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特開2024-51398粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051398
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20240404BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240404BHJP
   B32B 37/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B32B27/00 M
C09J7/38
B32B37/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157547
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】堤 清貴
(72)【発明者】
【氏名】道下 そら
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
【Fターム(参考)】
4F100AT00B
4F100AT00D
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100CB05C
4F100EJ30
4F100EJ91A
4F100EJ94
4F100GB41
4J004AA10
4J004AA14
4J004AA16
4J004AB01
4J004FA01
(57)【要約】
【課題】軟質な粘着剤層を有する積層フィルムを効率よく製造するのに適した積層フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】積層フィルムの製造方法は、キャリアフィルムCとフィルム層10と原粘着剤層20とフィルム層30とを厚さ方向Hに順に備えるワークフィルムWに対するフィルム層30側からのレーザー加工により、フィルム層10上で原粘着剤層20とフィルム層30を切断し、粘着剤層21とその周りの周囲部22とを原粘着剤層20に形成し、粘着剤層21上のフィルム31とその周りの周囲部32とをフィルム層30に形成する工程S2と、周囲部22,32とフィルム31を除去する工程S3と、ワークフィルムWの粘着剤層20側に長尺のフィルム40’をフィルム層40として貼り合わせる工程S4と、フィルム層40側からのプレス加工により、キャリアフィルムS上のフィルム層10,40を切断してフィルム11,41を形成する工程S5とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層を有する積層フィルムのロールトゥロール方式の製造方法であって、
キャリアフィルムと、第1フィルム層と、原粘着剤層と、第2フィルム層とを厚さ方向にこの順で備える長尺のワークフィルムに対し、前記第2フィルム層側から前記厚さ方向にレーザー光を照射することにより、前記第1フィルム層上で前記原粘着剤層および前記第2フィルム層を切断し、前記原粘着剤層において、個片化された粘着剤層と当該粘着剤層まわりの第1周囲部とを形成し、前記第2フィルム層において、前記粘着剤層上の第2フィルムと、当該第2フィルムまわりの、前記第1周囲部上の第2周囲部とを形成する、第1外形加工工程と、
前記ワークフィルムから前記第2周囲部、前記第1周囲部および前記第2フィルムを除去する除去工程と、
前記除去工程後に、前記ワークフィルムの前記粘着剤層側に長尺のフィルムを第3フィルム層として貼り合わせる貼合せ工程と、
前記貼合せ工程後に、前記ワークフィルムに対し、前記第3フィルム層側からプレス刃をプレスすることにより、前記キャリアフィルム上で前記第1フィルム層および前記第3フィルム層を切断し、前記第1フィルム層において第1フィルムを形成し、前記第3フィルム層において第3フィルムを形成する、第2外形加工工程とを含む、粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記第2外形加工工程における前記第1フィルム層および前記第3フィルム層の切断箇所は、前記厚さ方向と直交する面方向において前記粘着剤層から離れている、請求項1に記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記第1外形加工工程の後であって前記除去工程の前に、前記ワークフィルムを一対のローラによって挟んで引っ張るニップ工程を更に含む、請求項1に記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記第1外形加工工程は、前記ワークフィルムに対する前記レーザー光の照射の前に前記ワークフィルムを弛ませることを含まない、請求項1に記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記第1外形加工工程は、前記ワークフィルムに対する前記レーザー光の照射の後に前記ワークフィルムを弛ませることを含まない、請求項1から4のいずれか一つに記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイパネルは、例えば、画素パネル、偏光フィルム、タッチパネルおよびカバーフィルムなどの要素を含む積層構造を有する。そのようなディスプレイパネルの製造過程では、積層構造に含まれる要素どうしの接合のために、例えば、光学的に透明な粘着シート(光学粘着シート)が用いられる。光学粘着シートは、同シートの両面がはく離ライナーで被覆された形態(粘着剤層を有する積層フィルムの形態)で製造される。
【0003】
一方、例えばスマートフォン用およびタブレット端末用に、繰り返し折り曲げ可能(フォルダブル)なディスプレイパネルの開発が進んでいる。フォルダブルディスプレイパネルは、具体的には、屈曲形状とフラットな非屈曲形状との間で、繰り返し変形可能である。このようなフォルダブルディスプレイパネルでは、積層構造中の各要素が、繰り返し折り曲げ可能に作製されており、そのような要素間の接合に薄い光学粘着シートが用いられている。フォルダブルディスプレイパネルなどフレキシブルデバイス用の光学粘着シートについては、例えば下記の特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-111754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ディスプレイパネル用の光学粘着シートは、従来、例えば次のようにして製造される。
【0006】
まず、図11Aに示すように、長尺の原反シートとしての積層シート90を用意する。積層シート90は、はく離ライナー91と、粘着剤層92と、はく離ライナー93とを、厚さ方向Hにこの順で有する。はく離ライナー91は、粘着剤層92の一方面に剥離可能に接している。はく離ライナー93は、粘着剤層92の他方面に剥離可能に接している。このような積層シート90が、キャリアフィルム(図示略)上に支持された状態で、製造ラインを流される。
【0007】
次に、図11Bに示すように、積層シート90の粘着剤層92に対するプレス加工により、複数の枚葉状の光学粘着シート92Aを形成する(プレス加工工程)。プレス加工では、図12に示すように、積層シート90に対して、刃型100の刃101を、はく離ライナー93側からはく離ライナー91に至るまで押し入れる。これにより、所定の平面視形状の光学粘着シート92Aを形成する。本工程では、粘着剤層92における光学粘着シート92Aまわりには、周囲部92aが生ずる。はく離ライナー93もプレス加工されて、粘着剤層92と同一の平面視形状のはく離ライナー93Aが形成され、はく離ライナー93Aまわりに周囲部93aが生ずる。本工程では、図13に示すように、積層シート90において切断溝95が形成される。切断溝95は、粘着剤層92およびはく離ライナー93に押し入る刃101(図12)が、粘着剤層92およびはく離ライナー93を面方向Dに押圧することより、形成される。はく離ライナー91上で隣り合う光学粘着シート92Aおよび周囲部92aの端縁部E,Eは、互いに対向する。また、本工程のプレス加工では、積層シート90に対して、刃型100の刃101を、はく離ライナー93側から上記キャリアフィルムに至るまで押し入れることにより、キャリアフィルム上に所定の平面視形状のはく離ライナー付き光学粘着シート92Aを形成してもよい。この場合、図11Dを参照して後述する切断工程は実施されない。
【0008】
図14は、従来のプレス加工工程の一例を表す。図14に示すプレス加工工程では、製造ラインを流れる積層シート90が、一対のニップローラ201,201間と、プレス加工機202と、一対のニップローラ203,203間とを、この順で通過する。プレス加工機202は、間欠送り装置と、加工ステージと、同ステージの上方に配置された刃型とを備える(いずれも図示略)。一対のニップローラ201,201とプレス加工機202との間では、積層シート90は弛ませられる。プレス加工機202と一対のニップローラ203,203との間では、積層シート90は弛ませられる。ニップローラ201,201とニップローラ203,203との間では、積層シート90は、プレス加工機202の間欠送り装置によって間欠的に送られる。これにより、積層シート90における未加工領域が、プレス加工機202の加工ステージ上に間欠的に供給される。加工ステージ上では、間欠的に供給される積層シート90の未加工領域ごとに、刃型によるプレス加工が実施される。
【0009】
このようなプレス加工工程の後、図11Cに示すように、はく離ライナー91上から周囲部92a,93aを除去する(除去工程)。この後、図11Dに示すように、長尺のはく離ライナー91が枚葉状のはく離ライナー91Aに切断される。これにより、粘着剤層を有する枚葉状の積層フィルム(はく離ライナー91A/光学粘着シート92A/はく離ライナー93A)が得られる。
【0010】
フレキシブルデバイス用の光学粘着シートには、デバイス屈曲時の被着体への充分な追従性と、優れた応力緩和性とを有するように、高度に軟質であることが求められる。しかしながら、上述の従来の製造方法では、粘着剤層92が軟質なほど、プレス加工工程(図11B)後に、はく離ライナー91上で隣り合う光学粘着シート92Aおよび周囲部92aの端縁部E,Eが、図13において一点鎖線で示すように、それぞれ外方に膨らむように変形しやすい。具体的には、プレス加工時の刃101の押し入りによって間が開いた端縁部E,Eは、元の位置に復帰するように変形しやすい(復帰的変形)。
【0011】
加えて、従来の製造方法では、プレス加工機202を経た積層シート90が一対のニップローラ203,203(図14)によって挟まれる時、積層シート90に対して厚さ方向Hに圧力が作用して、端縁部E,E(図13)が外方に膨らむように変形しやすい。
【0012】
このような端縁部Eの変形は、隣り合う端縁部E,Eどうしが接触して付着すること(第1のブロッキング)の原因となる。端縁部E,E間にブロッキングが生じると、除去工程(図11C)において、周囲部92a,93aを適切に除去できない。端縁部E,E間のブロッキングは、粘着剤層を有する積層フィルムの製造歩留まりを低下させる。
【0013】
本発明は、軟質な粘着剤層を有する積層フィルムを効率よく製造するのに適した積層フィルムの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明[1]は、粘着剤層を有する積層フィルムのロールトゥロール方式の製造方法であって、キャリアフィルムと、第1フィルム層と、原粘着剤層と、第2フィルム層とを厚さ方向にこの順で備える長尺のワークフィルムに対し、前記第2フィルム層側から前記厚さ方向にレーザー光を照射することにより、前記第1フィルム層上で前記原粘着剤層および前記第2フィルム層を切断し、前記原粘着剤層において、個片化された粘着剤層と当該粘着剤層まわりの第1周囲部とを形成し、前記第2フィルム層において、前記粘着剤層上の第2フィルムと、当該第2フィルムまわりの、前記第1周囲部上の第2周囲部とを形成する、第1外形加工工程と、前記ワークフィルムから前記第2周囲部、前記第1周囲部および前記第2フィルムを除去する除去工程と、前記除去工程後に、前記ワークフィルムの前記粘着剤層側に長尺のフィルムを第3フィルム層として貼り合わせる貼合せ工程と、前記貼合せ工程後に、前記ワークフィルムに対し、前記第3フィルム層側からプレス刃をプレスすることにより、前記キャリアフィルム上で前記第1フィルム層および前記第3フィルム層を切断し、前記第1フィルム層において第1フィルムを形成し、前記第3フィルム層において第3フィルムを形成する、第2外形加工工程とを含む、粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法を含む。
【0015】
粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法は、上記のように、第1外形加工工程を含む。第1外形加工工程では、レーザー光の照射により、第1フィルム層上の原粘着剤層が切断されて、同層において、個片化された粘着剤層が形成される。すなわち、粘着剤層を有する積層フィルムの当該粘着剤層は、レーザー加工によって外形加工される。当該レーザー加工は、ワークフィルムを連続的に流しながら粘着剤層を連続的に外形加工工程するのに適する(粘着剤層の外形加工のためにワークフィルムを間欠的に送る必要がない)。したがって、本製造方法は、粘着剤層を有する積層フィルムを効率よく製造するのに適する。
【0016】
第1外形加工工程において、原粘着剤層に対してレーザー光が照射された部分では、原粘着剤層の材料が蒸発して除去される。すなわち、第1外形加工工程では、原粘着剤層の部分的除去により、当該原粘着剤層において、粘着剤層とその周りの第1周囲部とが隔てられて形成される。原粘着剤層はプレス刃の押し入りによって粘着剤層と第1周囲部とに切断されるのではないので、粘着剤層と第1周囲部の上述の復帰的変形が生じない。このような第1外形加工工程は、粘着剤層が軟質であるために変形しやすい場合であっても、粘着剤層と第1周囲部との間で上述の第1のブロッキングが生じるのを抑制するのに適する。
【0017】
本製造方法の第2外形加工工程では、上記のように、ワークフィルムに対して第3フィルム層側からプレス刃をプレスすることにより、キャリアフィルム上の第1・第3フィルム層が切断される。このようなプレス加工は、既に外形加工されている粘着剤層を第1・第3フィルム層間に配置させた状態で当該粘着剤層を更に外形加工することなく、第1・第3フィルムを外形加工するのに適する。第2外形加工工程において、粘着剤層を外形加工せずに第3フィルムを外形加工する場合、第3フィルム層における切断予定箇所は、粘着剤層によって十分には支持されていないので、厚さ方向の位置が変動しやすい。そのため、第2外形加工工程において仮にプレス加工に代えてレーザー加工をする場合、第3フィルム層に対するレーザー光の焦点が合いにくい。したがって、レーザー加工では第3フィルム層を適切に切断できない。これに対し、本製造方法の第2外形加工工程では、第3フィルム層をプレス刃によって押さえ付けて適切に切断できる。
【0018】
以上のように、本製造方法は、軟質な粘着剤層を有する積層フィルム(第1フィルムと、粘着剤層と、第3フィルムとを厚さ方向にこの順で備える)を効率よく製造するのに適する。
【0019】
本発明[2]は、前記第2外形加工工程における前記第1フィルム層および前記第3フィルム層の切断箇所は、前記厚さ方向と直交する面方向において前記粘着剤層から離れている、上記[1]に記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法を含む。
【0020】
このような第2外形加工工程によって形成される上記第1・第3フィルムは、粘着剤層の端縁よりも外方に延出する延出端部を有する。このような第1・第3フィルムを備える積層フィルムは、粘着剤層がフィルム端部からはみ出るのを抑制するのに適する。粘着剤層の当該はみ出しは、積層フィルムを積み重ねた場合に、隣り合う積層フィルムの粘着剤層の端部どうしが付着すること(第2のブロッキング)の原因となり、好ましくない。
【0021】
本発明[3]は、前記第1外形加工工程の後であって前記除去工程の前に、前記ワークフィルムを一対のローラによって挟んで引っ張るニップ工程を更に含む、上記[1]または[2]に記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法を含む。
【0022】
このようなニップ工程は、第1外形加工工程においてワークフィルムに対して適切に張力をかけるのに好ましい。また、本製造方法は、そのようなニップ工程において、粘着剤層と第1周囲部との間で上述の第1のブロッキングが生じるのを抑制するのに適する。
【0023】
本発明[4]は、前記第1外形加工工程は、前記ワークフィルムに対する前記レーザー光の照射の前に前記ワークフィルムを弛ませることを含まない、上記[1]から[3]のいずれか一つに記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法を含む。
【0024】
このような製造方法は、製造ラインにおけるレーザー加工前にワークフィルムを弛ませるための調整・制御が不要であり、粘着剤層を有する積層フィルムを効率よく製造するのに好ましい。
【0025】
本発明[5]は、前記第1外形加工工程は、前記ワークフィルムに対する前記レーザー光の照射の後に前記ワークフィルムを弛ませることを含まない、上記[1]から[4]のいずれか一つに記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法を含む。
【0026】
このような製造方法は、製造ラインにおけるレーザー加工後にワークフィルムを弛ませるための調整・制御が不要であり、粘着剤層を有する積層フィルムを効率よく製造するのに好ましい。また、第1外形加工工程がレーザー光照射後にワークフィルムを弛ませることを含まないことは、製造ラインにおいてワークフィルムが比較的大きな曲率半径で湾曲することを回避するのに適し、粘着剤層と第1周囲部との間で上述の第1のブロッキングが生じるのを抑制するのに適する(ワークフィルムの湾曲は、粘着剤層と第1周囲部との間の離隔距離を縮めて、第1のブロッキングが生ずる可能性を高める)。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法のフローチャートである。
図2図1に示す製造方法を実施する製造ラインの模式図である。
図3図1に示す製造方法における一部の工程を表す。図3Aは積層シートを用意する工程(用意工程)を表し、図3Bは、積層シートをキャリアフィルムによって支持する工程を表し、図3Cは第1外形加工工程(レーザー加工)を表す。
図4図3Cの工程に続く工程を表す。図4Aは、除去工程の第1サブステップを表し、図4Bは、除去工程の第2サブステップを表し、図4Cは、除去工程の第3サブステップを表す。
図5図4Cの工程に続く工程を表す。図5Aは、除去工程の第4サブステップを表し、図5Bは、除去工程の第5サブステップを表し、図5Cは、貼合せ工程を表す。
図6図5Cの工程に続く工程を表す。図6Aは、第2外形加工工程(プレス加工)を表す流れ方向の断面図であり、図6Bは、第2外形加工工程を表す幅方向の断面図であり、図6Cは、第1・第3フィルム層における各周囲部が除去された後のワークフィルムの断面図である。
図7】ワークフィルムにおける第1外形加工工程(図3C)後の領域の一例の平面図である。
図8】ワークフィルムにおける貼合せ工程(図5C)後の領域の一例の平面図である。
図9】ワークフィルムにおける第2外形加工工程(図6A,図6B)後の領域の一例の平面図である。
図10】第1外形加工工程の変形例を表す。本変形例では、第1外形加工工程におけるレーザー加工の前と後において、ワークフィルムを弛ませる。
図11】従来の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法の一例を表す。図11Aは積層シートを用意する工程を表し、図11Bはプレス加工工程を表し、図11Cは除去工程を表し、図11Dは切断工程を表す。
図12】刃型によるプレス加工工程を表す。
図13】プレス加工工程後の切断箇所の部分拡大断面模式図である。
図14】従来のプレス加工工程の一例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形態の積層フィルムの製造方法は、粘着剤層を有する枚葉状の積層フィルムのロールトゥロール方式での製造方法である。この製造方法は、図1に示すように、用意工程S1と、第1外形加工工程S2と、除去工程S3と、貼合せ工程S4と、第2外形加工工程S5とを含む。図2は、図1に示す製造方法を実施する製造ラインの模式図である。
【0029】
用意工程S1では、図3Aに示すように、長尺の原反フィルムとしての積層フィルムXを用意する。積層フィルムXは、フィルム層10(第1フィルム層)と、原粘着剤層20と、フィルム層30(第2フィルム層)とを、厚さ方向Hにこの順で備える。原粘着剤層20は、第1面20aと、当該第1面20aとは反対の第2面20bとを有する。フィルム層10は第1面20aに接している。フィルム層30は第2面20bに接している。積層フィルムXは、厚さ方向Hと直交する面方向に広がる。
【0030】
フィルム層10は、例えば、はく離ライナー、機能性光学フィルム、または基材フィルム(支持フィルム)である。
【0031】
はく離ライナーの材料としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、およびポリカーボネートが挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびシクロオレフィンポリマー(COP)が挙げられる。はく離ライナーとしてのフィルム層10は、原粘着剤層20の第1面20aに剥離可能に接している。そのようなフィルム層10の表面(原粘着剤層20側の表面)は、好ましくは剥離処理されている。剥離処理としては、例えば、シリコーン剥離処理およびフッ素剥離処理が挙げられる。はく離ライナーの厚さは、粘着剤層に対する保護機能を確保する観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上である。はく離ライナーの厚さは、積層フィルムXの薄型化の観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
【0032】
機能性光学フィルムとしては、例えば、偏光フィルムおよび位相差フィルムが挙げられる。機能性光学フィルムは、パネル補強材などの他の光学フィルムであってもよい。フィルム層10が機能性光学フィルムである場合、そのようなフィルム層10に対し、原粘着剤層20の第1面20aは接合している。機能性光学フィルムとしてのフィルム層10と、原粘着剤層20とは、粘着剤層付き機能性光学フィルムを形成する。
【0033】
偏光フィルムとしては、例えば、二色性物質による染色処理とその後の延伸処理とを経た親水性高分子フィルムが挙げられる。二色性物質としては、例えば、ヨウ素および二色性染料が挙げられる。親水性高分子フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、部分ホルマール化PVAフィルム、および、エチレン・酢酸ビニル共重合体の部分ケン化フィルムが挙げられる。偏光フィルムとしては、ポリエン配向フィルムも挙げられる。ポリエン配向フィルムの材料としては、例えば、PVAの脱水処理物、および、ポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物が挙げられる。偏光フィルムは、厚さ方向の一方面および/または他方面に、接着剤を介して接合された保護フィルムを有していてもよい。偏光フィルムの厚さは、偏光フィルムの機能、強度および耐久性を確保する観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上である。偏光フィルムの厚さは、積層フィルムXの薄型化の観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下である。
【0034】
位相差フィルムとしては、例えば、λ/2波長フィルムおよびλ/4波長フィルム、および視野角補償フィルムが挙げられる。位相差フィルムの材料としては、例えば、延伸処理によって複屈折化された高分子フィルムが挙げられる。高分子フィルムとしては、例えば、セルロースフィルムおよびポリエステルフィルムが挙げられる。セルロースフィルムとしては、例えばトリアセチルセルロースフィルムが挙げられる。ポリエステルフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、およびポリブチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。位相差フィルムとしては、セルロースフィルムなどの基材と、当該基材上の液晶性ポリマーなど液晶化合物の配向層とを備えるフィルムも挙げられる。位相差フィルムの厚さは、位相差フィルムの機能および強度を確保する観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上である。位相差フィルムの厚さは、積層フィルムXの薄型化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。
【0035】
基材フィルムの材料としては、例えば、はく離ライナーの材料として上記した材料が挙げられる。フィルム層10が基材フィルムである場合、そのようなフィルム層10に対し、原粘着剤層20の第1面20aは接合している。基材フィルムとしてのフィルム層10と、原粘着剤層20とは、片面粘着シートを形成する。基材フィルムの厚さは、基材としての強度を確保する観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上である。基材フィルムの厚さは、積層フィルムXの薄型化の観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
【0036】
原粘着剤層20は、粘着剤組成物から形成されている。粘着剤組成物は、ベースポリマーを含む。ベースポリマーは、粘着性を発現させる粘着成分である。ベースポリマーとしては、例えば、アクリルポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリアミドポリマー、およびポリビニルエーテルポリマーが挙げられる。ベースポリマーは、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。原粘着剤層20における良好な透明性および粘着性を確保する観点から、ベースポリマーとしては、好ましくはアクリルポリマーが用いられる。
【0037】
アクリルポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルを50質量%以上の割合で含むモノマー成分の共重合体である。「(メタ)アクリル」は、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。(メタ)アクリル酸エステルとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられ、より好ましくは、アルキル基の炭素数が1~20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルが挙げられる。
【0038】
モノマー成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性モノマーを含んでもよい。共重合性モノマーとしては、例えば、極性基を有するモノマーが挙げられる。極性基含有モノマーとしては、例えば、ヒドロキシ基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、およびカルボキシ基含有モノマー、が挙げられる。極性基含有モノマーは、アクリルポリマーへの架橋点の導入、アクリルポリマーの凝集力の確保など、アクリルポリマーの改質に役立つ。ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、および(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチルが挙げられる。窒素原子含有環を有するモノマーとしては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルイミダゾール、およびN-(メタ)アクリロイル-2-ピロリドンが挙げられる。
【0039】
ベースポリマーは、好ましくは、架橋構造を有する。ベースポリマーへの架橋構造の導入方法としては、架橋剤と反応可能な官能基を有するベースポリマーと架橋剤とを粘着剤組成物に配合し、ベースポリマーと架橋剤とを粘着剤層中で反応させる方法(第1の方法)、および、ベースポリマーを形成するモノマー成分に架橋剤としての多官能モノマーを含め、当該モノマー成分の重合により、ポリマー鎖に分枝構造(架橋構造)が導入されたベースポリマーを形成する方法(第2の方法)が、挙げられる。これら方法は、併用されてもよい。
【0040】
上記第1の方法で用いられる架橋剤としては、例えば、ベースポリマーに含まれる官能基(ヒドロキシ基およびカルボキシ基など)と反応する化合物が挙げられる。そのような架橋剤としては、例えば、イソシアネート架橋剤、過酸化物架橋剤、およびエポキシ架橋剤が挙げられる。架橋剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
【0041】
上記第2の方法では、まず、ベースポリマーを形成するための単官能モノマーを重合させ(予備重合)、これによって部分重合物(低重合度の重合物と未反応のモノマーとの混合物)を含有するプレポリマー組成物を調製する。次に、プレポリマー組成物に架橋剤としての多官能モノマーを添加した後、部分重合物と多官能モノマーとを重合させる(本重合)。多官能モノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和二重結合を1分子中に2個以上含有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、および、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0042】
ベースポリマーは、上述のモノマー成分を重合させることによって形成できる。重合方法としては、例えば、溶液重合、無溶剤での光重合(例えばUV重合)、塊状重合、および乳化重合が挙げられる。溶液重合の溶媒としては、例えば、酢酸エチルおよびトルエンが用いられる。また、重合の開始剤としては、例えば、熱重合開始剤または光重合開始剤が用いられる。
【0043】
ベースポリマーの重量平均分子量は、原粘着剤層20における凝集力の確保の観点から、好ましくは10万以上、より好ましくは30万以上、更に好ましくは50万以上である。同重量平均分子量は、好ましくは500万以下、より好ましくは300万以下、更に好ましくは200万以下である。ベースポリマーの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)によって測定してポリスチレン換算により算出される。
【0044】
ベースポリマーのガラス転移温度(Tg)は、原粘着剤層20の柔らかさを確保する観点から、好ましくは0℃以下、より好ましくは-10℃以下、更に好ましくは-20℃以下である。同ガラス転移温度は、例えば-80℃以上である。
【0045】
ベースポリマーのガラス転移温度(Tg)については、下記のFoxの式に基づき求められるガラス転移温度(理論値)を用いることができる。Foxの式は、ポリマーのガラス転移温度Tgと、当該ポリマーを構成するモノマーのホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。下記のFoxの式において、Tgはポリマーのガラス転移温度(℃)を表し、Wiは当該ポリマーを構成するモノマーiの重量分率を表し、Tgiは、モノマーiから形成されるホモポリマーのガラス転移温度(℃)を示す。ホモポリマーのガラス転移温度については文献値を用いることができる。例えば、「Polymer Handbook」(第4版,John Wiley & Sons, Inc., 1999年)には、各種のホモポリマーのガラス転移温度が挙げられている。一方、モノマーのホモポリマーのガラス転移温度については、特開2007-51271号公報に具体的に記載されている方法によって求めることも可能である。
【0046】
Foxの式 1/(273+Tg)=Σ[Wi/(273+Tgi)]
【0047】
粘着剤組成物は、必要に応じて他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、溶剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、軟化剤、および酸化防止剤が挙げられる。溶剤としては、例えば、アクリルポリマーの重合時に必要に応じて用いられる重合溶媒、および、重合後に重合反応溶液に添加される溶剤が、挙げられる。当該溶剤としては、例えば、酢酸エチルおよびトルエンが用いられる。
【0048】
原粘着剤層20のヘイズは、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下である。原粘着剤層20のヘイズは、JIS K7136(2000年)に準拠して、ヘイズメーターを使用して測定できる。ヘイズメーターとしては、例えば、日本電色工業社製の「NDH2000」、および、村上色彩技術研究所社製の「HM-150型」が挙げられる。
【0049】
原粘着剤層20の25℃でのせん断貯蔵弾性率は、原粘着剤層20の凝集力を確保する観点から、好ましくは10kPa以上、より好ましくは15kPa以上、更に好ましくは20kPa以上、特に好ましくは25kPa以上である。原粘着剤層20の25℃でのせん断貯蔵弾性率は、フレキシブルディスプレイパネル用途の光学粘着シートに求められる柔らかさを原粘着剤層20において実現する観点から、好ましくは1000kPa以下、より好ましくは700kPa以下、更に好ましくは500kPa以下、特に好ましくは300kPa以下である。せん断貯蔵弾性率の調整方法としては、例えば、原粘着剤層20におけるベースポリマーの種類の選択、分子量の調整、配合量の調整、ガラス転移温度の調整、および架橋度の調整が挙げられる。せん断貯蔵弾性率の調整方法としては、原粘着剤層20におけるベースポリマー以外の成分の選択および配合量の調整も挙げられる。粘着剤層のせん断貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定によって求められる。同測定は、Rheometric Scientific社製の動的粘弾性測定装置「Advanced Rheometric Expansion System (ARES)」によって実施できる。同測定では、測定モードをせん断モードとし、測定温度範囲を-40℃~100℃とし、昇温速度を5℃/分とし、周波数を1Hzとする。
【0050】
フィルム層30は、本実施形態では、はく離ライナーである。はく離ライナーの材料としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、およびポリカーボネートが挙げられる。具体的には、フィルム層10に関して上記したはく離ライナーの材料が挙げられる。はく離ライナーとしてのフィルム層30は、原粘着剤層20の第2面20bに剥離可能に接している。そのようなフィルム層30の表面(原粘着剤層20側の表面)は、好ましくは剥離処理されている。剥離処理としては、例えば、シリコーン剥離処理およびフッ素剥離処理が挙げられる。フィルム層30の厚さは、例えば10μm以上であり、また、例えば200μm以下である。
【0051】
積層フィルムXは、例えば次のようにして製造できる。まず、上述の粘着剤組成物をフィルム層10上に塗布して塗膜を形成する。次に、フィルム層10上の塗膜の上にフィルム層30を貼り合わせる。次に、フィルム層10,30間の塗膜を乾燥させ、且つ、必要に応じて塗膜に対して光照射する。これにより、フィルム層10,30間に原粘着剤層20を形成する。粘着剤組成物の塗布方法としては、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、およびダイコートが挙げられる。塗膜の乾燥温度は、例えば50℃~200℃である。乾燥時間は、例えば5秒~20分である。
【0052】
以上のような積層フィルムXが、図2に示す製造ラインに供給される。製造ラインは、本実施形態では、繰出しローラ(図示略)と、一対のニップローラ61,61と、レーザー加工機70と、一対のニップローラ62,62と、剥離ローラ63と、一対の貼合せローラ64,64と、剥離ローラ65と、一対の貼合せローラ66,66と、剥離ローラ67と、一対の貼合せローラ68,68と、プレス加工機80と、一対のニップローラ69,69と、更なる剥離ローラ(図示略)と、終端巻取りローラとしての第1巻取りローラ(図示略)とを、この順で備える。繰出しローラには、積層フィルムXのロールがセットされる。このロールから、積層フィルムXが繰り出される。
【0053】
繰出しローラから繰り出された積層フィルムXは、一対のニップローラ61,61よりも上流側において、図3Bに示すように、キャリアフィルムCと貼り合わせられる。これにより、ワークフィルムWが形成される。キャリアフィルムCは、厚さ方向Hの一方側に粘着面を有する片面粘着フィルムである。ワークフィルムWにおいて、キャリアフィルムCの粘着面が積層フィルムXのフィルム層10側に貼り合わせられている。ワークフィルムWは、具体的には、キャリアフィルムCと、フィルム層10と、原粘着剤層20と、フィルム層30とを厚さ方向Hにこの順で備える。また、キャリアフィルムCは、本実施形態では、ワークフィルムWの流れ方向D1と直交する幅方向D2(図7)において、積層フィルムXよりも幅広である。積層フィルムXは、キャリアフィルムC上において、幅方向D2の中央位置に配置される。このようなワークフィルムWが、製造ラインを流される。すなわち、積層フィルムXは、キャリアフィルムC上に支持された状態で、製造ラインを流される。
【0054】
第1外形加工工程S2の前に、図2に示すように、積層フィルムXを一対のニップローラ61,61によってニップする。具体的には、一対のニップローラ61,61によってワークフィルムWを挟んだ状態で各ニップローラ61を一定速度で回転させて、ワークフィルムWを引っ張ってレーザー加工機70に向けて送る。これにより、ニップローラ61,61よりもライン上流側のワークフィルムWに対して適度な張力を付与できる。ニップローラ61,61よりもライン上流側のワークフィルムWに対して適切な張力を付与することにより、当該ライン上流域において、キャリアフィルムCの貼合せ、および、ヒューム付着防止用のカバーフィルムの貼合せを、シワ等の不具合を生じさせずに適切に実施することが可能となる。
【0055】
第1外形加工工程S2では、図3Cに示すように、ワークフィルムWに対するレーザー加工機70(図2)でのレーザー加工により、原粘着剤層20において粘着剤層21を形成する。具体的には、次のとおりである。
【0056】
ワークフィルムWに対し、ワークフィルムWの切断予定ラインに沿って、フィルム層30側から厚さ方向Hにレーザーを照射する。これにより、フィルム層10上の原粘着剤層20およびフィルム層30を切断する。この切断により、原粘着剤層20において、個片化された粘着剤層21と、粘着剤層21まわりの周囲部22(第1周囲部)とが形成される。また、フィルム層30において、粘着剤層21上のフィルム31(第2フィルム)と、フィルム31まわりの周囲部32(第2周囲部)とが形成される。周囲部32は周囲部31上にある。フィルム層10には、ハーフカット溝10aが形成される。ハーフカット溝10aは、粘着剤層21の端縁21aに沿って形成される。図7は、ワークフィルムWにおける第1外形加工工程S2後の領域の一例を表す平面図である。
【0057】
レーザー加工用のレーザーとしては、例えば、気体レーザー、固体レーザー、および半導体レーザーが挙げられる。気体レーザーとしては、例えば、エキシマレーザーおよびCOレーザー(10.6μm)が挙げられる(括弧内の数値はレーザー波長を表す。レーザーに関して以下同じ)。エキシマレーザーとしては、例えば、Fエキシマレーザー(157nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、KrFエキシマレーザー(248nm)、およびXeClエキシマレーザー(308nm)が挙げられる。固体レーザーとしては、例えば、Nd:YAGレーザー(1064nm)、Nd:YAGレーザーの第2高調波(532nm)、Nd:YAGレーザーの第3高調波(355nm)、およびNd:YAGレーザーの第4高調波(266nm)が挙げられる。半導体レーザーとしては、例えば、波長405nmの半導体レーザーが挙げられる。レーザー加工において、照射レーザーのパルス幅は例えば0.5~50μ秒であり、パルスの周波数は例えば1~200kHzであり、レーザー出力は例えば2~250Wであり、レーザービームのスポット径は例えば50~200μmである。
【0058】
第1外形加工工程S2の後には、図2に示すように、ワークフィルムWを一対のニップローラ62,62によってニップする。具体的には、一対のニップローラ62,62によってワークフィルムWを挟んだ状態で各ニップローラ62を一定速度で回転させて、ワークフィルムWを引っ張って下流側に向けて送る。ニップローラ61,61とニップローラ62,62と間において、ワークフィルムWに対して適度な張力を付与できる。本実施形態の製造方法は、第1外形加工工程S2の後であって次の除去工程S3の前に、このようなニップ工程を更に含む。詳しくは後述するように、本製造方法は、当該ニップ工程において、粘着剤層21と周囲部22との間で上述の第1のブロッキングが生じるのを抑制するのに適する。また、ニップローラ61,61とニップローラ62,62と間においてワークフィルムWに対して適度な張力を付与できることは、レーザー加工に付されるワークフィルムWのシワおよび反り等を抑制してワークフィルムWに対するレーザー加工の焦点距離を一定にするのに役立ち、従って、レーザー加工の加工品位のばらつきを抑制するのに役立つ。
【0059】
ニップローラ62,62間を通過したワークフィルムWに対し、図2に示すように、周囲部32と周囲部22とフィルム31とを順次に除去するための除去工程S3を実施する。
【0060】
除去工程S3では、まず、図2および図4Aに示すように、剥離ローラ63によってワークフィルムWから周囲部32を除去する(第1サブステップ)。剥離ローラ63は、ローラ表面63aを有する。ローラ表面63aは、例えば、粘着性を有する。このような剥離ローラ63が一定方向に回転しつつ、ローラ表面63aがワークフィルムWのフィルム層30側に接触することにより、フィルム層30における周囲部32が、ローラ表面63aに貼着して、原粘着剤層20における周囲部22から離される。当該周囲部32は、続いて、所定の第2巻取りローラ(図示略)によって巻き取られる。すなわち、周囲部32はローラ表面63aから剥がされる。
【0061】
除去工程S3では、次に、図2および図4Bに示すように、一対の貼合せローラ64,64によってワークフィルムWに転写用フィルムFを貼り合わせる(第2サブステップ)。転写用フィルムFは、例えば、可撓性を有するプラスチックフィルムである。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが用いられる。このステップでは、具体的には、貼合せローラ64,64間にワークフィルムWと転写用フィルムFとを通すことにより、ワークフィルムWにおけるフィルム31側(キャリアフィルムCとは反対側)に対して転写用フィルムFを押圧する。これにより、原粘着剤層20における周囲部22が転写用フィルムFに貼着する。フィルム31は、転写用フィルムFに貼着しない。
【0062】
除去工程S3では、次に、図2および図4Cに示すように、剥離ローラ65によってワークフィルムWから転写用フィルムFを剥離する(第3サブステップ)。剥離ローラ65は、本実施形態では、ローラ表面65aを有する。ローラ表面65aは、例えば、粘着性を有する。このような剥離ローラ65が一定方向に回転しつつ、ローラ表面65aが転写用フィルムFの厚さ方向H一方面に貼着することにより、転写用フィルムFがワークフィルムWから剥離される。このとき、転写用フィルムFの厚さ方向H他方面に貼着している周囲部22(原粘着剤層20の一部)がフィルム層10から離される。周囲部22付き転写用フィルムFは、続いて、所定の第3巻取りローラ(図示略)によって巻き取られる。すなわち、転写用フィルムFはローラ表面65aから剥がされる。
【0063】
除去工程S3では、次に、図2および図5Aに示すように、一対の貼合せローラ66,66によってワークフィルムWに剥離テープTを貼り合わせる(第4サブステップ)。剥離テープTは、粘着面Taを有する片面粘着テープである。このステップでは、具体的には、貼合せローラ66,66間にワークフィルムWと剥離テープTとを通すことにより、ワークフィルムWにおけるフィルム31に剥離テープTの粘着面Taを貼着させる。
【0064】
除去工程S3では、次に、図2および図5Bに示すように、剥離ローラ67によってワークフィルムWから剥離テープTを剥離する(第5サブステップ)。剥離ローラ67は、本実施形態では、ローラ表面67aを有する。ローラ表面67aは、例えば、粘着性を有する。このような剥離ローラ67が一定方向に回転しつつ、ローラ表面67aが剥離テープTの厚さ方向H一方面に貼着することにより、剥離テープTがワークフィルムWから剥離される。このとき、剥離テープTの粘着面Taが貼着しているフィルム31が粘着剤層21から離される。フィルム31付き剥離テープTは、続いて、所定の第4巻取りローラ(図示略)によって巻き取られる。すなわち、剥離テープTはローラ表面67aから剥がされる。
【0065】
次に、貼合せ工程S4では、図2および図5Cに示すように、一対の貼合せローラ68,68により、ワークフィルムWの粘着剤層21側に長尺のフィルム40’をフィルム層40(第3フィルム層)として貼り合わせる。
【0066】
フィルム層40は、本実施形態では、はく離ライナーである。はく離ライナーの材料としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、およびポリカーボネートが挙げられる。具体的には、フィルム層10に関して上記したはく離ライナーの材料が挙げられる。はく離ライナーとしてのフィルム層40は、粘着剤層21の厚さ方向H一方面に対して剥離可能に接している。そのようなフィルム層40の表面(粘着剤層21側の表面)は、好ましくは剥離処理されている。剥離処理としては、例えば、シリコーン剥離処理およびフッ素剥離処理が挙げられる。
【0067】
フィルム層40の厚さは、粘着剤層21に対する保護機能を確保する観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上である。フィルム層40の厚さは、積層フィルムXの薄型化の観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
【0068】
フィルム層40は、図8に示すように、延出端部40Aを有するのが好ましい(図8は、ワークフィルムWにおける貼合せ工程後の領域の一例を表す平面図である)。延出端部40Aは、幅方向D2において、フィルム層10の端縁10bよりも外方に延出する。本実施形態では、幅方向D2における、端縁10bからの延出端部40Aの延出長さd1は、好ましくは0mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また、好ましくは50mm以下、より好ましくは30mm以下である。フィルム層40がこのような延出端部40Aを有することは、延出端部41Aを有する後述のフィルム41(図6B,図9)を、フィルム層40から形成するのに好ましい。延出端部40Aは、幅方向D2において、フィルム層10の端縁10bよりも内側に位置してもよい。
【0069】
貼合せ工程S4の後、図2に示すように、一対の貼合せローラ68,68とプレス加工機80との間で、ワークフィルムWは弛ませられる。これにより、ワークフィルムWについて、貼合せローラ68,68までの連続送りと、プレス加工機80を通過するための後述の間欠送りとを、両立できる。
【0070】
次に、第2外形加工工程S5では、プレス加工機(図2)でのプレス加工により、図6Aに示すように、フィルム層10,40においてフィルム11,41を形成する。具体的には、次のとおりである。
【0071】
プレス加工機80は、例えば、間欠送り装置と、加工ステージと、同ステージの上方に配置されたプレス刃とを備える(いずれも図示略)。プレス加工機80の間欠送り装置により、ワークフィルムWにおける加工予定領域が、加工ステージ上に間欠的に供給される。加工ステージ上では、間欠的に供給されるワークフィルムWの加工予定領域ごとに、プレス刃によるプレス加工を実施する。具体的には、図6Aに示すように、ワークフィルムWに対し、フィルム層40側からプレス刃(図示略)をプレスすることにより、キャリアフィルムC上でフィルム層10,40を切断する(図6Aでは、切断箇所を模式的に太点線で示す)。これにより、フィルム層10,40において、所定の平面視形状のフィルム11,41を形成する。図9は、ワークフィルムWにおける第2外形加工工程S5後の領域の一例を表す平面図である。また、本工程では、フィルム層10におけるフィルム11まわりに周囲部12が形成される。フィルム層40におけるフィルム41まわりに周囲部42が形成される。
【0072】
第2外形加工工程S5におけるフィルム層10およびフィルム層40の切断箇所は、厚さ方向Hと直交する面方向において粘着剤層21から実質的に離れているのが好ましい。そのような好ましい形態において、具体的には、次のとおりである。フィルム11は、幅方向D2において粘着剤層21の端縁21aから外方に延出する延出端部11Aを有する。端縁21aからの延出端部11Aの延出長さd2は、製造される後記の積層フィルムYにおいて上述の第2のブロッキングを抑制する観点から、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上である。延出長さd2は、例えば10mm以下である。フィルム41は、幅方向D2において粘着剤層21の端縁21aから外方に延出する延出端部41Aを有する。端縁21aからの延出端部41Aの延出長さd3は、後記の積層フィルムYにおいて上述の第2のブロッキングを抑制する観点から、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上である。延出長さd3は、例えば10mm以下である。第2外形加工工程S5におけるフィルム層10およびフィルム層40の切断箇所は、厚さ方向Hと直交する面方向において粘着剤層21から実質的に離れていなくてもよい。その場合、延出長さd2は、例えば0.5mm以下であって好ましくは0mmであり、延出長さd3は、例えば0.5mm以下であって好ましくは0mmである。
【0073】
本工程では、好ましくは、図6Bおよび図9に示すように、幅方向D2におけるフィルム層10の外側を切断する。これにより、幅方向D2において延出端部11Aより長い延出端部41Aを有するフィルム41を形成できる。そのようなフィルム41は、粘着剤層21から剥離しやすい。そのようなフィルム41は、例えば、フィルム11よりも先に、粘着剤層21から剥離しやすい。当該フィルム41の延出端部41Aと、フィルム11の延出端部11Aとの、幅方向D2の延出長さの差d4(=d2-d3)は、フィルム41の剥離しやすさを確保する観点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、更に好ましくは3mm以上である。差d4は、例えば15mm以下である。本工程では、幅方向D2におけるフィルム層10の内側を切断してもよい。フィルム層10の内側において、フィルム層40と共にフィルム層10を切断(フルカット)する場合、幅方向D2の寸法が実質的に同じフィルム11,41が形成される。そのようなフィルム11,41においては、幅方向D2における延出端部11A,41Aの長さも実質的に同じである。フィルム層10の内側において、フィルム層40を切断(フルカット)すると共にフィルム層10をハーフカットする場合、フィルム41の延出端部41Aよりも長い延出端部11Aを有するフィルム11が形成される。そのようなフィルム11は、フィルム41よりも先に、粘着剤層21から剥離しやすい。この場合、フィルム41の延出端部41Aと、フィルム11の延出端部11Aとの、幅方向D2の延出長さの差d4(=d2-d3)は、フィルム11の剥離しやすさを確保する観点から、好ましくは-1mm以下、より好ましくは-2mm以下、更に好ましくは-3mm以下であり、また、例えば-15mm以上である。すなわち、延出端部11A,41Aの延出長さが異なる場合、延出端部11A41Aの延出長さの差d4の絶対値(|d2-d3|)は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、更に好ましくは3mm以上であり、また、例えば15mm以下である。
【0074】
第2外形加工工程S5の後、図2に示すように、プレス加工機80と一対のニップローラ69,69との間で、ワークフィルムWは弛ませられる。これにより、ワークフィルムWについて、プレス加工機80を通過するための間欠送りと、ニップローラ69,69以降の下流での連続送りとを、両立できる。そして、一対のニップローラ69,69では、ワークフィルムWをニップする。具体的には、一対のニップローラ69,69によってワークフィルムWを挟んだ状態で各ニップローラ69を一定速度で回転させて、ワークフィルムWを引っ張って下流側に向けて送る。これにより、ニップローラ69以降の下流において、ワークフィルムWに対して適度な張力を付与できる。ニップローラ69以降の下流においてワークフィルムWに対して適度な張力を付与することにより、キャリアフィルムCから後述の積層フィルムYの剥離・回収を適切に実施することが可能となる。
【0075】
次に、ニップローラ69,69間を通過したワークフィルムWから、図6Cに示すように、上述の周囲部12,42を除去する。例えば、剥離ローラ63と同様の機構の剥離ローラ(図示略)により、ワークフィルムWから周囲部12,42を除去する。これにより、キャリアフィルムC上には、枚葉状の積層フィルムYが残る。積層フィルムYは、フィルム11と、粘着剤層21と、フィルム41とを、厚さ方向Hにこの順で有する。フィルム11が上述のはく離ライナーである場合、当該フィルム11は、例えば、粘着剤層21からの剥離に要する力(剥離力)がフィルム41よりも大きい重はく離ライナーである。この場合、フィルム41は、粘着剤層21からの剥離力がフィルム11よりも小さい軽はく離ライナーである。または、フィルム11は、粘着剤層21からの剥離力がフィルム41よりも小さい軽はく離ライナーであり、フィルム41は、粘着剤層21からの剥離力がフィルム11よりも大きい重はく離ライナーであってもよい。フィルム11が上述の機能性光学フィルムである場合、当該フィルム11および粘着剤層21は、粘着剤層付き機能性光学フィルムを形成する。この場合、フィルム41は、例えば、当該機能性光学フィルムの粘着剤層側に剥離可能に接するはく離ライナーである。フィルム11が上述の基材フィルム(支持フィルム)である場合、当該フィルム11および粘着剤層21は、片面粘着シートを形成する。この場合、フィルム41は、例えば、当該片面粘着シートの粘着剤層側に剥離可能に接するはく離ライナーである。
【0076】
この後、キャリアフィルムCから積層フィルムYを剥離した後、キャリアフィルムCを、上述の第1巻取りローラによって巻き取る。または、積層フィルムY付きのキャリアフィルムCを、第1巻取りローラによって巻き取る。
【0077】
以上のようにして、積層フィルムY(粘着剤層を有する積層フィルム)を製造できる。
【0078】
本製造方法の第1外形加工工程S2では、レーザー光の照射により、フィルム層10上の原粘着剤層20が切断されて、原粘着剤層20において、個片化された粘着剤層21が形成される。レーザー加工は、ワークフィルムWを連続的に流しながら原粘着剤層20を連続的に外形加工工程するのに適する(原粘着剤層20の外形加工のためにワークフィルムWを間欠的に送る必要がない)。したがって、本製造方法は、粘着剤層21を有する積層フィルムYを効率よく製造するのに適する。
【0079】
第1外形加工工程S2において、原粘着剤層20に対してレーザー光が照射された部分では、原粘着剤層20の材料が蒸発して除去される。すなわち、第1外形加工工程S2では、原粘着剤層20の部分的除去により、原粘着剤層20において、粘着剤層21とその周りの周囲部22とが隔てられて形成される。原粘着剤層20はプレス刃の押し入りによって粘着剤層21と周囲部22とに切断されるのではないので、粘着剤層21と周囲部22には、従来の製造方法に関して上述した復帰的変形が生じない。このような第1外形加工工程S2は、原粘着剤層20が軟質であるために変形しやすい場合であっても、粘着剤層21と周囲部22との間で上述の第1のブロッキングが生じるのを抑制するのに適する。
【0080】
本製造方法の第2外形加工工程S5では、上述のように、ワークフィルムWに対してフィルム層40側からプレス刃をプレスすることにより、キャリアフィルムC上のフィルム層10,40が切断される。このようなプレス加工は、既に外形加工されている粘着剤層21をフィルム層10,40間に配置させた状態で当該粘着剤層21を更に外形加工することなく、フィルム10,40を外形加工するのに適する。第2外形加工工程S5において、粘着剤層21を外形加工せずにフィルム41を外形加工する場合、フィルム層40における切断予定箇所は、粘着剤層21によって十分には支持されていないので、厚さ方向Hの位置が変動しやすい。そのため、第2外形加工工程S5において仮にプレス加工に代えてレーザー加工をする場合、フィルム層40に対するレーザー光の焦点が合いにくい。したがって、レーザー加工ではフィルム層40を適切に切断できない。これに対し、本製造方法の第2外形加工工程S5では、フィルム層40をプレス刃によって押さえ付けて適切に切断できる。
【0081】
以上のように、本製造方法によると、軟質な粘着剤層21を有する積層フィルムYを効率よく製造するのに適する。
【0082】
第2外形加工工程S5におけるフィルム層10,40の切断箇所は、上述のように、厚さ方向Hと直交する面方向(流れ方向D1,幅方向D2)において粘着剤層21から離れているのが好ましい。このような第2外形加工工程S5によって形成されるフィルム11,41は、粘着剤層21の端縁21aよりも外方に延出する延出端部11A,41Aを有する。このようなフィルム11,41を備える積層フィルムYは、粘着剤層21がフィルム11,41の端縁からはみ出るのを抑制するのに適し、従って、上述の第2のブロッキングを抑制するのに適する。
【0083】
本製造方法において、第1外形加工工程S2は、ワークフィルムWに対するレーザー光の照射の前にワークフィルムWを弛ませることを含まない。このような製造方法は、上述の製造ラインにおけるレーザー加工前にワークフィルムWを弛ませるための調整・制御が不要であり、粘着剤層21を有する積層フィルムYを効率よく製造するのに好ましい。一方、本製造方法において、第1外形加工工程S2は、図10に示すように、ワークフィルムWに対するレーザー光の照射の前にワークフィルムWを弛ませることを含んでもよい。
【0084】
本製造方法において、第1外形加工工程S2は、ワークフィルムWに対するレーザー光の照射の後にワークフィルムWを弛ませることを含まない。このような製造方法は、上述の製造ラインにおけるレーザー加工後にワークフィルムWを弛ませるための調整・制御が不要であり、粘着剤層21を有する積層フィルムYを効率よく製造するのに好ましい。また、第1外形加工工程S2がレーザー光照射後にワークフィルムWを弛ませることを含まないことは、製造ラインにおいてワークフィルムが比較的大きな曲率半径で湾曲することを回避するのに適し、粘着剤層21と周囲部22との間で上述の第1のブロッキングが生じるのを抑制するのに適する(ワークフィルムWの湾曲は、粘着剤層21と周囲部22との間の離隔距離を縮めて、第1のブロッキングが生じる可能性を高める)。一方、本製造方法において、第1外形加工工程S2は、図10に示すように、ワークフィルムWに対するレーザー光の照射の後にワークフィルムWを弛ませることを含んでもよい。
【符号の説明】
【0085】
W ワークフィルム
X 積層フィルム(粘着剤層を有する積層フィルム)
C キャリアフィルム
H 厚さ方向
D1 長さ方向
D2 幅方向
10 フィルム層(第1フィルム層)
20 原粘着剤層
21 粘着剤層
22 周囲部(第1周囲部)
30 フィルム層(第2フィルム層)
31 フィルム(第2フィルム)
32 周囲部(第2周囲部)
40’ フィルム
40 フィルム層(第3フィルム層)
41 フィルム(第3フィルム)
70 レーザー加工機
62 ニップローラ
80 プレス加工機
図1
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図3
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図5
図6
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