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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051112
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】合成キメラワクシニアウイルス
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20240403BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20240403BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240403BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240403BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240403BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12N7/01 ZNA
C12P21/02 C
A61P37/04
A61K35/76
A61P35/00
A61P31/20
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024028557
(22)【出願日】2024-02-28
(62)【分割の表示】P 2020560920の分割
【原出願日】2019-05-02
(31)【優先権主張番号】62/665,973
(32)【優先日】2018-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517094415
【氏名又は名称】トニックス ファーマ ホールディングス リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519156225
【氏名又は名称】エバンス, デイビッド
(71)【出願人】
【識別番号】519156236
【氏名又は名称】ノイス, ライアン
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】エバンス, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ノイス, ライアン
(72)【発明者】
【氏名】セス レーダーマン
(57)【要約】
【課題】合成キメラワクシニアウイルスの提供。
【解決手段】本発明は、様々な態様では、合成キメラワクシニアウイルスまたはそのようなウイルスを含む組成物、ならびにそのような合成キメラワクシニアウイルスを製造するためのシステムおよび方法の開発および使用に関する。合成キメラワクシニアウイルスは、とりわけ、ウイルスワクチンとして、または腫瘍溶解性応答の生成および医薬製剤の作製のために好適である。本開示は、一態様では、合成キメラワクシニアウイルス(例えば、scVACV)が、ワクシニアウイルスゲノムの化学合成された重複断片から製造することができるとの知見に基づく。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願に付随する配列表は、テキスト形式でEFS-ウェブを通して電子的に提出され、これにより参照により本明細書に完全に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名称は、104545-0031-WO-SequenceListing.txtである。2019年5月2日に作成されたテキストファイルは、288,652バイトのサイズである。
【背景技術】
【0002】
ポックスウイルス(Poxviridae科のメンバー)は、ヒトおよび動物の両方に感染することができる二本鎖DNAウイルスである。ポックスウイルスは、宿主範囲に基づいて2つの亜科に分類される。脊椎動物の宿主に感染するChordopoxviridae亜科は8属からなり、そのうち4属(Orthopoxvirus、Parapoxvirus、MolluscipoxvirusおよびYatapoxvirus)は、ヒトに感染することが知られている。天然痘は、Orthopoxvirus(OPV)属のメンバーである痘瘡ウイルス(VARV)による感染によって引き起こされる。OPV属は、ラクダ痘ウイルス(CMLV)、牛痘ウイルス(CPXV)、エクトロメリアウイルス(ECTV、「マウス痘因子」)、馬痘ウイルス(HPXV)、サル痘ウイルス(MPXV)、ウサギ痘ウイルス(RPXV)、アライグマ痘ウイルス、スカンク痘ウイルス、アレチネズミ痘ウイルス、ウアシンギシュー病ウイルス、ワクシニアウイルス(VACV)、痘瘡ウイルス(VARV)およびハタネズミ痘ウイルス(VPV)を含むいくつかの遺伝的に関連している形態学的に同一のウイルスを含む。VARV以外に、VACV、MPXVおよびCPXVを含む、少なくとも3つの他のOPVがヒトに感染することが知られている。これまで、「生」のVACVによるワクチン接種が、天然痘に対する唯一の証明された防御である。ワクチン接種の攻撃的なプログラムは、1980年に天然痘の根絶につながり、公衆へのルーチンの種痘は中止された。しかし、VARVおよび他のOPVに対して個体にワクチン接種をする、新規の安全で効果的な手段を見出すための必要性がまだある。
【0003】
VACVの様々な調製物が、天然痘ワクチンとして使用されてきた。これらのほとんどはいくつかの近縁のウイルス(例えば、Dryvax)を含み、1つは単一の分子クローン、ACAM2000を含む。しかし、Dryvaxおよび他のVACVワクチンのように、ACAM2000でさえも、心筋症および心外膜炎を含む重大な副作用を伴う。リスクを低減するために、ACAM2000ワクチンは他の生ワクチンと同様に、がん、免疫不全を有する個体、臓器移植レシピエント、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、心臓状態を有する患者、および免疫抑制薬を服用中の患者を除外する多数の禁忌を有する。米国の人口の15~50%がこれらのカテゴリーのうちの1つに該当するだろうと推定され、より安全なワクチンまたはワクチン接種プロトコールの開発の必要性が確認されている(Kennedy et al., 2007 Kennedy R, Poland GA. 2007. T-Cell epitope discovery
for variola and vaccinia viruses. Rev Med Viroll7: 93-113)。したがっ
て、DryvaxまたはACAM2000(商標)に有効性において類似しているが、より安全であるワクチンの開発の必要性がある。
【0004】
ワクチン製造プロセスの均一性および一貫性を確保するために、安全、純粋、強力および有効なワクチンの生産は、品質保証手順を必要とする。過去には、黄熱、インフルエンザ、はしかおよびおたふく風邪に対するワクチンの製造のためにウイルスを増殖させるために、発育鶏卵または初代ニワトリ胚線維芽細胞培養物が使用されてきた。ニワトリに感染するかもしれない偶発の因子はヒトに感染せず、病原性ではないだろうと考えられていたため、これらの培養基は許容できるとみなされていた(FDA Briefing Document Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee Meeting. September 19, 2012)。しかし、ウイルス親和性が変化すれば、安全性は損なわれる可能性がある。
【0005】
ワクチンの製造のためのウイルスの増殖のために、他の培養基、例えば、天然痘ワクチンのために子ウシリンパ液が使用された。子ウシを天然痘で接種した後、白血球を含有するリンパ液を抽出し、キャピラリー管に保存する。次いで、これは、天然痘に対して人々にワクチン接種をするために使用される。しかし、ウシ海綿状脳症またはスクレーピープリオンによる汚染のリスクがある。現代のワクチンのための規制およびガイドラインは、使用される全ての材料がBSEフリーの部位からのものでなければならないと述べているが、スクレーピーフリー部位の状態については何もない。1980~1982年に生産されたDryvaxワクチンは、現代の方法によって精査されていないという事実が、特に懸念される。具体的には、これらのストックは、偶発因子のための試験をこれまで受けていない(Murphy and Osburn. Emerging Infectious Diseases. www.cdc.gov/eid.
Vol. 11, No. 7, July 2005)。
【0006】
したがって、既存のDryvaxまたはACAM2000(商標)ワクチンに有効性において類似しているが、より安全で、再生可能であり、残留細胞、残留DNA、プリオンおよび偶発因子を含有しないワクチンの開発の必要性がある。
本出願は、安全で、再生可能であり夾雑物を含有しない、化学合成されたDNAからアセンブルされ、複製される、キメラワクシニアウイルスを提供する。化学的ゲノム合成は天然の鋳型に依存しないので、ウイルスゲノムの過剰の構造的および機能的改変が可能である。化学的ゲノム合成は、従来の分子生物学的方法による遺伝子複製または改変に天然の鋳型を利用できない場合、特に有益である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Kennedy Rら、Rev Med Virol(2007)l7:93~113
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、合成キメラワクシニアウイルス、そのようなウイルスの製造方法、および、例えば、in vitroアッセイにおける免疫原性製剤中の免疫原として、異種遺伝子発現のためのビヒクルとして、またはがんの処置のための腫瘍溶解剤としてのそのようなウイルスの使用を提供する。本出願の合成キメラワクシニアウイルスは、野生型ワクシニアウイルスと比較して1つまたは複数の改変によって特徴付けられる。
【0009】
本開示は、一態様では、合成キメラワクシニアウイルス(例えば、scVACV)が、ワクシニアウイルスゲノムの化学合成された重複断片から製造することができるとの知見に基づく。
【0010】
したがって、一態様では、本発明は、合成DNAに由来するDNAから複製され、再活性化される合成キメラワクシニアウイルス(例えば、scVACV)に関し、前記ウイルスのウイルスゲノムは、1つまたは複数の改変によって特徴付けられるという点で、前記ウイルスの野生型ゲノムと異なり、改変は、化学合成されたDNA、cDNAまたはゲノムDNAを含む群から誘導される。
【0011】
別の態様では、本発明は、合成キメラワクシニアウイルス(scVACV)を製造する方法であって、(i)ワクシニアウイルスのウイルスゲノムの実質的に全てに対応する重複DNA断片を化学合成するステップと;(ii)重複DNA断片をヘルパーウイルス感染細胞にトランスフェクトするステップと;(iii)前記細胞を培養して前記細胞においてヘルパーウイルスおよび合成キメラワクシニア粒子の混合物を生成するステップと;(iv)scVACVに特異的な宿主細胞の上で混合物を平板培養してscVACVを回収するステップとを含む方法に関する。
【0012】
別の態様では、本発明は、本開示の方法によって生成される合成キメラワクシニアウイルス(scVACV)に関する。
【0013】
別の態様では、本発明は、本開示の合成キメラワクシニアウイルス(scVACV)および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0014】
別の態様では、本発明は、被験体において腫瘍溶解性応答を誘導するための方法であって、被験体に本開示のscVACVを含む組成物を投与するステップを含む方法に関する。
【0015】
別の態様では、本発明は、宿主細胞において異種タンパク質を発現させる方法であって、異種核酸配列を本開示のscVACVに導入するステップと、宿主細胞をscVACVに感染させるステップと、宿主細胞を異種タンパク質の発現のための条件の下で培養するステップとを含む方法に関する。
【0016】
別の態様では、本発明は、ワクシニアウイルスに対する免疫応答を誘発またはブーストする方法であって、それを必要とする被験体に本開示のscVACVを含む組成物を投与するステップを含む方法に関する。
【0017】
別の態様では、本発明は、痘瘡ウイルス感染に対する免疫応答を誘発またはブーストする方法であって、前記被験体に本開示のscVACVを含む組成物を投与するステップを含む方法に関する。
【0018】
別の態様では、本発明は、サル痘ウイルス感染に対する免疫応答を誘発またはブーストする方法であって、前記被験体に本開示のscVACVを含む組成物を投与するステップを含む方法に関する。
【0019】
別の態様では、本発明は、ヒト被験体を免疫化して前記被験体を痘瘡ウイルス感染から防御する方法であって、前記被験体に本開示のscVACVを含む組成物を投与するステップを含む方法に関する。
【0020】
別の態様では、本発明は、痘瘡ウイルス感染を処置する方法であって、前記被験体に本開示のscVACVを含む組成物を投与するステップを含む方法に関する。
【0021】
別の態様では、本発明は、被験体においてがんを処置する方法であって、それを必要とする被験体に本開示のscVACVを含む組成物を投与するステップを含む方法に関する。
【0022】
この特許出願は、色刷りの少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有するこの特許出願のコピーは、請求および必要な手数料の支払いによって特許庁から提供される。
【0023】
上の概要ならびに本開示の以下の詳細な記載は、付随図面と一緒に読むときにより良く理解される。本開示を例示する目的で、図面において現在好ましい実施形態(複数可)が示される。しかし、本開示は、示される正確な構成および手段に限定されないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1-1】図1Aおよび1Bは、直鎖状dsDNA VACVゲノム株ACAM2000;Genbank受託AY313847の概略図を示す。図1Aは、VACV ACAM2000ゲノムの未改変のゲノム配列を例示し、天然に存在するAarIおよびBsaI制限部位が示される。図1Bは、大きなdsDNA断片を化学合成するために使用した、改変されたVACV ACAM2000ゲノムを表す。重複scVACV ACAM2000ゲノム断片は、青で表す。左の逆方向末端反復配列(LITR)および右の逆方向末端反復配列(RITR)においてサイレント変異されなかった、操作されたBsaI制限部位も示される。
図1-2】同上。
図1-3】同上。
図1-4】同上。
【0025】
図2-1】図2A~2Cは、(A)VACV WR株および(B)VACV ACAM2000の公開されたゲノムの最初の約1500~3000bpの詳細な概略図を示す。タンデムリピート領域は、赤色(70bp反復配列)、青色(125bp反復配列)および緑色(54bp反復配列)のボックスで示される。遺伝子C23Lに対応するORFも、ゲノムの各々において示される。(C)VACV WRの70bp反復配列を含有する直接反復配列領域の概略図。この配列は、ヘアピン/二重鎖部分およびVACV ACAM2000 ITR断片をそれぞれライゲーションするために、5’末端のSapI制限部位および3’末端のNheI制限部位を含有するように合成された。
図2-2】同上。
図2-3】同上。
図2-4】同上。
図2-5】同上。
図2-6】同上。
【0026】
図3-1】図3Aおよび3Bは、二重鎖DNAを有するワクシニアウイルス末端ヘアピンループの最初の70bp反復配列へのアセンブリーを示す。(A)WR二重鎖DNAを作製するように順序付けられた、リン酸化オリゴヌクレオチド配列を表す。(B)WR株二重鎖DNA(レーン2)およびヘアピンDNAだけ(レーン3)および続くライゲーション(レーン4)のゲル電気泳動を表す。ライゲーション生成物(矢印)は、その後ゲルから切り出され、精製されたので、それは、wtVACV ACAM2000配列の配列を模倣するために70bp反復配列にライゲーションすることができた。
図3-2】同上。
図3-3】同上。
図3-4】同上。
【0027】
図4-1】図4は、SapI/NheI消化70bp反復配列断片のWR株ヘアピン/二重鎖DNA断片へのライゲーションを示す。ヘアピン/二重鎖DNAの70bp断片に対する5:1のモル比でのヘアピン/二重鎖DNA断片とのライゲーションの前に、70bp反復配列断片をSapIおよびNheIで消化し、次いでゲル精製した。レーン4およびレーン5の概ね2300bpのバンドにおける上方シフトは、ヘアピン/二重鎖断片の付加の成功を示す。これらのバンドは、その後、消化されたVACV ACAM2000 ITR断片へのライゲーションの前にゲルからゲル抽出された。
図4-2】同上。
【0028】
図5-1】図5は、scVACV ACAM2000断片の消化を示す。ITR断片は、NheI/I-SceIの両方によって37℃で2時間消化し、続いてアルカリホスファターゼによって脱リン酸化してリン酸基を除去し、この断片の末端ヘアピンループ/二重鎖/70bpタンデムリピート断片へのより効率的なライゲーションを促進した。他のscVACV ACAM2000 DNAプラスミドは、I-SceIによって37℃で2時間線状化し、その後、65℃で10分間の制限酵素の熱不活化が続いた。
図5-2】同上。
【0029】
図6-1】図6は、scVACV ACAM2000-WR DUP/HPのin vitro増殖特性を示す。サル腎臓上皮細胞(BSC-40)で測定した多段階増殖動態。細胞を感染多重度0.03で感染させ、示した時間にウイルスを採収し、BSC-40細胞でウイルスを滴定した。データは、3件の独立した実験を表す。エラーバーは、平均値の標準誤差(SEM)を示す。
図6-2】同上。
【0030】
図7-1】図7は、YFP-gptマーカーがJ2R遺伝子配列(VAC_WRΔJ2R)で置き換えられているscVACV ACAM2000-WR DUP/HPおよびscVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HPならびにwtVACV ACAM2000と比較した、scVACV ACAM2000-WR DUP/HPおよびscVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HPのin vitro増殖特性を示す。サル腎臓上皮細胞(BSC-40)で測定した多段階増殖動態。細胞を感染多重度0.03で感染させ、示した時間にウイルスを採収し、BSC-40細胞でウイルスを滴定した。エラーバーは、平均値の標準誤差(SEM)を示す。
図7-2】同上。
【0031】
図8-1】図8は、再活性化scVACV ACAM2000-WR DUP/HPクローンの制限エンドヌクレアーゼマッピングを示す。パルスフィールドゲル電気泳動分析。2つの独立したscVACV ACAM2000-WR DUP/HPクローン、ならびにYFP-gptマーカーがJ2R遺伝子配列(VAC_WRΔJ2R)で置き換えられているVACV WR対照およびwtVACV ACAM2000対照(VAC_ACAM2000)を精製し、次いで消化せずに放置したか、BsaI、HindIIIまたはNotIおよびPvuIで消化した。scVACV ACAM2000クローンにおけるBsaI部位のほぼ全ての予想された不在が、明らかだった。VAC_WRΔJ2RおよびVACV_ACAM2000と比較して、HindIII消化scVACV ACAM2000ゲノムDNAにおける軽微な差が観察された。NotIおよびPvuIで消化したゲノムDNAは、左および右のITR配列で見出される70bpタンデムリピート断片を切り出す。VAC_WRΔJ2Rでは、70bp反復配列のおよそのサイズは、約3.6kbpである。興味深いことに、2つの独立したscVACV ACAM2000クローンにおいて、70bpタンデムリピートに対応する2つの異なるサイズのバンドが観察された(*で印を付ける)が、完全長70bpタンデムリピートエレメントはITR断片にライゲーションされていた。ACAM2000ゲノムDNAをNotIおよびPvuIで消化したとき、約4.7kbpのバンドが観察され、それはACAM2000における70bp反復配列のサイズを示すことができる。
図8-2】同上。
【0032】
図9-1】図9は、VACV株の配列間のヌクレオチド配列変動を示す。図9Aは、ITR(配列番号15~18)における二重鎖領域の中のVACVヌクレオチド配列変動を表す。図9Bは、ACAM2000の直鎖状dsDNAゲノムの末端に共有結合しているVACV ACAM2000二次ヘアピンループを表す(S型配列番号19およびF型配列番号20)。末端ループ配列は、緑色で強調される。
図9-2】同上。
【発明を実施するための形態】
【0033】
一般技術
本明細書で別途規定されない限り、本出願で使用する科学用語および専門用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。一般的に、本明細書に記載される、薬理学、細胞および組織培養、分子生物学、細胞およびがん生物学、神経生物学、神経化学、ウイルス学、免疫学、微生物学、遺伝学ならびにタンパク質および核酸化学に関連して使用される命名法およびそれらの技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。相反する場合には、定義を含めた本明細書が支配する。
【0034】
本開示の実施は、別途指示がない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技術を用い、それらは当分野の技術の範囲内である。そのような技術は、文献に、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, second edition (Sambrook et al., 1989) Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis (M.J. Gait, ed., 1984);Methods in Molecular Biology, Humana Press;Cell Biology: A Laboratory Notebook (J.E. Cellis, ed., 1998) Academic Press;Animal Cell Culture (R.I. Freshney, ed., 1987);Introduction to Cell and Tissue Culture (J.P. Mather and P.E. Roberts, 1998) Plenum Press;Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures
(A. Doyle, J.B. Griffiths, and D.G. Newell, eds., 1993-1998) J. Wiley and Sons;Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.);Gene Transfer
Vectors for Mammalian Cells (J.M. Miller and M.P. Calos, eds., 1987);Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel et al., eds., 1987);PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis et al., eds., 1994);Sambrook and Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd. ed.,
Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (2001);Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY (2002);Harlow and Lane Using Antibodies: A Laboratory Manual,
Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (1998);Coligan et al., Short Protocols in Protein Science, John Wiley & Sons,
NY (2003);Short Protocols in Molecular Biology (Wiley and Sons, 1999)に完全に説明されている。
【0035】
酵素反応および精製技術は、当技術分野で一般的に達成される通りに、または本明細書に記載される通りに、製造業者の仕様書に従って実行される。本明細書に記載される分析化学、生化学、免疫学、分子生物学、有機合成化学ならびに医薬および製薬化学に関連して使用される命名法、ならびにその検査法および技術は、当技術分野で周知であり一般的に使用されるものである。化学合成および化学分析のために、標準の技術が使用される。
【0036】
本明細書および実施形態全体を通して、単語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変形形態は、明示される整数ま
たは整数の群が含まれることを暗示するが、他のいかなる整数または整数の群も除外されることを暗示しないものと理解される。
【0037】
実施形態が「含んでいる」という言葉と一緒に本明細書に記載される場合はいつでも、「からなる」および/または「から本質的になる」という用語で記載される他の類似した実施形態も提供されることが理解される。
【0038】
用語「含む」は、「を限定されずに含む」ことを意味するために使用される。「含む」および「を限定されずに含む」は、互換的に使用される。
【0039】
「例えば(e.g.)」または「例えば(for example)」という用語に続く任意の例(複数可)は、網羅的でも限定的であることも意図しない。
【0040】
文脈が別途要求しない限り、単数形用語は複数形を含み、複数形用語は単数形を含むものとする。
【0041】
冠詞「a」、「an」および「the」は、本明細書において、その冠詞の文法上の目的語の1つまたは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素」は1つの要素または1つより多くの要素を意味する。本明細書で「約」のついた値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーター自体に向けられる実施形態を含む(および記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。数値範囲は、その範囲を規定する数字を含む。
【0042】
本開示の広い範囲を示す数値範囲およびパラメーターは近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例に示す数値はできるだけ正確に報告される。しかし、いかなる数値も、それらのそれぞれの試験測定値で見出される標準偏差から必然的に生じる、ある特定の誤差を本来的に含有する。さらに、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に包含されるあらゆる部分的範囲を包含すると理解すべきである。例えば、「1~10」の明記された範囲は、1の最小値および10の最大値の間のあらゆる部分範囲;すなわち、1またはそれより大きい、例えば1~6.1の最小値から始まり、10またはそれより小さい、例えば5.5~10の最大値で終える、全ての部分範囲を含む(その両端を含む)と考えるべきである。
【0043】
例示的な方法および材料が本明細書に記載されるが、本明細書に記載されるそれらに類似するかまたは同等である方法および材料を、本出願の実施または試験で使用することもできる。材料、方法および実施例は例示されるだけであり、限定するものではない。
【0044】
定義
以下の用語は、別途指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする:
本明細書で使用される場合、用語「野生型ウイルス」、「野生型ゲノム」、「野生型タンパク質」または「野生型核酸」は、ある特定の集団(例えば、特定のウイルス種等)の中に天然に存在する、アミノ酸または核酸の配列を指す。
【0045】
用語「キメラ」または「操作された」または「改変された」(例えば、キメラワクシニア、操作されたポリペプチド、改変ポリペプチド、操作された核酸、改変核酸)またはその文法上の変形形態は本明細書において互換的に使用され、天然の配列と比較して1つまたは複数の変化を有するように操作されている、非天然配列を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「合成ウイルス」は、合成DNA(例えば、化学合成DNA、PCR増幅DNA、操作されたDNA、ヌクレオシド類似体を含むポリヌクレオチド等、またはその組合せ)から最初に誘導されるウイルスを指し、その後代を含み、後代は、自然、偶然または故意の変異のために、元の親合成ウイルスと必ずしも完全に同一(形態または総ゲノムDNAにおいて)でなくてもよい。一部の実施形態では、合成ウイルスは、ウイルスゲノムの実質的に全てが合成DNA(例えば、化学合成DNA、PCR増幅DNA、操作されたDNA、ヌクレオシド類似体を含むポリヌクレオチド等、またはその組合せ)から最初に誘導されるウイルスを指す。好ましい実施形態では、合成ウイルスは、化学合成DNAから誘導される。
【0047】
本明細書の他の場所で概説されるように、ウイルスゲノムのある特定の位置を変更することができる。本明細書で使用される「位置」は、ゲノム配列の中の位置を意味する。対応する位置は、他の親配列とのアラインメントを通して一般的に決定される。
【0048】
本明細書で使用される場合、ポリペプチドとの関連で用語「残基」は、直鎖状ポリペプチド鎖の中のアミノ酸単位を指す。それは、α-アミノ酸、すなわちNH2-CHR-COOHからのポリペプチドの形成において水が除去された後の、各アミノ酸の残りのもの、すなわち-NH-CHR-C-である。
【0049】
当技術分野で公知であるように、本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドの鎖を指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、改変されたヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらの類似体、または、DNAもしくはRNAポリメラーゼによって鎖に組み込むことができる任意の基質であってもよい。ポリヌクレオチドは、改変されたヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチドおよびそれらの類似体を含むことができる。存在する場合、ヌクレオチド構造の改変は鎖のアセンブリーの前または後に与えることができる。ヌクレオチドの配列には、非ヌクレオチド構成成分が割り込むことができる。ポリヌクレオチドは、例えば標識構成成分とのコンジュゲーションによって、重合の後にさらに改変されてもよい。他のタイプの改変には、例えば、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドの1つまたは複数の類似体による置換;ヌクレオチド間改変、例えば非荷電結合によるもの(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメート等)、および荷電結合によるもの(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等);ペンダント部分、例えばタンパク質を含有するもの(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リシン等);インターカレーターを有するもの(例えば、アクリジン、ソラレン等);キレーター(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化性金属等)を含有するもの;アルキル剤を含有するもの;改変された連結を有するもの(例えば、アルファアノマー核酸等);ならびにポリヌクレオチド(複数可)の未改変の形態が含まれる。さらに、糖に通常存在するヒドロキシル基のいずれも、例えばホスホネート基、リン酸基と置き換えるか、標準の保護基によって保護するか、または、追加のヌクレオチドへの追加の連結を調製するために活性化するか、または、固体支持体にコンジュゲートすることができる。5’および3’末端のOHは、リン酸化するか、または1から20個の炭素原子のアミンもしくは有機キャップ形成基部分で置換することができる。他のヒドロキシルを、標準の保護基に誘導体化することもできる。ポリヌクレオチドは、例えば、2’-O-メチル-、2’-O-アリル、2’-フルオロ-または2’-アジド-リボース、炭素環式糖類似体、アルファまたはベータアノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロースまたはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体および無塩基ヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドを含む、当技術分野で一般的に公知であるリボースまたはデオキシリボース糖の類似した形態を含有することもできる。1つまたは複数のホスホジエステル結合を、代替の連結基と置き換えてもよい。これらの代替の連結基には、限定されずに、ホスフェートがP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH(「ホルムアセタール」)で置き換えられる実施形態が含まれ、ここで、各RまたはR’は独立してHであるか、またはエーテル(-O-)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくはアラルジルを必要に応じて含有する、置換型もしくは非置換型のアルキル(1~20C)である。ポリヌクレオチドの全ての結合が同一である必要はない。上の記載は、本明細書において言及されるRNAおよびDNAを含む全てのポリヌクレオチドに適用される。
【0050】
用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は本明細書で互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸の鎖を指す。鎖は直鎖状または分枝状であってもよく、それは改変アミノ酸を含むことができ、および/またはアミノ酸以外が割り込んでもよい。本用語は、天然にまたは介入;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは改変、例えば標識構成成分とのコンジュゲーションによって改変されているアミノ酸鎖も包含する。例えば、アミノ酸の1つまたは複数の類似体(例えば、非天然アミノ酸等を含む)ならびに当技術分野で公知の他の改変を含有するポリペプチドも、この定義の中に含まれる。ポリペプチドは、単一の鎖または会合した鎖として存在することができると理解される。
【0051】
「相同な」は、全てのその文法上の形態およびつづり方の変形形態において、同じ種の生物体のスーパーファミリーからのタンパク質ならびに異なる種の生物体からの相同タンパク質を含む、「共通の進化起点」を有する2つのタンパク質の間の関係を指す。そのようなタンパク質(およびそれらのコード核酸)は、同一性パーセントの点であれ、または特異的残基もしくはモチーフおよび保存された位置の存在によるものであれ、それらの配列類似性によって反映されるように、配列相同性を有する。「相同な」は、ウイルスにとって天然である核酸を指すこともできる。
【0052】
しかし、一般的な用法および本出願では、用語「相同な」は、「高度に」などの副詞で修飾される場合は配列類似性を指すことができ、共通の進化起点に関しても関しなくてもよい。
【0053】
「異種」は、全てのその文法上の形態およびつづり方の変形形態において、ウイルスにとって非天然である核酸を指すことができる。それは、その核酸がそれに対して異種であると記載される生物体の核酸と異なる種または異なる株から誘導されることを意味する。非限定的な例では、scVACVのウイルスゲノムは、異種末端ヘアピンループを含む。前記異種末端ヘアピンループは、異なるウイルス種から、または異なるVACV株から誘導することができる。
【0054】
用語「配列類似性」は、全てのその文法上の形態において、共通の進化起点を共有しても共有しなくてもよい核酸またはアミノ酸配列の間の同一性または対応の程度を指す。
【0055】
参照ポリペプチド(またはヌクレオチド)配列に関する「配列同一性パーセント(%)」または「に%同一である配列」は、配列を整列させ、必要に応じて最大の配列同一性パーセントを達成するためにギャップを導入した後の、また、いかなる保存的置換も配列同一性の一部と考えない場合の、参照ポリペプチド(ヌクレオチド)配列中のアミノ酸残基(または核酸)と同一である候補配列中のアミノ酸残基(または核酸)の百分率と規定される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当該分野の技術の範囲内である様々な方法で、例えば公開されているコンピュータソフトウェア、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適当なパラメーターを決定することができる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」には、本開示のウイルスのレシピエントであってよいかまたはそうであった個々の細胞または細胞培養物が含まれる。宿主細胞は、単一の宿主細胞の後代を含み、後代は、自然、偶然または故意の変異のために、元の親細胞と必ずしも完全に同一(形態または総ゲノムDNAにおいて)でなくてもよい。宿主細胞には、この開示のポックスウイルスによってin vivoでトランスフェクトされた、および/または形質転換された細胞が含まれる。
【0057】
本明細書で使用される場合、「ベクター」は、宿主細胞において目的の1つまたは複数の遺伝子または配列を送達すること、および好ましくは発現することが可能である構築物を意味する。ベクターの例には、限定されずに、ウイルスベクター、裸のDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性縮合剤に関連したDNAまたはRNA発現ベクター、リポソームに封入されたDNAまたはRNA発現ベクター、および産生細胞などのある特定の真核細胞が含まれる。
【0058】
本明細書で使用される場合、「単離された分子」(この分子は、例えばポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはその断片である)は、その誘導起点または起源のために、(1)天然の状態でそれに付随している1つまたは複数の天然に結合している構成成分に結合していないか、(2)同じ種からの1つまたは複数の他の分子を実質的に含有しないか、(3)異なる種からの細胞によって発現されるか、または(4)天然に存在しない分子である。したがって、化学合成されるかまたはそれが天然に由来する細胞と異なる細胞系において発現される分子は、その天然に結合している構成成分から「単離される」。分子は、当技術分野で周知である精製技術を使用して、単離によって天然に結合している構成成分を実質的に含まないようにすることもできる。分子の純度または均一性は、当技術分野で周知であるいくつかの手段によって検査することができる。例えば、ポリペプチド試料の純度は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動および、当技術分野で周知である技術を使用してポリペプチドを可視化するためのゲル染色を使用して検査することができる。ある特定の目的のために、HPLCまたは精製のために当技術分野で周知である他の手段を使用してより高い分解能を提供することができる。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「単離された」は、ウイルスとの関連で、単一の親ウイルスに由来するウイルスを指す。ウイルスは、プラーク精製および限界希釈に基づくものを限定されずに含む、当業者に公知であるルーチンの方法を使用して単離することができる。
【0060】
本明細書で使用される場合、「感染多重度」または「MOI」という語句は、感染細胞あたりのウイルスの平均数である。MOIは、加えられるウイルスの数(加えられるml×プラーク形成単位(PFU))を加えられる細胞の数(加えられるml×細胞数/ml)によって割ることによって決定される。
【0061】
本明細書で使用される場合、「精製する」およびその文法上の変形形態は、完全であろうと部分的であろうと、ポリペプチドおよび1つまたは複数の不純物を含有する混合物からの少なくとも1つの不純物の除去を指し、それにより、組成物中のポリペプチドの純度のレベルが改善される(すなわち、組成物中の不純物(複数可)の量(ppm)を低下させることによって)。本明細書で使用される場合、ウイルスとの関連で「精製された」は、そのウイルスが由来する細胞または組織供給源からの細胞性物質および培養培地を実質的に含有しないウイルスを指す。「細胞性物質を実質的に含有しない」という言葉は、それが単離されたかまたは組換えで生成された細胞の細胞性構成成分からウイルスが分離されている、ウイルスの調製物を含む。したがって、細胞性物質を実質的に含有しないウイルスは、約30%、20%、10%または5%未満(乾燥重量による)の細胞性タンパク質(本明細書では「混在タンパク質」とも呼ばれる)を有するタンパク質の調製物を含む。ウイルスは培養培地も実質的に含有せず、すなわち、培養培地はウイルス調製物の体積の約20%、10%または5%未満を占める。ウイルスは、クロマトグラフィーおよび遠心分離を限定されずに含む、当業者に公知であるルーチンの方法を使用して精製することができる。
【0062】
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋な」は、少なくとも50%純粋である(すなわち、夾雑物を含有しない)、より好ましくは少なくとも90%純粋である、より好ましくは少なくとも95%純粋である、さらにより好ましくは少なくとも98%純粋である、最も好ましくは少なくとも99%純粋である物質を指す。
【0063】
用語「患者」、「被験体」または「個体」は本明細書で互換的に使用され、ヒトまたは非ヒト動物を指す。これらの用語は、哺乳動物、例えばヒト、霊長類、畜産動物(ウシ、ブタ、ラクダ等を含む)、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ等)および齧歯類(例えば、マウスおよびラット)を含む。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「予防する」、「予防すること」および「予防」は、療法(例えば、予防剤または治療剤)の投与の結果としての、被験体における疾患(例えば、ポックスウイルス感染症)の1つまたは複数の症状の再発もしくは開始の遅延またはその低減を指す。例えば、感染症のための被験体への療法の投与との関連で、「予防する」、「予防すること」および「予防」は、療法(例えば、予防剤または治療剤)の投与、または療法の組合せ(例えば、予防剤または治療剤の組合せ)の投与からもたらされる、被験体における感染症(例えば、ポックスウイルス感染症またはそれに付随する状態)の発達もしくは開始の阻害もしくは低減、または感染症(例えば、ポックスウイルス感染症もしくはそれに付随する状態)の1つもしくは複数の症状の再発、開始もしくは発達の予防を指す。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「処置する」、「処置すること」または「処置」は、状態または患者を処置することを指し、臨床上の結果を含む有益なまたは所望の結果を得るためにステップをとることを指す。感染症(例えば、ポックスウイルス感染症または痘瘡ウイルス感染症)に関して、処置は、1つまたは複数の療法の投与(1つまたは複数の予防剤または治療剤の投与を限定されずに含む)からもたらされる、感染因子(例えば、ポックスウイルスまたは痘瘡ウイルス)の根絶もしくは複製の制御、感染因子の数の低減(例えば、ウイルス力価の低減)、感染症(例えば、ポックスウイルス/天然痘感染症またはそれに付随する状態もしくは症状)の進行、重症度および/もしくは持続期間の低減もしくは改善、または1つまたは複数の症状の改善を指す。がんに関して、処置は、本開示の1つまたは複数の治療剤の投与からもたらされる、原発性、限局性または転移性がん組織の根絶、除去、改変または制御を指す。ある特定の実施形態では、そのような用語は、本開示の1つまたは複数の治療剤のそのような疾患を有する被験体への投与からもたらされる、がんの拡散を最小にするかまたは遅延させることを指す。他の実施形態では、そのような用語は、病原細胞の排除を指す。
【0066】
被験体に物質、化合物または薬剤を「投与すること」または「投与」は、当業者に公知である様々な方法の1つを使用して実行することができる。例えば、化合物または薬剤は、舌下または鼻腔内に、肺への吸入によって、または直腸に投与することができる。投与することは、例えば、1回、複数回、および/または延長された1期間もしくは複数期間にわたって実行することもできる。一部の態様では、投与は、自己投与を含む直接投与、および薬物を処方する行為を含む間接投与の両方を含む。例えば、本明細書で使用される場合、薬物を自己投与すること、もしくは薬物を別の者に投与してもらうことを患者に指示する医師、および/または患者に薬物の処方を提供する医師は、患者に薬物を投与している。
【0067】
本明細書に記載される各実施形態は、個々に、または本明細書に記載される任意の他の実施形態と組み合わせて使用することができる。
【0068】
概要
ポックスウイルスは、感染細胞の細胞質の中で複製する大きな(約200kbp)DNAウイルスである。Orthopoxvirus(OPV)属は、異なる宿主に感染するそれらの能力が大きく異なるいくつかのポックスウイルスを含む。ワクシニアウイルス(VACV)は、例えば、幅広い群の宿主に感染することができるが、天然痘の病原体である痘瘡ウイルス(VARV)はヒトに感染するだけである。全てのポックスウイルスとまではいかないが多くに共通する特徴は、宿主の中で非遺伝的に「再活性化する」それらの能力である。非遺伝的再活性化は、1つのポックスウイルスに感染した細胞が、それ自体では非感染性だろう第2の「死」ウイルス(例えば熱によって不活化されるもの)の回復を促進することができる過程を指す。
【0069】
ウイルスライフサイクルは、ビリオンの中にパッケージされるウイルスコードRNAポリメラーゼを通して初期遺伝子の転写を必要とするので、精製されたポックスウイルスDNAは感染性でない。しかし、以前にヘルパーポックスウイルスに感染し、トランスフェクトされたゲノムをトランスで転写、複製およびパッケージするのに必要とされる必要な因子を提供する細胞の中にウイルスDNAがトランスフェクトされるならば、この欠陥は克服することができる(Sam CK, Dumbell KR. Expression of poxvirus DNA in
coinfected cells and marker rescue of thermosensitive mutants by subgenomic fragments of DNA. Ann Virol (Inst Past). 1981;132:135-50)。これ
は混合されたウイルス後代を生成するが、両方のウイルスの増殖を支持する細胞系において再活性化反応を実行し、次いで、ヘルパーウイルスの増殖を支持しない細胞の上でウイルスの混合物を平板培養することによってヘルパーウイルスを排除することによって、この問題を克服することができる(Scheiflinger F, Dorner F, Falkner FG. Construction of chimeric vaccinia viruses by molecular cloning and packaging.
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States
of America. 1992;89(21):9977-81)。
【0070】
以前に、YaoおよびEvansは、ウイルスDNAの複数の重複断片を使用して組換えワクシニア株を迅速にアセンブルするために、Leporipoxvirus、ショープ線維腫ウイルス(SFV)によって触媒される高頻度組換えおよび複製反応を、SFV触媒再活性化反応と共役させることができる方法を記載した(Yao XD, Evans DH. High-frequency genetic recombination and reactivation of orthopoxviruses from DNA fragments transfected into leporipoxvirus-infected cells. Journal
of Virology. 2003;77(13):7281-90)。初めて、化学合成された重複する二本鎖DNA断片を使用した、機能的合成キメラワクシニアウイルス[scVACV]の再活性化および特徴付けが記載される。
【0071】
本開示の合成キメラワクシニアウイルス
一態様では、本発明は、化学合成DNAから最初に複製され、アセンブルされる、機能的合成キメラワクシニアウイルス(scVACV)を提供する。本開示の方法によって生成することができるウイルスは、そのゲノムが配列決定をされているかもしくは大部分配列決定をすることができる、またはその天然の分離株が利用可能である、任意のワクシニアウイルスであってよい。様々な実施形態のscVACVは、天然に存在する株、バリアントまたは変異体、変異誘発されたウイルスまたは遺伝子操作ウイルスのゲノム配列に基づくことができる。一部の実施形態では、scVACVのウイルスゲノムは、野生型ゲノムまたは前記ウイルスの基礎ゲノム配列と比較して1つまたは複数の改変を含む。改変は、1つまたは複数の欠失、挿入、置換またはその組合せを含むことができる。一実施形態では、改変は、外来性DNAを挿入することができるように、1つまたは複数の多重クローニング部位の挿入を含むことができる。改変は、当技術分野で一般的に公知である任意の数の方法で導入することができると理解される。ゲノムの改変部分は、化学合成DNA、cDNAまたはゲノムDNAから誘導することができる。別の実施形態では、本開示のscVACVのウイルスゲノムは、1つまたは複数の特異な制限部位を付加するかまたは修復するために、1つまたは複数の改変を含む。1つまたは複数の制限部位を付加するかまたは修復する改変は、クローン選択を促進するために排除された制限部位で実行することができる。
【0072】
化学的ゲノム合成は、従来の分子生物学的方法による遺伝子改変、増幅また複製で天然の鋳型を利用できない場合、特に有益である。wtVACV(NYCBH株、クローンACAM2000)のためのゲノム配列が記載され、公開されているが、それは完全でなかった。末端ヘアピンループの配列は決定されておらず、4つの54bp反復配列だけが同定された。70bp、125bpおよび54bpのタンデムリピート配列の存在が、配列決定後にVACV ACAM2000の野生型分離株において確認され、ACAM2000の現在公開されている配列が不完全だったことを示した。本発明者らは、機能的合成キメラVACV(scVACV)を作製した。具体的には、本発明者らは、VACVの自身の末端ヘアピンループ配列の代わりに異なる株のwtVACVテロメアに基づいて末端ヘアピンループを使用して、機能的scVACV株NYCBH、クローンACAM2000の作製に成功した。一部の実施形態では、VACVウイルスのウイルスゲノムは、Western Reserve、クローン3、Tian Tian、Tian TianクローンTP5、Tian TianクローンTP3、NYCBH、NYCBHクローンAcambis 2000、Wyeth、Copenhagen、Lister、Lister 107、Lister-LO、Lister GL-ONC1、Lister GL-ONC2、Lister GL-ONC3、Lister GL-ONC4、Lister CTC1、Lister IMG2(Turbo FP635)、IHD-W、LC16m18、Lederle、TashkentクローンTKT3、TashkentクローンTKT4、USSR、Evans、Praha、L-IVP、V-VET1またはLIVP6.1.1、Ikeda、EM-63、Malbran、Duke、3737、CV-1、Connaught Laboratories、Serro 2、CM-01、NYCBH DryvaxクローンDPP13、NYCBH DryvaxクローンDPP15、NYCBH DryvaxクローンDPP20、NYCBH DryvaxクローンDPP17、NYCBH DryvaxクローンDPP21、VACV-IOC、漿尿膜ワクシニアウイルスAnkara(CVA)、改変ワクシニアAnkara(MVA)およびMVA-BNの群から選択される株である。好ましい実施形態では、ウイルスゲノムは、NYCBH株に基づく。より好ましくは、ウイルスゲノムは、NYCBH株、クローンAcambis 2000またはACAM2000から誘導される。新規のVACV株が、なお継続的に発見されている。本開示のscVACVは、そのような新たに発見されるVACV株に基づくことができるものと理解される。
【0073】
Dryvax(登録商標)は、ワクシニアウイルスのNew York City Board of Health株(Wyeth Laboratories、Marietta、PA)から誘導され、子ウシの皮膚で増殖され、次いで保存のために事実上フリーズドライされた。
【0074】
VACV ACAM2000株、天然痘(ワクシニア)生ワクチンは、Dryvax(登録商標)からのプラーク精製クローニングから誘導され、アフリカミドリザル腎臓(Vero)細胞で増殖され、試験の結果偶発因子を含有しない生ワクシニアウイルスである(Osborne JD et al. Vaccine. 2007; 25(52):8807-32)。
【0075】
V-VET1またはLIVP6.1.1は、Geneluxによって開発された。それはワクシニアウイルスのLister株の野生型ストック(Lister株、Institute of Viral Preparations(LIVP)、Moscow、Russia)から単離され、「天然の」ウイルスを表す(いかなる遺伝子操作も実行されていない)。LIVP6.1.1ウイルスのチミジンキナーゼ(tk)遺伝子は、不活性である(Shvalov AN et al. Genome Announc. 2016 May-Jun; 4(3): e00372-16)。
【0076】
GLV-1h68(臨床調査のために製造される場合、GL-ONC1と呼ばれる)は、ウミシイタケルシフェラーゼ-Aequorea緑色蛍光タンパク質融合(Ruc-GFP)、LacZおよびβ-グルクロニダーゼをコードする3つの発現カセットを、ウイルスゲノムのF14.5L、J2R(チミジンキナーゼ)およびA56R(血球凝集素)遺伝子座にそれぞれ挿入することによって、GeneluxによってLister株から開発された(Zhang Q et al. Cancer Res. 2007; 67(20):10038-46.)。
【0077】
化学的ウイルスゲノム合成は、多数の有益な改変を生じるゲノムに、またはその特異的部分に導入する可能性も開く。改変は、ウイルスを作製するためにクローニングの容易さを向上させること、組換え遺伝子生成物の導入のための部位を提供すること、再活性化されたウイルスクローンを同定することの容易さを向上させること、および/または過剰の他の有益な特徴(例えば、所望の抗原を導入すること、腫瘍溶解性ウイルスを生成すること等)を付与することができる。一部の実施形態では、改変は、1つまたは複数の病原性因子の弱毒化または欠失を含むことができる。一部の実施形態では、改変は、1つまたは複数の病原性調節遺伝子または遺伝子コード調節因子の付加または挿入を含むことができる。
【0078】
伝統的に、ポックスウイルスの末端ヘアピンはクローニングおよび配列決定が困難だったので、公開されたゲノム配列(例えば、VACV、ACAM2000およびHPXV MNR-76)のいくつかが不完全であることは意外でない。具体的には、wtVACV、NYCBH株、クローンACAM2000のゲノム配列が記載され、公開されているが、それは完全でない。末端ヘアピンループの配列は決定されておらず、4つの54bp反復配列だけが同定された。wtVACV株NYCBH、クローンACAM2000ゲノムの公開された配列は不完全であるので、ヘアピンは正確に複製することができず、本出願の前までは、wtVACVゲノムの既知の部分だけに基づいてVACVをポリヌクレオチドから複製し、アセンブルすることができるかどうかはわかっていなかった。1つの株ウイルスからのヘアピンが別の株において作動可能だろうこともわかっていなかった。本発明者らは、VACVの自身の末端ヘアピンループ配列の代わりに異なる株のwtVACVテロメアに基づいて末端ヘアピンループを使用して、機能的合成キメラVACV(scVACV)ACAM2000を作製した。例示的な実施形態では、VACV WR株テロメアの公開された配列をガイドとして使用してssDNA断片を化学合成し、VACV株NYCBHの左および右の末端を含むdsDNA断片の上へライゲーションした。一部の実施形態では、末端ヘアピンは、そのゲノムが完全に配列決定されているかまたはその天然分離株がゲノム配列決定で利用可能である、任意のVACV株の末端ヘアピンに基づく。一部の実施形態では、末端ヘアピンループは、Western Reserve、クローン3、Tian Tian、Tian TianクローンTP5、Tian TianクローンTP3、NYCBH、NYCBHクローンAcambis 2000、Wyeth、Copenhagen、Lister、Lister 107、Lister-LO、Lister GL-ONC1、Lister GL-ONC2、Lister GL-ONC3、Lister GL-ONC4、Lister CTC1、Lister IMG2(Turbo FP635)、IHD-W、LC16m18、Lederle、TashkentクローンTKT3、TashkentクローンTKT4、USSR、Evans、Praha、L-IVP、V-VET1またはLIVP6.1.1、Ikeda、EM-63、Malbran、Duke、3737、CV-1、Connaught Laboratories、Serro 2、CM-01、NYCBH DryvaxクローンDPP13、NYCBH DryvaxクローンDPP15、NYCBH DryvaxクローンDPP20、NYCBH DryvaxクローンDPP17、NYCBH
DryvaxクローンDPP21、VACV-IOC、漿尿膜ワクシニアウイルスAnkara(CVA)、改変されたワクシニアAnkara(MVA)およびMVA-BNの群から選択される株に基づく。好ましい実施形態では、末端ヘアピンループは、VACVのWestern Reserve株(WR株)に基づく。新規のVACV株が、なお継続的に発見されている。本開示のscVACVは、そのような新たに発見されるVACV株に基づくことができるものと理解される。
【0079】
別の実施形態では、本開示のscVACVのウイルスゲノムは、相同または異種の末端ヘアピンループおよびヘアピンループの下流に位置するタンデムリピート領域(70bp、125bpおよび54bpタンデムリピート)を含み、ここで、タンデムリピート領域は、wtVACV(すなわち、天然に存在するウイルス)と異なる数の反復配列を含む。VACVウイルス株WRに見出される70bp、125bpおよび54bpタンデムリピートの反復配列の数は、それぞれ22、2および8であった。別の実施形態では、タンデムリピート領域の数は、異なるポックスウイルス、異なるワクシニアウイルス、および異なるワクシニアウイルス株で変動する。相同末端ヘアピンループという用語は、前記末端ヘアピンループが同じウイルス種/同じ株に由来することを意味し、異種末端ヘアピンループという用語は、前記末端ヘアピンループが異なるウイルス種/異なる株に由来することを意味する。
【0080】
一部の実施形態では、改変は、1つまたは複数の制限部位の欠失を含むことができる。一部の実施形態では、改変は、1つまたは複数の制限部位の導入を含むことができる。一部の実施形態では、ゲノムから欠失させるかまたはゲノムに付加される制限部位は、限定されずに、AanI、AarI、AasI、AatI、AatII、AbaSI、AbsI、Acc65I、AccI、AccII、AccIII、AciI、AclI、AcuI、AfeI、AflII、AflIII、AgeI、AhdI、AleI、AluI、AlwI、AlwNI、ApaI、ApaLI、ApeKI、ApoI、AscI、AseI、AsiSI、AvaI、AvaII、AvrII、BaeGI、BaeI、BamHI、BanI、BanII、BbsI、BbvCI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BclI、BcoDI、BfaI、BfuAI、BfuCI、BglI、BglII、BlpI、BmgBI、BmrI、BmtI、BpmI、Bpu10I、BpuEI、BsaAI、BsaBI、BsaHI、BsaI、BsaJI、BsaWI、BsaXI、BseRI、BseYI、BsgI、BsiEI、BsiHKAI、BsiWI、BslI、BsmAI、BsmBI、BsmFI、BsmI、BsoBI、Bsp1286I、BspCNI、BspDI、BspEI、BspHI、BspMI、BspQI、BsrBI、BsrDI、BsrFαI、BsrGI、BsrI、BssHII、BssSαI、BstAPI、BstBI、BstEII、BstNI、BstUI、BstXI、BstYI、BstZ17I、Bsu36I、BtgI、BtgZI、BtsαI、BtsCI、BtsIMutI、Cac8I、ClaI、CspCI、CviAII、CviKI-1、CviQI、DdeI、DpnI、DpnII、DraI、DrdI、EaeI、EagI、EarI、EciI、Eco53kI、EcoNI、EcoO109I、EcoP15I、EcoRI、EcoRV、FatI、FauI、Fnu4HI、FokI、FseI、FspEI、FspI、HaeII、HaeIII、HgaI、HhaI、HincII、HindIII、HinfI、HinP1I、HpaI、HpaII、HphI、Hpy166II、Hpy188I、Hpy188III、Hpy99I、HpyAV、HpyCH4III、HpyCH4IV、HpyCH4V、I-CeuI、I-SceI、KasI、KpnI、LpnPI、MboI、MboII、MfeI、MluCI、MluI、MlyI、MmeI、MnlI、MscI、MseI、MslI、MspA1I、MspI、MspJI、MwoI、NaeI、NarI、NciI、NcoI、NdeI、NgoMIV、NheI、NlaIII、NlaIV、NmeAIII、NotI、NruI、NsiI、NspI、PacI、PaeR7I、PciI、PflFI、PflMI、PleI、PluTI、PmeI、PmlI、PpuMI、PshAI、PsiI、PspGI、PspOMI、PspXI、PstI、PvuI、PvuII、RsaI、RsrII、SacI、SacII、SalI、SapI、Sau3AI、Sau96I、SbfI、ScrFI、SexAI、SfaNI、SfcI、SfiI、SfoI、SgrAI、SmaI、SmlI、SnaBI、SpeI、SphI、SrfI、SspI、StuI、StyD4I、StyI、SwaI、TaqαI、TfiI、TseI、Tsp45I、TspMI、TspRI、Tth111I、XbaI、XcmI、XhoI、XmaI、XmnIまたはZraIなどの制限部位の1つまたは複数から選択することができる。任意の所望の制限部位(複数可)または制限部位の組合せをゲノムに挿入することまたは変異させること、および/またはゲノムから排除することができるものと理解される。一部の実施形態では、1つまたは複数のAarI部位がウイルスゲノムから欠失させられる。一部の実施形態では、1つまたは複数のBsaI部位がウイルスゲノムから欠失させられる。一部の実施形態では、1つまたは複数の制限部位がゲノムから完全に排除される(例えば、ウイルスゲノムの中の全てのAarI部位を排除することができる)。一部の実施形態では、1つまたは複数のAvaI制限部位がウイルスゲノムに導入される。一部の実施形態では、1つまたは複数のStuI部位がウイルスゲノムに導入される。一部の実施形態では、1つまたは複数の改変は、loxPまたはFRT部位を限定されずに含む、組換え標的の組込みを含むことができる。
【0081】
一部の実施形態では、改変は、蛍光マーカー、例えば、限定されずに、緑色蛍光性タンパク質(GFP)、強化されたGFP、黄色蛍光性タンパク質(YFP)、シアン/青色蛍光性タンパク質(BFP)、赤色蛍光性タンパク質(RFP)またはそのバリアント等;選択マーカー、例えば、限定されずに、薬物耐性マーカー(例えば、E.coliキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(gpt)、Streptomyces albonigerピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(pac)、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼI遺伝子(nptI)、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子II(nptII)、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(hpt)、sh ble遺伝子等;タンパク質またはペプチドタグ、例えば、限定されずに、MBP(マルトース結合性タンパク質)、CBD(セルロース結合性ドメイン)、GST(グルタチオン-S-転移酵素)、ポリ(His)、FLAG、V5、c-Myc、HA(血球凝集素)、NE-タグ、CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)、DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)、HSV(単純ヘルペスウイルス)、VSV-G(水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質)、ルシフェラーゼ、プロテインA、プロテインG、ストレプトアビジン、T7、チオレドキシン、酵母2-ハイブリッドタグ、例えばB42、GAL4、LexAまたはVP16;局在化タグ、例えば、NLS-タグ、SNAP-タグ、Myr-タグ等の導入を含むことができる。当技術分野で公知である他の選択マーカーおよび/またはタグを使用することができるものと理解される。一部の実施形態では、改変は、再活性化されたウイルスクローンの選択を助けるために、再活性化されたクローンの選択を助ける1つまたは複数の選択マーカー(例えば、YFPなどの蛍光マーカー、gptなどの薬物選択マーカー等)を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の選択マーカーは、選択ステップの後に再活性化されたクローンから欠失される。
【0082】
一態様では、本発明のscVACVは、病原性のポックスウイルス感染症(例えば、VARV、MPXV、MCV、ORFV、Ausdykウイルス、BPSV、アザラシポックスウイルス等)に対して防御するワクチンとして、病原性のポックスウイルス感染症(例えば、VARV、MPXV、MCV、ORFV、Ausdykウイルス、BPSV、アザラシポックスウイルス等)を処置もしくは予防する治療剤として、異種遺伝子発現のためのビヒクルとして、または腫瘍溶解剤として使用することができる。一部の実施形態では、scVACVは、VARV感染症に対して防御するワクチンとして使用することができる。一部の実施形態では、scVACVは、VARV感染症を処置または予防するために使用することができる。
【0083】
合成キメラVACVの製造方法
一態様では、本発明は、ウイルスゲノムの化学合成された重複する二本鎖DNA断片から機能的合成キメラVACV(scVACV)を合成、再活性化および単離するためのシステムおよび方法を提供する。ウイルスゲノムの重複するDNA断片の組換えおよび機能的scVACVの再活性化は、以前にヘルパーウイルスに感染した細胞で実行される。簡潔には、scVACVのウイルスゲノムの全部または実質的に全部を包含する重複するDNA断片を化学合成し、ヘルパーウイルス感染細胞にトランスフェクトする。トランスフェクトされた細胞を培養して、ヘルパーウイルスおよび再活性化scVACVを含む混合したウイルス後代を生成する。次に、ヘルパーウイルスを排除し、合成キメラワクシニアウイルスを回収するために、ヘルパーウイルスの増殖を支持しないが、合成キメラワクシニアウイルスの増殖を可能にする宿主細胞の上に、混合したウイルス後代を平板培養する。一部の実施形態では、ヘルパーウイルスは、宿主細胞に感染しない。一部の実施形態では、ヘルパーウイルスは宿主細胞に感染することができるが、宿主細胞において十分に増殖しない。一部の実施形態では、ヘルパーウイルスは、scVACVと比較して宿主細胞においてより遅く増殖する。
【0084】
一部の実施形態では、合成キメラワクシニアウイルスゲノムの実質的に全ては、化学合成DNAから誘導される。一部の実施形態では、合成キメラワクシニアウイルスゲノムの約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、99%超、または100%は、化学合成DNAから誘導される。一部の実施形態では、ワクシニアウイルスゲノムは、化学合成DNAおよび天然に存在するDNAの組合せから誘導される。一部の実施形態では、ワクシニアウイルスゲノムを包含する断片の全ては、化学合成される。一部の実施形態では、断片の1つまたは複数は化学合成され、断片の1つまたは複数は天然に存在するDNAから誘導される(例えば、PCR増幅によって、または確立された組換えDNA技術によって)。
【0085】
本開示の方法で使用される重複するDNA断片の数は、ワクシニアウイルスゲノムのサイズに依存する。実際的な考慮事項、例えば、一方では断片の数の増加に伴う組換え効率の低下、および他方では断片の数の減少に伴う非常に大きなDNA断片の合成における困難も、本開示の方法で使用される重複する断片の数について情報を与える。一部の実施形態では、合成キメラワクシニアウイルスゲノムは、単一の断片として合成することができる。一部の実施形態では、合成キメラワクシニアウイルスゲノムは、2~14個の重複するDNA断片からアセンブルされる。一部の実施形態では、合成キメラワクシニアウイルスゲノムは、4~12個の重複するDNA断片からアセンブルされる。一部の実施形態では、合成キメラワクシニアウイルスゲノムは、6~12個の重複するDNA断片からアセンブルされる。一部の実施形態では、合成キメラワクシニアウイルスゲノムは、8~11個の重複するDNA断片からアセンブルされる。一部の実施形態では、合成キメラワクシニアウイルスゲノムは、8~10個、10~12個または10~14個の重複するDNA断片からアセンブルされる。一部の実施形態では、合成キメラワクシニアウイルスゲノムは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個の重複するDNA断片からアセンブルされる。好ましい実施形態では、合成キメラワクシニアウイルスゲノムは、9個の重複するDNA断片からアセンブルされる。本開示の例示的な実施形態では、合成ワクシニアウイルス(scVACV)は、9つの化学合成された重複する二本鎖DNA断片から再活性化される。一部の実施形態では、末端ヘアピンループは別々に合成されて、ワクシニアウイルスゲノムの左および右の末端を含む断片の上へライゲーションされる。一部の実施形態では、末端ヘアピンループは、天然に存在する鋳型から誘導することができる。一部の実施形態では、scVACVの末端ヘアピンは、wtVACVから誘導される。一部の実施形態では、末端ヘアピンは、VACVの自身の末端ヘアピンループ配列の代わりに、異なる株のwtVACV末端ヘアピンから誘導される。一部の実施形態では、末端ヘアピンは、そのゲノムが完全に配列決定されているかまたはその天然分離株がゲノム配列決定で利用可能である、任意のwtVACVの末端ヘアピンに基づく。
【0086】
本発明の方法の様々な態様において使用される重複する断片のサイズは、ワクシニアウイルスゲノムのサイズに依存する。断片サイズに広い変動があってよいこと、および非常に大きなDNA断片を化学合成する能力などの様々な実際的な考慮事項が、断片サイズの選択について情報を与えることが理解される。一部の実施形態では、断片は、サイズが約2,000bpから約50,000bpの範囲内である。一部の実施形態では、断片は、サイズが約3,000bpから約45,000bpの範囲内である。一部の実施形態では、断片は、サイズが約4,000bpから40,000bpの範囲内である。一部の実施形態では、断片は、サイズが約5,000bpから35,000bpの範囲内である。一部の実施形態では、最大の断片は、約18,000bp、20,000bp、21,000bp、22,000bp、23,000bp、24,000bp、25,000bp、26,000bp、27,000bp、28,000bp、29,000bp、30,000bp、31,000bp、32,000bp、33,000bp、34,000bp、35,000bp、36,000bp、37,000bp、38,000bp、39,000bp、40,000bp、41,000bp、42,000bp、43,000bp、44,000bp、45,000bp、46,000bp、47,000bp、48,000bp、49,000bpまたは50,000bpである。本開示の例示的な実施形態では、scVACVは、サイズが約10,000bpから約32,000bpの範囲内である、9つの化学合成された重複する二本鎖DNA断片から再活性化される(表1)。
【0087】
ヘルパーウイルスは、トランスフェクトされたDNAからポックスウイルスを再活性化するために必要なトランス作用性酵素機構を提供することができる、任意のポックスウイルスであってよい。ヘルパーウイルスは、生成されるscVACVと異なるかまたはより狭い宿主細胞範囲を有することができる(例えば、ショープ線維腫ウイルス(SFV)は、ワクシニアウイルス(VACV)またはHPXVなどのオルソポックスウイルスと比較して非常に狭い宿主範囲を有する)。ヘルパーウイルスは、生成されるscVACVと比較して異なるプラーク表現型を有することができる。一部の実施形態では、ヘルパーウイルスは、Leporipoxvirusである。一部の実施形態では、Leporipoxvirusは、SFV、野兎線維腫ウイルス、ウサギ線維腫ウイルス、リス線維腫ウイルスまたは粘液腫ウイルスである。好ましい実施形態では、ヘルパーウイルスは、SFVである。一部の実施形態では、ヘルパーウイルスは、Orthopoxvirusである。一部の実施形態では、Orthopoxvirusは、ラクダ痘ウイルス(CMLV)、牛痘ウイルス(CPXV)、エクトロメリアウイルス(ECTV、「マウス痘因子」)、HPXV、サル痘ウイルス(MPXV)、ウサギ痘ウイルス(RPXV)、アライグマ痘ウイルス、スカンク痘ウイルス、アレチネズミ痘ウイルス、ウアシンギシュー病ウイルス、VACVおよびハタネズミ痘ウイルス(VPV)である。一部の実施形態では、ヘルパーウイルスは、Avipoxvirus、Capripoxvirus、Cervidpoxvirus、Crocodylipoxvirus、Molluscipoxvirus、Parapoxvirus、SuipoxvirusまたはYatapoxvirusである。一部の実施形態では、ヘルパーウイルスは、鶏痘ウイルスである。一部の実施形態では、ヘルパーウイルスは、Alphaentomopoxvirus、BetaentomopoxvirusまたはGammaentomopoxvirusである。一部の実施形態では、ヘルパーウイルスは、ソラレン不活化ヘルパーウイルスである。本開示の例示的な実施形態では、scVACVは、SFV感染BGMK細胞にトランスフェクトされる重複するDNA断片から再活性化される。次いで、混合されたウイルス後代をBSC-40細胞の上に平板培養することによって、SFVを排除する。
【0088】
熟練者は、scVACVの再活性化のために適切な宿主細胞が使用され、scVACVの選択および/または単離は、ヘルパーウイルスおよび本開示の方法の様々な態様によって生成されるキメラポックスウイルスの特定の組合せに依存することを理解する。ヘルパーウイルスおよびscVACVの両方の増殖を支持する任意の宿主細胞を再活性化ステップのために使用することができ、ヘルパーウイルスを排除し、scVACVを選択および/または単離するために、ヘルパーウイルスの増殖を支持しない任意の宿主細胞を使用することができる。一部の実施形態では、ヘルパーウイルスはLeporipoxvirusであり、再活性化ステップのために使用される宿主細胞は、ウサギ腎臓細胞(例えば、LLC-RK1、RK13等)、ウサギ肺細胞(例えば、R9ab)、ウサギ皮膚細胞(例えば、SF1Ep、DRS、RAB-9)、ウサギ角膜細胞(例えば、SIRC)、ウサギ癌腫細胞(例えば、Oc4T/cc)、ウサギ皮膚/癌腫細胞(例えば、CTPS)、サル細胞(例えば、Vero、BGMK等)またはハムスター細胞(例えば、BHK-21等)から選択することができる。好ましい実施形態では、宿主細胞は、BGMK細胞である。
【0089】
一部の実施形態では、scVACVは、本明細書に記載されるscVACVの使用を可能にする力価までウイルスが増殖することを可能にする、任意の培養基で増殖させることができる。一実施形態では、培養基は、scVACVが、対応する野生型ウイルスのために決定されるものと同等の力価まで増殖することを可能にする。一部の実施形態では、scVACVは、VACVによる感染に感受性である細胞(例えば、鳥類の細胞、コウモリの細胞、ウシの細胞、ラクダの細胞、カナリアの細胞、ネコの細胞、シカの細胞、ウマの細胞、ニワトリの細胞、スナネズミの細胞、ヤギの細胞、ヒトの細胞、サルの細胞、ブタの細胞、ウサギの細胞、アライグマの細胞、アザラシの細胞、ヒツジの細胞、スカンクの細胞、ハタネズミの細胞等)で増殖させることができる。そのような方法は、当業者に周知である。代表的な哺乳動物細胞には、限定されずに、BHK、BGMK、BRL3A、BSC-40、CEF、CEK、CHO、COS、CVI、HaCaT、HEL、HeLa細胞、HEK293、ヒト骨肉腫細胞系143B、MDCK、NIH/3T3およびベロ細胞が含まれる。ウイルス単離のために、一般的に周知の浄化手順、例えば、密度勾配遠心分離およびカラムクロマトグラフィーによってscVACVは細胞培養物から取り出され、細胞構成成分から分離され、所望により、プラークアッセイなどの当業者に周知の手順を使用してさらに精製することができる。
【0090】
本発明の別の態様では、合成キメラワクシニアウイルス(scVACV)を製造する方法は、(i)ワクシニアウイルスのウイルスゲノムの実質的に全てに対応する重複DNA断片を化学合成するステップ、およびワクシニアウイルスの別の株から末端ヘアピンループを化学合成するステップと;(ii)重複DNA断片をヘルパーウイルス感染細胞にトランスフェクトするステップと;(iii)前記細胞を培養して前記細胞においてヘルパーウイルスおよび合成キメラワクシニアウイルス粒子の混合物を生成するステップと;(iv)scVACVに特異的な宿主細胞の上で混合物を平板培養してscVACVを回収するステップとを含む。一部の実施形態では、本方法のscVACVは、NYCBH株、クローンAcambis2000に由来し、末端ヘアピンループはワクシニアウイルスのWestern Reserve株に由来する。
【0091】
本開示のポリヌクレオチド
一態様では、本発明は、機能的合成キメラポックスウイルス(scVACV)を製造するためのポリヌクレオチド(例えば、二本鎖DNA断片)を提供する。一部の実施形態では、本発明は、合成DNA(例えば、化学合成DNA、PCR増幅DNA、操作されたDNA、ヌクレオシド類似体を含むポリヌクレオチド等)から機能的scVACVを製造する方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、ウイルスゲノムの化学合成された重複する二本鎖DNA断片から機能的scVACVを製造する方法を提供する。本発明の様々な態様のポリヌクレオチドは、公開されているゲノム配列に基づいて設計することができる。ワクシニアウイルスの天然分離株が直ちに利用できる場合、本開示のポリヌクレオチドを選択および設計する前に、ウイルスゲノムを配列決定することができる。あるいは、ワクシニアウイルスの部分的DNA配列が、例えば感染者に関連した材料からの臨床分離株からか、法医学試料からかまたはPCR増幅DNAから利用可能である場合、本開示のポリヌクレオチドを選択および設計する前に、部分的ウイルスゲノムを配列決定することができる。一態様では、本発明のscVACV、したがって本開示のポリヌクレオチドは、天然に存在する株、バリアントまたは変異体、変異誘発されたウイルスまたは遺伝子操作ウイルスのゲノム配列に基づくことができる。
【0092】
一態様では、本発明は、参照VACVゲノム配列またはその相補体の全部または一部に、少なくとも90%同一(例えば、少なくとも91%、92%、93%または94%同一)、少なくとも95%同一(例えば、少なくとも96%、97%、98%または99%同一)、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。本開示の単離されたポリヌクレオチドは、少なくとも5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、15000、20000、25000、30000、35000、40000、45000bpまたはそれより多くの、参照ポリヌクレオチド分子(例えば、参照VACVゲノムまたはその断片)の連続または不連続のヌクレオチドを含むことができる。当業者は、核酸に相補的な核酸配列および核酸のバリアントも、本出願の範囲内にあることを理解する。さらなる実施形態では、本開示の核酸配列は、単離すること、組み換えること、および/または異種ヌクレオチド配列に融合することができ、またはDNAライブラリーの中にあってもよい。
【0093】
一部の態様では、本発明はscVACVを製造するためのポリヌクレオチドを提供し、ここで、VACVは以下の株から選択される:Western Reserve、クローン3、Tian Tian、Tian TianクローンTP5、Tian TianクローンTP3、NYCBH、NYCBHクローンAcambis 2000、Wyeth、Copenhagen、Lister、Lister 107、Lister-LO、Lister GL-ONC1、Lister GL-ONC2、Lister GL-ONC3、Lister GL-ONC4、Lister CTC1、Lister IMG2(Turbo FP635)、IHD-W、LC16m18、Lederle、TashkentクローンTKT3、TashkentクローンTKT4、USSR、Evans、Praha、L-IVP、V-VET1またはLIVP6.1.1、Ikeda、EM-63、Malbran、Duke、3737、CV-1、Connaught Laboratories、Serro 2、CM-01、NYCBH DryvaxクローンDPP13、NYCBH DryvaxクローンDPP15、NYCBH DryvaxクローンDPP20、NYCBH DryvaxクローンDPP17、NYCBH
DryvaxクローンDPP21、VACV-IOC、漿尿膜ワクシニアウイルスAnkara(CVA)、改変されたワクシニアAnkara(MVA)およびMVA-BN。好ましい実施形態では、scVACVは、NYCBH株クローンAcambis 2000またはACAM2000から誘導される。
【0094】
一態様では、本発明は、合成キメラワクシニアウイルス(scVACV)を製造するためのポリヌクレオチドを提供する。具体的な実施形態では、scVACVゲノムは、VACV株NYCBHクローンACAM2000のために記載される公開されたゲノム配列に基づくことができる(GenBank受託AY313847;Osborne JD et al. Vaccine. 2007; 25(52):8807-32)。本発明の様々な態様では、本開示の方法を使用して
機能的scVACV粒子を製造するために、ワクシニアウイルス(VACV)株WRからの末端ヘアピンループを、VACVゲノム株NYCBHクローンACAM2000の末端の上へライゲーションすることができることが示されている。一部の実施形態では、本開示の方法を使用して機能的scVACV粒子を製造するために、ワクシニアウイルス(VACV)株ACAM2000からの末端ヘアピンループを、VACVゲノム株NYCBHクローンACAM2000の末端の上へライゲーションすることができる。scVACVゲノムは、本開示の実施例に記載の通りに、および表1に示される通りに、9つの重複する断片に分割することができる。一部の実施形態では、VACVゲノムは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個の重複する断片に分割することができる。一部の実施形態では、全体のゲノムを1つの断片として提供することができる。断片サイズは、表1に示す。一部の実施形態では、VACVゲノムは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個の重複する断片に分割することができる。一部の実施形態では、全体のゲノムを1つの断片として提供することができる。断片サイズは、表1に示す。本発明の様々な態様のポリヌクレオチドは、配列番号1~9と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、本発明の単離されたポリヌクレオチドは、これらの配列のバリアントを含み、ここで、そのようなバリアントは、ミスセンス変異、ナンセンス変異、重複、欠失および/または付加を含むことができる。配列番号13および配列番号14は、VACV(WR株)末端ヘアピンループのヌクレオチド配列を表す。配列番号19および配列番号20は、VACV(ACAM2000株)末端ヘアピンループのヌクレオチド配列を表す。一部の実施形態では、末端ヘアピンループは、配列番号13または配列番号14と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、末端ヘアピンループは、配列番号19または配列番号20と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む。
【0095】
他の実施形態では、scVACVゲノムは、Western Reserve(Genbank受託NC006998;Genbank受託AY243312)、CL3(Genbank受託AY313848)、Tian Tian(Genbank受託AF095689.1)、Tian TianクローンTP5(JX489136)、TP3(Genbank受託KC207810)およびTP5(Genbank受託KC207811)、NYCBH、Wyeth、Copenhagen(Genbank受託M35027)、NYCBHクローンAcambis 2000(Genbank受託AY313847)、Lister 107(Genbank受託DQ121394)、Lister-LO(Genbank受託AY678276)、改変されたワクシニアウイルスAnkara(MVA)(Genbank受託U94848;Genbank受託AY603355)、MVA-BN(Genbank受託DQ983238)、Lederle、TashkentクローンTKT3(Genbank受託KM044309)およびTKT4(KM044310)、USSR、Evans、Praha、LIVP、Ikeda、IHD-W(Genbank受託KJ125439)、LC16m8(AY678275)、EM-63、IC、Malbran、Duke(Genbank受託DQ439815)、3737(Genbank受託DQ377945)、VACV-IOC(Genbank受託KT184690およびKT184691)、CV-1、Connaught Laboratories、CVA(Genbank受託AM501482)、Serro 2ウイルス(Genbank受託KF179385)、Cantagloウイルス分離株CM-01(Genbank受託KT013210)、DryvaxクローンDPP15(Genbank受託JN654981)、DPP20(Genbank受託JN654985)、DPP13(Genbank受託JN654980)、DPP17(Genbank受託JN654983)、DPP21(Genbank受託JN654986)から選択されるVACV株に基づく。
【0096】
一態様では、本発明は、参照wtVACVゲノム配列の全部または一部と、少なくとも90%同一である(例えば、少なくとも91%、92%、93%または94%同一である)、少なくとも95%同一である(例えば、少なくとも96%、97%、98%または99%同一である)、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、本開示の単離されたポリヌクレオチドは、参照配列のバリアントを含み、ここで、そのようなバリアントは、ミスセンス変異、ナンセンス変異、重複、欠失および/または付加を含むことができる。一部の実施形態では、本発明の単離されたポリヌクレオチドは、少なくとも5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、15000、20000、25000、30000、35000、40000、45000bpまたはそれより大きい、参照ポリヌクレオチド分子(例えば、参照wtVACVゲノム)の連続または非連続のヌクレオチドを含むことができる。
【0097】
本明細書に開示されるポリヌクレオチド配列のいずれかに相補的なポリヌクレオチドも、本出願に包含される。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コードするかまたはアンチセンスの)または二本鎖であってもよく、DNA(ゲノムまたは合成の)またはRNA分子であってもよい。RNA分子は、mRNA分子を含む。追加のコードまたは非コード配列は、そうする必要はないが、本開示のポリヌクレオチドの中に存在することができ、ポリヌクレオチドは、そうする必要はないが、他の分子および/または支持材料に連結することができる。
【0098】
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、下記のように最大の対応のために整列させたときに、2つの配列の中のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が同じである場合、「同一である」と言われる。2つの配列の間の比較は、比較ウインドウにわたって配列を比較して、配列類似性の局所領域を同定し、比較することによって一般的に実行される。「比較ウインドウ」は、本明細書で使用される場合、少なくとも約20、通常30~約75、または40~約50の連続した位置のセグメントを指し、ここでは、それらの2つの配列を最適に整列させた後に、配列を同数の連続した位置の参照配列と比較することができる。さらに、または代わりに、ポリヌクレオチドまたはバリアントは、本明細書で提供されるポリヌクレオチドに実質的に相同的であってもよい。そのようなポリヌクレオチドバリアントは、中程度にストリンジェントな条件下で本開示のポリヌクレオチド(または、その相補体)にハイブリダイズすることが可能である。
【0099】
好適な「中程度にストリンジェントな条件」は、5×SSC、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液における予洗;50℃~65℃、5×SSCで一晩のハイブリダイゼーション;続いて、0.1%SDSを含有する2×、0.5×および0.2×SSCの各々による65℃で20分間の2回の洗浄を含む。
【0100】
本明細書で使用される場合、「高度にストリンジェントな条件」、または「高いストリンジェンシー条件」は、(1)洗浄のために低いイオン強度および高い温度、例えば50℃で0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを用いるもの;(2)ハイブリダイゼーションの間に変性剤、例えばホルムアミド、例えば50(v/v)%ホルムアミドと一緒に、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを含むpH6.5の50mMリン酸ナトリウム緩衝液を42℃で用いるもの;または、(3)50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハート液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDSおよび10%硫酸デキストランを42℃で用い、42℃で0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)および55℃の50%ホルムアミドで洗浄し、続いて、55℃でEDTAを含有する0.1×SSCからなる高ストリンジェンシーで洗浄するものである。当業者は、プローブ長などの因子を適合させるために、必要に応じて温度、イオン強度等を調整する方法を認める。
【0101】
この開示のポリヌクレオチドは、化学合成、組換え方法またはPCRを使用して得ることができる。ポリヌクレオチドの化学合成の方法は当技術分野で周知であり、本明細書で詳細に記載する必要はない。当業者は、所望のDNA配列を製造するために、本明細書で提供される配列および市販のDNA合成装置提供者を使用することができる。
【0102】
組換え方法を使用してポリヌクレオチドを調製するために、所望の配列を含むポリヌクレオチドを好適なベクターに挿入することができ、ベクターは、本明細書でさらに議論されるように、複製および増幅のために好適な宿主細胞に次に導入することができる。ポリヌクレオチドは、当技術分野で公知である任意の手段によって宿主細胞に挿入することができる。細胞は、直接取り込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F-接合または電気穿孔法によって外来性ポリヌクレオチドを導入することによって形質転換される。導入されると、外来性ポリヌクレオチドは、非組み込みベクター(プラスミドなど)として細胞の中で維持することができるか、または宿主細胞ゲノムに組み入れることができる。そのように増幅されたポリヌクレオチドは、当技術分野で周知の方法によって宿主細胞から単離することができる。例えば、Sambrook et al., 1989を参照。
【0103】
代わりに、PCRは、DNA配列の再生産を可能にする。PCR技術は当技術分野で周知であり、米国特許第4,683,195号、4,800,159号、4,754,065号および4,683,202号、ならびにPCR: The Polymerase Chain Reaction,
Mullis et al. eds., Birkauswer Press, Boston, 1994に記載される。
【0104】
RNAは、適切なベクターの中の単離されたDNAを使用し、それを好適な宿主細胞に挿入することによって得ることができる。細胞が複製し、DNAがRNAに転写されるとき、例えば、上記のSambrook et al., 1989に示す通り、当業者に周知の方法を使用してRNAを次いで単離することができる。
【0105】
他の実施形態では、本発明の核酸は、高度にストリンジェントな条件の下で配列番号1~9に示すヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列またはそれに相補的である配列も含む。当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシー条件は異なることができることを容易に理解する。例えば、約45℃の6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)と、続く50℃の2.0×SSCの洗浄で、ハイブリダイゼーションを実行することができる。例えば、洗浄ステップでの塩濃度は、50℃の約2.0×SSCの低ストリンジェンシーから50℃の約0.2×SSCの高ストリンジェンシーから選択することができる。さらに、洗浄ステップでの温度は、約22℃の室温の低ストリンジェンシー条件から約65℃の高ストリンジェンシー条件まで増加させることができる。温度と塩の両方を変化させることができるか、または温度もしくは塩濃度を一定に保持することができ、他の変数を変化させる。一実施形態では、本発明は、室温で6×SSCの低ストリンジェンシー条件と、続く室温で2×SSCでの洗浄の下でハイブリダイズする核酸を提供する。
【0106】
遺伝子コードの縮重のために異なる単離された核酸も、本発明の一部の態様の範囲内にある。例えば、いくつかのアミノ酸は、1つより多いトリプレットによって指定される。同じアミノ酸を指定するコドンまたは同義語(例えば、CAUおよびCACはヒスチジンの同義語である)は、タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント」変異をもたらすことができる。当業者は、特定のタンパク質をコードする核酸の1つまたは複数のヌクレオチド(ヌクレオチドの最大約3~5%)におけるこれらの変動が、天然の対立遺伝子の変動のために、所与の種のメンバーの間に存在することができることを理解するであろう。あらゆるそのようなヌクレオチド変動および結果として生じるアミノ酸多型は、本出願の範囲内にある。
【0107】
本発明の一態様は、本開示のポリヌクレオチドをクローニングするのに有益である、組換えクローニングベクターおよび発現ベクターをさらに提供する。本発明の一態様は、ポリヌクレオチド分子または組換えベクターを含む形質転換宿主細胞、およびそこから誘導される新規の株または細胞系をさらに提供する。
【0108】
宿主細胞は、細菌細胞、酵母細胞、糸状菌細胞、藻類の細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞であってよい。一部の実施形態では、宿主細胞は、E.coliである。これらの宿主細胞の各々での特定の使用のために、ファージ、高コピー数プラスミド、低コピー数プラスミドおよびシャトルベクターをとりわけ含む、様々な異なるベクターが開発され、これらのいずれも本開示を実施するために使用することができる。
【0109】
好適なクローニングベクターは標準の技術によって構築することができるか、または当技術分野で利用可能な多数のクローニングベクターから選択することができる。選択されるクローニングベクターは、使用する予定の宿主細胞によって異なってもよいが、有益なクローニングベクターは、自己複製する能力を一般的に有し、特定の制限エンドヌクレアーゼの単一の標的を有することができ、および/または、ベクターを含有するクローンの選択において使用することができるマーカーの遺伝子を有することができる。好適な例には、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えば、pBAD18、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)およびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにpSA3およびpAT28などのシャトルベクターが含まれる。これらおよび多くの他のクローニングベクターは、商業的ベンダー、例えばBioRad、StratageneおよびInvitrogenから入手できる。
【0110】
本開示のクローニングベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞の選択を助けるために、リポーター遺伝子生成物または他の選択マーカーのためのコード配列をさらに含むように、ベクターを操作することができる。そのようなコード配列は、上記の通り、好ましくは調節エレメントコード配列に作動可能に結合している。本発明の一部の態様において有益であるリポーター遺伝子は当技術分野で周知であり、とりわけ、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、xylEおよびチロシナーゼをコードするものを含む。選択マーカーをコードするヌクレオチド配列は当技術分野で周知であり、抗生物質耐性または代謝拮抗物質耐性を付与する遺伝子生成物をコードするか、または、栄養要求性要件を供給するものを含む。そのような配列の例には、中でも、アンピシリン、エリスロマイシン、チオストレプトンまたはカナマイシンへの耐性をコードするものが含まれる。
【0111】
目的のポリヌクレオチドを含有するベクターおよび/またはポリヌクレオチドそれ自身は、電気穿孔法、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストランまたは他の物質を用いるトランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;ならびに感染(例えば、ベクターがワクシニアウイルスなどの感染因子である場合)を含む、いくつかの適切な手段のいずれかによって宿主細胞に導入することができる。導入ベクターまたはポリヌクレオチドの選択は、宿主細胞の特徴にしばしば依存する。
【0112】
本発明の一態様は、ポリヌクレオチド分子または組換えベクターを含む形質転換宿主細胞、およびそこから誘導される新規の株または細胞系をさらに提供する。一部の実施形態では、本発明の実施において有益な宿主細胞は、E.coli細胞である。E.coliの株、例えば、アメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC)、10801 University Blvd.、Manassas、Va.20110、USA、および商業的な供給源から入手できる、E.coli TOP10またはE.coli BL21(DE3)、DH5α等を一般的に使用することができる。一部の実施形態では、他の原核生物細胞または真核生物細胞を使用することができる。一部の実施形態では、宿主細胞は、Clostridium、Zymomonas、Escherichia、Salmonella、Serratia、Erwinia、Klebsiella、Shigella、Rhodococcus、Pseudomonas、Bacillus、Lactobacillus、Enterococcus、Alcaligenes、Paenibacillus、Arthrobacter、Corynebacterium、Brevibacterium、Schizosaccharomyces、Kluyveromyces、Yarrowia、Pichia、Candida、PichiaまたはSaccharomycesから選択される属のメンバーである。そのような形質転換宿主細胞には、限定されずに、微生物、例えば、とりわけ組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAもしくはコスミドDNAベクターで形質転換された細菌、または組換えベクターで形質転換された酵母が一般的に含まれる。好ましい真核生物の宿主細胞には酵母細胞が含まれるが、哺乳動物細胞または昆虫細胞を効果的に利用することもできる。好適な宿主細胞には、原核生物(例えば、E.coli、B.subtillis、S.lividansまたはC.glutamicum)および酵母(例えば、S.cerevisae、S.pombe、P.pastorisまたはK.lactis)が含まれる。
【0113】
一態様では、本発明は、scVACVのゲノム、その組換え体、またはその機能的部分も含む。ウイルスゲノムの機能的部分は、タンパク質またはその一部(例えば、ドメイン、エピトープ等)をコードするゲノムの一部、調節エレメントまたは調節エレメントの構成成分、例えばプロモーター、エンハンサー、シスもしくはトランス作用性エレメント等を含む一部であってよい。そのようなウイルスの配列は、ウイルスまたはその組換え体を、例えばPCR、ハイブリダイゼーション技術を使用して、またはELISAアッセイを確立することによって、同定または単離するために使用することができる。
【0114】
本開示の医薬組成物
一態様では、本発明は、本開示のscVACVおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0115】
用語「薬学的に許容される」は、連邦もしくは州政府の規制機関に承認されたこと、または、動物、より詳細にはヒトでの使用のために米国薬局方もしくは他の公認の薬局方に掲載されていることを意味する。用語「担体」は、医薬組成物(例えば、免疫原性またはワクチンの製剤)が一緒に投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを指す。食塩水および水性デキストロースおよびグリセロール溶液を、液体担体として、特に注射液として用いることもできる。好適な賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。好適な医薬担体の例は、E. W. Martinによる"Remington's Pharmaceutical Sciences"に記
載される。製剤は、投与様式に適するべきである。
【0116】
一部の実施形態では、本発明の医薬組成物は、標準の投与経路によって投与することができる。製剤を被験体に導入するために多くの方法を使用することができ、これらには、限定されずに、鼻腔内、気管内、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、結膜および皮下経路が含まれる。
【0117】
例示的な使用
病原性ポックスウイルス感染症の予防または処置
一部の実施形態では、本発明の合成キメラワクシニアウイルス(scVACV)は、免疫化において使用することができるか、または病原性ポックスウイルス感染症に対する被験体の免疫応答を誘発もしくはブーストするために使用することができる。別の実施形態では、scVACVは、ワクシニアウイルスに対する免疫応答を誘発またはブーストするために使用することができる。別の実施形態では、scVACVは、痘瘡ウイルスに対する免疫応答を誘発またはブーストするために使用することができる。別の実施形態では、scVACVは、サル痘ウイルスに対する免疫応答を誘発またはブーストするために使用することができる。別の実施形態では、scVACVは、被験体における1つまたは複数の病原性ポックスウイルス感染症を予防、管理または処置するために、例えば痘瘡ウイルス感染症を処置するために使用することができる。一部の実施形態では、scVACVは、ワクシニアウイルスの以下の株から選択される:Western Reserve、クローン3、Tian Tian、Tian TianクローンTP5、Tian TianクローンTP3、NYCBH、NYCBHクローンAcambis 2000、Wyeth、Copenhagen、Lister、Lister 107、Lister-LO、Lister GL-ONC1、Lister GL-ONC2、Lister GL-ONC3、Lister GL-ONC4、Lister CTC1、Lister
IMG2(Turbo FP635)、IHD-W、LC16m18、Lederle、TashkentクローンTKT3、TashkentクローンTKT4、USSR、Evans、Praha、L-IVP、V-VET1またはLIVP6.1.1、Ikeda、EM-63、Malbran、Duke、3737、CV-1、Connaught Laboratories、Serro 2、CM-01、NYCBH DryvaxクローンDPP13、NYCBH DryvaxクローンDPP15、NYCBH DryvaxクローンDPP20、NYCBH DryvaxクローンDPP17、NYCBH DryvaxクローンDPP21、VACV-IOC、漿尿膜ワクシニアウイルスAnkara(CVA)、改変されたワクシニアAnkara(MVA)およびMVA-BN。好ましい実施形態では、scVACVは、NYCBH株クローンAcambis 2000またはACAM2000から誘導される。
【0118】
一態様では、本発明のscVACVは、免疫原性製剤、例えば、ワクチン製剤において使用することができる。製剤は、病原性ポックスウイルス感染症を予防、管理、中和、処置および/または改善するために使用することができる。免疫原性製剤は、生のまたは不活化されたscVACVを含むことができる。scVACVは、当業者に周知の方法によって不活化することができる。一般的な方法は、不活化のためにホルマリンおよび熱を使用する。一部の実施形態では、免疫原性製剤は、生ワクチンを含む。そのような生の免疫原性製剤の製造は、細胞培養におけるscVACVの増殖とそれに続く精製を含む従来の方法を使用して達成することができる。例えば、熟練者が決定することができるように、scVACVは、BHK、BGMK、BRL3A、BSC-40、CEF、CEK、CHO、COS、CVI、HaCaT、HEL、HeLa細胞、HEK293、ヒト骨肉腫細胞系143B、MDCK、NIH/3T3、ベロ細胞等において培養することができる。
【0119】
一態様では、本発明のscVACVは、天然痘を予防、管理または処置するために使用することができる。別の態様では、本発明のscVACVは、天然痘に曝露したか、潜在的に曝露したか、または天然痘への曝露の危険がある個体または集団における、天然痘の予防のためのワクチンとして使用することができる。本発明の様々な態様のscVACVは、天然痘ワクチンの新規の国家備蓄を形成するために使用することができる。一部の実施形態では、本発明のscVACVは、防御人員、最初の対応者等に予防的に投与することができる。
【0120】
一実施形態では、本発明のscVACVを含む組成物は、天然痘ワクチンとして使用される。一態様では、本開示の方法によって製造される本発明のscVACVは、小さいプラークの表現型を有する。一般に、小さいプラークの表現型は、弱毒化を反映すると考えられる。したがって、本発明の様々な方法によって製造されるscVACVは、既存の天然痘ワクチンの安全な代替物を提供する。一部の実施形態では、このワクチンは、既存の天然痘ワクチンからの重度の合併症を患う可能性があり、したがって既存の天然痘ワクチンが禁忌である、免疫が抑制された被験体(例えば、HIV患者、化学療法を受けている患者、がん、リウマチ性障害または自己免疫性障害の処置を受けている患者、臓器または組織移植を受けているかまたは受けた患者、免疫欠損患者、児童、妊娠女性、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、心臓状態を有する患者、および免疫抑制薬等を服用中の患者)への投与のために安全である可能性がある。一部の実施形態では、ワクチンは、ウイルスの複製を抑制するために、1つまたは複数の抗ウイルス処置と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、ワクチンは、ウイルスの複製を抑制するために、ブリンシドフォビル処置と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、ワクチンは、ウイルスの複製を抑制するために、テコビリマット/SIGA-246処置と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、ワクチンは、非環式ヌクレオシドホスホネート(シドフォビル)、非環式ヌクレオシドまたはホスホネートの経口アルコキシアルキルプロドラッグ(ブリンシドフォビルまたはCMX001)と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、ワクチンは、ワクシニア免疫グロブリン(VIG)と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、ワクチンは、VACV、VARVまたはHPXVから誘導されたペプチドまたはタンパク質抗原によって以前に免疫化された被験体において使用することができる。一部の実施形態では、ワクチンは、死滅または不活化VACVによって以前に免疫化された被験体において使用することができる。一部の実施形態では、ワクチンは、複製欠損/欠陥VACVウイルス株、MVA(改変されたウイルスAnkara)によって以前に免疫化された被験体において使用することができる。一部の実施形態では、本発明のscVACVを含むワクチン製剤は、生のまたは不活化scVACVを含むことができる。
【0121】
一実施形態では、本開示のscVACVを含む組成物は、天然痘ワクチンとして使用される。scVACVは、ACAM2000(Genbank受託AY313847)、Western Reserve(Genbank受託NC006998;Genbank受託AY243312)、CL3(Genbank受託AY313848)、Tian Tian(Genbank受託AF095689.1)、Tian TianクローンTP5(JX489136)、TP3(Genbank受託KC207810)およびTP5(Genbank受託KC207811)、NYCBH、Wyeth、Copenhagen(Genbank受託M35027)、NYCBHクローンAcambis 2000(Genbank受託AY313847)、Lister 107(Genbank受託DQ121394)Lister-LO(Genbank受託AY678276)、改変されたワクシニアウイルスAnkara(MVA)(Genbank受託U94848;Genbank受託AY603355)、MVA-BN(Genbank受託DQ983238)、Lederle、TashkentクローンTKT3(Genbank受託KM044309)およびTKT4(KM044310)、USSR、Evans、Praha、LIVP、Ikeda、IHD-W(Genbank受託KJ125439)、LC16m8(AY678275)、EM-63、IC、Malbran、Duke(Genbank受託DQ439815)、3737(Genbank受託DQ377945)、CV-1、Connaught Laboratories、CVA(Genbank受託AM501482)、Serro 2ウイルス(Genbank受託KF179385)、Cantagloウイルス分離株CM-01(Genbank受託KT013210)、DryvaxクローンDPP15(Genbank受託JN654981)、DPP20(Genbank受託JN654985)、DPP13(Genbank受託JN654980)、DPP17(Genbank受託JN654983)、DPP21(Genbank受託JN654986)およびIOC(Genbank受託KT184690およびKT184691)から選択されるVACV株に基づくことができる。一実施形態では、天然痘ワクチンとして使用されるscVACVは、ACAM2000株(Genbank受託AY313847)に基づく。一実施形態では、天然痘ワクチンとして使用されるscVACVは、VACV-IOC株(Genbank受託KT184690およびKT184691)に基づく。一実施形態では、天然痘ワクチンとして使用されるscVACVは、MVA株(Genbank受託U94848;Genbank受託AY603355)に基づく。一実施形態では、天然痘ワクチンとして使用されるscVACVは、MVA-BN株(Genbank受託DQ983238)に基づく。一部の実施形態では、本開示のscVACVを含むワクチン製剤は、生のまたは不活化scVACVを含むことができる。
【0122】
一部の実施形態では、本発明のscVACVを含む組成物は、VACV感染症、MPXV感染症またはCPXV感染症に対するワクチンとして使用される。
【0123】
一部の実施形態では、本発明のscVACVは、異種の抗原またはエピトープを発現するように設計することができ、そのような抗原および/またはエピトープの供給源生物体に対するワクチンとして使用することができる。
【0124】
本開示の免疫原性製剤(例えば、ワクチン)は、有効量のscVACVおよび薬学的に許容される担体を含む。用語「薬学的に許容される」は、連邦もしくは州政府の規制機関に承認されたこと、または、動物、より詳細にはヒトでの使用のために米国薬局方もしくは他の公認の薬局方に掲載されていることを意味する。用語「担体」は、医薬組成物(例えば、免疫原性またはワクチンの製剤)が一緒に投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを指す。食塩水および水性デキストロースおよびグリセロール溶液を、液体担体として、特に注射液として用いることもできる。好適な賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。好適な医薬担体の例は、E. W. Martinによる"Remington's Pharmaceutical Sciences"に記載される。製剤は、投与様式に適するべきである。特定の製剤は、
scVACVが生であるかまたは不活化されているかに依存することもできる。一部の実施形態では、本発明の精製されたscVACVは、後の使用のために凍結乾燥することができるか、または医薬溶液に直ちに調製することができる。scVACVは、アジュバントまたは担体の有無にかかわらず、無菌食塩水などの生理的に許容される溶液に希釈することもできる。
【0125】
一態様では、本発明の免疫原性製剤(例えば、ワクチン)は、乱切法によって患者に投与することができる。ワクチンは、任意の他の標準の投与経路によって投与することもできる。免疫原性製剤(例えば、ワクチン)を導入するために多くの方法を使用することができ、これらには、限定されずに、鼻腔内、気管内、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、結膜および皮下経路が含まれる。鳥類では、方法は、後鼻孔接種をさらに含むことができる。非経口投与に代わるものとして、本発明の態様は、例えば飲料水を通してかまたは噴霧剤での農業目的のための大量投与の経路も包含する。代わりに、本開示のscVACVをその天然の感染経路を通して導入することが好ましいかもしれない。一部の実施形態では、本発明の免疫原性製剤は、注射液、ワクチンを発現する消費できるトランスジェニック植物、持続的放出ゲルまたは植込み可能なカプセル化組成物、固体インプラントまたは核酸として投与される。免疫原性製剤は、クリーム、ローション、軟膏、皮膚パッチ、ロゼンジまたは経口液体、例えば、懸濁物、溶液およびエマルジョン(水中油または油中水)で投与することもできる。生の複製する天然痘ワクチンのための容認された投与経路は皮膚の乱切法であり、それはワクチン接種部位で数日間持続する、ウイルスを排出する外傷を生成する。外傷は、生ワクチンの投与が禁忌であり得る個体へのワクチンの接触伝播の可能な供給源である。したがって、免疫原性製剤の筋肉内投与は、利点を提供することができる。好ましい実施形態では、scVACV ACAM2000の投与は、筋肉内である。別の好ましい実施形態では、投与は皮膚の乱切法による。筋肉内投与は、合成キメラ馬痘ウイルス(scHPXV)などの他の合成キメラオルソポックスウイルスのために使用することもできる。筋肉内投与の場合、筋肉塊に到達し、皮下組織にしみ込まないように正しい長さの針を使用することが重要である。筋肉内注射を投与するとき、針は90°の角度で挿入するべきである。
【0126】
ある特定の実施形態では、本開示の免疫原性製剤(例えば、ワクチン)は、感染症からの完全な防御をもたらさないが、未処置の被験体と比較して病原体(例えば、病原性のポックスウイルス)のより低い力価または低減された数をもたらす。ある特定の実施形態では、本開示の免疫原性製剤の投与は、未処置の被験体と比較して、病原体の力価の0.5倍、1倍、2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、125倍、150倍、175倍、200倍、300倍、400倍、500倍、750倍または1,000倍またはそれより大きな低減をもたらす。病原体の力価、数または全体の負荷における低減の恩恵には、限定されずに、感染症の症状のより低い重症度、および感染症に関連した疾患または状態の長さの低減が含まれる。
【0127】
ある特定の実施形態では、本開示の免疫原性製剤(例えば、ワクチン)は、感染症からの完全な防御をもたらさないが、未処置の被験体と比較して、より少ない数の症状もしくは症状の強さの低下、または低下した罹病率もしくは低下した死亡率をもたらす。
【0128】
様々な実施形態では、本発明の免疫原性製剤(例えば、ワクチン)または本開示のscVACVによって生成される抗体は、感染症(例えば、病原性のポックスウイルス感染症)の予防のための1つまたは複数の他の療法(例えば、抗ウイルスまたは免疫調節性の療法)と組み合わせて被験体に投与される。他の実施形態では、本発明のscVACVによって生成される免疫原性製剤または抗体は、感染症(例えば、病原性のポックスウイルス感染症)の処置のための1つまたは複数の他の療法(例えば、抗ウイルスまたは免疫調節性の療法)と組み合わせて被験体に投与される。さらに他の実施形態では、本発明のscVACVによって生成される免疫原性製剤または抗体は、感染症(例えば、病原性のポックスウイルス感染症)の管理および/または改善のための1つまたは複数の他の療法(例えば、抗ウイルスまたは免疫調節性の療法)と組み合わせて被験体に投与される。具体的な実施形態では、本発明のscVACVによって生成される免疫原性製剤または抗体は、天然痘の予防のための1つまたは複数の他の療法(例えば、抗ウイルスまたは免疫調節性の療法)と組み合わせて被験体に投与される。別の具体的な実施形態では、本発明のscVACVによって生成される免疫原性製剤または抗体は、天然痘の処置のための1つまたは複数の他の療法(例えば、抗ウイルスまたは免疫調節性の療法)と組み合わせて被験体に投与される。一部の実施形態では、ワクチンは、ウイルス複製を抑制するために、1つまたは複数の抗ウイルス処置と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、ワクチンは、ウイルスの複製を抑制するために、ブリンシドフォビル処置と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、ワクチンは、ウイルスの複製を抑制するために、テコビリマット/SIGA-246処置と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、ワクチンは、非環式ヌクレオシドホスホネート(シドフォビル)、非環式ヌクレオシドまたはホスホネートの経口アルコキシアルキルプロドラッグ(ブリンシドフォビルまたはCMX001)と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、ワクチンは、ワクシニア免疫グロブリン(VIG)と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、ワクチンは、VACV、VARVまたはHPXVから誘導されたペプチドまたはタンパク質抗原によって以前に免疫化された被験体において使用することができる。一部の実施形態では、ワクチンは、死滅または不活化VACVによって以前に免疫化された被験体において使用することができる。一部の実施形態では、ワクチンは、複製欠損/欠陥VACVウイルス株、MVA(改変されたウイルスAnkara)によって以前に免疫化された被験体において使用することができる。
【0129】
当業者に周知である任意の抗ウイルス剤を、本発明の様々な態様の製剤(例えば、ワクチン製剤)および方法において使用することができる。抗ウイルス剤の非限定的な例には、その受容体へのウイルスの付着、細胞内へのウイルスの内在化、ウイルスの複製または細胞からのウイルスの放出を阻害および/または低減するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質抗体、核酸分子、有機分子、無機分子および小分子が含まれる。詳細には、抗ウイルス剤には、限定されずに、細胞外ウイルス成熟をブロックする抗ウイルス薬(テコビリマット/SIGA-246)、非環式ヌクレオシドホスホネート(シドフォビル)、非環式ヌクレオシドホスホネートの経口アルコキシアルキルプロドラッグ(ブリンシドフォビルまたはCMX001)またはワクシニア免疫グロブリン(VIG)が含まれる。一部の実施形態では、抗ウイルス剤には、限定されずに、ヌクレオシド類似体(例えば、ジドブジン、アシクロビル、ガンシクロビル(gangcyclovir)、ビダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジンおよびリバビリン)、フォスカーネット、アマンタジン、リマンタジン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、アルファ-インターフェロンおよび他のインターフェロン、ならびにAZTが含まれる。
【0130】
用量および投与レジメンは、処置される被験体の必要性によって当業者が決定することができる。熟練者は、被験体の年齢または体重、処置される疾患または状態の重症度、および処置への被験体の応答などの因子を考慮することができる。一部の実施形態では、本発明の組成物は、例えば必要に応じて、または毎日投与することができる。投与は、様々な期間にわたって行うことができる。例えば、投与レジメンは、1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週またはそれより長い期間、持続することができる。一部の実施形態では、投与レジメンは、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、12カ月またはそれより長い期間、持続する。
【0131】
一部の態様では、本発明のscVACVは、受動免疫療法、診断または予後イムノアッセイ等のために有益な抗体を製造するために使用することもできる。抗体の製造方法は、当技術分野で周知である。抗体は、免疫療法での使用の前にさらに改変することができる(例えば、キメラ化、ヒト化等)。
【0132】
腫瘍溶解剤
本開示で使用される「腫瘍溶解性ウイルス」または「腫瘍溶解剤」は、腫瘍細胞を感染させることによって前記腫瘍細胞(非耐性)を死滅させることが一般的にできる、任意のウイルスと考えられている。
【0133】
一態様では、本発明の合成キメラポックスウイルス(scVACV)は、がん細胞の中で選択的に複製して死滅させる腫瘍溶解剤として使用することができる。別の態様では、本発明は、被験体において腫瘍溶解性応答を誘導するための方法であって、被験体に本開示のscVACVを含む組成物を投与するステップを含む方法に関する。がん細胞などの急速に分裂する細胞は、非分裂細胞よりポックスウイルス感染症に対して一般的に許容性である。ポックスウイルスの多くの特徴、例えば、ヒトにおける安全性、高力価株の製造の容易さ、ウイルス調製物の安定性、および腫瘍細胞の中での複製の後に抗腫瘍免疫を誘導する能力は、ポックスウイルスを望ましい腫瘍溶解剤にする。本発明の様々な方法によって製造されるscVACVは、それらをがんの処置のために好適にさせる、1つまたは複数の改変を含むことができる。したがって、一態様では、本開示は、がん細胞において死滅を誘導する方法であって、細胞を単離されたscVACVまたは本開示のscVACVを含む医薬組成物と接触させるステップを含む方法を提供する。一態様では、本開示は、がんを処置する方法であって、それを必要とする患者に本開示のscVACVの治療的有効量を投与するステップを含む方法を提供する。別の態様は、がんの処置または新生物障害において死滅を誘導することにおいて使用するための、本明細書に記載されるscVACVまたは組成物を含む。別の態様は、がん細胞などの新生物障害細胞において死滅を誘導するための、またはがんなどの新生物障害を処置するための、本明細書に記載されるscVACVまたは組成物の使用を含む。一部の実施形態では、ポックスウイルス腫瘍溶解療法は、1つまたは複数の従来のがん療法(例えば、手術、化学療法、放射線療法、温熱療法および生物学的/免疫学的療法)と組み合わせて投与される。具体的な実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、scVACV NYCBH株、クローンAcambis 2000またはACAM2000である。
【0134】
本出願の方法を使用して、1つまたは複数の望ましい遺伝子を容易に導入することができ、1つまたは複数の望ましくない遺伝子をscVACVゲノムから容易に欠失させることができる。一部の実施形態では、腫瘍溶解剤としての使用のための本発明のscVACVは、それらの免疫反応性、抗腫瘍標的化および/または効力、細胞間拡散および/またはがん特異性を強化するために、導入遺伝子を発現するように設計される。一部の実施形態では、本発明のscVACVは、免疫調節性遺伝子(例えば、GM-CSFまたはTNF機能をブロックするウイルス遺伝子)を発現するように設計されるかまたは操作される。一部の実施形態では、本発明のscVACVは、病原性を減弱させる因子を発現する遺伝子を含むように設計される。一部の実施形態では、本発明のscVACVは、治療剤(例えば、hEPO、BMP-4、特異的腫瘍抗原またはその一部に対する抗体等)を発現するように設計されるかまたは操作される。一部の実施形態では、本発明のscVACVは、gmCSF遺伝子を含むように設計されているかまたは操作されている。一部の実施形態では、本発明のscVACVは、弱毒化のために改変されている。一部の実施形態では、本発明のscVACVは、ウイルスチミジンキナーゼ(TK)遺伝子を欠くように設計されるかまたは操作される。一部の実施形態では、本発明のscVACVは、リボヌクレオチド還元酵素遺伝子を欠くように設計されるかまたは操作される。一部の実施形態では、本発明のscVACVは、ワクシニア増殖因子遺伝子を欠くように設計されるかまたは操作される。一部の実施形態では、本発明のscVACVは、ヘマグルチニン遺伝子を欠くように設計されるかまたは操作される。
【0135】
一態様では、本発明のscVACVは、様々な新生物障害および/またはがんを処置するのに有益である。一部の実施形態では、がんのタイプには、限定されずに、骨がん、乳がん、膀胱がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、食道がん、神経膠腫、胃がん、胃腸がん、頭頸部がん、肝がん、例えば肝細胞癌、白血病、肺がん、リンパ腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、腎臓がん、皮膚がん、例えば黒色腫、精巣がん等、または、処置できる任意の他の腫瘍もしくは前新生物病巣が含まれる。
【0136】
別の実施形態では、本方法は、新生物障害またはがん細胞における、および/あるいは本明細書に記載される単離されたかもしくは組換えのウイルスまたは組成物を投与された被験体からの試料における、投与されたscVACVの存在を検出するステップをさらに含む。例えば、本明細書に記載されるscVACVまたは組成物の投与の前および/または投与の後に、例えば感染の進行を調査するために被験体を試験することができる。一部の実施形態では、本開示のscVACVは検出カセットを含み、投与されたキメラVACVの存在を検出することは、検出カセットでコードされるタンパク質を検出することを含む。例えば、検出カセットが蛍光性タンパク質をコードする場合、被験体または試料は、蛍光を可視化する方法を使用して画像化される。
【0137】
一態様では、本発明の腫瘍溶解性製剤は、有効量の本開示のscVACVおよび薬学的に許容される担体を含む。用語「薬学的に許容される」は、前のセクションにおいて既に上で説明されている。
【0138】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、ポックスウイルス処置施設において投与される。ある特定の態様では、ポックスウイルス処置施設は、本開示の組成物または方法による免疫化または処置を必要とする被験体を、免疫化もしくは処置の予定がないか、または処置被験体から潜在的に感染する可能性がある(例えば、看護者および家族)他の被験体から彼らが隔離されるような環境で免疫化または処置することができる施設である。一部の実施形態では、免疫化の予定がないかまたは処置被験体に感染する可能性のある被験体には、HIV患者、化学療法を受けている患者、がん、リウマチ性障害または自己免疫性障害の処置を受けている患者、臓器または組織移植を受けているかまたは受けた患者、免疫欠損患者、児童、妊娠女性、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、心臓状態を有する患者、および免疫抑制薬等を服用中の患者が含まれる。一部の実施形態では、ポックスウイルス処置施設は、オルソポックスウイルス処置施設である。一部の実施形態では、ポックスウイルス処置施設は、天然痘処置施設である。
【0139】
一部の実施形態では、scVACVを含む本発明の組成物は、天然痘有害事象の専門家によって投与される。一部の実施形態では、天然痘有害事象には、限定されずに、種痘湿疹(eczema vaccinatum)、進行性種痘疹、ワクチン後脳炎、心筋炎および拡張型心筋症が含まれる。
【0140】
組換え遺伝子発現のためのウイルスベクター
一態様では、本発明の合成キメラポックスウイルス(scVACV)は、異種配列を有するように操作することができる。異種配列は、異なるポックスウイルス種から、または任意の非ポックスウイルスの供給源からであってよい。一態様では、異種配列は、任意の非ポックスウイルスの供給源から選択される抗原エピトープである。本出願で使用される非ポックスウイルスの供給源とは、ポックスウイルスと異なる生物体を指す。一部の実施形態では、組換えウイルスは、Plasmodium falciparum、ミコバクテリア、Bacillus anthracis、Vibrio cholerae、MRSA、ラブドウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、パラミキソウイルス、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスのファミリーのウイルスを限定されずに含む、非ポックスウイルスの供給源、または出血熱を引き起こすウイルス、例えばハンタウイルスもしくはフィロウイルス、すなわち、エボラもしくはマールブルグウイルスからの1つまたは複数の抗原エピトープを発現することができる。別の態様では、異種配列は、異なるポックスウイルス種からの抗原エピトープである。これらのウイルス配列は、scVACVの宿主スペクトルまたは免疫原性を改変するために使用することができる。
【0141】
一部の実施形態では、本発明のscVACVは、治療的核酸(例えば、アンチセンス核酸)または治療的ペプチド(例えば、所望の生物活性を有するペプチドまたはタンパク質)を発現する異種遺伝子/核酸をコードすることができる。
【0142】
一部の実施形態では、異種核酸配列の発現は、好ましくは、しかし排他的ではなく、ポックスウイルスプロモーターの転写制御下にある。一部の実施形態では、異種核酸配列は、好ましくはウイルスゲノムの非必須領域に挿入される。異種配列をポックスウイルスのゲノムに挿入する方法は、当業者に公知である。一部の実施形態では、異種核酸は、化学合成によって導入される。例示的な実施形態では、異種核酸は、本開示のscVACVのVACV105/J2R遺伝子座にクローニングすることができる。
【0143】
本発明の一態様のscVACVは、標的細胞への異種核酸配列の導入のために使用することができ、配列は標的細胞に相同または異種である。標的細胞への異種核酸配列の導入は、配列によってコードされる異種ペプチドまたはポリペプチドおよび/または完全なウイルスをin vitroで製造するために使用することができる。一実施形態では、この方法は、本発明のscVACVによる宿主細胞の感染;好適な条件の下での感染宿主細胞の培養;ならびに、宿主細胞によって生成されるペプチド、タンパク質および/またはウイルスの単離および/または富化を含む。異種ペプチドまたはポリペプチドを発現させるための、scVACV感染宿主細胞の培養のための好適な条件は当技術分野で周知であり、使用する宿主細胞によって変動する(例えば、Molecular Cloning: A Laboratory
Manual, second edition (Sambrook et al., 1989)を参照)。
【0144】
記載された本出願の実施形態は、本出願の原理の適用のいくつかを単に例示するだけであることを理解すべきである。本出願の真の精神および範囲を逸脱せずに本明細書に提示される教示に基づいて、当業者は多数の改変を加えることができる。
【0145】
以下の実施例は、本出願を代表するものとして示される。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈するべきでないが、その理由は、これらのおよび他の同等の実施形態は、本開示、図面および付随する実施形態に照らして明らかになるからである。
【実施例0146】
(実施例1 ウイルスゲノムの重複する断片の選択および設計)
VACV WR株のヘアピンおよび二重鎖配列を含有する合成キメラVACV ACAM2000(scVACV ACAM2000-WR DUP/HP)
scVACVゲノムの設計は、VACV ACAM2000[GenBank受託AY313847]の以前に記載されたゲノム配列に基づいた(Osborne JD et al. Vaccine. 2007; 25(52):8807-32)。ゲノムは、9つの重複する断片に分割された(図1
。これらの断片は、それらが隣接した各断片と少なくとも1.0kbpの重複する配列を共有して(すなわち相同性)、相同組換えが完全長ゲノムのアセンブリーを促進する部位を提供するように設計された(表1)。これらの重複配列は、同時トランスフェクトされた断片の間での組換えを正確に実行するのに十分な相同性を提供した(Yao XD, Evans
DH. Journal of Virology. 2003;77(13):7281-90)。
表1: この研究で使用されるVACV ACAM2000ゲノム断片。VACV ACAM2000ゲノム[GenBank受託AY313847]の中のサイズおよび配列が記載される。
【表1】
【0147】
これらの断片のサブクローニングを支援するために、2つのITRコード断片を除く全ての断片において、AarIおよびBsaI制限部位をサイレント変異させた。2つのITRコード断片中のBsaI制限部位は変異させなかったが、それは、これらの領域が、効率的なDNA複製およびコンカテマー分解能にとって重要であるヌクレオチド配列特異的認識部位を含有する場合である。
【0148】
蛍光顕微鏡の下でVACV ACAM2000(VACV ACAM2000 YFP-gpt::105)の再活性化を可視化することが容易であるように、ポックスウイルスの初期後期プロモーターの制御下のYFP/gptカセットを、チミジンキナーゼ遺伝子座に導入した。gpt遺伝子座は、薬物選択を使用した再活性化ウイルスの選択のための潜在的ツールも提供した。
【0149】
伝統的に、末端ヘアピンはクローニングおよび配列決定が困難だったので、VACV ACAM2000ゲノムの公開された配列が完全でないことは意外でない。公開されたVACV ACAM2000株の最末端領域の検査により、ACAM2000と非常に良く特徴付けられたVACV WR株(Genbank受託番号AY243312)の間に多少の差があるようであった(図2)。WR株では、VACVゲノムの5’末端および3’末端に位置する、共有結合で閉じられたヘアピンループの直ぐ下流に、70bpのタンデムリピート配列がある。これらの後に、2つの125bp反復配列および8つの54bp反復配列が続く(図2A)。しかし、公開されたVACV ACAM2000配列では、4つの54bp反復配列だけが同定された(図2B)。70bp、125bpおよび54bpの反復配列の存在は、配列決定後にVACV ACAM2000の野生型分離株において確認され(Illuminaを使用)、ACAM2000の現在公開されている配列が不完全であることを示す。Illumina読み取りデータの短い読み取り長(<300ヌクレオチド)のために、本発明者らは、この約3kbpの中の実際のACAM2000ゲノム配列が何であったかを正確に決定することができなかった。その代わり、本発明者らは、C23L遺伝子の末端ヘアピンから停止コドンの直前までのVACV WRに類似した配列を有していた、VACV ACAM2000ウイルスを再形成することに決めた(図2)。これは、公開されたACAM2000配列に含まれていないが、wtVACV ACAM2000の次世代Illumina配列決定を実行したときに検出された、125bpおよび54bpの両方のタンデムリピート配列を含んでいた。改変されたVACV ACAM2000の左および右のITR断片の5’末端には、70bpタンデムリピート配列をITR末端に直接的に付着させることを可能にするだろう、NheI制限部位も含まれた(実施例2で議論される)。wtVACV ACAM2000のFおよびS末端ヘアピンループ配列は、図9に、ならびに配列番号20および19にそれぞれ示す。
【0150】
VACV ACAM2000株のヘアピンおよび二重鎖配列を含有する合成キメラVACV ACAM2000(scVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HP)
scVACVゲノムの設計は、VACV ACAM2000[GenBank受託AY313847]の以前に記載されたゲノム配列に基づいた(Osborne JD et al. Vaccine. 2007; 25(52):8807-32)。ゲノムは、9つの重複する断片に分割した(図1)。
これらの断片は、それらが隣接した各断片と少なくとも1.0kbpの重複する配列を共有して(すなわち相同性)、相同組換えが完全長ゲノムのアセンブリーを促進する部位を提供するように設計された。(表1)。これらの重複配列は、同時トランスフェクトされた断片の間での組換えを正確に実行するのに十分な相同性を提供した(Yao XD, Evans
DH. Journal of Virology. 2003;77(13):7281-90)。
【0151】
これらの断片のサブクローニングを支援するために、2つのITRコード断片を除く全ての断片において、AarIおよびBsaI制限部位をサイレント変異させた。2つのITRコード断片中のBsaI制限部位は変異させなかったが、それは、これらの領域が、効率的なDNA複製およびコンカテマー分解能にとって重要であるヌクレオチド配列特異的認識部位を含有する場合である。
【0152】
蛍光顕微鏡の下でVACV ACAM2000(VACV ACAM2000 YFP-gpt::105)の再活性化を可視化することが容易であるように、ポックスウイルスの初期後期プロモーターの制御下のYFP/gptカセットを、チミジンキナーゼ遺伝子座に導入した。gpt遺伝子座は、薬物選択を使用した再活性化ウイルスの選択のための潜在的ツールも提供した。
【0153】
wtVACV ACAM2000のFおよびS末端ヘアピンループ配列は、図9に、ならびに配列番号20および19にそれぞれ示す。
【0154】
(実施例2)
VACV ACAM2000の右および左のITR断片へのVACV WRのFおよびS末端ヘアピンループのライゲーション
VACV WR株と同一の70bp反復配列断片を合成した(図2C;配列番号10)。VACV WRヘアピン配列ならびにVACV ACAM2000の右および左のITR断片のそれぞれへのライゲーションを促進するために、SapIおよびNheI制限部位が70bpタンデムリピート断片の5’および3’末端に含まれた。VACV WR末端ヘアピンループを70bpタンデムリピート断片にライゲーションできる前に、IDT技術によって合成された二重鎖配列を使用してループをさらに58bp延長しなければならなかった(図3A)。これは、VACV株WRに見出される最初の70bp反復配列の前の、コンカテマー分解部位の直ぐ下流にある余分の配列のためであった。二重鎖配列は、一緒にアニールしたときに、5’末端に5’-TGTオーバーハングおよび3’末端に5’-GGTオーバーハングを有する二重鎖DNA分子を生成する、2つの一本鎖DNA分子を合成することによって生成された(図3A;配列番号11および配列番号12)。VACV WRのFおよびS末端ヘアピンループは、それらの末端ループで3’-ACAオーバーハングを生成するので、70bp反復配列の始まりまでのVACV WR株で見出される配列と同一に見える約130bpの末端ヘアピンループを生成するために、58bp二重鎖をヘアピンにライゲーションした(図3B)。このヘアピン/二重鎖断片をゲル精製し、次いでその後、70bp反復配列断片のSapIで消化した末端にライゲーションした。SapIによる70bpタンデムリピート断片の消化は、末端ヘアピン/二重鎖構造の5’GGTオーバーハングに相補的である、3塩基オーバーハング(5’-CCA)を形成した。70bpタンデムリピートを、DNAリガーゼの存在下で、F末端ヘアピン/二重鎖構造(図4、レーン4)またはS末端ヘアピン/二重鎖構造(図4、レーン5)と、70bpタンデムリピート断片に対して約5倍モル過剰で混合した。これは、70bpだけの反応(図4、レーン3)と比較してDNA電気泳動ゲルにおける上方シフトをもたらし、末端ヘアピン/二重鎖が70bpタンデムリピート断片に首尾よくライゲーションされたことを示す(図4)。
【0155】
この末端ヘアピン/二重鎖/70bpタンデムリピート断片は、NheI制限部位を含むようにそれらの末端が以前に改変された、70bpのACAM2000の左または右のITR断片の上にその後ライゲーションされた。この断片が消化されたとき、5’-CTAGオーバーハングはそれらの5’末端に残された。70bpタンデムリピート断片の3’末端では、この断片をVACV ACAM2000DNA断片のLITRおよびRITR領域に直接的にライゲーションするために、NheI部位が使用される。VACV ACAM2000の左および右のITR断片の消化の後、1:1のモル比でDNAリガーゼを使用して、16℃で一晩、S末端ヘアピン/二重鎖/70bpタンデムリピート断片またはF末端ヘアピン/二重鎖/70bpタンデムリピート断片を、左または右のITR断片に別々にライゲーションした。その後、ショープ線維腫ウイルス(SFV)感染BGMK細胞にトランスフェクトする前に、DNAリガーゼを65℃で熱不活化した。
【0156】
VACV ACAM2000の右および左のITR断片へのVACV ACAM2000のFおよびS末端ヘアピンループのライゲーション
VACV ACAM2000株と同一の70bp反復配列断片を合成した。VACV ACAM2000ヘアピン配列ならびにVACV ACAM2000の右および左のITR断片のそれぞれへのライゲーションを促進するために、SapIおよびNheI制限部位が70bpタンデムリピート断片の5’および3’末端に含まれた。VACV ACAM2000末端ヘアピンループを70bpタンデムリピート断片にライゲーションできる前に、IDT技術によって合成された二重鎖配列を使用してループをさらに58bp延長しなければならなかった。これは、VACV株ACAM2000に見出される最初の70bp反復配列の前の、コンカテマー分解部位の直ぐ下流にある余分の配列のためであった。二重鎖配列は、一緒にアニールしたときに、5’末端に5’-TGTオーバーハングおよび3’末端に5’-GGTオーバーハングを有する二重鎖DNA分子を生成する、2つの一本鎖DNA分子を合成することによって生成された(配列番号21および配列番号22)。VACV ACAM2000のFおよびS末端ヘアピンループは、それらの末端ループで3’-ACAオーバーハングを生成するので、約130bpの末端ヘアピンループを生成するために、58bp二重鎖をヘアピンにライゲーションした。このヘアピン/二重鎖断片をゲル精製し、次いでその後70bp反復配列断片のSapIで消化した末端にライゲーションした。SapIによる70bpタンデムリピート断片の消化は、末端ヘアピン/二重鎖構造の5’GGTオーバーハングに相補的である、3塩基オーバーハング(5’-CCA)を形成した。70bpタンデムリピートを、DNAリガーゼの存在下で、F末端ヘアピン/二重鎖構造またはS末端ヘアピン/二重鎖構造と、70bpタンデムリピート断片に対して約5倍モル過剰で混合した。これは、70bpだけの反応と比較してDNA電気泳動ゲルにおける上方シフトをもたらし、末端ヘアピン/二重鎖が70bpタンデムリピート断片に首尾よくライゲーションされたことを示す。
【0157】
この末端ヘアピン/二重鎖/70bpタンデムリピート断片は、NheI制限部位を含むようにそれらの末端が以前に改変された、ACAM2000の左または右のITR断片の上にその後ライゲーションされた。この左または右のITR断片が消化されたとき、5’-CTAGオーバーハングはそれらの5’末端に残された。70bpタンデムリピート断片の3’末端では、この断片をVACV ACAM2000のDNA断片のLITRおよびRITR領域に直接的にライゲーションするために、NheI部位が使用される。VACV ACAM2000の左および右のITR断片の消化の後、1:1のモル比でDNAリガーゼを使用して、16℃で一晩、S末端ヘアピン/二重鎖/70bpタンデムリピート断片またはF末端ヘアピン/二重鎖/70bpタンデムリピート断片を、左または右のITR断片に別々にライゲーションした。その後、ショープ線維腫ウイルス(SFV)感染BGMK細胞にトランスフェクトする前に、DNAリガーゼを65℃で熱不活化した。
【0158】
(実施例3 VACV ACAM2000の重複DNA断片の調製)
制限酵素I-SceIを使用して、表1のVACV ACAM2000の重複DNA断片の各々をGeneArtから提供されるプラスミドにクローニングした。BGMK細胞へのこれらの合成DNA断片のトランスフェクションの前に、プラスミドをI-SceIで消化し、生成物をゲルに流して、DNA断片が首尾よく線状化されたことを確認した(図5)。37℃で2時間の消化の後、反応を65℃でその後熱不活化した。末端ヘアピン/二重鎖/70bpタンデムリピート/ITR断片が形成されるまで、試料は氷上または4℃で保存した(上に記載される)。
【0159】
(実施例4 化学合成されたdsDNA断片からの再活性化)
SFV株KaszaおよびBSC-40は、元はアメリカ培養細胞系統保存機関から得られた。バッファローミドリザル腎臓(BGMK)細胞を、G.McFadden(University of Florida)から得た。L-グルタミン、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、抗生物質および抗真菌剤、および5%ウシ胎仔血清(FCS;Thermo Fisher Scientific)を追加した最少必須培地(MEM)において、BSC-40およびBGMK細胞を5%COの37℃で増殖させる。
【0160】
ショープ線維腫ウイルス感染細胞におけるscVACV ACAM2000-WR DUP/HPまたはscVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HPの再活性化
バッファローミドリザル腎臓(BGMK)細胞は、それらが概ね80%の集密度に到達するまで、MEM含有60mm組織培養シャーレの中で増殖させた。無血清MEMにおいて細胞を37℃で1時間、0.5のMOIでショープ線維腫ウイルス(SFV)に感染させた。接種材料は5%FCSを含有する3mlの温かいMEMと交換し、さらなる1時間、インキュベーターに戻した。一方、トランスフェクション反応は、以下の通りに設定した。37℃で概ね2時間の後、VACV ACAM2000ゲノムを含んだ各断片の長さに基づくモル等量で、線状化VACV ACAM2000断片をSFVに感染したBGMK細胞の中にトランスフェクトさせた(Lipofectamine2000を使用した)。異なる量の全DNAが試みられ、5、6および7.5μgのDNAがこれらの重複DNA断片からのACAM2000を首尾よく再活性化することができた。複合体を室温で10分の間インキュベートし、次いで、SFVに以前に感染したBGMK細胞に滴下添加した。感染から概ね24時間後、5%FCSを含有する新鮮なMEMと培地を交換した。細胞は、37℃でさらに3~4日(合計4~5日)の間培養した。
感染細胞を細胞培養培地の中にかきとり、3サイクルの凍結および解凍を実行することによって、ウイルス粒子を回収した。粗抽出物を無血清MEMで10-2に希釈し、4mlの接種材料をBSC-40細胞の9~16枚の150mm組織培養プレートに平板培養して、再活性化されたscVACV ACAM2000 YFP-gpt::105を回収する。感染から1時間後、5%FCSおよび0.9%のノーブルアガーを含有するMEMと接種材料を交換した。黄色蛍光プラークを倒立顕微鏡の下で可視化し、さらなる分析のために個々のプラークを選び出した。scVACV ACAM2000 YFP-gpt::105のプラークは、黄色蛍光選択で3回プラーク精製された。
4日後、SFVおよびVACV ACAM2000クローンの両方を含有する感染したプレートを採収し、続いて3回の凍結解凍サイクルによりウイルスを放出させ、次いで連続的に希釈して、SFVウイルスと比較してVACV ACAM2000ウイルスの増殖を優先的に促進するBSC-40細胞の上へ平板培養した。3回のプラーク精製を実行し、続いて、10~150mm組織培養プレートにおいてウイルス株の増大を行った。その後これらの細胞からウイルスを溶解させ、36%スクロースクッションで分離し、続いて24%~40%スクロース密度勾配でさらに精製した。これらの精製されたゲノムからゲノムDNAを単離し、合成ウイルスゲノムの配列を確認するために次世代Illumina配列決定を実行した。
【0161】
(実施例4 野生型ACAM2000ウイルスと比較した増殖特性)
単離された合成キメラVACV ACAM2000-WR DUP/HP、scVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HPおよび野生型VACV ACAM2000ウイルスのin vitro多段階増殖曲線を、サル腎臓上皮(BSC-40)細胞で実行した。細胞を感染多重度0.03で感染させ、示した時間(3時間、6時間、12時間、21時間、48時間および72時間)にウイルスを採収し、BSC-40細胞でウイルスを滴定した。図6に示すデータは、3件の独立した実験を表す。図6に示すように、scVACV ACAM2000-WR DUP/HPおよびwtVACV ACAM2000ウイルスは、72時間の期間にわたって区別できない増殖動態で増殖した。
【0162】
scVACV ACAM2000-WR DUP/HP(YFP-gptマーカー)、scVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HP(YFP-gptマーカー)、scVACV ACAM2000-WR DUP/HP(マーカーなし)(J2R遺伝子配列で置き換えたYFP-gptマーカー)、scVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HP(マーカーなし)(J2R遺伝子配列で置き換えたYFP-gptマーカー)およびwtVACV ACAM2000の増殖曲線間の比較は、wtACAM2000 VACVと比較してこれらのウイルスの増殖特性においていかなる差も統計的にないことを示す(図7)。
【0163】
(実施例5 scVACV ACAM2000-WR DUP/HP YFP-gpt::105ゲノム配列のPCRおよび制限断片分析による確認)
制限消化および続くパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)によるscVACV ACAM2000 YFP-gpt::105ゲノムのさらなる分析を、スクロース勾配精製を使用して単離されたゲノムDNAで実行した(Yao XD, Evans DH. Methods Mol Biol. 2004;269:51-64)。2つの独立したscVACV ACAM2000-WR
DUP/HPクローン、ならびにJ2R遺伝子配列がYFP-gptマーカーで置き換えられたVACV_WRΔJ2R対照、およびwtVACV ACAM2000対照(VAC_ACAM2000)を精製し、次いで消化せずに放置したか、BsaI、HindIIIまたはNotIおよびPvuIで消化した。scVACV ACAM2000-WR DUP/HPおよびwtVACV ACAM2000の両方からの単離されたゲノムDNAは、BsaIおよびHindIIIで消化した。scVACV ACAM2000ゲノムのBsaI部位のほとんどはサイレント変異されていたので、BsaI消化の後にほとんどインタクトな約200kbpの断片が観察された(図8、レーン8および9)。これは、BsaIで処置したときに広範に消化されたwtVACV ACAM2000およびwtVACV WR対照(VAC_WRΔJ2R)ゲノムと異なっている(図8、レーン6および7)。scVACV ACAM2000-WR DUP/HPゲノムを別の酵素でなお消化することができることを確認するために、これらのゲノムをHindIIIで消化し、それは、scVACVACAM2000-WR DUP/HPクローンから多数のバンドを生成した(図8、レーン12および13)。ITR領域の中の70bpタンデムリピートエレメントの存在を確認するために、ゲノムDNAをNotIおよびPvuIで消化した(図8、レーン14~17)。
wtVACV WR対照(VAC_WRΔJ2R)試料では、約3.6kbpのバンド(アスタリスクで印を付けた)が検出され、それは、VACのWR株の70bpタンデムリピートの全てを包含する。VACV WR株がITR反復配列エレメントの合成を設計するための鋳型として使用されたことを考えると、WR株で見られたのと同じサイズの近くで、NotI/PvuI処理scVACVACAM2000クローンでいくつかのバンドが検出されると予想された。2つのscVACV ACAM2000-WR DUP/HPクローンを比較したとき、この領域のサイズの差が観察され、70bp反復配列の全てが再構築された各ゲノムに組み込まれたとは限らないことを示唆する(図7、レーン16および17)。細胞培養における選択圧の下でこれらの反復配列エレメントは増大および収縮することができることを他の者が示していることを考慮すると、これは予想外でない(Paez and Esteban (1988). Virology;163(1):145-54)。
【0164】
全体として、scVACV ACAM2000-WR DUP/HP YFP-gpt::105ゲノムのin vitro分析は、化学合成されたDNA断片からのVACV
ACAM2000-WR DUP/HPの再活性化が成功したこと、およびscVACV ACAM2000-WR DUP/HPウイルスがwtVACV ACAM2000ウイルスのようにin vitroで振る舞うことを示唆した。
【0165】
(実施例6 全ゲノム配列分析によるscVACV ACAM2000 YFP-gpt::105ゲノム配列の確認)
scVACV ACAM2000-WR DUP/HPの2つのクローンおよびscVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HPの2つのクローンを配列決定した。CLC Genomics Workstation(バージョン11)を35または61のワードサイズで使用して、Illumina読み取りデータを新規にアセンブルした。アセンブルされたコンティグを次いでSnapgeneソフトウェアにインポートし、GeneArtによって提供された合成断片に基づいて予想されるscACAM2000配列の参照配列の上へ整列させた。
【0166】
scVACV ACAM2000-WR DUP/HPのクローン1の場合、コンティグ1は16,317bpであり、ITR領域の大部分(タンデムリピート配列を除いて)に対応した。コンティグ2は167,020bpであり、ゲノムの中央の保存領域(ヌクレオチドの19,467位~186,486位)と整列した。scVACV ACAM2000-WR DUP/HPのクローン2の場合、コンティグ3は16,322bpであり、ITR領域の大部分(タンデムリピート配列を除いて)に対応した。コンティグ1は167,020bpであり、ゲノムの中央の保存領域(ヌクレオチドの19,467位~186,486位)と整列した。クローン2のコンティグのヌクレオチド136791位に、単一ヌクレオチド置換(CからA)があった。これは、scACAM2000ゲノム配列のヌクレオチド156,256位に対応し、VAC_ACAM2000_177におけるAspからTyrへのアミノ酸変化(A41L)をもたらした。
【0167】
scVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HPのクローン1の場合、コンティグ1は167,020bpであり、ゲノムの中央の保存領域(ヌクレオチドの19,469位~186,488位)と整列した。コンティグ2は16,150bpであり、ITR領域の大部分(タンデムリピート配列を除いて)に対応した。このコンティグをSnapgeneの参照ゲノムにマッピングしたとき、配列中のギャップが2633~3417位、およびヌクレオチドの15,175~15220位で観察された。第1のギャップ領域は54bp反復配列領域に対応し、それは、新規のアセンブリーツールを使用してこれらの領域を正確にアセンブルすることができないことによる可能性が高い。生のIllumina読み取りデータの参照ゲノムへの直接マッピングは、いずれの領域の中でいかなるギャップももたらさなかった。scVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HPのクローン2の場合、コンティグ1は16,075bpであり、ITR領域の大部分(タンデムリピート配列を除いて)に対応した。コンティグ2は167,078bpであり、ゲノムの中央の保存領域(ヌクレオチドの19,469~186,546位)と整列した。ヌクレオチドの15,176~15,220位のコンティグ2で観察されたギャップがあった。しかし、生のIllumina読み取りデータの参照ゲノムへの直接マッピングは、この領域の中でいかなるギャップももたらさなかった。scVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HPのいずれの配列決定されたクローンも、ゲノムの中のいかなる位置でもいかなる他のヌクレオチド変異も示さなかった。
【0168】
Illumina読み取りデータは、CLC Genomicsの参照マップにもマッピングした。Illumina読み取りデータは参照配列の完全長を網羅し、scVACV ACAM2000-WR DUP/HPのクローン1および2の平均カバレージはそれぞれ1925および2533であり、scVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HPのクローン1および2の平均カバレージはそれぞれ2195および1602であった。
【0169】
全体として、配列決定データはin vitroゲノム分析データを確証し、scVACV ACAM20000-WR DUP/HPおよびscVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HPがSFV感染細胞において首尾よく再活性化されたことを確認する。
【0170】
(実施例7 YFP/gpt選択マーカーの除去)
scVACV ACAM2000 YFP-gpt::105の再活性化の後、チミジンキナーゼ遺伝子座のyfp/gpt選択マーカーを除去することができる。
【0171】
(実施例8 様々なVACV株の間のITRの末端ヘアピンおよび二重鎖領域の中のヌクレオチド配列変動)
VACV WR株、ACAM 2000、DryvaxおよびCopenhagen株におけるコンカテマー分解部位の直ぐ下流の「二重鎖」領域におけるヌクレオチド配列変動を、図9に示す。配列変動は、WR株と比較した、wtACAM2000、Dryvax DPP15、TianTanおよびCopenhagen株の間の、4ヌクレオチド置換および3ヌクレオチド欠失として見られる。
【0172】
(実施例9 マウス鼻腔内モデルにおける、または尾乱切法を通した病原性の決定)
scVACV ACAM2000-WR DUP/HPおよびscVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HPの毒性作用をこの研究で決定する。この実験のために、Balb/cマウスの6群に、実施例1~7に記載されるscVACV ACAM20000-WR DUP/HPおよびscVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HPの3つの異なる用量を投与し、PBS対照群、ならびにwtVACV(WR)対照群およびwtVACV ACAM2000対照群(合計12処置群)と比較する。この実験には、研究期間中にいかなる処置も受けない3匹の追加のマウスが含まれる。全てのマウスは、実験全体を通して所定の時点で血液のために試料を採取し、追加のマウスは血清分析のためにベースラインの役割をする。
【0173】
Balb/cマウスの接種の前に、全てのウイルス株をBSC-40細胞(アフリカミドリザル腎臓)で増殖させ、トリプシン処理によって採収し、PBSで洗浄し、ダウンス型ホモジナイゼーションによって細胞から抽出し、超遠心分離によって36%スクロースクッションを通して精製し、PBSに再懸濁させ、最終濃度が10PFU/mlから10PFU/mlの間にあるように滴定する。
【0174】
この研究のために選択された用量(10PFU/用量、10PFU/用量および10PFU/用量)は、DryvaxおよびIOCを含むVACVの公知のワクチン株を使用した以前の研究に基づく(Medaglia ML, Moussatche N, Nitsche A, Dabrowski PW, Li Y, Damon IK, et al. Genomic Analysis, Phenotype, and Virulence of the Historical Brazilian Smallpox Vaccine Strain IOC: Implications for the Origins and Evolutionary Relationships of Vaccinia Virus. Journal of virology. 2015;89(23):11909-25;Qin L, Favis N, Famulski J, Evans DH. Evolution of and evolutionary relationships between extant vaccinia virus strains. Journal of virology. 2015;89(3):1809-24)。
【0175】
ウイルスは、鼻腔内にまたは尾乱切法を通して投与される。下の実施例10および11の詳細を参照する。
【0176】
(実施例10 鼻腔内接種を通して投与されるscVACVが致死性のVACV-WRチャレンジに対する免疫防御を付与するかどうか決定する)
体重減少はマウスにおける病原性の尺度として使用されるので、wtVACV(WR株)は、概ね20~30%の体重減少につながる、5×10PFUの用量で鼻腔内に投与される。VACV DryvaxクローンDPP15も10PFU/用量で鼻腔内に投与されるので、この周知の天然痘ワクチンの病原性は、合成バージョンscVACV ACAM20000-WR DUP/HPおよびscVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HPと直接的に比較することができる。マウスはCharles River Laboratoriesから購入し、受領後、ウイルス投与前の少なくとも1週間、それらの環境に馴化させる。
【0177】
各マウスは、麻酔下の鼻腔内注射を通して投与されるウイルスの単一の用量(約10μl)を受ける。マウスは、腫脹、排泄または他の異常などの感染の徴候について、30日の期間、毎日モニタリングする。各マウスは、ウイルス投与から毎日、体重減少について特にモニタリングする。他の罹病因子に加えてそれらの体重の25%超を失うマウスは、University of Albertaの本発明者らの動物ヘルスケア施設プロトコールに従って安楽死させる。
【0178】
試験されるscVACV ACAM20000-WR DUP/HPおよびscVACV ACAM2000-ACAM2000 DUP/HPの最も高い用量でさえ、Balb/cマウスにおいて病気のいかなる明白な徴候もないかもしれない。VACV株の1つ(ブラジルの天然痘ワクチン株IOC)は、一部の場合には10PFUでいかなる疾患も引き起こさなかった(Medaglia ML, Moussatche N, Nitsche A, Dabrowski PW,
Li Y, Damon IK, et al. Genomic Analysis, Phenotype, and Virulence of the Historical Brazilian Smallpox Vaccine Strain IOC: Implications for the Origins and Evolutionary Relationships of Vaccinia Virus. Journal
of virology. 2015;89(23):11909-25)。10PFU/mLを上回る力価を有する
精製された株を作製する困難のために、これよりはるかに高い用量を試験することは、実際的でない。
【0179】
ウイルス接種の30日後、鼻腔内接種により、VACV-WRの致死量(10PFU/用量)でマウスをその後チャレンジする。上記の通り感染の徴候についてマウスを綿密にモニタリングする。マウスを毎日計量し、他の罹病因子に加えてそれらの体重の25%超を失うマウスは安楽死させる。VACV-WRの致死量の投与の前にPBSで接種されるマウスは、接種から7~10日以内にかなりの体重減少および他の罹病因子の徴候を示すと予想される。VACV-WRによる致死性のチャレンジから概ね14日後、標準のプラーク低減アッセイにより血清中のVACV特異的中和抗体の存在を確認するために、全マウスを安楽死させ、血液を収集する。
【0180】
(実施例11 尾乱切法を通して投与されるscVACVが致死性のVACV-WRチャレンジに対する免疫防御を付与するかどうか決定する)
尾乱切法処置の開始の前に、免疫適格Balb/C動物に麻酔をかける。尾の基部に、1~2cm長にわたり25ゲージ針の先端を使用して、一連の15~20個のかき傷/突き傷を付ける。3~5μLの体積の異なるウイルスを、乱切部位に適用する。
【0181】
ウイルスが乱切部位に吸収される見込みがあるまで、マウスは麻酔にかかったままにする。28日の期間にわたって、マウスを体重減少の徴候について毎日モニタリングする。乱切法から約8~10日後の尾乱切法の部位に膿疱が形成される(「取得」として知られる)。
【0182】
ウイルス接種の28日後、鼻腔内接種により、VACV-WRの致死量(10PFU/用量)でマウスをその後チャレンジする。上記の通り感染症の徴候についてマウスを綿密にモニタリングする。マウスを毎日計量し、他の罹病因子に加えてそれらの体重の25%超を失うマウスは安楽死させる。VACV-WRの致死量の投与の前にPBSを接種されるマウスは、接種から7~10日以内にかなりの体重減少および他の罹病因子の徴候を示すと予想される。VACV-WRによる致死性のチャレンジから概ね14日後、標準のプラーク低減アッセイにより血清中のVACV特異的中和抗体の存在を確認するために、全マウスを安楽死させ、血液を収集する。
【0183】
ワクチン非接種動物の全ては、ウイルスチャレンジから7日以内に、VACV WRのこの致死量のために死亡する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
合成DNAに由来するDNAから複製され、再活性化される合成キメラワクシニアウイルス(scVACV)であって、前記ウイルスのウイルスゲノムは、1つまたは複数の改変によって特徴付けられるという点で、前記ウイルスの野生型ゲノムと異なる、scVACV。
(項目2)
前記合成DNAが、化学合成DNA、PCR増幅DNA、操作されたDNAおよびヌクレオシド類似体を含むポリヌクレオチドの1つまたは複数から選択される、項目1に記載のscVACV。
(項目3)
前記合成DNAが化学合成DNAである、項目1に記載のscVACV。
(項目4)
前記1つまたは複数の改変が、1つまたは複数の欠失、挿入、置換またはその組合せを含む、項目1~3のいずれか一項に記載のscVACV。
(項目5)
前記1つまたは複数の改変が、1つまたは複数の特異な制限部位を排除するための1つまたは複数の改変を含む、項目1~4のいずれか一項に記載のscVACV。
(項目6)
前記1つまたは複数の改変が、1つまたは複数の特異な制限部位を付加するかまたは修復するための1つまたは複数の改変を含む、項目1~4のいずれか一項に記載のscVACV。
(項目7)
前記1つまたは複数の改変が、1つまたは複数のAarI制限部位を排除するための1つまたは複数の改変を含む、項目1~5のいずれか一項に記載のscVACV。
(項目8)
前記1つまたは複数の改変が、全てのAarI制限部位を排除するための1つまたは複数の改変を含む、項目1~5のいずれか一項に記載のscVACV。
(項目9)
前記1つまたは複数の改変が、1つまたは複数のBsaI制限部位を排除するための1つまたは複数の改変を含む、項目1~5のいずれか一項に記載のscVACV。
(項目10)
前記ウイルスゲノムが異種末端ヘアピンループを含む、項目1~9のいずれか一項に記載のscVACV。
(項目11)
前記ウイルスゲノムが異なるワクシニアウイルス株に由来する末端ヘアピンループを含む、項目1~10のいずれか一項に記載のscVACV。
(項目12)
前記ウイルスゲノムがVACV WR株に由来する末端ヘアピンループを含む、項目1~11のいずれか一項に記載のscVACV。
(項目13)
前記ウイルスゲノムが相同または異種末端ヘアピンループを含み、タンデムリピート領域が、wtVACVと異なる数の反復配列を含む、項目1~9のいずれか一項に記載のscVACV。
(項目14)
前記ウイルスゲノムが、Western Reserve、クローン3、Tian Tian、Tian TianクローンTP5、Tian TianクローンTP3、NYCBH、NYCBHクローンAcambis 2000、Wyeth、Copenhagen、Lister、Lister 107、Lister-LO、Lister GL-ONC1、Lister GL-ONC2、Lister GL-ONC3、Lister GL-ONC4、Lister CTC1、Lister IMG2(Turbo
FP635)、IHD-W、LC16m18、Lederle、TashkentクローンTKT3、TashkentクローンTKT4、USSR、Evans、Praha、L-IVP、V-VET1またはLIVP6.1.1、Ikeda、EM-63、Malbran、Duke、3737、CV-1、Connaught Laboratories、Serro 2、CM-01、NYCBH DryvaxクローンDPP13、NYCBH DryvaxクローンDPP15、NYCBH DryvaxクローンDPP20、NYCBH DryvaxクローンDPP17、NYCBH DryvaxクローンDPP21、VACV-IOC、漿尿膜ワクシニアウイルスAnkara(CVA)、改変されたワクシニアAnkara(MVA)およびMVA-BNからなる群より選択されるVACV株のゲノムである、項目1~13のいずれか一項に記載のscVACV。
(項目15)
前記scVACVの前記ウイルスゲノムが、NYCBH株、クローンAcambis 2000のゲノムに基づく、項目14に記載のscVACV。
(項目16)
前記scVACVの前記ウイルスゲノムが、NYCBH株、クローンDryvaxのゲノムに基づく、項目14に記載のscVACV。
(項目17)
前記scVACVの前記ウイルスゲノムが、Lister株、V-VET1のゲノムに基づく、項目14に記載のscVACV。
(項目18)
前記scVACVの前記ウイルスゲノムが、改変されたウイルスAnkara(MVA)株のゲノムに基づく、項目14に記載のscVACV。
(項目19)
前記scVACVの前記ウイルスゲノムが、MVA-BN株のゲノムに基づく、項目14に記載のscVACV。
(項目20)
前記scVACVの前記ウイルスゲノムが、IOC株のゲノムに基づく、項目14に記載のscVACV。
(項目21)
左および右の末端ヘアピンループが、a)ワクシニアウイルス末端ヘアピンループのslow型およびfast型をそれぞれ含むか、b)ワクシニアウイルス末端ヘアピンループのfast型およびslow型をそれぞれ含むか、c)共にワクシニアウイルス末端ヘアピンループのslow型を含むか、または、d)共にワクシニアウイルス末端ループのfast型を含む、項目1~20のいずれか一項に記載のscVACV。
(項目22)
前記slow型が、配列番号13または配列番号19のヌクレオチド配列と少なくとも85%同一であるヌクレオチド配列を含み、前記fast型が、配列番号14または配列番号20のヌクレオチド配列と少なくとも85%同一であるヌクレオチド配列を含む、項目21に記載のscVACV。
(項目23)
前記slow型が、配列番号13または配列番号19の配列と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含み、前記fast型が、配列番号14または配列番号20のヌクレオチド配列と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む、項目22に記載のscVACV。
(項目24)
前記slow型が、配列番号13または配列番号19のヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含み、前記fast型が、配列番号14または配列番号20のヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、項目23に記載のscVACV。
(項目25)
前記slow型が、配列番号13または配列番号19のヌクレオチド配列からなり、前記fast型が、配列番号14または配列番号20のヌクレオチド配列からなる、項目24に記載のscVACV。
(項目26)
前記ウイルスが、前記scVACVの前記ウイルスゲノムの実質的に全てに対応する、重複する化学合成DNA断片から複製され、再活性化される、項目1~25のいずれか一項に記載のscVACV。
(項目27)
前記ウイルスが、2~14個の重複する断片から複製され、再活性化される、項目26に記載のscVACV。
(項目28)
前記ウイルスが、6~12個の重複する断片から複製され、再活性化される、項目27に記載のscVACV。
(項目29)
前記ウイルスが、9個の重複する断片から複製され、再活性化される、項目28に記載のscVACV。
(項目30)
前記ウイルスが、レポリポックスウイルスによって触媒される組換えおよび再活性化を使用して再活性化される、項目1~29のいずれか一項に記載のscVACV。
(項目31)
前記レポリポックスウイルスが、ショープ線維腫ウイルス(SFV)、野兎線維腫ウイルス、ウサギ線維腫ウイルス、リス線維腫ウイルスおよび粘液腫ウイルスからなる群より選択される、項目30に記載のscVACV。
(項目32)
合成キメラワクシニアウイルス(scVACV)を製造する方法であって、
(i)前記ワクシニアウイルスのウイルスゲノムの実質的に全てに対応する、重複するDNA断片を化学合成するステップと;
(ii)前記重複するDNA断片をヘルパーウイルス感染細胞にトランスフェクトするステップと;
(iii)前記細胞を培養して前記細胞においてヘルパーウイルスおよび合成キメラワクシニアウイルス粒子の混合物を生成するステップと;
(iv)前記scVACVに特異的な宿主細胞の上で前記混合物を平板培養して前記scVACVを回収するステップと
を含む、方法。
(項目33)
前記ヘルパーウイルスが、レポリポックスウイルス、鶏痘ウイルスおよびソラレン不活化ヘルパーウイルスからなる群より選択される、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記レポリポックスウイルスが、ショープ線維腫ウイルス(SFV)、野兎線維腫ウイルス、ウサギ線維腫ウイルス、リス線維腫ウイルスおよび粘液腫ウイルスからなる群より選択される、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記レポリポックスウイルスが、SFVである、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記ヘルパーウイルス感染細胞が、BGMK細胞である、項目32~35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
ステップ(i)が、VACVの別の株から末端ヘアピンループを化学合成することと、前記ウイルスゲノムの左および右の末端を含む断片の上へそれらをライゲーションすることとをさらに含む、項目32~36のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記重複するDNA断片が、
(i)配列番号1~9の配列と少なくとも85%同一であるヌクレオチド配列;
(ii)配列番号1~9の配列と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列;
(iii)配列番号1~9の配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列;または
(iv)配列番号1~9の配列からなるヌクレオチド配列
を含む、項目32~37のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
項目32~38のいずれか一項に記載の方法によって生成される、合成キメラワクシニアウイルス(scVACV)。
(項目40)
項目1~31のいずれか一項に記載のscVACVおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(項目41)
前記scVACVが、不活化されている、項目40に記載の医薬組成物。
(項目42)
前記不活化が、熱、UVまたはホルマリンによって実行される、項目41に記載の医薬組成物。
(項目43)
被験体において腫瘍溶解性応答を誘導するための方法であって、項目1~31のいずれか一項に記載のscVACVを含む組成物または項目40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記被験体に投与するステップを含む、方法。
(項目44)
宿主細胞において異種タンパク質を発現させるための方法であって、異種核酸配列を項目1~31のいずれか一項に記載のscVACVに導入するステップと、前記宿主細胞を前記scVACVに感染させるステップと、前記宿主細胞を前記異種タンパク質の発現のための条件の下で培養するステップとを含む、方法。
(項目45)
前記異種核酸配列が、異なるポックスウイルス種または任意の非ポックスウイルス供給源に由来する、項目44に記載の方法。
(項目46)
ワクシニアウイルスに対する免疫応答を誘発またはブーストする方法であって、それを必要とする被験体に項目1~31のいずれか一項に記載のscVACVを含む組成物または項目40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
(項目47)
痘瘡ウイルスに対する免疫応答を誘発またはブーストする方法であって、それを必要とする被験体に項目1~31のいずれか一項に記載のscVACVを含む組成物または項目40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
(項目48)
サル痘ウイルスに対する免疫応答を誘発またはブーストする方法であって、それを必要とする被験体に項目1~31のいずれか一項に記載のscVACVを含む組成物または項目40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
(項目49)
ヒト被験体を免疫化して前記被験体を痘瘡ウイルス感染症から防御する方法であって、項目1~31のいずれか一項に記載のscVACVを含む組成物または項目40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記被験体に投与するステップを含む、方法。
(項目50)
痘瘡ウイルス感染症を処置する方法であって、それを必要とする被験体に項目1~31のいずれか一項に記載のscVACVを含む組成物または項目40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
(項目51)
被験体においてがんを処置する方法であって、それを必要とする前記被験体に項目1~31のいずれか一項に記載のscVACVを含む組成物または項目40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
(項目52)
前記投与が、皮膚乱切法、筋肉内または静脈内投与から選択することができる、項目43または46~51のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記組成物が、ポックスウイルス処置施設において投与される、項目43または46~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記組成物が、天然痘有害事象の専門家によって投与される、項目43または46~53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記天然痘有害事象が、種痘湿疹、進行性種痘疹、ワクチン後脳炎、心筋炎および拡張型心筋症から選択される、項目54に記載の方法。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3-1】
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図4-1】
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図6-1】
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図8-1】
図9-1】
図1-3】
図1-4】
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図2-6】
図3-3】
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図4-2】
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図6-2】
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【配列表】
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【外国語明細書】