(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051164
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】健康支援装置、健康支援システム、健康支援方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20240403BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024031773
(22)【出願日】2024-03-04
(62)【分割の表示】P 2021013966の分割
【原出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】519054301
【氏名又は名称】株式会社MICIN
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】國尾美絵
(72)【発明者】
【氏名】花木健太郎
(72)【発明者】
【氏名】花舘忠篤
(57)【要約】
【課題】ユーザにとって、アクショナブルな行動(介入法)を分析し、ユーザまたは医療従事者がその情報を活用してユーザの体調の維持と改善を目指すことである。
【解決手段】ユーザの症状緩和または体調の維持と改善を支援する健康支援装置であって、前記ユーザが生活の中で行う活動に関する情報を含む生活情報を受け付ける生活情報受付部と、前記活動の中から前記ユーザが実施可能なアクショナブル行動を特定する解析部と、前記ユーザまたは医療従事者に対して前記アクショナブル行動を提示する提示部と、を備えることを特徴とする健康支援装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの症状緩和または体調の維持と改善を支援する健康支援装置であって、
前記ユーザが生活の中で行う活動に関する情報を含む生活情報を受け付ける生活情報受付部と、
前記活動の中から前記ユーザが実施可能なアクショナブル行動を特定する解析部と、
前記ユーザまたは医療従事者に対して前記アクショナブル行動を提示する提示部と、
を備えることを特徴とする健康支援装置。
【請求項2】
前記生活情報は、前記活動を行った際の前記ユーザの情動に関する情報を含み、
前記解析部は、前記アクショナブル行動の中でもネガティブではない情動を伴うものの優先度を高め、
前記提示部は前記解析部が優先度を高めた前記アクショナブル行動を、他の前記アクショナブル行動と区別して提示すること、
を特徴とする、請求項1に記載の健康支援装置。
【請求項3】
前記ユーザのバイタル情報を取得するバイタル情報受付部と、
前記バイタル情報から前記ユーザの症状の変化を判定する症状判定部と、
をさらに備え、
前記解析部は、前記症状判定部が、前記症状が改善したと判定した時点より前に行った前記アクショナブル行動を症状関連アクショナブル行動と特定し、
前記提示部は、前記症状関連アクショナブル行動を、前記アクショナブル行動と区別して提示すること、
を特徴とする、請求項1または2に記載の健康支援装置。
【請求項4】
前記解析部は、統計的に前記アクショナブル行動を推定すること、
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の健康支援装置。
【請求項5】
前記ユーザの属性に関するユーザ情報を受け付けるユーザ情報受付部と、
前記ユーザの前記アクショナブル行動を推定するモデル生成部と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の健康支援装置。
【請求項6】
前記モデル生成部は、前記アクショナブル行動を正解データとして用い、入力データを前記ユーザ情報と前記生活情報とし、出力を前記ユーザが実施可能な行動とする予測モデルを生成し、
前記提示部は、前記予測モデルによって出力された前記行動を提示すること、
を特徴とする、請求項5に記載の健康支援装置。
【請求項7】
前記モデル生成部は、前記症状関連アクショナブル行動を正解データとして用い、入力データを前記ユーザ情報と前記生活情報とし、出力を前記ユーザが実施可能な行動とする予測モデルを生成し、
前記提示部は、前記予測モデルによって出力された前記行動を提示すること、
を特徴とする、請求項5に記載の健康支援装置。
【請求項8】
ユーザの症状緩和または体調の維持と改善を支援する健康支援システムであって、
前記ユーザが生活の中で行う活動に関する情報を含む生活情報を受け付ける生活情報受付機能と、
前記活動の中から前記ユーザが実施可能なアクショナブル行動を特定する解析機能と、
前記ユーザまたは医療従事者に対して前記アクショナブル行動を提示する提示機能と、
を備えることを特徴とする健康支援システム。
【請求項9】
ユーザの症状緩和または体調の維持と改善を支援する健康支援方法であって、
プロセッサが、
前記ユーザが生活の中で行う活動に関する情報を含む生活情報を受け付ける生活情報受付ステップと、
前記活動の中から前記ユーザが実施可能なアクショナブル行動を特定する解析ステップと、
前記ユーザまたは医療従事者に対して前記アクショナブル行動を提示する提示ステップと、
を備えることを特徴とする健康支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、健康支援装置、健康支援システム、健康支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医師の診断を支援する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術は、症状、所見から可能性の高い疾患名を推定し、医師に対して有効な検査や検査を推薦するものではあるが、実際に疾患を特定して適切な治療法を患者に対して指導したとしても、価値観や生活リズムの多様性、遺伝的な多様性などの理由から、患者が指導を実践しない、または実践したとしても効果が薄いことなどが問題となる。
【0005】
そこで、本開示は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、患者または体調の維持、改善の対象者となる人(以下、ユーザという)にとって、アクショナブルな行動(介入法)を分析し、ユーザまたは医療従事者がその情報を活用してユーザの症状緩和または体調の維持と改善を目指すことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、ユーザの症状緩和または体調の維持と改善を支援する健康支援装置であって、前記ユーザが生活の中で行う活動に関する情報を含む生活情報を受け付ける生活情報受付部と、継続的に実施されている前記活動をアクショナブル行動と特定する解析部と、前記ユーザまたは医療従事者に対して前記アクショナブル行動を、前記ユーザに対する介入方法の候補として提示する提示部と、を備えることを特徴とする健康支援装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ユーザにとって、アクショナブルな行動(介入法)を分析し、ユーザまたは医療従事者がその情報を活用して、ユーザの症状緩和または体調の維持と改善を目指すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る健康支援システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】同実施形態に係るサーバ装置1を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】同実施形態に係るサーバ装置1のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】同実施形態に係るユーザ情報記憶部131に記憶される情報の構成例を示す図である。
【
図5】同実施形態に係るバイタル情報記憶部132に記憶される情報の構成例を示す図である。
【
図6】同実施形態に係る生活情報記憶部133に記憶される情報の構成例を示す図である。
【
図7】同実施形態に係る指導情報記憶部134に記憶される情報の構成例を示す図である。
【
図8】同実施形態に係るサーバ装置1における一連の制御に係るフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の一実施形態は、以下のような構成を備える。
[項目1]
ユーザの症状緩和または体調の維持と改善を支援する健康支援装置であって、
前記ユーザが生活の中で行う活動に関する情報を含む生活情報を受け付ける生活情報受付部と、
前記活動の中から前記ユーザが実施可能なアクショナブル行動を特定する解析部と、
前記ユーザまたは医療従事者に対して前記アクショナブル行動を提示する提示部と、
を備えることを特徴とする健康支援装置。
[項目2]
前記生活情報は、前記活動を行った際の前記ユーザの情動に関する情報を含み、
前記解析部は、前記アクショナブル行動の中でもネガティブではない情動を伴うものの優先度を高め、
前記提示部は前記解析部が優先度を高めた前記アクショナブル行動を、他の前記アクショナブル行動と区別して提示すること、
を特徴とする、項目1に記載の健康支援装置。
[項目3]
前記ユーザのバイタル情報を取得するバイタル情報受付部と、
前記バイタル情報から前記ユーザの症状の変化を判定する症状判定部と、
をさらに備え、
前記解析部は、前記症状判定部が、前記症状が改善したと判定した時点より前に行った前記アクショナブル行動を症状関連アクショナブル行動と特定し、
前記提示部は、前記症状関連アクショナブル行動を、前記アクショナブル行動と区別して提示すること、
を特徴とする、項目1または2に記載の健康支援装置。
[項目4]
前記解析部は、統計的に前記アクショナブル行動を推定すること、
を特徴とする項目1から3のいずれかに記載の健康支援装置。
[項目5]
前記ユーザの属性に関するユーザ情報を受け付けるユーザ情報受付部と、
前記ユーザの前記アクショナブル行動を推定するモデル生成部と、
をさらに備えることを特徴とする、項目1から4のいずれかに記載の健康支援装置。
[項目6]
前記モデル生成部は、前記アクショナブル行動を正解データとして用い、入力データを前記ユーザ情報と前記生活情報とし、出力を前記ユーザが実施可能な行動とする予測モデルを生成し、
前記提示部は、前記予測モデルによって出力された前記行動を提示すること、
を特徴とする、項目5に記載の健康支援装置。
[項目7]
前記モデル生成部は、前記症状関連アクショナブル行動を正解データとして用い、入力データを前記ユーザ情報と前記生活情報とし、出力を前記ユーザが実施可能な行動とする予測モデルを生成し、
前記提示部は、前記予測モデルによって出力された前記行動を提示すること、
を特徴とする、項目5に記載の健康支援装置。
[項目8]
ユーザの症状緩和または体調の維持と改善を支援する健康支援システムであって、
前記ユーザが生活の中で行う活動に関する情報を含む生活情報を受け付ける生活情報受付機能と、
前記活動の中から前記ユーザが実施可能なアクショナブル行動を特定する解析機能と、
前記ユーザまたは医療従事者に対して前記アクショナブル行動を提示する提示機能と、
を備えることを特徴とする健康支援システム。
[項目9]
ユーザの症状緩和または体調の維持と改善を支援する健康支援方法であって、
プロセッサが、
前記ユーザが生活の中で行う活動に関する情報を含む生活情報を受け付ける生活情報受付ステップと、
前記活動の中から前記ユーザが実施可能なアクショナブル行動を特定する解析ステップと、
前記ユーザまたは医療従事者に対して前記アクショナブル行動を提示する提示ステップと、
を備えることを特徴とする健康支援方法。
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
本実施形態のサーバ装置1は、ユーザにとってアクショナブルな行動を特定する。ここでのアクショナブルとは、ユーザが継続的に実施可能であることだけでなく、ユーザが継続的に実施を止めることができること、更にユーザが行動を変更し続けることができることなどを含む。更に、医療従事者による指導(介入)を受けた後、当該指導の中でユーザの従った活動を判定することも含む。
【0012】
==概要==
図1はサーバ装置1(情報処理装置)の全体構成を示す図である。
図1に示すように、健康支援システムは、サーバ装置1、ユーザ端末3、センサデバイス4、医療従事者端末5を含む。サーバ装置1は、ネットワーク2を介してユーザ端末3、センサデバイス4、医療従事者端末5と接続される。ユーザ端末3、センサデバイス4、医療従事者端末5は1台だけ示してあるが、これ以上存在してもよいことは言うまでもない。また、ユーザ端末3、センサデバイス4、医療従事者端末5の具体的な機器は、携帯端末およびパーソナルコンピュータに限定されず、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブル端末、その他の電子機器であってもよい。
【0013】
==ユーザ端末3==
ユーザ端末3は、患者または、症状緩和または体調の維持、改善の対象者となる人(ユーザ)が操作するコンピュータである。ユーザ端末3は、たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。ユーザは、たとえばユーザ端末3で実行されるアプリケーションやWebブラウザによりサーバ装置1にアクセスすることができる。
【0014】
==センサデバイス4==
センサデバイス4は、ユーザのライブデータを取得するセンサを有するコンピュータである。本開示のシステムにとって容認できるセンサは多岐に渡るが、ユーザの身体との連続性がありかつ当該身体に付着されるセンサと、患者の身体から遠隔するセンサとの双方を含み得る。可能なセンサは、加速度計、RFIDセンシング、抵抗、容量、誘導及び磁気センサ、反射センサ、赤外センサ、ビデオモニタリング、圧力及び応力センサ、経皮的酸素圧力センサ、経皮的CO2センサ、ハイドレーションセンサ、pHセンサ、超音波センサ、リモート光学分光センサ及びレーザドップラーフローセンサ、GPSなどを含んでもよい。なお、前述したセンサを搭載するユーザ端末3が、センサデバイス4を兼ねていてもよい。
【0015】
==医療従事者端末5==
医療従事者端末5は、前記ユーザが健康に関して相談をする医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士、技師装具士、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師、救急救命士などの医療従事者が操作するコンピュータである。医療従事者端末5は、たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。医療従事者は、たとえば医療従事者端末5で実行されるアプリケーションやWebブラウザによりサーバ装置1にアクセスすることができる。
以下、サーバ装置1の構成について説明する。
【0016】
図2は、本実施形態のサーバ装置1のハードウェア構成例を示す図である。サーバ装置1は、CPU101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、入力装置105、出力装置106を備える。CPU101は、サーバ装置1全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行及び認証処理に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えばCPU101は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶装置103に格納されメモリ102に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。メモリ102は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリまたはHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ102は、CPU101のワークエリア等として使用され、また、サーバ装置1の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、及び各種設定情報等を格納する。記憶装置103は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース104は、ネットワーク2に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置105は、たとえばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどを通じてデータの入力を受け付ける装置である。出力装置106は、データを出力する、たとえばディスプレイやプリンタ、スピーカなどを備える。
【0017】
図3は、サーバ装置1の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、サーバ装置1は、ユーザ情報受付部111と、バイタル情報受付部112と、生活情報受付部113と、指導情報受付部114と、症状判定部115と、解析部116と、提示部117と、モデル生成部118と、の各機能部と、ユーザ情報記憶部131と、バイタル情報記憶部132と、生活情報記憶部133と、指導情報記憶部134と、分析用データ記憶部の各記憶部と、を含んで構成される。
【0018】
なお、上記各機能部は、サーバ装置1が備えるCPU101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現され、上記各記憶部は、サーバ装置1が備えるメモリ102および記憶装置103が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0019】
ここで、本実施の形態において、ユーザ情報記憶部131と、バイタル情報記憶部132と、生活情報記憶部133と、指導情報記憶部134と、分析用データ記憶部135の各記憶部のデータ構成について示す。
【0020】
ユーザ情報記憶部131は、ユーザ情報受付部111が受け付けた、
図4に一例を示すユーザ情報を記憶する。
図4に示すように、当該ユーザ情報は、ユーザの属性や健康状態を示す情報であり、例えば、病院等で診察を受ける際に問診票等に記載・入力する情報でもよく、一例として、大きく基本情報、健康状態情報を含むがそれに限定されない。当該基本情報は、一例として、ユーザID、氏名、生年月日、性別、電話番号・メールアドレス、住所、緊急連絡先、緊急連絡先との続柄などの情報から構成される。また、当該健康状態情報は、一例として、現在罹っている病気・症状、家族に同様の病気・症状があるか、アレルギーの有無、アレルギーの種類、注射や飲み薬への反応、診察・検査・採血等への反応、女性の方には妊娠・授乳の有無などの情報、一般的な健康診断などによって取得される情報などから構成される。
【0021】
バイタル情報記憶部132は、バイタル情報受付部112が受け付けた、
図5に一例を示すバイタル情報を記憶する。
図5に示すように、前記バイタル情報は、ユーザの状態を客観的に示す情報であり、一例として、大きく生体センサ取得情報、バイオセンサ取得情報、映像取得情報、医療機関取得情報を含むがそれに限定されない。前記生体センサ取得情報は、一例として、血圧、脈拍、発汗、睡眠、活動量などの情報から構成される。前記バイオセンサ取得情報は、一例として、血糖値、酵素等バイオマーカ、血球数などの情報から構成される。前記映像取得情報は、一例として、呼吸数、脈波、酸素飽和度などの情報から構成される。前記医療機関取得情報は、一例として、CT、レントゲン、病理検査などの情報から構成される。
【0022】
生活情報記憶部133は、生活情報受付部113が受け付けた、
図6に一例を示す生活情報を記憶する。
図6に示すように、前記生活情報は、ユーザが健康の維持・改善に向けて生活する中で発生する情報や、主観的な情報であり、一例として、活動情報、食事情報、服用情報、情動情報を含むがそれに限定されない。前記活動情報は、一例として、活動(運動、スポーツなど身体を動かすことを含むが、それに限定されない)の種類、活動時間、活動の程度、活動量などの情報から構成される。前記食事情報は、一例として、食事の時間、食事の種類、食事の量、誰と食べたかなどの情報から構成される。前記服用情報は、一例として、薬の種類、服用量、服用の時間などの情報から構成される。前記情動情報は、一例として、情動の種類(快、不快や喜怒哀楽、ポジティブ、ニュートラル、ネガティブなど)、情動の程度、情動のタイミング・期間などの情報から構成される。
【0023】
指導情報記憶部134は、指導情報受付部114が受け付けた、
図7に一例を示す指導情報を記憶する。
図7に示すように、前記指導情報は、医師などの医療従事者がユーザの健康維持・改善を目的として行う活動や、ユーザに対する健康指導に関する情報であり、一例として、大きく診断情報、運動指導情報、食事指導情報、投薬指導情報を含むがそれに限定されない。前記運動指導情報は、一例として、運動の種類、運動の量、運動の頻度などの情報から構成される。前記食事指導情報は、一例として、食事の種類、食事の量、忌避する食事の種類などの情報から構成される。前記投薬指導情報は、一例として、薬の種類、薬の量、服用の時間などの情報から構成される。
【0024】
以上がサーバ装置1のデータ構成についての説明である。なお、それぞれ過去のデータが、当該データをユーザ、医療従事者が入力した時間、またはセンサデバイスが取得した時間、と紐づいて保持されてもよい。
【0025】
ここで、本実施の形態において、ユーザ情報受付部111と、バイタル情報受付部112と、生活情報受付部113と、指導情報受付部114と、症状判定部115と、解析部116と、提示部117と、モデル生成部118と、の各機能部の機能について示す。
【0026】
ユーザ情報受付部111は、ネットワーク2を介して、ユーザ端末3から、ユーザに関する情報を受け付ける。当該送受信における通信は、有線、無線のいずれでもよく、また、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。なお、ユーザ情報は、前記医療従事者が、当該ユーザへのヒアリングやアンケート等で回収した情報を、ネットワーク2を介して、医療従事者端末5から入力してもよい。更に、ユーザ情報は、サーバ装置1を用いて事業を行う事業者が、当該組織の担当者へのヒアリングやアンケート等で回収した情報をサーバ装置1に直接入力してもよいし、ネットワーク2を介して、事業者の端末から入力してもよい。
【0027】
バイタル情報受付部112は、ネットワーク2を介して、センサデバイス4または医療従事者端末5から、前記ユーザのライブデータに関する情報を受け付ける。当該送受信における通信は、有線、無線のいずれでもよく、また、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。
【0028】
生活情報受付部113は、ネットワーク2を介して、ユーザ端末3から、前記ユーザが生活の中で行った様々な活動に関する情報を受け付ける。当該送受信における通信は、有線、無線のいずれでもよく、また、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。
【0029】
生活情報受付部113は、ユーザ端末3に対し、生活の中で行った様々な活動に関する情報を入力するフォームを提示してもよい。生活情報受付部113は、当該フォームにユーザが入力した情報を受付け、生活情報記憶部133に記憶する。なお、活動は運動、食事、服薬、睡眠などを含むが、これに限定されない。また、運動に関しては運動の種類、時間や回数などの運動量を示す指標、運動の強度を示す指標、運動を行った時間帯などの情報を含んでもよく、食事に関しては食事の種類(メニューや含まれる材料など)、食事の量、食事のとり方(早く食べる、ゆっくり食べる、一人で食べる、複数人で食べるなど)、食事を行った時間帯などの情報を含んでもよい。服薬に関しては服用した薬の種類、服用した時間などの情報を含んでもよい。
【0030】
また、生活情報受付部113は、当該フォームを定められた時間にユーザ端末3に提示してもよい。生活情報受付部113は、例えば、一般的に食事が済んだ頃の時間(朝食であれば7時~8時頃、昼食であれば13時前後など)や、ユーザによって設定された時間に、どんな食事をどの程度取ったか、また薬の種類や服薬の有無などを入力するフォームを提示する。当該フォームにおいては、食事の内容に関して、肉、魚、野菜、フルーツなどの食品のカテゴリを選択できるようになっていてもよく、量に関しては、100g以下、100gから200gや、5個以下、6個から10個まで、などの範囲を選択できるようになっていてもよいし、少量、普通、多めなどのカテゴリから選択できるようになっていてもよい。また、生活情報受付部113は、センサデバイス4から受付けた情報をもとに、当該フォームをユーザに提示してもよい。例えば、バイタル情報受付部112が、センサデバイス4から受付けた心拍数が一定の程度を超えて変動した場合に、生活情報受付部113は、行った運動の種類と運動の強度、運動時間などを入力するフォームを提示してもよい。また、センサデバイス4から受付けた情報をもとに、当該フォームを、予測値を併せてユーザに提示してもよい。例えば、バイタル情報受付部112がセンサデバイス4から、GPS及び歩数計等の情報を受付けた場合に、当該情報をもとに行った運動の種類、運動の強度、運動時間などの予測を行い、参考時間としてフォームに数値を入れた上でユーザ端末3に提示し、ユーザからの送信を受付けてもよい。なお、生活情報受付部113は、当該予測を行った情報を、生活情報記憶部133に記憶してもよく、更に、当該予測の情報を実施した活動として、ユーザに修正が可能な形で提示をしてもよい。
【0031】
更に、生活情報受付部113は、ユーザ端末3に対して、情動を入力するフォームを提示してもよい。情動とは、怒り、恐れ、喜び、悲しみなどの感情の動きのことを指す。生活情報受付部113は、ユーザが生活の中で行った様々な活動によって、どのような情動が起こったのかを記憶するため、ユーザ端末3に対して前記生活の中で行った様々な活動に関する情報に加えて、その時の情動を入力するフォームを提示してもよい。当該情動を入力するフォームにおいては、ユーザに情動として喜怒哀楽を選択させてもよいし、選択後にその程度を数字入力や段階の選択等で受付けてもよい。更に、ユーザに感情を表す顔(笑顔や泣き顔など)や行動(サムズアップ、サムズダウンなど)のアイコンを選択させてもよいし、ユーザにその時の気分をテキスト入力させが、登場するワードがポジティブなものかネガティブなものかを解析して情動を推定してもよいし、これらに限定されない。なお、生活情報受付部113は、当該情動を入力するフォームだけを、当該活動に紐づけずに、ユーザ端末3に提示してもよい。
【0032】
また、生活情報受付部113は、前記情動を入力するフォームを、後述する解析部116が実施行動を特定した際に、ユーザ端末3に提示してもよい。このことにより、当該実施行動によってユーザがどのような感情を持ったかを紐づけることが可能となる。なお、当該実施行動によってポジティブまたはニュートラルな感情(快である、または、不快ではない)、ネガティブな感情(不快である)をユーザが抱いたかどうかを判定してもよい。
【0033】
また、生活情報受付部113は、好き嫌いを入力するフォームを、ユーザ端末3に提示してもよい。例えば、生活情報受付部113は、運動、食、睡眠などに対する嗜好性について入力するフォームをユーザに提示する。具体的には、一例として、運動をするならどの運動が良いですか?という質問と、選択肢としてウォーキング、ランニング、スイミング、サイクリング、その他などの選択肢及び自由入力欄と、それぞれの選択肢に対して好き嫌いの程度を5段階などで数字の入力や選択できるフォームなどを提示する。また、一例として、食事において一番避けたいのは以下のどれですか?という質問と、選択肢として1回の食事量を減らす、1日の食事回数を減らす、塩分を減らす、飲酒を控える、その他などの選択肢及び自由入力欄と、それぞれの選択肢に対して好き嫌いの程度を5段階などで数字の入力や選択できるフォームなどを提示する。質問の内容や、好き嫌いの程度を入力する方式はこれに限定されるものではない。当該好き嫌いに関する情報は、提示部117によって医師に提示され、特に好きの程度が高いものは、医師が行う指導において、ユーザにとってモチベーション高く取り組めるアクショナブルである可能性が高いアクショナブル候補行動として、提示してもよい。
【0034】
指導情報受付部114は、ネットワーク2を介して、医療従事者端末5から、前記ユーザの治療や症状緩和、健康維持と改善に繋がる処方等の指導に関する情報を受け付ける。当該送受信における通信は、有線、無線のいずれでもよく、また、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。
【0035】
症状判定部115は、前記バイタル情報をもとに、ユーザの症状が改善または悪化したことを判定する。症状判定部115は、一例として、改善対象となる疾病が高血圧症の場合には収縮期血圧値や拡張期血圧値(生体センサ取得情報に含まれる)などを用い、脂質異常症の場合にはLDLコレステロール値やHDLコレステロール値(バイオセンサー取得情報に含まれる)などを、症状の判定に用いる。症状判定部115は、一例として、当該項目の値が、不適正と判断される値から適正と判断される値の範囲に入った場合を症状の改善、適正と判断される値の範囲から不適正と判断される値となった場合を症状の悪化と判定し、その時点(症状変動時)の時間情報を記憶する。なお、症状判定部115は、当該項目の値が急激に変動した場合なども症状が急変したと判断してもよい。なお、症状判定部115が症状の判定に用いる値は前述の値に限定されず、他の疾病や分析したいリスクに応じて適切な指標を設定するとよい。更に、症状判定部115は、適正範囲内でも高止まり、低止まりなど、医学的に不適正だと判定される値の変化を、症状の悪化と判定してもよい。
【0036】
解析部116は、ユーザにとってアクショナブルな活動を解析する。解析部116は、例えば、ユーザが継続的に実施可能な行動を、前記バイタル情報または前記生活情報をもとに、アクショナブル行動として特定する。
【0037】
解析部116は、数分、数時間、数日、数週間、数か月などのレンジで、繰り返される行動を、前記バイタル情報または前記生活情報をもとに特定する。例えば、解析部116は、前記バイタル情報に含まれる、脈拍の情報から、ユーザの平静時の平均的な脈拍を取得する。次に、解析部116は、当該平静時の脈拍を上回る脈拍が数分から数時間にわたり、断続的に続いた場合には運動を行ったもの(実施行動)と特定する。更に、解析部116は、平静時の脈拍をどの程度上回ったか、どの程度断続的に継続したか、また、その他の例えばGPSによるユーザの位置の移動の情報などをもとに、当該運動がどのような種類の運動(ウォーキング、ランニング、スイミング、ウェイトトレーニング等)であったか、更に平均的にどの程度の強度で、どの程度継続されたかを推定する。なお、当該運動が、前記生活情報と紐づけられている場合には、解析部116は、当該生活情報の情報を当該推定した内容と変更してもよい。更に、例えば、解析部116は、センサデバイス4に含まれる、多軸加速度センサ等により取得されるユーザの動作情報(バイタル情報記憶部132に記憶される)が、一定期間(例えば10分や30分など)ほとんど観測されない場合などに、ユーザが睡眠状態であると特定する。更に、当該睡眠状態において、ユーザの活動量が著しく低い時間が続いている間、ユーザは深い睡眠に入っており、一定時間の活動量が激しい場合、眠りは浅いと判断し、実施行動として特定してもよい。
【0038】
また、解析部116は、前記生活情報に含まれる前記食事情報から、食事の種類を取得し、実施行動として特定する。解析部116は、当該種類の食事に含まれる材料や含有量等を収載したデータベース(サーバ装置1に備えてもよいし、インターネット等からデータを取得してもよい)より取得した情報により、特定の材料を、特定の量よりも多く、または少なく、摂取または摂取しないこと、などを実施行動と判定する。なお、食事の種類や量に関しては、前記食事情報に含まれる食事の写真を解析部116が解析し、メニューや食事量を推定してもよい。同様に、解析部116は、前記生活情報に含まれる服用情報から、どの種類の薬を、どの程度、どの時間に服用しているかを実施行動として特定してもよい。
【0039】
更に、解析部116は、前記実施行動が、一日に3回以上、1週間に3回以上、月に3回以上などの、一定期間中に規定回数以上繰り返された場合、または、3日連続、1週間連続、1ヶ月連続などの規定日数繰り返された場合に、当該運動をユーザにとってアクショナブル行動であると判定する。
【0040】
更に、解析部116は、前記実施行動の後に、生活情報受付部113が、ユーザに対して提示する、その時の情動を入力するフォームに、ユーザが入力した情動に関する情報をもとに、当該実施行動がアクショナブル行動と判定し、他のアクショナブル行動よりも優先度を高く設定してもよい。解析部116は、例えば、ウォーキングを行った後にユーザがネガティブではない情動であると入力した回数が5回以上など、一定の回数を超えた際に、ウォーキングは、当該ユーザにとってアクショナブル行動であると判定する。また、解析部116は、例えば、実施行動として特定した食事において、魚がメインの食事の後に、ユーザがネガティブな情動であると入力した回数が一定回数を超えた場合に、当該ユーザにとって、魚がメインの食事はアクショナブル行動ではないと判定してもよい。
【0041】
更に、解析部116は、ユーザが継続的に止められる活動を、前記バイタル情報または前記生活情報をもとに、アクショナブル行動として特定する。
【0042】
解析部116は、例えば、前述したように、前述の前記バイタル情報または前記生活情報をもとに、運動や食事等の実施行動を、継続的、断続的に実施するが、ある時を境に、当該実施行動が実施されなくなったもの、また、実施される回数が減少したもの、などを、アクショナブル行動として特定する。
【0043】
また、解析部116は、例えば、前述したように、前述の前記バイタル情報または前記生活情報をもとに、運動や食事等の実施行動を、継続的、断続的に実施するが、実施後に、生活情報受付部113が提示したフォームに入力された情動が、ネガティブな情動ではないもの、以前はネガティブな情動であったけど現在はネガティブではない情動に変わったもの、などを、アクショナブル行動として特定し、他のアクショナブル行動よりも優先度を高く設定してもよい。
【0044】
更に、解析部116は、ユーザが前記実施行動を止めた場合に、代わりに実施できる行動を、前記バイタル情報または前記生活情報をもとに、アクショナブル行動として特定する。
【0045】
解析部116は、例えば、前述したように、前述の前記バイタル情報または前記生活情報をもとに、運動や食事等の実施行動を、突発的に実施し、実施後に、生活情報受付部113が提示したフォームに入力された情動が、ポジティブ、またはネガティブではない情動であったもの、などを、アクショナブル行動として特定し、他のアクショナブル行動よりも優先度を高く設定してもよい。
【0046】
なお、情動に関する情報は、生活情報受付部113が提示したフォームで、ユーザが主観的な情報として入力する以外にも、解析部116は、センサデバイス4を通じて取得した発汗量や拍動数、ストレスホルモンの量などの情報をバイタル情報記憶部132から読み出し、ポジティブ、ニュートラル、ネガティブなどの情動を推定し、前記実施行動に紐づけて、当該実施行動がアクショナブルかどうかを判定してもよい。
【0047】
更に、解析部116が特定した実施行動が行われた時間中またはそれより後に、症状判定部115が、前記バイタル情報をもとに、ユーザの症状が改善または悪化したことを判定した場合に、当該症状の変化と関係のある可能性のある症状関連アクショナブル行動として特定し、他のアクショナブル行動よりも優先度を高く設定してもよい。当該時間は規定の時間(10分や30分、60分、4時間、12時間、24時間など、対象となる疾患や症状によって個別に設定できるものとする)で良く、当該実施行動が行われ、症状判定部115が、ユーザの症状が改善または悪化したことを判定した回数が多いほど、その相関が高い、症状関連アクショナブル行動として特定する。なお、解析部116は、症状の悪化と相関の高い症状関連アクショナブル行動の優先度を下げてもよい。
【0048】
更に、解析部116は、解析部116が特定した実施行動と、前記治療情報を比較することで、ユーザが医師の指導に従ったかどうかを判定してもよい。具体的には、例えば前記治療情報にて、週に3回以上、60分以上のウォーキングを行うこと、が含まれている場合に、解析部116が特定した実施行動の中に、60分以上のウォーキングが週に3回以上行われている場合に、当該ユーザが指導に従ったと判定する。また、60分以上のウォーキングが週に1回しか行われていなかった場合には、当該ユーザは指導に従わなかったと判定する。
【0049】
更に、解析部116は、統計的にアクショナブル行動を推定してもよい。解析部116の用いる解析の種類としては、分類、回帰、相関分析、特徴量重要度の算出、クラスタリングなどを行ってもよく、また、これらの統計モデルは一般的に統計学で用いられる実装を用いればよくここでは詳細な説明を省略する。
【0050】
解析部116は、前述してきたアクショナブル行動が、症状の改善との間に相関があるかを解析する。解析部116は、例えば症状変動時から規定の時間(10分や30分、60分、4時間、12時間、24時間など)遡って、症状変動時までに行った生活情報を統計的に解析し、症状関連アクショナブル行動を推定する。また、学習を行う場合には、学習に用いる入力データは、少なくとも前記バイタル情報と前記生活情報であり、教師データは、前記生活情報の中で、症状判定部115が症状の変動を判定した時間より前の生活情報である。
【0051】
提示部117は、ユーザ端末3または医療従事者端末5に対し、前記実施行動、前記アクショナブル行動、前記症状関連アクショナブル行動、前記アクショナブル候補行動を提示する。提示部117は、時間軸に沿って前記実施行動、前記アクショナブル行動、前記症状関連アクショナブル行動を提示する。また、提示部117は、医療従事者に対して、ユーザに実際に行うよう指導した、前記症状関連アクショナブル行動、前記アクショナブル候補行動をチェックするチェックボックスを提示してもよく、チェックされた行動は、医療従事者によって正解ラベルが付与された情報としてサーバ装置1に保存される。また、提示部117は、解析部116が優先度を高めたアクショナブル行動(ネガティブではない情動を伴うもの)や症状関連アクショナブル行動を、医療従事者に目立つよう区別して提示してもよく、提示する画面の上部に表示させたり、優先度が高いことを併せて表示したり、色を変えたり文字の大きさを変えるなどしてもよいが、提示の仕方はこれに限らない。更に、提示部117は、解析部116が優先度を低くした症状関連アクショナブル行動を、提示しなくてもよい。なお、前記バイタル情報に含まれる、対象となる症状を表す指標の変動を併せて提示してもよい。これによって、医療従事者は、ユーザに対する指導方針の検討を行いやすくなる。更に、後述するモデル生成部118が生成した予測モデルによって出力された活動を、アクショナブル行動または症状関連アクショナブル行動として提示してもよい。
【0052】
また、提示部117は、まず医療従事者端末5に対して、ユーザ端末3に提示する画面を提示し、医療従事者からの修正や追記等の編集を受付け、当該編集を反映させた情報を、ユーザ端末3に提示してもよい。
【0053】
また、提示部117は、ユーザ端末3に対し、提示した前記実施行動、前記アクショナブル行動、前記症状関連アクショナブル行動、前記アクショナブル候補行動の中から、ユーザ自身がアクショナブルであるかどうかを入力するフォームを提示してもよい。この場合、提示部117は、ユーザに対し、前記実施行動、前記アクショナブル行動、前記症状関連アクショナブル行動、前記アクショナブル候補行動のそれぞれに対し、実行容易な順位や、実行することに対する好ましさを、数値選択や入力、サムズアップやサムズダウンなどの意思を示すアイコンの選択を受付けるフォームを提示すればよい。
【0054】
モデル生成部118は、複数のユーザの前記実施行動、前記アクショナブル行動、前記症状関連アクショナブル行動、前記アクショナブル候補行動と、ユーザ情報や前記指導情報をもとに、ユーザの体質や、実施行動の特徴ごとなどのユーザグループにとって、アクショナブル行動を予測する予測モデルを、学習などの統計的な手法によって生成してもよい。モデル生成部118の用いる予測モデル生成のための手法としては、分類、回帰、相関分析、特徴量重要度の算出、クラスタリングなどを行ってもよく、また、これらの統計モデルは一般的に統計学で用いられる実装を用いればよくここでは詳細な説明を省略する。これら手法によって生成した、関係性が導けるモデルに対する入力データは、前記実施行動、前記アクショナブル行動、前記症状関連アクショナブル行動、前記アクショナブル候補行動と、前記ユーザ情報、前記指導情報であり、教師ラベルとして、前記症状関連アクショナブル行動または前記アクショナブル候補行動に対して、医療従事者が正解ラベルを付与してもよい。また、前記症状関連アクショナブル行動または前記アクショナブル候補行動に対して、提示部117が受け付けた、ユーザが好ましいと評価したものを教師ラベルとしてもよい。
【0055】
更に、上述の通りモデル生成部118は予測モデルを学習などの統計的な手法で生成してもよいが、一例として、具体的な機械学習モデルに関して説明する。モデル生成部118が生成する予測モデルは、継続的に実施している実施行動を予測するものであってもよく、その場合、機械学習モデルに対する入力データは前記実施行動とユーザ情報であり、出力データは継続した実施行動であるが、これに限定されない。また、モデル生成部118が生成する予測モデルは、実施行動の中でポジティブな情動を伴うもの、またはネガティブではない情動を伴うものを予測するものであってもよく、その場合機械学習モデルに対する入力データは前記実施行動と前記情動情報と前記ユーザ情報であり、出力データはポジティブな情動を伴った実施行動、またはネガティブではない情動を伴った実施行動であるが、これに限定されない。また、モデル生成部118が生成する予測モデルは、前記症状関連アクショナブル行動を予測するものであってもよく、その場合機械学習モデルに対する入力データは前記実施行動と前記バイタル情報と前記ユーザ情報であり、出力データは前記症状関連アクショナブル行動であるが、これに限定されない。なお、特徴量として、ユーザ情報以外に、特定の実施行動(例えば運動)の種類、量、程度などを用いてもよいし、食事や服用の種類、量、更に症状や病名などを用いてもよい。
【0056】
更に、モデル生成部118は、例えば、医療業界の知見をもとに、予測モデルを生成してもよい。この場合、モデル生成部118は、特定の疾病や病状の患者に、医療業界でまず一般的に患者に提示する行動を予測モデルの出力としてもよい。また、モデル生成部118は、前述した、医療業界でまずは一般的に患者に提示する行動を、効果や実効性、ユーザにとっての実行容易性などの面から採点や優先順位付けするフォームを医療従事者端末5に提示し、多くの医療従事者が高い得点や優先順位高く付けたものを、予測モデルの出力としてもよい。また、モデル生成部118は、医療従事者端末5に対して、特定の疾病や病状の患者に対して医療従事者が提案する行動を入力するフォームを提示し、当該フォームへの入力を通じて収集した回答の情報をもとに、例えば同じ回答が数多くなされたものを、予測モデルの出力としてもよい。更に、サーバ装置1は、医療や健康に関する論文や総説などの文献情報を受付け、モデル生成部118は、当該文献情報をもとに、予測モデルを生成してもよい。例えば、モデル生成部118は、一定の数を超える文献に登場する、特定の疾病や病状の患者に推奨されている行動や、それら記載のある文献の引用回数が一定の回数を超えるもの、文献が掲載されている学術誌のインパクトファクターが一定の値を超えるものなどを、予測モデルの出力としてもよい。
【0057】
図8を用いて、本実施形態の代表的な処理の流れを説明する。まず、生活情報受付部113が生活情報を受け付ける(1001)。次に、バイタル情報受付部112がバイタル情報を受け付ける(1002)。生活情報の受付(1001)およびバイタル情報の受付(1002)の順番は入れ替わることもある。解析部116が、前記生活情報をもとに、継続的に実施されている活動を解析し、アクショナブル行動を特定する(1003)。更に、解析部116は、前記活動に紐づけられた情動の情報を併せて解析し、アクショナブル行動に優先度をつける(1004)。また、症状判定部115は、前記バイタル情報をもとに症状の変化を判定する(1005)。解析部116は、症状の変化が判定された時点よりも前に実施されていた前記活動を解析し、症状関連アクショナブル行動を特定する(1006)。提示部117は、前記アクショナブル行動や、前記症状関連アクショナブル行動を提示する(1007)。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0059】
本明細書において説明した装置は、単独の装置として実現されてもよく、一部または全部がネットワークで接続された複数の装置(例えばクラウドサーバ)等により実現されてもよい。例えば、サーバ装置1のCPU101および記憶装置103は、互いにネットワークで接続された異なるサーバにより実現されてもよい。
【0060】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、およびソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係るサーバ装置1の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0061】
また、本明細書においてフローチャート図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0062】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【符号の説明】
【0063】
1 サーバ装置
2 ネットワーク
3 ユーザ端末
4 センサデバイス
5 医療従事者端末
101 CPU
102 メモリ
103 記憶装置
104 通信インタフェース
105 入力装置
106 出力装置
111 ユーザ情報受付部
112 バイタル情報受付部
113 生活情報受付部
114 指導情報受付部
115 症状判定部
116 解析部
117 画面提示部
118 モデル生成部
119 診断支援部
120 メッセージ送信部
131 ユーザ情報記憶部
132 バイタル情報記憶部
133 生活情報記憶部
134 指導情報記憶部
【手続補正書】
【提出日】2024-03-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの症状緩和または体調の維持と改善を支援する健康支援装置であって、
前記ユーザが生活の中で行う活動に関する情報のうち前記ユーザが行った生活情報を受け付ける生活情報受付部と、
前記生活情報に基づいて、前記活動の中から、前記ユーザが実施するように介入された場合に継続的に実施可能な前記活動、又は前記ユーザが停止するように介入された場合に停止可能な前記活動であるアクショナブル行動を予測する解析部と、
前記ユーザまたは医療従事者に対して前記アクショナブル行動を提示する提示部と、
を備えることを特徴とする健康支援装置。
【請求項2】
前記解析部は、
前記ユーザによって一定頻度行われている前記活動を、前記アクショナブル行動として予測する、
請求項1に記載の健康支援装置。
【請求項3】
前記解析部は、前記生活情報から、前記ユーザが継続的又は断続的に実施していた前記活動のうち、所定時点以後実施されなくなり、又は、実施される回数が減少したものを特定し、前記生活情報に基づいて、特定した前記活動の代わりに実施できる前記活動を、前記アクショナブル行動として特定する、
請求項1に記載の健康支援装置。
【請求項4】
前記ユーザのバイタル情報を取得するバイタル情報受付部を備え、
前記解析部は、前記バイタル情報に基づいて前記ユーザの情動を推定し、前記ユーザが前記活動を実施した後に、ポジティブである、又はネガティブではない前記情動であった前記活動を、前記アクショナブル行動として特定する、
請求項1に記載の健康支援装置。
【請求項5】
医療従事者が指導した前記活動を含む指導情報を記憶する指導情報記憶部を備え、
前記解析部は、前記生活情報及び前記指導情報を比較して、前記ユーザが前記医療従事者の指導に従ったか否かを判定し、前記指導に従った前記活動を前記アクショナブル行動として特定する、
請求項1に記載の健康支援装置。
【請求項6】
前記ユーザのバイタル情報を取得するバイタル情報受付部と、
前記バイタル情報から前記ユーザの症状の変化を判定する症状判定部と、
をさらに備え、
前記解析部は、前記症状判定部が、前記症状が改善したと判定した時点より前に行った前記アクショナブル行動を症状関連アクショナブル行動と特定し、
前記提示部は、前記症状関連アクショナブル行動を、前記アクショナブル行動と区別して提示すること、
を特徴とする、請求項1に記載の健康支援装置。
【請求項7】
前記解析部は、統計的に前記アクショナブル行動を推定すること、
を特徴とする請求項1に記載の健康支援装置。
【請求項8】
前記ユーザの属性に関するユーザ情報を受け付けるユーザ情報受付部と、
前記ユーザの前記アクショナブル行動を推定するモデル生成部と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の健康支援装置。
【請求項9】
前記モデル生成部は、前記アクショナブル行動を正解データとして用い、入力データを前記ユーザ情報と前記生活情報とし、出力を前記ユーザが実施可能な行動とする予測モデルを生成し、
前記提示部は、前記予測モデルによって出力された前記行動を提示すること、
を特徴とする、請求項8に記載の健康支援装置。
【請求項10】
前記モデル生成部は、前記症状関連アクショナブル行動を正解データとして用い、入力データを前記ユーザ情報と前記生活情報とし、出力を前記ユーザが実施可能な行動とする予測モデルを生成し、
前記提示部は、前記予測モデルによって出力された前記行動を提示すること、
を特徴とする、請求項8に記載の健康支援装置。
【請求項11】
ユーザの症状緩和または体調の維持と改善を支援する健康支援システムであって、
前記ユーザが生活の中で行う活動に関する情報を含む生活情報を受け付ける生活情報受付機能と、
前記生活情報に基づいて、前記活動の中から、前記ユーザが実施するように介入された場合に継続的に実施可能な前記活動、又は前記ユーザが停止するように介入された場合に停止可能な前記活動であるアクショナブル行動を特定する解析機能と、
前記ユーザまたは医療従事者に対して前記アクショナブル行動を提示する提示機能と、
を備えることを特徴とする健康支援システム。
【請求項12】
ユーザの症状緩和または体調の維持と改善を支援する健康支援方法であって、
プロセッサが、
前記ユーザが生活の中で行う活動に関する情報のうち前記ユーザが行った生活情報を受け付ける生活情報受付ステップと、
前記生活情報に基づいて、前記活動の中から、前記ユーザが実施するように介入された場合に継続的に実施可能な前記活動、又は前記ユーザが停止するように介入された場合に停止可能な前記活動であるアクショナブル行動を予測する解析ステップと、
前記ユーザまたは医療従事者に対して前記アクショナブル行動を提示する提示ステップと、
を備えることを特徴とする健康支援方法。