(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051183
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】調理用ろうそく
(51)【国際特許分類】
C11C 5/00 20060101AFI20240404BHJP
F24B 1/182 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
C11C5/00 E
F24B1/182
C11C5/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157197
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】522386769
【氏名又は名称】小玉 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100145425
【弁理士】
【氏名又は名称】大平 和由
(72)【発明者】
【氏名】小玉 真由美
【テーマコード(参考)】
4H059
【Fターム(参考)】
4H059BC01
4H059DA18
4H059DA19
4H059DA28
(57)【要約】
【課題】災害時やキャンプ地での簡易な熱源として使用でき、保管時、運搬時の安全性と使用時の作業性に優れた調理用ろうそくを提供する。
【解決手段】調理用ろうそく1は、蝋本体1aと蝋本体1aに配設された3つの点火用の芯1b~1dとを具備し、蝋本体1aは金属製の容器1eに格納され、容器1eは上面の開いた円筒形状であって、3つの点火用の芯1b~1dは、上部から見て正三角形状に配置され、芯1b~1dは各々芯取付け用の座金1f及び接着用シール1gを介して容器1eの底面に取り付けられ、芯1b~1dの材質としては、綿糸、和紙、木芯が用いられる。調理用ろうそく1を調理台2に設置した飯ごう3の下部に設置して芯1b~1dに点火することで、炊飯を行うことができ、この調理用ろうそく1の有する火力で1合の白米の炊飯を約30分で行うことができ、飯ごう3の代わりに不図示の鍋を調理台2に設置して味噌汁等を作ることもできる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蝋本体と、
該蝋本体に配設された複数の点火用の芯と、を具備する、
ことを特徴とする調理用ろうそく。
【請求項2】
上記蝋本体は容器に格納されており、該容器の形状は上面の開いた円筒状または角柱状であることを特徴とする、請求項1に記載の調理用ろうそく。
【請求項3】
上記複数の点火用の芯は、上部から見て多角形状に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の調理用ろうそく。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理用ろうそくに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、災害発生時用の防災グッズや非常用食料の備蓄への関心が高まっている。
【0003】
災害発生時の食料については調理の不要なものもあるが、温かい食事が提供されることは、肉体的、精神的に被災者の健康を保つ上で強く求められることである。そこで、平時から災害時に備えておく防災グッズとして、調理用の熱源をできれば加えておきたいところである。
また、平時におけるキャンプなどのレジャー用としても調理用の熱源は欠かせないアイテムの一つとされている。
【0004】
上記のニーズに対応可能な調理用の熱源として現在一般的に採用されているのは、ガスボンベ、アルコールランプ、あるいは小枝等を使用した焚火用の装置といったものがある。調理用の熱源として求められるのは、保管時、運搬時の安全性や容易性と、実際に現場で使用する際の作業性と熱源としての十分な性能といったところである。
特許文献1には、アルコールランプによる調理用器具の技術が開示されている。
特許文献2には、長時間燃焼用ろうそくの技術が開示されている。
特許文献3には、複合芯ろうそくの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59-031331号公報
【特許文献2】実開昭59-080440号公報
【特許文献3】実開平01-177255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、熱源としてアルコールランプを用いており、保管時、運搬時の容易性において問題があると考えられる。
特許文献2の技術は、ろうそくの使用目的が異なり、照明用としてのろうそくの燃焼時間を長期化させる技術についての考案である。
特許文献3の技術も、照明用としてのろうそくの屋外における安定的に燃焼させる技術についての考案である。
いずれの技術も上記の調理用の熱源として求められる性能を十分に満たして、災害時やキャンプ地での簡易な熱源として用いられることが可能な調理用装置を提供するものではない。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑み、災害時の簡易な熱源として使用することや、キャンプ地での簡易な熱源として使用することが可能な調理用ろうそくを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、蝋本体と、蝋本体に配設された複数の点火用の芯とを具備することを特徴とする。
請求項2の発明は、さらに、蝋本体は容器に格納されており、容器の形状は上面の開いた円筒状または角柱状であることを特徴とする。
請求項3の発明は、さらに、複数の点火用の芯は、上部から見て多角形状に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、災害時の簡易な熱源として、また、キャンプ地での簡易な熱源として使用することが可能な調理用ろうそくが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の調理用ろうそくによる調理の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の調理用ろうそくの実施形態について図を用いて説明する。まず、本実施形態の構成について説明する。
図1、
図2に示すように、本実施形態の調理用ろうそく1は、蝋本体1aと蝋本体1aに配設された3つの点火用の芯1b~1dとを具備している。また、蝋本体1aは金属製の容器1eに格納されており、容器1eは上面の開いた円筒形状である。さらに、3つの点火用の芯1b~1dは、上部から見て正三角形状に配置されている。
【0012】
本実施形態では蝋本体1aは金属製の容器1eに格納されているが、容器1eは陶磁器製のものであってもよい。また、容器1eの形状は上面の開いた円筒形状であるが、同様の角柱形状であってもよい。また、点火用の芯1b~1dは容器1eの中心を同心として正三角形状に配置されているが、芯の数は3つでなく1つ以上の任意の数であってもよい。さらに、複数の芯の配置は間隔が十分であればよく、正多角形状でなくてもよい。
【0013】
点火用の芯1b~1dとしては、綿糸、和紙、木芯が材質として用いられる。これらは芯自体が燃焼する燃焼芯である。
本実施形態では芯1b~1dは各々芯取付け用の座金1f及び接着用シール1gを介して容器1eの底面に取り付けられている。芯1b~1dは必ずしも本実施形態の取り付け方法によって容器1eに取り付けられなくてもよい。
【0014】
次に、本実施形態の機能について説明する。
図1に示すように、調理用ろうそく1を調理台2に設置した飯ごう3の下部に設置して芯1b~1dに点火することで、炊飯が行える。また、飯ごう3の代わりに不図示の鍋を調理台2に設置して味噌汁等を作ることができる。調理用ろうそく1や調理台2を複数用意すれば同時に多くの調理を行うことも可能になる。
この調理用ろうそく1は意外なほどの火力を有しており、例えば本実施形態の調理用ろうそく1で1合の白米の炊飯を約30分で行うことができる。
【0015】
本実施形態の調理用ろうそく1の形状は、
図2に示すように、平たい円筒形状の容器1eに格納された円筒形状のろうそくとなっている。これにより、飯ごう3の下部に設置し易く、かつ、長時間の燃焼を可能としたものである。
【0016】
本実施形態では、火力を増大させるために点火用の芯の数を3つとしているが、容器1eの大きさを増して芯同士の間隔を確保した上で芯の数をさらに増やした調理用ろうそくとしてもよい。本実施形態においても調理目的に合わせて点火する芯の数を調整することで強火にしたり弱火にしたりすることが可能となる。
本実施形態のように複数の芯1b~1dを備える構成としたのは上記火力調整を可能にするという観点から発想したものである。
【0017】
次に、本実施形態の効果について説明する。
災害発生時において、非常食はあっても調理器具が手に入らず温かい料理が口にできない、という状況は被災者の健康を維持するうえで大きな障害となる。
本実施形態の調理用ろうそく1が防災用品として用意されていれば、ライターで点火するだけで調理用の熱源が確保できる。電気、ガス等のインフラが失なわれた状況で、熱源を得ようとすると、焚火やガスボンベの使用といった方式が通常考えられるが、焚火は燃やすものの確保が困難な状況が考えられ、水害その他の場合等は火をおこすこと自体が困難となる場合もある。ガスボンベについても対応する機器が揃っていないとそれだけで火力を得ることはできず、混乱した災害現場において、特に災害発生初期段階から十分に効力を発揮することは困難と思われる。
【0018】
これら他の手段に比較して、調理用ろうそく1は多くの点で優位性を有している。まず、ライター1つあればよいので火を起こすのが簡単である。また、ろうそくは湿っていたとしてもある程度乾燥させれば使えるようになる。さらに、ガスボンベのように専用の対応機器がなくても単独で火力を得ることができ、比較的に場所を取らないため多くを保管しておくことができる。誰が使っても安全で、ガスボンベのように取り扱いに注意が必要とされるようなこともない。
【0019】
以上説明したように、災害発生時の調理用熱源として本実施形態は非常に有用なものである。
これとは別に、平時のレジャー用としても本実施形態は大いに効果を発揮する。
キャンプ地などで焚火が出来ない場合などは、ガスボンベとの比較になるが、本実施形態の場合、ガスボンベのように他の対応機器を必要としないのでかさばらず、持ち運びの上で便利である。問題は火力が弱い点であるが、上述したように、芯の数を増やした調理用ろうそくを使用するか、さらに、複数の調理用ろうそくを使用することである程度欠点を補える場合があると思われる。
【符号の説明】
【0020】
1 調理用ろうそく
1a 蝋本体
1b、1c、1d 芯
1e 容器
1f 座金
1g シール
2 調理台
3 飯ごう