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特開2024-51391冷媒流路モジュールの製造方法、及び、組立治具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051391
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】冷媒流路モジュールの製造方法、及び、組立治具
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/30 20110101AFI20240404BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240404BHJP
   F25B 41/40 20210101ALI20240404BHJP
   F16K 27/00 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
F24F1/30
F25B1/00 D
F25B41/40 B
F16K27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157533
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱舘 潤一
(72)【発明者】
【氏名】小池 史朗
(72)【発明者】
【氏名】木下 厚志
【テーマコード(参考)】
3H051
3L054
【Fターム(参考)】
3H051BB10
3H051CC01
3H051FF08
3H051FF09
3L054BB03
3L054BC01
(57)【要約】
【課題】冷媒流路モジュールを製造しやすくする。
【解決手段】積層された複数のプレート21,22を有しかつ内部に冷媒の流路15が形成された冷媒流路モジュール10の製造方法であって、複数のプレート21,22を積層させるための載置面71aを有する組立治具70によって、載置面71aに垂直な姿勢で複数のボルト31を保持する第1工程、組立治具70で保持されたボルト31を各プレート21,22に形成された挿通孔16に挿入しながら、複数のプレート21,22を載置面71a上に積層する第2工程、及び、積層された複数のプレート21,22から突出するボルト31の先端にナット32を締め付ける第3工程を含む。
【選択図】図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数のプレート(21,22)を有しかつ内部に冷媒の流路(15)が形成された冷媒流路モジュール(10)の製造方法であって、
前記複数のプレート(21,22)を積層させるための載置面(71a)を有する組立治具(70)によって、前記載置面(71a)に垂直な姿勢で複数のボルト(31)を保持する第1工程、
前記組立治具(70)で保持された前記ボルト(31)を前記各プレート(21,22)に形成された挿通孔(16)に挿入しながら、前記複数のプレート(21,22)を前記載置面(71a)上に積層する第2工程、及び、
積層された前記複数のプレート(21,22)から突出する前記ボルト(31)の先端にナット(32)を締め付ける第3工程を含む、冷媒流路モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記組立治具(70)が、前記ボルト(31)の頭部(31a)を保持する保持部(72)を有し、
前記保持部(72)が、前記頭部(31a)に噛み合う形状を有する、請求項1に記載の冷媒流路モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記第1工程において、前記組立治具(70)で保持された複数のボルト(31)が、第1ボルト(31A)と、当該第1ボルト(31A)よりも前記載置面(71a)からの突出長さが大きい第2ボルト(31B)と、を含む、請求項1又は2に記載の冷媒流路モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記組立治具(70)が、前記各ボルト(31)の頭部(31a)を保持する複数の保持部(72)を有し、
前記各保持部(72)が、前記頭部(31a)が挿入される凹部(72a)を有しており、
複数の前記凹部(72a)が、第1凹部(72a1)と、前記第1凹部(72a1)よりも浅い第2凹部(72a2)とを含む、請求項3に記載の冷媒流路モジュールの製造方法。
【請求項5】
積層して配置された複数のプレート(21,22)を有し、内部に冷媒の流路(15)が形成された冷媒流路モジュール(10)を組み立てるための組立治具であって、
前記複数のプレート(21,22)を積層させる載置面(71a)を有する基材(71)と、前記複数のプレート(21,22)を締結するための複数のボルト(31)をそれぞれ前記載置面(71a)に垂直な姿勢で保持する複数の保持部(72)と、を備える、冷媒流路モジュールの組立治具。
【請求項6】
前記各保持部(72)が、前記ボルト(31)の頭部(31a)に噛み合う形状に形成されている、請求項5に記載の冷媒流路モジュールの組立治具。
【請求項7】
前記各保持部(72)が、前記基材(71)に形成され前記ボルト(31)の頭部(31a)が挿入される凹部(72a)を有し、
複数の前記凹部(72a)が、第1凹部(72a1)と、前記第1凹部(72a1)よりも浅い第2凹部(72a2)とを含む、請求項5又は6に記載の冷媒流路モジュールの組立治具。
【請求項8】
前記載置面(71a)に直接積層される前記プレート(21)の前記基材(71)側の面を露出させかつ当該面に沿った方向に開口する凹所(71b)が前記基材(71)に形成される、請求項5又は6に記載の冷媒流路モジュールの組立治具。
【請求項9】
前記載置面(71a)に直接積層される前記プレート(21)に接続される接続管(12)を配置するためのスペース(71c)が、前記基材(71)に形成される、請求項5又は6に記載の冷媒流路モジュールの組立治具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷媒流路モジュールの製造方法、及び、組立治具に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行う冷媒回路を備えた冷凍装置では、例えば、特許文献1に示されるように、冷媒が流れる複数の冷媒配管を1つのモジュール(冷媒流路モジュール)にまとめ、冷媒回路の小型化を図ることが知られている。このモジュールは、例えば、複数のプレートを互いに重ね合わせて形成されたろう付けすることによって製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-116694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の冷媒流路モジュールにおいて、各プレートに反り等の歪があると、隣接するプレートの隙間が所定よりも大きくなり、プレート間の全体にろう材を浸透させ難くなる等、製造に支障が生じる恐れがある。
【0005】
本開示は、冷媒流路モジュールを製造しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示は、
積層された複数のプレートを有しかつ内部に冷媒の流路が形成された冷媒流路モジュールの製造方法であって、
前記複数のプレートを積層させるための載置面を有する組立治具によって、前記載置面に垂直な姿勢で複数のボルトを保持する第1工程、
前記組立治具で保持された前記ボルトを前記各プレートに形成された挿通孔に挿入しながら、前記複数のプレートを前記載置面上に積層する第2工程、及び、
積層された前記複数のプレートから突出する前記ボルトの先端にナットを締め付ける第3工程を含む。
【0007】
この構成によれば、複数のプレートをボルト及びナットで締結することによって各プレートの歪を小さくし、隣接するプレートの隙間を所定に保ち、プレート同士を接合しやすくすることができる。また、組立治具で保持したボルトによって複数のプレートを容易に位置合わせしながら載置面上に積層することができる。
【0008】
(2)上記(1)の製造方法において、好ましくは、前記組立治具が、前記ボルトの頭部を保持する保持部を有し、
前記保持部が、前記頭部に噛み合う形状を有する。
【0009】
この構成によれば、ボルトにナットを締め付けるときに保持部でボルトを回り止めすることができる。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)の製造方法において、好ましくは、前記第1工程において、前記組立治具で保持された複数のボルトが、第1ボルトと、当該第1ボルトよりも前記載置面からの突出長さが大きい第2ボルトと、を含む。
【0011】
この構成によれば、第2ボルトは、第1ボルトよりも組立治具の載置面から大きく突出するため、プレートの挿通孔に挿入しやすくなる。最初に第2ボルトを各プレートの挿通孔に挿入することで、第1ボルトと各プレートの他の挿通孔との位置を合わせやすくなり、当該他の挿通孔に第1ボルトを挿入しやすくすることができる。
【0012】
(4)上記(3)の製造方法において、好ましくは、前記組立治具が、前記各ボルトの頭部を保持する複数の保持部を有し、
前記各保持部が、前記頭部が挿入される凹部を有しており、
複数の前記凹部が、第1凹部と、前記第1凹部よりも浅い第2凹部とを含む。
【0013】
この構成によれば、同じ長さの複数のボルトを第1凹部及び第2凹部に挿入することで、これらの複数のボルトを、載置面からの突出長さの異なる第1ボルト及び第2ボルトとすることができる。
【0014】
(5)本開示は、積層して配置された複数のプレートを有し、内部に冷媒の流路が形成された冷媒流路モジュールを組み立てるための組立治具であって、
前記複数のプレートを積層させる載置面を有する基材と、前記複数のプレートを締結するための複数のボルトをそれぞれ前記載置面に垂直な姿勢で保持する複数の保持部と、を備える。
【0015】
上記構成の組立治具によれば、保持部に保持されたボルトを各プレートに形成された挿通孔に挿入しつつ、複数のプレートを載置面上に積層することで、ボルトによって複数のプレートを容易に位置合わせすることができる。積層後は、積層されたプレートから突出するボルトの先端にナットを締め付けることで、複数のプレートの歪を小さくし、隣接するプレートの隙間を所定に保ち、プレート同士を接合しやすくすることができる。
【0016】
(6)上記(5)の組立治具において、好ましくは、前記各保持部が、前記ボルトの頭部に噛み合う形状に形成されている。
【0017】
この構成によれば、ボルトにナットを締め付けるときに保持部でボルトを回り止めすることができる。
【0018】
(7)上記(5)又は(6)の組立治具において、好ましくは、前記各保持部が、前記基材に形成され前記ボルトの頭部が挿入される凹部を有し、
複数の前記凹部が、第1凹部と、前記第1凹部よりも浅い第2凹部とを含む。
【0019】
この構成によれば、第2凹部に挿入されたボルトは、第1凹部に挿入されたボルトよりも組立治具の載置面から大きく突出するため、プレートの挿通孔に挿入しやすくなる。最初に、第2凹部に挿入されたボルトを各プレートの挿通孔に挿入することで、他のボルトと各プレートの他の挿通孔との位置を合わせやすくなり、当該他の挿通孔に他のボルトを挿入しやすくすることができる。
【0020】
(8)上記(5)~(7)のいずれかに記載の組立治具において、前記載置面に直接積層される前記プレートの前記基材側の面を露出させかつ当該面に沿った方向に開口する凹所が前記基材に形成される。
【0021】
この構成によれば、載置面上に積層された複数のプレートをボルト及びナットで締結した後、作業者の手を凹所に挿入することで、積層されたプレート全体を手で持って載置面から取り外しやすくすることができる。
【0022】
(9)上記(5)~(8)のいずれかに記載の組立治具において、前記載置面に直接積層される前記プレートに接続される接続管を配置するためのスペースが、前記基材に形成される。
【0023】
この構成によれば、基材に形成されたスペースに接続管を配置した状態で、載置面上にプレートを積層することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の一実施形態に係る冷媒流路モジュールの斜視図である。
図2】冷媒流路モジュールの平面図である。
図3】冷媒流路モジュールの正面図(一部断面図)である。
図4】締結部材によるプレートの締結部分を拡大して示す断面図である。
図5】冷媒流路モジュールを分解して示す正面図である。
図6】組立治具を示す斜視図である。
図7A】組立治具を用いた製造手順を説明する斜視図である。
図7B】組立治具を用いた製造手順を説明する斜視図である。
図8】保持部を拡大して示す斜視図である。
図9図7AのIX-IX矢視断面図である。
図10】組立治具に接続管をセットした状態を示す断面図である。
図11】組立治具の凹所に手を挿入した状態を示す断面図である。
図12】変形例に係る保持部を拡大して示す斜視図である。
図13】変形例に係る保持部を拡大して示す断面図である。
図14】本開示の実施形態に係る空気調和機の内部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本開示の一実施形態に係る冷媒流路モジュールの斜視図である。図2は、冷媒流路モジュールの平面図である。図3は、冷媒流路モジュールの正面図(一部断面図)である。
【0026】
本実施形態の冷媒流路モジュール10は、例えば、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行う冷媒回路を備えた空気調和機に適用される。冷媒流路モジュール10には、冷凍回路を構成する四路切換弁、電磁弁、圧縮機、アキュムレータ、オイルセパレータ等の機器が接続される。
【0027】
冷媒流路モジュール10は、モジュール本体11と、接続管(継手管)12と、締結部材13とを有している。モジュール本体11の内部には冷媒が流れる流路15(図2図3参照)が形成されている。モジュール本体11は、複数のプレート21,22を有している。複数のプレート21,22は、互いに積層され、接合されている。互い隣接するプレート21,22同士は、ろう付けによって接合されている。本実施形態におけるモジュール本体11は、例えば、複数のプレート21,22が積層される方向を上下方向又は水平方向に向けた状態で空気調和機のケーシング内に支持される。
【0028】
本実施形態のプレート21,22は、ステンレス製である。本実施形態のプレート21,22は、例えば、SUS304Lにより形成されている。プレート21,22は、長方形状の板面を有する。以下の説明では、プレート21,22の板面に垂直な方向(プレート21,22の法線方向)、言い換えると、複数のプレート21,22が積層される方向を第1方向Zともいう。プレート21,22の板面に沿った方向(第1方向Zに直交する方向)であって、互いに直交する2つの方向を第2方向X及び第3方向Yともいう。本実施形態では、各プレート21,22の長辺が第2方向Xに沿って配置され、短辺が第3方向Yに沿って配置されるものとする。プレート21,22の外形は、長方形に限定されず、正方形、四角形以外の多角形、又は、楕円形及び長円形を含む円形等に形成されていてもよい。
【0029】
複数のプレート21,22は、互いに同一形状の長方形の板面を有している。複数のプレート21,22は、同一の厚さ(第1方向Zの長さ)を有している。ただし、複数のプレート21,22は、互いに異なる長方形状、例えば長辺の長さ又は短辺の長さが互いに異なっていてもよく、異なる厚さを有していてもよい。
【0030】
複数のプレート21,22は、第1方向Zの両端に配置される2枚の端部プレート21と、2枚の端部プレート21の間に配置される中間プレート22とを含む。本実施形態の冷媒流路モジュール10は、3枚の中間プレート22を有している。3枚の中間プレート22は、両端の端部プレート21の間で積層されている。
【0031】
図2及び図3に示すように、各端部プレート21には、接続管12を取り付けるための第1開口23が形成されている。第1開口23は、端部プレート21を第1方向Zに貫通している。第1開口23は、円形状である。
【0032】
各中間プレート22には、冷媒の流路15を形成する第2開口24が形成されている。第2開口24は、中間プレート22を第1方向Zに貫通している。第2開口24は、第2方向X又は第3方向Yに長く形成されるか、円形状に形成される。第2開口24の形状は特に限定されるものではなく、必要となる流路15の形態に応じて適宜形状が設定される。
【0033】
接続管12は、円筒形状に形成されている。接続管12は、直線状の管軸心を有する。接続管12の外径及び内径は一定である。接続管12は、銅を主成分とする材料、例えば、銅(純銅)又は銅合金により形成されている。接続管12は、その管軸心が第1方向Zと平行に配置されている。したがって、接続管12の管軸心と端部プレート21の板面とは垂直である。接続管12の管軸心方向の一端部は、端部プレート21に形成された第1開口23に挿入されている。接続管12の外周面と第1開口23の内周面とはろう付けによって接合されている。なお、「第1開口23の内周面」とは、端部プレート21の第1開口23を構成する面をいう。
【0034】
接続管12は、外径及び内径が変化する形状に形成されていてもよい。例えば、接続管12は、第1開口23に挿入される一端部とは反対の、管軸心方向の他端部における外径及び内径が、拡大又は縮小されていてもよい。
【0035】
接続管12の他端部には、例えば空気調和機の冷媒回路を構成する冷媒配管が接続される。接続管12の他端部には、冷媒回路を構成する弁等の要素部品のポートが直接接続されていてもよい。
【0036】
図4は、締結部材によるプレートの締結部分を拡大して示す断面図である。
締結部材13は、複数のプレート21,22同士を締結する。締結部材13は、ステンレス製である。締結部材13は、例えば、SUS430により形成されている。締結部材13は、ボルト31とナット32とを有する。ボルト31は、例えば六角ボルトであり、軸部31aと頭部31bとを有する。軸部31aは円柱状に形成されている。頭部31bは軸部31aの長手方向の一端に形成されている。頭部31bの外周面は六角形状に形成されている。頭部31bとは反対側の軸部31aの端部の外周面には、ねじ溝31a1が形成されている。
【0037】
ナット32は、例えば、六角ナットである。ナット32は筒状に形成されている。ナット32の内周面には、ねじ溝32a1が形成されている。ナット32のねじ溝32a1は、ボルト31のねじ溝31a1に係合可能である。ナット32の外周面は、六角形状に形成されている。ナット32は、袋ナットであってもよい。
【0038】
モジュール本体11には、ボルト31の軸部31aが挿入される挿通孔16が形成されている。挿通孔16は、モジュール本体11の各プレート21,22を第1方向Zに貫通している。ナット32は、挿通孔16に挿入されたボルト31の先端部に取り付けられる。ボルト31のねじ溝31a1とナット32のねじ溝32a1とを係合させることで、ボルト31とナット32とが連結される。複数のプレート21,22は、ボルト31の頭部31bとナット32との間で挟まれ、第1方向Zに互いに接近するように締結される。
【0039】
本実施形態では、図2に示すように、複数の締結部材13がモジュール本体11に取り付けられている。複数の締結部材13は、モジュール本体11の4隅と、略中央部との合計5カ所に取り付けられている。ただし、締結部材13の数や位置については特に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0040】
(冷媒流路モジュールの製造方法)
図5は、冷媒流路モジュールを分解して示す正面図である。
モジュール本体11を構成する複数のプレート21,22はろう付けによって接合される。複数のプレート21,22をろう付けするためのろう材17には、銅を含むろう材、例えば青銅ろうが用いられる。冷媒流路モジュール10を製造するには、まず、隣接するプレート21,22の間にシート状のろう材17を配置し、これらを積層する。シート状のろう材17には、挿通孔16に対応する挿通孔が形成される。その後、積層したプレート21,22及びろう材17の挿通孔16にボルト31の軸部31aを挿入し、軸部31aの上端部のねじ溝31a1にナット32を取り付け、複数のプレート21,22をボルト31及びナット32で締結する。その後、締結部材13で締結されたプレート21,22をろう付け用の炉に投入し加熱する。これにより、ろう材17が溶融され、複数のプレート21,22が接合される。以上により、複数のプレート21,22の各間には、図4に示すように、シート状のろう材17が溶融して形成されるろう付け部17(ろう材17と同じ符号を付して示す)が設けられる。
【0041】
隣接するプレート21,22同士をろう付けする場合、両者の間にろう材17を浸透させるには、適切な微小な隙間(例えば、0.05mm)が形成されている必要がある。しかしながら、各プレート21,22は、製造過程におけるプレス加工等によって反り等の歪が発生することがあり、この歪によってプレート21,22間の隙間が拡大し、ろう材17が適切に浸透しなくなる可能性がある。本実施形態では、ろう付け前に複数枚のプレート21,22が締結部材13で締結されるので、各プレート21,22に発生した反り等の歪を矯正することができ、隣接するプレート21,22の間にろう付けに適した微小な隙間を形成することができる。
【0042】
締結部材13は、各プレート21,22よりも熱膨張係数が小さい。例えば、締結部材13の熱膨張係数は、プレート21,22の熱膨張係数の0.5~0.8倍である。そのため、締結部材13で締結した複数のプレート21,22を炉内で加熱すると、締結部材13よりもプレート21,22が大きく熱膨張する。そのため、締結部材13による締結がより強くなり、プレート21,22の反りをより矯正することができる。
【0043】
図6は、組立治具を示す斜視図である。図7A及び図7Bは、組立治具を用いた製造手順を説明する斜視図である。
冷媒流路モジュール10は、図6に示される組立治具70を用いて仮組される。組立治具70は、基材71を有する。基材71は、略長方形の板状に形成されている。図6には、基材71の板面の法線方向を第1方向Zと平行に配置し、基材71の長辺を第2方向Xと平行に配置し、短辺を第3方向Yと平行に配置した状態を示している。基材71の長辺及び短辺の長さは、冷媒流路モジュール10のプレート21,22の長辺及び短辺の長さと略同一である。
【0044】
第1方向(上下方向)Zにおける基材71の一方の面(上面)71aは、載置面とされている。この載置面71aは、複数のプレート21,22を載せて積層させるために用いられる。
基材71の第2方向Xの両側に配置された短辺には、凹所71bが形成されている。凹所71bは、第2方向Xの外側に開口している。この凹所71bは、載置面71aにプレート21を載置したときに、当該プレート21の基材71側の面(下面)を露出させる。
【0045】
基材71の内部には、基材71を第1方向(上下方向)Zに貫通する開口71cが形成されている。この開口71cは、後述するようにモジュール本体11に接続される接続管12を配置するためのスペースとなる。本実施形態では、基材71に2つの開口71cが形成されている。ただし、開口71cは、接続管12の配置に応じて位置、数、形状を適宜変更することができる。接続管12を配置するためのスペースは、基材71を第1方向Zに貫通する開口71cでなくてもよく、底部が閉じた凹部であってもよい。
【0046】
基材71の載置面71aには、締結部材13のボルト31を保持するための保持部72が設けられている。図8は、保持部を拡大して示す斜視図である。本実施形態の保持部72は、ボルト31の頭部31bが保持される凹部72aにより構成されている。凹部72aの内周面は、ボルト31の頭部31bの外周面に適合した六角形状に形成されている。凹部72aの底部には、基材71の載置面71aとは反対側の面まで貫通する孔71dが形成されている。71dの径は、凹部72aの径よりも小さい。
【0047】
本実施形態では、冷媒流路モジュール10の締結部材13におけるボルト31と同じ数の凹部72aが形成されている。複数の凹部72aは、冷媒流路モジュール10の複数のボルト31と同じ配置で基材71に設けられている。ボルト31は、凹部72aに頭部31bが挿入されることによって保持される。
【0048】
図7Aに示すように、凹部72aで保持されたボルト31の軸部31aは、基材71の載置面71aに垂直な姿勢となる。凹部72aの内周面は、ボルト31の頭部31bの外周面に適合した六角形状に形成されているので、頭部31bの外周面である六面が、凹部72aの内周面である六面に接触可能となる。言い換えると、ボルト31の頭部31bが凹部72aに噛み合った状態になる。これにより、ボルト31が回り止めされる。
【0049】
なお、凹部72aの内周面は、必ずしもボルト31の頭部31bの外周面に適合していなくてもよく、頭部31bに噛み合うことができればよい。例えば、凹部72aの内周面は、頭部31bの外周面のうち互いに逆方向に向いた2つの面に接触可能な、2つの面を有していればよい。
【0050】
本実施形態の組立治具70を用いた冷媒流路モジュール10の仮組作業は、次の工程を含む。
(1)組立治具70のセッティング工程
(2)ボルト31の保持工程
(3)プレート21,22の積層工程
(4)プレート21,22の締結工程
(5)冷媒流路モジュール10の移送工程
【0051】
(1)のセッティング工程では、組立治具70の基材71を作業台等に載せ、載置面71aを水平な姿勢にする。
【0052】
(2)の保持工程では、図7Aに示すように、組立治具70の複数の凹部72aにそれぞれボルト31の頭部31bを挿入する。これにより、ボルト31の軸部31aを載置面71aから上方に突出させる。
【0053】
(3)の積層工程では、まず最初に、積層方向の一端に配置されるプレート21を、基材71の載置面71aに載置する。具体的には、当該プレート21に形成された挿通孔16に凹部72aに保持されたボルト31を挿入しながら、当該プレート21を載置面71a上に載置する。このとき、ボルト31は、プレート21のガイドとして機能し、載置面71a上の適正な位置にプレート21を位置付ける。
【0054】
次いで、プレート21に形成された第1開口23に、接続管12を上側から挿入する。この接続管12の外径は、第1開口23の内径よりも僅かに小さい。しかし、接続管12の一端(上端)12aは、図10に示すように、径方向外方へ僅かに拡げられ、第1開口23の内径よりも僅かに大きくなっている。そのため、第1開口23に挿入された接続管12は、第1開口23から抜け落ちず、適正な位置で保持される。接続管12は、基材71に形成された開口71cに配置される。
【0055】
接続管12を第1開口23に挿入するとき、予めリングろう18を第1開口23の周囲に配置しておくことで、接続管12の端部12aとプレート21との間にリングろう18をセットすることができる。このリングろう18によって、接続管12の外周面と第1開口23の内周面とを接合することができる。
【0056】
なお、図10に示す例では、拡開した端部12aによって接続管12がプレート21に対して適切な位置で保持されているが、接続管12は、基材71によって保持されてもよい。接続管12の下端が拡径されている場合など、接続管12を第1開口23に上側から挿入できない場合は、載置面71aにプレート21を載せる前に予め接続管12を基材71の開口71cにセットしておけばよい。
【0057】
次いで、図7Aに示すように、載置面71aに載置されたプレート21上にシートろう17を載せる。このときも、シートろう17に形成された挿通孔にボルト31を挿入させる。以下、同様に、他のプレート22,21とシートろう17とを順次載置面71a上に積層する。複数のプレート21,22は、挿通孔16にボルト31を挿入しながら積層されるので、当該ボルト31によって互いに位置合わせされる。
【0058】
図7Bに示すように、載置面71a上に全てのプレート21,22が積層されると、ボルト31の先端が上端のプレート21から突出する。(4)の締結工程では、このボルト31の先端にナット32を取り付け、複数のプレート21,22をボルト31及びナット32で締結する。このとき、ボルト31の頭部31bが凹部72aに噛み合い、ボルト31が回り止めされるので、ボルト31にナット32を容易に締め付けることができる。
【0059】
なお、図7Bに示すように、上端のプレート21の第1開口23には接続管12が挿入されている。この接続管12は、例えば、下端を下側のプレート22で支持したり、外周面に設けた突起等をプレート21の上面に引っ掛けたりすることによって、適切な位置に保持することができる。
【0060】
(5)の移送工程では、まず、仮組された冷媒流路モジュール10を組立治具70から取り外す。冷媒流路モジュール10の一番下のプレート21は、下面が基材71の凹所71bによって露出している。そのため、図11に示すように、凹所71bに手を挿入して積層されたプレート21,22を掴むことができ、基材71から容易に冷媒流路モジュール10を取り外すことができる。
【0061】
次いで、組立治具70から取り外した冷媒流路モジュール10をろう付け用の炉に移送する。その後、炉内で、プレート21,22及び接続管12がろう付け(炉中ろう付け)される。
【0062】
上述したように、基材71の載置面71a上にプレート21,22を積層するには、各プレート21,22の挿通孔16にボルト31を挿入する必要がある。しかし、各プレート21,22の全ての挿通孔16を全てのボルト31に位置合わせし、全てのボルト31を同時に挿通孔16に挿入する作業は非常に煩雑となる。そこで、本実施形態の組立治具70は、以下に説明するように、複数のボルト31を段階的に(2段階で)挿通孔16に挿入可能とすることで、組立作業性が高められている。
【0063】
図9は、図7AのIX-IX矢視断面図である。
図7A及び図9に示すように、組立治具70の基材71に設けられた複数の凹部72aは、第1凹部72a1と、第2凹部72a2とを含む。第1方向Zにおいて、第2凹部72a2の深さd2は、第1凹部72a1の深さd1よりも小さい。本実施形態では、図7Aに示すように、基材71の1つの対角線上の両端に位置する2つの凹部72aが第2凹部72a2とされ、他の凹部72aが第1凹部72a1とされている。したがって、2つの第2凹部72a2には、複数の凹部72aのうち最も離れた2つの凹部72aが採用されている。
【0064】
図9に示すように、複数のボルト31は全て同一であり、複数のボルト31の軸部31aの長さL1も同一である。第2凹部72a2は、第1凹部72a1よりも浅く形成されているので、第2凹部72a2に保持されたボルト31B(以下、「第2ボルト31B」ともいう)の載置面71aからの突出量h2は、第1凹部72a1に保持されたボルト31A(以下、「第1ボルト31A」ともいう)の載置面71aからの突出量h1よりも大きくなる。
【0065】
そのため、基材71の載置面71a上に各プレート21,22を積層するとき、まず、第2ボルト31Bの先端を挿通孔16に挿入することになる。第2ボルト31Bの先端を挿通孔16に挿入した段階で、各プレート21,22は、基材71に対して適切な位置に位置合わせされ、他の挿通孔16が第1ボルト31Aに位置合わせされる。したがって、その後、第1ボルト31Aを他の挿通孔16に容易に挿入することができ、組立作業性を向上させることができる。
【0066】
図12は、変形例に係る保持部を拡大して示す斜視図である。図13は、変形例に係る保持部を拡大して示す断面図である。
この変形例に係る保持部72は、凹部72aと、凹部72a内に設けられた凸部72bとを有する。一方、ボルト31は、円柱状に形成された頭部31bを有し、この頭部31bの端面には六角穴31cが形成されている。保持部72の凹部72aは、ボルト31の頭部31bに適合した円筒形状に形成されている。保持部72の凸部72bは、頭部31bの六角穴31cに適合した六角柱形状に形成されている。そのため、ボルト31の頭部31bを凹部72a内に挿入し、ボルト31の六角穴31cに凸部72bを挿入し六角穴31cと凸部72bとを噛み合わせることが可能となっている。
【0067】
そのため、保持部72によってボルト31を保持可能であるとともに、保持部72によってボルト31を回り止めすることができる。
【0068】
[空気調和機の構成]
図14は、本開示の実施形態に係る空気調和機の内部を示す平面図である。
図14は、室外機と室内機とに分離されたセパレートタイプの空気調和機1における室外機51を示しており、この室外機51に、上述した冷媒流路モジュール10が設けられている。
【0069】
図14に示すように、室外機51は、ケーシング60を有し、このケーシング60内に、圧縮機40、アキュムレータ41、室外熱交換器43、オイルセパレータ46等の冷媒回路を構成する部品と、電装品ユニット61等とが収容されている。ケーシング60は、略直方体形状に形成されている。ケーシング60は、底板63、支柱64、天板(図示略)、前板66等を有している。底板63及び天板は、上面視で四角形状に形成されている。支柱64は、断面形状が略L字状で上下方向に長い長尺部材からなり、底板63及び天板の4隅に取り付けられている。
【0070】
ケーシング60の前面には、メンテナンス用の開口60aが形成されている。開口60aは、前板(前側の側板)66によって塞がれている。この前板66をケーシング60から取り外すことによって、開口60aを介してケーシング60内の部品のメンテナンスや交換等を行うことができる。
【0071】
ケーシング60の底板63上には、圧縮機40、アキュムレータ41、室外熱交換器43、オイルセパレータ46等の部品が搭載されている。室外熱交換器43は、ケーシング60の3つの側面、具体的には、ケーシング60の左側面、右側面、及び後側面に対応(対向)して配置されている。室外熱交換器43の一方側の端部にはガスヘッダ43eが設けられ、他方側の端部には液ヘッダ43fが設けられている。ケーシング60の左側面、右側面、及び後側面には、それぞれ外気を取り入れるための取入口60bが形成されている。
【0072】
室外機51は、図示しないファンの駆動によってケーシング60の取入口60bから空気を取り入れ、当該空気と室外熱交換器43との間で熱交換を行った後にケーシング60の上部から上方へ空気を吹き出すように構成されている。
【0073】
圧縮機40は、ケーシング60の前面付近の左右方向Yの略中央に配置されている。電装品ユニット61は、ケーシング60の前面付近であって、圧縮機40の右側に隣接して配置されている。圧縮機40の後方には、アキュムレータ41が配置されている。アキュムレータ41の左側にはオイルセパレータ46が配置されている。電装品ユニット61は、圧縮機40及び弁、ファン等の動作を制御するコントローラ61aを備えている。
【0074】
室外機51には、前述したような冷媒流路モジュール10が設けられている。この冷媒流路モジュール10は、圧縮機40、アキュムレータ41、流路切換弁、室外熱交換器43、膨張弁、オイルセパレータ46、閉鎖弁39a,39b等の冷媒回路の構成部品を接続する冷媒配管の流路の一部を構成する。
【0075】
冷媒流路モジュール10は、圧縮機40及びアキュムレータ41よりも左側(第3方向Yの一方側)に配置されている。冷媒流路モジュール10は、オイルセパレータ46の前側(第2方向Xの一方側)に配置されている。本実施形態の冷媒流路モジュール10は、モジュール本体11を構成するプレート21,22(図1参照)の板面を水平にした姿勢でケーシング60内に支持されている。例えば、冷媒流路モジュール10は、ケーシング60内に固定された冷媒回路の構成部品39a,40,41等を介して冷媒配管52~55により支持されている。
【0076】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態では、積層された複数のプレート21,22を有しかつ内部に冷媒の流路15が形成された冷媒流路モジュール10の製造方法が開示される。この製造方法は、複数のプレート21,22を積層させるための載置面71aを有する組立治具70によって、載置面71aに垂直な姿勢で複数のボルト31を保持する第1工程、組立治具70で保持されたボルト31を各プレート21,22に形成された挿通孔16に挿入しながら、複数のプレート21,22を載置面71a上に積層する第2工程、及び、積層された複数のプレート21,22から突出するボルト31の先端にナット32を締め付ける第3工程を含む。このように、複数のプレート21,22をボルト31及びナット32で締結することによって各プレート21,22の反り等の歪を小さくすることができる。そのため、隣接するプレート21,22の隙間を所定に保ち、プレート21,22同士を接合しやすくすることができる。また、組立治具70で保持したボルト31によって複数のプレート21,22を容易に位置合わせしながら載置面71a上に積層することができる。
【0077】
(2)上記実施形態の製造方法では、組立治具70が、ボルト31の頭部31bを保持する保持部72を有し、保持部72が、頭部31bに噛み合う形状を有する。そのため、ボルト31にナット32を締め付けるときに保持部72でボルト31を回り止めすることができる。
【0078】
(3)上記実施形態の製造方法では、第1工程において、組立治具70で保持された複数のボルト31が、第1ボルト31Aと、当該第1ボルト31Aよりも前記載置面71aからの突出長さが大きい第2ボルト31Bと、を含む。そのため、第1ボルト31Aよりも組立治具70の載置面71aから大きく突出する第2ボルト31Bを、プレート21,22の挿通孔16に挿入しやすくなる。最初に第2ボルト31Bを各プレート21,22の挿通孔16に挿入することで、第1ボルト31Aと各プレート21,22の他の挿通孔16との位置を合わせやすくなり、当該他の挿通孔16に第1ボルト31Aを挿入しやすくすることができる。
【0079】
(4)上記実施形態の製造方法では、組立治具70が、各ボルト31の頭部31bを保持する複数の保持部72を有し、各保持部72が、頭部31bが挿入される凹部72aを有している。複数の凹部72aは、第1凹部72a1と、第1凹部72a1よりも浅い第2凹部72a2とを含む。そのため、同じ長さの複数のボルト31を第1凹部72a1及び第2凹部72a2に挿入することで、これらのボルト31を、上記の(3)で説明したような、載置面71aからの突出長さの異なる第1ボルト31A及び第2ボルト31Bとすることができる。
【0080】
(5)上記実施形態では、積層して配置された複数のプレート21,22を有し、内部に冷媒の流路15が形成された冷媒流路モジュール10を組み立てるための組立治具70が開示される。この組立治具70は、複数のプレート21,22を積層させる載置面71aを有する基材71と、複数のプレート21,22を締結するための複数のボルト31をそれぞれ載置面71aに垂直な姿勢で保持する複数の保持部72と、を備える。保持部72に保持されたボルト31を各プレート21,22に形成された挿通孔16に挿入しつつ、複数のプレート21,22を載置面71a上に積層することで、複数のプレート21,22を互いに位置合わせすることができる。積層後は、積層されたプレート21,22から突出するボルト31の先端にナット32を締め付けることで、各プレート21,22の反り等の歪を小さくすることができる。そのため、隣接するプレート21,22の隙間を所定に保ち、プレート21,22同士を接合しやすくすることができる。
【0081】
(6)上記実施形態の組立治具70では、各保持部72が、ボルト31の頭部31bに噛み合う形状を有している。そのため、ボルト31にナット32を締め付けるときに保持部72でボルト31を回り止めすることができる。
【0082】
(7)上記実施形態の組立治具70では、各保持部72が、基材71に形成されボルト31の頭部31bが挿入される凹部72aを有し、複数の凹部72aが、第1凹部72a1と、第1凹部72a1よりも浅い第2凹部72a2とを含む。そのため、同じ長さのボルト31を第1凹部72a1及び第2凹部72a2に挿入すると、第2凹部72a2に挿入されたボルト31Bは、第1凹部72a1に挿入されたボルト31Aよりも組立治具70の載置面71aから大きく突出するため、プレート21,22の挿通孔16に挿入しやすくなる。最初に、第2凹部72a2に挿入されたボルト31Bを各プレート21,22の挿通孔16に挿入することで、他のボルト31Aと各プレート21,22の他の挿通孔16とが位置合わせされ、当該他の挿通孔16に他のボルト31を挿入しやすくなる。
【0083】
(8)上記実施形態の組立治具70では、載置面71aに直接積層されるプレート21の基材71側の面を露出させかつ当該面に沿った方向に開口する凹所71bが基材71に形成される。そのため、載置面71a上に積層された複数のプレート21,22をボルト31及びナット32で締結した後、作業者の手を凹所71bに挿入することで、積層されたプレート21,22を手で持って載置面71aから取り外しやすくすることができる。
【0084】
(9)上記実施形態の組立治具70では、載置面71aに直接積層されるプレート21に接続される接続管(継手管)12を配置するためのスペース71cが、基材71に形成される。そのため、基材71に形成されたスペース71cに接続管12を配置した状態で、載置面71a上にプレート21,22を積層することができる。
【0085】
なお、本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0086】
例えば、冷媒流路モジュール10を構成するプレート21,22の枚数は、上記実施形態に限定されるものではなく、冷媒流路モジュール10は少なくとも2枚のプレートを含んでいればよい。
【0087】
上記実施形態では、保持部72を構成する第2凹部72a2が2つ設けられていたが、1つ又は3つ以上設けられていてもよい。ただし、第2凹部72a2を2つとすることで、第2凹部72a2に保持された第2ボルト31Bの、各プレート21,22の挿通孔16への挿入のしやすさを確保しながら、基材71に対するプレート21,22の位置合わせや、他の第1ボルト31Aに対する他の挿通孔16の位置合わせを確実に行うことができる。
【0088】
上記実施形態では、2つの第2凹部72a2として、複数の凹部72aのうち最も離れた2つの凹部72aが採用されていたが、これに限定されない。ただし、最も離れた2つの凹部72aを第2凹部72a2とすることで、第2凹部72a2に保持された第2ボルト31Bを各プレート21,22の挿通孔16に挿入したときの、基材71に対する当該プレート21,22の位置合わせや、他の第1ボルト31Aに対する他の挿通孔16の位置合わせを確実に行うことができる。
【0089】
冷媒流路モジュール10の製造方法において、複数のプレート21,22を締結する複数のボルト31は、互いに長さが異なる2種類以上のボルトを含んでいてもよい。この場合、保持部72を構成する複数の凹部72aを同じ深さにしたとしても、複数のボルト31の載置面71aからの突出量を異ならせることができる。
【符号の説明】
【0090】
10 :冷媒流路モジュール
12 :接続管
15 :流路
16 :挿通孔
21 :端部プレート
22 :中間プレート
31 :ボルト
31A :第1ボルト
31B :第2ボルト
31b :頭部
32 :ナット
70 :組立治具
71 :基材
71a :載置面
71b :凹所
71c :開口(スペース)
72 :保持部
72a :凹部
72a1 :第1凹部
72a2 :第2凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14