(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051428
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】照明装置および照明本体
(51)【国際特許分類】
F21S 8/08 20060101AFI20240404BHJP
F21V 17/10 20060101ALI20240404BHJP
F21W 131/109 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
F21S8/08 510
F21V17/10 203
F21W131:109
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157599
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸川 厚
【テーマコード(参考)】
3K011
【Fターム(参考)】
3K011BA08
(57)【要約】
【課題】各種の設置用具に対して照明本体を兼用できる照明装置および照明本体を提供すること。
【解決手段】照明装置1は、照明本体20と、照明本体20が左右回転不能に取り付けられる設置用具50または照明本体20が左右回転可能に取り付けられる設置用具とを備える。照明本体20は、配線2が外部に引き出された電灯部21と、電灯部21が連結された台座部31とを有する。台座部31は、外周円形状の台座本体部32と、台座本体部32の中央から下方に突出する外周円形状の中央突出部331と、中央突出部331よりも大径の抜止め部材を装着可能に中央突出部331の下面に形成された装着部と、中央突出部331よりも外周側の位置に形成されると共に設置用具50を取付可能な取付部36とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明本体と、前記照明本体が左右回転不能に取り付けられる第一設置用具または前記照明本体が左右回転可能に取り付けられる第二設置用具とを備え、
前記照明本体は、配線が外部に引き出された電灯部と、前記電灯部が上下回転可能に連結される台座部とを有し、
前記台座部は、外周円形状の台座本体部と、前記台座本体部の中央から下方に突出する外周円形状の中央突出部と、前記中央突出部よりも大径の抜止め部材を装着可能に前記中央突出部の下面に形成された装着部と、前記中央突出部よりも外周側の位置に形成されると共に前記第一設置用具を取付可能な取付部とを有し、
前記第二設置用具は、前記台座本体部が左右回転可能に配置され且つ前記中央突出部が配置される孔を有する凹状の台座配置部を有する
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記装着部は、前記配線を固定する配線止め具または前記抜止め部材を装着可能に前記中央突出部の下面に形成され、
前記第一設置用具は、前記取付部に対する取付状態で前記中央突出部を間にした位置に前記配線が挿通可能に配置される一対の第一配線通し溝を有し、
前記第二設置用具は、前記配線が挿通可能な一対の第二配線通し溝と、前記第二配線通し溝に挿通される前記配線を固定する止め具とを有する
ことを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の照明装置において、
前記中央突出部には、前記配線を固定する前記配線止め具が前記装着部に装着される場合に前記配線から外れた位置で前記配線止め具を位置決め案内する位置決め突部が形成され、
前記抜止め部材には、当該抜止め部材が前記装着部に装着される場合に前記位置決め突部に位置決めされる被位置決め孔が形成される
ことを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項2に記載の照明装置において、
前記配線止め具は、前記配線を挟み持つ張力止め具で構成され、
前記装着部には、前記張力止め具がねじ止めされる二つのねじ孔が形成され、
前記二つのねじ孔は、前記張力止め具で挟み持たれる前記配線を間にする位置に配置される
ことを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項2に記載の照明装置において、
前記第一設置用具は、前記第一配線通し溝が形成されると共に前記照明本体の前記取付部に取り付けられる被取付部と、前記被取付部から下方に延設していると共に地面に差込み可能なスパイク部とを有し、
前記照明本体の前記装着部には、前記配線を固定する前記配線止め具が固定され、
前記被取付部は、前記第一配線通し溝に通される前記配線および前記配線止め具が配置される内部空間を前記台座部との間に形成する
ことを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項2に記載の照明装置において、
前記第二設置用具は、ベース体と、前記ベース体に取り付けられると共に前記配線、前記止め具および前記抜止め部材が配置される内部空間を前記ベース体との間に形成するケース体とを備え、
前記ケース体は、ケース前壁と、前記ケース前壁に連続し且つ前記ベース体に当接する一対のケース側壁と、前記ケース前壁および前記一対のケース側壁に連続し且つ前記ベース体に当接する一対のケース端壁とを有し、
前記ケース前壁には、前記台座配置部が形成されると共に前記止め具が装着される装着突部が形成され、
前記一対のケース端壁には、前記一対の第二配線通し溝がそれぞれ形成される
ことを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の照明本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外構用の照明装置および照明本体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、庭などの屋外の任意の場所に設置される外構用照明装置が知られている(特許文献1参照)。外構用照明装置は、照明本体部(照明本体)と、照明本体が取り付けられる設置用具とを備えている。照明本体は、灯具と、灯具が上下に回動可能に連結される嵌合固定部とを備えている。設置用具は、嵌合固定部に嵌合固定される取付部と、取付部から下方に延設されるスパイク部とを有している。灯具は、嵌合固定部の内部で配線接続されており、この配線は取付部に形成された配線導通路から外部に引き出されている。この外構用照明装置は、スパイク部を地中に差し込むことで設置されており、灯具の左右向きはスパイク部を地中に差し込みなおせば変更できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外構用の照明装置としては、特許文献1に記載の外構用照明装置のようにスパイク部を地中に差し込む差込み式のものや、屋外の壁部などに掛けられる壁掛け式のものなどに対応して各種の設置用具がある。照明本体は、各種の設置用具に兼用できるのが望ましいが、例えば壁掛け式とする場合に灯具を上下だけでなく左右にも回動可能に構成したい場合もあり、このような場合には、特許文献1に記載の外構用照明装置における照明本体をそのまま利用することが困難であり、照明本体の兼用化を図り難い。
【0005】
本発明の目的は、各種の設置用具に対して照明本体を兼用できる照明装置および照明本体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明装置は、照明本体と、前記照明本体が左右回転不能に取り付けられる第一設置用具または前記照明本体が左右回転可能に取り付けられる第二設置用具とを備え、前記照明本体は、配線が外部に引き出された電灯部と、前記電灯部が上下回転可能に連結される連結部と、前記連結部に連続した台座部とを有し、前記台座部は、外周円形状の台座本体部と、前記台座本体部の中央から下方に突出する外周円形状の中央突出部と、前記中央突出部よりも大径の抜止め部材を装着可能に前記中央突出部の下面に形成された装着部と、前記中央突出部よりも外周側の位置に形成されると共に前記第一設置用具を取付可能な取付部とを有し、前記第二設置用具は、前記台座本体部が左右回転可能に配置され且つ前記中央突出部が配置される孔を有する凹状の台座配置部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各種の設置用具に対して照明本体を兼用できる照明装置および照明本体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1、第2実施形態に係る照明装置を示す側面図。
【
図2】第1実施形態に係る照明装置を一部展開して示す斜視図。
【
図3】第1実施形態に係る照明装置を一部断面にして示す側断面図。
【
図4】第1実施形態に係る照明装置の台座部を示す斜視図。
【
図5】第1実施形態に係る照明装置の台座部を示す端面図。
【
図7】第2実施形態に係る照明装置を一部展開して示す斜視図。
【
図8】第2実施形態に係る照明装置を示す縦断面図。
【
図9】第2実施形態に係る照明装置のケース体の内部を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1の(A)、
図2および
図3において、第1実施形態に係る照明装置1は、庭などの地中に差し込むことで設置される差込み式の外構用の照明装置である。この照明装置1は、照明本体20と、照明本体20が左右回転不能に取り付けられる設置用具50(第一設置用具)とを備えている。照明本体20は、配線2が外部に引き出された電灯部21と、前記電灯部21が上下回転可能に連結される連結部25が形成されたダイカスト製の台座部31とを有している。設置用具50は、照明本体20に取り付けられる被取付部51と、被取付部51から下方に延設していると共に地面に差込み可能なスパイク部56とを有している。
以下の説明において、照明装置1の左右方向をX軸方向とし、照明装置1の上下方向をY軸方向とし、照明装置1の前後方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。なお、
図1の(A)には第1実施形態の照明装置1を示しており、
図1の(B)には後述する第2実施形態の照明装置1Bを示している。
【0010】
照明本体20の電灯部21は、その筐体22の前面から灯光するLED等の光源(図示省略)を当該筐体22の内部に有しており、筐体22の背面からは配線2が屋外へ引き出されている。電灯部21の筐体の周面には、連結部25に連結される軸受部23が形成されている。この電灯部21はそれ単体で防水処理が施されており、このため、連結部25や台座部31および設置用具50に防水処理を施す必要はない。
【0011】
台座部31は、外周円形状の台座本体部32と、台座本体部32の中央から下方に突出する略円筒状の内円筒部33とを有している。
台座本体部32は、
図3から
図5に示すように、円板状の天板321と、天板321の周縁から下方に延出した円筒状の外円筒部322とを有しており、外円筒部322の外周が円形状であって下方に向かうに連れて内円筒部33側に接近するように若干傾斜している。
天板321には、前述した連結部25が上方に延出した軸受部26(
図3参照)が形成されており、電灯部21の軸受部23(
図3参照)と連結してヒンジ機構を構成している。
軸受部23,26の回転軸心O1は、X軸方向に沿っており、このため、電灯部21は、連結部25に対して回転軸心O1を中心として上下に回転可能(首振り可能)となっている。電灯部231の上下の灯光方向は、この上下回転によって調整される。
内円筒部33は、天板321の中央から下方に突出しており、その外周縁部332の下縁は外円筒部322の下縁と面一となる位置に配置されている。内円筒部33には、その中央部分から更に下方に突出した外周円形状の中央突出部331を有しており、この中央突出部331は、円筒状であり、外円筒部322よりも下方に突出している。中央突出部331および外周縁部332との間には、後述する第2実施形態において説明するOリング113を配置可能な環状溝部333が形成されている。
また、台座部31では、配線2を固定する配線止め具としての張力止め具40を装着可能な装着部35が中央突出部331の下面34に形成されており、設置用具50が取り付けられる取付部36が外円筒部322よりも内周側であって内円筒部33よりも外周側の位置に形成されており、配線2から外れた位置で張力止め具40を所定位置に位置決め案内する二つの位置決め突部37が中央突出部331の下面34に形成されている。なお、張力止め具40は、X軸方向で対向する一対の挟持片部41を有する金具であり、一対の挟持片部41で配線2を挟み持つことで、例えば配線2が踏まれるなどして引っ張られても移動しないように配線2を固定する。
装着部35は、中央突出部331の内周部が中央側に膨出した一対の膨出部351を有している。一対の膨出部351は、X軸方向において互いに対向しており、連続部352によって互いに連続されている。一対の膨出部351には、配線2を挟み持つ張力止め具40がねじ3によってねじ止めされる二つのねじ孔353がY軸方向に沿って形成されており、張力止め具40で挟み持たれる配線2をX軸方向において間にする位置に配置されている。なお、この二つのねじ孔353には、張力止め具40に代えて、後述する第2実施形態における抜止め部材100(
図8、
図9参照)をも、ねじ止め可能である。
二つの位置決め突部37は、配線2の延びるZ軸方向に対して傾斜する方向で互いに対向している。この二つの位置決め突部37は、
図5に示すように、張力止め具40で固定される配線2から外れた位置であって張力止め具40を所定位置に位置決め案内可能な位置に配置されている。
取付部36は、内円筒部33に対するX軸方向における一方側の位置で台座本体部32の外円筒部322と内円筒部33とを連続する取付連続部361と、内円筒部33に対するX軸方向における他方側の位置で台座本体部32の外円筒部322と内円筒部33とを連続する取付連続部362とを有しており、取付連続部361,362には、設置用具50がねじ4によってねじ止めされるねじ孔363がそれぞれ形成されている。
【0012】
設置用具50の被取付部51は、略円板状の下板部52と、下板部52の周縁から上方に延出した略円筒状の円筒部53と、下板部52および円筒部53の一部を外周側から凹ませて形成された止め部54とを有しており、円筒部53には、Z軸方向に対向する一対の配線通し溝55(第一配線通し溝)が形成されている。止め部54は、ねじ孔363に螺合するねじ4によって取付部36にねじ止めされている。このねじ止め状態では、一対の配線通し溝55は、内円筒部33をZ軸方向において間にして配置されると共に、配線2が挿通して配置される。この被取付部51は、取付部36への取付状態で配線2および張力止め具40が配置される内部空間を台座部31との間に形成する。
スパイク部56は、十字板状であって下方に向かうに連れて先窄まり状に形成されており、その下端は尖端とされている。このスパイク部56は庭などの地中に差し込みやすい形状として構成されている。なお、前述した下板部52の下面は、差込量を規定する根入れ止め面として機能する。
【0013】
前述した照明装置1では、電灯部21から屋外に引き出された配線2を張力止め具40によって台座部31に固定するだけの構成となるので、台座部31に配線を電灯部21に接続するための構成を設けたり、台座部31において配線の防水処理を施したりする必要がないので、台座部31を簡略化し且つ小型化し得る。また配線2は、電灯部21側から湾曲させ、張力止め具40によって内円筒部33の下面34に固定し且つZ軸方向で対向する一対の配線通し溝55を挿通させるので、例えば内円筒部33を避けるように配線2を無理に曲げる必要がなく、当該配線2を容易に配置できる。
【0014】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図1の(B)、
図6および
図7において、第2実施形態に係る照明装置1Bは、建物まわりの壁や柱などに固定される壁掛け式の外構用の照明装置である。この照明装置1Bは、照明本体20と、左右回転可能に取り付けられる設置用具60(第二設置用具)とを備えている。照明本体20は第1実施形態において用いたものと同様のものであり、装着部35には、張力止め具40に代えて後述する抜止め部材100が装着されている。設置用具60は、照明本体20の台座本体部32が左右回転可能に配置される台座配置部65を有するダイカスト製のケース体61と、ケース体61が取り付けられるベース体71と、ケース体61の内部において配線2の揺動を規制する金具である揺動規制具91と、ケース体61の内部において配線2を固定する配線止め具としての金具である張力止め具95とを有しており、ベース体71が壁や柱などに固定される。ケース体61は、ベース体71に取り付けられた状態で配線2、揺動規制具91、張力止め具95、後述する抜止め部材100などが配置される内部空間を当該ベース体71との間に形成する。なお、照明本体20は、第1実施形態のものと同様のものを兼用するので、第2実施形態においては照明本体20の詳細な説明を省略する。
以下の説明において、照明装置1Bの左右方向をX軸方向とし、照明装置1Bの上下方向をY軸方向とし、照明装置1の前後方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0015】
設置用具60のケース体61は、
図8および
図9に示すように、ケース前壁62と、ケース前壁62に連続してベース体71側に延出している一対のケース側壁63と、ケース前壁62および一対のケース側壁63に連続してベース体71側に延出している一対のケース端壁64とを有している。
ケース前壁62は矩形板状に形成されている。このケース前壁62は、前述した台座配置部65と、揺動規制具91が装着される装着部66と、張力止め具95が装着される装着突部67とを有している。台座配置部65、装着部66および装着突部67は、ケース体61の内部にそれぞれ配置されている。
台座配置部65は、ケース前壁62に連続する周壁651と、周壁651に連続する底壁652を有して凹状に形成されている。周壁651は、その内周面が台座本体部32の外円筒部322に対応して円形状に形成されている。また、周壁651には、ケース前壁62の表面で開口する一対の水抜き孔653がケース前壁62の表面から底壁652まで延びてそれぞれ形成されている。一対の水抜き孔653は、互いにY軸方向に対向して配置されており、一方の水抜き孔653は周壁651のうち入側配線通し溝68側に配置されており、他方の水抜き孔653は周壁651のうち出側配線通し溝68側に配置されている。底壁652には、内円筒部33のうち中央突出部331が配置される円形状の孔673と、ベース体71側に突出する回転規制部674とが形成されている。孔673は、内円筒部33の外周縁部332の径寸法よりも小さい径寸法を有している。回転規制部674は、後述する抜止め部材100の被規制部102が当接可能な位置に配置されている。
装着部66は、台座配置部65の位置に対して上方側(一方側)の位置に配置されており、ケース前壁62からベース体71側に突出して形成されている。装着部66には、揺動規制具91が二つのねじ5によってねじ止めされている。
装着突部67は、台座配置部65の位置に対して下方側(他方側)の位置であってケース体61のX軸方向における略中央位置に配置されており、ケース前壁62からベース体71側に突出して形成され、その頂面は、Z軸方向において台座配置部65、抜止め部材100やねじ3よりもベース体71側に配置されている。装着突部67には、装着部35と概略同様に二つのねじ孔675が形成されており、ねじ孔675に螺合する二つのねじ6によって張力止め具95がねじ止めされている。
一対のケース端壁64には、一対の配線通し溝68(第二配線通し溝)がそれぞれ形成されており、一対の配線通し溝68はY軸方向に互いに対向して配置されている。上側の配線通し溝68(入側配線通し溝)は、ケース体61の内部に引き込まれる配線2が挿通可能に構成され、下側の配線通し溝68よりもZ軸方向に大きく形成されており、電灯部21の上下左右の回転(首振り)に伴う配線2の揺動を許容する間隔を形成している。入側配線通し溝68の底部と、揺動規制具91の装着部66に対するねじ止め位置とはZ軸方向において略同じ位置であって、Z軸方向において台座配置部65の底壁652の位置よりもベース体71から離間した位置である。
出側配線通し溝68は、ケース体61の内部から外部に引き出される配線2が挿通可能に構成されている。ここで、台座部31および台座配置部65は、電灯部21をZ軸方向に沿った回転軸心O2を中心として左右回転可能とする回転部10を構成しており、装着部66は、Y軸方向において回転部10に対して、入側配線通し溝68側に配置されており、装着突部67は、Y軸方向において回転部10に対して、出側配線通し溝68側に配置されている。
下側のケース端壁64には、これに形成された出側配線通し溝68に対して左右両側の位置に後述する一対のねじ7が配置されており、この下側のケース端壁64はねじ7によってベース体71にねじ止めされる。このケース体61は、ベース体71に取り付けられた取付状態で、配線2、揺動規制具91、張力止め具95、抜止め部材100などが配置される内部空間を当該ベース体71との間に形成する。
【0016】
ここで、揺動規制具91は、
図7から
図9に示すようにX軸方向に沿った基板部911と、基板部911のY軸方向に沿った両側縁からZ軸方向であってベース体71側に延出した一対の係合片部912と、一対の係合片部912の間の位置において基板部911のX軸方向に沿った下縁からZ軸方向であってベース体71側に延出した揺動規制片部913とを有する金具である。係合片部912は、下方に突出した係合部912Aを有しており、揺動止め片部913は、平面視において半円形状の配線規制面914を有しており、配線規制面914は、そのZ軸方向における底部914Aで配線2に当接することで当該配線2の前方側(電灯部21側)への揺動を規制している。また、配線規制面914は、X軸方向において配線2に対して間隔を隔てて配置されることで、配線2の当該間隔分のX軸方向への揺動を許容していると共に、当該間隔分以上のX軸方向への揺動に対しては配線2に当接することで前記間隔分以上の揺動を規制している。なお、
図7に示す揺動規制具91は、説明の便宜上、配線2よりもベース体71側に示しているが、実際は配線2を
図7に示すように配置する前に装着部66に装着されるものである。また、張力止め具95は、前述した張力止め具40と同様に構成されているのでその詳細を省略する。
【0017】
ベース体71は、壁や柱などにボルト、ナットとうの固定具によって固定される金属板材によって構成されている。このベース体71には、壁などにねじ止め等によって固定されるための孔74が複数形成されている。このベース体71と壁や柱などの屋外構造物との間には、屋外構造物に傷等を付けないようにクッションシート72などが介在されている。
ベース体71は、板状本体731と、板状本体731の上縁からケース前壁62側に延出した一対の係合部732と、板状本体731の下縁からケース前壁62側に延出していると共にケース体61が固定具としてのねじ7によって固定される一対の固定部733とを有する金具であり、固定部733は係合部732よりも下方の位置に配置されている。板状本体731の略中央部分には配線2が十分に挿通可能な程度の大径孔734が形成されている。一対の係合部732は、互いにX軸方向に間隔を隔てて対向して配置されている。係合部732には、揺動規制具91の係合片部912における係合部912Aが係合される係合孔735が形成されている。一対の固定片部733には、
図6に示すねじ7が螺合されるねじ孔736がそれぞれ形成されている。
このベース体71では、揺動規制具91の係合片部912を係合部732に係合させることで、照明本体20が設置されたケース体61をベース体71に掛けて仮位置決めでき、この仮位置決め状態で下側のケース端壁64をねじ7によって固定部733にねじ止めすることで、当該ケース体61をベース体71に取り付けることができる。
【0018】
設置用具60に対する照明本体20の取付構造は次の通りである。
照明本体20の台座部31は、ケース体61の台座配置部65に対してZ軸方向に沿った回転軸心O2を中心として左右回転可能に配置されており、中央突出部331は、底壁652の孔673に配置されており、装着部35には、ねじ3がねじ孔353に螺合することで、台座部31の台座配置部65からの抜け止めをする抜止め部材100が装着されている。
ここで、抜止め部材100は、中央突出部331よりも大径の円板状本体101と、円板状本体101から径方向に突出した被規制部102とを有する金具である。円板状本体101には、二つのねじ孔353に螺合する二つのねじ3が挿通する孔(図示省略)と、二つの位置決め突部37が挿入されて位置決めされる二つの被位置決め孔104が形成されている。円板状本体101の径寸法は、孔673の径寸法よりも大きい。この抜止め部材100は、照明本体20と共に回転軸心O2まわりに左右回転し、所定量回転した際に被規制部102が回転規制部674に当接して、照明本体20全体の所定量以上の左右回転を規制する構成となっている。
また、内円筒部33の外周縁部332および底壁652の間には、環状の樹脂プレート111が配置されており、中央突出部331および抜止め部材100の間には、円板状の樹脂プレート112が配置されており、環状溝部333には弾性変形可能なゴム製のOリング113が配置されている。樹脂プレート111は、ダイカスト製の外周縁部332とダイカスト製の底壁652と直接に摺動する場合と比べて、摺動抵抗を低減している。樹脂プレート112は、ダイカスト製の底壁652と金具である抜止め部材100とが直接に摺動する場合と比べて、摺動抵抗を低減している。Oリング113は、ねじ3をねじ孔353に螺合させていくことで弾性変形を生じ、この際の復元力を利用して台座部31と台座配置部65との摺動抵抗を適度に増している。
本実施形態の照明装置1Bでは、前述したように、台座部31、台座配置部65および抜止め部材100をねじ3、樹脂プレート111,112およびOリング113を用いて組み立てることで、照明本体20を設置用具60に対して左右回転可能とする回転部10を構成している。
【0019】
前述した回転部10に対して、配線2はZ軸方向に重なる位置に配置されている。揺動規制具91によって揺動、特に底部914Aによって前方への動揺が規制される配線2の規制位置P1と、張力止め具によって固定される配線2の固定位置P2とは、Z軸方向において回転部10に対してベース体71側の位置に配置されている。このため、回転部10は、揺動規制具91によって揺動が規制され且つ張力止め具95によって固定される配線2に対して、Z軸方向において電灯部21側に配置されることになり、これにより、配線2の回転部10に対する干渉を抑制している。これによりなお、配線2と回転部10との間には1mm程度の間隔が形成されると好ましい。
【0020】
[変形例]
第1、第2実施形態における照明本体20は同じものであるので兼用可能であり、例えば、第1実施形態の照明装置1における照明本体20を第2実施形態における照明装置1における照明本体20として用いてもよいし、また逆に、第2実施形態における照明装置1の照明本体20を第1実施形態における照明装置1の照明本体20として用いてもよい。
第1実施形態では、電灯部21が設置用具50に対して上下回転可能に構成されているが、これに限らず、設置用具50の被取付部51に台座配置部65と概略同様の台座配置部を構成して照明本体20の台座部31を配置し、抜止め部材100と概略同様の抜止め部材によって抜け止めすることで、電灯部21を設置用具50に対して上下のみならず左右にも回転可能に構成してもよい。なお、この場合、張力止め具40は、装着部35ではなく設置用具50側に取り付けられる。
第1,第2実施形態では、中央突出部331に位置決め突部37が形成されているが、張力止め具40や抜止め部材100を装着部35に装着可能であれば、位置決め突部37の構成を省略してもよい。この場合、抜止め部材100の被位置決め孔104の構成も省略してもよい。
第1,第2実施形態では、一対の挟持片部41で配線2を挟み持つ張力止め具40,95によって当該配線2を固定しているが、これに限らず、配線2が引張られても電灯部21の首振りが生じないように配線2を固定できる配線止め具であれば、一対の挟持片部41を有する張力止め具40,95のような構成のものでなくてもよい。
第1,第2実施形態では、装着部35や装着突部67には二つのねじ孔353,675にねじ3,6が螺合することによって張力止め具40,95や抜止め部材100をねじ止めしているが、三つ以上のねじ孔にねじ止めする構成であってもよく、また、張力止め具40,95や抜止め部材100が機能するように止められるのであれば一つのねじ孔にねじ止めする構成であってもよい。
第2実施形態では、上側の配線通し溝68に挿通した配線2を下側の配線通し溝68を挿通させて、ケース体61を通す構成とされているが、これに限らず、例えば設置用具60の設置相手である壁や柱が中空である場合には、下側の配線通し溝68には配線2を挿通させず、ベース部材72に孔を形成し、この孔と係合部材73の大径孔734に配線2を通す構成としてもよい。この場合、張力止め具95の構成を省略してもよい。
第2実施形態では、照明装置1Bを壁掛け式のものとして設置しているが、これに限らず、屋外構造物の天井面などに設置してもよい。
【0021】
[発明のまとめ]
本発明の照明装置は、照明本体と、前記照明本体が左右回転不能に取り付けられる第一設置用具または前記照明本体が左右回転可能に取り付けられる第二設置用具とを備え、前記照明本体は、配線が外部に引き出された電灯部と、前記電灯部が上下回転可能に連結される連結部と、前記連結部に連続した台座部とを有し、前記台座部は、外周円形状の台座本体部と、前記台座本体部の中央から下方に突出する外周円形状の中央突出部と、前記中央突出部よりも大径の抜止め部材を装着可能に前記中央突出部の下面に形成された装着部と、前記中央突出部よりも外周側の位置に形成されると共に前記第一設置用具を取付可能な取付部とを有し、前記第二設置用具は、前記台座本体部が左右回転可能に配置され且つ前記中央突出部が配置される孔を有する凹状の台座配置部を有することを特徴とする。
本発明の照明装置によれば、第一設置用具を取付部に取り付けることで、照明本体および第一設置用具を備えると共に電灯部を上下に回転させられる照明装置を構成できる。
また、照明本体の台座本体部を第二設置用具の台座配置部に配置し且つ中央突出部を台座配置部の孔に配置し、抜止め部材を装着部に装着することで、照明本体および第二設置用具を備えると共に電灯部を上下左右に回転させられる照明装置を構成できる。
その上、照明本体に対して、その構成を変更しないまま第一設置用具や第二設置用具を取り付けることができる。すなわち、第一設置用具および第二設置用具に対して照明本体を兼用できる。
【0022】
本発明の照明装置では、前記装着部は、前記配線を固定する配線止め具または前記抜止め部材を装着可能に前記中央突出部の下面に形成され、前記第一設置用具は、前記取付部に対する取付状態で前記中央突出部を間にした位置に前記配線が挿通可能に配置される一対の第一配線通し溝を有し、前記第二設置用具は、前記配線が挿通可能な一対の第二配線通し溝と、前記第二配線通し溝に挿通される前記配線を固定する止め具とを有してもよい。
本発明の照明装置によれば、照明装置を照明本体および第一設置用具で構成する場合に、配線止め具を装着部に装着することで電灯部からの配線を中央突出部に固定し、第一設置用具を取付部に取り付ける際に前記配線を一対の第一配線通し溝に挿通させることで、照明装置単体で配線を固定した構成にでき、例えば配線を踏むなどして当該配線に引張り力が加わっても、引張り力は電灯部までは伝達されないので、この引張り力に起因して電灯部が意図せずに回転(首振り)してしまうことを抑制できる。
また、照明装置を照明本体および第二設置用具で構成する場合に、配線を一対の第二配線通し溝に挿通し、この配線を止め具で固定することで、前述同様に照明装置単体で配線を固定した構成にでき、例えば配線を踏むなどして当該配線に引張り力が加わっても、引張り力は電灯部までは伝達されないので、この引張り力に起因して電灯部が意図せずに回転(首振り)してしまうことを抑制できる。
【0023】
本発明の照明装置では、前記中央突出部には、前記配線を固定する前記配線止め具が前記装着部に装着される場合に前記配線から外れた位置で前記配線止め具を位置決め案内する位置決め突部が形成され、前記抜止め部材には、当該抜止め部材が前記装着部に装着される場合に前記位置決め突部に位置決めされる被位置決め孔が形成されてもよい。
このような構成によれば、装着部に配線止め具を装着する場合には、配線止め具に固定される配線から外れた位置に位置決め突部が形成されるので、位置決め突部が配線を配置するのに邪魔とならない構成にできると共に、位置決め突部によって配線止め具を装着部に装着する際に配線止め具を位置決め案内することで簡単に位置決めできて、施工性を向上できる。
また、装着部に抜止め部材を装着する場合には、位置決め部材が被位置決め孔に配置されることで抜止め部材を簡単に位置決めできて、施工性を向上できる。
【0024】
本発明の照明装置では、前記配線止め具は、前記配線を挟み持つ張力止め具で構成され、前記装着部には、前記張力止め具がねじ止めされる二つのねじ孔が形成され、前記二つのねじ孔は、前記張力止め具で挟み持たれる前記配線を間にする位置に配置されてもよい。
このような構成によれば、張力止め具を二つのねじ孔にねじ止めする場合には、張力止め具で配線を挟み持った状態でもねじ止め箇所が配線の邪魔とならない配置にできると共に、張力止め具の中央突出部に対する所定の装着向きを保つことができる。また、抜止め部材を二つのねじ孔にねじ止めする場合にも、抜止め部材の中央突出部に対する装着向きを保つことができ、例えば、第二設置用具に抜止め部材に当接して回転規制する回転規制部などがある場合には、回転規制を正確な位置で行い得る。
【0025】
本発明の照明装置では、前記第一設置用具は、前記第一配線通し溝が形成されると共に前記照明本体の前記取付部に取り付けられる被取付部と、前記被取付部から下方に延設していると共に地面に差込み可能なスパイク部とを有し、前記照明本体の前記装着部には、前記配線を固定する前記配線止め具が固定され、前記被取付部は、前記第一配線通し溝に通される前記配線および前記配線止め具が配置される内部空間を前記台座部との間に形成してもよい。
このような構成によれば、照明本体および第一設置用具によって地面に対する差込み式の照明装置を構成できる。
【0026】
本発明の照明装置では、前記第二設置用具は、ベース体と、前記ベース体に取り付けられると共に前記配線、前記止め具および前記抜止め部材が配置される内部空間を前記ベース体との間に形成するケース体とを備え、前記ケース体は、ケース前壁と、前記ケース前壁に連続し且つ前記ベース体に当接する一対のケース側壁と、前記ケース前壁および前記一対のケース側壁に連続し且つ前記ベース体に当接する一対のケース端壁とを有し、
前記ケース前壁には、前記台座配置部が形成されると共に前記止め具が装着される装着突部が形成され、前記一対のケース端壁には、前記一対の第二配線通し溝がそれぞれ形成されてもよい。
このような構成によれば、照明本体および第二設置用具によってベース体を壁などに固定できる壁掛け式の照明装置を構成できる。
【0027】
本発明の照明本体は、前述した本発明の照明装置における照明本体である。
このような構成によれば、前述した本発明の照明装置の作用効果を発揮可能な照明本体を構成できる。
【符号の説明】
【0028】
1,1B…照明装置、10…回転部、100…抜止め部材、101…円板状本体、102…被規制部、673,74…孔、104…被位置決め孔、111,112…樹脂プレート、113…Oリング、2…配線、20…照明本体、21…電灯部、22…筐体、25…連結部、23,26…軸受部、3~7…ねじ、31…台座部、32…台座本体部、321…天板、322…外円筒部、33…内円筒部、331…中央突出部、332…外周縁部、333…環状溝部、34…下面、35…装着部、351…膨出部、352…連続部、353,363,675,736…ねじ孔、36…取付部、361,362…取付連続部、37…位置決め突部、40…張力止め具、41…挟持片部、50,60…設置用具、51…被取付部、52…下板部、53…円筒部、54…止め部、55,68…配線通し溝、56…スパイク部、61…ケース体、62…ケース前壁、63,64…ケース端壁、65…台座配置部、651…周壁、652…底壁、653…水抜き孔、66…装着部、67…装着突部、674…回転規制部、71…ベース体、72…ベース部材、73…係合部材、731…板状本体、732,912…係合片部、733…固定片部、734…大径孔、735…係合孔、91…揺動規制具、911…基板部、912A…係合部、913…揺動止め片部、914…配線規制面、95…張力止め具、O1,O2…回転軸心、P1…規制位置、P2…固定位置。