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特開2024-51277産業用ロボットのハンドおよび産業用ロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051277
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】産業用ロボットのハンドおよび産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B25J15/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157341
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 隆之
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優汰
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS15
3C707BS26
3C707CT05
3C707CV07
3C707CW07
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT11
3C707NS12
3C707NS21
(57)【要約】
【課題】長方形の平板状に形成される搬送対象物の縁部分のみを把持する場合であっても、また、搬送対象物の長辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークに搬送対象物が載置される場合、および、搬送対象物の短辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークに搬送対象物が載置される場合のいずれの場合であっても、搬送対象物を安定して把持することが可能なハンドを提供する。
【解決手段】ハンド3は、複数のフォーク20の上面側に載置される搬送対象物2を吸着して把持するための第1把持機構23および第2把持機構24を備えている。フォーク20には、一対の第1把持機構23と一対の第2把持機構24とが取り付けられており、一対の第2把持機構24は、フォーク20の長手方向において一対の第1把持機構23の内側に配置されている。第2把持機構24の上端は、第1把持機構23の上端よりも下側に配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の平板状に形成される搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、
上面側に前記搬送対象物が載置される直線状の複数のフォークと、複数の前記フォークの基端が繋がるハンド基部と、複数の前記フォークの上面側に載置される前記搬送対象物を吸着して把持するための複数の第1把持機構および第2把持機構とを備え、
前記フォークには、一対の前記第1把持機構と一対の前記第2把持機構とが取り付けられ、
一対の前記第2把持機構は、前記フォークの長手方向において一対の前記第1把持機構の内側に配置され、
前記第2把持機構の上端は、前記第1把持機構の上端よりも下側に配置されていることを特徴とするハンド。
【請求項2】
前記第1把持機構は、前記搬送対象物を下側から支えるための第1支持部材と、前記搬送対象物の下面を吸着する第1吸着パッドとを備え、
前記第2把持機構は、前記搬送対象物を下側から支えるための第2支持部材と、前記搬送対象物の下面を吸着する第2吸着パッドとを備え、
前記第1支持部材の上面および前記第2支持部材の上面には、前記搬送対象物が載置可能となっており、
前記第2支持部材の上面は、前記第1支持部材の上面よりも下側に配置され、
前記第2吸着パッドの上端は、前記第1吸着パッドの上端よりも下側に配置されていることを特徴とする請求項1記載のハンド。
【請求項3】
上面側に前記搬送対象物が載置される直線状の2本の第2フォークを備え、
前記第2フォークの基端は、前記ハンド基部に繋がり、
前記第2フォークの長さは、前記フォークの長さよりも短くなっており、
2本の前記第2フォークのそれぞれは、前記フォークの長手方向と上下方向とに直交する方向において複数の前記フォークの外側に配置され、
前記第2フォークには、一対の前記第2把持機構が取り付けられていることを特徴とする請求項1または2記載のハンド。
【請求項4】
請求項1または2記載のハンドと、前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、前記アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えることを特徴とする産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドに関する。また、本発明は、このハンドを備える産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長方形の平板状に形成される液晶ディスプレイのガラス基板を搬送する産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、ガラス基板が搭載されるハンドと、ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、アームを支持する本体部とを備えている。ハンドは、上面側にガラス基板が載置される直線状の4本のフォークと、4本のフォークの基端が繋がるハンド基部とを備えている。この産業用ロボットでは、長方形状に形成されるガラス基板の長辺の方向(長辺方向)とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側にガラス基板が載置される。
【0003】
なお、特許文献1に記載の産業用ロボットでは、ハンドは、4本のフォークの上面側に載置されるガラス基板を吸着して把持するための複数の把持機構を備えている。この把持機構は、たとえば、ガラス基板が載置される支持部材と、支持部材に載置されるガラス基板の下面を吸着する吸着パッドとを備えている。支持部材および吸着パッドは、フォークの上面側に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-104003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の産業用ロボットによって搬送されるガラス基板の中には、特殊処理が施されたガラス基板がある。このガラス基板では、たとえば、ガラス基板の、縁以外の部分に特殊処理が施されており、このガラス基板を搬送する際には、特殊処理が施されていないガラス基板の縁部分のみを把持機構によって把持しなければならない。
【0006】
また、特殊処理が施されたガラス基板を搬送する産業用ロボットでは、上述のように、長方形状のガラス基板の長辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側にガラス基板が載置されるのに加えて、ガラス基板の短辺の方向(短辺方向)とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側にガラス基板が載置されることもある。この産業用ロボットでは、ガラス基板の長辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側にガラス基板が載置される場合、および、ガラス基板の短辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側にガラス基板が載置される場合のいずれの場合においてもガラス基板を把持機構によって安定して把持できることが好ましい。
【0007】
そこで、本発明の課題は、長方形の平板状に形成される搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、搬送対象物の縁部分のみを把持する場合であっても、また、搬送対象物の長辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側に搬送対象物が載置される場合、および、搬送対象物の短辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側に搬送対象物が載置される場合のいずれの場合であっても、搬送対象物を安定して把持することが可能なハンドを提供することにある。また、本発明の課題は、かかるハンドを備える産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様の産業用ロボットのハンドは、長方形の平板状に形成される搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、上面側に搬送対象物が載置される直線状の複数のフォークと、複数のフォークの基端が繋がるハンド基部と、複数のフォークの上面側に載置される搬送対象物を吸着して把持するための複数の第1把持機構および第2把持機構とを備え、フォークには、一対の第1把持機構と一対の第2把持機構とが取り付けられ、一対の第2把持機構は、フォークの長手方向において一対の第1把持機構の内側に配置され、第2把持機構の上端は、第1把持機構の上端よりも下側に配置されていることを特徴とする。
【0009】
本態様のハンドでは、複数のフォークに、一対の第1把持機構と一対の第2把持機構とが取り付けられており、一対の第2把持機構は、フォークの長手方向において一対の第1把持機構の内側に配置されている。そのため、本態様では、搬送対象物の短辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側に搬送対象物が載置される場合に、複数のフォークに取り付けられた複数の第2把持機構によって搬送対象物の縁部分のみを把持することが可能になる。また、本態様では、第2把持機構の上端が第1把持機構の上端よりも下側に配置されているため、搬送対象物の長辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側に搬送対象物が載置される場合に、複数のフォークに取り付けられた複数の第1把持機構によって搬送対象物の縁部分のみを把持することが可能になる。
【0010】
このように、本態様では、搬送対象物の短辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側に搬送対象物が載置される場合に、複数の第2把持機構によって搬送対象物の縁部分のみを把持することが可能になるとともに、搬送対象物の長辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側に搬送対象物が載置される場合に、複数の第1把持機構によって搬送対象物の縁部分のみを把持することが可能になる。したがって、本態様では、搬送対象物の縁部分のみを把持する場合であっても、また、搬送対象物の長辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側に搬送対象物が載置される場合、および、搬送対象物の短辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側に搬送対象物が載置される場合のいずれの場合であっても、搬送対象物を安定して把持することが可能になる。
【0011】
本態様において、たとえば、第1把持機構は、搬送対象物を下側から支えるための第1支持部材と、搬送対象物の下面を吸着する第1吸着パッドとを備え、第2把持機構は、搬送対象物を下側から支えるための第2支持部材と、搬送対象物の下面を吸着する第2吸着パッドとを備え、第1支持部材の上面および第2支持部材の上面には、搬送対象物が載置可能となっており、第2支持部材の上面は、第1支持部材の上面よりも下側に配置され、第2吸着パッドの上端は、第1吸着パッドの上端よりも下側に配置されている。
【0012】
本態様において、ハンドは、上面側に搬送対象物が載置される直線状の2本の第2フォークを備え、第2フォークの基端は、ハンド基部に繋がり、第2フォークの長さは、フォークの長さよりも短くなっており、2本の第2フォークのそれぞれは、フォークの長手方向と上下方向とに直交する方向において複数のフォークの外側に配置され、第2フォークには、一対の第2把持機構が取り付けられていることが好ましい。このように構成すると、搬送対象物の短辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側に搬送対象物が載置される場合に、第2フォークに取り付けられる第2把持機構を用いて、搬送対象物をより安定して把持することが可能になる。
【0013】
本態様のハンドは、ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備える産業用ロボットに用いることができる。この産業用ロボットでは、搬送対象物の縁部分のみを把持する場合であっても、また、搬送対象物の長辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側に搬送対象物が載置される場合、および、搬送対象物の短辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側に搬送対象物が載置される場合のいずれの場合であっても、搬送対象物を安定して把持することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明では、長方形の平板状に形成される搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、搬送対象物の縁部分のみを把持する場合であっても、また、搬送対象物の長辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側に搬送対象物が載置される場合、および、搬送対象物の短辺方向とフォークの長手方向とが一致するようにフォークの上面側に搬送対象物が載置される場合のいずれの場合であっても、搬送対象物を安定して把持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの平面図である。
図2図1に示す産業用ロボットの側面図である。
図3図1に示すハンドに、搬送対象物の長辺方向とフォークの長手方向とが一致するように搬送対象物が搭載されている状態の平面図である。
図4図1に示すハンドに、搬送対象物の短辺方向とフォークの長手方向とが一致するように搬送対象物が搭載されている状態の平面図である。
図5】(A)は、図3に示す第1把持機構の構成を説明するための拡大側面図であり、(B)は、図3に示す第2把持機構の構成を説明するための拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(産業用ロボットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。図2は、図1に示す産業用ロボット1の側面図である。
【0018】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である液晶ディスプレイのガラス基板2(以下、「基板2」とする。)を搬送する水平多関節型のロボットである。基板2は、長方形の平板状に形成されている。本形態の基板2は、特殊処理が施されたガラス基板である。基板2では、たとえば、基板2の、縁以外の部分に特殊処理が施されている。
【0019】
ロボット1は、基板2が搭載される2個のハンド3と、2個のハンド3のそれぞれが先端側に回動可能に連結される2本のアーム4と、2本のアーム4の基端側が回動可能に連結される本体部5と、本体部5を水平方向に移動可能に支持するベース部材6とを備えている。本体部5は、アーム4の基端側を支持するとともに昇降可能なアームサポート7と、アームサポート7を昇降可能に支持する支持フレーム8と、本体部5の下端部分を構成するとともにベース部材6に対して水平移動可能な基台9と、支持フレーム8の下端が固定されるとともに基台9に対して回動可能な旋回フレーム10とを備えている。
【0020】
アーム4は、第1アーム部12と第2アーム部13との2個のアーム部によって構成されている。第1アーム部12の基端側は、アームサポート7に回動可能に連結されている。第1アーム部12の先端側には、第2アーム部13の基端側が回動可能に連結されている。第2アーム部13の先端側には、ハンド3が回動可能に連結されている。アーム4は、ハンド3が一定方向を向いた状態で略直線的に移動するように水平方向へ伸縮可能となっている。ロボット1は、アーム4を駆動するアーム駆動機構を備えている。
【0021】
支持フレーム8は、アームサポート7を介してハンド3およびアーム4を昇降可能に保持している。支持フレーム8は、アームサポート7を昇降可能に保持する柱状の第1支持フレーム15と、第1支持フレーム15を昇降可能に保持する柱状の第2支持フレーム16とを備えている。ロボット1は、第1支持フレーム15を上下方向に案内するガイド機構と、アームサポート7を上下方向へ案内するガイド機構とを備えている。また、ロボット1は、第1支持フレーム15に対してアームサポート7を昇降させるとともに第2支持フレーム16に対して第1支持フレーム15を昇降させる昇降機構を備えている。
【0022】
旋回フレーム10は、上下方向の厚さが薄い扁平な略直方体状に形成されている。また、旋回フレーム10は、細長い略直方体状に形成されている。旋回フレーム10の先端側の上面には、第2支持フレーム16の下端部が固定されている。旋回フレーム10の基端側は、上下方向を回動の軸方向とする回動が可能となるように基台9に支持されている。旋回フレーム10は、基台9よりも上側に配置されている。ロボット1は、基台9に対して旋回フレーム10を回動させる回動機構を備えている。また、ロボット1は、ベース部材6に対して基台9を水平移動させる水平移動機構と、基台9を水平方向へ案内するガイド機構とを備えている。
【0023】
(ハンドの構成)
図3は、図1に示すハンド3に、基板2の長辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するように基板2が搭載されている状態の平面図である。図4は、図1に示すハンド3に、基板2の短辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するように基板2が搭載されている状態の平面図である。図5(A)は、図3に示す把持機構23の構成を説明するための拡大側面図であり、図5(B)は、図3に示す把持機構24の構成を説明するための拡大側面図である。
【0024】
ハンド3は、上面側に基板2が載置される複数のフォーク20、21と、複数のフォーク20、21の基端が繋がるハンド基部22とを備えている。本形態のハンド3は、4本のフォーク20と2本のフォーク21とを備えている。また、ハンド3は、複数のフォーク20、21の上面側に載置される基板2を吸着して把持するための複数の把持機構23、24を備えている。本形態のフォーク21は第2フォークである。また、本形態の把持機構23は第1把持機構であり、把持機構24は第2把持機構である。
【0025】
ハンド基部22は、第2アーム部13の先端側に回動可能に連結されている。フォーク20、21は、直線状に形成されている。具体的には、フォーク20、21は、細長い中空の直方体状に形成されている。フォーク20、21は、ハンド基部22から水平方向に伸びている。また、フォーク20とフォーク21とは、ハンド基部22から同じ方向に伸びている。すなわち、フォーク20の長手方向とフォーク21の長手方向とは一致している。
【0026】
4本のフォーク20は、一定の間隔をあけた状態で互いに平行になるように配置されている。2本のフォーク21のそれぞれは、フォーク20の長手方向と上下方向とに直交する方向において4本のフォーク20の外側に配置されている。フォーク21の長さは、フォーク20の長さよりも短くなっている。フォーク20とフォーク21とは、上下方向において同じ位置に配置されている。また、フォーク20の上面とフォーク21の上面とは、上下方向において同じ位置に配置されている。
【0027】
上述のように、基板2は、特殊処理が施されたガラス基板であり、基板2では、たとえば、基板2の、縁以外の部分に特殊処理が施されている。本形態では、ロボット1による基板2の搬送時に、特殊処理が施されていない基板2の縁部分2a(図3図4のハッチング部分)のみを把持機構23、24によって把持しなければならない。また、本形態では、ロボット1による基板2の搬送時に、図3に示すように、長方形状の基板2の長辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20の上面側に基板2が載置される場合と、図4に示すように、基板2の短辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20、21の上面側に基板2が載置される場合とがある。
【0028】
把持機構23は、フォーク20に取り付けられている。把持機構24は、フォーク20、21に取り付けられている。具体的には、フォーク20には、一対の把持機構23と一対の把持機構24とが取り付けられ、フォーク21には、一対の把持機構24が取り付けられている。すなわち、1本のフォーク20に、2個の把持機構23と2個の把持機構24とが取り付けられ、1本のフォーク21に、2個の把持機構24が取り付けられている。
【0029】
フォーク20では、一対の把持機構24は、フォーク20の長手方向において一対の把持機構23の内側に配置されている。フォーク20に取り付けられる把持機構24とフォーク21に取り付けられる把持機構24とは、フォーク20の長手方向において同じ位置に配置されている。すなわち、フォーク21に取り付けられる一対の把持機構24は、フォーク20の長手方向において一対の把持機構23の内側に配置されている。
【0030】
把持機構23は、基板2の長辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20の上面側に基板2が載置されるときに、基板2の縁部分2aを把持可能な位置に配置されている。把持機構24は、基板2の短辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20、21の上面側に基板2が載置されるときに、基板2の縁部分2aを把持可能な位置に配置されている。基板2の長辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20に載置される基板2は、8個の把持機構23に把持されている。基板2の短辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20、21に載置される基板2は、12個の把持機構24に把持されている。
【0031】
図5(A)に示すように、把持機構23は、基板2を下側から支えるための支持部材26と、基板2の下面を吸着する吸着パッド27とを備えている。図5(B)に示すように、把持機構24は、基板2を下側から支えるための支持部材28と、基板2の下面を吸着する吸着パッド29とを備えている。本形態の支持部材26は第1支持部材であり、吸着パッド27は第1吸着パッドである。また、支持部材28は第2支持部材であり、吸着パッド29は第2吸着パッドである。
【0032】
支持部材26、28は、樹脂で形成されている。たとえば、支持部材26、28は、ポリエーテルエーテルケトンで形成されている。支持部材26、28は、直方体状に形成されている。支持部材26は、フォーク20の上面に固定され、支持部材28は、フォーク20、21の上面に固定されている。支持部材26、28の上面は、上下方向に略直交する平面となっている。支持部材26、28の上面には、基板2が載置可能となっている。支持部材26の上面には、基板2の長辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20に基板2が載置されるときに、基板2の下面(具体的には、縁部分2aの下面)が接触する。支持部材28の上面には、基板2の短辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20、21に基板2が載置されるときに、基板2の下面(具体的には、縁部分2aの下面)が接触する。
【0033】
吸着パッド27、29は、ゴムで形成されている。たとえば、吸着パッド27、29は、フッ素ゴムで形成されている。吸着パッド27は、フォーク20の上面側に取り付けられている。吸着パッド27の上端は、フォーク20に対して上下方向に若干移動可能になっている。吸着パッド29は、フォーク20、21の上面側に取り付けられている。吸着パッド29の上端は、フォーク20、21に対して上下方向に若干移動可能になっている。吸着パッド27は、支持部材26の近傍に配置されており、基板2の縁部分2aの、支持部材26に載置された箇所の近傍を吸着する。吸着パッド29は、支持部材28の近傍に配置されており、基板2の縁部分2aの、支持部材28に載置された箇所の近傍を吸着する。
【0034】
吸着パッド27、29には、真空ポンプ等の吸引機構が配管を介して接続されている。本形態では、基板2の長辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20に基板2が載置されるときに、吸着パッド27のみが基板2を吸引して吸着し、かつ、基板2の短辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20、21に基板2が載置されるときに、吸着パッド29のみが基板2を吸引して吸着するように、吸着パッド27、29に繋がる配管の経路等が設定されている。
【0035】
支持部材26の上面は、吸着パッド27の上端(具体的には、吸着パッド27が基板2を吸着していないときの吸着パッド27の上端)よりも上側に配置されている。支持部材28の上面は、吸着パッド29の上端(具体的には、吸着パッド29が基板2を吸着していないときの吸着パッド29の上端)よりも上側に配置されている。支持部材28の上面は、支持部材26の上面よりも下側に配置されている。吸着パッド29の上端は、吸着パッド27の上端よりも下側に配置されている。また、支持部材28の上面は、吸着パッド27の上端よりも下側に配置されている。すなわち、把持機構24の上端は、把持機構23の上端よりも下側に配置されている。
【0036】
たとえば、フォーク20の上面に対する支持部材28の上面の高さH1と、フォーク20の上面に対する支持部材26の上面の高さH2との差は、2.5(mm)程度となっており、フォーク20の上面に対する吸着パッド29の上端の高さ(具体的には、吸着パッド29が基板2を吸着していないときの、フォーク20の上面に対する吸着パッド29の上端の高さ)H3と、フォーク20の上面に対する吸着パッド27の上端の高さ(具体的には、吸着パッド27が基板2を吸着していないときの、フォーク20の上面に対する吸着パッド27の上端の高さ)H4との差は、2(mm)程度となっている。また、高さH1と高さH4との差は、0.5(mm)程度となっている。
【0037】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、フォーク20に、一対の把持機構23と一対の把持機構24とが取り付けられ、フォーク21に、一対の把持機構24が取り付けられている。また、本形態では、一対の把持機構24は、フォーク20の長手方向において一対の把持機構23の内側に配置されている。さらに、本形態では、把持機構24は、基板2の短辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20、21の上面側に基板2が載置されるときに、基板2の縁部分2aを把持可能な位置に配置されている。そのため、本形態では、基板2の短辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20、21の上面側に基板2が載置されるときに、4本のフォーク20と2本のフォーク21に取り付けられた複数の把持機構24によって(具体的には、12個の把持機構24によって)基板2の縁部分2aのみを把持することが可能になる。
【0038】
また、本形態では、把持機構23は、基板2の長辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20の上面側に基板2が載置されるときに、基板2の縁部分2aを把持可能な位置に配置されるとともに、把持機構24の上端は、把持機構23の上端よりも下側に配置されているため、基板2の長辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20の上面側に基板2が載置されるときに、4本のフォーク20に取り付けられた複数の把持機構23によって(具体的には、8個の把持機構23によって)基板2の縁部分2aのみを把持することが可能になる。
【0039】
このように、本形態では、基板2の短辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20、21の上面側に基板2が載置されるときに、複数の把持機構24によって基板2の縁部分2aのみを把持することが可能になるとともに、基板2の長辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20の上面側に基板2が載置されるときに、複数の把持機構23によって基板2の縁部分2aのみを把持することが可能になる。したがって、本形態では、基板2の縁部分2aのみを把持する場合であっても、また、基板2の長辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20の上面側に基板2が載置される場合、および、基板2の短辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20、21の上面側に基板2が載置される場合のいずれの場合であっても、基板2を安定して把持することが可能になる。
【0040】
本形態では、ハンド3は、フォーク20の長手方向と上下方向とに直交する方向において4本のフォーク20の外側に配置される2本のフォーク21を備えている。また、本形態では、2本のフォーク21に一対の把持機構24が取り付けられている。そのため、本形態では、基板2の短辺方向とフォーク20の長手方向とが一致するようにフォーク20、21の上面側に基板2が載置される場合に、フォーク21に取り付けられる把持機構24を用いて、基板2をより安定して把持することが可能になる。
【0041】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0042】
上述した形態において、支持部材26の上面と吸着パッド27の上端とが上下方向において同じ位置に配置されていても良いし、吸着パッド27の上端が支持部材26の上面より上側に配置されていても良い。また、上述した形態において、支持部材28の上面と吸着パッド29の上端とが上下方向において同じ位置に配置されていても良いし、吸着パッド29の上端が支持部材28の上面より上側に配置されていても良い。また、上述した形態において、把持機構23、24は、支持部材26、28を備えていなくても良い。
【0043】
上述した形態において、フォーク21の長さとフォーク20の長さとが等しくなっていても良い。また、上述したにおいて、ハンド3は、フォーク21を備えていなくても良い。さらに、上述した形態において、ハンド3が有するフォーク20の数は、2本または3本であっても良いし、5本以上であっても良い。また、上述した形態において、ロボット1が有するハンド3の数は1個であっても良い。この場合には、ロボット1は、1本のアーム4を備えている。
【0044】
上述した形態において、2個のハンド3が1本のアーム4の先端側に回動可能に連結されていても良い。この場合には、たとえば、特開2021-13961号公報に開示されているように、アーム4は、2個の先端側アーム部と共通アーム部とによって構成されていても良い。また、上述した形態において、ロボット1は、たとえば、特開2019-25587号公報に開示されているように、水平方向へのハンド3の直線的なスライドが可能となるようにハンド3を保持するハンド保持部を備えていても良い。この場合には、ロボット1は、ハンド保持部に対してハンド3を水平方向へ直線的に移動させる水平駆動機構を備えている。
【0045】
上述した形態では、本体部5は、水平方向に移動可能となっているが、本体部5は、固定されていても良い。また、上述した形態において、アーム4は、3個以上のアーム部によって構成されても良い。また、上述した形態において、ロボット1は、基板2以外の、長方形の平板状に形成される搬送対象物を搬送するロボットであっても良い。
【0046】
(本技術の構成)
なお、本技術は以下のような構成を取ることが可能である。
(1)長方形の平板状に形成される搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、
上面側に前記搬送対象物が載置される直線状の複数のフォークと、複数の前記フォークの基端が繋がるハンド基部と、複数の前記フォークの上面側に載置される前記搬送対象物を吸着して把持するための複数の第1把持機構および第2把持機構とを備え、
前記フォークには、一対の前記第1把持機構と一対の前記第2把持機構とが取り付けられ、
一対の前記第2把持機構は、前記フォークの長手方向において一対の前記第1把持機構の内側に配置され、
前記第2把持機構の上端は、前記第1把持機構の上端よりも下側に配置されていることを特徴とするハンド。
(2)前記第1把持機構は、前記搬送対象物を下側から支えるための第1支持部材と、前記搬送対象物の下面を吸着する第1吸着パッドとを備え、
前記第2把持機構は、前記搬送対象物を下側から支えるための第2支持部材と、前記搬送対象物の下面を吸着する第2吸着パッドとを備え、
前記第1支持部材の上面および前記第2支持部材の上面には、前記搬送対象物が載置可能となっており、
前記第2支持部材の上面は、前記第1支持部材の上面よりも下側に配置され、
前記第2吸着パッドの上端は、前記第1吸着パッドの上端よりも下側に配置されていることを特徴とする(1)記載のハンド。
(3)上面側に前記搬送対象物が載置される直線状の2本の第2フォークを備え、
前記第2フォークの基端は、前記ハンド基部に繋がり、
前記第2フォークの長さは、前記フォークの長さよりも短くなっており、
2本の前記第2フォークのそれぞれは、前記フォークの長手方向と上下方向とに直交する方向において複数の前記フォークの外側に配置され、
前記第2フォークには、一対の前記第2把持機構が取り付けられていることを特徴とする(1)または(2)記載のハンド。
(4)(1)から(3)のいずれかに記載のハンドと、前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、前記アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えることを特徴とする産業用ロボット。
【符号の説明】
【0047】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 基板(ガラス基板、搬送対象物)
3 ハンド
4 アーム
5 本体部
20 フォーク
21 フォーク(第2フォーク)
22 ハンド基部
23 把持機構(第1把持機構)
24 把持機構(第2把持機構)
26 支持部材(第1支持部材)
27 吸着パッド(第1吸着パッド)
28 支持部材(第2支持部材)
29 吸着パッド(第2吸着パッド)
図1
図2
図3
図4
図5