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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005117
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/15 20160101AFI20240110BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20240110BHJP
   B60W 10/02 20060101ALI20240110BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20240110BHJP
   B60W 20/40 20160101ALI20240110BHJP
   F16D 48/06 20060101ALI20240110BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240110BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20240110BHJP
【FI】
B60W20/15
B60K6/48 ZHV
B60W10/02 900
B60W10/08 900
B60W20/40
F16D28/00 A
F16D48/06 102
B60L15/20 K
B60L50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105157
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519314766
【氏名又は名称】株式会社BluE Nexus
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】塚本 典弘
(72)【発明者】
【氏名】竹市 章
(72)【発明者】
【氏名】仲西 直器
(72)【発明者】
【氏名】田中 昭吾
(72)【発明者】
【氏名】熊田 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】北澤 祐輔
【テーマコード(参考)】
3D202
3J057
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA08
3D202BB12
3D202BB16
3D202BB37
3D202BB65
3D202BB67
3D202CC02
3D202CC24
3D202CC35
3D202CC42
3D202CC84
3D202DD01
3D202DD05
3D202DD24
3D202DD26
3D202DD32
3D202DD33
3D202DD34
3D202DD39
3D202DD40
3D202DD41
3D202FF12
3D202FF13
3J057BB04
3J057GB13
3J057GB14
3J057GB19
3J057GE05
3J057HH02
3J057JJ01
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA00
5H125BD17
5H125BE05
5H125CA02
5H125CA09
5H125DD05
5H125EE42
(57)【要約】
【課題】エンジン始動に先立って動力断接装置がスリップ係合状態に切り替えられる場合に、動力断接装置が意に反してスリップしてショックが発生することを抑制しつつ制振制御を実行できるようにする。
【解決手段】エンジンの始動に際して動力断接装置である発進クラッチWSCがスリップ係合状態へ切り替えられる際に制振制御を行なう場合、制振トルクTdampの上限ガード値Ginc が零とされ(S4)、制振トルクTdampの負側の変化を許容しつつ正側の変化量を制限する制振トルク制限を伴って制振制御を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンおよび電動機を備えている動力源と、前記動力源と駆動輪との間の動力伝達経路を接続遮断するスリップ係合可能な動力断接装置と、を有する車両に関し、
前記エンジンを停止し前記電動機を用いて走行するモータ駆動走行モード時には前記動力断接装置をスリップすることなく係合させる完全係合状態とし、前記モータ駆動走行モード時に前記エンジンを始動する際には、該始動に先立って前記動力断接装置をスリップ係合状態とする係合制御部、を有する車両の制御装置において、
前記動力伝達経路の捩り振動が抑制されるように該捩り振動に対応して正側および負側に変化する制振トルクを前記電動機のトルクに加える制振制御を実行する制振制御部を有し、
前記制振制御部は、前記エンジンの始動に際して前記動力断接装置が前記スリップ係合状態へ切り替えられる際に前記制振制御を行なう場合、前記制振トルクの負側の変化を許容しつつ該制振トルクの正側の変化量を制限する制振トルク制限を実行する
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記係合制御部は、前記動力断接装置を前記完全係合状態から前記スリップ係合状態へ切り替える際に、前記動力断接装置の係合トルクを低下させて該動力断接装置にスリップを生じさせるもので、
前記制振制御部は、前記動力断接装置にスリップが生じるようになるまで前記制振トルク制限を実行し、該スリップが生じるようになったら前記制振制御そのものを終了する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記係合制御部は、前記動力断接装置の係合トルクを低下させた後に、該係合トルクの指令値を該動力断接装置の入力トルクと一致するように制御しつつ、該動力断接装置のスリップ量が予め定められた目標スリップ量になるように、前記電動機のトルクをフィードバック制御して前記スリップ係合状態とするもので、
前記制振制御部は、前記係合制御部によって前記フィードバック制御が開始されるまで前記制振トルク制限を実行し、前記フィードバック制御が開始されたら前記制振制御そのものを終了する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の制御装置に係り、特に、動力伝達経路の捩り振動を電動機のトルク制御で抑制する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(a) エンジンおよび電動機を備えている動力源と、前記動力源と駆動輪との間の動力伝達経路を接続遮断するスリップ係合可能な動力断接装置と、を有する車両に関し、(b) 前記エンジンを停止し前記電動機を用いて走行するモータ駆動走行モード時には前記動力断接装置をスリップすることなく係合させる完全係合状態とし、前記モータ駆動走行モード時に前記エンジンを始動する際には、その始動に先立って前記動力断接装置をスリップ係合状態とする係合制御部、を有する車両の制御装置が知られている。特許文献1、2に記載の装置はその一例であり、このようにエンジンの始動時に動力断接装置がスリップ係合状態とされることにより、エンジン始動時のトルク変動が動力伝達経路を経て駆動輪に伝達されて駆動力変動等のショックが生じることが抑制される。
【0003】
一方、特許文献3には、動力伝達経路の捩り振動が抑制されるように、その捩り振動に対応して正側および負側に変化する制振トルクを電動機のトルクに加える制振制御を実行する技術が提案されている。上記捩り振動は、例えばアクセルOFFの被駆動走行から運転者の加速要求に従って駆動走行へ移行するチップイン加速時など、駆動トルクの急な変化によって発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5884894号公報
【特許文献2】特許第5794377号公報
【特許文献3】特開2001-28809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1、2に記載されたハイブリッド方式の車両に対し、特許文献3等に記載の制振制御を適用し、動力源として用いられる電動機のトルク制御で捩り振動を抑制することが考えられる。その場合に、エンジン始動時に動力断接装置の係合トルクを低下させてスリップ係合状態に切り替える際に、動力断接装置がスリップ係合状態になれば、マスが減少して捩り振動が生じ難くなるため、制振制御は必ずしも必要ないが、スリップ係合状態にするために係合トルクを低下させる過程で動力断接装置のスリップが零の段階では捩り振動が問題になり、必要に応じて制振制御を行なうことが望ましい。しかしながら、係合トルクを低下させる過程で制振制御を行なうと、制振制御による電動機トルクの増減変化に起因して動力断接装置が意に反してスリップしてショックが発生する可能性がある。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、エンジン始動に先立って動力断接装置がスリップ係合状態に切り替えられる場合に、動力断接装置が意に反してスリップすることを抑制しつつ制振制御を実行できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) エンジンおよび電動機を備えている動力源と、前記動力源と駆動輪との間の動力伝達経路を接続遮断するスリップ係合可能な動力断接装置と、を有する車両に関し、(b) 前記エンジンを停止し前記電動機を用いて走行するモータ駆動走行モード時には前記動力断接装置をスリップすることなく係合させる完全係合状態とし、前記モータ駆動走行モード時に前記エンジンを始動する際には、その始動に先立って前記動力断接装置をスリップ係合状態とする係合制御部、を有する車両の制御装置において、(c) 前記動力伝達経路の捩り振動が抑制されるようにその捩り振動に対応して正側および負側に変化する制振トルクを前記電動機のトルクに加える制振制御を実行する制振制御部を有し、(d) 前記制振制御部は、前記エンジンの始動に際して前記動力断接装置が前記スリップ係合状態へ切り替えられる際に前記制振制御を行なう場合、前記制振トルクの負側の変化を許容しつつその制振トルクの正側の変化量を制限する制振トルク制限を実行することを特徴とする。
【0008】
第2発明は、第1発明の車両の制御装置において、(a) 前記係合制御部は、前記動力断接装置を前記完全係合状態から前記スリップ係合状態へ切り替える際に、前記動力断接装置の係合トルクを低下させてその動力断接装置にスリップを生じさせるもので、(b) 前記制振制御部は、前記動力断接装置にスリップが生じるようになるまで前記制振トルク制限を実行し、そのスリップが生じるようになったら前記制振制御そのものを終了することを特徴とする。
【0009】
第3発明は、第2発明の車両の制御装置において、(a) 前記係合制御部は、前記動力断接装置の係合トルクを低下させた後に、その係合トルクの指令値をその動力断接装置の入力トルクと一致するように制御しつつ、その動力断接装置のスリップが予め定められた目標スリップ量になるように、前記電動機のトルクをフィードバック制御して前記スリップ係合状態とするもので、(b) 前記制振制御部は、前記係合制御部によって前記フィードバック制御が開始されるまで前記制振トルク制限を実行し、前記フィードバック制御が開始されたら前記制振制御を終了することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような車両の制御装置によれば、エンジンの始動に先立って動力断接装置が完全係合状態からスリップ係合状態へ切り替えられる際には、制振トルクの負側の変化を許容しつつ制振トルクの正側の変化量を制限する制振トルク制限を伴って制振制御が行なわれる。このため、スリップ係合状態へ切り替えるための動力断接装置の係合トルクの低下に拘らず、制振制御による電動機トルクの増減変化に起因して動力断接装置が意に反してスリップすることが抑制される。すなわち、エンジンを始動する際のモータ駆動走行モード時には電動機は正の目標トルクで駆動されるため、その目標トルクに正の制振トルクが加えられると、周期的に大きな電動機トルクが動力断接装置に作用してスリップし易くなるのであり、制振トルクの正側の変化量を制限することによって動力断接装置のスリップを適切に抑制することができる。一方、制振トルクの負側の変化は許容されるため、その負側の制振トルクによって捩り振動が抑制される。
【0011】
第2発明、第3発明では、動力断接装置にスリップが生じるようになるまで制振トルク制限が実行され、スリップが生じるようになったら制振制御そのものが終了させられるため、動力断接装置のスリップ量が零の完全係合状態の間だけ制振トルク制限を行いつつ制振制御が実行され、動力断接装置の意図しないスリップを抑制しつつ捩り振動を抑制することができるとともに、スリップ係合状態における不要な制振制御の実行が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明が適用された制御装置を有する車両の概略構成を説明する図であると共に、各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。
図2図1の電子制御装置が機能的に備えている制振制御部が、エンジン始動に先立って発進クラッチWSCがスリップ係合状態に切り替えられる際に、制振トルクの正側の変化量を制限する作動を説明するフローチャートである。
図3】発進クラッチWSCがスリップ係合状態に切り替えられる際に、図2のフローチャートに従って制振制御が行なわれた場合の各部の作動状態の変化を説明するタイムチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、動力源としてエンジンおよび電動機を備えているとともに、少なくともエンジンを停止し電動機を用いて走行するモータ駆動走行モードが可能な種々のハイブリッド方式の車両に適用され得る。動力伝達経路を接続遮断する動力断接装置は、例えば動力源と駆動輪との間に自動変速機が設けられている場合には、その自動変速機と動力源との間に設けられた発進クラッチなどであるが、自動変速機に設けられたクラッチ等を利用することもできる。また、ロックアップクラッチ付きのトルクコンバータ等の流体式伝動装置を備えている場合、そのロックアップクラッチを動力断接装置として使用することもできる。
【0014】
制振制御部は、エンジン始動時に動力断接装置が完全係合状態からスリップ係合状態へ切り替えられる際に、例えば制振トルクの負側の変化はそのままで正側の変化量を零にするように構成されるが、正側の変化量を完全に零にする必要はなく、例えば予め定められた一定割合や一定値だけ小さくするだけでも良い。また、制振トルクの負側についても、必要に応じて正側よりも小さい範囲で変化量を制限することが可能である。
【実施例0015】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、動力源としてエンジン12及び電動機MGを備えているハイブリッド方式の電動車両である。車両10は、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路に設けられた動力伝達装置16と、を備えている。エンジン12は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の内燃機関であり、後述する電子制御装置90によって燃料噴射装置や点火装置等のエンジン制御装置50が制御されることにより、エンジン12の出力トルクであるエンジントルクTe が制御される。電動機MGは、電力から機械的な動力を発生させる発動機としての機能及び機械的な動力から電力を発生させる発電機としての機能を有する回転電気機械であって、所謂モータジェネレータであり、インバータ52を介してバッテリ54に接続されている。電動機MGは、電子制御装置90によってインバータ52が制御されることにより、電動機MGのトルクであるMGトルクTm が制御される。
【0016】
動力伝達装置16は、車体に取り付けられるケース18内において、断接クラッチK0、発進クラッチWSC、自動変速機20、減速ギヤ機構22、ディファレンシャルギヤ24等を備えている、所謂トランスアクスルである。動力伝達装置16は、ディファレンシャルギヤ24に連結された1対のドライブシャフト28等を備えている。又、動力伝達装置16は、ケース18内において、エンジン12と断接クラッチK0とを連結するエンジン連結軸30、断接クラッチK0と発進クラッチWSCとを連結する電動機連結軸32等を備えており、電動機MGは電動機連結軸32に動力伝達可能に連結されている。動力伝達装置16は、ケース18内において、機械式のオイルポンプである機械オイルポンプ34を備えており、スプロケット及びチェーン等の伝達部材36を介して電動機連結軸32に連結されて回転駆動されるようになっている。
【0017】
断接クラッチK0および発進クラッチWSCは、何れも、例えばアクチュエータにより押圧される多板式或いは単板式のクラッチにより構成される湿式又は乾式の摩擦係合装置である。断接クラッチK0は、油圧制御回路56から供給されるK0油圧PRk0により、トルク容量であるK0トルクTk0が変化させられることで、完全係合状態、スリップ係合状態、解放状態などの作動状態つまり制御状態が切り替えられる。発進クラッチWSCは、油圧制御回路56から供給されるWSC油圧PRwsc により、トルク容量であるWSCトルクTwsc が変化させられることで、完全係合状態、スリップ係合状態、解放状態などの作動状態が切り替えられる。完全係合状態は、スリップすなわち差回転を生じることなく係合している状態で、スリップ係合状態はスリップしつつ係合している状態である。断接クラッチK0は、エンジン12を電動機MGに対して接続したり遮断したりするスリップ係合可能なエンジン断接装置で、発進クラッチWSCは、動力源であるエンジン12および電動機MGと駆動輪14との間の動力伝達経路を接続したり遮断したりするスリップ係合可能な動力断接装置である。
【0018】
自動変速機20は、例えば不図示の1組又は複数組の遊星歯車装置と、係合装置CBと、を備えている、公知の遊星歯車式の自動変速機である。係合装置CBは、各々、油圧制御回路56から供給される調圧された油圧であるCB油圧PRcbによりそれぞれのトルク容量であるCBトルクTcbが変化させられることで、完全係合状態、スリップ係合状態、解放状態などの作動状態が切り替えられる。自動変速機20は、係合装置CBのうちの何れかの係合装置が係合されることによって、変速比γat(=AT入力回転速度Ni /AT出力回転速度No )が異なる複数のギヤ段のうちの何れかのギヤ段が形成される有段変速機である。AT入力回転速度Ni は、変速機入力軸38の回転速度であり、発進クラッチWSCの出力側部材の回転速度でもある。AT出力回転速度No は、変速機出力歯車26の回転速度である。
【0019】
機械オイルポンプ34は、動力源(エンジン12、電動機MG)により駆動されて作動油OIL を吐出する。車両10は、更に、電動式のオイルポンプである電動オイルポンプ58を備えている。電動オイルポンプ58は、専用のモータであるポンプ用モータ60により駆動されて作動油OIL を吐出する。機械オイルポンプ34や電動オイルポンプ58から吐出された作動油OIL は、油圧制御回路56へ供給され、電子制御装置90によって制御されるソレノイドバルブ等により調圧されて、前記K0油圧PRk0、WSC油圧PRwsc 、CB油圧PRcb等として出力される他、動力伝達装置16の各部の潤滑などにも用いられる。
【0020】
車両10は、車両10の制御装置を含むコントローラとしての電子制御装置90を備えている。電子制御装置90は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置90は、必要に応じてエンジン制御用、電動機制御用、油圧制御用等の各コンピュータを含んで構成される。
【0021】
電子制御装置90には、車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ70、MG回転速度センサ72、入力回転速度センサ74、出力回転速度センサ76、アクセル開度センサ78、スロットル弁開度センサ80、バッテリセンサ84、油温センサ86など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン12の回転速度であるエンジン回転速度Ne 、電動機MGの回転速度であって発進クラッチWSCの入力側部材の回転速度でもあるMG回転速度Nm 、AT入力回転速度Ni 、車速Vに対応するAT出力回転速度No 、運転者の加速要求の大きさを表すアクセル操作量であるアクセル開度θacc 、電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth、バッテリ54のバッテリ温度THbat やバッテリ充放電電流Ibat やバッテリ電圧Vbat 、油圧制御回路56内の作動油OIL の温度である油温THoil など)が、それぞれ供給される。MG回転速度Nm は発進クラッチWSCの入力側部材の回転速度と同じで、AT入力回転速度Ni は発進クラッチWSCの出力側部材の回転速度と同じであり、それ等の回転速度Nm およびNi から発進クラッチWSCの作動状態、すなわち完全係合状態かスリップ係合状態か解放状態かを判断できる。
【0022】
電子制御装置90からは、車両10に備えられた各装置等(例えばエンジン制御装置50、インバータ52、油圧制御回路56、ポンプ用モータ60など)に各種指令信号等(例えばエンジン12を制御する為のエンジン制御指令信号Se 、電動機MGを制御する為のMG制御指令信号Sm 、係合装置CBを制御する為のCB油圧制御指令信号Scb、断接クラッチK0を制御する為のK0油圧制御指令信号Sk0、発進クラッチWSCを制御する為のWSC油圧制御指令信号Swsc 、電動オイルポンプ58を制御する為の電動オイルポンプ制御指令信号Seop など)が、それぞれ出力される。
【0023】
電子制御装置90は、車両10における各種制御を実現する為に、動力源制御部92、WSC係合制御部96、および制振制御部98を機能的に備えている。
【0024】
動力源制御部92は、例えば駆動要求量マップにアクセル開度θacc 及び車速Vを適用することで、運転者による車両10に対する駆動要求量を算出する。駆動要求量マップは、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された、すなわち予め定められた、前記駆動要求量を求める為の関係である。駆動要求量は、例えば駆動輪14における要求駆動トルクTrdem[Nm]や要求駆動力Frdem[N]、要求駆動パワーPrdem[W]などである。動力源制御部92は、伝達損失、補機負荷、自動変速機20の変速比γat等を考慮して、要求駆動量を実現できる変速機入力軸38における要求入力トルクTidemを算出し、その要求入力トルクTidemが得られる目標エンジントルクTetgtおよび目標MGトルクTmtgtを求める。そして、その目標エンジントルクTetgtが出力されるようにエンジン12を制御するエンジン制御指令信号Se を出力するとともに、目標MGトルクTmtgtが出力されるように電動機MGを制御するMG制御指令信号Sm を出力する。
【0025】
動力源制御部92は、電動機MGの出力のみで要求駆動トルクTrdemを賄える場合には、車両10を駆動する駆動モードをBEV駆動モードとする。BEV駆動モードは、断接クラッチK0の解放状態において、電動機MGのみを動力源として用いて走行するモータ走行(=BEV走行)が可能なモータ駆動モードである。一方で、動力源制御部92は、エンジン12の出力を用いないと要求駆動トルクTrdemを賄えない場合には、駆動モードをHEV駆動モードとする。HEV駆動モードは、断接クラッチK0の係合状態において、少なくともエンジン12を動力源として用いて走行するエンジン走行つまりハイブリッド走行(=HEV走行)が可能なハイブリッド駆動モードである。他方で、動力源制御部92は、電動機MGの出力のみで要求駆動トルクTrdemを賄える場合であっても、バッテリ54の充電が必要な場合やエンジン12等の暖機が必要な場合などには、HEV駆動モードを成立させる。上記BEV駆動モードはモータ駆動走行モードに相当し、HEV駆動モードはエンジン駆動走行モードに相当する。
【0026】
動力源制御部92は、エンジン12の制御状態を停止状態から運転状態へ切り替えるエンジン始動要求の有無を判定する。例えば、BEV駆動モード時に、要求駆動トルクTrdemが電動機MGの出力のみで賄える範囲よりも増大したか否か、又は、エンジン12等の暖機が必要であるか否か、又は、バッテリ54の充電が必要であるか否かなどに基づいて、エンジン始動要求が有るか否かを判定する。言い換えれば、BEV駆動モードからHEV駆動モードに切り替える必要があるか否かを判断する。動力源制御部92は、機能的にエンジン始動制御部94を備えており、エンジン始動要求が有ると判定した場合には、そのエンジン始動制御部94によりエンジン12を始動する。
【0027】
エンジン始動制御部94は、例えばエンジン回転速度Ne を上昇させるためのクランキングトルクTcrをエンジン12側へ伝達する為のK0トルクTk0が得られるように、解放状態の断接クラッチK0をスリップ係合状態とする為のK0油圧制御指令信号Sk0を出力する。エンジン始動制御部94はまた、エンジン12の始動制御を実行するようにエンジン12及び電動機MGを制御する。例えば、断接クラッチK0のスリップ係合状態への切替えに合わせて、電動機MGがクランキングトルクTcrを出力する為のMG制御指令信号Sm を出力する。又、エンジン12のクランキングに連動して、燃料供給やエンジン点火などの始動処理を実行するエンジン制御指令信号Se を出力する。すなわち、エンジン始動制御部94は、断接クラッチK0をスリップ係合させるとともにMGトルクTm を増加させてエンジン回転速度Ne を上昇させた後に、点火等の始動処理を行なってエンジン12が自力回転するようにエンジン12を始動するエンジン始動制御を実行する。
【0028】
WSC係合制御部96は、車両10が停止した状態にあるときには、発進クラッチWSCを解放状態又はスリップ係合状態に維持するように制御する。車両停止状態において発進クラッチWSCがスリップ係合状態とされることによって、例えばアクセルオフのままでブレーキオフ操作が為されたときに、車両10がゆっくり動くクリープ現象を生じさせる所謂クリープ走行にて車両10を走行させることが可能である。又、車両10がBEV駆動モードやHEV駆動モードによる走行中には、発進クラッチWSCを完全係合状態に維持するように制御する。但し、低車速でのHEV駆動モードの走行中にAT入力回転速度Ni がエンジン12の運転可能回転速度を下回るなどの場合には、発進クラッチWSCをスリップ係合状態に制御する。
【0029】
WSC係合制御部96は、発進クラッチWSCが完全係合状態のBEV走行中に、前記エンジン始動制御部94によってエンジン始動制御が行なわれる場合には、そのエンジン始動制御に先立って発進クラッチWSCをスリップ係合状態に切り替える。発進クラッチWSCをスリップ係合状態にするスリップ制御は、発進クラッチWSCの係合トルク(WSCトルク)Twsc すなわちWSC油圧PRwsc を低下させて、その発進クラッチWSCの両側の回転速度であるMG回転速度Nm とAT入力回転速度Ni との間に差回転ΔNmi(=Nm -Ni )が生じることを可能にし、その差回転ΔNmiが予め定められた目標差回転ΔNtgt になるように電動機MGのトルクTm をフィードバック制御する。具体的には、MG回転速度Nm が、車速Vおよび自動変速機20のギヤ段に応じて定まるAT入力回転速度Ni に目標差回転ΔNtgt を加えた回転速度(Ni +ΔNtgt )になるように、MGトルクTm をフィードバック制御する。このように発進クラッチWSCがスリップ係合状態とされることで、エンジン12の始動時のトルク変動が動力伝達装置16から駆動輪14へ伝達されて駆動力変動等のショックが生じることが抑制される。上記差回転ΔNmiはスリップ量に相当し、目標差回転ΔNtgt は目標スリップ量に相当する。
【0030】
図3は、発進クラッチWSCを完全係合状態からスリップ係合状態に切り替えるスリップ制御が行なわれた時の各部の作動状態の変化を説明するタイムチャートの一例で、時間t1でスリップ制御が開始される。時間t1は、予め定められたスリップ制御開始条件を満たした時間で、この例ではエンジン12の始動要求が予想される場合を要求入力トルクTidemに基づいて判断する。具体的には、チップイン加速時に要求入力トルクTidemが予め定められた判定値を超えたか否かによって判断する。実際にエンジン始動要求があった場合にスリップ制御を開始しても良いなど、スリップ制御の開始条件は適宜定められる。そして、スリップ制御開始条件を満たすと、WSCトルクTwsc の指令値を予め定められたスリップ初期値Twsc1まで低下させるとともに、発進クラッチWSCの入力トルクに相当する要求入力トルクTidemがスリップ初期値Twsc1を超えたら、WSCトルクTwsc の指令値をその要求入力トルクTidemと一致するように制御する。この段階では、要求入力トルクTidemは目標MGトルクTmtgtと一致する。
【0031】
実際のWSCトルクTwsc (以下、実Twsc と言う。)は、指令値に対して所定の応答遅れを有する状態で変化させられ、その実Twsc が要求入力トルクTidemと略一致する時間t2になると、MGトルクTm のフィードバック制御で差回転ΔNmiが目標差回転ΔNtgt になるように制御することが可能になる。時間t2は、差回転ΔNmiが目標差回転ΔNtgt になるようにするMGトルクTm のフィードバック制御が開始された時間である。このフィードバック制御の開始タイミングは、例えば油圧センサによりWSC油圧PRwsc を検出して実Twsc (推定値)を求め、その実Twsc =Tidemになったか否かによって判断できる。図3の出力トルクTo は、本実施例のトランスアクスルの出力トルク、すなわち減速ギヤ機構22の出力トルクで、その出力トルクTo の欄のTo 指令値は前記要求駆動トルクTrdemに対応する。また、静的To 指令値はアクセル開度θacc に対応し、実To は実際の出力トルクTo である。
【0032】
制振制御部98は、加速時や回生ブレーキ抜き時、チップイン加速時、チップアウト時など、動力伝達経路である動力伝達装置16の例えばドライブシャフト28等で捩り振動が発生する可能性がある時に、その捩り振動を抑制する制振制御を実行する。この制振制御は、例えば予め定められた振動モデルを用いて捩り振動を予測し、その捩り振動が抑制されるように電動機MGのトルクTm を制御する。すなわち、動力伝達経路の捩り振動が抑制されるように、その捩り振動と逆位相で正側および負側に変化する制振トルクTdampを求め、その制振トルクTdampを前記目標MGトルクTmtgtに加えて補正したMGトルクTm(=Tmtgt+Tdamp)が出力されるように電動機MGを制御する。本実施例では制振トルクTdampの上限ガード値Ginc および下限ガード値Gdec が予め定められ、制振トルクTdampの変動がそれ等の上限ガード値Ginc および下限ガード値Gdec の範囲内に規制される。図3の上限ガード値Ginc および下限ガード値Gdec の間の斜線で示した範囲が制振トルクTdampの作動範囲で、通常の制振制御では時間t1以前に示されている基準値によって規制される。
【0033】
制振制御部98は、BEV駆動モードによる車両走行時にエンジン12を始動する際に、前記WSC係合制御部96により発進クラッチWSCが完全係合状態からスリップ係合状態に切り替えられる場合、図2のフローチャートのステップS1~S5(以下、ステップを省略して単にS1~S5と言う。)に従って信号処理を実行する。図2のフローチャートは、BEV駆動モードによる走行時に、制振制御部98が制振制御を実行すべき判断が為された場合に実行される。図2において菱形で示した判断ステップのYESは肯定を意味し、NOは否定を意味する。
【0034】
図2のS1では、WSCスリップ制御が作動中か否か、すなわち発進クラッチWSCを完全係合状態からスリップ係合状態へ切り替える切替過渡時を含めて、発進クラッチWSCをスリップ係合状態にするスリップ制御が作動中か否かを判断する。したがって、エンジン12の始動が予想される場合や始動要求があった場合に、WSC係合制御部96により発進クラッチWSCのスリップ制御が行なわれると、S1の判断はYESになる。そして、S1の判断がYESの場合はS2以下を実行し、NOの場合すなわち発進クラッチWSCが完全係合状態のままの場合は、S5で通常の制振制御を実行する。通常の制振制御は、図3の時間t1以前の上限ガード値Ginc および下限ガード値Gdec の範囲内で制振トルクTdampの作動範囲を規制しつつ、その制振トルクTdampを目標MGトルクTmtgtに加えてMGトルクTm を制御する。
【0035】
S2では、発進クラッチWSCの差回転ΔNmi(=Nm -Ni )が目標差回転ΔNtgt になるようにするMGトルクTm のフィードバック(F/B)制御が作動中か否かを判断する。そして、フィードバック制御が作動中であれば、S3を実行して制振制御を終了する。すなわち、発進クラッチWSCが所定の差回転ΔNmiを有するスリップ係合状態になれば、マスが減少して捩り振動が生じ難くなるため、制振制御を行なう必要はない。
【0036】
一方、MGトルクTm のフィードバック制御が作動中でない場合は、発進クラッチWSCの差回転ΔNmi(=Nm -Ni )が零、すなわちNm =Ni であり、発進クラッチWSCが未だ完全係合状態であるため、S4を実行して制振トルクTdampの上限ガード値Ginc を制限しつつ制振制御を実行する。発進クラッチWSCが完全係合状態の場合は捩り振動が問題になるため、制振制御を実行することが望ましいが、スリップ係合状態に切り替えるためにWSC油圧PRwsc が低下させられ、それに伴ってWSCトルクTwsc が低下させられると、制振制御によるMGトルクTm の増減変化に起因して発進クラッチWSCが意に反してスリップする可能性がある。このスリップは、主にMGトルクTm を増大させる側の変化時に生じるため、制振トルクTdampの上下変動のうち、正側の変化量を規制する上限ガード値Ginc を通常よりも制限し、本実施例では正側の変化量が零になるように上限ガード値Ginc =0にする。制振トルクTdampの上下変動のうち、負側の変化を規制する下限ガード値Gdec については、捩り振動を抑制する上で通常の値に保持することが望ましい。このS4は制振トルク制限を実行するステップである。
【0037】
図3のタイムチャートは、エンジン始動に先立って発進クラッチWSCがスリップ係合状態に切り替えられる際に、図2のフローチャートに従って制振制御が行なわれた場合を説明する図である。図3では、発進クラッチWSCのスリップ制御が開始される時間t1よりも前の段階から制振制御が実行されており、時間t1以前はS1に続いてS5が実行されて、上限ガード値Ginc および下限ガード値Gdec の間の斜線で示した範囲内で制振トルクTdampが上下変化させられることにより、通常の制振制御が行なわれる。時間t1以前の上限ガード値Ginc および下限ガード値Gdec は何れも基準値であり、正側および負側に制振トルクTdampの変化量が十分に確保されており、その制振トルクTdampに基づいて制振制御が適切に行なわれる。
【0038】
時間t1でスリップ制御が開始されると、図2のS1に続いてS2、S4が実行されるようになり、制振トルクTdampの上限ガード値Ginc が零にされる。これにより、制振トルクTdampの負側の変化のみが有効となり、この制振トルクTdampに基づいてMGトルクTm が増減させられることにより、発進クラッチWSCの意に反したスリップを抑制しつつ捩り振動を抑制することができる。下限ガード値Gdec は基準値のままでも良いが、図3では基準値よりも僅かに小さくされている。また、時間t2で、発進クラッチWSCの差回転ΔNmiが目標差回転ΔNtgt になるようにするMGトルクTm のフィードバック制御が開始されると、図2のS1、S2に続いてS3が実行され、制振制御が終了させられる。そして、例えば発進クラッチWSCの差回転ΔNmiが目標差回転ΔNtgt になる時間t3以後にエンジン12の始動制御が開始される。なお、制振制御が終了しても、制振トルクTdampの上限ガード値Ginc および下限ガード値Gdec はそのまま維持される。
【0039】
このように本実施例の車両10の電子制御装置90によれば、モータ駆動走行モードであるBEV駆動モードでの車両走行中にエンジン12が始動させられる場合、そのエンジン12の始動に先立って発進クラッチWSCが完全係合状態からスリップ係合状態へ切り替えられる。その場合に、スリップ係合状態へ切り替えるためのスリップ制御が開始されると、S4で制振トルクTdampの上限ガード値Ginc が零とされ、負側の変化を許容しつつ正側の変化量を制限する制振トルク制限を伴って制振制御が行なわれる。このため、スリップ制御によるWSCトルクTwsc (実Twsc )の低下に拘らず、制振制御によるMGトルクTm の増減変化に起因して発進クラッチWSCが意に反してスリップすることが抑制される。すなわち、エンジン12を始動する際のBEV駆動モード時には電動機MGは正の目標MGトルクTmtgtで駆動されるため、その目標MGトルクTmtgtに正の制振トルクTdampが加えられると、周期的に大きなMGトルクTm が発進クラッチWSCに作用してスリップし易くなるのであり、制振トルクTdampの正側の変化量を制限することによって発進クラッチWSCのスリップを適切に抑制することができる。一方、下限ガード値Gdec は略基準値のままであり、制振トルクTdampの負側の変化は許容されるため、その負側の制振トルクTdampによって捩り振動が抑制される。
【0040】
また、発進クラッチWSCを目標差回転ΔNtgt でスリップさせるようにMGトルクTm がフィードバック制御されるようになるまで、言い換えれば発進クラッチWSCにスリップが生じるようになるまで、S4の制振トルク制限が実行され、スリップが生じるようになったらS3で制振制御そのものが終了させられる。このため、発進クラッチWSCの差回転ΔNmiが零の完全係合状態の間だけ制振トルク制限を行いつつ制振制御が実行され、発進クラッチWSCの意図しないスリップを抑制しつつ捩り振動を抑制することができるとともに、差回転ΔNmiが生じるスリップ係合状態における不要な制振制御の実行が防止される。
【0041】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
10:車両 12:エンジン 14:駆動輪 16:動力伝達装置(動力伝達経路) 90:電子制御装置(制御装置) 96:WSC係合制御部(係合制御部) 98:制振制御部 MG:電動機 WSC:発進クラッチ(動力断接装置) ΔNmi:差回転(スリップ量) ΔNtgt :目標差回転(目標スリップ量) Tidem:要求入力トルク(入力トルク) Twsc :WSCトルク(係合トルク) Tdamp:制振トルク Ginc :上限ガード値(正側ガード値) Gdec :下限ガード値(負側ガード値)
図1
図2
図3