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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051429
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/00 20060101AFI20240404BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240404BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240404BHJP
【FI】
F21S8/00 110
F21V23/00 160
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157600
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸川 厚
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014BA01
3K014BA04
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制できると共に回転部と配線との干渉を抑制できる照明装置を提供すること。
【解決手段】照明装置は、配線2が外部に引き出される電灯部と、電灯部に連結される台座部31と、台座部31が回転可能に配置される凹状の台座配置部65を有すると共に内部に配線2が配置されるケース体61とを備える。台座部31および台座配置部65は、電灯部を回転可能とする回転部10を構成する。ケース体には、配線2が挿通する入側配線通し溝68、出側配線通し溝68と、配線2の揺動を規制する揺動規制具91が装着される装着部66と、配線2を固定する張力止め具95が装着される装着突部67とが形成され、揺動規制具91によって揺動が規制される配線2の規制位置P1および張力止め具95によって固定される配線2の固定位置P2は、Z軸方向において回転部10に対して台座部31側とは反対側の位置に配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線が外部に引き出される電灯部と、前記電灯部に連結される台座部と、前記台座部が回転可能に配置される凹状の台座配置部を有すると共に内部に前記配線が配置されるケース体とを備え、
前記台座部および前記台座配置部は、前記電灯部を回転可能とする回転部を構成し、
前記ケース体には、前記ケース体の内部に引き込まれる前記配線が挿通する入側配線通し溝と、前記ケース体の内部から外部に引き出される前記配線が挿通する出側配線通し溝と、前記配線の前記ケース体に対する挿通方向において前記回転部に対して前記入側配線通し溝側に配置されると共に前記配線の揺動を規制する揺動規制具が装着される装着部と、前記挿通方向において前記回転部に対して前記出側配線通し溝に配置されると共に前記配線を固定する配線止め具が装着される装着突部とが形成され、
前記揺動規制具によって揺動が規制される前記配線の規制位置および前記配線止め具によって固定される前記配線の固定位置は、前記挿通方向に直交する前後方向において前記回転部に対して前記台座部側とは反対側の位置に配置される
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記揺動規制具は、前記前後方向において前記電灯部側に向かう前記配線の揺動および前記挿通方向および前記前後方向に直交する幅方向における揺動を規制する配線規制面を有し、
前記配線規制面は、前記幅方向において前記配線に対して間隔を隔てて配置される
ことを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載の照明装置において、
前記ケース体が取り付けられるベース体を備え、
前記揺動規制具は、前記ベース体側に突出した係合片部を有し、
前記ベース体は、前記係合片部が係合される係合部と、前記係合部よりも下方の位置に形成されると共に前記ケース体が固定具によって固定される固定部とを有する
ことを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外構用の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、庭などの屋外の任意の場所に設置される外構用照明装置が知られている(特許文献1参照)。外構用照明装置は、照明本体部(照明本体)と、照明本体が取り付けられる設置用具とを備えている。照明本体は、灯具と、灯具が上下に回動可能に連結される嵌合固定部とを備えている。設置用具は、嵌合固定部に嵌合固定される取付部と、取付部から下方に延設されるスパイク部とを有している。灯具は、嵌合固定部の内部で配線に接続されており、この配線は取付部に形成された配線導通路から外部に引き出されている。この外構用照明装置は、スパイク部を地中に差し込むことで設置されており、灯具の左右向きはスパイク部を地中に差し込みなおせば変更できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-115590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の外構用照明装置では、スパイク部を地中に差し込む差込み式の照明装置であり、前述したようにスパイク部を地中に差し込みなおすことで灯部の左右向きを変更することができるので、当該外構用照明装置は、それ自体に灯具を左右回転可能にする構成は備えていない。
ところで、例えば屋外構造物の壁や柱などに設置可能な設置用具を用いて照明本体を取り付けたい場合が考えられる。このような場合には、外構用照明装置自体で灯具を左右回転可能に構成することが望ましい。しかし、外構用照明装置において更に左右回転可能とすべく、外構用照明装置を構成変更して回転部を新たに構成する場合には、嵌合固定部の内部で配線を接続するための構成を備えたり、回転部を新たに構成したりする分、照明装置が大型化するおそれがあり、また、構成した回転部と配線とが干渉するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、大型化を抑制できると共に回転部と配線との干渉を抑制できる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明装置は、配線が外部に引き出される電灯部と、前記電灯部に連結される台座部と、前記台座部が回転可能に配置される凹状の台座配置部を有すると共に内部に前記配線が配置されるケース体とを備え、前記台座部および前記台座配置部は、前記電灯部を回転可能とする回転部を構成し、前記ケース体には、前記ケース体の内部に引き込まれる前記配線が挿通する入側配線通し溝と、前記ケース体の内部から外部に引き出される前記配線が挿通する出側配線通し溝と、前記配線の前記ケース体に対する挿通方向において前記回転部に対して前記入側配線通し溝側に配置されると共に前記配線の揺動を規制する揺動規制具が装着される装着部と、前記挿通方向において前記回転部に対して前記出側配線通し溝に配置されると共に前記配線を固定する配線止め具が装着される装着突部とが形成され、前記揺動規制具によって揺動が規制される前記配線の規制位置および前記配線止め具によって固定される前記配線の固定位置は、前記挿通方向に直交する前後方向において前記回転部に対して前記台座部側とは反対側の位置に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、大型化を抑制できると共に回転部と配線との干渉を抑制できる照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る照明装置を示す斜視図。
図2】前記実施形態に係る照明装置を一部展開して示す斜視図。
図3】前記実施形態に係る照明装置の台座部を示す斜視図。
図4】前記実施形態に係る照明装置を示す縦断面図。
図5】前記実施形態に係る照明装置のケース体を後方から示す説明図。
図6】前記実施形態に係る照明装置を上方から示す断面図。
図7】前記実施形態に係る照明装置の電灯部を示す説明図。
図8】前記実施形態に係る照明装置を屋外構造物の天井面に設置した状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2において、本実施形態に係る照明装置1は、建物まわりの壁や柱などに固定される壁掛け式の外構用の照明装置である。この照明装置1は、配線2が外部に引き出された電灯部21と、電灯部21がX軸方向に沿った回転軸心O1を中心として上下回転可能に連結される連結部25が形成されたダイカスト製の台座部31と、台座部31がZ軸方向に沿った回転軸心O2(図4参照)を中心として左右回転可能に配置される凹状の台座配置部65を有すると共に内部に配線2が配置されるダイカスト製のケース体61と、ケース体61が取り付けられるベース体71と、ケース体61の内部において配線2の揺動を規制する金具である揺動規制具91と、ケース体61の内部において配線2を固定する配線止め具としての金具である張力止め具95とを備えている。電灯部21と連結部25を含む台座部31とは、照明本体20を構成しており、ケース体61、ベース体71、揺動規制具91および張力止め具95は、照明本体20が取り付けられる設置用具60を構成している。
以下の説明において、照明装置1の左右方向(幅方向)をX軸方向とし、照明装置1の上下方向をY軸方向とし、照明装置1の前後方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
電灯部21は、その本体22の前面から灯光するLED等の光源(図示省略)を当該本体22の内部に有しており、本体22の背面からは配線2が屋外へ引き出されている。この電灯部21はそれ単体で防水処理が施されており、このため、連結部25や台座部31および設置用具60に防水処理を施す必要はない。
また、電灯部21は、図7の(A)から(C)に示すように、前面部221および背面部222を有する本体22と、本体22に取り付けられると共に台座部31に対して上下回転可能に連結される前述した軸受部23とを有しており、軸受部23が連結部25に連結されている。
背面部222は、軸受部23が配置される切欠き223を有する背面筒部224と、背面筒部224を前面部221側で塞ぐと共に配線2が引き出される背面底部225とを有している。背面底部225は、その底面のうち前面部221側に接近する水溜り部226を有している。切欠き223の底面230は、水溜り部226の底面231と面一の位置に配置されており、切欠き223から雨水等を円滑に排水することができるようになっている。本実施形態では、軸受部23には、切欠き223の底面230に対向する位置に凹部232が形成されており、排水性が向上されているが、十分な排水性を確保できる場合には凹部232の構成を省略してもよい。
【0011】
台座部31は、外周円形状の台座本体部32と、台座本体部32の中央から下方に突出する略円筒状の内円筒部33とを有している。
台座本体部32は、図3,4に示すように、円板状の天板321と、天板321の周縁から下方に延出した円筒状の外円筒部322とを有しており、外円筒部322の外周が円形状であって下方に向かうに連れて内円筒部33側に接近するように若干傾斜している。
天板321には、前述した連結部25が上方に延出した軸受部26(図4参照)が形成されており、電灯部21の軸受部23と連結してヒンジ機構を構成している。
軸受部23,26の回転軸心O1は、X軸方向に沿っており、このため、電灯部21は連結部25に対して回転軸心O1を中心として上下に回転可能(首振り可能)となっている。電灯部21の上下の灯光方向は、この上下回転によって調整される。
内円筒部33は、天板321の中央から下方に突出しており、その外周縁部332の下縁は外円筒部322の下縁と面一となる上下位置に配置されている。内円筒部33には、その中央部分から更に下方に突出した外周円形状の中央突出部331を有しており、この中央突出部331は、円筒状であり、外円筒部322よりも下方に突出している。中央突出部331および外周縁部332との間には、後述するOリング113を配置可能な環状溝部333が形成されている。
また、台座部31においてその中央突出部331の下面34には、台座部31の台座配置部65からの抜け止めをする抜止め部材100を装着可能な装着部35と、配線2から外れた位置で抜止め部材100を所定位置に位置決め案内する二つの位置決め突部37とが形成されている。ここで、抜止め部材100は、中央突出部331よりも大径の円板状本体101と、円板状本体101から径方向に突出した被規制部102とを有する金具である。円板状本体101には、二つのねじ孔353に螺合する二つのねじ3が挿通する孔103と、二つの位置決め突部37が挿入されて位置決めされる二つの被位置決め孔104とが形成されている。円板状本体101の径寸法は、孔673の径寸法よりも大きい。この抜止め部材100は、照明本体20と共に回転軸心O2まわりに左右回転し、所定量回転した際に被規制部102が回転規制部674に当接して、照明本体20全体の所定量以上の左右回転を規制する構成となっている。装着部35は、中央突出部331の内周が中央側に膨出した一対の膨出部351を有している。一対の膨出部351は、X軸方向において互いに対向しており、連続部352によって互いに連続されている。一対の膨出部351には、抜止め部材100がねじ3によってねじ止めされる二つのねじ孔353がX軸方向に沿って形成されている。二つの位置決め突部37は、配線2の延びるY軸方向に対して傾斜する方向で互いに対向している。
更に、台座部31には、外円筒部322よりも内周側であって内円筒部33よりも外周側の位置に配置される取付部36が形成されている。取付部36は、内円筒部33に対するX軸方向における一方側の位置で台座本体部32の外円筒部322と内円筒部33とを連続する取付連続部361と、内円筒部33に対するX軸方向における他方側の位置で台座本体部32の外円筒部322と内円筒部33とを連続する取付連続部362とを有しており、取付連続部361,362には、後述するスパイク部を有した他の設置用具をねじ止め可能なねじ孔363がそれぞれ形成されている。なお、この取付部36は、照明本体を設置用具60に取り付ける場合には用いないが、照明本体20を他の設置用具に取り付ける場合などに用いる。
【0012】
ケース体61は、図4から図6に示すように、ケース前壁62と、ケース前壁62に連続してベース体71側に延出している一対のケース側壁63と、ケース前壁62および一対のケース側壁63に連続してベース体71側に延出している一対のケース端壁64とを有している。
ケース前壁62は略矩形板状に形成されている。ケース前壁62は、前述した台座配置部65と、揺動規制具91が装着される装着部66と、張力止め具95が装着される装着突部67とを有している。台座配置部65、装着部66および装着突部67は、ケース体61の内部にそれぞれ配置されている。
台座配置部65は、ケース前壁62に連続する周壁651と、周壁651に連続する底壁652とを有して凹状に形成されている。周壁651は、その内周面が台座本体部32の外円筒部322に対応して円形状に形成されている。また、周壁651には、ケース前壁62の表面で開口する一対の水抜き孔653がケース前壁62の表面から底壁652まで延びてそれぞれ形成されている。一対の水抜き孔653は、互いにY軸方向に対向して配置されており、一方の水抜き孔653は周壁651のうち入側配線通し溝68側に配置されており、他方の水抜き孔653は周壁651のうち出側配線通し溝68側に配置されている。底壁652には、内円筒部33のうち中央突出部331が左右回転可能に配置される円形状の孔673と、ベース体71側に突出する回転規制部674とが形成されている。孔673は、内円筒部33の外周縁部332の径寸法よりも小さい径寸法を有している。回転規制部674は、抜止め部材100の被規制部102が当接可能な位置に配置されている。
装着部66は、台座配置部65の位置に対して上方側(一方側)の位置に配置されており、ケース前壁62からベース体71側に突出して形成されている。装着部66には、揺動規制具91が二つのねじ5によってねじ止めされている。
装着突部67は、台座配置部65の位置に対して下方側(他方側)の位置であってケース体61のX軸方向における略中央位置に配置されており、ケース前壁62からベース体71側に突出して形成され、その頂面は、Z軸方向において後述する回転部10よりもベース体71側に配置されている。装着突部67には、装着部35と概略同様に二つのねじ孔675が形成されており、ねじ孔675に螺合する二つのねじ6によって張力止め具95がねじ止めされている。
一対のケース端壁64には、一対の配線通し溝68がそれぞれ形成されており、一対の配線通し溝68はY軸方向に互いに対向して配置されている。上側の配線通し溝68(入側配線通し溝)は、ケース体61の内部に引き込まれる配線2が挿通可能に構成され、下側の配線通し溝68(出側配線通し溝)よりも前後左右に大きく形成され、電灯部21の上下左右の回転(首振り)に伴う当該配線2の揺動を許容する間隔を形成している。入側配線通し溝68の底部と、揺動規制具91の装着部66に対するねじ止め位置とはZ軸方向において略同じ位置であって、Z軸方向において台座配置部65の底壁652の位置よりもベース体71からZ軸方向に離間した位置である。
出側配線通し溝68は、ケース体61の内部から外部に引き出される配線2が挿通可能に構成されている。ここで、台座部31および台座配置部65は、電灯部21をZ軸方向に沿った回転軸心O2を中心として左右回転可能とする回転部10を構成しており、装着部66は、Y軸方向において回転部10に対して、入側配線通し溝68側に配置されており、装着突部67は、Y軸方向において回転部10に対して、出側配線通し溝68側に配置されている。
下側のケース端壁64には、これに形成された出側配線通し溝68に対して左右両側の位置に後述する一対のねじ7が配置されており、この下側のケース端壁64はねじ7によってベース体71にねじ止めされている。このケース体61は、ベース体71に取り付けられた取付状態で、配線2、揺動規制具91、張力止め具95、抜止め部材100などが配置される内部空間を当該ベース体71との間に形成する。
【0013】
ここで、揺動規制具91は、図2および図4から図6に示すように、X軸方向に沿った略矩形状の基板部911と、基板部911のY軸方向に沿った両側縁からZ軸方向であってベース体71側に延出した一対の係合片部912と、一対の係合片部912の間の位置において基板部911のX軸方向に沿った下縁からZ軸方向であってベース体71側に延出した揺動規制片部913とを有する金具である。係合片部912は、下方に突出した係合部912Aを有しており、揺動規制片部913は、図6に示すように平面視において半円形状の配線規制面914を有しており、配線規制面914は、そのZ軸方向における底部914Aで配線2に当接することで当該配線2の前方側(電灯部21側)への揺動を規制している。また、配線規制面914は、X軸方向において配線2に対して間隔を隔てて配置されることで、配線2の当該間隔分のX軸方向への揺動を許容していると共に、当該間隔分以上のX軸方向への揺動に対しては配線2に当接することで前記間隔分以上の揺動を規制している。なお、図2に示す揺動規制具91は、説明の便宜上、配線2よりもベース体71側に示しているが、実際は配線2を図4などに示すように配置する前に装着部66に装着されるものである。また、張力止め具95は、X軸方向で対向する一対の挟持片部41を有する金具であり、一対の挟持片部41で配線2を挟み持つことで、例えば配線2が踏まれるなどして引張られても移動しないように配線2を固定している。
【0014】
ベース体71は、壁や柱などにボルト、ナット等の固定具によって固定される金属板材によって構成されている。このベース体71には、壁や柱などにねじ止め等によって固定されるための孔74が複数形成されている。このベース体71と壁や柱などの屋外構造物との間には、屋外構造物に傷等を付けないようにクッションシート72などが介在されている。
ベース体71は、板状本体731と、板状本体731の上縁からケース前壁62側に延出していると共に揺動規制具91の係合片部912が係合される一対の係合部732と、板状本体731の下縁からケース前壁62側に延出していると共にケース体61が固定具としてのねじ7によって固定される一対の固定部733とを有する金具であり、固定部733は係合部732よりも下方の位置に配置されている。板状本体731の略中央部分には配線2が十分に挿通可能な程度の大径孔734が形成されている。一対の係合部732は、互いにX軸方向に間隔を隔てて対向して配置されている。係合部732には、揺動規制具91の係合片部912における係合部912Aが係合される係合孔735が形成されている。一対の固定部733には、ねじ7(図8参照)が螺合されるねじ孔736がそれぞれ形成されている。
このベース体71では、揺動規制具91の係合片部912を係合部732に係合させることで、照明本体20が設置されたケース体61をベース体71に掛けて仮位置決めでき、この仮位置決め状態で下側のケース端壁64をねじ7によって固定部733にねじ止めすることで、当該ケース体61をベース体71に取り付けることができる。
【0015】
設置用具60に対する照明本体20の取付構造は次の通りである。
照明本体20の台座部31は、ケース体61の台座配置部65に対して回転軸心O2を中心として左右回転可能に配置されており、中央突出部331は、底壁652の孔673に配置されており、装着部35には、ねじ3がねじ孔353に螺合することで抜止め部材100が装着されている。内円筒部33の外周縁部332および底壁652の間には、環状の樹脂プレート111が配置されており、中央突出部331および抜止め部材100の間には、円板状の樹脂プレート112が配置されており、環状溝部333には弾性変形可能なゴム製のOリング113が配置されている。樹脂プレート111は、ダイカスト製の外周縁部332とダイカスト製の底壁652とが直接に摺動する場合と比べて、摺動抵抗を低減している。樹脂プレート112は、ダイカスト製の底壁652と金具である抜止め部材100とが直接に摺動する場合と比べて、摺動抵抗を低減している。Oリング113は、ねじ3をねじ孔353に螺合させていくことで弾性変形を生じ、この際の弾性力を利用して台座部31と台座配置部65との摺動抵抗を適度に増している。
本実施形態の照明装置1では、台座部31、台座配置部65および抜止め部材100をねじ3、樹脂プレート111,112およびOリング113を用いて組み立てることで、照明本体20を設置用具60に対して左右回転可能とする前述した回転部10を構成している。
【0016】
前述した回転部10に対して、配線2はZ軸方向に重なる位置に配置されている。揺動規制具91によって揺動、特に底部914Aによって前方への揺動が規制される配線2の規制位置P1と、張力止め具95によって固定される配線2の固定位置P2とは、Z軸方向において回転部10に対してベース体71側の位置に配置されている。このため、回転部10は、揺動規制具91によって揺動が規制され且つ張力止め具95によって固定される配線2に対して、Z軸方向において電灯部21側に配置されることになり、これにより、配線2の回転部10に対する干渉を抑制している。なお、配線2と回転部10との間には1mm程度の間隔が形成されると好ましい。
【0017】
[変形例]
前記実施形態では、揺動規制具91の配線規制面914は、Z軸方向において配線2に対して間隔を隔てて配置されているが、電灯部21が十分な範囲で上下左右に回転可能に構成できるのであれば、当該間隔を隔てずに構成してもよい。
前記実施形態では、揺動規制具91がベース体71に係合可能に構成されているが、この構成を省略し、上側のケース端壁64をベース体71に対してねじ止めしてもよい。
前記実施形態では、一対の挟持片部41で配線2を挟み持つ張力止め具95によって当該配線2を固定しているが、これに限らず、配線2が引張られても電灯部21の首振りが生じないように配線2を固定できる配線止め具であれば、一対の挟持片部41を有する張力止め具95のような構成のものでなくてもよい。
前記実施形態では、装着部35や装着突部67には二つのねじ孔353,675にねじ3,6が螺合することによって張力止め具95や抜止め部材100をねじ止めしているが、三つ以上のねじ孔にねじ止めする構成であってもよく、また、張力止め具95や抜止め部材100が機能するように止められるのであれば一つのねじ孔にねじ止めする構成であってもよい。
前記実施形態では、入側配線通し溝68に挿通した配線2を出側配線通し溝68を挿通させて、ケース体61を通す構成とされているが、これに限らず、例えば設置用具60の設置相手である壁や柱が中空である場合には、出側配線通し溝68には配線2を挿通させず、ベース体71の大径孔734に配線2を通す構成としてもよい。この場合、張力止め具95の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、ベース体71を壁や柱などの屋外構造物に固定し、このベース体71に揺動規制具91を掛け、下側のケース端壁64をベース体71にねじ止めできるように構成して、壁掛け式の照明装置1を構成しているが、これに限らず、床面や天井面がある屋外構造物の当該床面や天井面に対して、照明装置1を設置してもよい。例えば、図8に示すように天井面に照明装置1を設置する場合には、配線通し溝68からケース体61の内部に浸入する雨水等の水は、矢印8で示すように、ケース体61の内部を通って前述した水抜き孔653から排水されるようになっている。このように設置した場合には、前述した本実施形態のように壁や柱に掛けられる照明装置1とはX,Y,Z軸方向が異なることとなり、各方向は例えば図8に示すようになる。
前記実施形態における照明本体20は、設置用具60とは異なる他の設置用具にもそのまま用いることが可能である。例えば、地中に差し込むスパイク部を有する差込み式の他の設置用具に対して照明本体20を用いる場合には、設置用具60に代えて、他の設置用具を台座部31の取付部36にねじ止め等により取り付けることで、他の形態の照明装置を構成できる。この場合他の設置用具に配線2が通される場合には、台座部の装着部35には、抜止め部材100に代えて、配線2を固定する張力止め具95がねじ止めされてもよい。なお、張力止め具95を装着部35に装着する際には、ケース体61の内部を挿通する配線2から外れた位置であって位置決め突部37は張力止め具95を所定位置に位置決め案内可能な位置に配置されていると好ましい。
【0018】
前記実施形態では、一方の水抜き孔653が入側配線通し溝68側に配置され、他方の水抜き孔653が出側配線通し溝68側に配置されているが、これに限らず、十分な排水性能を得られるのであれば、例えばX軸方向において互いに対向して配置される一対の水抜き孔653を有していてもよい。また、台座配置部65の周壁651には、一対の水抜き孔653が形成されているが、これに限らず、例えば、十分な排水性能を得られるのであれば、一つだけ水抜き孔が形成されてもよく、また例えば、排水性能の向上のために三つ以上の水抜き孔が形成されてもよい。
前記実施形態では、水抜き孔653は、ケース前壁62から底壁652まで延びて形成されているが、この形状に限らず、ケース前壁62で開口し且つ排水可能であれば、他の各種形状であってもよい。
前記実施形態では、設置用具60は揺動規制具91や張力止め具95を備えているが、例えば、これらの構成がなくても、照明装置1の配線2の取りまわしや性能面で問題がない場合には、これらの構成を省略してもよい。この場合、装着部66や装着突部67の構成も省略してもよい。
【0019】
[発明のまとめ]
本発明の照明装置は、配線が外部に引き出される電灯部と、前記電灯部に連結される台座部と、前記台座部が回転可能に配置される凹状の台座配置部を有すると共に内部に前記配線が配置されるケース体とを備え、前記台座部および前記台座配置部は、前記電灯部を回転可能とする回転部を構成し、前記ケース体には、前記ケース体の内部に引き込まれる前記配線が挿通する入側配線通し溝と、前記ケース体の内部から外部に引き出される前記配線が挿通する出側配線通し溝と、前記配線の前記ケース体に対する挿通方向において前記回転部に対して前記入側配線通し溝側に配置されると共に前記配線の揺動を規制する揺動規制具が装着される装着部と、前記挿通方向において前記回転部に対して前記出側配線通し溝に配置されると共に前記配線を固定する配線止め具が装着される装着突部とが形成され、前記揺動規制具によって揺動が規制される前記配線の規制位置および前記配線止め具によって固定される前記配線の固定位置は、前記挿通方向に直交する前後方向において前記回転部に対して前記台座部側とは反対側の位置に配置されることを特徴とする。
本発明の照明装置によれば、電灯部から外部に引き出された配線がケース体の内部に配置されるので、ケース体の内部において配線の接続部を設けたり、この部分に防水処理を施したりする必要をなくし得て照明装置の大型化を抑制し得る。加えて、配線の規制位置および固定位置が、前後方向において回転部に対して台座部側とは反対側の位置に配置されるので、ケース体の内部で配線を固定しても、当該配線の回転部に対する干渉を抑えることができる。
【0020】
本発明の照明装置では、前記揺動規制具は、前記前後方向において前記電灯部側に向かう前記配線の揺動および前記挿通方向および前記前後方向に直交する幅方向における揺動を規制する配線規制面を有し、前記配線規制面は、前記幅方向において前記配線に対して間隔を隔てて配置されてもよい。
このような構成によれば、揺動規制具はその配線規制面によって電灯部側に向かう配線の揺動を規制することで、配線が回転部に干渉するおそれを低減すると共に、配線規制面が幅方向において配線に対して間隔を隔てて配置されているので、配線の幅方向(左右方向)の揺動を前記間隔部分だけ許容し且つ前記間隔分以上の揺動を規制できる。また、ケース体を壁や柱などの屋外構造物に取り付ける際にも、配線規制面によって配線の揺動を規制することで、当該配線が意図しない位置に配置されてケース体を取り付けにくい状態となってしまうことを抑制できる。
【0021】
本発明の照明装置では、前記ケース体が取り付けられるベース体を備え、前記揺動規制具は、前記ベース体側に突出した係合片部を有し、前記ベース体は、前記係合片部が係合される係合部と、前記係合部よりも下方の位置に形成されると共に前記ケース体が固定具によって固定される固定部とを有してもよい。
このような構成によれば、まず、揺動規制具の係合片部をベース体の係合部に係合することで、揺動規制具が装着されたケース体をベース体に対して仮位置決めでき、次に、固定具によってケース体を固定部に固定することで、ケース体をベース体に本固定できる。このようにケース体をベース体に取り付けることで、例えば、揺動規制具の規制片部などをベース体側に係合させず、固定具によってのみケース体をベース体に取り付ける場合に比べて、仮位置決めできる分、簡単にケース体をベース体に取り付けることができ、施工性を向上し得る。
【0022】
また、本発明の照明装置は、照明本体と、前記照明本体が取り付けられる設置用具とを備え、前記照明本体は、配線が外部に引き出される電灯部と、前記電灯部に連結される台座部とを有し、前記設置用具は、前記台座部が回転可能に配置される凹状の台座配置部をケース前壁に有すると共に内部に前記配線が配置されるケース体とを有し、前記台座部および前記台座配置部は、前記電灯部を回転可能とする回転部を構成し、前記ケース体には、前記配線が挿通する配線通し溝が形成され、前記台座配置部は、前記ケース前壁に連続する周壁と、前記周壁に連続する底壁とを有し、前記周壁には、前記ケース前壁で開口する少なくとも一つの水抜き孔が形成される。
本発明の照明装置によれば、屋外構造物の天井面などにケース体を取り付けることで、照明本体が台座部ごと回転可能な照明装置を天井面などに設置できる。
また、雨風などの影響によりケース体の配線通し溝から水がケース体の内部に侵入し得るが、照明装置が天井面に設置された場合には下向きに配置されるケース前壁で開口した前述した水抜き孔からケース体の内部の水を排水できる。このため、屋外構造物の天井面に設置される設置用具の内部に水が溜まことを抑制できる。
なお、照明装置は、前記天井面だけでなく、屋外の壁や柱などにも設置可能である。
【0023】
本発明の照明装置では、前記ケース前壁には、前記ケース体の内部において前記配線の揺動を規制する揺動規制具が装着される装着部と、前記ケース体の内部において前記配線を固定する配線止め具が装着される装着突部とが形成され、前記装着部および前記装着突部は、前記ケース前壁から前記照明本体側とは反対側に突出してもよい。
このような構成によれば、照明装置を屋外構造物の天井面に設置しても、装着部に揺動規制具を装着し、装着突部に配線止め具を装着することで、電灯部の回転に伴う配線の揺動や当該配線が引張られることによる電灯部の意図しない首振りを抑制できる。そのうえ、装着部や装着突部がケース前壁からベース体側に突出しているので、照明装置を屋外構造物の天井面に設置した際に、金具である揺動規制具や配線止め具が水に濡れにくい配置にできる。
【0024】
本発明の照明装置では、前記ケース体は、前記ケース前壁と、前記ケース前壁に連続する一対のケース側壁と、前記ケース前壁および前記一対のケース側壁に連続する一対のケース端壁とを有し、前記配線通し溝は、前記一対のケース端壁にそれぞれ形成され、前記台座配置部の前記周壁には、少なくとも前記水抜き孔が一対形成され、前記一対の水抜き孔のうち一方は、前記周壁のうち前記一対のケース端壁の一方に形成される前記配線通し溝側の部分に配置され、前記一対の水抜き孔のうち他方は、前記周壁のうち前記一対のケース端壁の他方に形成される前記配線通し溝側の部分に配置されてもよい。
このような構成によれば、照明装置が屋外構造物の天井面に設置される場合、一対のケース端壁の一方に形成された配線通し溝から水が浸入する際には、当該配線通し溝側の部分に配置される一方の水抜き孔から水を速やかに排水でき、また、一対のケース端壁の他方に形成された配線通し溝から水が浸入する際には、当該配線通し溝側の部分に配置される他方の水抜き孔から水を速やかに排水できる。
また、照明装置が屋外の壁や柱など設置される場合、一対のケース端壁のうち一方(上方)に形成された配線通し溝から浸入する水は、一対のケース端壁のうち他方(下方)に形成された配線通し溝から排水できる。なお、照明装置が壁や柱に対して前述した取付け向きとは上下逆向きでも概略同様に配線通し溝から排水できる。
【0025】
本発明の照明装置では、前記電灯部は、前面部および背面部を有する本体と、前記本体に取り付けられると共に前記台座部に対して回転可能に連結される軸受部とを有し、前記背面部は、前記軸受部が配置される切欠きを有する背面筒部と、前記背面筒部を前記前面部側で塞ぐと共に前記配線が引き出される背面底部とを有し、前記背面底部は、その底面のうち前記前面部側に接近する水溜り部を有し、前記切欠きの底面は、前記水溜り部の底面と面一の位置かまたは前記水溜り部の底面よりも前記前面部側に接近する位置に配置されてもよい。
このような構成によれば、照明装置を壁や柱などの屋外構造物に取り付けて電灯部の灯光方向が下向きとなる場合に、雨水等が電灯の背面部における水溜り部に入り込んでも、前述したように構成された切欠きから雨水等を円滑に排水することができる。このため、背面部から引き出されている配線まわりに雨水等が溜まり、この部分から電灯部内に雨水等が浸入するおそれを低減できる。
【符号の説明】
【0026】
1…照明装置、10…回転部、100…抜止め部材、101…円板状本体、102…被規制部、103,673,74…孔、104…被位置決め孔、111,112…樹脂プレート、113…Oリング、2…配線、20…照明本体、21…電灯部、22…本体、221…前面部、222…背面部、223…切欠き、224…背面筒部、225…背面底部、226…水溜り部、23,26…軸受部、230…底面、231…底面、232…凹部、25…連結部、3,5,6,7…ねじ、31…台座部、32…台座本体部、321…天板、322…外円筒部、33…内円筒部、331…中央突出部、332…外周縁部、333…環状溝部、34…下面、35…装着部、351…膨出部、352…連続部、353,363,675,736…ねじ孔、36…取付部、361,362…取付連続部、37…位置決め突部、41…挟持片部、60…設置用具、61…ケース体、62…ケース前壁、63…ケース側壁、64…ケース端壁、65…台座配置部、651…周壁、652…底壁、653…水抜き孔、66…装着部、67…装着突部、674…回転規制部、68…配線通し溝(入側配線通し溝、出側配線通し溝)、71…ベース体、72…クッションシート、731…板状本体、732,912A…係合部、733…固定部、734…大径孔、735…係合孔、8…矢印、91…揺動規制具、911…基板部、912…係合片部、913…揺動規制片部、914…配線規制面、914A…底部、95…張力止め具、O1,O2…回転軸心、P1…規制位置、P2…固定位置。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8