(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051345
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20240404BHJP
【FI】
G16H10/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157467
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】本田 圭
(72)【発明者】
【氏名】矢部 滝太郎
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】入院患者についての情報を共有することを容易にする情報処理装置、情報処理システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置と、複数の端末装置とが、ネットワークを介して通信可能に接続されている情報処理システムにおいて、情報処理装置10は、患者IDと、患者情報と、診療工程情報と、病態管理マイルストーン情報と、総合生活機能マイルストーン情報と、病態管理マイルストーン達成情報と、総合生活機能マイルストーン達成情報と、現在の診療工程と、を記憶する記憶部12と、表示画面を生成する制御部11と、を備える。制御部11は、現在の診療工程以外の診療工程における総合生活機能マイルストーン達成情報の入力を受け付け可能であり、制御部11が生成する表示画面は、入院患者の現在の診療工程に対応づけて、総合生活機能マイルストーン達成情報に基づく総合生活機能マイルストーンの達成状況を示す情報を表示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置に表示させる入院患者の状況を示す表示画面を生成する情報処理装置であって、
複数の前記入院患者を識別する患者IDと、前記入院患者の患者情報と、前記入院患者の入院から退院までを入院患者の重篤度に応じて少なくとも3つの診療工程に分けた診療工程情報と、前記入院患者が前記各診療工程において病態推移として達成するべき病態管理マイルストーンが設定された病態管理マイルストーン情報と、前記入院患者が前記各診療工程において総合生活機能として達成するべき総合生活機能マイルストーンが設定された総合生活機能マイルストーン情報と、前記病態管理マイルストーンの達成状況を示す病態管理マイルストーン達成情報と、前記総合生活機能マイルストーンの達成状況を示す総合生活機能マイルストーン達成情報と、前記入院患者の現在の診療工程と、を記憶する記憶部と、
前記表示画面を生成する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記現在の診療工程以外の診療工程における前記総合生活機能マイルストーン達成情報の入力を受け付け可能であり、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の現在の診療工程に対応づけて、前記総合生活機能マイルストーン達成情報に基づく前記総合生活機能マイルストーンの達成状況を示す情報を表示する、情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記病態管理マイルストーン達成情報に基づいて、前記現在の診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンの達成状況を抽出し、
前記総合生活機能マイルストーン達成情報に基づいて、前記現在の診療工程において達成するべき前記総合生活機能マイルストーンの達成状況を抽出し、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の現在の診療工程に対応づけて、
前記現在の診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンの達成状況と、
前記現在の診療工程において達成するべき前記総合生活機能マイルストーンの達成状況と、を表示する、情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記病態管理マイルストーン達成情報に基づいて、前記各診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンの達成状況を抽出し、
前記総合生活機能マイルストーン達成情報に基づいて、前記各診療工程において達成するべき前記総合生活機能マイルストーンの達成状況を抽出し、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の前記診療工程情報に基づいて、前記少なくとも3つの診療工程のうちの複数の診療工程又は全ての診療工程を順に並べて表示するととともに、前記診療工程の各々に対応づけて、
当該診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンの達成状況と、
当該診療工程において達成するべき前記総合生活機能マイルストーンの達成状況と、を表示する、情報処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の退院後の生活環境に関する情報をさらに表示する、情報処理装置。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の病態管理に関する情報の時間経過をさらに表示する、情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の病態管理に関する情報の時間経過をグラフ表示する、情報処理装置。
【請求項7】
請求項2又は3に記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の少なくとも1つの前記総合生活機能マイルストーンに関連した診療の進捗情報をさらに表示する、情報処理装置。
【請求項8】
請求項2又は3に記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の少なくとも1つの前記総合生活機能マイルストーンについて、前記診療工程の最後の1つにおいて達成するべき前記総合生活機能マイルストーンであるゴールと現状とのギャップを示す情報をさらに表示する、情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記総合生活機能マイルストーンの前記ゴールと現状とのギャップを示す情報を定量的に表示する、情報処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記現在の診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンが全て達成されると、前記現在の診療工程を次の診療工程に移行させる、情報処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記情報処理装置が取得した前記入院患者の病態に関する情報に基づいて、前記病態管理マイルストーンが達成されたか否かを判定する、情報処理装置。
【請求項12】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記現在の診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンが全て達成された場合に、前記現在の診療工程を次の診療工程に移行させるか否かを問う質問情報を生成し、
前記質問情報に対して移行させるとの回答を前記情報処理装置が取得した場合に、前記現在の診療工程を次の診療工程に移行させる、情報処理装置。
【請求項13】
請求項2又は3に記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、病棟安静度に関する情報をさらに表示する、情報処理装置。
【請求項14】
請求項13に記載の情報処理装置において、
前記病棟安静度に関する情報は、医療従事者の意向の情報を含む、情報処理装置。
【請求項15】
請求項2又は3に記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、バイタル情報のサマリーをさらに表示する、情報処理装置。
【請求項16】
請求項15に記載の情報処理装置において、
前記バイタル情報のサマリーは、安静時のバイタル情報のサマリーと運動時のバイタル情報のサマリーとを含む、情報処理装置。
【請求項17】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、
前記入院患者毎に、前記入院患者の現在の診療工程に対応づけて、前記現在の診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンの達成状況と、前記現在の診療工程において達成するべき前記総合生活機能マイルストーンの達成状況と、を表示する個別患者画面と、
複数の前記入院患者の前記患者情報が一括表示された一括表示画面と、を表示可能であり、
前記一括表示画面は、前記各患者情報に対応づけて、前記各入院患者の現在の診療工程を表示し、
前記制御部は、ユーザ操作に応じて、前記個別患者画面と前記一括表示画面とを切り替えて表示する、情報処理装置。
【請求項18】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、
前記入院患者毎に、前記入院患者の現在の診療工程に対応づけて、前記現在の診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンの達成状況と、前記現在の診療工程において達成するべき前記総合生活機能マイルストーンの達成状況と、を表示する個別患者画面と、
複数の前記入院患者の前記患者情報が一括表示された一括表示画面と、を表示可能であり、
前記一括表示画面は、前記各患者情報に対応づけて、前記各入院患者の前記現在の診療工程又は前記現在の診療工程以前の診療工程において達成するべき前記総合生活機能マイルストーンのうち未達成の前記総合生活機能マイルストーンに関する情報を表示し、
前記制御部は、ユーザ操作に応じて、前記個別患者画面と前記一括表示画面とを切り替えて表示する、情報処理装置。
【請求項19】
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
前記端末装置と、
を備える、情報処理システム。
【請求項20】
端末装置に表示させる入院患者の状況を示す表示画面を生成するコンピュータであって、
複数の前記入院患者を識別する患者IDと、前記入院患者の患者情報と、前記入院患者の入院から退院までを入院患者の重篤度に応じて少なくとも3つの診療工程に分けた診療工程情報と、前記入院患者が前記各診療工程において病態推移として達成するべき病態管理マイルストーンが設定された病態管理マイルストーン情報と、前記入院患者が前記各診療工程において総合生活機能として達成するべき総合生活機能マイルストーンが設定された総合生活機能マイルストーン情報と、前記病態管理マイルストーンの達成状況を示す病態管理マイルストーン達成情報と、前記総合生活機能マイルストーンの達成状況を示す総合生活機能マイルストーン達成情報と、前記入院患者の現在の診療工程と、を記憶するコンピュータに、
前記現在の診療工程以外の診療工程における前記総合生活機能マイルストーン達成情報の入力を受け付ける処理と、
前記入院患者の現在の診療工程に対応づけて、前記総合生活機能マイルストーン達成情報に基づく前記総合生活機能マイルストーンの達成状況を示す情報を表示する前記表示画面を生成する処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入院患者を診療する際は、診療計画を作成し、作成した診療計画に基づいて診療を行うことが通常である。
【0003】
例えば特許文献1は、入院患者の診療計画の管理及び実行を支援するシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
病院で入院患者を診療する際は、通常、様々な職種の医療従事者がチームを形成し、診療計画に基づいて連携して診療を行う。
【0006】
様々な職種の医療従事者によって形成されたチームのチームメンバーが、患者の現状及び治療目標などについての情報を共有し共通認識を持つことは、診療の質及び効率の向上につながる。
【0007】
患者についての情報を共有するための手段として、チームメンバーが一堂に会するチームカンファレンスが行われていることが多い。
【0008】
しかしながら、医療従事者は多忙であるため、チームカンファレンスを行うための時間を十分に確保することは困難である。そのため、それぞれの入院患者について、情報を共有するための時間を十分に確保できていないことが多くあった。
【0009】
本開示の目的は、入院患者についての情報を共有することを容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、
[1]端末装置に表示させる入院患者の状況を示す表示画面を生成する情報処理装置であって、
複数の前記入院患者を識別する患者IDと、前記入院患者の患者情報と、前記入院患者の入院から退院までを入院患者の重篤度に応じて少なくとも3つの診療工程に分けた診療工程情報と、前記入院患者が前記各診療工程において病態推移として達成するべき病態管理マイルストーンが設定された病態管理マイルストーン情報と、前記入院患者が前記各診療工程において総合生活機能として達成するべき総合生活機能マイルストーンが設定された総合生活機能マイルストーン情報と、前記病態管理マイルストーンの達成状況を示す病態管理マイルストーン達成情報と、前記総合生活機能マイルストーンの達成状況を示す総合生活機能マイルストーン達成情報と、前記入院患者の現在の診療工程と、を記憶する記憶部と、
前記表示画面を生成する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記現在の診療工程以外の診療工程における前記総合生活機能マイルストーン達成情報の入力を受け付け可能であり、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の現在の診療工程に対応づけて、前記総合生活機能マイルストーン達成情報に基づく前記総合生活機能マイルストーンの達成状況を示す情報を表示する、情報処理装置である。
【0011】
[2]前記[1]に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記病態管理マイルストーン達成情報に基づいて、前記現在の診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンの達成状況を抽出し、
前記総合生活機能マイルストーン達成情報に基づいて、前記現在の診療工程において達成するべき前記総合生活機能マイルストーンの達成状況を抽出し、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の現在の診療工程に対応づけて、
前記現在の診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンの達成状況と、
前記現在の診療工程において達成するべき前記総合生活機能マイルストーンの達成状況と、を表示してよい。
【0012】
[3]前記[1]又は[2]に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記病態管理マイルストーン達成情報に基づいて、前記各診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンの達成状況を抽出し、
前記総合生活機能マイルストーン達成情報に基づいて、前記各診療工程において達成するべき前記総合生活機能マイルストーンの達成状況を抽出し、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の前記診療工程情報に基づいて、前記少なくとも3つの診療工程のうちの複数の診療工程又は全ての診療工程を順に並べて表示するととともに、前記診療工程の各々に対応づけて、
当該診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンの達成状況と、
当該診療工程において達成するべき前記総合生活機能マイルストーンの達成状況と、を表示してよい。
【0013】
[4]前記[1]から[3]のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の退院後の生活環境に関する情報をさらに表示してよい。
【0014】
[5]前記[1]から[4]のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の病態管理に関する情報の時間経過をさらに表示してよい。
【0015】
[6]前記[5]に記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の病態管理に関する情報の時間経過をグラフ表示してよい。
【0016】
[7]前記[1]から[6]のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の少なくとも1つの前記総合生活機能マイルストーンに関連した診療の進捗情報をさらに表示してよい。
【0017】
[8]前記[1]から[7]のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記入院患者の少なくとも1つの前記総合生活機能マイルストーンについて、前記診療工程の最後の1つにおいて達成するべき前記総合生活機能マイルストーンであるゴールと現状とのギャップを示す情報をさらに表示してよい。
【0018】
[9]前記[8]に記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、前記総合生活機能マイルストーンの前記ゴールと現状とのギャップを示す情報を定量的に表示してよい。
【0019】
[10]前記[1]から[9]のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記現在の診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンが全て達成されると、前記現在の診療工程を次の診療工程に移行させてよい。
【0020】
[11]前記[10]に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記情報処理装置が取得した前記入院患者の病態に関する情報に基づいて、前記病態管理マイルストーンが達成されたか否かを判定してよい。
【0021】
[12]前記[1]から[11]のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記現在の診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンが全て達成された場合に、前記現在の診療工程を次の診療工程に移行させるか否かを問う質問情報を生成し、
前記質問情報に対して移行させるとの回答を前記情報処理装置が取得した場合に、前記現在の診療工程を次の診療工程に移行させてよい。
【0022】
[13]前記[1]から[12]のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、病棟安静度に関する情報をさらに表示してよい。
【0023】
[14]前記[13]に記載の情報処理装置において、
前記病棟安静度に関する情報は、医療従事者の意向の情報を含んでよい。
【0024】
[15]前記[1]から[14]のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、バイタル情報のサマリーをさらに表示してよい。
【0025】
[16]前記[15]に記載の情報処理装置において、
前記バイタル情報のサマリーは、安静時のバイタル情報のサマリーと運動時のバイタル情報のサマリーとを含んでよい。
【0026】
[17]前記[1]から[16]のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、
前記入院患者毎に、前記入院患者の現在の診療工程に対応づけて、前記現在の診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンの達成状況と、前記現在の診療工程において達成するべき前記総合生活機能マイルストーンの達成状況と、を表示する個別患者画面と、
複数の前記入院患者の前記患者情報が一括表示された一括表示画面と、を表示可能であり、
前記一括表示画面は、前記各患者情報に対応づけて、前記各入院患者の現在の診療工程を表示し、
前記制御部は、ユーザ操作に応じて、前記個別患者画面と前記一括表示画面とを切り替えて表示してよい。
【0027】
[18]前記[1]から[17]のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記制御部が生成する前記表示画面は、
前記入院患者毎に、前記入院患者の現在の診療工程に対応づけて、前記現在の診療工程において達成するべき前記病態管理マイルストーンの達成状況と、前記現在の診療工程において達成するべき前記総合生活機能マイルストーンの達成状況と、を表示する個別患者画面と、
複数の前記入院患者の前記患者情報が一括表示された一括表示画面と、を表示可能であり、
前記一括表示画面は、前記各患者情報に対応づけて、前記各入院患者の前記現在の診療工程又は前記現在の診療工程以前の診療工程において達成するべき前記総合生活機能マイルストーンのうち未達成の前記総合生活機能マイルストーンに関する情報を表示し、
前記制御部は、ユーザ操作に応じて、前記個別患者画面と前記一括表示画面とを切り替えて表示してよい。
【0028】
本開示は、
[19]前記[1]から[18]のいずれかに記載の情報処理装置と、
前記端末装置と、
を備える、情報処理システムである。
【0029】
本開示は、
[20]端末装置に表示させる入院患者の状況を示す表示画面を生成するコンピュータであって、
複数の前記入院患者を識別する患者IDと、前記入院患者の患者情報と、前記入院患者の入院から退院までを入院患者の重篤度に応じて少なくとも3つの診療工程に分けた診療工程情報と、前記入院患者が前記各診療工程において病態推移として達成するべき病態管理マイルストーンが設定された病態管理マイルストーン情報と、前記入院患者が前記各診療工程において総合生活機能として達成するべき総合生活機能マイルストーンが設定された総合生活機能マイルストーン情報と、前記病態管理マイルストーンの達成状況を示す病態管理マイルストーン達成情報と、前記総合生活機能マイルストーンの達成状況を示す総合生活機能マイルストーン達成情報と、前記入院患者の現在の診療工程と、を記憶するコンピュータに、
前記現在の診療工程以外の診療工程における前記総合生活機能マイルストーン達成情報の入力を受け付ける処理と、
前記入院患者の現在の診療工程に対応づけて、前記総合生活機能マイルストーン達成情報に基づく前記総合生活機能マイルストーンの達成状況を示す情報を表示する前記表示画面を生成する処理と、
を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0030】
本開示によれば、入院患者についての情報を共有することを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本開示の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】複数の入院患者の患者情報を一括表示した一括表示画面の例である。
【
図6】入院患者の状況を示す表示画面の第1の変形例である。
【
図7】入院患者の状況を示す表示画面の第2の変形例である。
【
図8】入院患者の状況を示す表示画面の第3の変形例である。
【
図9】入院患者の状況を示す表示画面の第4の変形例である。
【
図11】端末操作に対する医療従事者の各種操作の例である。
【
図13】転送用画面において職種が選択されたときの例である。
【
図14】転送用画面において転送が完了したときの例である。
【
図15】転送用画面において職種がさらに選択されたときの例である。
【
図18】サマリー画面が消去されたときの例である。
【
図19】サマリー画面に関連する詳細情報が表示されている例である。
【
図20】サマリー画面に関連する詳細情報が表示されている例である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0033】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0034】
図1は、本開示の実施形態に係る情報処理システム1の構成を示す図である。
図1を参照して、本開示の実施形態に係る情報処理システム1の構成及び概要を説明する。
【0035】
情報処理システム1は、情報処理装置10と、複数の端末装置20とを備える。情報処理装置10と、複数の端末装置20とは、ネットワーク30を介して通信可能に接続されている。ネットワーク30は、移動体通信網及びインターネットなどを含むネットワークであってよい。
【0036】
図1では、情報処理装置10を1台示しているが、情報処理装置10は、2台以上であってもよい。
【0037】
図1では、複数の端末装置20を示しているが、情報処理システム1が備える端末装置20の台数は、1台であってもよい。
【0038】
端末装置20は、医療施設において医療従事者が用いる端末装置である。端末装置20は、スマートフォン、タブレット又はPC(Personal Computer)などの汎用の端末装置であってよい。あるいは、端末装置20は、情報処理システム1において用いられる専用の端末装置であってもよい。
【0039】
端末装置20を用いる医療従事者は、例えば、医師、看護師、理学療法士、管理栄養士、薬剤師、メディカルソーシャルワーカー、作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士、公認心理師などであってよい。
【0040】
それぞれの医療従事者が1台の端末装置20を用いてもよいし、1台の端末装置20を複数の医療従事者が共用していてもよい。
【0041】
端末装置20は、それぞれが異なる種類の端末装置であってもよい。例えば、看護師がスマートフォンを用い、理学療法士がPCを用いてもよい。また、それぞれの医療従事者が異なる種類の機器を複数用いてもよい。例えば、医師が、スマートフォンと、タブレット又はPCのいずれかと、を両方用いてもよい。また、看護師が、携帯しているスマートフォンと、看護ステーションに設置されたタブレットとの両方を用いてもよい。
【0042】
端末装置20は、ネットワーク30を介して情報処理装置10と通信可能である。
【0043】
情報処理装置10は、医療施設に入院している入院患者の状況を示す表示画面を生成する。情報処理装置10は、生成した表示画面を端末装置20に送信し、入院患者の状況を示す表示画面を端末装置20に表示させることができる。
【0044】
医療従事者は、端末装置20が表示する入院患者の状況を示す表示画面を見ることによって、入院患者の状況を確認することができる。これにより、様々な職種の医療従事者が、入院患者の状況に関する情報を共有することができる。
【0045】
情報処理装置10は、例えば、サーバとして機能するように構成された専用のコンピュータである。情報処理装置10は、汎用のPCであってもよい。さらに、情報処理装置10は、サーバとして機能するとともに、特定の医療従事者が使用する端末装置20を兼ねるように構成された汎用のPCであってもよい。
【0046】
情報処理装置10は、ネットワーク30を介して端末装置20と通信可能である。
【0047】
情報処理装置10は、ネットワーク30を介して、図示されていない病院内の電子カルテシステム又は部門システム等の病院内情報システムと通信可能な構成としてもよい。さらに、病院内の電子カルテシステム又は部門システム等の病院内情報システムの一部として情報処理装置10が構成されてもよい。
【0048】
図2を参照して、本開示の実施形態に係る情報処理装置10の構成を説明する。
【0049】
情報処理装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、入力部14と、出力部15とを備える。
【0050】
制御部11は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つのプログラマブル回路、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの任意の組合せを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。「CPU」は、Central Processing Unitの略語である。「GPU」は、Graphics Processing Unitの略語である。プログラマブル回路は、例えば、FPGAである。「FPGA」は、Field-Programmable Gate Arrayの略語である。専用回路は、例えば、ASICである。「ASIC」は、Application Specific Integrated Circuitの略語である。制御部11は、情報処理装置10の各部を制御しながら、情報処理装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0051】
記憶部12は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。「RAM」は、Random Access Memoryの略語である。「ROM」は、Read Only Memoryの略語である。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。「SRAM」は、Static Random Access Memoryの略語である。「DRAM」は、Dynamic Random Access Memoryの略語である。ROMは、例えば、EEPROMである。「EEPROM」は、Electrically Erasable Programmable Read Only Memoryの略語である。記憶部12は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部12には、情報処理装置10の動作に用いられるデータと、情報処理装置10の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0052】
通信部13は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LTE、4G規格、若しくは5G規格などの移動通信規格に対応したインタフェース、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信規格に対応したインタフェース、又はLANインタフェースである。「LTE」は、Long Term Evolutionの略語である。「4G」は、4th Generationの略語である。「5G」は、5th Generationの略語である。通信部13は、情報処理装置10の動作に用いられるデータを受信し、また情報処理装置10の動作によって得られるデータを送信する。本実施形態において、通信部13は、端末装置20と通信を行う。
【0053】
入力部14は、少なくとも1つの入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又はマイクロフォンである。入力部14は、情報処理装置10の動作に用いられるデータを入力する操作を受け付ける。入力部14は、情報処理装置10に備えられる代わりに、外部の入力機器として情報処理装置10に接続されてもよい。接続用インタフェースとしては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの規格に対応したインタフェースを用いることができる。「USB」は、Universal Serial Busの略語である。「HDMI(登録商標)」は、High-Definition Multimedia Interfaceの略語である。
【0054】
出力部15は、少なくとも2つの出力用インタフェースを含む。1つの出力用インタフェースは、LCD又は有機ELディスプレイなどのディスプレイである。「LCD」は、Liquid Crystal Displayの略語である。「EL」は、Electro Luminescenceの略語である。他の出力用インタフェースは、例えば、スピーカである。出力部15は、情報処理装置10の動作によって得られるデータを出力する。出力部15は、情報処理装置10に備えられる代わりに、外部の出力機器として情報処理装置10に接続されてもよい。接続用インタフェースとしては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの規格に対応したインタフェースを用いることができる。
【0055】
情報処理装置10の機能は、記憶部12が記憶しているプログラムを、制御部11としてのプロセッサで実行することにより実現される。
【0056】
(入院患者の状況の表示)
情報処理装置10が入院患者の状況を示す表示画面を生成する動作について、
図1~
図9を参照して説明する。
【0057】
なお、
図1~
図9は、心不全で入院した患者に対する診療工程を想定して作成されているが、
図1~
図9は心不全の場合を一例として例示したものであり、本発明は特定の疾患に限定されるものではない。
【0058】
情報処理装置10は、端末装置20から取得した入院患者に関する情報に基づいて、入院患者の状況を示す表示画面を生成する。情報処理装置10は、生成した、入院患者の状況を示す表示画面を端末装置20に送信し、入院患者の状況を示す表示画面を端末装置20に表示させる。
【0059】
情報処理装置10の記憶部12は、医療施設に入院している複数の入院患者を識別する患者IDを記憶している。記憶部12は、患者IDに関連付けて、患者情報と、診療工程情報と、病態管理マイルストーン情報と、総合生活機能マイルストーン情報と、病態管理マイルストーン達成情報と、総合生活機能マイルストーン達成情報と、入院患者の現在の診療工程と、を記憶している。
【0060】
記憶部12が患者IDに関連付けて記憶している、「患者情報」と、「診療工程情報」と、「病態管理マイルストーン情報」と、「総合生活機能マイルストーン情報」と、「病態管理マイルストーン達成情報」と、「総合生活機能マイルストーン達成情報」と、「入院患者の現在の診療工程」とについて、適宜、
図3を参照して説明する。
図3は、端末装置20が表示している、入院患者の状況を示す表示画面の例である。
【0061】
「患者情報」は、入院患者の氏名、年齢、性別、入院している部屋の部屋番号、入院日などを含む情報である。なお、患者情報が含む情報は、上述した情報に限定されない。患者情報は、上述した情報以外の情報を含んでいてもよいし、上述した情報のうちのいくつかを含んでいなくてもよい。
図3に示す表示画面において、領域101は、患者ID及び患者情報を表示している。なお、
図3に示す表示画面において、領域101は、患者情報のうち、氏名、年齢、性別及び入院日を表示している。
【0062】
「診療工程情報」は、入院患者の入院から退院までを少なくとも3つの診療工程に分けた情報である。入院患者の入院から退院までをいくつの診療工程に分けるかは、入院患者の重篤度、入院患者の疾患における典型的な回復パターン、既存のクリニカルパス等に応じて、適宜設定されていてよい。心不全診療における診療工程は、例えば、超急性、急性、回復、退院準備などである。ある入院患者の診療工程情報が、超急性、急性、回復及び退院準備の4つの診療工程を含む場合、入院直後の診療工程は超急性であり、入院患者が回復するにしたがって、診療工程が、急性、回復、退院準備と進んでいく。そして、退院準備の工程が終了すると、入院患者は退院する。
図3に示す表示画面において、領域102は、診療工程情報を表示している。なお、診療工程情報としては、入院、退院などを、それぞれ1つの診療工程として含んでもよい。
【0063】
「病態管理マイルストーン情報」は、入院患者が各診療工程において病態推移として達成するべき病態管理マイルストーンが設定された情報である。
図3に示す例を参照し、「病態管理マイルストーン情報」について説明する。
図3において、領域103に、病態管理マイルストーンが表示されている。病態管理マイルストーンは、入院患者の病態を管理するためのマイルストーンである。
【0064】
図3の領域102及び領域103を参照すると、「超急性」の診療工程の横に、「起坐呼吸消失」、「強心薬OFF」及び「酸素化OFF」が表示されている。これは、「超急性」の診療工程において、「起坐呼吸消失」、「強心薬OFF」及び「酸素化OFF」が、達成するべき病態管理マイルストーンとして設定されていることを示している。なお、ここでいう「起坐呼吸消失」とは、起坐呼吸の所見が無くなった状態に至ったことを意味している。また、ここでいう「強心薬OFF」とは、強心薬の投与が不要な状態に至ったことを意味している。また、「酸素化OFF」とは、酸素マスクによる酸素共有又は陽圧換気等の呼吸補助が不要な状態に至ったことを意味している。
【0065】
また、「急性」の診療工程の横に、「RAA導入検討」及び「IV→op」が表示されている。これは、「急性」の診療工程において、「RAA導入検討」及び「IV→op」が、達成するべき病態管理マイルストーンとして設定されていることを示している。なお、ここでいう「RAA導入検討」とは、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の阻害薬の投与、又は投与の実施可否判断が実施されたことを示している。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の阻害薬は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)、β遮断薬、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)などを含む。また、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の阻害薬には、SGLT2阻害薬が含まれる場合もある。また、「IV→op」とは、薬剤の投与経路が、経静脈投与から経口投与に変更されたことを意味しており、例えば利尿剤の投与経路変更が該当する。
【0066】
また、「回復」の診療工程の横に、「臨床うっ血OFF」が表示されている。これは、「回復」の診療工程において、「臨床うっ血OFF」が、達成するべき病態管理マイルストーンとして設定されていることを示している。なお、ここでいう「臨床うっ血OFF」とは、うっ血の臨床所見が消失、又は消失と見なせる程度まで減少したことを意味している。このうっ血の臨床所見としては、下腿などの末梢浮腫、頚静脈怒張、腹水、肝頚静脈逆流、下大静脈径及び下大静脈の呼吸性変動などが含まれる。
【0067】
また、「退院準備」の診療工程の横に、「残存うっ血許容」が表示されている。これは、「退院準備」の診療工程において、「残存うっ血許容」が、達成するべき病態管理マイルストーンとして設定されていることを示している。なお、ここでいう「残存うっ血許容」とは、臨床的及び血行動態的なうっ血状態が、その患者の再入院リスクに鑑みて、許容できる程度に軽減された状態に至ったことを意味している。具体的には、うっ血の臨床所見、血中BNP及びNT-ProBNP値の推移等から総合的に判断される。
【0068】
なお、
図3の領域103を参照すると、「起坐呼吸消失」、「強心薬OFF」、「酸素化OFF」及び「IV→op」が、薄い文字で表示されている。これは、病態管理マイルストーンとして、「起坐呼吸消失」、「強心薬OFF」、「酸素化OFF」及び「IV→op」が、既に達成されていることを示している。
【0069】
また、
図3の領域103を参照すると、「臨床うっ血OFF」及び「残存うっ血許容」が、通常の文字で表示されている。これは、病態管理マイルストーンとして、「臨床うっ血OFF」及び「残存うっ血許容」が、まだ達成されていないことを示している。
【0070】
また、
図3の領域103を参照すると、「RAA導入検討」が、濃い文字で表示されている。また、「RAA導入検討」は、背景が異なる色で表示されている。これは、病態管理マイルストーンとして、「RAA導入検討」が、次の診療工程に移行するために達成することが必要な、病態管理上の次のターゲットとなる病態管理マイルストーンとして、強調して表示されていることを示している。
【0071】
このように、情報処理装置10は、達成済みの病態管理マイルストーンと、未達成の病態管理マイルストーンと、次に達成することをターゲットとしている病態管理マイルストーンとを、異なる態様で端末装置20に表示させる。これにより、医療従事者は、どの病態管理マイルストーンが達成済みで、どの病態管理マイルストーンが未達成であるかを容易に把握することができる。また、医療従事者は、次に達成するべき病態管理マイルストーンを容易に把握することができる。
【0072】
「総合生活機能マイルストーン情報」は、入院患者が各診療工程において総合生活機能として達成するべき総合生活機能マイルストーンが設定された情報である。ここで、「総合生活機能」は、日常生活を送るために最低限必要な日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)と、退院準備として必要な各種の指導・確認などとを意味している。なお、「総合生活機能」は、高齢者医療における「高齢者総合機能(CGA)」と同義のものとして扱ってもよい。
【0073】
図3に示す例を参照し、「総合生活機能マイルストーン情報」について説明する。
図3において、領域104に、総合生活機能マイルストーンが表示されている。
【0074】
図3の領域102及び領域104を参照すると、「急性」の診療工程の横に、「20m歩行安定化」、「退院先確認」、「服薬指導1」及び「病識指導1」が表示されている。これは、「急性」の診療工程において、「20m歩行安定化」、「退院先確認」、「服薬指導1」及び「病識指導1」が、達成するべき総合生活機能マイルストーンとして設定されていることを示している。ここで、「20m歩行安定化」はADLとしての総合生活機能マイルストーンであり、20m距離の歩行を、病態変動及び身体能力などの点で問題なく実施可能な状態に至ったことを示している。この病態変動の程度は、運動前後での心拍数、血圧、呼吸数及び酸素飽和度等の変動などから判定されるものである。また、身体能力としての歩行安定化は、指定された歩行手段において、歩行時のバランスの維持及び転倒リスクの程度などから判定されるものである。指定された歩行手段としては、独歩、杖歩行、歩行器、などがある。「退院先確認」、「服薬指導1」及び「病識指導1」は、退院準備としての総合生活機能マイルストーンである。ここでいう「退院先確認」とは、患者の退院先の居住環境及び生活環境、主たるケアギバーの有無及び患者本人との関係、介護保険サービスの利用状況などを確認することを示す。また、場合によっては、患者が暮らす施設の関係者への確認及びケアマネージャーへの確認作業も「退院先確認」に含まれる。ここでいう「服薬指導1」及び「病識指導1」とは、患者の再入院抑制を目的とした患者教育において、服薬指導に関する教育と、病識指導に関する教育の、それぞれ1回目が完了したことを示す。この患者教育で、何をもって1回と見なすかは、病院毎に様々な取り組み方があるため、病院毎に本情報処理システム導入時に設定される。例えば、担当者による面談回数でカウントする場合もあれば、教育資材を患者が独学することを1回分のカウントに含める場合もある。「服薬指導」及び「病識指導」が別々に実施される場合もあれば、同時に実施される場合もある。回数ではなく、患者の理解度に依る達成度で定められる場合もある。
【0075】
また、「回復」の診療工程の横に、「50m歩行安定化」、「退院調整開始」及び「服薬指導2」が表示されている。これは、「回復」の診療工程において、「50m歩行安定化」、「退院調整開始」及び「服薬指導2」が、達成するべき総合生活機能マイルストーンとして設定されていることを示している。ここで、「50m歩行安定化」はADLとしての総合生活機能マイルストーンであり、「退院調整開始」及び「服薬指導2」は、退院準備としての総合生活機能マイルストーンである。ここでいう「50m歩行安定化」とは、50m距離の歩行を、病態変動及び身体能力などの点で問題なく実施可能な状態に至ったことを示しており、その判定方法は、上記「20m歩行安定化」と同様である。ここでいう「退院調整開始」とは、患者が退院後に生活するために必要な環境調整を開始したことを示しており、例えば、同居家族又は近くに住む親せき等を含むケアギバーへの連絡、入院前の居住施設(特別養護老人ホーム(特養)、介護老人福祉施設、介護老人保健施設(老健)、又はサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など)への連絡、及び介護保険サービスの調整のためのケアマネージャーへの連絡等を含む。「服薬指導2」とは、服薬指導に関する教育の2回目が完了したことを示しており、その判定方法は、上記「服薬指導1」と同様である。
【0076】
また、「退院準備」の診療工程の横に、「退院環境歩行」、「調整完了」、「運動指導」及び「栄養指導」が表示されている。これは、「退院準備」の診療工程において、「退院環境歩行」、「調整完了」、「運動指導」及び「栄養指導」が、達成するべき総合生活機能マイルストーンとして設定されていることを示している。ここで、「退院環境歩行」はADLとしての総合生活機能マイルストーンであり、「調整完了」、「運動指導」及び「栄養指導」は、退院準備としての総合生活機能マイルストーンである。ここでいう「退院環境歩行」とは、患者が退院後の生活環境下で必要となる歩行能力を獲得した状態に至ったことを示している。その判定方法は、例えば理学療法士によって6分間歩行試験などの運動耐容能評価が実施され、その計測結果と、退院後の生活環境(坂及び階段の昇降の有無、外出の距離及び頻度等)を考慮して判定されることがある。また、退院後の生活環境を考慮して、退院時の目標ADL(例えば、100mの距離を杖歩行で歩行可)を予め設定し、それを満たしたかどうかで判定されることもある。更に、作業療法士によって、掃除、洗濯、入浴、及び料理などの具体的な家事における、屋内歩行の程度及び運動強度も考慮して判定されることもある。ここでいう「調整完了」とは、退院調整が完了したことを示しており、この退院調整は、「退院調整開始」における退院調整と同じものとして用いている。ここでいう「運動指導」及び「栄養指導」は、患者の再入院抑制を目的とした患者教育において、運動指導に関する教育及び栄養指導に関する教育が、それぞれ完了したことを示す。なお、上記「服薬指導」、「病識指導」、「運動指導」及び「栄養指導」は、いずれも患者教育に関する項目である。患者教育に関する項目は、病院又は患者によって、どの項目を、何段階のマイルストーンとして実施するかを、様々な組み合わせとしてよい。患者教育は、上記項目のうち幾つかのみを選択して実施する場合もあるし、上記項目以外の指導項目を更に加えて実施する場合もある。
【0077】
なお、
図3の領域104を参照すると、「20m歩行安定化」、「服薬指導1」及び「病識指導1」が、薄い文字で表示されている。これは、総合生活機能マイルストーンとして、「20m歩行安定化」、「服薬指導1」及び「病識指導1」が、既に達成されていることを示している。
【0078】
また、
図3の領域104を参照すると、「退院調整開始」、「退院環境歩行」、「調整完了」、「運動指導」及び「栄養指導」が、通常の文字で表示されている。これは、総合生活機能マイルストーンとして、「退院調整開始」、「退院環境歩行」、「調整完了」、「運動指導」及び「栄養指導」が、まだ達成されていないことを示している。
【0079】
また、
図3の領域104を参照すると、「退院先確認」、「50m歩行安定化」及び「服薬指導2」が、濃い文字で表示されている。また、「退院先確認」、「50m歩行安定化」及び「服薬指導2」は、背景が異なる色で表示されている。これは、総合生活機能マイルストーンとして、「退院先確認」、「50m歩行安定化」及び「服薬指導2」が、次に達成するターゲットとなる総合生活機能マイルストーンとして、強調して表示されていることを示している。
【0080】
このように、情報処理装置10は、達成済みの総合生活機能マイルストーンと、未達成の総合生活機能マイルストーンと、次に達成することをターゲットとしている総合生活機能マイルストーンとを、異なる態様で端末装置20に表示させる。これにより、医療従事者は、どの総合生活機能マイルストーンが達成済みで、どの総合生活機能マイルストーンが未達成であるかを容易に把握することができる。また、医療従事者は、次に達成するべき総合生活機能マイルストーンを容易に把握することができる。
【0081】
本実施形態では、病態管理マイルストーン及び総合生活機能マイルストーンについて、文字の濃淡及び背景色でマイルストーンの達成状況を区別する仕様としたが、本発明はこれに限定されない。マイルストーンの達成状況は、文字の形又は色を変えて示してもよく、あるいは、マイルストーン項目の傍に「達成」、「未達」、「要達成」等を表示して示してもよい。「要達成」項目を点灯させる等により、見る者の注意を引く様に表示してもよい。更に、上記に示した表示方法の複数を組合わせてもよい。
【0082】
「病態管理マイルストーン達成情報」は、病態管理マイルストーンの達成状況を示す情報である。
図3においては、上述のように、領域103に表示されている病態管理マイルストーンの文字の態様が、病態管理マイルストーン達成情報を反映している。
【0083】
病態管理マイルストーン達成情報は、病態管理マイルストーンが達成済みであるか未達成であるかという情報を含むだけでなく、それ以外の情報を含んでいてもよい。例えば、病態管理マイルストーン達成情報は、病態管理マイルストーンの経過情報を数値データとして含んでいてもよい。また、例えば、病態管理マイルストーン達成情報は、医療従事者が端末装置20に病態管理マイルストーンについて入力したコメントなどの情報を含んでいてもよい。
【0084】
「総合生活機能マイルストーン達成情報」は、総合生活機能マイルストーンの達成状況を示す情報である。
図3においては、上述のように、領域104に表示されている総合生活機能マイルストーンの文字の態様が、総合生活機能マイルストーン達成情報を反映している。
【0085】
総合生活機能マイルストーン達成情報は、総合生活機能マイルストーンが達成済みであるか未達成であるかという情報を含むだけでなく、それ以外の情報を含んでいてもよい。例えば、総合生活機能マイルストーン達成情報は、総合生活機能マイルストーンの経過情報を数値データとして含んでいてもよい。また、例えば、総合生活機能マイルストーン達成情報は、医療従事者が端末装置20に総合生活機能マイルストーンについて入力したコメントなどの情報を含んでいてもよい。
【0086】
「入院患者の現在の診療工程」は、入院患者が、現在どの診療工程にいるかを示す情報である。
図3を参照すると、領域102において、「急性」の背景が異なる色で表示されている。これは、入院患者が、現在、「急性」の診療工程にいることを示している。
【0087】
記憶部12は、患者情報、診療工程情報、病態管理マイルストーン情報、総合生活機能マイルストーン情報、病態管理マイルストーン達成情報及び総合生活機能マイルストーン達成情報を、端末装置20から取得してよい。
【0088】
端末装置20は、医療従事者の入力操作によって、患者情報、診療工程情報、病態管理マイルストーン情報、総合生活機能マイルストーン情報、病態管理マイルストーン達成情報及び総合生活機能マイルストーン達成情報のいずれかを取得すると、取得した情報を情報処理装置10に送信する。
【0089】
情報処理装置10の制御部11は、患者情報、診療工程情報、病態管理マイルストーン情報、総合生活機能マイルストーン情報、病態管理マイルストーン達成情報及び総合生活機能マイルストーン達成情報のいずれかを、端末装置20から通信部13を介して取得すると、取得した情報を記憶部12に記憶する。
【0090】
制御部11は、現在の診療工程を、病態マイルストーン達成情報に基づいて決定する。この際、制御部11は、総合生活機能マイルストーン達成情報とは無関係に、病態マイルストーン達成情報のみに基づいて、現在の診療工程を決定する。
【0091】
制御部11は、現在の診療工程において達成するべき病態管理マイルストーンが全て達成されると、現在の診療工程を次の診療工程に移行させる。例えば、
図3に示す例の場合、制御部11は、「急性」の診療工程において、「RAA導入検討」及び「IV→op」が達成されると、診療工程を「急性」から「回復」に移行させる。この際、制御部11は、総合生活機能マイルストーン達成情報については考慮しない。例えば、「急性」の診療工程において達成するべき総合生活機能マイルストーンである「退院先確認」が達成されていなくても、制御部11は、診療工程を「急性」から「回復」に移行させる。
【0092】
制御部11は、端末装置20が取得した、入院患者の病態に関する情報に基づいて、病態管理マイルストーンが達成されたか否かを判定してよい。
【0093】
例えば、
図3に示す例においては、「回復」の診療工程において達成するべき病態管理マイルストーンとして「臨床うっ血OFF」が設定されている。制御部11は、うっ血の臨床所見が消失したことを判定する手段として、例えば、体重又は細胞外液量などのような、うっ血の指標となるデータの減少傾向が飽和する挙動を示したら、「臨床うっ血OFF」が達成されたと判定してよい。
【0094】
また、例えば、
図3に示す例においては、「退院準備」の診療工程において達成するべき病態管理マイルストーンとして「残存うっ血許容」が設定されている。制御部11は、臨床的及び血行動態的なうっ血状態が、その患者の再入院リスクに鑑みて、許容できる程度に軽減された状態に至ったことを判定する手段として、例えば、体重又は細胞外液量などのような、うっ血の指標となるデータの減少傾向が飽和する状態が一定期間以上(例えば3日以上)継続したら、「残存うっ血許容」が達成されたと判定してよい。
【0095】
なお、例えば、上記の「臨床うっ血OFF」及び「残存うっ血許容」の事例において、医療従事者の端末装置20の入力操作によっても、達成を入力可能としてもよい。この場合に、制御部11の判定と医療従事者の入力とのうちのいずれかを優先する仕様としてもよいし、いずれかの手段で達成と判定された時点で、そのマイルストーン項目を達成とみなす仕様としてもよい。
【0096】
制御部11は、診療工程を次の診療工程に移行させると、記憶部12が記憶している「入院患者の現在の診療工程」を更新する。
【0097】
制御部11は、現在の診療工程を次の診療工程に移行させる際、自動で移行させるのではなく、次の診療工程に移行させるか否かを医療従事者に問い合わせ、医療従事者が次の診療工程に移行させると判断した場合に、現在の診療工程を次の診療工程に移行させてもよい。
【0098】
この場合、制御部11は、現在の診療工程において達成するべき病態管理マイルストーンが全て達成されると、現在の診療工程を次の診療工程に移行させるか否かを問う質問情報を生成し、通信部13を介して端末装置20に送信する。
【0099】
端末装置20は、現在の診療工程を次の診療工程に移行させるか否かを問う質問情報を受信すると、受信した質問情報を表示する。端末装置20は、質問情報に対して、次の診療工程に移行させるとの回答の入力を医療従事者から取得すると、当該回答を情報処理装置10に送信する。
【0100】
情報処理装置10の制御部11は、次の診療工程に移行させるとの回答を、通信部13を介して端末装置20から取得すると、現在の診療工程を次の診療工程に移行させる。
【0101】
続いて、情報処理装置10が、端末装置20から入院患者に関する情報を取得する動作について説明する。
【0102】
端末装置20は、入院患者に関する情報として、患者情報、診療工程情報、病態管理マイルストーン情報、総合生活機能マイルストーン情報、病態管理マイルストーン達成情報及び総合生活機能マイルストーン達成情報などを、医療従事者の入力操作によって取得することができる。
【0103】
端末装置20は、入院患者に関する情報として、患者情報、診療工程情報、病態管理マイルストーン情報、総合生活機能マイルストーン情報、病態管理マイルストーン達成情報及び総合生活機能マイルストーン達成情報などのいずれかの情報を取得すると、取得した情報を情報処理装置10に送信する。
【0104】
情報処理装置10の制御部11は、入院患者に関する情報を、端末装置20から通信部13を介して取得する。制御部11は、取得した入院患者に関する情報を記憶部12に記憶する。
【0105】
端末装置20は、入院患者の病態管理に関する情報を、入院患者の病態を計測可能な計測デバイスから取得してよい。計測デバイスは、例えば、脈拍、血圧などを測定する計測デバイスであってよい。端末装置20は、入院患者の病態を計測可能な計測デバイスと、有線接続又は無線接続によって通信可能である。
【0106】
情報処理装置10の制御部11は、入院患者の現在の診療工程以外の診療工程における総合生活機能マイルストーン達成情報を取得することができる。すなわち、制御部11は、入院患者の現在の診療工程以外の診療工程における総合生活機能マイルストーン達成情報の入力を受付可能である。
【0107】
例えば、入院患者の現在の診療工程が「急性」である場合に、制御部11は、「回復」の診療工程における総合生活機能マイルストーンである「50m歩行安定化」の達成情報を取得することができる。また、例えば、入院患者の現在の診療工程が「回復」である場合に、制御部11は、「急性」の診療工程における総合生活機能マイルストーンである「20m歩行安定化」の達成情報を取得することができる。
【0108】
制御部11は、患者IDに関連付けて記憶している、患者情報と、診療工程情報と、病態管理マイルストーン情報と、総合生活機能マイルストーン情報と、病態管理マイルストーン達成情報と、総合生活機能マイルストーン達成情報と、入院患者の現在の診療工程とに基づいて、入院患者の状況を示す表示画面を生成する。
【0109】
図3を参照して、制御部11が生成する、入院患者の状況を示す表示画面について説明する。
【0110】
入院患者の状況を示す表示画面は、領域101に示すように、患者ID及び入院患者の患者情報を表示する。
【0111】
また、入院患者の状況を示す表示画面は、領域102に示すように、入院患者の入院から退院までの全ての診療工程を順に並べて表示する。なお、入院患者の状況を示す表示画面は、入院患者の入院から退院までの全ての診療工程を含んでいなくてもよい。入院患者の状況を示す表示画面は、入院患者の入院から退院までの全ての診療工程のうちのいずれかの複数の診療工程を表示していればよい。
【0112】
また、入院患者の状況を示す表示画面は、領域102~領域104に示すように、診療工程の各々に対応づけて、当該診療工程において達成するべき病態管理マイルストーンの達成状況と、当該診療工程において達成するべき総合生活機能マイルストーンの達成状況とを表示する。
【0113】
診療工程の各々に対応づけて、当該診療工程において達成するべき病態管理マイルストーンの達成状況を表示するために、制御部11は、病態管理マイルストーン達成情報に基づいて、各診療工程において達成するべき病態管理マイルストーンの達成状況を抽出する。例えば、診療工程が、超急性、急性、回復及び退院準備の4つの診療工程に分かれている場合、制御部11は、超急性、急性、回復及び退院準備の4つの診療工程のそれぞれについて、病態管理マイルストーンの達成状況を抽出する。
【0114】
診療工程の各々に対応づけて、当該診療工程において達成するべき総合生活機能マイルストーンの達成状況を表示するために、制御部11は、総合生活機能マイルストーン達成情報に基づいて、各診療工程において達成するべき総合生活機能マイルストーンの達成状況を抽出する。例えば、診療工程が、超急性、急性、回復及び退院準備の4つの診療工程に分かれている場合、制御部11は、超急性、急性、回復及び退院準備の4つの診療工程のそれぞれについて、総合生活機能マイルストーンの達成状況を抽出する。
【0115】
また、入院患者の状況を示す表示画面は、領域105に示すように、入院患者の病態管理に関する情報の時間経過を表示する。入院患者の病態管理に関する情報は、病態管理マイルストーン達成情報に含まれていてよい。
【0116】
図3に示す例においては、入院患者の状況を示す表示画面は、領域105に示すように、入院患者の病態管理に関する情報の時間経過をグラフ表示している。領域105に示す3つのグラフは、上から順に、入院患者の体重の時間経過、入院患者の1日の尿量の時間経過、入院患者の細胞外液量の時間経過を示すグラフである。なお、入院患者の病態管理に関する情報として、体重、尿量及び細胞外液量を示したのは一例であり、入院患者の病態管理に関する情報は、これらの情報に限定されない。例えば、細胞外液量を総水分量で割った値(浮腫インデックス)、下大静脈径、浮腫スコア、頚静脈怒張スコア、内頸静脈の拍動域の高さ、総尿量、IN-OUTバランス、心拍出量、心係数、及び心拍出量のトレンドを示すその他計測値、などであってもよい。更には、うっ血指標を横軸に、心拍出量指標を縦軸にプロットした、血行動態の変化を示す2軸のグラフ表示であり、各プロット間の時間経過が分かる様に表示されたもの(例えば、取得時間が古いプロットから、新しいプロットへ矢印が描かれるもの、時間経過が色の濃淡で示されたもの、及び取得日時が直接プロットの傍に記入されたものなど)であってもよい。また、これらの情報を、タブで表示切替可能な構成としてもよい。例えば
図3では、「除水」に関する項目と、「頚静脈」に関する項目とを、それぞれまとめた表示画面を有しており、タブの部分が押されたことを端末装置20が検出すると、表示する画面を切替可能としている。なお、
図3は、「除水」が表示選択された状態である。
【0117】
また、
図3に示す例においては、入院患者の状況を示す表示画面は、領域106に示すように、入院患者の総合生活機能マイルストーンに関連した診療の進捗情報を表示する。
【0118】
領域106において上部に表示されている表は、入院患者の許容される安静度が向上する様子を示している。数字1~6は、それぞれ、以下の安静度を示している。1が最も運動及び動作の制限が大きく、6が最も運動及び動作の制限が小さい。すなわち、数字1~6は、離床リハビリテーションのプログラムにおける、ステージ1~6と同様の意味をもつ。
1:ベッド上安静
2:端座位
3:室内自由
4:フロアトイレ
5:フロア自由
6:構内自由
この数字の総数、及び各数字が示す安静度は、本情報処理システムが用いられる各病院及び疾患毎に存在する、リハビリテーションプログラムに基づいて、本情報処理システム導入時に設定される。そのため、例えば、離床リハビリテーションを4段階で実施している病院では、数字1~4で表示されてよい。また、同じ6段階で表示されている場合でも、6段階目が「フロアトイレ」である様な場合もある。離床リハビリテーションのプログラムだけでなく、その後の運動療法(有酸素運動、及びレジスタンストレーニング等を含む)を含めて、連続する数字(例えば1~7)で表示してもよいし、離床リハビリと運動療法とで、個別に画面を作成し、それぞれ1から始まる数字で表示してもよい。
【0119】
また、領域106の上部の表において、チェックマークの数は、その安静度が何日で達成されたかを示している。例えば、
図3に示す例は、「1(ベッド上安静)」が1日で達成され、「2(端座位)」が2日で達成されたことを示している。また、「3(室内自由)」になってから3日が経過したことを示している。リハビリテーションの経過が分かるように表示されていればよく、チェックマークの代わりに、リハビリテーションの実施日時が記載されていてもよい。また、チェックマークの代わりに、チェックマークが表示されているマス目の部分が、背景色と異なる色で塗られるように表示してもよい。更に、一番最近のリハビリテーションの実施に該当する箇所が識別できる様に、他とは異なる色又は表示形式で表示してもよい。そうすることにより、リハビリテーションを進める中で、許容される安静度が低下してしまった様な場合(リハビリの進捗がステージバックしてしまった様な場合)においても、リハビリテーションプログラムにおける患者の現在位置を正しく把握することができる。また、ステージバックが起きてしまった場合に、その履歴を表示して残すようにしてもよい。
【0120】
また、領域106は、入院患者の最後の診療工程である退院準備において達成するべき総合生活機能マイルストーンのゴールと現状とのギャップを示す情報を表示している。領域106は、ゴールである目標が「100m杖歩行」であるのに対し、現状が「40m杖歩行」であることを示している。このように、入院患者の状況を示す表示画面は、入院患者の最後の診療工程である退院準備において達成するべき総合生活機能マイルストーンのゴールと現状とのギャップを示す情報を定量的に表示してよい。
【0121】
さらに、領域106は、より詳細な情報をまとめた画面に表示切替可能な構成であってもよい。例えば
図3では、領域106は、「離床リハ」と「詳細」の2つのタブを有しており、「離床リハ」が表示選択された状態である。「詳細」のタブの部分が押されたことを端末装置20が検出すると、離床リハビリの実施項目、実施前後でのバイタル変動など、詳細データを確認することができる内容が表示されてもよい。
【0122】
また、
図3に示す例においては、入院患者の状況を示す表示画面は、領域107に示すように、入院患者の退院後の生活環境に関する情報を表示する。
【0123】
入院患者の退院後の生活環境として、
図3に示す例においては、領域107に以下の情報が表示されている。
一軒家、軽い坂、階段1F分
独居、親戚、2週間に1回
教育対象:本人
料理・洗濯:本人
要支援1
訪問介護:なし
訪問看護:週1
訪問リハビリ:なし
通所リハビリ:週1
「一軒家」の部分には、「居住施設の種類」が表示され、例えば、一軒家、集合住宅、特養、老健、サ高住、又は療養病棟、等から合致する項目が表示される。「軽い坂」の部分には、「坂道の程度」が表示され、例えば、坂なし、軽い坂道、坂道、厳しい坂道、等から合致する項目が表示される。「階段1F分」の部分には、「階段の程度」が表示され、例えば、無し/エレベーター有り、階段1F分、階段2F分、階段3F分以上、等から合致する項目が表示される。「居住施設の種類」、「坂道の程度」、及び「階段の程度」については、表示される場所を近くにまとめて表示することで、見る者に「居住環境」を分かり易く示してもよい。また、他の項目として、「外出頻度」を表示してもよく、例えば、毎日、2日に1回、1週間に2~3回、1週間に1回以下、等から合致する項目が表示されるようにしてもよい。
「独居」の部分には、「同居の有無及び状況」が表示され、例えば、独居、施設入居、老夫婦、子供と同居、親戚と同居、等から合致する項目が表示される。「親戚」の部分には、「主たるケアギバー」が表示され、例えば、本人、配偶者、子供、親戚、施設管理、介護支援、等から合致する項目が表示される。「2週間に1回」の部分には、「主たるケアギバーの訪問頻度」が表示され、例えば、同居/毎日、1週間に2~3回、1週間に1回、2週間に1回、1ヵ月に1回、必要時のみ、等から合致する項目が表示される。「同居の有無及び状況」、「主たるケアギバー」、及び「主たるケアギバーの訪問頻度」については、表示される場所を近くにまとめて表示することで、見る者に「ケアギバーに関する状況」を分かり易く示してもよい。また、他の項目として、「ケアギバーとの仲」を表示してもよく、例えば、良好、普通、やや難あり、難あり、等から合致する項目が表示されるようにしてもよい。
「教育対象」の部分には、「患者教育の主たる対象者」が表示され、例えば、本人、配偶者、子供、親戚、施設管理、介護支援、等から合致する項目が表示される。この項目は、直接入力されてもよく、「ケアギバーに関する状況」に関する入力結果に基づき、自動入力されてもよい。自動入力においては、例えば、「同居の有無及び状況」の入力項目と「主たるケアギバー」の入力項目が同じ場合、その入力結果を「患者教育の主たる対象者」に表示してもよい。また、「同居の有無及び状況」の入力項目と「主たるケアギバー」の入力項目が異なる場合、「主たるケアギバーの訪問頻度」が低頻度である場合は「同居の有無及び状況」の入力項目を「患者教育の主たる対象者」として表示し、「主たるケアギバーの訪問頻度」が高頻度である場合は「主たるケアギバー」の入力項目を「患者教育の主たる対象者」として表示してもよい。なお、「主たるケアギバーの訪問頻度」の閾値としては、例えば2週間に1回以下の頻度である場合に、低頻度と見なしてもよい。また、「同居の有無及び状況」の入力項目を「患者教育の主たる対象者」として表示する場合に、「同居の有無及び状況」の入力項目が「独居」であった場合には、「患者教育の主たる対象者」を「本人」と表示し、患者教育の主たる対象者が患者本人であることを、分かり易く示してもよい。
「料理・洗濯」の部分には、「家事の実施者」が表示され、例えば、本人実施、家族実施、ケアギバー、購入/外部サービス、等から合致する項目が表示される。なお、
図3に示す例においては、「料理」と「洗濯」を1つの項目として示したが、「料理」、「洗濯」の様にそれぞれ分けて表示してもよい。そうすることで、患者教育の栄養指導の際に参考になる。また、他の項目として、「掃除」等の家事に関する項目を細分化して表示してもよい。
「要支援1」の部分には、「患者本人の介護度」が表示され、例えば、なし、要支援1、要支援2、要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、要介護5、等から合致する項目が表示される。また、
図3に示す例においては、「患者本人の介護度」の下段には「介護保険サービスの利用状況」が表示され、「訪問介護」、「訪問看護」、「訪問リハビリ」、及び「通所リハビリ」のそれぞれについて、実施頻度が表示される。実施頻度は、例えば、毎日、2日に1回、1週間に2~3回、1週間に1回以下、なし、等から合致する項目が表示される。利用可能な介護保険サービスは、患者の介護度によって決まるため、「患者本人の介護度」、及び「介護保険サービスの利用状況」を近くにまとめて表示することで、見る者に「患者の介護保険に関する状況」を分かり易く示してもよい。また、他の項目として、介護保険法に基づく種々のサービス(介護予防サービス、及び地域密着型サービスを含む)が表示されてもよい。
【0124】
さらに、領域107は、より詳細な情報をまとめた画面に表示切替可能な構成であってもよい。例えば
図3では、領域107は、「心不全」、「入院前」及び「退院先」の3つのタブを有しており、退院環境の目安として「入院前」が表示選択された状態である。「退院先」の画面は、例えば「入院前」と同様の項目で構成され、「退院先確認」及び「退院調整」の結果に基づいて入力される。多くの場合、「入院前」と「退院先」は同様であり、かつ変化する項目は診療上重要事項となるため、「入院前」と「退院先」の画面が、同様の項目で構成されると、医療従事者にとって分かり易い。また、「心不全」の画面は、例えば、心不全の原疾患(虚血、高血圧、心筋症(HCМ)、心筋症(DCМ)、心筋症(RCМ)等)、入院のトリガー(Ischemia、Arrhythmia、Intake、Infection、Alcohol、Hypertension、Anemia、Stress、Acute renal failure等)、入院時の心不全プロファイルとして、入院時のCSタイプ(I、II、III、IV、V)、NYHA分類(I、II、III、IV)、及び心不全の種類(HFrEF、HFmrEF、HFpEF等)などの項目で構成される。
【0125】
図3に示すような表示画面を様々な職種の医療従事者が確認することにより、様々な職種の医療従事者間で、病態管理マイルストーンの達成状況及び総合生活機能マイルストーンの達成状況を共有することができる。また、様々な職種の医療従事者間で、総合生活機能マイルストーンのゴールと現状とのギャップの情報を共有することができる。また、様々な職種の医療従事者間で、入院患者の退院後の生活環境に関する情報を共有することができる。
【0126】
また、
図3の領域102~104で示されたマイルストーンの達成状況に対し、その状況の詳細情報、遅れているマイルストーン項目についての要因などを把握し、更には、遅れているマイルストーン項目に対する改善策を検討する上で、
図3の領域105~107の情報を用いることができる。領域102~104と、領域105~107とは上下に並んで表示されているため、医療従事者が、効率的に情報を把握することができる。
【0127】
これにより、様々な職種の医療従事者が、適切なタイミングで病態管理マイルストーン及び総合生活機能マイルストーンを達成するための業務を行うことができる。また、病態管理マイルストーンだけは達成されたが、総合生活機能マイルストーンが達成されていないため入院患者が退院できないといった事態が起こることを防ぐことができる。また、入院患者の退院後の生活環境を認識していなかったため、入院患者の退院後の生活環境に必要なADLが達成できていないのに退院させてしまうといった事態がおこることを防ぐことができる。また、主治医と他職種の医療従事者との間で退院日の想定が大きく異なっており、他職種の医療従事者が主治医から急に入院患者の退院を宣告されるといった事態が起こることを防ぐことができる。
【0128】
また、従来は、
図3に示したような情報を看護師が収集し、看護師が他職種の医療従事者に情報を伝えることによって情報を共有する場合が多かったが、これは、看護師への負担が大きかった。本実施形態に係る情報処理装置10によれば、看護師が情報を収集して他職種の医療従事者に情報を伝えなくても、端末装置20に表示される
図3に示すような画面を確認することによって、複数の医療従事者間で情報を共有することができる。したがって、看護師の負担を減らすことができる。
【0129】
図3に示す例においては、入院患者の状況を示す表示画面は、診療工程の各々に対応づけて、当該診療工程において達成するべき病態管理マイルストーンの達成状況と、当該診療工程において達成するべき総合生活機能マイルストーンの達成状況とを表示している。しかしながら、入院患者の状況を示す表示画面は、現在の診療工程のみを表示し、現在の診療工程に対応づけて、現在の診療工程において達成するべき病態管理マイルストーンの達成状況と、現在の診療工程において達成するべき総合生活機能マイルストーンの達成状況とを表示してもよい。
【0130】
なお、説明上、
図3に示す表示画面を作成するために必要な情報は、全て端末装置20から取得され、記憶部12に記憶されるものとしたが、それに限らない。例えば、情報処理装置10が、ネットワーク30を介して、病院内の電子カルテシステムと通信可能な状態である場合に、「患者情報」、「病態管理マイルストーン」に関係する診療行為及び計測結果等の元データは、電子カルテシステムに記憶され、情報処理装置10で
図3に示す表示画面を作成する際にのみ、一時的に記憶部12に受け渡されてもよいし、またはコピーデータが生成される構成であってもよい。また、
図3に示す表示画面を作成するために必要な情報のうち、一部の情報は電子カルテシステムに記憶され、残りの情報は記憶部12に記憶される構成とし、情報処理装置10で
図3に示す表示画面を作成する際に、必要な情報が記憶部12で統合される構成であってもよい。
【0131】
図4に、入院患者の状況を示す表示画面が、現在の診療工程のみを表示し、現在の診療工程に対応づけて、現在の診療工程において達成するべき病態管理マイルストーンの達成状況と、現在の診療工程において達成するべき総合生活機能マイルストーンの達成状況とを表示する例を示す。
【0132】
図4の領域201は、
図3の領域102~104に対応する。
図4に示すように、領域201は、現在の診療工程である「急性」のみを表示している。また、現在の診療工程である「急性」において達成するべき病態管理マイルストーンの達成状況と、現在の診療工程である「急性」において達成するべき総合生活機能マイルストーンの達成状況とを表示している。
【0133】
図4に示すように、現在の診療工程のみを表示する場合、制御部11は、病態管理マイルストーン達成情報に基づいて、現在の診療工程において達成するべき病態管理マイルストーンの達成状況を抽出する。例えば、現在の診療工程が「急性」である場合、制御部11は、「急性」の診療工程について、病態管理マイルストーンの達成状況を抽出する。また、制御部11は、総合生活機能マイルストーン達成情報に基づいて、現在の診療工程において達成するべき総合生活機能マイルストーンの達成状況を抽出する。例えば、現在の診療工程が「急性」である場合、制御部11は、「急性」の診療工程について、総合生活機能マイルストーンの達成状況を抽出する。
【0134】
図4に示すように、入院患者の状況を示す表示画面が、現在の診療工程のみを表示する場合、端末装置20の表示部が小さくても入院患者の状況を示す表示画面の全体を表示することができる。例えば、端末装置20がスマートフォンのような表示画面の小さい装置である場合、入院患者の状況を示す表示画面を、現在の診療工程のみを表示する表示画面としてもよい。
【0135】
図5は、複数の入院患者の患者情報を一括表示した一括表示画面の例である。
【0136】
制御部11は、TOP画面として、
図5に示すような、複数の入院患者の患者情報を一括表示した一括表示画面を生成する。制御部11は、端末装置20へのユーザ操作に応じて、すなわち、端末装置20への医療従事者の操作に応じて、
図5に示すような一括表示画面と、
図3に示すような個別患者画面とを切り替えることができる。
【0137】
例えば、端末装置20が
図5に示す一括表示画面を表示している状態において、表示されている入院患者のうちから「松竹 梅子」を選択する操作が実行されると、端末装置20は、「松竹 梅子」が選択されたことを示す情報を、情報処理装置10に送信する。
【0138】
情報処理装置10の制御部11は、「松竹 梅子」が選択されたことを示す情報を、端末装置20から通信部13を介して取得すると、
図3に示すような「松竹 梅子」の個別患者画面を生成し、または記憶部12から呼び出し、該当する表示画面を、通信部13を介して端末装置20に送信する。
【0139】
これにより、端末装置20は、
図5に示すような一括表示画面から
図3に示すような個別患者画面に切り替えて表示することができる。
【0140】
図5に示すように、一括表示画面は、各患者情報に対応づけて、各入院患者の現在の診療工程を表示する。
図5に示す例においては、例えば、「浮島 富雄」は、現在の診療工程が「超急性」であることが表示されている。これにより、医療従事者は、複数の入院患者が、それぞれどの診療工程にいるかを容易に把握することができる。
【0141】
また、
図5に示すように、一括表示画面は、各患者情報に対応づけて、各入院患者の現在の診療工程又は現在の診療工程以前の診療工程において達成するべき総合生活機能マイルストーンのうち未達成の総合生活機能マイルストーンに関する情報を表示する。
【0142】
図5において、「タスク有り」の欄における強調表示は、入院患者の現在の診療工程又は現在の診療工程以前の診療工程において達成するべき総合生活機能マイルストーンのうち未達成の総合生活機能マイルストーンがあることを示している。
【0143】
なお、「タスク有り」の欄において、「退院環境」の欄に強調表示がある場合は、総合生活機能マイルストーンとして、「退院環境」に関連する「退院先確認」、「退院調整開始」、「調整完了」などの総合生活機能マイルストーンに、未達成の総合生活機能マイルストーンがあることを示している。また、「タスク有り」の欄において、「教育」の欄に強調表示がある場合は、総合生活機能マイルストーンとして、「教育」に関連する「服薬指導」、「病識指導」、「運動指導」、「栄養指導」などの総合生活機能マイルストーンに、未達成の総合生活機能マイルストーンがあることを示している。
【0144】
例えば、
図5に示す表示画面において、「松竹 梅子」は、「急性」の診療工程にいることが示されている。また、退院環境の欄が強調表示されている。これは、「松竹 梅子」の総合生活機能マイルストーンとして、「退院環境」に関連する総合生活機能マイルストーンのうちに、現在の診療工程である「急性」又は以前の診療工程である「超急性」において達成するべきであったが未達成の総合生活機能マイルストーンがあることを示している。
【0145】
図6~
図9は、入院患者の状況を示す表示画面の変形例を示す図である。
図6は、入院患者の状況を示す表示画面の第1の変形例である。
図7は、入院患者の状況を示す表示画面の第2の変形例である。
図8は、入院患者の状況を示す表示画面の第3の変形例である。
図9は、入院患者の状況を示す表示画面の第4の変形例である。
【0146】
図6を参照して、入院患者の状況を示す表示画面の第1の変形例について説明する。
図6に示す第1の変形例については、
図3に示す表示画面との相違点について主に説明し、
図3に示す表示画面と共通又は類似する点については説明を省略する。
【0147】
図6に示す第1の変形例に係る表示画面は、領域301において、入院患者の退院後の生活環境に関する情報を表示する。これは、
図3に示した領域107とは異なる位置である。このように、入院患者の状況を示す表示画面において、どの位置にどの情報を表示するかは特定の位置に限定されるものではない。
【0148】
第1の変形例に係る表示画面は、領域302に示すように、病棟安静度に関する情報を表示する。病棟安静度に関する情報は、歩行、入浴及びトイレのような病棟安静度に関する項目が、現在どの段階にあるかという情報を含む。
図6に示す例においては、「歩行」は杖歩行の段階であり、「入浴」はシャワー浴の段階であり、「トイレ」は部屋内のトイレを使用可能な段階であることを示している。また、病棟安静度に関する情報としては、各項目に関する介助度を含んでもよい。
図6に示す例においては、「トイレ」の介助度は、介助の必要性が高い「転倒注意」の段階にあることを示している。また、「歩行」と「入浴」については、介助度が未選択の状態となっている。なお、
図6に示す例においては、各項目の介助度は、ドロップダウン表示される「要介助」、「転倒注意」、「要観察」、及び「なし」などの選択肢の中から、必要に応じて選択・変更可能である。
【0149】
また、領域302に示す病棟安静度に関する情報は、医療従事者の意向の情報を含む。
図6に示す例においては、領域302に示す病棟安静度に関する情報は、医療従事者である看護師の意向の情報を含む。
【0150】
図6に示す例においては、看護師の意向として、杖歩行がOKであること及び入浴がOKであることが示されている。また、看護師の意向として、トイレについては、まだ危険があり、例えば転倒に注意する必要があることが示されている。
【0151】
第1の変形例に係る表示画面は、入院患者の総合生活機能マイルストーンに関連した診療の進捗情報を、領域303及び領域304に示している。
図3に示す表示画面の例においては、入院患者の総合生活機能マイルストーンに関連した診療の進捗情報を領域106に表示していたが、
図6に示す第1の変形例に係る表示画面は、これを2つの領域303及び領域304に分けて表示する態様となっている。このように、入院患者の状況を示す表示画面において、ある情報をいくつの領域に分けて表示するかは、特定の分け方に限定されるものではない。
【0152】
また、領域304は、入院患者の総合生活機能マイルストーンに関連した診療の進捗情報として、教育経過理解度に関する情報も表示している。ここでは、理解度がAからDの4段階で表示され、Aが最も理解度が高く、Dが最も理解度が低いものとして記載されている。患者教育の各項目に対し、A~Dの基準が予め設定される。例えば、患者理解度に関するテスト問題を準備し、その点数に応じてA~Dが割り振られてもよい。この基準は病院によって異なっていてもよく、様々な情報を加味してA~Dを判断する様な、病院毎に独自に設定されるものであってもよい。
図6に示す例においては、服薬指導において、理解度の目標がAであるところ現状がCであることを示している。また、食事指導において、理解度の目標がBであるところ現状がCであることを示している。また、運動指導において、理解度の目標がBであるところ現状がBであることを示している。また、病識指導において、理解度の目標がBであるところ現状がCであることを示している。この様に、患者によっては、必ずしも目標がAでない場合もあるし、患者教育の項目毎に異なる目標レベルが設定されてもよい。
【0153】
図7を参照して、入院患者の状況を示す表示画面の第2の変形例について説明する。
図7に示す第2の変形例については、
図3及び
図6に示す表示画面との相違点について主に説明し、
図3及び
図6に示す表示画面と共通又は類似する点については説明を省略する。
【0154】
図7に示す第2の変形例に係る表示画面は、領域401において、診療工程情報を表示している。領域401は、診療工程情報として、各診療工程の日数に関する情報を表示している。
図7を参照すると、「超急性」の診療工程が2日で終わったことを示している。また、「急性」の診療工程になってから4日目であることを示している。各診療工程で要した日数の情報が表示されることで、医療従事者は診療の進捗をより具体的に把握することができると共に、診療工程毎の日数情報が得られることで、診療フローを後から分析することも可能となる。
【0155】
第2の変形例に係る表示画面は、領域402において、各種情報を出力するための画面を表示している。領域402において、「フロー分析」の横にある出力ボタンが選択されると、情報処理装置10は、入院患者の治療に関するフローを分析した結果を出力する。例えば、心不全診療に関する病院全体での各診療工程の平均日数と、担当患者の経過日数を比較すること、主治医間で各診療工程の平均所要日数を比較することなどができる。領域402において、「患者教育候補」の横にある出力ボタンが選択されると、情報処理装置10は、入院患者の教育候補に関する情報を出力する。これは、例えば
図5において、「タスク有り」の欄における強調表示を実施した際と同じ仕組みによって、「患者教育」をすぐに実施すべき対象患者の一覧表を出力可能とする。領域402において、「退院調整候補」の横にある出力ボタンが選択されると、情報処理装置10は、入院患者の退院調整候補に関する情報を出力する。これは、例えば
図5において、「タスク有り」の欄における強調表示を実施した際と同じ仕組みによって、「退院環境」に関するタスクをすぐに実施すべき対象患者の一覧表を出力可能とする。領域402において、「RAAS開始」の横にある出力ボタンが選択されると、情報処理装置10は、RAAS開始に関する情報を出力する。これは、例えば
図5において、「タスク有り」の欄における強調表示を実施した際と同じ仕組みによって、「RAAS導入検討」タスクをすぐに実施すべき対象患者の一覧表を出力可能とする。なお、これらは分析例の一例であり、より多くのデータ又は機械学習等の解析技術を用い、より高度に診療をナビゲートする分析結果を出力可能としてもよい
【0156】
第2の変形例に係る表示画面は、領域403に示すように、病棟安静度に関する情報を表示する。領域403に示す病棟安静度に関する情報は、
図6の領域302に示す病棟安静度に関する情報とは異なる態様である。
【0157】
領域403に示す病棟安静度に関する情報は、医療従事者である主治医の意向の情報を含む。
図7に示す例においては、主治医の意向が、「積極拡大」、「現状維持」、「要注意」の3段階で表示され、注意を払う必要性が「積極拡大」が最も小さく、「要注意」が最も大きいことを示している。なお、より分かり易く表示するために、「積極拡大」を青色、「現状維持」を黄色、「要注意」を赤色、の文字又は背景で表示してもよい。
図7では、主治医の意向として、歩行を積極的に拡大する方針であることが示されている。また、主治医の意向として、入浴については要注意であることが示されている。また、主治医の意向として、トイレについては、現状を維持することが示されている。このように、安静度の拡大及び維持に対する主治医の意向が記載されることで、看護師及び理学療法士等が患者と接する際に、都度主治医の意向を確認することなく、安静度拡大を進めることが可能となる。病院によっては、主治医が週のうち半分程しか居ない場合も珍しくなく、この様な病院では、安静度拡大の是非に対する主治医の指示待ちのために、時間を要するという課題がある。
図7の様に、主治医の意向を表示可能とすることにより、安静度拡大の機会を失うことを抑制し、ADLの回復を遅れなく進めること、入院患者の入院生活におけるQOL(Quality of life)を向上させることなどができる。
【0158】
図8を参照して、入院患者の状況を示す表示画面の第3の変形例について説明する。
図8に示す第3の変形例については、
図3、
図6及び
図7に示す表示画面との相違点について主に説明し、
図3、
図6及び
図7に示す表示画面と共通又は類似する点については説明を省略する。
【0159】
図8に示す第3の変形例に係る表示画面は、領域501において、入院患者のバイタル情報のサマリーを表示する。入院患者のバイタル情報のサマリーは、医師への相談の基準と、安静時のバイタル情報のサマリーと、運動時のバイタル情報のサマリーとを含む。
【0160】
図8に示す例においては、医師への相談の基準として、SPO
2が90より小さくなったら医師に相談すること、また、低灌流の疑いがあったら医師に相談することが示されている。
【0161】
また、
図8に示す例においては、領域502において、安静時のバイタル情報のサマリーが表示されている。
図8に示す例においては、安静時のバイタル情報のサマリーとして、体温、体重、血圧、脈拍、SPO
2、呼吸数及び尿量に関する情報が表示されている。これらの情報の表示形式は、図中の「数値」と「グラフ」のタブの部分を押されたことを端末装置20が検出すると、数値表示とグラフ表示とを切り替えることができる。なお、
図8では、「数値」が選択された状態を示す。
【0162】
また、
図8に示す例においては、領域503において、運動時のバイタル情報のサマリーが表示されている。
図8に示す例においては、運動時のバイタル情報のサマリーとして、歩行訓練で10mを1回歩いたときの、血圧、脈拍及びSPO
2に関する情報が示されている。
【0163】
このように、
図8では、現在の診療工程、病態管理マイルストーンの達成状況、及び総合生活機能マイルストーンの達成状況と同一画面上で、安静時及び運動時のバイタル情報のサマリーを確認可能である。このような画面構成とすることで、マイルストーンの達成状況を把握する際、又は改善策を検討する際に、医療従事者は、バイタル情報を加味しながら、効率的に検討することができる。更に、心不全診療においては、安静時のバイタルと運動時のバイタルとを比較可能な画面構成とすることにより、より詳細な病態把握が可能となる。
【0164】
図8に示す第3の変形例に係る表示画面は、領域504において、入院患者の病態管理に関する情報の時間経過、病棟安静度に関する情報、及び入院患者の総合生活機能マイルストーンに関連した診療の進捗情報を表示している。これは、
図3、
図6及び
図7とは異なる配置である。このように、例えば、入院患者の病態管理に関する情報の時間経過、病棟安静度に関する情報、及び入院患者の総合生活機能マイルストーンに関連した診療の進捗情報のような各種情報は、任意の位置に表示させてよい。
【0165】
図9を参照して、入院患者の状況を示す表示画面の第4の変形例について説明する。
図9に示す第4の変形例については、
図3、
図6、
図7及び
図8に示す表示画面との相違点について主に説明し、
図3、
図6、
図7及び
図8に示す表示画面と共通又は類似する点については説明を省略する。
【0166】
図9に示す第4の変形例に係る表示画面は、各種情報を、
図3、
図6、
図7及び
図8とは異なる配置で表示している。このように、入院患者に関する各種情報をどのような配置で表示させるかは任意であり、特定の配置に限定されない。
【0167】
このように、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、制御部11が生成する表示画面は、入院患者の現在の診療工程に対応づけて、総合生活機能マイルストーン達成情報に基づく総合生活機能マイルストーンの達成状況を示す情報を表示する。これにより、端末装置20を用いている複数の職種の医療従事者の各々は、入院患者の現在の診療工程における総合生活機能マイルストーンの達成状況を確認することができる。したがって、本実施形態に係る情報処理装置10は、入院患者についての情報を共有することを容易にすることができる。
【0168】
なお、診療工程の分割方法、各診療工程に関連付けて設定される病態管理マイルストーン及び総合生活機能マイルストーンは、本明細書中で示した事例に依らず、疾患特性又は病院特性に合わせて、自由に設定することができる。これらは、患者毎に情報処理装置10が使用開始される際に主治医によって定められる。例えば、心不全診療においては、心不全の種類毎に、予め各マイルストーンを登録しておき、主治医が心不全の種類を選択した時点でデフォルト設定として表示され、変更必要な箇所を主治医が一部変更することで実施開始してもよい。
【0169】
(サマリー画面の生成及び転送処理)
情報処理装置10は、入院患者の状況に関する情報を適切に医療従事者に知らせるため、医療従事者に伝えるメッセージを含む通知と、当該通知に関連する各種情報とを含むサマリー画面を生成し、当該サマリー画面を端末装置20に送信して表示させてよい。また、情報処理装置10は、上述のサマリー画面を見た医療従事者が、サマリー画面を他の医療従事者に容易に転送できるように、転送処理の機能を有していてよい。
【0170】
以下、情報処理装置10によるサマリー画面の生成処理及び情報処理装置10による転送処理について、
図10~
図20を参照して説明する。
【0171】
情報処理装置10の制御部11は、所定の条件を満たすと、サマリー画面を生成する。サマリー画面は、所定の条件を満たした時点において医療従事者が知っていることが有益と想定される情報を含む画面である。サマリー画面は、所定の条件に関連付けられた通知と、当該通知に関連する情報とを含む。通知に関連する情報は、病態管理マイルストーンに関連した病態管理指標又は総合生活機能マイルストーンに関連した総合生活機能指標に関する情報を含む。
【0172】
図10は、端末装置20が表示するサマリー画面の例である。
図10に示す例を参照して、サマリー画面について説明する。
【0173】
図10は、サマリー画面601とサマリー画面602という2つのサマリー画面を、端末装置20が表示している様子を示す図である。
【0174】
サマリー画面601は、通知603と、通知603に関連する情報604とを含む。また、サマリー画面602は、通知605と、通知605に関連する情報606とを含む。
【0175】
サマリー画面601は、現在の診療工程において、入院患者に服薬指導をすることが総合生活機能マイルストーンとして設定されている場合に、制御部11が生成するサマリー画面の例である。
【0176】
サマリー画面601の通知603は、「松竹梅子さんへの服薬指導を忘れないようにしましょう」というメッセージを含む。これにより、サマリー画面601を見た医療従事者は、入院患者に服薬指導が必要であることを確実に把握することができる。
【0177】
サマリー画面601において、通知603に関連する情報604は、総合生活機能マイルストーンに関連した総合生活機能指標に関する情報を含む。
図10に示す例において、情報604は、総合生活機能マイルストーンに関連した総合生活機能指標として、教育経過に関する情報を含む。情報604は、総合生活機能指標として、入院患者の服薬指導に対する理解度がCであること、食事指導に対する理解度がCであること、運動指導に対する理解度がBであること、病識指導に対する理解度がCであることを示している。これにより、医療従事者は、通知603に対応する内容として、入院患者の服薬指導の理解度がCであることを容易に把握することができる。
【0178】
サマリー画面602は、入院患者の総合生活機能マイルストーンのゴールである目標と現状とのギャップが大きいときに、制御部11が生成するサマリー画面の例である。
【0179】
サマリー画面602の通知605は、「松竹梅子さんADL回復が計画よりも遅れ気味です」というメッセージを含む。これにより、サマリー画面602を見た医療従事者は、入院患者のADL回復が計画より遅れていることを確実に把握することができる。
【0180】
サマリー画面602において、通知605に関連する情報606は、総合生活機能マイルストーンに関連した総合生活機能指標に関する情報を含む。
図10に示す例において、情報606は、総合生活機能マイルストーンに関連した総合生活機能指標として、ADLギャップに関する情報を含む。
図10に示す例においては、目標が「100m杖歩行」であるのに対し、現状は「10m杖歩行」であることを示している。また、
図10に示す例においては、歩行の状態が「車椅子」であること、主治医の意向が「積極拡大」であることを示している。これにより、医療従事者は、通知605に対応する内容として、目標と現状とのギャップを容易に把握することができる。
【0181】
なお、
図10に示す例において、サマリー画面601及びサマリー画面602は、いずれも、総合生活機能マイルストーンに関連した総合生活機能指標に関する情報を含んでいるが、サマリー画面は、病態管理マイルストーンに関連した病態管理指標に関する情報を含んでいてもよい。
【0182】
制御部11は、所定の条件を満たすと、サマリー画面を生成する。例えば、所定の条件は、診療工程が次の診療工程に移行したこと、診療工程が前の診療工程に逆行したこと、各診療行程における滞在日数が所定の日数以上になったこと、入院患者の現在の診療工程において達成するべき病態管理マイルストーンに未達成の病態管理マイルストーンがないこと、入院患者の現在の診療工程において達成するべき病態管理マイルストーンのうち未達成の病態管理マイルストーンが所定数以上あること、入院患者の現在の診療工程において達成するべき病態管理マイルストーンのうち未達成状態のまま所定日数以上経過している病態管理マイルストーンがあること、入院患者の現在の診療工程において達成するべき総合生活機能マイルストーンに未達成の総合生活機能マイルストーンがないこと、入院患者の現在の診療工程において達成するべき総合生活機能マイルストーンのうち未達成の総合生活機能マイルストーンが所定数以上あること、入院患者の現在の診療工程において達成するべき総合生活機能マイルストーンのうち未達成状態のまま所定日数以上経過している総合生活機能マイルストーンがあること、総合生活機能マイルストーンのゴールと現状とのギャップが所定の値以上であること、医療従事者によって予め設定された病態管理マイルストーン及び総合生活機能マイルストーンの達成状況及び未達状況の組み合わせ条件を満たすこと、医療従事者の職種毎の病態管理マイルストーン及び総合生活機能マイルストーンの達成状況について全体進捗と比較した進捗の遅れが所定数以上あること、の少なくとも1つを含む。
【0183】
制御部11が生成するサマリー画面は、所定の条件に関連付けられた通知を含む。例えば、診療工程が次の診療工程に移行した場合、制御部11は、診療工程が次の診療工程に移行したことを示す通知を含むようにサマリー画面を生成する。また、例えば、診療工程が「急性」に移行した場合、制御部11は、「急性」の診療工程において達成するべき病態管理マイルストーン又は総合生活機能マイルストーンに関する通知を含むようにサマリー画面を生成する。また、例えば、総合生活機能マイルストーンのゴールと現状とのギャップが所定の値以上である場合、制御部11は、ゴールと現状とのギャップが大きいことを示す通知を含むようにサマリー画面を生成する。
【0184】
所定の条件を満たした場合にどのような内容の通知を生成するかを関連付けるデータ、すなわち、所定の条件と通知内容とを関連付けるデータは、記憶部12に記憶されていてよい。
【0185】
また、所定の条件を満たした場合に、通知に関連する情報としてどのような内容の情報を生成するかを関連付けるデータ、すなわち、所定の条件と通知に関連する情報とを関連付けるデータも、記憶部12に記憶されていてよい。
【0186】
また、所定の条件を満たした場合に、生成したサマリー画面をどの職種の医療従事者に送付するかを関連付けるデータも、記憶部12に記憶されていてよい。
【0187】
すなわち、所定の条件には、通知内容と、通知に関連する情報と、送付先の医療従事者の職種とが関連付けられて、記憶部12に記憶されていてよい。
【0188】
制御部11は、サマリー画面を生成すると、生成したサマリー画面を、所定の条件に関連付けられた職種の医療従事者が用いている端末装置20に通信部13を介して送信する。端末装置20は、サマリー画面を受信すると、受信したサマリー画面を表示する。
【0189】
制御部11は、例えば看護師が把握するべき内容を含むサマリー画面を生成した場合、生成したサマリー画面を、看護師が用いている端末装置20に送信する。
【0190】
どの端末装置20をどの職種の医療従事者が用いているかの情報は、記憶部12に記憶されている。医療従事者は、入院患者の状況を示す表示画面を端末装置20に表示させる際、入院患者の状況を示す表示画面を確認するためのソフトウェアを起動する。医療従事者は、当該ソフトウェアを起動する際、ユーザIDを入力する。端末装置20は、ユーザIDが入力されると、ユーザIDと端末装置20のIDとを情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の制御部11は、ユーザIDと端末装置20のIDとを通信部13を介して取得すると、取得したユーザIDと端末装置20のIDとを関連付けて記憶部12に記憶する。また、記憶部12は、医療従事者のユーザIDを職種と関連付けて記憶している。これにより、制御部11は、どの端末装置20をどの職種の医療従事者が用いているかを関連付けて、記憶部12に記憶することができる。
【0191】
情報処理装置10からサマリー画面を受信し、受信したサマリー画面を表示している端末装置20において、各種の操作が行われると、情報処理装置10の制御部11は、端末装置20が表示している画面を、他の画面に遷移させる。
【0192】
図11に、医療従事者が端末装置20に対して行う各種操作の例を示す。
【0193】
第1の操作は、符号701に示すような第1の方向へのスワイプ操作である。
図11に示す例においては、第1の方向は左方向である。第2の操作は、符号702に示すような第2の方向へのスワイプ操作である。
図11に示す例においては、第2の方向は上下方向である。第3の操作は、符号703に示すような第3の方向へのスワイプ操作である。
図11に示す例においては、第3の方向は右方向である。第4の操作は、符号704に示すような、端末装置20に表示されたサマリー画面をタップするタップ操作である。
【0194】
なお、
図11に示す第1~第4の操作は、一例として示したものであり、第1~第4の操作は、これらの操作に限定されない。
【0195】
制御部11は、サマリー画面を受信した端末装置20において、第1の操作が行われると、サマリー画面の転送処理をするための転送用画面を端末装置20に表示させる。すなわち、制御部11は、第1の操作が行われると、サマリー画面から転送用画面へと端末装置20が表示する画面を遷移させる。
【0196】
図12に、転送用画面の例を示す。
図12は、
図10に示すサマリー画面601に対して第1の操作が行われたときに表示される転送用画面の例である。
【0197】
図12に示すように、転送用画面は、サマリー画面の転送先候補となる複数の職種を表示する。
図12に示す例においては、転送先候補となる職種として、主治医、看護師、理学療法士(PT:Physical Therapist)、メディカルソーシャルワーカー(MSW:Medical Social Worker)、薬剤師及び栄養士(NT:Nutrition Therapist)が表示されている。
【0198】
また、
図12に示すように、転送用画面は、サマリー画面に含まれていた通知を表示する。
図12に示す例においては、
図10のサマリー画面601に含まれていた通知603の内容である「松竹梅子さんへの服薬指導を忘れないようにしましょう」という通知が表示されている。
【0199】
図13は、
図12において転送先の職種として「PT」が選択されたときの転送用画面の例を示す。
【0200】
図13に示すように、転送先の職種が選択されると、選択した職種の医療従事者にサマリー画面を転送するか否かを確認するための確認画面801が表示される。確認画面801において、「送信」ボタンが押されたことを端末装置20が検出すると、情報処理装置10の制御部11は、選択された職種の医療従事者が用いている端末装置20にサマリー画面を転送する。
図13に示す例においては、制御部11は、PTである「理学良治」が用いている端末装置20にサマリー画面を転送する。
【0201】
図14は、
図13において「送信」ボタンが押され、PTである「理学良治」への転送処理が終了したときの画面の例を示している。
【0202】
図14に示すように、転送処理が完了すると、転送が完了したことを示す画面901が表示される。また、転送先候補として「PT」が示されている画面902の背景が異なる色で表示され、「PT」が示されている画面902にチェックマークが表示される。これにより、医療従事者は、「PT」の転送処理が完了したことを容易に把握することができる。
【0203】
図15は、転送先の職種として、「PT」に加えて「薬剤師」が選択されたときの転送用画面の例を示す。
【0204】
図15に示すように、転送先の職種として、さらに「薬剤師」が選択されると、「薬剤師」にサマリー画面を転送するか否かを確認するための確認画面1001が表示される。確認画面1001において、「送信」ボタンが押されたことを端末装置20が検出すると、情報処理装置10の制御部11は、薬剤師である「薬剤薫」が用いている端末装置20にサマリー画面を転送する。この様に本発明では、少ない操作手順で、サマリー画面を、そのサマリー画面を共有すべき複数の職種に転送することができる。
【0205】
第1の操作として、左方向へのスワイプ操作がおこなわれたときに、サマリー画面から転送用画面へと端末装置20が表示する画面を遷移させる場合を例に挙げて説明したが、第1の操作は、スワイプ操作に限定されない。第1の操作は、例えば、
図10に示すボタン607をタッチするタップ操作であってもよい。
【0206】
この場合、制御部11は、
図10に示すボタン607をタッチするタップ操作が行われると、サマリー画面から転送用画面へと端末装置20が表示する画面を遷移させる。
【0207】
図10に示すボタン607は、制御部11が、サマリー画面の転送先を選択する転送先選択画面を呼びたすための転送ボタンとして、サマリー画面に関連付けて生成したものである。
【0208】
制御部11は、サマリー画面を受信した端末装置20において、第2の操作が行われると、端末装置20がこれまでに受信した他のサマリー画面を端末装置20に表示させる。
【0209】
図16は、端末装置20が表示する他のサマリー画面の例である。
図16に示す例においては、端末装置20は、
図10に表示されていたサマリー画面とは異なるサマリー画面であるサマリー画面1101を表示している。
【0210】
このように、医療従事者は、端末装置20に対して第2の操作を行うことによって、他のサマリー画面を表示させることができる。
【0211】
制御部11は、サマリー画面を受信した端末装置20において、第3の操作が行われると、サマリー画面の履歴を管理するための履歴管理画面を端末装置20に表示させる。すなわち、制御部11は、第3の操作が行われると、サマリー画面から履歴管理画面へと端末装置20が表示する画面を遷移させる。
【0212】
図17に、履歴管理画面の例を示す。
図17は、
図10に示すサマリー画面601に対して第3の操作が行われたときに表示される履歴管理画面の例である。
【0213】
図17に示すように、履歴管理画面は、サマリー画面の履歴を管理するためのメッセージ1201及びメッセージ1202を表示する。
【0214】
図17に示す例においては、メッセージ1201は「確認履歴を付けて通知は残す」というメッセージを含む。メッセージ1201は、サマリー画面を既読とすることを選択するためのメッセージである。履歴管理画面において、メッセージ1201が押されたことを端末装置20が検出すると、情報処理装置10の制御部11は、サマリー画面を既読とする処理をする。
【0215】
図17に示す例においては、メッセージ1202は「通知を消去」というメッセージを含む。メッセージ1202は、サマリー画面を消去することを選択するためのメッセージである。履歴管理画面において、メッセージ1202が押されたことを端末装置20が検出すると、情報処理装置10の制御部11は、サマリー画面を消去する処理をする。
図18は、端末装置20が
図10に示すような画面を表示しているときに、サマリー画面601が消去されたときの様子を示す図である。
【0216】
このように、医療従事者は、サマリー画面について既読とする処理をすることにより、サマリー画面が既読であるか否かを明確にすることができる。
【0217】
また、医療従事者は、不要なサマリー画面を消去することにより、必要なサマリー画面だけを残すことができる。これにより、医療従事者は、端末装置20が受信したサマリー画面の中から閲覧したいサマリー画面を容易に見つけ出せるようになる。
【0218】
制御部11は、サマリー画面を受信した端末装置20において、第4の操作が行われると、サマリー画面に関連する詳細情報を端末装置20に表示させる。
【0219】
図19に、サマリー画面に関連する詳細情報が表示されている例を示す。
図19は、
図10に示すサマリー画面601に対して第4の操作が行われたときに表示される、サマリー画面601に関連する詳細情報の例である。
【0220】
図19に示す例においては、端末装置20は、
図10に示すサマリー画面601に加えて、詳細情報1301を表示している。詳細情報1301は、服薬の理解度について、目標がBであるのに対し、現状がCであることを示している。
【0221】
また、
図19に示す例において、端末装置20は、「経過表」というボタン1302を表示している。ボタン1302が押されたことを端末装置20が検出すると、情報処理装置10の制御部11は、端末装置20に
図20に示すような画面を表示させる。
【0222】
図20に示す例においては、端末装置20は、経過表1401を表示している。経過表1401は、服薬、食事、運動及び日常生活のそれぞれについて、理解度の経過を示している。
【0223】
また、
図20に示す例においては、端末装置20は、「概要」というボタン1402を表示している。ボタン1402が押されたことを端末装置20が検出すると、情報処理装置10の制御部11は、端末装置20が表示する画面を
図19に示した画面に戻す。
【0224】
このように、情報処理装置10の制御部11は、
図11に示した第1の操作~第4の操作といった簡易な操作によって、端末装置20が表示する画面を、転送用画面、他のサマリー画面、履歴管理画面、詳細情報を表示する画面に遷移させることができる。したがって、医療従事者は、例えば、患者を診ながら、何らかの処置をしながら、又は、移動しながら、端末装置20が表示する画面を遷移させることができる。医療従事者は、業務の合間に端末装置20が表示する画面を遷移させて必要な情報を確認することができる。
【0225】
また、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、制御部11は、所定の条件を満たすと、当該所定の条件に関連付けられた通知と、当該通知に関連する、病態管理マイルストーンに関連した病態管理指標又は総合生活機能マイルストーンに関連した総合生活機能指標に関する情報とを含むサマリー画面を生成する。また、制御部11は、生成したサマリー画面を、所定の条件に関連付けられた職種の医療従事者が用いている端末装置20に送信して表示させる。これにより、所定の条件に関連付けられた職種の医療従事者は、所定の条件を満たしたときに生成されたサマリー画面が表示する内容を共有することができる。したがって、本実施形態に係る情報処理装置10は、入院患者についての情報を共有することを容易にすることができる。
【0226】
(コメント画面及びサマリー画面)
情報処理装置10は、入院患者に関する様々な項目についての情報を、複数の職種の医療従事者間で共有するために、医療従事者間で交わされたコメントを表示するコメント画面を含む表示画面を生成し、当該コメント画面を含む表示画面を端末装置20に送信して表示させてよい。また、情報処理装置10は、コメント画面を含む表示画面が、さらに、入院患者の現状の診療状況に関する情報を含むサマリー画面を表示するように、表示画面を生成してよい。
【0227】
以下、情報処理装置10が、コメント画面及びサマリー画面を含む表示画面を生成する処理について、
図21~
図23を参照して説明する。
【0228】
情報処理装置10の制御部11は、端末装置20に表示させる複数の表示画面を生成する。当該複数の表示画面の各表示画面は、入院患者に関する複数の項目のうちのいずれかの項目に関する状況を示す表示画面である。
【0229】
図21に、情報処理装置10が生成した表示画面を端末装置20が表示しているときの例を示す。
【0230】
図21に示す表示画面において、領域1501は、複数の項目から1つの項目を選択するための項目選択用画面である。
【0231】
図21に示す例においては、項目選択用画面である領域1501は、複数の項目として、「イベント」、「現状とゴール」、「病態」、「病棟安静度」、「リハ(リハビリテーション)」及び「退院実現」を表示している。
【0232】
項目の種類には、入院患者の病態を管理するための「病態管理項目」と、入院患者の総合生活機能に関する診療の進捗を管理するための「総合生活機能管理項目」と、入院患者の入院から退院までを患者の重篤度に応じて少なくとも3つの診療工程に分けた「診療工程項目」などがある。
図21に示す例においては、「病態管理項目」に、領域1501に表示されている「病態」が含まれる。また、「総合生活機能管理項目」に、領域1501に表示されている「病棟安静度」、「リハ」及び「退院実現」が含まれる。また、「診療工程項目」に、領域1501に表示されている「現状とゴール」が含まれる。
【0233】
図21に示す例においては、領域1501の「現状とゴール」に下線が引かれている。これは、
図21に示す例においては、項目として「現状とゴール」が選択され、「現状とゴール」に関する状況を示す表示画面が表示されていることを示している。
【0234】
端末装置20において、領域1501に表示されている項目のうち、現在表示されている項目とは異なる他の項目が選択されると、情報処理装置10の制御部11は、選択された他の項目に関する状況を示す表示画面を生成し、または対応する生成済みで保存された表示画面を記憶部12から呼び出し、その表示画面を端末装置20に表示させる。例えば、領域1501に表示されている項目のうち、「病態」が選択されると、制御部11は、「病態」に関する状況を示す表示画面を端末装置20に表示させる。
【0235】
また、
図21に示す例においては、領域1502は、診療工程情報を表示している。
図21に示す例においては、領域1502に示す診療工程情報は、超急性、急性、回復及び退院準備の4つの診療工程を含む。また、領域1502において、「超急性」の下に「2日」と表示されている。これは、「超急性」の診療工程が2日で完了したことを示している。また、「急性」の下に「4日目」と表示されている。これは、「急性」の診療工程になってから4日が経過したことを示している。また、「急性」の下に下向きの三角が表示されている。これは、入院患者の現在の診療工程が「急性」のステージであり、次の「回復」ステージを目指して診療が行われていることを示している。
【0236】
また、
図21に示す例においては、領域1503は、各診療工程において達成するべき病態管理マイルストーンの達成状況と、各診療工程において達成するべき総合生活機能マイルストーンの達成状況とを表示している。
【0237】
また、
図21に示す例においては、領域1504は、入院患者の退院後の生活環境に関する情報を表示している。
【0238】
図21に示すような表示画面は、
図5に示すような一括表示画面において、複数の入院患者のいずれか1人の入院患者をタップするタップ操作が行われたときに、制御部11が、端末装置20に表示させてよい。
【0239】
なお、
図5に示す一括表示画面においては、各患者情報に対応づけて、各入院患者の現在の診療工程又は現在の診療工程以前の診療工程において達成するべき総合生活機能マイルストーンのうち未達成の総合生活機能マイルストーンに関する情報が表示されているが、当該情報は、一括表示画面に含まれていなくてもよい。すなわち、一括表示画面は、複数の入院患者と、各入院患者の現在の診療工程とを表示していればよい。
【0240】
図22は、項目として「病態」が選択されているときに端末装置20が表示している表示画面の例である。
【0241】
図22に示す例においては、表示画面は、項目選択用画面1601と、コメント画面1602と、サマリー画面1603とを同時に表示している。
【0242】
コメント画面1602は、選択された項目と関連付けられた複数のコメントを時系列に沿って表示する画面である。
図22に示す例においては、項目として「病態」が選択されているため、コメント画面1602は、「病態」と関連付けられた複数のコメントを時系列に沿って表示している。すなわち、コメント画面1602は、「病態」について、複数の職種の医療従事者間で交わされたコメントを表示している。
【0243】
コメント画面1602は、コメントと共に、コメントの入力者の職種を示すアイコン1604を表示する。これにより、コメント画面1602を見た医療従事者は、どのコメントがどの職種の医療従事者によるコメントであるかを容易に把握することができる。
【0244】
コメント画面1602に表示されるコメントは、医療従事者が端末装置20に入力したコメントであってもよいし、自動生成されたコメントであってもよい。
【0245】
コメントの自動生成について説明する。情報処理装置10の制御部11は、医療従事者が端末装置20に対し診療データに関する所定の入力操作を実行すると、当該入力操作によって入力された診療データに基づいてコメントを自動生成する。
【0246】
例えば、診療データに関する所定の入力操作は、医療従事者が端末装置20に計測デバイスを接続し、診療データを読み取る操作であってよい。端末装置20は、例えば、医療従事者が端末装置20に計測デバイスを接続し、診療データを読み取る操作を実行すると、読み取った診療データを情報処理装置10に送信する。
【0247】
情報処理装置10の制御部11は、端末装置20から診療データを取得すると、取得した診療データに基づいてコメントを自動生成する。なお、情報処理装置10が病院内情報システムと連携しており、診療データ自体は病院内情報システムに保存される形式の場合もある。この場合は、診療データの複製データがネットワーク30を介して情報処理装置10に提供されてもよい。または、診療データの種類及び実施日時等の、コメントを自動作成するために必要な情報のみを、病院内情報システムで改めて生成し、この情報を、ネットワーク30を介して情報処理装置10に提供してもよい。このように、病院内情報システムから情報を提供されることで、必要なコメントが自動生成されてもよい。
【0248】
制御部11は、端末装置20から診療データを取得する際、診療データを入力する操作をした医療従事者の職種情報をさらに取得してよい。制御部11は、コメント画面1602に自動生成したコメントを表示する際、自動生成したコメントともに、診療データの入力者である医療従事者の職種情報を示すアイコンを表示してよい。
【0249】
例えば、
図22に示す例においてコメント画面1602に表示されている「バイタルを更新しました」というコメントは、制御部11が、診療データとしてバイタルデータを取得したことに基づいて、自動生成したコメントである。このコメントは、看護師が診療データを入力する操作をしていたため、看護師を示すアイコン1604とともに表示されている。
【0250】
また、コメント画面1602に表示されている「除水のデータを更新しました」というコメントは、制御部11が、診療データとして除水のデータを取得したことに基づいて、自動生成したコメントである。このコメントは、看護師が診療データを入力する操作をしていたため、看護師を示すアイコン1604とともに表示されている。
【0251】
なお、
図22に示すコメント画面1602に表示されている「明日、頸静脈視診行って貰えますか?」というコメントは、医療従事者が端末装置20に入力したコメントである。
【0252】
サマリー画面1603は、入院患者の現状の診療状況に関する情報を含む画面である。入院患者の現状の診療状況に関する情報は、制御部11が、選択された項目と関連付けられた診療データから作成する情報である。
【0253】
図22に示す例においては、項目として「病態」が選択されているため、サマリー画面1603が表示している、入院患者の現状の診療状況に関する情報は、「病態」と関連付けられた診療データから作成された情報である。
【0254】
図22に示す例においては、「病態」と関連付けられた診療データから作成された情報として、「体重」、「1日の尿量」及び「細胞外液量」を表示している。
【0255】
情報処理装置10の記憶部12は、情報処理装置10を通じて複数の職種の医療従事者間で交わされた複数のコメントと、入院患者の現状の診療状況に関連する診療データとを、それぞれ複数の項目のいずれかの項目に関連付けて記憶している。
【0256】
コメント画面1602が表示している複数のコメントは、記憶部12に記憶されている複数のコメントのうち、選択された項目である「病態」と関連付けられている複数のコメントである。
【0257】
サマリー画面1603が表示している、入院患者の現状の診療状況に関する情報は、記憶部12に記憶されている診療データのうち、選択された項目である「病態」と関連付けられた診療データから作成された情報である。
【0258】
このように、情報処理装置10の制御部11は、端末装置20に、コメント画面1602と、サマリー画面1603とを同時に表示させる。これにより、医療従事者は、サマリー画面1603に表示されているデータを参照しながら、コメント画面1602を用いて、他の医療従事者とコミュニケーションすることができる。
【0259】
図23は、項目として「病棟安静度」が選択されているときに端末装置20が表示している表示画面の例である。
【0260】
図23に示す例においては、表示画面は、項目選択用画面1701と、コメント画面1702と、サマリー画面1703とを同時に表示している。
【0261】
図23に示す例においては、項目として「病棟安静度」が選択されているため、サマリー画面1703が表示している、入院患者の現状の診療状況に関する情報は、「病棟安静度」と関連付けられた診療データから作成された情報である。
【0262】
図22に示したように、「病態」については、
図22のコメント画面1602によって医療従事者間のコメントが交わされる。また、
図23に示したように、「病棟安静度」については、
図23のコメント画面1702によって医療従事者間のコメントが交わされる。すなわち、項目に応じて異なるコメント画面によって、医療従事者間のコメントが交わされる。通常のチャットツールのように、全てのコメントが同じコメント画面で交わされると、必要な情報を見つけることが困難な場合であるが、本実施形態のように、項目に応じて異なるコメント画面が用いられていると、医療従事者は、必要な情報を容易に見つけることができる。
【0263】
このように、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、制御部11が生成する複数の表示画面の少なくとも1つの表示画面は、複数の項目から1つの項目を選択するための項目選択用画面と、複数のコメントを時系列に沿って表示するコメント画面と、入院患者の少なくとも現状の診療状況に関する情報を含むサマリー画面と、を同時に表示する。これにより、端末装置20を用いている複数の職種の医療従事者の各々は、ある項目についてのコメント画面とサマリー画面とを同時に見て入院患者の状況を確認することができる。したがって、本実施形態に係る情報処理装置10は、入院患者についての情報を共有することを容易にすることができる。
【0264】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の複数のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【0265】
例えば、上述した実施形態において情報処理装置10において実行される一部の処理動作が、端末装置20において実行されてもよい。また、上述した実施形態において端末装置20において実行される一部の処理動作が、情報処理装置10において実行されてもよい。
【0266】
例えば、スマートフォン又はコンピュータ等の汎用の電子機器を、上述した実施形態に係る情報処理装置10として機能させる構成も可能である。具体的には、実施形態に係る情報処理装置10等の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、電子機器のメモリに格納し、電子機器のプロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させることも考えられる。したがって、一実施形態に係る開示は、プロセッサが実行可能なプログラムとしても実現可能である。
【符号の説明】
【0267】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入力部
15 出力部
20 端末装置
30 ネットワーク