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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051326
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ディスペンサー
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20240404BHJP
   A47G 29/087 20060101ALI20240404BHJP
   A47K 10/20 20060101ALI20240404BHJP
   A47K 10/42 20060101ALI20240404BHJP
   B65D 25/52 20060101ALI20240404BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B65D25/20 W
A47G29/087
A47K10/20 C
A47K10/42 A
B65D25/52 B
B65D83/08 A
B65D83/08 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157433
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 剛
(72)【発明者】
【氏名】宮本 博司
(72)【発明者】
【氏名】竹▲崎▼ 友紀子
【テーマコード(参考)】
3E014
3E062
3K100
【Fターム(参考)】
3E014LA01
3E014MC06
3E062AA20
3E062AB12
3E062AC02
3E062AC03
3E062CA13
3K100AA06
3K100AA10
3K100AD07
3K100AE01
3K100AF03
3K100AG01
3K100AG03
3K100AH14
3K100AJ08
(57)【要約】
【課題】ディスペンサーの壁面からの取り外し易さと、壁面からのズレや落下防止とを両立する。
【解決手段】本開示に係るディスペンサー10は、壁面に取り付け可能なディスペンサー10であって、壁面に対向させる背面15を有し、収納物を収納する収納空間を区画する収納本体部11と、収納空間を開閉可能に収納本体部11に支持される蓋部12と、収納空間内の収納物を下方へ取り出し可能な取出開口13と、を備え、収納本体部11の背面15の上部領域22には、壁面側へ吸着可能な第1吸着部16が設けられ、背面15の下部領域23には、壁面側へ吸着可能な第2吸着部17が設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付け可能なディスペンサーであって、
前記壁面に対向させる背面を有し、収納物を収納する収納空間を区画する収納本体部と、
前記収納空間を開閉可能に前記収納本体部に支持される蓋部と、
前記収納空間内の前記収納物を下方へ取り出し可能な取出部と、を備え、
前記収納本体部の前記背面の上部領域には、前記壁面側へ吸着可能な第1吸着部が設けられ、前記背面の下部領域には、前記壁面側へ吸着可能な第2吸着部が設けられる
ことを特徴とするディスペンサー。
【請求項2】
前記第1吸着部及び前記第2吸着部は、マグネットシートであり、
前記マグネットシートの厚さは、0.6mm以上3.0mm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項3】
前記第1吸着部は、前記背面の前記上部領域に互いに左右に離間して2つ設けられ、
前記第2吸着部は、前記背面の前記下部領域に互いに左右に離間して2つ設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載のディスペンサー。
【請求項4】
前記第1吸着部の吸着力及び前記第2吸着部の吸着力の総和は、前記収納物を収納した前記ディスペンサーの最大重量の8倍以上20倍以下である
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のディスペンサー。
【請求項5】
前記第1吸着部の横幅は、前記第2吸着部の横幅よりも広い
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のディスペンサー。
【請求項6】
前記マグネットシートのショアD硬度は、45以上56以下である
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のディスペンサー。
【請求項7】
前記マグネットシートは、異方性磁石であり、
左右の前記第1吸着部及び左右の前記第2吸着部の4つの吸着部のうち、いずれか2つの吸着部の磁束の向きは、互いに同じであり、かつ他の2つの吸着部の磁束の向きとは異なる
ことを特徴とする請求項3に記載のディスペンサー。
【請求項8】
左右の前記第1吸着部の磁束の向きは、互いに同じであり、かつ左右の前記第2吸着部の磁束の向きとは異なる
ことを特徴とする請求項7に記載のディスペンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収納物を取り出し可能に収納するディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や工場やオフィスなどでは、ティシュペーパー、ペーパータオル、ワイパー等のいわゆる衛生薄葉紙等の比較的薄い素材でできた製品をディスペンサーに収納し、ディスペンサーから取り出して使用することがある。
【0003】
一般に、ディスペンサーは、その本体をボルトで壁に取り付けるタイプが広く普及している。これらの従来型のディスペンサーの多くは、一度壁に取り付けると取り外せない構造になっている。このため、ディスペンサーの裏側が掃除できないという欠点があった。ディスペンサーの裏側を長期間掃除しない場合、ディスペンサーの裏側にゴミや汚れが溜まるだけでなく、害虫などが侵入したり、更には害虫などが生息する場合もあり、衛生上好ましくない。専用の治具を用いて壁に着脱可能な簡易的ディスペンサーは存在するが、使用時にディスペンサーがズレたり、落下する等の問題があった。特に大量の衛生薄葉紙を収納し、前蓋を開けて衛生薄葉紙を補充するディスペンサーでは、衛生薄葉紙の補充時や、使用時に、位置ズレすることなく、強固に壁面に固定され、掃除時には適度な力で容易に取り外しが可能であり、更に着脱時に壁面を傷つけることがないディスペンサーが望まれていた。
【0004】
例えば、特許文献1には、ワイパーディスペンサーが開示されている。このワイパーディスペンサーは、ワイパーが積層された積層体を収納する容器本体と、容器本体の開口を閉塞可能な蓋体と、容器本体の底面の外表面の一部に接着された支持材とを備える。支持材は、容器本体の底面の外表面に接着された接着剤を含む接着層と、接着層の表面に積層された異方性磁石を含む磁着層とを備える。この磁着層により、ワイパーディスペンサーを金属製の設置台や側壁である設置面に設置することができる。
【0005】
特許文献2には、紙葉体容器を収納するディスペンサーが開示されている。このディスペンサーの直方体の収納部の背面部には、マグネットが設けられている。ディスペンサーは、壁体に設けられた磁性体板に対し、背面部のマグネットの磁力により吸着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-045097号公報
【特許文献2】特開2021-019913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び特許文献2に記載のディスペンサーのように、マグネットを用いて壁面に取り付けるディスペンサーは、磁力が強過ぎると、清掃時等の取り外したい場合に、磁力が強過ぎて取り外し難いという問題が生じる可能性がある。一方、磁力が弱すぎると、衛生薄葉紙(収納物)の取り出し時や衛生薄葉紙の補充時にディスペンサーが壁面の所定位置からズレたり、ディスペンサーが壁面から落下したりする可能性がある。
【0008】
そこで、本開示は、壁面からの取り外し易さと、壁面からのズレや落下防止とを両立することが可能なディスペンサーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、壁面に取り付け可能なディスペンサーであって、前記壁面に対向させる背面を有し、収納物を収納する収納空間を区画する収納本体部と、前記収納空間を開閉可能に前記収納本体部に支持される蓋部と、前記収納空間内の前記収納物を下方へ取り出し可能な取出部と、を備え、前記収納本体部の前記背面の上部領域には、前記壁面側へ吸着可能な第1吸着部が設けられ、前記背面の下部領域には、前記壁面側へ吸着可能な第2吸着部が設けられる。
【0010】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様のディスペンサーであって、前記第1吸着部及び前記第2吸着部は、マグネットシートであり、前記マグネットシートの厚さは、0.6mm以上3.0mm以下である。
【0011】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様のディスペンサーであって、前記第1吸着部は、前記背面の前記上部領域に互いに左右に離間して2つ設けられ、前記第2吸着部は、前記背面の前記下部領域に互いに左右に離間して2つ設けられる。
【0012】
本発明の第4の態様は、上記第1の態様から上記第3の態様のいずれかのディスペンサーであって、前記第1吸着部の吸着力及び前記第2吸着部の吸着力の総和は、前記収納物を収納した前記ディスペンサーの最大重量の8倍以上20倍以下である。
【0013】
本発明の第5の態様は、上記第1の態様から上記第3の態様のいずれかのディスペンサーであって、前記第1吸着部の横幅は、前記第2吸着部の横幅よりも広い。
【0014】
本発明の第6の態様は、上記第2の態様又は上記第3の態様のディスペンサーであって、前記マグネットシートのショアD硬度は、45以上56以下である。
【0015】
本発明の第7の態様は、上記第3の態様のディスペンサーであって、前記マグネットシートは、異方性磁石であり、左右の前記第1吸着部及び左右の前記第2吸着部の4つの吸着部のうち、いずれか2つの吸着部の磁束の向きは、互いに同じであり、かつ他の2つの吸着部の磁束の向きとは異なる。
【0016】
本発明の第8の態様は、上記第7の態様のディスペンサーであって、左右の前記第1吸着部の磁束の向きは、互いに同じであり、かつ左右の前記第2吸着部の磁束の向きとは異なる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、壁面からの取り外し易さと、壁面からのズレや落下防止とを両立することが可能なディスペンサーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るディスペンサーの斜視図である。
図2図1のディスペンサーの蓋を開けた状態を示す斜視図である。
図3】ディスペンサーの背面図である。
図4】ディスペンサーの左側面図である。
図5】マグネットシートの磁束の向きの説明図であって、(a)は左右で異なる状態を、(b)は上下で異なる状態を、(c)は左右及び上下で異なる状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRはディスペンサーの前方を、UPは上方を、INは幅方向の内側をそれぞれ示す。また、CLは、蓋部の回転軸(軸心)を示す。また、以下の説明において、前後方向は、壁面に対して直交する方向を意味し、壁面から離間する方向を前方、壁面に向かう方向を後方としている。また、幅方向は前後方向及び上下方向の双方と直交する方向を意味する。また、左右は、前方を向いた状態での左右を意味する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るディスペンサーの斜視図である。図2は、図1のディスペンサーの蓋を開けた状態を示す斜視図である。図3は、ディスペンサーの背面図である。図4は、ディスペンサーの左側面図である。
【0021】
(ディスペンサー)
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るディスペンサー10は、ティシュペーパー、ペーパータオル、ワイパー等の衛生薄葉紙(収納物)100を取り出し可能に収納するディスペンサー10であって、起立する壁面1に対して着脱可能に取り付けられる。ディスペンサー10は、衛生薄葉紙100を収納する収納本体部11と、収納本体部11に支持される蓋部12と、収納本体部11に収納された衛生薄葉紙100を下方へ取り出し可能な取出開口(取出部)13とを備える。使用者は、衛生薄葉紙100を使用する際に、収納本体部11内の衛生薄葉紙100を取出開口13から下方へ引き出して使用する。
【0022】
収納本体部11及び蓋部12の材料は、特に限定されるものではなく、例えば樹脂、金属、又はこれらの組み合わせであってもよい。樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、PET樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリブチレンサクシネートをはじめとする生分解性樹脂等が挙げられる。金属としては、例えば、ステンレス、アルミ、チタン等が挙げられる。
【0023】
(収納本体部)
収納本体部11は、底板部11aと、底板部11aの後端から上方へ延びる後板部11bと、底板部11aの左右の側端から上方へ延びる左右の側板部11c,11dと、後板部11bの上端から前方へ延びる上板部11eとを有し、衛生薄葉紙100を収納する収納空間14を区画する。
【0024】
収納本体部11の底板部11aは、幅方向に直交する断面が略U状に形成され、幅方向に延びる。底板部11aは、収納空間14の下方を区画する。底板部11aの前端縁は、収納空間14を開放した際の開口20の下端縁として機能する。なお、底板部11aの形状は、幅方向に延びる断面U状に限定されるものではなく、例えば、上下方向と交叉する平板状であってもよい。
【0025】
収納本体部11の後板部11bは、底板部11aの後端縁に沿って起立し、収納空間14の後方を区画する。後板部11bは、壁面1にディスペンサー10を取り付けた際に壁面1に対向する背面15(後面)を有する。後板部11bの背面15には、上側の第1吸着部16と、下側の第2吸着部17とが設けられる。第1吸着部16及び第2吸着部17の詳細については後述する。
【0026】
収納本体部11の左右の側板部11c,11dは、底板部11aの幅方向の外端縁に沿って起立し、収納空間14の左右の両側を区画する。左右の側板部11c,11dの後端縁は、後板部11bの左右の外端縁に連続する。左右の側板部11c,11dの前端縁は、収納空間14を開放した際の開口20の左右の側端縁として機能する。左右の側板部11c,11dのうち底板部11aの内側の空間(収納空間14の一部の領域)を幅方向の外側から覆う領域には、蓋部12を支持する蓋支持部18が設けられる。すなわち、収納本体部11の下端部には、蓋部12を支持する蓋支持部18が設けられる。本実施形態の蓋支持部18は、幅方向に延びる回転軸CLを中心として蓋部12を回転可能に支持する。
【0027】
収納本体部11の上板部11eは、後板部11bの上端縁から前方へ延び、収納空間14の上方を区画する。上板部11eの左右の外端縁は、左右の側板部11c,11dの上端縁に連続する。上板部11eの前端縁は、収納空間14を開放した際の開口20の上端縁として機能する。上板部11eの前側の幅方向の中央部には、蓋部12を保持可能な係止部19が設けられる。
【0028】
なお、収納本体部11は、上記に限定されるものではなく、壁面1に対向させる背面15を有し、衛生薄葉紙100を収納する収納空間14を区画するものであればよい。
【0029】
(取出開口)
取出開口13は、収納本体部11の底板部11aに設けられる。本実施形態の取出開口13は、収納本体部11の底板部11aの幅方向の中央部に設けられ、ディスペンサー10の外部と収納空間14とを連通する。
【0030】
なお、本実施形態では、取出開口(取出部)13を収納本体部11の底板部11aに設けたが、取出部の配置位置はこれに限定されるものではない。例えば、収納本体部11と後述する閉状態の蓋部12との間に、衛生薄葉紙100を下方へ取り出し可能な隙間(取出部)を設けてもよいし、或いは、後述する蓋部12の下端部に、衛生薄葉紙100を下方へ取り出し可能なスリット(取出部)を設けてもよい。
【0031】
(蓋部)
蓋部12は、収納本体部11の収納空間14の開口20を、開閉可能な部材であって、収納本体部11の蓋支持部18に支持される。本実施形態の蓋部12は、その基端側(後述する閉状態での下端側)が収納本体部11の蓋支持部18に回転可能に支持される。蓋部12の先端側(後述する閉状態での上端側)には、収納本体部11の係止部19に係止可能な被係止部21が設けられる。蓋部12は、回転軸CL側から立ち上がって収納本体部11の開口20を前方から塞ぐ閉状態(図1に示す状態)と、閉状態から上端側が前下方へ傾動して収納本体部11の開口20を前方へ開放する開状態(図2に示す状態)との間を傾動可能である。すなわち、蓋部12は、収納空間14を開閉可能に収納本体部11に支持される。閉状態では、収納本体部11の係止部19は、蓋部12の被係止部21を係止し、蓋部12を閉状態に保持する。閉状態の蓋部12は、収納空間14の前方を区画する。本実施形態では、開状態の蓋部12の先端側は、回転軸CLよりも下方に位置する。
【0032】
なお、蓋部12は、上記に限定されるものではなく、収納空間14を開閉可能に収納本体部11に支持されるものであればよい。
【0033】
(第1吸着部及び第2吸着部)
図3及び図4に示すように、収納本体部11の背面15には、ディスペンサー10を壁面1に対して着脱可能に吸着させる上側の第1吸着部16と下側の第2吸着部17とが設けられる。第1吸着部16及び第2吸着部17は、壁面1側へ吸着可能である。第1吸着部16は、収納本体部11の背面15の上部領域22に配置される。第2吸着部17は、収納本体部11の背面15の下部領域23(上部領域22よりも下方の領域)に配置される。すなわち、下側の第2吸着部17は、第1吸着部16よりも下方に配置される。本実施形態の第2吸着部17は、蓋部12の回転軸CLよりも上方に位置している。
【0034】
第1吸着部16及び第2吸着部17は、壁面1側へ吸着可能なマグネットシートである。第1吸着部16及び第2吸着部17のマグネットシート(以下、単に「マグネットシート」という場合がある。)は、収納本体部11の背面15に対し、両面テープ(図示省略)によって固着される。両面テープの接着力は、第1吸着部16及び第2吸着部17のマグネットシートの壁面1への吸着力よりも強い。第1吸着部16及び第2吸着部17のマグネットシートの後面は、同一平面上に配置される。マグネットシートの厚さは、0.6mm以上3.0mm以下であることが好ましい。マグネットシートのショアD硬度は、45以上56以下であることが好ましい。
【0035】
なお、マグネットシートは、必要な磁力を得るためにその材質や着磁方法が適宜選定される。第1吸着部16及び第2吸着部17のマグネットシートの大きさは必要に応じて設定される。また、第1吸着部16及び第2吸着部17は、マグネットシートに限定されるものではなく、必要な磁力に応じて、様々な形状や厚さであって、様々な材質や着磁方法の磁石とすることができる。
【0036】
図3に示すように、本実施形態では、第1吸着部16は、収納本体部11の背面15の上部領域22の左右に対称的に2つ設けられる。第2吸着部17は、収納本体部11の背面15の下部領域23の左右に対称的に2つ設けられる。なお、本実施形態では、第1吸着部16を2つ設けているが、これに限定されるものではなく、第1吸着部16を1つ或いは3つ以上設けてもよい。また、本実施形態では、第2吸着部17を2つ設けているが、これに限定されるものではなく、第2吸着部17を1つ或いは3つ以上設けてもよい。
【0037】
左右の第1吸着部16a,16bのマグネットシートは、互いに同じ大きさの矩形状に形成され、互いに左右に離間して配置される。左右の第1吸着部16a,16bのマグネットシートは、互いに同じ高さ位置に配置される。左右の第1吸着部16a,16bのマグネットシートは、上下方向の長さh1よりも幅方向の長さw1が長い矩形状に形成される(h1<w1)。本実施形態のように複数の第1吸着部16(第1吸着部16a,16b)を設ける場合、各第1吸着部16のマグネットシートの面積は、50cm以上であることが好ましい。
【0038】
左右の第2吸着部17a,17bのマグネットシートは、互いに同じ大きさの矩形状に形成され、互いに左右に離間して配置される。また、左右の第2吸着部17a,17bのマグネットシートは、左右の第1吸着部16a,16bのマグネットシートから下方へ離間した位置に配置される。左右の第2吸着部17a,17bのマグネットシートは、互いに同じ高さ位置に配置される。左右の第2吸着部17a,17bのマグネットシートは、幅方向の長さw2よりも上下方向の長さh2が長い矩形状に形成される(w2<h2)。本実施形態のように複数の第2吸着部17(第2吸着部17a,17b)を設ける場合、各第2吸着部17のマグネットシートの面積は、50cm以上であることが好ましい。
【0039】
左右の第2吸着部17a,17bのマグネットシートは、左右の第1吸着部16a,16bのマグネットシートと同一の諸元(大きさ、形状、吸着力等)を有する((h1=w2)<(w1=h2))。すなわち、左右の第2吸着部17a,17bのマグネットシートは、左右の第1吸着部16a,16bと同一のマグネットシートを、上下方向に長くなる状態に配置している。このように、本実施形態では、第1吸着部16の横幅(本実施形態では、左右の第1吸着部16a,16bの横幅(w1+w1))は、第2吸着部17の横幅(本実施形態では、左右の第2吸着部17a,17bの横幅(w2+w2))よりも広い(長い)。なお、本実施形態では、第1吸着部16の横幅を第2吸着部17の横幅よりも広くしたが、これに限定されるものではない。例えば、左右の第1吸着部16a,16bのマグネットシートと左右の第2吸着部17a,17bのマグネットシートとを互いに同一の向き(縦長又は横長)に配置して、第1吸着部16の横幅と第2吸着部17の横幅とを互いに同じにしてもよい。
【0040】
左右の第1吸着部16a,16b及び左右の第2吸着部17a,17bのマグネットシートは、異方性磁石であることが好ましい。異方性磁石は、異方性の結晶配列における結晶の向きが、磁化容易方向に一定方向であるため、当該方向に向けて強い磁気吸着力を確保することができる。これにより、磁力を特定の方向(例えば、壁面1に吸着する方向)に指向させることができ、かつ、その磁力は同材料の等方性磁石に比して強力である。
【0041】
図5は、マグネットシートの磁束の向きの説明図であって、(a)は左右で異なる状態を、(b)は上下で異なる状態を、(c)は左右及び上下で異なる状態をそれぞれ示す。なお、図5は、ディスペンサーを背面から見た状態の左右の第1吸着部及び左右の第2吸着部を図示している。また、図5では、磁束の向きが同一の吸着部に同一のハッチングを付し、磁束の向きが異なる吸着部に異なるハッチングを付している。
【0042】
マグネットシートを異方性磁石とする場合、左右の第1吸着部16a,16b及び左右の第2吸着部17a,17bの4つの吸着部のうち、いずれか2つの吸着部の磁束の向きを、互いに同じにし(揃え)、かつ他の2つの吸着部の磁束の向きとは異なる向きにすることが好ましい。なお、本開示では、磁束の向きが同じであるとは、2つの吸着部のS極及びN極が互いに同じ方向であることを意味し、磁束の向きが異なるとは、2つの吸着部のS極及びN極が互いに正反対の方向であることを意味する。
【0043】
例えば、図5(a)に示すように、左側の第1吸着部16a及び第2吸着部17aの磁束の向きを互いに揃え、これとは正反対の向きに右側の第1吸着部16b及び第2吸着部17bの磁束の向きを互いに揃えてもよい。または、図5(b)に示すように、上側の第1吸着部16a,16bの磁束の向きを互いに揃え、これとは正反対の向きに下側の第2吸着部17a,17bの磁束の向きを互いに揃えてもよい。或いは、図5(c)に示すように、左側の第1吸着部16a及び右側の第2吸着部17bの磁束の向きを互いに揃え、これとは正反対の向きに右側の第1吸着部16b及び左側の第2吸着部17aの磁束の向きを互いに揃えてもよい。なお、これらの中でも、特に、図5(b)に示すように、上側の第1吸着部16a,16bの磁束の向きを互いに揃え、これとは正反対の向きに下側の第2吸着部17a,17bの磁束の向きを互いに揃えることが好ましい。
【0044】
第1吸着部16及び第2吸着部17のマグネットシートの吸着力の総和F(gf)は、次式(1)で示すように、衛生薄葉紙100を収納したディスペンサー10の最大重量W(gf)の8倍以上20倍以下であることが好ましい。
8≦F/W≦20・・・(1)
ここで、本実施形態では、第1吸着部16及び第2吸着部17のマグネットシートの吸着力の総和Fは、1枚のマグネットシートの単位面積あたりの吸着力f(gf/cm)と、1枚のマグネットシートの面積s(cm)と、第1吸着部16及び第2吸着部17として使用するマグネットシートの枚数n(枚)とを用いて、以下の式(2)で算出できる。
F=f×s×n ・・・(2)
また、衛生薄葉紙100を収納したディスペンサー10の最大重量W(gf)は、ディスペンサー10の重量w1(gf)と、ディスペンサー10に全容量分収容した場合の衛生薄葉紙100の重量w2(gf)とを用いて、以下の式(3)で算出できる。
W=w1+w2 ・・・(3)
【0045】
収納本体部11の背面15のうち、第1吸着部16及び第2吸着部17の周縁には、ウレタンフォームなどの緩衝材(図示省略)を設けることが好ましい。当該緩衝材は、第1吸着部16及び第2吸着部17のマグネットシートの背面よりも後方へ突出しない方が好ましい。
【0046】
ディスペンサー10の取り付け対象である壁面1には、鉄等の磁性体で構成された磁性体板(図示省略)がその表面また内部表面付近に配置されている。ディスペンサー10は、収納本体部11の背面15の第1吸着部16及び第2吸着部17のマグネットシートの磁力によって、壁面1に吸着可能となっている。ディスペンサー10を吸着させる位置は、壁面1の磁性体板が配置されている範囲で自由に選択することができる。また、図4に白抜き矢印で示すように、ディスペンサー10を壁面1から取り外したい場合には、ディスペンサー10の下端部を前方(手前側)へ引っ張るようにして取り外すことができる。
【0047】
収納本体部11の収納空間14には、衛生薄葉紙100が収納される。本実施形態では、蓋部12を開状態(図2に示す状態)にして収納空間14を前方へ開放し、衛生薄葉紙100を収納空間14に収納する。収納空間14内の衛生薄葉紙100は、例えば、V字折りにされ、互いに交互に挟む状態で複数枚が積層されており、収納本体部11の取出開口13から下方へ順次に引き出し可能となっている。衛生薄葉紙100の引出し方向は、CD(Cross Direction)方向であることが好ましい。
【0048】
上記のように構成されたディスペンサー10では、壁面1側へ吸着可能な第1吸着部16を、収納本体部11の背面15の上部領域22に設け、壁面1側へ吸着可能な第2吸着部17を、背面15の下部領域23に設けている。このように、壁面1側へ吸着可能な吸着部を、上下2つの領域(上部領域22及び下部領域23)に分けて設けているので、全面に設ける場合とは異なり、ディスペンサー10を壁面1から取り外し易くすることができる。
【0049】
また、壁面1側へ吸着可能な吸着部を、上下2つの領域に分けて設けているので、壁面1からの取り外し易さを、上部領域22の第1吸着部16と下部領域23の第2吸着部17とで、互いに異なる状態にすることができる。例えば、上部領域22の第1吸着部16を壁面1から取り外れ難くして、下部領域23の第2吸着部17を壁面1から取り外し易くすることができる。これにより、衛生薄葉紙100を下方へ取り出す際や蓋部12の開閉時に、壁面1からのディスペンサー10のズレや落下を、第1吸着部16及び第2吸着部17の特に第1吸着部16側で防止することができる。また、ディスペンサー10の下端側を前方へ引っ張るようにしてディスペンサー10を壁面1から取り外す場合には、第2吸着部17側でディスペンサー10を壁面1から取り外し易くすることができる。
【0050】
従って、本実施形態によれば、壁面1からの取り外し易さと、壁面1からのズレや落下防止とを両立することが可能なディスペンサー10を提供できる。
【0051】
また、第1吸着部16及び第2吸着部17のマグネットシートの厚さを、0.6mm以上3.0mm以下にすることによって、第1吸着部16及び第2吸着部17に適度な柔軟性を確保することができるので、ディスペンサー10を壁面1から取り外し易くすることができる。また、第1吸着部16及び第2吸着部17に適度な柔軟性を確保することができるので、壁面1の傷付き、損傷を防止することができる。
【0052】
また、第1吸着部16は、収納本体部11の背面15の上部領域22の左右に対称的に2つ設けられ、第2吸着部17は、収納本体部11の背面15の下部領域23の左右に対称的に2つ設けられる。左右の第1吸着部16a,16bのマグネットシートは、互いに左右に離間して配置され、左右の第2吸着部17a,17bのマグネットシートは、互いに左右に離間して配置される。このように、左右の第1吸着部16a,16bが互いに左右に離間し、左右の第2吸着部17a,17bが互いに左右に離間しているので、収納本体部11が変形した際のマグネットシートの破損や背面15からのマグネットシートの剥離を防止することができる。このため、ディスペンサー10を壁面1から取り外す際の収納本体部11の変形に対して、マグネットシートの破損や背面15からの剥離を防止することができる。
【0053】
また、第1吸着部16及び第2吸着部17のマグネットシートの吸着力の総和Fを、衛生薄葉紙100を収納したディスペンサー10の最大重量Wの8倍以上20倍以下にすることが好ましく、さらには、10倍以上16倍以下とすることがより好ましい。これにより、ディスペンサー10を壁面1から取り外し易くすることができるとともに、壁面1からのディスペンサー10のズレや落下を防止することができる。
【0054】
また、第1吸着部16の横幅を、第2吸着部17の横幅よりも広くすることが好ましい。これにより、衛生薄葉紙100を下方へ取り出す際や蓋部12の開閉時に、壁面1からのディスペンサー10のズレや落下を、第1吸着部16によって防止することができ、ディスペンサー10を壁面1から取り外す際には、図4に白抜き矢印で示すように、ディスペンサー10を下側から取り外し易くすることができる。
【0055】
また、マグネットシートのショアD硬度は、45以上56以下であることが好ましい。これにより、硬度が高いネオジウム磁石等とは異なり、壁面1の傷付き、損傷を防止することができる。
【0056】
また、マグネットシートは、異方性磁石であることが好ましい。これにより、ディスペンサー10を壁面1へ強力に吸着させることができ、壁面1からのディスペンサー10のズレや落下を防止することができる。
【0057】
また、マグネットシートを異方性磁石とする場合、左右の第1吸着部16a,16b及び左右の第2吸着部17a,17bの4つの吸着部のうち、いずれか2つの吸着部の磁束の向きを、互いに同じにし(揃え)、かつ他の2つの吸着部の磁束の向きとは異なる向きにすることが好ましい。このように、異方性磁石であるマグネットシートを2枚ずつ磁束の向きが異なるように貼り付けることによって、ディスペンサー10を壁面1から取り外す際に力を分散し易いので、壁面1からディスペンサー10を取り外し易くすることができる。
【0058】
また、図5(b)に示すように、上側の第1吸着部16a,16bの磁束の向きを互いに揃え、これとは正反対の向きに下側の第2吸着部17a,17bの磁束の向きを互いに揃えることが好ましい。これにより、隣接するマグネットシート同士(左右の第1吸着部16a,16b同士、及び左右の第2吸着部17a,17b同士)の磁力が干渉することなく高い磁力を発揮して、下方向のディスペンサー10のズレをより抑えることができ、かつ壁面1からのディスペンサー10の取り外し易さも両立させることができる。
【0059】
また、第1吸着部16及び第2吸着部17のマグネットシートの面積は、50cm以上であることが好ましい。これにより、個々のマグネットシートの収納本体部11側への固定強度を確保することができる。
【0060】
また、収納本体部11の背面15のうち、第1吸着部16及び第2吸着部17の周縁には、ウレタンフォームなどの緩衝材(図示省略)を設けることが好ましい。これにより、壁面1の傷付き、損傷を好適に防止することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、同一の諸元(大きさ、形状、吸着力等)を有するマグネットシートを、左右の第1吸着部16a,16b及び左右の第2吸着部17a,17bとして使用したが、これに限定されるものではない。第1吸着部16と第2吸着部17とで互いに異なる諸元のマグネットシートを使用してもよい。
【0062】
また、本実施形態では、本開示に係るディスペンサーを、ティシュペーパー、ペーパータオル、ワイパー等の衛生薄葉紙(収納物)100を取り出し可能に収納するディスペンサー10に適用したが、これに限定されるものではない。例えば、本開示に係るディスペンサーを、病院や工場で使用される保護具(手袋、ガウン、マスク、アイシールド製品等)を収納物として取り出し可能に収納するディスペンサーに適用してもよい。
【0063】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【実施例0064】
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0065】
以下の実施例1~5及び比較例1~2のディスペンサーを作成した。なお、実施例1~5及び比較例1~2のディスペンサーの吸着部には、異方性磁石であるマグネットシートを使用した。また、ディスペンサーには、ペーパータオルを収納物として取り出し可能に収納した。また、ディスペンサー10の重量を、720gfとし、内部に全容量分収納するペーパータオルの重量を、1580gfとし、ディスペンサーの最大重量を、2300gfとした。
【0066】
(実施例1)
左右の第1吸着部と左右の第2吸着部とを設けた。左右の第1吸着部及び左右の第2吸着部は、同一の諸元の4枚の矩形状のマグネットシートによって構成した。マグネットシートのサイズは、7.5cm×10.5cmとした。マグネットシートの厚みは、2.0mmとした。マグネットシートの単位面積あたりの吸着力は、100gf/cmとした。左右の第1吸着部は、マグネットシートを横長にして、左右に互いに5mm離間して配置した。左右の第2吸着部は、マグネットシートを縦長にして、左右に互いに40mm離間して配置した。左右の第1吸着部と左右の第2吸着部との上下の離間距離は、30mmとした。第1吸着部及び第2吸着部のマグネットシートの吸着力の総和は、31.5kgfとした。すなわち、第1吸着部及び第2吸着部のマグネットシートの吸着力の総和(31.5kgf)は、衛生薄葉紙を収納したディスペンサーの最大重量(2.3kgf)の約13.7倍となっている。
【0067】
(実施例2)
左右の第1吸着部と左右の第2吸着部とを設けた。左右の第1吸着部及び左右の第2吸着部は、同一の諸元の4枚の矩形状のマグネットシートによって構成した。マグネットシートのサイズは、7.5cm×10.5cmとした。マグネットシートの厚みは、0.8mmとした。マグネットシートの単位面積あたりの吸着力は、60gf/cmとした。左右の第1吸着部は、マグネットシートを横長にして、左右に互いに5mm離間して配置した。左右の第2吸着部は、マグネットシートを縦長にして、左右に互いに40mm離間して配置した。左右の第1吸着部と左右の第2吸着部との上下の離間距離は、30mmとした。第1吸着部及び第2吸着部のマグネットシートの吸着力の総和は、18.9kgfとした。すなわち、第1吸着部及び第2吸着部のマグネットシートの吸着力の総和(18.9kgf)は、衛生薄葉紙を収納したディスペンサーの最大重量(2.3kgf)の約8.2倍となっている。
【0068】
(実施例3)
左右の第1吸着部と左右の第2吸着部とを設けた。左右の第1吸着部及び左右の第2吸着部は、同一の諸元の4枚の矩形状のマグネットシートによって構成した。マグネットシートのサイズは、7.5cm×10.5cmとした。マグネットシートの厚みは、2.0mmとした。マグネットシートの単位面積あたりの吸着力は、100gf/cmとした。左右の第1吸着部は、マグネットシートを縦長にして、左右に互いに50mm離間して配置した。左右の第2吸着部は、マグネットシートを縦長にして、左右に互いに50mm離間して配置した。左右の第1吸着部と左右の第2吸着部との上下の離間距離は、10mmとした。第1吸着部及び第2吸着部のマグネットシートの吸着力の総和は、31.5kgfとした。すなわち、第1吸着部及び第2吸着部のマグネットシートの吸着力の総和(31.5kgf)は、衛生薄葉紙を収納したディスペンサーの最大重量(2.3kgf)の約13.7倍となっている。
【0069】
(実施例4)
左右の第1吸着部と左右の第2吸着部とを設けた。左右の第1吸着部及び左右の第2吸着部は、同一の諸元の4枚の矩形状のマグネットシートによって構成した。マグネットシートのサイズは、7.5cm×10.5cmとした。マグネットシートの厚みは、2.0mmとした。マグネットシートの単位面積あたりの吸着力は、100gf/cmとした。左右の第1吸着部は、マグネットシートを横長にして、左右に互いに5mm離間して配置した。左右の第2吸着部は、マグネットシートを横長にして、左右に互いに5mm離間して配置した。左右の第1吸着部と左右の第2吸着部との上下の離間距離は、50mmとした。第1吸着部及び第2吸着部のマグネットシートの吸着力の総和は、31.5kgfとした。すなわち、第1吸着部及び第2吸着部のマグネットシートの吸着力の総和(31.5kgf)は、衛生薄葉紙を収納したディスペンサーの最大重量(2.3kgf)の約13.7倍となっている。
【0070】
(実施例5)
1つの第1吸着部と1つの第2吸着部とを設けた。第1吸着部及び第2吸着部は、同一の諸元の2枚の矩形状のマグネットシートによって構成した。マグネットシートのサイズは、15.0cm×10.5cmとした。マグネットシートの厚みは、2.0mmとした。マグネットシートの単位面積あたりの吸着力は、100gf/cmとした。第1吸着部及び第2吸着部は、マグネットシートを横長にした。第1吸着部と第2吸着部との上下の離間距離は、50mmとした。第1吸着部及び第2吸着部のマグネットシートの吸着力の総和は、31.5kgfとした。すなわち、第1吸着部及び第2吸着部のマグネットシートの吸着力の総和(31.5kgf)は、衛生薄葉紙を収納したディスペンサーの最大重量(2.3kgf)の約13.7倍となっている。
【0071】
(比較例1)
1枚のマグネットシートによって構成される1つ吸着部を設けた。マグネットシートのサイズは、15.0cm×21.0cmとした。マグネットシートの厚みは、2.0mmとした。マグネットシートの単位面積あたりの吸着力は、100gf/cmとした。吸着部は、マグネットシートを縦長に配置した。吸着部のマグネットシートの吸着力の総和は、31.5kgfとした。すなわち、第1吸着部及び第2吸着部のマグネットシートの吸着力の総和(31.5kgf)は、衛生薄葉紙を収納したディスペンサーの最大重量(2.3kgf)の約13.7倍となっている。
【0072】
(比較例2)
1枚のマグネットシートによって構成される1つ吸着部を設けた。マグネットシートのサイズは、16.0cm×16.0cmとした。マグネットシートの厚みは、2.0mmとした。マグネットシートの単位面積あたりの吸着力は、70gf/cmとした。吸着部のマグネットシートの吸着力の総和は、17.9kgfとした。すなわち、第1吸着部及び第2吸着部のマグネットシートの吸着力の総和(17.9kgf)は、衛生薄葉紙を収納したディスペンサーの最大重量(2.3kgf)の約7.8倍となっている。
【0073】
これらの実施例1~5及び比較例1~2のディスペンサーの間で、以下の3つの項目(シート取り出し時の固定具合、シート補充時の固定具合、壁面からの取り外し易さ)の評価を行った。
【0074】
「シート取り出し時の固定具合」の評価は、5人のモニターによって以下のように評価した。各モニターは、ペーパータオルを充填したディスペンサーから600枚のペーパータオルを引き出した時のディスペンサーのズレの発生を確認した。そして、5人のモニターのズレの発生回数の合計回数に基づいて以下のように評価した。
〇:ズレが生じない(ズレの発生が0回)
×:ズレの発生が1回以上
【0075】
「シート補充時の固定具合」の評価は、5人のモニターによって以下のように評価した。各モニターは、壁面に取り付けた空のディスペンサーを閉状態から開状態にし、ディスペンサー内にペーパータオルを充填した後、閉状態に戻す作業を5回行い、その際のディスペンサーのズレや落下の発生を確認した。そして、5人のモニターのズレの発生回数の合計回数に基づいて以下のように評価した。
◎:ズレが生じない(ズレの発生が0回)
〇:ズレの発生が1回
×:ズレの発生が2回以上、或いは落下が発生した
【0076】
「壁面からの取り外し易さ」の評価は、10人のモニターによって以下のように評価した。各モニターは、壁面に取り付けたディスペンサーを壁面から取り外す作業を20回行った。10人のモニターの中でディスペンサーを壁面から「取り外し易い」と評価したモニターの数によって4段階の官能評価をした。評価基準は以下のとおりである。
◎ :「取り外し易い」と感じたモニターが、8名以上
○ :「取り外し易い」と感じたモニターが、3名~7名
× :「取り外し易い」と感じたモニターが、2名以下、或いはディスペンサーからのマグネットシートの剥がれが1名でも発生した場合
【0077】
得られた結果を表1に示す。なお、表1の配置の欄は、上側が第1吸着部を、下側が第2吸着部をそれぞれ示す。
【0078】
【表1】
【0079】
以上より、本開示に係るディスペンサーは、壁面からの取り外し易さと、壁面からのズレや落下防止とを両立することが可能であることが確認された。
【符号の説明】
【0080】
1:壁面
10:ディスペンサー
11:収納本体部
12:蓋部
13:取出開口(取出部)
14:収納空間
15:背面
16,16a,16b:第1吸着部
17,17a,17b:第2吸着部
22:上部領域
23:下部領域
図1
図2
図3
図4
図5