(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051238
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】間柱用断熱材
(51)【国際特許分類】
E04B 1/76 20060101AFI20240404BHJP
E04B 1/80 20060101ALI20240404BHJP
E04B 1/78 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
E04B1/76 500C
E04B1/80 100A
E04B1/78 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157290
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁科 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】長 幸光
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001EA06
2E001FA02
2E001FA71
2E001GA01
2E001GA60
2E001HA33
2E001HF11
2E001KA01
2E001LA09
(57)【要約】
【課題】主に、断熱材本体の変形による隙間に起因する断熱性能の低下を防止し得るようにする。
【解決手段】
柱3と、横面部17および縦面部18を有するL字断面の間柱7とを、柱3の側面3aに間柱7の横面部17を向けて隣接配置することで、柱3の側面3aと、間柱7の縦面部18に設けられた内向きのリップ部19との間に形成される開口部16を塞ぐ間柱用断熱材21に関する。
有機系素材で形成されて、開口部16から間柱7の内側へ挿入可能な断熱材本体31と、断熱材本体31を開口部16に保持させる保持部32とを有する。
保持部32は、開口部16へ入る際に、柱3の側面3aまたはリップ部19によってカシメられるカシメ部33を有する。
断熱材本体31は、 開口部16の内側へ挿入される部分に、 横面部17へ突き当たる裏当部34を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と、横面部および縦面部を有するL字断面の間柱とを、前記柱の側面に前記間柱の前記横面部を向けて隣接配置することで、前記柱の前記側面と、前記間柱の前記縦面部に設けられた内向きのリップ部との間に形成される開口部を塞ぐ間柱用断熱材であって、
有機系素材で形成されて、前記開口部から前記間柱の内側へ挿入可能な断熱材本体と、
前記断熱材本体を前記開口部に保持させる保持部とを有し、
前記保持部は、前記開口部へ入る際に、前記柱の前記側面または前記リップ部によってカシメられるカシメ部を有し、
前記断熱材本体は、前記開口部の内側へ挿入される部分に、前記横面部へ突き当たる裏当部を有していることを特徴とする間柱用断熱材。
【請求項2】
柱と、横面部および縦面部を有するL字断面の間柱とを、前記柱の側面に前記間柱の前記横面部を向けて隣接配置することで、前記柱の前記側面と、前記間柱の前記縦面部に設けられた内向きのリップ部との間に形成される開口部を塞ぐ間柱用断熱材であって、
有機系素材で形成されて、前記開口部から前記間柱の内側へ挿入可能な断熱材本体と、
前記断熱材本体を前記開口部に保持させる保持部とを有し、
前記保持部は、前記開口部よりも広い幅寸法の広幅部、および、前記広幅部に形成されて、前記リップ部に嵌合保持される凹部を有することを特徴とする間柱用断熱材。
【請求項3】
請求項2に記載の間柱用断熱材であって、
前記断熱材本体は、少なくとも、前記開口部の内側へ挿入される部分に、装着時における、前記柱の前記側面との干渉を軽減する干渉軽減用の切欠部を有することを特徴とする間柱用断熱材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、間柱用断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅などの建物は、断熱性を持たせるために、壁の内部に断熱材を設置している(例えば、特許文献1参照)。断熱材は、壁の内部に設置される柱の表面や間柱の内側(内部空間)に対しても取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
間柱の内側に、例えば、グラスウールなどのような、形状保持性がなく変形容易で、形状が一定に定まらない断熱材を設置することが行われている。しかし、この場合、時間の経過によって断熱材が変形し、柱との間に隙間ができて、断熱性能が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記した問題点の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に対して、本発明は、
柱と、横面部および縦面部を有するL字断面の間柱とを、前記柱の側面に前記間柱の前記横面部を向けて隣接配置することで、前記柱の前記側面と、前記間柱の前記縦面部に設けられた内向きのリップ部との間に形成される開口部を塞ぐ間柱用断熱材であって、
有機系素材で形成されて、前記開口部から前記間柱の内側へ挿入可能な断熱材本体と、
前記断熱材本体を前記開口部に保持させる保持部とを有し、
前記保持部は、前記開口部へ入る際に、前記柱の前記側面または前記リップ部によってカシメられるカシメ部を有し、
前記断熱材本体は、前記開口部の内側へ挿入される部分に、前記横面部へ突き当たる裏当部を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記構成によって、断熱材本体の変形による隙間に起因する断熱性能の低下を防止することなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態にかかる間柱用断熱材を使用する建物(建物ユニット)の斜視図である。
【
図2】
図1を異なる方向から見た部分拡大斜視図である。
【
図3】建物ユニットに対する間柱の取付状態を示す斜視図である。
【
図4】実施例1の間柱用断熱材を示す横断面図である。
【
図5B】(a)は
図5Aの間柱用断熱材の端面図、(b)は(a)の右側面図である。
【
図6B】(a)は
図6Aの間柱用断熱材の端面図、(b)は(a)の右側面図である。
【
図7B】(a)は
図7Aの間柱用断熱材の端面図、(b)は(a)の右側面図である。
【
図8B】(a)は
図8Aの間柱用断熱材の左側面図、(b)は(a)の端面図である。
【
図9B】(a)は
図9Aの間柱用断熱材の左側面図、(b)は(a)の端面図である。
【
図10】実施例2の間柱用断熱材を示す横断面図である。
【
図11A】実施例2の第1変形例の横断面図である。
【
図11B】(a)は
図11Aの間柱用断熱材の左側面図、(b)は(a)の端面図である。
【
図12A】実施例2の第2変形例の横断面図である。
【
図12B】(a)は
図12Aの間柱用断熱材の左側面図、(b)は(a)の端面図である。
【
図13A】実施例2の第3変形例の横断面図である。
【
図13B】(a)は
図13Aの間柱用断熱材の左側面図、(b)は(a)の端面図である。
【
図14】実施例2の第4変形例にかかる間柱用断熱材の、輸送時の荷姿を示す端面図である。
【
図15】比較例にかかる間柱用断熱材を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態は、
図1~
図15を用いて詳細に説明される。
【実施例0010】
<構成>この実施例の構成は、以下の通りである。
【0011】
図1は、建物1の構造を示す斜視図である。建物1は、どのような構造のものであっても良いが、この実施例では、例えば、ユニット建物としている。ユニット建物は、予め工場で製造した直方体状の建物ユニット2を建築現場へ輸送して、建築現場で組み立てることにより、短期間のうちに構築できるようにした建物1である。
【0012】
この実施例における方向は、建物ユニット2を基準にして、建物ユニット2の長辺方向X、建物ユニット2の短辺方向Y、上下方向Zとしている。長辺方向X、短辺方向Yは、互いに直交する水平な方向である。上下方向Zは、ほぼ真上とほぼ真下に向いて、長辺方向Xおよび短辺方向Yと直交する方向である。
【0013】
図1に示すように、ユニット建物に使われる建物ユニット2は、内部に骨格となるボックスラーメン構造のユニットフレームを備えている。
【0014】
ユニットフレームは、4本の柱3と、4本の床梁4と、4本の天井梁5と、で構成される。柱3、床梁4、天井梁5は、金属製とされる。柱3は、中空の矩形断面の部材(角型鋼管)としても良い。床梁4および天井梁5は、内向きC字断面の部材(形鋼)としても良い。
【0015】
4本の床梁4は、4本の柱3の下端間を矩形状に連結する。4本の天井梁5は、4本の柱3の上端間を矩形状に連結する。
【0016】
4本の床梁4で構成される矩形状の床枠の内部には、床根太4aが平行に複数本設置され、床根太4aの上面には、床枠を覆うように床板4bが取付けられる。また、4本の天井梁5で構成される矩形状の天井枠の内部には、天井小梁5aが平行に複数本設置され、天井小梁5aの下面には、天井枠を覆うように天井板5bが取付けられる。
【0017】
図2は、
図1の建物1の一部を別の角度から見た部分拡大斜視図である。建物1の床梁4と天井梁5との間には、必要に応じて、上下方向Zに延びる間柱6,7が設置される。間柱6,7は、床梁4と天井梁5とを連結する長尺の縦部材である。間柱6,7は、上下方向Zの全域に亘ってほぼ均一な断面となっている。間柱6,7は、金属製とされる。
【0018】
間柱6,7は、少なくとも、建物ユニット2の屋外側11となる面に対し、互いに間隔を有して複数本平行に取付けられる。間柱6,7は、一対の柱3の中間部に、柱3から離して設置される中間間柱(間柱6)と、建物ユニット2のコーナー部に対し、柱3の側面3aにほぼ当接状態で隣接するように設置されるコーナー間柱(間柱7)とがある。中間間柱(間柱6)およびコーナー間柱(間柱7)は、断面形状の異なる部材が使われている。
【0019】
柱3の側面3aは、柱3における、コーナーの間柱7と隣接する面である。なお、屋外は、建物1の外周面よりも外となる部分である。建物ユニット2の場合、屋外側11は、隣接する建物ユニット2のない側面の外側となり、室内側12は、建物ユニット2の内側などとなる。
【0020】
間柱6,7は、上下方向Zの端部に、床梁4および天井梁5に取付けるための取付部13(
図3)を、一体または別体に備えている。取付部13は、ほぼ水平な面とされて、床梁4の上面および天井梁5の下面に当接され、それぞれボルトなどの固定具で上下方向Zに固定される。
【0021】
中間の間柱6は、上下の取付部13が、間柱6の断面内に設けられて、床梁4および天井梁5に対し、それぞれ2箇所ずつ固定される。
【0022】
コーナーの間柱7は、柱3の近くに位置しているため、取付部13が間柱7の外側(柱3とは反対の側)へ張出すように設けられる。そして、上側の取付部13は、天井梁5に2箇所で固定され、下側の取付部13は、床梁4に1箇所のみ固定されている。そのため、コーナーの間柱7は、中間の間柱6よりも、若干ねじれに弱い状態で取付られている。
【0023】
これらの間柱6,7は、主に、建物1に外壁14(
図4)を取付けるのに使用される。外壁14は、例えば、外壁パネルとされる。外壁14は、室内側12側から、リベット15で間柱6,7に固定される。
【0024】
図2に示すように、間柱6,7は、室内側12の側面に開口部16を有している。中間の間柱6は、ほぼC字断面の部材とされる。中間の間柱6は、C字の開口部16を室内側12へ向けて設置される。そして、外壁14を取付けるリベット15は、中間の間柱6のC字の開口部16を通して間柱6の内側へ挿入される。リベット15は、室内側12から屋外側11へ向かう方向に向けて、間柱6に設置され、外壁14に対してほぼ面直となるように取付けられる。
【0025】
また、コーナーの間柱7(
図4)は、横面部17および縦面部18を有するほぼL字断面の部材とされる。コーナーの間柱7は、横面部17の縁部を柱3の側面3aに、ほぼ面直に向けた状態で柱3に隣接配置される。横面部17の柱3側の縁部は、柱3の側面3aに対し、突き当てても良いし、僅かに離しても良い。縦面部18は、柱3の側面3aから、横面部17の幅程度分だけ離れた位置にほぼ平行に設置される。
【0026】
そして、外壁14を取付けるリベット15は、コーナーの間柱7のリップ部19と柱3の側面3aとの間に形成される開口部16を通して間柱7の内側へ挿入される。リベット15は、室内側12から屋外側11へ向かう方向(内外方向の外側)に向けて、間柱7の横面部17に設置され、外壁14に対してほぼ面直となるように取付けられる。
【0027】
コーナーの間柱7は、横面部17が、外壁14とほぼ平行な屋外側11の面とされる。そして、横面部17は、全長に亘ってほぼ均一な幅とされる。
【0028】
間柱7の縦面部18は、横面部17の柱3とは反対側の側縁部から室内側12へ向けてほぼ面直に延びる面とされる。縦面部18は、柱3の側面3aとほぼ平行になっている。また、縦面部18は、外壁14とほぼ面直になっている。そして、縦面部18は、全長に亘ってほぼ均一な幅とされる。縦面部18は、柱3の側面3aよりも幅が狭くなっている。例えば、縦面部18の幅は、柱3の側面3aの幅の1/2~2/3程度としても良い。
【0029】
少なくとも、縦面部18の室内側12の縁部には、内向きのリップ部19が、一体的に形成されている。リップ部19は、間柱7を補強する曲げ部分となっている。リップ部19は、縦面部18の室内側12の縁部から、柱3の側面3aに近接する方向へ向けて僅かに延びる。リップ部19は、全長に亘ってほぼ均一な幅とされる。リップ部19は、縦面部18および横面部17の肉厚とほぼ同じか、または、肉厚の数倍程度の長さとされる。縦面部18、横面部17、および、リップ部19は、ほぼ均一の肉厚とされる。なお、必要な場合には、同様のリップ部は、横面部17の縁部にも、柱3の側面3aに沿って延びるように形成しても良い。
【0030】
縦面部18のリップ部19は、横面部17とほぼ平行で、縦面部18とほぼ面直な面とされる。リップ部19は、柱3の側面3aとの間に開口部16を形成する。リップ部19によって開口部16が形成された面が、コーナーの間柱7にとっては、室内側12の面に相当し、間柱7の開口面となる。間柱7の開口面は、横面部17とほぼ同じ幅となる。そして、開口面よりも奥側(外壁14の側)が、柱3に隣接配置されたコーナーの間柱7にとっての内部空間になる。間柱7の内部空間は、柱3の側面3aを利用して形成されている。
【0031】
開口部16は、間柱7の開口面の大部分を使って形成された開放部分であり、上下方向Zに均一な幅で延びる。開口面および開口部16は、外壁14とほぼ平行になる。
【0032】
そして、間柱6には、間柱用断熱材(不図示)が取付けられ、間柱7には、間柱用断熱材21が取付けられる。間柱用断熱材21は、間柱7に対し、外壁14の取付後に取付けられる。間柱7には、間柱用断熱材21を取付けた後に、室内側12から内壁22が取付けられる。内壁22は、例えば、内壁パネルとされる。内壁パネルは、枠部22a(
図2)の室内側12に面材を貼り付けた構造を有する。
【0033】
そして、間柱6,7には、内部に木レンガなどの内壁取付部材23が設置される。また、天井梁5の下面には、別の内壁取付部材24が設置される。内壁22は、内壁パネルの枠部22aや、枠部22aに取付けた固定部材22b,22cなどが、内壁取付部材23,24や床板4bなどに対し、室内側12からビスなどの固定具25で固定される。
【0034】
この際、内壁22の内側や、内壁22と柱3の室内側12の面3bとの間などには、内壁22の取付前に、別の断熱材26,27(
図15の比較例参照)が適宜設けられる。間柱用断熱材21、および、別の断熱材26,27は、内壁22によって見えないように隠される。なお、
図15では、間柱用断熱材21の代わりに、後述するような別の断熱材28が使われている。
【0035】
この実施例の間柱用断熱材21は、例えば、
図4の横断面図に示される。間柱用断熱材21は、コーナーの間柱7に設置して、間柱7を断熱する部材である。
【0036】
即ち、柱3と、横面部17および縦面部18を有するL字断面の間柱7とは、柱3の側面3aに間柱7の横面部17を向けて隣接配置されている。間柱7の縦面部18には、内向きのリップ部19が設けられている。そして、間柱用断熱材21は、柱3の側面3aと、間柱7の縦面部18に設けられた内向きのリップ部19との間に形成される開口部16を塞ぐ。
【0037】
間柱用断熱材21は、コーナーの間柱7に取付けた木レンガなどの内壁取付部材23がない部分に設置されて、開口部16のその部分を隙間なく塞ぐ。間柱用断熱材21は、上下の端部が、床梁4、天井梁5や、内壁取付部材23に突き当たるように設置される。間柱用断熱材21は、内壁取付部材23の数に応じて設置される。
【0038】
例えば、
図2のように、コーナーの間柱7に、上下方向Zに間隔を有して内壁取付部材23が4箇所取付けられている場合には、間柱用断熱材21は、内壁取付部材23の上下に、合わせて5個数設置される。
【0039】
なお、内壁取付部材23は、長いものを数少なく設置した方が断熱性を高める上では好ましい。また、内壁取付部材23も数少ない方が、工数やコストを削減する上では好ましい。
【0040】
例えば、コーナーの間柱7に、上下方向Zに間隔を有して内壁取付部材23が3箇所取付けられる場合には、間柱用断熱材21は、内壁取付部材23の上下に、合わせて4個設置する。例えば、コーナーの間柱7に、上下方向Zに間隔を有して内壁取付部材23が2箇所取付けられる場合には、間柱用断熱材21は、内壁取付部材23の上下に、合わせて3個設置する。例えば、コーナーの間柱7に、上下方向Zに間隔を有して内壁取付部材23が1箇所取付けられる場合には、間柱用断熱材21は、内壁取付部材23の上下に、合わせて2個設置する。
【0041】
上記のような構成に対し、この実施例は、以下のような構成を備えても良い。
【0042】
(1)
図4に示すように、間柱用断熱材21は、
有機系素材で形成されて、開口部16から間柱7の内側へ挿入可能な断熱材本体31と、
断熱材本体31を開口部16に保持させる保持部32とを有しても良い。
保持部32は、開口部16へ入る際に、柱3の側面3aまたはリップ部19によってカシメられるカシメ部33を有しても良い。
断熱材本体31は、開口部16の内側へ挿入される部分に、横面部17へ突き当たる裏当部34を有しても良い。
【0043】
ここで、有機系素材は、例えば、ポリスチレンやポリウレタンなどの有機系の素材とされる。有機系素材は、例えば、発泡スチロールや発泡ウレタンなどのように、発泡剤で発泡させて内部に断熱用の気泡を発生させる。これにより、有機系素材の断熱材本体31は、固形の発泡体となる。発泡体の気泡は、互いに独立した独立気泡であるのが、断熱性を高めるためには好ましい。
【0044】
有機系素材による断熱材(有機断熱材)は、断熱性が高く、軽量で表面が柔らかく、形状保持性(定形性)を有して、安定した一定の形状を保持する、取扱性や使い勝手の良い部材となる。また、有機断熱材は、変形量は小さいが、柔らかさや弾力性があるため、一定の形状を保持しつつも、表面が僅かに弾性変形され、変形後に形状復帰が可能である。このような有機断熱材は、例えば、
図15の比較例のようなグラスウールなどの無機系の素材でできた形状保持性のない変形容易な断熱材28とは、特性が異なっている。
【0045】
開口部16の内側は、開口部16よりも奥側(外壁14の側)となる部分であり、間柱7の内部空間になる。
【0046】
断熱材本体31は、間柱用断熱材21の主要な部分であり、間柱7に沿い上下方向Zに延びて開口部16を塞ぐ。断熱材本体31は、開口部16の内側へ挿入される部分(挿入部31a)と、開口部16の外側に出る部分(突出部31b)とを有する。
断熱材本体31は、全長に亘って、ほぼ均一な断面とされる。
【0047】
断熱材本体31の挿入部31aは、開口部16の内側へ僅かにでも挿入されて、開口部16を隙間なく塞げれば、断熱性を発揮する。
【0048】
断熱材本体31の突出部31bは、開口部16から僅かにでも外側に出るようにする。この実施例では、突出部31bは、柱3の室内側12の面3bとほぼ面一になる程度まで室内側12に突出されている。
【0049】
断熱材本体31は、設置状態で、少なくとも開口部16の位置に、開口部16の幅w1とほぼ等しいかそれよりも若干広い幅w2の部分を有している。この部分は、保持部32として機能する。上記部分(保持部32)により、断熱材本体31は、開口部16を隙間なく塞ぐことができる。
【0050】
保持部32は、断熱材本体31に一体に設けられた、断熱材本体31を間柱7に保持させる部分である。断熱材本体31は、保持部32の保持力によって、間柱7に直接保持(自己保持)される。保持部32は、断熱材本体31を間柱7に保持させた状態で、開口部16の周辺に位置される。
【0051】
カシメ部33は、有機系素材でできた断熱材本体31が持つ弾性変形に対する形状復帰力を利用して、断熱材本体31を開口部16に圧着させ固定(カシメ固定)させて、保持力を発生させる部分(保持部32)である。
【0052】
カシメ部33は、弾性変形が可能な範囲内で、撓めたりまたは押し潰したりして、室内側12から開口部16へ挿入することで、その部分が元の状態に戻ろうとする形状復帰力によって、開口部16に断熱材本体31を圧着保持させる。そのために、カシメ部33の幅w2は、弾性変形が可能な範囲内で、所要の圧着力が得られる程度に、開口部16の幅w1よりも大きく形成される(幅w2>幅w1)。幅w2は、弾性変形によってカシメ部33が開口部16に押し込まれ得る、または、通過され得る寸法とされる。
【0053】
カシメ部33は、平面的に見て、開口部16の幅w1よりも少なくとも部分的に幅w2が広くなるように断熱材本体31に形成されることで、開口部16へ入る際に、リップ部19や柱3の側面3aによってカシメられる。カシメ部33は、断熱材本体31のリップ部19の側の面31c(第1側面)、または、柱3の側の面31d(第2側面)のうちの、一方または両方に設けられる。カシメ部33は、例えば、断熱材本体31そのものの幅w2を利用して形成しても良い。この場合、カシメ部33は、面状(面状カシメ部)になる。
【0054】
具体的には、
図4の断熱材本体31は、リップ部19の側の面31cの少なくとも一部に上記したカシメ部33を設けるようにしている。
【0055】
即ち、断熱材本体31は、まず、柱3の側の面31dを、柱3の側面3aとほぼ平行な面にしている。これにより、柱3の側の面31dがガイド面になるため、断熱材本体31を、柱3の側面3a沿って、開口部16から間柱7の内部へ直線的に挿入可能となる(挿入方向36)。挿入方向36は、開口部16とほぼ面直な方向である。
【0056】
そして、断熱材本体31は、リップ部19の側の面31cの少なくとも一部または全部を、柱3の側面3aと非平行な面にしている。この際、装着状態で、リップ部19の側の面31cは、リップ部19の周辺となる部分(挿入部31aと突出部31bとの境界部分の近傍)に、開口部16の幅w1より大きい幅w2のカシメ部33(面状カシメ部)が形成される(幅w2>幅w1)。これにより、上記した面31cは、少なくともリップ部19の周辺の、幅w2とされた部分がカシメ部33になる。
【0057】
リップ部19の側の面31cは、(断熱材本体31が間柱7の開口部16に装着および保持できる範囲内であれば、)上記以外の部分を、どのような形状にしても良い。
【0058】
この実施例では、断熱材本体31は、開口部16に対する挿入方向36の先端部31eが、開口部16の幅w1より狭幅となり、後端部31fが開口部16の幅w1より広幅となっている。
【0059】
そして、リップ部19の側の面31cは、断熱材本体31を先細り形状にするテーパ面になっている。このテーパ面は、直線状の平坦な傾斜面となっている。これにより、断熱材本体31は楔形状になり、テーパ面は楔面として機能する。そして、テーパ面(面31c)は、挿入方向36の中間部がリップ部19に対するカシメ部33となり、先端側の挿入部31aが開口部16に対する導入テーパ37となり、後端側の突出部31bがカシメ部33に続く楔面となる。
【0060】
なお、断熱材本体31は、先端部31eの片側または両側に、開口部16への挿入を案内するための角取部31gなどを適宜形成しても良い。角取部31gは、断熱材本体31の先端部31eの平坦な部分を減らすように形成される。断熱材本体31は、挿入部31aの開口部16への挿入量が小さいため、角取部31gは、緩勾配となる。
【0061】
裏当部34は、断熱材本体31の挿入方向36の先端部31eから間柱7の横面部17へ向けて一体に延びる部分である。裏当部34は、断熱材本体31の先端部31eよりも狭幅としても良い。
【0062】
裏当部34は、先端の面が間柱7の奥面(横面部17の内面)に突き当たることで、断熱材本体31の間柱7内への挿入量を規制する。裏当部34は、保持部32(カシメ部33)が間柱7の開口部16に保持されたときに、間柱7の奥面に丁度突き当たる長さに形成される。即ち、裏当部34は、間柱7に装着された状態の断熱材本体31における、挿入部31aの先端部31eから横面部17の内面までの距離とほぼ等しい長さに形成される。裏当部34は、先端の面が、間柱7の奥面に安定して面接触されるように、ほぼ平坦な面になっている。なお、裏当部34の先端は、リベット15に突き刺しても良い。
【0063】
裏当部34は、断熱材本体31の先端部31eに対して、どの位置に何箇所設けても良いが、例えば、裏当部34は、2箇所設けることで、断熱材本体31を間柱7に対してほぼ平行な姿勢に安定して保たせることができる。この実施例では、2箇所の裏当部34は、
図5Bに示すように、断熱材本体31の長手方向の両端部またはその近傍に対して設けられている。
【0064】
図5A~
図9Bは、この実施例にかかる間柱用断熱材21の変形例であり、この実施例と同様の構成を有して同様の作用効果が得られる。
【0065】
図5A、
図5Bは、第1変形例であり、保持部32としてのカシメ部33を突起状にしたものである(突起状カシメ部33a)。突起状カシメ部33aは、上記した面状カシメ部に代えて、または、面状カシメ部と共に設けられる。突起状カシメ部33aは、例えば、球面状や円筒面状などとすることができる。突起状カシメ部33aは、装着状態で、リップ部19の周辺となる部分に設けられる。
【0066】
なお、突起状カシメ部33aは、カシメ部33としての機能に加えて、または、カシメ部33の機能に代えて、係止部としての機能を持たせることができる(突起状係止部)。突起状係止部は、保持部32になる。
【0067】
具体的には、断熱材本体31は、リップ部19の側の面31cに突起状カシメ部33aを有している。
【0068】
この際、断熱材本体31の柱3の側の面31dは、柱3の側面3aとほぼ平行な面(ガイド面)としている。
【0069】
リップ部19の側の面31cは、挿入部31a側のほぼ全部、および、突出部31bの先端側の一部を、面31dとほぼ平行な面にして、リップ部19に対するガイド面としている。
このガイド面の部分は、開口部16の幅w1とほぼ同じ幅(誤差と見なせる範囲内で僅かに狭くても広くても良い)にしている。ガイド面の部分は、開口部16の幅w1より僅かに広くして、リップ部19に対するカシメ部33(面状カシメ部)としても良い。突出部31bの後端側の残りの部分は、後狭まりの逆テーパ面Tにしている。
【0070】
そして、突起状カシメ部33aは、主に、挿入部31aに設けられる。突起状カシメ部33aは、開口部16に対する挿入部31aの挿入量とほぼ同じか、若干大きい寸法に設けられる。
【0071】
突起状カシメ部33aは、リップ部19の長さのほぼ半分程度、または、それ以上の突出量とされている。突起状カシメ部33aは、開口部16を通過する際に、弾性変形されてカシメられる。突起状カシメ部33aは、間柱7の内側にほぼ全部が入ることで、基部がリップ部19に対し挿入方向36に引っかかり、抜け止めとなる。また、突起状カシメ部33aは、一部がリップ部19によって変形されたままの状態になれば、開口部16に対するカシメ固定となる。
【0072】
突起状カシメ部33aは、断熱材本体31の長手方向(上下方向Z)に対しては、全長に亘って連続または不連続に設けても良い。この実施例では、突起状カシメ部33aは、長手方向(上下方向Z)に対し、裏当部34とほぼ同じ位置に、2箇所設けられている。上記以外の部分は、上記実施例とほぼ同じである。
【0073】
図6A、
図6Bは、第2変形例である。突起状カシメ部33aは、開口部16に対する挿入部31aの挿入量よりも挿入方向36に大きく形成されて、一部(ほぼ1/4の部分)が間柱7の外側に出ている。そして、突起状カシメ部33aは、リップ部19にて確実に圧縮変形され、断熱材本体31は、開口部16にカシメ固定される。それ以外は、上記第1変形例とほぼ同じである。
【0074】
図7A、
図7Bは、第3変形例である。突起状カシメ部33aは、開口部16に対する挿入部31aの挿入量よりも挿入方向36に更に大きく形成されて、ほぼ半部が間柱7の外側に出ている。そして、突起状カシメ部33aは、頂部がリップ部19にてより大きく圧縮変形され、断熱材本体31は、開口部16にカシメ固定される。それ以外は、上記第1変形例および第2変形例とほぼ同じである。
【0075】
上記をまとめると、第1変形例~第3変形例は、大きさが異なる突起状カシメ部33aを有している以外は、ほぼ同じになっている。
【0076】
図8A、
図8Bは、第4変形例であり、保持部32として複数種類のカシメ部33を備えるようにしている。カシメ部33は、上記した面状カシメ部と、突起状カシメ部33bとの両方を有している。突起状カシメ部33bは、例えば、球面状や円筒面状などとすることができる。突起状カシメ部33bは、開口部16の周辺となる部分に設けられる。
【0077】
具体的には、断熱材本体31は、リップ部19の側の面31cと、柱3の側の面31dとの両方にカシメ部33を有している。
【0078】
この際、断熱材本体31の柱3の側の面31dは、柱3の側面3aとほぼ平行な面(ガイド面)としている。そして、突起状カシメ部33bは、柱3の側の面31dに設けられている。突起状カシメ部33bは、第2変形例と同様に、主に、挿入部31aに設けられ、開口部16に対する挿入部31aの挿入量よりも挿入方向36に僅かに大きく形成されて、一部が間柱7の外側に出るようになっている。突起状カシメ部33bは、柱3の側面3aによって頂部がカシメられる。
【0079】
突起状カシメ部33bは、断熱材本体31の長手方向に対し、裏当部34とほぼ同じ位置に、2箇所設けられている。上記以外の部分は、上記実施例とほぼ同じである。
【0080】
また、リップ部19の側の面31cは、挿入部31aのほぼ全部、および、突出部31bの先端側の一部を、上記した実施例と同様に、導入テーパ37およびカシメ部33となる楔面を有する先細りのテーパ面としている。楔面は、リップ部19の位置よりも後端側が、開口部16の幅w1より広い幅w2になっている。
【0081】
突出部31bの中間部は、面31dとほぼ平行な面またはほぼ平行に近い僅かに先細りの傾斜面となっている。この部分は、テーパ面の最大幅とほぼ等しい幅になっている。突出部31bの後端側の残りの部分は、後狭まりの逆テーパ面Tとなっている。
【0082】
図9A、
図9Bは、第5変形例であり、柱3の側の面31dの突起状カシメ部33bは、開口部16に対する挿入部31aの挿入量よりも挿入方向36に大きく形成されて、ほぼ半部が間柱7の外側に出るようにしている。突起状カシメ部33bは、柱3の側面3aによって頂部をカシメられる。それ以外は、上記第4変形例とほぼ同じである。
【0083】
上記をまとめると、第4変形例、第5変形例は、共にリップ部19の側の面31cが面状カシメ部となっており、大きさが異なる突起状カシメ部33bを柱3の側の面31dに有している他は、ほぼ同じになっている。そして、それ以外は、上記実施例や他の変形例とほぼ同じになっている。
【0084】
<作用>この実施例の作用は、以下の通りである。
【0085】
例えば、建物ユニット2では、床梁4と天井梁5との間に設置された間柱7に対して、外壁14が室内側12からリベット15によって取付けられる。また、間柱7に対し、木レンガなどの内壁取付部材23が、室内側12から取付けられる。そして、例えば、
図11の比較例の場合と同様に、外壁14の内側に対し、断熱材26が、室内側12から外壁14を覆うように取付けられる。この断熱材26は、例えば、グラスウールなどの無機系のものや、有機系のものなどとしても良い。また、柱3の室内側12の面3bに対し、柱用の断熱材27が室内側12から取付けられる。そして、間柱7の開口部16についても、
図4に示すように、間柱用断熱材21が、室内側12から取付けられる。
【0086】
比較例の間柱用の断熱材28は、断熱材26と同様の、グラスウールなどの無機系ものを使用している。この場合、断熱材28は、間柱7に沿った細長いものとなり、開口部16へ入るように変形させながら、間柱7の内側へ押し込むようにして取付けられる。
【0087】
しかし、間柱7の内側に、グラスウールなどのような、変形し易く、形状が定まらない断熱材28を設置した場合、特に細長い断熱材28の重力などによる変形によって開口部16との間に隙間ができ易い。すると、隙間から間柱7の内外への空気の出入りが生じることで、熱性能が低下するという問題があった。そこで、間柱7の内側の容積よりも大きめのグラスウールを詰め込んで隙間ができ難くなるようにしている。しかし、グラスウールを大きめにすると、グラスウールを間柱7へ詰め込む挿入作業に手間と時間がかかり、生産性が低下する。また、大きめにすることで、グラスウールのコストも余計にかかる。
【0088】
そこで、上記したグラスウールの変形による隙間を起因とする断熱性能の低下や大きめのグラスウールの挿入作業に対する生産性の低下などを防止するため、ポリスチレンやポリウレタンなどの有機系素材による間柱用断熱材21を使用することが検討されている。有機系素材による間柱用断熱材21は、形状保持性を有しており、長期間に亘って安定した一定の形状を保持するので、変形による隙間ができ難く、間柱7への装着も、開口部16を塞げれば良いので、グラスウールと比べると容易になる。
【0089】
有機系素材で間柱用断熱材21を形成した場合、間柱用断熱材21を間柱7に保持させる保持手段が必要になる。例えば、粘着テープで間柱用断熱材21を間柱7に貼り付けた場合、施工は比較的簡単にできるが、粘着テープだと、建物1の耐用年数に及ぶような長期間に亘って、間柱用断熱材21を同じ位置に保持し続けさせることは困難である。
【0090】
そこで、この実施例の間柱用断熱材21は、断熱材本体31に保持部32を一体に設けた。そして、保持部32をカシメ部33にして、間柱用断熱材21は、間柱7の開口部16にカシメ部33でカシメ固定させるようにした。この際、間柱7がリップ部19を有することで、カシメ部33は、開口部16に対して、より強くカシメ固定される。そして、間柱用断熱材21は、カシメ部33のみで間柱7の開口部16に自己保持できるようになる。
【0091】
例えば、内壁取付部材23が設けられた間柱7に対し、間柱用断熱材21は、内壁取付部材23の上下に分けて、各間柱用断熱材21を、間柱7における内壁取付部材23の間や、内壁取付部材23の上下に別々に取付けるようにする。
【0092】
そして、間柱用断熱材21は、断熱材本体31の挿入部31aを、室内側12から開口部16を通して、裏当部34が間柱7の奥面に突当たるまで、間柱7の内側へ挿入する。このとき、保持部32としてのカシメ部33は、間柱7の開口部16の周辺となる、柱3の側面3aや間柱7のリップ部19などにカシメ固定させる。これにより、間柱用断熱材21は、間柱7に隙間なく装着される。
【0093】
そして、断熱材本体31は、カシメ部33が開口部16にカシメ固定されることで、柱3の側面3aに沿って室内側12へ戻り難くなるので、断熱材本体31が開口部16から自然に脱落するのが防止される。
【0094】
これにより、間柱用断熱材21は、内壁取付部材23による支えなどに頼らずに、カシメ部33で間柱7に自己保持できるようになる。また、間柱用断熱材21は、固定のための粘着テープなどの別の保持手段を必要としなくなる。間柱用断熱材21は、ほぼ均一な断面でシンプルな形状になる。
【0095】
内壁取付部材23に頼らないので、断熱材本体31は、カシメ部33の寸法精度や位置精度の問題も特に生じない。また、断熱材本体31は、カシメ部33を有していても、全長に亘ってほぼ均一の断面となるので、強度的な心配なども特にない。
【0096】
<効果>この実施例の効果は、以下の通りである。
【0097】
間柱用断熱材21は、有機系素材で形成されて、開口部16から間柱7の内側へ挿入可能な断熱材本体31と、断熱材本体31を開口部16に保持させる保持部32とを有しても良い。間柱用断熱材21は、有機系素材で形成されることにより、一定の形状を保てる部材となるため、断熱材本体31の変形による隙間に起因する断熱性能の低下を防止できる。有機系素材の間柱用断熱材21は、形状が安定しているため、輸送が容易である。有機系素材の間柱用断熱材21は、断熱性が高く、生産性が良く、コストも抑え易い部材となる。また、間柱用断熱材21は、断熱材本体31に保持部32を有するだけの構造となるので、比較的形状がシンプルになる。そのため、間柱用断熱材21は、輸送が容易であると共に、輸送時のスペース効率も良くでき、少ないスペースで多くを輸送できる。また、上記したように、コーナーの間柱7は、中間の間柱6と比べねじれに対して比較的弱い状態で建物ユニット2に取付られている。そのため、間柱7にねじる力を余り加えずに、断熱材本体31を取付けたいという要望が存在する。そのため、この実施例のように、断熱材本体31に保持部32を一体に設けて、保持部32の形状や構造を工夫することで、間柱7を余りねじらずに、間柱7に断熱材本体31取付けることが可能になる。
【0098】
(効果 1)保持部32は、開口部16へ入る際に、柱3の側面3aまたはリップ部19によってカシメられるカシメ部33を有しても良い。
【0099】
断熱材本体31は、開口部16に対し、真っ直ぐに押し込んでカシメ部33を開口部16でカシメさせるだけで開口部16に容易に装着できる。これにより、断熱材本体31は、直線的に挿入されて、開口部16に装着される。そのため、断熱材本体31は、間柱7にねじるような力を余り加えずに開口部16に装着可能なものとなる。
【0100】
保持部32がカシメ部33を有することで、カシメ部33は、開口部16へ入る際に、柱3の側面3aまたはリップ部19によって弾性変形されてカシメられる。これにより、断熱材本体31は、カシメ部33によって開口部16にカシメ固定されて、開口部16から脱落し難くなる。よって、少なくとも片側(縦面部18の側)にリップ部19が付いたL字断面の間柱7に適した間柱用断熱材21を得ることができる。
【0101】
また、断熱材本体31は、開口部16の内側へ挿入される部分(挿入部31a)に、横面部17へ突き当たる裏当部34を有しても良い。これにより、断熱材本体31を開口部16に装着したときに、裏当部34が横面部17へ突き当たることで、間柱7に対する挿入量が規制されるので、裏当部34によって断熱材本体31が、確実に正しい位置に装着される。
柱3と、横面部17および縦面部18を有するL字断面の間柱7は、柱3の側面3aに間柱7の横面部17を向けた状態で隣接配置される。間柱7は、縦面部18に内向きのリップ部19が設けられている。そして、間柱用断熱材21は、柱3の側面3aと、間柱7の縦面部18に設けられた内向きのリップ部19との間に形成される開口部16を塞ぐ。これらについては、上記実施例と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
また、有機系素材で形成されて、開口部16から間柱7の内側へ挿入可能な断熱材本体31と、断熱材本体31を開口部16に保持させる保持部32とを有している点についても、上記実施例と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
幅w3は、間柱7の横面部17とほぼ平行な方向に対する、断熱材本体31の最大部分の寸法である。幅w3は、断熱材本体31が弾性変形によって開口部16を通過できない大きさとするのが好ましい。
広幅部41は、断熱材本体31の断面のほぼ全体、または、少なくとも断熱材本体31の少なくとも開口部16に保持される部分に形成される。断熱材本体31の少なくとも開口部16に保持される部分は、リップ部19の周辺部分(または、凹部42の両側となる部分)である。広幅部41は、少なくとも、開口部16への装着によって断熱材本体31が破損しない程度以上の大きさに形成される。
広幅部41は、少なくとも挿入部31aの側の部分が、開口部16の幅w1より広く、柱3の側面3aから縦面部18までの距離より狭い幅w3とされる。広幅部41は、突出部31bの側の部分が、開口部16の幅w1よりも広い幅に形成される。広幅部41は、断熱材本体31の上下方向Zのほぼ全域に亘り連続して延ばされる。
凹部42は、開口部16への装着状態で、横面部17とほぼ平行な向きに形成される溝部分である。凹部42は、断熱材本体31の上下方向Zのほぼ全域に亘り連続して延ばされる。
凹部42は、リップ部19の長さとほぼ同等またはそれよりも若干大きいまたは小さい溝深さ、および、リップ部19の厚みとほぼ同等またはそれよりも若干広い溝幅を有するものとされる。ほぼ同等は、若干の余裕代が許容される。この実施例では、凹部42の溝幅は、リップ部19の厚みの2倍~3倍程度の大きさになっている。
この際、リップ部19の側の面31cは、挿入部31a側のほぼ全部、および、突出部31bの先端側の一部を、面31dとほぼ平行な面にしている。このほぼ平行な面の部分は、広幅部41になっている。広幅部41は、凹部42の挿入部31a側の部分と、凹部42の突出部31b側の部分とが、ほぼ同じ突出幅になっている。突出部31bの後端側の残りの部分は、後狭まりの逆テーパ面Tとなっている。
また、断熱材本体31の柱3の側の面31dは、柱3の側面3aとほぼ平行な面(当接係止面)としている。断熱材本体31の面31dは、柱3の側面3aに当接される。
切欠部45a,45bは、少なくとも、断熱材本体31の挿入部31aにおける、間柱7の横面部17と対向する先端部31eの面と、柱3の側面3aに接する面31dとのコーナー部分に設けられる。切欠部45a,45bは、上記したように、断熱材本体31を回転変位させながら開口部16に装着する際に、コーナー部分が柱3の側面3aで若干弾性変形される程度の大きさとするのが好ましい。
切欠部45a,45bは、円弧状に切り欠いても良いし、直線状に切り欠いても良い。直線状に切り欠く場合、切欠部45a,45bは、一つの平坦な面で切り欠いても良いし、コーナー部分が多角形状となるように複数の面で切り欠いても良い。この実施例では、切欠部45a,45bは、二つの面で切り欠いたものとなっている。
切欠部45a,45bの、開口部16の幅方向に対する大きさ、および、切欠部45a,45bの、柱3の側面3aに沿った長さは、挿入部31aの開口部16内への挿入量に応じて適宜設定される。上記大きさ、および、長さは、挿入部31aの挿入量が多くなる程、大きくなる傾向にある。切欠部45a,45bは、開口部16の外(突出部31b)まで及ぶ大きさとしても良い。
断熱材本体31が有機系素材でできている場合、断熱材本体31は、弾性変形できるので、切欠部45a,45bは、必ずしも必要なものではないが、切欠部45a,45bは、設けても良い。
なお、断熱材本体31は、挿入部31aにおける、間柱7の縦面部18の側のコーナー部分に対し、リップ部19に凹部42を合わせた状態を目視し易くするために、実施例1と同様の角取部31gを、適宜設けても良い。ただし、この実施例の間柱用断熱材21は、断熱材本体31が挿入方向36に沿って開口部16に直線的に挿入されないので、角取部31gは、挿入案内用としては機能しない。
この実施例では、保持部32を広幅部41および凹部42にして、間柱用断熱材21は、間柱7の開口部16のリップ部19に広幅部41の凹部42を嵌合保持させるようにした。
例えば、内壁取付部材23が設けられた間柱7に対し、間柱用断熱材21は、内壁取付部材23の上下に分けて、各間柱用断熱材21を、間柱7における内壁取付部材23の間や、内壁取付部材23の上下に別々に取付けるようにする。
そして、この実施例の間柱用断熱材21では、断熱材本体31は、開口部16に対し、斜めに傾けてリップ部19に保持部32の凹部42が引っ掛かるように、リップ部19と凹部42とを合わせた状態にセットする。この状態から、リップ部19(および凹部42)を中心に、断熱材本体31を柱3(の側面3a)の側へ回転変位させる(回転方向43)。これにより、断熱材本体31は、開口部16に挿入されて行き、最終的に開口部16に装着される。この際、断熱材本体31を、リップ部19を中心として回転移動させることで、凹部42がリップ部19と同じ向きになって、リップ部19に嵌まり込むので、断熱材本体31は、間柱7にねじるような力を余り加えずに開口部16に装着することが可能になる。
そして、断熱材本体31は、凹部42がリップ部19に嵌まることで、柱3の側面3aに沿った方向に対し、正確に位置決めされ、位置が固定されるので、裏当部34が不要になる。
また、断熱材本体31は、広幅部41が弾性変形によって開口部16を直線的に通過できないものとされる。そのため、断熱材本体31は、開口部16から自然に脱落することはない。
これにより、間柱用断熱材21は、内壁取付部材23による支えなどに頼らずに、広幅部41および凹部42で間柱7に自己保持できるようになる。また、間柱用断熱材21は、固定のための粘着テープなどの別の保持手段を必要としなくなる。間柱用断熱材21は、ほぼ均一の断面でシンプルな形状になる。
内壁取付部材23に頼らないので、断熱材本体31は、広幅部41および凹部42の寸法精度や位置精度の問題も特に生じない。また、断熱材本体31は、広幅部41および凹部42を有していても、全長に亘ってほぼ均一の断面となるので、強度的な心配なども特にない。
(効果 2-1)間柱用断熱材21では、保持部32は、開口部16よりも広い幅w3の広幅部41、および、広幅部41に形成されて、リップ部19に嵌合保持される凹部42を有しても良い。
これらにより、保持部32が開口部16およびリップ部19にジャストフィットして、開口部16とほぼ面直な方向への移動を規制するため、断熱材本体31は、開口部16から脱落し難くなる。よって、少なくとも片側(縦面部18の側)にリップ部19が付いたL字断面の間柱7に適した間柱用断熱材21を得ることができる。
また、凹部42がリップ部19に嵌まり込むことで、凹部42が断熱材本体31の位置を規制するため、断熱材本体31は、間柱7に対する挿入量の管理が不要なものとなる。よって、断熱材本体31は、ばらつきのない状態で安定して間柱7に設置することができる。また、裏当部34も不要になる。
(効果 2-2)間柱用断熱材21では、断熱材本体31は、少なくとも、開口部16の内側へ挿入される部分に、装着時における、柱3の側面3aとの干渉を軽減する干渉軽減用の切欠部45a,45bを有しても良い。
そのため、断熱材本体31を開口部16に回転挿入する際に、断熱材本体31は、開口部16の内側へ挿入される部分が、切欠部45a,45bによって柱3の側面3aに引っ掛かり難くなる。そのため、断熱材本体31は、開口部16に比較的スムーズに装着できるようになる。また、切欠部45a,45bは、断熱材本体31の開口部16からの外れ止めとしても機能する。