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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051317
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】トイレシステム
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20240404BHJP
   A47K 13/24 20060101ALI20240404BHJP
   A61B 5/026 20060101ALI20240404BHJP
   A61B 5/16 20060101ALN20240404BHJP
   G16H 50/30 20180101ALN20240404BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
A47K13/24
A61B5/026 120
A61B5/16 100
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157419
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
(72)【発明者】
【氏名】内田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】家守 輝幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 諒太
(72)【発明者】
【氏名】西島 かおり
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
4C017
4C038
5L099
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AD00
2D038KA00
2D038KA03
2D038ZA03
4C017AA09
4C017AA10
4C017AA11
4C017AA16
4C017AA19
4C017AB10
4C017AC16
4C017AC28
4C017FF05
4C038PP03
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】 使用者の健康指標を提供することができるトイレシステムにおいて、使用者の実際の健康状態を正しく反映しない健康指標が正しく反映するものとして出力されることを抑制できるトイレシステムを提供する。
【解決手段】 本発明は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記便座に設けられ、前記使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出部と、前記センサの測定結果が所定条件に該当するか否かを判定する測定結果判定部と、前記測定結果判定部によって前記センサの測定結果が前記所定条件に該当すると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態を補正するべきである旨を前記使用者に出力する情報出力部と、を備えたことを特徴とするトイレシステムである。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記便座に設けられ、前記使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出部と、
前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように前記使用者に案内情報を出力する情報出力部と、
を備えたことを特徴とするトイレシステム。
【請求項2】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記便座に設けられ、前記使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出部と、
前記センサの測定結果が所定条件に該当するか否かを判定する測定結果判定部と、
前記測定結果判定部によって前記センサの測定結果が前記所定条件に該当すると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態を補正するべきである旨を前記使用者に出力する情報出力部と、
を備えたことを特徴とするトイレシステム。
【請求項3】
前記情報出力部は、更に、前記測定結果判定部によって前記センサの測定結果が前記所定条件に該当すると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように前記使用者に案内情報を出力するようになっている
ことを特徴とする請求項2に記載のトイレシステム。
【請求項4】
前記所定条件は、前記センサの測定信号の強度が所定の第1閾値に到達していないという条件である
ことを特徴とする請求項2に記載のトイレシステム。
【請求項5】
前記情報出力部は、更に、前記測定結果判定部によって前記センサの測定信号の強度が所定の第1閾値に到達していないと判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように前記使用者に案内情報を出力するようになっている
ことを特徴とする請求項4に記載のトイレシステム。
【請求項6】
前記所定条件は、前記センサの測定信号の強度が所定の第1閾値に到達した期間が所定の第2閾値を超えて継続していないという条件である
ことを特徴とする請求項2に記載のトイレシステム。
【請求項7】
前記情報出力部は、更に、前記測定結果判定部によって前記センサの測定信号の強度が所定の第1閾値に到達した期間が所定の第2閾値を超えて継続していないと判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態を安定させるように前記使用者に案内情報を出力するようになっている
ことを特徴とする請求項6に記載のトイレシステム。
【請求項8】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記使用者が前記便座に接近していることを判定する接近判定部と、
前記便座に設けられ、前記使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出部と、
前記接近判定部によって前記使用者が前記便座に接近していると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように前記使用者に案内情報を出力する情報出力部と、
を備えたことを特徴とするトイレシステム。
【請求項9】
使用者毎に当該使用者が前記便座を利用する際の当該使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態の傾向についての情報を記憶する個人傾向情報記憶部
を更に備え、
前記情報出力部は、前記個人傾向情報記憶部に記憶された情報に基づいて、前記案内情報を調整するようになっている
ことを特徴とする請求項1、3、5、7または8に記載のトイレシステム。
【請求項10】
前記情報出力部は、前記便座の近傍に設置されたパネル表示装置を含む
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトイレシステム。
【請求項11】
前記情報出力部は、前記使用者が携行する携帯端末を含む
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトイレシステム。
【請求項12】
前記情報出力部は、前記センサの近傍に設置された視覚的標識手段を含む
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトイレシステム。
【請求項13】
前記センサは、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサを含む
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトイレシステム。
【請求項14】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記便座に設けられ、前記使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、
を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供する方法であって、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、
前記センサの測定結果が所定条件に該当するか否かを判定する測定結果判定工程と、
前記測定結果判定工程によって前記センサの測定結果が前記所定条件に該当すると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態を補正するべきである旨を前記使用者に出力する情報出力工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項15】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記便座に設けられ、前記使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、
を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供するプログラムであって、
当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、
前記センサの測定結果が所定条件に該当するか否かを判定する測定結果判定工程と、
前記測定結果判定工程によって前記センサの測定結果が前記所定条件に該当すると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態を補正するべきである旨を前記使用者に出力する情報出力工程と、
を実施可能であることを特徴とするプログラム。
【請求項16】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記使用者が前記便座に接近していることを判定する接近判定部と、
前記便座に設けられ、前記使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、
を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供する方法であって、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、
前記接近判定部によって前記使用者が前記便座に接近していると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように前記使用者に案内情報を出力する情報出力工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項17】
使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記使用者が前記便座に接近していることを判定する接近判定部と、
前記便座に設けられ、前記使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、
を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供するプログラムであって、
当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、
前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、
前記接近判定部によって前記使用者が前記便座に接近していると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように前記使用者に案内情報を出力する情報出力工程と、
を実施可能であることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の健康指標を提供することができるトイレシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、便座に着座したトイレの使用者の血流情報を測定し、当該測定結果に基づいて健康指標を算出して出力する(例えば表示端末に表示させる)システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-68396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本件発明者は、便座に対する着座状態によって、トイレの使用者の血流情報の測定値が大きく左右され得ることを知見した。
【0005】
例えば、動的光散乱法(Dynamic Light Scattering)に基づいて、使用者の太腿部裏側の皮膚内の血流状態を測定できるレーザセンサを便座に取り付け、当該レーザセンサの出力信号にフーリエ変換等を施すことによって、脈波、血流量、心拍数、等の健康指標を算出することができる。
【0006】
ここで、トイレの使用者とレーザセンサとの間の相対的な位置状態が、当該使用者の血流情報の測定にとって好適な予め設定された所定の位置状態から大きく逸脱している場合、当該使用者の血流情報を正しく測定することができず、そのような血流状態に基づいて算出される健康指標が実際の健康状態を正しく反映しない場合があることが知見された。
【0007】
更に、トイレの使用者とレーザセンサとの間の相対的な位置状態が、例えば当該使用者の落ち着かない体の動きによって安定していない場合も、当該使用者の血流情報を正しく測定することができず、そのような血流状態に基づいて算出される健康指標が実際の健康状態を正しく反映しない場合があることが知見された。
【0008】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、使用者の健康指標を提供することができるトイレシステムにおいて、使用者の実際の健康状態を正しく反映しない健康指標が正しく反映するものとして出力されることを抑制できるトイレシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記便座に設けられ、前記使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出部と、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように前記使用者に案内情報を出力する情報出力部と、を備えたことを特徴とするトイレシステムである。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、使用者とセンサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように使用者に案内情報が出力されるため、使用者は、センサとの間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)とするように効果的に促される。これにより、センサは、使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を適切に測定することが促され、結果として、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が正しく反映するものとして出力されることを、効果的に抑制することができる。
【0011】
また、本発明の第2の態様は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記便座に設けられ、前記使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出部と、前記センサの測定結果が所定条件に該当するか否かを判定する測定結果判定部と、前記測定結果判定部によって前記センサの測定結果が前記所定条件に該当すると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態を補正するべきである旨を前記使用者に出力する情報出力部と、を備えたことを特徴とするトイレシステムである。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、測定結果判定部によってセンサの測定結果が所定条件に該当すると判定された場合に、使用者とセンサとの間の相対的な位置状態を補正するべきである旨が使用者に出力されるため、使用者は、センサとの間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)に補正するように効果的に促される。これにより、センサは、使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を適切に測定し直すことが促され、結果として、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が正しく反映するものとして出力されることを、効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明の第2の態様において、前記情報出力部は、更に、前記測定結果判定部によって前記センサの測定結果が前記所定条件に該当すると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように前記使用者に案内情報を出力するようになっていることが好ましい。
【0014】
これによれば、測定結果判定部によってセンサの測定結果が所定条件に該当すると判定された場合に、使用者とセンサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように使用者に案内情報が出力されるため、使用者は、センサとの間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)とするように、より効果的に促される。
【0015】
また、本発明の第2の態様において、前記所定条件は、前記センサの測定信号の強度が所定の第1閾値に到達していないという条件であることが好ましい。
【0016】
この場合には、使用者とセンサとの間の相対的な位置状態が、適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)から大きくずれていると考えられる。従って、使用者とセンサとの間の相対的な位置状態を補正するべきである旨が使用者に出力され、使用者がセンサとの間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)に補正するように促されることは、極めて効果的である。
【0017】
また、この場合、前記情報出力部は、更に、前記測定結果判定部によって前記センサの測定信号の強度が所定の第1閾値に到達していないと判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように前記使用者に案内情報を出力するようになっていることが好ましい。
【0018】
これによれば、使用者は、センサとの間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)とするように、より効果的に促される。
【0019】
あるいは、本発明の第2の態様において、前記所定条件は、前記センサの測定信号の強度が所定の第1閾値に到達した期間が所定の第2閾値を超えて継続していないという条件であることが好ましい。
【0020】
この場合には、使用者とセンサとの間の相対的な位置状態が、安定的でないと考えられる。従って、使用者とセンサとの間の相対的な位置状態を補正するべきである旨が使用者に出力され、使用者がセンサとの間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)に補正するように促されることは、極めて効果的である。
【0021】
また、この場合、前記情報出力部は、更に、前記測定結果判定部によって前記センサの測定信号の強度が所定の第1閾値に到達した期間が所定の第2閾値を超えて継続していないと判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態を安定させるように前記使用者に案内情報を出力するようになっていることが好ましい。
【0022】
これによれば、使用者は、センサとの間の相対的な位置状態を適切な安定状態とするように、より効果的に促される。
【0023】
また、本発明の第3の態様は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記使用者が前記便座に接近していることを判定する接近判定部と、前記便座に設けられ、前記使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出部と、前記接近判定部によって前記使用者が前記便座に接近していると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように前記使用者に案内情報を出力する情報出力部と、を備えたことを特徴とするトイレシステムである。
【0024】
本発明の第3の態様によれば、使用者とセンサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように使用者に案内情報が出力されるため、使用者は、センサとの間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)とするように効果的に促される。これにより、センサは、使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を適切に測定することが促され、結果として、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が正しく反映するものとして出力されることを、効果的に抑制することができる。
【0025】
以上の各態様において、使用者毎に、当該使用者が前記便座を利用する際の当該使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態の傾向についての情報を記憶する個人傾向情報記憶部を更に備えることが好ましい。
【0026】
そして、案内情報が出力される場合において、前記情報出力部は、前記個人傾向情報記憶部に記憶された情報に基づいて、前記案内情報を調整するようになっていることが好ましい。
【0027】
これによれば、使用者毎の着座の傾向(過度に前方に座りがち、過度に右方に座りがち、等)を踏まえた上で案内情報が出力されるため、使用者は、センサとの間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)とするように、より効果的に促される。
【0028】
また、以上の各態様において、前記情報出力部は、前記便座の近傍(例えばトイレ室の壁面上)に設置されたパネル表示装置(壁面上から取り外し可能なリモコンタイプであってもよい)を含むことが好ましい。
【0029】
また、以上の各態様において、前記情報出力部は、前記使用者が携行する携帯端末(例えばスマートフォン)を含むことが好ましい。
【0030】
また、以上の各態様において、前記情報出力部は、前記センサの近傍に設置された視覚的標識手段(例えばセンサ位置に対応して下方から便座を透過するLED光)を含むことが好ましい。
【0031】
また、以上の各態様において、前記センサは、前記使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサを含むことが好ましい。もっとも、少なくとも本願出願の時点では、前記センサは、使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するものであれば、特に限定されない。例えば、任意の公知の、脈拍センサ、脈波センサ、心電センサ、体温(温度)センサ、体重(荷重)センサ、筋肉量(導電率)センサ、等であってもよい。
【0032】
また、本発明の第4の態様は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記便座に設けられ、前記使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供する方法であって、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、前記センサの測定結果が所定条件に該当するか否かを判定する測定結果判定工程と、前記測定結果判定工程によって前記センサの測定結果が前記所定条件に該当すると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態を補正するべきである旨を前記使用者に出力する情報出力工程と、を備えたことを特徴とする方法である。
【0033】
また、本発明の第5の態様は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記便座に設けられ、前記使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供するプログラムであって、当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、前記センサの測定結果が所定条件に該当するか否かを判定する測定結果判定工程と、前記測定結果判定工程によって前記センサの測定結果が前記所定条件に該当すると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態を補正するべきである旨を前記使用者に出力する情報出力工程と、を実施可能であることを特徴とするプログラムである。
【0034】
また、本発明の第6の態様は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記使用者が前記便座に接近していることを判定する接近判定部と、前記便座に設けられ、前記使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供する方法であって、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、前記接近判定部によって前記使用者が前記便座に接近していると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように前記使用者に案内情報を出力する情報出力工程と、を備えたことを特徴とする方法である。
【0035】
また、本発明の第7の態様は、使用者が着座する着座面を有する便座と、前記使用者が前記便座に接近していることを判定する接近判定部と、前記便座に設けられ、前記使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供するプログラムであって、当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、前記センサの測定結果に基づいて前記使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、前記接近判定部によって前記使用者が前記便座に接近していると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように前記使用者に案内情報を出力する情報出力工程と、を実施可能であることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0036】
本発明の第1の態様によれば、使用者とセンサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように使用者に案内情報が出力されるため、使用者は、センサとの間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)とするように効果的に促される。これにより、センサは、使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を適切に測定することが促され、結果として、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が正しく反映するものとして出力されることを、効果的に抑制することができる。
【0037】
本発明の第2、第4及び第5の態様によれば、測定結果判定部によってセンサの測定結果が所定条件に該当すると判定された場合に、使用者とセンサとの間の相対的な位置状態を補正するべきである旨が使用者に出力されるため、使用者は、センサとの間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)に補正するように効果的に促される。これにより、センサは、使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を適切に測定し直すことが促され、結果として、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が正しく反映するものとして出力されることを、効果的に抑制することができる。
【0038】
本発明の第3、第6及び第7の態様によれば、使用者とセンサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように使用者に案内情報が出力されるため、使用者は、センサとの間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)とするように効果的に促される。これにより、センサは、使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を適切に測定することが促され、結果として、使用者の実際の健康状態を正しく反映していない可能性が高い健康指標が正しく反映するものとして出力されることを、効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の第1実施形態に係るトイレシステムの概略斜視図である。
図2図1のトイレシステムの便座の分解斜視図である。
図3図1のトイレシステムの要部を示す概略ブロック図である。
図4図1のトイレシステムのレーザセンサの構成を概略的に示す図である。
図5図4のレーザセンサの測定結果に基づく各種の健康指標算出プロセスを示す概略図である。
図6図1のトイレシステムの第1動作例を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態に係るトイレシステムの第2動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(第1実施形態の構成)
以下、本発明の第1実施形態を、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るトイレシステム10の概略斜視図であり、図2は、図1のトイレシステム10の便座20の分解斜視図であり、図3は、図1のトイレシステム10の要部を示す概略ブロック図である。
【0041】
本実施形態のトイレシステム10は、図1乃至図3に示すように、便座20と、本体部12と、便蓋14と、を備えている。便座20と便蓋14とは、それぞれ、本体部12に対して回動可能に軸支されている。
【0042】
便座20には、使用者の血流情報を反映する物理量を測定するセンサとして、レーザセンサ40が設けられ、着座センサとして、静電式センサ50が設けられている。また、便座20には、レーザセンサ40の測定結果に基づいて使用者の健康指標を算出する健康指標算出部60(具体的には例えばマイクロプロセッサ)が設けられている。
【0043】
便座20は、開口部20aを有する。本実施形態では、便座20の中央部にO字型の開口部20aが形成されている。便座20の開口部は、O字型に限ることなく、U字型などでもよい。便座20の外縁は、便器4の外形形状に沿って湾曲して形成されている。便座20は、一般的に、不透明な樹脂材料(例えば、ポリプロピレン)によって形成され、使用者が着座する着座面21と、着座面21とは反対側の底面25と、を有している。
【0044】
着座面21は、便座20が便器4の上面4bに載置された状態で上向きに露出する面であり、使用者が着座する面である。底面25は、便座20を下げた状態で便器4の上面4bと対面する面である。また、便座20は、ほぼ全体が厚く形成された厚肉部22からなっており、レーザセンサ40に対応する位置において局所的に、厚肉部22よりも薄く薄肉部23が形成されている。
【0045】
図2に示されるように、便座20の内部に、着座面21を加熱ないし保温するヒータ線30(ヒータの一例)及び断熱材32が設けられている。ヒータ線30は、本体部12内に設けられた便座暖房ユニット12bによって制御されるようになっており、レーザセンサ40、静電式センサ50、及び、健康指標算出部60と干渉しないように、便座20の内部に張り巡らされている。断熱材32は、ヒータ線30、レーザセンサ40、静電式センサ50、及び、健康指標算出部60の下方側に配置されている。
【0046】
薄肉部23は、レーザセンサ40から照射される照射光と、着座面21に着座した使用者から反射される反射光と、が透過可能な厚さとなっている。薄肉部23の厚さは、レーザセンサ40の照射光及び反射光の強度、並びに、便座20の耐久性等により設定され、例えば0.5mm~1.0mm程度である。
【0047】
本明細書において、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「左側」及び「右側」とは、それぞれ、開いた便蓋14に背を向けて便座20に座った使用者から見た方向を示している。
【0048】
図2に示すように、薄肉部23は、便座20の開口部20aの前後方向の長さの中央よりも前方の左側に形成されて、便座20に着座した使用者の重心位置よりも前方左側に位置するようになっている。これにより、薄肉部23は、便座20に着座した使用者の左太腿の裏側に対面(当接)するようになっている。
【0049】
薄肉部23は、レーザセンサ40が便座20に着座した使用者の血流情報を検知できる範囲で、可及的に小さく形成されており、例えば直径12mm以下(好ましくは、8mm以下)の円形となっている。
【0050】
レーザセンサ40は、便座20の内部において、薄肉部23の裏面側に配設されている。レーザセンサ40は、使用者の左太腿の裏側に向けて赤外照射光を照射し、皮膚下血管内の血流状態に応じて反射される反射光(赤血球によるドップラシフトを生じた散乱光)を検知する反射型のセンサである。図4は、レーザセンサ40の構成を概略的に示す図である。
【0051】
一方、図1及び図2に示すように、静電式センサ50が、便座20の開口部20aの前後方向の長さの中央よりも前方の右側に形成されて、便座20に着座した使用者の重心位置よりも前方右側に位置するようになっている。これにより、静電式センサ50は、便座20に着座した使用者の右太腿の裏側に対面(当接)した際に、当該着座状態を検知できるようになっている。
【0052】
健康指標算出部60は、本実施形態では便座20の前方端の近傍位置(レーザセンサ40に比較的近い位置)に配置されており、レーザセンサ40の出力信号を処理して比較的ノイズに強い信号に変換するようになっている。具体的には、健康指標算出部60は、レーザセンサ40の測定結果に基づいて、便座20に着座した使用者の健康指標(具体的には、例えば、脈拍数、脈拍変動、血流量など)を算出し、当該算出結果に対応する信号を制御部70を介して通信部75に送信するようになっている。図5は、レーザセンサ40の測定結果に基づく各種の健康指標算出プロセスを示す概略図である。
【0053】
制御部70及び通信部75は、本体部12内に設けられている。健康指標算出部60も、便座20内の代わりに、本体部12内に設けられてもよい。健康指標算出部60が本体部12内に設けられる場合、制御部70とは別個に設けられてもよいし、あるいは、制御部70の一部として一体化されて設けられてもよい。
【0054】
更に、健康指標算出部60及び制御部70は、本体部12内ではなく、通信部75を介して通信される外部機器内や外部ネットワーク内(例えばクラウド内)に設けられても(構築されても)よい。
【0055】
図1に戻って、本体部12は、便器4のボウル部よりも後方に位置して、便器4の上面4bに取付けられている。本体部12の内部に、便座20と便蓋14との開閉作動を制御する開閉ユニット12a、便座20の温度を制御する便座暖房ユニット12b、人体局部の洗浄を行う洗浄ユニット12c、及び、臭気成分を低減する脱臭ユニット12d、が内蔵されている。各ユニット12a~12dは、制御部70によって統括的に制御されるようになっている。本実施形態の制御部70は、静電式センサ50にも接続されている。
【0056】
そして、本実施形態の制御部70は、健康指標算出部60によって算出された使用者の健康指標を出力するための通信部75(健康指標出力部の一例)に接続されている。通信部75は、算出された使用者の健康指標を、例えばトイレ室のリモコン80や使用者の携帯端末85に送信するようになっている。そして、便座20に着座した使用者は、リモコン80の表示部80aや携帯端末85の表示部85aにより、各種の健康指標(脈拍数などのバイタルサイン等)を確認することができるようになっている。
【0057】
ここで、前述した通り、トイレの使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態が、当該使用者の血流情報の測定にとって好適な予め設定された所定の位置状態から大きく逸脱している場合、当該使用者の血流情報を正しく測定することができず、そのような血流状態に基づいて算出される健康指標が実際の健康状態を正しく反映しない場合がある。
【0058】
更に、前述した通り、トイレの使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態が、例えば当該使用者の落ち着かない体の動きによって安定していない場合も、当該使用者の血流情報を正しく測定することができず、そのような血流状態に基づいて算出される健康指標が実際の健康状態を正しく反映しない場合がある。
【0059】
そこで、本実施形態では、制御部70が、測定結果判定部として、レーザセンサ40の測定結果が所定条件に該当するか否かを判定するようになっている。具体的には、(0)レーザセンサ40の測定信号に問題がない(所定条件に該当しない)、(1)レーザセンサ40の測定信号の強度が所定の第1閾値に到達していないという条件に該当する、(2)レーザセンサ40の測定信号の強度が所定の第1閾値に到達した期間が所定の第2閾値を超えて継続していないという条件に該当する、のいずれであるかを判定するようになっている。
【0060】
そして、制御部70は、当該判定結果に基づいて、
(0)レーザセンサ40の測定信号に問題がない(所定条件に該当しない)場合には、通信部75(健康指標出力部)をして、算出された各種の健康指標を出力させるようになっており、
(1)レーザセンサ40の測定信号の強度が所定の第1閾値に到達していないという条件に該当する場合には、通信部75(この場合、情報出力部として機能する)をして、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態を補正するべきである旨を伝えるメッセージ情報と、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるよう使用者を案内する案内情報と、を出力させるようになっており、
(2)レーザセンサ40の測定信号の強度が所定の第1閾値に到達した期間が所定の第2閾値を超えて継続していないという条件に該当する場合には、通信部75(健康指標出力部)をして、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態を補正するべきである旨を伝えるメッセージ情報と、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態を安定させるよう使用者を案内する案内情報と、を出力させるようになっている。
【0061】
メッセージ情報及び案内情報の出力の態様は、例えば、リモコン80の表示部80aや携帯端末85の表示部85aにおいて視覚的に表示され得るし、リモコン80や携帯端末85のスピーカから音声情報として出力され得る。
【0062】
更に、本実施形態においては、制御部70に、使用者毎に当該使用者が便座20を利用する際の当該使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態の傾向についての情報を記憶する個人傾向情報記憶部71が接続されている。
【0063】
そして、案内情報が出力される場合において、情報出力部としての制御部70は、個人傾向情報記憶部71に記憶された情報に基づいて、当該案内情報を調整するようになっている。
【0064】
例えば、使用者毎の着座の傾向、具体的には、過度に前方に座りがちであるとか、過度に右方に座りがちであるとか、貧乏ゆすりが大きいとか、等の傾向を踏まえて、「過度に前方にお座りになっている可能性がありますので、もう少し後方に着座位置を変更してみて下さい。」、「過度に右方にお座りになっている可能性がありますので、もう少し左方に着座位置を変更してみて下さい。」、「体が揺れている可能性がありますので、もう少し静止状態を意識してみて下さい。」、等の案内情報を付加するようになっている。
【0065】
(第1動作例:作用)
本実施形態のトイレシステム10について、図6を用いて第1動作例を説明する。図6を参照して、制御部70は、まず、使用者が着座面21に座っているか否かを判定する(STEP11)。使用者が未だ着座面21に座っていないと判定されれば(STEP11でNO)、当該判定工程が繰り返し実施される。
【0066】
使用者が着座面21に座っていると判定されれば(STEP11でYES)、レーザセンサ40の測定結果が取得される(STEP12)。
【0067】
制御部70は引き続いて、測定結果判定部として、レーザセンサ40の測定結果が所定条件に該当するか否かを判定する。
【0068】
レーザセンサ40の測定信号に問題がない(所定条件に該当しない)場合(STEP13でYES)、レーザセンサ40の測定結果に基づく健康指標算出部60による使用者の健康指標の算出プロセスが実施され、制御部70は、通信部75(健康指標出力部)をして、算出された各種の健康指標を出力させる(STEP14)。
【0069】
レーザセンサ40の測定信号の強度が所定の第1閾値に到達していないという条件に該当する場合(STEP13でNO、且つ、STEP15でYES)、制御部70は、通信部75(この場合、情報出力部として機能する)をして、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態を補正するべきである旨を伝えるメッセージ情報と、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるよう使用者を案内する案内情報と、を出力させる(STEP17)。この時、制御部70は、個人傾向情報記憶部71に記憶された情報に基づいて、当該案内情報を調整する(STEP16)。その後(例えば約5~10秒の経過を待って)、STEP12の測定結果取得工程に戻る。
【0070】
レーザセンサ40の測定信号の強度が所定の第1閾値に到達した期間が所定の第2閾値(例えば約30~60秒)を超えて継続していないという条件に該当する場合(STEP13でNO、STEP15でNO、且つ、STEP18でYES)、制御部70は、通信部75(この場合、情報出力部として機能する)をして、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態を補正するべきである旨を伝えるメッセージ情報と、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態を安定させるよう使用者を案内する案内情報と、を出力させる(STEP20)。この時、制御部70は、個人傾向情報記憶部71に記憶された情報に基づいて、当該案内情報を調整する(STEP19)。その後(例えば約5~10秒の経過を待って)、STEP12の測定結果取得工程に戻る。
【0071】
なお、STEP17の判定結果がNOである場合、STEP12の測定結果取得工程に戻る。
【0072】
(第1動作例:効果)
以上のような第1動作例によれば、測定結果判定部としての制御部70によってレーザセンサ40の測定信号の強度が所定の第1閾値に到達していないと判定される場合、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態が適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)から大きくずれていると考えられるため、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態を補正するべきである旨が使用者に出力される。このように、使用者がレーザセンサ40との間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)に補正するように促されることは、極めて効果的である。
【0073】
更にこの場合、以上のような第1動作例によれば、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように使用者に案内情報が出力されることにより、使用者は、レーザセンサ40との間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)とするように、より効果的に促される。
【0074】
ここで更に、当該案内情報は、個人傾向情報記憶部71に記憶された情報に基づいて適宜に調整されるため、使用者毎により適切な案内情報を出力することができる。
【0075】
また、以上のような第1動作例によれば、測定結果判定部としての制御部70によってレーザセンサ40の測定信号の強度が所定の第1閾値に到達した期間が所定の第2閾値を超えて継続していないという条件に該当する場合も、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態を補正するべきである旨が使用者に出力される。このように、使用者がレーザセンサ40との間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)に補正するように促されることは、極めて効果的である。
【0076】
更にこの場合、以上のような第1動作例によれば、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態を安定させるよう使用者を案内する案内情報が出力されることにより、使用者は、レーザセンサ40との間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態において安定した状態)とするように、より効果的に促される。
【0077】
ここで更に、当該案内情報は、個人傾向情報記憶部71に記憶された情報に基づいて適宜に調整されるため、使用者毎により適切な案内情報を出力することができる。
【0078】
(第2実施形態の構成)
本実施形態のトイレシステムでは、図1乃至図6を用いて説明されたトイレシステム10に対して、使用者が便座20に接近していることを判定する接近判定部(例えばトイレ室に設けられた赤外線センサやマイクロ波センサ)が追加されている。
【0079】
そして、制御部70は、通信部75(この場合、情報出力部として機能する)をして、接近判定部によって使用者が便座20に接近していると判定された場合に、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように当該使用者に案内情報を出力させるようになっている。
【0080】
(第2動作例:作用)
本実施形態のトイレシステムについて、図7を用いて第2動作例を説明する。図7を参照して、接近判定部が、使用者が便座20に接近しているか否かを判定する(STEP21)。使用者が未だ便座20に接近していないと判定されれば(STEP21でNO)、当該判定工程が繰り返し実施される。
【0081】
使用者が便座20に接近していると判定されれば(STEP21でYES)、制御部70は、通信部75(情報出力部)をして、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように当該使用者に案内情報を出力させる(STEP23)。この時、制御部70は、個人傾向情報記憶部71に記憶された情報に基づいて、当該案内情報を調整する(STEP22)。
【0082】
その後は、図6を用いて説明した第1動作例のSTEP11へと移行する。
【0083】
(第2動作例:効果)
以上のような第2動作例によれば、使用者が便座20に着座する前において、すなわち、レーザセンサ40が測定結果を生成する前において、使用者とレーザセンサ40との間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように使用者に案内情報が出力されるため、使用者は、レーザセンサ40との間の相対的な位置状態を適切な位置状態(予め設定された所定の位置状態)とするように予め効果的に促される。
【0084】
ここで更に、当該案内情報は、個人傾向情報記憶部71に記憶された情報に基づいて適宜に調整されるため、使用者毎により適切な案内情報を出力することができる。
【0085】
(第2実施形態:変形例)
前述の第2実施形態では、通信部75が情報出力部として機能して、リモコン80の表示部80aや携帯端末85の表示部85aにおいて案内情報が表示されるが、本発明はこの態様に限定されず、リモコン80や携帯端末85のスピーカから音声情報として出力されてもよいし、レーザセンサ40の位置を視覚的に強調するべく便座20を下方から透過するLED光等を用いて案内情報が出力(視覚化)されてもよい。
【0086】
(プログラムについての補足)
健康指標算出部60、制御部70及び通信部75の各種機能は、対応するプログラムを実行するマイクロコンピュータ等によって実現され得る。当該プログラム、及び、当該プログラムを記憶する記憶媒体も、本願の保護対象である。
【0087】
例えば、本発明によるプログラムは、使用者が着座する着座面21を有する便座20と、便座20に設けられ使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供するプログラムであって、当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、前記センサの測定結果に基づいて使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、前記センサの測定結果が所定条件に該当するか否かを判定する測定結果判定工程と、前記測定結果判定工程によって前記センサの測定結果が前記所定条件に該当すると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態を補正するべきである旨を前記使用者に出力する情報出力工程と、を実施可能であることを特徴とするプログラムである。
【0088】
あるいは、本発明によるプログラムは、使用者が着座する着座面21を有する便座20と、使用者が便座20に接近していることを判定する接近判定部と、便座20に設けられ使用者の身体または精神の状態を反映する物理量を測定するセンサと、を備えたトイレシステムを用いて健康指標を提供するプログラムであって、当該プログラムがコンピュータによって実行されることにより、前記センサの測定結果に基づいて使用者の健康指標を算出する健康指標算出工程と、接近判定部によって前記使用者が前記便座に接近していると判定された場合に、前記使用者と前記センサとの間の相対的な位置状態が予め設定された所定の位置状態となるように前記使用者に案内情報を出力する情報出力工程と、を実施可能であることを特徴とするプログラムである。
【符号の説明】
【0089】
4 便器
4b 上面
10 トイレシステム
12 本体部
12a 開閉ユニット
12b 便座暖房ユニット
12c 洗浄ユニット
12d 脱臭ユニット
14 便蓋
20 便座
20a 開口部
21 着座面
22 厚肉部
23 薄肉部
25 底面
30 ヒータ線
32 断熱材
40 レーザセンサ
50 静電式センサ
60 健康指標算出部
70 制御部
71 個人傾向情報記憶部
75 通信部
80 リモコン
80a 表示部
85 外部端末(携帯電話等)
85a 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7