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特開2024-51343診療対象者情報管理システム及び診療対象者情報管理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051343
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】診療対象者情報管理システム及び診療対象者情報管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20240404BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157464
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】230128026
【弁護士】
【氏名又は名称】駒木 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】矢部 滝太郎
(72)【発明者】
【氏名】本田 圭
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】診療対象者の診療の進捗を分かりやすく表示する。
【解決手段】診療対象者情報管理システム(10)は、診療の進捗に関する段階ごとに、診療対象者が当該段階における診療に要した時間に関する情報である時間情報を示す進捗画面を表示部(15)に表示させる、制御部(11)を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療の進捗に関する段階ごとに、診療対象者が当該段階における診療に要した時間に関する情報である時間情報を示す進捗画面を表示部に表示させる、制御部を備える、診療対象者情報管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記診療の進捗に関する各段階を第1の方向に示し、前記診療の進捗に関する前記段階の各々について、前記診療対象者が当該段階における診療に要した時間に関する前記時間情報を第2の方向に示すグラフ又は表を含む画面を前記進捗画面として、前記表示部に表示させる、請求項1に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記診療の進捗に関する各段階を前記第1の方向に示し、前記診療の進捗に関する前記段階の各々について、前記診療対象者が当該段階における診療に要した時間に関する前記時間情報を、前記第2の方向へ並置された図柄の個数によって示す表を含むマトリクス状の画面を前記進捗画面として、前記表示部に表示させる、請求項2に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記診療対象者の前記診療の進捗に関する前記段階の各々における診療に要した時間に関する前記時間情報の変化の傾向が、予め定められた複数のパターンのいずれに最も適合するかを判定し、
前記診療対象者の前記診療の進捗に関する前記段階の各々における診療に要した時間に関する前記時間情報の変化の傾向に最も適合すると判定された前記パターンを適合パターンとして出力する、
請求項1に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項5】
前記制御部は、
出力された前記適合パターンに基づき、前記診療対象者の診療に関する通知内容を決定し、
決定された前記通知内容をユーザに通知する、
請求項4に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記診療対象者の前記診療の進捗に関する前記段階の各々における従前の診療に要した時間に関する前記時間情報に基づいて、前記診療対象者の今後の診療の進捗に関する前記段階の各々における診療に要する時間を予測し、
前記予測された時間に関する情報を予測時間情報として出力する、
請求項1に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記診療対象者の前記診療の進捗に関する前記段階の各々における従前の診療に要した時間に関する前記時間情報と、複数の診療対象者についての、前記診療の進捗に関する前記段階の各々における診療に要した時間に関する前記時間情報と、を比較して、前記診療対象者の今後の診療の進捗に関する前記段階の各々における診療に要する時間に関する前記時間情報を予測する、請求項6に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項8】
前記制御部は、
出力された前記予測時間情報に基づき、前記診療対象者の診療に関する通知内容を決定し、
決定された前記通知内容をユーザに通知する、
請求項6に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項9】
前記制御部は、診療の進捗に関する段階ごとに、当該段階における診療において前記診療対象者に対して実施されたリハビリテーションの回数の情報を前記時間情報として示す画面を、前記進捗画面として、前記表示部に表示させる、請求項1に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項10】
診療に関する複数の項目を第1の方向に示し、前記診療に関する前記複数の項目の各々について、当該項目に関して診療対象者に実施された診療関連行為の回数を、第2の方向へ並置された図柄の個数によって示すマトリクス状の進捗画面を表示部に表示させる、制御部を備える、診療対象者情報管理システム。
【請求項11】
前記制御部は、
ある診療項目についての細分化された複数の診療行為の内容を前記複数の項目として前記第1の方向に示し、当該項目に関して前記診療対象者に実施された診療関連行為の前記回数を、前記第2の方向へ並置された前記図柄の個数によって示すマトリクス状の画面を前記進捗画面として前記表示部に表示させ、
前記図柄の各々は、当該図柄の形状、色、又は大きさにより、前記細分化された診療行為による目標への達成度合いを示す、
請求項10に記載の診療対象者情報管理システム。
【請求項12】
コンピュータに、診療の進捗に関する段階ごとに、診療対象者が当該段階における診療に要した時間に関する情報である時間情報を示す進捗画面を表示部に表示させる処理を実行させる、診療対象者情報管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、診療対象者情報管理システム及び診療対象者情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には医用情報処理装置において、被検体の診療に関する情報管理に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-187550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の医療用の情報処理システムにおいては、診療対象者の診療の進捗を分かりやすく表示するという観点から改善の余地があった。
【0005】
本開示の目的は、診療対象者の診療の進捗を分かりやすく表示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、診療対象者情報管理システムは、
(1)診療の進捗に関する段階ごとに、診療対象者が当該段階における診療に要した時間に関する情報である時間情報を示す進捗画面を表示部に表示させる、制御部を備える。
【0007】
(2)(1)の診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、前記診療の進捗に関する各段階を第1の方向に示し、前記診療の進捗に関する前記段階の各々について、前記診療対象者が当該段階における診療に要した時間に関する前記時間情報を第2の方向に示すグラフ又は表を含む画面を前記進捗画面として、前記表示部に表示させてもよい。
【0008】
(3)(2)の診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、前記診療の進捗に関する各段階を前記第1の方向に示し、前記診療の進捗に関する前記段階の各々について、前記診療対象者が当該段階における診療に要した時間に関する前記時間情報を、前記第2の方向へ並置された図柄の個数によって示す表を含むマトリクス状の画面を前記進捗画面として、前記表示部に表示させてもよい。
【0009】
(4)(1)から(3)のいずれかの診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、前記診療対象者の前記診療の進捗に関する前記段階の各々における診療に要した時間に関する前記時間情報の変化の傾向が、予め定められた複数のパターンのいずれに最も適合するかを判定し、前記診療対象者の前記診療の進捗に関する前記段階の各々における診療に要した時間に関する前記時間情報の変化の傾向に最も適合すると判定された前記パターンを適合パターンとして出力してもよい。
【0010】
(5)(4)の診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、出力された前記適合パターンに基づき、前記診療対象者の診療に関する通知内容を決定し、決定された前記通知内容をユーザに通知してもよい。
【0011】
(6)(1)から(5)のいずれかの診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、前記診療対象者の前記診療の進捗に関する前記段階の各々における従前の診療に要した時間に関する前記時間情報に基づいて、前記診療対象者の今後の診療の進捗に関する前記段階の各々における診療に要する時間を予測し、前記予測された時間に関する情報を予測時間情報として出力してもよい。
【0012】
(7)(6)の診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、前記診療対象者の前記診療の進捗に関する前記段階の各々における従前の診療に要した時間に関する前記時間情報と、複数の診療対象者についての、前記診療の進捗に関する前記段階の各々における診療に要した時間に関する前記時間情報と、を比較して、前記診療対象者の今後の診療の進捗に関する前記段階の各々における診療に要する時間に関する前記時間情報を予測してもよい。
【0013】
(8)(6)又は(7)の診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、出力された前記予測時間情報に基づき、前記診療対象者の診療に関する通知内容を決定し、決定された前記通知内容をユーザに通知してもよい。
【0014】
(9)(1)から(8)のいずれかの診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、診療の進捗に関する段階ごとに、当該段階における診療において前記診療対象者に対して実施されたリハビリテーションの回数の情報を前記時間情報として示す画面を、前記進捗画面として、前記表示部に表示させてもよい。
【0015】
本開示によれば、診療対象者情報管理システムは、
(10)診療に関する複数の項目を第1の方向に示し、前記診療に関する前記複数の項目の各々について、当該項目に関して診療対象者に実施された診療関連行為の回数を、第2の方向へ並置された図柄の個数によって示すマトリクス状の進捗画面を表示部に表示させる、制御部を備える。
【0016】
(11)(10)の診療対象者情報管理システムにおいて、前記制御部は、ある診療項目についての細分化された複数の診療行為の内容を前記複数の項目として前記第1の方向に示し、当該項目に関して前記診療対象者に実施された診療関連行為の前記回数を、前記第2の方向へ並置された前記図柄の個数によって示すマトリクス状の画面を前記進捗画面として前記表示部に表示させ、前記図柄の各々は、当該図柄の形状、色、又は大きさにより、前記細分化された診療行為による目標への達成度合いを示してもよい。
【0017】
本開示によれば、診療対象者情報管理プログラムは、
(12)コンピュータに、診療の進捗に関する段階ごとに、診療対象者が当該段階における診療に要した時間に関する情報である時間情報を示す進捗画面を表示部に表示させる処理を実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本開示の一実施形態によれば、診療対象者の診療の進捗を分かりやすく表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】医療システムの構成例を示す図である。
図2図1のタブレット端末の動作の一例を示すフローチャートである。
図3図1のタブレット端末に表示される画面の一例を示す図である。
図4A図1のタブレット端末に表示される画面の一例を示す図である。
図4B図1のタブレット端末に表示される画面の一例を示す図である。
図4C図1のタブレット端末に表示される画面の一例を示す図である。
図4D図1のタブレット端末に表示される画面の一例を示す図である。
図5A図1のタブレット端末に表示される進捗画面の一例を示す図である。
図5B図1のタブレット端末に表示される進捗画面の一例を示す図である。
図6A】進捗画面に基づき進捗グラフを生成する手順を説明する図である。
図6B】進捗画面に基づき進捗グラフを生成する手順を説明する図である。
図6C】進捗画面に基づき進捗グラフを生成する手順を説明する図である。
図7図1のタブレット端末の動作の一例を示すフローチャートである。
図8A】治療に要する時間情報の変化の一例を示す図である。
図8B】治療に要する時間情報の変化の一例を示す図である。
図8C】治療に要する時間情報の変化の一例を示す図である。
図9】進捗グラフの変化の傾向を説明する図である。
図10】進捗グラフの分類の一例を説明する図である。
図11図1のタブレット端末の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図面中、同一の構成又は機能を有する部分には、同一の符号を付している。本実施形態の説明において、同一の部分については、重複する説明を適宜省略又は簡略化する場合がある。
【0021】
(医療システム)
図1は、医療システム1の構成例を示す図である。図1に示すように、医療システム1は、タブレット端末10、医療機器20、サーバ30、及びネットワーク40を備える。タブレット端末10、医療機器20、及びサーバ30は、例えばインターネット及び移動体通信網等を含むネットワーク40と通信可能に接続される。以下、医療システム1における、タブレット端末10、医療機器20、及びサーバ30の個数はいずれも一つである例を説明するが、これらの装置の少なくともいずれかの個数が二つ以上であってもよい。タブレット端末10及び医療機器20のユーザは、診療対象者本人であってもよいし、医師及び看護士等の医療従事者であってもよい。
【0022】
本実施形態に係る診療対象者情報管理システムとしてのタブレット端末10は、診療対象者の診療の進捗に関する情報(進捗情報)の入力を受け付けたり、進捗情報を示す画面(進捗画面)を表示したりする情報処理装置である。タブレット端末10は、入力された進捗情報等を、ネットワーク40を介してサーバ30へ送信したり、サーバ30から進捗情報を受信したりする。本実施形態では、このような診療対象者情報管理システムがタブレット端末10により実現されるが、診療対象者情報管理システムは、例えば、スマートフォン、又はPC(Personal Computer)等の任意の情報処理装置により実現されてもよい。
【0023】
医療機器20は、診療対象者の生体情報を測定したり、診療対象者に対して投薬又は電気的刺激の印加等の治療行為を実行したりする装置である。以下、医療機器20は、診療対象者の生体情報を測定する場合の例を説明する。このような生体情報は、例えば体温、血圧(最高血圧、最低血圧等)、血糖値、酸素飽和度(SpO2)、脈拍、呼吸数、体重、脂肪重量、除脂肪重量、体水分量、体水分量、細胞内液量、細胞外液量、心拍出量活動量、又は基礎体温等であるが、これらに限られない。医療機器20は、このような生体情報を測定すると、測定した生体情報を診療対象者の識別情報(ID)と共にサーバ30へ送信する。
【0024】
サーバ30は、診療対象者ごとに電子カルテを管理する情報処理装置である。電子カルテは、例えば、医療機器20が測定した生体情報、及び、タブレット端末10において入力された診療対象者の進捗情報等を記録する。本実施形態において、サーバ30はWS(Work Station)により実現されるが、サーバ30は、PC等の他の任意の情報処理装置により実現されてもよい。
【0025】
医療システム1において、タブレット端末10は、診療の進捗に関する段階ごとに、診療対象者がその段階における診療に要した時間に関する情報である時間情報を示す進捗画面を、後述する出力部15の表示部に表示させる。したがって、ユーザは、診療の進捗に関する段階ごとに要した時間に関する情報を容易に認識することが可能である。
【0026】
(タブレット端末)
図1に示すように、タブレット端末10は、制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、及び出力部15を備える。
【0027】
制御部11は、少なくとも1つのプロセッサを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサ、又は、特定の処理に特化した専用のプロセッサを含む。制御部11は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、デジタル信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)、プログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの任意の組合せを含んでよい。制御部11は、プロセッサに内蔵されるメモリ又はプロセッサとは独立したメモリを含んでよい。制御部11は、タブレット端末10の各部を制御しながら、タブレット端末10の動作に関わる処理を実行する。
【0028】
記憶部12は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)である。RAMは、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。ROMは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。記憶部12は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部12には、タブレット端末10の動作に用いられるデータと、タブレット端末10の動作によって得られたデータとが記憶され得る。例えば、記憶部12は、診療対象者の進捗情報等を記憶してもよい。
【0029】
通信部13は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信部13には、医療機器20と通信するための通信用インタフェース、及び、サーバ30と通信するための通信用インタフェースが含まれてもよい。通信用インタフェースは、例えば、無線LAN、有線LAN、Bluetooth(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、NFC(Near Field Communication、近距離無線通信)又は、4G(4th Generation)規格、若しくは5G(5th Generation)規格等の移動通信規格に対応したインタフェースである。通信部13は、タブレット端末10の動作に用いられるデータを受信し、またタブレット端末10の動作によって得られるデータを送信する。
【0030】
入力部14は、少なくとも1つの入力用インタフェースを含む。本実施形態では、入力用インタフェースは出力部15の表示部(ディスプレイ)と一体的に設けられたタッチスクリーンであるが、入力用インタフェースは任意である。例えば、入力部14は、物理キー、静電容量キー、又はポインティングデバイスでもよい。入力部14は、タブレット端末10の動作に関するユーザの操作を受け付ける。入力部14は、タブレット端末10に備えられる代わりに、外部の入力機器としてタブレット端末10に接続されてもよい。
【0031】
出力部15は、少なくとも1つの出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ(表示部)である。ディスプレイは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。出力部15は、タブレット端末10の動作によって得られるデータを出力する。出力部15は、タブレット端末10に備えられる代わりに、外部の出力機器としてタブレット端末10に接続されてもよい。
【0032】
タブレット端末10の機能は、本実施形態に係るプログラム(診療対象者情報管理プログラム)を、制御部11としてのプロセッサで実行することにより実現されてもよい。プログラムは、タブレット端末10の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータをタブレット端末10として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従ってタブレット端末10の動作を実行することによりタブレット端末10として機能する。
【0033】
プログラムは、非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体に記憶しておくことができる。非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、フラッシュメモリ、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又はROMである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記憶したSD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)、又はCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬型媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。プログラムをクラウドのストレージに格納しておき、クラウドから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させてもよい。プログラムをプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0034】
コンピュータは、例えば、可搬型媒体に記憶されたプログラム又はクラウドから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにクラウドからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。クラウドからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって処理を実行してもよい。プログラムは、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものを含む。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0035】
タブレット端末10の一部又は全ての機能が、制御部11としてのプログラマブル回路又は専用回路により実現されてもよい。すなわち、タブレット端末10の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0036】
(医療機器)
図1に示すように、医療機器20は、制御部21、記憶部22、測定部23、及び通信部24を備える。
【0037】
制御部21は、少なくとも1つのプロセッサを含む。プロセッサの種類及び構成は、タブレット端末10の制御部11と同様に任意である。制御部21は、医療機器20の各部を制御しながら、医療機器20の動作に関わる処理を実行する。
【0038】
記憶部22は、少なくとも1つのメモリを含む。メモリの種類及び構成は、タブレット端末10の記憶部12と同様に任意である。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部22には、医療機器20の動作に用いられるデータと医療機器20の動作によって得られたデータとが記憶され得る。例えば、記憶部22は、測定部23により測定された診療対象者の生体情報等を記憶してもよい。
【0039】
測定部23は、診療対象者の生体情報を測定するための少なくとも1つのセンサを含む。測定部23が測定する生体情報は、例えば、体温、血圧(最高血圧、最低血圧等)、血糖値、酸素飽和度(SpO2)、脈拍、呼吸数、体重、脂肪重量、除脂肪重量、体水分量、体水分量、細胞内液量、細胞外液量、心拍出量体脂肪、活動量、又は基礎体温等であるが、これらに限られない。
【0040】
通信部24は、診療対象者の生体情報をタブレット端末10又はサーバ30へ送信するための少なくとも1つのインタフェースを含む。例えば、通信部24は、無線LAN、有線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC又は移動通信規格に対応したインタフェースを含んでもよい。例えば、タブレット端末10及び医療機器20は、ネットワーク40を介さず、NFC等により互いに直接通信してもよい。
【0041】
(サーバ)
図1に示すように、サーバ30は、制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34、及び出力部35を備える。サーバ30の制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34、及び出力部35の構成は、タブレット端末10の制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、及び出力部15と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0042】
(診療対象者情報管理システムの動作例1)
図2は、図1のタブレット端末10の動作の一例を示すフローチャートである。図2を参照して説明するタブレット端末10の動作は診療対象者情報管理システムの制御方法の一つに相当し得る。図2の各ステップの動作は、タブレット端末10の制御部11による制御に基づき実行され得る。
【0043】
ステップS1において、制御部11は、診療対象者の診療の進捗に関する情報(進捗情報)の入力を受け付ける。具体的には、制御部11は、診療対象者の進捗情報を入力するための入力画面を出力部15の表示部に表示させる。図3は、図1のタブレット端末に表示される画面の一例を示す図である。図3は、診療対象者の進捗情報の入力画面の一例を示している。
【0044】
図3は、進捗情報の入力画面の一例として、離床プログラムにおいて実施されるリハビリ(リハビリテーション)の進捗を入力するための入力画面80を示している。入力画面80には、診療対象者の現在の診療の進捗状況を示す画像(進捗画像)81が含まれる。画像81は、リハビリの進捗状況を、安静の必要性が高いステージ1の「ベッド上安静」(ベッド上で安静にする必要がある)から安静の必要性が低いステージ6の「構内自由」(病院等の構内を自由に歩き回ることができる)までの6段階で示している。図3の例において、画像81は、診療対象者のリハビリの現在の進捗状況がステージ3の「室内自由」(病室等の室内を自由に歩き回ることができる)にあることを示している。
【0045】
入力画面80は、診療対象者のリハビリの進捗状況の入力を、「ステージUp無し」の画像82と、「ステージUpしました」の画像83とのいずれかをユーザが選択可能に表示している。ユーザは、診療対象者がステージ4の「フロアトイレ」(病室等と同一フロアのトイレまで移動できる)まで回復している場合、画像83を選択する。ユーザは、診療対象者がステージ3から回復していない場合、画像82を選択する。なお、制御部11は、入力画面80として、診療対象者の症状が悪化した場合に選択される、「ステージDownしました」等の画像を出力部15の表示部に更に表示してもよい。
【0046】
制御部11は、画像82,83のいずれかがユーザのタッチ操作により選択されると、選択された画像82,83の色等を変化させて表示することで、選択された画像が判別しやすいようにしてもよい。また、制御部11は、画像82,83のいずれかがユーザのタッチ操作により選択されると、「決定」の画像84の色等を変化させて表示することで、画像84の選択が可能となったことが判別しやすくなるようにしてもよい。ユーザは、画像82,83のいずれかを選択した後、画像84を選択して、入力操作を終了する。
【0047】
このように、タブレット端末10は、診療対象者の進捗状況を自由文ではなく、診療の進捗に関する複数の選択肢の中から選択肢を選択することが可能な画面を入力画面として表示させる。そのため、タブレット端末10によれば、診療の進捗のような定性的な情報をユーザ(入力者及び閲覧者)の解釈によらない統一的な形式で入力することが可能である。また、ユーザは、簡易な選択操作により診療の進捗を入力することができるため、電子カルテの入力作業負担を軽減することが可能である。さらに、タブレット端末10は、診療対象者の現在の診療の進捗状況を示す画像81を含む画面(入力画面80)を入力画面として、出力部15の表示部に表示させる。したがって、ユーザは、診療対象者の現在の診療の進捗状況を確認しながら、進捗情報を入力することが可能である。
【0048】
図2の説明に戻る。ステップS2において、制御部11は、診療対象者の診療の進捗を詳細に示す進捗画面を生成する。
【0049】
図4A図4Dは、図1のタブレット端末10が生成して表示する画面の一例を示す図である。図4Aは、診療対象者の進捗に関する複数の種類の情報を一つの画面にまとめて表示するダッシュボードの一例を示している。画面50には、画面51~55が含まれる。
【0050】
画面51は、診療対象者の情報を表示する。具体的には、画面51は、診療対象者の識別情報(ID)、入院日、年齢、性別、氏名等の情報を表示する。
【0051】
画面52は、病態ステージ、ADL(Activity of Daily Living、日常生活動作)、及び退院準備の各分類について、診療の進行状態を視覚的に示す。病態ステージ、ADL、及び退院準備の各分類においては複数の項目について診療の進行に応じた段階が時系列に従い画面内の上から下へ列挙されており、診療対象者がその項目のどの段階にあるのかが項目ごとに視覚的に示されている。したがって、ユーザは、画面52を閲覧することで、診療対象者の状態を一定の指標の元に分類して把握することができ、またそれを容易に認識することが可能である。
【0052】
図4Bは、図4Aの画面53の拡大図である。画面53は、診療対象者の病態の情報を示している。具体的には、画面53の「除水」タブにおいて、画面53は、体重、1日尿量、及び細胞外液量の時間変化をグラフにより示している。
【0053】
図4Cは、画面54の拡大図である。画面54は、図3の画像81により示されるリハビリの進捗状況をより詳細に示している。
【0054】
画面54は、離床プログラムにおいて実施されるリハビリの進捗に関する段階(ステージ1~6)に対して、リハビリが行われた回数を図柄62,63により示している。図4Cに示すように、制御部11は、ある進捗段階(例えば、ステージ1)においてリハビリが1回行われるごとに、その段階に対応する列の下の行から順に図柄62を表示する。図3で画像83が選択された場合のように、リハビリのステージが終了すると、制御部11は、その段階のリハビリが終了(達成)したことを示す図柄63を表示する。したがって、ユーザは、リハビリの進捗の各段階において、その段階に要したリハビリの回数及びその段階のリハビリが終了したか否かを容易に直感的に認識することが可能である。なお、リハビリには、例えば、理学療法又は作業療法に基づくものが含まれてもよい。
【0055】
リハビリは定期的(例えば、毎日、隔日、又は週1回等)に行われることが一般的である。その場合、リハビリの各段階に対応する列に表示される図柄62,63の個数は、診療対象者がその段階における診療に要した時間に対応する。すなわち、画面54は、診療の進捗に関する段階に対して、その段階における診療において診療対象者に対して実施されたリハビリの回数の情報を時間情報(診療対象者がその段階における診療に要した時間に関する情報)として示している。本開示において、診療に要した時間に関する情報である時間情報は、単に診療に要した時間を計時したものにとどまらず、診療を行った日数等の期間や、所定のプログラムに応じた診療の回数(例えば、その段階において診療対象者に実施されたリハビリ回数等)など、診療に要した時間を反映した定量的に測定可能な情報を全て包括するものである。したがって、ユーザは、離床プログラムの各段階において実施されたリハビリの回数により各段階にどの程度時間がかかったかを容易に直感的に認識することができる。なお、制御部11は、診療の進捗に関する段階において診療に要した時間に関する時間情報を、リハビリの回数だけでなく、例えば、日数又は診察回数等によって示してもよい。このように、タブレット端末10は、定性的情報からなる診療進捗について、予め決めた各段階ごとの進捗を図表等で分かり易く表示するため、ユーザは、一定の基準の元に分類された結果のサマリーを見ることができ、診療対象者の診療状況を容易に直感的に把握することができる。
【0056】
表示域57,58は、診療対象者の歩行能力に着目したADLの目標及び現状を示している。表示域57は、診療対象者の診療の進捗状況に応じた目標(マイルストーン)である「100m杖歩行」(杖を使って100m歩行することができる)を示している。表示域58は、診療対象者の歩行能力の現状である「40m杖歩行」(杖を使って40m歩行することができる)を示している。このように、タブレット端末10は、目標と現状を並べて表示するため、目標と現状との差分(ギャップ)を容易に認識することが可能である。
【0057】
図4Dは、画面55の拡大図である。画面55は、診療対象者の入院前の生活環境及び生活内容等の背景を示している。
【0058】
図4Cにおいて、画面54は、リハビリの進捗状況を、安静の必要性が高いステージ1の「ベッド上安静」から安静の必要性が低いステージ6の「構内自由」までの6段階で示しているが、診療の進捗状況の示し方はこのようなものに限られない。図5A及び図5Bは、図1のタブレット端末10に表示される進捗画面の更なる例を示す図である。
【0059】
図5Aにおいて、画面60は、縦横のマトリクス状に配置された複数のセル61を含む。画面60は、図4Cと同様に、離床プログラムにおいて実施されるリハビリの進捗に関する段階(ステージ1~6)に対して、リハビリが行われた回数を図柄62,63により示している。画面60は、リハビリの進捗状況を、安静の必要性が高いステージ1の「端坐位」(ベッド又は椅子などの端に、足を下ろして座ることができる)から安静の必要性が低いステージ6の「6分間歩行」(6分間歩行することができる)までの6段階で示している。制御部11は、リハビリの進捗段階を、各ステージを開始もしくは終了するために必要となる基準を表示することによって示してもよい。なお、図4C及び図5Aは、診療の進捗としてリハビリの進捗の例を示しているが、診療の進捗はこれらに限られない。例えば、進捗画面は、疾患の回復度合い等を示してもよい。
【0060】
例えば、看護師は、トイレについてのステージとして、安静の必要性が高い方から順に、「ベッド上」、「病室内」、「病棟近場」、及び「自由」等を用いる場合がある。例えば、看護師は、入浴についてのステージとして、「ベッド上清拭」、「シャワー浴」、及び「入浴」等を用いる場合がある。例えば、看護師は、歩行についてのステージとして、「不可」、「離床のみ」、「病室内」、「病棟フロア内」、及び「病院内自由」等を用いる場合がある。そこで、制御部11は、図4Cの画面54及び図5Aの画面60の横軸としてこれらのステージを表示してもよい。
【0061】
図4C及び図5Aに例示した進捗画面は、診療の進捗に関する各段階を第1の方向(例えば、横方向)に示し、各段階について、診療対象者がその段階における診療に要した時間情報を第2の方向(例えば、縦方向)に示したマトリクス状の画面を有する。これらの進捗画面は、診療の進捗に関する各段階について、診療対象者がその段階における診療に要した時間情報を、第2の方向へ並置された図柄の個数によって示す表を含むマトリクス状の画面を有する。したがって、制御部11は、診療の進捗に関する各段階に要した時間を視覚的に分かりやすく表示することができる。なお、第1、第2の方向は図4C及び図5Aに例示したものに限られない。例えば、第1の方向を縦方向とし、第2の方向を横方向としてもよい。
【0062】
図5Bにおいて、画面70は、縦横のマトリクス状に配置された複数のセル71を含む。画面70は、診療の一環として診療対象者に対してなされた、複数の項目からなる教育又は指導の進捗(回数及び達成度)を示している。
【0063】
画面70は、「服薬指導」「リハ指導」「病識教育」及び「栄養指導」の項目ごとに、教育又は指導がなされた回数を図柄72により示している。図5Bに示すように、制御部11は、ある項目(例えば、「服薬指導」)において教育又は指導が1回行われるごとに、その段階に対応する列の下の行から順に図柄72を表示する。図5Bの例において、図柄72は、教育又は指導の達成度を「A」(達成)、「B」(やや達成)、「C」(未達)及び「D」(大きく未達)で示している。教育又は指導の達成度は、例えば、教育又は指導の後に行われたテストの点数により決定されてもよい。例えば、教育又は指導の達成度は、100点満点のテストの点数が100点の場合はA、80点以上100点未満の場合はB、60点以上80点未満の場合はC、0点以上60点未満の場合はDとしてもよい。
【0064】
図4C図5A及び図5Bを参照して説明したように、制御部11は、マトリクス状の画面を進捗画面として出力部15の表示部に表示させる。このマトリクス状の画面は、診療に関する複数の項目を第1の方向(例えば、横方向)に示す。このマトリクス状の画面は、診療に関する複数の項目の各々について、その項目に関して診療対象者に実施された診療関連行為の回数を、第2の方向(例えば、縦方向)へ並置された図柄の個数によって示す。したがって、制御部11は、診療の進捗に関する各項目の内容を予め設定した基準で評価することで定量的な進捗評価を可能とし、また診療の進捗に関する各項目に要した時間を視覚的に分かりやすく表示することができる。
【0065】
さらに、図5Bを参照して説明したように、マトリクス状の画面は、ある診療項目についての細分化された複数の診療行為の内容(例えば、教育又は指導の内容)を複数の項目として第1の方向に示してもよい。マトリクス状の画面は、その項目に関して診療対象者に実施された診療関連行為の回数を、第2の方向へ並置された図柄の個数によって示してもよい。ここで、マトリクスのセル71に表示される図柄の各々は、細分化された診療行為による目標への達成度合い(例えば、A,B,C,D)を示してもよい。したがって、タブレット端末10は、診療の進捗に関する各項目を予め設定し、その診療の進捗に関する各項目に要した時間と診療行為の達成度合いを視覚的に表示することで、診療対象者の経過把握を容易にすることができる。なお、図5Bの例において、マトリクス状の画面は、目標への達成度合いを図柄の形状(「A」、「B」、「C」及び「D」)により示しているが、これに限られない。例えば、制御部11は、図柄の形状、色、大きさ、又はこれらの組合せにより目標への達成度合いを示してもよい。
【0066】
図2の説明に戻る。ステップS3において、制御部11は、ステップS2で生成した進捗画面に基づき進捗グラフを生成する。図6A図6Cは、進捗画面に基づき進捗グラフを生成する手順を説明する図である。
【0067】
図6Aは、画面60の一例を示している。図6Aの画面60は、縦横のマトリクス状に配置された複数のセル61を含む。図6Aの画面60は、図4C及び図5Aに例示した画面と同様に、診療の進捗に関する各段階を第1の方向(例えば、横方向)に示す。図6Aの画面60は、各段階について、診療対象者がその段階における診療に要した時間の時間情報を、第2の方向(例えば、縦方向)へ並置された図柄62,63の個数によって示す。
【0068】
図6Bのように、制御部11は、その診療の項目が終了(達成)したことを示す図柄63が表示されている各セル61を画面60から抽出し、抽出した各セル61の各々について、そのセル61を代表する代表点91を取得する。一例として、図6Bにおいて、制御部11は、抽出した各セル61の上辺の中点をこのような代表点91として抽出している。制御部11は、抽出した代表点91を連結し、折れ線92を生成する。図6Cに示すように、制御部11は、このような折れ線92を進捗グラフとして取得する。
【0069】
ステップS4において、制御部11は、ステップS2で生成した進捗画面及びステップS3で生成した進捗グラフを、出力部15の表示部に表示させる。
【0070】
ステップS5において、制御部11は、ステップS1でユーザから入力を受け付けた情報、及び、ステップS3で生成した進捗グラフ等のデータをサーバ30へ送信する。そして、制御部11は、フローチャートの処理を終了する。
【0071】
以上のように、制御部11は、診療の進捗に関する段階ごとに、診療対象者がその段階における診療に要した時間に関する情報である時間情報を示す進捗画面を出力部15の表示部に表示させる。したがって、タブレット端末10によれば、診療対象者の診療の進捗を分かりやすく表示することが可能である。
【0072】
また、タブレット端末10は、グラフ(例えば、図6Cの折れ線92)又は表(例えば、図4C図5A図5B図6A)を含む進捗画面により、各段階に要した時間情報を示す。ここで、進捗画面は、診療の進捗に関する各段階を第1の方向(例えば、横方向)に示す。進捗画面は、診療の進捗に関する段階の各々について、診療対象者が当該段階における診療に要した時間に関する時間情報を第2の方向(例えば、縦方向)に示す。したがって、タブレット端末10によれば、診療対象者の診療の進捗を視覚的に分かりやすく表示することが可能である。
【0073】
(診療対象者情報管理システムの動作例2)
図7は、図1のタブレット端末10の動作の一例を示すフローチャートである。図7を参照して説明するタブレット端末10の動作は診療対象者情報管理システムの制御方法の一つに相当し得る。図7の各ステップの動作は、タブレット端末10の制御部11による制御に基づき実行され得る。
【0074】
ステップS11において、制御部11は、診療対象者の診療の進捗に関する情報(進捗情報)の入力を受け付ける。ステップS11の処理は図2のステップS1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0075】
ステップS12において、制御部11は、診療対象者の診療の進捗を詳細に示す進捗画面を生成する。ステップS12の処理は図2のステップS2と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0076】
ステップS13において、制御部11は、ステップS12で生成した進捗画面に基づき進捗グラフを生成する。ステップS13の処理は図2のステップS3と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0077】
ステップS14において、制御部11は、ステップS12で生成した進捗グラフに適合する適合パターンを判定する。
【0078】
適合パターンは、診療の進捗に関する段階が進行した場合における、各段階における診療に要する時間情報の変化の傾向を示す。このような適合パターンについて、マトリクス状に構成された進捗画面の例を参照して説明する。図8A図8Cは、治療に要する時間情報の変化の一例を示す図である。
【0079】
図8A図8Cにおいて、画面60は、縦横のマトリクス状に配置された複数のセル61を含む。以下、図4C図5A、及び図6Aと同様に、画面60は、第1の方向(例えば、横方向)に診療に関する進捗の段階を示し、右方向は診療の進捗がより進んだ方向に対応する。画面60は、第2の方向(例えば、縦方向)にその段階の診療項目が終了したことを示す図柄63を表示し、図柄63がより上方向にある場合、その段階の診療項目が完了するまでにより時間がかかったことを示す。
【0080】
図8Aにおいて、図柄63が画面60の概ね左上から右下へ配置されおり、画面60は、診療の進捗段階が進むにつれて、その段階の診療項目が終了するまでに要した時間が短くなっていく傾向を示している。図8Bにおいて、図柄63が画面60の概ね左下から右上へ配置されおり、画面60は、診療の進捗段階が進むにつれて、その段階の診療項目が終了するまでに要した時間が長くなっていく傾向を示している。図8Cにおいて、図柄63が画面60内で左から右へほぼ真横に配置されており、画面60は、診療の進捗段階にかかわらず、各段階における診療項目が終了するまでの時間はほぼ一定である傾向を示している。
【0081】
ステップS14において、制御部11は、進捗グラフがこのような傾向のいずれに該当するかを判定する。例えば、制御部11は、進捗グラフの変曲点の分布等から進捗グラフの変化の傾向を判定してもよい。
【0082】
図9は、進捗グラフ(折れ線92)の変化の傾向を説明する図である。図9において、進捗グラフ(折れ線92)は、複数の変曲点95を有する。変曲点95は、進捗グラフ(折れ線92)の傾きの正負が変化する点である。制御部11は、このような変曲点の分布のパターンを予め定めておき、進捗グラフ(折れ線92)の変曲点95の分布がいずれのパターンに該当するかを判定してもよい。変曲点95の分布は、例えば、予め定められた区間I~IIIにおける変曲点95の個数、及び、隣接する変曲点95間の縦方向の座標の差分101,102等に基づき規定されてもよい。
【0083】
また、制御部11は、複数の進捗グラフを予めクラスタリングしておき、ステップS14においては、ステップS13で生成した進捗グラフがいずれのクラスタに該当するかを判定して、進捗グラフに適合する適合パターンを判定してもよい。図10は、進捗グラフの分類の一例を説明する図である。図10では、診療の進捗の段階が進むにつれて時間情報が増大する進捗グラフが、パターンAに分類されている。診療の進捗の段階が進むにつれて、ある段階までは時間情報が増大し、その段階移行は時間情報が減少する進捗グラフが、パターンBに分類されている。診療の進捗の段階が進むにつれて時間情報が減少する進捗グラフが、パターンCに分類されている。タブレット端末10は、このようなパターンを予め記憶部12等に記憶しておいてもよい。制御部11は、ステップS13で生成した進捗グラフが、パターンA~パターンCのいずれに該当するかを判定して、適合パターンを判定してもよい。また、制御部11は、進捗グラフに適合する適合パターンを判定するに当たり、診療対象者の病態、年齢、及び性別等の他の情報を参照してもよい。
【0084】
ステップS15において、制御部11は、ステップS14で判定した適合パターンに対応する情報をユーザに通知する。具体的には、予め進捗グラフのパターンごとに、診療に関する通知内容を予め定めておき、制御部11は、ステップS14で判定した適合パターンに対応する通知内容を出力部15の表示部に表示してもよい。
【0085】
例えば、タブレット端末10は、進捗グラフのパターンごとに、リハビリ計画の修正の通知、栄養介入の通知、及び、リハビリの妨げとなっている薬剤に関する通知等を予め定めておき、記憶部12に記憶しておいてもよい。ここで、栄養介入の通知は、例えば、リハビリを進める上で必要な栄養が不足している可能性の通知としてもよい。薬剤に関する通知は、例えば、薬剤の副作用がリハビリの妨げとなっているか確認を求める通知としてもよい。
【0086】
ステップS16において、制御部11は、ステップS11でユーザから入力を受け付けた情報、ステップS13で生成した進捗グラフ、及び、ステップS14で判定した適合パターン等のデータをサーバ30へ送信する。そして、制御部11は、フローチャートの処理を終了する。
【0087】
以上のように、制御部11は、診療対象者の診療の進捗に関する各段階に要した時間に関する時間情報の変化の傾向が、予め定められた複数のパターンのいずれに最も適合するかを判定する。制御部11は、診療対象者の診療の進捗に関する各段階における診療に要した時間に関する時間情報の変化の傾向に最も適合すると判定されたパターンを適合パターンとして出力する。このように、タブレット端末10は診療の進捗に応じた適合パターンを出力するため、ユーザは、出力された適合パターンに基づき、診療対象者の診療に関する適切なアクション(例えば、診療方針の策定又は変更等)を決定することができる。
【0088】
また、制御部11は、出力された適合パターンに基づき、診療対象者の診療に関する通知内容を決定し、決定された通知内容をユーザに通知する。したがって、タブレット端末10によれば、適合パターンに基づき、診療対象者の診療の進捗に応じた内容をユーザに通知することができる。なお、制御部11は、適合パターンに対応する内容の通知を、出力部15の表示部における表示ではなく、例えば、ユーザへのメールの送信等により行ってもよい。
【0089】
出力された適合パターンによって変化したアクション(診療方針の策定又は変更等)の治療効果もまた、制御部11の判定機構の適合パターンの予測精度向上のために使用してもよい。したがって、本実施形態に係る診療対象者情報管理システムによる診療対象者の分類と進捗の入力の活用が進むことで、より適切に治療の進捗を予測することができる。
【0090】
(診療対象者情報管理システムの動作例3)
図11は、図1のタブレット端末10の動作の一例を示すフローチャートである。図11を参照して説明するタブレット端末10の動作は診療対象者情報管理システムの制御方法の一つに相当し得る。図11の各ステップの動作は、タブレット端末10の制御部11による制御に基づき実行され得る。
【0091】
ステップS21において、制御部11は、診療対象者の診療の進捗に関する情報(進捗情報)の入力を受け付ける。ステップS21の処理は図2のステップS1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0092】
ステップS22において、制御部11は、診療対象者の診療の進捗を詳細に示す進捗画面を生成する。ステップS22の処理は図2のステップS2と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0093】
ステップS23において、制御部11は、ステップS22で生成した進捗画面に基づき進捗グラフを生成する。ステップS23の処理は図2のステップS3と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0094】
ステップS24において、制御部11は、ステップS23で生成した進捗グラフに基づき、今後の診療の進捗を予測する。具体的には、例えば、制御部11は、複数の診療対象者についての、診療の進捗に関する各段階における診療に要した時間に関する時間情報を予め記憶部12に記憶させておいてもよい。ステップS24において、制御部11は、ステップS23で生成した進捗グラフにより示される時間情報と、予め記憶部12に記憶された複数の診療対象者についての過去の時間情報とを比較して、今後の時間情報の変化を予測してもよい。具体的には、制御部11は、複数の診療対象者の過去の時間情報に基づいて時間情報の変化のルールを作成し、作成したルールに診療対象者の時間情報の変化を適用して、診療対象者の今後の時間情報の変化を予測してもよい。
【0095】
ステップS25において、制御部11は、ステップS22で生成した進捗画面、ステップS23で生成した進捗グラフ、及びステップS24で取得した今後の診療の進捗の予測結果を出力部15の表示部に表示する。ここで、制御部11は、今後の診療の進捗の予測結果に応じた情報を出力部15の表示部に表示してもよい。具体的には、予め診療の進捗ごとに、診療に関する通知内容を予め定めておき、制御部11は、ステップS24で取得した予測結果に対応する通知内容を出力部15の表示部に表示してもよい。また、制御部11は、今後の診療の進捗の予測結果に基づいて、あと何回診療対象者に対してリハビリテーションを行う必要があるか算出し、算出したリハビリテーション必要回数を出力部15の表示部に表示してもよい。
【0096】
ステップS26において、制御部11は、ステップS21でユーザから入力を受け付けた情報、ステップS23で生成した進捗グラフ、及び、ステップS24で取得した今後の診療の進捗の予測結果等のデータをサーバ30へ送信する。そして、制御部11は、フローチャートの処理を終了する。
【0097】
以上のように、制御部11は、診療対象者の診療の進捗に関する段階の各々における従前の診療に要した時間に関する時間情報に基づいて、診療対象者の今後の診療の進捗に関する段階の各々における診療に要する時間を予測する。制御部11は、予測された時間に関する情報を予測時間情報として出力する。このように、タブレット端末10は今後の診療の進捗を予測するため、ユーザは、出力された予測結果に基づき、診療対象者の診療に関する適切なアクション(例えば、診療方針の策定又は変更等)を決定することができる。
【0098】
また、制御部11は、診療対象者の診療の進捗に関する段階の各々における従前の診療に要した時間に関する時間情報と、複数の診療対象者についての、診療の進捗に関する段階の各々における診療に要した時間に関する時間情報と、を比較する。制御部11は、この比較結果に基づき、診療対象者の今後の診療の進捗に関する段階の各々における診療に要する時間に関する時間情報を予測する。したがって、タブレット端末10によれば、今後の診療の進捗を適切に予測することができる。
【0099】
また、制御部11は、出力された予測時間情報に基づき、診療対象者の診療に関する通知内容を決定し、決定された通知内容をユーザに通知する。したがって、タブレット端末10によれば、診療対象者の診療の進捗の予測結果に応じた内容をユーザに通知することができる。なお、制御部11は、適合パターンに対応する内容の通知を、出力部15の表示部における表示ではなく、例えば、ユーザへのメールの送信等により行ってもよい。
【0100】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックは統合されてもよいし、又は一つのブロックは分割されてもよい。フローチャートに記載の複数のステップは、記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行されてもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 医療システム
10 タブレット端末
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入力部
15 出力部
20 医療機器
31 制御部
32 記憶部
33 測定部
34 通信部
30 サーバ
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
34 入力部
35 出力部
40 ネットワーク
50~55 画面
57,58 表示域
60 画面
61 セル
62,63 図柄
70 画面
71 セル
72 図柄
80 入力画面
81~84 画像
91 代表点
92 折れ線
101,102 差分
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11