(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051245
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ロータの製造方法及びロータの製造装置
(51)【国際特許分類】
H02K 15/03 20060101AFI20240404BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H02K15/03 Z
H02K15/02 H
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157303
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】阿部 勇紀
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 勇喜
(72)【発明者】
【氏名】永嶋 雅俊
【テーマコード(参考)】
5H615
5H622
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP02
5H615SS09
5H615SS10
5H622CA07
5H622PP03
5H622PP18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薄いスリーブを、ロータ本体の外周部に高い与圧力を発生させるように取り付けできる製造方法を提供する。
【解決手段】ロータは、ロータ本体18と、ロータ本体18の外周部18aを囲みロータ本体18に内周に向けた与圧力を付与するスリーブ16と、を有する。ロータの製造方法は、ロータ本体18の外径よりも小さな内径を有する筒状のスリーブ16を用意する工程と、スリーブ16の内径部46に液圧を付与してスリーブ16の内径をロータ本体18の外径よりも拡大させる膨張工程と、液圧を付与したまま、スリーブ16の内径部46にロータ本体18を挿入する挿入工程と、液圧を取り除き、スリーブ16を収縮させてスリーブ16をロータ本体18に固定する固定工程と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ本体と、前記ロータ本体の外周部を囲み、前記ロータ本体に内周に向けた与圧力を付与するスリーブと、を有するロータの製造方法であって、
前記ロータ本体の外径よりも小さな内径を有する筒状の前記スリーブを用意する工程と、
前記スリーブの内径部に液圧を付与して前記スリーブの内径を前記ロータ本体の外径よりも拡大させる膨張工程と、
前記液圧を付与したまま、前記スリーブの前記内径部に前記ロータ本体を挿入する挿入工程と、
前記液圧を取り除き、前記スリーブを収縮させて前記スリーブを前記ロータ本体に固定する固定工程と、
を有する、ロータの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のロータの製造方法であって、
前記膨張工程は、
前記スリーブの下端部に前記スリーブの前記内径部の下端を閉塞する支持ブロックを接続する工程と、
前記スリーブの上端部に、前記内径部に連通するシリンダ孔を有し、前記シリンダ孔に前記ロータ本体を収容したシリンダ部材を接続する工程と、
前記ロータ本体を前記スリーブに向けて移動させて、前記シリンダ孔の液体を前記スリーブの前記内径部に導入する液体導入工程と、を有する、
ロータの製造方法。
【請求項3】
請求項2記載のロータの製造方法であって、前記液体導入工程は、前記スリーブの前記上端部及び前記下端部から漏れる前記液体の漏洩量よりも多い量の前記液体を導入する、
ロータの製造方法。
【請求項4】
請求項2記載のロータの製造方法であって、
前記液体導入工程は、前記スリーブの前記内径部と前記シリンダ部材の前記シリンダ孔とを前記液体で満たした状態で、前記ロータ本体を前記スリーブに向けて移動させて行う、
ロータの製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のロータの製造方法であって、
前記ロータ本体に固定された前記スリーブの外径よりも小さな内径を有する第2スリーブを用意する工程と、
前記第2スリーブに対して、前記膨張工程と、前記挿入工程と、前記固定工程とを行って前記ロータ本体に固定された前記スリーブの外周面に前記第2スリーブを固定する工程と、を有する、
ロータの製造方法。
【請求項6】
ロータ本体の外周部にスリーブを取り付けるロータの製造装置であって、
前記スリーブの下端部と当接して前記スリーブの内径部の下端側を閉塞する支持ブロックと、
前記スリーブの上端部に当接する筒部と、前記筒部の内部に形成され前記スリーブの前記内径部に連通するとともに、前記ロータ本体を収容するシリンダ孔と、を有するシリンダ部材と、
前記シリンダ孔を摺動し、前記ロータ本体を前記スリーブに向けて押し出すピストンと、
前記シリンダ孔と前記内径部とに液体を満たす液体供給部と、を備え、
前記ピストンが前記シリンダ孔を前記内径部に送り込むことで前記スリーブの内部に液圧を付与する、
ロータの製造装置。
【請求項7】
請求項6記載のロータの製造装置であって、
前記支持ブロックは、前記スリーブの前記下端部の径方向の膨張を許容しつつ前記下端部と当接し、
前記シリンダ部材は、前記スリーブの前記上端部の前記径方向の膨張を許容しつつ前記上端部と当接する、
ロータの製造装置。
【請求項8】
請求項7記載のロータの製造装置であって、
前記ピストンは、前記スリーブと前記支持ブロックとの隙間及び前記スリーブと前記シリンダ部材との隙間から前記液体を漏洩させつつ前記ロータ本体を前記スリーブの前記内径部に向けて移動させて前記内径部に前記液圧を付与しつつ前記ロータ本体を前記内径部に挿入する、
ロータの製造装置。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1項に記載のロータの製造装置であって、
さらに、前記スリーブの前記内径部に連通し、前記内径部の前記液圧が所定値を超えると前記内径部の前記液体を放出して前記内径部の前記液圧を前記所定値に保つリリーフ弁を有する、
ロータの製造装置。
【請求項10】
請求項6~8のいずれか1項に記載のロータの製造装置であって、さらに、前記スリーブの外周部を囲み、前記スリーブの過剰膨張を阻止する変形防止リングを備える、
ロータの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機のロータの製造方法及びロータの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機の小型化及び軽量化のための一手段として、高回転化がある。ところが、回転電機を高回転化すると、ロータに大きな遠心力がはたらく。そこで、ロータ本体の外周部にスリーブを配置してロータを補強する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、ロータ本体と磁石との外周面を囲むようにスリーブを配置し、スリーブと磁石との隙間を固化した樹脂で埋めることで遠心力による磁石の浮きを防止する技術を開示する。
【0004】
また、ロータ本体の外周部にスリーブを取り付ける他の方法として、焼き嵌め、冷やし嵌め、及び圧入による方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
遠心力に対する補強効果の観点から、スリーブは、ロータ本体に十分な締め付け力(与圧力とも呼ぶ)を働かせるように、ロータ本体に取り付けることが求められる。また、磁気ギャップを減らす観点から、スリーブは、薄くすることが求められる。ところが、従来の技術では、製造工程上の制約から、与圧力と、スリーブの薄さとを両立することが難しいという問題がある。
【0007】
すなわち、焼き嵌め及び冷やし嵌めで取り付けられるスリーブは、熱膨張率の制約から、十分な与圧力を得ることが難しく、回転電機の高回転化が制約される。また、圧入で取り付けられるスリーブは、圧入時の座屈や変形を防ぐために厚さが必要とされ、磁気ギャップの増大による回転電機の大型化を招く。
【0008】
特許文献1の技術は、樹脂の圧入により与圧力を確保できるが、スリーブとロータ本体との間に樹脂層の配置が必要であり、磁気ギャップを増加させる可能性がある。
【0009】
本発明は、上記した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下の開示の一観点は、ロータ本体と、前記ロータ本体の外周部を囲み、前記ロータ本体に内周に向けた与圧力を付与するスリーブと、を有するロータの製造方法であって、前記ロータ本体の外径よりも小さな内径を有する筒状の前記スリーブを用意する工程と、前記スリーブの内径部に液圧を付与して前記スリーブの内径を前記ロータ本体の外径よりも拡大させる膨張工程と、前記液圧を付与したまま、前記スリーブの前記内径部に前記ロータ本体を挿入する挿入工程と、前記液圧を取り除き、前記スリーブを収縮させて前記スリーブを前記ロータ本体に固定する固定工程と、を有する、ロータの製造方法にある。
【0011】
別の一観点は、ロータ本体の外周部にスリーブを取り付けるロータの製造装置であって、前記スリーブの下端部と当接して前記スリーブの内径部の下端側を閉塞する支持ブロックと、前記スリーブの上端部に当接する筒部と、前記筒部の内部に形成され前記スリーブの前記内径部に連通するとともに、前記ロータ本体を収容するシリンダ孔と、を有するシリンダ部材と、前記シリンダ孔を摺動し、前記ロータ本体を前記スリーブに向けて押し出すピストンと、前記シリンダ孔と前記内径部とに液体を満たす液体供給部と、を備え、前記ピストンが前記シリンダ孔を前記内径部に送り込むことで前記スリーブの内部に液圧を付与する、ロータの製造装置にある。
【発明の効果】
【0012】
上記観点のロータの製造方法及びロータの製造装置は、薄いスリーブを、ロータ本体の外周部に高い与圧力を発生させるように取り付けできる。したがって、上記観点のロータの製造方法及びロータの製造装置は、回転電機の小型化及び高回転化に好適なロータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るロータの製造装置の説明図である。
【
図2】
図2Aは、第1実施形態のロータの製造方法の液体導入工程までの工程の説明図であり、
図2Bは、膨張工程の説明図である。
【
図3】
図3Aは、第1実施形態のロータの製造方法の挿入工程の説明図であり、
図3Bは固定工程の説明図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態において、2層目のスリーブを取り付ける工程の説明図である。
【
図5】
図5Aは、第1実施形態のロータの製造方法で取り付けられたスリーブの応力分布を示す断面図であり、
図5Bは第2実施形態のロータの製造方法で取り付けた3層のスリーブの応力分布を示す断面図である。
【
図6】
図6は、圧入で取り付けられたスリーブ(比較例)、スリーブ1層(第1実施形態)、スリーブ2層(第2実施形態)、及びスリーブ3層(第2実施形態)について、スリーブの厚みと永久磁石が浮上する回転数との関係を求めた結果を示すグラフである。
【
図7】
図7Aは、ロータ本体が長尺な場合の問題点を示す断面図であり、
図7Bは第3実施形態に係るロータの製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
本実施形態に係るロータ12の製造装置10は、
図1に示すように、シリンダ治具14でスリーブ16をロータ本体18に取り付けを行う。
【0015】
ロータ本体18は、磁性体よりなるロータコア18bとロータコア18bに取り付けられた永久磁石18cをと含む。ロータ本体18は、円柱状の形状を有する。スリーブ16は、繊維強化樹脂材料よりなる円筒状の部材であり、ロータ本体18の外周部18aに取り付けられて、遠心力による永久磁石18cの浮きを防止する。スリーブ16は、例えば、炭素繊維強化樹脂(CFRP)によって形成される。スリーブ16は、補強繊維を周方向に巻き付けたフープ層のみで構成することができる。フープ層のみで構成されたスリーブ16は、補強繊維の性能が最も効率よく発揮されるため、スリーブ16の厚さを薄くすることができて好適である。スリーブ16は、ロータ本体18の外周部18aに取り付けた際に、ロータ本体18に締め付け荷重を付与するために、ロータ本体18の直径(外径)よりも小さな内径を有する。
【0016】
図示のように、ロータ12の製造装置10は、シリンダ治具14と、液体供給部20とを有する。シリンダ治具14は、ロータ本体18とスリーブ16とを保持し、ロータ本体18にスリーブ16を取り付ける治具である。液体供給部20は、シリンダ治具14に液体Lを供給する。
【0017】
シリンダ治具14は、支持ブロック22と、連結部24と、シリンダ部材26と、を有する。支持ブロック22は、シリンダ治具14の下部に位置する。支持ブロック22は、スリーブ16を支持する支持面28と、支持面28から下方に向けて凹んだ凹部30と、凹部30に開口するポート部32とを有する。
【0018】
支持面28は、平滑な平面を有し、スリーブ16の下端部16bと当接する。支持面28は、スリーブ16の下端部16bを支持面28の面内方向に摺動可能に支持し、スリーブ16の膨張による変形を許容する。スリーブ16の下端部16bは、平滑面で構成されており、スリーブ16の周方向の外周側の一部で支持面28と当接する。スリーブ16の下端部16bと支持面28との間は、シール構造を有さず、液体Lが少量ずつ漏洩可能な程度の微細な隙間を有する。尚、スリーブ16の変形を許容する限りにおいて、液体Lの漏洩を抑制するシール構造の適用は排除されない。
【0019】
凹部30は、平面視で円形であり、高さ方向に所定の深さを有する。凹部30は、ロータ本体18の先端に取り付けられたヘッド部材40を収容可能な直径及び深さを有する。凹部30は、スリーブ16に向けて突出し、スリーブ16の内周面16cに当接することでスリーブ16を、シリンダ部材26と同心に位置決めする位置決め部材38を有する。位置決め部材38は、スリーブ16の膨張を妨げないように、スリーブ16の内周側からスリーブ16に当接する。位置決め部材38は、弾性部材を含み、ヘッド部材40に押圧されると、スリーブ16から外れて凹部30に収容される。
【0020】
ポート部32は、凹部30の中央に形成されており、凹部30の底部に開口する。ポート部32は、支持ブロック22を上下方向に貫通するポート流路32aを有する。ポート流路32aは、下端で液体流路44と接続する。ポート流路32aは、液体流路44を介して液体供給部20と接続される。
【0021】
連結部24は、支持ブロック22の上に位置し、支持ブロック22とシリンダ部材26とを接続する。連結部24は、シリンダ部材26と同心の円筒形状を有し、内部にスリーブ16を収容する収容室24cを有する。収容室24cは、シリンダ部材26及びスリーブ16よりも大きな内径を有し、スリーブ16の周囲にスリーブ16が膨張可能な隙間24dを形成する。収容室24cの高さは、スリーブ16の高さと同じとすることができる。また、収容室24cは、スリーブ16の端部から漏洩した液体Lを収容する。連結部24は、側部に複数の排出ポート24aを有する。排出ポート24aは、連結部24を径方向に貫通する排出流路24bを有する。排出ポート24aは、収容室24cの液体Lを外部に排出する。
【0022】
図示の例では連結部24は、支持ブロック22及びシリンダ部材26と別個の部材として構成する例を示すが、本実施形態はこれに限定されず、連結部24は支持ブロック22又はシリンダ部材26と一体的に形成されてもよい。
【0023】
シリンダ部材26は、本体部34と、ピストン36と、ヘッド部材40とを有する。本体部34は、当接面34aとシリンダ孔42とを有する。当接面34aは、本体部34の下部に位置する。当接面34aは、スリーブ16の上端部16aと当接する。当接面34aは、軸線に垂直な方向に延在する平滑な平面であり、スリーブ16の上端部16aと当接する。液圧を付与する前のスリーブ16の内周部は、ロータ本体18よりも小さな内径を有するため、シリンダ孔42よりも内方に位置する。したがって、液圧を付与する前の当接面34aは、スリーブ16の上端部16aの外周側の一部と当接する。なお、スリーブ16の上端部16aと当接面34aとは、所定幅のギャップが形成されても良く、必ずしも当接面34aと上端部16aとが当接していなくてもよい。
【0024】
当接面34aは、スリーブ16の上端部16aとの摺動を許容する。スリーブ16の膨張によって、スリーブ16の上端部16aは当接面34aの外周側に向けて摺動する。スリーブ16の上端部16aとシリンダ部材26の当接面34aとは、液体Lがわずかずつ漏洩可能な隙間を有している。
【0025】
本体部34は、円筒形状を有し、シリンダ孔42を有する。シリンダ孔42は、ロータ本体18よりわずかに大きな内径を有する断面が円形の孔であり、上下方向に本体部34を貫通する。シリンダ孔42と、ロータ本体18との間には、間隙が形成されている。シリンダ孔42は、上下方向(軸線方向)にロータ本体18と、ピストン36の一部とを収容可能な長さを有する。シリンダ孔42の所定部位には、シリンダ孔42の周方向に延びるパッキン収容溝34bが形成されており、パッキン収容溝34bには例えばOリング等のパッキン48が収容されている。パッキン48は、ピストン36と液密に当接し、ピストン36とシリンダ孔42との隙間を通じた液体Lの流出を阻止する。
【0026】
ピストン36は、シリンダ孔42に収容される。ピストン36は、プレス装置66等によって軸線方向に移動する。ピストン36は、シリンダ孔42と摺動しつつシリンダ孔42に沿って上下方向に移動する。ピストン36は、下端部36aにロータ本体18を保持する。ピストン36は、下方に突出し、ロータ本体18をピストン36の中心軸に位置決めする支柱50を有する。支柱50は、ロータ本体18の貫通孔を挿通する。支柱50の数及び配置位置は、図示の例に限定されない。
【0027】
ヘッド部材40は、支柱50の先端に連結されている。ヘッド部材40は、ピストン36との間にロータ本体18を挟み込んで保持する。ヘッド部材40は、ロータ本体18と同一の直径を有する。ヘッド部材40は、ロータ本体18がスリーブ16の内径部46に挿入された後、支柱50との連結が解除される。ヘッド部材40と支柱50との連結が解除されると、ロータ本体18及びスリーブ16をピストン36から取り外し可能となる。
【0028】
液体供給部20は、液体流路44を介してポート部32に接続されている。液体供給部20は、リリーフ弁52と、遮断弁54と、ポンプ56と、貯留タンク58とを有する。液体流路44は、貯留タンク58とポート部32を結ぶ第1流路60と、第1流路60から分岐してリリーフ弁52に接続する第2流路62とを有する。
【0029】
リリーフ弁52は、第2流路62及び第1流路60(液体流路44)を介してポート部32に接続される。リリーフ弁52は、液圧が所定値(例えば、70MPa)を超えると液体Lを排出する。リリーフ弁52は、スリーブ16に付与される液圧を所定値以下の範囲に維持する。
【0030】
貯留タンク58は、第1流路60を介してポート部32に接続される。貯留タンク58は、スリーブ16の内径部46に導入される液体Lを収容する。本実施形態では、液体Lとしては、例えば、シリコンオイル、グリス、又は作動油等を使用できる。液体Lは、上記の例に特に限定されないが、高粘度かつ、せん断力による動粘度低下の少ない液体Lが好ましく、シリコンオイルが好適に使用できる。
【0031】
貯留タンク58とポート部32とを接続する第1流路60の途上には、遮断弁54及びポンプ56が配置される。遮断弁54は、第2流路62との分岐よりも貯留タンク58に近い位置の第1流路60に配置される。遮断弁54は、第1流路60を閉塞し、ポンプ56及び貯留タンク58への液圧の伝搬を防止する。
【0032】
ポンプ56は、貯留タンク58と遮断弁54との間に配置される。ポンプ56は、貯留タンク58の液体Lをポート部32に送り込む。
【0033】
本実施形態のロータ12の製造装置10は以上のように構成される。以下、ロータ12の製造装置10を使用したロータ12の製造方法について説明する。
【0034】
まず、スリーブ16が用意される。スリーブ16は、ロータ本体18の外径よりも小さい内径を有する。その後、
図2Aに示されるように、スリーブ16は、収容室24cに配置される。スリーブ16の下端部16bは支持ブロック22の支持面28と当接し、スリーブ16の上端部16aはシリンダ部材26の本体部34の当接面34aと当接する。なお、
図2Aは、シリンダ部材26と当接面34aとの間に形成される微少な隙間を誇張して図示するが、実施形態はこれに限定されない。シリンダ部材26は、目視において、当接面34aと隙間なく当接して構わない。スリーブ16の内径部46は、シリンダ孔42と同軸に揃って配置される。
【0035】
次に、図示のように、ポート部32を通じて、スリーブ16の内径部46に液体Lが導入される。液体Lは、
図1の貯留タンク58及びポンプ56を介して供給される。
図2Aに示されるように、液体Lの導入は、ヘッド部材40の下側のシリンダ孔42が液体Lで満たされるまで継続される。液体Lの導入が完了すると、
図1のポンプ56が停止し、遮断弁54が第1流路60を閉塞する。
【0036】
次に、
図2Bに示されるように、ピストン36がプレス装置66等によって押し下げられて、下方への移動を開始する。ピストン36の下方への移動にともなって、シリンダ孔42の内部の液体Lがスリーブ16の内部に向けて流動する。液体Lの一部は、スリーブ16の上端部16aとシリンダ部材26(当接面34a)との隙間及びスリーブ16の下端部16bと支持ブロック22(支持面28)との隙間から流出する。ピストン36によってスリーブ16の内部に流入する液体Lの流量は、スリーブ16から流出する液体Lの流量よりも多いため、スリーブ16の内径部46の液圧が上昇する。
【0037】
液圧の増大にともなって、スリーブ16の内径部46から流出する液体Lの流量が増加する。ピストン36によってスリーブ16の内部に流入する液体Lの流量と、スリーブ16から流出する流体の流量とが釣り合い、所定の液圧(例えば、30MPa)がスリーブ16に付与される。液圧の付与により、スリーブ16が膨張する。その結果、スリーブ16の内径は、ロータ本体18の外径よりも大きくなる。
【0038】
図3Aに示すように、ピストン36がさらに下降し、ロータ本体18が、スリーブ16の内径部46に挿入される挿入工程が行われる。スリーブ16の内径は、ロータ本体18の外径よりも大きいため、ロータ本体18はスリーブ16と接触することなく、スリーブ16の内径部46を移動することができる。ヘッド部材40の下側に位置する液体Lの一部は、ロータ本体18とスリーブ16の内周面16cとの隙間を流れてスリーブ16の外部に流出する。挿入工程の後半は、ロータ本体18とスリーブ16の内周面16cとの隙間の経路長が増大し、液体Lの流出が困難になるため、スリーブ16の内部の液圧が増大する。
【0039】
挿入工程の後半で、スリーブ16の内部の液圧が所定圧を上回ると、リリーフ弁52(
図1参照)が開く。リリーフ弁52は、スリーブ16の内部の液体Lを放出することで、スリーブ16の内部の液圧を所定値に維持する。リリーフ弁52は、スリーブ16の内径部46で過剰な液圧が発生するのを防止して、スリーブ16の破損を防ぐ。
【0040】
図3Bに示されるように、ロータ本体18がスリーブ16の内径部46に完全に挿入されると、ヘッド部材40が凹部30の底に当接して、ピストン36の下降が停止する。その後、スリーブ16の内部への液体Lの流入がとまり、スリーブ16の内径部46の液圧が低下する。スリーブ16の内径部46の液圧の低下により、スリーブ16が収縮する。その結果、スリーブ16は、ロータ本体18の外周部18aに固定される。スリーブ16は初期状態の内径とロータ本体18の外径との差に応じた与圧力をロータ本体18に付与しつつ、ロータ本体18の外周部18aに固定される。
【0041】
以上のように、本実施形態のロータ12の製造方法は、新規な液圧拡張圧入方法であり、スリーブ16を液圧で拡張させることで、ロータ本体18をスリーブ16と接触させずにスリーブ16に挿入できる。したがって、このロータ12の製造方法は、薄いスリーブ16であっても座屈や変形を防止できる。また、このロータ12の製造方法は、薄いスリーブ16を、ロータ本体18の外周部18aに高い与圧力を発生させるように取り付けできる。
【0042】
(第2実施形態)
本実施形態では、ロータ本体18の外周部18aに多層構造のスリーブ16Aを取り付ける方法について説明する。なお、本実施形態で使用するロータ12の製造装置10は、
図1を参照しつつ説明した製造装置10と同様である。本実施形態では、ロータ12の製造装置10の説明は省略される。
【0043】
本実施形態は、ロータ本体18の外周部18aに2層、3層又はそれ以上の多層構造のスリーブ16Aを取り付ける態様を含む。スリーブ16Aを構成する第1スリーブ161及び第2スリーブ162の各々は、第1実施形態のスリーブ16よりも薄い。ロータ本体18に1層のスリーブ16(第1実施形態)に代えて2層構造のスリーブ16Aを取り付ける場合には、内周側の第1スリーブ161と外周側の第2スリーブ162の各々の厚さは、1層構成のスリーブ16の厚さの1/2とすることができる。すなわち、1層構成のスリーブ16(第1実施形態)の厚さが例えば3mmの場合には、2層構成のスリーブ16の第1スリーブ161及び第2スリーブ162の厚さは1.5mmとすることができる。また、3層構成のスリーブ16Aは、第1スリーブ161、第2スリーブ162及び第3スリーブ163の厚さは、1層構成のスリーブ16の厚さの1/3とすればよい。
【0044】
図4は、第2スリーブ162を、第1スリーブ161の外周面に取り付ける例を示す。なお、第1スリーブ161は、
図2A~
図3Bを参照しつつ説明した方法でロータ本体18の外周部18aに取り付けられる。
【0045】
第2スリーブ162は、ロータ本体18に取り付けられた第1スリーブ161の外径よりも小さな内径を有する。第2スリーブ162の内径の値は、第1スリーブ161の与圧力と同等の与圧力を発生させるように設定される。第2スリーブ162は、収容室24cに配置される。第1スリーブ161及びロータ本体18は、シリンダ部材26に収容される。その後、第2スリーブ162の内径部46及びシリンダ部材26のシリンダ孔42の内部に液体Lを導入する液体導入工程が行われる。
【0046】
次に、ピストン36が下方に押し下げられる。その結果、図示のように、第2スリーブ162の内径部46に液圧が付与され、第2スリーブ162が膨張する。その後、膨張した第2スリーブ162の内径部46に第1スリーブ161及びロータ本体18が挿入される。その後、液圧が取り除かれて第2スリーブ162が収縮することで、第2スリーブ162が第1スリーブ161の外周面に固定される。
【0047】
以上の工程により、ロータ本体18の外周部18aに第2スリーブ162の取り付けが完了する。なお、3層目の第3スリーブ163を取り付ける場合には、第2スリーブ162が取り付けられたロータ本体18に対して、
図4を参照しつつ説明した工程を繰り返せばよい。以上のようにして取り付けられた第1スリーブ161、第2スリーブ162及び第3スリーブ163は、液圧で拡張された状態でロータ本体18に取り付けられるため、圧入面が他の部材とは摺動しない。従って、第1スリーブ161、第2スリーブ162及び第3スリーブ163を構成する材料として、表面硬度が低い材料を選択できる。従来であれば、同材料の部材同士が互いにかじるため、複数層のスリーブ16Aの内部に損傷が生じるおそれがある。これに対し、本実施形態のロータ12の製造方法は、第1スリーブ161、第2スリーブ162及び第3スリーブ163を互いにかじらせずにロータ本体18の外周部に装着できる。
【0048】
図5Aに示されるように、1層構造のスリーブ16は、スリーブ16の内部で、内周側に向かうほど内部の応力(張力)が大きくなるように応力が分布する。
【0049】
これに対し、
図5Bに示されるように、本実施形態の複数層のスリーブ16Aは、各々の層に適切な内径(締め代)を設定することで、各々の層で均等な応力を発生させることができる。
【0050】
複数層構造のスリーブ16Aは、各層の補強繊維の性能を生かすことができる。そのため、1層のみのスリーブ16に比べて、同一の厚さの複数層構造のスリーブ16Aは、より大きな予圧力を発生させることができ、より高回転まで永久磁石18cの浮きを防ぐことができる。また、同一の予圧力とする場合には、複数層構造のスリーブ16Aは、1層のみのスリーブ16に比べて薄型化することができ、回転電機の磁気ギャップをより小さくできる。
【0051】
図6は、比較例、第1実施形態のスリーブ16及び第2実施形態(2層及び3層)のスリーブ16Aについて、厚みと磁石浮上回転数との関係を計算によって求めた結果を示す。比較例は、圧入によって取り付けたスリーブである。比較例のスリーブは、圧入による座屈を避けるために、軸線方向に複数のブロックに分割されるとともに、軸線方向の強度を補強するための補強層を含んでいる。一方、第1実施形態及び第2実施形態のスリーブ16、16Aは、フープ層のみで構成される。
【0052】
図示のように、スリーブ全体の厚みを所定値(例えば、3mm)とする場合で比較すると、フープ層のみで構成される第1実施形態及び第2実施形態のスリーブ16、16Aは、比較例のスリーブよりも高い与圧力を発生させることができ、より高い回転数まで永久磁石18cの浮上を抑制できる。また、スリーブ16Aは、積層数が増加するほど、より高い回転数まで永久磁石18cの浮上を抑制できる。
【0053】
永久磁石18cの浮上回転数を所定値とした場合には、フープ層のみで構成される第1実施形態及び第2実施形態のスリーブ16、16Aは、比較例のスリーブよりも薄型化できることがわかる。また、スリーブ16Aは、積層数が増加するほど、薄型化できる。
【0054】
(第3実施形態)
本実施形態は、ロータ本体18が軸線方向に長尺な場合に好適な態様について説明する。
図7Aに示されるように、ロータ本体18が軸線方向に長尺になると、ロータ本体18がスリーブ16の上端部16a付近と下端付近とで、液圧の差がより大きくなる。図示のように、長尺なロータ本体18及びスリーブ16では、ロータ本体18を挿入する途中において上部の圧力低下が生じやすい。すなわち、長尺なロータ本体18及びスリーブ16では、スリーブ16とロータ本体18との隙間を流れる液体Lの流量が減少する。その結果、スリーブ16の上端部16a付近において、液圧が低下する。スリーブ16の上端部16a付近に十分な液圧を付与するために、スリーブ16の下端部16bに大きな液圧の付与が求められる。ところが、スリーブ16の下端部16bに過大な液圧が付与されると、スリーブ16は、過剰に膨張して破損する。
【0055】
図7Bに示されるように、本実施形態のロータ12の製造方法は、スリーブ16に過大な液圧が付与される可能性がある場合において、スリーブ16の外周に変形防止リング64を配置する工程を有する。変形防止リング64は、スリーブ16の外周と、収容室24cの内壁との間の隙間24dに配置される。スリーブ16が所定の直径以上に膨張すると、変形防止リング64はスリーブ16の外周面と当接し、スリーブ16を外方への膨張を阻止する。したがって、変形防止リング64は、スリーブ16の内径部46に大きな液圧の付与を可能とする。
【0056】
以上のように、本実施形態のロータ12の製造方法は、長尺なロータ本体18に長尺なスリーブ16の取り付けを可能とする。なお、第1実施形態の製造装置10は、リリーフ弁52の代わりに変形防止リング64を有してもよい。この場合でも、製造装置10は、スリーブ16の液圧による破損を防止できる。
【0057】
以上の開示は、以下のようにまとめられる。
【0058】
一観点は、ロータ本体18と、前記ロータ本体の外周部18aを囲み、前記ロータ本体に内周に向けた与圧力を付与するスリーブ16、16Aと、を有するロータ12の製造方法であって、前記ロータ本体の外径よりも小さな内径を有する筒状の前記スリーブを用意する工程と、前記スリーブの内径部46に液圧を付与して前記スリーブの内径を前記ロータ本体の外径よりも拡大させる膨張工程と、前記液圧を付与したまま、前記スリーブの前記内径部に前記ロータ本体を挿入する挿入工程と、前記液圧を取り除き、前記スリーブを収縮させて前記スリーブを前記ロータ本体に固定する固定工程と、を有する。
【0059】
上記のロータの製造方法は、スリーブに液圧を付与して膨張させた状態で、ロータ本体をスリーブに挿入するため、スリーブと接触させることなくロータ本体をスリーブに挿入できる。したがって、ロータの製造方法は、薄いスリーブを座屈や変形させることなくロータ本体の外周部に高い与圧力を発生させるように固定できる。
【0060】
上記のロータの製造方法であって、前記膨張工程は、前記スリーブの下端部16bに前記スリーブの前記内径部の下端を閉塞する支持ブロック22を接続する工程と、前記スリーブの上端部16aに、前記内径部に連通するシリンダ孔42を有し、前記シリンダ孔に前記ロータ本体を収容したシリンダ部材26を接続する工程と、前記ロータ本体を前記スリーブに向けて移動させて、前記シリンダ孔の液体Lを前記スリーブの前記内径部に導入する液体導入工程と、を有してもよい。このロータの製造方法は、ロータ部材のスリーブへの移動にともなうシリンダ孔からの液体の移動によりスリーブに液圧を付与できる。
【0061】
上記のロータの製造方法であって、前記液体導入工程は、前記スリーブの前記上端部及び前記下端部から漏れる前記液体の漏洩量よりも多い量の前記液体を導入してもよい。このロータの製造方法は、スリーブの隙間にシール構造を設けなくてスリーブに液圧を付与できるため、複雑なシール構造が不要となり、製造装置10の構成を簡素化できる。
【0062】
上記のロータの製造方法であって、前記液体導入工程は、前記スリーブの前記内径部と前記シリンダの前記シリンダ孔とを前記液体で満たした状態で、前記ロータ本体を前記スリーブに向けて移動させて行ってもよい。このロータの製造方法は、高圧ポンプ等による加圧が不要であり、プレス装置66でピストン及びロータ本体を押し下げるだけで、十分な液圧をスリーブの内径部に付与できる。
【0063】
上記のロータの製造方法は、前記ロータ本体に固定された前記スリーブ161の外径よりも小さな内径を有する第2スリーブ162を用意する工程と、前記第2スリーブに対して、前記膨張工程と、前記挿入工程と、前記固定工程とを行って前記ロータ本体に固定された前記スリーブの外周面に前記第2スリーブを固定する工程を有してもよい。このロータの製造方法は、ロータ本体の外周部に複数層のスリーブを形成できる。
【0064】
別の一観点は、ロータ本体の外周部にスリーブを取り付けるロータの製造装置10であって、前記スリーブの下端部と当接して前記スリーブの内径部の下端側を閉塞する支持ブロックと、前記スリーブの上端部に当接する筒部と、前記筒部の内部に形成され前記スリーブの内径部に連通するとともに、前記ロータ本体を収容するシリンダ孔と、を有するシリンダ部材26と、前記シリンダ孔を摺動し、前記ロータ本体を前記スリーブに向けて押し出すピストン36と、前記シリンダ孔と前記内径部とに液体を満たす液体供給部20と、を備え、前記ピストンが前記シリンダ孔を前記内径部に送り込むことで前記スリーブの内部に液圧を付与してもよい。このロータの製造装置は、シリンダ部材のロータ本体の移動でスリーブに液圧を付与して膨張させることで、スリーブの内径部にスリーブと非接触でロータ本体を挿入できる。したがて、ロータの製造装置は、薄いスリーブを、高い与圧力を発生させるようにロータ本体の外周部に固定できる。
【0065】
上記のロータの製造装置であって、前記支持ブロックは、前記スリーブの前記上端部の径方向の膨張を許容しつつ前記下端部と当接し、前記シリンダは、前記スリーブの前記上端部の径方向の膨張を許容しつつ前記上端部と当接してもよい。このロータの製造装置は、スリーブの上端部及び下端部にシール構造を設けないため、スリーブの上端部及び下端部の膨張を許容することができ、スリーブと接触することなくロータ本体をスリーブの内部に挿入できる。
【0066】
上記のロータの製造装置であって、前記ピストンは、前記スリーブと前記支持ブロックとの隙間及び前記スリーブと前記シリンダとの隙間からの前記液体を漏洩させつつ前記ロータ本体を前記スリーブの前記内径部に向けて移動させて前記内径部に液圧を付与しつつ前記ロータ本体を前記内径部に挿入してもよい。このロータの製造装置は、高圧ポンプを使用せずに、シリンダ部材のピストンの移動で十分な液圧をスリーブの内部に付与できる。
【0067】
上記のロータの製造装置であって、さらに、前記スリーブの前記内径部に連通し、前記内径部の液圧が所定値を超えると前記内径部の液体を放出して前記内径部の液圧を前記所定値に保つリリーフ弁52を有してもよい。このロータの製造装置は、ロータ本体の挿入の後半で、スリーブに過剰な液圧が付与されるのを防止できる。
【0068】
上記のロータの製造装置は、さらに、前記スリーブの外周部を囲み、前記スリーブの過剰膨張を阻止する変形防止リング64を備えてもよい。このロータの製造装置は、スリーブ下端部の圧力上昇による過剰膨張を防ぐことで、スリーブの破損を防止できる。
【0069】
なお、本発明は、上記した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0070】
10…ロータの製造装置 16、16A…スリーブ
18…ロータ本体 20…液体供給部
22…支持ブロック 26…シリンダ部材
36…ピストン 42…シリンダ孔
46…内径部 52…リリーフ弁