IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社昭電の特許一覧

<>
  • 特開-小動物侵入防止具 図1
  • 特開-小動物侵入防止具 図2
  • 特開-小動物侵入防止具 図3
  • 特開-小動物侵入防止具 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051318
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】小動物侵入防止具
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/30 20110101AFI20240404BHJP
【FI】
A01M29/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157421
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000145954
【氏名又は名称】株式会社昭電
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】清水 良二
(72)【発明者】
【氏名】井谷 治生
(72)【発明者】
【氏名】山口 正裕
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 貴章
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA02
2B121BB30
2B121EA30
2B121FA01
2B121FA12
(57)【要約】
【課題】コストの低減を図ると共に配線設備の筐体板に容易に取り付けることができ、径が異なる各種のケーブルダクトやケーブルに適用可能で侵入防止効果の高い小動物侵入防止具を提供する。
【解決手段】電気設備の筐体板70を貫通する被挟持部材としてのケーブルダクト50の中心軸に直交するように、同一構造の一対の侵入防止板1A,1Bを筐体板70に密着させてケーブルダクト50を両側から挟み込むことにより、筐体板70の外側から内側への小動物の侵入を防止する小動物侵入防止具において、侵入防止板1A,1Bを並置してそれぞれの一部を切除することにより、ケーブルダクト50の中心軸に直交する断面の外形形状に適合する空間を形成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気設備の筐体板を貫通する被挟持部材の中心軸に直交するように、同一構造の一対の侵入防止板を前記筐体板に密着させて前記被挟持部材を両側から挟み込むことにより、前記筐体板の外側から内側への小動物の侵入を防止する小動物侵入防止具において、
一対の前記侵入防止板を並置してそれぞれの一部を切除することにより、前記被挟持部材の中心軸に直交する断面の外形形状に適合する空間を形成可能であることを特徴とする小動物侵入防止具。
【請求項2】
請求項1に記載した小動物侵入防止具において、
前記侵入防止板は、相互の連結部を分離することで切除可能な同心状の複数の半円弧状部を有することを特徴とする小動物侵入防止具。
【請求項3】
請求項1または2に記載した小動物侵入防止具において、
前記侵入防止板は、相互の連結部を分離することで切除可能な同心状の複数のコ字状部を有することを特徴とする小動物侵入防止具。
【請求項4】
請求項1に記載した小動物侵入防止具において、
前記侵入防止板は、相互の連結部を分離することで切除可能な同心状の複数の半円弧状部と、前記半円弧状部の外側に配置され、かつ相互の連結部を分離することで切除可能な同心状の複数のコ字状部と、を有することを特徴とする小動物侵入防止具。
【請求項5】
こ請求項1に記載した小動物侵入防止具において、
前記被挟持部材は、ケーブルダクトまたはケーブルであることを特徴とする小動物侵入防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線盤、制御盤、キュービクル等の各種電気設備にネズミ等の小動物が侵入するのを防止するための小動物侵入防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物や電気設備にネズミ等の小動物が侵入するのを防止する技術としては、特許文献1(特開平8-47145号公報)「建物の通電ケーブル引出装置」や特許文献2(特許第5106566号公報)「電気設備への小動物侵入防止用マット」等が知られている。
【0003】
特許文献1に記載された技術は、建物の扉等に形成した開口部を枠状の内側口板と外側口板によって挟むようにこれら両方の口板を固定し、外側口板に装着した2枚の閉鎖板によってケーブルを挟み込んで建物の室内に導入する構造を備え、あるいは、上記の口板に代えて、ゴム等からなる閉鎖板の中心部にケーブルを挟み込んで建物の室内に導入する構造を備えている。
しかし、この従来技術では、一対の口板や閉鎖板等の部材数が多いためコスト高になると共に、各部材の取付作業に多くの労力と時間を要するという問題があった。
【0004】
また、特許文献2に記載された技術は、ケーブル挿入口を有する軟質ゴム製の小動物侵入防止用マットをキュービクル等の電気設備の底部に配置し、ケーブル挿入口から電気設備内にケーブルを引き込んだ後、ケーブル挿入口の周囲にシリコーン等の流体を充填してケーブル挿入口とケーブルとの間の隙間を塞ぐようにしたものである。
この従来技術では、ケーブル挿入口の周囲に流体を充填するポンプや流体の貯留槽が必要不可欠であるため、全体的な構造が大掛かりになってコスト高を招き易い。また、流体の充填作業が煩雑である等の問題があった。
【0005】
更に、他の従来技術として、特許文献3(特開平9-102220号公報)「防鼠ケーブルおよび防蟻ケーブル」が知られている。
この従来技術は、ケーブルの導体を包囲する絶縁体を内側シースにより被覆し、その外側に接着性ポリオレフィン樹脂層を介して、防鼠剤を配合したポリ塩化ビニール等の外側シースを被覆した構造であり、ケーブル自体に防鼠性、防蟻性を持たせたものである。
しかし、この従来技術では、接着性ポリオレフィン樹脂層を加熱溶融させて内側シースと外側シースとを密着させる工程が必要であり、施工に多くの労力と時間を要すると共に、径が異なる複数種類のケーブルに対して、それぞれ内側シース、接着性ポリオレフィン樹脂層、及び外側シースを用意しなければならず、汎用性に乏しいという問題があった。
【0006】
また、電気設備の筐体のケーブル導入口とケーブルとの間の隙間にブラシ状の詰め物を充填する対策も知られているが、詰め物が小動物によって齧られてしまう等の被害も報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8-47145号公報
【特許文献2】特許第5106566号公報
【特許文献3】特開平9-102220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、各従来技術にはコスト高や取付作業、施工の煩雑さ、汎用性の乏しさ、侵入防止効果の低さ等の問題があり、これらを解決し得る小動物侵入防止具の提供が要請されていた。
そこで、本発明の解決課題は、コストの低減を図ると共に電気設備の筐体に簡単に取り付けることができ、しかも径が異なる各種のケーブルやケーブルダクトに適用可能であって汎用性及び侵入防止効果に優れた小動物侵入防止具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、電気設備の筐体板を貫通する被挟持部材の中心軸に直交するように、同一構造の一対の侵入防止板を前記筐体板に密着させて前記被挟持部材を両側から挟み込むことにより、前記筐体板の外側から内側への小動物の侵入を防止する小動物侵入防止具において、
一対の前記侵入防止板を並置してそれぞれの一部を切除することにより、前記被挟持部材の中心軸に直交する断面の外形形状に適合する空間を形成可能であることを特徴とする。
【0010】
ここで、前記侵入防止板は、相互の連結部を分離することで切除可能な同心状の複数の半円弧状部を有することを特徴とする。
【0011】
また、前記侵入防止板は、相互の連結部を分離することで切除可能な同心状の複数のコ字状部を有することを特徴とする。
【0012】
更に、前記侵入防止板は、相互の連結部を分離することで切除可能な同心状の複数の半円弧状部と、これらの半円弧状部の外側に配置され、かつ相互の連結部を分離することで切除可能な同心状の複数のコ字状部と、を有することを特徴とする。
【0013】
なお、前記被挟持部材は、例えばケーブルダクトまたはケーブルである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一対の侵入防止板を同一平面上に配置し、被挟持部材であるケーブルダクトやケーブルの中心軸に直交するように被挟持部材を両側から挟み込むことにより、被挟持部材の周囲の空間を塞いで電気設備の筐体内部への小動物の侵入を防止することができる。
一対の侵入防止板は同一構造であるため、製造コストを低減することができ、筐体への取付・固定作業も容易であって様々な径や断面形状の被挟持部材に適用可能であり、汎用性が高い等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る侵入防止板の平面図である。
図2図1に示した侵入防止板を2枚組み合わせて構成された小動物侵入防止具の平面図である。
図3図2に示した小動物侵入防止具の使用状態を示す平面図である。
図4図3の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態を構成する侵入防止板1A,1Bの平面図である。
本実施形態に係る小動物侵入防止具は、同一構造の2枚の侵入防止板1A,1Bを同一平面上に配置して組み合わせ、各種電気設備の筐体板のケーブル導入口付近に設置して使用される。
【0017】
図1に示す侵入防止板1A,1Bにおいて、長方形のステンレス鋼板等の金属板の一方の長辺側に、半円部20と半円弧状の隙間部21~25を同心状に打ち抜いて半円弧状部11~15が形成され、隙間部25の周囲に、コ字状の隙間部26~28を同心状に打ち抜いてコ字状部16~19が形成されている。なお、隙間部21~25,26~28を打ち抜く際には、半円弧状部11~15及びコ字状部16~19がそれぞれ完全に分離されないように、線状の連結部30を残しておく。
ここで、隙間部21~25,26~28の数、言い換えれば、半円弧状部11~15及びコ字状部16~19のそれぞれの数は、図示例に何ら限定されるものではない。
【0018】
図2は、上記のように構成した同一構造の2枚の侵入防止板1A,1Bの半円部20側を付き合わせることにより、その全体を正方形状に形成した本実施形態の小動物侵入防止具の平面図である。
【0019】
図3は、この小動物侵入防止具の使用状態を示す平面図である。
本実施形態では、侵入防止板1A,1Bによって挟まれる被挟持部材としてのケーブルダクトまたはケーブルの外径または外形に適合するように、図1における半円弧状部11~15またはコ字状部16~19を相互に連結している連結部30を切除し、侵入防止板1A,1Bがケーブルダクトまたはケーブルの中心軸に直交してこれらを両側から挟むように並置される。
【0020】
図3では、図1における半円弧状部11~14を除去した侵入防止板1A,1Bを同一平面上に並置して互いに突き合わせることにより、円筒状のケーブルダクト50の外径に適合する円状の空間を形成し、この空間にケーブルダクト50を挿通させている。61~63は、ケーブルダクト50に挿通されたケーブルを示す。
なお、ケーブルダクトが角筒状である場合には、その断面外形に相当する空間が形成されるように、侵入防止板1A,1Bのコ字状部16~19を切除すれば良い。
【0021】
図4は、図3の側面図に相当しており、電気設備の筐体板70に形成されたケーブル導入口71にケーブルダクト50が挿通され、侵入防止板1A,1Bの裏面を接着または両面テープ等により筐体板70の表面に固定して使用される。
【0022】
上述したように、本実施形態によれば、ケーブルダクト50を挟むように侵入防止板1A,1Bが固定され、筐体板70の内外の空間を侵入防止板1A,1Bによってほぼ遮断しているため、仮にケーブル導入口71とケーブルダクト50の外周面との間に大きな隙間があったとしても、ネズミ等の小動物が筐体板70の内側(電気設備の内部)に侵入することがなく、樹脂製のケーブルダクト50やケーブル61~63の被覆が小動物によって囓られるのを防止することができる。
【0023】
なお、例えば円筒状のケーブルダクトまたはケーブルのみに適用することが明らかな場合には、前述した複数のコ字状部は不要であり、同心円状の複数の半円弧状部のみを侵入防止板1A,1Bに形成すればよい。また、角筒状のケーブルダクトのみに適用することが明らかな場合には、前述した複数の半円弧状部は不要であり、同心状の複数のコ字状部のみを侵入防止板1A,1Bに形成すればよい。
【0024】
以上のように、本発明によれば、同一構造の一対の侵入防止板1A,1Bを組み合わせて使用するため、製造コストの低減を期待することができる。また、電気設備の筐体内部に引き込まれた既設のケーブルダクトやケーブルに適用して筐体内への小動物の侵入を防止することが可能である。
更に、電気設備の筐体への取付・固定作業も容易であって様々な径や断面形状のケーブルダクトやケーブルに適用可能であり、汎用性に優れた小動物侵入防止具を実現することができる。
【符号の説明】
【0025】
1A,1B:侵入防止板
11~15:半円弧状部
16~19:コ字状部
20:半円部
21~28:隙間部
30:連結部
50:ケーブルダクト
61~63:ケーブル
70:筐体板
71:ケーブル導入口
図1
図2
図3
図4