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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051383
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】シュート装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/06 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B65G47/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157523
(22)【出願日】2022-09-30
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】507347048
【氏名又は名称】日本郵便株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森下 隆太
(72)【発明者】
【氏名】和氣 勇介
(72)【発明者】
【氏名】久保田 英之
(72)【発明者】
【氏名】安孫子 将人
(72)【発明者】
【氏名】那須 勇人
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA21
3F080BA06
3F080CE12
3F080EA09
3F080EA10
(57)【要約】
【課題】搬送物にかかる負担を軽減するシュート装置を提供する。
【解決手段】シュート装置SH1において、駆動コンベヤ装置11~13を設け、駆動コンベヤ装置11~13の稼働を制御する制御装置CT1,CT2,CT3と、駆動コンベヤ装置11~13の下流側に配置された物体センサSC1~SC3と、を備える。制御装置CT1,CT2,CT3が物体センサSC1~SC3での物体の検知結果に応じて、駆動コンベヤ装置11~13の駆動を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜シュート装置において、駆動コンベヤ装置を設け、
前記駆動コンベヤ装置の稼働を制御する制御装置と、
前記駆動コンベヤ装置の下流側に配置された物体センサと、を備え、
前記制御装置が前記物体センサでの物体の検知結果に応じて、前記駆動コンベヤ装置の駆動を制御することを特徴とするシュート装置。
【請求項2】
前記物体センサで物体を検知した場合、前記制御装置が、前記駆動コンベヤ装置を停止させることを特徴とする請求項1に記載のシュート装置。
【請求項3】
前記物体センサで物体を検知しなくなった場合、前記制御装置が、前記駆動コンベヤ装置を再稼働させることを特徴とする請求項2に記載のシュート装置。
【請求項4】
前記傾斜シュート装置において、前記駆動コンベヤ装置の下流側にフリーコンベヤ装置を更に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のシュート装置。
【請求項5】
前記傾斜シュート装置において、複数の駆動コンベヤ装置を直列に設け、
各駆動コンベヤ装置の下流側において前記物体センサを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のシュート装置。
【請求項6】
前記物体センサで物体を検知した場合、前記制御装置が、注意喚起を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載のシュート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送物を滑らせて移動させるシュート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベヤで搬送される荷物(搬送物)を区分する場合、区分に応じた搬送先のシュート装置を用いる。区分に応じた荷物が多い場合、シュート装置に荷物が詰まることがある。このため、荷詰まり抑制するための技術が検討されている(例えば、特許文献1参照)。この文献に記載された仕分け装置は、トレイ上の荷物の長手方向と、搬送経路とがなす角度の検出結果に基づいて、搬送ユニットが荷物を払い出すタイミングを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-75784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シュートは、搬送物を滑らせるために傾斜している。このため、多くの搬送物が停滞した場合、上流の搬送物の重量が、下流の搬送物の負荷となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するシュート装置は、傾斜シュート装置において、駆動コンベヤ装置を設け、前記駆動コンベヤ装置の稼働を制御する制御装置と、前記駆動コンベヤ装置の下流側に配置された物体センサと、を備える。そして、前記制御装置が前記物体センサでの物体の検知結果に応じて、前記駆動コンベヤ装置の駆動を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、搬送物にかかる負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のシュート装置の説明図である。
図2】実施形態の管理装置のハードウェア構成の説明図である。
図3】実施形態の処理手順の説明図である。
図4】実施形態の処理手順の説明図であって、(a)は全ての駆動コンベヤ装置が稼働状態、(b)は第3駆動コンベヤ装置が停止状態、(c)は第2、第3駆動コンベヤ装置が停止状態、(d)は全ての駆動コンベヤ装置が停止状態、(e)は第3駆動コンベヤ装置が再稼働した状態の説明図である。
図5】別例の処理手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図4に従って、シュート装置を具体化した一実施形態を説明する。
(シュート装置SH1の構成)
図1に示すように、荷物(搬送物)の区分コンベヤC1には、区分された荷物を排出するために、離間して複数のシュート装置SH1が接続されている。図1は、1つのシュート装置SH1のみを示している。シュート装置SH1は、フリーコンベヤ装置10、駆動コンベヤ装置11~13、フリーコンベヤ装置14、取出台15を備え、これらはこの順番で直列に配置される。
本実施形態では、シュート装置SH1の傾斜部(傾斜シュート装置)には、上流側から、駆動コンベヤ装置11(第1駆動コンベヤ装置)、駆動コンベヤ装置12(第2駆動コンベヤ装置)、駆動コンベヤ装置13(第3駆動コンベヤ装置)を用いる。
【0009】
フリーコンベヤ装置10は、フリーローラーR0を備える。そして、フリーコンベヤ装置10を傾斜させることで、荷物の自重と重力による自走勾配にて搬送を行なうグラビティコンベヤ装置である。フリーコンベヤ装置10の傾斜角度は、水平に対して約14度である。
【0010】
駆動コンベヤ装置11,12,13は、それぞれ、制御装置CT1,CT2,CT3によって稼働を制御される駆動ローラーR1を備える。駆動コンベヤ装置11,12,13は、駆動ローラーR1の駆動力によって搬送を行なう。なお、制御装置CT1,CT2,CT3によって駆動ローラーR1の駆動を停止した場合には、荷物は、駆動ローラーとの静止摩擦力で、その位置で停止する。本実施形態では、駆動コンベヤ装置11,12,13の傾斜角度は、水平に対して約12度である。
【0011】
フリーコンベヤ装置14は、フリーローラーR0を備えるグラビティコンベヤ装置である。このフリーコンベヤ装置14の傾斜角度は、水平に対して約7度である。
取出台15は、水平状態に配置されたフリーローラーR0を備える。
フリーコンベヤ装置10の最上流部の上方には、荷物の存在を検知する物体センサSC0を備える。駆動コンベヤ装置11,12,13の下端近傍には、荷物の存在を検知する物体センサSC1,SC2,SC3を備える。本実施形態では、物体センサSC1,SC2,SC3は、それぞれ、駆動コンベヤ装置11,12,13の下端から僅かに下流側の上方に配置される。これにより、下流側に隣接して配置された駆動コンベヤ装置12,13、フリーコンベヤ装置14の上端領域で、荷物の停留を検知する。
【0012】
物体センサSC0~SC3は、各センサの直下で、コンベヤの下方に配置された光源(図示せず)のレーザ光を検知する。そして、物体センサSC0~SC3は、レーザ光が、光源の上方で停滞する荷物によって所定時間、遮断された場合に、物体(荷物)の検知信号(検知結果)を出力する。
【0013】
物体センサSC0は、制御装置CT0に接続されており、荷物の検知信号を出力する。この場合、制御装置CT0は、シュート装置SH1が満杯であることを示す注意喚起のために、警報灯P1を点灯する。
【0014】
物体センサSC1,SC2,SC3は、それぞれ制御装置CT1,CT2,CT3に接続されており、荷物を検知した場合、検知信号を制御装置CT1,CT2,CT3に供給する。
【0015】
(ハードウェア構成)
図2を用いて、制御装置CT0,CT1,CT2,CT3を構成する情報処理装置H10のハードウェア構成を説明する。情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を備える。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアにより実現することも可能である。
【0016】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースである。
入力装置H12は、ユーザ等からの入力を受け付ける装置である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイ等である。
【0017】
記憶装置H14は、制御装置CT0,CT1,CT2,CT3の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、制御装置CT0,CT1,CT2,CT3における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。
【0018】
(シュート装置SH1の駆動制御処理)
図3に従って、シュート装置SH1の駆動制御処理を説明する。以下では、制御装置CT0~CT3は、それぞれ独立して処理を実行する。
まず、制御装置CT0~CT3は、各センサ情報の取得処理を実行する(ステップS11)。具体的には、制御装置CT0~CT3は、それぞれ対応する物体センサSC0~SC3からセンサ情報を取得する。
【0019】
次に、制御装置CT0~CT3は、荷物の検知かどうかについての判定処理を実行する(ステップS12)。具体的には、制御装置CT0~CT3は、それぞれ対応する物体センサSC0~SC3からセンサ情報において、荷物を検知したかどうかを判定する。具体的には、光源の光が、所定時間、遮光された場合には、荷物の検知と判定する。
【0020】
荷物を検知していないと判定した場合(ステップS12において「NO」の場合)、制御装置CT0~CT3は、センサ情報の取得処理(ステップS11)を継続する。
そして、荷物の検知と判定した場合(ステップS12において「YES」の場合)、制御装置CT1は、停滞対応処理を実行する(ステップS13)。具体的には、制御装置CT0が荷物の検知と判定した場合には、警報灯P1を点灯する。また、制御装置CT1~CT3が荷物の検知と判定した場合には、荷物を検知したセンサの対応区間のローラー停止対応するために、駆動コンベヤ装置11~13を停止する。
【0021】
そして、制御装置CT0~CT3は、荷物の停留解消かどうかについての判定処理を実行する(ステップS14)。具体的には、制御装置CT0~CT3は、それぞれ対応する物体センサSC0~SC3からセンサ情報において、荷物を検知できなくなったかどうかを判定する。具体的には、光源の光が物体センサSC0~SC3に届き、遮光が解除された場合には、荷物の停留解消と判定する。
【0022】
荷物の停留解消と判定した場合(ステップS14において「YES」の場合)、制御装置CT0~CT3は、停滞解消処理を実行する(ステップS15)。具体的には、制御装置CT0が荷物の停留解消と判定した場合には、警報灯P1を消灯する。また、制御装置CT1~CT3が荷物の停留解消と判定した場合には、荷物を検知したセンサの対応区間の駆動コンベヤ装置11~13を再稼働する。そして、制御装置CT0~CT3は、各センサ情報の取得(ステップS11)以降の処理を繰り返す。
【0023】
一方、荷物の停留解消ではないと判定した場合(ステップS14において「NO」の場合)、制御装置CT0~CT3は、停滞対応処理(ステップS13)を継続する。
【0024】
図4(a)に示すように、物体センサSC1~SC3が荷物L1を検知していない場合には、駆動コンベヤ装置11~13は稼働状態となる。図4(b)に示すように、物体センサSC3が荷物L1を検知した場合、駆動コンベヤ装置13が停止する。更に、図4(c)に示すように、物体センサSC2,SC3が荷物L1を検知した場合、駆動コンベヤ装置12,13が停止する。更に、図4(d)に示すように、物体センサSC1~SC3が荷物L1を検知した場合、駆動コンベヤ装置11~13が停止する。
【0025】
そして、図4(e)に示すように、フリーコンベヤ装置14上の荷物L1が処理されて、物体センサSC3が荷物L1を検知しなくなった場合には、駆動コンベヤ装置13が再稼働される。
【0026】
(作用)
駆動コンベヤ装置11~13の下流側に荷物が停滞している場合には、上流の駆動コンベヤ装置11~13の停止により、上流の荷物の搬送が停止されて、下流の荷物への荷重を抑制することができる。そして、下流の荷物の停滞解消により、上流の駆動コンベヤ装置11~13が再稼働されるので、荷物が搬送される。
【0027】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、荷物の検知と判定した場合(ステップS12において「YES」の場合)、制御装置CT1~CT3は、停滞対応処理を実行する(ステップS13)。これにより、物体センサSC1~SC3で、駆動コンベヤ装置11~13の下流で搬送物の停滞を検知した場合、駆動コンベヤ装置11~13の駆動を停止して、上流の搬送物による下流の搬送物への荷重を抑制できる。そして、下流の搬送物への負荷を軽減することができる。また、物体センサSC0で搬送物の停滞を検知した場合、警報灯P1により停滞を知らせることができる。
【0028】
(2)本実施形態では、荷物の停留解消と判定した場合(ステップS14において「YES」の場合)、制御装置CT0~CT3は、停滞解消処理を実行する(ステップS15)。これにより、物体センサSC1~SC3で、駆動コンベヤ装置11~13の下流で搬送物の停滞が解消された場合、荷物の搬送を再開できる。また、物体センサSC0で搬送物の停滞の解消を検知した場合、停滞解消を知らせることができる。
【0029】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、3台の駆動コンベヤ装置11,12,13を用いるが、駆動コンベヤ装置の数は3台に限定されるものではない。例えば、1台或いは複数台の駆動コンベヤ装置を用いることができる。
【0030】
・上記実施形態では、駆動コンベヤ装置11,12,13の傾斜角度は、水平に対して約12度である。傾斜角度は、駆動コンベヤ装置を停止した場合に、静止摩擦力により搬送物を静止できる角度であればよい。
【0031】
・上記実施形態では、駆動ローラーを備えた駆動コンベヤ装置を用いる。駆動により搬送物を搬送可能なコンベヤ装置であれば、ローラー式のコンベヤに限定されるものではない。例えば、ベルト式のコンベヤ等の搬送コンベヤを用いてもよい。
【0032】
・上記実施形態では、物体センサSC0は、制御装置CT0に接続されており、荷物の検知信号を出力する。これに代えて、管理装置でシュート装置を監視するようにしてもよい。
【0033】
図5に示すように、シュート装置SH2の物体センサSC0~SC3は、管理装置20に接続されている。この管理装置20は、シュート装置SH2の状況を監視するコンピュータシステムであり、上述した情報処理装置H10(図2)により構成される。
【0034】
この管理装置20は、物体センサSC0から荷物の検知信号を取得した場合、警報灯P1を点灯する。この場合、管理装置20は、シュート装置SH2が満杯であることを示すメッセージを出力する。
また、管理装置20は、制御装置CT1,CT2,CT3から荷物の検知信号を取得した場合、駆動コンベヤ装置11,12,13が満杯であることを示すメッセージを出力する。
これにより、シュート装置SH2の稼働状態を知らせることができる。
【0035】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(a)前記制御部が、
前記傾斜シュートにおいて、前記駆動ローラーの下流側にフリーローラーを更に設け、
前記駆動ローラーの傾斜角度を、前記フリーローラーの傾斜角度よりも大きくしたことを特徴とするシュート装置。
【符号の説明】
【0036】
C1…区分コンベヤ、CT1,CT2,CT3…駆動装置、R0…フリーローラー、R1…駆動ローラー、SC1,SC2,SC3…物体センサ、SH1,SH2…シュート装置、10,14…フリーコンベヤ装置、11~13…駆動コンベヤ装置、15…取出台、20…管理装置。
図1
図2
図3
図4
図5