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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051191
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157218
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸吾
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA08
5H605CC01
5H605CC06
5H605EC08
5H605EC13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】メンテナンスの容易な回転電機を得る。
【解決手段】回転電機10は、モーターケース12と、モーターケース12内のコイル46に電流を供給するリード線42と、一端にリード線42に固定される第1固定部58を有し、他端に電源ケーブル20に固定される第2固定部84を有する接続端子44と、接続端子44の第2固定部84を収容する端子ボックス18と、を備える。端子ボックス18は、モーターケース12に対して分離可能であり、モーターケース12は、第1固定部58を外部に露出させる開口部54を有し、接続端子44は、第1固定部58の固定を解除すると、端子ボックス18とともにモーターケース12から分離可能となる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ及びステータを収容するモーターケースと、
前記モーターケース内に収容され、駆動用磁場を発生させるコイルに電流を供給するリード線と、
一端に前記リード線に固定される第1固定部を有し、他端に電源ケーブルに固定される第2固定部を有する接続端子と、
前記接続端子の前記第2固定部を収容する端子ボックスと、を備えた回転電機であって、
前記端子ボックスは、前記モーターケースに対して分離可能であり、
前記モーターケースは、前記第1固定部を外部に露出させる開口部を有し、
前記接続端子は、前記リード線と前記第1固定部との固定を解除すると、前記端子ボックスとともに前記モーターケースから分離可能となる、
回転電機。
【請求項2】
請求項1記載の回転電機であって、前記モーターケースの軸線方向を鉛直方向に揃えたときに、前記接続端子及び前記端子ボックスは、前記モーターケースの底面に位置する、
回転電機。
【請求項3】
請求項2記載の回転電機であって、前記端子ボックスは、前記モーターケースの前記軸線方向の投影範囲に対して少なくとも一部が重なるように配置される、
回転電機。
【請求項4】
請求項2記載の回転電機であって、前記リード線は、前記底面から下方に突出するとともに、前記モーターケースは、前記底面から下方に突出した前記リード線を囲う延出部を備える、
回転電機。
【請求項5】
請求項4記載の回転電機であって、前記端子ボックスは、前記モーターケースの前記延出部の側面に接続される、
回転電機。
【請求項6】
請求項5記載の回転電機であって、前記接続端子は、前記第1固定部の位置に対して、前記第2固定部の位置が前記モーターケースに近づくように屈曲する屈曲部を有する、
回転電機。
【請求項7】
請求項6記載の回転電機であって、前記電源ケーブルは、三相ケーブルであり、前記端子ボックスは、3つの前記接続端子を有するとともに、前記端子ボックスにおいて3つの前記接続端子の前記第2固定部は幅方向に並んで配置されるとともに、互いに隣接する前記第2固定部は、上下方向の高さが異なっている、
回転電機。
【請求項8】
請求項7記載の回転電機であって、3つの前記接続端子のなかで、前記幅方向の真ん中に位置する前記接続端子は、他の前記接続端子よりも前記モーターケースの前記底面から離間しており、前記端子ボックスは上端壁が、前記幅方向の中央が凹むととともに、前記幅方向の中央の前記上端壁の上にボスを有する、
回転電機。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1項に記載の回転電機であって、前記接続端子は導体部と、前記導体部を覆う絶縁部材とを有し、
前記絶縁部材は、前記リード線と前記導体部との当接面を超えて、前記リード線の下方を覆うように延長された下縁部を有する、
回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源ケーブルを接続するための接続端子を備えた回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機は、電源ケーブルを接続するための接続端子を有する。接続端子は、駆動用の磁界を発生させるコイルから延びたリード線と、電源ケーブルとを接続するための金具である。接続端子は、リード線と電源ケーブルとの安定した電気的接続を確保するために、第1固定部と、第2固定部とを有する。第1固定部は、接続端子とリード線とをボルト等により固定する。第2固定部は、接続端子と電源ケーブルの配線端子とをボルト等により固定する。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されるように、複数の接続端子は、絶縁部材で覆われている。さらに絶縁部材及び接続端子は、端子ボックスの内部に収容される。端子ボックスは、回転電機のロータ及びステータを収容するモーターケースに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4767319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回転電機を使用する機器は、所定時間毎に、メンテナンスが必要とされる。なかでも、大きな負荷を担う回転電機は、比較的高い頻度で、機器から取り外すメンテナンスが必要となる。このようなメンテナンスでは、電源ケーブルと回転電機との接続の解除が必要となる。電源ケーブルと回転電機との接続の解除は、第1固定部又は第2固定部の解除により行われる。
【0006】
第2固定部を解除する場合には、寿命を迎えていない接続端子が取り除かれるため、無駄な部品交換が必要となり、メンテナンス費用の増加を招く。そのため、メンテナンスでは、第1固定部のみを解除し、接続端子を電源ケーブルと接続したままとすることが望ましい場合が多い。
【0007】
ところが、特許文献1の端子ボックスは、回転電機を覆うモーターケースと一体的に形成されており、第1固定部は、ケースの内部に配置されている。そのため、第1固定部の固定の解除を行うためには、回転電機のケースを開ける必要があり、大がかりな作業が必要になるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の開示の一観点は、ロータ及びステータを収容するモーターケースと、前記モーターケース内に収容され、駆動用磁場を発生させるコイルに電流を供給するリード線と、一端に前記リード線に固定される第1固定部を有し、他端に電源ケーブルに固定される第2固定部を有する接続端子と、前記接続端子の前記第2固定部を収容する端子ボックスと、を備えた回転電機であって、前記端子ボックスは、前記モーターケースに対して分離可能であり、前記モーターケースは、前記第1固定部を外部に露出させる開口部を有し、前記接続端子は、前記リード線と前記第1固定部の固定を解除すると、前記端子ボックスとともに前記モーターケースから分離可能となる、回転電機にある。
【発明の効果】
【0010】
上記観点の回転電機は、モーターケースを開けずに、接続端子とリード線との固定を解除して、接続端子を電源ケーブルとともにモーターケースから分離可能である。したがって、上記の回転電機は、メンテナンスを容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態に係る回転電機の正面図である。
図2図2は、図1の回転電機の背面図である。
図3図3は、図1の回転電機の平面図である。
図4図4は、図2のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図1の延出部の蓋を取り外した状態で示す部分拡大図である。
図6図6は、図3(及び図4)のVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7Aは、図4の接続端子、端子ボックス、リード線及び延出部の拡大断面図であり、図7Bは、図7Aの端子ボックスと延出部とを分離させた断面図である。
図8図8は、搭載機器の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態に係る回転電機10は、図1に示すように、円筒状のモーターケース12を有しており、その一端から回転軸部14が軸線方向に突出する。回転電機10は、例えば、図8に示されるような電動航空機、電気自動車、及び各種汎用機器といった搭載機器16に、主要な動力源として搭載される。搭載機器16は、回転電機10が一定の使用期間が経過した場合や、回転電機10が故障して回転不良となった場合に、メンテナンスが行われる。このメンテナンスは、例えば、回転電機10の交換であり、回転電機10を取り外す作業をともなう。本実施形態の回転電機10は、搭載機器16からの取り外し作業を容易にする。
【0013】
以下、回転電機10の具体的な構成について説明する。なお、以下の説明において、上、下、幅方向、正面、背面といった用語が使用されるが、これらの用語は、回転電機10の構成部材の位置や接続関係を説明するためのものであり、回転電機10の配置方向を限定する記載ではない。
【0014】
図1図3に示されるように、回転電機10の外観には、モーターケース12と、回転軸部14と、端子ボックス18が現れる。なお、回転電機10は、図1に示されるように端子ボックス18に電源ケーブル20が接続された状態で使用に供される。電源ケーブル20は図8に示す搭載機器16の部材であり、電源22の電力を回転電機10に供給する。電源ケーブル20は、例えば3相ケーブルであり、図1に示されるように、3本の配線24を有する。電源ケーブル20は、端部にコネクタ26と、配線端子28(図4参照)とを有する。図4に示されるように、配線端子28は、3本の配線24の端部にそれぞれ取り付けられている。
【0015】
モーターケース12は、図1図3に示されるように、円筒形状の周壁部30と、周壁部30の一端を覆う第1壁32と、周壁部30の他端を覆う第2壁34と、を有する。第1壁32及び第2壁34は、周壁部30の中心軸線に対して垂直に交わる平面を有する。第1壁32は、回転軸部14が突出する側(上側)に位置する。第2壁34は、回転軸部14の突出する側と反対側(下側)に位置する。図2及び図4に示されるように、第2壁34からは、延出部36及び端子ボックス18が突出する。
【0016】
図4に示されるように、回転電機10は、モーターケース12の内部に、ロータ38と、ステータ40と、リード線42とを有する。また、回転電機10は、端子ボックス18の内部に接続端子44を有する。ロータ38は、モーターケース12の中心寄りに位置し、回転軸部14で支持される。ロータ38は、回転軸部14に回転トルクを与え、回転軸部14と一体的に回転する。ステータ40は、ロータ38の外周側に位置し、ロータ38の周囲を囲む。ステータ40は、ロータ38に磁力を及ぼす。ロータ38及びステータ40のいずれか一方又は両方には、駆動用の磁界を発生させるコイル46が含まれる。なお、図示の例では、ロータ38が永久磁石48を有し、ステータ40がコイル46を含む。
【0017】
リード線42は、コイル46の電流供給経路であり、コイル46の端部に接続されている。リード線42は、回転電機10の相数に応じて設けられる。回転電機10が例えば2相の場合には2本のリード線42を備え、3相の場合には3本のリード線42を備える。図示の例は、回転電機10が3相であり、回転電機10は3本のリード線42を備える。3本のリード線42は、図4の紙面に垂直な方向に1列に並んで配置される。
【0018】
図4に示されるように、リード線42は、モーターケース12の軸線方向に延び、その先端は第2壁34の底面50から突出する。リード線42の先端部42aには、後述する第1固定部58を通じて接続端子44が接続される。
【0019】
モーターケース12は、3本のリード線42の周囲を囲む延出部36を有する。延出部36は、第2壁34の底面50から軸線方向に突出する。延出部36は、図3に示されるように、軸線方向から見たときに、3本のリード線42の配列方向(幅方向)に長く延びている。延出部36は、図4に示されるように、内部にリード線42を収容する空洞52を有する。延出部36は、リード線42に対して側方に離間しつつリード線42の全周を囲むことで、リード線42を保護する。
【0020】
延出部36は、さらに開口部54と端子挿入孔56とを有する。開口部54は、延出部36の背面36aに形成されている。開口部54は、リード線42と接続端子44とを固定する第1固定部58を外部に露出可能な位置に形成される。開口部54は、第1固定部58によるリード線42と接続端子44の固定又は解除を可能な寸法を有する。例えば、第1固定部58がボルト58cを用いた固定構造である場合には、開口部54は、ボルト58c及びその締結工具が挿通可能な直径を有する。
【0021】
図2に示されるように、開口部54は、リード線42と同数である3つ設けられている。図4に示されるように、延出部36は、開口部54を塞ぐ蓋62を有する。蓋62は、止めネジ64(図2参照)で、延出部36に固定される。蓋62は、開口部54への塵埃や水の浸入を防ぐ。止めネジ64を外すと、蓋62を開口部54から取り外すことができる。
【0022】
端子挿入孔56は、延出部36の正面36b側に形成されている。端子挿入孔56には、接続端子44が挿入される。接続端子44の一部は、端子挿入孔56を通じて延出部36の内部に収容される。図6に示されるように、端子挿入孔56は、正面視で円形に形成されている。
【0023】
端子挿入孔56は、リード線42の本数と同数(例えば、3個)設けられている。端子挿入孔56は、延出部36の幅方向に並んで配置される。中央の端子挿入孔56は、両端の端子挿入孔56よりもモーターケース12の底面50から離間することで、端子挿入孔56と底面50との間に間隙を形成する。
【0024】
図2に示されるように、延出部36は、端子ボックス18(図4参照)を固定するボックス固定構造70を有する。ボックス固定構造70は、端子ボックス18に設けられた複数のボス孔72と、そのボス孔72に挿入されるボックス固定ネジ74とを有する。ボックス固定ネジ74は、延出部36からボス孔72に挿入され、端子ボックス18(図4参照)のボス孔72に螺合することで、端子ボックス18と延出部36とを固定する。
【0025】
端子ボックス18は、図4及び図6に示されるように、ボックス本体76と、端子収容室78と、端子固定部80と、コネクタ固定部82と、を有する。ボックス本体76は、筒状の部材であり、図3に示されるように、上面視で略矩形状に形成されている。ボックス本体76は、図7Aに示されるように、延出部36の正面36b側の側部に接続される。ボックス本体76の中央側の一部は、モーターケース12の軸線方向の投影範囲と重なる。また、ボックス本体76の両側部は、モーターケース12の軸線方向の投影範囲の外側に突出する。
【0026】
端子収容室78は、接続端子44の正面側の一部と、第2固定部84とを収容する。接続端子44は、ボックス本体76の内部に形成されるとともに、ボックス本体76の背面76aと正面76bとを貫通する。端子収容室78の背面側は延出部36によって閉塞される。端子収容室78は、ボックス本体76の正面76bにおいて開口して、ケーブル挿入口78aを形成する。ケーブル挿入口78aは、電源ケーブル20から延びる配線24及びその配線端子28を受け入れる。
【0027】
端子固定部80は、図6に示されるように、ボックス本体76の幅方向の両側部に位置する。端子固定部80は、端子固定ネジ86とボス孔88を有する。端子固定ネジ86は、軸線方向に延びて接続端子44の側部を貫通する。端子固定ネジ86は、ボス孔88に螺合することで接続端子44を端子ボックス18に固定する。図3に示されるように、端子固定部80は、モーターケース12の軸線方向の投影範囲の外側に位置する。そのため、回転電機10は、端子ボックス18をモーターケース12から外さずに、接続端子44を電源ケーブル20とともに取り外すことができる。
【0028】
コネクタ固定部82は、図4に示されるように、端子ボックス18の正面側に形成されたボス孔90を有する。ボス孔90は、図7Aに示されるように、端子ボックス18の周縁部から外方に膨出した膨出部90aに形成されている。ボス孔90は、図1に示されるように、ボックス本体76の周囲に複数(図示の例では5つ)形成されており、それぞれのボス孔90にコネクタ固定ネジ92が挿入される。電源ケーブル20に付属するコネクタ26は、コネクタ固定ネジ92及びボス孔90により、端子ボックス18の正面に固定される。
【0029】
接続端子44は、図6図7A及び図7Bに示されるように、複数の導体部94と、絶縁部材96とを有する。導体部94は、例えば、銅又はアルミニウム等の高い導電性を有する金属によって形成される。接続端子44は、リード線42と同数の3つの導体部94を有する。各々の導体部94は、絶縁部材96で覆われて互いに絶縁されている。導体部94は、一端が延出部36に収容され、他端が端子収容室78(端子ボックス18)に収容される。導体部94は、一端に第1固定部58を有し、他端に第2固定部84を有する。第1固定部58は、導体部94とリード線42とを固定し、第2固定部84は導体部94と電源ケーブル20の配線端子28とを固定する。
【0030】
第1固定部58は、例えば、第1接続面58aと、ボルト孔58bと、ボルト58cとで構成される。第1接続面58aは、導体部94の端面であり、軸線方向に平行な面である。第1接続面58aは、リード線42と面接触する。ボルト孔58bは、第1接続面58aに垂直な方向に延びた孔である。ボルト孔58bは、内周部にネジ溝を有する。ボルト58cは、ボルト孔58bに螺合することで、リード線42を第1接続面58aに固定する。
【0031】
第2固定部84は、例えば、第2接続面84aと、ボルト孔84bと、ボルト84cで構成することができる。第2接続面84aは、導体部94の底面であり、第1接続面58aに対して垂直な面である。第2接続面84aは、電源ケーブル20の配線端子28と面接触する。第2固定部84のボルト孔84bは、第2接続面84aに対して垂直な方向に延びた孔である。ボルト孔84bは、内面にネジ溝を有する。第2固定部84のボルト84cは、ボルト孔84bに螺合することで、導体部94の底面に配線端子28を固定する。
【0032】
なお、第1固定部58及び第2固定部84は、ボルト固定に限定されず、嵌合、圧着、又はハンダづけ等の種々の固定方法を採用し得る。
【0033】
導体部94は、屈曲部98を有する。屈曲部98は、第2固定部84の位置が第1固定部58の位置よりも、モーターケース12の第2壁34に接近するように屈曲する。屈曲部98は、導体部94の第2固定部84をモーターケース12に近い位置に配置することを可能とする。屈曲部98は、導体部94の下方への突出を抑止し、端子ボックス18の小型化を可能とする。
【0034】
図6に示されるように、3つの導体部94は、幅方向に並んで配置される。3つの導体部94のうち、中央の導体部94は、他の導体部94よりも第2壁34の底面50から離れて配置される。そのため、幅方向の中央の接続端子44は、隣接する他の接続端子44よりも下方に位置する。端子ボックス18は、上端壁18aが、幅方向の中央で凹んでいる。その凹んだ部分の上端壁18aに、膨出部90a(ボス)が形成されている。
【0035】
絶縁部材96は、図7A及び図7Bに示されるように、導体部94の周囲を覆うことで、導体部94を周囲の部材から電気的に絶縁する。絶縁部材96は、第1固定部58及び第2固定部84において、導体部94を露出させる。図6に示されるように、絶縁部材96は、幅方向に延在し、複数の導体部94を機械的に連結する。絶縁部材96は、幅方向の端部が端子ボックス18の端子固定部80に延びる。絶縁部材96は、端子固定部80において端子ボックス18にネジ止めにより固定される。
【0036】
図7Aに示されるように、絶縁部材96は、第1固定部58側の端部から背面側に延び出た下縁部96aを有する。下縁部96aは、リード線42と導体部94との当接面(導体部94の端面)を超えて、背面側に延長されている。下縁部96aは、リード線42及び導体部94の接続部分、及びボルト58cの下方を壁状に覆う。この下縁部96aは、第1固定部58の付近において、延出部36と第1固定部58との縁面距離を長くすることで、第1固定部58の絶縁性を高める。
【0037】
本実施形態の回転電機10は以上のように構成される。電源ケーブル20と接続端子44とを接続したまま、回転電機10の取り外す方法は、以下のように行われる。
【0038】
まず、図2に示される開口部54の蓋62を取り外す作業が行われる。蓋62の取り外しに先だって、蓋62を延出部36に固定する止めネジ64が外される。その後、蓋62が取り外され、図5に示されるように、開口部54に第1固定部58のボルト58cが露出する。次に、開口部54を通じて、ボルト58cが取り外される。3つのボルト58cが外されると、接続端子44と3本のリード線42との固定が解除される。
【0039】
次に、図5の延出部36の周縁部に位置する複数のボックス固定ネジ74が取り外される。5つのボックス固定ネジ74が取り外されると、端子ボックス18と延出部36との固定が解除され、端子ボックス18は、モーターケース12から取り外し可能となる。
【0040】
その後、接続端子44が延出部36の端子挿入孔56から引き抜かれる。接続端子44の引き抜きは、端子ボックス18を正面側に移動させることで行われる。接続端子44は、第2固定部84を通じて、電源ケーブル20と接続された状態で、モーターケース12から分離する。その後、回転電機10が電源ケーブル20から取り外される。なお、回転電機10の取り付けは、上記の工程を逆順に行うことで実施される。
【0041】
本実施形態の回転電機10は、例えば図8に示されるように、回転電機10の回転軸部14を上方に突出させて搭載する搭載機器16のメンテナンス作業に好適である。すなわち搭載機器16は、回転電機10の下方からの作業で、電源ケーブル20及び接続端子44をモーターケース12から取り外すことができるため、作業性に優れる。
【0042】
(実施形態の変形例1)
本実施形態の回転電機10は、上記の態様に限定されず、種々の態様を取り得る。例えば、回転電機10において、リード線42の突出部分は、第2壁34に限定されず、周壁部30又は第1壁32に位置してもよい。この場合には、延出部36及び端子ボックス18は、周壁部30又は第1壁32に設けられる。
【0043】
(実施形態の変形例2)
本実施形態の回転電機10において、リード線42は、その全体がモーターケース12の第1壁32、第2壁34及び周壁部30の内側に収まってもよい。この場合には、接続端子44が第1壁32、第2壁34又は周壁部30から突出する。第1固定部58は、第1壁32、第2壁34及び周壁部30の内側でリード線42と接続端子44とを固定する。また、端子ボックス18は、第1壁32、第2壁34又は周壁部30に取り外し可能に接続される。さらに、モーターケース12の開口部54は、第1壁32、第2壁34又は周壁部30のいずれかであって、第1固定部58を露出可能な位置に形成される。この場合、回転電機10は、開口部54を塞ぐ蓋62を有してもよいし、端子ボックス18が開口部54の蓋62を兼ねてもよい。
【0044】
以上の開示は、以下のようにまとめられる。
【0045】
上記の一観点は、ロータ38及びステータ40を収容するモーターケース12と、前記モーターケース内に収容され、駆動用磁場を発生させるコイル46に電流を供給するリード線42と、一端に前記リード線に固定される第1固定部58を有し、他端に電源ケーブル20に固定される第2固定部84を有する接続端子44と、前記接続端子の前記第2固定部を収容する端子ボックス18と、を備えた回転電機10であって、前記端子ボックスは、前記モーターケースに対して分離可能であり、前記モーターケースは、前記第1固定部を外部に露出させる開口部54を有し、前記接続端子は、前記リード線と前記第1固定部との固定を解除すると、前記端子ボックスとともに前記モーターケースから分離可能となる、回転電機にある。
【0046】
上記の回転電機は、接続端子と電源ケーブルとの結合を維持しながら、リード線と接続端子との結合を解いて、端子ボックスとともに接続端子をモーターケースから分離できる。したがって、上記の回転電機は、メンテナンスの際に、接続端子と端子ボックスとを搭載機器側に残したまま、回転電機のみを取り外しできるため、回転電機のメンテナンス性が向上する。
【0047】
上記の回転電機であって、前記モーターケースの軸線方向を鉛直方向に揃えたときに、前記接続端子及び前記端子ボックスは、前記モーターケースの底面50に位置してもよい。この回転電機は、回転軸部を鉛直方向に配置して搭載機器に搭載した場合において、回転電機の取り外し作業を回転電機の下方から行うことができ、作業性に優れる。
【0048】
上記の回転電機であって、前記端子ボックスは、前記モーターケースの軸線方向の投影範囲に対して少なくとも一部が重なるように配置されてもよい。この回転電機は、端子ボックスの側方への張り出しを抑制でき、回転電機の径方向の大型化を抑制できる。
【0049】
上記の回転電機であって、前記リード線は、前記底面から下方に突出するとともに、前記モーターケースは、前記底面から下方に突出した前記リード線を囲う延出部36を備えてもよい。この回転電機は、搭載機器への着脱の際に、リード線を保護できる。
【0050】
上記の回転電機であって、前記端子ボックスは、前記モーターケースの前記延出部の側面に接続されてもよい。この回転電機は、リード線の延在方向に対する電源ケーブルの接続方向を異ならせつつ、接続端子の周囲に囲いを形成して接続端子を保護できる。
【0051】
上記の回転電機であって、前記接続端子は、前記第1固定部の位置に対して、前記第2固定部の位置が前記モーターケースに近づくように屈曲する屈曲部98を有してもよい。この回転電機は、リード線と接続端子との固定部分に対して、ケーブルと接続端子との固定部分を第2壁(モーターケース)に接近させることができるため、接続端子の底面からの突出を抑制できる。
【0052】
上記の回転電機であって、前記電源ケーブルは、三相ケーブルであり、前記端子ボックスは、3つの前記接続端子を有するとともに、前記端子ボックスにおいて3つの前記接続端子の前記第2固定部は幅方向に並んで配置されるとともに、互いに隣接する前記第2固定部は、上下方向の高さが異なってもよい。この回転電機は、第2固定部の高さを異ならせることで、端子ボックスに空きスペースを確保でき、各種固定構造のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0053】
上記の回転電機であって、3つの前記接続端子のなかで、前記幅方向の真ん中に位置する前記接続端子は、他の前記接続端子よりも前記モーターケースの前記底面から離間しており、前記端子ボックスは上端壁18aが、前記幅方向の中央が凹むととともに、前記幅方向の中央の前記上端壁の上にボスを有してもよい。この回転電機は、端子ボックスの空きスペースにボスを設けることで端子ボックスの上方の突出部を小型化できる。
【0054】
上記の回転電機であって、前記接続端子は導体部94と、前記導体部を覆う絶縁部材96とを有し、前記絶縁部材は、前記リード線と前記導体部との当接面を超えて、前記リード線の下方を覆うように延長された下縁部96aを有してもよい。この回転電機は、接続端子のリード線側で、導体部とリード線との当接面を超えるように下縁部を延長させたので、延出部及び端子ボックスと第2固定部との絶縁性能を確保できる。
【0055】
なお、本発明は、上記した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0056】
10…回転電機 12…モーターケース
14…回転軸部 18…端子ボックス
20…電源ケーブル 36…延出部
42…リード線 44…接続端子
54…開口部 58…第1固定部
84…第2固定部 98…屈曲部
図1
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図8