(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051337
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】診療対象者情報管理システム及び診療対象者情報管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240404BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157450
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】230128026
【弁護士】
【氏名又は名称】駒木 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】本田 圭
(72)【発明者】
【氏名】矢部 滝太郎
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】医療従事者において既に確立している日常業務のフローを変えることなく診療に関する情報の取扱いを改善する。
【解決手段】診療対象者情報管理システム10は、診療対象者の生体情報を測定する測定装置30から、前記測定装置30により測定された前記生体情報を読み取る読取装置20と通信可能に接続され、又は、このような読取装置20を備える。診療対象者情報管理システム10は、前記読取装置20が前記診療対象者の前記生体情報を読み取った場合に、直ちに、又は、予め定められた操作がなされたことに応じて、前記診療対象者の診療の進捗に関する情報を入力するための入力画面を表示部15に表示させる、制御部11を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療対象者の生体情報を測定する測定装置から、前記測定装置により測定された前記生体情報を読み取る読取装置と通信可能に接続された、又は、前記読取装置を備える診療対象者情報管理システムであって、
前記読取装置が前記診療対象者の前記生体情報を読み取った場合に、直ちに、又は、予め定められた操作がなされたことに応じて、前記診療対象者の診療の進捗に関する情報を入力するための入力画面を表示部に表示させる、制御部を備える、
診療対象者情報管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記診療対象者の診療の進捗に関する定量的な情報を入力するための画面を前記入力画面として、前記表示部に表示させる、請求項1に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項3】
前記制御部は、診療の進捗に関する複数の選択肢の中から前記選択肢を選択することが可能な画面を前記入力画面として、前記表示部に表示させる、請求項1に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記診療対象者の現在の診療の進捗状況を示す進捗画像を含む画面を前記入力画面として、前記表示部に表示させる、請求項1に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記入力画面を介して前記診療対象者の診療の進捗に関する前記情報が入力されたことに応じて、診療の進捗に関する段階に対して、前記診療対象者が当該段階における診療に要した時間に関する情報である時間情報を示す進捗画面を前記表示部に表示させる、請求項1に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項6】
前記制御部は、診療の進捗に関する段階に対して、当該段階における診療において前記診療対象者に対して実施されたリハビリテーションの回数の情報を前記時間情報として示す画面を、前記進捗画面として、前記表示部に表示させる、請求項5に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項7】
診療対象者の現在の診療の進捗状況を示す進捗画像を含む、診療対象者の診療の進捗に関する情報を入力するための入力画面を表示部に表示させる、制御部を備える、診療対象者情報管理システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記進捗画像に加えて、前記診療対象者の診療の進捗状況に応じた目標を示す画像である目標画像を更に含む画面を前記入力画面として、前記表示部に表示させる、請求項7に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記診療対象者の診療の進捗に応じた直近の達成目標、最終的な達成目標、及び、診療の進捗に関する各段階における達成目標、の少なくともいずれかを示す画像を前記目標画像として含む画面を、前記入力画面として、前記表示部に表示させる、請求項8に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記診療対象者情報管理システムにログインしたユーザーの職種に応じた表示内容を含む、前記診療対象者の診療の進捗に関する前記情報を入力するための前記入力画面を前記表示部に表示させる、請求項7に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項11】
前記制御部は、
前記診療対象者の診療の進捗に関する前記情報を入力するための前記入力画面において、第1の職種の前記ユーザーが入力者として入力操作を行った場合、当該第1の職種の前記ユーザーの入力結果に基づき、第2の職種の前記ユーザーに対する前記入力画面の表示内容を決定し、
前記第2の職種の前記ユーザーに対して、前記決定された表示内容を含む前記入力画面を前記表示部に表示させる、
請求項10に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項12】
診療対象者の生体情報を測定する測定装置から、前記測定装置により測定された前記生体情報を読み取る読取装置と通信可能に接続された、又は、前記読取装置を備えるコンピュータに、前記読取装置が前記診療対象者の前記生体情報を読み取った場合に、直ちに、又は、予め定められた操作がなされたことに応じて、前記診療対象者の診療の進捗に関する情報を入力するための入力画面を表示部に表示させる処理を実行させる、診療対象者情報管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、診療対象者情報管理システム及び診療対象者情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、診療情報の取得及び表示に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-008980号公報
【特許文献2】特開2016-130983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、診療情報の取得及び表示に関する従来の技術は、医療従事者において既に確立している日常業務のフローとの整合性という観点から改善の余地があった。
【0005】
本開示の目的は、医療従事者において既に確立している日常業務のフローを変えることなく診療に関する情報の取扱いを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、診療対象者情報管理システムは、
(1)診療対象者の生体情報を測定する測定装置から、前記測定装置により測定された前記生体情報を読み取る読取装置と通信可能に接続され、又は、前記読取装置を備える診療対象者情報管理システムであって、
前記読取装置が前記診療対象者の前記生体情報を読み取った場合に、直ちに、又は、予め定められた操作がなされたことに応じて、前記診療対象者の診療の進捗に関する情報を入力するための入力画面を表示部に表示させる、制御部を備える。
【0007】
(2)(1)の診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、前記診療対象者の診療の進捗に関する定量的な情報を入力するための画面を前記入力画面として、前記表示部に表示させてもよい。
【0008】
(3)(1)又は(2)の診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、診療の進捗に関する複数の選択肢の中から前記選択肢を選択することが可能な画面を前記入力画面として、前記表示部に表示させてもよい。
【0009】
(4)(1)から(3)のいずれかの診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、前記診療対象者の現在の診療の進捗状況を示す進捗画像を含む画面を前記入力画面として、前記表示部に表示させてもよい。
【0010】
(5)(1)から(4)のいずれかの診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、前記入力画面を介して前記診療対象者の診療の進捗に関する前記情報が入力されたことに応じて、診療の進捗に関する段階に対して、前記診療対象者が当該段階における診療に要した時間に関する情報である時間情報を示す進捗画面を前記表示部に表示させてもよい。
【0011】
(6)(5)の診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、診療の進捗に関する段階に対して、当該段階における診療において前記診療対象者に対して実施されたリハビリテーションの回数の情報を前記時間情報として示す画面を、前記進捗画面として、前記表示部に表示させてもよい。
【0012】
また、本開示によれば、診療対象者情報管理システムは、
(7)診療対象者の現在の診療の進捗状況を示す進捗画像を含む、診療対象者の診療の進捗に関する情報を入力するための入力画面を表示部に表示させる、制御部を備える。
【0013】
(8)(7)の診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、前記進捗画像に加えて、前記診療対象者の診療の進捗状況に応じた目標を示す画像である目標画像を更に含む画面を前記入力画面として、前記表示部に表示させてもよい。
【0014】
(9)(8)の診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、前記診療対象者の診療の進捗に応じた直近の達成目標、最終的な達成目標、及び、診療の進捗に関する各段階における達成目標、の少なくともいずれかを示す画像を前記目標画像として含む画面を、前記入力画面として、前記表示部に表示させてもよい。
【0015】
(10)(7)から(9)のいずれかの診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、前記診療対象者情報管理システムにログインしたユーザーの職種に応じた表示内容を含む、前記診療対象者の診療の進捗に関する前記情報を入力するための前記入力画面を前記表示部に表示させてもよい。
【0016】
(11)(10)の診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、
前記診療対象者の診療の進捗に関する前記情報を入力するための前記入力画面において、第1の職種の前記ユーザーが入力者として入力操作を行った場合、当該第1の職種の前記ユーザーの入力結果に基づき、第2の職種の前記ユーザーに対する前記入力画面の表示内容を決定し、
前記第2の職種の前記ユーザーに対して、前記決定された表示内容を含む前記入力画面を前記表示部に表示させてもよい。
【0017】
また、本開示によれば、診療対象者情報管理プログラムは、
(12)診療対象者の生体情報を測定する測定装置から、前記測定装置により測定された前記生体情報を読み取る読取装置と通信可能に接続された、又は、前記読取装置を備えるコンピュータに、前記読取装置が前記診療対象者の前記生体情報を読み取った場合に、直ちに、又は、予め定められた操作がなされたことに応じて、前記診療対象者の診療の進捗に関する情報を入力するための入力画面を表示部に表示させる処理を実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本開示の一実施形態によれば、医療従事者において既に確立している日常業務のフローを変えることなく診療に関する情報の取扱いを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】
図1のタブレット端末の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図1のタブレット端末に表示される画像の一例を示す図である。
【
図4A】
図1のタブレット端末に表示される画像の一例を示す図である。
【
図4B】
図1のタブレット端末に表示される画像の一例を示す図である。
【
図4C】
図1のタブレット端末に表示される画像の一例を示す図である。
【
図4D】
図1のタブレット端末に表示される画像の一例を示す図である。
【
図5】
図1のタブレット端末に表示される進捗画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図面中、同一の構成又は機能を有する部分には、同一の符号を付している。本実施形態の説明において、同一の部分については、重複する説明を適宜省略又は簡略化する場合がある。
【0021】
(医療システム)
図1は、医療システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、医療システム1は、タブレット端末10、読取装置20、測定装置30、サーバ40、及びネットワーク50を備える。タブレット端末10及びサーバ40は、例えばインターネット及び移動体通信網等を含むネットワーク50と通信可能に接続される。以下、医療システム1における、タブレット端末10、読取装置20、測定装置30、及びサーバ40の個数はいずれも一つである例を説明するが、これらの装置の少なくともいずれかの個数が二つ以上であってもよい。タブレット端末10、読取装置20、及び測定装置30のユーザーは、診療対象者本人であってもよいし、医師及び看護士等の医療従事者であってもよい。
【0022】
本実施形態に係る診療対象者情報管理システムのタブレット端末10は、測定装置30が測定した診療対象者の生体情報を読取装置20から取得したり、診療対象者の診療の進捗に関する情報(進捗情報)の入力画面を表示したりする情報処理装置である。タブレット端末10は、取得した生体情報及び測定日時等を、ネットワーク50を介してサーバ40へ送信したり、サーバ40から進捗情報、診療対象者の氏名、性別、年齢、病院内で患者を識別する患者ID、及び入院日等の基礎データ等を受信したりする。本実施形態では、このような診療対象者情報管理システムがタブレット端末10により実現されるが、診療対象者情報管理システムは、例えば、スマートフォン、又はPC(Personal Computer)等の任意の情報処理装置により実現されてもよく、必要な構成要素を備えた独自の装置により実現されてもよい。
【0023】
本実施形態において、タブレット端末10は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルにより読取装置20と通信可能に接続されるが、タブレット端末10と読取装置20との間の通信方式は任意である。例えば、タブレット端末10は、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、又はBluetooth(登録商標)等の通信方式により、読取装置20と通信可能に接続されてもよい。
【0024】
読取装置20は、測定装置30から、その測定装置30により測定された診療対象者の生体情報を読み取る装置である。本実施形態において、読取装置20は、NFC(Near Field Communication)により測定装置30から生体情報を読み取るが、読取装置20と測定装置30との間の通信方式は任意である。例えば、読取装置20は、Bluetooth(登録商標)又は無線LAN等の任意の通信方式により、測定装置30から生体情報を読み取ってもよい。読取装置20は、測定装置30から生体情報を読み取ると、その生体情報をタブレット端末10へ送信する。
【0025】
測定装置30は、診療対象者の生体情報を測定する装置である。このような生体情報は、例えば、体温、血圧(最高血圧、最低血圧等)、血糖値、酸素飽和度(SpO2)、脈拍、呼吸数、体重、脂肪重量、除脂肪重量、体水分量、細胞内液量、細胞外液量、心拍出量、活動量、又は基礎体温等であるが、これらに限られない。後述するように、測定装置30は、測定した生体情報を読取装置20に読み取らせるための、NFC等の通信部34を備える。
【0026】
サーバ40は、診療対象者ごとに電子カルテを管理する情報処理装置である。電子カルテは、例えば、測定装置30が測定した生体情報、及び、タブレット端末10において入力された診療対象者の進捗情報を記録する。本実施形態において、サーバ40はWS(Work Station)により実現されるが、サーバ40は、PC(Personal Computer)等の任意の情報処理装置により実現されてもよい。
【0027】
医療システム1において、タブレット端末10は、読取装置20が診療対象者の生体情報を測定装置30から読み取った場合に、直ちに、又は、予め定められた操作がなされたことに応じて、診療対象者の進捗情報を入力するための入力画面を表示部に表示させる。このように、タブレット端末10は、NFC等を用いた生体情報の読取りを契機とした一連の操作により進捗情報を入力するための入力画面を表示させるため、ユーザーは、測定された生体情報の読取りと、進捗情報の入力とを連続操作により実施することができる。したがって、タブレット端末10によれば、医療従事者において既に確立している日常業務のフローを変えることなく診療に関する情報の取扱いを改善することが可能である。
【0028】
なお、読取装置20が測定装置30から読み取った診療対象者の生体情報は、タブレット端末10からネットワーク50を介してサーバ40へ送信されるだけでなく、先に読取装置20からネットワーク50を介してサーバ40へ送信された後に、サーバ40からネットワーク50を介してタブレット端末10に送られる構成としてもよい。更には、読取装置20とタブレット端末10、及びサーバ40が直列的に接続された構成ではなく、読取装置20に対して、タブレット端末10とサーバ40とが並列的に接続された構成とし、読取装置20で読み取った診療対象者の生体情報を、タブレット端末10とサーバ40の双方に送信する構成としてもよい。
【0029】
また、タブレット端末10は、測定装置30が測定した診療対象者の生体情報を受け取った場合に、直ちに、又は、予め定められた操作がなされたことに応じて、診療対象者の進捗情報を入力するための入力画面を表示部に表示させればよく、その際に、測定装置30が測定した生体情報を表示しても、表示しなくてもよい。タブレット端末10は、測定装置30が測定した生体情報を表示する場合において、測定装置30で得た生体情報の全情報を表示してもよいし、得た生体情報の一部を表示してもよいし、生体情報と同等の情報を文章又は図表等で置き換えて表示してもよい。
【0030】
(タブレット端末)
図1に示すように、タブレット端末10は、制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、及び出力部15を備える。
【0031】
制御部11は、少なくとも1つのプロセッサを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサ、又は、特定の処理に特化した専用のプロセッサを含む。制御部11は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、デジタル信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)、プログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの任意の組合せを含んでよい。制御部11は、プロセッサに内蔵されるメモリ又はプロセッサとは独立したメモリを含んでよい。制御部11は、タブレット端末10の各部を制御しながら、タブレット端末10の動作に関わる処理を実行する。
【0032】
記憶部12は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)である。RAMは、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。ROMは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。記憶部12は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部12には、タブレット端末10の動作に用いられるデータと、タブレット端末10の動作によって得られたデータとが記憶され得る。例えば、記憶部12は、測定装置30により測定された診療対象者の生体情報、及び、診療対象者の進捗情報等を記憶してもよい。
【0033】
通信部13は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信部13には、読取装置20と通信するための通信用インタフェース、及び、サーバ40と通信するための通信用インタフェースが含まれてもよい。通信用インタフェースは、例えば、USB、有線LAN、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、又は、4G(4th Generation)規格、若しくは5G(5th Generation)規格等の移動通信規格に対応したインタフェースである。通信部13は、タブレット端末10の動作に用いられるデータを受信し、またタブレット端末10の動作によって得られるデータを送信する。
【0034】
入力部14は、少なくとも1つの入力用インタフェースを含む。本実施形態では、入力用インタフェースは出力部15の表示部(ディスプレイ)と一体的に設けられたタッチスクリーンであるが、入力用インタフェースは任意である。例えば、入力部14は、物理キー、静電容量キー、又はポインティングデバイスでもよい。入力部14は、タブレット端末10の動作に関するユーザーの操作を受け付ける。入力部14は、タブレット端末10に備えられる代わりに、外部の入力機器としてタブレット端末10に接続されてもよい。
【0035】
出力部15は、少なくとも1つの出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ(表示部)である。ディスプレイは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。出力部15は、タブレット端末10の動作によって得られるデータを出力する。出力部15は、タブレット端末10に備えられる代わりに、外部の出力機器としてタブレット端末10に接続されてもよい。
【0036】
タブレット端末10の機能は、本実施形態に係るプログラム(診療対象者情報管理プログラム)を、制御部11としてのプロセッサで実行することにより実現されてもよい。プログラムは、タブレット端末10の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータをタブレット端末10として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従ってタブレット端末10の動作を実行することによりタブレット端末10として機能する。
【0037】
プログラムは、非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体に記憶しておくことができる。非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、フラッシュメモリ、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又はROMである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記憶したSD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)、又はCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬型媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。プログラムをクラウドのストレージに格納しておき、クラウドから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させてもよい。プログラムをプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0038】
コンピュータは、例えば、可搬型媒体に記憶されたプログラム又はクラウドから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにクラウドからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。クラウドからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって処理を実行してもよい。プログラムは、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものを含む。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0039】
タブレット端末10の一部又は全ての機能が、制御部11としてのプログラマブル回路又は専用回路により実現されてもよい。すなわち、タブレット端末10の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0040】
(読取装置)
図1に示すように、読取装置20は、制御部21、記憶部22、読取部23、及び通信部24を備える。
【0041】
制御部21は、少なくとも1つのプロセッサを含む。プロセッサの種類及び構成は、タブレット端末10の制御部11と同様に任意である。制御部21は、読取装置20の各部を制御しながら、読取装置20の動作に関わる処理を実行する。
【0042】
記憶部22は、少なくとも1つのメモリを含む。メモリの種類及び構成は、タブレット端末10の記憶部12と同様に任意である。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部22には、読取装置20の動作に用いられるデータと読取装置20の動作によって得られたデータとが記憶され得る。例えば、記憶部22は、測定装置30により測定された診療対象者の生体情報等を記憶してもよい。
【0043】
読取部23は、診療対象者の生体情報を測定装置30から読み取るための少なくとも1つのインタフェースを含む。例えば、読取部23は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)又は無線LAN等の任意の通信方式のインタフェースを含んでもよい。
【0044】
通信部24は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信部24には、タブレット端末10と通信するための通信用インタフェースが含まれてもよい。通信用インタフェースは、例えば、USBケーブル、有線LAN、無線LAN、又はBluetooth(登録商標)等の任意のインタフェースである。通信部24は、読取部23が測定装置30から読み取った診療対象者の生体情報をタブレット端末10へ送信してもよい。
【0045】
なお、読取装置20をタブレット端末10内に設け、タブレット端末10内に設けられた読取装置20がBluetooth(登録商標)やNFC等の無線方式による無線通信により測定装置30と通信することによって、測定装置30が測定した診療対象者の生体情報を読み取ってもよい。
【0046】
(測定装置)
図1に示すように、測定装置30は、制御部31、記憶部32、測定部33、及び通信部34を備える。
【0047】
制御部31は、少なくとも1つのプロセッサを含む。プロセッサの種類及び構成は、タブレット端末10の制御部11と同様に任意である。制御部31は、測定装置30の各部を制御しながら、測定装置30の動作に関わる処理を実行する。
【0048】
記憶部32は、少なくとも1つのメモリを含む。メモリの種類及び構成は、タブレット端末10の記憶部12と同様に任意である。記憶部32は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部32には、測定装置30の動作に用いられるデータと測定装置30の動作によって得られたデータとが記憶され得る。例えば、記憶部32は、測定部33により測定された診療対象者の生体情報等を記憶してもよい。
【0049】
測定部33は、診療対象者の生体情報を測定するための少なくとも1つのセンサを含む。測定部33が測定する生体情報は、例えば、体温、血圧(最高血圧、最低血圧等)、血糖値、酸素飽和度(SpO2)、脈拍、呼吸数、体重、脂肪重量、除脂肪重量、体水分量、細胞内液量、細胞外液量、心拍出量、活動量、又は基礎体温等であるが、これらに限られない。
【0050】
通信部34は、診療対象者の生体情報を読取装置20へ送信するための少なくとも1つのインタフェースを含む。例えば、通信部34は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)又は無線LAN等の任意の通信方式のインタフェースを含んでもよい。
【0051】
(サーバ)
図1に示すように、サーバ40は、制御部41、記憶部42、通信部43、入力部44、及び出力部45を備える。サーバ40の制御部41、記憶部42、通信部43、入力部44、及び出力部45の構成は、タブレット端末10の制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、及び出力部15と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0052】
(診療対象者情報管理システムの動作)
図2は、診療対象者情報管理システムのタブレット端末10の動作の一例を示すフローチャートである。
図2を参照して説明するタブレット端末10の動作は診療対象者情報管理システムの制御方法の一つに相当し得る。
図2の各ステップの動作は、タブレット端末10の制御部11による制御に基づき実行され得る。以下、一例として、理学療法士が、診療対象者に対してリハビリを実施した後に、測定装置(酸素飽和度測定器)30を使用して診療対象者の酸素飽和度を測定した後に実行される処理を説明する。
【0053】
ステップS1において、制御部11は、生体情報の読取操作を行うようにユーザー(理学療法士)に通知する。具体的には、例えば、制御部11は、測定装置30の通信部34を読取装置20の読取部23付近に接触させることを促す画像を出力部15の表示部に表示させてもよい。
【0054】
図3は、
図1のタブレット端末10に表示される画面60の一例を示す図である。
図3の例では、画面60は、「計測機を2秒間タッチしてください」の表示と併せて、測定装置30(「計測機」、61)を読取装置20(62)に接触させている画像63を表示することで、生体情報(バイタル情報)の読取操作を分かりやすく示している。
【0055】
ステップS2において、制御部11は、読取装置20が測定装置30から生体情報を読み取ることが可能な状態にする。具体的には、制御部11は、読取装置20に対し、読取部23が生体情報を読取り可能となるように指示する情報を、通信部13を介して送信する。なお、制御部11は、ステップS1の処理よりも前にステップS2の処理を行ってもよい。
【0056】
読取装置20は、タブレット端末10から指示を受信すると、読取部23が生体情報を読取り可能となるように制御する。この状態でユーザーが測定装置30の通信部34を読取装置20の読取部23付近に接触させると、読取装置20の読取部23は、NFC通信により、測定装置30の通信部34から、診療対象者の酸素飽和度等の生体情報、及び測定日時等の情報を取得する。読取装置20は、生体情報及び測定日時等の情報を測定装置30から取得すると、これらの情報をタブレット端末10へ送信する。
【0057】
ステップS3において、制御部11は、読取装置20が診療対象者の生体情報を読み取ったか否かを判定する。具体的には、制御部11は、生体情報及び測定日時等の情報を読取装置20から受信すると、読取装置20が診療対象者の生体情報を読み取ったと判定する。制御部11は、読取装置20が診療対象者の生体情報を読み取った場合(ステップS3でYES)はステップS4へ進み、そうでない場合(ステップS3でNO)はステップS3の処理を継続して、読取装置20が診療対象者の生体情報を読み取るまで待機する。なお、制御部11は、読取装置20が読取り可能な状態になってから一定時間(例えば、15秒)が経過しても、読取装置20における生体情報の読取りが確認できなかった場合、フローチャートの処理を終了してもよい。
【0058】
なお、本診療対象者情報管理システムでは、読み取った診療対象者の生体情報を、読取装置20から、先にネットワーク50を介してサーバ40へ送信し、サーバ40からネットワーク50を介してタブレット端末10に送られる構成とすることもできる。この場合には、サーバ40から診療対象者の生体情報がタブレット端末10に送られたことに応じて、制御部11は、読取装置20が診療対象者の生体情報を読み取った(ステップS3でYES)と判定する。更には、読取装置20から、診療対象者の生体情報が、ネットワーク50を介してサーバ40へ送信される際に、診療対象者の生体情報そのものではなく、読取装置20が診療対象者の生体情報を読取ったという事実のみを信号情報としてタブレット端末10に送信し、制御部11は、その信号情報を受け取ったことで、読取装置20が診療対象者の生体情報を読み取った(ステップS3でYES)と判定してもよい。
【0059】
ステップS4において、制御部11は、ユーザーから、予め定められた操作がなされたか否かを判定する。例えば、制御部11は、生体情報及び測定日時等の情報を読取装置20から受信すると、読取り完了を示す画像とともに次の操作に進むための画像(例えば、「次へ」又は「OK」等の画像)を出力部15の表示部に表示してもよい。制御部11は、そのような画像がユーザーにより選択されると、予め定められた操作がなされたと判定してもよい。あるいは、制御部11は、物理的なボタン又はスイッチが押下されたことにより、予め定められた操作がなされたと判定してもよい。制御部11は、予め定められた操作がなされた場合(ステップS4でYES)はステップS5へ進み、そうでない場合(ステップS4でNO)はステップS4の処理を継続して、予め定められた操作がなされるまで待機する。
【0060】
なお、制御部11は、生体情報の読取りがなされてから一定時間(例えば、15秒)が経過しても、予め定められた操作がなされなかった場合、フローチャートの処理を終了してもよい。また、制御部11は、ステップS4の処理を省略してもよい。すなわち、制御部11は、ステップS3で生体情報の読取りが判定されると直ちにステップS5へ進んでもよい。
【0061】
ステップS5において、制御部11は、診療対象者の診療の進捗に関する情報を入力するための入力画面を出力部15の表示部に表示させる。
図4A~
図4Dは、
図1のタブレット端末10に表示される画像の一例を示す図である。
図4A~
図4Dはいずれも診療対象者の進捗情報の入力画面の一例を示している。
【0062】
図4Aは、進捗情報の入力画面の一例として、離床プログラムにおいて実施されるリハビリ(リハビリテーション)の進捗を入力するための入力画面70を示している。入力画面70には、診療対象者の現在の診療の進捗状況を示す画像(進捗画像)71が含まれる。画像71は、リハビリの進捗状況を、安静の必要性が高いステージ1の「ベッド上安静」(ベッド上で安静にする必要がある)から安静の必要性が低いステージ6の「構内自由」(病院等の構内を自由に歩き回ることができる)までの6段階で示している。
図4Aの例において、画像71は、診療対象者のリハビリの現在の進捗状況がステージ3の「室内自由」(病室等の室内を自由に歩き回ることができる)にあることを示している。入力画面70は、直前に読み取った酸素飽和度等の生体情報を含んでいてもよい。
【0063】
入力画面70は、診療対象者のリハビリの進捗状況の入力を、「ステージUp無し」の画像72と、「ステージUpしました」の画像73とのいずれかをユーザーが選択可能に表示している。ユーザーは、リハビリ実施後の診療対象者の状態がステージ4の「フロアトイレ」(病室等と同一フロアのトイレまで移動できる)まで回復していると判断した場合、画像73を選択する。ユーザーは、リハビリ実施後の診療対象者の状態がステージ3から回復していないと判断した場合、画像72を選択する。なお、制御部11は、入力画面70として、診療対象者の症状が悪化した場合に選択される、「ステージDownしました」等の画像を出力部15の表示部に更に表示してもよい。また、制御部11は、2段階以上のステージUp又はステージDownを入力するための画像を出力部15の表示部に更に表示してもよい。例えば、制御部11は、2段階又は3段階など、ステージUp又はステージDownする段階の数が異なる複数の選択画像を表示してもよい。あるいは、例えば、制御部11は、「ステージUpしました」及び「ステージDownしました」等の画像を表示し、そのような画像が選択された回数により、ステージ移行の段階数をユーザーが入力可能としてもよい。さらに、制御部11は、選択回数を、「ステージUpしました」が選択された際には+1、「ステージDownしました」が選択された際には-1として積算し、このような積算値及び該当するステージ数等を画像として出力部15の表示部に更に表示してもよい。このような構成によれば、ユーザーは、「ステージUpしました」及び「ステージDownしました」等の画像の選択の状況を容易に認識することが可能になる。
【0064】
制御部11は、画像72,73のいずれかがユーザーのタッチ操作により選択されると、選択された画像72,73の色等を変化させて表示することで、選択された画像が判別しやすいようにしてもよい。また、制御部11は、画像72,73のいずれかがユーザーのタッチ操作により選択されると、「決定」の画像74の色等を変化させて表示することで、画像74の選択が可能となったことが判別しやすくなるようにしてもよい。ユーザーは、画像72,73のいずれかを選択した後、画像74を選択して、入力操作を終了する。
【0065】
このように、タブレット端末10は、診療対象者の進捗状況を自由文ではなく、診療の進捗に関する複数の選択肢の中から選択肢を選択することが可能な画面を入力画面として表示させる。そのため、タブレット端末10によれば、診療の進捗のような定性的な情報をユーザー(入力者及び閲覧者)の解釈によらない統一的な形式で入力することが可能である。また、ユーザーは、簡易な選択操作により診療の進捗を入力することができるため、電子カルテの入力作業負担を軽減することが可能である。さらに、タブレット端末10は、診療対象者の現在の診療の進捗状況を示す画像71を含む画面(入力画面70)を入力画面として、出力部15の表示部に表示させる。したがって、ユーザーは、診療対象者の現在の診療の進捗状況を確認しながら、進捗情報を入力することが可能である。また、入力画面70が直前に取得した生体情報を含んでいる場合、ユーザーは、当該生体情報を参考にして、正確にステージUpの有無を判断することが可能である。
【0066】
図4Bは、進捗情報の入力画面の一例として、診療対象者が可能な日常生活動作(ADL:Activity of Daily Living)を入力するための入力画面80を示している。
図4Bの例において、入力画面80には、歩行(移動方法)の種類と、その種類の歩行によって自力で移動可能な距離の入力欄が含まれる。入力域81は、「退院目標」(退院時における目標)における、自力で移動可能な距離を入力するための領域である。入力域82は、「退院目標」における、歩行の種類を選択するための領域である。入力域83は、現在の状況において自力で移動可能な距離を入力するための領域である。入力域84は、現在の状況において歩行の種類を選択するための領域である。入力域81,82には、事前に設定されている退院目標の歩行に関する情報が表示されてもよい。入力域83,84には、事前に設定されている現状の歩行に関する情報が表示されてもよい。
【0067】
入力域81,83が選択されると、制御部11は、数値を選択するためのユーザーインタフェースを出力部15の表示部に表示して、数値の入力を受け付けてもよい。入力域82,84が選択されると、制御部11は、「独歩」、「杖歩行」、「歩行器」、「車椅子」、「離床」及び「離床困難」等の選択肢の中からいずれかを選択可能なプルダウンメニューを表示してもよい。ユーザーは、入力域81~84に表示された情報を確認し、その情報を変更する必要がない場合は「このまま終了」の画像85を選択する。入力域81~84に表示された情報を変更する場合、ユーザーは、入力域81~84に変更後の情報を入力した上で、「変更」の画像86を選択する。
【0068】
このように、タブレット端末10は、診療対象者の診療の進捗に関する定量的な情報を入力するための入力域81,83を含む画面を入力画面として、出力部15の表示部に表示させる。また、タブレット端末10は、入力域82,84において歩行の種類についての複数の選択肢を表示して、ユーザーの選択を受け付ける。したがって、タブレット端末10によれば、さまざまな種類のユーザーがタブレット端末10を操作した場合であっても、そのユーザー(入力者及び閲覧者)の主観及び解釈等に依らずに、診療の進捗のような定性的な情報を統一的な形式で入力することが可能である。また、入力された情報は、統一的な形式で入力されているため、閲覧者も容易かつ効率的に入力された情報を理解することができる。また、ユーザーは、簡易な選択操作により診療の進捗を入力することができるため、電子カルテの入力作業負担を軽減することが可能である。さらに、タブレット端末10は、入力域83,84において診療対象者の現在の診療の進捗状況を示した上で、その進捗状況に対する変更の入力を受け付ける。したがって、ユーザーは、診療対象者の現在の診療の進捗状況を認識して、変更が必要な情報を効率的かつ確実に入力することができる。また、タブレット端末10は、診療対象者の現在の診療の進捗状況を示す画像(進捗画像)83,84に加えて、診療対象者の診療の進捗状況に応じた目標(マイルストーン)を示す画像(目標画像)81,82を更に含む画面を入力画面として、表示させる。したがって、ユーザーは、目標と現状との差分(ギャップ)を容易に認識することが可能である。
【0069】
図2の説明に戻る。ステップS6において、制御部11は、診療対象者の診療の進捗に関する情報の入力が終了したか否かを判定する。制御部11は、情報の入力が終了した場合(ステップS6でYES)はステップS7へ進み、そうでない場合(ステップS6でNO)はステップS6において引き続き情報の入力の受け付けを継続する。制御部11は、例えば、
図4Aの「決定」の画像74、並びに、
図4Bの「このまま終了」の画像85、又は、「変更」の画像86がユーザーにより選択された場合、情報の入力が終了したと判定してもよい。
【0070】
ステップS7において、制御部11は、診療対象者の診療の進捗を詳細に示す進捗画面を出力部15の表示部に表示する。
図5は、
図1のタブレット端末10に表示される進捗画面90の一例を示す図である。進捗画面90は、
図4Aの画像71により示されるリハビリの進捗状況をより詳細に示しており、例えば、
図4Aの「決定」の画像74が選択された場合に表示されてもよい。
【0071】
進捗画面90は、離床プログラムにおいて実施されるリハビリの進捗に関する段階(ステージ1~6)に対して、リハビリが行われた回数を図柄91,92により示している。
図5に示すように、制御部11は、ある進捗段階(例えば、ステージ1)においてリハビリが1回行われるごとに、その段階に対応する列の下の行から順に図柄91を表示する。
図4Aで画像73が選択された場合のように、リハビリのステージが終了すると、制御部11は、その段階のリハビリが終了したことを示す図柄92を表示する。したがって、ユーザーは、リハビリの進捗の各段階において、リハビリの回数及びその段階のリハビリが終了したか否かを容易かつ直感的に認識することが可能である。
【0072】
リハビリは定期的(例えば、毎日、隔日、又は週1回等)に行われることが一般的である。その場合、リハビリの各段階に対応する列に表示される図柄91,92の個数は、診療対象者がその段階における診療に要した時間に対応する。すなわち、進捗画面90は、診療の進捗に関する段階に対して、その段階における診療において診療対象者に対して実施されたリハビリの回数の情報を時間情報(診療対象者がその段階における診療に要した時間に関する情報)として示している。したがって、ユーザーは、離床プログラムの各段階において実施されたリハビリの回数により各段階にどの程度時間がかかったかを容易かつ直感的に認識することができる。なお、制御部11は、診療の進捗に関する段階において診療に要した時間に関する時間情報を、リハビリの回数だけでなく、例えば、日数又は診察回数等によって示してもよい。このように、タブレット端末10は、定性的情報からなる診療進捗を図表等で分かり易く表示する。そのため、ユーザーは、その場で結果のサマリーを見ることができ、診療対象者の診療進捗状況を容易かつ直感的に把握することができる。さらに、ユーザーは、診療対象者の診療進捗を傾向毎に分類することで、診療対象者間の推移を比較したり、診療対象者の将来の推移を推察したりすることができる。
【0073】
ステップS8において、制御部11は、ユーザーによって入力されたデータをサーバ40へ送信する。サーバ40は、タブレット端末10から受信したデータに基づき電子カルテの情報を更新する。そして、制御部11は、フローチャートの処理を終了する。なお、ユーザーによって入力されたデータに加え、またはその代りとして、制御部11は、進捗画面90をサーバ40へ送信してもよい。さらに、制御部11は、ステップS7の処理よりも前にステップS8の処理を行ってもよい。
【0074】
以上のように、診療対象者情報管理システムとしてのタブレット端末10は、診療対象者の生体情報を測定する測定装置30から、測定装置30により測定された生体情報を読み取る読取装置20と通信可能に接続される。そして、タブレット端末10は、読取装置20が診療対象者の生体情報を読み取った場合に、直ちに、又は、予め定められた操作がなされたことに応じて、診療対象者の診療の進捗に関する情報を入力するための入力画面を出力部15の表示部に表示させる。したがって、タブレット端末10は、NFC等を用いた生体情報の読取りを契機とした一連の操作により進捗情報を入力するための入力画面を表示させるため、ユーザーは、測定された生体情報の読取りと、進捗情報の入力とを連続操作により効率的に実施することができる。したがって、タブレット端末10によれば、医療従事者において既に確立している日常業務のフローを変えることなく診療に関する情報の取扱いを改善することが可能である。
【0075】
なお、
図3~
図5の例において、タブレット端末10は、酸素飽和度の読み込みに応じて、離床プログラム又はADLに関する診療の進捗に関する入力画面を表示したが、タブレット端末10は、読み込んだ酸素飽和度等の生体情報をグラフ等により表示してもよい。
【0076】
また、タブレット端末10は、診療対象者の診療の進捗に関する情報を、統一された用語からなる複数の選択肢から選択したり、あるいは、定量的な情報として入力したりすることが可能な入力フォームを含む入力画面を表示する。したがって、タブレット端末10によれば、診療の進捗のような定性的な情報をユーザーの解釈によらない統一的な形式で入力することができ、診療の進捗に関する精度の高い情報を正確に伝達することが容易になる。また、タブレット端末10は、選択肢からの選択又は数値入力等により診療の進捗に関する情報の入力を受け付けるため、ユーザーの情報の叙述記載による入力作業負担を軽減することが可能である。
【0077】
また、タブレット端末10は、入力画面を介して診療対象者の診療の進捗に関する情報が入力されたことに応じて、診療の進捗に関する段階に対して、診療対象者がその段階における診療に要した時間に関する情報である時間情報を示す進捗画面を表示させる。例えば、タブレット端末10は、診療の進捗に関する段階に対して、その段階における診療において前記診療対象者に対して実施されたリハビリテーションの回数の情報を時間情報として示す画面を、進捗画面として、出力部15の表示部に表示させる。したがって、ユーザーは、診療の進捗に関する各段階にどの程度時間がかかっているかを容易に把握することができる。
【0078】
また、タブレット端末10は、診療対象者の診療の進捗に応じた直近の達成目標、最終的な達成目標、及び、診療の進捗に関する各段階における達成目標、の少なくともいずれかを示す画像を目標画像として含む入力画面を、出力部15の表示部に表示させる。したがって、ユーザーは、診療の進捗に関する情報を入力する際に、目標と現状との差分を認識することが可能である。
【0079】
図4Aにおいて、入力画面70は、ユーザー(入力者)が理学療法士である場合の例として、画面の上部に現在のリハビリステージを表示し(画像71)、画面の下部にリハビリのステージアップの有無を入力するための画像72,73を表示している。
図4Bは、診療対象者の日常生活動作についての目標及び現状を表示し、ユーザーが変更を入力するための入力画面80を示している。
【0080】
図2のステップS5で表示する入力画面の他の例として、
図4Cは、入力者が看護師である場合に、看護師が使用する安静度基準における現在の安静度と介助度を項目毎に入力するための入力画面100を示している。看護師が使用する安静度の項目としては、例えば「歩行」、「入浴」、及び「トイレ」などがあり、他にも「更衣」、及び「移乗」などが含まれてもよい。
図4Cの例において、入力画面100は、「歩行」、「入浴」及び「トイレ」の各項目について、安静度の段階を入力するための入力域101,103,105と、介護度の段階を入力するための入力域102,104,106とを含む。各入力域101~106は、診療対象者について設定されている安静度及び介護度を表示し、内容の変更をユーザーから受け付ける。例えば「歩行」についての安静度の段階には、安静の必要性が高い方から順に、「不可」、「離床のみ」、「病室内」、「病棟フロア内」、及び「病院内自由」が含まれてもよい。例えば「入浴」についての安静度の段階には、安静の必要性が高い方から順に、「ベッド上清拭」、「シャワー浴」、及び「入浴」が含まれてもよい。例えば「トイレ」についての安静度の段階には、安静の必要性が高い方から順に、「ベッド上」、「病室内」、「病棟近場」、及び「自由」が含まれてもよい。また、「歩行」、「入浴」、及び「トイレ」の各項目に関する介助度の段階には、介助の必要性が高い方から順に、例えば、「要介助」、「転倒注意」、「要観察」、及び「なし」が含まれてもよい。制御部11は、入力域101~106のいずれかが選択されたことに応じて、その入力域101~106で選択可能な選択肢をドロップダウン表示して、ユーザーから選択を受け付けてもよい。ユーザーは、入力域101~106に表示された情報を確認し、その情報を変更する必要がない場合は「戻る」の画像107を選択する。入力域101~106に表示された情報を変更する場合、ユーザーは、入力域101~106に変更後の情報を入力した上で、「決定」の画像108を選択する。制御部11は、「決定」の画像108の選択に応じて、入力域101~106に入力された値により、診療対象者の情報を登録して更新する。
【0081】
制御部11は、ユーザー(入力者)がタブレット端末10にログインする際に、ログインしたユーザーの職種を記憶部12から読み出し、ユーザーの職種に応じて出力部15に表示させる入力画面の表示内容及び入力項目等を変化させてもよい。例えば、制御部11は、ログインしたユーザーが理学療法士の場合、
図4Aのように、リハビリステージのステージUpの有無を入力するための画像72、73を出力部15の表示部に表示してもよい。あるいは、制御部11は、ログインしたユーザーが看護師の場合、
図4Cのように、「歩行」、「トイレ」、「入浴」について現在の安静度と「介助度」を出力部15の表示部に表示し、「歩行」、「トイレ」、「入浴」に関する安静度及び介助度について、変更を入力するための入力域101~106を表示してもよい。このように、制御部11は、診療対象者情報管理システムにログインしたユーザーの職種に応じた表示内容を含む、診療対象者の診療の進捗に関する情報を入力するための入力画面を出力部15の表示部に表示させてもよい。したがって、ユーザーの職種に応じて入力画面の表示内容が変化するため、ユーザーは、同一の診療対象者について、職種に応じて着目した内容を効率的に入力することが可能である。
【0082】
その他の例として、例えば、制御部11は、同一の診療対象者について、複数の入力者が診療の進捗状況を入力する状況において、ある職種のユーザーが入力操作を行ったときは、その入力結果に応じて、他の職種のユーザーに提供する入力画面の表示内容を変化させてもよい。例えば、病棟における安静度と介助度について、ある職種(例えば、理学療法士)の者が入力者(ユーザー)となって、
図4Cの入力画面100を介してある診療対象者に関する入力を行い、その結果に対して、別の職種(例えば、看護師)の者が追加入力者となって、その診療対象者に関する入力を行う場合を考える。
図4Dは、そのような別の職種のユーザーに提供される入力画面110の一例を示している。
【0083】
図4Dにおいて、入力画面110は、「歩行」、「トイレ」、及び「入浴」の項目について、
図4Cの入力画面100を介して入力された安静度と介助度の入力結果が初期値として予め設定された入力域111,113,115を含む。制御部11は、入力域111,113,115のいずれかが選択されたことに応じて、その入力域111,113,115で選択可能な選択肢をドロップダウン表示して、ユーザーから選択を受け付けてもよい。入力域112,114,116は、「歩行」、「入浴」及び「トイレ」の各項目に入力された内容に対して、「OK」か「要注意」かの追加情報を入力するための領域である。ユーザーは、入力域111~116に表示された情報を確認し、その情報を変更又は追加する必要がない場合は「このまま終了」の画像117を選択する。ユーザーは、入力域111~116に情報を追加又は変更した場合、「変更」の画像118を選択する。制御部11は、「変更」の画像118の選択に応じて、入力域111~116に入力された値により、診療対象者の変更された情報を登録する。
【0084】
例えば、理学療法士は、リハビリ室での診療対象者の様子及び診療結果等を元に
図4Cの入力画面100を介して入力を行う。その後、看護師は、病棟での診療対象者の様子及び診療結果等を元に、「OK」か「要注意」かの情報を
図4Dの入力画面110の入力域112,114,116を介して追加入力する。診療対象者の安静度及び介助度は、例えば、確認する場面及び頻度等によって異なる。そこで、タブレット端末10は、理学療法士がリハビリ室で確認した診療進捗に関する情報と、看護師が病棟で確認した診療進捗に関する情報との入力を互いに異なる入力画面を介して受け付ける。タブレット端末10は、職種及び他のユーザーの入力内容に応じて異なる表示内容を含む入力画面を介して入力された情報を統合された情報として記録する。したがって、診療対象者情報管理システムによれば、より正確な診療対象者の状態把握及び共有が可能となる。
【0085】
このように、制御部11は、診療対象者の診療の進捗に関する情報の入力画面において、第1の職種のユーザーが入力者として入力操作を行った場合、第1の職種のユーザーの入力結果に基づき、第2の職種のユーザーに対する入力画面の表示内容を決定してもよい。制御部11は、第2の職種のユーザーに対して、決定された表示内容を含む入力画面を出力部15の表示部に表示させてもよい。このように、同一の診療対象に対して複数の職種のユーザーが情報を入力する状況において、タブレット端末10は、ある職種のユーザーの入力結果に応じて別の職種のユーザーの入力画面の表示内容を変化させる。したがって、それぞれ着眼点が異なる複数の職種のユーザーは、円滑に共同作業を行うことが可能である。よって、医療従事者において既に確立している日常業務のフローを変えることなく診療に関する情報の取扱いを改善することができる。
【0086】
なお、上記例において、タブレット端末10は、
図4Cの入力画面100を介して情報の入力を受け付けた後に、
図4Dの入力画面110を介して情報の変更又は追加の入力を受け付けたが、このような動作に限られない。例えば、タブレット端末10は、
図4Dの入力画面110を介して情報の入力を受け付けた後に、
図4Cの入力画面100を介して情報の変更を受け付けてもよい。また、タブレット端末10は、理学療法士のユーザーに
図4Cの入力画面100を提供し、看護師のユーザーに
図4Dの入力画面110を提供するのではなく、例えば、理学療法士に入力画面110を提供し、看護師に入力画面100を提供してもよい。また、
図4A~
図4Dに示した入力画面は一例であり、他の形式及び内容の入力画面が用いられてもよい。職種に応じた入力画面の内容及び構成、ある職種のユーザーの入力内容に応じた他のユーザーに提供される入力画面の内容及び構成等は、診療進捗に関する情報の種類及び特性、診療対象者の状態、並びに、病院における既存の診療フロー等に鑑み選択されてもよい。
【0087】
職種間で異なる入力画面を表示させるために、タブレット端末10は、ユーザー(入力者)がタブレット端末10にログインする際に、ログインしたユーザーの職種を記憶部12から読み出し、ユーザーの職種に応じて出力部15に表示させる入力画面の表示内容及び入力項目等を変化させてもよい。例えば、タブレット端末10は、ログインしたユーザーが理学療法士の場合、
図3のように、リハビリ時のバイタル読込画面(画面60)を表示した後に、
図4A、
図4B、及び
図4Cの入力画面70,80,100を順次表示してもよい。また、例えば、タブレット端末10は、ログインしたユーザーが看護師の場合、日々のバイタル計測業務の入力操作に対して、
図3のようなバイタル読込画面(画面60)を表示した後に、
図4Dの入力画面110を表示してもよい。
【0088】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックは統合されてもよいし、又は一つのブロックは分割されてもよい。フローチャートに記載の複数のステップは、記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行されてもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。また、例えば、上述した実施形態において、タブレット端末10の構成及び動作を、互いに通信可能な複数のコンピュータに分散させた実施形態も可能である。また例えば、タブレット端末10の一部の機能を他の装置に設けた実施形態も可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 医療システム
10 タブレット端末
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入力部
15 出力部
20 読取装置
21 制御部
22 記憶部
23 読取部
24 通信部
30 測定装置
31 制御部
32 記憶部
33 測定部
34 通信部
40 サーバ
41 制御部
42 記憶部
43 通信部
44 入力部
45 出力部
50 ネットワーク
60 画面
61 測定装置の画像
62 読取装置の画像
63 画像
70 入力画面
71~74 画像
80 入力画面
81~84 入力域
85,86 画像
90 進捗画面
91,92 図柄
100 入力画面
101~106 入力域
107,108 画像
110 入力画面
111~116 入力域
117,118 画像