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特開2024-51385冷凍サイクル装置、及び、冷凍サイクル装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051385
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置、及び、冷凍サイクル装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 41/40 20210101AFI20240404BHJP
【FI】
F25B41/40 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157526
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱舘 潤一
(72)【発明者】
【氏名】小池 史朗
(72)【発明者】
【氏名】小牧 あゆみ
(72)【発明者】
【氏名】木下 厚志
(57)【要約】
【課題】冷媒流路モジュールにおいて、接続管と冷媒配管とを接合するろう材がステンレス製のモジュール本体に流入するのを抑制する。
【解決手段】冷媒流路モジュールは、ステンレス製の複数のプレート71、72を有するモジュール本体11と、モジュール本体11に接続される銅を主成分とする材料の第1接続管12aとを備え、モジュール本体11は、複数のプレート71、72の積層方向の一端に配置され第1開口73が形成された第1面11aと、積層方向の他端に配置された第2面11bとを有し、第1接続管12aは、直線状の管軸心を有し、第1接続管12aの管軸心方向における一端部が第1開口73に挿入されてモジュール本体11に接続され、銅を主成分とする材料で形成された冷媒配管Pが接続される被接続面13が第1接続管12aの管軸心方向における他端部の外周面に設けられ、第1接続管12aの長さが25mm以上56mm未満である。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層して配置されたステンレス製の複数のプレート(71、72)を有しかつ内部に冷媒の流路(15)が形成されたモジュール本体(11)と、
銅を主成分とする材料で形成され前記モジュール本体(11)に接続される第1接続管(12a)と、を備え、
前記モジュール本体(11)は、前記複数のプレート(71、72)の積層方向における一端に配置されかつ第1開口(73)が形成された第1面(11a)と、前記積層方向における他端に配置された第2面(11b)とを有し、
前記第1接続管(12a)は、直線状の管軸心を有し、
前記第1接続管(12a)の管軸心方向における一端部が、前記第1開口(73)に挿入された状態で前記モジュール本体(11)に接続され、
銅を主成分とする材料で形成された冷媒配管(P)が接続される被接続面(13)が、前記第1接続管(12a)の管軸心方向における他端部の外周面に設けられ、
前記第1接続管(12a)の長さが25mm以上56mmm未満である、冷媒流路モジュール。
【請求項2】
直線状の管軸心を有し銅を主成分とする材料で形成された第2接続管(12b)をさらに備え、
前記モジュール本体(11)の前記第2面(11b)に、第2開口(73)が形成され、
前記第2接続管(12b)の管軸心方向における一端部が、前記第2開口(73)に挿入された状態で前記モジュール本体(11)に接続され、
銅を主成分とする材料で形成された冷媒配管(P)が接続される被接続面(13)が、前記第2接続管(12b)の管軸心方向における他端部に設けられ、
前記第2接続管(12b)の長さが25mm以上56mm未満である、請求項1に記載の冷媒流路モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載された冷媒流路モジュール(10)と、
前記冷媒流路モジュール(10)の第1接続管(12a)の被接続面(13)に接合される冷媒配管(P)と、を備える冷凍サイクル装置。
【請求項4】
請求項2に記載された冷媒流路モジュール(10)と、
前記冷媒流路モジュール(10)の第1接続管(12a)の被接続面(13)に接合される第1冷媒配管(P)と、
前記冷媒流路モジュール(10)の第2接続管(12b)の被接続面(13)に接合される第2冷媒配管(P)と、を備える冷凍サイクル装置。
【請求項5】
請求項3に記載された冷凍サイクル装置の製造方法であって、
冷媒配管(P)の内側に、冷媒流路モジュール(10)の第1接続管(12a)の他端部を挿入する第1工程、及び
前記第1接続管(12a)の被接続面(13)に前記冷媒配管(P)の内周面をろう付けする第2工程、を含む、冷凍サイクル装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2工程が、前記冷媒流路モジュール(10)のモジュール本体(11)の第1面(11a)を下方に向けた状態で実施される、請求項5に記載の冷凍サイクル装置の製造方法。
【請求項7】
請求項4に記載された冷凍サイクル装置の製造方法であって、
第1冷媒配管(P)の内側に、冷媒流路モジュール(10)の第1接続管(12a)の他端部を挿入する第1工程、
前記冷媒流路モジュール(10)のモジュール本体(11)の第1面(11a)を下方に向けた状態で前記第1接続管(12a)の被接続面(13)に第1冷媒配管(P)の内周面をろう付けする第2工程、
第2冷媒配管(P)の内側に、前記冷媒流路モジュール(10)の第2接続管(12b)の他端部を挿入する第3工程、及び
前記モジュール本体(11)の第2面(11b)を下方に向けた状態で前記第2接続管(12b)の被接続面(13)に前記第2冷媒配管(P)の内周面をろう付けする第4工程、を含む、冷凍サイクル装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷媒流路モジュール、冷凍サイクル装置、及び、冷凍サイクル装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示されるように、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行う冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置では、冷媒が流れる複数の冷媒配管を1つのモジュール(冷媒流路モジュール)にまとめ、冷媒回路の小型化を図ることが知られている。このモジュールは、積層された複数のステンレス製のプレートを有し内部に冷媒の流路が形成されたモジュール本体と、複数のプレートの積層方向における配管本体の端面に接続された銅製の接続管とを有している。
【0003】
例えば図12に示すように、接続管112は、その一端部がモジュール本体111のプレート121に形成された開口121aに挿入されてモジュール本体111に接合され、その他端部に拡径された大径部112aを有している。この大径部112aには、銅製の冷媒配管101が挿入され、大径部112aの内周面(被接続面)と冷媒配管101の外周面とがろう材Bによって接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-116694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12に示すように、特許文献1の冷媒流路モジュールでは、接続管112と冷媒配管101とをろう付けする際に、両者の間に浸透したろう材Bがさらに下方へ流れ、プレート122に到る場合がある。プレート122はステンレス製であるため、銅同士の接合に用いるろう材Bは付着し難く、冷却・固化した後に剥がれ落ちやすい。剥がれ落ちたろう材Bが冷媒流路モジュール内の流路を経て冷媒回路に入り込んでしまうと、冷媒回路を構成する圧縮機やバルブ等の動作に支障を来たす可能性がある。そのため、特許文献1の冷媒流路モジュールは、接続管112の長さ、特に大径部112aより下部の長さL1をある程度確保し、ろう材Bが下方へ流れたとしても、プレート122に到る前に止まるように設計されている。
【0006】
本開示は、冷媒流路モジュールにおいて、ステンレス製のモジュール本体に、接続管と冷媒配管とを接合するためのろう材が流入するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の冷媒流路モジュールは、
積層して配置されたステンレス製の複数のプレートを有しかつ内部に冷媒の流路が形成されたモジュール本体と、
銅を主成分とする材料で形成され前記モジュール本体に接続される第1接続管と、を備え、
前記モジュール本体は、前記複数のプレートの積層方向における一端に配置されかつ第1開口が形成された第1面と、前記積層方向における他端に配置された第2面とを有し、
前記第1接続管は、直線状の管軸心を有し、
前記第1接続管の管軸心方向における一端部が、前記第1開口に挿入された状態で前記モジュール本体に接続され、
銅を主成分とする材料で形成された冷媒配管が接続される被接続面が、前記第1接続管の管軸心方向における他端部の外周面に設けられ、
前記第1接続管の長さが25mm以上56mmm未満である。
【0008】
この構成の冷媒流路モジュールは、第1接続管の外周面に被接続面を設けることによって、第1接続管の長さが56mm未満であっても、両者を接続するろう材がステンレス製のモジュール本体に到達するのを抑制することができる。第1接続管の長さを25mm以上とすることで、モジュール本体と冷媒配管との間に第1接続管を加熱するためのスペースを確保することができる。
【0009】
(2)上記(1)の冷媒流路モジュールは、直線状の管軸心を有し銅を主成分とする材料で形成された第2接続管をさらに備え、
前記モジュール本体の前記第2面に、第2開口が形成され、
前記第2接続管の管軸心方向における一端部が、前記第2開口に挿入された状態で前記モジュール本体に接続され、
銅を主成分とする材料で形成された冷媒配管が接続される被接続面が、前記第2接続管の管軸心方向における他端部に設けられ、
前記第2接続管の長さが25mm以上56mm未満である。
【0010】
この構成によれば、第1接続管と同様に、第2接続管の外周面に被接続面を設けることによって、第2接続管の長さが56mm未満であっても、両者を接続するろう材がステンレス製のモジュール本体に到達するのを抑制することができる。第2接続管の長さを25mm以上とすることで、モジュール本体と冷媒配管との間に第2接続管を加熱するためのスペースを確保することができる。
【0011】
(3)本開示の冷凍サイクル装置は、上記(1)に記載された冷媒流路モジュールと、
前記冷媒流路モジュールの第1接続管の被接続面に接合される冷媒配管と、を備える。
【0012】
上記構成の冷凍サイクル装置によれば、第1接続管と冷媒配管とを接続するろう材がモジュール本体に到達し、モジュール本体から冷凍サイクル装置を構成する部品に入り込むことを抑制することができる。
【0013】
(4)本開示の冷凍サイクル装置は、上記(2)に記載された冷媒流路モジュールと、
前記冷媒流路モジュールの第1接続管の被接続面に接合される第1冷媒配管と、
前記冷媒流路モジュールの第2接続管の被接続面に接合される第2冷媒配管と、を備える。
【0014】
上記構成の冷凍サイクル装置によれば、第1接続管と第1冷媒配管とを接続するろう材、及び、第2接続管と第2冷媒配管とを接続するろう材がそれぞれモジュール本体に到達し、モジュール本体から冷凍サイクル装置を構成する部品に入り込むことを抑制することができる。
【0015】
(5)本開示の冷凍サイクル装置の製造方法は、上記(3)に記載された冷凍サイクル装置の製造方法であって、
冷媒配管の内側に、冷媒流路モジュールの第1接続管の他端部を挿入する第1工程、及び、
前記第1接続管の被接続面に前記冷媒配管の内周面をろう付けする第2工程、を含む。
【0016】
(6)上記(5)の製造方法において、前記第2工程が、前記冷媒流路モジュールのモジュール本体の第1面を下方に向けた状態で実施される。
【0017】
この構成によれば、第1接続管と冷媒配管とを下向きろう付けで接合することになり、第1接続管と冷媒配管との間に浸透したろう材がさらに下方へ流れたとしても冷媒配管よりも上方にあるモジュール本体に到達することがなくなる。
【0018】
(7)本開示の冷凍サイクル装置の製造方法は、上記(4)に記載された冷凍サイクル装置の製造方法であって、
第1冷媒配管の内側に、冷媒流路モジュールの第1接続管の他端部を挿入する第1工程、
前記冷媒流路モジュールのモジュール本体の第1面を下方に向けた状態で前記第1接続管の被接続面に第1冷媒配管の内周面をろう付けする第2工程、
第2冷媒配管の内側に、前記冷媒流路モジュールの第2接続管の他端部を挿入する第3工程、及び、
前記モジュール本体の第2面を下方に向けた状態で前記第2接続管の被接続面に前記第2冷媒配管の内周面をろう付けする第4工程、を含む。
【0019】
この構成によれば、第1接続管と第1冷媒配管、及び、第2接続管と第2冷媒配管を下向きろう付けで接合することになり、第1接続管と冷媒配管との間に浸透したろう材がさらに下方へ流れたとしても冷媒配管よりも上方にあるモジュール本体に到達することがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の第1の実施形態における冷凍サイクル装置の冷媒回路を示す模式図である。
図2】冷凍サイクル装置を示す斜視図である。
図3】冷凍サイクル装置の内部を示す平面図である。
図4】冷媒流路モジュールとこれに接続される部品の斜視図である。
図5】冷媒流路モジュールとこれに接続される部品の概略的な側面図である。
図6】冷媒流路モジュールの概略的な側面図(一部断面図)である。
図7】冷媒流路モジュールと流路切換弁とを拡大して示す断面図である。
図8】冷媒流路モジュールと流路切換弁とを接合する手順を説明する図である。
図9】冷媒流路モジュールと流路切換弁とを接合する手順を説明する図である。
図10A】冷媒流路モジュールと流路切換弁とを下向きろう付けする例を示す断面図である。
図10B】冷媒流路モジュールと流路切換弁とを上向きろう付けする例を示す断面図である。
図11】第2の実施形態における冷媒流路モジュールと流路切換弁との接合部分を拡大して示す断面図である。
図12】従来技術に係る、冷媒流路モジュールと流路切換弁とを接合する状態を拡大して示す断面図である。
図13】従来技術において、ろう材が下方に流れた状態を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本開示の第1の実施形態における冷凍サイクル装置の冷媒回路を示す模式図である。
冷凍サイクル装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行う冷媒回路を備えている。本実施形態の冷凍サイクル装置1は、空気調和機である。この空気調和機1は、図1に示すように、室外機(熱源ユニット)31と、複数の室内機(利用ユニット)32と、流路切換装置33とを有する。室外機31と流路切換装置33、及び、流路切換装置33と室内機32とは、それぞれ連絡管34,35,36,37,38によって接続されている。本実施形態の空気調和機1は、複数の室内機32において冷房と暖房とを個別に実施することができる、いわゆる冷暖フリータイプとされている。なお、冷凍サイクル装置1は、空気調和機に限定されず、冷蔵庫、冷凍庫、給湯器等であってもよい。
【0022】
(冷媒回路の構成)
室外機31は、冷媒回路30を備えている。冷媒回路30は、液連絡管34、吸入ガス連絡管35、及び高低圧ガス連絡管36を介して、流路切換装置33内の冷媒回路と接続されている。流路切換装置33の冷媒回路は、連絡管37,38を介して室内機32内の冷媒回路と接続されている。
【0023】
冷媒回路30は、第1閉鎖弁39a、第2閉鎖弁39b、第3閉鎖弁39c、圧縮機40、アキュムレータ41、複数の流路切換弁(切換機構)42(42a,42b,42c)、室外熱交換器43、複数の膨張弁44(44a,44b,44c,44d)、過冷却器45、オイルセパレータ46等を備え、これらの部品が冷媒配管を介して接続されることにより構成されている。室外機31内には、ファン62(図2参照)やコントローラ61a(図3参照)等が配設されている。
【0024】
第1閉鎖弁39aの一端は、吸入ガス連絡管35に接続されている。第1閉鎖弁39aの他端は、アキュムレータ41まで延びる冷媒配管に接続されている。
【0025】
第2閉鎖弁39bの一端は、高低圧ガス連絡管36に接続されている。第2閉鎖弁39bの他端は、流路切換弁42bまで延びる冷媒配管に接続されている。
第3閉鎖弁39cの一端は、液連絡管34に接続されている。第3閉鎖弁39cの他端は、過冷却器45まで延びる冷媒配管に接続されている。
【0026】
圧縮機40は、圧縮機用モータを内蔵する密閉式の構造を有しており、例えばスクロール方式やロータリ方式などの容積式の圧縮機である。圧縮機40は、吸入配管47から吸入した低圧冷媒を圧縮した後、吐出配管48から吐出する。圧縮機40の内部には、冷凍機油が収容されている。この冷凍機油は、冷媒とともに冷媒回路30内を循環することがある。圧縮機40は、容器の一種である。
【0027】
オイルセパレータ46は、圧縮機40から吐出された冷媒から冷凍機油を分離するための容器である。分離された冷凍機油は、油戻し管46aを介して圧縮機40に戻される。
【0028】
アキュムレータ41は、圧縮機40に吸入される低圧冷媒を一時的に貯留し、ガス冷媒と液冷媒とを分離するための容器である。アキュムレータ41の流入口41bは、第1閉鎖弁39aから延びる冷媒配管に接続されている。アキュムレータ41の流出口41aは、吸入配管47に接続されている。アキュムレータ41には、油戻し管50の一端が接続されている。油戻し管50の他端は、吸入配管47に接続されている。油戻し管50は、アキュムレータ41から圧縮機40への冷凍機油を戻すための管である。油戻し管50には第1開閉弁51が設けられている。第1開閉弁51は、電磁弁からなる。第1開閉弁51が開くと、アキュムレータ41内の冷凍機油が油戻し管50を通り、吸入配管47を流れる冷媒とともに圧縮機40へ吸入される。
【0029】
各流路切換弁42は、四路切換弁である。各流路切換弁42は、空気調和機1の運転状況に応じて冷媒の流れを切り換える。各流路切換弁42の一の冷媒流入口には、オイルセパレータ46から延びる冷媒配管が接続されている。
【0030】
各流路切換弁42は、運転時において、一の冷媒流路における冷媒の流れが遮断されるように構成されており、事実上、三方弁として機能している。以下、複数の流路切換弁42を、それぞれ第1流路切換弁42a、第2流路切換弁42b、第3流路切換弁42cともいう。
【0031】
各膨張弁44は、例えば開度調整が可能な電動弁である。各膨張弁44は、運転状況に応じて開度が調整され、内部を通過する冷媒をその開度に応じて減圧する。以下、複数の膨張弁44を、それぞれ第1膨張弁44a、第2膨張弁44b、第3膨張弁44c、第4膨張弁44dともいう。
【0032】
室外熱交換器43は、クロスフィン型式やマイクロチャネル型式の熱交換器である。室外熱交換器43は、第1熱交換部43aと、第2熱交換部43bと、第3熱交換部43cと、第4熱交換部43dとを含んでいる。第1熱交換部43aのガス側端は、第3流路切換弁42cまで延びる冷媒配管に接続されている。第1熱交換部43aの液側端は、第1膨張弁44aまで延びる冷媒配管に接続されている。
【0033】
第2熱交換部43bのガス側端は、第1流路切換弁42aまで延びる冷媒配管に接続されている。第2熱交換部43bの液側端は、第2膨張弁44bまで延びる冷媒配管に接続されている。
【0034】
第3熱交換部43cのガス側端及び第4熱交換部43dのガス側端は、それぞれオイルセパレータ46から延びて分岐する冷媒配管に接続されている。第3熱交換部43c及び第4熱交換部43dの液側端は、第3膨張弁44cまで延びる冷媒配管に接続されている。
【0035】
過冷却器45は、第1伝熱管45aと第2伝熱管45bとを有する。第1伝熱管45aの一端は、第1~第3膨張弁44a,44b,44cまで延びる冷媒配管に接続されている。第1伝熱管45aの他端は、第3閉鎖弁39cまで延びる冷媒配管に接続されている。第2伝熱管45bの一端は、第1伝熱管45aと第1~第3膨張弁44a,44b,44cとの間の冷媒配管から分岐する第1分岐管53に接続されている。第1分岐管53には、第4膨張弁44dが設けられている。第2伝熱管45bの他端は、インジェクション配管55の一端に接続されている。インジェクション配管55の他端は、圧縮機40の中間ポートに接続されている。
【0036】
インジェクション配管55には、第2分岐管56の一端が接続されている。第2分岐管56の他端(出口端)は、吸入配管47に接続されている。第2分岐管56には、第2開閉弁57と逆止弁58とが設けられている。第2開閉弁57は、電磁弁からなる。
【0037】
過冷却器45は、圧縮機40から室外熱交換器43及び膨張弁44を通過して第1伝熱管45aを流れる冷媒と、膨張弁44dにより減圧されて第2伝熱管45bを流れる冷媒との間で熱交換を行い、第1伝熱管45aを流れる冷媒を過冷却する。第2伝熱管45bを流れる冷媒は、インジェクション配管55を通り、圧縮機40の中間ポートに吸入される。第2開閉弁57が開くと、インジェクション配管55を流れる冷媒が第2分岐管56に分岐して流れ、吸入配管47を通って圧縮機40に吸入される。
【0038】
(室外機の構造)
以下、室外機(熱源ユニット)31の具体的な構造について説明する。図2は、冷凍サイクル装置を示す斜視図である。図3は、冷凍サイクル装置の内部を示す平面図である。
なお、以下の説明における左右方向、前後方向、上下方向の記載は、図2及び図3に示す矢印X,Y,Zに基づく。具体的に、以下の説明では、図2及び図3に矢印Xで示す第1方向を左右方向とし、矢印Yで示す第2方向を前後方向とし、矢印Zで示す第3方向を上下方向とする。ただし、これらの方向の記載は一例であり、本開示を限定するものではない。例えば第1方向Xを前後方向とし、第2方向Yを左右方向としてもよい。
【0039】
図2及び図3に示すように、室外機31は、ケーシング60を有し、このケーシング60内に、圧縮機40、アキュムレータ41、室外熱交換器43、オイルセパレータ46等の冷媒回路を構成する部品と、電装品ユニット61と、ファン62等とが収容されている。ファン62は、ケーシング60の上部に設けられている。
【0040】
ケーシング60は、略直方体形状に形成されている。ケーシング60は、底板63、支柱64、天板65、前板66等を有している。底板63は、上面視で四角形状に形成されている。支柱64は、断面形状が略L字状で上下方向に長い長尺部材からなり、底板63の4隅に取り付けられている。
【0041】
天板65は、底板63と略同一の四角形状に形成され、底板63の上方に間隔をあけて配置されている。天板65の四隅には、各支柱64の上端が取り付けられている。天板65には、略四角形状の通風口が形成されており、この通風口には異物の侵入を抑制するためのグリル65aが設けられている。
【0042】
図3に示すように、ケーシング60の前面には、メンテナンス用の開口60aが形成されている。開口60aは、前板(前側の側板)66によって塞がれている。この前板66をケーシング60から取り外すことによって、開口60aを介してケーシング60内の部品のメンテナンスや交換等を行うことができる。
【0043】
ケーシング60の底板63上には、圧縮機40、アキュムレータ41、室外熱交換器43、オイルセパレータ46等の部品が搭載されている。
【0044】
室外熱交換器43は、ケーシング60の3つの側面に対応(対向)して配置されている。具体的には、室外熱交換器43は、ケーシング60の左側面、右側面、及び後側面に沿うように上面視でU字形状に形成されている。室外熱交換器43の一方側の端部にはガスヘッダ43eが設けられ、他方側の端部には液ヘッダ43fが設けられている。ケーシング60の左側面、右側面、及び後側面には、それぞれ外気を取り入れるための取入口60bが形成されている。
【0045】
室外機31は、ファン62の駆動によってケーシング60の取入口60bから空気を取り入れ、当該空気と室外熱交換器43との間で熱交換を行った後にケーシング60の上部から上方へ空気を吹き出すように構成されている。
【0046】
圧縮機40は、ケーシング60の前面付近の左右方向Xの略中央に配置されている。電装品ユニット61は、ケーシング60の前面付近であって、圧縮機40の右側に隣接して配置されている。圧縮機40の後方には、アキュムレータ41が配置されている。アキュムレータ41の左側にはオイルセパレータ46が配置されている。電装品ユニット61は、圧縮機40及び弁42,44、ファン62等の動作を制御するコントローラ61aを備えている。
【0047】
(冷媒流路モジュールの構成)
図4は、冷媒流路モジュールとこれに接続される部品の斜視図である。図5は、冷媒流路モジュールとこれに接続される部品の概略的な側面図である。冷媒流路モジュールの概略的な側面図である。
図2図5に示すように、室外機31には、冷媒流路モジュール10が設けられている。この冷媒流路モジュール10は、圧縮機40、アキュムレータ41、流路切換弁42、室外熱交換器43、膨張弁44、オイルセパレータ46等の部品を接続する冷媒配管の流路の一部を構成するモジュール(ユニット)である。具体的に、本実施形態の冷媒流路モジュール10は、図1に2点鎖線で示す枠F1と枠F2とにおける冷媒流路を形成する。
【0048】
本実施形態の冷媒流路モジュール10は、上側冷媒流路モジュール10Aと、下側冷媒流路モジュール10Bとを含む。上側冷媒流路モジュール10Aは、図1の枠F1における冷媒流路を形成する。下側冷媒流路モジュール10Bは、図1の枠F2における冷媒流路を形成する。
【0049】
上側冷媒流路モジュール10A及び下側冷媒流路モジュール10Bは、それぞれ内部に流路を有するモジュール本体11と、モジュール本体11に取り付けられ、モジュール本体11内の流路に連通する接続管(継手管)12とを有する。
【0050】
図6は、冷媒流路モジュールの概略的な側面図(一部断面図)である。
モジュール本体11は、板状又はブロック状に形成されている。モジュール本体11は、複数のプレート71,72を積層させることによって構成されている。モジュール本体11は、複数のプレート71,72の積層方向(各プレート71,72の法線方向)を上下方向(第3方向Z)に向けた状態で配置されている。したがって、モジュール本体11は、水平に配置された上面及び下面を有している。モジュール本体11の上面及び下面は長方形である。モジュール本体11の厚さ(上下方向の長さ)は、上面及び下面の長辺及び短辺の長さよりも小さい。したがって、モジュール本体11は、扁平な形状に形成されている。モジュール本体11は、厳密に水平に配置されていなくてもよく、例えば水平方向に対して±10°の範囲内で傾いていてもよい。
【0051】
複数のプレート71,72は、ステンレス製である。本実施形態のプレート71,72は、例えば、SUS304Lにより形成されている。複数のプレート71,72は、互いにろう付けによって接合されている。
【0052】
複数のプレート71,72は、積層方向における両端に配置された端部プレート71と、両側の端部プレート71の間に配置された中間プレート72とを含む。本実施形態のモジュール本体11は、3枚の中間プレート72を含む。端部プレート71には、接続管12を取り付けるための開口73が形成されている。開口73は、端部プレート71を上下方向Zに貫通している。開口73は、円形状である。中間プレート72には、流路15を構成する開口74が形成されている。開口74は、中間プレート72を上下方向Zに貫通している。開口74は、水平方向に長く形成されるか、円形状に形成される。開口74の形状は特に限定されるものではなく、必要となる流路15の形態に応じて適宜形状が設定される。
【0053】
接続管12は、モジュール本体11の上面及び下面に取り付けられた筒体である。接続管12は、銅を主成分とする材料、例えば、銅(純銅)又は銅合金により形成されている。接続管12は、モジュール本体11の開口73に挿入された状態でろう付けにより接合されている。接続管12には、冷媒回路を構成する冷媒配管が接続される。冷媒流路モジュール10を構成するモジュール本体11の複数のプレート71,72と接続管12とは炉中ろう付けによって接合される。特に、プレート71と接続管12との接合は、ステンレス鋼と銅との異種材料による接合となるため、炉中ろう付けが適している。
【0054】
図4及び図5に示すように、上側冷媒流路モジュール10Aと下側冷媒流路モジュール10Bとは、互に平行に配置されている。図3に示すように、上側冷媒流路モジュール10Aと下側冷媒流路モジュール10Bとは、上面視において互いに重なるように配置されている。上面視において、上側冷媒流路モジュール10Aの面積は、下側冷媒流路モジュール10Bの面積よりも大きい。下側冷媒流路モジュール10Bは、概ね上側冷媒流路モジュール10Aの上下方向の投影域内に配置されている。
【0055】
図3に示すように、冷媒流路モジュール10は、圧縮機40及びアキュムレータ41よりも左側(第1方向Xの一方側)に配置されている。冷媒流路モジュール10は、オイルセパレータ46の前側(第2方向Yの一方側)に配置されている。本実施形態の冷媒流路モジュール10は、ケーシング60の底板63上に固定された冷媒回路の構成部品を介して冷媒配管により支持されている。下側冷媒流路モジュール10Bは、上側冷媒流路モジュール10Aによっても冷媒配管及び冷媒回路の構成部品を介して支持されている。
【0056】
図4及び5に示すように、上側冷媒流路モジュール10Aの下側には、アキュムレータ41の冷媒流出口41aから延びる冷媒配管21と、冷媒流入口41bから延びる冷媒配管22とが接続されている。アキュムレータ41は、室外機31のケーシング60の底板63上に設けられた取付具67に取り付けられ固定されている。冷媒配管21,22は、上側冷媒流路モジュール10Aのモジュール本体11の下面に設けられた接続管12に接続され、上側冷媒流路モジュール10Aを下方から支持している。
【0057】
上側冷媒流路モジュール10Aの下側には、流路切換装置33(図1参照)からのガス冷媒の入口となる第1閉鎖弁(ガス閉鎖弁)39aから延びる冷媒配管23も接続されている。図5に示すように、第1閉鎖弁39aは、底板63上に設けられた取付具68に取り付けられ、固定されている。冷媒配管23は、第1閉鎖弁39aから折り曲げられて上方へ延び、その上端が上側冷媒流路モジュール10Aのモジュール本体11の下面に設けられた接続管12に接続されている。
【0058】
上側冷媒流路モジュール10Aは、冷媒配管21、冷媒配管22、及び、冷媒配管23によって下方から支持され、ケーシング60の底板63の上方に間隔をあけて配置されている。冷媒配管21、冷媒配管22、及び冷媒配管23は、いずれもガス冷媒が流れるガス配管である。このガス配管は、液冷媒が流れる液配管と比べて管径が大きく、強度も高い。したがって、上側冷媒流路モジュール10Aは、これらの冷媒配管21,22,23によって安定して支持される。冷媒配管21及び冷媒配管22は、ケーシング60に固定されたアキュムレータ41に接続され、冷媒配管23は、ケーシング60に固定された第1閉鎖弁39aに接続されている。そのため、上側冷媒流路モジュール10Aは、ケーシング60に固定された冷媒回路の構成部品41,39aを介して冷媒配管21,22,23によってより安定して支持されている。
【0059】
図5に示すように、上側冷媒流路モジュール10Aのモジュール本体11の上面には、圧縮機40の冷媒流入口40bから延びる冷媒配管24が接続されている。したがって、上側冷媒流路モジュール10Aは、冷媒配管24によって上方からも支持されている。冷媒配管24はガス冷媒が流れるガス配管であり、液配管よりも径が大きく強度も高い。そのため、上側冷媒流路モジュール10Aは、冷媒配管24によって安定して支持される。圧縮機40は、ケーシングの底板63に設けられた取付具等を介して固定されている。そのため、上側冷媒流路モジュール10Aは、底板63に固定された圧縮機40を介して冷媒配管24によってより安定して支持される。
【0060】
上側冷媒流路モジュール10Aの上側には、流路切換弁42bが接続されている。この流路切換弁42bは、弁体を内蔵したハウジングHと、ハウジングHに対する冷媒の出入口となる複数のポートPとを有する。ポートPは、ハウジングHから上方及び下方に突出する短い管(冷媒配管)である。ポートPは、銅を主成分とする材料、例えば銅(純銅)又は銅合金により形成されている。ハウジングHの下側に突出するポートPは、上側冷媒流路モジュール10Aの上部に設けられた接続管12に直接接続されている。ハウジングHの上側に突出するポートPは、冷媒配管を介して上側冷媒流路モジュール10Aの上側に設けられた接続管12に接続されている。
【0061】
下側冷媒流路モジュール10Bは、上側冷媒流路モジュール10Aの下方に間隔をあけて配置されている。下側冷媒流路モジュール10Bは、ケーシング60の底板63の上方に間隔をあけて配置されている。上側冷媒流路モジュール10Aと下側冷媒流路モジュール10Bとの間には、流路切換弁42a,42cが配置されている。これら流路切換弁42a,42cは、弁体を内蔵したハウジングHと、ハウジングに対する冷媒の出入口となる複数のポートPとを有する。ポートPは、ハウジングHから上方及び下方に突出する短い管(冷媒配管)である。ポートPは、銅を主成分とする材料、例えば銅(純銅)又は銅合金により形成されている。ハウジングHから上方に突出するポートPは、上側冷媒流路モジュール10Aの下部に設けられた接続管12に直接接続されている。ハウジングHから下方に突出するポートPは、下側冷媒流路モジュール10Bの上部に設けられた接続管12に直接接続されている。
【0062】
上側冷媒流路モジュール10Aと下側冷媒流路モジュール10Bとの間には、冷媒配管25が配置されている。この冷媒配管25は、上下方向に沿って直線状に延びており、上端が上側冷媒流路モジュール10Aの下部に設けられた接続管12に接続され、下端が下側冷媒流路モジュール10Bの上部に設けられた接続管12に接続されている。したがって、冷媒配管25は、上側冷媒流路モジュール10Aと下側冷媒流路モジュール10Bとを最短距離で接続している。
【0063】
図4に示すように、下側冷媒流路モジュール10Bの下側には、複数の膨張弁44が接続されている。下側冷媒流路モジュール10Bは、上側冷媒流路モジュール10Aと流路切換弁42a,42c及び冷媒配管25で接続され、これらを介して上側冷媒流路モジュール10Aによって上方から支持されている。
【0064】
図3及び図5に示すように、下側冷媒流路モジュール10Bの上側には、オイルセパレータ46から延びる冷媒配管26が接続されている。冷媒配管26は、ケーシング60に固定されたオイルセパレータ46に接続されているので、下側冷媒流路モジュール10Bは、冷媒配管26によっても支持される。言い換えると、下側冷媒流路モジュール10Bは、ケーシング60に固定された冷媒回路の構成部品46を介して冷媒配管26によって安定して支持されている。
【0065】
図7は、冷媒流路モジュールと流路切換弁とを拡大して示す断面図である。
上側冷媒流路モジュール10A及び下側冷媒流路モジュール10Bの接続管12は、円筒形状に形成されている。接続管12は、直線状の管軸心を有する。接続管12の外径及び内径は一定である。接続管12は、その管軸心が上下方向Zと平行に配置されている。したがって、接続管12の管軸心と端部プレート71の板面とは垂直である。本実施形態における接続管12の管軸心方向の長さは、25mm以上56mm未満である。接続管12は、その管軸心が上下方向Zに対して厳密に平行に配置されていなくてもよく、例えば上下方向Zに対して±10°の範囲内で傾いていてもよい。
【0066】
接続管12の管軸心方向の一端部は、端部プレート71に形成された開口73に挿入されている。接続管12の外周面と開口73の内周面とはろう付けによって接合されている。なお、「開口73の内周面」とは、端部プレート71の開口73を構成する面をいう。
【0067】
図7に示される接続管12の他端部(端部プレート71に接続される側とは反対側の端部)には、流路切換弁42a,42cのポートPが接続されている。流路切換弁42a,42cのハウジングHから上側に突出する上側ポートPUは、上側冷媒流路モジュール10Aの接続管12に直接接続されている。上側ポートPUの上端部はフレア加工されることによって外径が拡大した大径部Dが設けられている。上側冷媒流路モジュール10Aの接続管12の下端部は大径部D内に挿入され、その外周面(被接続面)13が大径部Dの内周面Daにろう材Bでろう付けされている。
【0068】
流路切換弁42a,42cのハウジングHから下側に突出する下側ポートPLは、下側冷媒流路モジュール10Bの接続管12に直接接続されている。下側ポートPLの下端部はフレア加工されることによって外径が拡大した大径部Dが設けられている。下側冷媒流路モジュール10Bの接続管12の上端部は大径部D内に挿入され、その外周面(被接続面)13が大径部Dの内周面Daにろう材Bでろう付けされている。
【0069】
図8及び図9は、冷媒流路モジュールと流路切換弁とを接合する手順を説明する図である。
以下、冷媒流路モジュール10に対して流路切換弁42a~42cを接合する手順を説明する。この接合は、トーチろう付け(バーナーろう付け)により行われる。このろう付けは、前述の「炉中ろう付け」と区別する意味で、「手ろう付け」と呼ばれることもある。なお、以下の説明では、室外機31内に組付けられたときの各冷媒流路モジュール10A,10B(モジュール本体11)の下面11aを第1面といい、上面11bを第2面ともいう。また、第1面11aに接続された接続管を第1接続管12aといい、第2面11bに接続された接続管12を第2接続管12bという。
【0070】
まず、図8(a)に示すように、上側冷媒流路モジュール10Aにおけるモジュール本体11の第1面11aに設けられた第1接続管12aを、流路切換弁42a、42cの上側ポートPUに挿入する。次いで、図8(b)に示すように、モジュール本体11の第1面11aを下方に向けた状態で、第1接続管12aの被接続面13(図7参照)と流路切換弁42a,42cの上側ポートPUの内周面とを接合する。
【0071】
次いで、図8(c)に示すように、上側冷媒流路モジュール10Aを上下に反転する。上方に向いた流路切換弁42a、42cの下側ポートPLに、上下反転した下側冷媒流路モジュール10Bにおけるモジュール本体11の第2面11bに設けられた第2接続管12bを挿入する。
【0072】
次いで、図9(a)に示すように、下側冷媒流路モジュール10Bのモジュール本体11の第2面11bを下方に向けた状態で、第2接続管12bの被接続面(外周面)13と流路切換弁42a,42cの下側ポートPLの内周面とを接合する。
【0073】
次いで、図9(b)に示すように、上側冷媒流路モジュール10Aにおけるモジュール本体11の第2面11bに設けられた第2接続管12bを、流路切換弁42bの下側ポートPLに挿入する。そして、図9(c)に示すように、上側冷媒流路モジュール10Aにおけるモジュール本体11の第2面11bを下方に向けた状態で、第2接続管12bの被接続面(外周面)13と流路切換弁42bの下側ポートPLの内周面とを接合する。
【0074】
以上のような冷媒流路モジュール10A,10Bに流路切換弁42a~42cを接合する作業は、流路切換弁42a~42cのハウジングHを冷却しながら行われる。当該ハウジングH内には合成樹脂等の熱に弱い部品が収容されているからである。図8(b)、図9(a)、(c)で示すろう付け作業において、流路切換弁42a~42cのハウジングHを冷却水で冷却したとしても、その上方でろう付けが行われるので、ろう付け個所に冷却水がかかるのを抑制することができる。
【0075】
図12を参照して説明したように、従来(特許文献1)の冷媒流路モジュールでは、接続管112と冷媒配管101とをろう付けする際に、両者の間に浸透したろう材Bがさらに下方へ流れ、プレート122に到る場合がある。プレート122はステンレス製であるため、銅同士の接合に用いるろう材Bは付着し難く、冷却・固化した後に剥がれ落ちやすい。剥がれ落ちたろう材Bが冷媒流路モジュール内の流路を経て冷媒回路に入り込んでしまうと、冷媒回路を構成する圧縮機やバルブ等の動作に支障を来たす可能性がある。
【0076】
本出願の発明者は、鋭意研究を重ねた結果、図12にL1で示す長さが50mm未満であると下方に流れたろう材Bがステンレス製のプレート122に到達してしまう恐れがあることを知得した。例えば、図13に示すように、銅製の配管同士をろう材で接合した場合にろう材Bが下方に流れると、その長さL3は、最大で50mmにまで達することが分かった。接続管112を冷媒配管101に接続するために大径部112aには最低6mmの長さL2が必要となるため、接続管112は最低でも56mm以上の長さ(図12のL1+L2)を有していなければ、ろう材Bがモジュール本体11の流路15内に入り込む可能性が高まる。
【0077】
本願発明は、接続管12(第1接続管12a及び第2接続管12b)の外周面13に被接続面を設けることによって、図7に示すように、接続管12の長さLが56mm未満であっても、両者を接続するろう材Bがステンレス製のモジュール本体11に到達するのを抑制することができる。例えば、図8(b)で示すように、第1接続管12aと上側ポートPU(冷媒配管)とを下向きろう付けで接合する場合、図10A(ろう付け方向を太線の矢印で示す)に示すように、第1接続管12aと上側ポートPUとの間に浸透したろう材Bが下方へ流れたとしても上側ポートPUよりも上方にあるモジュール本体11に到達することはない。このことは、図9(a)、(c)に示す下向きろう付けにおいても同様である。
【0078】
仮に、冷媒流路モジュール10を上下反転せずに、図9(a)、(c)に示すろう付けを行った場合、図10Bに示すように、第2接続管12bと下側ポートPLとを上向きろう付けで接合することになる(ろう付け方向を太線の矢印で示す)。しかし、この場合も、第2接続管12bと下側ポートPLとの隙間を浸透したろう材Bが、第2接続管12bの上端を超えて第2接続管12b内までろう材Bが入り込むことはほとんどない。したがって、当該ろう材Bがモジュール本体11に到達することを抑制することができる。
【0079】
本実施形態の接続管12は、長さLが25mm以上である。そのため、図10A図10Bに示すように、モジュール本体11とポートPとの間に接続管12を加熱するためのスペースSを確保することができるので、ろう付け作業性を確保することができる。
【0080】
[第2の実施形態]
図11は、第2の実施形態における冷媒流路モジュールと流路切換弁との接合部分を拡大して示す断面図である。
上述の第1の実施形態では、接続管12が一定の外径及び内径を有していたが、本実施形態の接続管12は、モジュール本体11に接続される端部とは反対側の端部に外径及び内径が拡大された大径部12cを有している。この大径部12cの外周面は、ポート(冷媒配管)Pに接続される被接続面13を構成している。その他の構成は上記実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0081】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、冷媒流路モジュール10の接続管12に、流路切換弁42a~42cのポート(冷媒配管)Pが接続される例について詳細に説明したが、他の冷媒配管が接続される場合も同様の構成を採用することができる。
【0082】
上記実施形態の接続管12は、一定の外径及び内径や、一端に大径部を有していたが、これに限定されるものではない。例えば、接続管12は、モジュール本体11に接続される端部とは反対側の端部に、外径及び内径が縮小された小径部が設けられていてもよい。
【0083】
図8及び図9に示す手順は、適宜順番を変更して実行してもよい。また、接続管12をポートPに差し込むときの冷媒流路モジュール10の姿勢は、図8及び図9に示す姿勢とは上下逆向きの姿勢であってもよいし、図8及び図9に示す姿勢とは全く異なる姿勢、例えばモジュール本体11の第1、第2面11a、11bを鉛直方向に沿わせた姿勢等であってもよい。
【0084】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態の冷媒流路モジュール10は、積層して配置されたステンレス製の複数のプレート71,72を有しかつ内部に冷媒の流路15が形成されたモジュール本体11と、銅を主成分とする材料で形成されモジュール本体11に接続される第1接続管12aと、を備える。モジュール本体11は、複数のプレート71,72の積層方向における一端に配置されかつ第1開口73が形成された第1面11aと、積層方向における他端に配置された第2面11bとを有する。第1接続管12aは、直線状の管軸心を有し、第1接続管12aの管軸心方向における一端部が、第1開口73に挿入された状態でモジュール本体11に接続される。第1接続管12aの管軸心方向における他端部の外周面には、銅を主成分とする材料で形成された冷媒配管(流路切換弁42a~42cのポート)Pが接続される被接続面13が設けられている。第1接続管12aの長さLは、25mm以上56mmm未満である。
【0085】
この構成の冷媒流路モジュール10は、第1接続管12aの外周面に被接続面13を設けることによって、第1接続管12aの長さが56mm未満であっても、両者を接続するろう材Bがステンレス製のモジュール本体11に到達するのを抑制することができる。第1接続管12aの長さを25mm以上とすることで、モジュール本体11とポートPとの間に第1接続管12aを加熱するためのスペースSを確保することができる。
【0086】
(2)上記実施形態の冷媒流路モジュール10は、直線状の管軸心を有し銅を主成分とする材料で形成された第2接続管12bをさらに備える。モジュール本体11の第2面11bには、第2開口73が形成される。第2接続管12bの管軸心方向における一端部は、第2開口73に挿入された状態でモジュール本体11に接続される。第2接続管12bの管軸心方向における他端部には、銅を主成分とする材料で形成された冷媒配管(流路切換弁42a~42cのポート)Pが接続される被接続面13が設けられる。第2接続管12bの長さは、25mm以上56mm未満である。
【0087】
この構成によれば、第1接続管12aと同様に、第2接続管12bの外周面に被接続面13を設けることによって、第2接続管12bの長さが56mm未満であっても、両者を接続するろう材Bがステンレス製のモジュール本体11に到達するのを抑制することができる。第2接続管12bの長さを25mm以上とすることで、モジュール本体11とポートPとの間に第2接続管12bを加熱するためのスペースSを確保することができる。
【0088】
(3)上記実施形態の冷凍サイクル装置は、上記(1)に記載された冷媒流路モジュール10と、冷媒流路モジュール10の第1接続管12aの被接続面13に接合される冷媒配管(ポート)Pと、を備える。この構成の冷凍サイクル装置では、第1接続管12aと冷媒配管Pとを接続するろう材Bがモジュール本体11に到達し、モジュール本体11から冷凍サイクル装置1を構成する部品(冷媒回路を構成する部品)に入り込むことを抑制することができる。
【0089】
(4)上記実施形態の冷凍サイクル装置は、上記(2)に記載された冷媒流路モジュール10と、冷媒流路モジュール10の第1接続管12aの被接続面13に接合される第1冷媒配管(ポート)Pと、冷媒流路モジュール10の第2接続管12bの被接続面13に接合される第2冷媒配管(ポート)Pと、を備える。
【0090】
上記構成の冷凍サイクル装置によれば、第1接続管12aと第1冷媒配管P、及び、第2接続管12bと第2冷媒配管Pとを接続するろう材がモジュール本体11に到達し、モジュール本体11から冷凍サイクル装置1を構成する部品に入り込むことを抑制することができる。
【0091】
(5)上記実施形態の冷凍サイクル装置の製造方法は、冷媒配管(ポート)Pの内側に、冷媒流路モジュール10の第1接続管12aの他端部を挿入する第1工程、及び
第1接続管12aの被接続面13に冷媒配管Pの内周面をろう付けする第2工程、を含む。この場合、第1接続管12aの外周面に設けられた被接続面13に冷媒配管Pの内周面がろう付けされるので、両者をろう付けするろう材がモジュール本体11に到達することが抑制される。
【0092】
(6)上記実施形態の製造方法では、第2工程は、冷媒流路モジュール10におけるモジュール本体11の第1面11aを下方に向けた状態で実施される。そのため、例えば図10Aに示すように、第1接続管12aと冷媒配管Pとを下向きろう付けで接合することになり、第1接続管12aと冷媒配管Pとの間に浸透したろう材Bがさらに下方へ流れたとしてもポートPよりも上方にあるステンレス製のモジュール本体11に到達することがなくなる。
【0093】
(7)上記実施形態の製造方法は、図8(a)、(b)に示すように、第1冷媒配管(流路切換弁42a、42cのポート)PUの内側に、冷媒流路モジュール10Aの第1接続管12aの他端部を挿入する第1工程、冷媒流路モジュール10Aのモジュール本体11の第1面11aを下方に向けた状態で第1接続管12aの被接続面13に第1冷媒配管PUの内周面をろう付けする第2工程、図9(b)、(c)に示すように、第2冷媒配管(流路切換弁42bのポート)PLの内側に、冷媒流路モジュール10Aの第2接続管12bの他端部を挿入する第3工程、及び、モジュール本体11の第2面11bを下方に向けた状態で第2接続管12bの被接続面13に第2冷媒配管PLの内周面をろう付けする第4工程、を含む。この構成によれば、第1接続管12aと第1冷媒配管PU、及び、第2接続管12bと第2冷媒配管PLとをそれぞれ下向きろう付けで接合することになり、各接続管12a,12bと各冷媒配管PU,PLとの間に浸透したろう材Bがさらに下方へ流れたとしても各冷媒配管PU,PLよりも上方にあるモジュール本体11に到達することがなくなる。
【0094】
なお、本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、冷媒流路モジュールのモジュール本体を構成するプレートの枚数は、特に限定されるものではなく、2枚以上であればよい。
冷媒流路モジュール10の上側及び下側に接続される部品の種類は、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 :冷凍サイクル装置
10 :冷媒流路モジュール
10A :上側冷媒流路モジュール
10B :下側冷媒流路モジュール
11 :モジュール本体
11a :第1面
11b :第2面
12 :接続管
12a :第1接続管
12b :第2接続管
30 :冷媒回路
42a :第1流路切換弁
42b :第2流路切換弁
42c :第3流路切換弁
71 :プレート
72 :プレート
73 :開口(第1開口;第2開口)
P :ポート(冷媒配管)
PL :下側ポート(冷媒配管)
PU :上側ポート(冷媒配管)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層して配置されたステンレス製の複数のプレート(71、72)を有しかつ内部に冷媒の流路(15)が形成されたモジュール本体(11)と、
銅を主成分とする材料で形成され前記モジュール本体(11)に接続される第1接続管(12a)と、を備え、
前記モジュール本体(11)は、前記複数のプレート(71、72)の積層方向における一端に配置されかつ第1開口(73)が形成された第1面(11a)と、前記積層方向における他端に配置された第2面(11b)とを有し、
前記第1接続管(12a)は、直線状の管軸心を有し、
前記第1接続管(12a)の管軸心方向における一端部が、前記第1開口(73)に挿入された状態で前記モジュール本体(11)に接続され、
銅を主成分とする材料で形成された冷媒配管(P)が接続される被接続面(13)が、前記第1接続管(12a)の管軸心方向における他端部の外周面に設けられ、
前記第1接続管(12a)の長さが25mm以上56mm未満である、冷媒流路モジュール。
【請求項2】
直線状の管軸心を有し銅を主成分とする材料で形成された第2接続管(12b)をさらに備え、
前記モジュール本体(11)の前記第2面(11b)に、第2開口(73)が形成され、
前記第2接続管(12b)の管軸心方向における一端部が、前記第2開口(73)に挿入された状態で前記モジュール本体(11)に接続され、
銅を主成分とする材料で形成された冷媒配管(P)が接続される被接続面(13)が、前記第2接続管(12b)の管軸心方向における他端部に設けられ、
前記第2接続管(12b)の長さが25mm以上56mm未満である、請求項1に記載の冷媒流路モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載された冷媒流路モジュール(10)と、
前記冷媒流路モジュール(10)の第1接続管(12a)の被接続面(13)に接合される冷媒配管(P)と、を備える冷凍サイクル装置。
【請求項4】
請求項2に記載された冷媒流路モジュール(10)と、
前記冷媒流路モジュール(10)の第1接続管(12a)の被接続面(13)に接合される第1冷媒配管(P)と、
前記冷媒流路モジュール(10)の第2接続管(12b)の被接続面(13)に接合される第2冷媒配管(P)と、を備える冷凍サイクル装置。
【請求項5】
請求項3に記載された冷凍サイクル装置の製造方法であって、
冷媒配管(P)の内側に、冷媒流路モジュール(10)の第1接続管(12a)の他端部を挿入する第1工程、及び
前記第1接続管(12a)の被接続面(13)に前記冷媒配管(P)の内周面をろう付けする第2工程、を含む、冷凍サイクル装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2工程が、前記冷媒流路モジュール(10)のモジュール本体(11)の第1面(11a)を下方に向けた状態で実施される、請求項5に記載の冷凍サイクル装置の製造方法。
【請求項7】
請求項4に記載された冷凍サイクル装置の製造方法であって、
第1冷媒配管(P)の内側に、冷媒流路モジュール(10)の第1接続管(12a)の他端部を挿入する第1工程、
前記冷媒流路モジュール(10)のモジュール本体(11)の第1面(11a)を下方に向けた状態で前記第1接続管(12a)の被接続面(13)に第1冷媒配管(P)の内周面をろう付けする第2工程、
第2冷媒配管(P)の内側に、前記冷媒流路モジュール(10)の第2接続管(12b)の他端部を挿入する第3工程、及び
前記モジュール本体(11)の第2面(11b)を下方に向けた状態で前記第2接続管(12b)の被接続面(13)に前記第2冷媒配管(P)の内周面をろう付けする第4工程、を含む、冷凍サイクル装置の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
(1)本開示の冷媒流路モジュールは、
積層して配置されたステンレス製の複数のプレートを有しかつ内部に冷媒の流路が形成されたモジュール本体と、
銅を主成分とする材料で形成され前記モジュール本体に接続される第1接続管と、を備え、
前記モジュール本体は、前記複数のプレートの積層方向における一端に配置されかつ第1開口が形成された第1面と、前記積層方向における他端に配置された第2面とを有し、
前記第1接続管は、直線状の管軸心を有し、
前記第1接続管の管軸心方向における一端部が、前記第1開口に挿入された状態で前記モジュール本体に接続され、
銅を主成分とする材料で形成された冷媒配管が接続される被接続面が、前記第1接続管の管軸心方向における他端部の外周面に設けられ、
前記第1接続管の長さが25mm以上56mm未満である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
図7は、冷媒流路モジュールと流路切換弁とを拡大して示す断面図である。
上側冷媒流路モジュール10A及び下側冷媒流路モジュール10Bの接続管12は、円筒形状に形成されている。接続管12は、直線状の管軸心を有する。接続管12の外径及び内径は一定である。接続管12は、その管軸心が上下方向Zと平行に配置されている。したがって、接続管12の管軸心と端部プレート71の板面とは垂直である。本実施形態における接続管12の管軸心方向の長さは、25mm以上56mm未満である。接続管12は、その管軸心が上下方向Zに対して厳密に平行に配置されていなくてもよく、例えば上下方向Zに対して±10°の範囲内で傾いていてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
仮に、冷媒流路モジュール10を上下反転せずに、図9(a)、(c)に示すろう付けを行った場合、図10Bに示すように、第2接続管12bと下側ポートPLとを上向きろう付けで接合することになる(ろう付け方向を太線の矢印で示す)。しかし、この場合も、第2接続管12bと下側ポートPLとの隙間を浸透したろう材Bが、第2接続管12bの上端を超えて第2接続管12b内まで入り込むことはほとんどない。したがって、当該ろう材Bがモジュール本体11に到達することを抑制することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0084】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態の冷媒流路モジュール10は、積層して配置されたステンレス製の複数のプレート71,72を有しかつ内部に冷媒の流路15が形成されたモジュール本体11と、銅を主成分とする材料で形成されモジュール本体11に接続される第1接続管12aと、を備える。モジュール本体11は、複数のプレート71,72の積層方向における一端に配置されかつ第1開口73が形成された第1面11aと、積層方向における他端に配置された第2面11bとを有する。第1接続管12aは、直線状の管軸心を有し、第1接続管12aの管軸心方向における一端部が、第1開口73に挿入された状態でモジュール本体11に接続される。第1接続管12aの管軸心方向における他端部の外周面には、銅を主成分とする材料で形成された冷媒配管(流路切換弁42a~42cのポート)Pが接続される被接続面13が設けられている。第1接続管12aの長さLは、25mm以上56mm未満である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
この構成の冷媒流路モジュール10は、第1接続管12aの外周面に被接続面13を設けることによって、第1接続管12aの長さが56mm未満であっても、両者を接続するろう材Bがステンレス製のモジュール本体11に到達するのを抑制することができる。第1接続管12aの長さを25mm以上とすることで、モジュール本体11とポートPとの間に第1接続管12aを加熱するためのスペースSを確保することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
(2)上記実施形態の冷媒流路モジュール10は、直線状の管軸心を有し銅を主成分とする材料で形成された第2接続管12bをさらに備える。モジュール本体11の第2面11bには、第2開口73が形成される。第2接続管12bの管軸心方向における一端部は、第2開口73に挿入された状態でモジュール本体11に接続される。第2接続管12bの管軸心方向における他端部には、銅を主成分とする材料で形成された冷媒配管(流路切換弁42a~42cのポート)Pが接続される被接続面13が設けられる。第2接続管12bの長さは、25mm以上56mm未満である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
この構成によれば、第1接続管12aと同様に、第2接続管12bの外周面に被接続面13を設けることによって、第2接続管12bの長さが56mm未満であっても、両者を接続するろう材Bがステンレス製のモジュール本体11に到達するのを抑制することができる。第2接続管12bの長さを25mm以上とすることで、モジュール本体11とポートPとの間に第2接続管12bを加熱するためのスペースSを確保することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒流路モジュール(10)と、
銅を主成分とする材料で形成され、前記冷媒流路モジュール(10)に接続される第1冷媒配管(P)と、を備え、
前記冷媒流路モジュール(10)は、
積層して配置されたステンレス製の複数のプレート(71、72)を有しかつ内部に冷媒の流路(15)が形成されたモジュール本体(11)と、
銅を主成分とする材料で形成され前記モジュール本体(11)に接続される第1接続管(12a)と、を備え、
前記モジュール本体(11)は、前記複数のプレート(71、72)の積層方向における一端に配置されかつ第1開口(73)が形成された第1面(11a)と、前記積層方向における他端に配置された第2面(11b)とを有し、
前記第1接続管(12a)は、直線状の管軸心を有し、
前記第1接続管(12a)の管軸心方向における一端部が、前記第1開口(73)に挿入された状態で前記モジュール本体(11)に接続され、
前記第1冷媒配管(P)が接続される被接続面(13)が、前記第1接続管(12a)の管軸心方向における他端部の外周面に設けられ、
前記第1接続管(12a)の長さが25mm以上56mm未満であり、
前記第1接続管(12a)の被接続面(13)と、前記第1冷媒配管(P)とを接合するろう材をさらに備える、冷凍サイクル装置
【請求項2】
銅を主成分とする材料で形成され、前記冷媒流路モジュール(10)に接続される第2冷媒配管(P)をさらに備え、
前記冷媒流路モジュール(10)は、直線状の管軸心を有し銅を主成分とする材料で形成された第2接続管(12b)をさらに備え、
前記モジュール本体(11)の前記第2面(11b)に、第2開口(73)が形成され、
前記第2接続管(12b)の管軸心方向における一端部が、前記第2開口(73)に挿入された状態で前記モジュール本体(11)に接続され、
前記第2冷媒配管(P)が接続される被接続面(13)が、前記第2接続管(12b)の管軸心方向における他端部の外周面に設けられ、
前記第2接続管(12b)の長さが25mm以上56mm未満であり、
前記第2続管(12b)の被接続面(13)と、前記第2冷媒配管(P)とを接合するろう材をさらに備える、請求項1に記載の冷凍サイクル装置
【請求項3】
請求項に記載された冷凍サイクル装置の製造方法であって、
第1冷媒配管(P)の内側に、冷媒流路モジュール(10)の第1接続管(12a)の他端部を挿入する第1工程、及び
前記第1接続管(12a)の被接続面(13)に前記第1冷媒配管(P)の内周面をろう付けする第2工程、を含む、冷凍サイクル装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2工程が、前記冷媒流路モジュール(10)のモジュール本体(11)の第1面(11a)を下方に向けた状態で実施される、請求項に記載の冷凍サイクル装置の製造方法。
【請求項5】
請求項に記載された冷凍サイクル装置の製造方法であって、
第1冷媒配管(P)の内側に、冷媒流路モジュール(10)の第1接続管(12a)の他端部を挿入する第1工程、
前記冷媒流路モジュール(10)のモジュール本体(11)の第1面(11a)を下方に向けた状態で前記第1接続管(12a)の被接続面(13)に第1冷媒配管(P)の内周面をろう付けする第2工程、
第2冷媒配管(P)の内側に、前記冷媒流路モジュール(10)の第2接続管(12b)の他端部を挿入する第3工程、及び
前記モジュール本体(11)の第2面(11b)を下方に向けた状態で前記第2接続管(12b)の被接続面(13)に前記第2冷媒配管(P)の内周面をろう付けする第4工程、を含む、冷凍サイクル装置の製造方法。
【請求項6】
第1冷媒流路モジュール(10A)と、第2冷媒流路モジュール(10B)と、銅を主成分とする材料で形成された第1冷媒配管(P)と、を備え、
前記第1冷媒流路モジュール(10A)が、積層して配置されたステンレス製の複数のプレート(71、72)を有しかつ内部に冷媒の流路(15)が形成されたモジュール本体(11)と、
銅を主成分とする材料で形成され前記モジュール本体(11)に接続される第1接続管(12a)と、を備え、
前記第2冷媒流路モジュール(10B)が、積層して配置されたステンレス製の複数のプレート(71、72)を有しかつ内部に冷媒の流路(15)が形成されたモジュール本体(11)と、
銅を主成分とする材料で形成され前記モジュール本体(11)に接続される第2接続管(12b)と、を備え、
前記第1冷媒流路モジュール(10A)の前記モジュール本体(11)は、前記複数のプレート(71、72)の積層方向における一端に配置されかつ第1開口(73)が形成された第1面(11a)と、前記積層方向における他端に配置された第2面(11b)とを有し、
前記第2冷媒流路モジュール(10B)の前記モジュール本体(11)は、前記複数のプレート(71、72)の積層方向における一端に配置された第1面(11a)と、前記積層方向における他端に配置されかつ第2開口(73)が形成された第2面(11b)とを有し、
前記第1接続管(12a)及び前記第2接続管(12b)は、直線状の管軸心を有し、
前記第1冷媒流路モジュール(10A)において、前記第1接続管(12a)の管軸心方向における一端部が、前記第1開口(73)に挿入された状態で前記モジュール本体(11)に接続され、
前記第2冷媒流路モジュール(10B)において、前記第2接続管(12b)の管軸心方向における一端部が、前記第2開口(73)に挿入された状態で前記モジュール本体(11)に接続され、
前記第1冷媒配管(P)が接続される被接続面(13)が、前記第1接続管(12a)の管軸心方向における他端部の外周面と、前記第2接続管(12b)の管軸心方向における他端部の外周面と、に設けられ、
前記第1冷媒流路モジュール(10A)の前記第1面(11a)と前記第2冷媒流路モジュール(10B)の前記第2面(11b)とが互いに対向して配置され、
前記第1接続管(12a)及び前記第2接続管(12b)の長さが25mm以上56mm未満である、冷凍サイクル装置。
【請求項7】
請求項6に記載された冷凍サイクル装置の製造方法であって、
前記第1冷媒配管(P)の一端の内側に、前記第1冷媒流路モジュール(10A)の第1接続管(12a)の他端部を挿入する第1工程、
前記第1冷媒流路モジュール(10A)の前記第1面(11a)を下方に向けた状態で前記第1接続管(12a)の被接続面(13)に前記第1冷媒配管(P)の内周面をろう付けする第2工程、
前記第1冷媒配管(P)の他端の内側に、前記第2冷媒流路モジュール(10B)の第2接続管(12b)の他端部を挿入する第3工程、及び
前記第2冷媒流路モジュール(10B)の前記第2面(11b)を下方に向けた状態で前記第2接続管(12b)の被接続面(13)に前記第1冷媒配管(P)の内周面をろう付けする第4工程、
を含む、冷凍サイクル装置の製造方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本開示は、冷凍サイクル装置、及び、冷凍サイクル装置の製造方法に関する。