(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051273
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】光ニューラルネットワーク装置
(51)【国際特許分類】
G06N 3/067 20060101AFI20240404BHJP
H04B 10/516 20130101ALI20240404BHJP
【FI】
G06N3/067
H04B10/516
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157336
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 英明
(72)【発明者】
【氏名】管 貴志
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA51
5K102AH02
5K102AK00
5K102PA02
5K102PA07
5K102PB01
5K102PH01
5K102PH13
5K102PH14
5K102PH22
5K102PH45
5K102PH48
(57)【要約】
【課題】光ニューラルネットワーク装置においてニューロン数を増やすことができる技術を提供する。
【解決手段】光ニューラルネットワーク装置は、キャリア光を生成する第1生成手段と、第1パルス光を生成する第2生成手段と、入力データに基づき前記キャリア光を変調して変調光を出力する変調手段と、前記変調光及び前記第1パルス光を合波して信号光を出力する合波手段と、前記信号光を増幅する増幅手段と、前記増幅手段による増幅後の前記信号光を伝搬する非線形媒体と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア光を生成する第1生成手段と、
第1パルス光を生成する第2生成手段と、
入力データに基づき前記キャリア光を変調して変調光を出力する変調手段と、
前記変調光及び前記第1パルス光を合波して信号光を出力する合波手段と、
前記信号光を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段による増幅後の前記信号光を伝搬する非線形媒体と、
を備えている光ニューラルネットワーク装置。
【請求項2】
前記非線形媒体は、分散平坦化ファイバ、分散シフトファイバ、分散減少ファイバ及びシリコン基板に形成された細線導波路の内の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の光ニューラルネットワーク装置。
【請求項3】
前記非線形媒体を伝搬した前記信号光の各周波数成分に対して異なる伝搬遅延を与える遅延手段をさらに備えている、請求項1に記載の光ニューラルネットワーク装置。
【請求項4】
前記遅延手段は、シングルモードファイバ、分散補償ファイバ、ファイバグレーティング及び導波路型分散補償器の内の少なくとも1つを含む、請求項3に記載の光ニューラルネットワーク装置。
【請求項5】
前記第1生成手段は、異なる周波数の複数のキャリア光を生成し、
前記変調手段は、前記複数のキャリア光それぞれに対応する入力データに基づき前記複数のキャリア光を変調して複数の変調光を出力し、
前記合波手段は、前記複数の変調光及び前記第1パルス光を合波して前記信号光を出力する、請求項1に記載の光ニューラルネットワーク装置。
【請求項6】
前記第2生成手段は、
第2パルス光を生成する第3生成手段と、
前記第2パルス光を前記第2パルス光より帯域幅の広い前記第1パルス光に変換する変換手段と、
を備えている、請求項1に記載の光ニューラルネットワーク装置。
【請求項7】
前記第2生成手段は、前記キャリア光から前記第1パルス光を生成する、請求項1に記載の光ニューラルネットワーク装置。
【請求項8】
前記合波手段は、前記変調光の偏波と前記第1パルス光の偏波が直交する様に合波する、請求項7に記載の光ニューラルネットワーク装置。
【請求項9】
前記変調光は、複数のサブキャリアを有する、請求項1に記載の光ニューラルネットワーク装置。
【請求項10】
前記変調手段は、
前記入力データに基づきディスクリートマルチトーン信号を生成する第3生成手段と、
前記キャリア光を前記ディスクリートマルチトーン信号に基づき直交変調することで前記変調光を生成する直交変調手段と、
を備えている、請求項1に記載の光ニューラルネットワーク装置。
【請求項11】
前記第3生成手段は、前記ディスクリートマルチトーン信号をヒルベルト変換した変換信号を生成し、
前記直交変調手段は、前記キャリア光を前記ディスクリートマルチトーン信号に基づき強度変調した第1強度変調光と、前記キャリア光を前記変換信号に基づき強度変調した第2強度変調光と、を合波することで前記変調光を生成する、請求項10に記載の光ニューラルネットワーク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニューラルネットワークをハードウェア的に実現する光ニューラルネットワーク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ニューラルネットワーク(以下、NNと表記する)をハードウェア的に実現する光NN装置を開示している。以下、特許文献1が開示する構成の概要について述べる。光NN装置は、スーパーコンティニューム(SC)光を生成するSC光源を備えている。SC光とは、帯域幅が非常に広いパルス信号である。また、光NN装置は、SC光の周波数軸上における波形を入力データに応じて変化させるスペクトラル変調器を備えている。スペクトラル変調器が生成する変調光は、非線形媒体を介してスペクトロメータに入力される。非線形媒体における非線形光学効果により、変調光の周波数成分間の干渉が生じ、これにより、ニューロン間の結合が実現される。非線形媒体を通過した変調光の各周波数成分は、各ニューロンからの出力に対応する。スペクトロメータは、非線形媒体を通過した変調光の周波数成分を解析する。この解析結果は、光NN装置のアプリケーション、例えば、"分類"等に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0311532号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非線形媒体における非線形光学効果は、入力される光のパワーが強い程、強くなる。しかしながら、ラマン増幅器を使ってもSC光の全帯域を増幅することはできないため、特許文献1の構成では、非線形媒体に入力する変調光のパワーを強くすることができない。したがって、非線形媒体において強い非線形光学効果を生じさせることはできず、非線形媒体が出力する変調光の帯域幅の広がりも制限され、よって、ニューロン数も制限される。
【0005】
本開示は、光ニューラルネットワーク装置においてニューロン数を増やすことができる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によると、光ニューラルネットワーク装置は、キャリア光を生成する第1生成手段と、第1パルス光を生成する第2生成手段と、入力データに基づき前記キャリア光を変調して変調光を出力する変調手段と、前記変調光及び前記第1パルス光を合波して信号光を出力する合波手段と、前記信号光を増幅する増幅手段と、前記増幅手段による増幅後の前記信号光を伝搬する非線形媒体と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によると、光ニューラルネットワーク装置においてニューロン数を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態による光ニューラルネットワーク装置の構成図。
【
図2】一実施形態による生成部の構成図及び生成部が出力する信号光の説明図。
【
図5】一実施形態による生成部の構成図及び変調光の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうちの二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態による光NN装置の構成図である。生成部1は、入力データに基づき信号光を生成して増幅器2に出力する。
図2(A)は、本実施形態による生成部1の構成図である。変調器12は、光源11からのキャリア光を入力データで変調して変調光をカップラ13に出力する。以下の説明においてはキャリア光を連続光とする。しかしながら、キャリア光は、時間的にオン・オフするパルス光であっても良い。キャリア光としてパルス光を使用する場合、光源11は、少なくとも入力データが入力されている期間にはキャリア光を出力する様に構成される。また、変調器12が使用する変調方式は任意であり、例えば、強度変調又は角度変調を使用し得る。角度変調は、位相変調又は周波数変調を含む。また、変調器12は、複数のサブキャリアそれぞれがデータを搬送する変調方式、例えば、光直交周波数分割多重(ОFDM)変調方式を使用し得る。
【0011】
パルス光源14は、周期的にオン・オフを繰り返すパルス光を生成してカップラ13に出力する。カップラ13は、変調器12からの変調光と、パルス光源14からのパルス光と、を合波し、信号光として出力する。なお、カップラ13に代えて、入力される複数の光を合波して出力する任意の光デバイスを使用することができる。
図2(B)は、信号光の周波数成分を示している。
図2(B)において、参照符号92は、パルス光に対応し、参照符号94は、変調光に対応する。
図2(B)では、光源11が出力するキャリア光の周波数と、パルス光源14が出力するパルス光の周波数とが異なるものとしているが、同じであっても良い。また、
図2(B)では、光源11が出力するキャリア光の周波数が、パルス光源14が出力するパルス光の周波数より低いものとしているが、高いものであっても良い。
【0012】
図1に戻り、増幅器2は、信号光を増幅する。増幅器2は、信号光の全周波数帯域を増幅可能な任意の光増幅器であり、例えば、エルビームドープファイバ増幅器(EDFA)やラマン増幅器であり得る。なお、信号光の周波数帯域とは、変調光の周波数帯域と、パルス光の周波数帯域と、を合わせたものである。増幅器2は、増幅した信号光を非線形媒体3に出力する。
【0013】
非線形媒体3は、信号光に対して非線形光学効果を生じさせる媒体である。非線形光学効果は、例えば、自己位相変調、相互位相変調、四光波混合、ラマン散乱等である。非線形媒体3としては、例えば、分散平坦化ファイバ(DFF)、分散シフトファイバ(DSF)、分散減少ファイバ(DDF)等を利用することができる。さらに、非線形媒体3としては、シリコン基板に形成された細線導波路を使用することができる。信号光のスペクトラムは、非線形光学効果の影響により大きく広がる。非線形媒体3が出力する信号光の各周波数成分(波長成分)は、元の信号光の各周波数成分の結合によるものであり、各周波数成分がニューロンに該当する。
【0014】
オプションの分散媒体4が設けられる場合、非線形媒体3を通過した信号光は当該分散媒体4に入力される。分散媒体4は、信号光の周波数成分に応じて異なる遅延を与える媒体である。分散媒体4としては、例えば、シングルモードファイバ(SMF)、分散補償ファイバ(DCF)、ファイバグレーティング、導波路型分散補償器等を利用することができる。分散媒体4を伝搬させることで、信号光の各周波数成分は、波長分散に応じてビット間でミキシングされる。分散媒体4を通過した信号光は、処理部5に入力される。なお、分散媒体4を使用しない場合、処理部5には、非線形媒体3からの信号光が入力される。
【0015】
処理部5は、非線形媒体3で非線形光学効果を受け、かつ、オプションで周波数成分毎に異なる遅延を与えられた信号光を処理して出力データを出力する。
図3は、処理部5の一例を示している。アレイ導波路グレーティング(AWG)51は、周波数分離部(波長分離部)であり、信号光を周波数成分毎に分離する。上述した様に、各周波数の光がニューロンからの出力に対応する。フォトダイオード(PD)52は、光電変換部であり、AWG51が出力する各周波数の光の光電変換を行う。演算部53は、各PD52が出力する電気信号に対して所定の演算を行う。なお、所定の演算の際に使用する複数の係数(重み)は、光NN装置の学習時に決定される。一例として、演算部53は、各PD52が出力する電気信号をデジタル値に変換し、学習時に決定した重みをデジタル値に乗じて加算し、加算後のデータ値を出力データとして出力する。処理部5が出力する出力データは、光NN装置でのアプリケーションに利用される。なお、光NN装置のアプリケーションは、分散媒体4が使用されない場合には分類等であり、分散媒体4が使用される場合には予測等である。
【0016】
なお、処理部5の構成は、
図3に示すものに限定されない。例えば、入力される信号光の周波数成分をスペクトロメータ(スペクトラムアナライザ)で解析し、解析結果に基づく値を出力データとするものであっても良い。また、
図3の各PD52が出力する電気信号をスペクトロメータで解析し、各PD52が出力する電気信号の解析結果に基づく値を出力データとするものであっても良い。
【0017】
以上、本実施形態による光NN装置では、SC光を変調するのではなく、SC光と比較して狭帯域のキャリア光を変調する。そして、パルス光と変調光を合波した信号光を生成し、信号光を非線形媒体3に入力する前に、増幅器2で増幅する。信号光の周波数帯域は、SC光と比較して十分に狭く、増幅器2での増幅が可能である。したがって、非線形媒体3において強い非線形光学効果を生じさせることができ、よって、ニューロン数を増やすことができる。
【0018】
また、変調光のパワーに対するパルス光のパワーを調整することで、非線形媒体3が出力する信号光の各周波数成分に対応するデータと入力データとの相関性が低くなり過ぎることを抑えることができる。例えば、出力データを予測に使用する場合、非線形媒体3が出力する信号光の各周波数成分に対応するデータは、予測のベースとなる入力データとある程度の相関がなければならない。しかしながら、変調光の変調度によっては、非線形媒体3における各周波数成分の位相回転により各周波数成分に対応するデータと入力データとの相関が低くなりすぎる。本実施形態では、変調光とパルス光を合波して信号光とするので、信号光全体の変調度は、変調光の変調度より低下する。つまり、信号光の変調度を、パルス光のパワーを調整することで調整することができる。これにより、非線形媒体3が出力する信号光の各周波数成分に対応するデータと、入力データとの相関が低くなりすぎることを抑えることができる。一例として、パルス光のパワーは、変調光のパワーに対して1倍から100倍程度に変化させることができる様に生成部1は構成される。
【0019】
なお、本実施形態では、1セットの光源11及び変調器12により1つの変調光を生成し、1つのパルス光と合波することで信号光を生成していた。しかしながら、光源11及び変調器12のセットを複数設けて複数の変調光を生成し、複数の変調光と1つのパルス光とを合波することで信号光を生成する構成であっても良い。この場合、各セットの光源11が生成するキャリア光の周波数は異ならせる。複数の変調光により、入力データのデータ量を多くすることができる。なお、この場合でも、信号光の周波数帯域は、増幅器2で増幅可能な周波数帯域内に収める。
【0020】
なお、
図1には示していないが、処理部5の出力データを生成部1にフィードバックさせる構成とすることもできる。この場合、生成部1は、例えば、入力データと出力データに基づき信号光を生成する。さらに、光NN装置を予測に使用する場合、予測の元となる入力データを光NN装置に入力して出力データを得た後、この出力データを入力データとして生成部1に入力する構成とすることもできる。これは、予測の元となる入力データに基づき第1時点での予測結果である予測データを得た後、この第1時点での予測データに基づき第1時点より時間的に後の第2時点での予測結果を得るために行われ得る。
【0021】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。
図4(A)は、本実施形態による生成部1の構成図である。本実施形態では、パルス光源14が生成するパルス光を増幅器15で増幅し、非線形媒体16を介してカップラ13に入力する。非線形媒体16での非線形光学効果により元のパルス光よりその帯域幅を広くした上で変調光と合波することができる。よって、非線形媒体3が出力する信号光の帯域幅をより広くすることができる。なお、本実施形態でも、信号光の周波数帯域を増幅器2で増幅可能な周波数帯域内に収める様に各デバイスは構成される。例えば、非線形媒体16が出力するパルス光の周波数帯域が増幅器2で増幅可能な範囲内となる様に、増幅器15のゲインは調整される。
【0022】
<第三実施形態>
続いて、第三実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。
図4(B)は、本実施形態による生成部1の構成図である。本実施形態では、光源11が生成するキャリア光をカップラ17で二分岐し、一方を変調器12で変調すると共に、他方をパルス化器18に入力する。変調器12は、キャリア光を入力データで変調し、変調光をカップラ13に出力する。また、パルス化器18は、キャリア光を周期的にオン・オフすることでパルス光を生成し、生成したパルス光をカップラ13に出力する。本実施形態では、1つの光源11に基づきキャリア光とパルス光の両方を生成するため、必要な光源の数を少なくすることができる。
【0023】
なお、変調光とパルス光の偏波の関係は任意である。つまり、変調光の偏波は、パルス光の偏波と平行であっても、パルス光の偏波に対して直交していても、その他の角度であっても良い。変調光とパルス光の偏波を直交させる場合、
図4(B)のカップラ13に代えて、偏波ビームスプリッタ(PBS)を使用する。PBSは、変調光とパルス光の偏波が直交する様に合波する。変調光とパルス光の偏波を直交させることで、非線形媒体3における相互位相変調の作用は、変調光とパルス光の偏波が平行している場合より減少するが、それでも、非線形媒体3における非線形光学効果の影響により信号光の周波数帯域は広がる。
【0024】
<第四実施形態>
続いて、第四実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。
図5(A)は、本実施形態による生成部1の構成図である。本実施形態では、複数のサブキャリアそれぞれが入力データを搬送する光OFDM変調された変調光を使用する。演算部20は、入力データに基づき、DMT(ディスクリートマルチトーン)信号を生成する。DMT信号は、正の周波数のサブキャリア(ビン)にデータ値に対応する複素値を設定し、かつ、負の周波数のビンそれぞれに対応する正の周波数のビンに設定した複素値の共役複素値を設定して離散逆フーリエ変換を行うことで得られる。本実施形態では、例えば、あらかじめ基準となる振幅値(基準値)を決めておき、各ビンの振幅と基準値との偏差がデータ値を示すものとする。しかしながら、各ビンの振幅値がデータ値を示すものであっても良い。
【0025】
演算部20は、直交変調器(IQ変調器)21の同相(I)ポートにDMT信号を出力し、直交相(Q)ポートにDMT信号をヒルベルト変換した信号を出力する。IQ変調器21は、Iポート及びQポートに入力された信号に基づき直交変調(IQ変調)を行って変調光を出力する。より詳しくは、IQ変調器21は、光源11からのキャリア光を二分岐し、それぞれをIポートに入力された信号及びQポートに入力された信号で強度変調する。2つの強度変調された光の位相をπ/2だけ異ならせて合波することでIQ変調器21は変調光を生成する。DMT信号と、当該DMT信号をヒルベルト変換した信号とに基づきIQ変調を行うことで、DMT信号の負の周波数成分は相殺され、正の周波数のビンに設定した複素値を搬送する複数のサブキャリアを有するOFDM変調光が得られる。
図5(B)は、OFDM変調光の周波数成分を示している。周波数軸上の各縦線がサブキャリアに対応し、サブキャリアの振幅と基準値との偏差がデータ値に対応する。なお、OFDM変調光を生成する構成は
図5(B)の構成に限定されず、任意の構成を使用し得る。
【0026】
本実施形態では、光OFDM変調を使用するため、入力データのデータ量を多くすることができる。なお、本実施形態でも第一実施形態で述べた様に、複数の変調光と1つのパルス光とを合波して信号光とすることができる。また、本実施形態でも第二実施形態で述べた様に、パルス光源14が生成するパルス光をより広い帯域幅のパルス光に変換した後に変調光と合波する構成とし得る。また、本実施形態でも第三実施形態と同様に1つの光源11に基づきキャリア光とパルス光とを生成することができる。
【0027】
以上の構成により、光ニューラルネットワーク装置においてニューロン数を増やすことができる。したがって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【符号の説明】
【0028】
11:光源、14:パルス光源、12:変調器、13:カップラ、2:増幅器、3:非線形媒体