(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051392
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】圧縮機ユニット
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20240404BHJP
B60P 3/20 20060101ALI20240404BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F25D11/00 101D
B60P3/20 Z
F25D19/00 540Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157537
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】染川 和摩
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA04
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045HA03
(57)【要約】
【課題】感電のリスクを抑制できるようにする。
【解決手段】圧縮機ユニットは、移動体(1)に搭載される冷凍装置(10)に含まれる圧縮機(50)と、前記圧縮機(50)に電力を供給するバッテリ(B)と、前記移動体(1)に搭載される筐体(60)とを備え、前記筐体(60)内には、前記圧縮機(50)と、前記バッテリ(B)とが収容される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体(1)に搭載される冷凍装置(10)に含まれる圧縮機(50)と、
前記圧縮機(50)に電力を供給するバッテリ(B)と、
前記移動体(1)に搭載される筐体(60)と
を備え、
前記筐体(60)内には、前記圧縮機(50)と、前記バッテリ(B)とが収容される、圧縮機ユニット。
【請求項2】
前記バッテリ(B)から供給される電力の電圧を調整するコンバータ(C)を備え、
前記筐体(60)内には、前記コンバータ(C)が収容される、請求項1に記載の圧縮機ユニット。
【請求項3】
前記冷凍装置(10)には、熱源側熱交換器(13)を有する第1ユニット(11)と、利用側熱交換器(21)を有する第2ユニット(20)とが含まれ、
前記筐体(60)は、前記第1ユニット(11)の外部に位置し、かつ、前記第2ユニット(20)の外部に位置する、請求項1または請求項2に記載の圧縮機ユニット。
【請求項4】
前記バッテリ(B)から前記圧縮機(50)に供給される電力の電圧は、前記バッテリ(B)から前記第1ユニット(11)または前記第2ユニット(20)に供給される電力の電圧よりも大きい、請求項3に記載の圧縮機ユニット。
【請求項5】
前記筐体(60)は、絶縁材を含む、請求項1または請求項2に記載の圧縮機ユニット。
【請求項6】
前記バッテリ(B)は、前記冷凍装置(10)の冷媒によって冷却される、請求項1に記載の圧縮機ユニット。
【請求項7】
前記コンバータ(C)は、前記冷凍装置(10)の冷媒によって冷却される、請求項2に記載の圧縮機ユニット。
【請求項8】
前記第1ユニット(11)または前記第2ユニット(20)に連結され、冷媒を送る配管を備え、
前記配管は、絶縁材を含む、請求項3に記載の圧縮機ユニット。
【請求項9】
前記筐体(60)に設けられ、前記配管と前記圧縮機(50)とを接続するための接手部(70)を備え、
前記接手部(70)は、絶縁材を含む、請求項8に記載の圧縮機ユニット。
【請求項10】
前記接手部(70)が前記圧縮機(50)と絶縁される、請求項9に記載の圧縮機ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧縮機ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車載用冷凍装置が開示されている。車載用冷凍装置は、エンジン、バッテリ、冷凍庫を有する車両に搭載される。車載用冷凍装置は、バッテリの電力により稼働する圧縮装置(圧縮機)、圧縮装置から吐出される冷媒と冷凍庫内の空気を熱交換させる室内熱交換器等を備える。バッテリは、冷凍車の架台の床下に設置されている。圧縮装置は、車両のキャビンに設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば冷凍車が事故を起こす等して、充電部材が露出する(人目に付きやすい状態になる)と感電事故が発生するリスクがある。充電部材は、バッテリのみならず、圧縮装置のようなバッテリからの電力により帯電している部材を示す。
【0005】
本開示の目的は、感電のリスクを抑制できる圧縮機ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の圧縮機ユニットは、移動体(1)に搭載される冷凍装置(10)に含まれる圧縮機(50)と、前記圧縮機(50)に電力を供給するバッテリ(B)と、前記移動体(1)に搭載される筐体(60)とを備え、前記筐体(60)内には、前記圧縮機(50)と、前記バッテリ(B)とが収容される。
【0007】
第1の態様では、感電のリスクを抑制できる。
【0008】
第2の態様では、第1の態様において、圧縮機ユニットは、前記バッテリ(B)から供給される電力の電圧を調整するコンバータ(C)を備え、前記筐体(60)内には、前記コンバータ(C)が収容される。
【0009】
第2の態様では、感電のリスクを抑制できる。
【0010】
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記冷凍装置(10)には、熱源側熱交換器(13)を有する第1ユニット(11)と、利用側熱交換器(21)を有する第2ユニット(20)とが含まれ、前記筐体(60)は、前記第1ユニット(11)の外部に位置し、かつ、前記第2ユニット(20)の外部に位置する。
【0011】
第3の態様では、圧縮機(50)の設置の自由度を向上させることができる。
【0012】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記バッテリ(B)から前記圧縮機(50)に供給される電力の電圧は、前記バッテリ(B)から前記第1ユニット(11)または前記第2ユニット(20)に供給される電力の電圧よりも大きい。
【0013】
第4の態様では、圧縮機(50)および第1ユニット(11)の各々に必要な電圧をかけることができる。
【0014】
第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、前記筐体(60)は、絶縁材を含む。
【0015】
第5の態様では、絶縁材により感電のリスクを効果的に抑制できる。
【0016】
第6の態様は、第5の態様において、前記バッテリ(B)は、前記冷凍装置(10)の冷媒によって冷却される。
【0017】
第6の態様では、バッテリ(B)が昇温することを抑制できる。
【0018】
第7の態様は、第6の態様において、前記コンバータ(C)は、前記冷凍装置(10)の冷媒によって冷却される。
【0019】
第7の態様では、コンバータ(C)が昇温することを抑制できる。
【0020】
第8の態様は、第3または第4の態様において、前記第1ユニット(11)または前記第2ユニット(20)に連結され、冷媒を送る配管を備え、前記配管は、絶縁材を含む。
【0021】
第8の態様では、絶縁材により感電のリスクを効果的に抑制できる。
【0022】
第9の態様は、第8の態様において、前記筐体(60)に設けられ、前記配管と前記圧縮機(50)とを接続するための接手部(70)を備え、前記接手部(70)は、絶縁材を含む。
【0023】
第9の態様では、絶縁材により感電のリスクを効果的に抑制できる。
【0024】
第10の態様は、第9の態様において、前記接手部(70)が前記圧縮機(50)と絶縁される。
【0025】
第10の態様では、圧縮機(50)からの電流により接手部(70)が帯電することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、移動体および圧縮機ユニットを示す模式図である。
【
図3】
図3は、冷凍装置への電力供給構造を示す模式図である。
【
図4】
図4は、圧縮機とバッテリとコンバータとが筐体に収容された状態を示す模式図である。
【
図5】
図5は、電力供給構造の変形例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、圧縮機が接手部に接続された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0028】
実施形態に係る圧縮機ユニットは、移動体(1)に搭載される冷凍装置(10)に含まれる圧縮機(50)と、圧縮機(50)に電力を供給するバッテリ(B)と、移動体(1)に搭載され、圧縮機(50)とバッテリ(B)とを収容する筐体(60)とを備える。
【0029】
(1)移動体
図1に示すように、実施形態に係る移動体(1)はトラックである。実施形態に係る移動体(1)は、キャビン(2)と、キャビン(2)の後方に設けられる保冷庫(3)とを有する冷凍車両である。キャビン(2)内には、運転室(2a)が形成される。保冷庫(3)内には、荷室(3a)が形成される。荷室(3a)には、食料品などの対象物が貯蔵される。移動体(1)は、保冷庫(3)の庫内空気を冷却するための冷凍装置(10)を有する。
【0030】
(2)冷凍装置の全体構成
本実施形態の冷凍装置(10)は、バッテリ(B)を有し、該バッテリ(B)を駆動源とする。
【0031】
バッテリ(B)は、二次電池であり、例えば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池である。バッテリ(B)は、例えば、商用電源、および充電器により充電される。商用電源の交流電力は、充電器に供給される。充電器は、商用電源の交流電力を直流電力に変換する。充電器によって変換された直流電力がバッテリ(B)に供給されることで、バッテリ(B)が充電される。なお、バッテリ(B)は、エンジン、発電機、および発電用インバータにより充電されてもよい。エンジンは、内燃機関であり、燃料の燃焼により発生する熱エネルギーを回転エネルギーに変換することによって、移動体(1)であるトラックの車輪(X)を回転させる。エンジンの熱エネルギーが変換された回転エネルギーの一部は、図示しない遊星歯車を用いた動力分割機構を介して発電機に供給される。発電機は、エンジンからの回転エネルギーを電気エネルギーに変換することによって、3相交流電力を発生させる。3相交流電力は、発電用インバータに供給される。発電用インバータは、発電機からの3相交流電力を直流電力に変換する。発電用インバータによって変換された直流電力がバッテリ(B)に供給されることで、バッテリ(B)が充電される。
【0032】
冷凍装置(10)は、コンバータ(C)をさらに有する。コンバータ(C)は、バッテリ(B)から供給される直流電力を電圧が異なる別の直流電力に変換することで、バッテリ(B)から供給される電力の電圧を調整する。本実施形態では、コンバータ(C)は、DC/DCコンバータである。本実施形態では、例えば、コンバータ(C)は、バッテリ(B)から50V以上の電圧の直流電力を供給され、当該直流電力を、50V未満の電圧の直流電力に変換する。
【0033】
バッテリ(B)からの直流電力と、コンバータ(C)からの直流電力とによって冷凍装置(10)の各種構成要素が稼働する。
【0034】
冷凍装置(10)は、冷媒が充填された冷媒回路(R)を有する。冷媒回路(R)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。冷凍装置(10)は、第1ユニット(11)、第2ユニット(20)、第3ユニット(30)、第4ユニット(40)、および圧縮機(50)を有する。第1ユニット(11)は、キャビン(2)の上方に配置される。第1ユニット(11)は、室外空間(O)に位置する熱源ユニットを構成する。第2ユニット(20)は、荷室(3a)に配置される。第2ユニット(20)は、冷却ユニットを構成する。第3ユニット(30)は、バッテリ温調ユニットを構成する。第4ユニット(40)は、コンバータ温調ユニットを構成する。
【0035】
第1ユニット(11)は、室外熱交換器(13)、および室外ファン(14)を有する。第2ユニット(20)は、庫内熱交換器(21)および庫内ファン(22)を有する。第3ユニット(30)は、バッテリ(B)、バッテリ側熱交換器(31)、およびバッテリ側ファン(32)を有する。第4ユニット(40)は、コンバータ(C)、コンバータ側熱交換器(41)、およびコンバータ側ファン(42)を有する。なお、第3ユニット(30)は、バッテリ側ファン(32)を有しない構成であってもよい。また、第4ユニット(40)は、コンバータ側ファン(42)を有しない構成であってもよい。
【0036】
(3)冷媒回路の構成
図2に示すように、冷媒回路(R)は、主要な機器として、室外熱交換器(13)、庫内熱交換器(21)、バッテリ側熱交換器(31)、コンバータ側熱交換器(41)、および圧縮機(50)を有する。冷媒回路(R)は、第1膨張弁(23)、第2膨張弁(33)、および圧力調節弁(34)を有する。
【0037】
圧縮機(50)は、吸入した冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を吐出する。圧縮機(50)は、スクロール型、ロータリー型、揺動ピストン型などの圧縮機である。圧縮機(50)は、吐出管(15)を介して室外熱交換器(13)のガス端部と直列に接続する。
【0038】
室外熱交換器(13)は、熱源側熱交換器の一例である。室外熱交換器(13)は、室外空間(O)、あるいは室外空気が流れる流路に設置される。室外熱交換器(13)は、室外空気と冷媒とを熱交換させる。室外熱交換器(13)は、フィンアンドチューブ式である。室外熱交換器(13)の液端部は、主液管(16)を介して第1管(P1)および第2管(P2)に接続する。
【0039】
室外ファン(14)は、室外熱交換器(13)の近傍に配置される。室外ファン(14)は、室外空気が室外熱交換器(13)を流れるように、室外空気を搬送する。
【0040】
第1管(P1)および第2管(P2)は、冷媒回路(R)において互いに並列に接続される。第1管(P1)および第2管(P2)の一端は、主液管(16)の端部である分岐部(17)に接続する。第1管(P1)および第2管(P2)の他端は、圧縮機(50)の吸入管(18)と接続する。
【0041】
第1管(P1)には、液側からガス側に向かって順に、第1膨張弁(23)、庫内熱交換器(21)が接続される。第1膨張弁(23)は、開度が調節可能な電子膨張弁で構成される。
【0042】
庫内熱交換器(21)は、利用側熱交換器の一例である。庫内熱交換器(21)は、荷室(3a)に設置される。庫内熱交換器(21)は、荷室(3a)の空気と冷媒とを熱交換させる。庫内熱交換器(21)は、フィンアンドチューブ式である。
【0043】
庫内ファン(22)は、庫内熱交換器(21)の近傍に配置される。庫内ファン(22)は、荷室(3a)の空気が庫内熱交換器(21)を流れるように、荷室(3a)の空気を搬送する。
【0044】
第2管(P2)には、液側からガス側に向かって順に、第2膨張弁(33)、バッテリ側熱交換器(31)、コンバータ側熱交換器(41)、圧力調節弁(34)が接続される。第2膨張弁(33)は、開度が調節可能な電子膨張弁で構成される。圧力調節弁(34)は、バッテリ側熱交換器(31)およびコンバータ側熱交換器(41)の蒸発圧力を調節する。
【0045】
バッテリ側熱交換器(31)は、バッテリ側ファン(32)が搬送する空気と、冷媒とを熱交換させる。バッテリ側熱交換器(31)は、バッテリ(B)と離れて配置されてもよいし、バッテリ(B)と接触するように配置されてもよい。
【0046】
コンバータ側熱交換器(41)は、コンバータ側ファン(42)が搬送する空気と、冷媒とを熱交換させる。コンバータ側熱交換器(41)は、コンバータ(C)と離れて配置されてもよいし、コンバータ(C)と接触するように配置されてもよい。
【0047】
図2に示すように、冷凍装置(10)は、コントローラ(80)を有する。コントローラ(80)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを含む。
【0048】
コントローラ(80)は、冷媒回路(R)を制御する。具体的には、コントローラ(80)は、圧縮機(50)のON/OFF、および圧縮機(50)の回転数を制御する。コントローラ(80)は、室外ファン(14)、庫内ファン(22)、バッテリ側ファン(32)、およびコンバータ側ファン(42)のON/OFFおよび回転数を制御する。コントローラ(80)は、第1膨張弁(23)、第2膨張弁(33)、および圧力調節弁(34)の開度を制御する。
【0049】
(4)電力供給構造
図3に示すように、バッテリ(B)は、第1リード線(G1)により圧縮機(50)と接続される。バッテリ(B)は、第2リード線(G2)によりコンバータ(C)と接続される。コンバータ(C)は、第3リード線(G3)により第1ユニット(11)および第2ユニット(20)と接続される。
【0050】
バッテリ(B)に蓄えられる電力は、第1リード線(G1)を通じて圧縮機(50)に供給される。その結果、圧縮機(50)が稼働する。
【0051】
バッテリ(B)に蓄えられる電力は、第2リード線(G2)を通じてコンバータ(C)に供給される。コンバータ(C)は、バッテリ(B)から供給される電力を低電圧の電力に変換する。バッテリ(B)により変換された低電圧の電力は、第3リード線(G3)を通じて第1ユニット(11)および第2ユニット(20)に供給される。その結果、第1ユニット(11)および第2ユニット(20)の各種構成要素が稼働する。冷凍装置(10)において、通常は、第1ユニット(11)および第2ユニット(20)の構成要素を稼働させるための電圧は、圧縮機(50)を稼働させるための電圧よりも低いので、上記したコンバータ(C)による電力の変換が行われる。
【0052】
コンバータ(C)により電力の変換が行われることで、バッテリ(B)から圧縮機(50)に供給される電力の電圧が、バッテリ(B)から第1ユニット(11)および/または第2ユニット(20)に供給される電力の電圧よりも大きくなる。
【0053】
(3)運転動作
冷凍装置(10)の基本的な運転動作について
図2を参照しながら説明する。
【0054】
冷凍装置の運転時には、コントローラ(80)が圧縮機(50)、室外ファン(14)、庫内ファン(22)、およびバッテリ側ファン(32)を運転させる。コントローラ(80)は、第1膨張弁(23)および第2膨張弁(33)の開度を調節する。
【0055】
圧縮機(50)で圧縮された冷媒は、室外熱交換器(13)を流れる。室外熱交換器(13)では、冷媒が室外空気に放熱して凝縮する。凝縮した冷媒は、主液管(16)を流れ、第1管(P1)と第2管(P2)とに分流する。
【0056】
第1管(P1)に流入した冷媒は、第1膨張弁(23)で減圧された後、庫内熱交換器(21)を流れる。庫内熱交換器(21)では、冷媒が荷室(3a)内の空気から吸熱して蒸発する。荷室(3a)内の空気は、庫内熱交換器(21)によって冷やされる。
【0057】
第2管(P2)を流入した冷媒は、第2膨張弁(33)で減圧された後、バッテリ側熱交換器(31)およびコンバータ側熱交換器(41)を流れる。バッテリ側熱交換器(31)およびコンバータ側熱交換器(41)では、冷媒が吸熱して蒸発する。これにより、バッテリ(B)およびコンバータ(C)が冷却されて、バッテリ(B)およびコンバータ(C)の温度が所定温度に調節される。
【0058】
庫内熱交換器(21)、バッテリ側熱交換器(31)、およびコンバータ側熱交換器(41)でそれぞれ蒸発した冷媒は、吸入管(18)から圧縮機(50)に吸入され、再び圧縮される。
【0059】
(4)特徴
図1および
図4に示すように、圧縮機(50)と、バッテリ(B)と、コンバータ(C)とは、筐体(60)内に収容される。筐体(60)は、中空の部材である。筐体(60)は、第1箱部(61)と、第2箱部(62)とを含む。第1箱部(61)および第2箱部(62)の各々は、中空の部材である。第1箱部(61)は、第2箱部(62)内に収容される。第1箱部(61)は、金属製の部材である。第2箱部(62)は、樹脂およびゴムのような絶縁材を含む部材である。なお、筐体(60)は、圧縮機(50)等の収容物を覆う形状を有していればよく、収容物が露出することを防止する形状を有していればよい。筐体(60)は、本実施形態のように第1箱部(61)および第2箱部(62)を含む二重構造のものではなくてもよく、1重構造、または3重以上の構造を有していてもよい。また、筐体(60)の材質は特に限定されない。
【0060】
筐体(60)は、移動体(1)に搭載される。筐体(60)は、第1ユニット(11)の外部に位置する。第1ユニット(11)の外部に位置することは、第1ユニット(11)の各種構成要素(室外熱交換器(13)、室外ファン(14)等)を収容するケーシングの外部に位置することを示す。筐体(60)は、第2ユニット(20)の外部に位置する。第2ユニット(20)の外部に位置することは、第2ユニット(20)の各種構成要素(庫内熱交換器(21)、庫内ファン(22)等)を収容するケーシングの外部に位置することを示す。本実施形態では、筐体(60)は、荷室(3a)に配置される。
【0061】
本実施形態では、圧縮機(50)を、第1ユニット(11)の外部に配置し、かつ、第2ユニット(20)の外部に配置することで、第1ユニット(11)の設置スペースおよび第2ユニット(20)の設置スペースに制限されずに、移動体(1)内において、圧縮機(50)の設置場所を自由に選ぶことができることで、圧縮機(50)の設置スペースを広く確保できるため、圧縮機(50)の設置の自由度が向上させることができる。圧縮機(50)を第1ユニット(11)および第2ユニット(20)の外部に配置することで圧縮機(50)が露出すると、圧縮機(50)との接触による感電の可能性が生じるが、圧縮機(50)と同様に接触による感電の可能性があるバッテリ(B)およびコンバータ(C)を圧縮機(50)と共に同じ筐体(60)内に収容することで、1つの筐体(60)によって複数の装置(圧縮機(50)、バッテリ(B)およびコンバータ(C))による感電のリスクを効率的に抑制でき、さらに、圧縮機(50)、バッテリ(B)およびコンバータ(C)の設置場所を、1つの筐体(60)内にコンパクトにまとめることができる。
【0062】
(5)効果
以上のように、圧縮機ユニットは、移動体(1)に搭載される冷凍装置(10)に含まれる圧縮機(50)と、圧縮機(50)に電力を供給するバッテリ(B)と、移動体(1)に搭載される筐体(60)とを備え、筐体(60)内には、圧縮機(50)と、バッテリ(B)と、コンバータ(C)とが収容される。これにより、移動体(1)が事故等を起こした場合でも、バッテリ(B)と圧縮機(50)とが筐体(60)内に収容された状態を保持できるので、バッテリ(B)と圧縮機(50)とコンバータ(C)とが露出した状態となる(人目に付きやすい状態となる)ことを抑制できる。その結果、バッテリ(B)、圧縮機(50)、またはコンバータ(C)に接触することによる感電のリスクを抑制できる。
【0063】
また、1つの筐体(60)内に感電事故を発生させる可能性のある複数の部材(バッテリ(B)、圧縮機(50)、およびコンバータ(C))を収容することで、感電事故の対策コストを低減できる。
【0064】
また、1つの筐体(60)内にバッテリ(B)、圧縮機(50)、およびコンバータ(C)を収容してこれらの部材を近接して配置できるので、これらの部材を接続するためのリード線(ハーネス)を短縮することができる。その結果、圧縮機ユニットを効率的に構成することができ、圧縮機ユニットの製造コストを低減できる。
【0065】
例えば、圧縮機(50)の設置場所を第1ユニット(11)の内部とした場合、圧縮機(50)の設置場所がキャビン(2)の上方のスペースに制限されるため(
図1参照)、キャビン(2)の上方において、第1ユニット(11)用の設置スペースのみならず、圧縮機(50)用の設置スペースも確保しなければならないので、限られたスペースを工夫して活用しなければならず、圧縮機(50)の設置場所の設計が煩雑となる。しかし、本実施形態では、圧縮機(50)(筐体(60))は、第1ユニット(11)の外部に位置し、かつ、第2ユニット(20)の外部に位置する。これにより、第1ユニット(11)および第2ユニット(20)とは独立して、圧縮機(50)の設置場所を設計することができる。その結果、圧縮機(50)の設置の自由度を向上させることができる。
【0066】
また、筐体(60)を、第1ユニット(11)の外部および第2ユニット(20)の外部に配置して、第1ユニット(11)および第2ユニット(20)とは別体にすることで、筐体(60)に収容されるバッテリ(B)、圧縮機(50)等の重量物を、第1ユニット(11)および第2ユニット(20)の設置場所(
図1参照)に制限されることなく、低位置に置くことができ、これにより、移動体(1)の重心を下げることができる。
【0067】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう(下記(A)~(I))。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態の要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0068】
(A)移動体(1)は、トラックのような車両に限定されない。移動体(1)は、陸上、海上、または空上を自走可能なものであればよく、例えば、船舶、飛行機等であってもよい。
【0069】
(B)冷凍装置(10)は、室外熱交換器(13)を蒸発器として機能させ、庫内熱交換器(21)を凝縮器として機能させることで暖房サイクルを行う暖房機能を有していてもよい。この場合、例えば、冷凍装置(10)がキャンピングカーに搭載されるエアコンを構成し、庫内熱交換器(21)が当該エアコンの室内機の構成部材であってもよい。
【0070】
(C)本実施形態では、圧縮機(50)と、バッテリ(B)と、コンバータ(C)とが筐体(60)内に収容される。しかし、本発明はこれに限定されない。筐体(60)内には、少なくとも、圧縮機(50)と、バッテリ(B)とが収容されていればよい。例えば、コンバータ(C)を備えないような冷凍装置(10)については、筐体(60)内には圧縮機(50)とバッテリ(B)とが収容される。また、コンバータ(C)が筐体(60)とは異なる場所に設置される場合、筐体(60)内には圧縮機(50)とバッテリ(B)とが収容される。
【0071】
これにより、移動体(1)が事故等を起こした場合でも、バッテリ(B)と圧縮機(50)とが筐体(60)内に収容された状態を保持できるので、バッテリ(B)と圧縮機(50)とが露出した状態となることを抑制できる。その結果、バッテリ(B)または圧縮機(50)に接触することによる感電のリスクを抑制できる。また、圧縮機(50)およびバッテリ(B)の設置場所を、1つの筐体(60)内にコンパクトにまとめることができる。
【0072】
(D)移動体(1)における筐体(60)の設置場所については特に限定されない。例えば、筐体(60)は、キャビン(2)に設置されていてもよく、または、移動体(1)の下部(例えば、移動体(1)の前輪と後輪との間)に設置されてもよい。
【0073】
(E)
図5を参照して、電力供給構造の変形例について説明する。
【0074】
変形例では、コンバータ(C)がバッテリ(B)から供給される電力を高電圧の電力に変換する点が、
図3に示す電力供給構造と異なる。
【0075】
図5に示すように、バッテリ(B)は、第4リード線(G4)により第1ユニット(11)および第2ユニット(20)と接続される。バッテリ(B)は、第5リード線(G5)によりコンバータ(C)と接続される。コンバータ(C)は、第6リード線(G6)により圧縮機(50)と接続される。
【0076】
バッテリ(B)に蓄えられる電力は、第4リード線(G4)を通じて第1ユニット(11)および第2ユニット(20)に供給される。その結果、第1ユニット(11)および第2ユニット(20)の各種構成要素が稼働する。
【0077】
バッテリ(B)に蓄えられる電力は、第5リード線(G5)を通じてコンバータ(C)に供給される。コンバータ(C)は、バッテリ(B)から供給される電力を高電圧の電力に変換する。バッテリ(B)により変換された高電圧の電力は、第6リード線(G6)を通じて圧縮機(50)に供給される。その結果、圧縮機(50)が稼働する。
図5に示す電力供給構造では、例えば、コンバータ(C)は、バッテリ(B)から50V未満の電圧の直流電力を供給され、当該直流電力を、50V以上の電圧の直流電力に変換する。
【0078】
(F)
図2に示すように、配管(15,16,18,P1,P2)が樹脂およびゴムのような絶縁材を含むことが好ましい。これにより、配管(15,16,P1,P2)との接触による感電のリスクを効果的に抑制することができる。
【0079】
(G)
図6に示すように、圧縮機ユニットは、接手部(70)を含む。接手部(70)は、筐体(60)に設けられ、吐出管(15)(吸入管(18))と圧縮機(50)とを接続するための部材である。接手部(70)には、吐出管(15)(吸入管(18))と、圧縮機(50)の吐出側(吸入側)に連結される配管(51)とが連結される。接手部(70)は樹脂およびゴムのような絶縁材を含むことが好ましい。また、接手部(70)が絶縁材を含むことで、接手部(70)が圧縮機(50)と絶縁されることが好ましい。これにより、圧縮機(50)からの電流による感電のリスクを効果的に抑制できる。
【0080】
(H)圧縮機(50)は、圧縮機(50)のON/OFF、および圧縮機(50)の回転数を制御するための開閉器またはインバータを備えていても良い。例えば、前記開閉器は、圧縮機(50)と接続するリード線(G1,G6)と、圧縮機(50)を構成する部品(例えばモータ)とを電気的に接続または遮断することで、圧縮機(50)のON/OFFを制御する。例えば、前記インバータは、圧縮機(50)に供給される直流電力を、所望の電圧および周波数の交流電力に変換して圧縮機(50)を構成する部品(例えばモータ)に供給することで、圧縮機(50)の回転数を制御する。圧縮機(50)が前記開閉器または前記インバータを備える場合、前記開閉器または前記インバータが筐体(60)内に収納される。前記開閉器または前記インバータは、筐体(60)内に収納されていれば、圧縮機(50)と一体に構成されていても、別体(別置き)に構成されていても良い。
【0081】
(I)本実施形態では、リード線(G3,G4)が第1ユニット(11)と第2ユニット(20)との両方に接続される(
図3および
図5参照)。しかし、本発明はこれに限定されない。リード線(G3,G4)が第1ユニット(11)に接続され、第7リード線が第1ユニット(11)と第2ユニット(20)とに接続されることで、第2ユニット(20)にはリード線(G3,G4)および第7リード線を通じて電力が供給されてもよい。また、リード線(G3,G4)が第2ユニット(20)に接続され、第7リード線が第1ユニット(11)と第2ユニット(20)とに接続されることで、第1ユニット(11)にはリード線(G3,G4)および第7リード線を通じて電力が供給されてもよい。
【0082】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上に説明したように、本開示は、圧縮機ユニットについて有用である。
【符号の説明】
【0084】
1 移動体
10 冷凍装置
11 第1ユニット
13 熱源側熱交換器
21 利用側熱交換器
20 第2ユニット
50 圧縮機
60 筐体
70 接手部
B バッテリ
C コンバータ