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特開2024-51200ドット文字の品質検査方法及びドット文字の品質検査システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051200
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ドット文字の品質検査方法及びドット文字の品質検査システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20240404BHJP
   G01N 21/89 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G06T1/00 310A
G01N21/89 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157238
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】506225949
【氏名又は名称】株式会社ヴイ・エス・テクノロジ-
(74)【代理人】
【識別番号】100167645
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 一弘
(72)【発明者】
【氏名】角田 航洋
【テーマコード(参考)】
2G051
5B057
【Fターム(参考)】
2G051AB11
2G051CA04
2G051DA06
2G051EB01
2G051EC06
2G051ED04
2G051ED11
2G051ED23
5B057AA12
5B057BA02
5B057CA06
5B057CA12
5B057CB06
5B057CB12
5B057DA03
5B057DA07
5B057DB02
5B057DB08
5B057DC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ドット文字を構成するドット形状の変形を考慮したドット文字良否判定精度の高いパターンマッチング法を提供する。
【解決手段】方法は、撮像手段が撮像した一群の撮像ドット文字画像から個別のドット文字画像を選択する印字ドット文字選択過程と、ドット文字選択過程で選択されたドット文字画像を構成する各ドット画像及び対応する標準ドット文字画像を構成する各ドット画像から各ドット画像の中心座標を算出するドット中心算出過程と、ドット中心算出過程で算出した各ドット画像の中心座標に基づいて検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を作成する検査用ドット文字画像作成過程と、検査用ドット文字画像作成過程で作成した検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を照合して、照合度を算出する照合度算出過程と、照合度算出過程で算出した照合度に基づき撮像ドット文字画像の良否判定を行う良否判定過程からなる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段が撮像した撮像ドット文字画像と、情報記憶部に格納された標準ドット文字画像を照合して、前記撮像ドット文字画像の良否判定を行うドット文字画像検査方法であって、
前記撮像ドット文字画像を構成する各ドット画像及び標準ドット文字画像を構成する各ドット画像から各ドット画像の中心座標を算出するドット中心算出過程と、
前記ドット中心算出過程で算出した各ドット画像の中心座標に基づいて検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を作成する検査用ドット文字画像作成過程と、
前記検査用ドット文字画像作成過程で作成した検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を照合して、照合度を算出する照合度算出過程と、
前記照合度算出過程で算出した照合度に基づき撮像ドット文字画像の良否判定を行う良否判定過程と
からなることを特徴とするドット文字画像検査方法。
【請求項2】
撮像手段が撮像した一群の撮像ドット文字画像と、情報記憶部に格納された対応する一群の標準ドット文字画像を照合して、前記一群の撮像ドット文字画像の良否判定を行うドット文字画像検査方法であって、
撮像手段が撮像した一群の撮像ドット文字画像から個別のドット文字画像を選択するドット文字選択過程と、
前記ドット文字選択過程で選択されたドット文字画像を構成する各ドット画像及び対応する標準ドット文字画像を構成する各ドット画像から各ドット画像の中心座標を算出するドット中心算出過程と、
前記ドット中心算出過程で算出した各ドット画像の中心座標に基づいて検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を作成する検査用ドット文字画像作成過程と、
前記検査用ドット文字画像作成過程で作成した検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を照合して、照合度を算出する照合度算出過程と、
前記照合度算出過程で算出した照合度に基づき撮像ドット文字画像の良否判定を行う良否判定過程と
からなることを特徴とするドット文字画像検査方法。
【請求項3】
前記ドット中心算出過程は、2値化した撮像ドット文字画像及び情報記憶部に格納された標準ドット文字画像それぞれについて、前記撮像ドット文字画像及び標準ドット文字画像を構成する各ドット画像の最大内接円の中心座標を算出する過程であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載するドット文字画像検査方法。
【請求項4】
ワークに印字されたドット文字を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した撮像ドット文字画像を画像処理する画像処理部と、
前記画像処理部で画像処理した撮像ドット文字画像及び情報記憶部に格納された標準ドット文字画像の各ドット画像の中心座標を算出するドット中心算出部と、
前記ドット中心算出部で算出された中心座標に基づいて、検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を作成する検査画像作成部と、
前記検査画像作成部で作成された検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を照合して照合度を算出する照合度算出部と、
前記照合度算出部で算出した照合度に基づき前記ワークに印字されたドット文字の良否を判定するドット文字判定部と、
を備えるドット文字画像検査システム。
【請求項5】
前記ドット中心算出部によるドット中心座標の算出値は、2値化した撮像ドット文字画像及び情報記憶部に格納された標準ドット文字画像を、各ドット画像の最大内接円の中心値であることを特徴とする請求項4に記載したドット文字画像検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、食品、医薬品の製造年月日表示として刻印されているドット文字の認識方法及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、医薬品の製造年月日表示としてドット文字が刻印されている。ドット文字は各ドットが文字構成上の特徴を有しているため、撮像手段により取得したドット文字を2値化等の画像処理を行って、登録したドット文字形状とのパターンマッチングを行って識別している(特許文献1)。パターンマッチング法は、撮像ドット文字と登録ドット文字との差異を正規化処理して数値化して、良否判定を行うものである。しかしながら、ドット形状の変形(傾き、かすれ、にじみ等)により正規化処理した数値が適切でなく良否判定に誤りが生じるというという問題がある。
【0003】
特許文献2には、検出したドット文字画像からXY方向の走査により最大濃度位置を検出して各ドットが識別用マスク内に存在するかにより、ドット文字の良否を判定する方法が開示されている。
しかしながら、ドット文字の良否判定のみでは刻印されているドット文字の不良低減することができない。このため、良品と不良品の数値差を拡大して良否判定のグレー部分を減らすことで数値化された文字品質数値を使用し、工程・装置の改善にも役立て源流管理を支援することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63-189985号公報
【特許文献2】特開平06-274689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、ドット文字を構成するドット形状の変形を考慮したドット文字良否判定精度の高いパターンマッチング法を提供し、ドット文字の印字レベルを数値化してドット文字の印字レベルを定常的に監視する源流管理システムを提供することにある。特に、良品と不良品の数値差を拡大して良否判定のグレー部分を減らすことで数値化された文字品質数値を使用し、工程・装置の改善にも役立て源流管理を支援することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の課題は、以下の態様(1)乃至(5)により解決できる。具体的には、
【0007】
(態様1) 撮像手段が撮像した撮像ドット文字画像と、情報記憶部に格納された標準ドット文字画像を照合して、前記撮像ドット文字画像の良否判定を行うドット文字画像検査方法であって、前記撮像ドット文字画像を構成する各ドット画像及び標準ドット文字画像を構成する各ドット画像から各ドット画像の中心座標を算出するドット中心算出過程と、前記ドット中心算出過程で算出した各ドット画像の中心座標に基づいて検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を作成する検査用ドット文字画像作成過程と、前記検査用ドット文字画像作成過程で作成した検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を照合して、照合度を算出する照合度算出過程と、前記照合度算出過程で算出した照合度に基づき撮像ドット文字画像の良否判定を行う良否判定過程とからなることを特徴とするドット文字画像検査方法である。
ドット中心算出過程で算出した各ドット画像の中心座標に基づいて検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を作成する検査用ドット文字画像作成過程により、ドット文字良否判定の精度が向上するからである。
【0008】
(態様2) 撮像手段が撮像した一群の撮像ドット文字画像と、情報記憶部に格納された対応する一群の標準ドット文字画像を照合して、前記一群の撮像ドット文字画像の良否判定を行うドット文字画像検査方法であって、撮像手段が撮像した一群の撮像ドット文字画像から個別のドット文字画像を選択するドット文字選択過程と、前記ドット文字選択過程で選択されたドット文字画像を構成する各ドット画像及び対応する標準ドット文字画像を構成する各ドット画像から各ドット画像の中心座標を算出するドット中心算出過程と、前記ドット中心算出過程で算出した各ドット画像の中心座標に基づいて検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を作成する検査用ドット文字画像作成過程と、前記検査用ドット文字画像作成過程で作成した検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を照合して、照合度を算出する照合度算出過程と、前記照合度算出過程で算出した照合度に基づき撮像ドット文字画像の良否判定を行う良否判定過程とからなることを特徴とするドット文字画像検査方法である。
一群の撮像ドット文字画像についても、 ドット中心算出過程で算出した各ドット画像の中心座標に基づいて検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を作成する検査用ドット文字画像作成過程により、ドット文字良否判定の精度が向上するからである。
【0009】
(態様3) 前記ドット中心算出過程は、2値化した撮像ドット文字画像及び情報記憶部に格納された標準ドット文字画像それぞれについて、前記撮像ドット文字画像及び標準ドット文字画像を構成する各ドット画像の最大内接円の中心座標を算出する過程であることを特徴とする態様1または態様2のいずれかに記載するドット文字画像検査方法である。
各ドット画像の最大内接円の中心座標を算出する方法は、処理が容易だからである。
【0010】
(態様4) ワークに印字されたドット文字を撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した撮像ドット文字画像を画像処理する画像処理部と、前記画像処理部で画像処理した撮像ドット文字画像及び情報記憶部に格納された標準ドット文字画像の各ドット画像の中心座標を算出するドット中心算出部と、前記ドット中心算出部で算出された中心座標に基づいて、検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を作成する検査画像作成部と、前記検査画像作成部で作成された検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を照合して照合度を算出する照合度算出部と、前記照合度算出部で算出した照合度に基づき前記ワークに印字されたドット文字の良否を判定するドット文字判定部と、を備えるドット文字画像検査システムである。
ドット中心算出部で算出した各ドット画像の中心座標に基づいて検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を作成する検査画像作成部を備えたドット文字画像検査システムとすることで、ドット文字良否判定の精度が向上するからである。
【0011】
(態様5) 前記ドット中心算出部によるドット中心座標の算出値は、2値化した撮像ドット文字画像及び情報記憶部に格納された標準ドット文字画像を、各ドット画像の最大内接円の中心値であることを特徴とする態様4に記載したドット文字画像検査システムである。
各ドット画像の最大内接円の中心座標を算出する方法は、処理が容易だからである。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、ドット文字を構成するドット形状の変形を考慮したドット文字良否判定精度の高いパターンマッチング法を提供できる。また、ドット文字の印字レベルを数値化してドット文字の印字レベルを定常的に監視する源流管理システムを提供できる。
本発明によれば、良品と不良品の数値差を拡大して良否判定のグレー部分を減らすことで数値化された文字品質数値を使用し、工程・装置の改善にも役立て源流管理を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願発明のドット文字品質検査方法の実施態様の動作手順図である。
図2】本願発明のドット文字品質検査方法の実施態様の動作手順を従来技術と対比した説明図である。
図3】本願発明のドット文字品質検査システムの実施態様のシステム構成図である。
図4】本願発明のドット文字品質検査方法の他の実施態様の動作手順図である。
図5】本願発明のドット文字品質検査方法のドット画像の最大内接円の中心座標(X,Y)をドット中心値する算出方法の説明図である。
図6】本願発明のドット文字品質検査方法のドットの照合度算出例を示す説明図である。
図7】本願発明のドット文字品質検査方法のドット文字の照合度算出例を示す説明図である。
図8】本願発明のドット文字品質検査方法の手順を示すフロー図である。
図9】本願発明のドット文字品質検査方法により算出したドット文字照合度基と従来のパターンマッチング法に基づく照合度とを対比した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。ただし、図面は実施形態の一例であり、これに限定されるものではない。
【0015】
1.ドット文字品質検査方法
図1は、本願発明のドット文字品質検査方法の実施態様の動作手順図であり、図2は、本願発明のドット文字品質検査方法の実施態様の動作手順を従来技術と対比した説明図である。図3は、本願発明のドット文字品質検査システムの実施態様のシステム構成図である。
本願発明のドット文字品質検査方法は、検査ワーク1に印字されたドット文字を撮像してドット文字画像(以下、「撮像ドット文字画像」という。)を取得する印字ドット文字画像撮像過程(S01)と、撮像ドット文字画像及び情報記憶部12に格納された標準ドット文字画像(以下、単に「標準ドット文字画像」という。)について、撮像ドット文字画像を構成する各ドット画像及び標準ドット文字画像を構成する各ドット画像からドット画像の中心座標を算出するドット中心算出過程(S03)と、ドット中心算出過程(S03)で算出した各ドット画像の中心座標に基づいて検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を作成する検査用ドット文字画像作成過程(S04)と、検査用ドット文字画像作成過程(S04)で作成した検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像とを照合して照合度を算出する照合度算出過程(S05)と、照合度算出過程(S05)で算出した照合度に基づき撮像ドット文字画像の良否判定を行う良否判定過程(S06)とからなる。
図4は、本願発明のドット文字品質検査方法の他の実施態様の動作手順図であり、一群のドット文字、すなわち、文字列についての動作手順である。この実施態様では、撮像手段が撮像した一群の撮像ドット文字画像から個別のドット文字画像を選択するドット文字選択過程(S02)をドット中心算出過程(S03)に前置する。
以下、印字ドット文字画像撮像過程(S01)、ドット文字選択過程(S02)、ドット中心算出過程(S03)、検査用ドット文字画像作成過程(S04)、照合度算出過程(S05)、良否判定過程(S06)、ドット文字品質検査システム100の順に説明する。
【0016】
(1-1)印字ドット文字画像撮像過程(S01)
本願発明の印字ドット文字画像撮像過程(S01)は、検査ワーク1に印字されたドット文字を照明手段3と撮像手段2により撮像ドット文字画像として取得する過程である。
本願発明のドット文字品質検査方法及びドット文字品質検査システムの検査対象となる検査ワーク1は、ドット文字が印刷または刻印された物品であれば特に限定されない。具体的には、筒体(例、缶、瓶などの飲料容器)、シート材(紙、布、プラスチックフィルムなどの帯状物または枚葉物)がある。搬送手段により逐次検査を行う物品が好適である。ドット文字の印字状況を定常的に監視して印字不良の要因となる製造工程や製造設備を察知する源流管理の手段として、本願発明のドット文字品質検査方法及びドット文字品質検査システムが好適だからである。
【0017】
本願発明のドット文字品質検査方法及びドット文字品質検査システムに用いる撮像手段2は、照明手段3の後方に設けられている。撮像手段2は、反射光を光電変換して映像信号とする集積回路(IC:integrated circuits)を用いた撮像素子、具体的には、多数のホトダイオードを平面状のシリコン基板に並べたものが使われ、転送には電荷結合素子(CCD:charge-coupled device)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS (シーモス) :complementary metal oxide semiconductor)等の集積回路が使われる。検査ワーク1に印字されたドット文字を固体撮像素子の撮像面に結像させる光学系、固体撮像素子の出力を信号処理して画素ごとの輝度値を得る信号処理回路等で構成されている。ラインスキャンカメラ、エリアカメラを好適に用いることができる。
【0018】
印字ドット文字画像撮像過程(S01)で取得された撮像ドット文字画像は、画像処理部13で2値化される。
【0019】
(1-2)ドット文字選択過程(S02)
本願発明のドット文字選択過程(S02)は、2値化された一群の撮像ドット文字画像から1文字単位の領域を指定する。領域指定は、出力装置22の表示部(ディスプレイ)に表示される2値化された一群の撮像ドット文字画像から1文字を選択する。選択された1文字を撮像ドット文字画像とする。
選択された撮像ドット文字画像に対応する標準ドット文字画像を情報記憶部12から抽出する。
【0020】
(1-3)ドット中心算出過程(S03)
本願発明のドット中心算出過程(S03)は、選択された撮像ドット文字画像及び標準ドット文字画像それぞれについて、撮像ドット文字画像を構成する各ドット画像及び標準ドット文字画像を構成する各ドット画像から各ドット画像の中心座標を算出する過程である。
撮像ドット文字画像及び標準ドット文字画像それぞれについて各ドット画像を指定する。ドット画像の指定は、出力装置22の表示部(ディスプレイ)に表示される選択された撮像ドット文字画像及び標準ドット文字画像それぞれについてドット画像を選択する。
次いで、図5に示すように、選択されたドット画像について、ドット画像の最大内接円の中心座標(X,Y)をドットの中心値として算出する。ドット画像を中心座標(X,Y)とする最大内接円とするドット画像に補正処理することで、照合度算出時の撮像ドット文字画像及び標準ドット文字画像それぞれのドット変形による影響を排除できる。
【0021】
(1-4)検査用ドット文字画像作成過程(S04)
本願発明の検査用ドット文字画像作成過程(S04)は、照合度算出過程(S05)で照合度の算出の対象となる検査用ドット文字画像を作成する過程である。
ドット画像補正過程(S03)で補正した撮像ドット文字画像及び標準ドット文字画像を構成する各ドット画像(中心座標(X,Y)とする最大内接円)を基に検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を作成する。
【0022】
(1-5)照合度算出過程(S05)
本願発明の照合度算出過程(S05)は、検査用撮像ドット文字画像を構成する各ドット(画素の集合)と検査用標準ドット文字画像を構成する各ドット(画素の集合)の共通画素の割合を照合度(画素マッチング率)として算出する過程である。
すなわち、照合度=共通画素数/検査領域画素数 である。
図6は、ドットの照合度算出例を示す説明図である。(a)は本願発明のドット画像補正処理をした検査画像に基づく照合度の算出例であり、(b)は、従来技術であるドット画像補正処理をしない検査画像に基づく照合度の算出例である。ドットの検査領域画素数は、8×8=64である。(a)では、検査用撮像ドット画像のみにある画素数は7画素、検査用標準ドット画像のみにある画素数は7画素、したがって、照合度=共通画素数(64-(7+7))/検査領域画素数(64)で、照合度0.781となる。一方、(b)では、撮像ドット画像のみにある画素数は3画素、標準ドット画像のみにある画素数は0画素、したがって、照合度=共通画素数(64-(7+0))/検査領域画素数(64)で、照合度0.953となる。
図7は、ドット文字の照合度算出例を示す説明図である。ドット文字の照合度は、ドット文字を構成する各ドットの照合度値の標準偏差を算出して、ドット文字の照合度とする。
【0023】
(1-6)良否判定過程(S06)
本願発明の良否判定過程(S06)は、照合度算出過程(S05)で算出された照合度を照合度判定の基準値と対比して、撮像ドット文字画像の良否を判定する過程である。
良否判定結果は、出力装置22に表示され、印字工程へフィードバックされる。
【0024】
2.ドット文字品質検査システム
(2-1)外観検査システムの構成
図3は、本願発明の実施態様に用いるドット文字品質検査システム100の全体構成図である。本願発明のドット文字品質検査システム100は、検査ワーク1に印字されたドット文字(以下、「検査ドット文字」という。)を撮像して撮像ドット文字画像を取得する撮像手段2及び照明手段3と、撮像ドット文字画像から検査ドット文字品質を評価するドット文字評価部10と、ドット文字評価部10へ標準ドット文字画像等の情報を入力する入力装置21、ドット文字評価部10からのドット文字照合度等の情報を出力する出力装置22で構成され、それぞれインターフェース23で接続されている。
【0025】
(2-2)ドット文字評価部
本願発明のドット文字品質検査システム100のドット文字評価部10は、システム制御部11、情報記憶部12、画像処理部13、ドット中心算出部14、検査画像作成部15、照合度算出部16、ドット文字判定部17で構成される。
【0026】
(2-2-1)システム制御部
システム制御部11は、本願発明のドット文字品質検査システム100の全体を制御する機能を有する。プログラム制御されたCPU(Central Processing Unit)により情報記憶部12、画像処理部13、ドット中心算出部14、検査画像作成部15、照合度算出部16、ドット文字判定部17の機能を実行すると共に、入出力用の各種インターフェースである入力装置21、出力装置22により情報の入出力を行う。
【0027】
(2-2-2)情報記憶部
情報記憶部12は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。ROMは、CPUによって実行される検査方法プログラム等各種プログラムやこれらプログラムの実行時に必要なデータ(例、撮像ドット文字画像、標準ドット文字画像)を格納する。ROMに格納された各種プログラムやデータは、RAMにロードされて実行される。
【0028】
(2-2-3)画像処理部
画像処理部13は、撮像手段2からの映像信号(画像情報)を画像処理(2値化)して撮像ドット文字画像を作成する機能を有する。
【0029】
(2-2-4)ドット中心算出部
ドット中心算出部14は、画像処理部13が作成した撮像ドット文字画像及び情報記憶部13に格納された標準ドット文字画像を構成する各ドット画像それぞれについて、各ドット画像の最大内接円の中心座標(X,Y)を中心値として算出する機能を有する。
【0030】
(2-2-5)検査画像作成部
検査画像作成部15は、ドット中心算出部14が算出した中心座標(X,Y)とする最大内接円を各ドット画像として、検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を作成する機能を有する。
【0031】
(2-2-6)照合度算出部
照合度算出部16は、検査画像作成部15が作成した検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像に基づき検査用標準ドット文字画像に対する検査用撮像ドット文字画像の照合度を算出する機能を有する。
【0032】
(2-2-7)ドット文字判定部
ドット文字判定部17は、照合度算出部16が算出した照合度を基準照合度と比較して撮像ドット文字画像の合否を判定する機能を有する。
【0033】
3.ドット文字品質検査手順
図8は、本願発明のドット文字品質検査方法の手順を示すフロー図である。以下、図7に基づいて本願発明のドット文字品質検査方法を説明する。
【0034】
(3-1)検査ドット文字画像取得
検査ワーク1に印字された一群のドット文字を照明手段3と撮像手段2により撮像ドット文字画像として取得する(S01)。
【0035】
(3-2)検査ドット文字の選定
撮像ドット文字画像から、検査対象とするドット文字を含む画像領域を検査範囲として選定する(S02)。次いで、情報記憶部12に格納されている検査対象に対応する一群の標準ドット文字を選定する(S05)。
【0036】
(3-3)ドット中心算出
選定した撮像ドット文字画像及び標準ドット文字画像の各ドットについて、各ドット画像の最大内接円の中心座標(X,Y)を中心値として算出する(S03,S06)。
【0037】
(3-4)検査用ドット文字画像作成
撮像ドット文字画像及び標準ドット文字画像の各ドットについて算出した中心座標(X,Y)とする最大内接円を各ドット画像として、検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像を作成する(S04,S07)。
【0038】
(3-5)照合度算出
検査用撮像ドット文字画像及び検査用標準ドット文字画像のドット毎に照合度を算出し、算出した各照合度の標準偏差をドット文字の照合度として算出する(S08)。
【0039】
(3-6)判定
算出したドット文字の照合度を基準照合度と対比して、撮像ドット文字の良否を判定する(S09)。
【0040】
(3-7)判定情報の記憶と工程フィードバック
撮像ドット文字の良否判定結果を情報記憶部12に記憶する(S10)し、工程管理情報としてフィードバックする(S11)。
【0041】
(3-8)一群のドット文字検査
一群のドット文字の各ドット文字について、上記手順(S01~S11)を繰り返す。
【0042】
4.まとめ
図9は、本願発明のドット文字品質検査方法により算出したドット文字照合度基と従来のパターンマッチング法に基づく照合度とを対比した説明図である。
ドット中心算出に基づいてドットを補正後、補正処理した検査画像を作成した照合処理を行った本願発明は、従来法の照合処理のみに比べて良品と不良品との照合度の差異が明確となる。これにより、ドット文字良否判定精度の高いパターンマッチング法を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本願発明により、判定精度の高いドット文字品質検査を提供できる。
【符号の説明】
【0044】
100 ドット文字品質検査システム
1 検査ワーク
2 撮像手段
3 照明手段
10 ドット文字評価部
11 システム制御部
12 情報記憶部
13 画像処理部
14 画像中心算出部
15 検査画像作成部
16 照合度算出部
17 ドット文字判定部
18 信号伝達手段
21 入力装置
22 出力装置
23 インターフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9