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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005106
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】四足動物載置台
(51)【国際特許分類】
   A01K 13/00 20060101AFI20240110BHJP
   A01K 15/04 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A01K13/00 Z
A01K15/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105133
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】村上 晃浩
(72)【発明者】
【氏名】大河原 由梨
(72)【発明者】
【氏名】鳩原 匡人
(57)【要約】
【課題】四足動物の姿勢を好適に保持できるだけでなく、保持された四足動物の体に手を触れやすく、トリミング等の作業性が極めて高い四足動物載置台を提供する。
【解決手段】四足動物載置台1は、前後方向に長い長尺状で板状の本体部10と、本体部10の底面から下向きに突き出された脚部と、を具備し、本体部10の上面部が、四足動物が跨ぐことで頭部から胴体が載置される連続した載置面部11とされており、本体部10からは、左右一対の胴体横支持部が当該本体部10における左右方向に沿って夫々外向きに突き出されており、胴体横支持部には、載置面部11よりも上側に向かって立ち上がる胴体横支持面部63,64が形成され、左右一対の胴体横支持面部63,64同士が当該載置面部11を挟んで互いに対置してなり、さらに、胴体横支持部には、前記本体部10に対する当該胴体横支持部の前後位置を調整できる前後位置調整機構が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に長い長尺状の本体部と、
前記本体部の底面から突き出された脚部と、
を具備し、
前記本体部の上面部が、四足動物が跨ぐことで少なくとも胴体が載置される載置面部である可搬式の四足動物載置台であって、
前記本体部からは、左右一対の胴体横支持部が当該本体部における左右方向に沿って夫々外向きに突き出されており、
前記胴体横支持部には、前記載置面部よりも上側に向かって立ち上がる胴体横支持面部が備えられており、左右一対の胴体横支持面部同士が当該載置面部を挟んで互いに対置してなり、
さらに、前記胴体横支持部には、前記本体部に対する当該胴体横支持部の前後位置を調整できる前後位置調整機構が設けられてなる
ことを特徴とする四足動物載置台。
【請求項2】
前記胴体横支持部には、前記胴体横支持面部同士の離間距離を調整できる離間距離調整機構が設けられてなる
請求項1に記載の四足動物載置台。
【請求項3】
前記胴体横支持部には、前記載置面部に対する前記胴体横支持面部の傾斜角度を調整できる角度調整機構が設けられてなる
請求項1又は請求項2に記載の四足動物載置台。
【請求項4】
前記胴体横支持面部は、前記胴体横支持部に対して回動自在に取り付けられた別部品に形成されてなり、
前記別部品は、前記本体部における左右方向の回動軸を中心として回動自在であり、
前記胴体横支持面部が前記胴体横支持部に対して回動することで、前記載置面部に載置された四足動物の胴体の側部が当該胴体横支持面部に支持された支持状態と、前記胴体の側部が当該胴体横支持面部に支持されない解放状態とに選択的に状態変換自在とされてなる
請求項1又は請求項2に記載の四足動物載置台。
【請求項5】
前記胴体横支持面部は、前記胴体横支持部に対して着脱自在に取り付けられた別部品に形成されてなる
請求項1又は請求項2に記載の四足動物載置台。
【請求項6】
前記胴体横支持面部は、前記四足動物の胴体の側部を支持する枠体に形成されてなり、当該胴体横支持面部には作業用貫通孔が設けられてなる
請求項1又は請求項2に記載の四足動物載置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に小型から中型の四足動物を立った姿勢で安定して保持することのできる四足動物載置台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ペットとしての犬や猫等の小型から中型の四足動物の姿勢を保持することのできる載置台は種々提案されてきている。
【0003】
例えば特許文献1には、浴槽システムに設けられた頭支持台、固定バンド、首固定台、胴サイド安全支持固定台、胴長さ調整台、及び浴槽スタンド回転台を備え、浴槽の底に付着するように設けられるペット用の浴槽スタンドが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ペットの身体の少なくとも一部が挟持される第1保持体と第2保持体とを備えたペット用保持具が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、四足動物が跨って身を預けることのできるベッド本体と、脚部と、動物がベッドからずり落ちてしまうことを防止する保護部とその結束具を備えた動物介護用ベッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007-512830号公報
【特許文献2】特開2020-089289号公報
【特許文献3】特開2007-075035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の載置台にあっては依然として改良の余地があった。すなわち、例えば特許文献1の浴槽スタンドにあっては、胴サイド安全支持固定台の前後位置が固定されているため、固定されるペットの体格によっては胴体横の保持が適切に合致しないおそれがある。
【0008】
また、例えば特許文献2のペット用保持具にあっては、胴体を横から保持する状態は比較的安定するものの、保持されたペットが腹這いの状態になってしまい、腹部を洗浄する等の作業の場合には、別途、補助的な台が必要となる。
【0009】
また、例えば特許文献3の動物介護用ベッドにあっては、保護部によって動物の頭部や胴体を包んでしまうため、外部から動物の体に手を届かせることがほぼ不可能となってしまう。
【0010】
そこで本発明は、ペットの姿勢を好適に保持できるだけでなく、保持されたペットの体に手を触れやすく、トリミング等の作業性が極めて高い四足動物載置台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前後方向に長い長尺状の本体部と、前記本体部の底面から突き出された脚部と、を具備し、前記本体部の上面部が、四足動物が跨ぐことで少なくとも胴体が載置される載置面部である可搬式の四足動物載置台であって、前記本体部からは、左右一対の胴体横支持部が当該本体部における左右方向に沿って夫々外向きに突き出されており、前記胴体横支持部には、前記載置面部よりも上側に向かって立ち上がる胴体横支持面部が備えられており、左右一対の胴体横支持面部同士が当該載置面部を挟んで互いに対置してなり、さらに、前記胴体横支持部には、前記本体部に対する当該胴体横支持部の前後位置を調整できる前後位置調整機構が設けられてなることを特徴とする四足動物載置台である。
【0012】
かかる構成にあっては、前記胴体横支持部によって四足動物の胴体を横から安定して保持できる。また、四足動物の体格に応じて胴体横支持部の前後位置を調整できるため、過度なストレスを与えない利点がある。
【0013】
また、前記胴体横支持部には、前記胴体横支持面部同士の離間距離を調整できる離間距離調整機構が設けられてなる構成が提案される。
【0014】
かかる構成とすることにより、載置される四足動物の体格に応じて胴体横支持部の離間距離を調整できるため、四足動物に対する過度な拘束を排除できる。
【0015】
さらに、前記胴体横支持部には、前記載置面部に対する前記胴体横支持面部の傾斜角度を調整できる角度調整機構が設けられてなる構成が提案される。
【0016】
かかる構成とすることにより、前記胴体横支持面部の傾斜角度を、載置される四足動物の体形に合わせて変更することが可能となる。さらに前記胴体横支持面部を完全に倒して横から四足動物を離脱させることも可能となる。
【0017】
また、前記胴体横支持面部は、前記胴体横支持部に対して回動自在に取り付けられた別部品に形成されてなり、前記別部品は、前記本体部における左右方向の回動軸を中心として回動自在であり、前記胴体横支持面部が前記胴体横支持部に対して回動することで、前記載置面部に載置された四足動物の胴体の側部が当該胴体横支持面部に支持された支持状態と、前記胴体の側部が当該胴体横支持面部に支持されない解放状態とに選択的に状態変換自在とされてなる構成が提案される。
【0018】
かかる構成とすることにより、前記胴体横支持面部を回動させて四足動物を保持する状態としたり、解放する状態としたりすることが可能となる。
【0019】
また、前記胴体横支持面部は、前記胴体横支持部に対して着脱自在に取り付けられた別部品に形成されてなる構成が提案される。
【0020】
かかる構成とすることにより、前記胴体横支持面部を着脱することで、四足動物を保持する状態としたり、解放する状態としたりすることが可能となる。
【0021】
そして、前記胴体横支持面部は、前記四足動物の胴体の側部を支持する枠体に形成されてなり、当該胴体横支持面部には作業用貫通孔が設けられてなる構成が提案される。
【0022】
かかる構成とすることにより、載置された四足動物の胴体に作業者が前記作業用貫通孔を介して触れることができ、作業効率が格段に向上する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の四足動物載置台にあっては、四足動物の姿勢を好適に保持できるだけでなく、載置された四足動物の体に手を触れやすく、トリミング等の作業性が極めて高いという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施例にかかる四足動物載置台の斜視図である。
図2】実施例にかかる四足動物載置台の側面図である。
図3】実施例にかかる四足動物載置台の平面図である。
図4】実施例にかかる四足動物載置台の正面図である。
図5】実施例にかかる四足動物載置台の分解斜視図である。
図6】実施例にかかる高さ調整機構、および高さ調整脚セットを示し、(a)が一番低い状態を示し、(b)が(a)よりも1段高い状態を示し、(c)が(b)よりも一段高い状態を示し、(d)が一番高い状態を示す。
図7】実施例にかかる横支持基部を示し、(a)が平面図であり、(b)が縦断面図であり、(c)が底面図である。
図8】実施例にかかる横支持基部と胴体横支持部との取付状態を示す分解斜視図である。
図9】(a),(b)は、第一の別例における胴体横支持部の態様を示す説明図であり、(c),(d)は、第二の別例における胴体横支持部の態様を示す説明図である。
図10】実施例にかかるクッションセットと頭部用保持具を示す斜視図である。
図11】実施例にかかるクッション部材を示し、(a)は平面図であり、(b)は底面図であり、(c)は(a)のA-A線断面図である。
図12】実施例にかかる頭部用保持具を示す斜視図である。
図13】実施例にかかる頭部用保持具の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
【0026】
可搬式の四足動物載置台1は、図1図5に示すように、前後方向に長い長尺状で板状の本体部10を具備している。本体部10の上面部が、載置面部11とされており、四足動物が跨ぐことで当該載置面部11に四足動物の頭部から胴体が載置される。
【0027】
本体部10は平面視で略しゃもじ形状(図3参照)をなしており、載置面部11は、前側部において四足動物の頭部が載置される幅広の頭部載置面部11aを備えている。頭部載置面部11aの後側には、四足動物の両前足の間の胴体部分が載置される前胴体載置面部11bが連続している。さらに前胴体載置面部11bの後側には、四足動物の両後脚の間の胴体部分が載置される後胴体載置面部11cが連続している。
【0028】
ここで、本実施例における本体部10の前後長は720mmであり、頭部載置面部11aの最大横幅寸法は265mmであり、前胴体載置面部11b及び後胴体載置面部11cの横幅寸法は70mmである。また、本体部10の上下方向の厚み寸法は最大で把持可能な54mmとされており、横幅寸法よりも厚み寸法の方が小さく設定されている。
【0029】
また、頭部載置面部11aには、後述するクッション部材110が積み重ねられるように、先端側に1個の一側係止孔部13aが設けられており、一側係止孔部13aよりも後側には2個の他側係止孔部13bが設けられている。
【0030】
なお、図2に示すように、載置面部11の上面は傾斜している。すなわち、頭部載置面部11aの上面は、前胴体載置面部11bから離れるに従って上方へ傾斜する傾斜面で構成されている。また、後胴体載置面部11cの上面は、前胴体載置面部11bから離れるに従って上方へ傾斜する傾斜面で構成されている。本実施例における当該傾斜面の傾斜角はそれぞれ7°程度である。
【0031】
また、頭部載置面部11aの底面からは、上端が頭部載置面部11aに取り付けられた杆材で構成されている前脚部21が下向きに突き出されている。ここで前脚部21の軸線は、下方に向かうに従って前方へ傾斜している。具体的には、前脚部21は真下よりも7°程度前方へ傾斜して取り付けられている。
【0032】
なお、杆材には、丸棒、角棒、横断面が楕円形状の棒、及び横断面が異形の棒を含み、また筒状体も含まれる。
【0033】
前脚部21の下端には、左右方向に延びる杆材で構成されている前側接地部22が設けられており、当該前側接地部22が床面に接することとなる。
【0034】
また、後胴体載置面部11cの底面からは、上端が後胴体載置面部11cに取り付けられた杆材で構成されている後脚部31が下向きに突き出されている。ここで後脚部31の軸線は、下方に向かうに従って後方へ傾斜している。具体的には、後脚部31は真下よりも7°程度後方へ傾斜して取り付けられている。
【0035】
後脚部31の下端には、左右方向に延びる杆材で構成されている後側接地部32が設けられており、当該後側接地部32が床面に接することとなる。
【0036】
なお、図3に示すように、左右方向に延びる杆材で構成されている前側接地部22、および後側接地部32の左右方向の幅は、互いに同じであっても、異なっていても良い。ただし、前側接地部22、および後側接地部32の左右方向の幅は、頭部載置面11aの幅(すわなち、本体部10の最大幅)程度の幅であり大きく突出していないことが望ましく、また後胴体載置面部11cの左右の幅以上の幅であることが望ましい。
【0037】
本体部10は、上述の前脚部21、前側接地部22、後脚部31、及び後側接地部32によって床面から所定の高さに持ち上げられ、床面に対して上方向へ離開する。これによって本体部10と床面GL(図2参照)との間には、載置面部11に四足動物が載置された状態で、四足動物の脚部が臨む、及び胴体下の作業用空隙部S1が形成される。前脚部21及び後脚部31が杆材で構成されているために、作業用空隙部S1として大きな空間を獲得することができる。
【0038】
なお、前脚部21、前側接地部22、後脚部31、及び後側接地部32に用いられる杆材には、金属、木材、プラスチックなどの任意の材料を用いることができる。また、強度、重量、及び耐久性の観点から、金属やプラスチックなどが好ましく、特に強度の観点から、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料がより好ましい。また、前側接地部22、及び後側接地部32の先端には、床面との滑りや傷つけ防止のために、硬質、または軟質プラスチックの被覆を施したり、キャップで覆ったりしてもよい。
【0039】
さらに、前脚部21と前側接地部22、及び後脚部31と後側接地部32には、夫々載置面部11の床面GLからの高さを調整できる高さ調整機構40が設けられている。高さ調整機構40を具体的に説明すると、図6に示すように、前脚部21(後脚部31)が内側筒体41及び外側筒体42によって入れ子状に構成されており、外側筒体42には高さ調整孔部44a,44b,44c,44dが上下方向に直線状に配置されている。また、内側筒体41には高さ調整孔部44a,44b,44c,44dのいずれかに係止可能な高さ調整凸部45が設けられている。ここで、高さ調整凸部45を高さ調整孔部44a,44b,44c,44dのいずれかに係止することで、前脚部21(後脚部31)の高さ(長さ)を自在に調整することができる。
【0040】
なお、高さ調整の全ての範囲において、前側接地部22は平面視で本体部10よりも前方へ突き出ることはない。同様に、高さ調整の全ての範囲において、後側接地部32は平面視で本体部10よりも後方へ突き出ることはない。
【0041】
また、前脚部21および後脚部31は、図5に示すように本体部10に容易に着脱可能にネジ23、33でネジ留めされている。なお、図6(a)~(d)に示すような高さ調整脚セットにおいて、それぞれを構成する高さ方向の杆材の長さは異なり、動物の脚の長さに対して高さ調整範囲を変更可能としている。そして、前脚部21および後脚部31を本体部10より容易に着脱できることによって、本体部10の高さ調整を容易に行うことができる。
【0042】
また、本体部10の下面には、横支持基部50が本体部10の前後方向位置を調整自在な前後位置調整機構60によって取り付けられている。以下に、前後位置調整機構60を具体的に説明する。
【0043】
図5図7図8に示すように、横支持基部50には、前後方向に長い第1取付長孔部51,52が形成されており、当該第1取付長孔部51,52に取付ネジ53,54を挿通して横支持基部50を本体部10に取り付ける。この際、第1取付長孔部51,52に対する取付ネジ53,54の位置を調整することで、横支持基部50の本体部10に対する前後位置を調整することができる。
【0044】
横支持基部50には、左右一対の胴体横支持部61,62が離間距離調整機構70によって取り付けられている。離間距離調整機構70を具体的に説明すると、図7図8に示すように、横支持基部50には横方向に長い複数の第2取付長孔部56,57,58,59が設けられている。一側の胴体横支持部61は第2取付長孔部56,57を介して横位置調整自在に取り付けられる。また、他側の胴体横支持部62は第2取付長孔部58,59を介して横位置調整自在に取り付けられる。胴体横支持部61,62は第2取付長孔部56,57,58,59の長孔方向に沿って摺動可能とされている。また図8に示す固定ネジAは、横支持基部50に挿通され、他側に配された固定板Bの中央部に形成されたネジ穴に、当該ネジAを回転させることで締め付け可能に接続されている。さらに固定板Bと横支持基部50との間には、胴体横支持部61,62が挟み込まれており、固定ネジAを回転させて締め付けることで、胴体横支持部61,62の離間距離を任意の位置で固定可能とされている。
【0045】
このように、胴体横支持部61,62は本体部10を挟んで左右方向に沿って夫々外向き又は内向きに離間距離を調整自在に取り付けられている。
【0046】
さらに胴体横支持部61,62には、載置面部11よりも上側に向かって立ち上がる胴体横支持面部63,64が夫々形成されている(図5参照)。胴体横支持面部63,64は載置面部11を挟んで互いに対置している。
【0047】
また、胴体横支持面部63,64は、載置面部11に載置された四足動物の胴体の側部を支持する枠体によって構成されている。そして胴体横支持面部63,64には夫々作業用貫通孔部65,66が設けられている。
【0048】
なお、胴体横支持面部63,64は、例えば第一の別例として図9(a)、図9(b)に示すように、載置面部11に対する傾斜角度を調整自在とするような角度調整機構71としてヒンジ状に胴体横支持部61,62に取り付けられていてもよい。
【0049】
また、胴体横支持面部63,64は、例えば第二の別例として図9(c)、図9(d)に示すように、胴体横支持部61,62に設けられた、本体部10の左右方向を軸とした回軸部80に回動自在に取り付けられた別部材として構成されていてもよい。この場合、胴体横支持面部63,64が胴体横支持部61,62に対して回動することで、載置面部11に載置された四足動物の胴体の側部が胴体横支持面部63,64に支持された支持状態A1と、胴体の側部が胴体横支持面部63,64に支持されない解放状態A2とに選択的に状態変換自在とされる。
【0050】
さらに胴体横支持面部63,64は、例えば胴体横支持部61,62に対して着脱自在に取り付けられた別部材として構成されていてもよい。
【0051】
次に、上述の四足動物載置台1に備えられたクッションセット100について説明する。
【0052】
クッションセット100は、図10図11に示すように、同一形状の複数のクッション部材110を備えている。
【0053】
クッション部材110は、一側の面である表面111と、他側の面である裏面112と、を備えた平板形状を有している。
【0054】
また、クッション部材110には、表面111から裏面112に向かって貫通孔である係止孔部が形成されている。詳述すると、クッション部材110は上下面における面方向において一側部(例えば図11(a)において下側)と他側部(例えば図11(a)において上側)とに区画される。そして一側部には、係止孔部としての一側係止孔部113aが1個設けられている。またクッション部材110の他側部には、係止孔部としての他側係止孔部113bが一側係止孔部113aとは数を異ならせて2個設けられている。
【0055】
さらに、クッション部材110の裏面112(図11(b)参照)には、他のクッション部材110の係止孔部に表面111から挿入されて係止される係止凸部が設けられている。詳述すると、クッション部材110の一側部の裏面112には、係止凸部としての一側係止凸部115aが上述の他側係止孔部113bと同じ数、すなわち2個設けられている。そしてクッション部材110の他側部の裏面112には、係止凸部としての他側係止凸部115bが上述の一側係止孔部113aと同じ数、すなわち1個設けられている。
【0056】
かかるクッション部材110を積み重ねる際には、図1図10に示すように、一側部と他側部との向きを入れ替えて互い違いに積み重ねていく。すなわち、最下段のクッション部材110の一側部を前側とし、他側部を後側とした場合、その上のクッション部材110は他側部が前側となり、一側部が後側となる。このようにして、係止孔部に係止凸部を係止して積み重ねた複数のクッション部材110は、外縁が突出しない外形を有している。言い換えると、クッション部材110は係止孔部及び係止凸部を除いて前後対称形状及び左右対称形状を有している。
【0057】
またここで、クッション部材110は、図1に示すように、四足動物載置台1の頭部載置面部11aの上面に配置して四足動物の頭部が載置される位置を高く調整することができる。すなわち、頭部載置面部11a(図3参照)には一側係止孔部13a及び他側係止孔部13bが設けられており、当該一側係止孔部13a及び他側係止孔部13bに係止可能な一側係止凸部115a及び他側係止凸部115bを備えたクッション部材110を頭部載置面部11a上に位置ずれを抑制しつつ積み重ねることができる。
【0058】
ここで、クッション部材110は、任意の柔軟なプラスチック材料を用いる事ができる。例えば、エチレンプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂などのオレフィン系エラストマーやSEBS樹脂などのスチレン系エラストマーやウレタン系エラストマーなどを用いることができる。さらに、軽量やクッション性の観点から、発泡射出成形や発泡プレス成形などで発泡成形体としクッション部材110を製造することが好ましい。
【0059】
さらに四足動物載置台1には、図1図10図12に示すように、動物の頭部を下から支持する頭部下支持面であるクッション部材110の表面111に自立可能に載置されて動物の頭部を横から保持する頭部用保持具120が備えられている。
【0060】
頭部用保持具120(図12)は、箱型の保持具本体130を備えている。保持具本体130は、クッション部材110の表面111に接触する下面134(図13参照)を備えた基部131と、基部131の上部に固着された支持主体部132と、を備えている。
【0061】
支持主体部132の側面(図13参照)の一つは傾斜面で構成されており、これが動物の頭部を横から支持する頭部横支持面135とされている。なお、頭部横支持面135と保持具本体130の下面134とがなす角度αは鋭角であり、本実施例においてはα=70°である。
【0062】
また、頭部横支持面135とは反対側の面である対面136も傾斜面で構成されており、対面136と保持具本体130の下面134とがなす角度βは鋭角であり、さらに
α≠β
であり、本実施例においてはβ=88°である。
【0063】
かかる保持具本体130の支持主体部132の縦断面形状は、図13に示すように、頭部横支持面を斜辺の一つとした略台形である。
【0064】
また、保持具本体130の下面134と頭部下支持面との摩擦力を増大するための摩擦力増大手段として、基部131は摩擦の大きなゴムやエラストマー素材から構成されており、下面134には水はけをよくするための図示しない微小な溝が複数形成されている。
【0065】
さらに、頭部横支持面135及び対面136にはそれぞれ指掛け溝部141及び指掛け溝部142が形成されている。
【0066】
例えば保持具本体130の材質は、金属、木材、プラスチックなどの任意の材料を用いる事ができる。特に重量や強度の観点から、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、又はABS樹脂など硬質プラスチックが好ましい。また、保持具本体130の製造方法としては、プレス成形、インジェクション成形、真空成型、又はブロー成型など、任意の製造方法を用いる事ができる。さらに、軽量性の観点から、発泡成形で製造しても良い。
【0067】
ここで、本発明にかかる本実施例の特徴となる部分を抽出して以下に記載する。
【0068】
載置面部11の左右両側に胴体横支持面部63,64が互いに対置しているために、載置された四足動物の胴体を横から安定して保持できる。胴体横支持面部63,64は前後位置調整機構60によって前後位置を調整できるため、動物の体格に応じてストレスを与えることなく横から安定して保持できる。
【0069】
さらに胴体横支持面部63,64は離間距離調整機構70によって互いの離間距離を調整できるため、これもまた動物の体格に応じてストレスを与えることなく横から安定して保持できる。
【0070】
胴体横支持面部63,64に角度調整機構71が設けられていると、動物の体格に応じて胴体横支持面部63,64の角度を調整可能とすることができる。また、胴体横支持面部63,64を横に倒してそこから載置された四足動物を離脱させることができる。
【0071】
別例として胴体横支持面部63,64が回動軸80に回動自在に取り付けられた別部材として構成されていると、支持状態A1と解放状態A2とに状態変換することで載置された四足動物を保持したり横から離脱させたりすることができる。
【0072】
また胴体横支持面部63,64を胴体横支持部61,62に対して着脱自在とすることによっても載置された四足動物を保持したり横から離脱させたりすることができる。
【0073】
胴体横支持面部63,64に作業用貫通孔65,66が設けられていることによって、当該作業用貫通孔65,66を介して作業者が動物の胴体に触れることができ、作業効率が向上する。
【0074】
その他、本実施例の特徴となる部分を抽出して以下に記載する。
【0075】
前後方向に長い長尺状の本体部10によって四足動物の頭部から胴体にわたって下から安定して保持することができる。これは特に力の衰えた老動物や病に侵された動物なども問題なく保持することができる。
【0076】
前脚部21、前側接地部22、後脚部31、及び後側接地部32によって本体部が床面から持ち上げられ、作業用空隙部S1が形成されるため、載置面部11に動物が載置された状態で下から手を差し入れて作業を行うことができる。
【0077】
本体部10において四足動物の胴体が載置される部位(すなわち前胴体載置面部11b及び後胴体載置面部11c)の左右方向の横幅寸法(70mm)が本発明で想定する一般的な四足動物の胴体の幅寸法よりも小さいため、載置された動物の腹部における作業性が極めて高い。
【0078】
前脚部21、前側接地部22、後脚部31、及び後側接地部32が夫々1本の杆材で構成されているため、作業用空隙部S1を占有する部位が少なく、作業性が良好である。また、載置された四足動物の脚の動きの妨げにならない。
【0079】
高さ調整機構40、および高さ調整脚セットによって載置面部11の高さを調整可能であるため、脚の長い動物から短い動物まで1台で対処可能である。
【0080】
また、高さ調整機構40は、前脚部21、と前側接地部22、後脚部31、と後側接地部32が夫々独立して調整可能であるため、載置面部11の前後の角度を調整でき、それぞれの動物の体形にあわせて調整が可能である。
【0081】
本体部10における左右方向の幅寸法よりも上下方向の厚み寸法が小さいため、本体部10を容易に上下に挟んで把持することができ、片手で持ち運べ、例えばトリミング台からシャワーシンクへの移動が容易である。ここで、単に持ち運びの容易さのみを追求するのであれば左右方向の幅寸法を小さく定めればよいが、幅寸法が小さすぎると四足動物を保持することに支障が生じ、載置される四足動物に不要なストレスを与えてしまうおそれがある。
【0082】
頭部載置面部11a及び後胴体載置面部11cが傾斜面で構成されていることによって、動物を安定して保持できるとともに、作業用空隙部S1に頭部側や後脚側から手を差し入れやすくなり、作業用空隙部S1における作業性がより向上する。
【0083】
前脚部21を構成する杆材の軸線が下方に向かうに従って前方へ向かって傾斜しており、後脚部31を構成する杆材の軸線が下方に向かうに従って後方へ向かって傾斜していることによって、四足動物載置台1が前後方向に転倒することを好適に防止することができる。
【0084】
また、前側接地部22が平面視で本体部10の頭部載置面部11aの左右幅と同程度であり、大きく突き出さない、また前側接地部23が本体部10の後胴体載置面部11cの左右幅よりも長いことによって、四足動物載置台1の載置スペースの確保と、左右の転倒を好適に防止することができる。
【0085】
前側接地部22が平面視で本体部10の前方へ突き出さず、後側接地部32が平面視で本体部10の後方へ突き出さないことによって、四足動物載置台1の設置スペースに対して載置面部11の広さを十分に確保することができ、設置スペースを有効活用できる。
【0086】
前脚部21が本体部10の前側部である頭部載置面部11aの底面から突き出されており、後脚部31が本体部10の後側部である後胴体載置面部11cの底面から突き出されている構成にあっては、作業用空隙部S1を大きく確保することができ、作業性が向上する。ここで例えば側面視でX字状となる脚部が考えられるが、脚部をX字状とすると当該脚部が作業用空隙部S1を大きく占有して作業性が低下する場合がある。
【0087】
クッションセット100にあっては、四足動物載置台1に載置された四足動物の体格に応じて頭部の位置を調整できる。また、上下に積み重ねられた個々のクッション部材を係止する係止孔部及び係止凸部が互い違いに配置されることとなるため、安定性が向上して積み重ねたときに横ずれしにくい。
【0088】
クッションセット100にあっては、夫々のクッション部材110は同一形状であるため、積み重ねる順番を間違える事が無く、容易にずれ防止ができる。また、クッション部材110の順番を入れ替えることにより、常に清潔な面を最上段に用いることができ、動物の衛生管理が容易となる。さらに例えばクッション部材110を積み重ねる枚数で四足動物の体格や体調に合わせた高さ調整が容易となり、積み重ねる順序を迷うことなく高さ調整が可能となる。また、クッション性(硬さ)の異なる夫々のクッション部材110を用いて、最上段のクッション部材110の硬さを調整して、積み重ねることができる。
【0089】
また、一側係止孔部113a及び他側係止孔部113bが貫通孔であることによってゴミ等が内部に滞留することがなく、掃除が容易となる。
【0090】
頭部用保持具120にあっては、頭部横支持面135が傾斜面となるため、動物の頭部を安定して保持できる。
【0091】
また、頭部用保持具120が基部131と支持主体部132とによって構成されることによって、頭部を支持することに適した素材と頭部下支持面に載置することに適した素材(例えば重く摩擦抵抗の高い素材)とに分けることができる。
【0092】
支持主体部132の縦断面が略台形であることによって、頭部用保持具120を手で持ちやすくすることができる。また、α≠βとしたことにより、頭形状の異なる動物に対して例えば対面136側を頭部横支持面として使用することができる。
【0093】
保持具本体130の下面134に摩擦力増大手段が用いられていることによって、使用中の頭部用保持具120が位置ずれしにくくなる。
【0094】
指掛け溝部141,142が形成されていることによって、より手で持ちやすくすることができる。
【0095】
なお、上記実施例において各部の寸法形状は適宜自由に選択可能である。
【0096】
例えば本体部10の材質は、金属、木材、又はプラスチックなどの任意の材料を用いることができる。特に重量や強度の観点から、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、又はABS樹脂などの硬質プラスチックが好ましい。また、本体部10の製造方法としては、プレス成形、インジェクション成形、真空成型、又はブロー成型など、任意の製造方法を用いることができる。さらに、軽量性の観点から、発泡成形で製造しても良い。またさらに、頭部載置面部11a、前胴体載置面部11b、及び後胴体載置面部11cをそれぞれ別部材として製造し、それぞれの部材を連結して本体部10を形成しても良い。
【0097】
ところで、四足動物載置台1の動物載置台としての用途分野は特に限られるものでは無いが、特に美容、医療、又は介護分野に好適に用いられる。実際の使用環境において、当該四足動物載置台1は移動させることが容易であるため、床面や任意の台、テーブル、又はシンクなどに載置して用いられる。例えば美容分野においては、トリミング台やシャワーシンクなどに載置して用いられる。また、例えば医療分野においては、手術台や診療台に載置して用いられる。また、例えば介護分野においては、床面や任意のテーブル、浴槽などに載置して給餌補助、運動補助、又は衛生管理などに用いられる。
【符号の説明】
【0098】
1 四足動物載置台
10 本体部
11 載置面部
11a 頭部載置面部
11b 前胴体載置面部
11c 後胴体載置面部
13a 一側係止孔部
13b 他側係止孔部
21 前脚部
22 前側接地部
31 後脚部
32 後側接地部
40 高さ調整機構
41 内側筒部
42 外側筒部
44a,44b,44c,44d 高さ調整孔部
45 高さ調整凸部
50 横支持基部
51,52 第1取付長孔部
53,54 取付ネジ
56,57,58,59 第2取付長孔部
60 前後位置調整機構
61,62 胴体横支持部
63,64 胴体横支持面部
65,66 作業用貫通孔部
70 離間距離調整機構
71 角度調整機構
100 クッションセット
110 クッション部材
111 表面
112 裏面
113a 一側係止孔部
113b 他側係止孔部
115a 一側係止凸部
115b 他側係止凸部
120 頭部用保持具
130 保持具本体
131 基部
132 支持主体部
134 下面
135 頭部横支持面
136 対面
141,142 指掛け溝部
S1 作業用空隙部
図1
図2
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