等は、薬剤貯留部にランダムに内蔵されており、薬剤貯留部においては不規則な状態であると言える。そして薬剤容器は振動を受け、内部の薬剤が、薬剤排出部側に移動しようとするが、薬剤は、前記した様にランダムに内蔵されており、薬剤の移動は、乱流的である。
薬剤は移動することによって狭窄開口部に至るが、その間、薬剤は振動を受け、ランダムな状態から一方方向に方向づけられた状態に変化する。さらに薬剤は、狭窄開口部を通過する際に、単位時間当たりの通過量が規制されるから、薬剤の流れの脈動が抑えられ、薬剤の流れが整流される。
そして狭窄開口部から排出された散薬等は、導出路部を進む。散薬等は、さらに導出路部を進むうちに整流され、層流化が進み、高度に層流化した状態で、薬剤排出部から落下する。
【0029】
薬剤容器内に整流部材が設けられ、薬剤容器を振動台に載置して薬剤容器を振動させて薬剤容器内の薬剤を薬剤排出部側に移動させ、移動の際に薬剤の一部又は全部が前記整流部材を通過する薬剤フィーダであることが望ましい。
【0030】
本態様の薬剤フィーダ内に整流部材が設けられているので、薬剤の流れを均一化することができる。
【0031】
前記した整流部材は、取り替え可能であることが望ましい。
【0032】
本態様の薬剤フィーダでは、薬剤の性状に合わせて整流部材を取り替えることができる。
【0033】
薬剤容器内にコイル状部材が設けられ、薬剤容器を振動台に載置して薬剤容器を振動させて薬剤容器内の薬剤を薬剤排出部側に移動させ、移動の際に薬剤の一部又は全部が前記コイル状部材の中を横切る薬剤フィーダであることが望ましい。
【0034】
本発明の薬剤フィーダでは、コイル状部材が整流部材として機能する。また散薬の塊を崩壊させ、本来の粉体状に戻すことができる。
【0035】
薬剤フィーダは、薬剤容器内に乾燥剤収容部が設けられ、当該乾燥剤収容部内に乾燥剤が配されていることが望ましい。
【0036】
本態様の薬剤フィーダによると、薬剤が湿気を帯びることが防止され、薬剤の排出を円滑に行うことができる。
【0037】
重量測定手段によって、薬剤を排出する以前の薬剤容器の重量たる原重量を測定し、振動台を振動させて薬剤排出部から薬剤を少量ずつ排出する際に前記重量測定手段によって薬剤容器の重量を監視し、薬剤容器の現在の重量たる現重量が、原重量から目標排出量を引いた値に一致した際あるいは略一致した際に振動台の振動を停止させる計量機能を備えた薬剤フィーダであることが望ましい。
【0038】
薬剤容器の重量の測定手段について付言すると、薬剤容器の重量の測定は直接的であると間接的であるとを問わない。即ち薬剤容器の重量だけを直接測定しても良いし、振動台等の機器を含めた重量を測定してもよい。
本発明の薬剤フィーダでは、薬剤を排出する以前の薬剤容器の重量たる原重量と、薬剤容器の現在の重量たる現重量とを活用し、現重量が原重量から目標排出量を引いた値に一致した際に振動台の振動を停止させる。あるいは落下途中の薬剤の重量を勘案して、現重量が原重量から目標排出量を引いた値から僅かに少なく、略一致した際に振動台の振動を停止させる。そのため目標量の薬剤が排出された後に、振動台の振動が停止され、薬剤の排出が停止する。
【0039】
薬剤フィーダは、振動台の振動パターンを変更可能であることが望ましい。
【0040】
本態様の薬剤フィーダは、薬剤の性状や、総排出量に応じて、適切な振動パターンで振動台を振動させることができる。
【0041】
薬剤フィーダは、振動台を振動させて薬剤排出部から所定量の薬剤を少量ずつ排出する際、排出初期の振動パターンと、その後の振動パターンとを異なるものとすることが可能であることが望ましい。
【0042】
本態様によると、薬剤を排出する過程において、排出開始当初と、排出状況が安定した状態の時とで振動パターンを変えることができる。そのため、薬剤を安定して排出することができる。
【0043】
本態様の薬剤フィーダは、振動台を振動させて薬剤排出部から所定量の薬剤を少量ずつ排出する際における排出初期の振動パターンが複数種類あり、薬剤の種類及び/又は総排出量に応じて排出初期の振動パターンが変更されるものであることが望ましい。
【0044】
薬剤フィーダは、薬剤容器は、本体装置に装着された姿勢を基準としてその上面側に開口を有し、当該開口から薬剤容器内に薬剤を投入可能なものであってもよい。
【0045】
本態様の薬剤フィーダは、処方する頻度が少ない薬剤を分包する用途に適している。また本態様の薬剤フィーダは、薬剤容器内に保管することが適切でない薬剤を分包する用途にも適している。
【0046】
また望ましい薬剤払出し装置は、複数の薬剤容器を保管する容器保管部と、上記した薬剤フィーダと、容器保管部から所定の薬剤容器を取り出して薬剤フィーダの振動台に載置する容器移動手段を備えたことを特徴とする。
【0047】
本態様の薬剤払出し装置によると、薬剤容器を選定し、薬剤フィーダの振動台に載置するまでの工程についても自動化される。
【0048】
薬剤容器は、本体装置に装着された姿勢を基準としてその底側であって振動台と接しない位置に容器側係合部があり、容器保管部には前記係合部を係合する保管部側係合部があることが望ましい。
【0049】
薬剤払出し装置は、散薬を分配する散薬分配装置を有し、薬剤フィーダによって散薬分配装置に薬剤を投入するものであることが望ましい。
【0050】
本態様の薬剤払出し装置は、例えば、従来技術で説明した様な散薬分配装置を備えている。そのため散薬分配装置による作業効率の向上作用と、本発明の薬剤フィーダの作用とが相まって、高いレベルの自動化が図れ、且つ高効率に、散薬の分包等を行うことができる。
【0051】
複数の重量測定手段を有し、薬剤フィーダを使用して薬剤容器から薬剤を排出し、その後に当該薬剤フィーダの重量測定手段以外の重量測定手段によって、再度薬剤容器の重量を測定する二重計測工程を行うこと薬剤払出し装置であることが望ましい。
【0052】
本発明の薬剤払出し装置では、薬剤を払い出した後に、別の重量測定手段を使用して薬剤容器の重量を再測定するので、万一、薬剤フィーダの重量測定手段に不具合があっても、謝った処方量の薬剤が包装されることがない。また更には、再測定により計測値に大きな違いがあった場合には重量測定手段の故障を発見することができる。
【0053】
重量が既知の分銅部材を有し、当該分銅部材は所定の分銅部材待機位置に置かれ、容器移動手段で分銅部材を移動させて薬剤フィーダに載置し、重量測定手段の検査を実施することが可能な薬剤払出し装置であることが望ましい。
【0054】
本態様によると、重量測定手段の異常を検知することができる。また薬剤を常に正確に秤量することができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明の薬剤フィーダは、散薬等を量り出す作業を自動的に行うことができる。そのため薬剤師が行っていた作業を軽減することができ、高度の自動化を実現することができる効果がある。また従来技術においては不可避であった人的なミスを低減することもできる効果がある。
本発明の薬剤払出し装置についても、薬剤師が行っていた作業を軽減することができ、高度の自動化を実現することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】本発明の実施形態の薬剤フィーダの構造を簡略化して説明する機構図であり、本体装置と薬剤容器とが別々の位置にある状態を示している。
【
図2】
図1の薬剤フィーダを説明する機構図であり、薬剤容器が本体装置に固定された状態を示している。
【
図3】
図1の薬剤フィーダを説明する機構図であり、薬剤容器が本体装置に固定され、振動台を振動させた際の状態を示している。
【
図4】本発明の実施形態の薬剤フィーダであり、第1形態の薬剤容器を使用し実用品に近い構造の薬剤フィーダの斜視図である。
【
図7】
図5に示す第1形態の薬剤容器のA-A断面図である。
【
図8】(a)は、第1形態の薬剤容器で採用する整流部材の正面図、(b)はその側面図であり、(c)は(b)を矢印A方向から観察した参考図である。
【
図9】本発明の実施形態の薬剤フィーダであり、第2形態の薬剤容器を使用し実用品に近い構造の薬剤フィーダの斜視図である。
【
図11】本発明の実施形態の薬剤フィーダであり、第3形態の薬剤容器を使用し実用品に近い構造の薬剤フィーダの斜視図である。
【
図14】第3形態の薬剤容器の蓋部材の分解斜視図である。
【
図15】第3形態の薬剤容器の蓋部材を水平姿勢を基準として斜め下側から観察した斜視図である。
【
図16】第3形態の薬剤容器の蓋部材を水平姿勢を基準として上方から観察した平面図である。
【
図17】第3形態の薬剤容器から可動蓋部を外した状態を示す斜視図である。
【
図18】可動蓋部を開いた状態における第3形態の薬剤容器の要部の斜視図である。
【
図21】
図20の分解斜視図で示された振動台の断面斜視図である。
【
図22】
図20の分解斜視図で示された中間台の中央断面斜視図と防振台と防振部材及び重量測定手段を示す斜視図であり、これらを高さ方向に放して図示したものである。
【
図23】
図20の分解斜視図で示された中間台の中央を外れた位置における断面斜視図である。
【
図26】(a)は、
図11の薬剤フィーダにおいて、本体装置の振動台に薬剤容器を載置する直前における本体装置と薬剤容器との相対的な位置関係を説明する概略斜視図であり、(b)は、両者の中心軸のずれを説明する説明図である。
【
図27】(a)は、
図11の薬剤フィーダにおいて、本体装置の振動台に薬剤容器を載置した直後における本体装置と薬剤容器との相対的な位置関係を説明する概略斜視図であり、(b)は、両者の中心軸のずれを説明する説明図である。
【
図28】
図11の薬剤フィーダにおいて、本体装置の振動台に薬剤容器を載置し、電磁石に通電した状態における本体装置と薬剤容器との関係を説明する概略図であり、(a)は、両者の相対関係を説明する斜視図であり、(b)は、両者の中心軸のずれを説明する説明図である。
【
図29】
図11の薬剤フィーダが設置される薬剤払出し装置の外観図である。
【
図31】
図12の薬剤容器と
図30の薬剤払出し装置で採用するハンド部との関係を示す斜視図である。
【
図32】
図29の薬剤払出し装置の動作を示すフローチャートである。
【
図33】
図12の薬剤容器と変形例の薬剤払出し装置で採用するハンド部との関係を示す斜視図である。
【
図36】第4形態の薬剤容器の蓋部材を背面側から観察した斜視図である。
【
図37】
図36の状態から櫛状整流部材を取り外した斜視図である。
【
図38】第4形態の薬剤容器の蓋部材の分解斜視図である。
【
図39】第4形態の薬剤容器の断面図であり、(a)は可動蓋部を閉じた状態を示し、(b)は可動蓋部を開いた状態を示す。
【
図40】第4形態の薬剤容器の一部拡大断面図であり、(a)は使用時の状態を示し、(b)は蓋部材を外す際の状態を示す。
【
図41】第4形態の薬剤容器の一部拡大断面図であり、蓋部材を外した状態を示す。
【
図42】第4形態の薬剤容器の断面図であり、内部の薬剤が排出される際の挙動を示す。
【
図44】第5形態の薬剤容器の斜視図であり、通常の方法で薬剤を投入する際の状態を示す。
【
図45】第5形態の薬剤容器の斜視図であり、他の方法で薬剤を投入する際の状態を示す。
【
図46】他の実施形態の薬剤フィーダを説明する機構図である。
【
図48】容器保管部の他の一例を示す斜視図である。
【
図49】特許文献1に開示された散薬分包装置の構成図である。
【
図50】特許文献1に開示された粉体フィーダの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下さらに本発明の実施形態について説明するが、実際の設計に近い形の実施形態は、部材が入り組んでいて構造が複雑である。そこで発明の理解を容易にするために、先に実施形態の機構的特徴と動作原理について説明する。そしてその後に、具体的実施例の詳細な説明を行う。
本実施形態の薬剤フィーダ1は、散薬分包装置あるいは散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置の一部を構成するものであり、
図1の様に、散薬分配装置202の分配皿212の近傍に設置される。
本実施形態の薬剤フィーダ1の構成を機構図で表現すると、
図1乃至
図3の通りである。即ち薬剤フィーダ1は、薬剤容器2と、本体装置3によって構成されている。
【0058】
さらに前記した薬剤容器2は、容器本体5と、鉄板部6と、整流部材7によって構成されている。
容器本体5は樹脂で作られた縦長の容器であり、長手方向の一端が開口していて薬剤排出部8を構成している。
薬剤容器2は、保管時には、
図1の様に縦姿勢或いは傾斜姿勢で載置され、使用時は
図2、
図3の様に水平姿勢に設置されるので、容器本体5は開口面たる薬剤排出部8を基準としてそれに対向する面を底面10と称し、薬剤排出部8と底面10とを繋ぐ壁面を周壁面11と称することとする。また周壁面11の内、特に使用時に水平姿勢とした際に、底側に位置する面を周壁下面12と称することとする。
容器本体5は、底面10と周壁面11によって囲まれた収納空間15(
図2)を有し、一面だけが開口面となっていて薬剤排出部8を形成している。また容器本体5の外周面側に、突起16が設けられている。突起16は、容器本体5を水平姿勢にした場合に、下側に向かって突出するものであり、容器本体5の底面10近傍の位置にある。即ち薬剤排出部8から最も遠い位置に突起16が垂下されている。
【0059】
鉄板部6は、フェライト等の磁性体成分を含む鋼板である。鉄板部6は、容器本体5の外周部であって周壁下面12に取り付けられている。
【0060】
整流部材7は、櫛状(
図1,2,3には櫛形状は図示せず)の板である。整流部材7は、容器本体5の内部にあり、周壁下面12側との間のみに空隙(狭窄開口部13)が形成される。整流部材7は、狭窄開口部13側の端部が、容器本体5の内側(底面10側)に向く様に傾斜されている。
整流部材7は、容器本体5に対して着脱可能である。また図示した整流部材7は、一例に過ぎず、薬剤の性状に応じて取り替えられる。
【0061】
本実施形態では、容器本体5の内部が整流部材7によって仕切られており、整流部材7を境として底面10側が、散薬貯留部17として機能する。また周壁下面12の整流部材7を境として薬剤排出部8側の領域が導出路部18として機能する。
【0062】
次に本体装置3について説明する。
本体装置3は、
図1乃至
図3の様に、上から振動台20、加振手段21a,21b、中間台22、防振台23、重量測定手段25及び基礎部材26によって構成されている。
【0063】
以下、順次説明する。振動台20はブロック状の載置台であり、内部に電磁石30a,30bが内蔵されている。即ち、振動台20には、磁石取り付け穴28a,28bが設けられており、当該磁石取り付け穴28a,28bに電磁石30a,30bが内蔵されている。
また電磁石30a,30bは、弾性体32a,32bを介して磁石取り付け穴28a,28bの底に固定されている。そのため電磁石30a,30bは、振動台20に対して僅かに自由度を持つ。
電磁石30a,30bの吸着部(鉄芯の先端)31a,31bは、
図1に示すように、振動台20の上面よりも低い位置にある。
また電磁石30a,30bの両外側であって振動台20の四隅に、接触センサー33a,b,c,dが設けられている。接触センサー33a,b,c,dは具体的には電極である。
さらに振動台20の一方の側面には、振動検知センサー35が取り付けられている。
【0064】
加振手段21a,21bは、圧電素子であり、板状を呈している。
中間台22及び防振台23は、実際には後記する様に複雑な形状をしているが、機構学的には台に過ぎず、
図1乃至
図3では、単に平板状に図示している。
重量測定手段25は、公知のロードセルであり、上設置面36と下設置面37とを有し、両者がオフセットした位置にある。
基礎部材26についても、実際には後記する様に複雑な形状をしているが、機構学的には台に過ぎず、
図1乃至
図3では、単に平板状に図示している。
【0065】
次に本体装置3の各構成部材の位置関係について説明する。本体装置3では、
図1乃至
図3の様に、振動台20と中間台22の間に加振手段21a,21bが設けられている。即ち
図1の様に振動台20と中間台22とが対向しており、振動台20の一端と、中間台22の一端との間が加振手段21aで接続されている。また振動台20の他端と、中間台22の他端との間が加振手段21bで接続されている。
本実施形態では、振動台20と中間台22の間を接続する部材は、前記した加振手段21a,21b以外には無い。そのため振動台20は、加振手段21a,21bによって、中間台22から中空に支持された構造となっている。
【0066】
また中間台22の下部には、防振台23が配されており、中間台22と防振台23との間には、防振部材40が介在されている。防振部材40は、防振機能と制振機能を兼ね備えた部材であり、バネ38と図示しない制振ゴムとが組み合わされたものである。
本実施形態では、中間台22と防振台23の間を接続する部材は、前記した防振部材40以外には無い。そのため中間台22は、防振部材40によって防振台23から中空に支持された構造となっている。
【0067】
また防振台23の下部には、重量測定手段25が配され、さらにその下部には基礎部材26が配されている。
重量測定手段25は、上設置面36が防振台23の下面に接続され、重量測定手段25の下設置面37は基礎部材26に取り付けられている。
前記した様に、上設置面36と下設置面37とは、オフセットした位置にあるから、重量測定手段25の中間部分は、基礎部材26に対して片持ち支持された構造となっており、その自由端側で防振台23を支えている。
本実施形態では、防振台23と基礎部材26の間を接続する部材は、前記した重量測定手段25以外には無い。そのため防振台23は、重量測定手段25によって基礎部材26から中空に支持された構造となっている。
【0068】
また基礎部材26は、防振部材41を介して散薬分配装置202の分配皿212の近傍に取り付けられている。
基礎部材26は、薬剤フィーダ1の本体装置3全体を支える基台であるから、本体装置3は、散薬分配装置202の分配皿212の近傍に取り付けられることとなる。
【0069】
本実施形態の薬剤フィーダ1では、前記した様に、加振手段21a,21bによって、振動台20が中空に支持された構造となっているから、加振手段21a,21bを振動させると、この振動が振動台20に伝導され、振動台20が振動する。
【0070】
また本実施形態では、振動台20、加振手段21a,21b、中間台22およびその付属品の重量が、全て防振台23によって支持されている。さらに、防振台23の全重量は、重量測定手段25の上設置面36で支えられている。そのため重量測定手段25の上設置面36には、重量測定手段25よりも、機構上、上にある部材の全ての重量が掛かる。従って、重量測定手段25によって、重量測定手段25よりも、上にある部材の全ての重量が測定される。そのため本実施形態では、振動台20に薬剤容器2を載置すると、薬剤容器2の重量が間接的に測定される。
【0071】
また前記した様に、振動台20及び加振手段21a,21bは、振動を発生させるが、振動を発生させる部材は、全て中間台22に載置されており、且つ中間台22と防振台23との間には、防振部材40が介在されているから、振動台20及び加振手段21a,21bの振動は、防振台23には伝わりにくい。
本実施形態では、重量測定手段25は、防振台23に接続されているから、重量測定手段25は、振動台20、加振手段21a,21bの、振動の影響を受けにくく、正確な重量を検知することができる。
即ち本実施形態では、加振手段21a,21bと防振台23との間に防振部材40があるから、重量測定手段25は振動の影響を受けにくい。
またさらに本実施形態は、中間台22と、中間台22を防振部材40を介して支持する防振台23とを備え、中間台22に加振手段21a,21bと振動台20が載置されているから、重量測定手段25は振動の影響を受けにくい。
【0072】
本実施形態の薬剤フィーダ1は、前記した様に薬剤容器2と、本体装置3によって構成されているが、通常は、両者は別々のものであり、散薬を分包する際に、両者が結合されて薬剤フィーダ1を構成する。
即ち薬剤フィーダ1の本体装置3は、前記した様に、散薬分配装置202の分配皿212の近傍に固定されている。
これに対して薬剤容器2は、
図1の様に図示しない容器棚に載置されて保管されている。即ち薬剤容器2には、所定の散薬が充填され、例えば
図1の様な縦姿勢や図示しない傾斜姿勢で、図示しない容器棚に載置されている。
【0073】
本実施形態の薬剤フィーダ1は、前記した様に散薬分包装置(又は薬剤払出し装置 全体形状は図示せず)の一部を構成するものであり、
図1の様に、散薬分配装置202の分配皿212の近傍に設置されている。散薬分包装置を構成する装置としては、他に薬剤容器2を搬送させるロボット(容器移動手段)43がある。ロボット43は、図示しないX-Yテーブルと、薬剤容器2を掴むハンド45を有している。
また散薬分包装置(全体形状は図示せず)は、処方箋を読み取る処方箋読み取り手段46と、各機器の動作を制御する制御装置47とを備えている。
処方箋読み取り手段46は、処方箋に記載された処方薬の薬品名、処方量その他の内容を読み取る装置である。
【0074】
次に、本実施形態の薬剤フィーダ1の機能について説明する。なお薬剤フィーダ1は、散薬分包装置(全体形状は図示せず)の一部を構成するものであるから、散薬分包装置全体の動作を含めて薬剤フィーダ1の動作を説明する。
本実施形態では、前記した様に薬剤容器2と、本体装置3とが別々のものであり、散薬を分包する際に、両者が結合されて薬剤フィーダ1を構成する。
即ち本実施形態では、薬剤容器2は縦姿勢又は傾斜姿勢で保管され、散薬は、散薬貯留部17に貯留されている。本実施形態では、
図1に示すように、ロボット43のハンド45で薬剤容器2を掴み、薬剤容器2を移動し、
図2の様に本体装置3に載置する。
より具体的には、
図2の様に、薬剤容器2を移動させると共に姿勢変更する。即ち、薬剤容器2を本体装置3の近傍に移動させ、さらに、薬剤容器2を水平姿勢に寝かせ、振動台20に載せる。なお、このとき、
図2の様に、周壁下面12が下となる姿勢とする。即ち薬剤容器2の鉄板部6が、振動台20に面する姿勢で薬剤容器2を振動台20に載せる。
【0075】
そして振動台20に内蔵された電磁石30a,30bに通電する。その結果、電磁石30a,30bに磁力が発生し、薬剤容器2の鉄板部6が振動台20側の吸着部(鉄芯の先端)31a,31bに吸着される。
なお本実施形態では、電磁石30a,30bは、弾性体32a,32bを介して磁石取り付け穴28a,28bの底に固定されており、電磁石30a,30bは、振動台20に対して僅かに自由度を持つから、
図2の様に、電磁石30a,30bは鉄板部6側に僅かに移動し、薬剤容器2の鉄板部6に吸着部31a,31bが密着する。
さらに、薬剤容器2の鉄板部6や、振動台20自身が有する弾性によって、これらが僅かに変形して馴染む。
その結果、薬剤容器2の鉄板部6は、振動台20の表面及び電磁石30a,30bと密着する。
【0076】
続いて本実施形態では、薬剤容器2と振動台20との密着度合い及び薬剤容器2の姿勢を確認する。
具体的には、電磁石30a,30bの周囲に設けられた接触センサー33a,b,c,d間に通電し、接触センサー33a,b,c,d間に導通があるならば、薬剤容器2と振動台20の密着度合い及び薬剤容器2の姿勢が正常であると判断する。逆に各接触センサー33a,b,c,d間に導通が無いならば、薬剤容器2と振動台20の密着度合いが不十分であるか、薬剤容器2の姿勢が異常である。
【0077】
即ち、接触センサー33a,b,c,dは、振動台20の表面に露出する電極である。一方、薬剤容器2の外周部であって周壁下面12に鉄板部6が設けられているから、薬剤容器2が振動台20に密着しており、且つ薬剤容器2の姿勢が正常であるならば、接触センサー33a,b,c,dは、鉄板部6と接触し、接触センサー33a,b,c,dは、鉄板部6を介して導通する。
逆に、薬剤容器2と振動台20の密着度合いが不十分である等の問題があれば、接触センサー33a,b,c,dのいずれか又は全てが鉄板部6と接触せず、接触センサー33a,b,c,d同士の間が絶縁状態となる。
【0078】
各接触センサー33a,b,c,d間に導通があることが確認されると、振動台20を振動させる。より具体的には、加振手段21a,21bに一定周波数の電流を通電して振動を発生させ、この振動によって振動台20を振動させる。なお、振動台20の振幅は、振動検知センサー35によって監視され、振幅が大きくなる様に、加振手段21a,21bに入力する電流周波数が変更される。
また振動開始と前後して散薬分配装置202の分配皿212を回転させる。
【0079】
また振動開始と前後して、薬剤容器2の重量が測定される。薬剤容器2の重量は、重量測定手段25の検知重量から、一定値を引いたものである。より具体的には、薬剤容器2の重量は、重量測定手段25の検知重量から、本体装置3の重量測定手段25より上の部材の重量を引いたものである。
即ち重量測定手段25は、振動台20、加振手段21a,21b、中間台22およびその付属品の重量が、全て防振台23によって支持されており、重量測定手段25によって防振台23の重量を測定するから、重量測定手段25によって、重量測定手段25よりも、上にある部材の全ての重量が測定される。
そのため薬剤容器2が、振動台20に載置された状態においては、振動台20等の重量に薬剤容器2の重量が加算された値が、重量測定手段25で検知される。
ここで振動台20等の重量は既知であるから、重量測定手段25で検知された重量から振動台20等の重量を引くことにより、薬剤容器2の重量が間接的に検知できる。
振動台20に設置直後の薬剤容器2の重量は、原重量Gとして記憶される。また薬剤容器2の重量は、常時監視される。即ち薬剤容器2の現在の重量は、現重量gとして監視される。
【0080】
振動台20が振動を開始すると、薬剤容器2が振動する。ここで、本実施形態では、薬剤容器2は、電磁石30a,30bによって強固に振動台20に接合されており、且つ振動台20との密着度合いも高いから、薬剤容器2は、振動台20と同一周波数で振動する。その結果、薬剤容器2の散薬貯留部17に貯留された散薬が、薬剤排出部8側に向かってゆっくりと移動する。
なお、振動台20が振動することによって、薬剤容器2自体も前進方向に移動する力を受けるが、本実施形態では、薬剤容器2の後端部に突起16が設けられており、この突起16が振動台20等の一部と当接することによって、薬剤容器2自体が前進することが阻止されている。従って薬剤容器2は移動することがなく、中の散薬だけが移動する。
【0081】
そして散薬は、整流部材7の部位によって形成される狭窄開口部13に至る。狭窄開口部13は開口の高さが制限されているから、狭窄開口部13を通過する散薬は、高さが整えられる。即ち散薬は、あたかも川の如くに薬剤容器2の周壁下面12を流れるが、周壁下面12から散薬の上部までの高さが、幅方向に揃う。
狭窄開口部13を通過した散薬は、導出路部18に排出される。そして散薬は川の流れの如くに導出路部18を流れ、遂には薬剤容器2の薬剤排出部8に至り、滝のごとくに落下し、下の分配皿212の溝216に入る。
【0082】
散薬が落下中であることは、薬剤容器2の重量が低下することによって確認される。即ち本実施形態では、散薬が薬剤容器2の薬剤排出部8から落下中においても、薬剤容器2の現在の重量が、現重量gとして監視され続けている。そして振動台20に設置直後の薬剤容器2の原重量Gと、現重量gとを比較し、散薬の落下量H(Gマイナスg)を常時演算している。
【0083】
また単位時間あたりの散薬の落下量hが、一定となる様に、振動台20の振動強度がフィードバックされる。即ち、単位時間あたりの落下量hが少なすぎる場合には振動の周波数が上げられる。逆に落下量が多すぎる場合には、周波数が下げられる。同様に振幅の大きさも単位時間あたりの落下量hが一定となる様にフィードバックされる。
そして散薬の総落下量Hが所望の重量となったところで、振動台20の振動を停止する。
【0084】
その後は、従来技術の散薬分包装置と同様、分配皿212の回転を停止し、分配皿212を分配個数に応じた角度だけ回転させて、図示しない掻き出し装置で散薬を分配皿212の外に掻き出し、後段側の薬剤包装装置(図示せず)に送る。
【0085】
次に、本発明のより実用設計に近い形の実施形態について説明する。以下に説明する薬剤フィーダ50は、全高を低くするために、部材形状が
図1に示す機構図と大きく異なっており、且つ部品の組み立て関係が入り組んでいるものの、各部材の基本的な構造及び機能は、先の実施形態と同一である。以下に説明する薬剤フィーダ50の構成部材は、基本的に先に説明した薬剤フィーダ1の機能を全て備えている。そのため。形状が異なるものではあるが、同一の機能を果たす部材には、同一の番号及び名称を付すこととする。また部材等の説明は、先の実施形態と異なる部分を中心に説明することとし、重複する部分は概略説明に止める。
【0086】
実用設計に近い形の薬剤フィーダ50は、先の実施形態と同様、薬剤容器2と、本体装置3によって構成されている(
図4)。
まず薬剤容器2の構造について説明する。なお本実施形態では、用途に応じて6種類の薬剤容器2A,2B,2C,2D,2E,2Fが用意されている。
即ち第1形態の薬剤容器2A(関連発明)は、
図5の様に薬剤排出部8に蓋が無いタイプである。第2形態の薬剤容器2B(関連発明)は、
図10の様に2面開放型であり、薬剤排出部8に蓋が無く且つ水平姿勢とした際に、天面に相当する部位が大きく開放されたタイプである。第3形態の薬剤容器2Cは、
図12の様に密閉型であり、蓋が有るタイプである。第4形態の薬剤容器2Dは
図34の様に密閉型であり、蓋が有るタイプである。第5形態の薬剤容器2Eは
図43の様に密閉型であり、蓋が有るタイプであって、天面に相当する部位に大蓋があって開閉することができるタイプである。
【0087】
順次説明すると、第1形態の薬剤容器2Aは、
図5、
図6の様に、容器本体5と、鉄板部6と、整流部材7によって構成されている。
容器本体5は樹脂で作られた縦長の容器であり、長手方向の一端が薬剤排出部8となっている。
本実施形態では、容器本体5の断面形状が
図5、
図6の様に6角形である。即ち容器本体5の周壁面11は、周壁下面12を含めて6面存在する。
より具体的に説明すると、
図5、
図6の様に容器本体5を水平に載置した状態を基準として、容器本体5の断面形状は左右対称である。そして
図5、
図6の様に容器本体5を水平に載置した状態を基準として、周壁下面12に対向する周壁上面51がある。
また周壁上面51と周壁下面12とを繋ぐ面として、左右の垂直周壁52a,b、及び左右の傾斜周壁53a,bがある。
従って、
図5、
図6の様に水平に載置した状態を基準とすると、容器本体5は上から時計回りに、水平姿勢の周壁上面51、垂直姿勢の右垂直周壁52b、傾斜姿勢の右傾斜周壁53b、水平姿勢の周壁下面12、傾斜姿勢の左傾斜周壁53a、垂直姿勢の左垂直周壁52aの合計6面によって囲まれた形状をしている。
従って、本実施形態では、散薬が流れる周壁下面12は、他の面に比べて小さい。また本実施形態では、散薬が他の周壁から周壁下面12に集まり易い構造となっている。
本実施形態においても、容器本体5の外周面側に、突起16が設けられている。突起16の位置等は先の実施形態と同一であり、容器本体5を水平姿勢にした場合に、下側に向かって突出する。
【0088】
鉄板部6は、前記した周壁下面12および、左右の傾斜周壁53a,bの一部に合致する形状に成形されている。
即ち鉄板部6の断面形状は、
図6の様に、左右対称であり、平面状の周壁下面当接部55を有し、その両辺に、傾斜周壁当接部56a,bがある。
周壁下面当接部55と傾斜周壁当接部56a,bとの間には一定の角度があり、この角度は、前記した容器本体5の周壁下面12と左右の傾斜周壁53a,bとの間の角度と等しい。
鉄板部6は、容器本体5の外周面側であって周壁下面12に対応する部位に接着されている。
【0089】
整流部材7は、
図8の様に、樹脂で成形されたものであって、略正方形の閉止板部57と、第1櫛状部58及び第2櫛状部60が設けられたものである。
第1櫛状部58は、閉止板部57の下辺付近から斜め方向に延びており、自由端側が複数に分割されていて櫛状を呈している。
第2櫛状部60は、閉止板部57の裏面から斜め後方に延びており、自由端側が複数に分割されていて櫛状を呈している。
【0090】
整流部材7は、
図5、
図7の様に容器本体5の内部にあり、櫛状部58,60の自由端側は底面10側に向かって傾斜している。即ち整流部材7の櫛状部58,60は、自由端側が容器本体5の奥側となる様に傾斜している。
図7に示す様に、第1櫛状部58の自由端と周壁下面12の間及び第2櫛状部60の自由端と周壁下面12の間に狭窄開口部13が形成される。第1,第2櫛状部58,60は、狭窄開口部13側の端部が、容器本体5の奥側(底面10側)に向く様に傾斜されている。
本実施形態においても、容器本体5の内部が整流部材7によって仕切られており、整流部材7を境として底面10側が、散薬貯留部17として機能する。また周壁下面12の整流部材7を境として薬剤排出部8側の領域が導出路部18として機能する。
【0091】
次に、薬剤容器2の変形例について説明する。以下に説明する各変形例の説明において、先に説明した薬剤容器2Aと共通する部材や共通する機能を発揮する部位には、同一の番号にB,C,D,E,Fを付記することにより、詳細な説明を省略する。
第2形態の薬剤容器2Bについて
図9、
図10を参照しつつ説明する。薬剤容器2Bは、
図10に示す様に、2面開放型であり、薬剤排出部8の蓋が無く且つ水平姿勢とした際に、天面に相当する部位が大きく開放されたタイプである。即ち薬剤容器2Bは、前記した第1形態の薬剤容器2Aの上部側を除去したものと言える。より簡単に説明すると、薬剤容器2Bには、周壁上面51(
図6)に相当する部分が欠落している。
薬剤容器2Bは、前記した第1形態の薬剤容器2Aと同様、容器本体5Bと、鉄板部6Bと、整流部材7Bによって構成されている。
容器本体5Bは樹脂で作られた縦長で樋状の容器であり、長手方向の一端が薬剤排出部8Bとなっている。
本実施形態では、容器本体5Bの周壁面11Bは、周壁下面12Bを含めて5面存在する。
より具体的に説明すると、
図10の様に容器本体5Bを水平に載置した状態を基準として、容器本体5Bの断面形状は左右対称である。そして
図9、
図10の様に容器本体5Bを水平に載置した状態を基準として、周壁下面12Bに対向する側が開放されている。
本実施形態においても、容器本体5Bの外周面側に突起16Bが設けられている。突起16Bの位置等は先の実施形態と同一であり、容器本体5Bを水平姿勢にした場合に、下側に向かって突出する。
【0092】
鉄板部6Bは、先に説明した第1形態の薬剤容器2Aの鉄板部6と同一形状であり、周壁下面12B等に合致する形状に成形されている。
鉄板部6Bは、容器本体5Bの外周面側であって周壁下面12Bに対応する部位に接着されている。
【0093】
整流部材7Bは、その主要部が、前記した第1形態の薬剤容器2Aで採用したものと同一であり、閉止板部57Bと、第1櫛状部58B及び第2櫛状部(第2櫛状部は図面に現れず)が設けられたものである。ただし閉止板部57Bは、その全高が前記した第1形態の薬剤容器2Aで採用したものよりも低い。
【0094】
次に、第3形態の薬剤容器2Cについて
図12を参照しつつ説明する。薬剤容器2Cは、密閉型であり、容器本体5Cに蓋部材120が設けられている。
即ち薬剤容器2Cは、容器本体5Cと、鉄板部6Cと、蓋部材120によって構成されている。また薬剤容器2Cでは、蓋部材120の後端側に整流部7C(
図13)が一体的に設けられている。なお整流部7Cは、前記した整流部材7A,7Bと同様の働きをするものであるが、後記する様に蓋部材120の一部であるから、整流部7Cと表記する。
また薬剤容器2Cは、運搬用鉄板部157を備えている。
容器本体5Cは樹脂で作られた縦長の容器であり、長手方向の一端が薬剤排出部8Cとなっている。本実施形態では、容器本体5Cの断面形状が
図11,12,13の様に6角形である。即ち容器本体5Cの周壁面11Cは、周壁下面12Cを含めて6面存在する。
より具体的に説明すると、
図11の様に容器本体5Cを水平に載置した状態を基準として、容器本体5Cの断面形状は左右対称である。そして
図13の様に容器本体5Cを水平に載置した状態を基準として、周壁下面12Cに対向する周壁上面51Cがある。
また周壁上面51Cと周壁下面12Cとを繋ぐ面として、左右の垂直周壁52aC,52bC、及び左右の傾斜周壁53aC,53bCがある。
【0095】
従って、
図11の様に水平に載置した状態を基準とすると、
図13の様に容器本体5Cは上から時計回りに、水平姿勢の周壁上面51C、垂直姿勢の右垂直周壁52bC、傾斜姿勢の右傾斜周壁53bC、水平姿勢の周壁下面12C、傾斜姿勢の左傾斜周壁53aC、垂直姿勢の左垂直周壁52aCの合計6面によって囲まれた形状をしている。
【0096】
ただし本実施形態では、周壁下面12Cは平坦面ではなく、
図12、
図13の様に薬剤排出部8側に段部121がある。即ち水平姿勢を基準として薬剤排出部8C側が一段下側に下がっていて下段部122を形成している。言い換えると、周壁下面12Cは、段部121を境として上段部123と下段部122に分かれている。
そのため周壁下面12Cに繋がる各壁、即ち傾斜姿勢の右傾斜周壁53bCと傾斜姿勢の左傾斜周壁53aCであって下段部122に繋がる部位は、他の部位に比べて面積が大きい。
本実施形態では、周壁下面12Cの薬剤排出部8C側の部位に下段部122が設けられているので、容器本体5Cは薬剤排出部8C側が下側に膨らんでいる。
【0097】
本実施形態においても、容器本体5Cの外周面側に突起16Cが設けられている。突起16Cの位置等は先の実施形態と同一であり、容器本体5Cを水平姿勢にした場合に、下側に向かって突出する。
【0098】
鉄板部6Cは、前記した周壁下面12Cの上段部123及びそれに繋がる左右の傾斜周壁53aC,53bCの一部に合致する形状に成形されている。
鉄板部6Cは、容器本体5Cの外周面側であって周壁下面12Cの上段部123に対応する部位に接着されている。
運搬用鉄板部157は、
図11,12,13に示す様に、周壁上面51Cに設けられている。
【0099】
蓋部材120は、蓋本体部125と、可動蓋部134と、整流コイル126によって構成されている。また蓋部材120の一部及び整流コイル126によって蓋部材120の後端側に整流部7Cが形成されている。
蓋本体部125は、正面側に枠部127を有し、後面側にコイル支持部128と櫛状整流部130が設けられたものである。
【0100】
また正面側の枠部127には、固定用枠131として機能する部位と、当接用枠132として機能する部位がある。
即ち枠部127は、正面視が容器本体5Cの断面形状と同様に6角形であり、水平姿勢を基準として、上辺133と左右垂直辺135a,135b、左右傾斜辺136a,136b、下辺137を有している。そして上辺133と左右垂直辺135a,135bによって固定用枠131が形成され、左右傾斜辺136a,136b及び下辺137によって当接用枠132が形成されている。
即ち固定用枠131を構成する3辺たる上辺133と左右垂直辺135a,135bの内周は、容器本体5Cの薬剤排出部8Cの内周形状と等しく、容器本体5Cの薬剤排出部8Cと嵌合可能である。
【0101】
即ち固定用枠131の上辺133の位置および長さは、容器本体5Cの周壁上面51Cの内面と等しく、固定用枠131の左右垂直辺135a,135bの位置および長さは、容器本体5Cの左右の垂直周壁52aC,52bCの内面と等しい。
しかしながら枠部127の残る左右傾斜辺136a,136bと下辺137は、容器本体5Cの薬剤排出部8Cの内周形状よりも小さい。即ち枠部127の当接用枠132の部位は、容器本体5Cの薬剤排出部8Cの内周形状よりも小さい。
【0102】
当接用枠132には磁石155が装着されている。磁石155は、可動蓋部134が閉じた状態を維持するためのストッパとして機能する。
また枠部127の内の、固定用枠131で囲まれた領域は有底であり、遮蔽壁138がある。
遮蔽壁138には磁石156が設けられている。磁石156は、可動蓋部134が開いた状態を維持するためのストッパとして機能する。
さらに固定用枠131の左右垂直辺135a,135bの内側には、軸受け部140a,140bが形成されている。
【0103】
蓋本体部125の後部側に目を移すと、枠部127の遮蔽壁138の裏面側から斜め下方向に、傾斜板部141が延びている。そして傾斜板部141の先端側(自由端側)は、
図16の様に櫛状142を呈している。さらに傾斜板部141の両辺部であって、自由端近傍の位置には、下方向に向かって垂下するコイル支持壁143a,143bが設けられている。
そして二つのコイル支持壁の間に、
図15の様に整流コイル126が装着されている。
本実施形態では、傾斜板部141の先端側(自由端側)の櫛状142の部分と、その下に位置する整流コイル126によって整流部7Cが構成されている。
【0104】
可動蓋部134は、
図13、
図14の様に、押さえ板部145と、軸受け部146と、摘まみ部147によって構成されている。押さえ板部145は、略5角形の板である。押さえ板部145の形状は、容器本体5Cの薬剤排出部8Cの下方領域の開口形状と等しい。
摘まみ部147は、押さえ板部145の一辺(上辺)から突出している。また摘まみ部147と押さえ板部145の間に軸受け部146が形成されている。
【0105】
可動蓋部134は、
図14に示す軸144を介して枠部127に取り付けられている。即ち枠部127の軸受け部140a,140bと可動蓋部134の軸受け部146に共通の軸144が挿通され、可動蓋部134が枠部127に対して揺動可能に取り付けられている。また前記した軸144にはねじりコイルバネ148a,148bが設けられており、可動蓋部134の押さえ板部145が、枠部127の当接用枠132側に接する方向に付勢されている。
枠部127に可動蓋部134が取り付けられた状態においては、蓋本体部125の正面形状は、容器本体5Cの薬剤排出部8Cの開口形状と等しい。
可動蓋部134の裏面側であって前記した磁石155,156に相当する部位には鉄板が設けられている。
【0106】
蓋部材120は、
図12、
図13の様に容器本体5Cの薬剤排出部8Cに装着されている。即ち蓋部材120の固定用枠131が、薬剤排出部8Cに装着されており、薬剤排出部8Cの開口部分の上半分(水平姿勢を基準とする)は遮蔽壁138によって封鎖されている。一方、枠部127の当接用枠132は、薬剤排出部8Cの開口部分よりも小さいから、当接用枠132の下辺137と、薬剤排出部8Cの周壁下面12Cとの間には隙間がある。即ち
図17の様に蓋部材120を容器本体5Cに装着した状態で可動蓋部134を取り外した状態を想定すると、当接用枠132の下辺137と、薬剤排出部8Cの周壁下面12Cとの間には隙間150(薬剤排出部)がある。
ただし可動蓋部134の押さえ板部145は、当接用枠132よりも大きく、且つその形状は、容器本体5Cの薬剤排出部8Cの下方領域の開口形状と等しいので、薬剤排出部8Cの開口部分の下半分(水平姿勢を基準とする)についても可動蓋部134によって閉塞されている。
【0107】
従って可動蓋部134を閉じると、薬剤排出部8Cはその全面が閉塞される。なお可動蓋部134の裏面には、図示しない鉄板が設けられおり、当該鉄板が当接用枠132に設けられた閉状態維持用の磁石155に吸着する。そのため可動蓋部134は、閉じられた姿勢を維持する。
一方、可動蓋部134の摘まみ部147を押圧して可動蓋部134を開くと、隙間150(薬剤排出部)が開く。摘まみ部147の裏面には、図示しない鉄板が設けられおり、当該鉄板が遮蔽壁138に設けられた開状態維持用の磁石156に吸着して可動蓋部134が開いた姿勢を維持する。
【0108】
本実施形態においても、容器本体5Cの内部が整流部7Cによって仕切られており、整流部7Cを境として底面10C側が、散薬貯留部17として機能する。また周壁下面12Cの整流部7Cを境として薬剤排出部8C側の領域が導出路部18Cとして機能する。ただし本実施形態の薬剤容器2Cでは、蓋部材120に整流部7Cが設けられているから、他の薬剤容器2A,2Bに比べて導出路部18Cの長さは短い。
【0109】
次に、第4形態の薬剤容器2Dについて
図34乃至
図41を参照しつつ説明する。薬剤容器2Dは、前記した第3形態の2Cに改良を加えたものであり、デザインが違うものの、構成部品の機能は、多くの点で共通する。そのため第4形態の薬剤容器2Dの説明は、第3形態の2Cと相違する点に限って行うこととする。
【0110】
薬剤容器2Dは、容器本体5Dと、鉄板部6Dと、蓋部材120Dによって構成されている。
容器本体5Dは樹脂で作られた縦長の容器である。容器本体5Dの周壁下面12Dの内面側は、概ね平坦であるが、
図39に示す様に奥側部分に傾斜部181a,bがある。奥側の傾斜部181bは緩い傾斜面であり、それに続く傾斜部181aは傾斜が急である。容器本体5Dの傾斜部181a,bに相当する外周部分には、窪み350がある。
【0111】
図35に示す様に容器本体5Dの開口近傍であって、その周壁上面51Dの外側には、段部160があり、やや高さが低く作られた低天井部161がある。そして段部160には係合部材162が設けられている。係合部材162は、本体部166、係合部163a、163b、接合部164a、164b、載置部165を有する。本体部166は、略四角形の板状を呈する部位である。本体部166の一辺には棒状の接合部164a、164bが設けられている。接合部164a、164bは、本体部166と同一平面内に配置されている。接合部164a、164bは、平行にのびている。本体部166の接合部164a、164bを設けた一辺と反対側の辺には鉤状の係合部163a、163bが設けられている。係合部163a、163bは、本体部166と直交する方向に突出している。また、本体部166上には載置部165が設けられている。載置部165は、係合部163a、163bと同方向に起立しており、後述の押し部材240を載置する台である。接合部164a、164bは、容器本体5Dの段部160に片持ち状に接合されている。すなわち、係合部材162は、容器本体5Dの段部160に接合部164a、164bを介して接続されており、本体部166は、低天井部161と平行に配置されている。係合部材162は、弾性を有している。
低天井部161には蓋部材237が装着されている。蓋部材237には上面開口238と前面開口239が設けられている。
低天井部161と蓋部材237の間の空間372には、押し部材240が設けられている。押し部材240の下面は、載置部165と接し、上部は蓋部材237の上面開口238から突出している。
運搬用鉄板部157Dは、二つの小運搬用鉄板部157aD,157bDに分かれている。
【0112】
蓋部材120Dは、蓋本体部125Dと、可動蓋部134Dと、整流コイル126Dと、櫛状整流部材130Dによって構成されている。また蓋部材120Dには、
図39等の様に乾燥剤182が配されている。
蓋本体部125Dは、
図37,
図38の様に二つの蓋本体部片125a,bが接合されて作られたものである。以下、両者が結合された状態を基準として説明する。
蓋部材120Dは、正面側に枠部127Dを有し、後面側にコイル支持部128Dを有している。
【0113】
また正面側の枠部127Dには、固定用枠131Dとして機能する部位と、当接用枠132Dとして機能する部位がある。
枠部127Dの内の、固定用枠131Dで囲まれた領域は有底であり、遮蔽壁138Dがある。
固定用枠131Dで囲まれた領域は
図38、
図39の様に凹部373となっている。そして凹部373であって、遮蔽壁138Dの表面部に、
図39、
図40の様に板バネ185が設けられている。板バネ185は、
図38の様に両端に取り付け部186a,186bがある。二つの取り付け部186a,186bで挟まれた領域は、機能領域187であり、折れ曲がった形に成形されており、角部188がある。
【0114】
蓋本体部125Dの後部側に目を移すと、枠部127Dの遮蔽壁138Dの裏面側から斜め下方向に、傾斜板部141Dが延びている。ただし、傾斜板部141Dの中央部は、
図37に示すように大きく開口している。そのため蓋本体部125Dを後部側から見ると、
図37の様に窪み190がある。本実施形態では、窪み190の開口に、櫛状整流部材130Dが取り付けられ、窪み190が櫛状整流部材130Dで封鎖されている。
櫛状整流部材130Dは、板状部362の先端部に櫛状部365が形成された部材である。板状部362には、通気性を確保するための小孔366が複数設けられている。
本実施形態では、櫛状整流部材130Dの一辺に係合部191があり、当該係合部191を窪み190の内側に係合させることにより、櫛状整流部材130Dが蓋本体部125Dの後部側に取り付けられている。
なお本実施形態では、櫛状整流部材130Dが着脱可能であるから、薬剤の性状に合わせて櫛状整流部材130Dを取り替えることができる。
また窪み190内には乾燥剤182が内蔵されている。作図の関係上、乾燥剤182は、粒状のものが直接投入された様に描かれているが、袋等に詰めた状態で窪み190に入れることが望ましい。
本実施形態では、乾燥剤182が窪み190に挿入され、当該窪み190は櫛状整流部材130Dで封鎖されるが、櫛状整流部材130Dには小孔366が設けられているから、薬剤容器2D内に導入された薬剤を除湿することができる。
【0115】
また蓋本体部125Dの後部側であって、その上方近傍には、水平方向に延びる係合板192が設けられている。係合板192には係合孔193が設けられている。
可動蓋部134Dは、押さえ板部145Dと、軸部194と、摘まみ部147Dによって構成されている。摘まみ部147Dは、押さえ板部145Dの延長上にあり、摘まみ部147Dは、押さえ板部145Dとは同一平面を形成している。
押さえ板部145Dの裏面側にはパッド236が設けられている。
【0116】
軸部194は、押さえ板部145Dの左右辺部に設けられている。軸部194は、
図35の様に上側から観察した形状がヘヤピン状の弾性部235を有している。弾性部235は、押さえ板部145Dの辺を基端として
図35の様に後方側に延びる往き側部195と、「U」字状に折り返されて前側に至る戻り側部196を有し、全体として弾性を備えている。そして戻り側部196の外側に軸片197が設けられている。
【0117】
また押さえ板部145Dの裏面側には、係合片149が突出している。係合片149は、棒状又は板状であって押さえ板部145Dに片持ち状に設けられている。係合片149の先端には、凹部198と小突起199が設けられている。
【0118】
可動蓋部134Dは、軸部194の軸片197が、蓋本体部125Dの、軸受け部140aD,140bDと係合することによって蓋本体部125Dに取り付けられている。
取り付けの際には、弾性部235を撓ませて左右の軸片197間の距離を縮め、蓋体本部125Dの凹部373内に可動蓋部134Dの裏面側を挿入し、その状態で弾性部235を戻して左右の軸片197を軸受け部140aD,140bDに係合させる。可動蓋部134Dを外す場合には、逆に弾性部235を撓ませて左右の軸片197間の距離を縮め、左右の軸片197を軸受け部140aD,140bDから離脱させる。
【0119】
蓋部材120Dは、
図39の様に容器本体5Dの薬剤排出部8Dに装着されている。蓋部材120Dが容器本体5Dに取り付けられた状態においては、
図40(a)の様に蓋部材120Dの係合板192が蓋部材237の前面開口239から内部の空間に入り、係合板192の係合孔193に係合部材162の係合部163が係合している。
なお
図40(b)の様に容器本体5Dの押し部材240を押し下げると、係合部材162が撓み、係合部材162の係合部163と、係合板192の係合孔193との係合が解ける。そのため容器部材5Dから蓋部材120Dを容易に取り外すことができる。
【0120】
本実施形態では、可動蓋部134Dが閉じている際には、
図39(a)の様に係合片149の凹部198が、板バネ185の角部188と係合し、可動蓋部134Dは閉じられた姿勢で安定する。
可動蓋部134Dを開く際には、可動蓋部134Dの摘まみ部147Dを押圧する。その結果、可動蓋部134Dは、軸片197(
図35)を中心として揺動する。このとき、板バネ185の角部188と係合していた係合片149の凹部198が、可動蓋部134Dの揺動に伴い、先端部が板バネ185の弾性力に抗して移動する。そして
図39(b)の様に係合片149の小突起199が板バネ185の角部188を乗り越え、可動蓋部134Dは開いた姿勢で安定する。
【0121】
次に、第5形態の薬剤容器2Eについて
図43、
図44を参照しつつ説明する。薬剤容器2Eは前記した第4形態の容器本体5Dの周壁上面51Dに大きな開口300が設けられ、当該開口300に大蓋301が設けられたものである。薬剤容器2Eでは、大蓋301を開いて内部に薬剤を投入することができる。
また大蓋301を裏返した際の天面の形状が、容器本体5Eの底面の形状と合致する様に作られている。大蓋301を裏返した際の底面側は、天面よりも大きいので、大蓋301を裏返して机上に置くと、大蓋301は安定した姿勢を保つ。
そのため
図44の様に、大蓋301を取り外し、これを裏返して容器本体5Eに敷くことにより、容器本体5Eの台として使用することができる。
さらに他の実施形態たる容器本体5Fについては、後述する。
【0122】
次に本体装置3について説明する。
本体装置3は、
図19乃至
図25の様に、上から振動台20、加振手段21a,21b、中間台22、防振台23、重量測定手段25及び基礎部材26によって構成されている。
【0123】
振動台20はブロック状の載置台である。
振動台20の外観形状は、
図19、
図20の通りであり、略直方体である。即ち振動台20は、上面たる載置面61と、長辺側側面62a,bと、短辺側側面63a,63bと、底面65によって囲まれた形状をしている。
上面たる載置面61の長辺部には、縁部66(
図21)が設けられている。縁部66の表面は、載置面61に対して傾斜している。即ち載置面61の縁部66には傾斜面68がある。載置面61と傾斜面68とが成す角は、前記した鉄板部6の周壁下面当接部55と傾斜周壁当接部56a,bとが成す角と略等しい。
【0124】
載置面61には、磁石取り付け穴28a,28bと、センサー取り付け穴73a,b,c,dが設けられている。
磁石取り付け穴28a,28bは、載置面61の中心線上に直線的に並んで設けられている。センサー取り付け穴73a,b,c,dは、載置面61の四隅に設けられている。
【0125】
振動台20の短辺側側面63a,63bには、中央部分に傾斜面67a,bが形成されている。
傾斜面67a,bは、いずれも短辺側側面63a,63bの高さ方向の略全域に渡っている。また二つの傾斜面67a,bは、平行であり、載置面61と二つの傾斜面67a,b及び底面65によって構成される四角形は
図24、
図25の様に平行四辺形を呈している。より具体的には、一方の傾斜面67aは、載置面61側が切り欠かれ、底面65側から載置面61に至る上り坂となっているのに対し、他方の傾斜面67bは、底面65側から載置面61に至る傾斜はオーバーハング状を呈している。
【0126】
本実施形態においても、磁石取り付け穴28a,28bの内部に電磁石30a,30bが内蔵されている。また電磁石30a,30bは、弾性体32a,bを介して磁石取り付け穴28a,28bの底に固定されている。そのため電磁石30a,30bは、振動台20に対して僅かに自由度を持つ。
電磁石30a,30bの吸着部(鉄芯の先端)31a,31bは、
図19の様に振動台20の上面たる載置面61よりも僅かに低い位置にある。
またセンサー取り付け穴73a,b,c,dに接触センサー33a,b,c,dが設けられている。即ち本実施形態では、載置面61の四隅に接触センサー33a,b,c,dが設けられている。
【0127】
さらに振動台20の短辺側側面63bには、振動検知センサー35が取り付けられている。即ち本実施形態では、振動台20に、センサーブラケット70が取り付けられ、当該センサーブラケット70を介して振動検知センサー35が設けられている。本実施形態では、センサーブラケット70は、鋼板を略「C」型に折り曲げて作られたものであり、
図20に示す様に、長方形のセンサー保持部69と、センサー保持部69の両辺が折り曲げられて形成された間隔保持板74と、間隔保持板74の他端がさらに内側に折り曲げられて形成された取り付け内フランジ79によって構成されている。そして取り付け内フランジ79が振動台20の短辺側側面63bにネジ止め(ネジは図示せず)されている。
本実施形態では、センサーブラケット70は、振動検知センサー35を保持する機能の他、後記する様に薬剤容器2の移動を阻止するための嵌合凹部108としても機能する。即ち本実施形態では、センサーブラケット70のセンサー保持部69と振動台20の短辺側側面63bの間に隙間があり、この隙間が嵌合凹部108として機能する。
【0128】
加振手段21a,21bは、圧電素子であり、板状の本体部71があり、その両端に薄板状の接続片72a,bが設けられている。接続片72a,bには、ネジを取り付ける為の開口64が2個ずつ設けられている。
【0129】
次に中間台22について説明する。
中間台22は、
図20の様にその概観は、平面視が略「H」状を呈している。
即ち中間台22は平面視したとき、長方形の本体部76と、本体部76の四隅から長辺に沿って突出する4個の突出部77a,b,c,dを有している。
そして本体部76の短辺であって、前記した突出部77a,b,c,dに挟まれた領域は、傾斜面78a,bとなっている。
【0130】
傾斜面78a,bは、前記した振動台20の傾斜面67a,bと対応している。
即ち、中間台22の傾斜面78a,bは平行であり、且つ傾斜角度は、振動台20の傾斜面67a,bと同一である。
また中間台22の傾斜面78aの延長上に振動台20の傾斜面67aがあり、中間台22の傾斜面78bの延長上に振動台20の傾斜面67bがある。
【0131】
中間台22の内部に目を移すと、
図22に示すように本体部76の内部には大きな空洞部75があり、本体部76の裏面は広く開放されている。
また4個の突出部77a,b,c,dの内部には、
図23に示すように下側に開口する丸穴85が設けられている。
【0132】
中間台22の短辺の一方には、
図19、
図20の様にブラケット86を介して錘87が取り付けられている。錘87は、四角柱状の鋼材である。
【0133】
次に防振台23について説明する。
防振台23は、
図20の様に、中央部を突出させて内部に空間を設けた板体である。
即ち防振台23は、一枚の板体を折り曲げた形状をしており、中央に断面形状が「コ」の字状の凸条80が長手方向に沿って延びている。即ち凸条80は、内側から見て、天面81と、当該天面81の両辺から垂下する垂直壁82a,bを有している。
また凸条80の開口端にはその両辺に沿ってフランジ部88a,bが設けられている。即ち垂直壁82a,bの下端が互いに外側に向かって曲げられておりフランジ部88a,bを形成している。フランジ部88a,bはいずれも長板状であり、その長さは、凸条80よりも長い。即ちフランジ部88a,bの両端部は、凸条80の長手方向両端よりもさらに外側にある。
フランジ部88a,bの両端部の突出部分は、中間台支持部83a,b,c,dとして機能する。
【0134】
防振台23の各部の位置関係は、前記した中間台22のそれと対応している。即ち防振台23の中央に設けられた凸条80は、中間台22の空洞部75に収まる大きさ及び位置関係にある。
また防振台23の4個の中間台支持部83a,b,c,dの位置は、中間台22の4個の突出部77a,b,c,dに対応している。
【0135】
基礎部材26は、四角形の平板部97を有し、その四隅の部分が切り起こされてバネ支持部90a,b,c,dが形成されたものである。
【0136】
次に本実施形態の本体装置3の各構成部材の位置関係について説明する。本体装置3では、
図19,20,24,25の様に、振動台20と中間台22の間に加振手段21a,21bが設けられている。
本実施形態では、振動台20と加振手段21a,21bとの間に、接続板91a,91bが介在され、接続板91a,91bを介して加振手段21a,21bの接続片72aと振動台20が取り付けられている。
一方、中間台22と加振手段21a,21bとの間は、直接的に接続されている。
本実施形態では、振動台20と中間台22の双方に傾斜面67a,b、傾斜面78a,bがあり、加振手段21a,21bは、両者の傾斜面67a,b、傾斜面78a,bに取り付けられている。
【0137】
より具体的には、加振手段21a,21bの上部側の接続片72aと、接続板91a,91bとが二個の押さえブロック93a,bで挟まれ、両者の間にネジ99aが挿通されて加振手段21a,21bと接続板91a,91bとが固定されている。
さらに接続板91a,91bが、振動台20の傾斜面67a,bに接せられ、押さえブロック93c及びネジ99bによって振動台20の傾斜面67a,bに取り付けられている。
【0138】
一方、加振手段21a,21bの下方側は、接続片72bが、中間台22の傾斜面78a,bに接せられ、押さえブロック93d及びネジ99cによって中間台22の傾斜面78a,bに取り付けられている。
【0139】
本実施形態においては、振動台20と中間台22との間には、加振手段21a,21bが存在しており、加振手段21a,21b以外の部位では振動台20が支持されていない。そのため振動台20は、加振手段21a,21bによって、中間台22から中空に支持された構造となっている。
【0140】
また中間台22の下部には、防振台23が配されている。両者の位置関係を説明すると、
図22,23,24の様に、防振台23の中央に設けられた凸条80が、中間台22の空洞部75に入り込んでいる。ただし、凸条80の天面81と、中間台22の空洞部75内面とは接していない。即ち中間台22と防振台23は入り組んでいるものの、機構学的には
図1で示す構造と同一であり、凸条80の天面81と、中間台22の空洞部75内面とは接していない。
【0141】
また中間台22の4個の突出部77a,b,c,dの直下に防振台23の中間台支持部83a,b,c,dがあり、両者の間が防振部材40で接続されている。
防振部材40は、防振機能と制振機能を兼ね備えた部材であり、図の様に、バネ38と制振ゴム96とが組み合わされたものである。
即ち中間台22の4個の突出部77a,b,c,dには、
図23に示す様に下側に開口する丸穴85が設けられており、バネ38の大部分は中間台22の丸穴85内に入り込んでいる。
本実施形態では、中間台22と防振台23の間を接続する部材は、前記した防振部材40以外には無い。そのため中間台22は、防振部材40によって防振台23から中空に支持された構造となっている。
前記した通り、中間台22と防振台23は入り組んでいるものの、機構学的には
図1で示す構造と同一であり、中間台22は、防振部材40によって防振台23から中空に支持された構造となっている。
【0142】
また防振台23の下部には、
図22,23,24の様に重量測定手段25が配され、さらにその下部には基礎部材26が配されている。
重量測定手段25は、その大部分が、
図22,24,25の様に、防振台23の中央に設けられた凸条80内にあり、重量測定手段25の上設置面36が防振台23の凸条80の天面81の内面に接続されている。
一方、重量測定手段25の下設置面37は基礎部材26に取り付けられている。
前記した様に、上設置面36と下設置面37とは、オフセットした位置にあるから、重量測定手段25の中間部分は、基礎部材26に対して片持ち支持された構造となっており、その自由端側で防振台23を支えている。
本実施形態では、重量測定手段25の大部分が防振台23及び中間台22の内部に入り込んでおり、複雑な位置関係にあるものの、機構学的には
図1で示す構造と同一であり、重量測定手段25の中間部分は、基礎部材26に対して片持ち支持された構造となっており、その自由端側で防振台23を支えている。
【0143】
本実施形態では、防振台23と基礎部材26の間を接続する部材は、前記した重量測定手段25以外には無い。そのため防振台23は、重量測定手段25によって基礎部材26から中空に支持された構造となっている。
また本実施形態では、重量測定手段25は、その大部分が、
図24、
図25の様に、防振台23の中央に設けられた凸条80内にあり、且つ防振台23の中央に設けられた凸条80は中間台22の空洞部75内にあるから、高さ方向の関係では、重量測定手段25はその大部分が、中間台22の中に入り込んでいると言える。
そのため本実施形態では、重量測定手段25の高さが本体装置3の全高に与える影響が小さく、本体装置3の全高が低い。
【0144】
また基礎部材26は、先の実施形態と同様に防振部材41を介して散薬分配装置202の分配皿212の近傍に取り付けられている。
即ち、基礎部材26の四隅の部分が切り起こされてバネ支持部90a,b,c,d(
図19)が形成されており、当該バネ支持部90a,b,c,dの下面と、散薬分包装置202のベース等とが、防振部材41を介して取り付けられている。なお防振部材41は、バネ84(
図20)と、防振ゴム(図示せず)によって構成されている。
【0145】
次に本実施形態の薬剤フィーダ50の機能について説明する。
薬剤フィーダ50の機能は、概ね前記した薬剤フィーダ1と同一であり、振動台20に内蔵された電磁石30a,30bに通電して薬剤容器2A,2B,2C,2D,2Eを振動台20に固定し、薬剤容器2A,2B,2C,2D,2Eを振動させて散薬を排出させる。以下、薬剤容器2C(
図12)を使用する場合を例として説明する。即ち第3形態たる蓋が有るタイプの薬剤容器2Cを使用する場合を例として説明する。
本実施形態においても、電磁石30a,30bの磁力によって薬剤容器2Cを振動台20に固定する。ここで薬剤容器2Cは、前記した
図11の様に薬剤排出部8側に段部121があり、周壁下面12Cは、段部121を境として上段部123と下段部122に分かれている。そして鉄板部6Cは、容器本体5Cの外周面側であって周壁下面12Cの上段部123に対応する部位に接着されている。
そのため本実施形態では、
図11の様に、薬剤容器2Cにおける容器本体5Cの周壁下面12Cの上段部123が、電磁石30a,30b(
図2)の磁力によって振動台20に固定される。
また薬剤容器2Cの形状及び振動台20の形状は、先の実施形態と相違するので、薬剤容器2Cは特有の挙動をする。
【0146】
即ち、本実施形態においても、ロボットのハンド(図示せず)等で、薬剤容器2Cが搬送されることとなる。
搬送される際に、薬剤容器2Cは、当初の縦姿勢から、
図11、
図26(a)の様な横姿勢に姿勢変更されて、本体装置3に近接する。
このとき、
図1のロボット43によって、薬剤容器2Cの軸線BCと、本体装置3の軸線MCが極力一致する様にハンド45の姿勢が制御されるが、両者を常に完全に一致させることは困難であり、
図26(b)の様に、両者がずれる場合がある。
【0147】
そして薬剤容器2Cの軸線BCと、本体装置3の軸線MCがずれた状態で、薬剤容器2Cが振動台20に設置されるが、本実施形態では、薬剤容器2Cの底近傍に設けられた鉄板部6Cに、傾斜周壁当接部56aC,56bCがあり、略テーパ状を呈している。
一方、振動台20にも前記した様に載置面61に縁部66が設けられ、略テーパ状を呈している。
そのため薬剤容器2Cが振動台20に設置されると、前記テーパによりガイドされ、薬剤容器2C側の傾斜周壁当接部56aC,56bCと、
図27の様に、振動台20の傾斜面68が合致する傾向となる。
【0148】
加えて本実施形態では、薬剤容器2Cの後端近傍に突起16Cが設けられている。一方、本実施形態の薬剤フィーダ50では、センサーブラケット70のセンサー保持部69と振動台20の短辺側側面63bの間に嵌合凹部108がある。そのため本実施形態では薬剤容器2Cが振動台20に設置されると、薬剤容器2Cの突起16Cが本体装置3側の嵌合凹部108と嵌合する。
【0149】
そのため薬剤容器2Cの姿勢が修正されて、
図27(b)の様に薬剤容器2Cの軸線BCと、本体装置3の軸線MCとが近づく。ただし、薬剤容器2Cの傾斜周壁当接部56aC,56bCと、振動台20の傾斜面68が完全に一致せず、
図27(a)の様に、薬剤容器2Cの傾斜周壁当接部56aC,56bCと、振動台20の傾斜面68が一致しない部位Dができてしまう場合もある。この場合には、
図27(b)の様に薬剤容器2Cの軸線BCと、本体装置3の軸線MCとはわずかにずれる。
【0150】
この状態で、電磁石30a,bに通電すると、薬剤容器2Cの周壁下面12Cに設けられた平面状の周壁下面当接部55Cが、電磁石30a,bに吸着され、周壁下面当接部55Cが振動台20側に引き寄せられ、周壁下面当接部55Cが振動台20の載置面61に密着する。そしてその時に受ける力によって薬剤容器2C及び振動台20のテーパ形状が合致し、
図28(b)の様に、薬剤容器2Cの軸線BCと、本体装置3の軸線MCとが一致する。
【0151】
また薬剤容器2Cの周壁下面当接部55Cが振動台20の載置面61に密着するので、薬剤容器2Cの水平姿勢についても確保される。
【0152】
なお本実施形態では、載置面61の四隅に設けられた接触センサー33a,b,c,dが互いに導通することを条件として、薬剤容器2Cと振動台20の密着度合い及び薬剤容器2Cの姿勢が正常であると判断する。
【0153】
本実施形態の薬剤フィーダ50においても、薬剤容器2Cを振動台20に固定した後に薬剤容器2Cを振動させて散薬を排出させるが、このとき振動によって薬剤容器2Cについても前進方向に力を受ける。しかしながら、本実施形態の薬剤フィーダ50では、薬剤容器2Cの後端部に設けられた薬剤容器2Cの突起16Cが本体装置3側の嵌合凹部108と嵌合しているので、薬剤容器2C自体が軸方向に移動することはない。
【0154】
また本実施形態では、薬剤容器2C内の薬剤が薬剤排出部8C側に向かって進む際、薬剤は、
図16に示す傾斜板部141の櫛状142の部分と、整流コイル126を通過し、整流コイル126を横切って線の隙間を通る。そのため薬剤の流れが平滑化する。また薬剤の塊が存在していても、櫛状142の部分と、整流コイル126を通過する際に当該塊が崩壊し、粉状に戻る。
【0155】
以上、第3形態の薬剤容器2Cを使用した場合を例に薬剤フィーダ50の動作を説明したが、第4形態の薬剤容器2Dを使用しても同様の動きをする。
ただし第3形態の薬剤容器2Cに代わって第4形態の薬剤容器2D(
図34)を使用すると、薬剤容器2Dに先に充填された薬剤が優先的に排出されるという効果がある。
第4形態の薬剤容器2Dは、蓋部材120Dを外して内部に薬剤を充填するから、縦姿勢で薬剤が投入される。そのため投入された薬剤は、容器本体5Dの底面10D側から堆積されて行く。
一方、薬剤を排出する際には、
図42の様に薬剤容器2Dを横姿勢に寝かせる。ここで第4形態の薬剤容器2Dでは、周壁下面12Dの内面側であって、奥側部分に傾斜部181a,bがある。そのため、
図42の様に、先に薬剤容器2Dに投入され、容器本体5Dの底面10D側に堆積していた古い薬剤層360が、新しい薬剤層361の下に回り込む。そのため、古い薬剤層360の薬剤が、新しい薬剤層361の薬剤に混じって排出される。
【0156】
さらに、薬剤が振動によって移動する際、古い薬剤層360の薬剤は、新しい薬剤層361の下を流れる。
ここで、2層の薬剤が、共に移動し、櫛状整流部材130Dの位置に至った際、2層の上部側は、
図42の様に櫛状整流部材130Dの板状の部位362でかきあげられる。特に、櫛状整流部材130Dは、全体的に傾斜姿勢であるから、櫛状整流部材130Dの板状の部位362で2層の上部側が鋤上げられ、さらに矢印の様に底面10D側に戻される。そのため、下層側を移動する古い薬剤層360が優先的に排出され、薬剤容器2D内における薬剤の先入れ先出しの流れを実現することができる。
【0157】
次に、薬剤フィーダ50の周辺機器について説明する。
本実施形態の薬剤フィーダ50は、散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置100の一部を構成するものである。
薬剤払出し装置100の全体構造は、例えば
図30に示す様なものである。薬剤払出し装置100は、機能上、上下方向に薬剤棚部領域103と、薬剤分割領域105と、薬剤包装領域106とに分けられる。
最上部の薬剤棚部領域103は、周囲に薬剤容器収納棚101が並べられており、その内部に薬剤容器移動装置102が設けられている。
薬剤棚部領域103は、図示しない除湿装置で除湿されている。また薬剤棚部領域103の内部には図示しない集塵装置が設けられており、薬剤棚部領域103内の塵が除去される。例えば薬剤棚部領域103に、送風ファンを設け、送風ファンによって薬剤棚部領域103内の空気を循環させる。そして送風ファンの吸気側等、一定の通気経路にフィルターを設け、薬剤棚部領域103を浮遊する塵等を除去する。
【0158】
薬剤容器移動装置102は、上下昇降軸110と、水平移動アーム180と、薬剤容器2Cを保持するハンド部112とを有している。水平移動アーム180は、
図30の様に2箇所に関節168,169を有している。ハンド部112は、薬剤容器2Cの姿勢を変更することができる。なお薬剤容器移動装置102では、電磁石170のハンド部112を採用している。即ち
図30、
図31に示すように、水平移動アーム180の先端に電磁石170が設けられている。
【0159】
薬剤分割領域105には、散薬分配装置202が設けられている。本実施形態では、散薬分配装置202は、分配皿212を2枚、有している。散薬分配装置202には、本実施形態の薬剤フィーダ50が複数台設置されている。本実施形態では、各分配皿212に薬剤フィーダ50が複数設置されている。より具体的に説明すると、各分配皿212に薬剤フィーダ50が3台ずつ設置されている。各薬剤フィーダ50は、各分配皿212に対して接線方向に取り付けられている。なお、薬剤フィーダ50の各分配皿212に対する取付け角度は、接線方向に限定されるものではないが、薬剤フィーダ50を、各分配皿212に対して接線方向に取り付けることにより、薬剤の分配精度が高まる効果がある。また薬剤容器移動装置102で薬剤容器2Cを保持し、薬剤容器2Cを振動台20に固定する際や、振動台20から薬剤容器2Cを取り外す際に、薬剤容器移動装置102の無駄な動作が少なくなるという効果が期待できる。
薬剤包装領域106には、薬剤包装装置203が内蔵されている。
また薬剤払出し装置100には、処方箋を読み取る処方箋読み取り手段46と、各機器の動作を制御する制御装置47とを備えている。
【0160】
また薬剤包装領域106の外壁側には、
図29の様な、薬剤容器投入口151が設けられている。薬剤容器投入口151の内部には、ロードセル等の重量測定手段152と、読み取り装置(図示せず)が設けられている。読み取り装置には、バーコードリーダやRFID(Radio Frequency IDentification)リーダ等が採用可能である。
薬剤容器投入口151に薬剤容器2Cをセットすると、内部で薬剤容器2Cの総重量が測定され、制御装置47のメモリーに記憶される。またバーコードリーダ等によって薬剤容器2Cに設けられた図示しないバーコード等を読み取り、薬剤容器移動装置102によって薬剤棚部領域103の所定の位置に薬剤容器2Cを搬送し、保管する。
ここで本実施形態では、薬剤容器移動装置102が電磁石170のハンド部112を有している。本実施形態では、
図31の様に電磁石170を薬剤容器2Cの運搬用鉄板部157に近接させ、その後に電磁石170に通電して運搬用鉄板部157を吸着し、薬剤容器2Cを保持して移動させる。
【0161】
なお第2形態の薬剤容器2B(
図9)の様な、2面開放型の容器であって蓋が無く且つ水平姿勢とした際に、天面に相当する部位が大きく開放されたタイプの薬剤容器2Bを使用する場合には、別途調剤台等で計量した、あるいは未計量の薬剤を、薬剤容器2Bの開放された上部側(水平姿勢にした場合の上部側)から投入した後に、薬剤容器投入口151にセットする。第2形態の薬剤容器2Bがセットされた場合には、薬剤容器2Bの総重量を測定し、制御装置47のメモリーに記憶した後、薬剤容器移動装置102によっていずれかの薬剤フィーダ50に直接搬送され、処方情報に基づいた量の薬剤が散薬分配装置202に払い出される。
【0162】
薬剤払出し装置100全体の制御は、概ね
図32のフローチャートの通りである。
以下、薬剤払出し装置100全体の動作を
図32のフローチャートに従って説明する。
【0163】
本実施形態では、
図32に示すように、処方箋読み取り手段46で処方箋の内容が読み込まれることによって全ての動作が開始される。
即ちステップ1で、処方箋の内容が入力されると、ステップ2に移行し、直ちに薬剤容器2Cの搬出作業が開始される。より具体的には、薬剤容器移動装置102が駆動され、薬剤棚部領域103に配置された多数の薬剤容器2の中から、処方箋に合致する薬剤が収容された薬剤容器2を選定し、薬剤フィーダ50の本体装置3に設置する。なおこの際に、図示しない押圧片によって、可動蓋部134の摘まみ部147が押圧されて可動蓋部134が開かれ、開状態維持用の磁石156の吸着力によって可動蓋部134が開かれた状態が維持される。
【0164】
そしてステップ3に移行して、電磁石30a,bに通電し、薬剤容器2Cを振動台20に固定する。
その後、ステップ4に移行し、タイマーの計時を開始する。このタイマーは、薬剤容器2Cが正常に設置されたか否かを判断するための時間を規定するものであり、例えば1秒程度のごく短いものである。
タイマーが計時を終えるまでに、接触センサー33a,b,c,d間のすべてに通電が確認されたら(ステップ5でYES)、薬剤容器2Cが正常な姿勢で設置されたものと判断し、ステップ6に移行する。一方、一定時間の間待っても、接触センサー33a,b,c,dが接触を確認できない場合(ステップ12)には、振動台20上に異物がある等の異常である可能性が高いので、ステップ13に移行して一連の動作がリトライされる。より具体的には、電磁石30a,bの通電を停止し、薬剤容器移動装置102を駆動してハンド部112で薬剤容器2Cを掴み直して持ち上げ、薬剤容器2Cを再度薬剤フィーダ50の本体装置3に設置してステップ3以降の動作を再試行する。
【0165】
一回目の試行あるいは再度の試行により、ステップ5による通電が確認され、ステップ6に移行した場合には、薬剤容器2Cの重量測定を開始する。即ち、薬剤容器2Cの原重量Gを測定するとともに記憶し、さらに薬剤容器2Cの現重量gを監視する。
【0166】
そしてステップ7に移行し、振動台20の振動を開始するともに、散薬分配装置202の分配皿212を回転させる。
【0167】
そしてステップ8に移行して、タイマーの計時を開始する。続くステップ9で一定時間あたりの薬剤容器2Cの重量変化を監視しつつ、ステップ10で、所定量の散薬が払い出されるのを待つ。
即ち薬剤容器2Cの重量変化を監視し、ステップ9で、一定時間あたりに少なくとも一定以上の重量低下が続いていることを確認する。一定時間あたりに少なくとも一定以上の重量低下が続いているならば、正常に薬剤容器2Cから薬剤が落下しているので、ステップ10に進み、ステップ10で所定量の散薬が払い出されたか否かを確認する。散薬の払い出し量が足りない場合にはステップ9に戻る。こうしてステップ9,10で薬剤の落下を確認しつつ、所定量の散薬が払い出されるのを待つ。
即ち、ステップ10で薬剤容器2Cの原重量Gと、現重量gの差が、所望の払い出し量となるのを待つ。そして所望の払い出し量に達すれば、ステップ11に移行して、振動台20の振動を停止する。
【0168】
その後の工程は、公知の薬剤払出し装置100と同一であり、薬剤を分割して掻き出し、個別に包装する。
【0169】
また所望の払い出し量に達するまでの間に、薬剤容器2Cの重量低下が停止しているならば、散薬の落下継続が確認できず、薬剤容器2C内の散薬が不足していると予想されるから、ステップ14に移行し、散薬が不足していることを示すエラー表示をして一連の工程を終了する。
【0170】
一連の排出工程や包装工程が終了すると、電磁石の通電を停止し、薬剤容器移動装置102を動作させて薬剤容器2Cを元の位置に戻す。
ここで、本実施形態の薬剤払出し装置100の特有の構成として、薬剤容器移動装置102を動作させて薬剤容器2Cを元の位置に戻す際に、薬剤容器2Cの総重量を再計量する。より具体的には、薬剤容器2Cを元の位置に戻す際に、薬剤容器2Cを一旦薬剤容器投入口151に運び、薬剤容器投入口151に設けられた重量測定手段152に薬剤容器2Cを載せて薬剤容器2Cの総重量を再計量する。
【0171】
そして当初(今回の薬剤排出の直前)の薬剤容器2Cの総重量と、薬剤排出後の薬剤容器2Cの総重量とを比較する。そして両者の差が前記した工程の際に排出された薬剤の払い出し量と合致することを確認する。即ち排出量の確認工程を実施する。
あるいは、薬剤容器投入口151に設けられた重量測定手段152による薬剤容器2Cの重量と、薬剤フィーダ50で計測された薬剤排出後の薬剤容器2Cの重量とを比較し、両者が一致することを確認する。即ち薬剤フィーダ50の重量測定手段25が正確であるか否かの検定工程を実施する。
そして薬剤容器2Cの総重量を再計量した結果、薬剤容器2Cの総重量が正常であるならば、薬剤容器移動装置102を動作させて薬剤容器2Cを元の位置に戻す。もし薬剤容器2Cの総重量に異常があれば、直ちに警報を発して薬剤師に報知する。
【0172】
次に2面開放型たる第2形態の薬剤容器2B及び第5形態の薬剤容器2Eの使用方法について説明する。
第2,第5形態の薬剤容器2B、2Eは、手動で散薬等の分包を行う場合に使用するものである。即ち使用頻度の少ない薬剤や、毒性が強い薬剤、吸湿性が高いとか高温に弱いという等の理由から薬剤払出し装置100の薬剤容器収納棚101に保管することが適切ではない薬剤が存在する。あるいは、錠剤やカプセルを潰して処方することが必要な場合もある。
この様な場合には、薬剤フィーダ50の振動台20に第2,第5形態の薬剤容器2B、2Eを固定し、開放された上部側から大雑把な量の薬剤を薬剤容器2B、2Eに投入する。第5形態の薬剤容器2Eを使用する場合には、大蓋301を外して開口300を開き、開口300から薬剤を投入する。その後に、薬剤容器2Bの重量測定を行う。即ち、薬剤容器2B、2Eの原重量Gを測定するとともに記憶し、さらに薬剤容器2B、2Eの現重量gを監視する。
その後に振動台20の振動を開始するともに、散薬分配装置202の分配皿212を回転させ、薬剤容器2B、2Eの原重量Gと、現重量gの差が、所望の払い出し量となるのを待つ。そして所望の払い出し量に達すれば、振動台20の振動を停止する。
【0173】
以上説明した実施形態では、薬剤フィーダ1,50を利用して散薬分配装置202の分配皿212に散薬を供給したが、薬剤フィーダ1,50から直接、薬剤包装装置203に散薬を供給してもよい。
また本発明の薬剤フィーダ1,50を利用して錠剤やカプセルを供給することも考えられる。
【0174】
以上説明した実施形態では、薬剤フィーダ1,50では、振動台20の四隅に、接触センサー33a,b,c,dを設けたが、接触センサーの個数は任意である。ただし、振動台20が薬剤容器2A,2B,2C,2D,2Eの底と密接しているか否かを判断するためには、少なくとも、振動台20の長手方向に2個以上の接触センサーが設けられていることが望ましい。また薬剤容器2A,2B,2C,2D,2Eの軸線と、振動台20の軸線とが一致していることを確認する為には、少なくとも、振動台20の幅方向に2個以上の接触センサーが設けられていることが望ましい。
【0175】
以上説明した実施形態では、振動台20に設置直後の薬剤容器2Cの重量を原重量Gとして記憶し、薬剤容器2Cの現在の重量は、現重量gとし、両者の差を散薬の排出量としたが、重量測定手段25の全検知重量から散薬の排出量を求めてもよい。即ち振動台20等の機器の重量を含む重量であって薬剤容器2A,2B,2C,2D,2Eが振動台20に設置された直後の重量測定手段25の検知重量を原重量Gとし、散薬排出中の重量測定手段25の検知重量を現重量gとし、両者の差を散薬の排出量としてもよい。
【0176】
以上説明した実施形態では、容器保持手段として電磁石30a,30bを採用し、電磁石30a,30bで薬剤容器2を直接的に吸着させる構成を採用した。即ち以上説明した実施形態では、磁力を利用した容器保持手段を採用した。
しかしながら本発明は、この構成に限定されるものではなく、他の機械的手段によって薬剤容器2を保持してもよい。例えば、ソレノイドや小型モータ、あるいはエアシリンダー等によって何らかの係合部材や嵌合部材を動作させ、薬剤容器2を機械的に保持する構成も採用可能である。
【0177】
また上記した実施形態では、電磁石30a,30bに通電して薬剤容器2を振動台20に固定したが、永久磁石を利用するか、あるいは永久磁石と電磁石とを併用して薬剤容器2を振動台20に固定してもよい。
具体的に説明すると、電磁石30a,30bに代わって無励磁式電磁石や自己保持ソレノイドと称される構造の磁石を容器保持手段として採用する。
上記した自己保持ソレノイド等は、永久磁石と電磁石とを併用したものであり、常時は主に永久磁石によって吸着力を発揮している。そして自己保持ソレノイド等から磁着されたものを離脱させる場合に電磁石に通電し、永久磁石とは逆方向の磁力を発生させる。
あるいは、吸着時にも電磁石に通電して永久磁石と同一方向の磁力を発生させ、離脱時には、逆方向の電流を流して永久磁石とは逆方向の磁力を発生させる。
【0178】
電磁石30a,30bと自己保持ソレノイドの形状は類似しているから、本体装置3の形状は、自己保持ソレノイドを採用した場合でも前記した
図19乃至
図25と同一である。
図19乃至
図25及び
図32を援用し、容器保持手段を自己保持ソレノイド30a,30bとして説明する。
自己保持ソレノイド30a,30bを使用する場合には、前記したステップ2で、薬剤容器2の搬出作業を開始する際に、自己保持ソレノイド30a,30bに通電し、磁力の発生を抑制しておく。
そして先の実施形態と同様、薬剤容器2の搬出作業が開始される。多数の薬剤容器2の中から、処方箋に合致する薬剤が収容された薬剤容器2Cを選定し、薬剤フィーダ50の本体装置3に設置する。
【0179】
そして自己保持ソレノイド30a,30bに対する通電を停止し、永久磁石の磁力を発揮させて薬剤容器2を振動台20に固定する。
以下の工程は、前記した実施形態と同一であるが、薬剤容器2を振動台20から離脱させる際に、再度自己保持ソレノイド30a,30bに通電し、永久磁石の磁力を打ち消す。
自己保持ソレノイド30a,30bは、通電していない状態で吸着力を維持するので、電磁石30a,30bを使用する構成に比べて消費電力が少ない。その点で、電磁石30a,30bを採用する構成よりも自己保持ソレノイド30a,30bを採用する構成の方が優れている。
また自己保持ソレノイド30a,30bは、消費電力が少なく、発熱量が小さい。そのため薬剤容器2内の薬剤に与える影響が小さいという点でも推奨される。
【0180】
以上説明した実施形態では、薬剤容器2C側に突起16Cを設けて本体装置3側に係合させ、薬剤容器2Cが前進することを阻止したが、本体装置3側に突起を設けて薬剤容器2A,2B,2C,2D,2E側の一部に係合させたり、薬剤容器2に凹部を設ける構成も有効である。
【0181】
以上説明した実施形態では、防振部材40,41として、バネと制振ゴムとを組み合わせたものを例示したが、バネ単体による防振部材を採用してもよく、樹脂等だけで作られた防振部材を採用してもよい。
【0182】
以上説明した実施形態では、中間台22と防振台23との間に防振部材40を設けて、防振台23に振動が伝わらないように工夫したが、この構成に加え、あるいはこの構成に代えて、ソフトウエアによって、振動の影響を除去することも推奨される。例えば、重量測定手段25の検出値をフーリエ変換して振動の影響を除く方法が考えられる。
【0183】
以上説明した実施形態では、薬剤容器投入口151に設けられた重量測定手段152を使用して薬剤容器2Cの総重量を再計量したが、他の部位に重量測定手段を設けて薬剤容器2Cの総重量を再計量してもよい。また薬剤の排出に使用した薬剤フィーダ1,50から別の薬剤フィーダ1,50に薬剤容器2Cを載せ換えて総重量を再計量してもよい。即ち再計量することにより、万一、計量値に何らかの異常があると発見できた場合には、比較したいずれかの重量測定手段25,152の故障を検知することにもつながることになる。
また再計量する工程は必須ではなく、これを省略してもよい。
【0184】
以上説明した実施形態では、薬剤容器2Cの原重量Gと、現重量gの差が、所望の払い出し量となった後に振動台20の振動を停止する構成を採用したが、タイムラグを考慮して原重量Gと、現重量gの差が、所望の払い出し量よりも僅かに少ない状態で振動台20の振動を停止することも推奨される。
【0185】
また以上説明した実施形態では、薬剤容器2Cの重量が減少していくことを監視し、薬剤が落下し続けていることを確認したが、別途散薬落下センサーを設け、散薬落下センサーを利用して薬剤が落下し続けていることを確認してもよい。
【0186】
以上説明した実施形態では、容器移動手段は、薬剤容器2を掴むタイプのハンド45(
図1)を有するものや、電磁石を利用したハンド部112(
図30)を有するものを採用した。前者のハンド45はハンド45自体がアームから独立して動作するものである。後者のハンド部112は、ハンド部112自体はアームと一体であって相対動作せず、物理的な吸着によって薬剤容器2を保持するものである。
他に物理的な嵌合又は係合によって、薬剤容器2を保持するハンドが考えられる。
例えば
図33に示す薬剤容器2Fと、ハンド172の組み合わせの様に、両者を相対移動させることによって係合する。
即ち薬剤容器2Fは、
図33に示す様に、周壁上面51Dにガイドレール173が設けられている。ガイドレール173は、両面に係合溝174を有している。
一方のハンド172には、断面形状が「C」形の溝175が設けられている。溝175は、長手方向の先端側が図の様に開放されている。また溝175の長手方向の後端は閉塞している(図示せず)。
ハンド172の溝175の断面形状は、ガイドレール173の断面形状に近似しており、両者は係合可能であり、係合した状態においては、両者は直線的にのみ移動可能であって、離反することはできない。
ハンド172は、ロボットアームに一体的に取り付けられている。
【0187】
図33に示すハンド172で薬剤容器2Fを保持する場合には、ロボットアームを動作させて、ハンド172を薬剤容器2Fに近づけ、溝175の開口端にガイドレール173の端部を合致さる。そしてロボットアームを直線的に移動させて、溝175にガイドレール173を挿入する。その結果、薬剤容器2Fは、ガイドレール173に沿った方向にしか自由度を持たない状態となり、実質的にハンド172に保持されることとなる。
【0188】
また本体装置3は、電磁石30a,30bや、自己保持ソレノイド30a,30b、加振手段(圧電素子)等の通電する部材が有り、発熱しやすい。発熱が薬剤容器2内の薬剤に影響を及ぼす懸念がある場合には、本体装置3を冷却する冷却手段を設けることが望ましい。
冷却手段の例としては、
図46の様に本体装置3に冷却用のフィン305を設けたり、近辺に送風機306を設ける構成が考えられる。
【0189】
またより発展させた構成として、振動台20の振動パターンを薬種や排出時期、総排出量に応じて変更することができる構成が推奨される。
薬剤は、種類によって粒子径や吸湿性がまちまちである。そのため振動台20を振動させた際、薬剤容器2内の薬剤の挙動は、薬剤によって異なる。
振動を受けたとき、整流化して流れ易い薬剤と、整流化し難い薬剤がある。また一振動で移動する量は、薬剤の種類によって異なる。
また薬剤の排出初期は、薬剤の排出量が安定しないという問題がある。
【0190】
そこで、単位時間当たりの振動数(周波数)や、振幅の大きさを変更可能な構成とし、薬種や排出時期、総排出量に応じて、周波数や振幅の大きさを変える。
例えば、薬剤の排出容易性を予め実験し、薬剤フィーダ1,50で排出予定の全ての薬剤を複数段階に区分する。これを例えば、「流れ係数」と称し、薬剤を流れ係数1から流れ係数3に区分する。
また薬剤の総排出量によって、排出量レベルを複数段階に分ける。例えば排出量を20グラムごとに区分し、「排出量20、排出量40、排出量60」という様に称することとする。
また振動の周波数と振幅に応じて、振動レベルを複数段階に分ける。これを例えば「振動レベル1、振動レベル2」という様に称し、例えば振動レベル1(最小振動)から振動レベル20(最大振動)まで変化できるものとする。
【0191】
そして「流れ係数」と「排出量」によって適切な振動レベルを選択する。また振動レベルは、排出初期における振動レベルと、安定期における振動レベルを区別する。
例えば、「流れ係数1」という様に排出され易い薬剤であり、且つ「排出量20」という様に総排出量が少ない場合は、振動レベル3という様にゆっくりとした振動で振動を開始し、一定の時間が経過すると、振動レベル10という様に強めの振動に切り換える。あるいは、振動レベル10という様に強めの振動を中心として、単位時間あたりの排出量hが一定となる様に、振動台20の振動強度をフィードバック制御する方式に切り換える。
【0192】
また「流れ係数3」という様に排出され難い薬剤であり、且つ排出量80という様に総排出量が多い場合は、振動レベル11という様に強めの振動で振動を開始し、一定の時間が経過すると、振動レベル15という様にさらに強い振動に切り換える。あるいは、振動レベル15という様に強めの振動を中心として、単位時間あたりの排出量hが一定となる様に、フィードバック制御する。
【0193】
また薬剤フィーダ1,50の重量測定手段25が正確であるか否かを検定する検定機能を付与することが望ましい。
例えば重量が既知の分銅部材を用意し、分銅を薬剤棚部領域103等に設置しておく。そしてロボット43等で分銅部材を振動台20に移動させ、重量測定手段25で分銅部材の重量を測定する。測定値が分銅の重量と一致すれば重量測定手段25は正確であり、違っておれば重量測定手段25の故障である。
また分銅部材として、薬剤容器2そのものを活用することもできる。例えば薬剤容器2に無害の粉や粒状物を入れておき、その重量を予め測定しておく。分銅部材として利用する薬剤容器2は、他の薬剤容器2と共に薬剤棚部領域103等に設置しておく。そして必要に応じてロボット43等で分銅用の薬剤容器2を移動させ、振動台20に設置し、重量測定手段25の検定を行う。
【0194】
薬剤棚部領域103に薬剤容器2を設置する方策は任意であるが、例えば
図47の様に、垂直壁320と載置台323を複数設けた薬剤棚328が考えられる。垂直壁320には、上部係合部325が設けられ、載置台323には下部係合部326が設けられている。上部係合部325と、下部係合部326は、図示しない付勢部材によって突出した状態を維持している。
本実施形態は、採用する薬剤容器2は、第4形態の薬剤容器2Dの構成に加えて、蓋部材120Dに係合突起370が設けられている。また薬剤容器2Dの後端部に窪み371がある。
上部係合部325は、薬剤容器2Dの蓋部材120Dを押しつけることにより、図の様に矢印の様に上方に回動する。下部係合部326は、薬剤容器2の鉄板部6を押しつけることにより、載置台323の中に没する。
薬剤棚328に薬剤容器2Dを押しつけると、上部係合部325と、下部係合部326は、付勢部材の力に抗して逃げる。そして薬剤容器2Dが所定の位置に至ると、上部係合部325が図示しない付勢部材によって復帰し、蓋部材120Dの係合突起370と係合する。また下部係合部326が図示しない付勢部材によって復帰し、薬剤容器2Dの後端部の窪み371に係合する。
薬剤容器2Dを取り出す場合は、ロボット43等で薬剤容器2Dを保持し、薬剤棚328から引き離す。その際、上部係合部325と、下部係合部326は、付勢部材の力に抗して逃げ、係合が解ける。
【0195】
また例えば
図48の様に、垂直壁340と載置台343を複数設けた薬剤棚345が考えられる。垂直壁340には開口346があり、開口346の中に、突起(保管部側上部係合部)347が上向きに突出している。
また載置台343には、保管部側下部係合部348が設けられている。保管部側下部係合部348は、突起である。
本実施形態は、採用する薬剤容器2は、第4形態の薬剤容器2Dの様に後端部に窪み350がある。容器本体5Dの周壁下面12Dに容器側係合部352が設けられている。容器側係合部352の位置は、周壁下面12Dであって中央よりもやや蓋部材120D寄りの位置であり、薬剤容器2Dを振動台20に設置した際、振動台20に当たることはない。容器側係合部352はリング状であって、薬剤容器2Dの長手方向に貫通する四角の孔351が設けられている。
【0196】
本実施形態では、薬剤容器2Dの容器側係合部352を開口346に挿通して、薬剤容器2Dを押し下げ、容器側係合部352の孔351に薬剤棚345の突起(保管部側上部係合部347を差し込むことによって薬剤容器2Dを薬剤棚345につり下げる。
またこのとき、載置台343に設けられた突起(保管部側下部係合部)348が、薬剤容器2の窪み350に係合する。
【0197】
以上説明した薬剤容器2の中で、蓋が有るタイプの薬剤容器2は、蓋部材120を外して薬剤を投入するのが原則であるが、第5形態の薬剤容器2Eは、可動蓋部134Eの取り外しが容易であるから、蓋本体部125Eを外すことなく、薬剤を投入することもできる。その際には、
図45の様に、可動蓋部134Eの部位に漏斗状部材355を装着して作業を行うと薬剤が零れにくい。
【符号の説明】
【0198】
1;薬剤フィーダ、2A,2B,2C,2D,2E,2F;薬剤容器、3;本体装置5;容器本体、6;鉄板部、7;整流部材、8;薬剤排出部、12;周壁下面、13;狭窄開口部、15;収納空間、17;散薬貯留部、18;導出路部、20;振動台、21a,21b;加振手段、22;中間台、23; 防振台、25;重量測定手段、26;基礎部材、30a,30b;電磁石(容器保持手段)、32a,32b;弾性体、33a,b,c,d;接触センサー、35;振動検知センサー、40;防振部材、50;薬剤フィーダ、152;重量測定手段、100;薬剤払出し装置、202;散薬分配装置、212;分配皿