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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051100
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/26 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
B65H1/26 312B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024028139
(22)【出願日】2024-02-28
(62)【分割の表示】P 2020023668の分割
【原出願日】2020-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大信田 克哉
(72)【発明者】
【氏名】山本 幹夫
(57)【要約】
【課題】給紙カセットと給紙カセット引込機構とが適切に係合されなかった場合に、使用者が再び係合させやすい画像処理装置を提供する。
【解決手段】装置本体に一方向に挿抜可能に設けられ挿入位置と引き出し位置とを有する給紙カセットと、第二の方向に相対移動可能に給紙カセットに接続されるピン部材と、回動可能に設けられ、先端部に回動可能であるピン係合部を有し、ピン係合部が第一側壁と第二側壁とを有する係合溝と第一側壁と連続に形成され第二側壁と反対側に延在しピン係合部の縁まで形成される当接面とを有する、レバーと、先端部が主回転軸とピン係合部との間に接続され、レバーに挿入方向側に回転させる力を加える弾性部材と、ピン部材が挿入可能でピン部材の第二の方向の位置をガイドし、前記レバーが最も前記挿入方向側に回動した位置において前記当接面と鋭角に交差し前記挿入位置側の端部が湾曲するガイド穴を有するシャーシと、を持つ。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に一方向に挿抜可能に設けられ、前記装置本体に挿入された挿入位置と前記装置本体から引き出された引き出し位置とを有する給紙カセットと、
軸方向が挿抜方向に直交する第一の方向に沿って形成され、前記挿抜方向及び前記第一の方向に直交する第二の方向に相対移動可能に前記給紙カセットに接続されるピン部材と、
前記装置本体に設けられる筐体と、
前記筐体に内蔵され、先端部に前記第一の方向に沿う副回転軸回りに回動可能であり前記ピン部材と係合するピン係合部を有し、前記ピン係合部が前記副回転軸より前記引き出し位置側の第一側壁と前記第一側壁より前記挿入位置側の第二側壁とを有する係合溝と前記第一側壁と連続に形成され前記第二側壁と反対側に延在し前記ピン係合部の縁まで形成され前記第一の方向に沿う当接面とを有する、前記第一の方向に沿う主回転軸回りに回動可能なレバーと、
前記筐体に内蔵され、先端部が前記主回転軸と前記ピン係合部との間に接続され、前記レバーに前記挿入方向側に回転させる力を加える弾性部材と、
前記筐体に前記挿抜方向に沿って形成され前記ピン部材が挿入可能で前記ピン部材の前記第二の方向の位置をガイドし、前記レバーが最も前記挿入方向側に回動した位置において前記当接面と鋭角に交差し前記挿入位置側の端部が湾曲するガイド穴を有するシャーシと、
を備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記レバーは、前記引き出し位置側の可動角度が、前記挿入位置側の可動角度より大きい、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ピン係合部は前記引き出し位置側において前記筐体に係止されるフックを有する、
請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第二側壁は、前記第一側壁と離間する側に凸状に湾曲する、
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記筐体に内蔵され、前記第一の方向に沿う回転軸回りに回動可能に設けられ、先端部に前記弾性部材の基端が接続される補助レバーと、
前記筐体に内蔵され、先端部が前記補助レバーの基端に接続され、前記補助レバーの前記基端に前記引き出し方向側に回転させる力を加える補助弾性部材と、を備える、
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙に画像を形成し、又は用紙に形成された画像を消去する画像形成装置や画像処理装置においては、装置本体に挿抜可能であり処理前の用紙を収納する給紙カセット(シートカセット)が設けられている。給紙カセットを装置本体に挿入する際に使用者の負担を軽減するために、給紙カセットに挿入される向きの力を加える構造が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置は、装置本体と、シートカセットと、係合部と、トグル機構と、を備えている。係合部はシートカセットに設けられている。トグル機構は装置本体に設けられている。
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置は、シートカセットの装置本体への挿入動作時に係合部とトグル機構とを係合させ、トグル機構が係合部に引き込む力を加える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-256355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に画像形成装置は、装置本体にシートカセットが装着された後に、何かしらの原因で係合部とトグル機構との係合が不正に解除され、トグル機構を動作させずにシートカセットが引き出されてしまった場合について考慮されていない。特許文献1に画像形成装置は、シートカセットとシートカセットの引込機構との係合が不正に解除される等により適切に係合されなかった場合に、使用者がシートカセットとシートカセットの引込機構とを再び係合させづらい場合があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、給紙カセットと給紙カセット引込機構とが適切に係合されなかった場合に、使用者が給紙カセットと給紙カセット引込機構とを再び係合させやすい画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に係る画像処理装置は、装置本体と、前記装置本体に一方向に挿抜可能に設けられ、前記装置本体に挿入された挿入位置と前記装置本体から引き出された引き出し位置とを有する給紙カセットと、軸方向が挿抜方向に直交する第一の方向に沿って形成され、前記挿抜方向及び前記第一の方向に直交する第二の方向に相対移動可能に前記給紙カセットに接続されるピン部材と、前記装置本体に設けられる筐体と、前記筐体に内蔵され、先端部に前記第一の方向に沿う副回転軸回りに回動可能であり前記ピン部材と係合するピン係合部を有し、前記ピン係合部が前記副回転軸より前記引き出し位置側の第一側壁と前記第一側壁より前記挿入位置側の第二側壁とを有する係合溝と前記第一側壁と連続に形成され前記第二側壁と反対側に延在し前記ピン係合部の縁まで形成され前記第一の方向に沿う当接面とを有する、前記第一の方向に沿う主回転軸回りに回動可能なレバーと、前記筐体に内蔵され、先端部が前記主回転軸と前記ピン係合部との間に接続され、前記レバーに前記挿入方向側に回転させる力を加える弾性部材と、前記筐体に前記挿抜方向に沿って形成され前記ピン部材が挿入可能で前記ピン部材の前記第二の方向の位置をガイドし、前記レバーが最も前記挿入方向側に回動した位置において前記当接面と鋭角に交差し前記挿入位置側の端部が湾曲するガイド穴を有するシャーシと、を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る画像処理装置の斜視図である。
図2】同画像処理装置の本体の下部の空間を示す斜視図である。
図3】同画像処理装置の引込端と給紙カセット引込機構との側面図である。
図4】同画像処理装置の引込端と給紙カセット引込機構との側面図である。
図5】同画像処理装置の引込端と給紙カセット引込機構との側面図である。
図6】同画像処理装置の引込端と給紙カセット引込機構とが適切に係合されなかった場合を示す側面図である。
図7】同画像処理装置の引込端と給紙カセット引込機構とを再び係合させる場合を示す側面図である。
図8】同画像処理装置の引込端と給紙カセット引込機構とを再び係合させる場合を示す側面図である。
図9】同画像処理装置の引込端と給紙カセット引込機構とを再び係合させる場合を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の画像処理装置を、図面を参照して説明する。
以下の説明では、奥行方向をX軸方向とする。左右方向をY軸方向とする。上下方向をZ軸方向とする。奥行方向と、左右方向と、上下方向と、は互いに直交する。矢印X方向が手前側であり、矢印X方向の反対が奥側である。矢印Y方向が右側であり、矢印X方向の反対が左側である。矢印Z方向が上側であり、矢印Z方向の反対が下側である。
【0011】
図1は一実施形態に係る画像処理装置1の斜視図である。本実施形態に係る画像処理装置1は、例えば、複合機(MFP:Multi Function Printer)プリンタ、複写機等の画像形成装置である。以下では、画像処理装置1が図1に示すような画像形成装置である場合の例を説明する。
【0012】
図1に示すように、画像処理装置1は、ディスプレイ11と、コントロールパネル部12と、画像形成部13と、画像読取部14と、装置本体15と、用紙収容部16と、を持つ。
【0013】
ディスプレイ11及びコントロールパネル部12は、使用者が画像処理装置1を操作する場合に、操作内容の確認及び入力を行う場合に用いられる。画像形成部13は、用紙への画像の形成を行う。画像読取部14は、用紙に印刷された文字や画像を電子データ化する。
【0014】
装置本体15は、ディスプレイ11と、コントロールパネル部12と、画像形成部13と、画像読取部14と、用紙収容部16と、を内蔵する筐体である。装置本体15は、下部の空間Sに用紙収容部16を内蔵する。用紙収容部16は給紙カセット3を持つ。図2は、装置本体15の下部の空間Sを示す斜視図である。図2は、用紙収容部16を構成する給紙カセット3については、一つを除いて記載が省略されている。
【0015】
図2に示すように、装置本体15は、内側面1bと、給紙カセット引込機構20と、を持つ。内側面1bは、奥行方向の手前側を向く面である。内側面1bは、装置本体15の内側の面であり、下部の空間Sに対向する。内側面1bには、導入穴1hが形成される。導入穴1hは、内側面1bを貫通し、正面視で略長方形である。導入穴1hは、給紙カセット3が装置本体15に挿入される場合に、給紙カセット3の一部を通過させる。
【0016】
給紙カセット引込機構20は、給紙カセット3に、装置本体15に挿入される力を加える。給紙カセット引込機構20は、装置本体15の内側面1bの奥側に接続される。
【0017】
図3は、給紙カセット引込機構20の側面図を示す。図3に示すように、給紙カセット引込機構20は、筐体20hと、レバー23と、弾性部材24と、補助レバー25と、補助弾性部材26と、を持つ。
【0018】
筐体20hは、レバー23と、弾性部材24と、補助レバー25と、補助弾性部材26と、を内蔵する。筐体20hは、シャーシ21と、カバー22と、を持つ。シャーシ21は、略板状である。シャーシ21は、板面21bが左右方向に直交するように装置本体15の内側面1bに接続される。図2に示すように、板面21bは、正面視で導入穴1hと重なる。
【0019】
図3に示すように、シャーシ21の板面21bの手前側端部21fには、上下方向の中央に導入溝21iが形成される。導入溝21iは、奥側に向かうにつれて縁の間隔が狭まる。
【0020】
シャーシ21の板面21bには、導入溝21iから奥側に延在するガイド穴21hが形成される。ガイド穴21hは、奥側の端部21eが上方に湾曲する。
【0021】
シャーシ21の板面21bには、板面21bの左側に、側面視で円弧状の摺動リブ21lが形成される。摺動リブ21lは、板面21bの奥行方向の略中央の上側、及び板面21bの上下方向の中央の奥側に形成される。摺動リブ21lには、左側の端部に、摺動リブ21lと同心円弧状の油溝21oが形成される。
【0022】
カバー22は、開口を有する略箱状である。カバー22は、カバー22の開口の縁を板面21bの縁に合わせて板面21bに嵌合される。カバー22は、左方から板面21bに接合される。カバー22は、手前側の上側に、係止部22lを持つ。係止部22lは軸が左右方向に沿う楕円柱形状を持つ。カバー22は、奥側の上側に、当接部22cを持つ。当接部22cは軸が左右方向に沿う円柱形状を持つ。
【0023】
レバー23は、軸を有する形状に形成され、例えば略板状に形成される。レバー23は、基端が、左右方向に沿う主回転軸23r回りに回動可能に、筐体20hに接続される。主回転軸23rは、シャーシ21及びカバー22に挟持される。レバー23は、軸23oが奥行方向及び上下方向を含む面に沿うように、シャーシ21及びカバー22に接続される。主回転軸23rは、シャーシ21及びカバー22の奥行方向の略中央に配置される。主回転軸23rは、シャーシ21及びカバー22の上下方向の上側に配置される。主回転軸23rは、摺動リブ21lの中心を通るように配置される。レバー23は、手前側の可動角度が奥側の可動角度より大きい。
【0024】
レバー23は、先端部にピン係合部23tを持つ。ピン係合部23tは、左右方向に沿う副回転軸23u回りに回動可能にレバー23に設けられる。ピン係合部23tは、副回転軸23uより手前側に、係合溝23gを有する。係合溝23gは、第一側壁23fと、第二側壁23sと、を有する。第二側壁23sは第一側壁23fより奥側に配置される。係合溝23gは、ピン係合部23tの下方の縁23dまで延在し、ピン係合部23tの縁23dに係合溝23gの先端が形成される。
【0025】
ピン係合部23tは、当接面23cを有する。当接面23cは、左右方向に沿って形成される。当接面23cは、第一側壁23fと連続に形成される。当接面23cは、第二側壁23sと反対側に延在し、ピン係合部23tの手前側の縁23bまで形成される。ピン係合部23tの縁23bに当接面23cの先端が形成される。当接面23cは、第一側壁23fと離間する方向に凸状に湾曲する。
【0026】
ピン係合部23tは、フック23hを持つ。フック23hは、第一側壁23fより手前側の、当接面23cの上方に設けられる。
【0027】
弾性部材24は、軸を有する形状に形成され、例えばコイルばねである。弾性部材24は、軸24o方向の先端部24tが、レバー23の主回転軸23rとピン係合部23tとの間に接続される。
【0028】
補助レバー25は、軸を有する形状に形成され、例えば略板状に形成される。補助レバー25は、左右方向に沿う回転軸25r回りに回動可能に、シャーシ21及びカバー22に接続される。回転軸25rは、シャーシ21及びカバー22に挟持される。補助レバー25は、軸25oが奥行方向及び上下方向を含む面に沿うように、シャーシ21及びカバー22に接続される。補助レバー25は、レバー23より奥側に配置される。回転軸25rはシャーシ21及びカバー22の奥行方向の奥側に配置される。回転軸25rは、シャーシ21及びカバー22の上下方向の略中央に配置される。
【0029】
補助レバー25は、軸25o方向の先端25tに、弾性部材24の軸24o方向の先端部24tと反対の基端24pが接続される。先端25tは、回転軸25rより上方に配置される。
【0030】
補助弾性部材26は、軸を有する形状に形成され、例えばコイルばねである。補助弾性部材26は、軸26o方向の先端26tが、補助レバー25の軸25o方向の先端25tと反対の基端25pに接続される。補助弾性部材26は、軸26o方向の先端26tと反対の基端26pが、カバー22の手前側に接続される。
【0031】
給紙カセット引込機構20が動作していない状態においては、カバー22の係止部22lにレバー23のフック23hが係止される。給紙カセット引込機構20が動作していない状態においては、弾性部材24と補助弾性部材26とは、引張状態である。給紙カセット引込機構20が動作していない状態においては、レバー23、弾性部材24、補助レバー25、及び補助弾性部材26に作用する力及びモーメントは釣り合っている。この時側面視で係合溝23gの先端がガイド穴21hに重なるように、係合溝23gとガイド穴21hとが配置される。
【0032】
給紙カセット3は、装置本体15に挿抜される。給紙カセット3は、挿抜方向IPが奥行方向(Y軸方向)に沿う。給紙カセット3は、装置本体15から手前側に引き出された引き出し位置Pと、装置本体15に奥側に挿入された挿入位置Iと、を持つ。給紙カセット3は、図2に示すように、載置面3Pを底面として上方に開口する箱状に形成される。給紙カセット3は、載置面3Pに用紙Pが上下方向に積載され、最大積載高さ以下の積載高さの用紙束Psを載置する。
【0033】
給紙カセット3は、引込端PAを持つ。引込端PAは、給紙カセット3の奥側の端部に配置される。図3は引込端PAの側面図を示す。図3に示すように、引込端PAは、リンク部材31と、ピン部材32と、を持つ。
【0034】
リンク部材31は、軸31oを有する形状に形成され、例えば板状に形成される。左右方向に沿う回転軸31r回りに回転可能に、給紙カセット3に接続される。リンク部材31は、軸31oが挿抜方向IP及び上下方向を含む面に沿うように、給紙カセット3に接続される。
【0035】
ピン部材32は、軸32oを有する形状に形成され、例えば円柱状に形成される。ピン部材32は、軸32oの方向である第一の方向D1が挿抜方向IPに直交するように、リンク部材31の先端に接続される。本実施形態では、第一の方向D1が左右方向(Y軸方向)に沿う。ピン部材32は、リンク部材31の回転に伴って、給紙カセット3に対して、挿抜方向IP及び第一の方向D1に直交する第二の方向D2に移動する。本実施形態では、第二の方向D2は上下方向(Z軸方向)に沿う。第一側壁23fと第二側壁23sとの距離が、ピン部材32の軸32oに直交する断面の径の1.2倍以下となるように、ピン部材32が形成される。
【0036】
次に、画像処理装置1に給紙カセット3を挿抜した場合の、給紙カセット引込機構20の動作について説明する。
【0037】
給紙カセット3が画像処理装置1に挿入されると、ピン部材32が給紙カセット引込機構20の導入溝21iの縁に当接し、ピン部材32がガイド穴21hに導入され、ガイド穴21hを貫通する。ピン部材32がガイド穴21hに導入されると、ピン部材32はピン係合部23tと接触する。図3は、給紙カセット3を画像処理装置1に挿入し、ピン部材32とレバー23とが接触する直前の状態を示す。
【0038】
図3に示す状態から、給紙カセット3をさらに奥側に挿入すると、レバー23が第二側壁23sにおいてピン部材32により奥側に押され、カバー22の係止部22lとレバー23のフック23hとの係合が解除される。
【0039】
係止部22lとフック23hとの係合が解除されると、弾性部材24からレバー23に、挿入方向側に回転する力が加えられる。レバー23が挿入方向側に回転すると、ピン係合部23tの第一側壁23fがピン部材32に当接し、第一側壁23fからピン部材32に、挿入方向の力が加えられる。
【0040】
図4は、図3に示す状態から、給紙カセット3をさらに奥側に挿入した状態を示す図である。図4に示すように、ピン部材32は、ガイド穴21hの形状に沿って移動する。
【0041】
図5は、図4に示す状態から、給紙カセット3をさらに奥側に挿入し、給紙カセット3が挿入位置Iとなった状態を示す図である。図5に示すように、ピン部材32がガイド穴21hの端部21eの湾曲形状に沿って上側に移動する。レバー23は、当接部22cに当接し、回転が制限される。補助レバー25の先端25tは、カバー22の奥側の内面(不図示)に当接し、補助レバー25の回転が制限される。
【0042】
給紙カセット3を引き出す場合には、上述した動作が逆順に行われ、給紙カセット3は、ピン部材32を介して第一側壁23fにより挿入方向の力を受けながら、引き出し方向に移動する。ピン部材32は、ガイド穴21hに沿って引き出し方向に移動する。レバー23が引き出し方向側に回動し、ピン係合部23tのフック23hによりカバー22の係止部22lに係合され、ピン部材32とピン係合部23tとの係合が解除される。
【0043】
上記のようにして、給紙カセット3を挿入すると、ピン係合部23tのフック23hとカバー22の係止部22lとの係合が解除される。給紙カセット3に連結されたピン部材32がレバー23のピン係合部23tに係合する。弾性部材24により、レバー23が奥側に回動するように付勢される。これにより、奥側に回動するように付勢されたレバー23がピン部材32に奥側向きの力を及ぼし、ピン部材32を介して給紙カセット3が挿入位置Iに引き込まれる。
【0044】
次に、画像処理装置1に給紙カセット3と給紙カセット引込機構20とが適切に係合されなかった場合に、給紙カセット3と給紙カセット引込機構20とを再び係合させる場合の動作について説明する。
【0045】
図6は、画像処理装置1の引込端PAと給紙カセット引込機構20とが適切に係合されなかった場合を示す図である。図6は、例えば、給紙カセット3を挿入してピン部材32をピン係合部23tに当接させる以前に、何らかの原因によりピン係合部23tのフック23hとカバー22の係止部22lとの係合が解除されてしまった場合を示す。
【0046】
図6に示すように、フック23hと係止部22lとの係合が不正に解除されてしまった場合は、レバー23が、ピン部材32を係合せずに弾性部材24の引張力により最も挿入方向側に回動する。この場合、給紙カセット3の挿入動作時に、ピン部材32は、挿入方向の力を受けずにガイド穴21hに沿って挿入方向に移動する。この時側面視で当接面23cの先端がガイド穴21hに重なり、当接面23cがガイド穴21hに鋭角をなして交差するように、当接面23cとガイド穴21hとが配置される。
【0047】
図7は、図6に示す状態からさらに給紙カセット3を挿入方向に移動させた状態を示す。図7に示すように、側面視でピン係合部23tの当接面23cがガイド穴21hに交差していることにより、給紙カセット3を挿入方向に移動させると、ピン部材32がピン係合部23tの当接面23cと当接する。
【0048】
図8は、図7に示す状態からさらに給紙カセット3を挿入方向に移動させた状態を示す。図8に示すように、さらに給紙カセット3を挿入方向に移動させると、ピン部材32がガイド穴21hの端部21eの湾曲形状に沿って移動しながら、当接面23cを介してピン係合部23tを押す。ピン部材32に押されたピン係合部23tは、側面視で当接面23cがガイド穴21hに鋭角をなして交差していることにより、副回転軸23u回りに下側に回動する。
【0049】
図9は、図8に示す状態からさらに給紙カセット3を挿入方向に移動させた状態を示す。図9に示すように、さらに給紙カセット3を挿入方向に移動させると、ピン部材32が、当接面23cに沿ってピン係合部23tに対して相対的に移動しながら、係合溝23gに配置される。
【0050】
図9に示す状態からさらに給紙カセット3を挿入方向に移動させると、ピン部材32が第二側壁23sに当接してピン係合部23tを副回転軸23u回りに回動させる。回動したピン係合部23tは、図5に示す状態となり、ピン部材32の手前側に第一側壁23fを配置する。
【0051】
本実施形態の画像処理装置1によれば、何らかの原因によって給紙カセット引込機構20のレバー23のみがピン部材32を係合せずに挿入方向側に移動してしまった場合に、給紙カセット3を挿入するだけで、ピン部材32がピン係合部23tを回動させて係合溝23gに配置される。そのため、給紙カセット3と給紙カセット引込機構20とが適切に係合されなかった場合に、使用者が、給紙カセット3と給紙カセット引込機構20とが適切に係合して給紙カセット3が挿入された状態に復帰させることができる。
【0052】
ガイド穴21hの端部21eが上方に湾曲することにより、ピン部材32がピン係合部23tを回動させやすく、ピン部材32が係合溝23gに配置されやすい。
【0053】
当接面23cが第一側壁23fと離間する方向に凸状に湾曲することにより、ピン部材32でピン係合部23tを押して回動させるために必要な給紙カセット3を押す力が低減される。
【0054】
レバー23の手前側の可動角度が奥側の可動角度より大きいことにより、給紙カセット3を挿入位置Iから引き出し方向側に引き出すために必要な力が低減される。
【0055】
摺動リブ21lを持つことにより、レバー23及び補助レバー25の回動動作のがたつきが抑制される。摺動リブ21lが油溝21oを有することにより、レバー23及び補助レバー25の回動動作に対する摩擦力が低減される。
【0056】
第一側壁23fと第二側壁23sとの距離が、ピン部材32の軸32oに直交する断面の径の1.2倍以下であることにより、ピン部材32が第二側壁23sを押してフック23hと係止部22lとの係合を解除し第一側壁23fに当接する場合に生じる衝撃及び音が低減される。
【0057】
レバー23の主回転軸23rと補助レバー25の回転軸25rとがシャーシ21とカバー22とに挟持されることにより、主回転軸23rと回転軸25rとの回動動作のがたつきが抑制される。
【0058】
シャーシ21とカバー22とが嵌合することで接続され、シャーシ21又はカバー22に係止部22l、当接部22c、及び摺動リブ21l等が一体的に形成されることにより、給紙カセット引込機構20を安価で均一な品質に製造しやすい。
【0059】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。
【0060】
画像処理装置は、適切な引張力を生じるために必要な弾性部材24の伸びが確保できるスペースがあれば、補助レバー25及び補助弾性部材26を設けなくてもよい。補助レバー25及び補助弾性部材26を設けない場合は、弾性部材24の基端24pは直接シャーシ21又はカバー22に接続される。
【0061】
画像処理装置1は、挿抜方向が奥行方向、第一の方向が左右方向であり、第二の方向が上下方向であった。画像処理装置は、第一の方向が上下方向であり、第二の方向が水平方向の左右方向であってもよい。画像処理装置は、挿抜方向が左右方向で、第一の方向が奥行方向であってもよい。画像処理装置は、挿抜方向が左右方向で、第一の方向が上下方向であり、第二の方向が奥行方向であってもよい。
【0062】
画像処理装置は、挿抜方向が第一の方向又は第二の方向に平行でなければよく、第一の方向及び第二の方向に直交していなくてもよい。
【0063】
摺動リブはカバーに形成されてもよい。係止部22l又は当接部22cは、シャーシ21に形成されてもよい。シャーシ又はカバーに、給紙カセット引込機構を組み立てる際に使用される仮止め穴等が形成されてもよい。
【0064】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、給紙カセット3と給紙カセット引込機構20とが適切に係合されなかった場合に、使用者が給紙カセット3と給紙カセット引込機構20とを再び係合させやすい。
【符号の説明】
【0065】
1…画像処理装置、15…装置本体、20…給紙カセット引込機構、21…シャーシ、2
1e…端部、21h…ガイド穴、21l…摺動リブ、21o…油溝、22…カバー、22
c…当接部、22l…係止部、23…レバー、23b…縁、23c…当接面、23f…第
一側壁、23g…係合溝、23h…フック、23o…軸、23r…主回転軸、23s…第
二側壁、23t…ピン係合部、23u…副回転軸、24…弾性部材、24t…先端部、2
4o…軸、25…補助レバー、25r…回転軸、26…補助弾性部材、26o…軸、31
…リンク部材、32…ピン部材、32o…軸、D1…第一の方向、D2…第二の方向、
I …挿入位置、IP…挿抜方向、P…引き出し位置、PA…引込端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に一方向に挿抜可能に設けられ、前記装置本体に挿入された挿入位置と前記装置本体から引き出された引き出し位置とを有する給紙カセットと、
軸方向が挿抜方向に直交する第一の方向に沿って形成され、前記挿抜方向及び前記第一の方向に直交する第二の方向に相対移動可能に前記給紙カセットに接続されるピン部材と、
前記装置本体に設けられる筐体と、
前記筐体に内蔵され、先端部に前記第一の方向に沿う副回転軸回りに回動可能であり前記ピン部材と係合するピン係合部を有し、前記ピン係合部が前記副回転軸より前記引き出し位置側の第一側壁と前記第一側壁より前記挿入位置側の第二側壁とを有し前記ピン係合部の第1縁まで延在する係合溝と前記第一側壁と連続に形成され前記第二側壁と反対側に延在し前記ピン係合部の第2縁まで形成され前記第一の方向に沿う当接面とを有する、前記第一の方向に沿う主回転軸回りに回動可能なレバーと、
前記筐体に内蔵され、先端部が前記主回転軸と前記ピン係合部との間に接続され、前記レバーに前記挿入位置側に回転させる力を加える弾性部材と、
前記筐体に前記挿抜方向に沿って形成され前記ピン部材が挿入可能で前記ピン部材の前記第二の方向の位置をガイドするガイド穴を有するシャーシと、を備え
前記当接面は、前記ピン部材が前記ピン係合部に当接する以前に前記レバーが最も前記挿入位置側に回動したときに前記ピン部材に当接する、
画像処理装置。
【請求項2】
前記レバーは、前記引き出し位置側の可動角度が、前記挿入位置側の可動角度より大きい、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ピン係合部は前記引き出し位置側において前記筐体に係止されるフックを有する、
請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記当接面は、前記第一側壁と離間する側に凸状に湾曲する、
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記筐体に内蔵され、前記第一の方向に沿う回転軸回りに回動可能に設けられ、先端部に前記弾性部材の基端が接続される補助レバーと、
前記筐体に内蔵され、先端部が前記補助レバーの基端に接続され、前記補助レバーの前記基端に前記引き出し位置側に回転させる力を加える補助弾性部材と、を備える、
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の画像処理装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の態様に係る画像処理装置は、装置本体と、前記装置本体に一方向に挿抜可能に設けられ、前記装置本体に挿入された挿入位置と前記装置本体から引き出された引き出し位置とを有する給紙カセットと、軸方向が挿抜方向に直交する第一の方向に沿って形成され、前記挿抜方向及び前記第一の方向に直交する第二の方向に相対移動可能に前記給紙カセットに接続されるピン部材と、前記装置本体に設けられる筐体と、前記筐体に内蔵され、先端部に前記第一の方向に沿う副回転軸回りに回動可能であり前記ピン部材と係合するピン係合部を有し、前記ピン係合部が前記副回転軸より前記引き出し位置側の第一側壁と前記第一側壁より前記挿入位置側の第二側壁とを有し前記ピン係合部の第1縁まで延在する係合溝と前記第一側壁と連続に形成され前記第二側壁と反対側に延在し前記ピン係合部の第2縁まで形成され前記第一の方向に沿う当接面とを有する、前記第一の方向に沿う主回転軸回りに回動可能なレバーと、前記筐体に内蔵され、先端部が前記主回転軸と前記ピン係合部との間に接続され、前記レバーに前記挿入位置側に回転させる力を加える弾性部材と、前記筐体に前記挿抜方向に沿って形成され前記ピン部材が挿入可能で前記ピン部材の前記第二の方向の位置をガイドするガイド穴を有するシャーシと、を持ち、前記当接面は、前記ピン部材が前記ピン係合部に当接する以前に前記レバーが最も前記挿入位置側に回動したときに前記ピン部材に当接する