(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051231
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】液体吐出装置及び液体吐出方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B41J2/01 127
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157281
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】吉川 英伸
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA05
2C056EB11
2C056EB35
2C056EB38
2C056EC06
2C056EC28
2C056EC33
2C056EC38
2C056FA10
2C056FD20
2C056HA37
2C056KD10
(57)【要約】
【課題】液体吐出ヘッドと照射光源とがともに移動する場合において、異なる速度領域で印刷品質の差が生じてしまうことを抑制する。
【解決手段】本発明の一態様にかかる液体吐出装置は、液体吐出ヘッドと照射光源となる照射部との移動速度についての第1非定速期間Iaにおいて、吐出された液体上を照射部が通過する際には、液体吐出ヘッドと照射部との間の距離が第1距離で照射が有効出力以上となるように、制御を行う。上記液体吐出装置は、上記移動速度についての非定速期間であって第1非定速期間Iaより媒体に対する相対速度が速い第2非定速期間Ibにおいて、吐出された液体上を照射部が通過する際には、上記距離が第1距離よりも長い第2距離で照射が有効出力以上となり、且つ、第1距離で照射が有効出力未満となるように、制御を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に対して液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドとともに前記媒体に対して主走査方向に相対移動が可能であり、前記媒体に向けて活性エネルギー線を照射する照射部と、
前記照射部からの前記活性エネルギー線の照射を制御する制御部と、を備え、
前記媒体に対する前記液体吐出ヘッド及び前記照射部の前記主走査方向の相対速度が変化する期間を、非定速期間とし、
前記非定速期間は、第1非定速期間と、前記第1非定速期間より前記相対速度が速い第2非定速期間と、を含んでおり、
前記照射部は、前記活性エネルギー線を有効出力以上で照射する場合、前記主走査方向と交差する副走査方向における照射範囲が一定であるように前記活性エネルギー線を照射し、
前記制御部は、
前記第1非定速期間において、前記液体吐出ヘッドから吐出された前記液体上を前記照射部が通過する際には、前記液体吐出ヘッドと前記照射部との間の距離が第1距離で前記照射部からの前記活性エネルギー線の照射が有効出力以上となるように、制御を行い、
前記第2非定速期間において、前記液体吐出ヘッドから吐出された前記液体上を前記照射部が通過する際には、前記液体吐出ヘッドと前記照射部との間の距離が前記第1距離よりも長い第2距離で前記照射部からの前記活性エネルギー線の照射が有効出力以上となり、且つ、前記第1距離で前記照射部からの前記活性エネルギー線の照射が有効出力未満となるように、制御を行うことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記主走査方向における前記液体吐出ヘッドと前記照射部との間の距離を変更する変更部を備え、
前記照射部からの前記活性エネルギー線の照射を制御することは前記変更部を制御することを含むことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記照射部は、前記主走査方向における前記液体吐出ヘッドからの距離が前記第1距離の位置にある第1照射部と、前記主走査方向における前記液体吐出ヘッドからの距離が前記第2距離の位置にある第2照射部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記照射部は、前記主走査方向において、前記液体吐出ヘッドからの距離が前記第1距離及び前記第2距離よりも長い第3距離の位置にある第3照射部をさらに含み、
前記制御部は、
前記第1非定速期間においては、前記活性エネルギー線の有効出力以上の照射が少なくとも前記第1照射部からなされるように制御し、
前記第2非定速期間においては、前記活性エネルギー線の有効出力以上の照射が前記第1照射部からなされず且つ少なくとも前記第2照射部からなされるように制御し、
前記相対速度が一定の期間である定速期間においては、前記活性エネルギー線の有効出力以上の照射が前記第3照射部からなされるように制御することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記非定速期間において、前記液体吐出ヘッドから吐出された前記液体上を通過する際の前記活性エネルギー線の強度が、前記相対速度が一定の期間である定速期間において、前記液体吐出ヘッドから吐出された前記液体上を通過する際の前記活性エネルギー線の強度よりも小さくなるように、前記照射部を制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
媒体に対して液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドとともに前記媒体に対して主走査方向に相対移動が可能であり且つ前記媒体に向けて活性エネルギー線を照射する照射部と、を備えた液体吐出装置を用い、前記液体を吐出する液体吐出方法であって、
前記照射部は、前記活性エネルギー線を有効出力以上で照射する場合、前記主走査方向と交差する副走査方向における照射範囲が一定であるように前記活性エネルギー線を照射する部位であり、
前記媒体に対する前記液体吐出ヘッド及び前記照射部の前記主走査方向の相対速度が変化する期間を、非定速期間とし、
前記非定速期間は、第1非定速期間と、前記第1非定速期間より前記相対速度が速い第2非定速期間と、を含んでおり、
前記液体吐出方法は、
前記第1非定速期間において、前記液体吐出ヘッドから吐出された前記液体上を前記照射部が通過する際には、前記液体吐出ヘッドと前記照射部との間の距離が第1距離で前記照射部からの前記活性エネルギー線の照射が有効出力以上となるように、制御を行い、
前記第2非定速期間において、前記液体吐出ヘッドから吐出された前記液体上を前記照射部が通過する際には、前記液体吐出ヘッドと前記照射部との間の距離が前記第1距離よりも長い第2距離で前記照射部からの前記活性エネルギー線の照射が有効出力以上となり、且つ、前記第1距離で前記照射部からの前記活性エネルギー線の照射が有効出力未満となるように、制御を行うことを特徴とする液体吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置及び液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置の一種であるプリンターの中には、紫外線を照射すると硬化するUV(Ultra Violet)硬化型インク等の光硬化型インクを媒体に吐出するインクジェット記録装置がある。例えば、特許文献1には、所定方向に移動しながらUV硬化型インクを吐出するヘッドとともに紫外線の照射光源が移動するように、ヘッドの両端部に照射光源を設けたインクジェット記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、UV硬化型インク等の液体を吐出する液体吐出ヘッドとともに、そのヘッドから吐出される液体に紫外線等の活性エネルギー線を照射する照射光源が移動する場合、液体吐出ヘッド及び照射光源は、速度0の状態から加速をして所定の移動速度となり、最後には減速をして速度0の状態に戻ることを繰り返す動きをする。つまり、液体吐出ヘッドと照射光源は常に一定の速度であるわけではなく、複数の速度をとり得る。
【0005】
そして、速度が異なると、隣り合う液体吐出ヘッドと照射光源における「液体の吐出」から「活性エネルギー線の照射」までの間に経過する時間も異なることになる。そのため、液体吐出ヘッドと照射光源とがともに移動する場合において、異なる速度領域で印刷品質の差が生じてしまう。
【0006】
よって、液体吐出ヘッドと照射光源とがともに移動する場合において、異なる速度領域で印刷品質の差が生じてしまうことを抑制する技術の開発が望まれる。なお、特許文献1に開示された技術は、このような課題を解決できるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかる液体吐出装置は、媒体に対して液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドとともに前記媒体に対して主走査方向に相対移動が可能であり、前記媒体に向けて活性エネルギー線を照射する照射部と、前記照射部からの前記活性エネルギー線の照射を制御する制御部と、を備え、前記媒体に対する前記液体吐出ヘッド及び前記照射部の前記主走査方向の相対速度が変化する期間を、非定速期間とし、前記非定速期間は、第1非定速期間と、前記第1非定速期間より前記相対速度が速い第2非定速期間と、を含んでおり、前記照射部は、前記活性エネルギー線を有効出力以上で照射する場合、前記主走査方向と交差する副走査方向における照射範囲が一定であるように前記活性エネルギー線を照射し、前記制御部は、前記第1非定速期間において、前記液体吐出ヘッドから吐出された前記液体上を前記照射部が通過する際には、前記液体吐出ヘッドと前記照射部との間の距離が第1距離で前記照射部からの前記活性エネルギー線の照射が有効出力以上となるように、制御を行い、前記第2非定速期間において、前記液体吐出ヘッドから吐出された前記液体上を前記照射部が通過する際には、前記液体吐出ヘッドと前記照射部との間の距離が前記第1距離よりも長い第2距離で前記照射部からの前記活性エネルギー線の照射が有効出力以上となり、且つ、前記第1距離で前記照射部からの前記活性エネルギー線の照射が有効出力未満となるように、制御を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様にかかる液体吐出方法は、媒体に対して液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドとともに前記媒体に対して主走査方向に相対移動が可能であり且つ前記媒体に向けて活性エネルギー線を照射する照射部と、を備えた液体吐出装置を用い、前記液体を吐出する液体吐出方法であって、前記照射部は、前記活性エネルギー線を有効出力以上で照射する場合、前記主走査方向と交差する副走査方向における照射範囲が一定であるように前記活性エネルギー線を照射する部位であり、前記媒体に対する前記液体吐出ヘッド及び前記照射部の前記主走査方向の相対速度が変化する期間を、非定速期間とし、前記非定速期間は、第1非定速期間と、前記第1非定速期間より前記相対速度が速い第2非定速期間と、を含んでおり、前記液体吐出方法は、前記第1非定速期間において、前記液体吐出ヘッドから吐出された前記液体上を前記照射部が通過する際には、前記液体吐出ヘッドと前記照射部との間の距離が第1距離で前記照射部からの前記活性エネルギー線の照射が有効出力以上となるように、制御を行い、前記第2非定速期間において、前記液体吐出ヘッドから吐出された前記液体上を前記照射部が通過する際には、前記液体吐出ヘッドと前記照射部との間の距離が前記第1距離よりも長い第2距離で前記照射部からの前記活性エネルギー線の照射が有効出力以上となり、且つ、前記第1距離で前記照射部からの前記活性エネルギー線の照射が有効出力未満となるように、制御を行うことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態にかかる液体吐出装置を含む印刷装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図1の印刷装置における液体吐出ヘッドと照射部とを搭載したキャリッジの一例を示す模式図である。
【
図3】
図1の印刷装置における1往路におけるキャリッジの移動速度の変化の一例を示すグラフである。
【
図4】
図1の印刷装置における液体吐出ヘッドと照射部とを搭載したキャリッジの他の例を示す模式図である。
【
図5】
図1の印刷装置における照射動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態にかかる液体吐出装置を備えた印刷装置の一例を示すブロック図である。
図2は、
図1の印刷装置における液体吐出ヘッドと照射部とを搭載したキャリッジの一例を示す模式図である。
【0011】
図1に示す印刷装置1は、画像記録装置の一例であり、典型的には、用紙、布、フィルム等の媒体にUV硬化型インクを吐出しそのインクを硬化させるUVインクジェットプリンターである。なお、UV硬化型インク(以下、UVインク)は、光硬化型インクの一種で紫外線硬化樹脂を含むインクであり、紫外線の照射を受けると紫外線硬化樹脂において光重合反応が起こることにより硬化する。
【0012】
但し、印刷装置1で使用される液体は、UV硬化型インクに限らず他の波長帯の光、電子線など、紫外線以外の活性エネルギー線に反応して変化する液体とすることもできる。つまり、印刷装置1は、かかる液体を媒体に吐出し、その液体をその活性エネルギー線で硬化させて液体を媒体に固定させるような、他種の画像記録装置として構成することもできる。また、本実施の形態は、複写機、ファクシミリ、これらの機能を備えた複合機等、インクジェット技術を用いた装置に広く適用できる。
【0013】
印刷装置1は、図示しないコンピューターが有線又は無線で通信可能に接続されることができ、このコンピューターは、印刷装置1に画像を印刷させるための印刷データを印刷装置1に出力する。この印刷データを受信した印刷装置1は媒体に印刷を行う。
【0014】
図1に示す印刷装置1は、その全体を制御する制御ユニット10を備えるとともに、ヘッドユニット11、照射ユニット12、キャリッジユニット13、及び搬送ユニット14を備えることができる。印刷装置1のうち、主にヘッドユニット11、照射ユニット12、及び制御ユニット10におけるヘッドユニット11及び照射ユニット12の制御にかかる部分で、本実施の形態にかかる液体吐出装置の一例が構成できる。
【0015】
制御ユニット10は、コントローラーと称することもでき、印刷装置1の制御を行う。制御ユニット10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置と、作業用メモリーと、制御用のプログラムやパラメーター等を記憶する記憶装置とを含んで構成されることができる。制御ユニット10は、SoC(System on a Chip)として構成することもできる。これらの例からも分かるように、制御ユニット10は、制御用のプログラムを実行可能な状態で記憶する構成とすることができる。但し、制御ユニット10は、制御用のプログラムをFPGA(field-programmable gate array)のように回路構成として記憶する構成とすることや、あるいは専用の回路として構成することもできる。上記のプログラムは、以下に説明するような液体吐出及び照射にかかる制御を行うプログラムを含むことができる。
【0016】
なお、印刷装置1は、図示しない検出器群を備えることができ、この検出器群により印刷装置1内の状況を監視し、制御ユニット10がその検出結果に基づいて各ユニットを制御することができる。
【0017】
ヘッドユニット11は、媒体にUVインクを吐出するためのものであり、UVインクを吐出するインク吐出ヘッドを備える。このインク吐出ヘッドは、液体吐出ヘッドの一例であり、以下では、
図2のインク吐出ヘッド110で例示する。インク吐出ヘッド110には、その下面において、UVインクを吐出するノズルを搬送方向に所定の間隔おきに並べたノズル列が複数形成されている。なお、この所定の間隔はノズルピッチと称される。
【0018】
インク吐出ヘッド110は、6色のUVインクを吐出可能に構成したものである。ここでは、インク吐出ヘッド110で吐出可能なUVインクを、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ホワイト、及び透明として説明する。なお、透明色のインクは光沢感を出すために用いられるインクである。この場合、インク吐出ヘッド110には、イエローインクを吐出するイエローノズル列111と、マゼンタインクを吐出するマゼンタノズル列112と、シアンインクを吐出するシアンノズル列113とが、形成されている。さらに、インク吐出ヘッド110には、ブラックインクを吐出するブラックノズル列114と、ホワイトインクを吐出するホワイトノズル列115と、透明インクを吐出する透明ノズル列116も、形成されている。
【0019】
無論、これらの例に限らず、
図2の例にさらにライトシアン、ライトマゼンタ、グレー、レッドを加えた10色のインクや、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクを使用するなど、インクの色や数は、望む画質の画像を媒体に印刷できるものであればよい。また、使用頻度が高いブラックなどのインクについて、1つの色につき複数箇所のノズル列が形成されることもできる。
【0020】
なお、各色のノズルは、対応する色のインクが充填されたインク室に連通し、そのインク室から対応する色のインクが供給される。ノズルからのインク吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけてインク室を膨張、収縮させることによりノズルからインクを吐出させるピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によってノズルからインクを吐出させるサーマル方式でもよい。
【0021】
照射ユニット12は、媒体に向けて紫外線を照射することで、媒体上のUVインクに紫外線を照射してUVインクを硬化させるためのものであり、照射部の例に相当する。照射ユニット12は、紫外線照射のための光源を備え、以下、この光源を
図2に示す光源120で例示する。紫外線照射の光源120としては、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や、メタルハライドランプ、水銀ランプなどが挙げられるが、立ち上がりの速さ、出力の微調整ができる点からLEDを使用することが望ましい。なお、光源120の単位面積あたりの紫外線の照射量、つまり照射エネルギーは、紫外線の照射強度と照射時間の積で定められる。
【0022】
キャリッジユニット13は、ヘッドユニット11及び照射ユニット12を媒体の幅方向に移動させるユニットである。媒体の幅方向、つまりキャリッジユニット13においてヘッドユニット11及び照射ユニット12を移動させる方向は、主走査方向と称されることができる。この移動のために、キャリッジユニット13は、ヘッドユニット11及び照射ユニット12を搭載するキャリッジを備える。以下、このキャリッジを
図2に示すキャリッジ130で例示する。このように、印刷装置1は、キャリッジ130が媒体の幅方向に移動しながらインクを吐出するシリアル方式の印刷装置である。
【0023】
図2で示すキャリッジ130は、インク吐出ヘッド110及び光源120を搭載する。キャリッジユニット13は、キャリッジ130の他、キャリッジ130を主走査方向に移動させるガイドの機能を果たす図示しないガイドレールと、ガイドレールに沿わせてキャリッジ130を主走査方向に移動させる移動機構と、を備えることができる。このように、キャリッジ130は、インク吐出ヘッド110及び光源120を搭載した状態で、媒体の幅方向に、つまり主走査方向に移動可能となっている。換言すれば、照射ユニット12は、光源120を備え、インク吐出ヘッド110とともに、媒体に対して主走査方向に相対移動が可能となっている。
【0024】
なお、印刷装置1は、シリアル方式を採用しているため、媒体の搬送方向に垂直な方向である幅方向について、インク吐出ヘッド110及び光源120は、いずれも媒体の幅より短くなっている。インク吐出ヘッド110及び光源120は、媒体の幅方向に亘って印刷を可能とするために、キャリッジ130に搭載されて媒体の幅方向に移動されることになる。
【0025】
説明の簡潔化のため、印刷装置1が、主走査方向の
図2に矢印で示す向きでキャリッジ130を移動させる場合にのみ、印刷を実行する装置である例を挙げる。特にこの矢印の向きを往路の方向として説明するが、逆の向きを往路とすることもできる。キャリッジ130が
図2の矢印で示す向きに移動する、つまり主走査方向において右側から左側に移動する往路時には、インク吐出ヘッド110から吐出されたUVインクは、移動方向の右側に位置する光源120により紫外線が照射されることになる。無論、印刷装置1は、往路だけでなくキャリッジ130が逆方向に移動する場合である復路でも印刷を行う装置として構成することもでき、その例については簡単に後述する。
【0026】
光源120は、
図2に示すように、キャリッジ130の主走査方向の往路における後ろ側に設けられ、キャリッジ130の移動に伴ってインク吐出ヘッド110と共に
図2の矢印で示す向きに移動する。往路において移動方向への移動中にインク吐出ヘッド110から吐出されたUVインクは、媒体に着弾すると直ぐに、光源120により紫外線が照射される。但し、本実施の形態では、UVインクが媒体に着弾した後の光源120からの紫外線の照射に関する制御に特徴があり、この特徴については後述する。
【0027】
搬送ユニット14は、媒体を印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向に所定の搬送量で媒体を搬送するためのものであり、例えばローラー及びローラーを駆動するモーターなどを用いて構成することができる。
【0028】
このような印刷装置1では、制御ユニット10が、キャリッジ130によりインク吐出ヘッド110及び光源120を往路において主走査方向に移動させながらインク吐出ヘッド110からインクを吐出させる吐出動作と、復路において逆方向に移動させる移動動作と、インク吐出ヘッド110及び光源120に対して媒体を搬送方向に搬送させる搬送動作とを、繰り返し実行させる。その結果、先の吐出動作により形成されたドットの位置とは異なる媒体上の位置に、後の吐出動作にてドットが形成されるため、媒体上に2次元の画像が印刷される(記録される)。
【0029】
以下、本実施の形態の主な特徴である、UVインクが媒体に着弾した後の光源120からの紫外線の照射に関する制御について、
図3も併せて参照しながら説明する。
図3は、
図1の印刷装置における1往路におけるキャリッジの移動速度の変化の一例を示すグラフである。
図3において、横軸は時間tを示し、縦軸はキャリッジ速度Vcを示す。
【0030】
本実施の形態にかかる印刷装置1は、リニア式エンコーダーを用いて、インク吐出ヘッド110及び光源120を搭載したキャリッジ130の移動方向への移動速度であるキャリッジ速度Vcを検出する。リニア式エンコーダーは、キャリッジ130の移動方向の位置を検出するためのものであり、図示しないが、リニアスケールとリニアスケールに対向するようにキャリッジ130の背面に設けられた検出部とを備えることができる。
【0031】
検出部がリニアスケールにおける或るスリットを検出してから次のスリットを検出するまでの時間Tは、キャリッジ130がスリット間隔λを移動方向に移動する時間に相当する。なお、スリット間隔λは、例えば180dpiなどとすることができる。よって、スリット間隔λを、検出部がスリットを検出する時間間隔Tで除算することにより、キャリッジ速度Vc(=λ/t)を算出することができる。
【0032】
キャリッジ130は、印刷品質を上げるために少なくともインク吐出時には常に定速で移動させることが望ましいが、往路と復路との間でキャリッジ速度Vcを0とする必要があるため、定速で移動する期間である定速期間IIだけでなく非定速期間が必要となる。ここで、定速期間は、媒体に対するインク吐出ヘッド110及び光源120の主走査方向の相対速度が一定である期間を指し、非定速期間は、上記の相対速度が変化する期間を指す。
【0033】
制御ユニット10は、非定速期間において、予め定められた加速度カーブに従い、キャリッジ130の媒体に対する相対速度を変化させることになる。制御ユニット10は、キャリッジ130が停止している状態からキャリッジ速度Vcを徐々に加速し、キャリッジ速度Vcが規定の速度Vccに到達すると、キャリッジ130が定速期間IIにおいて一定の速度Vccで移動するように制御する。そして、制御ユニット10は、キャリッジ130が一定の速度Vccで移動している状態からキャリッジ速度Vcを徐々に減速し、キャリッジ130を停止させる。
【0034】
上記の加速度カーブは、例えば、定速期間IIに近づくに連れて緩やかに小さくし、定速期間後に定速期間から離れるに連れて緩やかに大きくすることができる。但し、加速度カーブは、このような例に限らず、一部の期間において一定の加速度を含むことができる。
図3では、説明の簡略化のために、非定速期間の加速時における加速度、非定速期間の減速時における加速度がいずれも一定である例を挙げている。
【0035】
そして、印刷装置1の主走査方向の幅を極力小さくするためには、定速期間IIだけで印刷を行うのではなく、定速期間II以外の非定速期間も印刷を行う必要が生じる。しかし、UVインクが着弾してから紫外線を照射してUVインクを硬化させるまでの間に、着弾したドットは徐々に広がり続けるため、ドットの着弾からすぐ硬化する場合とドットの着弾から時間が空いてから硬化する場合とでは、ドット径に差異が生じる。そして、このようにしてドット径に差異が生じることは、印刷品質としても着弾時間差に応じた差異が生じてしまうことを意味する。特に、キャリッジ130にUVインクを吐出するノズル列と、UVインクを硬化させる光源120の両方を搭載しているような、インクを吐出する領域と、紫外線照射光源とが同速度且つ同相対距離で移動する場合には、キャリッジ130が加減速する領域と定速度領域との間で、上述の理由に起因する画質劣化が生じる。
【0036】
このような画質劣化を低減するために、本実施の形態では、UVインクが媒体に着弾した後の光源120からの紫外線の照射に関する制御を行う。この制御に関連し、上記の非定速期間が、第1非定速期間と、第1非定速期間より上記の相対速度が速い第2非定速期間と、を含むものとして説明する。
図3の例では、この制御を説明するために、キャリッジ速度Vcについて、5つの期間に分けている。この5つの期間は、速度0からの加速時の第1非定速期間Ia、それに続く第2非定速期間Ib、定速期間II、定速期間IIからの減速時の第2非定速期間IIIb、及びそれに続き速度0に向かう第1非定速期間IIIaである。
【0037】
なお、非定速期間、第1非定速期間、第2非定速期間、定速期間は、それぞれの期間において、光源120の照射元が物理的に位置する領域(場所の範囲)に対応している。ここで、光源120の照射元とは、光源120における有効出力以上で照射する元の光源を指し、有効出力とは照射時間も考慮したインクの硬化のために有効な出力を指すことができる。
【0038】
また、第1非定速期間Iaと第2非定速期間Ibとの比は、例えば加速度カーブ、どの程度の画質を望むかなどの様々な要因によって決めておけばよく、例えば7:3とすることができるが、9:1などこれに限ったものではない。なお、第1非定速期間IIIaと第2非定速期間IIIbとの比についても同様である。
【0039】
以下では、説明の簡略化のため、減速時の第2非定速期間IIIb、減速時の第1非定速期間IIIaでの制御についての説明を省略するが、同様に適用できる。減速時の第1非定速期間IIIa、減速時の第2非定速期間IIIbは、それぞれ加速時の第1非定速期間Ia、加速時の第2非定速期間Ibに対応することになるが、加速時の加速カーブと減速時の減速カーブとは異なるカーブとすることもできる。なお、第2非定速期間IIIb、第1非定速期間IIIaはそれぞれ第3非定速期間、第4非定速期間と称することができるが、便宜上、このような名称を用いているに過ぎない。
【0040】
上述のように第1非定速期間Ia、第2非定速期間Ib、定速期間IIとでドットの着弾から照射までの時間に差が生じ、この差を低減させるために、本実施の形態における制御ユニット10は、次のようにして、照射ユニット12からの紫外線の照射を制御する。
【0041】
即ち、印刷装置1では、
図2に示すように光源120を、インク吐出ヘッド110からの主走査方向の距離を異ならせるように配置した複数の光源で構成し、且つ、制御ユニット10が照射ユニット12における上記複数の光源の駆動を制御することができる。この制御は、ドットの着弾から照射までの時間の差を、キャリッジ速度Vcの変化に対応させるために行われる。
【0042】
図2では、上記複数の光源の例として第1光源121、第2光源122、及び第3光源123の3つの光源を、インク吐出ヘッド110からの主走査方向の距離を異ならせるように配置した例を挙げている。但し、配置する光源の数や互いの距離をどの程度異ならせるかは、図示した例に限ったものではない。
【0043】
上記複数の光源として2つの光源を備えておけば、第1非定速期間Iaでの照射と第2非定速期間Ibでの照射とについて、あるいは第1非定速期間Ia及び第2非定速期間Ibでの共通の照射と定速期間IIでの照射とについて、上記差を制御することができる。このように、上記複数の光源は3つに限らず、上記差を制御する期間の数だけ設けておくことができ、よって4つ以上の光源であってもよい。
【0044】
第1光源121、第2光源122、第3光源123は、それぞれ第1照射部、第2照射部、第3照射部の一例であり、主走査方向におけるインク吐出ヘッド110からの距離がそれぞれ第1距離、第2距離、第3距離の位置にある。ここで、第2距離は第1距離よりも長く、第3距離は第1距離及び第2距離よりも長いものとする。なお、第1距離、第2距離、第3距離の違いは、例えば、キャリッジ速度Vcの加速度カーブや一定の速度Vcc、UVインクの材料、光源の照射量などにより、決めておくことができる。
【0045】
但し、照射ユニット12は、紫外線を有効出力以上で照射する場合、主走査方向と交差する副走査方向における照射範囲、つまり媒体の搬送方向における照射範囲が一定であるように、紫外線を照射するものとする。
図2の例の場合には、第1光源121、第2光源122、及び第3光源123はいずれも、副走査方向において、
図2においてDで示す照射範囲に対応する媒体の位置が同一範囲となるように配置されているものとする。つまり、第1光源121、第2光源122、及び第3光源123はいずれも、副走査方向において同一位置に配置されている。無論、
図2においてDで示す照射範囲に対応する媒体の位置は、インク吐出ヘッド110による媒体へのドットの着弾範囲より大きいものとする。
【0046】
そして、第1非定速期間Iaにおいて、制御ユニット10は、インク吐出ヘッド110から吐出されたUVインク上を照射ユニット12の光源120が通過する際には、インク吐出ヘッド110と光源120との間の距離が第1距離で光源120からの紫外線の照射が有効出力以上となるように、制御を行う。つまり、このとき、第1光源121からの紫外線の照射が有効出力以上になるように制御がなされる。また、このとき、第2、第3距離での照射出力は吐出されたインクの硬化に実質的に影響しないため、第2光源122、第3光源123は点灯していようが消灯していようが問題はない。無論、このような制御を行うに際し、第2、第3距離での照射出力は吐出されたインクの硬化に実質的に影響しないように、第1光源121と第2光源122と第3光源123との照射範囲は、インクの吐出位置において重複しないように、各光源の配置がなされている。
【0047】
一方で、第2非定速期間Ibにおいて、制御ユニット10は、インク吐出ヘッド110から吐出されたUVインク上を光源120が通過する際には、インク吐出ヘッド110と光源120との間の距離が第2距離で光源120からの紫外線の照射が有効出力以上となり、且つ、第1距離で光源120からの紫外線の照射が有効出力未満となるように、制御を行う。つまり、このとき、第2光源122からの紫外線の照射が有効出力以上で、且つ、第1光源121からの紫外線の照射が有効出力未満になるように制御がなされる。この場合、第3距離での照射出力は吐出されたインクの硬化に実質的に影響しないため、第3光源123は点灯していようが消灯していようが問題はない。
【0048】
ここで、紫外線の照射が有効出力未満であるとは、UVインクの硬化に寄与しないことを意味する。紫外線の照射を有効出力未満にするためには、対象の光源の駆動をオフにしておいてもよいし、対象の光源をUVインクが硬化しない程度の小出力で駆動してもよい。後者の駆動は次の点灯までの待機のための駆動とすることができ、これにより、照射させる際に直ぐに点灯させることができる。
【0049】
以上のように、本実施の形態では、キャリッジ130の移動速度が速いためにドットが着弾してからすぐ光源120にて硬化されるような場合と、上記移動速度が遅いためにドットが着弾してから光源120で硬化されるまでに時間がかかる場合と、について、上記移動速度が速い領域ではインク吐出ヘッド110と光源120との距離を長くする。そのため、本実施の形態では、これらの場合について、ドットの着弾から硬化までの時間を近づけることができ、各速度領域間での画質差異を低減することができる。
【0050】
また、第3光源123は、上述のように備えなくてもよいが、第3光源123を備えることで、第2非定速期間Ibとそれより速い期間である定速期間IIとについても、同様の効果を奏する。
【0051】
つまり、制御ユニット10は、第1非定速期間Iaにおいては、紫外線の有効出力以上の照射が少なくとも第1光源121からなされるように制御する。このとき、第2光源122,第3光源123の制御は問わない。そして、制御ユニット10は、第2非定速期間Ibにおいては、紫外線の照射が第1光源121からなされず且つ少なくとも第2光源122からなされるように制御する。このとき、第3光源123の制御は問わない。さらに、制御ユニット10は、定速期間IIにおいては、紫外線の有効出力以上の照射が第3光源123からなされるように制御する。このとき、第1光源121及び第2光源122は有効出力未満となるように制御される。
【0052】
このように、定速期間IIについても光源120における照射を制御し、徐々に光源の位置を変更していくことで、速度の変化にさらに対応して画質の差異を低減することができる。
【0053】
次に、紫外線の照射の制御の他の例について説明する。ここで説明する例は、
図4に示すように光源120の代替例である光源120aを設けて、それを主走査方向に移動可能に構成しておくものである。
【0054】
具体的には、印刷装置1は、制御ユニット10により制御される変更部であって、主走査方向におけるインク吐出ヘッド110と光源120aとの間の距離を変更する変更部を備え、この距離を制御ユニット10からの制御により変更する。つまり、
図4の例では、照射ユニット20からの紫外線の照射を制御することは上記変更部を制御することを含むことになる。上記変更部は、インク吐出ヘッド110と光源120aとの間の距離を変更可能に移動させるため、移動部と称することもできる。
【0055】
より具体的には、上記変更部は、光源120aを主走査方向にスライド移動させるためのレール15、及び、そのレール15上を光源120aが移動するように駆動するモーター等の駆動源などを備えることができる。
【0056】
図4の例における光源120a及び変更部では、光源としては主走査方向において1箇所しかないものの、その光源が可動光源124であって主走査方向に移動させることで疑似的にインク吐出ヘッド110と可動光源124との距離を可変にすることができる。例えば、
図4に示すように、可動光源124は、第1非定速期間Iaの始まりで位置PIaの位置に移動させ、第2非定速期間Ibの始まりで位置PIbの位置に移動させ、定速期間IIの始まりで位置PIIの位置に移動させることができる。無論、第2非定速期間IIIb、第1非定速期間IIIaに適用することもできる。また、可動光源124は、同じ期間の間でもレール15上を徐々に移動させることができる。
【0057】
また、
図4の例における光源120a及び変更部では、主走査方向に沿って可動光源124が移動することになるため、紫外線を有効出力以上で照射する場合、副走査方向における照射範囲が常に一定であるように、紫外線を照射できることになる。
【0058】
図4の例における光源120a及び変更部では、距離の変更に関し、
図2で説明した第1光源121及び第2光源122の2つの位置、あるいは第1~第3光源121~123の3つの位置に限って、変更可能にすることもできる。このことからも
図4の例においても
図2の例で説明した様々な応用例が適用できることが分かる。
【0059】
但し、より多段階に位置を変更可能にしておくことが好ましい。この場合、
図2のように複数の光源を設ける例に比べて、細かな制御が可能となるため、印刷品質の差をさらに低減させることができる。なお、キャリッジ130に対して光源120aを固定のままインク吐出ヘッド110側を移動させるような機構を設けてもよいが、光源120a側を移動させた方が印刷精度の確保が容易である。
【0060】
また、以上の例では、制御ユニット10が、光源からの紫外線の照射を制御するに際し、各光源を有効出力以上で制御するか、あるいは有効出力未満で制御するかの2通りの場面しかないことを前提として説明した。
【0061】
しかし、制御ユニット10は、照射ユニット12における光源を、有効出力以上で点灯させる場合であっても、その出力を場面によって変更することもできる。特に、制御ユニット10は、非定速期間においてインク吐出ヘッド110から吐出されたUVインク上を通過する際の紫外線の強度が、定速期間IIにおいてインク吐出ヘッド110から吐出されたUVインク上を通過する際の紫外線の強度よりも小さくなるよう、光源120又は光源120aを制御することもできる。
【0062】
このような制御により、印刷装置1では、光源120又は光源120aが早く通過する定速期間IIでは照射される紫外線のエネルギーを高くし、定速期間IIよりもゆっくり通過する非定速期間では照射される紫外線のエネルギーを低くすることができる。このような制御を加えることで、吐出されたUVインクが受け取る総エネルギー量の期間による差異を減らすことができ、結果として画質の差異をより低減させることができる。このような制御は、
図4の光源120についても適用することができるが、特に
図2の例を採用する場合には、紫外線のエネルギーを制御することで、光源120に含まれる距離の異なる光源の数を減らすことができるといった効果も奏する。
【0063】
次に、
図5を参照しながら、
図1の印刷装置1における照射動作の一例について、減速時の動作も含めて説明する。
図5は、印刷装置1における照射動作の一例を示すフローチャートであり、本実施の形態にかかる液体吐出方法の一例を説明するためのフローチャートである。以下の照射動作の例は、
図2で説明した例に基づき説明を行う。
【0064】
まず、印刷装置1の制御ユニット10は、第1非定速期間Iaにおいて、インク吐出ヘッド110から吐出されたUVインク上を光源120が通過する際には、インク吐出ヘッド110と光源120との間の距離が第1距離で光源120からの紫外線の照射が有効出力以上となるように、制御を行う(ステップS1)。この場合、第2、第3距離での照射出力は吐出されたインクの硬化に実質的に影響しないため、問わない。
【0065】
その後、制御ユニット10は、第2非定速期間Ibにおいて、インク吐出ヘッド110から吐出されたUVインク上を光源120が通過する際には、インク吐出ヘッド110と光源120との間の距離が第2距離で光源120からの紫外線の照射が有効出力以上となり、且つ、第1距離で光源120からの紫外線の照射が有効出力未満となるように、制御を行う(ステップS2)。この場合、第3距離での照射出力は吐出されたインクの硬化に実質的に影響しないため、問わない。
【0066】
次いで、制御ユニット10は、定速期間IIにおいて、インク吐出ヘッド110から吐出されたUVインク上を光源120が通過する際には、インク吐出ヘッド110と光源120との間の距離が第3距離で光源120からの紫外線の照射が有効出力以上となり、且つ、第1距離及び第2距離で光源120からの紫外線の照射が有効出力未満となるように、制御を行う(ステップS3)。
【0067】
次いで、制御ユニット10は、第2非定速期間IIIbにおいて、インク吐出ヘッド110から吐出されたUVインク上を光源120が通過する際には、インク吐出ヘッド110と光源120との間の距離が第2距離で光源120からの紫外線の照射が有効出力以上となり、且つ、第1距離で光源120からの紫外線の照射が有効出力未満となるように、制御を行う(ステップS4)。この場合、第3距離での照射出力は吐出されたインクの硬化に実質的に影響しないため、問わない。
【0068】
次いで、制御ユニット10は、第1非定速期間IIIaにおいて、インク吐出ヘッド110から吐出されたUVインク上を光源120が通過する際には、インク吐出ヘッド110と光源120との間の距離が第1距離で光源120からの紫外線の照射が有効出力以上となるように、制御を行う(ステップS5)。この場合、第2、第3距離での照射出力は吐出されたインクの硬化に実質的に影響しないため、問わない。
以上のような動作で1回の往路が終了することになる。
【0069】
以下の照射動作の例は、
図2で説明した例に基づき説明したが、
図4で説明した例にも同様に適用できる。
図4で説明した例においては、ステップS1,S2,S3,S4,S5において、それぞれ光源120aが第1距離、第2距離、第3距離、第2距離、第1距離に位置するように変更部で変更を行えば、いずれのステップにおいても他の距離についての条件は満たすことになる。
【0070】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0071】
例えば、以上の説明では、印刷装置1が主走査方向の往路のみ印刷を行うことを前提として説明したが、印刷装置1は復路でも印刷を行うように構成することができる。その場合には、ヘッドユニット11の主走査方向の両側に、往路用と復路用の照射ユニット12を設けておき、往路の場合には復路用の照射ユニット12を少なくとも有効出力以上で使用せず、復路の場合には往路用の照射ユニット12を少なくとも有効出力以上で使用しないようにすればよい。つまり、往路及び復路の双方で印刷を行う場合には、インクの吐出後に照射がなされるように、照射ユニット12をインク吐出ヘッド110の主走査方向における両側に設けておくとよい。
【0072】
また、以上の説明では、ヘッドユニット11毎に照射ユニット12が設けられた例を挙げたが、これに限ったものではない。例えば、ヘッドユニット11には、色毎のインク吐出ヘッドを設けること、つまり1色のノズル列につき1つのインク吐出ヘッドを設けることができる。そして、ヘッドユニット11における各色のインク吐出ヘッド毎に、つまり各ノズル列のインク吐出ヘッド毎に、往路用及び復路用の少なくとも一方の照射ユニット12が設けられることもできる。この場合、1色毎に照射ユニット12が設けられることになる。
【0073】
また、印刷装置1は、キャリッジユニット13よりも搬送方向の下流側に固定して設けられた別の照射ユニットを備えることもできる。上記別の照射ユニットは、媒体の幅方向の長さ以上に亘り、一度に紫外線照射が可能な長さの光源をもち、媒体上のUVインクに紫外線を照射する。上記別の照射ユニットは、照射ユニット12ではUVインクの完全な硬化ができないような構成において、媒体上のUVインクを完全に硬化するために設けられることができる。
【0074】
また、上述したプログラムは、コンピューターに読み込まれた場合に、実施の形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピューターに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピューター可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピューター可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリー、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリー技術を含む。また、限定ではなく例として、コンピューター可読媒体又は実体のある記憶媒体は、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピューター可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピューター可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0075】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0076】
1…印刷装置、10…制御ユニット、11…ヘッドユニット、12…照射ユニット、13…キャリッジユニット、14…搬送ユニット、15…レール、110…インク吐出ヘッド、111…イエローノズル列、112…マゼンタノズル列、113…シアンノズル列、114…ブラックノズル列、115…ホワイトノズル列、116…透明ノズル列116、120,120a…光源、121…第1光源、122…第2光源、123…第3光源、124…可動光源、130…キャリッジ