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特開2024-51193光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造
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  • 特開-光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造 図1
  • 特開-光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造 図2
  • 特開-光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造 図3
  • 特開-光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造 図4A
  • 特開-光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造 図4B
  • 特開-光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造 図4C
  • 特開-光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造 図4D
  • 特開-光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051193
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20240404BHJP
   E04F 13/22 20060101ALI20240404BHJP
   E04F 13/21 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
E04F13/08 Z
E04F13/22
E04F13/21
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157220
(22)【出願日】2022-09-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】316019244
【氏名又は名称】株式会社アル・テックス
(74)【代理人】
【識別番号】100066821
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 建治
(74)【代理人】
【識別番号】100180149
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 修
(72)【発明者】
【氏名】蒲原 敏樹
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA27
2E110AA47
2E110AA50
2E110AA51
2E110AB04
2E110AB22
2E110CA04
2E110DC12
2E110DC15
2E110GA33Y
(57)【要約】
【課題】光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装が経年劣化によって剥離するのを防止する構造を提供する。
【解決手段】光触媒がコーティングされた屋根や壁等の外装材aの表面部1に直接又は塗装層cを介して塗装剥離防止用の固定具bが打ち込まれて成る。固定具bは、ビス2又は釘3又はボルト4又はリベットである。固定具bの先端部2a、3a、4aが外壁等の外装材aに到達する深さまで打ち込まれ、その頭部6、7、8が外装材aの表面部1より突出して打ち込まれている。
【選択図】 図4A



【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造であって、
前記光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の表面部に、塗装剥離防止用の固定具が打ち込まれて成ることを特徴とする、光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項2】
前記光触媒がコーティングされた外壁等の外装材に、所定厚さの塗装層が形成されて成ることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項3】
前記塗装剥離防止用の固定具の先端部が、前記外壁等の外装材に到達する深さまで打ち込まれていることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項4】
前記塗装剥離防止用の固定具の頭部が、前記外壁等の外装材の表面部より突出して打ち込まれていることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項5】
予め光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造であって、
前記光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の表面部に、塗装剥離防止用の接着テープが接着されて成ることを特徴とする、光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項6】
前記外壁等の外装材又は塗装層の表面部に、仕上げ塗料が施されて成ることを特徴とする、請求項1又は5に記載した光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項7】
前記塗装剥離防止用の固定具が、ビス又は釘又はボルト又はリベット又はタッカー針であることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項8】
前記光触媒は、外壁等の外装材の内部又は表面部又は表面部の上に形成の塗装層にコーティングされて成ることを特徴とする、請求項1又は5に記載した光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項9】
光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造であって、
前記外壁等の外装材の表面部に光触媒塗料が施され、前記光触媒塗料の表面部に塗装剥離防止用の固定具が打ち込まれて成ることを特徴とする、光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒がコーティングされた外壁や屋根等の外装材の塗装剥離防止構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物に使用される窯業系サイディングの表面処理方法として、近年多く用いられているのが光触媒のコーティング技術である。
【0003】
これまで建築外装の表面処理においては、様々な技術開発を駆使しながらも、防汚機能といった目的に対しては限界があり、ある一定期間を経過すると汚れが付着してしまうのが実情であった。
【0004】
現在でも各外装材メーカー、開発研究室などは競い合い、長期間にわたり外壁表面処理の性能を損なうことなく、汚れにくく、美観を維持できる外装材を日夜研究開発している。
【0005】
その様な背景の中、取替交換・塗装塗り替えを長期間必要とせず、メンテナンス間隔を飛躍的に向上させる手段が開発された。それが、光触媒で外壁などの外装材をコーティングするという技術である。
【0006】
現在は、窯業系サイディングを主に用いられているが、実際従来の製品(親水性防汚、シリコン、フッ素防汚など)と比較しても、自然下での耐久性は、目視で約2~5倍は長く、塗料メーカー・外壁メーカーの試験結果においても、大幅な高耐久・高性能を発揮する機能性商品が、近年、建物の外装に多用され、今後も各製品、各分野で増加していくであろうと予想される。
【0007】
このような建築業界全体における機能性重視傾向の流れのなか、外装材に求められるニーズは、何より劣化を誘発する原因となる付着した汚れを取り除くことが第一に考えられ、埃、水アカ、藻などの付着力を、紫外線の反応により徐々に弱めていき、劣化を大幅に軽減されるような、設計・製造に移行されている。
【0008】
関連技術として本出願人は、建築構造物における外装材の腐食欠落個所の塗装補修手段として、下記特許文献1の技術を開発している。特許文献1には、所定の厚さに塗付したプライマリー処理層を形成する下塗り処理層と、前記下塗り処理層の表面部に所定の厚さに塗付した着色耐久化処理層を形成する中塗り処理層があり、さらに前記中塗り処理層の上面部に、所定の厚さに塗付した上塗り処理層を形成せしめた外装材の腐食欠落個所以外の腐食欠落個所の塗装補修手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3237194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記した従来の背景技術を解決するため、経年劣化によるメンテナンス、いわゆるリフォーム工事があるが、光触媒外装に関する改修方法としては、張り替え、取り替え、カバーリングといった工事で改修が可能であるが、しかしこのような工事は、工事費用が高額になることで敬遠されるケースも多く、比較的安価な塗装による塗り替えで、美観の維持、建物の保全を選択されるケースが多く行われてきた。
【0011】
しかし、光触媒による表面処理が施されている外壁等の外装材には汚れと同様に紫外線透過により塗料の付着力も徐々に弱めていく欠陥があり、さらに塗装施工完了後、一定期間ののち塗装が剥がれる事象が全国的に頻発している。
【0012】
そして、その発生率は、非常に高く、該要因を調査してみたところ、塗料メーカーは、現状の試行錯誤の段階で「光触媒対応」の塗料を一般に販売しているものの、付着力の効果が、今後も絶対とは言えない、あくまでも対応のみとの見解である。
【0013】
さらに、外壁メーカーの見解に至っては、「将来の塗り替えによるメンテナンスのことを考慮して、製品を製造していない」という方針で光触媒外壁に対して、塗装で改修する方法は、現状では大変リスキーな選択肢となっている。
【0014】
また、光触媒外装材が、一般的に流通され始め20年近く経過した今日、ノーメンテナンスの建物には、色褪せ、凍害、劣化による剥がれといった改修が必要となっている物件も多く見られ、現状メンテナンス対策に苦慮している状態である。
【0015】
しかるに、本発明が解決しようとする課題は、前記特許文献1に開示されている建築構造物である外壁等の外装材の下地材にコーティングする下塗り処理層と、該層の上面部に塗着した中塗り処理層と、該中塗り処理層の上面部に塗着した上塗り処理層では、第1に、紫外線に反応するまで、一定期間塗料が付着している特性を有し、第2に紫外線反応後は、塗装の付着力が徐々に弱まっていき、剥離が始まると云う2つの特性を考慮し、建築物(外壁などの被塗物)に塗着せしめた塗装を、ビス等の固定具で固定する工法によって、長期間剥離を防止せしめると共に、建築構造物である外壁等の外装材の色褪せ、凍害、劣化による剥がれを長期間に亘り防止することである。
【0016】
さらに、本発明が解決しようとする課題は、塗装密着力低下に伴う剥離に限らず、水分、油分による層間剥離をも同時に防止する。
【0017】
また、接着剤又は接着テープを被塗物に塗ったり、貼着すると共に、前記したビス又は釘等は、下塗り上辺より上部であれば、どこでも設置可として、前記と同じく建築構造物である外壁等の外装材の色褪せ、凍害、劣化による剥がれを長期間に亘り防止できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明における課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、予め光触媒がコーティングされた外壁等の外装材aの塗装剥離防止構造であって、
前記光触媒がコーティングされた外壁等の外装材aの表面部1に、塗装剥離防止用の固定具bが打ち込まれて成ることを特徴とする、光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造である。
【0019】
課題を解決するための手段として、請求項2に記載の発明は、前記光触媒がコーティングされた外壁等の外装材aに、所定厚さの塗装層cが形成されて成ることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造である。
【0020】
課題を解決するための手段として、請求項3に記載の発明は、前記塗装剥離防止用の固定具bの先端部2a、3a、4aが、前記外壁等の外装材aに到達する深さまで打ち込まれていることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造である。
【0021】
課題を解決するための手段として、請求項4に記載の発明は、前記塗装剥離防止用の固定具bの頭部6、7、8が、前記外壁等の外装材aの表面部1より突出して打ち込まれていることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造である。
【0022】
課題を解決するための手段として、請求項5に記載の発明は、予め光触媒がコーティングされた外壁等の外装材aの塗装剥離防止構造であって、
前記光触媒がコーティングされた外壁等の外装材aの表面部1に、塗装剥離防止用の接着テープ5が接着されて成ることを特徴とする、光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造である。
【0023】
課題を解決するための手段として、請求項6に記載の発明は、前記外壁等の外装材a又は塗装層cの表面部1に、仕上げ塗料dが施されて成ることを特徴とする、請求項1又は5に記載した光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造である。
【0024】
課題を解決するための手段として、請求項7に記載の発明は、前記塗装剥離防止用の固定具bが、ビス2又は釘3又はボルト4又はリベット又はタッカー針であることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造である。
【0025】
課題を解決するための手段として、請求項8に記載の発明は、前記光触媒は、外壁等の外装材aの内部又は表面部1又は表面部1の上に形成の塗装層cにコーティングされて成ることを特徴とする、請求項1又は5に記載した光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造である。
【0026】
課題を解決するための手段として、請求項9に記載の発明は、光触媒がコーティングされた外壁等の外装材aの塗装剥離防止構造であって、
前記外壁等の外装材aの表面部1に光触媒塗料が施され、前記光触媒塗料の表面部に塗装剥離防止用の固定具bが打ち込まれて成ることを特徴とする、光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造である。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、上述のとおりの構成なので、予め光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の表面部に、打ち込まれたビス又はネジ又はリベット又はボルト又は接着された接着剤又は接着テープ等の塗装剥離防止用の固定具によって、塗装層の剥離を長期間に亘り発生せしめない利点がある。
【0028】
さらに、本発明は、光触媒を塗着せしめた建築構造物の外壁等の外装材の取替交換・塗装塗り替えを長期間不要とし、そのためメンテナンス間隔を飛躍的に向上せしめる利点がある。
【0029】
本発明はまた、上述のとおりであって、建築構造物の外壁等の外装材を長期間に亘り外壁表面処理の性能を損なうことなく、汚れにくく、美観を維持できる利点がある。
【0030】
加えて、前記光触媒がコーティングされた外壁等の外装材に、所定の厚さの厚い塗装層が形成されているので、前記塗装層は剥離しにくく、そのためメンテナンス間隔を飛躍的に向上させることができると共に、防汚等の光触媒効果をも有している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】光触媒がコーティングされた外装材を示した正面図である。
【0032】
図2図1の外装材の表面部にビスを打込んだ状態を示した正面図である。
【0033】
図3図2の状態から仕上げ塗料を塗着した外装材を示した正面図である。
【0034】
図4A】外装材の表面部に塗装した塗装層にネジを打込み、前記ネジの上面に仕上げ塗料が施されている状態の一部切欠縦断面図である。
【0035】
図4B】外装材の表面部に塗装した塗装層にボルトを打込み、前記ボルトの上面に仕上げ塗料が施されている状態の一部切欠縦断面図である。
【0036】
図4C】外装材の表面部に塗装した塗装層に釘を打込み、前記釘の上面に仕上げ塗料が施されている状態の一部切欠縦断面図である。
【0037】
図4D】外装材の表面部に塗装した塗装層に接着テープを接着した状態の一部切欠縦断面図である。
【0038】
図5】従来の光触媒がコーティングされた外装材において、塗装が剥がれた状態を示した正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明の請求項1~9に記載の光触媒がコーティングされた外壁等の外装材の塗装剥離防止構造の好適な実施形態を、以下図面にしたがって説明する。
【0040】
図において、符号aは屋根や外壁等の外装材を示しており、以下の構成から成っている。
【0041】
本実施形態の外装材aに対し、予め光触媒がコーティングされた該外装材aの表面部1に直接、又は塗装して形成した塗装層cの表面部1に、塗装剥離防止用の固定具bであるビス2(図4A)もしくは釘3(図4C)もしくはボルト4(図4B)の何れかを、各先端部2a、3a、4aが外装材aに到達する深さまで打込むか差し込む。その際、前記塗装剥離防止用の固定具bの頭部6、7、8は、外装材aの表面部1又は記塗装層cの表面部に突出させた状態で好適に実施される。なお、前記塗装剥離防止用の固定具bとして、図示を省略したリベットやタッカー針を使って実施することも可能である(但し、固定具bはこれらに限定されない)。
【0042】
さらに、前記光触媒がコーティングされた外装材aの表面部1又は塗装層cの上に打ち込むか、もしくは差し込んだ塗装剥離防止用の固定具bの頭部6、7、8上に、仕上げ塗料dをコーティング(塗着)する実施形態でも好適に採用される。
【0043】
図において、符号5は前記外装材aの表面部1に接着した接着テープを示している。この接着テープ5は、接着面が片面もしくは両面の何れでもよい。
【0044】
接着テープ5は、前記外装材aの表面部1に所定間隔おきに貼着し、貼着時の間隔は限定しない。
【0045】
さらに本発明は、前記粘着テープ5が貼着された外装材aの表面部1の全体に前記と同様の塗装層cを塗装する形態で実施される。
【0046】
なお、図4Dでは、接着テープ5だけが図示されているが、前記固定具bのビス2、釘3、ボルト4等を同時に使用してもよい。
【0047】
したがって、前記外装材aの表面部1に直接、又は所定の厚さに塗装した塗装層cに対し、塗装剥離防止用の固定具bを打ち込んだり、接着テープ5を貼着することによって、前記塗装層cの剥離を長期間に亘って防止できる。
【0048】
上記のような本発明の塗装剥離防止構造によれば、図5に従来例を示したような、光触媒がコーティングされた従来の外装材eの塗装が経年劣化で剥れて、剥がれ片9が生じることはない。
【0049】
異なる実施形態として、図示を省略するが、前記外壁等の外装材aの表面部1に光触媒が含有された光触媒塗料が施され、前記光触媒塗料の表面部に塗装剥離防止用の固定具bを打ち込む実施形態も採用可能である。
【0050】
以上本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0051】
a 外装材
b 固定具
c 塗装層
d 仕上げ塗料
1 表面部
2 ビス
2a 先端部
3 釘
3a 先端部
4 ボルト
4a 先端部
5 接着テープ
6 ビスの頭部
7 ボルトの頭部
8 釘の頭部
9 剥がれ片
e 従来の外装材


図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-01-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造であって、
前記光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の表面部に、所定厚さの塗装層が形成され、前記塗装層の表面部に塗装剥離防止用の固定具の先端部が、前記外壁の外装材に到達する深さまで打ち込まれるか、もしくは差し込まれて成ることを特徴とする、光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項2】
前記塗装剥離防止用の固定具の頭部が、前記外壁又は屋根材の外装材の表面部より突出して打ち込まれるか、もしくは差し込まれて成ることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項3】
予め光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造であって、
前記光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の表面部に、塗装剥離防止用の接着剤又は両面接着テープが塗着又は貼着され、前記接着剤又は両面接着テープの上面に塗装層が形成されて成ることを特徴とする、光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項4】
前記外壁又は屋根材の外装材又は塗装層の表面部に、仕上げ塗料が施されて成ることを特徴とする、請求項1又はに記載した光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項5】
前記塗装剥離防止用の固定具が、ビス又は釘又はボルト又はリベット又はタッカー針であることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒がコーティングされた外壁や屋根等の外装材の塗装剥離防止構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物に使用される窯業系サイディングの表面処理方法として、近年多く用いられているのが光触媒のコーティング技術である。
【0003】
これまで建築外装の表面処理においては、様々な技術開発を駆使しながらも、防汚機能といった目的に対しては限界があり、ある一定期間を経過すると汚れが付着してしまうのが実情であった。
【0004】
現在でも各外装材メーカー、開発研究室などは競い合い、長期間にわたり外壁表面処理の性能を損なうことなく、汚れにくく、美観を維持できる外装材を日夜研究開発している。
【0005】
その様な背景の中、取替交換・塗装塗り替えを長期間必要とせず、メンテナンス間隔を飛躍的に向上させる手段が開発された。それが、光触媒で外壁などの外装材をコーティングするという技術である。
【0006】
現在は、窯業系サイディングを主に用いられているが、実際従来の製品(親水性防汚、シリコン、フッ素防汚など)と比較しても、自然下での耐久性は、目視で約2~5倍は長く、塗料メーカー・外壁メーカーの試験結果においても、大幅な高耐久・高性能を発揮する機能性商品が、近年、建物の外装に多用され、今後も各製品、各分野で増加していくであろうと予想される。
【0007】
このような建築業界全体における機能性重視傾向の流れのなか、外装材に求められるニーズは、何より劣化を誘発する原因となる付着した汚れを取り除くことが第一に考えられ、埃、水アカ、藻などの付着力を、紫外線の反応により徐々に弱めていき、劣化を大幅に軽減されるような、設計・製造に移行されている。
【0008】
関連技術として本出願人は、建築構造物における外装材の腐食欠落個所の塗装補修手段として、下記特許文献1の技術を開発している。特許文献1には、所定の厚さに塗付したプライマリー処理層を形成する下塗り処理層と、前記下塗り処理層の表面部に所定の厚さに塗付した着色耐久化処理層を形成する中塗り処理層があり、さらに前記中塗り処理層の上面部に、所定の厚さに塗付した上塗り処理層を形成せしめた外装材の腐食欠落個所以外の腐食欠落個所の塗装補修手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3237194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記した従来の背景技術を解決するため、経年劣化によるメンテナンス、いわゆるリフォーム工事があるが、光触媒外装に関する改修方法としては、張り替え、取り替え、カバーリングといった工事で改修が可能であるが、しかしこのような工事は、工事費用が高額になることで敬遠されるケースも多く、比較的安価な塗装による塗り替えで、美観の維持、建物の保全を選択されるケースが多く行われてきた。
【0011】
しかし、光触媒による表面処理が施されている外壁又は屋根材の外装材には汚れと同様に紫外線透過により塗料の付着力も徐々に弱めていく欠陥があり、さらに塗装施工完了後、一定期間ののち塗装が剥がれる事象が全国的に頻発している。
【0012】
そして、その発生率は、非常に高く、該要因を調査してみたところ、塗料メーカーは、現状の試行錯誤の段階で「光触媒対応」の塗料を一般に販売しているものの、付着力の効果が、今後も絶対とは言えない、あくまでも対応のみとの見解である。
【0013】
さらに、外壁メーカーの見解に至っては、「将来の塗り替えによるメンテナンスのことを考慮して、製品を製造していない」という方針で光触媒外壁に対して、塗装で改修する方法は、現状では大変リスキーな選択肢となっている。
【0014】
また、光触媒外装材が、一般的に流通され始め20年近く経過した今日、ノーメンテナンスの建物には、色褪せ、凍害、劣化による剥がれといった改修が必要となっている物件も多く見られ、現状メンテナンス対策に苦慮している状態である。
【0015】
しかるに、本発明が解決しようとする課題は、前記特許文献1に開示されている建築構造物である外壁又は屋根材の外装材の下地材にコーティングする下塗り処理層と、該層の上面部に塗着した中塗り処理層と、該中塗り処理層の上面部に塗着した上塗り処理層では、第1に、紫外線に反応するまで、一定期間塗料が付着している特性を有し、第2に紫外線反応後は、塗装の付着力が徐々に弱まっていき、剥離が始まると云う2つの特性を考慮し、建築物(外壁などの被塗物)に塗着せしめた塗装を、ビス等の固定具で固定する工法によって、長期間剥離を防止せしめると共に、建築構造物である外壁又は屋根材の外装材の色褪せ、凍害、劣化による剥がれを長期間に亘り防止することである。
【0016】
さらに、本発明が解決しようとする課題は、塗装密着力低下に伴う剥離に限らず、水分、油分による層間剥離をも同時に防止する。
【0017】
また、接着剤又は接着テープを被塗物に塗ったり、貼着すると共に、前記したビス又は釘等は、下塗り上辺より上部であれば、どこでも設置可として、前記と同じく建築構造物である外壁又は屋根材の外装材の色褪せ、凍害、劣化による剥がれを長期間に亘り防止できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明における課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、 予め光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材aの塗装剥離防止構造であって、
前記光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材aの表面部1に、所定厚さの塗装層cが形成され、前記塗装層cの表面部1に塗装剥離防止用の固定具bの先端部が、前記外壁の外装材aに到達する深さまで打ち込まれるか、もしくは差し込まれて成ることを特徴とする、光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造である。
【0019】
課題を解決するための手段として、請求項2に記載の発明は、前記塗装剥離防止用の固定具bの頭部6、7、8が、前記外壁又は屋根材の外装材aの表面部1より突出して打ち込まれるか、もしくは差し込まれて成ることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造。
である。
【0020】
課題を解決するための手段として、請求項3に記載の発明は、予め光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材aの塗装剥離防止構造であって、
前記光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材aの表面部1に、塗装剥離防止用の接着剤又は両面接着テープが塗着又は貼着され、前記接着剤又は両面接着テープの上面に塗装層が形成されて成ることを特徴とする、光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造である。
【0021】
課題を解決するための手段として、請求項4に記載の発明は、前記外壁又は屋根材の外装材a又は塗装層cの表面部に、仕上げ塗料dが施されて成ることを特徴とする、請求項1又はに記載した光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造である。
【0022】
課題を解決するための手段として、請求項5に記載の発明は、前記塗装剥離防止用の固定具bが、ビス2又は釘3又はボルト4又はリベット又はタッカー針であることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造である。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、上述のとおりの構成なので、予め光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の表面部に、打ち込まれたビス又はネジ又はリベット又はボルト又は接着された接着剤又は接着テープ等の塗装剥離防止用の固定具によって、塗装層の剥離を長期間に亘り発生せしめない利点がある。
【0024】
さらに、本発明は、光触媒を塗着せしめた建築構造物の外壁又は屋根材の外装材の取替交換・塗装塗り替えを長期間不要とし、そのためメンテナンス間隔を飛躍的に向上せしめる利点がある。
【0025】
本発明はまた、上述のとおりであって、建築構造物の外壁又は屋根材の外装材を長期間に亘り外壁表面処理の性能を損なうことなく、汚れにくく、美観を維持できる利点がある。
【0026】
加えて、前記光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材に、所定の厚さの厚い塗装層が形成されているので、前記塗装層は剥離しにくく、そのためメンテナンス間隔を飛躍的に向上させることができると共に、防汚等の光触媒効果をも有している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】光触媒がコーティングされた外装材を示した正面図である。
【0028】
図2図1の外装材の表面部にビスを打込んだ状態を示した正面図である。
【0029】
図3図2の状態から仕上げ塗料を塗着した外装材を示した正面図である。
【0030】
図4A】外装材の表面部に塗装した塗装層にネジを打込み、前記ネジの上面に仕上げ塗料が施されている状態の一部切欠縦断面図である。
【0031】
図4B】外装材の表面部に塗装した塗装層にボルトを打込み、前記ボルトの上面に仕上げ塗料が施されている状態の一部切欠縦断面図である。
【0032】
図4C】外装材の表面部に塗装した塗装層に釘を打込み、前記釘の上面に仕上げ塗料が施されている状態の一部切欠縦断面図である。
【0033】
図4D】外装材の表面部に塗装した塗装層に接着テープを接着した状態の一部切欠縦断面図である。
【0034】
図5】従来の光触媒がコーティングされた外装材において、塗装が剥がれた状態を示した正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の請求項1~に記載の光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造の好適な実施形態を、以下図面にしたがって説明する。
【0036】
図において、符号aは屋根や外壁等の外装材を示しており、以下の構成から成っている。
【0037】
本実施形態の外装材aに対し、予め光触媒がコーティングされた該外装材aの表面部1に直接、又は塗装して形成した塗装層cの表面部1に、塗装剥離防止用の固定具bであるビス2(図4A)もしくは釘3(図4C)もしくはボルト4(図4B)の何れかを、各先端部2a、3a、4aが外装材aに到達する深さまで打込むか差し込む。その際、前記塗装剥離防止用の固定具bの頭部6、7、8は、外装材aの表面部1又は前記塗装層cの表面部に突出させた状態で好適に実施される。なお、前記塗装剥離防止用の固定具bとして、図示を省略したリベットやタッカー針を使って実施することも可能である(但し、固定具bはこれらに限定されない)。
【0038】
さらに、前記光触媒がコーティングされた外装材aの表面部1又は塗装層cの上に打ち込むか、もしくは差し込んだ塗装剥離防止用の固定具bの頭部6、7、8上に、仕上げ塗料dをコーティング(塗着)する実施形態でも好適に採用される。
【0039】
図において、符号5は前記外装材aの表面部1に接着した接着テープを示している。この接着テープ5は、接着面が片面もしくは両面の何れでもよい。
【0040】
接着テープ5は、前記外装材aの表面部1に所定間隔おきに貼着し、貼着時の間隔は限定しない。
【0041】
さらに本発明は、前記接着テープ5が貼着された外装材aの表面部1の全体に前記と同様の塗装層cを塗装する形態で実施される。
【0042】
なお、図4Dでは、接着テープ5だけが図示されているが、前記固定具bのビス2、釘3、ボルト4等を同時に使用してもよい。
【0043】
したがって、前記外装材aの表面部1に直接、又は所定の厚さに塗装した塗装層cに対し、塗装剥離防止用の固定具bを打ち込んだり、接着テープ5を貼着することによって、前記塗装層cの剥離を長期間に亘って防止できる。
【0044】
上記のような本発明の塗装剥離防止構造によれば、図5に従来例を示したような、光触媒がコーティングされた従来の外装材eの塗装が経年劣化で剥れて、剥がれ片9が生じることはない。
【0045】
異なる実施形態として、図示を省略するが、前記外壁又は屋根材の外装材aの表面部1に光触媒が含有された光触媒塗料が施され、前記光触媒塗料の表面部に塗装剥離防止用の固定具bを打ち込む実施形態も採用可能である。
【0046】
以上本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0047】
a 外装材
b 固定具
c 塗装層
d 仕上げ塗料
1 表面部
2 ビス
2a 先端部
3 釘
3a 先端部
4 ボルト
4a 先端部
5 接着テープ
6 ビスの頭部
7 ボルトの頭部
8 釘の頭部
9 剥がれ片
e 従来の外装材
【手続補正書】
【提出日】2023-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造であって、
前記光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の表面部に、所定厚さの塗装層が形成され、前記塗装層の表面部に塗装剥離防止用の固定具の先端部が、前記外壁の外装材に到達する深さまで打ち込まれるか、もしくは差し込まれて成ることを特徴とする、光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項2】
前記塗装剥離防止用の固定具の頭部が、前記外壁又は屋根材の外装材の表面部より突出して打ち込まれるか、もしくは差し込まれて成ることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項3】
予め光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造であって、
前記光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の表面部に、塗装剥離防止用の接着剤又は両面接着テープが塗着又は貼着され、前記接着剤又は両面接着テープの上面に塗装層が形成されて成ることを特徴とする、光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項4】
記塗装層の表面部に、仕上げ塗料が施されて成ることを特徴とする、請求項1又は3に記載した光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造。
【請求項5】
前記塗装剥離防止用の固定具が、ビス又は釘又はボルト又はリベット又はタッカー針であることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒がコーティングされた外壁や屋根等の外装材の塗装剥離防止構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物に使用される窯業系サイディングの表面処理方法として、近年多く用いられているのが光触媒のコーティング技術である。
【0003】
これまで建築外装の表面処理においては、様々な技術開発を駆使しながらも、防汚機能といった目的に対しては限界があり、ある一定期間を経過すると汚れが付着してしまうのが実情であった。
【0004】
現在でも各外装材メーカー、開発研究室などは競い合い、長期間にわたり外壁表面処理の性能を損なうことなく、汚れにくく、美観を維持できる外装材を日夜研究開発している。
【0005】
その様な背景の中、取替交換・塗装塗り替えを長期間必要とせず、メンテナンス間隔を飛躍的に向上させる手段が開発された。それが、光触媒で外壁などの外装材をコーティングするという技術である。
【0006】
現在は、窯業系サイディングを主に用いられているが、実際従来の製品(親水性防汚、シリコン、フッ素防汚など)と比較しても、自然下での耐久性は、目視で約2~5倍は長く、塗料メーカー・外壁メーカーの試験結果においても、大幅な高耐久・高性能を発揮する機能性商品が、近年、建物の外装に多用され、今後も各製品、各分野で増加していくであろうと予想される。
【0007】
このような建築業界全体における機能性重視傾向の流れのなか、外装材に求められるニーズは、何より劣化を誘発する原因となる付着した汚れを取り除くことが第一に考えられ、埃、水アカ、藻などの付着力を、紫外線の反応により徐々に弱めていき、劣化を大幅に軽減されるような、設計・製造に移行されている。
【0008】
関連技術として本出願人は、建築構造物における外装材の腐食欠落個所の塗装補修手段として、下記特許文献1の技術を開発している。特許文献1には、所定の厚さに塗付したプライマリー処理層を形成する下塗り処理層と、前記下塗り処理層の表面部に所定の厚さに塗付した着色耐久化処理層を形成する中塗り処理層があり、さらに前記中塗り処理層の上面部に、所定の厚さに塗付した上塗り処理層を形成せしめた外装材の腐食欠落個所以外の腐食欠落個所の塗装補修手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3237194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記した従来の背景技術を解決するため、経年劣化によるメンテナンス、いわゆるリフォーム工事があるが、光触媒外装に関する改修方法としては、張り替え、取り替え、カバーリングといった工事で改修が可能であるが、しかしこのような工事は、工事費用が高額になることで敬遠されるケースも多く、比較的安価な塗装による塗り替えで、美観の維持、建物の保全を選択されるケースが多く行われてきた。
【0011】
しかし、光触媒による表面処理が施されている外壁又は屋根材の外装材には汚れと同様に紫外線透過により塗料の付着力も徐々に弱めていく欠陥があり、さらに塗装施工完了後、一定期間ののち塗装が剥がれる事象が全国的に頻発している。
【0012】
そして、その発生率は、非常に高く、該要因を調査してみたところ、塗料メーカーは、現状の試行錯誤の段階で「光触媒対応」の塗料を一般に販売しているものの、付着力の効果が、今後も絶対とは言えない、あくまでも対応のみとの見解である。
【0013】
さらに、外壁メーカーの見解に至っては、「将来の塗り替えによるメンテナンスのことを考慮して、製品を製造していない」という方針で光触媒外壁に対して、塗装で改修する方法は、現状では大変リスキーな選択肢となっている。
【0014】
また、光触媒外装材が、一般的に流通され始め20年近く経過した今日、ノーメンテナンスの建物には、色褪せ、凍害、劣化による剥がれといった改修が必要となっている物件も多く見られ、現状メンテナンス対策に苦慮している状態である。
【0015】
しかるに、本発明が解決しようとする課題は、前記特許文献1に開示されている建築構造物である外壁又は屋根材の外装材の下地材にコーティングする下塗り処理層と、該層の上面部に塗着した中塗り処理層と、該中塗り処理層の上面部に塗着した上塗り処理層では、第1に、紫外線に反応するまで、一定期間塗料が付着している特性を有し、第2に紫外線反応後は、塗装の付着力が徐々に弱まっていき、剥離が始まると云う2つの特性を考慮し、建築物(外壁などの被塗物)に塗着せしめた塗装を、ビス等の固定具で固定する工法によって、長期間剥離を防止せしめると共に、建築構造物である外壁又は屋根材の外装材の色褪せ、凍害、劣化による剥がれを長期間に亘り防止することである。
【0016】
さらに、本発明が解決しようとする課題は、塗装密着力低下に伴う剥離に限らず、水分、油分による層間剥離をも同時に防止する。
【0017】
また、接着剤又は接着テープを被塗物に塗ったり、貼着すると共に、前記したビス又は釘等は、下塗り上辺より上部であれば、どこでも設置可として、前記と同じく建築構造物である外壁又は屋根材の外装材の色褪せ、凍害、劣化による剥がれを長期間に亘り防止できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明における課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、予め光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材aの塗装剥離防止構造であって、
前記光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材aの表面部1に、所定厚さの塗装層cが形成され、前記塗装層cの表面部1に塗装剥離防止用の固定具bの先端部が、前記外壁の外装材aに到達する深さまで打ち込まれるか、もしくは差し込まれて成ることを特徴とする、光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造である。
【0019】
課題を解決するための手段として、請求項2に記載の発明は、前記塗装剥離防止用の固定具bの頭部6、7、8が、前記外壁又は屋根材の外装材aの表面部1より突出して打ち込まれるか、もしくは差し込まれて成ることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造。
である。
【0020】
課題を解決するための手段として、請求項3に記載の発明は、予め光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材aの塗装剥離防止構造であって、
前記光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材aの表面部1に、塗装剥離防止用の接着剤又は両面接着テープが塗着又は貼着され、前記接着剤又は両面接着テープの上面に塗装層が形成されて成ることを特徴とする、光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造である。
【0021】
課題を解決するための手段として、請求項4に記載の発明は、前記塗装層cの表面部に、仕上げ塗料dが施されて成ることを特徴とする、請求項1又は3に記載した光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造である。
【0022】
課題を解決するための手段として、請求項5に記載の発明は、前記塗装剥離防止用の固定具bが、ビス2又は釘3又はボルト4又はリベット又はタッカー針であることを特徴とする、請求項1に記載した光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の塗装剥離防止構造である。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、上述のとおりの構成なので、予め光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材の表面部に、打ち込まれたビス又はネジ又はリベット又はボルト又は接着された接着剤又は接着テープ等の塗装剥離防止用の固定具によって、塗装層の剥離を長期間に亘り発生せしめない利点がある。
【0024】
さらに、本発明は、光触媒を塗着せしめた建築構造物の外壁又は屋根材の外装材の取替交換・塗装塗り替えを長期間不要とし、そのためメンテナンス間隔を飛躍的に向上せしめる利点がある。
【0025】
本発明はまた、上述のとおりであって、建築構造物の外壁又は屋根材の外装材を長期間に亘り外壁表面処理の性能を損なうことなく、汚れにくく、美観を維持できる利点がある。
【0026】
加えて、前記光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材の外装材に、所定の厚さの厚い塗装層が形成されているので、前記塗装層は剥離しにくく、そのためメンテナンス間隔を飛躍的に向上させることができると共に、防汚等の光触媒効果をも有している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】光触媒がコーティングされた外装材を示した正面図である。
【0028】
図2図1の外装材の表面部にビスを打込んだ状態を示した正面図である。
【0029】
図3図2の状態から仕上げ塗料を塗着した外装材を示した正面図である。
【0030】
図4A】外装材の表面部に塗装した塗装層にネジを打込み、前記ネジの上面に仕上げ塗料が施されている状態の一部切欠縦断面図である。
【0031】
図4B】外装材の表面部に塗装した塗装層にボルトを打込み、前記ボルトの上面に仕上げ塗料が施されている状態の一部切欠縦断面図である。
【0032】
図4C】外装材の表面部に塗装した塗装層に釘を打込み、前記釘の上面に仕上げ塗料が施されている状態の一部切欠縦断面図である。
【0033】
図4D】外装材の表面部に塗装した塗装層に接着テープを接着した状態の一部切欠縦断面図である。
【0034】
図5】従来の光触媒がコーティングされた外装材において、塗装が剥がれた状態を示した正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の請求項1~5に記載の光触媒がコーティングされた外壁又は屋根材外装材の塗装剥離防止構造の好適な実施形態を、以下図面にしたがって説明する。
【0036】
図において、符号aは屋根や外壁等の外装材を示しており、以下の構成から成っている。
【0037】
本実施形態の外装材aに対し、予め光触媒がコーティングされた該外装材aの表面部1に直接、又は塗装して形成した塗装層cの表面部1に、塗装剥離防止用の固定具bであるビス2(図4A)もしくは釘3(図4C)もしくはボルト4(図4B)の何れかを、各先端部2a、3a、4aが外装材aに到達する深さまで打込むか差し込む。その際、前記塗装剥離防止用の固定具bの頭部6、7、8は、外装材aの表面部1又は前記塗装層cの表面部に突出させた状態で好適に実施される。なお、前記塗装剥離防止用の固定具bとして、図示を省略したリベットやタッカー針を使って実施することも可能である(但し、固定具bはこれらに限定されない)。
【0038】
さらに、前記光触媒がコーティングされた外装材aの表面部1又は塗装層cの上に打ち込むか、もしくは差し込んだ塗装剥離防止用の固定具bの頭部6、7、8上に、仕上げ塗料dをコーティング(塗着)する実施形態でも好適に採用される。
【0039】
図において、符号5は前記外装材aの表面部1に接着した接着テープを示している。この接着テープ5は、接着面が片面もしくは両面の何れでもよい。
【0040】
接着テープ5は、前記外装材aの表面部1に所定間隔おきに貼着し、貼着時の間隔は限定しない。
【0041】
さらに本発明は、前記接着テープ5が貼着された外装材aの表面部1の全体に前記と同様の塗装層cを塗装する形態で実施される。
【0042】
なお、図4Dでは、接着テープ5だけが図示されているが、前記固定具bのビス2、釘3、ボルト4等を同時に使用してもよい。
【0043】
したがって、前記外装材aの表面部1に直接、又は所定の厚さに塗装した塗装層cに対し、塗装剥離防止用の固定具bを打ち込んだり、接着テープ5を貼着することによって、前記塗装層cの剥離を長期間に亘って防止できる。
【0044】
上記のような本発明の塗装剥離防止構造によれば、図5に従来例を示したような、光触媒がコーティングされた従来の外装材eの塗装が経年劣化で剥れて、剥がれ片9が生じることはない。
【0045】
異なる実施形態として、図示を省略するが、前記外壁又は屋根材の外装材aの表面部1に光触媒が含有された光触媒塗料が施され、前記光触媒塗料の表面部に塗装剥離防止用の固定具bを打ち込む実施形態も採用可能である。
【0046】
以上本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0047】
a 外装材
b 固定具
c 塗装層
d 仕上げ塗料
1 表面部
2 ビス
2a 先端部
3 釘
3a 先端部
4 ボルト
4a 先端部
5 接着テープ
6 ビスの頭部
7 ボルトの頭部
8 釘の頭部
9 剥がれ片
e 従来の外装材