(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051189
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】荷役車両
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B66F9/24 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157216
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 将崇
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333DB05
3F333DB10
3F333FD11
3F333FE05
3F333FG05
(57)【要約】
【課題】前方支援のための障害物を検出する障害物検出センサへの異物の付着を抑制できる荷役車両の提供にある。
【解決手段】車体と、車体の前部に備えられる荷役装置と、荷役装置に設けられ、車体の前方の障害物を検出する障害物検出センサ35と、を有し、荷役装置は、マストと、マストに対して昇降可能なリフトブラケット21と、リフトブラケット21に備えられたアタッチメントと、を備える荷役車両であって、障害物検出センサ35は、マストに備えられ、障害物検出センサ35を覆う開閉カバー40が設けられ、開閉カバー40は、前方支援を必要とするとき、障害物検出センサ35を開放し、前方支援を必要としないとき、障害物検出センサ35を覆う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体の前部に備えられる荷役装置と、
前記荷役装置に設けられ、前記車体の前方の障害物を検出する障害物検出センサと、を有し、
前記荷役装置は、マストと、前記マストに対して昇降可能なリフトブラケットと、前記リフトブラケットに備えられたアタッチメントと、を備える荷役車両であって、
前記障害物検出センサは、前記マストに備えられ、
前記障害物検出センサを覆う開閉カバーが設けられ、
前記開閉カバーは、前方支援を必要とするとき、前記障害物検出センサを開放し、前方支援を必要としないとき、前記障害物検出センサを覆うことを特徴とする荷役車両。
【請求項2】
前記開閉カバーは、前記リフトブラケットに設けられ、前記リフトブラケットの下降位置にて前記障害物検出センサを覆い、前記リフトブラケットの上昇により前記障害物検出センサを開放することを特徴とする請求項1記載の荷役車両。
【請求項3】
前記開閉カバーは、
前記障害物検出センサの前方に配置される前部カバー部と、
前記障害物検出センサの上方に配置される上部カバー部と、を有することを特徴とする請求項1又は2記載の荷役車両。
【請求項4】
前記開閉カバーを開閉するアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する制御装置と、
前記制御装置と接続され、前記開閉カバーを前記障害物検出センサから開放するための信号を発信する信号発信器と、を備え、
前記制御装置は、前記信号を受信するとき、前記開閉カバーを前記障害物検出センサから開放するように前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1記載の荷役車両。
【請求項5】
前記信号発信器は、前記リフトブラケットの揚高を検出する揚高センサであり、前記揚高センサが検出する揚高が予め設定した閾値を超えたとき、前記信号を発信することを特徴とする請求項4記載の荷役車両。
【請求項6】
前記信号発信器は、オペレータにより操作可能な操作ボタンであり、前記操作ボタンが操作されたとき、前記信号を発信することを特徴とする請求項4記載の荷役車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
荷役車両の従来技術としては、例えば、特許文献1に開示された自動運転フォークリフトが知られている。特許文献1に開示された自動運転フォークリフトの前下端には、障害物検出装置が設けられている。障害物検出装置は、レーザー光を用いて2次元平面状の検出領域を有し、検出領域内の物体を検出可能である。障害物検出装置は、平面状の検出領域を有し、検出領域内に存在する物体を障害物として検出し、検出信号を制御装置に出力する。検出領域は、自動運転フォークリフトから遠い側が減速領域に設定され、自動運転フォークリフトに近い側が停止領域に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された自動運転フォークリフトでは、障害物検出装置に雨滴や泥等の付着物が生じると、障害物検出装置が付着物を障害物として誤認識するおそれがあるという問題がある。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、前方支援のための障害物を検出する障害物検出センサへの異物の付着を抑制できる荷役車両の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、車体と、前記車体の前部に備えられる荷役装置と、前記荷役装置に設けられ、前記車体の前方の障害物を検出する障害物検出センサと、を有し、前記荷役装置は、マストと、前記マストに対して昇降可能なリフトブラケットと、前記リフトブラケットに備えられたアタッチメントと、を備える荷役車両であって、 前記障害物検出センサは、前記マストに備えられ、前記障害物検出センサを覆う開閉カバーが設けられ、前記開閉カバーは、前方支援を必要とするとき、前記障害物検出センサを開放し、前方支援を必要としないとき、前記障害物検出センサを覆うことを特徴とする。
【0007】
本発明では、障害物検出センサは、マストに備えられ、障害物検出センサを覆う開閉カバーが設けられている。開閉カバーは、前方支援を必要とするとき、障害物検出センサを開放し、前方支援を必要としないとき、障害物検出センサを覆う。このため、前方支援を必要とする場合を除き、カバーが障害物検出センサを覆うことで雨滴や泥等の異物の障害物検出センサへの付着を抑制することができる。
【0008】
また、上記の荷役車両において、前記開閉カバーは、前記リフトブラケットに設けられ、前記リフトブラケットの下降位置にて前記障害物検出センサを覆い、前記リフトブラケットの上昇により前記障害物検出センサを開放する構成としてもよい。
この場合、開閉カバーがリフトブラケットに設けられているので、前方支援を必要としないリフトブラケットが下降した下降位置では、開閉カバーが障害物検出センサを覆う。リフトブラケットが上昇して前方支援を必要とするとき、リフトブラケットと共に開閉カバーが上昇することで、障害物検出センサは車体の前方の障害物を検出できる。
【0009】
また、上記の荷役車両において、前記開閉カバーは、前記障害物検出センサの前方に配置される前部カバー部と、前記障害物検出センサの上方に配置される上部カバー部と、を有する構成としてもよい。
この場合、前部カバー部が障害物検出センサの前方に配置され、上部カバー部が障害物検出センサの上方に配置される。このため、走行時に前方から飛来する泥等の異物の障害物検出センサへの付着を抑制できるほか、上方から落下する雨水等の異物の障害物検出センサへの付着を抑制できる。
【0010】
また、上記の荷役車両において、前記開閉カバーを開閉するアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御装置と、前記制御装置と接続され、前記開閉カバーを前記障害物検出センサから開放するための信号を発信する信号発信器と、を備え、前記制御装置は、前記信号を受信するとき、前記開閉カバーを前記障害物検出センサから開放するように前記アクチュエータを制御する構成としてもよい。
この場合、アクチュエータは、開閉カバーを開閉するが、前方支援のために信号発信器から信号が発信されると、制御装置は、アクチュエータを制御して、開閉カバーを開放する。その結果、信号発信器の信号によって開閉カバーを障害物検出センサから開放することができる。
【0011】
また、上記の荷役車両において、前記信号発信器は、前記リフトブラケットの揚高を検出する揚高センサであり、前記揚高センサが検出する揚高が予め設定した閾値を超えたとき、前記信号を発信する構成としてもよい。
この場合、揚高センサが検出する揚高が予め設定した閾値を超えたとき、揚高センサは信号を発信する。このため、リフトブラケットの揚高によって開閉カバーを障害物検出センサから開放することができる。
【0012】
また、上記の荷役車両において、前記信号発信器は、オペレータにより操作可能な操作ボタンであり、前記操作ボタンが操作されたとき、前記信号を発信する構成としてもよい。
この場合、オペレータにより操作ボタンが操作されると、操作ボタンは信号を発信する。このため、オペレータによる操作ボタンの操作によって開閉カバーを障害物検出センサから開放することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、前方支援のための障害物を検出する障害物検出センサへの異物の付着を抑制できる荷役車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態に係るフォークリフトの斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係るフォークリフトの要部の斜視図である。
【
図3】第1の実施形態に係るフォークリフトの概略構成図である。
【
図4】(a)は前方支援を必要とする場合の開閉カバーを示す図であり、(b)は前方支援を必要としない場合の開閉カバーを示す図である。
【
図5】(a)は第2の実施形態に係るフォークリフトの前方支援を必要とする場合の開閉カバーを示す図であり、(b)は前方支援を必要としない場合の開閉カバーを示す図である。
【
図6】第2の実施形態に係るフォークリフトの概略構成図である。
【
図7】第3の実施形態に係るフォークリフトの概略構成図である。
【
図8】第4の実施形態に係るフォークリフトの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る荷役車両としてのフォークリフトについて図面を参照して説明する。なお、方向を特定する「前後」、「左右」および「上下」については、フォークリフトのオペレータが運転席の運転シートに着座して、フォークリフトの前進側を向いた状態を基準として示す。
【0016】
図1に示すように、フォークリフト10は、車体11の前部に荷役装置12を備えている。車体11の中央付近には運転席13が設けられている。車体11の前部には前輪としての駆動輪14が設けられ、車体11の後部には後輪としての操舵輪15が設けられている。車体11の後部にはカウンタウエイト16が備えられており、カウンタウエイト16は車両重量の調整と車体11における重量バランスを図るためのものである。本実施形態のフォークリフト10はエンジンフォークリフトである。なお、
図1では、説明の便宜上、荷役装置12に支持されている荷の図示を省略している。
【0017】
車体11には、運転席13の上部を覆うヘッドガード17が設けられている。車体11と荷役装置12との間には、作動油により作動するティルトシリンダ(図示せず)が設置されている。荷役装置12はティルトシリンダの作動により荷役装置12の下端部を支点として前後方向に傾動する。
【0018】
図1、
図2に示すように、荷役装置12は、左右一対のアウタマスト18を有している。左右一対のアウタマスト18には、アウタマスト18の内側にて昇降可能な左右一対のインナマスト19が備えられている。インナマスト19には、インナマスト19に沿って昇降するリフトブラケット21が備えられている。
【0019】
アウタマスト18の上端は、アウタアッパービーム22によって連結されている(
図1を参照)。アウタマスト18の下部はアウタロアビーム23によって連結されている(
図1、
図2を参照)。アウタマスト18、アウタアッパービーム22およびアウタロアビーム23は、マストを構成する。アウタロアビーム23の上方には、アウタマスト18を連結するアウタミドルビーム24が備えられている。アウタマスト18の下部後面には、マストサポート部材25が取り付けられている。マストサポート部材25は、車体11のフロントアクスル(図示せず)のマスト支持面に支持される。インナマスト19の上端はインナアッパービーム26によって連結されている(
図1を参照)。インナマスト19の下部は、インナロアビーム(図示せず)によって連結されている。
【0020】
リフトブラケット21は、各種アタッチメントの着脱を可能とする。リフトブラケット21は、上下一対のフィンガーバー28、29と、上下一対のフィンガーバー28、29の両端部をそれぞれ連結する連結部材30を備えている。上側のフィンガーバー28はアッパーフィンガーバーであり、下側のフィンガーバー29はロアフィンガーバーである。フィンガーバー28、29は左右一対のフォーク31をそれぞれ係止する部材である。
【0021】
リフトブラケット21には、左右一対のフォーク31と、バックレスト32が備えられている。左右のフォーク31は荷を掬い上げて支持する。バックレスト32は、左右一対のフォーク31が支持する荷の後面を支持する。
【0022】
アウタマスト18のアウタロアビーム23には、作動油の給排により作動する一対のリフトシリンダ33が立設されている。リフトシリンダ33は、シリンダ本体34とシリンダ本体34に対して伸縮するロッド(図示せず)を備えている。ロッドの上端はインナマスト19のインナアッパービーム26に取り付けられている。リフトシリンダ33のロッドが上昇することで、インナマスト19がアウタマスト18に対して上昇し、リフトブラケット21がインナマスト19に対して上昇する。
【0023】
ところで、本実施形態では、アウタマスト18のアウタロアビーム23にフォークリフト10の前方の障害物を検出するための障害物検出センサ35が設けられている。つまり、障害物検出センサ35はマストに備えられている。本実施形態の障害物検出センサ35は、レーザーレンジファインダ(LRF:光波測距儀)である。障害物検出センサ35は、レーザーを周辺に照射し、レーザーが当たった部分から反射された反射光を受信することで距離を測定する距離計であり、フォークリフト10の前方に存在する物体の形状に関する情報を周囲物体として取得することができる。
【0024】
本実施形態では、水平方向への照射角度を変更しながらレーザーを照射する二次元のレーザーレンジファインダが用いられている。障害物検出センサ35は、フォークリフト10の正面に固定されており、水平方向においてレーザー光をスキャンして、物体に対し方向と距離を点群として検知することができる。
図1に示すように、障害物検出センサ35の検出対象範囲Eが設定されている。
【0025】
図3に示すように、フォークリフト10の車体11には、制御装置36が搭載されている。制御装置36はフォークリフト10の各部を制御する。制御装置36には、CPU37と、RAMおよびROM等からなる記憶部38と、が備えられている。制御装置36には、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)が備えられていてもよい。制御装置36は、コンピュータプログラムにしたがって動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。記憶部38は、処理をCPU37に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部38には、フォークリフト10の各部を制御するための種々のプログラムが記憶されている。
【0026】
本実施形態では、制御装置36と接続された警告器39を備えている。警告器39は、例えば、警告表示が可能な表示モニターであり、警告音を発する警告ブザーでもよい。警告器39は、制御装置36により制御される。障害物検出センサ35がフォークリフト10の前方に障害物を検出したとき、警告器39は制御装置36の制御を受けて警告を出す。
【0027】
ところで、本実施形態では、障害物検出センサ35を覆う開閉カバー40が設けられている。開閉カバー40は、フォークリフト10の前方支援を必要とするとき、障害物検出センサ35を開放し、前方支援を必要としないとき、障害物検出センサ35を覆うために設けられている。開閉カバー40は、リフトブラケット21に設けられており、リフトブラケット21の下降位置にて障害物検出センサ35を覆い、リフトブラケット21の上昇により障害物検出センサ35を開放する。
【0028】
開閉カバー40は、障害物検出センサ35の前方に配置される前部カバー部41と、障害物検出センサ35の上方に配置される上部カバー部42と、障害物検出センサ35の側方に配置される側部カバー部43と、を有する。リフトブラケット21が下降位置に下降された状態では、前部カバー部41が障害物検出センサ35の前方に位置し、上部カバー部42は障害物検出センサ35の上部に接近し、側部カバー部43は障害物検出センサ35の両側に位置する。したがって、リフトブラケット21の下降位置では、障害物検出センサ35の後方を除き、開閉カバー40は障害物検出センサ35の前部、上部および左右の側部を覆う。
【0029】
開閉カバー40は、リフトブラケット21の上昇に伴って上昇する。リフトブラケット21の上昇により開閉カバー40が障害物検出センサ35を開放する高さまで上昇することで、障害物検出センサ35のレーザーは、開閉カバー40に遮られることなく走査可能となる。本実施形態では、フォーク31の地上高が50cm以上のとき、開閉カバー40は、障害物検出センサ35を開放する。開閉カバー40は、フォークリフト10の前方支援を必要とするとき、障害物検出センサ35を開放し、前方支援を必要としないとき、障害物検出センサ35を覆う。
【0030】
次に、本実施形態のフォークリフト10の作用を説明する。フォークリフト10が荷役作業を行う場合、荷がフォーク31によって荷を掬い上げられて支持される。フォーク31が荷を支持した状態で、フォークリフト10が走行する場合、荷の大きさによっては、フォークリフト10のオペレータの視野が遮られ、例えば、フォークリフト10の前方の状態が目視で十分に確認できないことがある。
【0031】
図4(a)に示すように、本実施形態では、フォーク31の地上高が50cm以上の状態で、フォークリフト10が走行する場合、開閉カバー40が障害物検出センサ35を開放している状態であり、障害物検出センサ35はレーザーを走査する。障害物検出センサ35の検出対象範囲Eにおいて障害物が検出されたとき、制御装置36は警告器39を作動させて警告を発する。フォークリフト10のオペレータは警告器39の警告によって、フォークリフト10の前方に障害物が存在することを認識することができる。
【0032】
次に、フォーク31が荷を支持しない状態の場合について説明する。
図4(b)に示すように、フォーク31が荷を支持しない状態では、リフトブラケット21を下降位置まで下降させておく。リフトブラケット21の下降位置では、開閉カバー40が障害物検出センサ35の前部、上部および左右の側部を覆う。このため、障害物検出センサ35への雨滴や泥水等の異物の付着が抑制される。なお、
図4(a)、
図4(b)では、説明の便宜上、開閉カバー40の一部を破断しているので、右側の側部カバー部43が示されるが左側の側部カバー部43は図示されない。
【0033】
リフトブラケット21が下降位置まで下降した状態でフォークリフト10が走行しても、開閉カバー40の前部カバー部41が障害物検出センサ35の前方に位置することで、障害物検出センサ35の前部は前方から飛来する泥等の異物から保護される。また、開閉カバー40の上部カバー部42は、降雨時の雨滴の障害物検出センサ35への付着を抑制する。なお、リフトブラケット21の下降位置では、フォーク31は路面Gから離れているが、さらにリフトブラケット21を下降させることでフォーク31を接地させることができる。
【0034】
本実施形態のフォークリフト10は、以下の効果を奏する。
(1)障害物検出センサ35は、マストに備えられ、障害物検出センサ35を覆う開閉カバー40が設けられている。開閉カバー40は、前方支援を必要とするとき、障害物検出センサ35を開放し、前方支援を必要としないとき、障害物検出センサ35を覆う。このため、前方支援を必要とする場合を除き、開閉カバー40が障害物検出センサ35を覆うことで雨滴や泥等の異物の障害物検出センサ35への付着を抑制することができる。
【0035】
(2)開閉カバー40がリフトブラケット21に設けられているので、リフトブラケット21が下降した下降位置では、開閉カバー40が障害物検出センサ35を覆う。リフトブラケット21が上昇して前方支援を必要とするとき、リフトブラケット21と共に開閉カバー40が上昇することで、障害物検出センサ35は車体11の前方の障害物を検出できる。
【0036】
(3)開閉カバー40は、障害物検出センサ35の前方に配置される前部カバー部41と、障害物検出センサ35の上方に配置される上部カバー部42と、を有する。このため、走行時に前方から飛来する泥等の異物の障害物検出センサ35への付着を抑制できる。また、上方から落下する雨水等の異物の障害物検出センサ35への付着を抑制できる。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るフォークリフトについて説明する。本実施形態では、開閉カバーがアクチュエータにより開閉される点で第1の実施形態と相違する。本実施形態では、第1の実施形態と同じ構成については、第1の実施形態の説明を援用し、共通の符号を用いる。
【0038】
図5(a)、
図5(b)に示すように、フォークリフト50は、障害物検出センサ35を覆う開閉カバー51を備えている。開閉カバー51は、箱型であって、障害物検出センサ35の後方に設けられた支持部材52により軸支されている。支持部材52はアウタロアビーム23に取り付けられている。支持部材52には開閉カバー51を前後に揺動させて開閉するアクチュエータ53が備えられている。本実施形態のアクチュエータ53は電動モータである。
【0039】
開閉カバー51は、前部カバー部54、後部カバー部55、上部カバー部56および一対の側部カバー部57を有している。前部カバー部54は、開閉カバー51が障害物検出センサ35を覆うとき、障害物検出センサ35の前方に位置し、後部カバー部55は障害物検出センサ35の後方に位置する。上部カバー部56は、開閉カバー51が障害物検出センサ35を覆うとき、障害物検出センサ35の上方に位置し、左右一対の側部カバー部57は障害物検出センサ35の左右の両側に位置する。なお、
図5(a)、
図5(b)では、説明の便宜上、開閉カバー51の一部を破断しているので、右側の側部カバー部57が示されるが左側の側部カバー部57は図示されない。
【0040】
図6に示すように、開閉カバー51を開閉するアクチュエータ53は、制御装置36と接続されており、制御装置36により制御される。本実施形態のフォークリフト50は、フォーク31における荷の有無を検出するための荷重センサ58を備えている。荷重センサ58は、信号発信器に相当し、制御装置36と接続されており、荷重センサ58の信号は制御装置36に伝達される。制御装置36には荷重の閾値が予め設定されており、荷重センサ58が検出する荷重が閾値以上のとき、制御装置36は、フォーク31に荷が存在すると判別する。
【0041】
本実施形態のフォークリフト50は、オペレータの操作により前進および後進を切り換えるディレクションレバー(図示せず)を備えている。ディレクションレバーは、フォークリフト10の前進時に切り換えられる前進位置と、後進時に切り換えられる後進位置と、中立位置の3つの位置のいずれかに切り換え可能である。ディレクションレバーには、ディレクションレバーの位置を示す信号を制御装置36へ伝達するレバーセンサ59が備えられている。レバーセンサ59は、信号発信器に相当する。本実施形態では、制御装置36が、荷が存在すると判別し、かつ、ディレクションレバーの位置が前進位置を示す信号をレバーセンサ59から受けたとき、制御装置36は、開閉カバー51が障害物検出センサ35を開放するようにアクチュエータ53を制御する。
【0042】
本実施形態では、第1の実施形態の効果(1)、(3)と同等の効果を奏する。また、フォークリフト50が荷を支持し、前進しているという前方支援を必要とするとき、障害物検出センサ35を開閉カバー51から開放して障害物を検出することができ、リフトブラケット21の位置に関わらず、前方支援を必要としないとき、開閉カバー51により雨滴や泥等の異物の障害物検出センサ35への付着を抑制できる。
【0043】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るフォークリフトについて説明する。本実施形態では、開閉カバーがアクチュエータにより開閉される点と、揚高によって開閉カバーを開閉する点で第1の実施形態と相違する。また、本実施形態の開閉カバーを含む一部の構成は第2の実施形態と同じである。本実施形態では、第1、第2の実施形態と同じ構成については、第1、第2の実施形態の説明を援用し、共通の符号を用いる。
【0044】
図7に示すように、本実施形態のフォークリフト60では、リフトブラケット21の揚高を検出する揚高センサ61が備えられており、揚高センサ61は信号発信器に相当する。揚高センサ61の信号は制御装置36へ伝達される。制御装置36には揚高の閾値が予め設定されており、揚高センサ61が検出する揚高が閾値以上のとき、制御装置36は、開閉カバー51が開放されるようにアクチュエータ53を制御する。揚高の閾値は、制御装置36に予め設定されるが、閾値の変更も可能である。
【0045】
揚高センサ61が検出する揚高が閾値未満であるとき、開閉カバー51は障害物検出センサ35を覆うので、障害物検出センサ35は、開閉カバー40によって雨滴や泥等の異物の障害物検出センサ35への付着が抑制される。揚高センサ61が検出する揚高が閾値以上のとき、開閉カバー51が障害物検出センサ35を開放するので、障害物検出センサ35はレーザー光の走査によりフォークリフト50の前方の障害物を検出する。
【0046】
本実施形態では、第1の実施形態の効果(1)、(3)と同等の効果を奏する。また、揚高の閾値を変更することが可能であり、フォークリフト60の利用環境に応じて、開閉カバー40による異物の障害物検出センサ35への付着が抑制できる。
【0047】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係るフォークリフトについて説明する。本実施形態では、開閉カバーがオペレータの操作により開閉される点で第1の実施形態と相違する。また、本実施形態の開閉カバーを含む一部の構成は第2の実施形態と同じである。本実施形態では、第1、第2の実施形態と同じ構成については、第1、第2の実施形態の説明を援用し、共通の符号を用いる。
【0048】
図8に示すように、本実施形態のフォークリフト70では、開閉カバー51を開閉するための開閉用の操作ボタン71が備えられており、開閉用の操作ボタン71は信号発信器に相当する。開閉用の操作ボタン71の信号は制御装置36へ伝達される。開閉用の操作ボタン71は、例えば、荷役用のレバー(リフトレバー、ティルトレバー等)に設けてもよく、あるいは、インストルメントパネル(図示せず)に設けるようにしてもよい。制御装置36は、開閉用の操作ボタン71がオペレータにより押されて操作されたとき、信号を制御装置36に伝達する。制御装置36は、開閉用の操作ボタン71からの信号を受けて開閉カバー51が開放されるようにアクチュエータ53を制御する。オペレータによる操作ボタン71の操作によって開閉カバー51を障害物検出センサ35から開放することができる
【0049】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
【0050】
○ 上記の第1の開閉カバーは、前部カバー部、上部カバー部および一対の側部カバー部を有したが、これに限定されない。開閉カバーは、例えば、前部カバー部のみ有する構成であってもよく、あるいは、前部カバー部および上部カバー部のみを有する構成であってもよい。
○ 上記の第2の開閉カバーは、アクチュエータにより前後に揺動されて開閉されるとしたが、これに限らない。開閉カバーは、昇降や往復移動により開閉されてもよい。また、開閉カバーを開閉するアクチュエータは、電動モータや油圧シリンダ以外の手段を用いてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10、50、60、70 フォークリフト(荷役車両)
11 車体
12 荷役装置
18 アウタマスト
19 インナマスト
21 リフトブラケット
23 アウタロアビーム
31 フォーク
33 リフトシリンダ
35 障害物検出センサ
36 制御装置
39 警告器
40、51 開閉カバー
41、54 前部カバー部
42、56 上部カバー部
43、57 側部カバー部
53 アクチュエータ
55 後部カバー部
58 荷重センサ
59 レバーセンサ
61 揚高センサ
71 操作ボタン