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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051386
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/00 20060101AFI20240404BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20240404BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240404BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20240404BHJP
【FI】
B60Q1/00 G
B60W40/04
B60W50/14
B60W40/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157527
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100121027
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】川邊 聖司
【テーマコード(参考)】
3D241
3K339
【Fターム(参考)】
3D241BA60
3D241CE01
3D241DA23Z
3D241DB02Z
3D241DC22Z
3D241DC23Z
3D241DD13Z
3K339AA22
3K339BA09
3K339BA26
3K339BA30
3K339CA12
3K339EA04
3K339EA09
3K339GB13
3K339HA08
3K339JA21
3K339KA11
3K339KA16
3K339KA27
3K339KA37
3K339KA39
3K339MA07
3K339MA10
3K339MB01
3K339MC01
3K339MC48
3K339MC66
3K339MC68
3K339MC77
3K339MC85
3K339MC92
3K339MC96
3K339MC99
(57)【要約】
【課題】所定の制御が行われる制御対象領域を、運転者の操作負担の増大を抑えながら、運転者に適したものに設定することを可能にする車両用制御装置を提供する。
【解決手段】BSM-ECU(BSM-ECU(左)60L,BSM-ECU(右)60R)は、警報エリアを最初に警報エリア「大」または警報エリア「小」の警報エリアに設定し(ステップS2またはステップS3)、ユーザキーが高齢者キーであるか否かを判定し(ステップS4)、ユーザキーが非高齢者キーである場合には(ステップS4:NO)警報エリアを拡大せず(ステップS6)、高齢者キーである場合には(ステップS4:YES)警報エリアを拡大する(ステップS7)。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の後側方の他車両の存在に基づいて所定の制御を行う車両用制御装置であって、
ユーザの携帯機が所定の携帯機であるか否かを判定する判定手段と、
前記ユーザの携帯機が前記所定の携帯機でない場合には前記所定の制御を行う制御対象領域が第1の制御対象領域になり、前記ユーザの携帯機が前記所定の携帯機である場合には前記制御対象領域が前記第1の制御対象領域と異なる第2の制御対象領域となるように、前記制御対象領域に関わる設定処理を行う設定手段と
を備えることを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記第2の制御対象領域が前記第1の制御対象領域よりも広く設定されるように、前記設定処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記制御対象領域には、前記自車両に備えられたドアミラーの死角に関わる第1の領域と、前記他車両の前記第1の領域への設定時間内への侵入に関わる第2の領域とがあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の運転支援を行う車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両には運転者の運転支援を行う車両用制御装置が設けられており、運転者の運転支援を行う機能として、例えば、ブラインドスポットモニタ(BSM)機能がある(例えば、特許文献1参照)。BSM機能は、運転者による車線変更時の判断を支援する運転支援機能であり、自車両の走行車線に隣接する隣接車線を自車両の後方で走行する他車両を監視して、運転者が注意すべき他車両(以下、「注意対象車両」と記載する。)が検知されている場合に、ドアミラーに配置されたインジケータを点灯あるいは点滅させるなどして運転者に注意を喚起する機能である。注意対象車両とは、例えば、自車両のサイドミラーに映らない、または、映りにくい(自車両のサイドミラーの死角となる、または、死角となりやすい)死角エリアに存在する他車両、および、設定時間内にその死角エリアに後側方から侵入すると予測される他車両である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-121575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
BSM機能では、運転者は、インジケータ等を点灯あるいは点滅させて運転者に注意を喚起する警報タイミングを、メータカスタマイズなどにより、複数段階の中から選択して設定可能になっている。
【0005】
ところで、BSM機能による適した警報タイミングは運転者の運転技量に依るところが大きい。例えば、年齢の若い運転者であれば反応速度が比較的速いため警報タイミングが早すぎると運転者が警報を煩わしく感じてしまう。一方で、高齢者の運転者は年齢の若い運転者に比べて一般的に反応速度が遅いため、注意対象車両の存在を年齢の若い運転者よりも早期に知らしめるために、高齢者に対する警報タイミングは年齢の若い運転者の場合よりも早くすることが好ましい。
【0006】
車両を複数人で使用する場合、これから車両を運転する運転者は運転開始時に毎回自らに適した警報タイミングを設定する必要があるため、運転者に設定操作の大きな負担を課す上に、運転者に適した警報タイミングに設定し忘れてしまうという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、所定の制御が行われる制御対象領域を、運転者の操作負担の増大を抑えながら、運転者に適したものに設定することを可能にする車両用制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明に係る車両用制御装置は、自車両の後側方の他車両の存在に基づいて所定の制御を行う車両用制御装置であって、ユーザの携帯機が所定の携帯機であるか否かを判定する判定手段と、前記ユーザの携帯機が前記所定の携帯機でない場合には前記所定の制御を行う制御対象領域が第1の制御対象領域になり、前記ユーザの携帯機が前記所定の携帯機である場合には前記制御対象領域が前記第1の制御対象領域と異なる第2の制御対象領域となるように、前記制御対象領域に関わる設定処理を行う設定手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、ユーザ携帯機が所定の携帯機であるか否かを判定し、所定の制御を行う制御対象領域を、ユーザ携帯機が所定の携帯機でない場合には第1の制御対象領域となり、所定の携帯機である場合には第2の制御対象領域となるように設定するため、制御対象領域を、ユーザの操作負担の増大を抑えながら、ユーザに適したものに設定することを可能にし、例えばあるユーザには早めに所定の制御を行い、別のユーザには、当該別のユーザにとって不要な所定の制御の介入の煩わしさを軽減することができる。
【0010】
また、前記設定手段は、前記第2の制御対象領域が前記第1の制御対象領域よりも広く設定されるように、前記設定処理を行うとしてもよい。
【0011】
この構成によれば、ユーザ携帯機が所定の携帯機である場合はユーザ携帯機が所定の携帯機以外の携帯機である場合に比べて所定の制御が行われやすくなって、ユーザ携帯機として所定の携帯機を利用するユーザの運転支援を強化することができる。
【0012】
また、前記制御対象領域には、前記自車両に備えられたドアミラーの死角に関わる第1の領域と、前記他車両の前記第1の領域への設定時間内への侵入に関わる第2の領域とがあるとしてもよい。
【0013】
この構成によれば、第1の領域および第2の領域のそれぞれに関して、ユーザ携帯機の種類に応じて所定の制御を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザ携帯機が所定の携帯機であるか否かを判定し、所定の制御を行う制御対象領域を、ユーザ携帯機が所定の携帯機でない場合には第1の制御対象領域となり、所定の携帯機である場合には第2の制御対象領域となるように設定するため、制御対象領域を、ユーザの操作負担の増大を抑えながら、ユーザに適したものに設定することを可能にし、例えばあるユーザには早めに所定の制御を行い、別のユーザには、当該ユーザにとって不要な所定の制御の介入の煩わしさを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用制御装置の構成を示す構成図である。
図2図1の車両用制御装置が備えるブラインドスポットモニタ(BSM)機能での他の車両を警報する警報エリアを説明するための説明図である。
図3】高齢者キーでない非高齢者キーの場合の図2の警報エリアと高齢者キーである場合の図2の警報エリアとの関係を説明するための説明図である。
図4図1の車両用制御装置により行われる警報エリア設定処理および警報処理の処理手順を示すフローチャートである。
図5】変形例に係るリアクロストラフィックアラート(RCTA)機能での他の車両を警報する警報エリアを説明するための説明図である。
図6】高齢者キーでない場合の図5の警報エリアと高齢者キーである場合の図5の警報エリアとの関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の一実施形態に係る車両用制御装置10について添付図面を参照しつつ説明する。
【0017】
本実施形態に係る車両用制御装置10は、図1に示す構成をしており、ブラインドスポットモニタ(BSM)機能を有している。
本実施形態では、車両用制御装置10を備える車両1のドアをロックしたり(車両のドアのロックを施錠したり)、車両のドアをアンロックしたり(車両のドアのロックを解錠したり)するキー(本発明の「携帯機」に相当)として、高齢者の情報が設定されたキー(以下、適宜、「高齢者キー」と記載する。:本発明の「所定の携帯機」に相当)、および、高齢者の情報が設定されていないキー(以下、適宜、「非高齢者キー」と記載する。)が用意されている。キー(高齢者キー、非高齢者キー)は、車両用制御装置10が備えるボディECU20(図1参照)と無線で通信を行うことが可能になっている。
【0018】
まず、BSM機能での他の車両2,3を警報する警報エリアについて図2および図3を参照して説明する。
【0019】
警報エリアとして、図2に示すように、車両用制御装置10を搭載する車両(自車両)1の右側後方の他車両2を警報する警報エリア(以下、「右側後方警報エリア」と記載する。)WRと、自車両1の左側後方の他車両3を警報する警報エリア(以下、「左側後方警報エリア」と記載する。)WLとがある。
右側後方警報エリアWRとして、右側のドアミラー1Rに右側後方の他車両2が映らない、または、映りにくい(自車両のサイドミラーの死角となる、または、死角となりやすい)エリア(以下、「右側後方死角用警報エリア」と記載する。)WR1と、設定時間T(s)内に右側後方から右側後方死角用警報エリアWR1に侵入すると予測される他車両2が存在するエリア(以下、「右側後方設定時間用警報エリア」と記載する。)WR2とがある。
左側後方警報エリアWLとして、左側のドアミラー1Lに左側後方の他車両3が映らない、または、映りにくい(自車両のサイドミラーの死角となる、または、死角となりやすい)死角となるエリア(以下、「左側後方死角用警報エリア」と記載する。)WL1と、設定時間T(s)内に左側後方から左側後方死角用警報エリアWL1に侵入すると予測される他車両3が存在するエリア(以下、「左側後方設定時間用警報エリア」と記載する。)WL2とがある。
【0020】
なお、以下では、右側後方警報エリアWR、右側後方死角用警報エリアWR1、および、右側後方設定時間用警報エリアWR2と、左側後方警報エリアWL、左側後方死角用警報エリアWL1、左側後方設定時間用警報エリアWL2とは、同じ説明を利用することができるため、警報エリアW、死角用警報エリアW1、および、設定時間用警報エリアW2としてまとめて説明する。なお、警報エリアW、右側後方警報エリアWRおよび左側後方警報エリアWLが本発明の「制御対象領域」に相当する。また、死角用警報エリアW1、右側後方死角用警報エリアWR1および左側後方死角用警報エリアWL1が本発明の「第1の領域」に相当する。また、設定時間用警報エリアW2、右側後方設定時間用警報エリアWR2および左側後方設定時間用警報エリアWL2が本発明の「第2の領域」に相当する。
【0021】
警報エリアWの死角用警報エリアW1は、車両1の側面から例えば0.5(m)離れた点から車両1の側面から例えば3.5(m)離れた点までの第1の線分と、リアバンパーよりD1(m)(本実施形態では、例えば1(m)であり、D1は固定値とする。)前方の点からリアバンパーよりD2(m)後方の点までの、第1の線分と直交する第2の線分とで囲まれるエリアである。
警報エリアWの設定時間用警報エリアW2は、車両1の側面から例えば0.5(m)離れた点から車両1の側面から例えば3.5(m)離れた点までの第3の線分と、リアバンパーよりD2(m)後方の点から当該後方の点より設定時間T(s)に対応する距離分後方の点までの、第3の線分と直交する第4の線分とで囲まれるエリアである。
死角用警報エリアW1は自車両1の車速と他の車両2,3の車速には依存しない固定のエリアになるのに対して、設定時間用警報エリアW2は自車両1の車速と他車両2,3の車速とに依存して変化するエリアである。
【0022】
警報エリアWとして、本実施形態では、(1)警報エリア「小」の警報エリアと、(2)警報エリア「小」の警報エリアを含み、警報エリア「小」の警報エリアよりも広い警報エリア「大」の警報エリアと、(3)警報エリア「小」の警報エリアを拡大した警報エリア「小」の拡大警報エリアと、(4)警報エリア「大」の警報エリアを拡大した警報エリア「大」の拡大警報エリアとの4通りがある。
【0023】
警報エリア「小」の警報エリアWA(小)はユーザがドアロックの解錠に利用したキー(以下、「ユーザキー」と記載する。)が非高齢者キーで車両1のドアがアンロックされた場合に利用され、警報エリア「小」の拡大警報エリアWB(小)はユーザキーが高齢者キーである場合に利用され、前者と後者との関係の一例を図示すると、前者は図3(a)に示され、後者は図3(b)に示されるものとなる。
警報エリア「大」の警報エリアWA(大)はユーザキーが非高齢者キーである場合に利用され、警報エリア「大」の拡大警報エリアWB(大)はユーザキーが高齢者キーである場合に利用され、前者と後者との関係の一例を図示すると、前者は図3(a)に示され、後者は図3(b)に示されるものとなる。
【0024】
本実施形態では、警報エリア「小」の警報エリアWA(小)では、死角用警報エリアWA1(小)の設定距離D(=D1+D2)を4(m)、設定時間用警報エリアWA2(小)の設定時間Tを3(s)とする。
また、警報エリア「小」の拡大警報エリアWB(小)では、死角用拡大警報エリアWB1(小)の設定距離D(=D1+D2)を、警報エリア「小」の警報エリアWA(小)の死角用警報エリアWA1(小)の設定距離D=4(m)に2(m)加算した6(m)とし、設定時間用拡大警報エリアWB2(小)の設定時間Tを、警報エリア「小」の警報エリアWA(小)の設定時間用警報エリアWA2(小)の設定時間T=3(s)に1(s)加算した4(s)とする。
【0025】
また、警報エリア「大」の警報エリアWA(大)では、死角用警報エリアWA1(大)の設定距離D(=D1+D2)を、警報エリア「小」の警報エリアWA(小)の死角用警報エリアWA1(小)の設定距離D=4(m)より大きい7(m)とし、設定時間用警報エリアWA2(大)の設定時間Tを、警報エリア「小」の警報エリアWA(小)の設定時間用警報エリアWA2(小)の設定時間T=3(s)より大きい5(s)とする。
また、警報エリア「大」の拡大警報エリアWB(大)では、死角用拡大警報エリアWB1(大)の設定距離D(=D1+D2)を、警報エリア「大」の警報エリアWA(大)の死角用警報エリアWA1(大)の設定距離D=7(m)に2(m)加算した9(m)とし、設定時間用拡大警報エリアWB2(大)の設定時間Tを、警報エリア「大」の警報エリアWA(大)の設定時間用警報エリアWA2(大)の設定時間T=5(s)に1(s)加算した6(s)とする。
なお、警報エリア「小」の警報エリア、警報エリア「大」の警報エリア、警報エリア「小」の拡大警報エリア、および、警報エリア「大」の拡大警報エリアそれぞれの設定距離D(=D1+D2)および設定時間Tは一例であって、他の値を用いてもよい。
【0026】
続いて、車両用制御装置10の装置構成について図1を参照しつつ説明する。
車両用制御装置10は、車両1に搭載され、図1に示すように、ボディECU20、メータECU30、CVT-ECU40、VSC-ECU50、BSM-ECU(左)60L、および、BSM-ECU(右)60Rを備える。ECU20,30,40,50,60L夫々はCAN(Controller Area Network)70に接続されて互いに通信を行い、ECU60L,60Rは、ローカルCAN71に接続されて互いに通信を行う。
【0027】
ボディECU20は、各種制御及び各種演算などを行うCPU(不図示)、および、各種プログラムや各種データを記憶するメモリ(不図示)などを有し、車両1のドア、左・右ターンランプなどの車載電装品の動作を制御するためのECUである。本実施形態では、ボディECU20は、例えば、ドアロック解除に用いられたキーのキー情報(当該キー情報は、高齢者の設定がされているか設定されていないかを示す情報(以下、「高齢者設定有無情報」と記載する。)を含む。)を取得してBSM-ECU(左)60Lなどに送信し、左・右ターンランプのスイッチのオンまたはオフを示す左・右ターンスイッチ情報をBSM-ECU(左)60Lなどに送信する。
【0028】
メータECU30は、各種制御及び各種演算などを行うCPU(不図示)、および、各種プログラムや各種データを記憶するメモリ(不図示)などを有し、車両1のメータパネルの各部を制御するためのECUである。メータパネルには、車速やエンジン回転数を表示する計器類の他、各種の情報を表示するための液晶ディスプレイなどの表示器が設けられている。本実施形態では、例えば、メータECU30は、液晶ディスプレイなどの表示器の表示画面にユーザ(運転者など)が警報エリア「大」または警報エリア「小」を設定するための警報エリア設定領域を表示し、ユーザが警報エリア設定領域を利用して選択した警報エリアの警報エリアサイズ情報(警報エリア「大」、警報エリア「小」)をBSM-ECU(左)60Lなどに送信する。また、メータECU30は、BSM-ECU(左)60Lから、警報エリア内に他車両が存在することの警報の実行を指令するブザー吹聴指令情報を受信し、当該ブザー吹聴指令情報の受信に基づいて、メータECU30に接続されたスピーカ(不図示)からブザー音を出力する処理を行う。
【0029】
CVT-ECU40は、各種制御及び各種演算などを行うCPU(不図示)、および、各種プログラムや各種データを記憶するメモリ(不図示)などを有し、無断変速機の動作を制御するためのECUである。本実施形態では、CVT-ECU40は、例えば、シフト位置(P(パーキング:駐車、エンジン始動)、N(ニュートラル:動力が伝わらない状態)、D(ドライブ:通常走行)、S(スポーツ:スポーティな走行、坂道や山間地などの走行)、R(リバース:後退))を示すシフト位置情報をBSM-ECU(左)60Lなどに送信する。
【0030】
VSC-ECU50は、各種制御及び各種演算などを行うCPU(不図示)、および、各種プログラムや各種データを記憶するメモリ(不図示)などを有し、車両1の横滑りの防止制御をするためのECUである。本実施形態では、VSC-ECU50は、例えば、VSC-ECU50に接続された車速センサ(不図示)により検知された車両1の車速を示す車速情報をBSM-ECU(左)60Lなどへ送信する。
【0031】
BSM-ECU(左)60Lは、各種制御および各種演算などを行うCPU(不図示)、および、各種プログラムや各種データを記憶するメモリ(不図示)などを有し、BSM機能の動作を制御するためのECUであり、左後レーダセンサ61L(図2参照)、および、左側のドアミラー1L(図2参照)に組み込まれた左ドアミラーインジケータ62Lなどが接続されている。
【0032】
BSM-ECU(右)60Rは、各種制御および各種演算などを行うCPU(不図示)、および、各種プログラムや各種データを記憶するメモリ(不図示)などを有し、BSM機能の動作を制御するためのECUであり、右後レーダセンサ61R(図2参照)、および、右側のドアミラー1R(図2参照)に組み込まれた右ドアミラーインジケータ62Rなどが接続されている。
【0033】
BSM-ECU(左)60Lが他のECUから受信した高齢者設定有無情報を含むキー情報、左・右ターンスイッチ情報、警報エリアサイズ情報、シフト位置情報、および、車速情報などは、BSM-ECU(左)60LからBSM-ECU(右)60Rへ送信される。
【0034】
本実施形態では、BSM-ECU(左)60LおよびBSM-ECU(右)60Rのそれぞれのメモリ(不図示)には、最新の警報エリアサイズ情報(警報エリア「大」、警報エリア「小」)、および、最新の高齢者設定有無情報を含むキー情報などが記憶されている。
【0035】
左ドアミラーインジケータ62Lは、運転者に左側後方警報エリアWL(図2参照)の他車両を警報する際に利用されるものであり、右ドアミラーインジケータ62Rは、運転者に右側後方警報エリアWR(図2参照)の他車両を警報する際に利用されるものである。
【0036】
右後レーダセンサ61Rは、図2に示すように、車両1の車体の右後コーナー部に設けられ、ミリ波レーダ装置で構成されており、発信したミリ波の反射波に基づいて、物体を検知し、自車両1から検知した物体までの距離、物体の自車両1に対する相対速度、および、物体の自車両1に対する方位などの物体情報を演算により取得して、取得した物体情報をBSM-ECU(右)60Rへ送信する。
右後レーダセンサ61Rは、右後コーナー部から右斜め後方に向けたレーダ軸を中心として左右所定角度の範囲を物体の検出領域としている。この物体の検出領域には、右側後方警報エリアWR(右側後方死角用警報エリアWR1、右側後方設定時間用警報エリアWR2)が含まれている。
【0037】
左後レーダセンサ61Lは、図2に示すように、車両1の車体の左後コーナー部に設けられ、ミリ波レーダ装置で構成されており、発信したミリ波の反射波に基づいて、物体を検知し、自車両1から検知した物体までの距離、物体の自車両1に対する相対速度、および、物体の自車両1に対する方位などの物体情報を演算により取得して、取得した物体情報をBSM-ECU(左)60Lへ送信する。
左後レーダセンサ61Lは、左後コーナー部から左斜め後方に向けたレーダ軸を中心として左右所定角度の範囲を物体の検出領域としている。この物体の検出領域には、左側後方警報エリアWL(左側後方死角用警報エリアWL1、左側後方設定時間用警報エリアWL2)が含まれている。
【0038】
本実施形態のBSM-ECU(左)60LおよびBSM-ECU(右)60Rは、それぞれ、警報エリア設定処理および警報処理を行う。
BSM-ECU(左)60Lにおいて行われる警報エリア設定処理は、(警報エリア設定処理1)ドアロックが解錠されてボディECU20から高齢者設定有無情報を含むキー情報を受信してキー情報がメモリ(不図示)に記憶された場合、(警報エリア設定処理2)ドアロックが解錠されてボディECU20から高齢者設定有無情報を含むキー情報を受信してキー情報がメモリ(不図示)に記憶され、その後に、ユーザにより警報エリア「大」または警報エリア「小」が選択されてメータECU30から警報エリアサイズ情報を受信して警報エリアサイズ情報がメモリ(不図示)に記憶された場合などに行われる。
BSM-ECU(右)60Rにおいて行われる警報エリア設定処理は、(警報エリア設定処理1)ドアロックが解錠されてボディECU20から高齢者設定有無情報を含むキー情報をBSM-ECU(左)60Lを介して受信してキー情報がメモリ(不図示)に記憶された場合、(警報エリア設定処理2)ドアロックが解錠されてボディECU20から高齢者設定有無情報を含むキー情報をBSM-ECU(左)60Lを介して受信してキー情報がメモリ(不図示)に記憶され、その後に、ユーザにより警報エリア「大」または警報エリア「小」が選択されてメータECU30から警報エリアサイズ情報を受信して警報エリアサイズ情報がメモリ(不図示)に記憶された場合などに行われる。
【0039】
BSM-ECU(左)60LおよびBSM-ECU(右)60Rは、それぞれ、警報エリア設定処理において、メモリ(不図示)に記憶されている警報エリアサイズ情報に基づいて、警報エリアを警報エリア「大」又は「小」の警報エリアの何れに設定するかを判定し、警報エリアを、警報エリアサイズ情報が警報エリア「大」を示す場合には警報エリア「大」の警報エリアに設定し、警報エリアサイズ情報が警報エリア「小」を示す場合には警報エリア「小」の警報エリアに設定する(第1段階の警報エリア設定処理)。
第1段階の警報エリア設定処理では、上記の警報エリア設定処理2の場合には、ドアロック解除後に新たにユーザが設定した警報エリア「大」又は警報エリア「小」の警報エリアが警報エリアとして設定され、上記の警報エリア設定処理1の場合には、ドアロック解錠前であって直近にユーザが設定した警報エリア「大」又は警報エリア「小」の警報エリアが警報エリアとして設定される。
【0040】
BSM-ECU(左)60LおよびBSM-ECU(右)60Rは、それぞれ、警報エリア設定処理において、上記の第1段階の警報エリア設定処理に続いて、メモリ(不図示)に記憶されている高齢者設定有無情報に基づいて、ユーザキーが高齢者キーであるか否かを判定し、ユーザキーが高齢者キーである場合には第1段階の警報エリア設定処理において設定した警報エリアを拡大し、高齢者キーでない(非高齢者キーである)には警報エリアを拡大しない(第2段階の警報エリア設定処理)。
第2段階の警報エリア設定処理では、ユーザは通常行う必要があるドアロックの解錠以外の操作を新たに課されてはいない。
【0041】
ここで、メモリ(不図示)に記憶されている警報エリアサイズ情報が警報エリア「小」の警報エリアを示し、メモリ(不図示)に記憶されている高齢者設定有無情報が非高齢者キーであることを示す場合、警報エリアは、第1段階の警報エリア設定処理で警報エリア「小」の警報エリアに設定され、第2段階の警報エリア設定処理で拡大されず、警報処理では警報エリア「小」の警報エリア(図3(a)参照)が利用される。
また、メモリ(不図示)に記憶されている警報エリアサイズ情報が警報エリア「小」の警報エリアを示し、メモリ(不図示)に記憶されている高齢者設定有無情報が高齢者キーであることを示す場合、警報エリアは、第1段階の警報エリア設定処理で警報エリア「小」の警報エリアに設定された後に、第2段階の警報エリア設定処理で警報エリア「小」の警報エリアが拡大されて警報エリア「小」の拡大警報エリアに設定され、警報処理において警報エリア「小」の拡大警報エリア(図3(b)参照)が利用される。
【0042】
また、メモリ(不図示)に記憶されている警報エリアサイズ情報が警報エリア「大」の警報エリアを示し、メモリ(不図示)に記憶されている高齢者設定有無情報が非高齢者キーであることを示す場合、警報エリアは、第1段階の警報エリア設定処理で警報エリア「大」の警報エリアに設定され、第2段階の警報エリア設定処理で拡大されず、警報処理では警報エリア「大」の警報エリア(図3(a)参照)が利用される。
また、メモリ(不図示)に記憶されている警報エリアサイズ情報が警報エリア「大」の警報エリアを示し、メモリ(不図示)に記憶されている高齢者設定有無情報が高齢者キーであることを示す場合、警報エリアは、第1段階の警報エリア設定処理で警報エリア「大」の警報エリアに設定された後に、第2段階の警報エリア設定処理で警報エリア「大」の警報エリアが拡大されて警報エリア「大」の拡大警報エリアに設定され、警報処理において警報エリア「大」の拡大警報エリア(図3(b)参照)が利用される。
【0043】
BSM-ECU(左)60LおよびBSM-ECU(右)60Rは、それぞれ、警報処理において、警報エリア設定処理において設定された警報エリア内の他車両を検知して、運転者に警報エリア内の他車両を警報する。この警報処理は、シフトポジションが「R」以外である、自車両の車速が16(km/h)以上であるなどの条件を満たす場合に実行される。
【0044】
さらに記載すると、BSM-ECU(右)60Rは、警報処理において、右後レーダセンサ61Rから供給される上記の物体情報(自車両1から検知した物体までの距離、物体の自車両1に対する方位など)などに基づいて、右側後方警報エリアWRの右側後方死角用警報エリアWR1に車体が一部でも入っている他車両が存在するか否かを判断する。BSM-ECU(右)60Rは、当該他車両が存在すると判断した場合、右ターンランプのスイッチがオフのときには右ドアミラーインジケータ62Rを点灯させ、右ターンランプのスイッチがオンのときには右ドアミラーインジケータ62Rを点滅させるとともに、ブザー吹聴指令情報をBSM-ECU(左)60Lを介してメータECU30へ送信する。ブザー吹聴指令情報を受信したメータECU30は、メータECU30に接続されたスピーカ(不図示)からブザー音を出力する。
【0045】
また、BSM-ECU(右)60Rは、警報処理において、右後レーダセンサ61Rから供給される物体情報(自車両1から検知した物体までの距離、物体の自車両1に対する相対速度、および、物体の自車両1に対する方位など)などに基づいて、右側後方警報エリアWRの右側後方設定時間用警報エリアWR2の設定時間内に右側後方から右側後方死角用警報エリアWR1に侵入すると予測される他車両が存在するか否かを判断する。BSM-ECU(右)60Rは、当該他車両が存在すると判断した場合、右ターンランプのスイッチがオフのときには右ドアミラーインジケータ62Rを点灯させ、右ターンランプのスイッチがオンのときには右ドアミラーインジケータ62Rを点滅させるとともに、ブザー吹聴指令情報をBSM-ECU(左)60Lを介してメータECU30へ送信する。ブザー吹聴指令情報を受信したメータECU30は、メータECU30に接続されたスピーカ(不図示)からブザー音を出力する。
【0046】
また、BSM-ECU(左)60Lは、警報処理において、左後レーダセンサ61Lから供給される物体情報などに基づいて、左側後方警報エリアWLの左側後方死角用警報エリアWL1に車体が一部でも入っている他車両が存在するか否かを判断する。BSM-ECU(左)60Lは、当該他車両が存在すると判断した場合、左ターンランプのスイッチがオフのときには左ドアミラーインジケータ62Lを点灯させ、左ターンランプのスイッチがオンのときには左ドアミラーインジケータ62Lを点滅させるとともに、ブザー吹聴指令情報をメータECU30へ送信する。ブザー吹聴指令情報を受信したメータECU30は、メータECU30に接続されたスピーカ(不図示)からブザー音を出力する。
【0047】
また、BSM-ECU(左)60Lは、警報処理において、左後レーダセンサ61Lから供給される物体情報などに基づいて、左側後方警報エリアWLの左側後方設定時間用警報エリアWL2の設定時間内に左側後方から左側後方死角用警報エリアWL1に侵入すると予測される他車両が存在するか否かを判断する。BSM-ECU(左)60Lは、当該他車両が存在すると判断した場合、左ターンランプのスイッチがオフのときには左ドアミラーインジケータ62Lを点灯させ、左ターンランプのスイッチがオンのときには左ドアミラーインジケータ62Lを点滅させるとともに、ブザー吹聴指令情報をメータECU30へ送信する。ブザー吹聴指令情報を受信したメータECU30は、メータECU30に接続されたスピーカ(不図示)からブザー音を出力する。
【0048】
続いて、BSM-ECU(左)60LおよびBSM-ECU(右)60Rそれぞれにおいて行われる警報エリア設定処理および警報処理の処理手順について図4を参照して説明する。
【0049】
BSM-ECU(BSM-ECU(左)60L、BSM-ECU(右)60R)は、上記した警報エリア設定処理(第1段階の警報エリア設定処理、第2段階の警報エリア設定処理)に対応するステップS1~S6の処理を行う。
BSM-ECU(BSM-ECU(左)60L、BSM-ECU(右)60R)は、警報エリアを警報エリア「大」の警報エリアおよび警報エリア「小」の警報エリアのいずれに設定するかを判定する(ステップS1)。
【0050】
警報エリアを警報エリア「大」の警報エリアに設定すると判定した場合(ステップS1:大)、BSM-ECU(BSM-ECU(左)60L、BSM-ECU(右)60R)は、警報エリア(死角用警報エリアおよび設定時間用警報エリア)を警報エリア「大」の警報エリア(警報エリア「大」の警報エリアに対応する死角用警報エリアおよび設定時間用警報エリア)に設定し(ステップS2)、ステップS4の処理に進む。
【0051】
一方、警報エリアを警報エリア「小」の警報エリアに設定すると判定した場合(ステップS1:小)、BSM-ECU(BSM-ECU(左)60L、BSM-ECU(右)60R)は、警報エリア(死角用警報エリアおよび設定時間用警報エリア)を警報エリア「小」の警報エリア(警報エリア「小」の警報エリアに対応する死角用警報エリアおよび設定時間用警報エリア)に設定し(ステップS3)、ステップS4の処理に進む。
【0052】
BSM-ECU(BSM-ECU(左)60L、BSM-ECU(右)60R)は、ユーザキーが高齢者キーであるか否かを判定する(ステップS4)。
【0053】
ユーザキーが高齢者キーであると判定した場合(ステップS4:YES)、BSM-ECU(BSM-ECU(左)60L、BSM-ECU(右)60R)は、警報エリア(死角用警報エリアおよび設定時間用警報エリア)を拡大して拡大警報エリア(死角用拡大警報エリアおよび設定時間用拡大警報エリア)とし(ステップS5)、ステップS7に進む。
ここで、ステップS2で警報エリアが警報エリア「大」の警報エリア(警報エリア「大」の警報エリアに対応する死角用警報エリアおよび設定時間用警報エリア)に設定されていた場合には、警報エリアは、ステップS5の処理により、警報エリア「大」の警報エリア(警報エリア「大」の警報エリアに対応する死角用警報エリアおよび設定時間用警報エリア)から警報エリア「大」の拡大警報エリア(警報エリア「大」の拡大警報エリアに対応する死角用拡大警報エリアおよび設定時間用拡大警報エリア)に拡大される。
また、ステップS2で警報エリアが警報エリア「小」の警報エリア(警報エリア「小」の警報エリアに対応する死角用警報エリアおよび設定時間用警報エリア)に設定されていた場合には、警報エリアは、ステップS5の処理により、警報エリア「小」の警報エリア(警報エリア「小」の警報エリアに対応する死角用警報エリアおよび設定時間用警報エリア)から警報エリア「小」の拡大警報エリア(警報エリア「小」の拡大警報エリアに対応する死角用拡大警報エリアおよび設定時間用拡大警報エリア)に拡大される。
【0054】
一方、ユーザキーが非高齢者キーであると判定した場合(ステップS4:NO)、BSM-ECU(BSM-ECU(左)60L、BSM-ECU(右)60R)は、警報エリア(死角用警報エリアおよび設定時間用警報エリア)を拡大せず(ステップS6)、ステップS7に進む。
ここで、ステップS2で警報エリアが警報エリア「大」の警報エリア(警報エリア「大」の警報エリアに対応する死角用警報エリアおよび設定時間用警報エリア)に設定されていた場合には、警報エリアは、ステップS6の処理により拡大されず、警報エリア「大」の警報エリア(警報エリア「大」の警報エリアに対応する死角用警報エリアおよび設定時間用警報エリア)のままになる。
また、ステップS2で警報エリアが警報エリア「小」の警報エリア(警報エリア「小」の警報エリアに対応する死角用警報エリアおよび設定時間用警報エリア)に設定されていた場合には、警報エリアは、ステップS6の処理により拡大されず、警報エリア「小」の警報エリア(警報エリア「小」の警報エリアに対応する死角用警報エリアおよび設定時間用警報エリア)のままになる。
【0055】
BSM-ECU(BSM-ECU(左)60L、BSM-ECU(右)60R)は、上記した警報処理に対応するステップS7~S8の処理を行う。
BSM-ECU(BSM-ECU(左)60L、BSM-ECU(右)60R)は、上述した警報処理において記載したようにして、ステップS1~S6の処理により設定された警報エリア(死角用警報エリア、設定時間用警報エリア)内に他車両が存在するか否かを判定する(ステップS7)。警報エリア(死角用警報エリア、設定時間用警報エリア)内に他車両が存在すると判定しなかった場合(ステップS7:NO)、ステップS7の処理に戻る。一方、警報エリア(死角用警報エリア、設定時間用警報エリア)内に他車両が存在すると判定した場合(ステップS7:YES)、BSM-ECU(BSM-ECU(左)60L、BSM-ECU(右)60R)は、上述した警報処理において記載したように、ドアミラーインジケータ(右・左ドアミラーインジケータ62R,62L)などを利用して警報を行い(ステップS8)、ステップS7の処理に戻る。
【0056】
上記した実施形態によれば、警報エリアを最初に警報エリア「大」または警報エリア「小」の警報エリアに設定する(ステップS2またはステップS3)。そして、ユーザキーが高齢者キーであるか否かを判定し(ステップS4)、ユーザキーが非高齢者キーである場合には(ステップS4:NO)警報エリアを拡大せず(ステップS6)、高齢者キーである場合には(ステップS4:YES)警報エリアを拡大する(ステップS7)。これにより、警報エリアを、ユーザの操作負担の増大を抑えながら、ユーザに適したものに設定することを可能にし、例えばあるユーザには早めに警報を行い、別のユーザには、当該別のユーザにとって不要な警報の介入の煩わしさを軽減することができる。
【0057】
また、ユーザキーが高齢者キーである場合はユーザキーが非高齢者キーである場合に比べて警報が行われやすくなって、高齢者の運転支援を強化することができる。
【0058】
また、死角用警報エリアおよび設定時間用警報エリアのそれぞれに関して、ユーザキーの種類(高齢者キー、非高齢者キー)に応じて警報を適切に行うことができる。
【0059】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態において、ステップS1~S3で設定する警報エリアのサイズは、「大」、「小」の2段階として説明したが、これに限定されるものではなく、「大」、「中」、「小」の3段階などN(Nは3以上の整数)段階としてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、警報エリア「小」の警報エリアを拡大して警報エリア「小」の拡大警報エリアとする場合と、警報エリア「大」の警報エリアを拡大して警報エリア「大」の拡大警報エリアとする場合との両者において、加算する距離および加算する時間を同じ1(m)、1(s)としているが、これに限定されるものではなく、例えば前者では1(m)、1(s)とし、後者では2(m)、2(s)とするなど、両者の間で異なる値としてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、1(m)、1(s)を加算して設定距離および設定時間を大きくすることで警報エリアを拡大警報エリアに拡大しているが、これに限定されるものではなく、例えば、A(1より大きい値)、B(1より大きい値)を乗算して設定距離および設定時間を大きくすることで警報エリアを拡大警報エリアに拡大するようにしてもよい。
【0063】
上記実施形態では、警報エリアの設定の例としてBSM機能を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、上記実施形態で説明した警報エリアの設定の考え方をリアクロストラフィックアラート(RCTA)機能に応用することができ、RCTA機能に対する警報エリアの設定について図5および図6を参照して説明する。
【0064】
RCTA機能は、運転者による車両の後退時に運転者の運転を支援する運転支援機能であり、車両(自車両)1Aの右側後方または左側後方から接近する他車両2A,3Aを監視して、運転者が注意すべき他車両(注意対象車両)が検知されている場合にドアミラーに配置されたインジケータを点滅させたりブザー音を鳴らしたりするなどして運転者に注意を喚起する機能である。RCTA機能での注意対象車両とは、右後方または左後方から接近してきて自車両の右側面後方または左側面後方に設定時間内に到達する他車両である。
【0065】
警報エリアとして、図5に示すように、自車両1Aの右側後方から接近してくる他車両2Aを警報する警報エリア(以下、「右側後方警報エリア」と記載する。)WWRと、自車両1Aの左側後方から接近してくる他車両3Aを警報する警報エリア(以下、「左側後方警報エリア」と記載する。)WWLとがある。ここで、右後レーダセンサ61Rの物体の検出領域には警報エリアWWRが含まれており、左後レーダセンサ61Lの物体の検出領域には警報エリアWWLが含まれている。
右側後方警報エリアWWRとして、設定時間TT(s)内に自車両1Aの右側後方から接近して自車両1の右側面後方に到達すると予測される他車両2Aが存在するエリア(以下、「右側後方設定時間用警報エリア」と記載する。)WWR1がある。
左側後方警報エリアWWLとして、設定時間TT(s)内に自車両1Aの左側後方から接近して自車両1の左側面後方に到達すると予測される他車両3Aが存在するエリア(以下、「左側後方設定時間用警報エリア」と記載する。)WWL1がある。
【0066】
右側後方警報エリアWWRとして、図6に示すように、(1)右側後方警報エリアWWRAと、(2)右側後方警報エリアWWRAを拡大した右側後方拡大警報エリアWWRBとの2通りがあり、左側後方警報エリアWWLとして、(3)左側後方警報エリア(説明の便宜上、符号「WWLA」を付加する。)と、(4)左側後方警報エリアを拡大した左側後方拡大警報エリア(説明の便宜上、符号「WWLB」を付加する。)との2通りがある。
【0067】
右側後方警報エリアWWRAの右側後方設定時間用警報エリアWWRA1の設定時間TT(s)はTTR1(s)であり、右側後方拡大警報エリアWWRBの右側後方設定時間用拡大警報エリアWWRB1の設定時間TT(s)は右側後方設定時間用警報エリアWWRA1の設定時間TT(s)=TTR1(s)より大きいTTR2(s)である。
右側後方警報エリアWWRA(右側後方設定時間用警報エリアWWRA1)はユーザキーが非高齢者キーである場合に利用され、右側後方拡大警報エリアWWRB(右側後方設定時間用拡大警報エリアWWRB1)はユーザキーが高齢者キーである場合に利用され、前者と後者との関係の一例を図示すると、前者は図6(a)に示され、後者は図6(b)に示されるものとなる。
【0068】
左側後方警報エリアWWLAの左側後方設定時間用警報エリアの設定時間TT(s)はTTR1(s)であり、左側後方拡大警報エリアWWLBの左側後方設定時間用拡大警報エリアの設定時間TT(s)は左側後方設定時間用警報エリアの設定時間TT(s)=TTR1(s)より大きいTTR2(s)である。
左側後方警報エリアWWLA(左側後方設定時間用警報エリア)はユーザキーが非高齢者キーである場合に利用され、左側後方拡大警報エリアWWLB(左側後方設定時間用拡大警報エリア)はユーザキーが高齢者キーである場合に利用される。
【0069】
変形例のBSM-ECU(左)60LおよびBSM-ECU(右)60Rは、それぞれ、警報エリア設定処理および警報処理を行う。
BSM-ECU(左)60LおよびBSM-ECU(右)60Rは、それぞれ、警報エリア設定処理において、左側後方警報エリアWWLAおよび右側後方警報エリアWWRAを左側後方警報エリアおよび右側後方警報エリアとして設定する(第1段階の警報エリア設定処理)。BSM-ECU(左)60LおよびBSM-ECU(右)60Rは、それぞれ、警報エリア設定処理において、第1段階の警報エリア設定処理に続いて、ユーザキーが高齢者キーであるか否かを判定し、ユーザキーが高齢者キーであると判定した場合には左側後方警報エリアWWLAおよび右側後方警報エリアWWRAを拡大し、左側後方拡大警報エリアおよび右側後方拡大警報エリアWWRBを左側後方警報エリアおよび右側後方警報エリアとして設定し、ユーザキーが非高齢者キーであると判定した場合には第1段階の警報エリア設定処理で設定した左側後方警報エリアおよび右側後方警報エリアWWRAを拡大せずにそのままにする(第2段階の警報エリア設定処理)。
【0070】
BSM-ECU(左)60LおよびBSM-ECU(右)60Rは、それぞれ、警報処理において、警報エリア設定処理において設定された警報エリア内の他車両を検知して、運転者に警報エリア内の他車両を警報する。この警報処理は、シフトポジションが「R」であるなどの条件を満たす場合に実行される。
【0071】
さらに記載すると、BSM-ECU(右)60Rは、警報処理において、右後レーダセンサ61Rから供給される物体情報(自車両1から検知した物体までの距離、物体の自車両1に対する相対速度、および、物体の自車両1に対する方位など)などに基づいて、警報エリア設定処理において設定された右側後方警報エリアの右側後方設定時間用警報エリアの設定時間内に自車両1Aの右側後方から接近して自車両1の右側面後方に達すると予測される他車両が存在するか否かを判断する。BSM-ECU(右)60Rは、当該他車両が存在すると判断した場合、右ドアミラーインジケータ62Rを点滅させるとともに、ブザー吹聴指令情報をBSM-ECU(左)60Lを経由してメータECU30へ送信する。ブザー吹聴指令情報を受信したメータECU30は、メータECU30に接続されたスピーカ(不図示)からブザー音を出力する処理を行う。
【0072】
また、BSM-ECU(左)60Lは、警報処理において、左後レーダセンサ61Lから供給される物体情報などに基づいて、警報エリア設定処理において設定された左側後方警報エリアの左側後方設定時間用警報エリアの設定時間内に自車両1Aの左側後方から接近して自車両1の左側面後方に達すると予測される他車両が存在するか否かを判断する。BSM-ECU(左)60Lは、当該他車両が存在すると判断した場合、左ドアミラーインジケータ62Lを点滅させるとともに、ブザー吹聴指令情報をメータECU30へ送信する。ブザー吹聴指令情報を受信したメータECU30は、メータECU30に接続されたスピーカ(不図示)からブザー音を出力する処理を行う。
【0073】
上記した変形によれば、ユーザキーが非高齢者キーである場合には最初に設定した警報エリアを拡大せず、高齢者キーである場合には最初に設定した警報エリアを拡大する。これにより、警報エリアを、ユーザの操作負担の増大を抑えながら、ユーザに適したものに設定することを可能にし、例えばあるユーザには早めに警報を行い、別のユーザには警報の介入の煩わしさを軽減することができる。また、ユーザキーが高齢者キーである場合はユーザキーが非高齢者キーである場合に比べて警報が行われやすくなって、高齢者の運転支援を強化することができる。
【0074】
また、上記の実施形態で説明した内容や上記の変形例で説明した内容を適宜組み合わせるようにしてもよい。
【0075】
本発明は、運転者の運転支援を行う車両用制御装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1:車両(自車両)
2,3:他車両
10:車両用制御装置
20:ボディECU
30:メータECU
40:CVT-ECU
50:VSC-ECU
60L:BSM-ECU(左)
60R:BSM-ECU(右)
図1
図2
図3
図4
図5
図6