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特開2024-5143電池ユニットの接続切替装置及び電池充電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005143
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電池ユニットの接続切替装置及び電池充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240110BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240110BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20240110BHJP
   H02H 3/087 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 302A
H02J7/02 J
H02H7/18
H02H3/087
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105201
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深江 一志
【テーマコード(参考)】
5G004
5G053
5G503
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004AB02
5G004BA04
5G004DC12
5G053AA01
5G053BA08
5G053CA01
5G053EC03
5G053EC05
5G053FA05
5G503AA01
5G503BA05
5G503BB02
5G503FA06
5G503FA17
5G503GA01
5G503GA19
(57)【要約】
【課題】リレーの誤動作から充電インフラを保護する。
【解決手段】電池ユニットの接続切替装置は、第1リレー及び第2リレーがオン状態であり、且つ、第3リレーがオフ状態である場合に第1電池ユニット及び第2電池ユニットを並列接続し、第1リレー及び第2リレーがオフ状態であり、且つ、第3リレーがオン状態である場合に第1電池ユニット及び第2電池ユニットを直列接続する接続切替部と、前記第1リレー及び前記第2リレーのそれぞれに直列接続された第1ヒューズ及び第2ヒューズと、前記第3リレーに直列接続され、前記第3リレーに流れる電流を遮断可能な遮断部と、前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも1つの溶断を検知する検知部と、を備え、前記遮断部は、前記検知部が前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも1つの溶断を検知した場合に、前記第3リレーに流れる電流を遮断する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1リレー、第2リレー、及び第3リレーを含み、前記第1リレー及び前記第2リレーがオン状態であり、且つ、前記第3リレーがオフ状態である場合に第1電池ユニット及び第2電池ユニットを並列接続し、前記第1リレー及び前記第2リレーがオフ状態であり、且つ、前記第3リレーがオン状態である場合に第1電池ユニット及び第2電池ユニットを直列接続する接続切替部と、
前記第1リレー及び前記第2リレーのそれぞれに直列接続された第1ヒューズ及び第2ヒューズと、
前記第3リレーに直列接続され、前記第3リレーに流れる電流を遮断可能な遮断部と、
前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも1つの溶断を検知する検知部と、
を備え、
前記遮断部は、前記検知部が前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも1つの溶断を検知した場合に、前記第3リレーに流れる電流を遮断する、
電池ユニットの接続切替装置。
【請求項2】
前記遮断部は、パイロヒューズである、
請求項1に記載の電池ユニットの接続切替装置。
【請求項3】
前記遮断部は、半導体リレーである、
請求項1に記載の電池ユニットの接続切替装置。
【請求項4】
前記半導体リレーは、ボディダイオードを含み、
前記ボディダイオードが前記第1電池ユニット及び前記第2電池ユニットの少なくとも1つから放電される第1方向の電流を流さず、前記第1方向とは反対の第2方向の電流を流す向きに、前記半導体リレーは前記第3リレーに直列接続される、
請求項3に記載の電池ユニットの接続切替装置。
【請求項5】
前記遮断部は、直列接続された第1半導体リレー及び第2半導体リレーを含み、
前記第1半導体リレーは、第1ボディダイオードを含み、
前記第2半導体リレーは、前記第1ボディダイオードとは反対向きの第2ボディダイオードを含む、
請求項1に記載の電池ユニットの接続切替装置。
【請求項6】
前記検知部は、前記第1ヒューズ又は前記第2ヒューズと並列接続されたフォトカプラを含み、
前記フォトカプラの出力端子が、前記遮断部に接続され、
前記遮断部は、前記フォトカプラから出力信号を受信した場合に、前記第3リレーに流れる電流を遮断する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電池ユニットの接続切替装置。
【請求項7】
前記検知部は、
前記第1電池ユニット又は前記第2電池ユニットを流れる電流を検知する電流センサと、
前記電流センサの検知結果に基づいて、前記遮断部を制御するための制御信号を出力する制御部と、
を含む、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電池ユニットの接続切替装置。
【請求項8】
第1電池ユニットと、
第2電池ユニットと、
前記第1電池ユニット及び前記第2電池ユニットの間の接続を切り替える接続切替装置と、
を備え、
前記接続切替装置は、
第1リレー、第2リレー、及び第3リレーを含み、前記第1リレー及び前記第2リレーがオン状態であり、且つ、前記第3リレーがオフ状態である場合に前記第1電池ユニット及び前記第2電池ユニットを並列接続し、前記第1リレー及び前記第2リレーがオフ状態であり、且つ、前記第3リレーがオン状態である場合に第1電池ユニット及び第2電池ユニットを直列接続する接続切替部と、
前記第1リレー及び前記第2リレーのそれぞれに直列接続された第1ヒューズ及び第2ヒューズと、
前記第3リレーに直列接続され、前記第3リレーに流れる電流を遮断可能な遮断部と、
前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも1つの溶断を検知する検知部と、
を含み、
前記遮断部は、前記検知部が前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも1つの溶断を検知した場合に、前記第3リレーに流れる電流を遮断する、
電池充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池ユニットの接続切替装置及び電池充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)の駆動トルク向上及びバッテリの充電時間短縮のため、EVのモータ駆動用バッテリの高電圧化が進んでいる。例えば、容量60kWhのバッテリの充電時間は、400V及び400Aでの充電では20分であるのに対して、800V及び400Aでの充電では10分である。しかし、既存の充電ステーション等の充電インフラには、800Vの高電圧充電に対応していないものも多い。
【0003】
特許文献1及び2には、400V級の2つの蓄電モジュールの接続状態を直列及び並列に切替可能とする充電装置が開示されている。例えば、特許文献1に開示された充電装置は、1つの直列化リレーRY2と、2つの並列化リレーRY1,RY3とを含む。直列化リレーRY2をオンし、並列化リレーRY1,RY3をオフすることで蓄電モジュールが直列接続され、直列化リレーRY2をオフし、並列化リレーRY1,RY3をオンすることで蓄電モジュールが並列接続される。800V級の充電インフラで蓄電モジュールを充電する場合には蓄電モジュールを直列接続し、400V級の充電インフラで蓄電モジュールを充電する場合には蓄電モジュールを並列接続する。これにより、400V級及び800V級の両方の充電インフラに対応可能である。負荷駆動時に蓄電モジュールを直列接続することで、800V級で負荷を駆動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/082776号
【特許文献2】米国特許公開公報第2019/160953号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、蓄電モジュールの充電中に誤動作によってリレーが切り替わると、蓄電モジュールの接続状態が変化し、充電インフラに損傷を与えることが考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電池ユニットの接続切替装置は、第1リレー、第2リレー、及び第3リレーを含み、前記第1リレー及び前記第2リレーがオン状態であり、且つ、前記第3リレーがオフ状態である場合に第1電池ユニット及び第2電池ユニットを並列接続し、前記第1リレー及び前記第2リレーがオフ状態であり、且つ、前記第3リレーがオン状態である場合に第1電池ユニット及び第2電池ユニットを直列接続する接続切替部と、前記第1リレー及び前記第2リレーのそれぞれに直列接続された第1ヒューズ及び第2ヒューズと、前記第3リレーに直列接続され、前記第3リレーに流れる電流を遮断可能な遮断部と、前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも1つの溶断を検知する検知部と、を備え、前記遮断部は、前記検知部が前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも1つの溶断を検知した場合に、前記第3リレーに流れる電流を遮断する。
【0007】
本開示は、上記のような特徴的な構成を備える電池ユニットの接続切替装置として実現することができるだけでなく、電池ユニットの接続切替装置における特徴的な処理をステップとする電池ユニットの接続切替方法として実現することができる。本開示は、コンピュータを電池ユニットの接続切替装置として機能させるコンピュータプログラムとして実現したり、電池ユニットの接続切替装置の一部又は全部を半導体集積回路として実現したり、電池ユニットの接続切替装置を含む電池充電システムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、リレーの誤動作によって電池ユニットの接続状態が変化しても、充電インフラを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る車両充電システムの全体構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る電池充電システムの構成の一例を示す回路図である。
図3図3は、第1実施形態に係る接続切替装置の構成の一例を示す回路図である。
図4図4は、比較例の接続切替装置における過電流の発生を説明するための回路図である。
図5図5は、比較例の接続切替装置において過電流保護用のヒューズが溶断した場合の電流の流れを説明するための回路図である。
図6図6は、第1実施形態に係る接続切替装置の第3リレーが誤動作した場合の動作を説明するための回路図である。
図7図7は、第2実施形態に係る接続切替装置の構成の一例を示す回路図である。
図8図8は、第3実施形態に係る接続切替装置の構成の一例を示す回路図である。
図9図9は、第4実施形態に係る接続切替装置の構成の一例を示す回路図である。
図10図10は、第5実施形態に係る接続切替装置の構成の一例を示す回路図である。
図11図11は、第5実施形態に係る制御回路のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図12図12は、第5実施形態に係る制御回路による制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
【0011】
(1) 本実施形態に係る電池ユニットの接続切替装置は、第1リレー、第2リレー、及び第3リレーを含み、前記第1リレー及び前記第2リレーがオン状態であり、且つ、前記第3リレーがオフ状態である場合に第1電池ユニット及び第2電池ユニットを並列接続し、前記第1リレー及び前記第2リレーがオフ状態であり、且つ、前記第3リレーがオン状態である場合に第1電池ユニット及び第2電池ユニットを直列接続する接続切替部と、前記第1リレー及び前記第2リレーのそれぞれに直列接続された第1ヒューズ及び第2ヒューズと、前記第3リレーに直列接続され、前記第3リレーに流れる電流を遮断可能な遮断部と、前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも1つの溶断を検知する検知部と、を備え、前記遮断部は、前記検知部が前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも1つの溶断を検知した場合に、前記第3リレーに流れる電流を遮断する。これにより、第1電池ユニット及び第2電池ユニットの並列接続時に第1電池ユニット及び第2電池ユニットが充電されている間に第3リレーが誤動作によりオン状態となると、第1ヒューズ及び第2ヒューズに過電流が流れ、第1ヒューズ及び第2ヒューズの少なくとも1つが溶断する。第1ヒューズ及び第2ヒューズの少なくとも1つが溶断すると、遮断部によって第3リレーに流れる電流を遮断されるため、充電インフラを過電流から保護することができる。
【0012】
(2) 上記(1)において、前記遮断部は、パイロヒューズであってもよい。第1ヒューズ及び第2ヒューズの少なくとも1つが溶断した場合にパイロヒューズが起爆し、第3リレーに流れる電流を遮断することができる。
【0013】
(3) 上記(1)において、前記遮断部は、半導体リレーであってもよい。これにより、第1ヒューズ及び第2ヒューズの少なくとも1つが溶断した場合に半導体リレーがオフ状態となり、第3リレーに流れる電流を遮断することができる。
【0014】
(4) 上記(3)において、前記半導体リレーは、ボディダイオードを含み、前記ボディダイオードが前記第1電池ユニット及び前記第2電池ユニットの少なくとも1つから放電される第1方向の電流を流さず、前記第1方向とは反対の第2方向の電流を流す向きに、前記半導体リレーは前記第3リレーに直列接続されしてもよい。これにより、半導体リレーがオフ状態となった場合に、ボディダイオードを通じて第3リレーに電流が流れることを阻止することができる。
【0015】
(5) 上記(1)において、前記遮断部は、第1半導体リレー及び第2半導体リレーの直列接続回路であり、前記第1半導体リレーは、第1ボディダイオードを含み、前記第2半導体リレーは、前記第1ボディダイオードとは反対向きの第2ボディダイオードを含んでもよい。これにより、第1半導体リレー及び第2半導体リレーがオフ状態となった場合に、第1ボディダイオード及び第2ボディダイオードのいずれかを通じて第3リレーに電流が流れることを阻止することができる。
【0016】
(6) 上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて、前記検知部は、前記第1ヒューズ又は前記第2ヒューズと並列接続されたフォトカプラを含み、前記フォトカプラの出力端子が、前記遮断部に接続され、前記遮断部は、前記フォトカプラから出力信号を受信した場合に、前記第3リレーに流れる電流を遮断してもよい。これにより、フォトカプラによって第1ヒューズ又は第2ヒューズの溶断を迅速に検知し、第3リレーに流れる電流を遮断することができる。
【0017】
(7) 上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて、前記検知部は、前記第1電池ユニット又は前記第2電池ユニットを流れる電流を検知する電流センサと、前記電流センサの検知結果に基づいて、前記遮断部を制御するための制御信号を出力する制御部と、を含んでもよい。第1ヒューズ及び第2ヒューズが溶断すると、第1電池ユニット及び第2電池ユニットに電流が流れる。したがって、電流センサによって、第1ヒューズ又は第2ヒューズの溶断を検知することができる。
【0018】
(8) 本実施形態に係る電池充電システムは、第1電池ユニットと、第2電池ユニットと、前記第1電池ユニット及び前記第2電池ユニットの間の接続を切り替える接続切替装置と、を備え、前記接続切替装置は、第1リレー、第2リレー、及び第3リレーを含み、前記第1リレー及び前記第2リレーがオン状態であり、且つ、前記第3リレーがオフ状態である場合に前記第1電池ユニット及び前記第2電池ユニットを並列接続し、前記第1リレー及び前記第2リレーがオフ状態であり、且つ、前記第3リレーがオン状態である場合に第1電池ユニット及び第2電池ユニットを直列接続する接続切替部と、前記第1リレー及び前記第2リレーのそれぞれに直列接続された第1ヒューズ及び第2ヒューズと、前記第3リレーに直列接続され、前記第3リレーに流れる電流を遮断可能な遮断部と、前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも1つの溶断を検知する検知部と、を含み、前記遮断部は、前記検知部が前記第1ヒューズ及び前記第2ヒューズの少なくとも1つの溶断を検知した場合に、前記第3リレーに流れる電流を遮断する。これにより、第1電池ユニット及び第2電池ユニットの並列接続時に第1電池ユニット及び第2電池ユニットが充電されている間に第3リレーが誤動作によりオン状態となると、第1ヒューズ及び第2ヒューズに過電流が流れ、第1ヒューズ及び第2ヒューズの少なくとも1つが溶断する。第1ヒューズ及び第2ヒューズの少なくとも1つが溶断すると、遮断部によって第3リレーに流れる電流を遮断されるため、充電インフラを過電流から保護することができる。
【0019】
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0020】
[1.第1実施形態]
[1-1.車両充電システム]
図1は、第1実施形態に係る車両充電システムの全体構成の一例を示す図である。車両充電システム10は、EV、プラグインハイブリッド車等の電動車20と、充電装置30とを含む。
【0021】
電動車20は、走行用のモータを含む高圧負荷500と、高圧負荷駆動用の第1電池ユニット200A及び第2電池ユニット200Bを充電するための電池充電システム100とを含む。電動車20は、さらに、インレット300と、車載制御装置400とを含む。第1電池ユニット200A及び第2電池ユニット200Bは、400V級の二次電池であり、例えば、リチウムイオンバッテリである。なお、以下において、「第1電池ユニット200A」及び「第2電池ユニット200B」を総称して、「電池ユニット200A,200B」ともいう。
【0022】
充電装置30は、電動車20のDC充電ステーションである。充電装置30は、系統電源(例えば、商用交流電源)から供給される交流電力を、電動車20の電池ユニット200A,200Bを充電するために直流電力に変換する。充電装置30は、コネクタ30aを含む。コネクタ30aは、インレット300に着脱可能である。充電装置30は、コネクタ30aから直流電力を出力することができる。充電装置30は、400Vの直流電力を出力可能な400V用の充電装置であってもよく、800Vの直流電力を出力可能な800V用の充電装置であってもよい。
【0023】
インレット300は、電池ユニット200A,200B0の充電電力の入力口であり、電池ユニット200A,200Bに電力線によって接続されている。コネクタ30aがインレット300に接続されると、充電装置30は、電動車20の電池ユニット200A,200B0の充電を行う。
【0024】
インレット300は、車載制御装置400と図示しない通信線によって接続されている。コネクタ30aがインレット300に接続されると、車載制御装置400は、特定の通信プロトコルを用いて充電装置30と通信することができる。例えば、車載制御装置400は、CAN(Controller Area Network)による通信が可能である。他の例では、車載制御装置400は、Ethernet(登録商標)による通信が可能である。
【0025】
車載制御装置400は、電池充電システム100に通信線によって接続されている。車載制御装置400は、電池充電システム100に制御信号を送信し、電池充電システム100の動作を制御する。
【0026】
[1-2.電池充電システム]
図2は、第1実施形態に係る電池充電システムの構成の一例を示す回路図である。
【0027】
電池充電システム100は、正極側の電力線150Pと負極側の電力線150Nとを含むDCバスを含む。電力線150P,150Nは高圧負荷500に接続されている。電池ユニット200A,200Bから出力される直流電力は、電力線150P,150Nを通じて高圧負荷500に供給される。高圧負荷500には、抵抗成分501と容量成分502とを含む。
【0028】
電力線150P,150Nのそれぞれは途中で分岐しており、分岐先がインレット300に接続されている。インレット300から分岐点まで延びる正極側の電力線にはDCリレー151Aが設けられ、負極側の電力線にはDCリレー151Bが設けられている。DCリレー151A,151Bは、インレット300と電池ユニット200A,200Bとの間の接続及び遮断を切り替えるリレーである。DCリレー151A,151Bは、車載制御装置400(図1参照)によって制御され、電池ユニット200A,200Bの充電時にはオンされ、非充電時にはオフされる。
【0029】
電力線150P,150Nのそれぞれには、メインリレー152A,152Bが設けられている。さらに電力線150Nには、メインリレー152C及び抵抗154の直列回路がメインリレー152Bと並列して設けられている。メインリレー152A,152B,152Cは、電池ユニット200A,200Bと高圧負荷500との間の接続及び遮断を切り替えるリレーである。メインリレー152A,152B,152Cは、車載制御装置400(図1参照)によって制御され、電動車20の運転時にはオンされ、非運転時にはオフされる。
【0030】
DCリレー151A,151B及びメインリレー152A,152B,152Cは、例えば、機械式リレーである。ただし、DCリレー151A,151B及びメインリレー152A,152B,152Cの少なくとも1つは、パワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)のような半導体リレーであってもよい。
【0031】
電池充電システム100は、電力線150P,150N間の電圧を検出する電圧センサ155を含む。電圧センサ155の検出結果は車載制御装置400に与えられる。車載制御装置400は、電池充電システム100の制御に電圧センサ155の検出結果を用いる。
【0032】
電力線150P,150Nは、接続切替装置110に接続されている。接続切替装置110は、電池ユニット200A,200Bの直列接続及び並列接続を切り替える。
【0033】
[1-3.接続切替装置]
図3は、第1実施形態に係る接続切替装置の構成の一例を示す回路図である。
【0034】
電力線150Pは、電力線156A及び156Bの接続点157Pに接続されている。電力線156Aには、第1電池ユニット200Aの正極電極び負極電極が接続されている。電力線156Bには、第2電池ユニット200Bの正極電極び負極電極が接続されている。第1電池ユニット200Aの負極側及び第2電池ユニット200Bの負極側では、電力線156A及び156Bは接続点157Nにおいて接続されている。電力線150Nは、接続点157Nに接続されている。
【0035】
第1電池ユニット200Aの負極と接続点157Nとの間には、第1リレー111Aが設けられている。接続点157Pと第2電池ユニット200Bの正極との間には、第2リレー111Bが設けられている。第1リレー111A及び第2リレー111Bは、車載制御装置400によって制御される。
【0036】
第1電池ユニット200Aの負極と第1リレー111Aとの間の中間点157Aと、第2リレー111Bと第2電池ユニット200Bの正極との間の中間点157Bとは、電力線156Cによって接続されている。電力線156Cには、第3リレー111Cが設けられている。第3リレー111Cは、車載制御装置400によって制御される。
【0037】
第1リレー111A及び第2リレー111Bがオン状態であり、且つ、第3リレー111Cがオフ状態である場合に第1電池ユニット200A及び第2電池ユニット200Bは並列接続される。車載制御装置400は、充電装置30によって電池ユニット200A,200Bを充電する場合、第1リレー111A,第2リレー111B及び第3リレー111Cを制御し、第1電池ユニット200A及び第2電池ユニット200Bを並列接続する。
【0038】
第1リレー111A及び第2リレー111Bがオフ状態であり、且つ、第3リレー111Cがオン状態である場合に第1電池ユニット200A及び第2電池ユニット200Bは直列接続される。車載制御装置400は、高圧負荷500を駆動する場合、第1リレー111A,第2リレー111B及び第3リレー111Cを制御し、第1電池ユニット200A及び第2電池ユニット200Bを直列接続する。
【0039】
第1リレー111A、第2リレー111B、及び第3リレー111Cによって、接続切替部111sが構成される。接続切替部111sは、第1電池ユニット200A及び第2電池ユニット200Bの直列接続及び並列接続を切り替える。
【0040】
第1電池ユニット200Aの負極と中間点157Aとの間には、電流センサ140Aが設けられている。第2電池ユニット200Bの正極と中間点157Bとの間には、電流センサ140Bが設けられている。電流センサ140Aは、第1電池ユニット200Aに流れる電流を検出し、電流センサ140Bは、第2電池ユニット200Bに流れる電流を検出する。電流センサ140A,140Bの検出結果は、車載制御装置400に与えられる。車載制御装置400は、電池充電システム100の制御に電流センサ140A,140Bの検出結果を用いる。
【0041】
第1リレー111Aと接続点157Nとの間には、第1ヒューズ112Aが設けられている。接続点157Pと第2リレー111Bとの間には、第2ヒューズ112Bが設けられている。第1ヒューズ112A及び第2ヒューズ112Bは、過電流が流れると溶断する過電流保護用のヒューズである。
【0042】
第1ヒューズ112Aには、直列接続されたフォトカプラ120A及び抵抗122Aが並列接続されている。フォトカプラ120Aは、発光素子であるLED(Light Emitting Diode)121Aと、受光素子であるフォトトランジスタ123Aとを含む。フォトトランジスタ123Aは通常時オフ状態であり、LED121Aが発光するとオン状態となる。フォトトランジスタ123Aの出力はオフ状態では0(V)であり、オン状態ではVcc(V)である。
【0043】
第2ヒューズ112Bには、直列接続されたフォトカプラ120B及び抵抗122Bが並列接続されている。フォトカプラ120Bは、発光素子であるLED121Bと、受光素子であるフォトトランジスタ123Bとを含む。フォトトランジスタ123Bは通常時オフ状態であり、LED121Bが発光するとオン状態となる。フォトトランジスタ123Bの出力はオフ状態では0(V)であり、オン状態ではVcc(V)である。
【0044】
電力線156Cにおいて、第3リレー111Cにはパイロヒューズ130が直列接続されている。パイロヒューズ130は、所定の電圧信号が与えられると起爆し、導電経路を切断する。パイロヒューズ130は、第3リレー111Cに流れる電流を遮断する遮断部の一例である。
【0045】
フォトカプラ120A,120Bは、検知部125を構成する。検知部125は、第1ヒューズ112A及び第2ヒューズ112Bの少なくとも1つの溶断を検知する。フォトカプラ120A,120Bの出力端子は、パイロヒューズ130に接続されている。
【0046】
[1-4.接続切替装置の動作]
まず、本実施形態に係る接続切替装置110からパイロヒューズ130及び検知部125を除いた比較例の接続切替装置110Sを用いて過電流の発生を説明する。図4は、比較例の接続切替装置における過電流の発生を説明するための回路図である。
【0047】
電池ユニット200A,200Bを充電する間、第1リレー111A及び第2リレー111Bがオン状態となり、第3リレー111Cがオフ状態となる。すなわち、第1電池ユニット200A及び第2電池ユニット200Bは並列接続される。
【0048】
電池ユニット200A,200Bの並列接続時において、第3リレー111Cが誤動作によりオン状態になった場合を考える。第3リレー111Cの誤動作は、ソフトウェアの誤動作、振動等によって生じうる。第3リレー111Cがオン状態となると、充電装置30から供給される直流電流である過電流(1)が、電力線156Bの接続点157Pから中間点157Bまでの範囲、電力線156C、及び電力線156Aの中間点157Aから接続点157Nまでの範囲の経路を流れる。さらに、第1電池ユニット200Aから放電される過電流(2)が、電力線156Aの第1電池ユニット200Aの正極から接続点157Pまでの範囲、電力線156Bの接続点157Pから中間点157Bまでの範囲、電力線156C、及び電力線156Aの中間点157Aから第1電池ユニット200Aの負極までの範囲の経路を流れる。同様に第2電池ユニット200Bから放電される過電流(2)が、電力線156Bの第2電池ユニット200Bの正極から中間点157Bまでの範囲、電力線156C、電力線156Aの中間点157Aから接続点157Nまでの範囲、及び電力線156Bの接続点157Nから第2電池ユニット200Bの負極までの範囲の経路を流れる。
【0049】
図5は、比較例の接続切替装置において過電流保護用のヒューズが溶断した場合の電流の流れを説明するための回路図である。上記のように、過電流(1)及び(2)が発生すると、第1ヒューズ112A及び第2ヒューズ112Bが溶断する。これにより、電池ユニット200A,200Bの放電による過電流(3)が、電力線156Bの接続点157Nから中間点157Bまでの範囲、電力線156C、及び電力線156Aの中間点157Aから接続点157Pまでの範囲の経路を流れる。このような過電流(3)が、充電装置30に流れ、充電装置30が破損する可能性がある。
【0050】
次に、図3を参照し、本実施形態に係る接続切替装置110における過電流保護動作を説明する。電池ユニット200A,200Bの並列接続時において、第3リレー111Cが誤動作によりオン状態になった場合、上述のように過電流(1)及び(2)が発生する。第1ヒューズ112Aが溶断すると、LED121Aに電流が流れ、LED121Aが発光する。これによりフォトトランジスタ123Aがオン状態となり、フォトトランジスタ123Aが電圧値Vccの検知信号を出力する。同様に、第2ヒューズ112AB溶断すると、LED121Bに電流が流れ、LED121Bが発光する。これによりフォトトランジスタ123Bがオン状態となり、フォトトランジスタ123Bが電圧値Vccの検知信号を出力する。
【0051】
フォトカプラ120A及び120Bの少なくとも1つから検知信号が出力されると、検知信号によってパイロヒューズ130が起爆する。
【0052】
図6は、第1実施形態に係る接続切替装置の第3リレー111Cが誤動作した場合の動作を説明するための回路図である。なお、図6において、簡略化のために検知部125を省略している。パイロヒューズ130が起爆することにより、電力線156Cが切断され、第3リレー111Cに流れる電流が遮断される。したがって、接続切替装置110における過電流の全て経路が切断され、過電流から充電装置30を保護することができる。
【0053】
[2.第2実施形態]
図7は、第2実施形態に係る接続切替装置の構成の一例を示す回路図である。第2実施形態に係る接続切替装置110Aは、パイロヒューズ130に代えて、半導体リレー130Aを遮断部として含む。第2実施形態に係る接続切替装置110Aのその他の構成は、第1実施形態に係る接続切替装置110と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、説明を省略する。
【0054】
半導体リレー130Aは、例えばパワーMOSFETである。半導体リレー130Aは、ボディダイオード131を含む。ボディダイオード131は、過電流(3)が流れる方向と逆向きに配置されている。すなわち、ボディダイオード131が第2電池ユニット200Bから放電される第1方向X1の電流を流さず、第1方向X1とは反対の第2方向X2の電流を流す向きに、半導体リレー130Aは第3リレー111Cに直列接続される。
【0055】
半導体リレー130Aのゲート端子は、フォトカプラ120A,120Bの出力端子に接続されている。
【0056】
半導体リレー130Aは、通常時においてオン状態である。したがって、第1リレー111A及び第2リレー111Bがオフ状態であり、第3リレー111CがON状態である場合、電池ユニット200A,200Bは直列接続される。
【0057】
過電流の発生により第1ヒューズ112A及び第2ヒューズ112Bが溶断すると、フォトカプラ120A及び120Bから検知信号が出力される。検知信号は半導体リレー130Aのゲート端子に印加され、半導体リレー130Aがオン状態からオフ状態へ遷移する。これにより、電力線156Cが切断される。さらに、ボディダイオード131がX2方向に配置されているため、X1方向の過電流はボディダイオード131を通過しない。このため、第3リレー111Cに流れる電流が遮断される。
【0058】
[3.第3実施形態]
図8は、第3実施形態に係る接続切替装置の構成の一例を示す回路図である。第3実施形態に係る接続切替装置110Bは、パイロヒューズ130に代えて、第1半導体リレー133A及び第2半導体リレー133Bによって構成された遮断部130Bを含む。第3実施形態に係る接続切替装置110Bのその他の構成は、第1実施形態に係る接続切替装置110と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、説明を省略する。
【0059】
第1半導体リレー133A及び第2半導体リレー133Bは、互いに直列に接続されている。第1半導体リレー133A及び第2半導体リレー133Bは、例えばパワーMOSFETである。第1半導体リレー133Aは第1ボディダイオード134Aを含み、第2半導体リレー133Bは第2ボディダイオード134Bを含む。第1ボディダイオード134Aは、第1方向X1の電流を流さず、第1方向X1とは反対の第2方向X2の電流を流す向きに配置されている。第2ボディダイオード134Bは、第2方向X2の電流を流さず、第1方向X1の電流を流す向きに配置されている。すなわち、第1ボディダイオード134Aと第2ボディダイオード134Bは、互いに反対向きに配置されている。
【0060】
第1半導体リレー133A及び第2半導体リレー133Bそれぞれのゲート端子は、フォトカプラ120A,120Bの出力端子に接続されている。
【0061】
過電流の発生により第1ヒューズ112A及び第2ヒューズ112Bが溶断すると、フォトカプラ120A及び120Bから検知信号が出力される。検知信号は第1半導体リレー133A及び第2半導体リレー133Bのゲート端子にそれぞれ印加され、第1半導体リレー133A及び第2半導体リレー133Bのそれぞれがオン状態からオフ状態へ遷移する。これにより、電力線156Cが切断される。さらに、第1ボディダイオード134A及び第2ボディダイオードが互いに反対向きに配置されているため、X1方向の電流及びX2方向の電流のいずれの通過も阻止される。このため、第3リレー111Cに流れる電流が遮断される。
【0062】
[4.第4実施形態]
図9は、第4実施形態に係る接続切替装置の構成の一例を示す回路図である。第4実施形態に係る接続切替装置110Cは、フォトカプラ120A,120Bを含む検知部125に代えて、電流センサ140A,140B及びコンパレータ420A,420Bを含む検知部125Cを含む。第4実施形態に係る接続切替装置110Cのその他の構成は、第1実施形態に係る接続切替装置110と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、説明を省略する。
【0063】
コンパレータ420Aは、第1入力端子、第2入力端子、及び出力端子を含む。コンパレータ420Aの第1入力端子には、電流センサ140Aの出力端子から延びる信号線が接続されている。コンパレータ420Aの第2入力端子には、基準となる閾値電圧Vthが入力される。コンパレータ420Aの出力端子は、パイロヒューズ130に接続されている。なお、本実施形態において、接続切替装置110Cは、パイロヒューズ130に代え、第2実施形態における半導体リレー130A、又は、第3実施形態における第1半導体リレー133A及び第2半導体リレー133Bを含む遮断部130Bを含んでもよい。
【0064】
コンパレータ420Bは、第1入力端子、第2入力端子、及び出力端子を含む。コンパレータ420Bの第1入力端子には、電流センサ140Bの出力端子から延びる信号線が接続されている。コンパレータ420Bの第2入力端子には、基準となる閾値電圧Vthが入力される。コンパレータ420Bの出力端子は、パイロヒューズ130に接続されている。
【0065】
コンパレータ420A及び420Bは、制御部の一例である。コンパレータ420Aは、電流センサ140Aの検知結果に基づいて、パイロヒューズ130を制御するための制御信号を出力する。具体的には、電流センサ140Aは、検知した電流値に応じた値の電圧信号を出力する。コンパレータ420Aは、電流センサ140Aの出力電圧と、閾値電圧Vthとを比較し、比較結果に応じて制御信号を出力する。すなわち、コンパレータ420Aは、電流センサ140Aの出力電圧が閾値電圧Vthを超える場合に、制御信号を出力する。コンパレータ420Bの動作も同様であるので、説明を省略する。
【0066】
閾値電圧Vthは、電流センサ140A,140Bによって検知される電流が過電流であるか否かを判断するための値である。すなわち、閾値電圧Vthは、過電流(3)の電流値に応じた値に設定される。
【0067】
過電流の発生により第1ヒューズ112A及び第2ヒューズ112Bが溶断すると、電池ユニット200A,200Bの放電による過電流(3)が、電力線156Bの接続点157Nから中間点157Bまでの範囲、電力線156C、及び電力線156Aの中間点157Aから接続点157Pまでの範囲の経路を流れる。電流センサ140A,140Bは、過電流(3)の電流値を検知し、検知した電流値に応じた電圧信号を出力する。
【0068】
コンパレータ420A,420Bは、電流センサ140A,140Bからの出力電圧と閾値電圧Vthとを比較する。過電流(3)が発生している場合の電流センサ140A,140Bの出力電圧は、閾値電圧Vthを超える。このため、コンパレータ420A,420Bは、制御信号を出力する。制御信号によってパイロヒューズ130が起爆し、第3リレー111Cに流れる電流が遮断される。
【0069】
[5.第5実施形態]
図10は、第5実施形態に係る接続切替装置の構成の一例を示す回路図である。第5実施形態に係る接続切替装置110Dは、フォトカプラ120A,120Bを含む検知部125に代えて、電流センサ140A,140B及び制御回路520を含む検知部125Dを含む。第5実施形態に係る接続切替装置110Dのその他の構成は、第1実施形態に係る接続切替装置110と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、説明を省略する。
【0070】
制御回路520には、電流センサ140A及び電流センサ140Bそれぞれの出力端子から延びる信号線が接続されている。制御回路520は、パイロヒューズ130に信号線を介して接続されている。なお、本実施形態において、接続切替装置110Dは、パイロヒューズ130に代え、第2実施形態における半導体リレー130A、又は、第3実施形態における第1半導体リレー133A及び第2半導体リレー133Bを含む遮断部130Bを含んでもよい。
【0071】
制御回路520は、制御部の一例である。制御回路520は、電流センサ140A及び電流センサ140Bの少なくとも1つの検知結果に基づいて、パイロヒューズ130を制御するための制御信号を出力する。具体的には、電流センサ140A及び140Bは、検知した電流値を示す検知信号を出力する。制御回路520は、電流センサ140A及び電流センサ140Bのそれぞれによって検知された第1電流値A1及び第2電流値A2と閾値Thとを比較し、比較結果に応じて制御信号を出力する。すなわち、制御回路520は、電流センサ140Aにより検知された第1電流値A1が閾値Thを超える、又は、電流センサ140Bにより検知された第2電流値A2が閾値Thを超える場合に、制御信号を出力する。
【0072】
閾値電圧Thは、電流センサ140A,140Bによって検知される電流が過電流であるか否かを判断するための値である。すなわち、閾値Thは、過電流(3)の電流値に応じた値に設定される。
【0073】
図11は、第5実施形態に係る制御回路のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0074】
制御回路520は、プロセッサ521と、不揮発性メモリ522と、揮発性メモリ523と、入出力インタフェース(I/O)524とを備える。
【0075】
揮発性メモリ523は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリである。不揮発性メモリ522は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリである。不揮発性メモリ522には、コンピュータプログラムである制御プログラム525及び制御プログラム525の実行に使用されるデータが格納される。制御回路520の各機能は、制御プログラム525がプロセッサ521によって実行されることで実現される。制御プログラム525は、フラッシュメモリ、ROM、CD-ROMなどの記録媒体に記憶させることができる。
【0076】
プロセッサ521は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。ただし、プロセッサ521は、CPUに限られない。プロセッサ521は、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。具体的な一例では、プロセッサ521は、マルチコアGPUである。プロセッサ521は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよいし、ゲートアレイ、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスであってもよい。この場合、ASIC又はプログラマブルロジックデバイスは、制御プログラム525と同様の処理を実行可能に構成される。制御回路520は、例えば、1チップの半導体部品からなるマイクロコンピュータである。
【0077】
I/O524は、信号の入出力を行う。I/O524には、電流センサ140A,140Bそれぞれの出力端子が信号線を介して接続されている。I/O524には、パイロヒューズ130の入力端子に信号線を介して接続されている。
【0078】
電池ユニット200A,200Bを充電する間、第1リレー111A及び第2リレー111Bがオン状態となり、第3リレー111Cがオフ状態となる。すなわち、第1電池ユニット200A及び第2電池ユニット200Bは並列接続される。この状態で、プロセッサ521は制御プログラム525を実行する。プロセッサ521が制御プログラム525を実行することにより、制御回路520は、以下のような制御処理を実行する。図12は、第5実施形態に係る制御回路による制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0079】
プロセッサ521は、電流センサ140A及び140Bのそれぞれから出力される第1電流値A1及び第2電流値A2を受け付ける(ステップS101)。
【0080】
次にプロセッサ521は、第1電流値A1と閾値Thとを比較し、第2電流値A2と閾値Thとを比較する(ステップS102)。第1電流値A1が閾値Th以下であり、且つ、第2電流値A2が閾値Th以下である場合(ステップS102においてNO)、プロセッサ521はステップS101に戻る。
【0081】
第1電流値A1が閾値Thを超える、又は、第2電流値A2が閾値Thを超える場合(ステップS102においてYES)、プロセッサ521は、パイロヒューズ130に制御信号を出力する(ステップS103)。制御信号によってパイロヒューズ130が起爆し、第3リレー111Cに流れる電流が遮断される。以上で、制御処理が終了する。
【0082】
[6.補記]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的ではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及びその範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0083】
10 車両充電システム
20 電動車
30 充電装置
30a コネクタ
100 電池充電システム
110,110A,110B,110C,110D,110S 接続切替装置
111A 第1リレー
111B 第2リレー
111C 第3リレー
111s 接続切替部
112A 第1ヒューズ
112B 第2ヒューズ
120A,120B フォトカプラ
121A LED
122A,122B 抵抗
123A,123B フォトトランジスタ
125,125C,125D 検知部
130 パイロヒューズ
130A 半導体リレー
130B 遮断部
131 ボディダイオード
133A 第1半導体リレー
133B 第2半導体リレー
134A 第1ボディダイオード
134B 第2ボディダイオード
140A,140B 電流センサ
150P,150N 電力線
151A,151B リレー
152A,152B,152C メインリレー
154 抵抗
155 電圧センサ
156A,156B,156C 電力線
157A,157B 中間点
157P,157N 接続点
200A 第1電池ユニット
200B 第2電池ユニット
300 インレット
400 車載制御装置
420A,420B コンパレータ
500 高圧負荷
501 抵抗成分
502 容量成分
520 制御回路
521 プロセッサ
522 不揮発性メモリ
523 揮発性メモリ
524 入出力インタフェース(I/O)
525 制御プログラム
X1 第1方向
X2 第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12