(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051360
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】シート給送装置及び画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240404BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
G03B27/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157491
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中山 美里
【テーマコード(参考)】
2H012
5C062
【Fターム(参考)】
2H012CC01
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA25
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB32
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】強度を損なわずに組み立てやすくした外装カバーを備えるシート給送装置及び及びこのシート給送装置を備えた画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置において、シート給送装置は、搬送部を備える下本体部300と、下本体部を覆い開口部327を有するカバー(下部カバー)を備える。カバーは、基準面(底面部326)と基準面から立設する立設面(下面部、上面部、左側面部323、右側面部324)を有し、少なくとも下本体部の一部を覆う樹脂部材で形成され、下本体部の主面をなす内側面328と、装置の外郭をなす外側面329と、を有し、カバーの立設面における内側面の開口部側の端部には、本体部と係合する係合部(係合凸部331、係合凹部311)を有し、立設面において、内側面から外側面までの厚みT1~T6が、基準面側は厚く開口部側は薄い。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送部を備える本体部と、
前記本体部を覆い開口部を有するカバーを備え、
前記カバーは、基準面と前記基準面から立設する立設面を有し、少なくとも前記本体部の一部を覆う樹脂部材で形成され、
前記カバーは、前記本体部の主面をなす内側面と、装置の外郭をなす外側面を有し、
前記カバーの前記立設面における前記内側面の前記開口部側の端部には、前記本体部と係合する係合部を有し、
前記立設面において、前記内側面から前記外側面までの厚みが前記基準面側は厚く前記開口部側は薄いことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記カバーは、下部カバーであり、
前記基準面は、底面部から成り、
前記立設面は、側面部、後面部、から成り、
前記側面部において、前記内側面から前記外側面までの厚みの最大値と最小値の差をΔUとし、
前記底面部と後面部において、前記内側面から前記外側面までの厚みの最大値と最小値の差をΔTとしたとき、ΔT<ΔUであることを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記カバーは、上部カバーであり、
前記基準面は、正面部から成り、
前記立設面は、側面部、上面部、下面部から成り、
前記側面部において、前記内側面から前記外側面までの厚みの最大値と最小値の差をΔUとし、
前記正面部と上面部と下面部において、前記内側面から前記外側面までの厚みの最大値と最小値の差をΔTとしたとき、ΔT<ΔUであることを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記側面部において、前記内側面から前記外側面までの厚みは基準面側が最大となり、開口部側が最小となり、前記側面部は、前記基準面側から前記開口部側に向けて前記内側面から前記外側面までの厚みが薄くなることを特徴とする請求項2または3に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記カバーは、前記基準面からみたとき、前記立設面が周期的な波状の変化をした形状であることを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記側面部の下部に、前記底面部から離れる方向の切り欠き部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記切り欠き部に、周期的な波状の変化をした形状が複数周期分含まれることを特徴とする請求項6に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記カバーは、前記基準面と前記基準面から立設する前記立設面が複数の部品から成り立っていることを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを給紙するシート給送装置及びこのシート給送装置を備えた画像読取装置に関し、例えば複写機、ファクシミリ装置、プリンター、スキャナー等の各種装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像読取装置や画像形成装置に使用されるシート給送装置は、シート搬送機構を備える本体部を備え、本体部を覆うカバーを備えているものが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、シート搬送機構を備える本体部を備え、本体部を覆うカバー(1部品)を備える印刷装置が開示されている。カバーと本体部を固定するため、カバーの開口部側の端部と本体部に係合部を設け、係合部同士を係合させている。カバーは、落下や衝突による破損の防止のため、ある程度の厚さで作られているが、係合部同士を係合するときカバーを撓ませる必要があるため、組み立てにくいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
搬送部を備える本体部と、
前記本体部を覆い開口部を有するカバーを備え、
前記カバーは、基準面と前記基準面から立設する立設面を有し、少なくとも前記本体部の一部を覆う樹脂部材で形成され、
前記カバーは、前記本体部の主面をなす内側面と、装置の外郭をなす外側面を有し、
前記カバーの前記立設面における前記内側面の前記開口部側の端部には、前記本体部と係合する係合部を有し、
前記立設面において、前記内側面から前記外側面までの厚みが前記基準面側は厚く前記開口部側は薄いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、強度を損なわずに組み立てやすくした外装カバーを備えるシート給送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の概略図。
【
図2】
図1の画像読取装置の制御ユニットのブロック図。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の正面図。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の他の正面図。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の他の上面図。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の他の概略断面図。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の下部ユニット104の斜視図とその詳細図
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の下本体部300の斜視図
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の下部カバー320の斜視図
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の下部ユニット104の概略右側面図。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の下部ユニット104のA-A概略断面図
【
図12】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の下部ユニット104の概略正面図
【
図13】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の下部ユニット104のB-B概略断面図
【
図14】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の組立前の下部ユニット104の斜視図
【
図15】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の組立途中の下部ユニット104の右側面図
【
図16】本発明の第の実施形態に係る画像読取装置の下部ユニット104のC-C概略断面図
【
図17】本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置の下部ユニット104の概略右側面図
【
図18】本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置の下部ユニット104のG-G概略断面図
【
図19】本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置の下部ユニット104のH-H概略断面図
【
図20】本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置の下部ユニット104の概略仮面図とその詳細図
【
図21】本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置の下部ユニット104のD-D概略断面図とその詳細図
【
図22】本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置の下部ユニット104のE-E概略断面図とその詳細図
【
図23】本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置の下部ユニット104のF-F概略断面図とその詳細図
【
図24】本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置の下部ユニット104概略下面図とその詳細図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本実施形態の構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものである。
【0009】
〔第1の実施形態〕
図1は本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置Aの概略図である。
【0010】
画像読取装置Aは、載置台1に積載された一又は複数の搬送媒体Sを、第1搬送部10を構成する送りローラ11と、送りローラ11に対向配置される分離ローラ12を用いて1枚ずつ装置内に経路RTにて搬送し、その画像を画像読取ユニット70によって読み取り、排出トレイ2に排出する装置である。
【0011】
送りローラ11には、モータ等の駆動部3から伝達部5を介して駆動力が伝達される。
【0012】
読み取る搬送媒体Sは、例えば、OA紙、チェック、小切手、感圧紙、名刺、カード類等のシートであり、厚手のシートであっても、薄手のシートであってもよい。カード類は、例えば、保険証、免許証、クレジットカード、等を挙げることができる。また、パスポートなどの冊子でもよく、この場合、透明なホルダなどに収容し、搬送される。
【0013】
第1搬送部10の搬送方向下流側にある第2搬送部20を構成する、駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動する従動ローラ22によって搬送媒体Sを搬送し、第2搬送部20の搬送方向下流側にある第3搬送部30を構成する、駆動ローラ31と、駆動ローラ31に従動する従動ローラ32によって、第2搬送部20から搬送されてきた搬送媒体Sを排出トレイ2へ搬送する。
【0014】
第1搬送部10と第2搬送部20との間に重送検出センサ40が配置されている。本実施形態の場合、超音波センサであり、超音波の発信部41と受信部42で構成されている。
【0015】
重送検出センサ40より搬送方向下流側に媒体検出センサ50が配置されている。検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)としての一例であり、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部51と受光部52で構成されている。
【0016】
また、媒体検出センサ50より搬送方向下流側に媒体検出センサ60が配置されている。本実施形態の場合、媒体検出センサ50と同様に光センサであり、発光部61と受光部62で構成されている。媒体検出センサ50、60を配置したが、何れか一方だけでもよい。
【0017】
図2は画像読取装置Aの制御部80のブロック図である。
【0018】
制御部80はCPU81、記憶部82、操作部83、通信部84及びインターフェース部85で構成される。CPU81は記憶部82に記憶されたプログラムを実行することにより、画像読取装置A全体の制御を行う。記憶部82は例えばRAM、ROM等から構成される。操作部83は、例えば、スイッチやタッチパネル等で構成され、操作者からの操作を受け付ける。
【0019】
通信部84は、外部装置との情報通信を行うインターフェースである。外部装置としてPC(パソコン)を想定した場合、通信部84としては、例えば、USBインターフェースやSCSIインターフェースを挙げることができる。また、このような有線通信のインターフェースの他、通信部84は無線通信のインターフェースとしてもよく、有線通信、無線通信の双方のインターフェースを備えていてもよい。
【0020】
インターフェース部85はアクチュエータ86やセンサ87とのデータの入出力を行うI/Oインターフェースである。アクチュエータ86には、駆動部3、駆動部4、伝達部5等が含まれる。センサ87には、重送検出センサ40、媒体検出センサ50及び60、画像読取ユニット70等が含まれる。
【0021】
制御部80は、媒体検出センサ60の検出結果に基づくタイミングで、第2搬送部20により搬送されてきた搬送媒体Sの、画像読取ユニット70による画像の読み取りを開始し、読み取った画像を一次記憶して順次外部パソコンへ送信する。
【0022】
図3は本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置Aの排出トレイ2を展開した状態の正面図である。
【0023】
画像読取装置Aの正面側に傾斜して設けられた正面部90に対して垂直な方向から見た図であり、装置を載置した状態における正面よりもやや上方から見た状態の図である。
【0024】
正面下部の下面部91には排出開口部92が設けられており、第3搬送部30によって搬送された搬送媒体Sが排出される。
【0025】
正面上部の正面部90には表示パネル93が設けられ、その内部には操作部83の一例としての操作キー群95が設けられている。操作キー群95には、画像読取装置Aの動作を開始するためのスタートキー、ストップキーなどが設けられており、操作キー群95に隣接するようにして表示部94が設けられている。
【0026】
上部カバー321の基準面である正面部90には、立設面として下面部91と、上面部96、左側面部97、右側面部98が立設している。左側面部97と右側面部98をあわせて側面部とする。また、上部カバー321は不図示の開口部を有している。
【0027】
図4は本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置Aの排出トレイ2を収納した状態の正面図である。
【0028】
排出トレイ2は、画像読取装置Aに対して回動可能なように、画像読取装置Aの下方に設けられた第1ヒンジ101を介して軸支されており、第1排出トレイ2aによって本体前面を覆うように構成されている。排出トレイ2を正面部90側に折り畳んだ状態において、排出開口部92は開放されており、搬送された搬送媒体Sの排出が可能となっている。
【0029】
図5は本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置Aの排出トレイ2を収納した状態における上面図である。
【0030】
給送トレイ110には、配置される搬送媒体Sの大きさに合わせて搬送方向に対して直交する方向にスライド可能に取り付けられた規制部材111が設けられている。また、給送トレイ110の中央には、引き出して使用することのできる給紙延長トレイ112が設けられている。
【0031】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置Aを本体ヒンジ105を支点に展開した図である。
【0032】
画像読取装置Aの本体100は、上部ユニット103と下部ユニット104とから構成され、上部ユニット103は下部ユニット104に対し、本体ヒンジ105を支点として回動可能に取り付けられている。なお、本実施形態においては、本体ヒンジ105は第1ヒンジ101と同軸に設けられており、軸部材を共通としている。
【0033】
突出部130を有することにより、上部ユニット103の展開に伴う重心移動が起こっても画像読取装置Aの転倒を防ぐことができる。
【0034】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置Aの下部ユニット104の斜視図である。
【0035】
下部ユニット104は、下本体部300と、下本体部300の外郭を覆う下部カバー320で構成される。下部ユニット104は、下本体部300と下部カバー320を結合させる手段として、係合部310が設けられている。係合部310は、下本体部300側に設けられた係合凹部311と下部カバー320側に設けられた係合凸部331で形成されている。
【0036】
なお、係合部310は下部カバー320側に係合凹部311、下本体部300側に係合凸部331としてもよいし、一箇所以上設けられていればよい。
【0037】
図1のように、下部ユニット104は、下部ユニット104を構成する樹脂部材によって経路RTを構成する上側の面と下側の面のうち下側の搬送面の一部を形成し、下部ユニット104の内部には、駆動部3、駆動部4、駆動伝達部5、送りローラ11、駆動ローラ21、駆動ローラ31、画像読取ユニット70、第1ヒンジ101、制御基板ユニット88を備える。
【0038】
一般にストレートパスを有する画像読取装置Aにおいては給紙順に読み取りを行うが、本実施形態においては、載置台1に積載された搬送媒体Sは表面が下側の面に向くように積載される。
【0039】
そのため、下部ユニット104側に画像読取ユニット70の表面読取ユニット70aを配置する構成となる。よって、片面読取においても画像読取ユニット70は下部ユニット104に配置される。
【0040】
図8は本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置Aの下本体部300の斜視図である。
【0041】
下本体部300は、経路RTを構成する搬送面301、前部302、左部303、右部304、後部305及び底部306で形成されている。下本体部300の左部303、右部304の端部には、下部カバー320と係合する係合凹部311が設けられている。本実施形態では、係合凹部311は、下本体部300の左部303、右部304に複数箇所設けられている。
【0042】
図9は本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置Aの下部カバー320の斜視図である。
【0043】
下部カバー320は、
図8に示す下本体部300の前部302、左部303、右部304、後部305及び底部306を覆うように形成された樹脂製の部材である。
【0044】
下部カバー320の基準面である底面部326には、立設面として、前面部322、左側面部323、右側面部324、後面部325が立設している。下本体部300を挿入するための開口部327を有する。また、左側面部323と右側面部324をあわせて側面部とする。
【0045】
開口部327側の端部には、下本体部300と係合する係合凸部331が設けられている。本実施形態では、係合凸部331は、下部カバー320の左側面部323、右側面部324に複数箇所設けられている。
【0046】
図10は本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置Aの下部ユニット104の概略右側面図で、
図11は下部ユニット104のA-A概略断面図である。
図12は下部ユニット104の概略正面図で、
図13は
図12に示す下部ユニット104のB-B概略断面図である。下部ユニット104は、図示していない他の部品が取り付けられた状態で一連の箱状の下部ユニット104が完成されるようになっており、より発明の理解を簡易にするために説明の便宜上図示を省略してある。
【0047】
図11に示すように、下部ユニット104は、下本体部300側に設けられた係合凹部311と下部カバー320側に設けられた係合凸部331が係合している。
図11、
図13に示すように、下部カバー320は、前面部322、左側面部323、右側面部324、後面部325及び底面部326において、下本体部300側の主面をなす内側面328と、装置の外郭をなす外側面329を有する。主面をなす内側面328には、
図9に見られるようなリブやボスなど、装置の内側に突出する突起物は含まれず、平坦な面を意味する。
【0048】
下部カバー320の内側面328から外側面329までの厚みをT1~T10とする。T1~T10は、落下や衝突による衝撃で割れないよう一定以上の厚みとするのが望ましい。
【0049】
図11、
図13で示すように、左側面部323の厚みの最大値をT2、厚みの最小値をT1とし、T2-T1=ΔTLとする。右側面部324の厚みの最大値をT4、厚みの最小値をT3とし、T4-T3=ΔTRとする。底面部326の厚みの最大値をT6、厚みの最小値をT5とし、T6-T5=ΔTBとする。前面部322の厚みの最大値をT8、厚みの最小値をT7とし、T8-T7=ΔTFとする。後面部325の厚みの最大値をT10、厚みの最小値をT9とし、T10-T9=ΔTPとする。
このとき、
ΔTL>ΔTB、ΔTF、ΔTP
ΔTR>ΔTB、ΔTF、ΔTP
となるよう厚みを設定する。ΔTB、ΔTF、ΔTPは、0でもよい。
【0050】
上記式を言い換えると、最小値T1、T3が最大値T2、T4、最小値T5、T7、T9及びT6、T8、T10の厚みより薄くなるよう設定する。また、詳しくは後述するが、左側面部323と右側面部324の厚みが、開口部327側から底面部326側に向かって薄くなるように設定されている。なお、本実施形態においては、ΔTL=ΔTRとなっており、ΔTB、ΔTF、ΔTPについては、下部カバー320を樹脂で成型する際の抜きテーパによって必要な程度となっている。
【0051】
つづいて、下本体部300への下部カバー320の取り付け構造について、
図11、
図14~16を参照しながら説明する。
図14は組立前の下部ユニット104の斜視図である。
図15は組立途中の下部ユニット104の右側面図で、
図16は下部ユニット104のC-C概略断面図である。
【0052】
図14に示すように、下部カバー320を開口部327が見える状態で不図示の作業台におき、下本体部300を下部カバー320の開口部327に向かって矢印方向に移動させる。
【0053】
図15、
図16に示すように、下本体部300の前部302、左部303、右部304、後部305及び底部306を下部カバー320の開口部327内に入れると、下部カバー320の係合凸部331は、下本体部300の左部303、右部304と干渉し、矢印X方向へ撓み変形する。
【0054】
さらに、下本体部300を矢印方向に移動させると、下部カバー320の係合凸部331は、下本体部300の左部303、右部304を乗り越え、下本体部300の係合凹部311内へ移動し、
図11の状態となる。下部カバー320の開口部327は下本体部300で塞がれた状態となる。すなわち、下部カバー320は、下本体部300と係合する。
【0055】
下本体部300を下部カバー320に組み込むとき、組立者は下部カバー320を
図16に示す矢印X方向に撓ませるよう、下本体部300を
図14に示す矢印方向に力Fで押すことになる。下部カバー320の左側面部323の厚みが薄いと撓みやすくなるため、容易に組み付けることができる。
【0056】
一方、下部カバー320は落下や衝突による破損の防止のため、一定以上の厚みが必要である。本実施形態では、係合部310が設けられている下部カバー320の左側面部323、右側面部324の開口部327側の厚み(
図11で最小値T1、T3を示している部分)を薄くし、それ以外の厚み(
図11で最大値T2、T4を示している部分など)を同等の厚みとしている。この構成により、下部カバー320の破損を防止しつつ、下部カバー320の左側面部323を矢印方向に撓ませる力Fを小さくすることができる。これにより、下部カバー320の左側面部323を撓ませるときに押す力Fが減るため、下部カバー320の組み付け作業をスムーズに行うことができる。
【0057】
なお、係合部310が設けられている下部カバー320の左側面部323、右側面部324の底面側の厚みのみを厚くし、それ以外の厚みを同等の厚みとしてもよい。底面側の厚みを大きくすることで、下部カバー320の左側面部323を矢印方向に撓ませる力Fを最小限に抑えて、下部カバー320の破損を防止することができる。
【0058】
また、ここでは、下部ユニット104について述べているが、上部ユニット103においても同様であり、下カバー320について説明した構造と搬送路を挟んで対称的な構造にて実現可能である。
【0059】
〔第2の実施形態〕
次に、
図13、
図17~22を用いて第2の実施形態に係る下部カバー320の詳細を説明する。第2の実施形態に係る下部カバー320は、第1の実施形態の下部カバー320と左側面部323、右側面部324の形状が異なるが、第1の実施形態と略同等の構成のため、同等の機能を有する部材においては、同一符号を付し、詳細の説明は省略する。
【0060】
図17は下部ユニット104の概略右側面図で、
図18は、本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置Aの下部ユニット104の後述する波形状の凸部の頂点のG-G概略断面図である。
図19は、本発明の第2実施形態に係る画像読取装置Aの下部ユニット104のH-H概略断面図である。
図20は、本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置Aの下部ユニット104のZ矢示図と詳細
図DT4である。
図21は、下部ユニット104のD-D概略断面図と詳細
図DT1である。
図22は、下部ユニット104のE-E概略断面図、詳細
図DT2である。
図23は、下部ユニット104のF-F概略断面図、詳細
図DT3である。なお、下部カバー320の左側面図ついては、左右対称形状であるため、図示及び説明は省略する。
【0061】
図17、
図18に示すように、右側面部324の下側には、切り欠き部330が設けられている。切り欠き部330は、下部ユニット104を移動させるときに、手の指が引っ掛かる形状となっている。これにより、画像読取装置Aの移動や持ち運びがしやすくなる。
【0062】
図13、
図18、
図19に示すように、下部カバー320の内側面328から外側面329までの厚みをT1~T10とする。T1~T10は、落下や衝突による衝撃で割れないよう一定以上の厚みとするのが望ましい。
【0063】
図18に示す、左側面部323の後述する波形状の凸部の頂点の厚みの最大値をT2、凸部の頂点の厚みの最小値をT1とし、T2-T1=ΔTLとする。右側面部324の後述する波形状の凸部の頂点の厚みの最大値をT4、凸部の頂点の厚みの最小値をT3とし、T4-T3=ΔTRとする。底面部326の厚みの最大値をT6、厚みの最小値をT5とし、T6-T5=ΔTBとする。前面部322の厚みの最大値をT8、厚みの最小値をT7とし、T8-T7=ΔTFとする。後面部325の厚みの最大値をT10、厚みの最小値をT9とし、T10-T9=ΔTPとする。
このとき、
ΔTL>ΔTB、ΔTF、ΔTP
ΔTR>ΔTB、ΔTF、ΔTP
となるよう厚みを設定する。
【0064】
図18に示すように、切り欠き部330のある左側面部323、右側面部324は、落下や衝突による破損のおそれがあるため、左側面部323、右側面部324の波形状の凸部の頂点の厚みが、他の部分の厚みより厚くなるよう設定する。
【0065】
なお、本実施形態においては、ΔTL=ΔTRとなっており、ΔTB、ΔTF、ΔTPについては、下部カバー320を樹脂で成型する際の抜きテーパによって必要な程度となっている。
【0066】
図17、
図20に示すように、右側面部324の外側面329には、凹凸のある波状の形状が施されており、下部カバー320の外側面329を底面部326側(矢印Z方向)からみたとき、外側面329は、周期的な波状の変化をしている。
【0067】
このとき、下部カバー320の内側面328から外側面329までの厚みは、
図17に示す右側面部324の底面部326側の波形状の凸部の頂点の厚みTmaxが最大値(T4)となり、波形状の凹部の厚みTminが最小値(T3)となるように構成されている。
【0068】
図17、
図21~22に示すように、下部カバー320の右側面部324の、底面部326から開口部327側に向けて各箇所の断面から、それぞれの箇所の波形状の凸部の頂点の厚みの関係は、Tmin<Tmid3<Tmid2<Tmid1<Tmaxとなる。すなわち、右側面部324の波形状の凸部の頂点の厚みは、底面部326から離れていくにつれて小さくなり、底面部326から最も離れた位置において、最小値(T3)となる。換言すると、右側面部324の波形状の凸部の頂点の厚みは、底面側から開口部側に向かって徐々に薄くなるように構成されている。
【0069】
一方、
図19に示すように、右側面部324の波形状の凹部の厚みは、底面部326側、開口部327側どの位置であっても一定となっており、いずれの箇所でも同じ厚みT1となっている。
【0070】
外側面329に施された凹凸の波状の形状により、ユーザが画像読取装置Aを手で持つときに指を合わせやすくなっており、画像読取装置Aの移動をスムーズに行うことができるとともに、組み立て時の組みやすさに寄与する。
【0071】
図24は、本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置Aの下部ユニット104のZ矢示図である。
図24に示すように、下部カバー320の外側面329を底面部326からみたとき、外側面329は周期的な波状の変化をしており、波形状の凸部と凸部の頂点の間隔dは一定となっている。
【0072】
間隔dは、画像読取装置Aを持ち運ぶとき、手の指が嵌りやすい大きさになっており、持ち運びやすくなっている。なお、本実施形態においては、波形状は全体に約10周期あり、切り欠き部330に約5周期あり、波形状の凸部と凸部の頂点の間隔dは約16mmとしている。すなわち、切り欠き部330に複数周期分設けられることによって、ユーザが切り欠き部に手をかけて持ち運ぶ際に、指を合わせやすくなっている。
【0073】
第2の実施形態では、係合部310が設けられている下部カバー320の左側面部323、右側面部324の底面側の厚み(最大値T2、T4)を厚くし、それ以外の厚み(T1、T3、T5~T10)を同等の厚みとしている。
【0074】
切り欠き部330がある左側面部323、右側面部324は、手で触れやすい箇所であるため、衝突等で破損するおそれがある。そのため、厚みを大きくすることで、下部カバー320の左側面部323を矢印方向に撓ませる力Fを最小限に抑えて、下部カバー320の破損を防止することができる。
【0075】
また、
図9などで下部カバー320に見られるリブや突起物、立設面は一体となっているが、図示しないが下部カバー320は複数の部品から成り立っていてもよい。上部カバー321においても同じことが言える。
【0076】
上記では波形状に関して下部カバー320について述べているが、上部カバー321の左側面部97と右側面部98が波状の形状をしていても良く、上部カバー321のみに波形状がついていても良いし、下部カバー320と上部カバー321両方に波形状が付いていても良い。
【0077】
また、本実施例では、波形状の凸部の厚みが底面部326から離れていくにつれて徐々に小さくなっていっているが、その限りではなく、途中から底面部326から離れた方向に向かって波形状の凸部の厚みが大きくなっていっても良い。
【0078】
さらに、本実施例は波形状の凸部は厚みが変化していき、凹部は一定であるが、その限りでなく、凹部も同様に厚みが変化していっても良いし、凸部の厚みが一定でも良い。その場合、凸部と凹部のどちらかの厚みが変化しどちらかの厚みが一定であっても良いし、どちらも厚みが変化あるいは一定であっても良い。また、波形状は基準面から開口部327に向けた全体に設けられるだけでなく、途中まででも良いし、途中のみにあっても良い。
【0079】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態では、本体部を覆うカバーを有する画像読取装置を一例に挙げて説明したが、本発明は勿論これに限定されず、このようなシート給送装置を搭載した画像読取以外の画像処理装置(プリンタや複合機、FAX等)の事務機全般に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
A 画像読取装置S 搬送媒体
1 載置台
2 排出トレイ
3 駆動部
4 駆動部
5 伝達部
90 正面部
91 下面部
92 排出開口部
93 表示パネル
94 表示部
95 操作キー群
96 上面部
97 左側面部
98 右側面部
100 本体
103 上部ユニット
104 下部ユニット
300 下本体部
301 搬送面
302 前部
303 左部
304 右部
305 後部
306 底部
310 係合部
311 係合凹部
320 下部カバー
321 上部カバー
322 前面部
323 左側面部
324 右側面部
325 後面部
326 底面部
327 開口部
328 内側面
329 外側面
330 切り欠き部
331 係合凸部