(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051427
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】支持構造
(51)【国際特許分類】
B23K 37/02 20060101AFI20240404BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20240404BHJP
B23K 9/00 20060101ALI20240404BHJP
B25J 5/02 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B23K37/02 C
E04G21/16
B23K9/00 501B
B25J5/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157598
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(71)【出願人】
【識別番号】305017815
【氏名又は名称】十一屋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大附 和敬
(72)【発明者】
【氏名】平松 剛
(72)【発明者】
【氏名】西羅 康平
(72)【発明者】
【氏名】森 貴久
(72)【発明者】
【氏名】田原 健一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聡
(72)【発明者】
【氏名】二村 倫也
(72)【発明者】
【氏名】大棟 康亜
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一道
【テーマコード(参考)】
2E174
3C707
4E081
【Fターム(参考)】
2E174AA01
2E174BA03
2E174DA12
2E174DA52
2E174DA62
2E174EA02
3C707AS11
3C707BS10
3C707CS04
3C707HS08
3C707WA16
4E081YB03
(57)【要約】
【課題】支持構造の高さを抑え、高さ方向のコンパクト化を図ることができ、仮設足場等に、支持部材や補強部材の機械的干渉を回避し易くなる支持構造を提供する。
【解決手段】支持構造10は、水平な第1方向Aに延びるとともに、柱1を挟むように下部鋼柱1Aに取り付けられた一対の支持部材20と、第1方向と交差する第2方向Bに延びるとともに、柱1を挟むように一対の支持部材ごとに渡された一対の補強部材30と、第2方向に延びるとともに、補強部材ごとに取り付けられ、ロボットアーム80の走行を案内するレール部材40と、を備えている。補強部材は、一対の支持部材に取り付けられた平板状のプレート本体31と、プレート本体31からレール部材40側に立ち上がり、レール部材の両側において第2方向Bに沿って延びた一対の補強リブ32と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部鋼柱と下部鋼柱と突合せ部分の溶接に用いられるロボットアームを前記下部鋼柱に支持させる支持構造であって、
水平な第1方向に延びるとともに、前記下部鋼柱を挟むように前記下部鋼柱に取り付けられた一対の支持部材と、
前記第1方向と交差する第2方向に延びるとともに、前記下部鋼柱を挟むように前記一対の支持部材ごとに渡された一対の補強部材と、
前記第2方向に延びるとともに、前記補強部材ごとに取り付けられ、前記ロボットアームの走行を案内するレール部材と、を備えており、
前記補強部材は、前記一対の支持部材に取り付けられた平板状のプレート本体と、
前記プレート本体から前記レール部材側に立ち上がり、前記レール部材の両側において前記第2方向に沿って延びた一対の補強リブと、を備えることを特徴とする支持構造。
【請求項2】
前記支持部材の両側には、前記補強部材を取り付けるため第1貫通孔が、前記第1方向に沿って複数形成されており、
前記プレート本体には、前記一対の補強リブから外側に張り出した張り出し部が形成されており、前記張り出し部には、第2貫通孔が、前記第2方向に沿って複数形成されており、
複数の前記第1貫通孔および複数の前記第2貫通孔のうち、前記下部鋼柱のサイズに応じた位置の前記第1および第2貫通孔に、固定具を挿通することにより、前記補強部材は、前記支持部材に固定されることを特徴とする請求項1に記載の支持構造。
【請求項3】
前記プレート本体のうち、少なくとも前記一対の支持部材の間には、肉抜き部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の支持構造。
【請求項4】
前記補強部材の両端部には、搬送用の取手が設けられており、
前記第2方向に沿った前記張り出し部の長さは、前記レール部材の長さより短く、
前記レール部材の側面に沿って、前記取手と前記補強部材との間に前記取手の把持用の隙間が形成されるように、前記取手は、前記張り出し部に固定されていることを特徴とする請求項2に記載の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部鋼柱と下部鋼柱との突合せ部分の溶接に用いられるロボットアームを、下部鋼柱に取り付けるための支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設現場などにおいて、上部鋼柱と下部鋼柱の突合せ部分は、溶接により固定される。このような溶接方法として、ロボットアームを用いた溶接方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、下部鋼柱に挟み込むように支持される一対の第1支持部材と、第1支持部材と交差する方向に延在し、第1支持部材に支持される一対の第2支持部材と、第2支持部材に沿って固定されるレール部材と、を備えた支持構造が、提案されている。この支持構造によれば、異なるサイズの下部鋼柱に対して溶接用のロボットアームを取り付けて、レール部材に沿って、ロボットアームを移動させながら、上部鋼柱と下部鋼柱とを付け合わせ溶接することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す支持構造では、支持片を介して第1支持部材を下部鋼柱に固定し、第1支持部材に載置するように第2支持部材を固定し、さらに第2支持部材の上にレール部材を固定している。このため、上部鋼柱と下部鋼柱との突合せ部分の溶接の際のロボットアームの走行位置は、支持片に対して、第1支持部材の高さと第2支持部材との高さの合計分の高さとなる。したがって、支持構造の上下方向の取付け範囲が広がってしまい、筋交いや胴縁などの他の鉄骨部材、周辺機器、および仮設足場に干渉するおそれもある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、支持構造の上下方向の取付け範囲をよりコンパクトにし、他の鉄骨部材、周辺機器、および仮設足場などに干渉し難い支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題に鑑みて、本発明に係る支持構造は、上部鋼柱と下部鋼柱と突合せ部分の溶接に用いられるロボットアームを前記下部鋼柱に支持させる支持構造であって、水平な第1方向に延びるとともに、前記下部鋼柱を挟むように前記下部鋼柱に取り付けられた一対の支持部材と、前記第1方向と交差する第2方向に延びるとともに、前記下部鋼柱を挟むように前記一対の支持部材ごとに渡された一対の補強部材と、前記第2方向に延びるとともに、前記補強部材ごとに取り付けられ、前記ロボットアームの走行を案内するレール部材と、を備えており、前記補強部材は、前記一対の支持部材に取り付けられた平板状のプレート本体と、前記プレート本体から前記レール部材側に立ち上がり、前記レール部材の両側において前記第2方向に沿って延びた一対の補強リブと、を備えることを特徴とする。
【0008】
前記のごとく構成された本発明の支持構造によれば、柱を挟むように一対の支持部材ごとに一対の補強部材を渡し、補強部材ごとにロボットアームの走行を案内するレール部材が取り付けられている。ここで、補強部材は、プレート本体からレール部材側に立ち上がり、レール部材の両側において第2方向に沿って延びた一対の補強リブにより補強されている。
【0009】
このように、レール部材は、一対の支持部材の上に渡された一対の補強部材ごとに取り付けられ、補強部材の平板状のプレート本体の肉厚分だけ上昇した状態で支持され、ロボットアームの走行位置を低く設定できる。これにより、ロボットアームの走行中の振動を小さくすることができ、平板状のプレート本体と、レール部材の両側から立ち上がる一対の補強リブからなる薄型の補強部材を用いても、安定した走行が可能となる。さらに、補強部材の構成を簡略化でき、軽量化を達成でき、支持部材への取り付けを容易に行える。
【0010】
より好ましい態様としては、前記支持部材の両側には、前記補強部材を取り付けるため第1貫通孔が、前記第1方向に沿って複数形成されており、前記プレート本体には、前記一対の補強リブから外側に張り出した張り出し部が形成されており、前記張り出し部には、第2貫通孔が、前記第2方向に沿って複数形成されており、複数の前記第1貫通孔および複数の前記第2貫通孔のうち、前記下部鋼柱のサイズに応じた位置の前記第1および第2貫通孔に、固定具を挿通することにより、前記補強部材は、前記支持部材に固定される。
【0011】
この態様によれば、第1支持部材の複数の第1貫通孔と、第2支持部材の複数の第2貫通孔から、下部鋼柱の断面のサイズに合わせて、第1貫通孔と第2貫通孔を選択し、選択した第1貫通孔と第2貫通孔に固定具を挿通し、支持部材に補強部材を固定することができる。このようにして、異なるサイズの柱であっても、第1および第2支持部材を、下部鋼柱に対して所望の取付位置で取り付けることができる。
【0012】
より好ましい態様としては、前記プレート本体のうち、少なくとも前記一対の支持部材の間には、肉抜き部が形成されている。この態様によれば、補強部材を構成するプレート本体に、肉抜き部を形成することにより、補強部材の軽量化を図ることができるので、補強部材を搬送し易くなる。また、プレート本体のうち、一対の支持部材同士の間に位置する部分の両側は、各支持部材により両持ちで支持されており、さらに、この部分は、第2方向に沿って一対の補強リブも形成されている。したがって、この一対の支持部材同士の間に位置する部分に肉抜き部を設けたとしても、補強部材の曲げ剛性および捩れ剛性を十分に確保することができる。
【0013】
より好ましい態様としては、前記補強部材の両端部には、搬送用の取手が設けられており、前記第2方向に沿った前記張り出し部の長さは、前記レール部材の長さより短く、前記レール部材の側面に沿って、前記取手と前記補強部材との間に前記取手の把持用の隙間が形成されるように、前記取手は、前記張り出し部に固定されている。
【0014】
この態様によれば、レール部材の側面に沿って、取手と補強部材との間に取手の把持用の隙間が形成されているので、この隙間に手を差し入れて、補強部材を二人で容易に搬送することができる。このため、補強部材を軽量化できるとともに、支持部材に補強部材を取り付ける際の操作が容易となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、支持構造の高さを抑え、高さ方向のコンパクト化を図ることができ、仮設足場等への機械的干渉を回避し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る支持構造の一実施形態を用いて溶接用のロボットアームを下部鋼柱に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す支持構造の要部を示す平面図である。
【
図3】
図1、
図2に示す支持構造の支持部材と固定部材の構造を分解して示す斜視図である。
【
図4】
図1、
図2に示す支持構造の補強部材を模式的に示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のC-C線に沿う断面図、(c)は(a)の平面図である。
【
図5】
図4に示す補強部材にレール部材を固定した状態の斜視図である。
【
図6】(a)は、
図5のD-D線に沿う断面図、(b)は補強部材の変形例の断面図である。
【
図7】
図1、
図2に示す支持構造の支持部材の下部鋼柱に対する支持部分と、支持部材と補強部材との支持部分を示し、(a)は要部正面図、(b)は(a)のE-E線に沿う断面図である。
【
図8】
図7に示す支持部分の詳細を示し、(a)は要部平面図、(b)は要部正面図、(c)は固定用のナットを含む要部右側面図である。
【
図9】
図8に示す支持部分の要部構成を分解した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る支持構造の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る支持構造を用いて、2つのロボットアームを上部鋼柱と下部鋼柱とからなる柱の下部鋼柱に取り付けた状態を示す斜視図、
図2は、
図1に示す支持構造の要部を示す平面図である。
【0018】
図1、
図2に示すように、建設現場等においては、下部鋼柱1Aと上部鋼柱1Bとの突合せ部分1aを溶接するために、溶接用のロボットアーム80が用いられる。溶接用のロボットアーム80は、支持構造10により支持される。柱1は、下部鋼柱1Aと、上部鋼柱1Bとから構成され、突合せ部分1aを溶接して一体化される。
【0019】
下部鋼柱1Aおよび上部鋼柱1Bの外面は、対向する(反対側に位置する)外面1b、1bと、これらの間に形成された外面1c、1cの4つの外面で構成され、4つの平面部と4つの湾曲部によって形成されている。下部鋼柱1Aおよび上部鋼柱1Bの外面1b、1cの平面部の所定位置には、複数(ここでは4つ)の突片2(エレクションピースともいう)が溶接されている。この突片2は、上下に隣接する下部鋼柱1Aおよび上部鋼柱1Bを仮固定するために設けられている。上下に配置された2つの突片2には、仮固定治具3が取り付けられている。
【0020】
仮固定治具3は、上下方向に延設されており、上側の端部はボルト4等を用いて上側の突片2に締結されており、下側の端部はボルト4等を用いて下側の突片2に締結されている。仮固定治具3は、ここでは詳細な説明を省略するが、上下に配置された2つの突片2同士の間の距離を調節可能に構成されていてもよい。これにより、下部鋼柱1Aと上部鋼柱1Bとの隙間を調節することが可能であるとともに、上部鋼柱1Bの傾きを調節することが可能である。なお、仮固定治具3は、下部鋼柱1Aと上部鋼柱1Bの突合せ部分1aの溶接が完了した際、又は突合せ部分1aの溶接途中であっても、下部鋼柱1Aと上部鋼柱1Bとの間の接合強度が建設中の建物を支持するのに十分な大きさになった際に、突片2から取り外される。
【0021】
つぎに、支持構造10について、
図1から
図9を参照して説明する。支持構造10は、溶接用のロボットアーム80を支持する支持部材20が、固定ユニット11を介して、下部鋼柱1Aの外面1bに着脱自在に支持され、支持部材20に補強部材30とレール部材40が支持された構造である。
【0022】
支持構造10は、上部鋼柱1Bと下部鋼柱1Aとからなる柱1同士の突合せ部分1aの溶接に用いられるロボットアーム80を下部鋼柱に支持させる支持構造である。支持構造10は、一対の支持部材20、20、一対の補強部材30、30、および一対のレール部材40、40を備えている。
【0023】
一対の支持部材20、20は、水平な第1方向(矢印A方向)に延びるとともに、柱1を挟むように下部鋼柱1Aに取り付けられている。具体的には、一対の支持部材20、20は、水平な第1方向(矢印A方向)に延在するとともに下部鋼柱1Aを挟むように、下部鋼柱1Aの対向する外面1b、1bに固定されている。
【0024】
一対の補強部材30、30は、第1方向と交差する水平な第2方向(矢印B方向)に延びるとともに、柱1を挟むように一対の支持部材20、20ごとに渡されている。具体的には、一対の補強部材30、30は、第1方向と直交する第2方向に延在するとともに下部鋼柱1Aの対向する他の外面1c、1cを挟むように、一対の支持部材20、20に跨って支持されている。
【0025】
各レール部材40は、第2方向に延びるとともに、補強部材ごとに取り付けられ、各ロボットアーム80の走行を案内している。具体的には、一対のレール部材40、40は、一対の補強部材30、30上に固定されているとともに、2つのロボットアーム80、80を第2方向(矢印B方向)に案内する。
【0026】
つぎに、支持部材20の詳細構造について、
図3を参照して説明する。支持部材20の材質および断面形状は特に限定されるものではないが、軽量化の観点からここではアルミニウム合金が用いられるが、鋼または樹脂(プラスチック)が用いられていてもよい。支持部材20は、
図3に示すように、一対のフランジ21、22と、一対のフランジ21、22を接続するウェブ23と、を有する断面H形状に形成されているとともに、所定方向(下部鋼柱1Aに取り付けられた状態では矢印A方向)に延びるように形成されている。フランジ21の長手方向(矢印A方向)両側には、補強部材30、30を締結するための複数の第1貫通孔(通し孔ともいう)21aが設けられている。複数の第1貫通孔21aがフランジ21の長手方向に沿って設けられているため、フランジ21に対する補強部材30、30の締結位置をフランジ21の長手方向(矢印A方向)に調整することが可能である。なお、下部鋼柱1Aの断面のサイズごとに用いる各第1貫通孔21aに合わせて、下部鋼柱1Aの断面のサイズを第1貫通孔21aの周りに記載してもよい。この他にも、補強部材30から下部鋼柱1Aまでの設定距離を第1貫通孔21aの周りに記載してもよい。これにより、下部鋼柱1Aに対して補強部材30を適切な位置で固定することができる。
【0027】
フランジ22の長手方向中央寄りの位置には、フランジ22の長手方向に所定の間隔をおいて、後述する固定ユニット11を構成する固定アングル12を締結するための複数の貫通孔21bが設けられている。貫通孔21bは、フランジ22の長手方向に長い長孔であり、これにより、固定アングル12の締結位置をフランジ22の長手方向(矢印A方向)に微調整することができる。
【0028】
図3に示すように、固定ユニット11を構成する固定部材である固定アングル12は、支持部材20を載置した状態で支持する機能を有している。固定アングル12の水平部には支持部材20の4つの貫通孔21bに対応して、4つの貫通孔12aが形成されている。また、鉛直部には、第1締結具17の軸部17bが挿入される2つの貫通孔12bが形成されている。
【0029】
固定アングル12は、後述する
図7~
図9に示すように、下部鋼柱1Aの外面1bに固着された2つの受け具14から突出する2本の第1締結具17の軸部17bに2つの貫通孔12bを挿通し、第2締結具(ナット)18を螺着させて締結される。このようにして、第1締結具17の頭部17aとナットである第2締結具18とで、固定アングル12と受け具14とを挟持することができ、固定アングル12が、下部鋼柱1Aの外面1bに着脱自在に固定されている。
【0030】
つぎに、補強部材30の詳細構造について、
図4を参照して説明する。補強部材30の材質および断面形状は特に限定されるものではないが、軽量化の観点からここではアルミニウム合金が用いられるが、鋼または樹脂が用いられていてもよい。補強部材30は、
図4に示すように、第2方向(下部鋼柱1Aに取り付けられた状態では矢印B方向)に沿って延在する平板状のプレート本体31と、第2方向(矢印B方向)に沿って延在し、プレート本体31の上面からレール部材40側に立ち上がり、後述するレール部材40の両側において第2方向に沿って延びた一対の補強リブ32、32と、を備える。
【0031】
プレート本体31は、板厚が6mm程度の金属板材で形成され、補強リブ32は板厚が4.5mm程度の金属板材で形成されており、プレート本体31に対して、一対の補強リブ32、32が垂直になるように、平行状態に溶接等で接合されている。プレート本体31には、立設された一対の補強リブ32、32の外側に張り出した張り出し部33、33が形成されており、張り出し部33には、支持部材20、20に支持固定されるための第2貫通孔34が第2方向Bに沿って等間隔に複数形成されている。第2貫通孔34と、支持部材20の第1貫通孔21aとに後述する連結ボルト34aを挿通して、補強部材30は支持部材20、20に取り付けられる。複数の第2貫通孔34を選択して、一対の支持部材20、20の間隔を調整して下部鋼柱1Aのサイズに対応して、補強部材30を取り付けることができる。
【0032】
このように、補強部材30は、第2方向に沿って延在し、プレート本体31の上面から中央に間隔32aを有するように立設された平行な一対の補強リブ32、32が形成されている。このため、補強部材30の上下方向の曲げ剛性および捩れ剛性を高めることができる。したがって、補強部材30に支持されたレール部材40に沿って、重量物であるロボットアーム80が走行しても変形せず、安定した状態で走行させることができる。
【0033】
さらに、プレート本体31には、一対の補強リブ32、32の間隔32a内に、長方形状の複数の肉抜き部35A、35Bが形成されている。肉抜き部35Aは、プレート本体31の一対の支持部材20、20が支持される部位38の間に形成されている。肉抜き部35Bは、プレート本体31の両側の端部37に形成されている。本例では、中央部に位置する3つの肉抜き部35Aと、プレート本体31の両端部近傍に位置する2つの肉抜き部35Bと、で構成される。これにより、補強部材30の軽量化を図ることができるため、補強部材30を、一対の支持部材20、20に着脱する際に、補強部材30の搬送が容易となる。プレート本体31のうち、一対の支持部材20、20同士の間に位置する部分31aの両側は、各支持部材20、20に支持固定されており、さらに、この部分31aにも第2方向Bに沿って一対の補強リブ32、32も形成されている。したがって、一対の支持部材20、20同士の間に位置する部分31aに、肉抜き部35Aを設けたとしても、補強部材30の曲げ剛性および捩れ剛性を十分に確保することができる。なお、プレート本体31の両側の端部37は、曲げ応力または捩れ応力が作用し難いため、端部37に肉抜き部35Bを設けたとしても、溶接時にロボットアーム80の台車90の走行時に作用する荷重やモーメントの影響を受け難い。
【0034】
本実施形態では、プレート本体31は、第2方向に沿って、両端部の肉抜き部35Bと、中央部の肉抜き部35Aとの間の区間35Fに、支持部材20に補強部材30を固定するための複数の第2貫通孔34が長手方向(矢印B方向)に沿って等間隔で形成されている。したがって、支持部材20に補強部材30を載せ、複数の第2貫通孔34を選択し、支持部材20の第1貫通孔21aに連結ボルト34aを挿通し、ナットを締めることで、サイズが異なる下部鋼柱1Aに対応して、支持部材20に補強部材30を支持させ、固定することができる。
【0035】
補強部材30を構成するプレート本体31の長手方向の両端部には、搬送に供する取手36、36が設けられている。取手36は、金属丸棒を屈曲して形成された、平面視でコ字状の部材である。取手36の両端部は、プレート本体31に立設された一対の補強リブ32、32の張り出し部33、33において固着されている。取手36は、プレート本体31の端部から第2方向Bに沿った外側にまで延在し、先端側で屈曲することにより、連続した1つの把持部分を形成している。
【0036】
取手36、36を固定するプレート本体31の第2方向に沿った張り出し部33の長さは、
図5に示されるように、補強部材30に支持されるレール部材40の長さより、両端部で距離Lだけ短く設定されている。すなわち、レール部材40の長手方向の全長は、補強部材30の全長より2Lだけ長くなっている。さらに、レール部材40の側面に沿って、取手36と補強部材30との間に取手36の把持用の隙間Sが形成されるように、取手36は、張り出し部33に固定されている。
【0037】
ここでは、レール部材40の側面に沿って、取手36と補強部材30との間に取手36の把持用の隙間Sが形成されているで、この隙間Sに手を差し入れて、取手36を手で把持して、補強部材30、レール部材40を搬送しやすくなる。
【0038】
なお、プレート本体31の張り出し部に取手36を溶接等で固着することができるであれば、レール部材40の長手方向の全長と、補強部材30Aのプレート本体31Aの長手方向の全長が同じに設定されていてもよい。
【0039】
次に、一対のレール部材40、40について説明する。一対の補強部材30、30上には、
図1、
図5等に示すように、固定具47を介して、一対のレール部材40、40が固定されている。レール部材40の材質は特に限定されるものではないが、例えば鋼材を用いることができる。レール部材40は、
図5、
図6(a)に示すように、本体部41と、本体部41の上部にボルト等を用いて固定された一対のレール(リニアガイドレールともいう)42、42と、を備えている。一対のレール42、42には、ロボットアーム80の台車90がスライド可能に係合している。レール部材40、40は、補強部材30、30のプレート本体31上で、2つの補強リブ32、32の間隔32a内に固定されている。
【0040】
ここで、本体部41には、固定具47のナット47bが埋設されており、補強部材30のプレート本体31に形成された挿通孔39aに、固定具47のボルト47aを挿通し、ナット47bに螺着させることで、補強部材30にレール部材40を固定することができる。なお、挿通孔39aは、ナット47bにボルト47aを締結した状態で、ボルト47aの頭部を収容する収容凹部39bが形成された段付きの挿通孔である。これにより、ボルト47aが、プレート本体31から飛び出すことがないので、補強部材30を支持部材20に取り付ける際に、ボルト47aが、支持部材20に機械的に干渉することを回避することができる。
【0041】
このようにして、補強部材30、30が、一対の補強リブ32、32により、ロボットアーム80の台車90の走行時に作用する荷重やモーメントに対して、補強部材30の曲げ剛性および捩れ剛性が高められる。支持部材20に補強部材30を介してレール部材40を支持したとき、補強部材30の実質的な高さはプレート本体31の板厚が増えるだけある。この結果、支持構造10の全体高さを抑えることができる。このため、高さ方向のコンパクト化を図ることができ、仮設足場等への機械的干渉を回避し易くなる。
【0042】
ここで、補強部材の変形例について、
図6(b)を参照して説明する。
図6(b)は、補強部材の変形例の断面図である。この補強部材30Bでは、平板状のプレート本体31Bは、一対の補強リブ32B、32Bの内側までであり、一対の補強リブ32B、32Bと、一対の張り出し部33B、33Bと、を一対のアングル材で形成している。一対のアングル材と平板状のプレート本体31Bを接合しており、一対の張り出し部33B、33Bに第2貫通孔34、34を形成している。この変形例の補強部材30Bにおいても、レール部材40を高い剛性をもって支持することができ、レール部材40とともに、ロボットアーム80を安定した状態で走行させることができる。
【0043】
以下に、支持部材20の取付構造を
図7から
図9を参照しながら説明する。本実施形態では、支持部材20、20は、固定ユニット11を介して下部鋼柱1Aの外面1bに着脱自在に固定されている。固定ユニット11は、一対の支持部材20、20を固定する固定部材としての固定アングル12と、固定アングル12を下部鋼柱1Aに着脱自在に取り付ける着脱ユニット13とを備えている。したがって、2つの固定ユニット11、11により、下部鋼柱1Aの対向する2つの外面1b、1bに、一対の支持部材20、20が着脱自在に固定されている。固定アングル12は、支持部材20を支持する上方の支持面が水平になるように固定されている。
【0044】
着脱ユニット13は、
図7から
図9に示すように、下部鋼柱1Aの外面1bに固着され、固定アングル12を介して支持部材20を受ける受け具14と、受け具14に固定アングル12を連結する連結具16と、を備えている。受け具14は、鋼板等の金属板材をプレス成形して成形されたものであり、2つの対向した立ち上がり壁14aと、2つの立ち上がり壁14a同士を繋ぐ連結壁14bと、により、平面視で断面コ字状に形成されている。本実施形態では、一対の立ち上がり壁14a、14aが、上下配置されるように、受け具14は、下部鋼柱1Aの外面1bに固着されている。
【0045】
図8(b)および
図9に示すように、受け具14には、連結壁14bに切り欠き15が形成されている。切り欠き15は、U字状の切り欠きである。一対の受け具14は、それぞれ、
図8(b)に示すように側面視において、水平方向外側に向いて開口している。すなわち、受け具14同士の開口は、水平方向において、反対側に向いている。これにより、開口をから受け具14の切り欠き15に、第1締結具17をより簡単に挿入することができ、締結具17から作用する荷重を、下側の縁部15aで受けることができる。切り欠き15の縁部15aは、この開口から水平方向に沿って連続して形成されており、後述するように、底縁部15bにおいて、第1締結具17が当接している。なお、本実施形態では、受け具14同士の開口が反対側に向いているが、受け具14同士の開口が向き合っていてもよい。また、受け具14同士の開口が、上方が開口していてもよい。
【0046】
連結具16は、第1締結具17と第2締結具18とから構成されており、本実施形態とでは、その一例として、これらは、六角ボルトとナットである。第1締結具17は、受け具14に着脱自在に係合する頭部17aと、頭部17aから延在する軸部17bと、を備えている。頭部17aは平面視六角形で大径であり、軸部17bは小径の軸になっている。
【0047】
第1締結具17の軸部17bは、その先端から基端部17cに向かって、雄ネジが形成されており、雌ネジが形成された第2締結具18が、第1締結具17の軸部17bに螺着することにより、第1締結具17に締結されている。本実施形態では、第1締結具17の軸部17bの基端部17c(
図8、
図9参照)まで、雄ネジが形成されているが、第2締結具18に螺着することができるのであれば、基端部17cの形状は特に限定されるものではない。
【0048】
本実施形態では、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向の移動を拘束するように、第1締結具17の頭部17aが、受け具14に着脱自在に係止している。さらに、第1締結具17の軸部17bは、切り欠き15から、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向に突出している。この状態で、第1締結具17の軸部17bの基端部17cは、切り欠き15の下側の縁部15aと底縁部15bに当接している。
【0049】
より具体的には、
図8に示すように、切り欠き15の幅w1は、軸部17bの直径より大きく、かつ、頭部17aおよび第2締結具18の幅よりも狭く設定されている。すなわち、切り欠き15の幅w1は、切り欠き15内に第1締結具17の軸部17b(具体的には基端部17c)が挿入可能となる幅となっており、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向に、第1締結具17が拘束されている。
【0050】
また、
図9に示すように、受け具14の2つの立ち上がり壁14a、14aの幅w2(内壁面同士の距離)は、第1締結具17の頭部17aの幅w3より僅かに大きく設定されている。頭部(六角頭部)17aは、2つの立ち上がり壁14a、14aと連結壁14bで形成される空間内に収容されるように設定されている。頭部17aが受け具14の空間内に収容された状態で、第1締結具17は、回転不能の状態となり、受け具14に対して上方から着脱自在になっている。
【0051】
このように構成された受け具14は、下部鋼柱1Aの対向する外面1b、1bに2つずつ水平方向に間隔を空けて並べた状態で、下部鋼柱1Aの4つの平面部の幅に合わせて所定の間隔を空けて溶接等で固着されている。溶接部分は、2つの立ち上がり壁14a、14aの先端と、柱の外面1b、1bとの接触部分であり、溶接部分は図示していないが若干盛り上がって形成される。
【0052】
一対の受け具14、14は、それぞれの切り欠き15の開口が水平方向外側を向くように下部鋼柱1Aの外面1bに固着され、第1締結具17は頭部17aが受け具14の2つの立ち上がり壁14a、14a間の空間に進入するとともに、軸部17bの基端部17cが切り欠き15内に進入するように装着される。このため、第1締結具17の頭部17aは、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向の移動を拘束するように、受け具14に着脱自在に係止され、軸部17bが、受け具14から下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向に突出している。さらに、軸部17bの基端部17cは、切り欠き15の下側の縁部15aに当接している。
【0053】
次に、溶接用のロボットアーム80の構造について簡単に説明する。ロボットアーム80は、
図1および
図2に示すように、レール部材40上に載置され、レール部材40に沿って走行移動する台車90上に載置される。台車90には、ロボットアーム80の動作のための電力を供給するケーブル89が接続されている。ロボットアーム80は、台車90上に配置され上下方向に延びる軸を中心として旋回可能な旋回台82と、旋回台82上に配置され上方向に延びる基台部83とを備えている。
【0054】
さらに、ロボットアーム80は、基台部83上に配置され水平方向に延びる軸を中心として回動可能な第1アーム84と、第1アーム84に連設され、水平方向に延びる軸を中心として回動可能な第2アーム85とを備えている。
【0055】
第2アーム85は、その軸方向に沿って回転するアーム本体86を備えており、アーム本体86の先端には、第3アーム87が旋回自在に取り付けられている。第3アーム87には、溶接トーチ88が取り付けられており、溶接トーチ88は、ケーブル89に接続されている。
【0056】
ロボットアーム80は、台車90によって所定位置に移動され、旋回台82、第1アーム84、第2アーム85、および第3アーム87を駆動することによって、溶接トーチ88の先端を下部鋼柱1Aおよび上部鋼柱1Bの突合せ部分1aの所望の位置に配置して溶接を行う。なお、ロボットアーム80および台車90は、手動で駆動させるものであってもよいし、自動で駆動するものであってもよい。
【0057】
前記の如く構成された本実施形態の支持構造10の作用について以下に説明する。下部鋼柱1Aおよび上部鋼柱1Bの突合せ部分1aを溶接するため、ロボットアーム80を下部鋼柱1Aに取り付けるときには、まず、支持構造10の一対の支持部材20、20を下部鋼柱1Aの外面1b、1bに固定する。
【0058】
具体的には、下部鋼柱1Aの外面1bに固定ユニット11を構成する受け具14を溶接で固着する。本実施形態では、各外面1bに、2つの受け具14が、水平方向に並設されているが、支持部材20を安定して固定することができるのであれば、この個数は特に限定されない。受け具14には、対向して平行な2つの立ち上がり壁14aと、これらを繋ぐ連結壁14bと、により空間が形成されており、連結壁14bには切り欠き15が形成されている。
【0059】
ここで、受け具14の空間に、第1締結具(連結ボルト)17の頭部17aが収容されるように、軸部17bの基端部17cを切り欠き15内に挿入する。これにより、基端部17cは、切り欠き15の下側の縁部15aに当接し、軸部17bは、切り欠き15から、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向に沿って突出する。このようにして、第1締結具17は、切り欠き15を介して、受け具14に対して、回転不能に支持される。
【0060】
次に、第1締結具17の軸部17bに、固定アングル12の貫通孔12bを挿通し、軸部17bに第2締結具(ナット)18を締め込む。これにより、固定アングル12と受け具14とを、第1締結具17の頭部17aと第2締結具18とで挟持することができる。これにより、固定アングル12を下部鋼柱1Aに固定することができる。
【0061】
この際、貫通孔12bと軸部17bとの隙間を利用して、固定アングル12が水平になるように、固定アングル12を調整して、第2締結具18を軸部17bに対して締め込む。つぎに、固定アングル12の水平面に形成された貫通孔12aと、支持部材20のフランジ22に形成された貫通孔21bと、にボルトを挿通し、ナットをねじ込んでボルトナット25で支持部材20を下部鋼柱1Aに水平状態に固定する。対向する他方の外面1bについても、同様にして支持部材20を水平状態に固定する。
【0062】
このように、
図1および
図3に示すように、下部鋼柱1AのA方向に沿って、2本の支持部材20が固定ユニット11により水平方向に下部鋼柱1Aを挟むように平行に固定される
【0063】
次に、各補強部材30、30を一対の支持部材20、20に固定する前に、一対の補強部材30、30に一対のレール部材40、40を固定する。具体的には、補強部材30の上に本体部41を固定し、本体部41とともに一対のレール42、42を補強部材30に固定する。
【0064】
次に、下部鋼柱1Aに固定された一対の支持部材20、20の両端部に、一対の補強部材30、30を載置する。一対の支持部材20、20のフランジ21上に一対の補強部材30、30のプレート本体31、31を滑らせる。この際、複数の第1貫通孔21a、21a、…および複数の第2貫通孔34、34、…のうち、下部鋼柱1Aの断面のサイズに合わせた位置にある第1貫通孔21aおよび第2貫通孔34を選択し、選択した第1貫通孔21aと第2貫通孔24との位置合わせを行う。
【0065】
このようして、位置合わせした第1貫通孔21aと第2貫通孔24とに、連結ボルト34a(固定具)を挿通し、挿通した連結ボルト34aの先端側からナットを締め込む(
図7(a)参照)ことで、支持部材20に補強部材30を固定することができる。さらに、補強部材30には、レール部材40が予め取り付けられているので、補強部材30を介して、一対の支持部材20、20にレール部材40を取り付けることができる。
【0066】
このようにして、各補強部材30とともにレール部材40をB方向に沿って固定したあと、一対のレール部材40にロボットアーム80の台車90を移動可能に設置する。これにより、ロボットアーム80は一対のレール部材40、40上を台車90で走行することができる。ロボットアーム80は一対のレール部材40、40上を走行し、下部鋼柱1Aの突合せ部分1aを溶接し、上下に配置された分割状態の下部鋼柱1Aを接合することができる。
【0067】
突合せ部分1aの接合後または接合途中において、4つの突片2に取り付けられた仮固定治具3を取り外す。突合せ部分1aの接合後には、一対のレール部材40に設置されたロボットアーム80とともに、下部鋼柱1Aから支持構造10を構成する一対の支持部材20、20を取り外す。
【0068】
まず、一対のレール部材40、40上に設置された台車90とともに、ロボットアーム80、80を取り外し、一対の補強部材30、30に固定された一対のレール部材40、40を取り外す。ついで、一対の補強部材30、30を一対の支持部材20、20から取り外す。一対の補強部材30、30は、取手36、36により人手によって搬送される。
【0069】
このあと、下部鋼柱1Aに固定ユニット11で固定された一対の支持部材20、20を取り外す。まず、一対の固定アングル12、12の複数のボルトナット25を緩め、一対の支持部材20、20を取り外す。ついで、一対の第2締結具(ナット)18、18を緩め、固定アングル12を一対の第1締結具(連結ボルト)17、17から取り外す。このあと、受け具14の切り欠き15から一対の第1締結具17、17を外すと、下部鋼柱1Aの外面1bには溶接された一対の受け具14、14のみが残る。
【0070】
このように、本実施形態では、下部鋼柱1Aの外面1bの法線方向に沿って、切り欠き15から突出した軸部17bに第2締結具(ナット)18を締め込むことで、固定アングル12を固定する。この軸部17bを構成する第1締結具(連結ボルト)17は、その頭部17aが受け具14に着脱自在に係止されている。このため、受け具14から簡単に取り外すことができる。このような結果、ロボットアーム80の取り付けおよび取り外しの作業性を向上させることができる。
【0071】
本実施形態の支持構造10では、ロボットアーム80の台車90を走行させる一対のレール部材40、40を支持する一対の補強部材30、30は、下部鋼柱1Aの外面に固定された一対の支持部材20、20に、プレート本体31を挟んだ状態で支持される。このように、支持構造10は、特許文献1に示す従来の如く、一対の支持部材の上に、高さが高い一対の第2支持部材を重ねた構造でないため、支持構造10の高さを小さくでき、コンパクトにできる。これにより、仮設足場等において、支持部材や補強部材の機械的干渉を避けることができる。また、支持構造10の高さをコンパクトにできるため、第2方向に延在する補強部材を薄型にしてもロボットアーム80の走行を安定させることができ、突合せ部分の溶接の品質を高めることができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。本発明は、或る実施形態の構成を他の実施形態の構成に追加したり、或る実施形態の構成を他の実施形態と置換したり、或る実施形態の構成の一部を削除したりすることができる。
【符号の説明】
【0073】
1:柱、1A:下部鋼柱、1B:上部鋼柱、1a:突合せ部分、1b、1c:外面、10:支持構造、11:固定ユニット、12:固定アングル(固定部材)、13:着脱ユニット、14:受け具、15:切り欠き、16:連結具、17:第1締結具(連結ボルト)、17a:六角頭部(頭部)、17b:軸部、17c:基端部、18:第2締結具(ナット)、20:支持部材、21a:第1貫通孔、30、30A、30B:補強部材、31、31B:プレート本体、32、32B:補強リブ、33、33B:張り出し部、34:第2貫通孔、34a:連結ボルト(固定具)、35、35a~35e:肉抜き部、36:取手、40:レール部材、80:ロボットアーム、90:台車