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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051316
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】小動物侵入防止具
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/30 20110101AFI20240404BHJP
【FI】
A01M29/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157418
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000145954
【氏名又は名称】株式会社昭電
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】清水 良二
(72)【発明者】
【氏名】井谷 治生
(72)【発明者】
【氏名】山口 正裕
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 貴章
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA02
2B121BB30
2B121EA30
2B121FA01
2B121FA12
(57)【要約】
【課題】コストの低減を図ると共に配線設備の筐体板に容易に取り付けることができ、径が異なる各種のケーブルやケーブルダクト等に適用可能で侵入防止効果の高い小動物侵入防止具を提供する。
【解決手段】内部に多数のコイルばね15が収容されたベースブロック10と、コイルばね15の弾発力によりベースブロック10から同一方向に出没可能な多数の閉塞用ピン14と、を有する二つの侵入防止ユニット10A,10Bを備え、それぞれの閉塞用ピン14の各先端部を付き合わせるように侵入防止ユニット10A,10Bを対向配置し、コイルばね15の復元力によりベースブロック10から突出した閉塞用ピン14の各先端部を、ケーブルダクトD1,D2またはケーブルC1,C2の外周面に圧接させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に多数のばねが収容されたベースブロックと、前記ばねの弾発力により前記ベースブロックから同一方向に出没可能な多数の閉塞用ピンと、を有する侵入防止ユニットを二つ備え、
二つの前記侵入防止ユニットの前記閉塞用ピンの各先端部を付き合わせるように二つの前記侵入防止ユニットを対向配置し、前記ばねの復元力により前記ベースブロックから突出した前記閉塞用ピンの各先端部を、ケーブルダクトまたはケーブルの外周面に圧接させることを特徴とする小動物侵入防止具。
【請求項2】
請求項1に記載した小動物侵入防止具において、
配線設備の筐体板の内側に導入された前記ケーブルダクトまたは前記ケーブルの軸方向に対して前記閉塞用ピンが直交するように、二つの前記侵入防止ユニットを対向配置して前記筐体板の内面に固定したことを特徴とする小動物侵入防止具。
【請求項3】
請求項1または2に記載した小動物侵入防止具において、
多数の前記閉塞用ピンは、複数の列を構成して前記ベースブロックの端面から出没可能であることを特徴とする小動物侵入防止具。
【請求項4】
請求項1または2に記載した小動物侵入防止具において、
前記ベースブロックの内部で前記ばねに接触する前記閉塞用ピンの基端部が、抜け止め用に凸状に形成されていることを特徴とする小動物侵入防止具。
【請求項5】
請求項1または2に記載した小動物侵入防止具において、
前記ばねがコイルばねであることを特徴とする小動物侵入防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線盤、制御盤、キュービクル等の各種電気設備の内部にネズミ等の小動物が侵入するのを防止するための小動物侵入防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物や電気設備にネズミ等の小動物が侵入するのを防止する技術としては、特許文献1(特開平8-47145号公報)「建物の通電ケーブル引出装置」や特許文献2(特許第5106566号公報)「電気設備への小動物侵入防止用マット」等が知られている。
【0003】
特許文献1に記載された技術は、建物の扉等に形成した開口部を枠状の内側口板と外側口板によって挟むようにこれら両方の口板を固定し、外側口板に装着した2枚の閉鎖板によってケーブルを挟み込んで建物の室内に導入する構造を備え、あるいは、上記の口板に代えて、ゴム等からなる閉鎖板の中心部にケーブルを挟み込んで建物の室内に導入する構造を備えている。
しかし、この従来技術では、一対の口板や閉鎖板等の部材数が多いためコスト高になると共に、各部材の取付作業に多くの労力と時間を要するという問題があった。
【0004】
また、特許文献2に記載された技術は、ケーブル挿入口を有する軟質ゴム製の小動物侵入防止用マットをキュービクル等の電気設備の底部に配置し、ケーブル挿入口から電気設備内にケーブルを引き込んだ後、ケーブル挿入口の周囲にシリコーン等の流体を充填してケーブル挿入口とケーブルとの間の隙間を塞ぐようにしたものである。
この従来技術では、ケーブル挿入口の周囲に流体を充填するポンプや流体の貯留槽が必要不可欠であるため、全体的な構造が大掛かりになってコスト高を招き易い。また、流体の充填作業が煩雑である等の問題があった。
【0005】
更に、他の従来技術として、特許文献3(特開平9-102220号公報)「防鼠ケーブルおよび防蟻ケーブル」が知られている。
この従来技術は、ケーブルの導体を包囲する絶縁体を内側シースにより被覆し、その外側に接着性ポリオレフィン樹脂層を介して、防鼠剤を配合したポリ塩化ビニール等の外側シースを被覆した構造であり、ケーブル自体に防鼠性、防蟻性を持たせたものである。
しかし、この従来技術では、接着性ポリオレフィン樹脂層を加熱溶融させて内側シースと外側シースとを密着させる工程が必要であり、施工に多くの労力と時間を要すると共に、径が異なる複数種類のケーブルに対して、それぞれ内側シース、接着性ポリオレフィン樹脂層、及び外側シースを用意しなければならず、汎用性に乏しいという問題があった。
【0006】
また、筐体のケーブル導入口とケーブルとの間の隙間にブラシ状の詰め物を充填する従来技術も知られているが、詰め物が小動物によって齧られてしまう等の被害も報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8-47145号公報
【特許文献2】特許第5106566号公報
【特許文献3】特開平9-102220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、各従来技術にはコスト高や取付作業、施工の煩雑さ、汎用性の乏しさ、侵入防止効果の不完全さ等の問題があり、これらを解決し得る小動物侵入防止具の提供が要請されていた。
そこで、本発明の解決課題は、コストの低減を図ると共に電気設備の筐体に簡単に取り付けることができ、しかも径が異なる各種のケーブルやケーブルダクト等の管体に適用可能であって汎用性及び侵入防止効果に優れた小動物侵入防止具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、内部に多数のばねが収容されたベースブロックと、前記ばねの弾発力により前記ベースブロックから同一方向に出没可能な多数の閉塞用ピンと、を有する侵入防止ユニットを二つ備え、
二つの前記侵入防止ユニットの前記閉塞用ピンの各先端部を付き合わせるように二つの前記侵入防止ユニットを対向配置し、前記ばねの復元力により前記ベースブロックから突出した前記閉塞用ピンの各先端部を、ケーブルダクトまたはケーブルの外周面に圧接させるものである。
【0010】
また、本発明は、請求項1に記載した小動物侵入防止具において、配線設備の筐体板の内側に導入された前記ケーブルダクトまたは前記ケーブルの軸方向に対して前記閉塞用ピンが直交するように、二つの前記侵入防止ユニットを対向配置して前記筐体板の内面に固定したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、請求項1または2に記載した小動物侵入防止具において、多数の前記閉塞用ピンは、複数の列を構成して前記ベースブロックの端面から出没可能であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、請求項1または2に記載した小動物侵入防止具において、前記ベースブロックの内部で前記ばねに接触する前記閉塞用ピンの基端部が、抜け止め用に凸状に形成されていることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明は、請求項1または2に記載した小動物侵入防止具において、前記ばねがコイルばねであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、同一構造の一対の侵入防止ユニットを組み合わせて使用することにより製造コストの低減を図ると共に、電気設備の筐体への取付・固定作業も容易であって様々な径や断面形状のケーブルダクトやケーブルに適用可能であり、汎用性に優れた小動物侵入防止具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る侵入防止ユニットの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る侵入防止ユニットの斜視図である。
図3】(a)は本発明の実施形態に係る侵入防止ユニットの平面図、(b)は底面図である。
図4】本発明の実施形態に係る侵入防止ユニットの正面図である。
図5図4のY-Y断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る小動物侵入防止具の使用状態の説明図である。
図7図6のZ-Z断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態を構成する侵入防止ユニット10A,10Bの斜視図であり、図2図1の反対側から見た斜視図である。
本実施形態の小動物侵入防止具は、同一構造の2個の侵入防止ユニット10A,10Bを組み合わせて構成され、各種電気設備の筐体のケーブル導入口に設置して使用される。
【0017】
図1及び図2において、直方体状のベースブロック10の上面には、ステンレス等からなる多数の閉塞用ピン14が等間隔で配置されている。これらの閉塞用ピン14は、後述するようにベースブロック10の内部に収容されたコイルばね15によってそれぞれ出没可能に支持されており、図中の矢印X方向に出没可能となっている。
【0018】
ベースブロック10の一方の側面には、侵入防止ユニット10A,10Bを電気設備の金属製筐体に吸着させる磁石を取り付けるための一対の凹部12,12が形成されている。また、ベースブロック10の他方の側面には、両面テープ用を貼り付けるための凹部13が形成されており、上記磁石の代わりに、凹部13に片面を貼り付けた両面テープを用いて侵入防止ユニット10A,10Bを筐体に固定することも可能になっている。
これらの凹部12,12,13の数や形状、位置等は図示例に何ら限定されないことは勿論であり、磁石や両面テープを用いずに他の取付手段、固定手段によって侵入防止ユニット10A,10Bを筐体に固定しても良い。
【0019】
次に、図3(a)は侵入防止ユニット10A,10Bの平面図、(b)は底面図である。
図3に示すように、2列に並んだ多数の閉塞用ピン14は、一方の列の閉塞用ピン14の相互間から他方の列の閉塞用ピン14が見えるように、いわゆる千鳥足状に配置されている。閉塞用ピン14の数や並列数は任意に設定可能であり、更に多数の閉塞用ピン14を3列以上配置しても良い。
【0020】
図4は侵入防止ユニット10A,10Bの正面図であり、図5図4のY-Y断面図である。
図5に示すように、コイルばね15によって支持された閉塞用ピン14は、その先端部にX1方向の力が加わるとコイルばね15の復元力に抗しながらベースブロック10内に没入し、かつ、上記復元力によって常にX2方向に突出するように保持されている。また、コイルばね15の端部に接触している閉塞用ピン14の基端部14aは凸状に形成されており、ベースブロック10からの閉塞用ピン14の抜け止め作用を果たしている。
【0021】
次に、図6は本実施形態の小動物侵入防止具の使用状態を示しており、一対の侵入防止ユニット10A,10Bの閉塞用ピン14を突き合わせるように組み合わせてケーブルダクトD1,D2を挟持している状態である。ここでは、ケーブルダクトD1,D2内にケーブルC1,C2が収容されているが、ケーブルダクトD1,D2を用いずに、ケーブルC1,C2自体を各ユニット10A,10Bの閉塞用ピン14によって挟持しても良い。
また、ケーブルダクトD1,D2は円筒状のものに限らず、角筒状であっても構わない。
【0022】
侵入防止ユニット10A,10Bは、図示されていない配線盤等の筐体に両面テープまたは磁石によって固定されるものであり、その固定状態をZ-Z断面によって示すと図7のようになる。
図7において、30は配線盤等の筐体の天板や底板、側板等としての筐体板、31は筐体板30に形成されたケーブル導入口、16は両面テープである。
【0023】
図7に示すように、筐体板30の内面に、閉塞用ピン14同士が互いに対向するように侵入防止ユニット10A,10Bが固定される。そして、ケーブル導入口31から導入されたケーブルダクトD2の外周面全域を閉塞用ピン14の先端部が圧接することで、ケーブルダクトD2の軸方向に沿った閉塞用ピン14の内外空間、言い換えれば筐体板30の内外空間がほぼ遮断されることになる。このため、仮にケーブル導入口31とケーブルダクトD2の外周面との間に大きな隙間があったとしても、ネズミ等の小動物が筐体板30の内側に侵入することがなく、樹脂製のケーブルダクトD2やケーブルC2の被覆が小動物によって囓られるのを防止することができる。
【0024】
図7では、筐体板30の内側においてケーブルダクトD2の外周面全域を閉塞用ピン14の先端部が圧接しているが、筐体板30の内側ではケーブルダクトD2を用いずに、前述したごとくケーブルC2自体の外周面を閉塞用ピン14の先端部が圧接するようにしても良い。
【0025】
以上のように、本発明によれば、同一構造の一対の侵入防止ユニット10A,10Bを組み合わせて使用するため、製造コストの低減を期待することができる。また、電気設備の筐体への取付・固定作業も容易であって様々な径や断面形状のケーブルダクトやケーブルに適用可能であり、作業性が良く汎用性に優れた小動物侵入防止具を実現することができる。
【符号の説明】
【0026】
10:ベースブロック
10A,10B:侵入防止ユニット
11:底板
12,13:凹部
14:閉塞用ピン
14a:基端部
15:コイルばね
16:両面テープ
30:筐体板
31:ケーブル導入口
C1,C2:ケーブル
D1,D2:ケーブルダクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7