(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051099
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】分圧検出装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01L 21/12 20060101AFI20240403BHJP
G01L 9/12 20060101ALI20240403BHJP
G01L 15/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G01L21/12
G01L9/12
G01L15/00
【審査請求】有
【請求項の数】36
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024028091
(22)【出願日】2024-02-28
(62)【分割の表示】P 2020562730の分割
【原出願日】2019-05-03
(31)【優先権主張番号】15/975,473
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592053963
【氏名又は名称】エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】ブラッカー・ジェラルド・エー
(57)【要約】
【課題】分圧検出装置、および気体種の分圧を検出する方法を提供する。
【解決手段】分圧検出装置は、真空室内の混合気体の圧力を検出するように構成された熱伝導真空計と、前記真空室内の前記混合気体についての気体種非依存型の圧力センサの全圧読取値を受け取るように構成された入力部と、前記真空室内の所与の気体種の分圧に比例した出力を、前記熱伝導真空計で検出された圧力および受け取った前記全圧読取値の関数として生成するように構成された制御部と、を備える。前記制御部の分解能は、前記気体種の予想分圧範囲に合わせてスケーリングされる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空室内の混合気体の圧力を検出するように構成された熱伝導式センサと、
前記真空室内の前記混合気体についての気体種非依存型の圧力センサの全圧読取値を受け取るように構成された入力部と、
前記真空室内の所与の気体種の分圧に比例した出力を、前記熱伝導式センサで検出された圧力および受け取った前記全圧読取値の関数として生成するように構成された制御部であって、前記関数は、前記熱伝導式センサで検出された圧力と受け取った前記全圧読取値との圧力差を含む、制御部と、
を備え、前記制御部の出力信号範囲が前記気体種の予想分圧範囲に対応して割り当てられるように、前記制御部の分解能が、前記予想分圧範囲に合わせてスケーリングされる、分圧検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分圧検出装置において、前記関数が、次の式:
ΔTP=TPPG-TP=xPPS
(式中、ΔTPは前記気体種の重み付き分圧を表し、TPPGは前記熱伝導式センサで検出された圧力であり、TPは前記気体種非依存型の圧力センサから受け取った全圧であり、xは気体種に依存する係数であり、PPSは前記気体種の分圧である。)
に従う、分圧検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の分圧検出装置において、前記出力が、前記気体種の分圧(PPS)である、分圧検出装置。
【請求項4】
請求項2に記載の分圧検出装置において、前記気体種が水であり、xが0.4である、分圧検出装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、前記制御部が、さらに、前記熱伝導式センサで検出された前記真空室内の前記混合気体の全圧を表す、第2の出力を生成するように構成されている、分圧検出装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、前記熱伝導式センサが、ピラニセンサである、分圧検出装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、前記気体種非依存型のセンサが、キャパシタンスマノメータである、分圧検出装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記気体種非依存型の圧力センサの出力部に接続するように構成された入力ポート、
を備える、分圧検出装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記気体種非依存型の圧力センサ、
を備える、分圧検出装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記制御部の前記出力をゼロにするように構成されたトリガ、
を備える、分圧検出装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、前記制御部が、さらに、前記出力を適応平均化するように構成されている、分圧検出装置。
【請求項12】
ハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に収容されており、真空室内の混合気体に対する細線の熱応答を検出するように構成されている熱伝導式センサと、
前記ハウジング内に収容された制御部と、
を備え、前記制御部が、
前記熱伝導式センサで検出された前記熱応答に基づいて前記真空室内の前記混合気体の圧力を測定し、
前記真空室内の前記混合気体についての気体種非依存型の圧力センサの全圧読取値を受け取り、
前記真空室内の所与の気体種の分圧に比例した出力を、測定した前記圧力および受け取った前記全圧読取値の関数として生成され、前記関数は、前記熱伝導式センサで検出された前記圧力と受け取った前記全圧読取値との圧力差を含み、
前記制御部の出力信号範囲が前記気体種の予想分圧範囲に対応して割り当てられるように、前記制御部の分解能が前記予想分圧範囲に合わせてスケーリングされる
ように構成されている、分圧検出装置。
【請求項13】
請求項12に記載の分圧検出装置において、前記関数が、次の式:
ΔTP=TPPG-TP=xPPS
(式中、ΔTPは前記気体種の重み付き分圧を表し、TPPGは前記熱伝導式センサで検出された圧力であり、TPは前記気体種非依存型の圧力センサから受け取った全圧であり、xは気体種に依存する係数であり、PPSは前記気体種の分圧である。)
に従う、分圧検出装置。
【請求項14】
請求項13に記載の分圧検出装置において、前記出力が、前記気体種の分圧(PPS)である、分圧検出装置。
【請求項15】
請求項13に記載の分圧検出装置において、前記気体種が水であり、xが0.4である、分圧検出装置。
【請求項16】
請求項12から15のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、前記制御部が、さらに、前記熱伝導式センサで検出された前記熱応答に基づいて測定した前記真空室内の前記混合気体の全圧を表す、第2の出力を生成するように構成されている、分圧検出装置。
【請求項17】
請求項12から16のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、前記熱伝導式センサが、ピラニセンサである、分圧検出装置。
【請求項18】
請求項12から17のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、前記気体種非依存型の圧力センサが、キャパシタンスマノメータである、分圧検出装置。
【請求項19】
請求項12から18のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記気体種非依存型の圧力センサの出力部に接続するように構成された入力ポート、
を備える、分圧検出装置。
【請求項20】
請求項12から19のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記気体種非依存型の圧力センサ、
を備える、分圧検出装置。
【請求項21】
請求項20に記載の分圧検出装置において、前記気体種非依存型の圧力センサが、前記ハウジング内に収容されている、分圧検出装置。
【請求項22】
請求項12から21のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記制御部の前記出力をゼロにするように構成されたトリガ、
を備える、分圧検出装置。
【請求項23】
請求項12から22のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、前記制御部が、さらに、前記出力を適応平均化するように構成されている、分圧検出装置。
【請求項24】
気体種の分圧を検出する方法であって、
熱伝導式センサで真空室内の混合気体の圧力を検出する過程と、
気体種非依存型の圧力センサで前記真空室内の前記混合気体の全圧を検出する過程と、
前記真空室内の所与の気体種の分圧に比例した出力を、前記熱伝導式センサで検出された圧力および前記気体種非依存型の圧力センサで検出された全圧の関数として生成する過程であって、前記関数は、前記熱伝導式センサで検出された圧力と前記気体種非依存型の圧力センサで検出された全圧との圧力差を含む、生成する過程と、
を備え、制御部であって、前記制御部の出力信号範囲が、前記気体種の予想分圧範囲に対応して割り当てられるように、前記制御部の分解能が、前記予想分圧範囲に合わせてスケーリングされる制御部によって、前記出力が生成される、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、前記関数が、次の式:
ΔTP=TPPG-TP=xPPS
(式中、ΔTPは前記気体種の重み付き分圧を表し、TPPGは前記熱伝導式センサで検出された圧力であり、TPは前記気体種非依存型の圧力センサから受け取った全圧であり、xは気体種に依存する係数であり、PPSは前記気体種の分圧である。)
に従う、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、前記出力が、前記気体種の分圧(PPS)である、方法。
【請求項27】
請求項25に記載の方法において、前記気体種が水であり、xが0.4である、方法。
【請求項28】
請求項24から27のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
前記熱伝導式センサで検出された前記真空室内の前記混合気体の全圧を表す、第2の出力を生成する過程、
を備える、方法。
【請求項29】
請求項24から28のいずれか一項に記載の方法において、前記気体種が、前記真空室内で凍結乾燥を受けている試料の溶媒である、方法。
【請求項30】
請求項24から29のいずれか一項に記載の方法において、前記混合気体が、二成分気体である、方法。
【請求項31】
請求項24から30のいずれか一項に記載の方法において、前記熱伝導式センサが、ピラニセンサである、方法。
【請求項32】
請求項24から31のいずれか一項に記載の方法において、前記気体種非依存型のセンサが、キャパシタンスマノメータである、方法。
【請求項33】
請求項24から32のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
前記制御部を前記気体種非依存型の圧力センサに対して校正する過程、
を備える、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、さらに、
前記制御部の出力をゼロにする過程、
を備える、方法。
【請求項35】
請求項24から34のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
前記出力を適応平均化する過程、
を備える、方法。
【請求項36】
真空室内の混合気体の圧力を検出するように構成された気体種依存型のセンサと、
前記真空室内の前記混合気体についての気体種非依存型の圧力センサの全圧読取値を受け取るように構成された入力部と、
前記真空室内の所与の気体種の量を表す出力を、前記気体種依存型のセンサで検出された圧力および受け取った前記全圧読取値の関数として生成するように構成された制御部であって前記関数は、前記熱伝導式センサで検出された前記圧力と受け取った前記全圧読取値との圧力差を含む、制御部と、
を備え、
前記制御部の出力信号範囲が、前記気体種の予想分圧範囲に対応して割り当てられるように、前記制御部の分解能が、前記予想分圧範囲に合わせてスケーリングされる、分圧検出装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2018年5月9日付出願の米国特許出願第15/975,473号の継続出願である。上記出願の全教示内容は、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。
【背景技術】
【0002】
凍結乾燥とは、医薬産業で不安定な化学物質をフリーズドライするのに用いられる高コストで時間のかかるプロセスである。フリーズドライとも称される凍結乾燥は、凍結(熱処理)、真空昇華(一次乾燥)及び真空脱着(二次乾燥)を順次行うことによって製剤から水やその他の溶媒を除去するものである。凍結乾燥により、製剤の品質保持期間は、熱風乾燥のものを大幅に上回ることができる。大抵の凍結乾燥システムは、含水量を動作のあいだ測定するセンサを用いずに稼働する。そのため、凍結乾燥プロセス内の一次乾燥時間や二次乾燥時間は、プロセス開発時に選択されるものであって各プロセス毎に調節されることはない。乾燥時間がこのように決まっているため、完全に乾燥していない製剤が生じたり過乾燥による製造中の時間の無駄に繋がったりし得る。医薬産業で整備されつつあるプロセス解析工学(PAT)イニシアチブの一環として、一次乾燥過程や二次乾燥過程の終点を検出する手法やこのような手法で使用されるセンサが、ますます凍結乾燥システムに含められるようになってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
分圧検出装置、および気体種の分圧を検出する方法を提供する。このような装置及び方法は、凍結乾燥プロセスでの水やその他の溶媒の分圧を一般的なピラニ真空計よりも高い単位分解能で検出するよう用いることができる。有利なことに、このような装置及び方法は、終点(特には、含水量が低くなる二次乾燥過程の終点)を精度よく検出することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
分圧検出装置は、真空室内の混合気体の圧力を検出するように構成された、ピラニ真空計などの熱伝導真空計、および前記真空室内の前記混合気体についての気体種非依存型の圧力センサの全圧読取値を受け取るように構成された入力部、を備える。前記分圧検出装置は、さらに、前記真空室内の所与の気体種の分圧に比例した出力を、前記熱伝導真空計で検出された圧力および受け取った前記全圧読取値の関数として生成するように構成された制御部、を備える。前記制御部の分解能は、前記気体種の予想分圧範囲に合わせてスケーリングされ得る。
【0005】
また、前記分圧検出装置は、前記制御部を収容し前記熱伝導真空計を少なくとも部分的に収容したハウジング、を備え得る。前記熱伝導真空計は、真空室内の混合気体に対する細線の熱応答を検出するように構成されたものであり得る。
【0006】
分圧検出方法は、ピラニ真空計などの熱伝導真空計で真空室内の混合気体の圧力を検出する過程、および気体種非依存型の圧力センサで前記真空室内の前記混合気体の全圧を検出する過程、を備える。前記方法は、さらに、前記真空室内の所与の気体種の分圧に比例した出力を、前記熱伝導真空計で検出された圧力および前記気体種非依存型の圧力センサで検出された全圧の関数として生成する過程、を備える。前記出力は、分解能が前記気体種の予想分圧範囲に合わせてスケーリングされた制御部によって生成される。
【0007】
前記関数は、測定された前記圧力と受け取った前記全圧読取値との圧力差を含み得て、例えば、次の式:
ΔTP=TPPG-TP=xPPS (1)
(式中、ΔTPは前記気体種の重み付き分圧を表し、TPPGは前記熱伝導真空計(例えば、ピラニ真空計)で検出された圧力であり、TPは前記気体種非依存型の圧力センサから受け取った全圧であり、xは気体種に依存する係数であり、PPSは前記気体種の分圧である。)
の関数とされる。前記出力は、前記室内の前記気体種の重み付き分圧(例えば、ΔTP)、または前記室内の前記気体種の分圧(例えば、PPS)を表すものであり得る。後者は、例えば、式(1)の関数を次のように変形することによって又は両方の式によって求められ得る:
【0008】
【0009】
前記気体種が水である場合、気体種に依存する前記係数は約0.4となり得る。
【0010】
また、前記制御部は、前記熱伝導真空計で検出される前記熱応答に基づいて求めた前記真空室内の前記混合気体の全圧を表す、第2の出力を生成するように構成されたものであり得る。また、前記制御部は、前記出力(前記気体種の分圧を表す出力および/または前記全圧を表す出力を含む)を適応平均化するように構成されたものであり得る。
【0011】
前記気体種非依存型の圧力センサは、静電容量型隔膜真空計または静電容量型隔膜真空計以外の種類のキャパシタンスマノメータであり得る。あるいは、前記気体種非依存型の圧力センサは、ピエゾ型隔膜(RPD)真空計、光ファイバー式隔膜真空計またはファイバーブラッググレーティング(FBR)センサであり得る。前記分圧検出装置は、前記気体種非依存型の圧力センサの出力部に接続するように構成された入力ポート、を備え得る。変形例として、前記分圧検出装置は、前記気体種非依存型の圧力センサを備えたものとされ得る。例えば、この場合の気体種非依存型の圧力センサは、前記熱伝導真空計と一緒にハウジング内に収容され得るか又は部分的に収容され得る。
【0012】
また、前記分圧検出装置は、前記制御部の前記出力をゼロにするように構成されたトリガ、を備え得る。これにより、同じ真空室に接続されている気体種非依存型のセンサなどのより高精度なセンサに対する校正が可能となる。
【0013】
前記気体種は、前記真空室内で凍結乾燥を受けている試料の溶媒(例えば、水、混合溶媒等)であり得る。例えば、前記気体種は、水とtert-ブタノールなどの共溶媒とからなり得る。前記真空室内の前記混合気体は、二成分混合気体であり得る。あるいは、前記混合気体は、その中の少なくとも1種の気体の熱伝導率がその他の気体と異なることを前提として、3種以上の気体からなるものであってもよい。
【0014】
熱伝導真空計は、気体種依存型の圧力センサの一種である。上述した分圧検出装置や分圧検出方法では、真空室内の混合気体の圧力を検出するように構成された気体種依存型の真空計であれば、どのような真空計が含められてもよい。気体種依存型の真空計の例には、ピラニセンサなどの熱伝導真空計、熱電対真空計、電離真空計、スピニングローター真空計、共振型圧力センサ、フォトニック圧力センサ等が含まれる。また、分圧検出装置や分圧検出方法には、本明細書で説明する構成同士のあらゆる組合せ又は入替えが含まれてよい。
【0015】
前述の内容は、添付の図面に示す例示的な実施形態についての以下のより詳細な説明から明らかになる。異なる図をとおして、同一の符号は同一の構成/構成要素を指すものとする。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、むしろ、実施形態を図示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来技術の凍結乾燥プロセスを示すグラフである。
【
図2】一次乾燥過程の終点を検出するための従来技術のアプローチを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、例示的な実施形態について説明する。
【0018】
分圧検出装置、および気体種の分圧を検出する方法が提供される。このような装置及び方法は、凍結乾燥プロセスでの水やその他の溶媒の分圧を一般的なピラニ真空計よりも高い単位分解能で検出するよう用いることができる。有利なことに、このような装置及び方法は、終点を精度よく検出することができる。
【0019】
図1に、典型的な凍結乾燥プロセスを示す。最初の装填過程で、凍結乾燥室内に試料が配置される。典型的には、当該試料は、製剤(例えば、タンパク質、微生物、医薬品、組織、血漿等)を含有したバイアル、フラスコ又はトレイである。次に、前記試料は、約2~約6時間要し得る過程で凍結される。これら最初の装填過程及び凍結過程に続いて、乾燥過程が開始される。一次乾燥過程では、凍結状態の水(やその他の溶媒)が前記製剤から昇華して取り除かれる。昇華とは、固体から気体へと間の液相を経由せずに変化する過程のことである。
図1に示すように、昇華は、水の三重点よりも下の圧力及び温度で発生する。一次乾燥過程を始めるには、前記凍結乾燥室に真空を施して当該室内の圧力を下げ、熱エネルギーを加える。これにより、前記製剤からの昇華が起こる。この昇華過程は、前記室の大きさ、前記室内に含まれる試料の数および試料の含水量にもよるが、約10~約168時間要し得る。一次乾燥過程で、前記試料の含水量の大半が除去される。
【0020】
次に、結合した水分子(bound water molecules)を脱着によって取り除く二次乾燥過程が行われる。
図1に示すように、二次乾燥過程では、前記室内の圧力がなおいっそう下げられると同時に、熱がさらに加えられることで、前記製剤から結合水の分子が放出される。一次乾燥過程で前記試料中の遊離した氷(free ice)が除去されているため、二次乾燥過程で温度が上げられても、前記製剤は融けたり崩壊したりし得ない。この脱着過程は、約5~約24時間要し得る。両方の乾燥過程が終わった後、前記試料が前記室から取り出される。
【0021】
凍結乾燥プロセスで重要な検討事項の一つは、一次および二次乾燥段階の両方の終点を決めるということである。含水量は、一次乾燥過程の終了時に例えば約5%~約10%の範囲内、二次乾燥過程の終了時に約0.5%~約3%の範囲内であり得る。凍結乾燥プロセスにおいて熱を追加するのが早々過ぎると(例えば、昇華が完了する前であると)、前記製剤が融けたり崩壊したりし得る(しばしば「ケーキコラプス」と称される)。しかし、コストを考えると、一次乾燥過程の時間を不必要に長引かせることは望ましくない。また、製剤が異なれば、許容可能な残留含水量の閾値も異なり得る。一般的に言えば、水分を多く取り除くほど、品質保持期間を長くすることができる。ただし、一部の生物製剤では、含水量が許容閾値を下回ると過乾燥になり得る。
【0022】
乾燥過程の終点を検出する手法の一つは、当該乾燥過程のあいだ試料バイアルの温度を熱電対(例えば、有線熱電対、無線熱電対等)によって測定することである。凍結状態の水がなくなると、試料に加わる熱が水の昇華によって排出されなくなるため、試料の温度上昇が起こると考えられる。しかしながら、このようなアプローチには、試料に触れた熱電対によりバイアル内の製剤の核生成が誘発されて乾燥過程の完了が誤って報告され得る(すなわち、バルク測定でない)という大きな短所がある。
【0023】
別のアプローチは、乾燥過程のあいだ室内の含水量を測定することである。このアプローチの手法には、系内の水を検出することが可能な、ピラニ真空計、プラズマエミッタ、残留気体分析計などといったセンサの追加及び使用が伴う。具体的な手法の一つとして、静電容量型隔膜真空計(キャパシタンスマノメータとも別称される)とピラニ真空計を併用して一次乾燥過程や二次乾燥過程のあいだ含水量を測定する手法が挙げられる。この手法(Patel, Sajal M., Takayuki Doen, and Michael J. Pikal. “Determination of End Point of Primary Drying in Freeze-Drying Process Control.” AAPS PharmSciTech 11.1 (2010): 73-84に詳述)は、長時間の一次乾燥過程による時間の無駄を抑えられることが分かっている。この手法は、しばしば比較式圧力測定(Comparative Pressure Measurement(CPM))と称され、系内の全圧を一定に維持するタイプの凍結乾燥プロセスに適している。
【0024】
定圧凍結乾燥プロセスは、静電容量型隔膜真空計で圧力を監視し、乾燥過程のあいだ水蒸気圧が低下すれば適宜窒素などの不活性気体を系内に導入して全圧を一定に維持するというものである。定圧凍結乾燥では、凍結乾燥室内に収められた試料バイアルと気相との間の熱交換量が持続するようになっているため、乾燥過程サイクル(特には、一次乾燥過程の乾燥過程サイクル)が高速化する。このことから、定圧凍結乾燥法は、業界内で勢力を増している。以下で詳述するように、定圧システムでは、乾燥過程の終点検出機能がCPM手法によって行われる。
【0025】
図2に、定圧凍結乾燥プロセスのあいだのピラニ真空計の圧力応答と静電容量型隔膜真空計の圧力応答を示す。同図は、
図1のプロセス図に対して気体種非依存型のキャパシタンスマノメータの出力201と水蒸気に高感度なピラニ真空計の出力203を重ねたものである。
図2に示すように、水が気体組成の大部分を占める最初のあいだは、ピラニ真空計の読取値が全圧を過剰に見積もるものの、室から水が除去されて当該気体組成が窒素で占められるにつれて、その読取値が静電容量型隔膜真空計の読取値と最終的には合致するようになる。
【0026】
図3は、定圧凍結乾燥システム300の図である。キャパシタンスマノメータ(CM)301とピラニ真空計(PG)302の双方により、凍結乾燥室内の気体の全圧(TP)が測定される。当該キャパシタンスマノメータは気体種非依存なので、その全圧読取値は次のような分圧同士の合計によって与えられ得る:
TP=PP
N2+PP
H2O (3)
純N
2について校正された前記ピラニ真空計は、水の圧力読取値を約40%過剰に見積もる。そのため、当該ピラニ真空計で報告される全圧は、当該ピラニ真空計による過剰な見積もりを考慮して水の分圧を重み付けした状態の、次のような分圧同士の合計によって与えられ得る:
TP
PG=PP
N2+1.4PP
H2O (4)
【0027】
いずれのセンサも純N
2を基に校正されているので、系内から水がなくなって凍結乾燥室内の気体が純粋にN
2だけになると、CMの読取値とPGの読取値(すなわち、TPとTP
PG)が一致することになると予想される。よって、CPM過程では、圧力読取値TPと圧力読取値TP
PGが比較され、
図2に示すようにこれら2種類の読取値が収束するか又はこれら2種類の値の比が1になったときに、乾燥過程が終了したと見なす。
【0028】
CPM手法の大きな利点の一つとして、ピラニ真空計が、熱電対と違って試料に悪影響を及ぼさない点が挙げられる。熱伝導真空計の一種であるピラニ真空計は、高温の細線からの熱損失を求めることによって絶対圧力を測定する、当該技術分野において既知のものである。一般的なピラニ真空計は、一定の温度に維持される細線とホイートストンブリッジとを接続したものである。当該細線を一定の温度に維持するのに必要な電力が、圧力の尺度として用いられる。
【0029】
図4Aは、一般的なピラニ真空計100の一例の回路図である。この真空計では、感温抵抗R
Sがホイートストンブリッジ110の一辺として接続されている。典型的には、R
3は、電流i
3による温度上昇が無視可能な程度になるように設計された感温抵抗とされる。典型的には、R
2及びR
1は、一定の抵抗とされる。細線R
Sは(典型的には、R
3も)、圧力を測定したい環境へと露出している。細線R
Sは、エンベロープ内に延在せしめられ得る。
【0030】
抵抗R1、R2及びR3の抵抗値は、圧力に依存する電圧Vbridgeが前記ブリッジの上端に印加されたとき、Vleft=Vrightになると細線RSの抵抗が(R1×R3)/R2に固定されるよう選択されている。電圧Vbridgeは、VleftとVrightの電圧差が0Vに維持されるようにオペアンプで自動制御され得る。VleftからVrightへの電位降下がゼロであるとき、前記ブリッジは平衡状態であると見なされる。ブリッジ平衡時には、次の条件が成り立つ:
iS=i3 (5)
i1=i2 (6)
is×RS=i1×R1 (7)
i2×R2=i3×R3 (8)
式(7)を式(8)で割って式(5)及び式(6)を利用することにより、以下となる:
RS=βR3 (9)
(式中、
β=R1×R2 (10)
とする。)
【0031】
つまり、ブリッジ平衡時には、RSがR3に対して一定の割合βとなる。所与の任意の圧力でRSの定常状態が成り立つには、次の式が満たされなければならない:
RSへの電力入力=RSから放出される電力+RSの端部から失われる電力
+RSから気体へと失われる電力
【0032】
センサ抵抗R
Sを一定の温度及び一定の抵抗に維持するのに必要な電力量が圧力と共に増加することから、電圧V
bridgeは圧力にも依存する。
図4Bに、この関係を、R
Sが占める空間内の圧力範囲-対-電圧V
bridgeのプロットの一例として示す。図示のように、電圧V
bridgeは、その圧力範囲に対してS字状の曲線を描いている。一般的なピラニ真空計は、既知の幾つかの圧力を基に校正される。これにより、未知の圧力P
xと気体(より便宜的には、ブリッジ電圧)へと失われる電力との関係が求まる。すると、端部からの損失と放出による損失が一定であると仮定して、所与の気体の未知の圧力P
xは、気体へと失われる電力から直接求まり得るか又はブリッジ平衡時のブリッジ電圧と相関し得る。
【0033】
このように、真空計100などのピラニ真空計は、圧力を測定するための簡単な構成を提供する。ただし、ピラニ真空計は、静電容量型隔膜真空計(キャパシタンスダイアフラムゲージ;CDG)ほど高精度でない。そのため、CDGに匹敵する測定精度が求められる医薬業界の測定室では、ピラニ真空計の使用が問題になる。また、測定室がピラニ真空計の校正手順に精通しているとは限らず、このような真空計の校正がどれほどの頻度で必要となるのかやこのような真空計がどれほどの時間で精度低下の兆候を示すのかを判断するための経験も十分にない場合がしばしばある。今日、凍結乾燥システムのCPM過程で用いられるピラニ真空計の精度はおおよそ15%であるのに対し、静電容量型隔膜真空計の精度はおおよそ0.25%又はそれ以下である。ピラニ真空計と静電容量型隔膜真空計との精度差が考慮されていない場合やピラニ真空計が適切に校正されていない場合には、終点検出の不一致が起こり得る。ピラニ真空計と静電容量型隔膜真空計との間に精度差があることで、ピラニ真空計は、精度とドリフトの両方を考慮して定期的に校正し直す必要がある。
【0034】
しかも、ピラニ真空計は出力信号に不適切な点があり得る(例えば、S字状の曲線)ため、医薬産業のシステムインテグレーション担当者にとって、自身のツールのデータ取得システムに当該真空計を組み込むことは難しい。CPM過程で今日用いられているピラニ真空計は、圧力分解能が限られているので、水の量の微小な変化を検出することができない。ピラニ真空計のアナログ圧力出力の単位分解能が足りないと、水の検出能力(特には、水の量が少なくなる二次乾燥過程終盤での検出能力)が限定的になってしまう。
【0035】
例えば、定圧凍結乾燥プロセスに用いられる一般的なピラニ真空計の出力分解能は、±10mVであり得る。このような真空計の単位分解能は、(対数アナログ出力=1V/decadeであると仮定すると)次の式で与えられ得る:
【0036】
【0037】
(式中、Pは圧力であり、Vは電圧である。)
【0038】
よって、圧力=0.1Torrで実施されるプロセスでの一般的なピラニ真空計の単位分解能は、式(11)に対して次のように値を代入することで±4.3E-4Torrとなる:
【0039】
【0040】
単位分解能=±4.3E-4Torrは、満足のいく検出限界にならないので不十分と見なされるほか、静電容量型隔膜真空計が提供する4桁ものダイナミックレンジに及ばない。
【0041】
市販のピラニ真空計の中には、より高い分解能を提供することが可能なものもある。例えば、10Vスケール&16ビットDAコンバータ(DAC)のピラニ真空計は、圧力範囲:0~0.1Torrに合わせてスケーリングされた線形アナログ出力を生成するようにプログラムすることができる。このような真空計の単位分解能は、次の式で与えられ得る:
【0042】
【0043】
このようなピラニ真空計は、凍結乾燥プロセスにとってより適切な、向上した単位分解能の利点を奏するほか、出力が線形になるため、電圧と圧力との関係が単純なものになる。それでもなお、ピラニセンサと静電容量型隔膜真空計との間には大きな精度差が存在するので、なおいっそう優れた単位分解能を提供することが可能な真空計が求められる。
【0044】
ピラニセンサを備え、所与の気体種の分圧を表す出力を当該ピラニセンサの読取値および静電容量型隔膜真空計などの気体種非依存型の圧力センサの読取値に基づいて生成するように構成された、分圧検出装置を提供する。有利なことに、このような分圧検出装置は、含水量を示す圧力測定値の単位分解能を高めることができるので、凍結乾燥プロセスのあいだの水の量の微小な変化の検出向上が可能となる。また、このような分圧検出装置は、当該分圧検出装置の差分出力をゼロにするトリガを備え得るので、静電容量型隔膜真空計などの気体種非依存型の圧力センサに対する校正が簡単になる。
【0045】
図5Aに、分圧検出装置400の一例を示す。分圧検出装置400は、ピラニ真空計(ピラニセンサとも別称される)402、制御部404、およびキャパシタンスマノメータ301などの気体種非依存型の圧力センサの全圧読取値を受け取る圧力入力ポート406を備える。ハウジング410が、制御部404とピラニセンサ402の少なくとも一部とを収容し得る。
【0046】
圧力入力ポート406は、キャパシタンスマノメータ301の全圧読取値が制御部404へと連続的に供給されることが可能になるよう当該キャパシタンスマノメータ301に対してアナログまたはデジタルで接続され得る。読取値がデジタルで供給される場合、制御部404は、前記キャパシタンスマノメータに対して圧力を直接問い合わせることができる。アナログの場合、前記キャパシタンスマノメータから所与の範囲の圧力が制御部404に供給されることになり、前記キャパシタンスマノメータの信号が圧力と結び付けられ得る。
【0047】
図5Aに示すように、キャパシタンスマノメータ301の出力部320は、気体種に依存しない全圧読取値(TP)を生成する。一般的な定圧凍結乾燥システムでは、当該全圧読取値(TP)が、N
2気体の分圧と水蒸気の分圧との合計を表す。前述したように、ピラニ真空計は、気体種に依存する全圧読取値(TP
PG)を生成する。当該全圧読取値(TP
PG)は、水の存在下で全圧を過剰に見積もることになる。
【0048】
分圧検出装置400は、前記ピラニ真空計の絶対圧力420に代えて又は前記ピラニ真空計の絶対圧力420に加えて、差分出力430を生成するように構成されている。式(3)及び式(4)(便宜上、以下に再度書き記す)から、
TP=PPN2+PPH2O (3)
TPPG=PPN2+1.4PPH2O (4)
ピラニセンサ402の圧力読取値(TPPG)とキャパシタンスマノメータ301の圧力読取値(TP)との差(ΔTP)は、系内の水の分圧に比例した出力になることが分かる:
ΔTP=TPPG-TP=0.4PPH2O (14)
【0049】
図5Aに示すように、出力部430は、水の重み付き分圧(例えば、前記ピラニ真空計が含水量を過剰に見積もる量を指す係数=0.4によって重み付けられた分圧)を表すΔTPを生成するように構成され得る。
図5Bに示すように、出力部430’では、これに代えて又はこれに加えて水の分圧(PP
H2O)が生成されるようにすることも可能である。PP
H2Oを表す出力は、水についての前記係数=0.4を加味することによって生成することができる。具体的に述べると、式(14)を変形することにより、PP
H2Oを次のとおり直接測定することが可能になる:
【0050】
【0051】
このように、分圧検出装置400の差分出力430,430’により、定圧凍結乾燥システム内の水の量が直接求められることになる。
【0052】
分圧検出装置400の出力分解能は、水の全圧の圧力範囲に合わせてスケーリングするのではなく、水の分圧の予想分圧範囲に合わせてスケーリングすることが可能である。このようなスケーリングにより、凍結乾燥プロセスの終点に最も関係した圧力測定値に関する単位分解能を向上させることができる。
【0053】
例えば、0.1Torrから始まり且つ開始時の最大含水量が20%である定圧凍結乾燥プロセスを考えると、当該プロセスのあいだの水の最大分圧(PP
H2O)は0.02Torrになると予想される。この最大分圧のとき、式(14)を用いると、
図5Aの分圧検出装置400の出力は0.008Torrになる。前記分圧検出装置の出力は、全圧測定値の報告に必要となる圧力範囲:0~0.1Torrではなく、0~0.01Torrの圧力範囲に合わせてスケーリングすることが可能となる。例えば、前記分圧検出装置が10Vスケール&16ビットDAコンバータ(DAC)であり且つその線形アナログ出力が0~0.01Torrの圧力範囲に合わせてスケーリングされているとすると、このような真空計の単位分解能は、次の式で与えられ得る:
【0054】
【0055】
このように、分圧検出装置の差分出力は、二次乾燥過程を含む凍結乾燥プロセスにとって十分に高められた単位分解能で、水の分圧に正比例した信号を出力することができる。上記の例で言えば、狭小な圧力範囲(例えば、0~0.01Torr)に対してDACの全レンジが使用されるようアナログ出力がスケーリングされていることで、絶対圧力を報告するよう広範な圧力範囲(例えば、1.1~1.2Torr)に合わせてスケーリングされる一般的なピラニ真空計の100倍優れた分解能を得ることができる。上記の例ではアナログ信号の実施態様について説明しているが、それに代えて、デジタル通信ポートによる圧力差測定値の提供も可能である。分圧検出装置の差分出力は、当初飽和しているものとされてもよい(例えば、圧力が実際にはもっと高い場合にも、前記検出装置がスケーリングされている圧力範囲の上端値で分圧または重み付き分圧が報告される)。それでも、水の濃度が0に近付くにつれて、全圧を報告する場合の単位分解能よりも高い単位分解能で前記差分出力によって水の実際の分圧または重み付き分圧を報告することが可能となる。このような場合、プロセス開始時に全圧(例えば、出力420)を報告してプロセス終盤に向かって分圧又は重み付き分圧(例えば、出力430,403’)を報告するよう前記分圧検出装置の出力の切替えを行うことも可能である。例えば、前記検出装置内で全圧出力と分圧出力を多重化するようにしてもよい。また、線形出力について説明したが、これに代えて、前記分圧検出装置が対数出力を生成することも可能である。
【0056】
前記分圧検出装置は、さらに、前記差分出力をゼロにするトリガ408を備え得る。これにより、前記ピラニ真空計の出力を静電容量型隔膜真空計などのより高精度な気体種非依存型の真空計に対して調整する校正手順が簡単になる。
【0057】
図6に、凍結乾燥に先立って分圧検出装置を校正する過程600の一例を示す。まず、真空室の圧力を、水の不在下で公称プロセス全圧まで上げる(ステップ602)。次に、分圧検出装置の差分出力をゼロにし得ると共に、プロセス圧力における純窒素ガスの存在下でのΔTP=0のときの精度オフセットを記憶し得る(ステップ604)。そして、凍結乾燥プロセスを開始させ得る(差分出力が真空室内の含水量の尺度となる)(ステップ606)。プロセス冒頭で差分出力をゼロにしたので、ピラニ真空計と静電容量型隔膜真空計との間の精度差や、経時的に生じ得るドリフトに起因し得る差に対処することが可能となる。
【0058】
図6の校正手順は、一次乾燥過程の終了後の、前記分圧検出装置の高い分解能が低い含水量に鑑みて最も有益となる二次乾燥過程の開始前を含め、任意の過程の冒頭に行われ得る。これに代えて又はこれに加えて、双方の真空計を凍結乾燥室から切り離して当該真空計301,402を純N
2(=プロセス圧力)に曝す弁制御が含められてもよい。このような弁制御により、凍結乾燥室に製剤試料が入った状態で前記分圧検出装置の校正を実施することが可能となる。
【0059】
分圧検出装置400,400’に含めるピラニ真空計は、例えば
図4Aに示したピラニ真空計の構成を含め、どのような種類のピラニセンサ構成のものであってもよい。ピラニセンサ及びピラニセンサ以外の種類の熱伝導真空計のその他の構成も可能であり、かつ、これらは当該技術分野において既知のものである。分圧検出装置に含めることのできる熱伝導真空計の例には、米国特許第6,799,468号、米国特許第6,938,493号及び米国特許第7,249,516号に記載の熱伝導真空計が含まれる(これらの全内容は、参照をもって本明細書に取り入れたものとする)。ピラニ真空計の例には、MKS Instruments社(米国マサチューセッツ州アンドーバー)製の901P Loadlock Vacuum Transducer、905 MicroPirani(登録商標) Ultra Compact Vacuum Sensor、925 MicroPirani(登録商標) Vacuum Transducer、275 Mini-Convectron(登録商標) Module、275 Convectron Pirani Vacuum Gaugeなどが含まれる。
【0060】
図5A及び
図5Bに示すように、ハウジング410は、制御部404とピラニ真空計402の少なくとも一部とを収容している。ポート406が、当該ハウジング外にあるキャパシタンスマノメータ301との接続を行う。しかし、これに代えて、
図7の分圧検出装置700に示すようにキャパシタンスマノメータ301をハウジング410内に収容して前記分圧検出装置に双方の種類の真空計を含めるようにしてもよい。
【0061】
これまでの例示的な装置及び方法ではキャパシタンスマノメータ(特には、静電容量型隔膜真空計)を気体種非依存型の圧力センサとして説明してきたが、キャパシタンスマノメータの代わりに又はキャパシタンスマノメータに加えてキャパシタンスマノメータ以外の気体種非依存型の圧力センサを含めてもよい。例えば、分圧検出装置は、ピエゾ型隔膜(RPD)真空計および/または光ファイバー式隔膜真空計および/またはファイバーブラッググレーティング(FBR)センサを備えるものとされてもよい。
【0062】
分圧検出装置の制御部404は、分圧を報告するのに加えて、TP、TPPG及びΔTPのいずれかの適応平均化またはこれら複数を行うように構成されてもよい。PPH2Oが0に近付くにつれて平均化の量を増やすことにより、圧力測定値の分解能をさらに向上させることができる。
【0063】
窒素ガスをプロセスガスとし且つ水蒸気を検出対象の気体種とした凍結乾燥プロセスとの関連で前記分圧検出装置を説明してきたが、プロセスガスと溶媒ガスとのこれ以外の組合せも可能である。式(14)を一般化すると、差分出力を次のように表すことができる:
ΔTP=TPPG-TP=xPPS (1)
(式中、PPSは、水以外の溶媒も水の代わりに又は水に加えて含み得る検出対象の気体種の分圧であり、xは気体種に依存する係数である。)
式(1)を変形することにより、前記気体種を次のとおり直接測定することが可能である:
【0064】
【0065】
試料中に存在する溶媒が、水だけの場合もあり得る。しかしながら、水と混ざらない製剤の場合には、水以外の溶媒が水の代わりに含められることもあるし、水と一緒に共溶媒が含められることもある。
【0066】
例えば、tert-ブタノールは、製剤にしばしば配合される非水系の共溶媒である。tert-ブタノールを典型的に混合溶媒の10%となるように配合することで、製剤試料中の昇華が促され得る。水とtert-ブタノールは窒素よりも高い熱伝導率をいずれも有するので、この場合においても、系内に存在する溶媒の量を前記分圧検出装置の差分出力によって表すことができる。また、製剤で典型的に使用される共溶媒の蒸気圧は水よりも高いので、当該共溶媒は凍結乾燥プロセスの早期で試料から昇華し得る。このように、昇華する気体の組成は、別々の気体種がプロセスの別々の時点で前記差分出力に寄与する時間依存型となり得る。
【0067】
気体種に依存する係数が前記溶媒、共溶媒又は混合溶媒について分かっていることが前提となるが、式(2)によって溶媒ガスを直接測定することが可能である。しかしながら、気体種に依存する係数が分かっていない場合であっても、式(1)の差分出力によって系内の溶媒の残存量を表すことができるので、それを用いて凍結乾燥プロセスの終点を求めることが可能である。これは、混合気体が3種以上の気体からなる場合も然りである。
【0068】
検出装置400,700などの例示的な分圧検出装置をピラニセンサなどの熱伝導真空計を備えたものとして説明してきたが、これに代えて、熱電対真空計、電離真空計、スピニングローター真空計、共振型圧力センサ、フォトニック圧力センサなどの熱伝導真空計以外の気体種依存型のセンサを含めることも可能である。監視対象の気体種の存在下で当該気体種依存型の真空計の応答が気体種非依存型のセンサ(例えば、キャパシタンスマノメータ)の応答と異なることが条件になるが、系内の気体種の残存量を差分出力によって表すことが可能である。
【0069】
凍結乾燥以外にも、二成分気体の分析を伴うプロセスであれば、あらゆるプロセスが検出装置400などの分圧検出装置の恩恵を受けることができる。具体的に述べると、二成分混合気体の純度を調べたい場合、不純物の熱伝導率が主成分ガスの熱伝導率と異なっていればそれが可能となる。例えば、分圧検出装置は、ヘリウムガス中の空気混入を検出するのに使用可能である。このようなプロセスでは、凍結乾燥プロセスのN2との関連で前述したように、当該プロセスの冒頭に前記分圧検出装置を主成分ガスについて校正することが可能である。この場合の不純物が、分圧測定対象の気体種となり得る。
【0070】
また、分圧検出装置は、反応性スパッタリングプロセスで使用される二成分混合気体の組成が適正であるか否かを確認するのに用いられることも可能である。例えば、反応性スパッタリングプロセスでは典型的にAr/O2比が慎重に制御されており、有利なことに、分圧検出によって一方の気体種をきめ細かく監視することが可能となる。反応性スパッタリング組成の他の例には、窒素-メタン、窒素-アセチレンなどが含まれる。このようなプロセスでは、凍結乾燥プロセスのN2との関連で前述したように、当該プロセスの冒頭に前記分圧検出装置をそれら2つの気体種のうちの一方について校正することが可能である。それら2つの気体種のうちの他方が、分圧測定対象の気体種となり得る。
【0071】
有利かつ好都合なことに、検出装置400,700などの分圧検出装置により、凍結乾燥システム(あるいは、二成分気体システムなどのその他の気体システム)のオペレータにとって当該システム内の水(あるいは、水以外の気体種)の実際の量を測定することが簡単になる。今日の定圧凍結乾燥システムのオペレータは、キャパシタンスマノメータの全圧出力とピラニ真空計の全圧出力の双方を別々に読んでこれら2種類の出力の比を計算することにより、プロセスを終了すべきほどに系内の水の残存量が十分に少なくなったか否かを判断する。あるいは、オペレータは、これらの真空計を中央ソフトウェアプログラムに組み込んで、当該中央ソフトウェアプログラムに当該2種類の真空計の全圧出力を表示させて且つ/或いは当該2種類の真空計の全圧読取値の比を計算させる。あるいは、オペレータは、ピラニ真空計による全圧とキャパシタンスマノメータによる全圧との差分の許容値を予め決めておくようにしてもよい。ただし、いずれの場合であっても、オペレータは、乾燥過程の終点を示唆する許容値を予め決めておき、互いに対して校正されていないピラニ真空計-より高精度なキャパシタンスマノメータ間の精度差を加味したうえで、プロセス終点となる許容含水量をそれら2つの真空計が報告する全圧に頼って推測しなければならない。
【0072】
対照的に、検出装置400,700などの分圧検出装置は系内の水の量、例えば、水の重み付き分圧または水の実際の分圧を直接測定したものを出力することが可能なので、オペレータが水の許容量に基づいてプロセスの終点を決定するのを簡単にさせることができる。しかも、分圧検出装置は、一つの装置でこのような出力を提供出来るので、複数の独立したセンサを別々に設置・校正したり、かつ/あるいは、複数のセンサの出力を統合するソフトウェアアプリケーションを別途セットアップしたりする必要性が好都合なことに減るか又はなくなる。
【0073】
さらに、検出装置400,700などの分圧検出装置は、有利なことに、含水量の変化の検出に関して高い感度を提供出来る。出力の分解能を全圧ではなく予想分圧範囲に合わせてスケーリングするので、プロセスの終点に最も関係した測定値に関する単位分解能を大幅に向上させることができる。向上した単位分解能とより正確な含水量測定により、一次乾燥過程と二次乾燥過程の両方について、より一貫した終点検出が実現可能となる。
【0074】
有利なことに、前記分圧検出装置の出力をゼロにするトリガが含められているので、熱伝導真空計をより高精度な気体種非依存型のセンサに対して校正する手順が簡単になる。今日の凍結乾燥システムでは、ピラニセンサとキャパシタンスマノメータとを互いに校正しない。むしろ、ピラニセンサを複数の既知の圧力に基づいて単独で校正させている。ピラニセンサはドリフトの影響を受け易いので、オペレータは、ピラニセンサの精度の監視および複雑な校正手順の定期的な実施をしばしば行うことになる。対照的に、検出装置400,700などの分圧検出装置は、比較的簡単な手順で校正することができる。有利なことに、ピラニ真空計などの熱伝導真空計の出力をより高精度な気体種非依存型のセンサに対してゼロにすることで、これら2種類のセンサ間に内在する精度差や経時的に生じ得るあらゆるドリフトに対処することが可能である。各凍結乾燥プロセス前に最小限の労力で校正過程を毎回行うことができるので、より一貫した終点検出が実現可能となる。
【0075】
本明細書で引用した全ての特許、特許出願公開公報および刊行物の全教示内容は、参照をもって取り入れたものとする。
【0076】
例示的な実施形態について具体的に図示・説明したが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に包含された実施形態の範囲を逸脱しない範疇で形態や細部に様々な変更が施されてもよいことを理解するであろう。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
〔態様1〕
真空室内の混合気体の圧力を検出するように構成された熱伝導真空計と、
前記真空室内の前記混合気体についての気体種非依存型の圧力センサの全圧読取値を受け取るように構成された入力部と、
前記真空室内の所与の気体種の分圧に比例した出力を、前記熱伝導真空計で検出された圧力および受け取った前記全圧読取値の関数として生成するように構成された制御部と、
を備え、前記制御部の分解能が、前記気体種の予想分圧範囲に合わせてスケーリングされる、分圧検出装置。
〔態様2〕
態様1に記載の分圧検出装置において、前記関数は、前記熱伝導真空計で検出された圧力と受け取った前記全圧読取値との圧力差を含む、分圧検出装置。
〔態様3〕
態様2に記載の分圧検出装置において、前記関数が、次の式:
ΔTP=TPPG-TP=xPPS
(式中、ΔTPは前記気体種の重み付き分圧を表し、TPPGは前記ピラニセンサで検出された圧力であり、TPは前記気体種非依存型の圧力センサから受け取った全圧であり、xは気体種に依存する係数であり、PPSは前記気体種の分圧である。)
に従う、分圧検出装置。
〔態様4〕
態様3に記載の分圧検出装置において、前記出力が、前記気体種の分圧(PPS)である、分圧検出装置。
〔態様5〕
態様3に記載の分圧検出装置において、前記気体種が水であり、xが約0.4である、分圧検出装置。
〔態様6〕
態様1から5のいずれか一態様に記載の分圧検出装置において、前記制御部が、さらに、前記熱伝導真空計で検出された前記真空室内の前記混合気体の全圧を表す、第2の出力を生成するように構成されている、分圧検出装置。
〔態様7〕
態様1から6のいずれか一態様に記載の分圧検出装置において、前記熱伝導真空計が、ピラニ真空計である、分圧検出装置。
〔態様8〕
態様1から7のいずれか一態様に記載の分圧検出装置において、前記気体種非依存型のセンサが、静電容量型隔膜真空計である、分圧検出装置。
〔態様9〕
態様1から8のいずれか一態様に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記気体種非依存型の圧力センサの出力部に接続するように構成された入力ポート、
を備える、分圧検出装置。
〔態様10〕
態様1から9のいずれか一態様に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記気体種非依存型の圧力センサ、
を備える、分圧検出装置。
〔態様11〕
態様1から10のいずれか一態様に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記制御部の前記出力をゼロにするように構成されたトリガ、
を備える、分圧検出装置。
〔態様12〕
態様1から11のいずれか一態様に記載の分圧検出装置において、前記制御部が、さらに、前記出力を適応平均化するように構成されている、分圧検出装置。
〔態様13〕
ハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に収容されており、真空室内の混合気体に対する細線の熱応答を検出するように構成されている熱伝導真空計と、
前記ハウジング内に収容された制御部と、
を備え、前記制御部が、
前記熱伝導真空計で検出された前記熱応答に基づいて前記真空室内の前記混合気体の圧力を測定し、
前記真空室内の前記混合気体についての気体種非依存型の圧力センサの全圧読取値を受け取り、
前記真空室内の所与の気体種の分圧に比例した出力を、測定した前記圧力および受け取った前記全圧読取値の関数として生成する
ように構成されている、分圧検出装置。
〔態様14〕
態様13に記載の分圧検出装置において、前記関数は、測定した前記圧力と受け取った前記全圧読取値との圧力差を含む、分圧検出装置。
〔態様15〕
態様14に記載の分圧検出装置において、前記関数が、次の式:
ΔTP=TPPG-TP=xPPS
(式中、ΔTPは前記気体種の重み付き分圧を表し、TPPGは前記ピラニセンサで検出された圧力であり、TPは前記気体種非依存型の圧力センサから受け取った全圧であり、xは気体種に依存する係数であり、PPSは前記気体種の分圧である。)
に従う、分圧検出装置。
〔態様16〕
態様15に記載の分圧検出装置において、前記出力が、前記気体種の分圧(PPS)である、分圧検出装置。
〔態様17〕
態様15に記載の分圧検出装置において、前記気体種が水であり、xが約0.4である、分圧検出装置。
〔態様18〕
態様13から17のいずれか一態様に記載の分圧検出装置において、前記制御部の分解能が、前記気体種の予想分圧範囲に合わせてスケーリングされる、分圧検出装置。
〔態様19〕
態様13から18のいずれか一態様に記載の分圧検出装置において、前記制御部が、さらに、前記ピラニセンサで検出された前記熱応答に基づいて測定した前記真空室内の前記混合気体の全圧を表す、第2の出力を生成するように構成されている、分圧検出装置。
〔態様20〕
態様13から19のいずれか一態様に記載の分圧検出装置において、前記熱伝導真空計が、ピラニ真空計である、分圧検出装置。
〔態様21〕
態様13から20のいずれか一態様に記載の分圧検出装置において、前記気体種非依存型の圧力センサが、静電容量型隔膜真空計である、分圧検出装置。
〔態様22〕
態様13から21のいずれか一態様に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記気体種非依存型の圧力センサの出力部に接続するように構成された入力ポート、
を備える、分圧検出装置。
〔態様23〕
態様13から22のいずれか一態様に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記気体種非依存型の圧力センサ、
を備える、分圧検出装置。
〔態様24〕
態様23に記載の分圧検出装置において、前記気体種非依存型の圧力センサが、前記ハウジング内に収容されている、分圧検出装置。
〔態様25〕
態様13から24のいずれか一態様に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記制御部の前記出力をゼロにするように構成されたトリガ、
を備える、分圧検出装置。
〔態様26〕
態様13から25のいずれか一態様に記載の分圧検出装置において、前記制御部が、さらに、前記出力を適応平均化するように構成されている、分圧検出装置。
〔態様27〕
気体種の分圧を検出する方法であって、
熱伝導真空計で真空室内の混合気体の圧力を検出する過程と、
気体種非依存型の圧力センサで前記真空室内の前記混合気体の全圧を検出する過程と、
前記真空室内の所与の気体種の分圧に比例した出力を、前記熱伝導真空計で検出された圧力および前記気体種非依存型の圧力センサで検出された全圧の関数として生成する過程と、
を備え、前記出力は、分解能が前記気体種の予想分圧範囲に合わせてスケーリングされた制御部によって生成される、方法。
〔態様28〕
態様27に記載の方法において、前記関数は、前記熱伝導真空計で検出された圧力と前記気体種非依存型の圧力センサで検出された全圧との圧力差を含む、方法。
〔態様29〕
態様28に記載の方法において、前記関数が、次の式:
ΔTP=TPPG-TP=xPPS
(式中、ΔTPは前記気体種の重み付き分圧を表し、TPPGは前記ピラニセンサで検出された圧力であり、TPは前記気体種非依存型の圧力センサから受け取った全圧であり、xは気体種に依存する係数であり、PPSは前記気体種の分圧である。)
に従う、方法。
〔態様30〕
態様29に記載の方法において、前記出力が、前記気体種の分圧(PPS)である、方法。
〔態様31〕
態様29に記載の方法において、前記気体種が水であり、xが約0.4である、方法。
〔態様32〕
態様27から31のいずれか一態様に記載の方法において、さらに、
前記熱伝導真空計で検出された前記真空室内の前記混合気体の全圧を表す、第2の出力を生成する過程、
を備える、方法。
〔態様33〕
態様27から32のいずれか一態様に記載の方法において、前記気体種が、前記真空室内で凍結乾燥を受けている試料の溶媒である、方法。
〔態様34〕
態様27から33のいずれか一態様に記載の方法において、前記混合気体が、二成分気体である、方法。
〔態様35〕
態様27から34のいずれか一態様に記載の方法において、前記熱伝導真空計が、ピラニ真空計である、方法。
〔態様36〕
態様27から35のいずれか一態様に記載の方法において、前記気体種非依存型のセンサが、静電容量型隔膜真空計である、方法。
〔態様37〕
態様27から36のいずれか一態様に記載の方法において、さらに、
前記制御部を前記気体種非依存型の圧力センサに対して校正する過程、
を備える、方法。
〔態様38〕
態様37に記載の方法において、さらに、
前記制御部の出力をゼロにする過程、
を備える、方法。
〔態様39〕
態様27から38のいずれか一態様に記載の方法において、さらに、
前記出力を適応平均化する過程、
を備える、方法。
〔態様40〕
真空室内の混合気体の圧力を検出するように構成された気体種依存型のセンサと、
前記真空室内の前記混合気体についての気体種非依存型の圧力センサの全圧読取値を受け取るように構成された入力部と、
前記真空室内の所与の気体種の量を表す出力を、前記気体種依存型のセンサで検出された圧力および受け取った前記全圧読取値の関数として生成するように構成された制御部と、
を備え、前記制御部の分解能が、前記気体種の予想分圧範囲に合わせてスケーリングされる、分圧検出装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空室内の混合気体の圧力を検出するように構成された熱伝導式センサと、
前記真空室内の前記混合気体についての気体種非依存型の圧力センサの全圧読取値を受け取るように構成された入力部と、
前記熱伝導式センサが検出する前記真空室内の前記混合気体の全圧を表す全圧出力と
前記真空室内の気体種の分圧に比例する分圧出力と、
プロセス全圧に合わせてスケーリングされた分解能の前記全圧出力を生成するように、かつ、前記真空室内の所与の気体種の分圧に比例した前記分圧出力を、前記熱伝導式センサで検出された圧力および受け取った前記全圧読取値の関数として生成するように、構成された制御部であって、前記関数は、前記熱伝導式センサで検出された圧力と受け取った前記全圧読取値との圧力差を含む、制御部と、を備え、
前記制御部が有する分解能が、前記分圧出力の生成において、前記プロセス全圧の範囲よりも実質的に小さい前記気体種の予想分圧範囲に合わせてスケーリングされ、前記全圧出力の分解能よりも実質的に高い、分圧検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分圧検出装置において、前記関数が、次の式:
ΔTP=TPPG-TP=xPPS
(式中、ΔTPは前記気体種の重み付き分圧を表し、TPPGは前記熱伝導式センサで検出された圧力であり、TPは前記気体種非依存型の圧力センサから受け取った全圧であり、xは気体種に依存する係数であり、PPSは前記気体種の分圧である。)
に従う、分圧検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の分圧検出装置において、前記出力が、前記気体種の分圧(PPS)である、分圧検出装置。
【請求項4】
請求項2に記載の分圧検出装置において、前記気体種が水であり、xが0.4である、分圧検出装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、前記熱伝導式センサが、ピラニセンサである、分圧検出装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、前記気体種非依存型のセンサが、キャパシタンスマノメータである、分圧検出装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記気体種非依存型の圧力センサの出力部に接続するように構成された入力ポート、
を備える、分圧検出装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記気体種非依存型の圧力センサ、
を備える、分圧検出装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記制御部の前記出力をゼロにするように構成されたトリガ、
を備える、分圧検出装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、前記制御部が、さらに、前記分圧出力を適応平均化するように構成されている、分圧検出装置。
【請求項11】
請求項10に記載の分圧検出装置において、前記制御部が、さらに、前記全圧出力を適応平均化するように構成されている、分圧検出装置。
【請求項12】
ハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に収容されており、真空室内の混合気体に対する細線の熱応答を検出するように構成されている熱伝導式センサと、
前記ハウジング内に収容された制御部と、
を備え、前記制御部が、
前記熱伝導式センサで検出された前記熱応答に基づいて前記真空室内の前記混合気体の全圧出力を、プロセス全圧にスケーリングされた分解能で生成し、
前記真空室内の前記混合気体についての気体種非依存型の圧力センサの全圧読取値を受け取り、
前記真空室内の所与の気体種の分圧に比例した分圧出力を、前記熱伝導式センサで検出した全圧および受け取った前記全圧読取値の関数として生成し、前記関数は、前記熱伝導式センサで検出された前記全圧と受け取った前記全圧読取値との圧力差を含むように構成されており、
前記制御部が、前記分圧出力の生成において、前記プロセス全圧の範囲よりも実質的に小さい前記気体種の予想分圧範囲に合わせてスケーリングされ、前記全圧出力の分解能よりも実質的に高い分解能を有する、
分圧検出装置。
【請求項13】
請求項12に記載の分圧検出装置において、前記関数が、次の式:
ΔTP=TPPG-TP=xPPS
(式中、ΔTPは前記気体種の重み付き分圧を表し、TPPGは前記熱伝導式センサで検出された圧力であり、TPは前記気体種非依存型の圧力センサから受け取った全圧であり、xは気体種に依存する係数であり、PPSは前記気体種の分圧である。)
に従う、分圧検出装置。
【請求項14】
請求項13に記載の分圧検出装置において、前記出力が、前記気体種の分圧(PPS)である、分圧検出装置。
【請求項15】
請求項13に記載の分圧検出装置において、前記気体種が水であり、xが0.4である、分圧検出装置。
【請求項16】
請求項12から15のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、前記熱伝導式センサが、ピラニセンサである、分圧検出装置。
【請求項17】
請求項12から16のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、前記気体種非依存型の圧力センサが、キャパシタンスマノメータである、分圧検出装置。
【請求項18】
請求項12から17のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記気体種非依存型の圧力センサの出力部に接続するように構成された入力ポート、
を備える、分圧検出装置。
【請求項19】
請求項12から18のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記気体種非依存型の圧力センサ、
を備える、分圧検出装置。
【請求項20】
請求項19に記載の分圧検出装置において、前記気体種非依存型の圧力センサが、前記ハウジング内に収容されている、分圧検出装置。
【請求項21】
請求項12から20のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、さらに、
前記制御部の前記出力をゼロにするように構成されたトリガ、
を備える、分圧検出装置。
【請求項22】
請求項12から21のいずれか一項に記載の分圧検出装置において、前記制御部が、さらに、前記分圧出力を適応平均化するように構成されている、分圧検出装置。
【請求項23】
請求項22に記載の分圧検出装置において、前記制御部が、さらに、前記全圧出力を適応平均化するように構成されている、分圧検出装置。
【請求項24】
気体種の分圧を検出する方法であって、
熱伝導式センサで真空室内の混合気体の圧力を検出する過程と、
気体種非依存型の圧力センサで前記真空室内の前記混合気体の全圧を検出する過程と、
前記熱伝導式センサによって検出される、前記真空室内の前記混合気体の全圧を表す全圧出力を生成し、かつ、前記熱伝導式センサで検出された前記圧力および前記気体非依存型の圧力センサで検出された前記全圧の関数として前記真空室内の混合気体の分圧に比例する分圧出力を生成する、生成する過程であって、前記関数は、前記熱伝導式センサで検出された圧力と前記気体種非依存型の圧力センサで検出された全圧との圧力差を含む、生成する過程と、
を備え、
前記分圧出力が有する分解能が、前記プロセス全圧の範囲よりも実質的に小さい前記気体種の予想分圧範囲に合わせてスケーリングされ、生成された前記全圧出力の分解能よりも実質的に高い、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、前記関数が、次の式:
ΔTP=TPPG-TP=xPPS
(式中、ΔTPは前記気体種の重み付き分圧を表し、TPPGは前記熱伝導式センサで検出された圧力であり、TPは前記気体種非依存型の圧力センサから受け取った全圧であり、xは気体種に依存する係数であり、PPSは前記気体種の分圧である。)
に従う、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、前記出力が、前記気体種の分圧(PPS)である、方法。
【請求項27】
請求項25に記載の方法において、前記気体種が水であり、xが0.4である、方法。
【請求項28】
請求項24から27のいずれか一項に記載の方法において、前記気体種が、前記真空室内で凍結乾燥を受けている試料の溶媒である、方法。
【請求項29】
請求項24から28のいずれか一項に記載の方法において、前記混合気体が、二成分気体である、方法。
【請求項30】
請求項24から29のいずれか一項に記載の方法において、前記熱伝導式センサが、ピラニセンサである、方法。
【請求項31】
請求項24から31のいずれか一項に記載の方法において、前記気体種非依存型のセンサが、キャパシタンスマノメータである、方法。
【請求項32】
請求項24から32のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
前記制御部を前記気体種非依存型の圧力センサに対して校正する過程、
を備える、方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法において、さらに、
前記制御部の出力をゼロにする過程、
を備える、方法。
【請求項34】
請求項24から34のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
前記分圧出力を適応平均化する過程、
を備える、方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法において、さらに、
前記全圧出力を適応平均化する過程、
を備える、方法。
【請求項36】
真空室内の混合気体の圧力を検出するように構成された気体種依存型のセンサと、
前記真空室内の前記混合気体についての気体種非依存型の圧力センサの全圧読取値を受け取るように構成された入力部と、
前記気体種依存型のセンサで検出された前記真空室内の前記混合気体の全圧を表す、全圧出力と、
前記真空室内の気体種の分圧に比例する分圧出力と、
プロセス全圧に合わせてスケーリングされた分解能で前記全圧出力を生成するように、かつ、前記真空室内の所与の気体種の量を表す前記分圧出力を、前記気体種依存型のセンサで検出された圧力および受け取った前記全圧読取値の関数として生成するように構成された制御部であって、前記関数は、前記気体種依存型のセンサで検出された前記圧力と受け取った前記全圧読取値との圧力差を含む、制御部と、
を備え、
前記制御部が有する分解能が、前記分圧出力の生成において、前記プロセス全圧の範囲よりも実質的に小さい前記気体種の予想分圧範囲に合わせてスケーリングされ、前記全圧出力の分解能よりも実質的に高い、分圧検出装置。