(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051219
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20240404BHJP
【FI】
B62M6/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157264
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】腰山 和喜
(72)【発明者】
【氏名】八尾 栄彰
(57)【要約】
【課題】ライダが人力駆動車をコントロールしやすくすることができる制御装置を提供する。
【解決手段】人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車にアシスト力を付与するモータを、前記人力駆動車のクランクアームに入力される人力駆動力に応じて制御するように構成される制御部を備え、前記制御部は、前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記クランクアームが1回転する間に前記人力駆動力が最も大きくなる第1基準回転位相から、前記クランクアームの回転位相が±30度以内の範囲内において、前記アシスト力が最小となるように前記モータを制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車にアシスト力を付与するモータを、前記人力駆動車のクランクアームに入力される人力駆動力に応じて制御するように構成される制御部を備え、
前記制御部は、
前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記クランクアームが1回転する間に前記人力駆動力が最も大きくなる第1基準回転位相から、前記クランクアームの回転位相が±30度以内の範囲内において、前記アシスト力が最小となるように前記モータを制御する、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記クランクアームの回転位相が、前記第1基準回転位相の場合に、前記アシスト力が最小となるように前記モータを制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記クランクアームが1回転する間に前記人力駆動力が最も小さくなる第2基準回転位相から、前記クランクの回転位相が±30度以内の範囲内において、前記アシスト力が最大となるように前記モータを制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記クランクアームの回転位相が、前記第2基準回転位相の場合に、前記アシスト力が最大となるように前記モータを制御する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記人力駆動力が増加すると、前記アシスト力を減少させ、前記人力駆動力が減少すると、前記アシスト力を増加させるように前記モータを制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
第1制御状態、および、第2制御状態において、前記モータを制御するように構成され、
前記第1制御状態では、前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記クランクアームが1回転する間に前記人力駆動力が最も大きくなる第1基準回転位相から、前記クランクアームの回転位相が±30度以内の範囲内において前記アシスト力が最小となるように前記モータを制御し、
前記第2制御状態では、前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記クランクアームが1回転する間に前記第1基準回転位相から、前記クランクアームの回転位相が±30度以内の範囲内において前記アシスト力が最大となるように前記モータを制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1制御状態において、前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記クランクアームが1回転する間に前記人力駆動力が最も小さくなる第2基準回転位相から、前記クランクの回転位相が±30度以内の範囲内において、前記アシスト力が最大となるように前記モータを制御する、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記人力駆動車の走行環境、前記人力駆動車の走行状態、および、前記人力駆動車の操作装置の操作の少なくとも1つに応じて、制御状態を前記第2制御状態と前記第1制御状態との間において切り替えるように構成される、請求項6、または、7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記走行環境は、前記人力駆動車の走行路の勾配、前記走行路の路面の摩擦抵抗、および、前記走行路の場所の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記走行状態は、前記人力駆動車の車輪の回転速度を含む、請求項8に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第2制御状態において、第1条件が満たされると、前記第2制御状態を前記第1制御状態に切り替える、請求項9に記載の制御装置。
【請求項12】
前記第1条件は、前記勾配が予め定める値以上である場合に満たされる、請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記第1条件は、前記摩擦抵抗が、予め定める値以下である場合に満たされる、請求項11に記載の制御装置。
【請求項14】
前記第1条件は、前記場所が、予め定める場所である場合に満たされる、請求項11に記載の制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記第2制御状態において、第1条件が満たされると、前記第2制御状態を前記第1制御状態に切り替える、請求項10に記載の制御装置。
【請求項16】
前記車輪は、前輪、および、後輪を含み、
前記第1条件は、前記前輪の回転速度と、前記後輪の回転速度との差が、予め定める値以上である場合に満たされる、請求項15に記載の制御装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記第2制御状態において、第1条件が満たされると、前記第2制御状態を前記第1制御状態に切り替える、請求項8に記載の制御装置。
【請求項18】
前記第1条件は、前記操作装置が操作される場合に満たされる、請求項17に記載の制御装置。
【請求項19】
前記制御部は、
前記第1制御状態において第2条件が満たされる場合、前記第2制御状態において前記モータを制御するように構成される、請求項6に記載の制御装置。
【請求項20】
前記第2条件は、第1条件が満たされてから、予め定める期間が経過する場合に満たされる、請求項19に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の制御装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、人力駆動車にアシスト力を付与するためのモータを、人力駆動力に応じて制御する制御装置が開示される。制御装置は、クランクアームが1回転する間において、クランクアームの回転位相が、人力駆動力が最も大きくなる回転位相の場合にアシスト力が最大となるようにモータを制御し、人力駆動力が最も小さくなる回転位相の場合にアシスト力が最小となるようにモータを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のモータの制御においては、人力駆動力の脈動に伴ってアシスト力も脈動するため、人力駆動力とアシスト力とを含む人力駆動車の推進力の脈動が大きくなり易いため、人力駆動車の走行環境によっては、ライダが人力駆動車をコントロールしにくくなる場合がある。
【0005】
本開示の目的の1つは、ライダが人力駆動車をコントロールしやすくすることができる制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、人力駆動車にアシスト力を付与するモータを、人力駆動車のクランクアームに入力される人力駆動力に応じて制御するように構成される制御部を備え、制御部は、人力駆動力に応じてモータを駆動する場合、クランクアームが1回転する間に人力駆動力が最も大きくなる第1基準回転位相から、クランクアームの回転位相が±30度以内の範囲内において、アシスト力が最小となるようにモータを制御する。
第1側面の制御装置によれば、クランクアームが1回転する間に入力される人力駆動力が大きくなる範囲において、アシスト力を小さくできるため、人力駆動力とアシスト力とを含む人力駆動車の推進力の脈動が抑制されるので、ライダが人力駆動車をコントロールしやすくすることができる。
【0007】
第1側面に従う第2側面の制御装置において、制御部は、人力駆動力に応じてモータを駆動する場合、クランクアームの回転位相が、第1基準回転位相の場合に、アシスト力が最小となるようにモータを制御する。
第2側面の制御装置によれば、クランクアームが1回転する間に入力される人力駆動力が大きくなるときに、アシスト力が最小となるので、人力駆動力とアシスト力とを含む人力駆動車の推進力の脈動を効果的に抑制できる。
【0008】
第1、または、第2側面に従う第3側面の制御装置において、制御部は、人力駆動力に応じてモータを駆動する場合、クランクアームが1回転する間に人力駆動力が最も小さくなる第2基準回転位相から、クランクの回転位相が±30度以内の範囲内において、アシスト力が最大となるようにモータを制御する。
第3側面の制御装置によれば、クランクアームが1回転する間に入力される人力駆動力が小さくなるときに、アシスト力が最大となるので、人力駆動力とアシスト力とを含む人力駆動車の推進力の脈動をさらに抑制できる。
【0009】
第3側面に従う第4側面の制御装置において、制御部は、人力駆動力に応じてモータを駆動する場合、クランクアームの回転位相が、第2基準回転位相の場合に、アシスト力が最大となるようにモータを制御する。
第4側面の制御装置によれば、クランクアームが1回転する間に入力される人力駆動力が小さくなるときに、アシスト力が最大となるので、人力駆動力とアシスト力とを含む人力駆動車の推進力の脈動を、さらに効果的に抑制できる。
【0010】
第1から第4側面のいずれか1つに従う第5側面の制御装置において、制御部は、人力駆動力に応じてモータを駆動する場合、人力駆動力が増加すると、アシスト力を減少させ、人力駆動力が減少すると、アシスト力を増加させるようにモータを制御する。
第5側面の制御装置によれば、人力駆動力とアシスト力とを含む人力駆動車の推進力の脈動をさらに抑制できる。
【0011】
第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の制御装置において、制御部は、第1制御状態、および、第2制御状態において、モータを制御するように構成され、第1制御状態では、人力駆動力に応じてモータを駆動する場合、クランクアームが1回転する間に人力駆動力が最も大きくなる第1基準回転位相から、クランクアームの回転位相が±30度以内の範囲内においてアシスト力が最小となるようにモータを制御し、第2制御状態では、人力駆動力に応じてモータを駆動する場合、クランクアームが1回転する間に第1基準回転位相から、クランクアームの回転位相が±30度以内の範囲内においてアシスト力が最大となるようにモータを制御する。
第6側面の制御装置によれば、第1制御状態、および、第2制御状態においてモータが制御されるため、利便性を向上できる。
【0012】
第6側面に従う第7側面の制御装置において、制御部は、第1制御状態において、人力駆動力に応じてモータを駆動する場合、クランクアームが1回転する間に人力駆動力が最も小さくなる第2基準回転位相から、クランクの回転位相が±30度以内の範囲内において、アシスト力が最大となるようにモータを制御する。
第7側面の制御装置によれば、第1制御状態において、クランクアームが1回転する間に入力される人力駆動力が小さくなるときに、アシスト力が最大となるので、人力駆動力とアシスト力とを含む人力駆動車の推進力の脈動をさらに抑制できる。
【0013】
第6、または、第7側面に従う第8側面の制御装置において、制御部は、人力駆動車の走行環境、人力駆動車の走行状態、および、人力駆動車の操作装置の操作の少なくとも1つに応じて、制御状態を第2制御状態と第1制御状態との間において切り替えるように構成される。
第8側面の制御装置によれば、人力駆動車の走行環境、人力駆動車の走行状態、および、人力駆動車の操作装置の操作の少なくとも1つに応じて、モータの制御状態が、第1制御状態、および、第2制御状態の一方から第1制御状態、および、第2制御状態の他方に切り替えられるため、利便性を向上できる。
【0014】
第8側面に従う第9側面の制御装置において、走行環境は、人力駆動車の走行路の勾配、走行路の路面の摩擦抵抗、および、走行路の場所の少なくとも1つを含む。
第9側面の制御装置によれば、人力駆動車の走行路の勾配、走行路の路面の摩擦抵抗、および、走行路の場所の少なくとも1つに応じて、モータの制御状態が、第2制御状態と第1制御状態との間において自動的に切り替えられるため、利便性を向上できる。
【0015】
第8、または、第9側面に従う第10側面の制御装置において、走行状態は、人力駆動車の車輪の回転速度を含む。
第10側面の制御装置によれば、人力駆動車の車輪の回転速度に応じて、モータの制御状態が、第2制御状態と第1制御状態との間において自動的に切り替えられるため、利便性を向上できる。
【0016】
第8から第10側面のいずれか1つに従う第11側面の制御装置において、制御部は、第2制御状態において、第1条件が満たされると、第2制御状態を第1制御状態に切り替える。
第11側面の制御装置によれば、第1条件が満たされることによって、モータの制御状態が第2制御状態から第1制御状態に切り替えられるため、利便性を向上できる。
【0017】
第11側面に従う第12側面の制御装置において、第1条件は、勾配が予め定める値以上である場合に満たされる。
第12側面の制御装置によれば、勾配が予め定める値以上の場合に、モータの制御状態が第2制御状態から第1制御状態に切り替えられるため、坂道においてライダが人力駆動車を安定してコントロールしやすくすることができる。
【0018】
第11、または、第12側面に従う第13側面の制御装置において、第1条件は、摩擦抵抗が、予め定める値以下である場合に満たされる。
第13側面の制御装置によれば、摩擦抵抗が予め定める値以下の場合に、モータの制御状態が第2制御状態から第1制御状態に切り替えられるため、摩擦抵抗が低下する場合においても、ライダが人力駆動車を安定してコントロールしやすくすることができる。
【0019】
第11から第13側面のいずれか1つに従う第14側面の制御装置において、第1条件は、場所が、予め定める場所である場合に満たされる。
第14側面の制御装置によれば、場所に応じて、モータの制御状態が第2制御状態から第1制御状態に切り替えられる。例えば、スリップし易い場所においてモータの制御状態が第2制御状態から第1制御状態に切り替えられるため、ライダが人力駆動車を安定してコントロールしやすくすることができる。
【0020】
第10側面に従う第15側面の制御装置において、制御部は、第2制御状態において、第1条件が満たされると、第2制御状態を第1制御状態に切り替える。
第15側面の制御装置によれば、第1条件が満たされることによって、モータの制御状態が第2制御状態から第1制御状態に切り替えられるため、利便性を向上できる。
【0021】
第15側面に従う第16側面の制御装置において、車輪は、前輪、および、後輪を含み、第1条件は、前輪の回転速度と、後輪の回転速度との差が、予め定める値以上である場合に満たされる。
第16側面の制御装置によれば、前輪の回転速度と、後輪の回転速度との差が、予め定める値以上の場合に、モータの制御状態が第2制御状態から第1制御状態に切り替えられるため、ライダが人力駆動車を安定してコントロールしやすくすることができる。
【0022】
第8側面に従う第17側面の制御装置において、制御部は、第2制御状態において、第1条件が満たされると、第2制御状態を第1制御状態に切り替える。
第17側面の制御装置によれば、第1条件が満たされることによって、モータの制御状態が第2制御状態から第1制御状態に切り替えられるため、利便性を向上できる。
【0023】
第17側面に従う第18側面の制御装置において、第1条件は、操作装置が操作される場合に満たされる。
第18側面の制御装置によれば、ユーザが操作装置を操作することによって、モータの制御状態が第2制御状態から第1制御状態に切り替えられるため、利便性を向上できる。
【0024】
第6から第18側面のいずれか1つに従う第19側面の制御装置において、制御部は、第1制御状態において第2条件が満たされる場合、第2制御状態においてモータを制御するように構成される。
第19側面の制御装置によれば、第2条件が満たされることによって、モータの制御状態が第2制御状態から第1制御状態に切り替えられるため、利便性を向上できる。
【0025】
第19側面に従う第20側面の制御装置において、第2条件は、第1条件が満たされてから、予め定める期間が経過する場合に満たされる。
第20側面の制御装置によれば、モータの制御状態の頻繁な変更を抑制できる。
【発明の効果】
【0026】
本開示の制御装置によれば、ライダが人力駆動車をコントロールしやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態に係る制御装置を備える人力駆動車を示す側面図。
【
図2】制御装置を備える人力駆動車の電気的な構成の一例を示すブロック図。
【
図3】クランクアームが1回転する場合における人力駆動力の一例を示す図。
【
図4】第1実施形態、および、第4実施形態において、クランクアームが1回転する場合における、人力駆動力と、アシスト力と、人力駆動力およびアシスト力の合力と、の一例を示す図。
【
図5】第2実施形態において、クランクアームが1回転する場合における、人力駆動力と、アシスト力と、人力駆動力およびアシスト力の合力と、の一例を示す図。
【
図6】第4実施形態に係る制御装置を備える人力駆動車の電気的な構成の一例を示すブロック図。
【
図7】第4実施形態において、クランクアームが1回転する場合における、人力駆動力と、アシスト力と、人力駆動力およびアシスト力の合力と、の一例を示す図。
【
図8】第4実施形態における制御フローを示すフローチャート。
【
図9】第5実施形態における制御フローを示すフローチャート。
【
図10】第6実施形態における制御フローを示すフローチャート。
【
図11】第7実施形態における制御フローを示すフローチャート。
【
図12】第8実施形態における制御フローを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る人力駆動車用の制御装置21を含む人力駆動車10が説明される。第1実施形態に係る人力駆動車10の説明には、
図1から
図4が用いられる。
【0029】
人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪16を有し、少なくとも人力駆動力F1によって駆動できる乗り物である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車10が有する車輪16の数は限定されない。人力駆動車10は、例えば1輪車、および、2輪以上の車輪16を有する乗り物を含む。人力駆動車10は、人力駆動力F1のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車10は、人力駆動力F1だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するE-bikeを含む。E-bikeは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10は自転車として説明される。
【0030】
人力駆動車10は、クランク11、フレーム12、シート13、ハンドルバー14、フロントフォーク15、車輪16、駆動機構17、変速機18、バッテリ19、ドライブユニット20、および、制御装置21を備える。
図1に示されるクランク11は、フレーム12に対して回転可能なクランク軸11a、クランク軸11aの軸方向の両端部にそれぞれ設けられる一対のクランクアーム11bを含む。一対のクランクアーム11bの一方には、第1ペダル11cが連結され、一対のクランクアーム11bの他方には第2ペダル11dが連結される。一対のクランクアーム11bは、相互に回転位相が180度異なる。
【0031】
フレーム12には、シートポスト13aを介してシート13が設けられる。フレーム12は、ハンドルバー14、および、フロントフォーク15を回転可能に支持する。ハンドルバー14は、ユーザが把持できるように構成される。ハンドルバー14がフレーム12に対して回転することによってフロントフォーク15が回転し、人力駆動車10の進行方向が変化する。
【0032】
車輪16は、前輪16a、および、後輪16bを含む。前輪16aは、フロントフォーク15に回転可能に取り付けられる。後輪16bは、フレーム12に回転可能に取り付けられる。駆動機構17は、クランク11、および、後輪16bを連結する。駆動機構17は、第1回転体17a、第2回転体17b、および、第1駆動力伝達部17cを含む。
【0033】
本実施形態では、第1回転体17aは、1つのフロントスプロケットを含む。第1回転体17aは、複数のフロントスプロケットを含んでもよい。第1回転体17aは、ドライブユニット20の第2駆動力伝達部20bを介してクランク軸11aに連結される。第2駆動力伝達部20bは、クランク軸11aと一体的に回転するように構成される。第1回転体17aは、第2駆動力伝達部20bの回転に伴って回転する。クランク軸11aが第1回転方向に回転して、人力駆動力F1が後輪16bに伝達されると、人力駆動車10は、前進する。第2駆動力伝達部20bは、クランク軸11aが第1回転方向に回転する場合に、クランク軸11aと第1回転体17aとが一体的に回転し、クランク軸11aが第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転する場合に、クランク軸11aと第1回転体17aとの相対回転を許容するワンウェイクラッチを含んでいてもよい。
【0034】
本実施形態では、第2回転体17bは、複数のリアスプロケットを含む。第2回転体17bは、1つのフロントスプロケットを含んでもよい。第2回転体17bは、後輪16bに連結される。第1駆動力伝達部17cは、第1回転体17aの回転力を第2回転体17bに伝達する。第1駆動力伝達部17cは、例えば、チェーンを含む。第1回転体17a、および、第2回転体17bがプーリを含み、第1駆動力伝達部17cがベルトを含んでいてもよい。第1回転体17a、および、第2回転体17bがベベルギアを含み、第1駆動力伝達部17cがシャフトを含んでいてもよい。
【0035】
変速機18は、人力駆動車10の変速比を変更する。変速比は、クランク軸11aの回転速度に対する後輪16bの回転速度の比率を示す。変速機18は、外装変速機、および、内装変速機の少なくとも一方を含む。本実施形態では、変速機18は、外装変速機を含む。変速機18が外装変速機を含む場合、変速比は、例えば、第1駆動力伝達部17cが係合するフロントスプロケットの歯数を、第1駆動力伝達部17cが係合するリアスプロケットの歯数で割ることによって算出される。外装変速機は、フロントディレイラ、および、リアディレイラ18aの少なくとも一方を含む。本実施形態では、外装変速機は、リアディレイラ18aを含む。リアディレイラ18aは、変速操作装置がユーザによって操作される場合に、第1駆動力伝達部17cを複数のリアスプロケットの間において掛け替えられるように構成される。
【0036】
バッテリ19は、電子機器に電力を供給する。電子機器は、人力駆動車10に搭載されるコンポーネントを含む。電子機器には、制御装置21、ドライブユニット20、駆動力センサ22、および、回転位相センサ23が含まれる。バッテリ19は、例えば充電できない電池、および、充電池の少なくとも1つを含む。充電池は、外部電源からの電力によって充電可能に構成される。バッテリ19は、フレーム12に設けられる。バッテリ19は、例えば、フレーム12のダウンチューブ内に少なくとも一部が配置される。
【0037】
図1、および、
図2に示されるドライブユニット20は、一対のクランクアーム11bに入力される人力駆動力F1に応じて、人力駆動車10にアシスト力F2を付与するように構成される。ドライブユニット20は、モータ20a、および、第2駆動力伝達部20bを含む。
【0038】
モータ20aは、バッテリ19からの電力によって駆動するように構成される。モータ20aは、各ペダル11c,11dから後輪16bまでの人力駆動力F1の動力伝達経路に、または、前輪16aに駆動力を伝達するように構成される。本実施形態では、モータ20aは、
図1に示される第2駆動力伝達部20bと連結されることによって、人力駆動力F1の動力伝達経路に駆動力を伝達するように構成される。モータ20aは、減速機を介して第2駆動力伝達部20bと連結されてもよい。
【0039】
第2駆動力伝達部20bには、人力駆動力F1、および、モータ20aのアシスト力F2が伝達される。人力駆動力F1、および、アシスト力F2が駆動機構17を介して後輪16bに伝達されることによって、人力駆動車10は走行する。本明細書においては、人力駆動力F1、および、アシスト力F2の合力が総駆動力F3として記載される。
【0040】
制御装置21は、人力駆動車用の制御装置21であって、人力駆動車10にアシスト力F2を付与するモータ20aを、人力駆動車10のクランクアーム11bに入力される人力駆動力F1に応じて制御するように構成される制御部21bを備える。
図2には、制御装置21の一例が示される。
図2に示される制御装置21は、記憶部21a、および、制御部21bを含む。
【0041】
記憶部21aは、制御プログラム、および、制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部21aは、例えば不揮発性メモリ、揮発性メモリ、および、ハードディスクの少なくとも1つを含む。
【0042】
制御部21bは、ドライブユニット20に関する制御を実行するように構成される。制御部21bは、予め定められた制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)、または、MPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部21bは、1、または、複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部21bは、モータ20aに接続されるインバータ回路をさらに含む。制御部21bは、電気ケーブル、または、無線通信装置によって駆動力センサ22、および、回転位相センサ23と通信するように構成される。制御部21bは、ドライブユニット20に含まれていてもよい。
【0043】
駆動力センサ22は、一対のクランクアーム11bに入力される人力駆動力F1に関する情報を検出するように構成される。駆動力センサ22は、例えば、各ペダル11c,11dから第1回転体17aまでの駆動力の伝達経路に設けられる。駆動力センサ22は、例えば、歪センサを含む。駆動力センサ22は、磁歪センサ、光学センサ、および、圧力センサを含んでもよい。駆動力センサ22は、一対のクランクアーム11bに加えられる人力駆動力F1に応じた信号を制御部21bに出力する。制御部21bは、駆動力センサ22から出力される信号に基づいて人力駆動力F1を検出するように構成される。駆動力センサ22は、ドライブユニット20に設けられてもよい。
【0044】
回転位相センサ23は、クランクアーム11bの回転位相に関する情報を検出するように構成される。回転位相センサ23は、例えば、フレーム12に設けられる。回転位相センサ23は、例えば、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。磁気センサは、周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石を含む。回転位相センサ23は、クランクアーム11bの回転位相に応じた信号を制御部21bに出力する。制御部21bは、回転位相センサ23から出力される信号に基づいてクランクアーム11bの回転位相を検出するように構成される。回転位相センサ23は、ドライブユニット20に設けられてもよい。
【0045】
人力駆動力F1は、クランクアーム11bの回転位相に応じて変化する。
図3には、人力駆動力F1、および、クランクアーム11bの回転位相の関係の一例が示される。クランクアーム11bの回転位相は、クランクアーム11bを第1回転方向に回転させる場合における回転位相を表す。
図3のグラフにおいて、縦軸は、トルクを表し、横軸は、回転位相を表す。
図3に示される0度、180度、および、360度は、一対のクランクアーム11bが上死点、および、下死点にあることを示す。
図3において、人力駆動力F1は、クランクアーム11bの回転位相が、上死点、および、下死点にある場合に最小となる。
図3において、人力駆動力F1は、クランクアーム11bの回転位相が、上死点、および、下死点から90度進んだ場合に最大となる。
【0046】
本実施形態では、制御部21bは、アシスト力F2が最大となるクランクアーム11bの回転位相が、人力駆動力F1が最大となるクランクアーム11bの回転位相とは異なるように、モータ20aを制御する。
図4には、制御部21bによるモータ20aの制御の一例が示される。
図4において、F1を実線によって示し、F2を破線によって示し、F3を仮想線によって示す。
【0047】
図4に示されるアシスト力F2は、
図3に示される人力駆動力F1に応じたモータ20aの制御によって、人力駆動車10に付与されるアシスト力F2の一例を示す。
図4に示される総駆動力F3は、
図3に示される人力駆動力F1に応じたモータ20aの制御によって、人力駆動車10に付与される人力駆動力F1、および、アシスト力F2の合力を示す。
【0048】
図4に示されるように、制御部21bは、人力駆動力F1に応じてモータ20aを駆動する場合、クランクアーム11bが1回転する間に人力駆動力F1が最も大きくなる第1基準回転位相から、クランクアーム11bの回転位相が±30度以内の範囲内において、アシスト力F2が最小となるようにモータ20aを制御する。本実施形態では、制御部21bは、人力駆動力F1に応じてモータ20aを駆動する場合、クランクアーム11bの回転位相が、第1基準回転位相の場合に、アシスト力F2が最小となるようにモータ20aを制御する。第1基準回転位相は、
図4に示される90度、および、270度を含む。
【0049】
制御部21bは、人力駆動力F1に応じてモータ20aを駆動する場合、クランクアーム11bが1回転する間に人力駆動力F1が最も小さくなる第2基準回転位相から、クランク11の回転位相が±30度以内の範囲内において、アシスト力F2が最大となるようにモータ20aを制御する。本実施形態では、制御部21bは、人力駆動力F1に応じてモータ20aを駆動する場合、クランクアーム11bの回転位相が、第2基準回転位相の場合に、アシスト力F2が最大となるようにモータ20aを制御する。第2基準回転位相は、
図4に示される0度、180度、および、360度を含む。
【0050】
制御部21bは、例えば、
図2に示される駆動力センサ22からの信号に基づいて、
図4に示されるアシスト力F2を算出できる。例えば、制御部21bは、人力駆動力F1が大きくなるにつれてアシスト力F2が小さくなる計算式に、駆動力センサ22からの信号に基づいて検出した人力駆動力F1を代入することによって、アシスト力F2を算出できる。
【0051】
制御部21bによるアシスト力F2の算出方法は、特に限定されない。制御部21bは、例えば、駆動力センサ22からの信号、および、回転位相センサ23からの信号に基づいて、アシスト力F2を算出してもよい。例えば、制御部21bは、駆動力センサ22からの信号に基づいて人力駆動力F1を検出すると共に、回転位相センサ23からの信号に基づいてクランクアーム11bの回転位相を検出する。制御部21bは、検出した人力駆動力F1、および、予め定めるアシスト比率に基づいて基本アシスト力を算出し、検出したクランクアーム11bの回転位相に基づいて基本アシスト力を補正することによって、アシスト力F2を算出できる。
【0052】
本実施形態とは異なり、
図4に示される人力駆動力F1が最大の第1基準回転位相においてアシスト力F2が最大となる場合、クランクアーム11bが1回転する間において、第1基準回転位相の場合に総駆動力F3が最大となる。総駆動力F3の最大値は、人力駆動力F1の最大値、および、アシスト力F2の最大値の合力となる。
【0053】
本実施形態では、制御部21bがモータ20aを制御することによって、第1基準回転位相においてアシスト力F2が最小となるため、クランクアーム11bが1回転する間における総駆動力F3の最大値が大きくなり難い。総駆動力F3の最大値が大きくなり難いことによって、クランクアーム11bが1回転する間における総駆動力F3の最大値、および、最小値の差が小さくなる。総駆動力F3の最大値、および、最小値の差が小さくなることによって、制御部21bは、人力駆動力F1の脈動に伴う総駆動力F3の脈動を抑制できるため、ライダが人力駆動車10をコントロールしやすくする。特に、本実施形態のように人力駆動力F1とアシスト力F2とが、同一の車輪16に伝達される場合、制御部21bが、総駆動力F3の脈動を抑制することによって、駆動輪のスリップを抑制できる。駆動輪は、駆動機構17によってクランク11からの動力が伝達される車輪16を示す。本実施形態では、駆動輪は、後輪16bを含む。
【0054】
例えば、オフロードの急勾配を人力駆動車10が走行する場合に、制御部21bが駆動輪のスリップを抑制することによって、人力駆動車10の停止、および、減速を抑制できると共に、ユーザが地面に足をつけ難くなる。制御部21bが駆動輪のスリップを抑制することによって、人力駆動車10は、効率よく路面を走行できる。
【0055】
制御部21bは、第1基準回転位相において、アシスト力F2がゼロ(0)となるようにモータ20aを制御してもよい。第1基準回転位相においてアシスト力F2がゼロ(0)となることによって、制御部21bは、クランクアーム11bが1回転する間における総駆動力F3の最大値がさらに抑制されるため、人力駆動力F1の脈動に伴う総駆動力F3の脈動を効果的に抑制できる。
【0056】
本実施形態とは異なり、人力駆動力F1が最小の第2基準回転位相においてアシスト力F2が最小となる場合、クランクアーム11bが1回転する間において、第2基準回転位相の場合に総駆動力F3が最小となる。総駆動力F3の最小値は、人力駆動力F1の最小値、および、アシスト力F2の最小値の合力となる。
【0057】
本実施形態では、第2基準回転位相においてアシスト力F2が最大となるため、クランクアーム11bが1回転する間における総駆動力F3の最小値が小さくなり難い。総駆動力F3の最小値が小さくなり難く、かつ、総駆動力F3の最大値が大きくなり難いことによって、制御部21bは、人力駆動力F1の脈動に伴う総駆動力F3の脈動を効果的に抑制できる。制御部21bは、総駆動力F3の脈動を効果的に抑制できる。
【0058】
(第2実施形態)
第2実施形態の制御装置21が説明される。第2実施形態の制御装置21の説明には、
図3、および、
図5が用いられる。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0059】
本実施形態では、制御部21bは、クランクアーム11bの回転位相が、人力駆動力F1が最大の第1基準回転位相とは異なる回転位相にある場合に、アシスト力F2が最小となるようにモータ20aを制御する。制御部21bは、クランクアーム11bの回転位相が、人力駆動力F1が最小の第2基準回転位相とは異なる回転位相にある場合に、アシスト力F2が最大となるようにモータ20aを制御する。
【0060】
図5には、制御部21bによるモータ20aの制御の一例が示される。
図5において、F1を実線によって示し、F2を破線によって示し、F3を仮想線によって示す。
図5に示されるアシスト力F2は、
図3に示される人力駆動力F1に応じたモータ20aの制御によって、人力駆動車10に付与されるアシスト力F2の一例を示す。
図5に示される総駆動力F3は、
図3に示される人力駆動力F1に応じたモータ20aの制御によって、人力駆動車10に付与される人力駆動力F1、および、アシスト力F2の合力を示す。第1基準回転位相は、
図5に示される90度、および、270度を含む。第2基準回転位相は、
図5に示される0度、180度、および、360度を含む。
【0061】
図5に示されるように、制御部21bは、第1基準回転位相に対して、クランクアーム11bの回転位相が-30度ずれた回転位相にある場合に、アシスト力F2が最小となるようにモータ20aを制御する。モータ20aの制御によって、制御部21bは、人力駆動力F1が最大の第1基準回転位相に比較的近い回転位相において、アシスト力F2を最も小さくできるため、クランクアーム11bが1回転する間における総駆動力F3の最大値が大きくなり難い。総駆動力F3の最大値が大きくなり難いことによって、ライダが人力駆動車10をコントロールしやすくする。人力駆動力F1とアシスト力F2とが、同一の車輪16に伝達される場合、制御部21bは、駆動輪のスリップを抑制できる。
【0062】
制御部21bは、第2基準回転位相に対して、クランクアーム11bの回転位相が-30度ずれた回転位相にある場合に、アシスト力F2が最大となるようにモータ20aを制御する。モータ20aの制御によって、制御部21bは、人力駆動力F1が最小の第2基準回転位相に比較的近い回転位相において、アシスト力F2を最も大きくできるため、クランクアーム11bが1回転する間における総駆動力F3の最小値が小さくなり難い。総駆動力F3の最小値が小さくなり難く、かつ、総駆動力F3の最大値が大きくなり難いことによって、ライダが人力駆動車10をコントロールしやすくする。
【0063】
(第3実施形態)
第3実施形態の制御装置21が説明される。第3実施形態の制御装置21の説明には、
図3、および、
図4が用いられる。第1実施形態、および、第2実施形態と共通する構成については、第1実施形態、および、第2実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0064】
本実施形態では、制御部21bは、人力駆動力F1の減少、および、増加を検出するように構成される。制御部21bは、例えば、駆動力センサ22からの信号に基づいて人力駆動力F1の減少、および、増加を検出する。例えば、制御部21bは、予め定める周期において人力駆動力F1を繰り返し検出する。制御部21bは、前回検出した人力駆動力F1と、今回検出した人力駆動力F1との大小関係に基づいて、人力駆動力F1の減少、および、増加を検出する。
【0065】
例えば、制御部21bは、今回検出した人力駆動力F1が、前回検出した人力駆動力F1よりも小さい場合、人力駆動力F1の減少を検出する。制御部21bは、複数回連続して、今回検出した人力駆動力F1が、前回検出した人力駆動力F1よりも小さい場合に、人力駆動力F1の減少を検出してもよい。
【0066】
例えば、制御部21bは、今回検出した人力駆動力F1が、前回検出した人力駆動力F1よりも大きい場合、人力駆動力F1の増加を検出する。制御部21bは、複数回連続して、今回検出した人力駆動力F1が、前回検出した人力駆動力F1よりも大きい場合に、人力駆動力F1の増加を検出してもよい。
【0067】
制御部21bは、人力駆動力F1の減少、および、増加を検出した結果に応じて、モータ20aを制御するように構成される。
図4には、制御部21bによるモータ20aの制御の一例が示される。
図4に示されるアシスト力F2は
図3に示される人力駆動力F1に応じたモータ20aの制御によって、人力駆動車10に付与されるアシスト力F2の一例を示す。
図4に示される総駆動力F3は、
図3に示される人力駆動力F1に応じたモータ20aの制御によって、人力駆動車10に付与される人力駆動力F1、および、アシスト力F2の合力を示す。第1基準回転位相は、
図4に示される90度、および、270度を含む。第2基準回転位相は、
図4に示される0度、180度、および、360度を含む。
【0068】
本実施形態では、制御部21bは、人力駆動力F1に応じてモータ20aを駆動する場合、人力駆動力F1が増加すると、アシスト力F2を減少させ、人力駆動力F1が減少すると、アシスト力F2を増加させるようにモータ20aを制御する。
図4において、制御部21bは、クランクアーム11bの回転位相が0度から90度の範囲において人力駆動力F1の増加を検出する。制御部21bは、0度から90度の範囲において、アシスト力F2が減少するようにモータ20aを制御する。
【0069】
図4において、制御部21bは、クランクアーム11bの回転位相が90度から180度の範囲において人力駆動力F1の減少を検出する。制御部21bは、90度から180度の範囲において、アシスト力F2が増加するようにモータ20aを制御する。
【0070】
図4において、制御部21bは、クランクアーム11bの回転位相が180度から270度の範囲において人力駆動力F1の増加を検出する。制御部21bは、180度から270度の範囲において、アシスト力F2が減少するようにモータ20aを制御する。
【0071】
図4において、制御部21bは、クランクアーム11bの回転位相が270度から360度の範囲において人力駆動力F1の増加を検出する。制御部21bは、270度から360度の範囲において、アシスト力F2が減少するようにモータ20aを制御する。
【0072】
図4に示されるモータ20aの制御によって、制御部21bは、人力駆動力F1が増加する場合に総駆動力F3が増加し難く、かつ、人力駆動力F1が減少する場合に総駆動力F3が減少し難いため、人力駆動力F1の脈動に伴う総駆動力F3の脈動を抑制できる。総駆動力F3の脈動を抑制できることによって、ライダが人力駆動車10をコントロールしやすくする。人力駆動力F1とアシスト力F2とが、同一の車輪16に伝達される場合、制御部21bは、駆動輪のスリップの発生を効果的に抑制できる。
【0073】
(第4実施形態)
第4実施形態の制御装置21が説明される。第4実施形態の制御装置21の説明には、
図3から
図5から
図8が用いられる。第1実施形態から第3実施形態と共通する構成については、第1実施形態から第3実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0074】
図6に示されるように、本実施形態では、制御部21bは、電気ケーブル、または、無線通信装置によって駆動力センサ22、回転位相センサ23、走行環境検出部24、走行状態検出部25、および、操作装置26と通信するように構成される。走行環境検出部24は、人力駆動車10の走行環境に関する情報を検出するように構成される。走行環境は、人力駆動車10の走行路の勾配、走行路の路面の摩擦抵抗、および、走行路の場所の少なくとも1つを含む。本実施形態では、走行環境は、人力駆動車10の走行路の勾配、走行路の路面の摩擦抵抗、および、走行路の場所をそれぞれ含む。
【0075】
走行環境検出部24は、走行路の勾配に関する情報を検出する電子機器を含む。走行環境検出部24は、例えば、人力駆動車10のピッチ角度を検出する姿勢センサ、および、人力駆動車10の進行方向の加速度を検出する加速度センサの少なくとも一方を含む。姿勢センサは、人力駆動車10のピッチ角度に応じた信号を制御部21bに出力する。加速度センサは、人力駆動車10の進行方向の加速度に応じた信号を制御部21bに出力する。制御部21bは、人力駆動車10のピッチ角度に応じた信号、および、人力駆動車10の進行方向の加速度に応じた信号の少なくとも一方に基づいて、走行路の勾配を検出するように構成される。姿勢センサは、ジャイロセンサ、および、少なくとも重力方向の加速度を検出する加速度センサの少なくとも1つを含む。
【0076】
走行環境検出部24は、走行路の路面の摩擦抵抗に関する情報を検出する機器を含む。走行環境検出部24は、例えば、カメラを含む。カメラは、人力駆動車10が走行する走行路を撮像するように構成される。カメラは、撮像結果に応じた信号を制御部21bに出力する。制御部21bは、撮像結果に応じた信号に基づいて走行路の路面の摩擦抵抗を検出する。走行環境検出部24は、カメラとは異なる機器によって、路面の摩擦抵抗に関する情報を検出してもよい。走行環境検出部24は、例えば、路面の乾燥状態を検出する湿度計、および、路面の凹凸を検出する振動センサの少なくとも一方によって、路面の摩擦抵抗に関する情報を検出してもよい。
【0077】
走行環境検出部24は、走行路の場所に関する情報を検出する機器を含む。走行環境検出部24は、例えば、GPS(global positioning system)受信機、および、人力駆動車10が走行する場所の地図データを記憶する記憶部21aを含む。GPS受信機は、GPS通信によって検出される位置情報に応じた信号を制御部21bに出力する。制御部21bは、位置情報に応じた信号、および、記憶部21aに記憶される地図データに基づいて、人力駆動車10が走行する場所を検出するように構成される。
【0078】
走行状態検出部25は、人力駆動車10の走行状態に関する情報を検出するように構成される。走行状態は、人力駆動車10の車輪16の回転速度を含む。走行状態検出部25は、例えば、前輪16aの回転速度を検出するように構成される前輪回転センサ、および、後輪16bの回転速度を検出するように構成される後輪回転センサを含む。
【0079】
前輪回転センサは、例えば、前輪16aに設けられる磁石の磁気を検出する磁気センサによって構成される。前輪回転センサは、前輪16aの回転速度の検出結果に応じた信号を制御部21bに出力する。後輪回転センサは、例えば、後輪16bに設けられる磁石の磁気を検出する磁気センサによって構成される。後輪回転センサは、後輪16bの回転速度に応じた信号を制御部21bに出力する。制御部21bは、前輪16aの回転速度に応じた信号、および、後輪16bの回転速度に応じた信号に基づいて、前輪16aの回転速度、および、後輪16bの回転速度を検出するように構成される。前輪回転センサ、および、後輪回転センサは、例えば、車輪16の周方向に相互に離間して配置される複数の孔が形成される回転部材と検出対象とする、磁気センサ、または、光学センサによって構成されてもよい。
【0080】
操作装置26は、ユーザが手、または、指によって操作するように構成される。操作装置26は、例えば、ハンドルバー14に設けられる。操作装置26は、レバー、および、ボタンの少なくとも1つを含む。レバーは、予め定める部材に対して揺動するレバー、および、予め定める回転軸線まわりに回転するレバーの少なくとも1つを含む。ボタンは、押しボタン、および、タッチパネルの少なくとも1つを含む。操作装置26は、操作に応じた信号を制御部21bに出力するように構成される。制御部21bは、操作に応じた信号に基づいて、操作装置26の操作を検出するように構成される。
【0081】
制御部21bは、第1制御状態、および、第2制御状態において、モータ20aを制御するように構成される。第1制御状態において、制御部21bは、人力駆動力F1が最大の第1基準回転位相に対して、比較的近い回転位相において、アシスト力F2が最小となるようにモータ20aを制御する。
【0082】
制御部21bは、第1制御状態では、人力駆動力F1に応じてモータ20aを駆動する場合、クランクアーム11bが1回転する間に人力駆動力F1が最も大きくなる第1基準回転位相から、クランクアーム11bの回転位相が±30度以内の範囲内においてアシスト力F2が最小となるようにモータ20aを制御する。制御部21bは、第1制御状態において、人力駆動力F1に応じてモータ20aを駆動する場合、クランクアーム11bが1回転する間に人力駆動力F1が最も小さくなる第2基準回転位相から、クランク11の回転位相が±30度以内の範囲内において、アシスト力F2が最大となるようにモータ20aを制御する。
【0083】
制御部21bは、第1制御状態において、例えば、第1実施形態、および、第2実施形態と同様にモータ20aを制御する。第1実施形態、および、第2実施形態におけるモータ20aの制御の一例は、
図4、および、
図5に示される。
【0084】
第2制御状態は、第1制御状態とは異なる。第2制御状態において、制御部21bは、人力駆動力F1が最大の第1基準回転位相に対して、比較的近い回転位相において、アシスト力F2が最大となるようにモータ20aを制御する。本実施形態では、制御部21bは、第2制御状態では、人力駆動力F1に応じてモータ20aを駆動する場合、クランクアーム11bが1回転する間に第1基準回転位相から、クランクアーム11bの回転位相が±30度以内の範囲内においてアシスト力F2が最大となるようにモータ20aを制御する。
【0085】
図7には、第2制御状態におけるモータ20aの制御の一例が示される。
図7において、F1を実線によって示し、F2を破線によって示し、F3を仮想線によって示す。
図7に示されるアシスト力F2は
図3に示される人力駆動力F1に応じたモータ20aの制御によって、人力駆動車10に付与されるアシスト力F2の一例を示す。
図7に示される総駆動力F3は、
図3に示される人力駆動力F1に応じたモータ20aの制御によって、人力駆動車10に付与される人力駆動力F1、および、アシスト力F2の合力を示す。第1基準回転位相は、
図7に示される90度、および、270度を含む。第2基準回転位相は、
図7に示される0度、180度、および、360度を含む。
【0086】
図7に示されるように、制御部21bは、第2制御状態において、クランクアーム11bの回転位相が、人力駆動力F1が最大の第1基準回転位相の場合に、アシスト力F2が最大となるようにモータ20aを制御する。制御部21bは、第2制御状態において、クランクアーム11bの回転位相が、人力駆動力F1が最小の第2基準回転位相の場合に、アシスト力F2が最小となるようにモータ20aを制御する。
【0087】
制御部21bは、予め定めるパラメータに応じて、制御状態を変更するように構成される。本実施形態では、制御部21bは、人力駆動車10の走行環境、人力駆動車10の走行状態、および、人力駆動車10の操作装置26の操作の少なくとも1つに応じて、制御状態を第2制御状態と第1制御状態との間において切り替えるように構成される。
【0088】
制御状態を変更する処理の一例が説明される。制御状態を変更する処理の一例の説明には、
図8が用いられる。制御部21bは、
図8に示されるフローチャートに従う第1制御フローを、予め定める条件が満たされた場合に開始する。第1制御フローは、モータ20aの制御状態を、第2制御状態から第1制御状態に切り替える処理の一例を示す。
【0089】
制御部21bは、例えば、モータ20aの制御状態を第1制御状態から第2制御状態に切り替えた場合に、第1制御フローを開始する。制御部21bは、第1制御フローが終了すると、予め定める条件が満たされるまで、第1制御フローを予め定める時間ごとに繰り返し実行する。本実施形態では、制御部21bは、モータ20aの制御状態を第2制御状態から第1制御状態に切り替えるまで、第1制御フローを繰り返し実行する。
【0090】
制御部21bは、第1制御フローを開始するとステップS1に移行し、第2制御状態において第1条件が満たされる場合に、ステップS2に移行する。制御部21bは、第2制御状態において第1条件が満たされない場合、第1制御フローを終了する。第1条件は、例えば、人力駆動車10の走行環境、人力駆動車10の走行状態、および、操作装置26の操作の少なくとも1つに基づいて規定される。
【0091】
人力駆動車10の走行環境に基づいて第1条件が規定される場合、第1条件は、例えば、人力駆動車10の走行環境が、駆動輪がスリップし易い環境にある場合に満たされる。例えば、第1条件は、人力駆動車10が予め定める勾配以上の勾配を走行する場合、予め定める摩擦抵抗以下の路面を人力駆動車10が走行する場合、予め定めるスリップし易い場所を人力駆動車10が走行する場合に満たされる。人力駆動車10の走行環境に基づいて第1条件が規定される場合、制御部21bは、走行環境検出部24からの信号に基づいて第1条件が満たされることを検出する。
【0092】
人力駆動車10の走行状態に基づいて第1条件が規定される場合、第1条件は、例えば、駆動輪がスリップしている場合に満たされる。例えば、第1条件は、前輪16aの回転速度と後輪16bの回転速度との差が予め定める閾値以上の場合に満たされる。人力駆動車10の走行状態に基づいて第1条件が規定される場合、制御部21bは、走行状態検出部25からの信号に基づいて第1条件が満たされることを検出する。
【0093】
操作装置26の操作に基づいて第1条件が規定される場合、第1条件は、駆動輪のスリップに関係なく満たされる。第1条件は、例えば、人力駆動車10が急勾配を走行していたとしても、操作装置26に対して予め定める操作が行われると満たされる。操作装置26の操作に基づいて第1条件が規定される場合、制御部21bは、操作装置26からの信号に基づいて第1条件が満たされることを検出する。
【0094】
制御部21bは、第2制御状態において第1条件が満たされる場合にステップS2に移行し、第1制御状態においてモータ20aを制御する。制御部21bは、ステップS2の処理を行った後、第1制御フローを終了する。
【0095】
制御部21bは、第1制御フローを実行することによって、駆動輪がスリップし易い場合、および、駆動輪がスリップしている場合に、モータ20aの制御状態を、第2制御状態から第1制御状態に切り替えられる。制御部21bは、例えば、オフロードの急勾配を人力駆動車10が走行する場合に、モータ20aの制御状態を、第2制御状態から第1制御状態に自動的に切り替えられる。制御部21bは、第1制御状態においてモータ20aを制御することによって、駆動輪がスリップして人力駆動車10が減速してしまうことを回避できる。
【0096】
制御部21bは、第1制御状態においてモータ20aを制御する場合、予め定める条件を満たす場合に、モータ20aの制御状態を、第1制御状態から第2制御状態に切り替えるように構成される。制御部21bは、例えば、第1制御状態において第1条件を満たさない場合に、第1制御状態から第2制御状態に切り替える。例えば、制御部21bは、第1制御状態において人力駆動車10が平地、および、下り坂を走行する場合に、モータ20aの制御状態を、第1制御状態から第2制御状態に切り替える。制御部21bによって制御状態が変更されることによって、利便性を向上できる。
【0097】
(第5実施形態)
第5実施形態の制御装置21が説明される。第5実施形態の制御装置21の説明には、
図9が用いられる。第1実施形態から第4実施形態と共通する構成については、第1実施形態から第4実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0098】
制御部21bは、第2制御状態において、第1条件が満たされると、第2制御状態を第1制御状態に切り替える。本実施形態では、第1条件は、人力駆動車10の走行環境に関する条件を含む。制御状態を変更する処理の一例が説明される。制御状態を変更する処理の一例の説明には、
図9が用いられる。制御部21bは、
図9に示されるフローチャートに従う第2制御フローを、予め定める条件が満たされた場合に開始する。制御部21bは、第2制御フローが終了すると、予め定める条件が満たされるまで、第2制御フローを予め定める時間ごとに繰り返し実行する。第2制御フローが開始される条件、および、第2制御フローが繰り返し実行される条件は、第4実施形態と同様である。
【0099】
制御部21bは、第1制御フローを開始するとステップS11に移行し、第2制御状態において人力駆動車10の走行環境に関する条件が満たされる場合に、ステップS12に移行する。制御部21bは、第2制御状態において人力駆動車10の走行環境に関する条件が満たされない場合に、第1制御フローを終了する。走行環境は、人力駆動車10の走行路の勾配、走行路の路面の摩擦抵抗、および、走行路の場所の少なくとも1つを含む。
【0100】
走行環境が人力駆動車10の走行路の勾配を含む場合、第1条件は、勾配が予め定める値以上である場合に満たされる。例えば、制御部21bは、姿勢センサからの信号、および、加速度センサからの信号に基づいて走行路の勾配を検出し、勾配の検出結果が予め定める値以上の場合に、ステップS12に移行する。本実施形態では、予め定める値には、25%が設定される。予め定める値には、25%とは異なる値が設定されてもよい。制御部21bは、勾配の算出結果が予め定める値未満の場合に、第2制御フローを終了する。
【0101】
走行環境が走行路の路面の摩擦抵抗を含む場合、第1条件は、摩擦抵抗が、予め定める値以下である場合に満たされる。例えば、制御部21bは、カメラからの信号に基づいて路面の摩擦抵抗を検出し、摩擦抵抗の検出結果が予め定める値以下の場合に、ステップS12に移行する。制御部21bは、摩擦抵抗の検出結果が予め定める値よりも大きい場合に、第2制御フローを終了する。
【0102】
走行環境が走行路の場所を含む場合、第1条件は、場所が、予め定める場所である場合に満たされる。例えば、制御部21bは、GPS受信機からの信号、および、記憶部21aに記憶される地図データに基づいて、人力駆動車10が走行する場所を検出する。制御部21bは、場所の検出結果が予め定める場所の場合に、ステップS12に移行する。制御部21bは、場所の検出結果が予め定める場所とは異なる場合に、第2制御フローを終了する。
【0103】
制御部21bは、ステップS12に移行すると、第1制御状態においてモータ20aを制御する。制御部21bは、ステップS12の処理を行った後、第2制御フローを終了する。
【0104】
制御部21bが第2制御フローを実行することによって、モータ20aの制御状態は、例えば、駆動輪がスリップし易い場合、および、駆動輪がスリップする場合に、第2制御状態から第1制御状態に自動的に切り替えられる。例えば、人力駆動車10が急勾配を走行する場合、摩擦抵抗が小さい路面を人力駆動車10が走行する場合、および、予め定めるスリップが発生し易い場所を人力駆動車10が走行する場合に、モータ20aの制御状態は、第2制御状態から第1制御状態に切り替えられる。モータ20aの制御状態が第2制御状態から第1制御状態に切り替えられることによって、スリップを効果的に抑制できる。
【0105】
(第6実施形態)
第6実施形態の制御装置21が説明される。第6実施形態の制御装置21の説明には、
図10が用いられる。第1実施形態から第5実施形態と共通する構成については、第1実施形態から第5実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0106】
制御部21bは、第2制御状態において、第1条件が満たされると、第2制御状態を第1制御状態に切り替える。本実施形態では、第1条件は、走行状態に関する条件を含む。制御状態を変更する処理の一例が説明される。制御状態を変更する処理の一例の説明には、
図10が用いられる。制御部21bは、
図10に示されるフローチャートに従う第3制御フローを、予め定める条件が満たされた場合に開始する。制御部21bは、第3制御フローが終了すると、予め定める条件が満たされるまで、第3制御フローを予め定める時間ごとに繰り返し実行する。第3制御フローが開始される条件、および、第3制御フローが繰り返し実行される条件は、第4実施形態と同様である。
【0107】
制御部21bは、第1制御フローを開始するとステップS21に移行し、第2制御状態において、人力駆動車10の走行状態に関する条件が満たされる場合に、ステップS22に移行する。制御部21bは、第2制御状態において人力駆動車10の走行状態に関する条件が満たされない場合に、第3制御フローを終了する。走行状態は、人力駆動車10の車輪16の回転速度を含む。
【0108】
走行状態が人力駆動車10の車輪16の回転速度を含む場合、第1条件は、前輪16aの回転速度と、後輪16bの回転速度との差が、予め定める値以上である場合に満たされる。例えば、制御部21bは、前輪回転センサからの信号に基づいて前輪16aの回転速度を検出すると共に、後輪回転センサからの信号に基づいて後輪16bの回転速度を検出する。制御部21bは、前輪16aの回転速度と後輪16bの回転速度との差が予め定める値以上の場合に、ステップS22に移行する。制御部21bは、前輪16aの回転速度と後輪16bの回転速度との差が予め定める値未満の場合に、第3制御フローを終了する。
【0109】
制御部21bは、ステップS22に移行すると、第1制御状態においてモータ20aを制御する。制御部21bは、ステップS22の処理を行った後、第3制御フローを終了する。
【0110】
制御部21bが第3制御フローを実行することによって、モータ20aの制御状態は、駆動輪がスリップしている場合に、第2制御状態から第1制御状態に自動的に切り替えられる。例えば、駆動輪がスリップしている場合、後輪16bの回転速度が予め定める値以上前輪16aの回転速度よりも速くなり、モータ20aの制御状態は、第2制御状態から第1制御状態に切り替えられる。モータ20aの制御状態が第2制御状態から第1制御状態に切り替えられることによって、制御部21bは、駆動輪がスリップしている場合に、スリップを抑制するようにモータ20aを制御できる。
【0111】
(第7実施形態)
第7実施形態の制御装置21が説明される。第7実施形態の制御装置21の説明には、
図11が用いられる。第1実施形態から第6実施形態と共通する構成については、第1実施形態から第6実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0112】
制御部21bは、第2制御状態において、第1条件が満たされると、第2制御状態を第1制御状態に切り替える。本実施形態では、第1条件は、操作装置26の操作に関する条件を含む。第1条件は、操作装置26が操作される場合に満たされる。
【0113】
制御状態を変更する処理の一例が説明される。制御状態を変更する処理の一例の説明には、
図11が用いられる。制御部21bは、
図11に示されるフローチャートに従う第4制御フローを、予め定める条件が満たされた場合に開始する。制御部21bは、第4制御フローが終了すると、予め定める条件が満たされるまで、第4制御フローを予め定める時間ごとに繰り返し実行する。第4制御フローが開始される条件、および、第4制御フローが繰り返し実行される条件は、第4実施形態と同様である。
【0114】
制御部21bは、第4制御フローを開始するとステップS31に移行し、第2制御状態において、操作装置26の操作に関する条件が満たされる場合に、ステップS32に移行する。例えば、制御部21bは、操作装置26からの信号に基づいて、ユーザが操作装置26に対して予め定める操作を行ったことを検出する場合に、ステップS22に移行する。制御部21bは、第2制御状態において操作装置26の操作に関する条件が満たされない場合に、第4制御フローを終了する。例えば、制御部21bは、ユーザが操作装置26に対して予め定める操作を行ったことを検出しない場合に、第4制御フローを終了する。
【0115】
制御部21bは、ステップS32に移行すると、第1制御状態においてモータ20aを制御する。制御部21bは、ステップS32の処理を行った後、第3制御フローを終了する。
【0116】
制御部21bが第4制御フローを実行することによって、ユーザが操作装置26を操作することによって、制御部21bは、モータ20aの制御状態を、第2制御状態から第1制御状態に切り替えられるため、利便性を向上できる。
【0117】
(第8実施形態)
第8実施形態の制御装置21が説明される。第8実施形態の制御装置21の説明には、
図12が用いられる。第1実施形態から第7実施形態と共通する構成については、第1実施形態から第7実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0118】
本実施形態では、制御部21bは、第1制御状態において第2条件が満たされる場合、第2制御状態においてモータ20aを制御するように構成される。制御状態を変更する処理の一例が説明される。制御状態を変更する処理の一例の説明には、
図12が用いられる。制御部21bは、
図12に示されるフローチャートに従う第5制御フローを、予め定める条件が満たされた場合に開始する。第5制御フローは、モータ20aの制御状態を、第1制御状態から第2制御状態に切り替える処理の一例を示す。
【0119】
制御部21bは、例えば、モータ20aの制御状態を第2制御状態から第1制御状態に切り替えた場合に、第5制御フローを開始する。制御部21bは、第5制御フローが終了すると、予め定める条件が満たされるまで、第5制御フローを予め定める時間ごとに繰り返し実行する。本実施形態では、制御部21bは、モータ20aの制御状態を第1制御状態から第2制御状態に切り替えるまで、第5制御フローを繰り返し実行する。
【0120】
制御部21bは、第5制御フローを開始するとステップS41に移行し、第1制御状態において第2条件が満たされる場合に、ステップS42に移行する。制御部21bは、第1制御状態において第2条件が満たされない場合、第5制御フローを終了する。本実施形態では、第2条件は、第1条件が満たされてから、予め定める期間が経過する場合に満たされる。第1条件は、例えば、モータ20aの制御状態を、第1制御状態から第2制御状態に切り替えるための条件を含む。本実施形態では、第1条件は、人力駆動車10の走行環境、人力駆動車10の走行状態、および、操作装置26の操作の少なくとも1つに基づいて規定される。
【0121】
例えば、第1条件が人力駆動車10の走行環境に基づいて規定される場合、第2条件は、人力駆動車10の走行路の勾配が予め定める値以上となってから、予め定める期間が経過する場合に満たされる。第1条件が人力駆動車10の走行環境を含む場合、第2条件は、走行路の路面の摩擦抵抗が予め定める値以下となってから、予め定める期間が経過する場合に満たされてもよい。第1条件が人力駆動車10の走行環境を含む場合、第2条件は、走行路の場所が予め定める場所となってから、予め定める期間が経過する場合に満たされてもよい。
【0122】
例えば、第1条件が人力駆動車10の走行状態に基づいて規定される場合、第2条件は、前輪16aの回転速度と後輪16bの回転速度との差が、予め定める値以上となってから、予め定める期間が経過する場合に満たされる。
【0123】
例えば、第1条件が操作装置26の操作に基づいて規定される場合、第2条件は、予め定める操作が操作装置26に対して行われてから、予め定める期間が経過する場合に満たされる。
【0124】
制御部21bは、第2制御状態において第1条件が満たされる場合にステップS42に移行し、第2制御状態においてモータ20aを制御する。制御部21bは、ステップS42の処理を行った後、第5制御フローを終了する。
【0125】
制御部21bは、第5制御フローを実行することによって、第2制御状態から第1制御状態に自動的に切り替えることができるため、利便性を向上できる。本実施形態において、制御部21bは、第1条件が満たされてから予め定める期間が経過しなければ、モータ20aの制御状態を、第1制御状態から第2制御状態に切り替えないため、モータ20aの制御状態の頻繁な変更を抑制できる。
【0126】
第2条件は、第1条件とは異なる条件であればよい。第2条件は、例えば、第1条件が満たされてから、予め定める期間が経過する前に満たされてもよい。第1条件が満たされてから予め定める期間が経過する前に第2条件が満たされる場合、第2条件において用いられる閾値は、第1条件において用いられる閾値とは異なる大きさであってもよい。例えば、走行路の勾配が25%以上の場合に第1条件が満たされる場合、第2条件は、走行路の勾配が20%の場合に満たされてもよい。第1条件における閾値、および、第2条件における閾値が互いに異なることによって、制御部21bは、モータ20aの制御状態の頻繁な変更を抑制できる。
【0127】
(変形例)
各実施形態に関する説明は、本発明が取り得る形態の例示であり、本発明を制限することを意図していない。本発明は、例えば以下に示す各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わされた形態を取り得る。
【0128】
例えば、各実施形態における制御装置21の構成は一例であり、制御装置21は、各実施形態において示されない各種装置を含んでいてもよく、各実施形態において示す各種装置のうち一部を含まない構成としてもよい。
【0129】
各実施形態において例示される制御において用いられる各種の閾値は限定されず、任意に設定されてもよい。各種の閾値は、予め定める操作装置の操作等によって任意に変更されてもよい。
【0130】
各実施形態において例示される構成は、相互に矛盾しない範囲において互いに組み合わせられてもよい。各実施形態において例示されるフローチャートの処理内容、および、処理順序は一例であり、本発明の範囲内において適宜処理内容、および、処理順序を変更できる。
例えば、制御部21bは、
図8から
図11に示される4つのフローチャートのうち、少なくとも2つを実行するように構成されてもよい。例えば、制御部21bは、
図8から
図11に示される4つのフローチャートのうち、
図8と
図11に示されるフローチャートを実行するように構成されてもよい。例えば、制御部21bは、
図8から
図11に示される4つのフローチャートのうち、
図8から
図11に示されるフローチャートの全てを実行するように構成されてもよい。
【0131】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」、または、「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」、または、「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0132】
1…人力駆動車、11b…クランクアーム、19a…モータ、16…車輪、16a…前輪、16b…後輪、20…制御装置、20b…制御部、26…操作装置、F1…人力駆動力、F2…アシスト力
【手続補正書】
【提出日】2023-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車にアシスト力を付与するモータを、前記人力駆動車のクランクアームに入力される人力駆動力に応じて制御するように構成される制御部を備え、
前記制御部は、
前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記クランクアームが1回転する間に前記人力駆動力が最も大きくなる第1基準回転位相から、前記クランクアームの回転位相が±30度以内の範囲内において、前記アシスト力が最小となるように前記モータを制御する、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記クランクアームの回転位相が、前記第1基準回転位相の場合に、前記アシスト力が最小となるように前記モータを制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記クランクアームが1回転する間に前記人力駆動力が最も小さくなる第2基準回転位相から、前記クランクアームの回転位相が±30度以内の範囲内において、前記アシスト力が最大となるように前記モータを制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記クランクアームの回転位相が、前記第2基準回転位相の場合に、前記アシスト力が最大となるように前記モータを制御する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記人力駆動力が増加すると、前記アシスト力を減少させ、前記人力駆動力が減少すると、前記アシスト力を増加させるように前記モータを制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
第1制御状態、および、第2制御状態において、前記モータを制御するように構成され、
前記第1制御状態では、前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記クランクアームが1回転する間に前記人力駆動力が最も大きくなる第1基準回転位相から、前記クランクアームの回転位相が±30度以内の範囲内において前記アシスト力が最小となるように前記モータを制御し、
前記第2制御状態では、前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記クランクアームが1回転する間に前記第1基準回転位相から、前記クランクアームの回転位相が±30度以内の範囲内において前記アシスト力が最大となるように前記モータを制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1制御状態において、前記人力駆動力に応じて前記モータを駆動する場合、前記クランクアームが1回転する間に前記人力駆動力が最も小さくなる第2基準回転位相から、前記クランクアームの回転位相が±30度以内の範囲内において、前記アシスト力が最大となるように前記モータを制御する、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記人力駆動車の走行環境、前記人力駆動車の走行状態、および、前記人力駆動車の操作装置の操作の少なくとも1つに応じて、制御状態を前記第2制御状態と前記第1制御状態との間において切り替えるように構成される、請求項6、または、7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記走行環境は、前記人力駆動車の走行路の勾配、前記走行路の路面の摩擦抵抗、および、前記走行路の場所の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記走行状態は、前記人力駆動車の車輪の回転速度を含む、請求項8に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第2制御状態において、第1条件が満たされると、前記第2制御状態を前記第1制御状態に切り替える、請求項9に記載の制御装置。
【請求項12】
前記第1条件は、前記勾配が予め定める値以上である場合に満たされる、請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記第1条件は、前記摩擦抵抗が、予め定める値以下である場合に満たされる、請求項11に記載の制御装置。
【請求項14】
前記第1条件は、前記場所が、予め定める場所である場合に満たされる、請求項11に記載の制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記第2制御状態において、第1条件が満たされると、前記第2制御状態を前記第1制御状態に切り替える、請求項10に記載の制御装置。
【請求項16】
前記車輪は、前輪、および、後輪を含み、
前記第1条件は、前記前輪の回転速度と、前記後輪の回転速度との差が、予め定める値以上である場合に満たされる、請求項15に記載の制御装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記第2制御状態において、第1条件が満たされると、前記第2制御状態を前記第1制御状態に切り替える、請求項8に記載の制御装置。
【請求項18】
前記第1条件は、前記操作装置が操作される場合に満たされる、請求項17に記載の制御装置。
【請求項19】
前記制御部は、
前記第1制御状態において第2条件が満たされる場合、前記第2制御状態において前記モータを制御するように構成される、請求項6に記載の制御装置。
【請求項20】
前記第2条件は、第1条件が満たされてから、予め定める期間が経過する場合に満たされる、請求項19に記載の制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
第1、または、第2側面に従う第3側面の制御装置において、制御部は、人力駆動力に応じてモータを駆動する場合、クランクアームが1回転する間に人力駆動力が最も小さくなる第2基準回転位相から、クランクアームの回転位相が±30度以内の範囲内において、アシスト力が最大となるようにモータを制御する。
第3側面の制御装置によれば、クランクアームが1回転する間に入力される人力駆動力が小さくなるときに、アシスト力が最大となるので、人力駆動力とアシスト力とを含む人力駆動車の推進力の脈動をさらに抑制できる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
第6側面に従う第7側面の制御装置において、制御部は、第1制御状態において、人力駆動力に応じてモータを駆動する場合、クランクアームが1回転する間に人力駆動力が最も小さくなる第2基準回転位相から、クランクアームの回転位相が±30度以内の範囲内において、アシスト力が最大となるようにモータを制御する。
第7側面の制御装置によれば、第1制御状態において、クランクアームが1回転する間に入力される人力駆動力が小さくなるときに、アシスト力が最大となるので、人力駆動力とアシスト力とを含む人力駆動車の推進力の脈動をさらに抑制できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
制御部21bは、人力駆動力F1に応じてモータ20aを駆動する場合、クランクアーム11bが1回転する間に人力駆動力F1が最も小さくなる第2基準回転位相から、
クランクアーム11bの回転位相が±30度以内の範囲内において、アシスト力F2が最大となるようにモータ20aを制御する。本実施形態では、制御部21bは、人力駆動力F1に応じてモータ20aを駆動する場合、クランクアーム11bの回転位相が、第2基準回転位相の場合に、アシスト力F2が最大となるようにモータ20aを制御する。第2基準回転位相は、
図4に示される0度、180度、および、360度を含む。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
図4において、制御部21bは、クランクアーム11bの回転位相が270度から360度の範囲において人力駆動力F1の
減少を検出する。制御部21bは、270度から360度の範囲において、アシスト力F2が
増加するようにモータ20aを制御する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
(第4実施形態)
第4実施形態の制御装置21が説明される。第4実施形態の制御装置21の説明には、
図3から図8が用いられる。第1実施形態から第3実施形態と共通する構成については、第1実施形態から第3実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0079】
前輪回転センサは、例えば、前輪16aに設けられる磁石の磁気を検出する磁気センサによって構成される。前輪回転センサは、前輪16aの回転速度の検出結果に応じた信号を制御部21bに出力する。後輪回転センサは、例えば、後輪16bに設けられる磁石の磁気を検出する磁気センサによって構成される。後輪回転センサは、後輪16bの回転速度に応じた信号を制御部21bに出力する。制御部21bは、前輪16aの回転速度に応じた信号、および、後輪16bの回転速度に応じた信号に基づいて、前輪16aの回転速度、および、後輪16bの回転速度を検出するように構成される。前輪回転センサ、および、後輪回転センサは、例えば、車輪16の周方向に相互に離間して配置される複数の孔が形成される回転部材を検出対象とする、磁気センサ、または、光学センサによって構成されてもよい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
制御部21bは、第1制御状態では、人力駆動力F1に応じてモータ20aを駆動する場合、クランクアーム11bが1回転する間に人力駆動力F1が最も大きくなる第1基準回転位相から、クランクアーム11bの回転位相が±30度以内の範囲内においてアシスト力F2が最小となるようにモータ20aを制御する。制御部21bは、第1制御状態において、人力駆動力F1に応じてモータ20aを駆動する場合、クランクアーム11bが1回転する間に人力駆動力F1が最も小さくなる第2基準回転位相から、クランクアーム11bの回転位相が±30度以内の範囲内において、アシスト力F2が最大となるようにモータ20aを制御する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0099
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0099】
制御部21bは、第2制御フローを開始するとステップS11に移行し、第2制御状態において人力駆動車10の走行環境に関する条件が満たされる場合に、ステップS12に移行する。制御部21bは、第2制御状態において人力駆動車10の走行環境に関する条件が満たされない場合に、第2制御フローを終了する。走行環境は、人力駆動車10の走行路の勾配、走行路の路面の摩擦抵抗、および、走行路の場所の少なくとも1つを含む。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
制御部21bは、第3制御フローを開始するとステップS21に移行し、第2制御状態において、人力駆動車10の走行状態に関する条件が満たされる場合に、ステップS22に移行する。制御部21bは、第2制御状態において人力駆動車10の走行状態に関する条件が満たされない場合に、第3制御フローを終了する。走行状態は、人力駆動車10の車輪16の回転速度を含む。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0114】
制御部21bは、第4制御フローを開始するとステップS31に移行し、第2制御状態において、操作装置26の操作に関する条件が満たされる場合に、ステップS32に移行する。例えば、制御部21bは、操作装置26からの信号に基づいて、ユーザが操作装置26に対して予め定める操作を行ったことを検出する場合に、ステップS32に移行する。制御部21bは、第2制御状態において操作装置26の操作に関する条件が満たされない場合に、第4制御フローを終了する。例えば、制御部21bは、ユーザが操作装置26に対して予め定める操作を行ったことを検出しない場合に、第4制御フローを終了する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0115
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0115】
制御部21bは、ステップS32に移行すると、第1制御状態においてモータ20aを制御する。制御部21bは、ステップS32の処理を行った後、第4制御フローを終了する。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0124
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0124】
制御部21bは、第1制御状態において第2条件が満たされる場合にステップS42に移行し、第2制御状態においてモータ20aを制御する。制御部21bは、ステップS42の処理を行った後、第5制御フローを終了する。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0125】
制御部21bは、第5制御フローを実行することによって、第1制御状態から第2制御状態に自動的に切り替えることができるため、利便性を向上できる。本実施形態において、制御部21bは、第1条件が満たされてから予め定める期間が経過しなければ、モータ20aの制御状態を、第1制御状態から第2制御状態に切り替えないため、モータ20aの制御状態の頻繁な変更を抑制できる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0132
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0132】
10…人力駆動車、11b…クランクアーム、16…車輪、16a…前輪、16b…後輪、20a…モータ、21…制御装置、21b…制御部、26…操作装置、F1…人力駆動力、F2…アシスト力