(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051348
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両の車体前部構造
(51)【国際特許分類】
B62J 9/12 20200101AFI20240404BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20240404BHJP
【FI】
B62J9/12
B62J45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157473
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】津久井 浩明
(72)【発明者】
【氏名】菊池 雅也
(57)【要約】
【課題】レッグシールドにメインスイッチユニット、端子ソケットおよび物品収納部を備える鞍乗り型車両の車体前部構造において、コンパクトな部品配置として外観性および居住性を向上させる。
【解決手段】、レッグシールド16Aの後面側に、車両前方側に向けて凹む凹部17が形成され、凹部17は、インナーボックス26内の収納空間28に連なる第二収納空間28aを形成し、メインスイッチ29aの操作部29c及び端子ソケット33の端子接続口33aの少なくとも一方は、凹部17内に配置され、かつ凹部17における車幅方向中央CL1寄りに配置され、メインスイッチ29aの操作部29c及び端子ソケット33の端子接続口33aは、車幅方向外側かつ車両後方側を指向するように配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の脚部の前方を覆うレッグシールド(16A)を備え、
前記レッグシールド(16A)における車幅方向中央(CL1)よりも一方側に、
車両電源のオン・オフの切り替えを操作可能なメインスイッチ(29a)と、
外部機器の接続端子を挿脱可能な端子ソケット(33)と、
物品を出し入れ可能な物品収納部(26)と、を備える鞍乗り型車両の車体前部構造において、
前記レッグシールド(16A)の後面側に、車両前方側に向けて凹む凹部(17)が形成され、
前記凹部(17)は、前記物品収納部(26)内の収納空間(28)に連なる第二収納空間(28a)を形成し、
前記メインスイッチ(29a)及び前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)の少なくとも一方は、前記凹部(17)内に配置され、かつ前記凹部(17)における車幅方向中央(CL1)寄りに配置され、
前記メインスイッチ(29a)及び前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)は、車幅方向外側かつ車両後方側を指向するように配置されていることを特徴とする鞍乗り型車両の車体前部構造。
【請求項2】
前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)は、前記メインスイッチ(29a)の下方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両の車体前部構造。
【請求項3】
前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)は、前記物品収納部(26)内に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両の車体前部構造。
【請求項4】
前記凹部(17)は、前記物品収納部(26)の上方に配置され、
前記レッグシールド(16A)は、前記凹部(17)内に、前記メインスイッチ(29a)の設置面(42)を形成する台座部(41)を備え、
前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)は、前記台座部(41)の下方に配置され、かつ前記台座部(41)の後端に形成された前記設置面(42)よりも前方に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗り型車両の車体前部構造。
【請求項5】
前記物品収納部(26)は、前記収納空間(28)の車両後方側を覆う後壁部(56)を備え、
前記後壁部(56)の上端縁(18b)は、車幅方向外側ほど下方側に位置するように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の鞍乗り型車両の車体前部構造。
【請求項6】
前記物品収納部(26)は、前記収納空間(28)の車幅方向外側を覆う側壁部(52)を備え、
前記側壁部(52)の上端縁(18a)は、車両後方側ほど下方側に位置するように形成されていることを特徴とする請求項5に記載の鞍乗り型車両の車体前部構造。
【請求項7】
前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)は、車両前後方向から見て、前記物品収納部(26)の後壁部(56)の上端縁(18b)よりも上方に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の鞍乗り型車両の車体前部構造。
【請求項8】
前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)は、車幅方向から見て、前記物品収納部(26)の側壁部(52)の上端縁(18a)よりも上方に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の鞍乗り型車両の車体前部構造。
【請求項9】
前記凹部(17)は、前記物品収納部(26)の上方に配置され、
前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)は、鉛直面に対して下向きに傾斜したソケット設置面(46)に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗り型車両の車体前部構造。
【請求項10】
前記凹部(17)は、前記第二収納空間(28a)の上方側を覆う上壁部(19)を備え、
前記上壁部(19)は、前記メインスイッチ(29a)、前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)及び物品収納部(26)の開口部(27)よりも後方かつ車幅方向外側まで延びていることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗り型車両の車体前部構造。
【請求項11】
前記メインスイッチ(29a)の上端部から前記端子ソケット(33)の下端部までの車両上下方向の長さ(L1)は、前記物品収納部(26)の収納空間(28)の上端部から下端部までの車両上下方向の長さ(L2)より短いことを特徴とする請求項3に記載の鞍乗り型車両の車体前部構造。
【請求項12】
前記レッグシールド(16A)における車幅方向中央(CL1)よりも他方側に、第二物品収納部(36)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両の車体前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両の車体前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗り型車両の車体前部構造において、レッグシールドの車幅方向一側に設けられるメインスイッチと、メインスイッチの下方に配置される電源ソケット(端子ソケット)と、レッグシールドの車幅方向他側に設けられる物品収納部と、を備えるものがある(例えば、特許文献1,2参照)。レッグシールドの車幅方向他側に他部品が配置される場合、レッグシールドの車幅方向一側にメインスイッチ、電源ソケットおよび物品収納部を配置するものがある(例えば、特許文献3,4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7022103号公報
【特許文献2】特許第6086887号公報
【特許文献3】特開2019-156383号公報
【特許文献4】台湾特許出願公開第201627184号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の技術において、メインスイッチ、電源ソケットおよび物品収納部をレッグシールドの片側に配置する際は、電源ソケットの防水や、メインスイッチおよび電源ソケットの操作性向上、フロントカバー内でメインスイッチと電源ソケットとの干渉を防ぐ等の目的から、各部品のレイアウトの自由度が制限され、各部品をコンパクトに配置できずに上下方向に大型化させ、外観性や運転者の居住性に影響を与えやすいという課題がある。
【0005】
そこで本発明は、レッグシールドにメインスイッチ、端子ソケットおよび物品収納部を備える鞍乗り型車両の車体前部構造において、コンパクトな部品配置として外観性および居住性を向上させることを目的とする。そして、延いては交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の第一の態様は、運転者の脚部の前方を覆うレッグシールド(16A)を備え、前記レッグシールド(16A)における車幅方向中央(CL1)よりも一方側に、車両電源のオン・オフの切り替えを操作可能なメインスイッチ(29a)と、外部機器の接続端子を挿脱可能な端子ソケット(33)と、物品を出し入れ可能な物品収納部(26)と、を備える鞍乗り型車両の車体前部構造において、前記レッグシールド(16A)の後面側に、車両前方側に向けて凹む凹部(17)が形成され、前記凹部(17)は、前記物品収納部(26)内の収納空間(28)に連なる第二収納空間(28a)を形成し、前記メインスイッチ(29a)及び前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)の少なくとも一方は、前記凹部(17)内に配置され、かつ前記凹部(17)における車幅方向中央(CL1)寄りに配置され、前記メインスイッチ(29a)及び前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)は、車幅方向外側かつ車両後方側を指向するように配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、物品収納部に連なる第二収納空間を形成する凹部に、メインスイッチ及び端子ソケットの端子接続口の少なくとも一方を配置することで、これらメインスイッチおよび端子接続口をコンパクトに配置して外観性と運転者の居住性とを向上させることができる。また、メインスイッチ及び端子ソケットの端子接続口の少なくとも一方は、凹部内で車幅方向中央寄りに配置され、かつ車幅方向外側かつ車両後方側を指向するように配置されるので、メインスイッチ及び端子接続口の少なくとも一方において使い勝手を向上させつつ、第二収納空間の容量を確保し、物品収納部にもアクセスしやすくすることができる。さらに、メインスイッチ及び端子ソケットの少なくとも一方を車幅方向中央寄りに配置しやすく、メインハーネスに近付けやすくなってハーネス長さの短縮を図ることができる。
【0007】
本発明の第二の態様は、上記第一の態様において、前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)は、前記メインスイッチ(29a)の下方に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、物品収納部に外部機器を収納して端子ソケットに配線を接続するような場合でも、外部機器の配線がメインスイッチの操作の妨げになり難く、メインスイッチの操作性を向上させることができる。
【0008】
本発明の第三の態様は、上記第一又は第二の態様において、前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)は、前記物品収納部(26)内に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、端子ソケットの端子接続口が物品収納部内に配置されることで、端子接続口の露出を抑えて端子ソケットの防水、防塵等の保護性を向上させることができる。また、物品収納部に収納した外部機器と端子ソケットとを接続しやすくなり、端子ソケットの使い勝手を向上させることができる。
【0009】
本発明の第四の態様は、上記第三の態様において、前記凹部(17)は、前記物品収納部(26)の上方に配置され、前記レッグシールド(16A)は、前記凹部(17)内に、前記メインスイッチ(29a)の設置面(42)を形成する台座部(41)を備え、前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)は、前記台座部(41)の下方に配置され、かつ前記台座部(41)の後端に形成された前記設置面(42)よりも前方に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、台座部が庇となって端子ソケットの保護性をより一層向上させるとともに、端子ソケットの端子接続口を目立たなくして外観性を向上させることができる。
【0010】
本発明の第五の態様は、上記第四の態様において、前記物品収納部(26)は、前記収納空間(28)の車両後方側を覆う後壁部(56)を備え、前記後壁部(56)の上端縁(18b)は、車幅方向外側ほど下方側に位置するように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、物品収納部内で車幅方向外側かつ車両後方側を指向する端子ソケットの端子接続口に対し、外部機器のプラグを抜き差ししやすくなり、端子ソケットの使い勝手を向上させることができる。
【0011】
本発明の第六の態様は、上記第五の態様において、前記物品収納部(26)は、前記収納空間(28)の車幅方向外側を覆う側壁部(52)を備え、前記側壁部(52)の上端縁(18a)は、車両後方側ほど下方側に位置するように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、物品収納部内で車幅方向外側かつ車両後方側を指向する端子ソケットの端子接続口に対し、外部機器のプラグをより一層抜き差ししやすくなり、端子ソケットの使い勝手を向上させることができる。
【0012】
本発明の第七の態様は、上記第五の態様において、前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)は、車両前後方向から見て、前記物品収納部(26)の後壁部(56)の上端縁(18b)よりも上方に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、物品収納部の後壁部が端子ソケットの端子接続口へのプラグの挿脱の妨げになり難く、端子ソケットの端子接続口にプラグを抜き差ししやすくなって、端子ソケットの操作性を向上させることができる。
【0013】
本発明の第八の態様は、上記第六の態様において、前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)は、車幅方向から見て、前記物品収納部(26)の側壁部(52)の上端縁(18a)よりも上方に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、物品収納部の側壁部が端子ソケットの端子接続口へのプラグの挿脱の妨げになり難く、端子ソケットの端子接続口にプラグを抜き差ししやすくなって、端子ソケットの操作性を向上させることができる。
【0014】
本発明の第九の態様は、上記第三の態様において、前記凹部(17)は、前記物品収納部(26)の上方に配置され、前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)は、鉛直面に対して下向きに傾斜したソケット設置面(46)に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、端子ソケットの端子接続口が下向きに傾斜するので、端子ソケットと物品収納部に収納した外部機器とを接続しやすくなり、端子ソケットの使い勝手を向上させることができる。また、端子ソケットの防水、防塵等の保護性を向上させることができる。
【0015】
本発明の第十の態様は、上記三の態様において、前記凹部(17)は、前記第二収納空間(28a)の上方側を覆う上壁部(19)を備え、前記上壁部(19)は、前記メインスイッチ(29a)、前記端子ソケット(33)の端子接続口(33a)及び物品収納部(26)の開口部(27)よりも後方かつ車幅方向外側まで延びていることを特徴とする。
この構成によれば、凹部の上壁部がメインスイッチ、端子ソケットの端子接続口及び物品収納部の開口部を上方から覆うので、メインスイッチ、端子ソケット及び物品収納部の防水、防塵等の保護性を向上させることができる。
【0016】
本発明の第十一の態様は、上記第三の態様において、前記メインスイッチ(29a)の上端部から前記端子ソケット(33)の下端部までの車両上下方向の長さ(L1)は、前記物品収納部(26)の収納空間(28)の上端部から下端部までの車両上下方向の長さ(L2)より短いことを特徴とする。
この構成によれば、メインスイッチ及び端子ソケットをコンパクトに配置し、車両上下方向の小型化を図ることができる。
【0017】
本発明の第十二の態様は、上記第一の態様において、前記レッグシールド(16A)における車幅方向中央(CL1)よりも他方側に、第二物品収納部(36)を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、車幅方向一方側の物品収納部および端子ソケットの利用時にも、車幅方向他方側の第二物品収納部を利用して他の荷物を収納することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、レッグシールドにメインスイッチ、端子ソケットおよび物品収納部を備える鞍乗り型車両の車体前部構造において、コンパクトな部品配置として外観性および居住性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態における自動二輪車の右側面図である。
【
図2】上記自動二輪車のレッグシールドの上部の後面図である。
【
図5】上記レッグシールドの右側のインナーボックスのボックス本体の斜視図であり、(a)は外側壁部を展開した状態、(b)は外側壁部を閉じた状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UP、車両左右中央を示す線CLが示されている。
【0021】
<車両全体>
図1には、鞍乗り型車両の一例として、スクータ型の自動二輪車1が示されている。自動二輪車1は、操舵輪である前輪3と、駆動輪である後輪4と、を備えている。前輪3は、フロントフォーク3aに支持され、バーハンドル2によって回動(転舵)可能である。後輪4は、スイング式のパワーユニット8に支持され、パワーユニット8によって駆動可能である。図中符号2aはバーハンドル2の左右両側のグリップ部、符号2bは左右グリップ部2aを除いてバーハンドル2の周囲を覆うハンドルカバー、符号4aはリアクッションそれぞれ示している。
【0022】
バーハンドル2、フロントフォーク3aおよび前輪3を含むステアリング系部品は、車体フレーム21の前端部のヘッドパイプ21aに操向可能に支持されている。パワーユニット8の前部は、車体フレーム21の下部に上下揺動可能に支持されている。
車体フレーム21は、ヘッドパイプ21aと、ヘッドパイプ21aから下後方へ延びるダウンフレーム21bと、ダウンフレーム21bの下部から後方へ延びるロアフレーム21cと、ロアフレーム21cの後部から後上方へ延びるリヤフレーム21dと、を備えている。
【0023】
前輪3と後輪4との間には、運転者が足を置くフロアステップ6が設けられている。フロアステップ6の前方には、フロントボディ14が設けられている。フロアステップ6の後方には、リアボディ15が設けられている。フロントボディ14およびリアボディ15の間でフロアステップ6の上方の空間K1は、運転者が車体を跨ぐ際の跨ぎ空間K1とされる。フロントボディ14の上方には、ハンドル2が配置されている。リアボディ15の上方には、乗員が着座するシート5が支持されている。フロアステップ6の下部左側には、車体を左側に傾斜させた起立状態で支持可能な可倒式のサイドスタンド(不図示)が設けられている。
【0024】
パワーユニット8は、例えば内燃機関であるエンジン8aと、エンジン8aで生じた駆動力を後輪4に伝達する伝動装置(例えばベルト式無段変速機、不図示)と、を備えている。前記伝動装置は、例えば車体左側に設けられている。パワーユニット8の構成は様々であり、例えば駆動源に電気モータを備えてもよい。
【0025】
自動二輪車1の車体フレーム21の周囲は、車体カバー11で覆われている。車体カバー11は、車体フレーム21の前部を前方から覆うフロントカバー11aと、車体フレーム21の前部を後方から覆うインナーカバー11bと、車体フレーム21の下部を上方から覆うフロアカバー11cと、車体フレーム21の後部を前方および側方から覆うリアボディカバー11dと、を備えている。フロントカバー11aおよびインナーカバー11bは、フロントボディ14の外面を形成するフロントボディカバー16を構成している。フロントボディカバー16は、運転者の脚部の前方を覆うレッグシールド16Aを構成している。フロアカバー11cの上面部は、フロアステップ6を構成している。フロアステップ6は、例えば車幅方向の全幅に渡って平坦な上面(足載せ面)を形成している。フロアステップ6は、車幅方向内側で上方に隆起するセンタートンネルを備えてもよい。リアボディカバー11dは、リアボディ15の外面を形成している。車体カバー11は、ハンドルカバー2bを除き、車体フレーム21に直接又は間接的に固定されている。
【0026】
<レッグシールドの部品配置>
図1、
図2を参照し、レッグシールド16Aの車両後方側(乗員側、インナーカバー11b側)の右側には、イグニッションスイッチおよび各種ロックの施錠解除スイッチを含むメインスイッチユニット29、および電源機能および通信機能の少なくとも一方を持ち、外部機器の接続端子を挿脱させる端子ソケット33、が配置されている。
【0027】
レッグシールド16Aの車両後方側の左右両側には、物品を収納可能な左右インナーボックス26,36がそれぞれ配置されている。車体右側のインナーボックス26(以下、単にインナーボックス26ということがある。)は、上端開口(以下、ボックス開口27という。)の上方にメインスイッチユニット29および端子ソケット33を配置するための台座部41が張り出すことから、ボックス開口27にリッドを備えず、ボックス開口27を常時開放させている。
【0028】
車体左側のインナーボックス36(以下、第二インナーボックス36ということがある。)は、ボックス開口27の上方に前記台座部41のような突出形状がないことから、ボックス開口37にリッド38を備えることが可能であり、ボックス開口37を開閉可能としている。
図2のリッド38は、ボックス開口37の車幅方向外側において前後方向に延びる不図示のヒンジ軸を中心に、車幅方向に回動(開閉)する。
図2のリッド38はボックス開口37を開放した開状態を示している。
【0029】
メインスイッチユニット29は、車両電源のオン・オフを切り替える。メインスイッチユニット29は、レッグシールド16Aの車両後方側(後面側、乗員側)に、乗員による操作部29cとしてのメインスイッチノブ29aを配置している。メインスイッチノブ29aは、乗員が携帯する不図示のスマートキー(FOBキー)のID認証がなされた状態で、回転操作が可能または有効となる。このメインスイッチノブ29aの回転操作によって、メインスイッチユニット29がオン状態となり、不図示の制御装置に電力が供給されてエンジン8aの始動が可能となる。また、シート5、フューエルリッド等の開閉体の電磁ロック(ソレノイドで作動する電動式のロック装置)の解錠が可能となる。さらに、ハンドルロック装置のロックおよびアンロックが可能となる。メインスイッチノブ29aの周囲(例えば車幅方向外側、右側)には、シーソー式の開操作スイッチ29bが配置される。開操作スイッチ29bは、メインスイッチノブ29aの回動操作により開閉体の電磁ロックが解除された状態で、開閉体の開操作が可能または有効となる。メインスイッチノブ29aおよび開操作スイッチ29bは、メインスイッチユニット29の操作部29cに含まれる。
【0030】
端子ソケット33は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ポート(USBソケット)であり、スマートフォン等の外部機器をUSBコネクタによって接続可能である。端子ソケット33は、例えば外部機器に電力を供給する電源ソケットである。端子ソケット33は、外部機器側の接続端子(プラグ)を挿脱させる端子接続口33aを有している。図中符号33bは端子接続口33aに装着されるキャップを示す。
【0031】
図1~
図3を参照し、レッグシールド16Aの後面側の左右両側には、車両側面視で前方に凸のV字状をなす凹部17が形成されている。凹部17は、上方を向く平坦状の上面部18と、上面部18の上方で上後方に延びるオーバーハング部19と、を備えている。
【0032】
上面部18は、レッグシールド16Aの右側のインナーボックス26のボックス開口27を囲む枠状に形成されている。上面部18は、側面視では後下がりに傾斜し、前後方向視では車幅方向外側ほど下方に位置するように傾斜した基準面に沿うように設けられている。上面部18は、ボックス開口27の車幅方向外側を後下がりに傾斜して延びる直線状の外側縁部18aと、ボックス開口27の後方を車幅方向外側ほど下方に位置するように傾斜して延びる直線状の後縁部18bと、ボックス開口27の前方かつ車幅方向内側を、外側縁部18aの前端部と後縁部18bの車幅方向内側の端部との間に渡って延びる、車幅方向内側かつ前方に凸の湾曲状の弧状縁部18cと、を備えている。
【0033】
オーバーハング部19は、上面部18の弧状縁部18cから上方かつ車幅方向外側へ凹状(球面状)に湾曲して立ち上がっている。オーバーハング部19は、上面視したときに上面部18(ボックス開口27含む)と重なるように設けられている。左側のオーバーハング部19は、前方かつ車幅方向内側に向けて凹む凹状(球面状)に形成されている。右側のオーバーハング部19は、左側のオーバーハング部19と左右対称をなす凹形状をベースに形成されているが、右側のオーバーハング部19の車幅方向内側(レッグシールド16Aの車幅方向中央CL1寄り)には、台座部41が形成されている。「車幅方向中央寄り」とは、例えば凹部17の左右全幅の中央位置よりも車幅方向内側にあることをいう。レッグシールド16Aの車幅方向中央CL1は車体左右中央CLに重なる。
【0034】
台座部41は、後方かつ車幅方向外側を向くように傾斜した矩形状の後端面部(平坦部)42を形成する。台座部41は、後端面部42の下端縁および車幅方向外側の外側端縁から、それぞれ後端面部42の法線方向の前方側へ、下面部43および外側面部44を延ばす。下面部43および外側面部44は、それぞれオーバーハング部19の奥側(前方側)に至りながら、オーバーハング部19と交差して消失する。台座部41は、あたかも直方体の一部をなすように形成され、オーバーハング部19から凹部17内に膨出する。
【0035】
図4を併せて参照し、後端面部42には、メインスイッチユニット29の操作部29c(メインスイッチノブ29aおよび開操作スイッチ29b)が配置されている。後端面部42は上向きに傾斜しており、乗員がメインスイッチユニット29と同側の手(右手)で操作部29cを操作しやすくし、操作部29cの使いやすさを向上させている。
【0036】
下面部43の奥側(前方側、オーバーハング部19の車幅方向内側の前方側)には、第二台座部45が設けられている。第二台座部45は、後方かつ車幅方向外側を向くように傾斜した矩形状の後端面部(平坦部)46を形成する。第二台座部45は、後端面部46の下端縁および車幅方向外側の外側端縁から、それぞれ後端面部46の法線方向の前方側へ、下面部47および外側面部48を延ばす。第二台座部45は、あたかも直方体の一部をなすように形成され、台座部41の下面部43から下方へ膨出するように設けられている。
【0037】
後端面部46には、USBプラグを挿入する端子接続口33aが配置されている。後端面部46は下向きに傾斜しており、インナーボックス26内に収容した外部機器から延びる配線の接続端子(プラグ)を接続しやすくされている。
【0038】
図4を参照し、メインスイッチ29aの上端部から端子ソケット33の下端部までの車両上下方向の長さ(距離)L1は、インナーボックス26内に形成される収納空間28の上端部から下端部までの車両上下方向の長さ(深さ)L2より短い。すなわち、メインスイッチ29a及び端子ソケット33は、インナーボックス26よりも上下方向でコンパクトに配置されている。
【0039】
図5(a)、
図5(b)を併せて参照し、インナーボックス26は、レッグシールド16Aを構成するフロントカバー11aおよびインナーカバー11bとは別体のボックス本体51を備えている。
ボックス本体51は、凹部17の上面部18の下方でレッグシールド16Aの内側に支持されている。ボックス本体51は、ボックス開口27の下方においてインナーボックス26の収納空間28を区画する。
【0040】
ボックス本体51は、外側縁部18aから下方に延びる外側壁部52と、弧状縁部18cの車幅方向内側の範囲から下方に延びる内側壁部53と、弧状縁部18cの車幅方向外側の範囲から下方に延びる前壁部54と、インナーボックス26の下端部(底部)に配置される底壁部55と、を備えている。インナーボックス26の後壁部56は、インナーカバー11bで構成される。
【0041】
ボックス本体51は、上方側および後方側が開放した箱状をなし、レッグシールド16Aの内側からインナーカバー11bの前面に取り付けられる。ボックス本体51は、インナーカバー11bにおけるボックス本体51との対向部分が後壁部56となって、後方側が閉塞される。ボックス本体51およびインナーカバー11bは、上方側が開放した容器形状を構成する。これにより、ボックス開口27から物品を出し入れ可能なインナーボックス26が構成される。
【0042】
図5中符号52a,53a,55aは、外側壁部52、内側壁部53および底壁部55にそれぞれ一体形成された締結部をそれぞれ示す。各締結部52a,53a,55aは、インナーカバー11bの前面に形成された不図示の締結部に固定される。インナーカバー11bにおけるインナーボックス26の後壁部56を構成する部位の上端縁は、ボックス開口27ひいてはインナーボックス26の後縁部18bを形成する。ボックス本体51の外側壁部52の上端縁は、ボックス開口27の外側縁部18aに沿って形成される(換言すれば、ボックス開口27ひいてはインナーボックス26の外側縁部18aを形成する)。ボックス本体51の内側壁部53および前壁部54の各上端縁は、ボックス開口27の弧状縁部18cの車幅方向内側および前方側に沿って形成される(換言すれば、ボックス開口27ひいてはインナーボックス26の弧状縁部18cの車幅方向内側および前方側をそれぞれ形成する)。
【0043】
図3を参照し、ボックス本体51の内側壁部53および前壁部54の上部間には、第二台座部45が形成される。第二台座部45の後端面部46は、インナーボックス26の後壁部56の上端縁(後縁部18b)よりも上方に配置され、かつインナーボックス26の外側壁部52の上端縁(外側縁部18a)よりも上方に配置される。
【0044】
図5を参照し、ボックス本体51は、合成樹脂製の一体成型品であり、外側壁部52の前端縁と前壁部54の外側端縁とは、弾性ヒンジ57を介して互いに接続されている。
図5(a)のボックス本体51は、レッグシールド16Aに取り付ける前の展開状態(成型直後の状態)を示す。ボックス本体51の展開状態において、外側壁部52は、前壁部54の車幅方向外側に面一状に並んで配置される。この状態から弾性ヒンジ57を中心に外側壁部52を後方(矢印A方向)に回動させ、ボックス本体51をレッグシールド16Aへの取り付け状態(上方側および後方側が開放した箱状の状態、
図5(b)参照)に変化させる。この状態のボックス本体51を、インナーカバー11b等に締結して固定することで、車体右側のインナーボックス26が構成される。車体左側のインナーボックス36も同様に、別体のボックス本体51を備えて構成されてもよい。
【0045】
図2~
図4を併せて参照し、第二台座部45は、ボックス本体51の上端部に形成されている。第二台座部45は、ボックス本体51をインナーカバー11bに取り付けたとき、インナーカバー11bに形成された台座部41の下面部43に下方から当接し、一体的な外観を構成する。第二台座部45は、実質的にインナーボックス26の収納空間28に配置されているが、ボックス開口27の後縁および外側縁の傾斜によって、後方および車幅方向外側に露出する。このため、ボックス開口27の周辺を後方および車幅方向外側から見たときに、第二台座部45に配置した端子ソケット33の端子接続口33aを視認しやすく、また乗員が端子ソケット33と同側の手(右手)で端子接続口33aにアクセスしやすく、端子ソケット33の使いやすさを向上させている。
【0046】
第二台座部45の後端面部46は、台座部41の後端面部42よりも前方(凹部17の奥側)に位置することで、台座部41およびオーバーハング部19が庇となって、上方からの被水等の外乱を受け難く、かつ乗車位置から見下ろした際には目立たずに済む。第二台座部45の後端面部46は、台座部41の外側面部44よりも車幅方向内側に位置しており、この点でも上方からの外乱を受け難くかつ目立たなくされている。
台座部41の後端面部42は、オーバーハング部19の後端位置よりも前方に位置することで、オーバーハング部19が庇となって上方からの外乱を受け難くされている。台座部41の後端面部42は、オーバーハング部19の外側端位置よりも車幅方向内側に位置しており、この点でも上方からの外乱を受け難くされている。
【0047】
凹部17は、インナーボックス26内の収納空間28とボックス開口27を通じて連通する第二収納空間28aを形成している。凹部17は、ボックス開口27の上方に後方および車幅方向外側に開放した開放空間としての第二収納空間28aを形成している。第二収納空間28aを利用することで、ボックス本体51の収納空間28の深さよりも高さのある物品を収容可能である。車体右側の凹部17では、オーバーハング部19から下方へ台座部41が張り出すことから、第二収納空間28aを利用して収容する物品の大きさが限られやすい。車体左側の凹部17および第二インナーボックス36では、オーバーハング部19から下方に張り出す構成がなく、リッド38を開いた状態であれば、第二収納空間28aを利用して、車体右側の凹部17と比べて大きな物品を収容可能である。
【0048】
以上説明したように、上記実施形態における自動二輪車1の車体前部構造は、運転者が足を載せるフロアステップ6の前方にレッグシールド16Aが配置され、前記レッグシールド16Aにおける車幅方向中央CL1よりも一方側に、車両電源のオン・オフの切り替えを操作可能なメインスイッチノブ29aと、電源機能および通信機能の少なくとも一方を持ち、外部機器の接続端子を挿脱可能な端子ソケット33と、物品を出し入れ可能なインナーボックス26と、を備え、前記レッグシールド16Aの後面側に、車両前方側に向けて凹む凹部17が形成され、前記凹部17は、前記インナーボックス26内の収納空間28に連なる第二収納空間28aを形成し、前記メインスイッチノブ29a及び前記端子ソケット33の端子接続口33aの少なくとも一方は、前記凹部17内に配置され、かつ前記凹部17における車幅方向中央CL1寄りに配置され、前記メインスイッチノブ29a及び前記端子ソケット33の端子接続口33aは、車幅方向外側かつ車両後方側を指向するように配置されている。
【0049】
前述の「メインスイッチノブ29aが車幅方向外側かつ車両後方側を指向する」とは、メインスイッチノブ29aの設置面からの突出方向が車幅方向外側かつ車両後方側を指向することであり、メインスイッチノブ29aの回動操作中心軸の延長方向が車幅方向外側かつ車両後方側を指向することである。メインスイッチノブ29aの設置面(後端面部42)の法線方向も車幅方向外側かつ車両後方側を指向している。
また、「端子ソケット33の端子接続口33aが車幅方向外側かつ車両後方側を指向する」とは、端子接極口33aに対する外部機器の接続端子の挿脱方向が車幅方向外側かつ車両後方側を指向することである。端子ソケット33の端子接続口33aの設置面(後端面部46)の法線方向も車幅方向外側かつ車両後方側を指向している。
【0050】
この構成によれば、インナーボックス26に連なる第二収納空間28aを形成する凹部17に、メインスイッチノブ29a及び端子ソケット33の端子接続口33aの少なくとも一方を配置することで、メインスイッチノブ29aおよび端子接続口33aをコンパクトに配置して外観性と運転者の居住性とを向上させることができる。また、メインスイッチノブ29a及び端子ソケット33の端子接続口33aの少なくとも一方は、凹部17内で車幅方向中央CL1寄りに配置され、かつ車幅方向外側かつ車両後方側を指向するように配置されるので、メインスイッチノブ29a及び端子接続口33aの少なくとも一方において使い勝手を向上させつつ、第二収納空間28aの容量を確保し、インナーボックス26にもアクセスしやすくすることができる。さらに、メインスイッチノブ29a及び端子ソケット33の少なくとも一方を車幅方向中央CL1寄りに配置しやすく、メインハーネスに近付けやすくなってハーネス長さの短縮を図ることができる。
【0051】
上記自動二輪車1の車体前部構造において、前記端子ソケット33の端子接続口33aは、前記メインスイッチノブ29aの下方に配置されている。
この構成によれば、インナーボックス26に外部機器を収納して端子ソケット33に配線を接続するような場合でも、外部機器の配線がメインスイッチ29aの操作の妨げになり難く、メインスイッチ29aの操作性を向上させることができる。
【0052】
上記自動二輪車1の車体前部構造において、前記端子ソケット33の端子接続口33aは、前記インナーボックス26内に配置されている。
この構成によれば、端子ソケット33の端子接続口33aがインナーボックス26内に配置されることで、端子接続口33aの露出を抑えて端子ソケット33の防水、防塵等の保護性を向上させることができる。また、インナーボックス26に収納した外部機器と端子ソケット33とを接続しやすくなり、端子ソケット33の使い勝手を向上させることができる。
【0053】
上記自動二輪車1の車体前部構造において、前記凹部17は、前記インナーボックス26の上方に配置され、前記レッグシールド16Aは、前記凹部17内に、前記メインスイッチノブ29aの設置面(後端面部42)を形成する台座部41を備え、前記端子ソケット33の端子接続口33aは、前記台座部41の下方に配置され、かつ前記台座部41の後端に形成された前記設置面(後端面部42)よりも前方に配置されている。
この構成によれば、台座部41が庇となって端子ソケット33の保護性をより一層向上させるとともに、端子ソケット33の端子接続口33aを目立たなくして外観性を向上させることができる。
【0054】
上記自動二輪車1の車体前部構造において、前記インナーボックス26は、前記収納空間28の車両後方側を覆う後壁部56を備え、前記後壁部56の上端縁(後縁部18b)は、車幅方向外側ほど下方側に位置するように形成されている。
この構成によれば、インナーボックス26内で車幅方向外側かつ車両後方側を指向する端子ソケット33の端子接続口33aに対し、外部機器のプラグを抜き差ししやすくなり、端子ソケット33の使い勝手を向上させることができる。
【0055】
上記自動二輪車1の車体前部構造において、前記インナーボックス26は、前記収納空間28の車幅方向外側を覆う外側壁部52を備え、前記外側壁部52の上端縁(外側縁部18a)は、車両後方側ほど下方側に位置するように形成されている。
この構成によれば、インナーボックス26内で車幅方向外側かつ車両後方側を指向する端子ソケット33の端子接続口33aに対し、外部機器のプラグをより一層抜き差ししやすくなり、端子ソケット33の使い勝手を向上させることができる。
【0056】
上記自動二輪車1の車体前部構造において、前記端子ソケット33の端子接続口33aは、車両前後方向から見て、前記インナーボックス26の後壁部56の上端縁(後縁部18b)よりも上方に配置されている。
この構成によれば、インナーボックス26の後壁部56が端子ソケット33の端子接続口33aへのプラグの挿脱の妨げになり難く、端子ソケット33の端子接続口33aにプラグを抜き差ししやすくなって、端子ソケット33の操作性を向上させることができる。
【0057】
上記自動二輪車1の車体前部構造において、前記端子ソケット33の端子接続口33aは、車幅方向から見て、前記インナーボックス26の外側壁部52の上端縁(外側縁部18a)よりも上方に配置されている。
この構成によれば、インナーボックス26の外側壁部52が端子ソケット33の端子接続口33aへのプラグの挿脱の妨げになり難く、端子ソケット33の端子接続口33aにプラグを抜き差ししやすくなって、端子ソケット33の操作性を向上させることができる。
【0058】
上記自動二輪車1の車体前部構造において、前記凹部17は、前記インナーボックス26の上方に配置され、前記端子ソケット33の端子接続口33aは、鉛直面に対して下向きに傾斜したソケット設置面(後端面部46)に配置されている。
この構成によれば、端子ソケット33の端子接続口33aが下向きに傾斜するので、端子ソケット33とインナーボックス26に収納した外部機器とを接続しやすくなり、端子ソケット33の使い勝手を向上させることができる。また、端子ソケット33の防水、防塵等の保護性を向上させることができる。
【0059】
上記自動二輪車1の車体前部構造において、前記凹部17は、前記第二収納空間28aの上方側を覆うオーバーハング部19を備え、前記オーバーハング部19は、前記メインスイッチノブ29a、前記端子ソケット33の端子接続口33a及びインナーボックス26のボックス開口27よりも後方かつ車幅方向外側まで延びている。
この構成によれば、凹部17のオーバーハング部19がメインスイッチノブ29a、端子ソケット33の端子接続口33a及びインナーボックス26のボックス開口27を上方から覆うので、メインスイッチノブ29a、端子ソケット33及びインナーボックス26の防水、防塵等の保護性を向上させることができる。
【0060】
上記自動二輪車1の車体前部構造において、前記メインスイッチ29aの上端部から前記端子ソケット33の下端部までの車両上下方向の長さL1は、前記インナーボックス26の収納空間28の上端部から下端部までの車両上下方向の長さL2より短い。
この構成によれば、メインスイッチ29a及び端子ソケット33をコンパクトに配置し、車両上下方向の小型化を図ることができる。
【0061】
上記自動二輪車1の車体前部構造において、前記レッグシールド16Aにおける車幅方向中央CL1よりも他方側に、第二インナーボックス36を備えている。
この構成によれば、車幅方向一方側のインナーボックス26および端子ソケット33の利用時にも、車幅方向他方側の第二インナーボックス36を利用して他の荷物を収納することができる。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、実施形態では、メインスイッチノブ29aが凹部17内に配置され、端子ソケット33の端子接続口33aはインナーボックス26内に配置されるが、端子ソケット33の端子接続口33aも凹部17内に配置される構成でもよい。
本発明は、自動二輪車以外の鞍乗り型車両に適用してもよい。前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪(四輪バギー等)の車両も含まれる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
6 フロアステップ(ステップ部)
11a フロントカバー
11b インナーカバー
16 フロントボディカバー
16A レッグシールド
17 凹部
18 上面部
18a 外側縁部(上縁部)
18b 後縁部(上縁部)
18c 弧状縁部(上縁部)
19 オーバーハング部(上壁部)
26 インナーボックス(物品収納部)
27 ボックス開口(開口部)
28 収納空間
28a 第二収納空間
29 メインスイッチユニット
29a メインスイッチノブ(メインスイッチ)
29b 開操作スイッチ
29c 操作部
33 端子ソケット
33a 端子接続口
36 第二インナーボックス(第二物品収納部)
37 ボックス開口(開口部)
38 リッド
41 台座部
42 後端面部(設置面)
45 第二台座部
46 後端面部(ソケット設置面)
51 ボックス本体
CL1 車幅方向中央
L1,L2 上下方向の長さ