(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051211
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】衛生用品包装体の製造方法、及び衛生用品包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/07 20170101AFI20240404BHJP
B65D 30/02 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B65D85/07 BRH
B65D30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157252
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】竹内 寅成
【テーマコード(参考)】
3E064
3E068
【Fターム(参考)】
3E064AA13
3E064BA27
3E064BA28
3E064BA30
3E064BA55
3E064BC18
3E064FA01
3E064HN05
3E068AA40
3E068AB02
3E068AB03
3E068BB05
3E068CC22
3E068CE03
3E068CE20
3E068EE40
(57)【要約】
【課題】持続可能な開発目標の達成に貢献できる衛生用品包装体の製造方法を提供する。
【解決手段】衛生用品包装体の製造方法が、衛生用品を作製する工程、前記衛生用品を、樹脂フィルムを含む包装材で包装する工程、及び前記樹脂フィルムの残材を収集する工程を含み、前記樹脂フィルムが、前記残材に由来する成分を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生用品を作製する工程、
前記衛生用品を、樹脂フィルムを含む包装材で包装する工程、及び
前記樹脂フィルムの残材を収集する工程を含み、
前記樹脂フィルムが、前記残材に由来する成分を含む、衛生用品包装体の製造方法。
【請求項2】
前記残材が、前記包装する工程における包装材の切断により生じるものである、請求項1に記載の衛生用品包装体の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂フィルムに含まれる樹脂がポリエチレンを主成分とする、請求項1又は2に記載の衛生用品包装体の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂フィルムにおける、前記残材に由来する成分の割合が2質量%以上である、請求項1又は2に記載の衛生用品包装体の製造方法。
【請求項5】
前記残材における印刷部の面積率が20%以下である、請求項1又は2に記載の衛生用品包装体の製造方法。
【請求項6】
衛生用品を作製する工程、
前記衛生用品を、樹脂フィルムを含む包装材で包装する工程、及び
前記樹脂フィルムの残材を収集する工程を含む方法によって製造され、
前記樹脂フィルムが、前記樹脂フィルムの残材に由来する成分を含む、衛生用品包装体。
【請求項7】
再生ポリエチレンを含む樹脂フィルムからなる包装袋に、複数の衛生用品が収容されてなる、衛生用品包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生用品包装体の製造方法、及び衛生用品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品、紙製品等の衛生用品は、包装袋内に複数収容された状態で、すなわち衛生用品包装体という形態で提供されるのが一般的である。そして、包装袋を構成する包装材の材料としては、ポリエチレン(PE)等の樹脂フィルムが知られている(特許文献1等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、衛生用品の分野においても、持続可能な社会の実現という観点から、再生材料の利用促進が求められている。しかしながら、当分野では、そのような取組みが十分に進んでいないのが実情である。それは一つには、包装袋には通常、全体的に印刷が施されていることに起因する。よって、例えば、衛生用品が取り出されて残された包装袋を利用して包装材を再生した場合、再生された包装材の色は、利用された包装袋の色に強く依存してしまうことになる。そのため、再生材料を用いて作製された包装材は、所望の色に印刷できない場合が多い。
【0005】
よって、本発明の一態様は、持続可能な開発目標の達成に貢献できる衛生用品包装体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様は、衛生用品包装体の製造方法が、衛生用品を作製する工程、前記衛生用品を、樹脂フィルムを含む包装材で包装する工程、及び前記樹脂フィルムの残材を収集する工程を含み、前記樹脂フィルムが、前記残材に由来する成分を含む。
【0007】
衛生用品包装体の製造においては、出来上がった衛生用品包装体の包装袋にならなかった樹脂フィルム材料、すなわち樹脂フィルムの残材(単に残材ともいう)が生じ得る。残材には通常、印刷が実質的に施されていないか、又は少なくとも包装袋上の印刷と同様の印刷は施されておらず、印刷部の面積率が低いものである。上記第一の態様によれば、このような残材を、次に製造される衛生用品包装体の包装材の再生のために利用するので、再生された包装材の色を、未再生材料(バージン材料ともいう)から作製された包装材に近い色に近付けることができる。そのため、再生された包装材は、製造者の所望に応じて様々な色に印刷することができる。これにより、衛生用品の分野においても材料の再利用を促し、持続可能な社会の実現のための取組みを推進することができる。また、本態様による方法では、衛生用品包装体の製造過程において収集される材料を利用するので、市場に流通後、消費者が衛生用品を消費した後に残された包装袋を回収して利用する場合に比べ、異物混入等も低減できる。
【0008】
本発明の第二の態様では、前記残材が、前記包装する工程における包装材の切断により生じるものである。
【0009】
衛生用品包装体の製造では、残材は主に、樹脂フィルムを含む包装材が切断される工程で生じる。切断工程で生じる残材は、包装材の切断位置及びその周辺部分である。このような包装材の切断位置及びその周辺部分は、切断位置の目安のため、包装袋となる部分に施されているような全体的な印刷が施されておらず、印刷部の面積率が低いことが多い。また、切断位置の近傍の部分は、包装袋の形成のための包装材の接合位置にもなっているので、包装材の切断位置及びその周辺部分は、接合時の接合強度の低下を防ぐ理由からも、印刷が施されていないか、又は、少なくとも包装袋となる部分に施されているような全体的な印刷が施されておらず、印刷部の面積率が低いことが多い。上記第二の態様によれば、残材のうち、切断の際に生じる包装材の切断位置及びその周辺部分の残材を利用することができるので、包装材の色を、未再生材料から作製された包装材に近い色に近付けることができ、そのために所望の印刷が可能になるという、上述の効果を向上できる。
【0010】
本発明の第三の態様では、前記樹脂フィルムに含まれる樹脂がポリエチレンを主成分とする。
【0011】
上記第三の態様によれば、ポリエチレンによって、十分な強度を有し、コスト及び製造時の操作性の観点からも優れた衛生用品用の包装袋を提供できる。
【0012】
本発明の第四の態様では、前記樹脂フィルムにおける、前記残材に由来する成分の割合が2質量%以上である。
【0013】
上記第四の態様によれば、再生材料の利用割合を増やすことができ、持続可能な社会の実現という観点から好ましい。
【0014】
本発明の第五の態様では、前記残材における印刷部の面積率が20%以下である。
【0015】
上記第五の態様によれば、得られる樹脂フィルムの色を、未再生材料から作製された樹脂フィルムに近い色に近付けることができるという上述の効果を一層向上できる。
【0016】
本発明の第六の態様は、衛生用品を作製する工程、前記衛生用品を、樹脂フィルムを含む包装材で包装する工程、及び前記樹脂フィルムの残材を収集する工程を含む方法によって製造され、前記樹脂フィルムが、前記樹脂フィルムの残材に由来する成分を含む、衛生用品包装体である。
【0017】
上記第六の態様によれば、第一の態様のよる効果と同様の効果を奏する衛生用品包装体を提供できる。
【0018】
本発明の第七の態様は、再生ポリエチレンを含む樹脂フィルムからなる包装袋に、複数の衛生用品が収容されてなる、衛生用品包装体である。
【0019】
上記第七の態様によれば、樹脂フィルム製の包装袋の再利用を推し進め、当分野での持続可能な社会の実現のための取組みを促すことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、持続可能な開発目標の達成に貢献する衛生用品包装体の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態による衛生用品包装体の製造方法のフロー図である。
【
図2】一実施形態による衛生用品包装体の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図3】樹脂フィルム製包装袋前駆体の部分的な拡大平面図である。
【
図4】衛生用品の包装(S20)について説明するためのフロー図である。
【
図5】樹脂フィルムの作製(S40)の一般的な工程について説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一形態は、衛生用品包装体の製造方法に係る。本明細書において、衛生用品には、吸収性物品、紙製品、及びその他のホーム・パーソナル製品、並びにペット用品が含まれる。吸収性物品としては、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー若しくはおりものシート、失禁用パッド等が挙げられ、紙製品としては、ティシューペーパー、キッチンペーパー若しくはキッチンタオル、ペーパータオル、トイレットティシュー、清浄用ワイプ、その他の家庭用又は人体用の薄葉紙製品等が挙げられる。ペット用品としては、猫砂、ペットシーツ、ペット用おむつ、ペット用ウエットシートが挙げられる。衛生用品包装体は、上記のような衛生用品が、好ましくは複数、包装袋に包装されてなるものである。衛生用品は、個別に包装された個装体であってもよい。また、衛生用品又は個装された衛生用品は包装袋内で圧縮されていてもよい。
【0023】
本形態によって製造される衛生用品包装体は、上記の衛生用品と、当該衛生用品を包装する包装材とから構成されたものである。また、本形態における包装材は、樹脂フィルムを含むものであってよい。よって、本形態では、包装材は、樹脂フィルムからなっていてもよいし、樹脂フィルムと、紙、不織布等の別の材料からなるフィルムとが、例えばラミネートされてなっていてもよい。但し、包装材は、好ましくは樹脂フィルムからなっていてよい。
【0024】
樹脂フィルムの材料である樹脂は、衛生用品を包装する包装袋として機能できるフィルムを構成できる樹脂であれば特に限定されないが、ポリエチレン(PE)(低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンを含む)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、等が挙げられる。このうち、ポリエチレン(PE)は、フィルム製造時及び包装袋製造時の操作性、並びにコストの面で好ましい。なお、樹脂フィルムの材料となる樹脂は、上記樹脂を一種又は二種以上組み合わせて用いることもできるが、樹脂の主成分がポリエチレンであることが好ましい。なお、本明細書において、「主成分である」とは、所定の成分が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上で含むことを指し、さらには、所定成分からなる又は所定成分から実質的になることを指す。
【0025】
樹脂フィルムには、樹脂以外に、安定剤、充填剤等の添加剤が含まれていてよい。また、本形態における樹脂フィルムの色(印刷されていない状態での色)は、白色、乳白色、又は透明である。
【0026】
図1に、本発明の一形態による衛生用品包装体の製造方法のフローの一例を示す。また、
図2に、衛生用品包装体の製造方法で用いられる製造装置300を模式的に示す。
図2の上側に断面図を、下側には上面図を示す。
図2では、例として、吸収性物品包装体の製造を示す。さらに、
図3に、
図2の上面図(
図2の下側)の部分拡大図を示す。
【0027】
図1及び
図2を参照しつつ、まず、従来の衛生用品包装体の製造について説明する。
図1に示すように、衛生用品包装体の製造は、衛生用品を作製する工程(S10)、作製された衛生用品を、樹脂フィルムを含む包装材で包装する工程(S20)、及び樹脂フィルムの残材を収集する工程(S30)を含んでいてよい。なお、
図2に示す衛生用品を包装するための形式は一例にすぎず、衛生用品の包装のためには、正ピロー包装、逆ピロー包装、縦ピロー包装、又はキャラメル包装等の公知の形式を用いることができる。
【0028】
衛生用品を作製する工程(S10)には、所望の衛生用品の公知の作製方法を利用することができる。
【0029】
衛生用品を包装する工程(S20)は、
図4に示すように、例えば、樹脂フィルムを含む包装材から長尺筒状の包装袋前駆体を形成する工程(S21)、包装体前駆体内に衛生用品を収容する工程(S22)、及び包装袋前駆体を、衛生用品のない位置で切断及び接合する工程(S23)を含んでいてよい。
【0030】
より具体的には、衛生用品を包装する工程(S20)は、
図2に示すように、後に包装袋10となる長尺の樹脂フィルム(包装材)10Sを準備し、樹脂フィルム10Sからなる樹脂フィルム製前駆体10Aを形成する(S21)。樹脂フィルム製前駆体10Aは、搬送方向Dtに送られる。樹脂フィルム製前駆体10Aは、長尺の樹脂フィルム10Sをその幅方向の端部同士で接合し、筒状とすることによって得ることができる。或いは、樹脂フィルム製前駆体10Aは、平面シート状の樹脂フィルムでなく、樹脂フィルムを長尺筒状に成形されたものであってもよい。長尺筒状の樹脂フィルム製前駆体10Aは、包装袋のマチ(ガゼット)に相当する部分を予め内部に折り込んだ状態で搬送部350により搬送することができ、またその状態で予めロールに巻かれて製造ラインに提供され、ロールから搬送部350へと繰り出すことができる。
【0031】
続いて、包装袋前駆体10Aの内部に、衛生用品を収容する(S22)。この収容の際には、包装袋前駆体10Aの開放された側から、複数の衛生用品1、1、…を収容する(詰める)ことができる。その際、平らにされていた包装袋前駆体10Aの内部に空気等を送り込む等して、衛生用品1、1、…が通る大きさの開放口を開けてもよい。
【0032】
衛生用品1、1、…の少なくとも収容後には、包装袋前駆体10Aを衛生用品のない位置で、搬送方向Dtに直交する直交方向に沿って切断し、封止された包装袋10が得られるように接合される(S23)。切断の際には、端材(トリムともいう)15が切り落とされる。本明細書では、端材15は、残材(後に詳述)に含まれるものとする。
【0033】
樹脂フィルム同士の接合には、ヒートシール、超音波シール、接着剤等を利用することができる。これらのうち、比較的操作が煩雑でなく、より確実な接合を形成できることからヒートシールが好ましい。
【0034】
包装袋前駆体10Aの接合及び切断(S23)は、包装袋前駆体10Aの上下に配置され、上下方向(厚み方向)に加圧及び/又は加熱可能な、接合及び/又は切断部310により行うことができる。接合及び/又は切断部310は、例えば、包装袋前駆体10Aの上下に配置され、上下方向(厚み方向)に加圧及び/又は加熱可能な部材であってよい。接合及び/又は切断部310は、接合部と切断部とが一体になったものであってもよいし、互いに別々に移動可能な接合部と切断部とを含むものであってもよい。よって、包装袋10の接合及び切断は、同時に行われてもよいし、別のタイミングで行われてもよい。
【0035】
図2に示す例では、包装袋前駆体10Aは、衛生用品1、1、…の収容前に、収容される衛生用品1、1、…よりも上流で切断及び接合され、一端が接合され他端が開放されている包装袋前駆体10A'が形成されている。また、衛生用品1、1、…の収容後に、収容された衛生用品1、1、…よりも下流で切断及び接合を行っている。しかしながら、接合及び切断のタイミングは、このような方式に限られない。例えば、上述のような正ピロー包装、逆ピロー包装等を用いる場合には、衛生用品1、1、…の収容後に、下流及び上流の順に、包装袋前駆体10Aの切断及び接合を行うことができる。
【0036】
このように、上記工程S21~S23を経て、複数の衛生用品が、樹脂フィルムを含む包装材により包装され、封入された状態にすることができる。
【0037】
本形態では、さらに、上述の衛生用品を包装材で包装する過程(S20)の過程で生じた残材を収集して(S30)、利用する。なお、本明細書において、残材の概念には、上述のように切断及び接合の工程(S23)において生じる端材15を含まれていてよいし、端材15以外の、出来上がり製品としての包装袋に含まれない樹脂フィルム部分、包装袋前駆体部分、及び包装袋、例えば、印刷抜け等があるために製品にならなかった部分含む不具合品も含まれる。
【0038】
樹脂フィルムの再生のためには、既に一旦使用者に供された衛生用品用の包装袋を回収して樹脂フィルムの作製を試みることが考えられるが、包装袋の外面には通常、収容された衛生用品が外部から見えないようにするため、衛生用品への紫外線等の光の影響を防止するため等の理由から、全体的に印刷が施されている。よって、包装袋を回収して樹脂フィルムを再生した場合、再生された樹脂フィルムの色は、元の包装袋の大きく依存することになり、再生された樹脂フィルムを所望の色に印刷することが困難になり得る。これに対し、残材は、出来上がり製品(衛生用品包装体)における包装袋に比べて、施された印刷が少なく又は印刷がない部分が多い。そのため、本形態により、残材を利用して新たな樹脂フィルムを作製した場合、すなわち、残材に由来する成分を含む樹脂フィルムを作製した場合、未再生材料(バージン材料)から作製された樹脂フィルムの色(白色、乳白色、透明等)に近い色の樹脂フィルムを得ることができる。よって、本形態によれば、再生された樹脂フィルムを所望に応じて様々な色に印刷することができる。このため、再生樹脂フィルムを用いた包装袋の構成及びデザインの自由度が高まり、樹脂フィルム製の包装袋の再利用、ひいては当分野での持続可能な社会の実現のための取組みを促すことができる。
【0039】
さらに、本態様による製造方法によれば、再生される樹脂フィルムは、衛生用品包装体の製造において収集される材料を利用することから、消費者に供された後に衛生用品を取り出した後に残された包装袋を回収して利用する場合に比べて、混入異物の少ない樹脂フィルムとなり得る。或いは、樹脂フィルムの作製をする際に、異物除去等の精製工程をなくす若しくは低減できる。
【0040】
なお、樹脂フィルムの残材の収集(S30)は、残材を製品から分別して収集することを含んでおり、専用の装置によって行ってもよいし、人の手によって行ってもよい。また、工程S30にて収集される樹脂フィルムの残材は、衛生用品を包装材で包装する工程(S20)におけるいずれの過程で生じたものであってもよいが、包装袋前駆体を衛生用品のない位置で切断及び接合する工程(S23)において生じた端材15であると好ましい。
【0041】
上述のように、樹脂フィルムの残材には、包装袋前駆体10Aの切断及び接合の工程(S23)で生じた端材15(
図2)及びその他の残材が含まれるが、樹脂フィルムの残材は、少なくとも樹脂フィルムの端材15を多く含むことが好ましく、また樹脂フィルムの端材15であるとより好ましい。以下、端材15についても、さらに詳細に説明する。
【0042】
図2の下側に示すように、衛生用品用の包装袋10は通常、全体的に印刷が施されている。このような印刷は、例えば、後に包装袋10を形成するための包装材である樹脂フィルム10Sに予め施しておくことができる。上記印刷には、その中身である衛生用品の詳細に関する製品情報18も含まれていてよい。
【0043】
包装袋前駆体10Aの印刷部分を見ると、
図3に示すように、後に包装袋10となる部分(後に包装袋10を構成することになる部分)は、全体的に印刷が施された(全体的に印刷部を有する)印刷領域12となっているが、後に包装袋10となる部分同士の間の部分は、印刷が施されていない又は全体的には印刷が施されていない(印刷部を有さない又は全体的には印刷部を有さない)印刷領域間領域13となっている。すなわち、包装袋前駆体10Aは、長尺方向に(搬送方向Dtに)印刷領域12と印刷領域間領域13とが交互に有している。
【0044】
印刷領域間領域13にも、ある程度の印刷が施されていてもよいが、接合位置及び接合位置の目安のため、樹脂フィルム同士の接合強度の低下を防ぐため等の理由から、印刷領域12ほどは印刷が施されていないことが好ましく、少なくとも全体的に印刷部が形成されていないことが好ましい。なお、本明細書において、印刷部とは、樹脂フィルムにインク等の着色剤が付着された部分を指す。
【0045】
切断及び接合の工程(S23)では、包装袋前駆体10Aは、印刷領域間領域13内の位置で、具体的には
図3に示すような切断予定位置CP、CPで切断できる。切断予定位置CP、CP間の領域が、切断及び接合の工程(S23)の後に端材15となる端材予定領域15aである。上述のように、印刷領域間領域13は、後に包装袋10を形成する印刷領域12に比べて顕著に印刷部の少ない、若しくは印刷部のない領域であるので、端材予定領域15a、ひいては得られる端材15(
図2)も、印刷領域12に比べて顕著に印刷部の少ない、若しくは印刷部のない領域となる。
【0046】
図3に示す例では、印刷領域間領域13には、全体的には印刷が施されていないが、光電管コード16が印刷されている。光電管コード16は、切断及び接合の工程(S23)で、包装袋前駆体10Aの切断予定位置及び/又は接合位置を装置に認識させるためのマークである。光電管コード16の色は、黒色、青色、紺色等であってよい。また、印刷領域間領域13には、光電管コード16以外のマークが印刷されていてもよい。よって、端材予定領域15a及び端材15(
図2)にも、光電管コード16及びその他のマークが印刷されていてよい。
【0047】
光電管コード16及びそれ以外の何等かのマークが付されていてもいなくても、端材予定領域15a又は端材15における印刷部の面積率(%)、すなわち、端材予定領域15a又は端材15の全体の面積(筒状を解消して平面の樹脂フィルムとした場合のフィルム面積)に対する印刷部の面積の百分率での割合は、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下であってよい。また、端材予定領域15a又は端材15は、印刷部を有さないことが好ましい。印刷部が少ないことによって、端材15を用いて再生された樹脂が、未再生の樹脂の色に近い又は同じ色となることができるので、再生された樹脂フィルム10Sを所望の色に印刷することができる。よって、再生樹脂フィルムを用いた包装袋の構成の自由度が高まるという効果を向上させることができる。
【0048】
再び
図1を参照して、本形態による衛生用品包装体の製造方法は、さらに、収集された残材を用いて樹脂フィルムを含む包装材を作製する工程(S40)を有していてよい。
【0049】
残材を用いて樹脂フィルムを作製する工程(S40)は、公知の樹脂フィルムの製造方法が含まれていてよい。
図5を参照して、一般的な樹脂フィルムの作製のフローについて説明する。
図5に示すように、残材を用いて樹脂フィルムを作製する工程(S40)は、一般に、回収された樹脂フィルム残材から残材ペレットを作製し(S41)、作製された残材ペレットを含む樹脂材料を融解し(S42)、フィルム状に成形すること(S43)を含んでいてよい。
【0050】
残材ペレットの作製(S41)も、公知の方法を利用することができる。例えば、
図5に示すように、樹脂フィルムの残材(端材15等)の仕分け及び混入している異物を除去し、残材を破砕し、洗浄することができる。その後、材料を融解し、ペレット状に成形し、冷却、脱水を経て、残材ペレットを得ることができる。
【0051】
残材を用いて樹脂フィルムを作製する工程(S40)においては、得られた残材ペレットを単独で用いることができ、その場合には、残材からなる樹脂フィルムが作製される。一方、残材ペレットを、例えば未再生樹脂ペレット(バージン樹脂ペレット)とともに用いることもできる。その場合、残材ペレットと、未再生樹脂ペレット若しくは未再生樹脂材料とを任意の割合で混合することができる。但し、残材ペレットの割合が大きいほど、再生可能材料の割合が増え、持続可能な社会の実現という観点から、より好ましい。例えば、再生された樹脂フィルムにおける、樹脂フィルムの残材に由来する成分の割合は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であってよい。
【0052】
なお、作製される樹脂フィルムの強度向上という観点では、樹脂材料の融解工程(S42)で、未再生樹脂材料(バージン樹脂材料)を利用することが好ましい。残材由来の材料(残材ペレット)は、得られるフィルムの強度が、未再生樹脂材料から作製された樹脂フィルムの強度を100%として、強度低下が10%以下に抑えられるような割合で(すなわち、得られるフィルムの強度が90%以上となるような割合で)用いることが好ましい。上記観点からは、例えば、再生された樹脂フィルムにおいて、未再生樹脂材料(バージン樹脂材料)の割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であってよい。
【0053】
フィルムの成形(S43)においては、インフレーション法、Tダイを用いた方法、押出成形法等の公知の方法を用いることができる。
【0054】
なお、作製された衛生用品を、樹脂フィルムを含む包装材で包装する工程(S20)、残材を収集する工程(S30)、及び残材を用いて樹脂フィルムを含む包装材を作製する工程(S40)を含むが、これらの一連の工程は、繰り返すことができる(
図1)。このような繰り返すことのできる一連の工程の2周目から、残材を用いた樹脂フィルム(再生された樹脂フィルム)を用いることができる。これにより、樹脂材料の再生利用の循環ルートを確立することができる。これにより、当分野での材料の再生利用の取組みを推進でき、持続可能な開発目標の達成に寄与することができる。
【0055】
本発明の一実施形態は、上述の製造方法によって製造された、衛生用品包装体であってよい。すなわち、衛生用品を作製する工程(S10)、衛生用品を、樹脂フィルムを含む包装材で包装する工程(S20)によって製造され、及び樹脂フィルムの残材を収集する工程(S30)を含む方法によって製造され、上記の包装材で包装する工程において用いられる、包装材に含まれる樹脂フィルムが、前記樹脂フィルムの残材に由来する成分を含む、衛生用品包装体であってよい。また、本発明の一実施形態は、再生ポリエチレンを含む樹脂フィルムからなる包装袋に、複数の衛生用品が収容されてなる、衛生用品包装体であってよい。これらの形態によれば、再生された樹脂フィルムからなる包装袋を所望の色に印刷できるので、包装袋のデザインへの制約が少ない。これにより、当分野における持続可能な社会の実現への取組みを推進できる。
【0056】
図6に、本形態による衛生用品包装体の一例を示す。
図6に示す例は、
図2に示す製造装置300によって製造された、複数の吸収性物品(生理用ナプキン等)の衛生用品1、1、…が樹脂フィルム製の包装袋10内に収容されてなる衛生用品包装体20の斜視図である。
【0057】
以上、本発明を具体的な形態に基づき説明したが、本発明はこれらの形態によって限定されるものではない。また、上記の形態は、特許請求の範囲に記載された範囲内において、様々な変更、修正、置換、付加、削除、及び組合せ等が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0058】
1 衛生用品
10 包装袋
10A 包装袋前駆体(長尺筒状とされた樹脂フィルム)
10S 樹脂フィルム
15 端材(残材)
15a 端材予定領域
16 光電管コード
18 製品情報
20 衛生用品包装体
300 衛生用品包装体の製造装置
310 切断及び/又は接合部
350 搬送部
CP 切断予定位置
Dt 搬送方向