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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005132
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】艶消し剤
(51)【国際特許分類】
   C09C 3/10 20060101AFI20240110BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20240110BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20240110BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20240110BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C09C3/10
C08K3/01
C08L71/02
C09D7/62
C09D201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105178
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000106438
【氏名又は名称】サンノプコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112438
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 健一
(72)【発明者】
【氏名】澤熊 耕平
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰裕
【テーマコード(参考)】
4J002
4J037
4J038
【Fターム(参考)】
4J002CH021
4J002CH031
4J002DE136
4J002DE146
4J002DJ016
4J002FD206
4J002GH01
4J037AA18
4J037AA25
4J037CC25
4J037EE03
4J037EE28
4J037FF02
4J037FF15
4J038EA011
4J038HA216
4J038HA446
4J038KA08
4J038KA20
4J038MA08
4J038MA10
4J038NA01
(57)【要約】
【課題】艶消し塗膜の均質性に優れた艶消し剤を提供することである。
【解決手段】オキシエチレン基及び炭素数3~4のオキシアルキレン基を含んでなるポリオキシアルキレン化合物(A)と、無機微粒子(B)とを含有し、
ポリオキシアルキレン化合物(A)に含まれるオキシエチレンの含有割合がオキシエチレン基及び炭素数3~4のオキシアルキレン基のモル数に基づいて2~20モル%であり、ポリオキシアルキレン化合物(A)及び無機微粒子(B)の重量比(A/B)が62~80/38~20であることを特徴とする艶消し剤を用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキシエチレン基及び炭素数3~4のオキシアルキレン基を含んでなるポリオキシアルキレン化合物(A)と、無機微粒子(B)とを含有し、
ポリオキシアルキレン化合物(A)に含まれるオキシエチレンの含有割合がオキシエチレン基及び炭素数3~4のオキシアルキレン基のモル数に基づいて2~20モル%であり、
ポリオキシアルキレン化合物(A)及び無機微粒子(B)の重量比(A/B)が62~80/38~20であることを特徴とする艶消し剤。
【請求項2】
ポリオキシアルキレン化合物(A)が、式(1)で表されるポリエーテル化合物である請求項1に記載の艶消し剤。
【化1】
は炭素数1~25の活性水素化合物の反応残基、Rは炭素数1~24の1価の有機基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3~4のオキシアルキレン基、mは1~12の整数、nは6~60の整数を表し、一分子中に複数のmやnが存在する場合、それぞれ同じでも異なっていてもよく(すなわち、s個のm及びnやp個のm及びnはそれぞれ同じでも異なっていてもよい)、sは1~4の整数、pは0~3の整数、qは0~5の整数、m及びnの和(n+m)は7~62の整数、p及びsの和(p+s)は1~4の整数、p、q及びsの和(p+q+s)は1~6の整数、H’は未反応の活性水素原子、Hは水素原子である。
【請求項3】
水系コーティング材及び請求項1又は2に記載の艶消し剤を含有してなることを特徴とする艶消しコーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、艶消し剤に関する。
【背景技術】
【0002】
艶消し剤として、「湿式法シリカを、分子量が50000~120000の範囲であり、かつ架橋構造を有するポリ(オキシエチレン-オキシプロピレン)誘導体である多鎖型非イオン界面活性剤で表面処理し」、「多鎖型非イオン界面活性剤の使用量が、湿式法シリカ100重量部に対して0.1~5.0重量部の範囲である」、「表面処理シリカ」(特許文献1)や、「オキシエチレン基及び炭素数3~4のオキシアルキレン基を含んでなるポリオキシアルキレン化合物(A)と、無機微粒子(B)とを含有し、ポリオキシアルキレン化合物(A)に含まれるオキシエチレンの含有割合がオキシエチレン基及び炭素数3~4のオキシアルキレン基のモル数に基づいて2~20モル%であり、ポリオキシアルキレン化合物(A)及び無機微粒子(B)の重量比(A/B)が10~60/90~40であることを特徴とする艶消し剤」(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3981161号公報
【特許文献2】特開2022-30791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された艶消し剤や特許文献2に記載された艶消し剤を用いると、艶消し塗膜の均質性が悪化することがあるという問題がある。
本発明の目的は、艶消し塗膜の均質性に優れた艶消し剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の艶消し剤の特徴は、オキシエチレン基及び炭素数3~4のオキシアルキレン基を含んでなるポリオキシアルキレン化合物(A)と、無機微粒子(B)とを含有し、
ポリオキシアルキレン化合物(A)に含まれるオキシエチレンの含有割合がオキシエチレン基及び炭素数3~4のオキシアルキレン基のモル数に基づいて2~20モル%であり、
ポリオキシアルキレン化合物(A)及び無機微粒子(B)の重量比(A/B)が62~80/38~20である点を要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の艶消し剤を用いると、水系コーティング材と均一混合しやすく、優れた均質性の艶消し塗膜が容易に得られる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ポリオキシアルキレン化合物(A)は、オキシエチレン基及び炭素数3~4のオキシアルキレン基を含んでいれば制限ないが、オキシエチレンの含有割合(モル%)は、オキシエチレン基及び炭素数3~4のオキシアルキレン基のモル数に基づいて、2~20が好ましく、さらに好ましくは6~18、特に好ましくは12~17である。この範囲であると、さらに優れた均質性の艶消し塗膜が容易に得られる。
【0008】
ポリオキシアルキレン化合物(A)としては、式(1)で表されるポリエーテル化合物が好ましく例示できる。
【0009】
【化1】
【0010】
は炭素数1~25の活性水素化合物の反応残基、Rは炭素数1~24の1価の有機基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3~4のオキシアルキレン基、mは1~12の整数、nは6~60の整数を表し、一分子中に複数のmやnが存在する場合、それぞれ同じでも異なっていてもよく(すなわち、s個のm及びnやp個のm及びnはそれぞれ同じでも異なっていてもよい)、sは1~4の整数、pは0~3の整数、qは0~5の整数、m及びnの和(n+m)は7~62の整数、p及びsの和(p+s)は1~4の整数、p、q及びsの和(p+q+s)は1~6の整数、H’は未反応の活性水素原子、Hは水素原子である。
【0011】
炭素数1~25の活性水素化合物の反応残基(R)は、炭素数1~25の活性水素化合物から活性水素原子を除いた反応残基を意味する。炭素数1~25の活性水素含有化合物としては、水酸基(-OH)、イミノ基(-NH-)、アミノ基(-NH)及び/又はカルボキシル基(-COOH)を少なくとも1個含む化合物が含まれ、アルコール、アミド、アミン、カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸及びアミノカルボン酸が含まれる。
【0012】
アルコールとしては、モノオール(メタノール、ブタノール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール及びイソステアリルアルコール等)及びポリオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、テトラグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジヒドロキシアセトン、フルクトース、グルコース、マンノース、ガラクトース、スクロース、ラクトース及びトレハロース等)等が挙げられる。
【0013】
アミドとしては、モノアミド(ギ酸アミド、プロピオン酸アミド及びステアリルアミド等)及びポリアミド(マロン酸ジアミド及びエチレンビスオクチルアミド等)等が挙げられる。
【0014】
アミンとしては、モノアミン(ジメチルアミン、エチルアミン、アニリン及びステアリルアミン等)及びポリアミン(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミン等)等が挙げられる。
【0015】
カルボン酸としては、モノカルボン酸(酢酸、ステアリン酸、オレイン酸及び安息香酸等)及びポリカルボン酸(マレイン酸及びヘキサン二酸等)等が挙げられる。
【0016】
ヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシ酢酸、酒石酸、リンゴ酸及び12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0017】
アミノカルボン酸としては、グリシン、4-アミノ酪酸、6-アミノヘキサン酸及び12-アミノラウリン酸等が挙げられる。
【0018】
炭素数1~24の1価の有機基(R)としては、アルキル基(R)、アルケニル基(R’)、アシル基(-COR)、アロイル基(-COR’)、N-アルキルカルバモイル基(-CONHR)、N-アルケニルカルバモイル基(-CONHR’)、アルキルカルボニルアミノ基(-NHCOR)、アルケニルカルボニルアミノ基(-NHCOR’)、アルキルカルボキシアミノ基(アルキルカーバメート基、-NHCOOR)及びアルケニルカルボキシアミノ基(アルケニルカーバメート基、-NHCOOR’)が含まれる。
【0019】
アルキル基(R)としては、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、オクチル、2-エチルヘキシル、ドデシル及びオクタデシル等が挙げられる。
【0020】
アルケニル基(R’)としては、ビニル、プロペニル、ヘキセニル、イソオクテニル、ドデセニル及びオクタデセニル等が挙げられる。
【0021】
炭素数3~4のオキシアルキレン基(AO)としては、オキシプロピレン及びオキシブチレンが挙げられる。
【0022】
オキシエチレンの含有割合(モル%)は、オキシエチレン及び炭素数3~4のオキシアルキレン基の全モル数に基づいて、2~20が好ましく、さらに好ましくは6~18、特に好ましくは11~17である。この範囲であると、さらに優れた均質性の艶消し塗膜が容易に得られる。
【0023】
オキシエチレン基(EO)及びオキシアルキレン基(AO)の結合様式はブロック状、ランダム状及びこれらの混合のいずれでもよいが、艶消し塗膜の均質性の観点から少なくともブロック状を含むことが好ましい。
【0024】
mは、1~12の整数が好ましく、さらに好ましくは2~10の整数、特に好ましくは3~10の整数である。この範囲であると、さらに優れた均質性の艶消し塗膜が容易に得られる。
【0025】
nは、6~60の整数が好ましく、さらに好ましくは10~55の整数、特に好ましくは15~50の整数である。この範囲であると、さらに優れた均質性の艶消し塗膜が容易に得られる。
【0026】
sは、1~4の整数が好ましく、さらに好ましくは1~3の整数、特に好ましくは1又は2である。この範囲であると、さらに優れた均質性の艶消し塗膜が容易に得られる。
【0027】
pは、0~3の整数が好ましく、さらに好ましくは0~2の整数、特に好ましくは0又は1である。この範囲であると、さらに優れた均質性の艶消し塗膜が容易に得られる。
【0028】
qは、0~5の整数が好ましく、さらに好ましくは0~4の整数、特に好ましくは0~2の整数である。この範囲であると、さらに優れた均質性の艶消し塗膜が容易に得られる。
【0029】
m及びnの和(n+m)は、7~62の整数が好ましく、さらに好ましくは12~60の整数、特に好ましくは20~50の整数である。この範囲であると、さらに優れた均質性の艶消し塗膜が容易に得られる。
【0030】
p及びsの和(p+s)は、1~4の整数が好ましく、さらに好ましくは1~3の整数、特に好ましくは1又は2である。この範囲であると、さらに優れた均質性の艶消し塗膜が容易に得られる。
【0031】
p、q及びsの和(p+q+s)は、1~6の整数が好ましく、さらに好ましくは1~4の整数、特に好ましくは1~3の整数である。この範囲であると、さらに優れた均質性の艶消し塗膜が容易に得られる。
【0032】
式(1)で表されるポリエーテル化合物としては、アルコールのエチレンオキシドプロピレンオキシドブロック付加体、多価アルコール(グリセリンやトリメチロールプロパン等)のエチレンオキシドプロピレンオキシドブロック付加体、脂肪酸のエチレンオキシドプロピレンオキシドブロック付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ブロック付加)のジオレート及びグリセリンのエチレンオキシドプロピレンオキシドブロック付加体のモノステアレート等が好ましく例示できる。
【0033】
無機微粒子(B)としては、塗膜の艶消しのために使用されるものであれば制限なく、親水性ヒュームド金属酸化物、疎水性ヒュームド金属酸化物、親水性コロイダル金属酸化物及び疎水性コロイダル金属酸化物が含まれ、親水性ヒュームドシリカ、疎水性ヒュームドシリカ、疎水性ヒュームドアルミナ、疎水性ヒュームドチタン、親水性コロイダルシリカ及び疎水性コロイダルシリカ等が使用できる。これらのうち、艶消し塗膜の均質性及びコストの観点から、ヒュームド金属酸化物が好ましく、さらに好ましくはヒュームドシリカである。
【0034】
ポリオキシアルキレン化合物(A)及び無機微粒子(B)の重量比(A/B)は、62~80/38~20が好ましく、さらに好ましくは65~77/35~23、特に好ましくは68~74/32~26である。この範囲であると、水系コーティング材とさらに均一混合しやすく、さらに優れた均質性の艶消し塗膜が容易に得られる。
【0035】
本発明の艶消し剤には、ポリオキシアルキレン化合物(A)及び無機微粒子(B)以外に、添加剤等を含有することができる。添加剤としては、消泡剤、増粘剤、分散剤、湿潤剤、表面処理剤及び防錆剤等が挙げられる。
【0036】
本発明の艶消し剤は、ポリオキシアルキレン化合物(A)、無機微粒子(B)及び必要により添加剤が均一混合されていれば製造方法に制限はなく、たとえば、ポリオキシアルキレン化合物(A)及び無機微粒子(B)の全量を一括で攪拌混合する方法(1);ポリオキシアルキレン化合物(A)の全量に無機微粒子(B)を少量ずつ連続又は分割して投入しながら攪拌混合する方法(2);無機微粒子(B)の全量にポリオキシアルキレン化合物(A)を少量ずつ連続又は分割して投入しながら攪拌混合する方法(3);ポリオキシアルキレン化合物(A)及び無機微粒子(B)を同時に少量ずつ連続又は分割して投入しながら攪拌混合する方法(4)等が適用できる。これらのうち、製造効率の観点等から、方法(4)が好ましい。
【0037】
混合装置としては、公知の混合装置等が使用でき、プロペラ型攪拌機、ディゾルバー、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、ニーダー、ラインミキサー、リボンミキサー、傾胴ミキサー、オムニミキサー及びヘンシェルミキサー等が例示される。
【0038】
本発明の艶消し剤は、水系コーティング材{艶なし塗料や半艶塗料(建築用等)等}に好適である。
【0039】
本発明の艶消し剤は、レットダウン工程(ゆるい撹拌)等で添加できる。また、本発明の艶消し剤の添加量は、塗料(水系コーティング材)の重量に基づいて、3~10重量%程度である。
【実施例0040】
以下、特記しない限り、部は重量部を意味する。
<実施例1>
無機微粒子(b1){Nipsil K-500、東ソー・シリカ株式会社、親水性シリカ「Nipsil」は同社の登録商標である。}32部及びポリオキシアルキレン化合物(a1){グリセリンプロピレンオキシド(43モル)エチレンオキシド(14モル)ブロック付加体}68部を均一に混合して、本発明の艶消し剤(1)を得た。
【0041】
<実施例2~11>
ポリオキシアルキレン化合物(A)及び無機微粒子(B)の種類及び使用量(部)を表1のように変更したこと以外、実施例1と同様にして、艶消し剤(2)~(11)を得た。
【0042】
【表1】
【0043】
ポリオキシアルキレン化合物(a2):パルミチルアルコールエチレンオキシド(10モル)プロピレンオキシド(70モル)ブロック付加体
ポリオキシアルキレン化合物(a3):オレイルアルコールエチレンオキシド(10モル)プロピレンオキシド(50モル)ブロック付加体
ポリオキシアルキレン化合物(a4):トリメチロールプロパンエチレンオキシド(10モル)プロピレンオキシド(50モル)ブロック付加体
ポリオキシアルキレン化合物(a5):ペンタエリスリトールエチレンオキシド(12モル)プロピレンオキシド(60モル)ブロック付加体
ポリオキシアルキレン化合物(a6):ブタノールエチレンオキシド(4モル)ブチレンオキシド(20モル)ブロック付加体
ポリオキシアルキレン化合物(a7):グリセリンエチレンオキシド(12モル)プロピレンオキシド(60モル)ブロック付加体
ポリオキシアルキレン化合物(a8):オレイルアルコールエチレンオキシド(5モル)プロピレンオキシド(40モル)ブロック付加体
【0044】
無機微粒子(b2):Nipsill E-200A、東ソー・シリカ株式会社
【0045】
<比較例1>
特許文献1に記載されたポリオキシアルキレン化合物(ディスコールA-200、第一工業製薬株式会社)55部と、無機粒子(b1)45部とを均一に混合して、比較用の艶消し剤(H1)を得た。
【0046】
<比較例2>
特許文献2に記載されたポリオキシアルキレン化合物(a1){ブタノールエチレンオキシド(5モル)プロピレンオキシド(30モル)ブロック付加体}45部と、無機微粒子(b1)55部を均一に混合して、比較用の艶消し剤(H2)を得た。
【0047】
実施例で得た艶消し剤(1)~(11)及び比較例で得た艶消し剤(H1)~(H2)を用いて、以下のようにして塗料を調製し塗膜の均質性(粒ゲージ、艶消し性)の評価を行った。
【0048】
1.艶消し塗料の調製
表2に記載した原料組成にて、円盤型羽根を装着した卓上サンドミル(カンペ家庭塗料株式会社、カンペサンドミル)でグラインディングし、ついでアンカー型羽根を装着した撹拌機(東京理化器械株式会社、MAZELLA ZZ-1100)でレットダウンして、エマルションベース塗料を調製した後、フラットパドル翼1枚を装着した攪拌機(東京理化器械、マゼラZ-2200)を用いて、エマルションベース塗料95重量部及び評価試料(艶消し剤)5重量部を25℃、500rpm、5分間攪拌混合して、評価用艶消し塗料を得た。
【0049】
【表2】
【0050】
注1:分散剤(サンノプコ株式会社)
注2:増粘剤(ダイセルファインケム株式会社)
注3:湿潤剤(サンノプコ株式会社)
注4:硫酸バリウム(堺化学工業株式会社、「バリエース」は堺化学工業株式会社の登録商標である。)
注5:二酸化チタン(石原産業株式会社、「タイペーク」は同社の登録商標である。)
注6:アクリルエマルション(DIC株式会社、「ボンコート」は、DIC株式会社の登録商標である。)
注7:造膜調整剤(JNC株式会社)
注8:増粘剤(サンノプコ株式会社)
【0051】
2.艶消し性
JIS K5960:2003 家庭用屋内壁塗料の附属書2(規定)アプリケーター塗装に準じた隙間75μmのアプリケーター(B型)を用いて、評価用艶消し塗料をガラス板(15cm×15cm)に塗布し、1日乾燥後の塗膜について60°グロスをISO2813:1994に準拠した光沢計(株式会社村上色彩技術研究所、DM26D)にてそれぞれ、ランダムに10箇所測定して平均値、標準偏差を算出した。エマルションベース塗料(ブランク)についても同様に塗布した後、60°グロスを測定し、ブランクの平均値に対する各評価用艶消し塗料の平均値の割合(百分率:(評価用艶消し塗料の60°グロス平均値)×100/(ブランクの60°グロス平均値))を算出し、艶消し性として表3に示した。また、これらの値から標準偏差を算出し表3に示した。艶消し性が小さい程、光沢を低下させ艶消し剤として良好であり、また標準偏差が小さいほど、測定箇所によるブレが小さく塗膜の均質性に優れることを意味する。
【0052】
3.最大粒径
評価用艶消し塗料を用いて、JIS K5701-1:2000「平版インキ-第1部:試験方法」の「4.3練和度」準拠して試験を行い、スクレーパーの運動でできた10mm以上の連続した線が現れる最大値(μm)を読み取った。この動作を3回行い、平均値を最大粒径(μm)として表3に示した。この値が小さいほど、塗膜の均質性に優れることを示す。
【0053】
【表3】
【0054】
以上の通り、本発明の艶消し剤を用いると、比較用の艶消し剤に比べて非常に優れた均質性の艶消し塗膜が容易に得られた。