(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051452
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157640
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】石原 研二郎
(72)【発明者】
【氏名】竹田 和久
(72)【発明者】
【氏名】塙 啓太
(72)【発明者】
【氏名】西川 稜
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056FA10
2C056HA29
2C056HA36
2C056KD06
(57)【要約】
【課題】干渉物センサーのメンテナンスの手間を低減できる印刷装置を提供する。
【解決手段】媒体支持部に支持される媒体に対向して液体を吐出するヘッド36と、ヘッド36との干渉物を検出する検出部65を有する干渉物センサー61と、検出部65を遮蔽状態と露出状態に切り替え可能なカバー67と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体支持部に支持される媒体に対向して液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドとの干渉物を検出する検出部を有する干渉物センサーと、
前記検出部を遮蔽状態と露出状態に切り替え可能なカバーと、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記ヘッドを搭載し、前記媒体支持部を第1方向に跨いだ状態で第2方向に移動する移動部を備え、
前記干渉物センサーは、前記移動部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記カバーは、前記移動部の移動に伴って前記遮蔽状態と前記露出状態に切り替えられることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記移動部上で前記ヘッドを前記第1方向に移動させるキャリッジを備えることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンターなどの印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、ヘッドの一例である印字ヘッドから液体の一例であるインクを吐出して印字する印刷装置の一例であるインクジェットプリンターがある。印字ヘッドは、主走査方向に往復移動して媒体の一例である被印刷体に印字する。
【0003】
インクジェットプリンターは、干渉物センサーの一例である発光センサーヘッド及び受光センサーヘッドを備える。発光センサーヘッドと受光センサーヘッドは、移動する印字ヘッドに干渉する可能性がある干渉物を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷装置は、印刷に伴って液体が霧状に飛散し、所謂ミストが生じることがある。ミストが干渉物センサーに付着すると、干渉物を検出できなくなってしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する印刷装置は、媒体支持部に支持される媒体に対向して液体を吐出するヘッドと、前記ヘッドとの干渉物を検出する検出部を有する干渉物センサーと、前記検出部を遮蔽状態と露出状態に切り替え可能なカバーと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】待機位置に位置する第1移動部を示す印刷部の模式図である。
【
図4】前方に移動する第1移動部を示す印刷部の模式図である。
【
図5】終点位置に位置する第1移動部を示す印刷部の模式図である。
【
図6】後方に移動する第1移動部を示す印刷部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
以下、印刷装置の一実施形態について説明する。印刷装置は、例えばインクジェット式のプリンターである。
【0009】
以下の説明では、鉛直方向Zと交差(例えば直交)する方向を幅方向Xとし、鉛直方向Z及び幅方向Xと交差する方向を前後方向Yとする。幅方向Xのうち一方を第1幅方向X1とし、幅方向Xのうち他方を第2幅方向X2とする。前後方向Yのうち一方を前方Y1とし、前後方向Yのうち他方を後方Y2とする。鉛直方向Zのうち上方を上方Z1とし、鉛直方向Zのうち下方を下方Z2とする。幅方向Xが第1方向の一例に相当する。前後方向Yが第2方向の一例に相当する。
【0010】
<印刷装置10>
図1に示すように、印刷装置10は、媒体に印刷を行うように構成される。印刷装置10は、液体の吐出により媒体に印刷を行うように構成されてもよい。印刷装置10は、例えばTシャツなどの可撓性を有する媒体に印刷を行うように構成されてもよい。印刷装置10は、ユーザーにより内部に媒体が載置されるように構成されてもよい。
【0011】
印刷装置10は、筐体11と、開閉カバー22と、表示部26と、操作部27と、を備えてもよい。
筐体11は、印刷装置10に含まれる各種部材を収容するように構成される。開閉カバー22は、
図1に示す閉位置と、図示しない開位置とに移動可能である。開閉カバー22は、開位置に位置することで、筐体11に収容される各種部材を露出させる。表示部26は、情報を表示するように構成される。操作部27は、ユーザーによって操作可能に構成される。表示部26と操作部27とは、タッチパネルのように一体に構成されてもよいが、別々に構成されてもよい。
【0012】
<媒体支持部28>
図2に示すように、印刷装置10は、媒体支持部28を備える。媒体支持部28は、媒体を支持するように構成される。媒体支持部28は、支持面29を備える。支持面29は、上方Z1に向かう面である。すなわち、鉛直方向Zは、支持面29に垂直な方向である。幅方向Xと前後方向Yは、支持面29に平行な方向である。支持面29は、媒体を支持するように構成される。特に、支持面29は、媒体の少なくとも印刷領域を支持する面である。支持面29は、媒体を載置可能である載置面ともいえる。
【0013】
媒体支持部28は、支持面29と平行な水平方向に移動しないように構成される。つまり、支持面29は、水平方向に移動しないように構成される。媒体支持部28は、支持面29の鉛直方向Zに対する位置を調整可能である。
【0014】
印刷装置10は、媒体収容部30を備えてもよい。媒体収容部30は、筐体11に収容される。媒体収容部30は、少なくとも支持面29の幅方向X及び前後方向Yに設けられる。媒体収容部30は、支持面29に媒体の一部の領域が支持されている場合に、支持面29に支持されていない媒体の一部の領域を収容可能である。
【0015】
特に、媒体収容部30は、収容トレイ31を備えてもよい。媒体収容部30は、収容トレイ31により区分された領域を備える。収容トレイ31は、少なくとも支持面29の後方Y2側において媒体収容部30を区画してもよい。
【0016】
<液体供給部32>
印刷装置10は、液体供給部32を備えてもよい。液体供給部32は、媒体支持部28及び媒体収容部30よりも第2幅方向X2に設けられてもよい。液体供給部32は、後述するヘッド36に液体を供給するように構成される。
【0017】
液体供給部32は、液体収容部33と、液体供給駆動部34と、を備えてもよい。液体収容部33は、ヘッド36に供給する液体を収容するように構成される。液体収容部33は、着脱可能であるカートリッジ方式であってもよく、液体を補充可能であるタンク方式であってもよい。液体収容部33は、天面が平面であってもよい。
【0018】
液体供給駆動部34は、液体収容部33に収容された液体をヘッド36に供給するために駆動する。液体供給駆動部34は、液体供給ポンプを含んでもよい。液体供給駆動部34は、天面が平面であってもよい。
【0019】
<印刷部35>
印刷装置10は、印刷部35を備える。印刷部35は、媒体に印刷を行うように構成される。特に、印刷部35は、支持面29に支持された媒体に印刷を行うように構成される。
【0020】
図3に示すように、印刷部35は、媒体に印刷するヘッド36を備える。ヘッド36は、支持面29に支持された媒体に液体を吐出可能である。ヘッド36は、複数のノズル37と、ノズル面38とを備える。ノズル面38は、複数のノズル37のそれぞれが開口する面である。複数のノズル37のそれぞれは、液体を吐出可能である。ノズル面38は、ヘッド36の最も下方Z2である最下部に位置する。
【0021】
印刷部35は、キャリッジ39を備えてもよい。キャリッジ39は、ヘッド36を支持するように構成される。
図2に示すように、印刷部35は、移動部40を備える。移動部40は、キャリッジ39を移動させるように構成される。つまり、移動部40は、ヘッド36を移動させるように構成される。移動部40は、水平方向にヘッド36を移動させるように構成される。詳しくは、移動部40は、幅方向Xと前後方向Yとにヘッド36を移動させるように構成される。本実施形態のヘッド36は、ラテラルタイプとして構成される。ラテラルタイプは、ヘッド36が幅方向X及び前後方向Yに移動しながら印刷を行う。
【0022】
移動部40は、第1移動部41を備えてもよい。第1移動部41は、幅方向Xにキャリッジ39を移動させるように構成される。つまり、第1移動部41は、幅方向Xにヘッド36を移動させるように構成される。
【0023】
第1移動部41は、第1ガイド部42を備えてもよい。第1ガイド部42は、支持面29を跨いで幅方向Xに延びるように構成される。第1ガイド部42は、キャリッジ39を幅方向Xに沿って移動可能なようにガイドする。キャリッジ39は、第1ガイド部42に沿って幅方向Xに往復移動可能である。すなわち、キャリッジ39は、移動部40上でヘッド36を幅方向Xに移動させる。第1ガイド部42は、幅方向Xへ滑らかにキャリッジ39を移動させ、前後方向Yや鉛直方向Zに対してキャリッジ39を変動させにくい構造であることが好ましい。
【0024】
移動部40は、第2移動部43を備える。第2移動部43は、第1移動部41を支持するように構成される。第2移動部43は、前後方向Yに第1移動部41を移動させるように構成される。つまり、第2移動部43は、前後方向Yにヘッド36を移動させるように構成される。
【0025】
第2移動部43は、一対の第2ガイド部44を備えてもよい。一対の第2ガイド部44は、媒体支持部28を挟んで媒体支持部28の第1幅方向X1と第2幅方向X2とに設けられる。一対の第2ガイド部44のそれぞれは、前後方向Yに延びるように構成される。
【0026】
第2移動部43は、一対の支持部45を備えてもよい。一対の支持部45は、媒体支持部28を挟んで媒体支持部28の第1幅方向X1と第2幅方向X2とに設けられる。一対の支持部45のそれぞれは、第1移動部41を支持するように構成される。一対の支持部45は、対応する一対の第2ガイド部44に沿って前後方向Yに移動可能である。第2ガイド部44は、前後方向Yへ滑らかに第1移動部41を移動させ、幅方向Xや鉛直方向Zに対して第1移動部41を変動させにくい構造であることが好ましい。
【0027】
このように、移動部40は、ヘッド36を搭載し、かつ、媒体支持部28を幅方向Xに跨いだ状態で前後方向Yに移動可能である。移動部40は、正面視において門型に構成される。第1移動部41は、
図3に示す待機位置Pwと、印刷位置と、
図5に示す終点位置Peと、に移動可能である。
【0028】
待機位置Pwは、第1移動部41が非印刷時に待機する位置である。待機位置Pwは、前後方向Yにおいて第1移動部41が移動可能な範囲のうち、最も後方Y2の位置である。
【0029】
印刷位置は、待機位置Pwと終点位置Peとの間の位置である。印刷位置は、ヘッド36が幅方向Xに移動することで、媒体支持部28と対向する位置である。
終点位置Peは、前後方向Yにおいて第1移動部41の移動可能な範囲のうち、最も前方Y1の位置である。第1移動部41は、待機位置Pwから前方Y1に移動して印刷位置を通過し、終点位置Peまで移動可能である。第1移動部41は、終点位置Peから後方Y2に移動して印刷位置を通過し、待機位置Pwまで移動可能である。
【0030】
<メンテナンス部47>
図2に示すように、印刷装置10は、メンテナンス部47を備えてもよい。メンテナンス部47は、一対の第2ガイド部44の間に設けられてもよい。メンテナンス部47は、媒体支持部28及び媒体収容部30よりも第1幅方向X1に設けられる。メンテナンス部47は、媒体支持部28及び媒体収容部30に対して鉛直方向Zに重ならない位置に配置される。メンテナンス部47は、媒体支持部28及び媒体収容部30と幅方向Xに並んで設けられてもよい。メンテナンス部47は、ヘッド36をメンテナンスするように構成される。
【0031】
メンテナンス部47は、フラッシング部48を備えてもよい。フラッシング部48は、ヘッド36から吐出される液体を受けるように構成される。フラッシング部48は、前後方向Yに延びるように構成される。ヘッド36からフラッシング部48に液体を吐出させるメンテナンスは、フラッシングともいう。フラッシングとは、ノズル37の目詰まりを予防及び解消する目的で、ノズル37の開口で空気に晒された液体を廃液として吐出するメンテナンスである。
【0032】
メンテナンス部47は、払拭部49を備えてもよい。払拭部49は、ノズル面38を払拭可能である。払拭部49がヘッド36を払拭するメンテナンスは、ワイピングともいう。
【0033】
メンテナンス部47は、吸引部50を備えてもよい。吸引部50は、ヘッド36から液体を吸引するように構成される。吸引部50は、ヘッド36から液体を吸引する吸引ポンプを備えてもよい。吸引部50は、ヘッド36との間に閉空間を形成すると共に、閉空間内を減圧することでノズル37から液体を強制的に排出させる吸引クリーニングを行う。
【0034】
メンテナンス部47は、キャップ51を備えてもよい。キャップ51は、ホーム位置Phに位置するヘッド36の直下に設けられる。キャップ51は、鉛直方向Zに往復移動するように構成される。キャップ51は、上昇してヘッド36に接触することで、ヘッド36をキャッピングする。キャップ51は、ヘッド36との間に閉塞空間を形成し、ノズル37の開口が閉塞空間内に位置するようにする。
【0035】
<制御基板52及び電源ユニット54>
印刷装置10は、制御基板52を備えてもよい。制御基板52は、筐体11に収容される。制御基板52は、移動部40より後方Y2に設けられてもよい。制御基板52は、印刷装置10を制御するための各種の電子部品が実装される基板である。
【0036】
制御基板52は、制御部53を備えてもよい。制御部53は、印刷装置10で実行される各種動作を制御する。制御部53は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0037】
<干渉物センサー61>
印刷装置10は、干渉物センサー61を備える。干渉物センサー61は、第1移動部41が待機位置Pwに位置する状態で媒体支持部28より後方Y2に位置してもよい。干渉物センサー61は、移動部40に設けられてもよい。干渉物センサー61は、第1移動部41と共に移動可能であってもよい。第2移動部43は、第1移動部41と共に干渉物センサー61を移動させてもよい。
【0038】
干渉物センサー61は、投光部62と、受光部63と、を有してもよい。投光部62と受光部63は、それぞれ一対の支持部45に設けられてもよい。例えば、投光部62は、媒体支持部28と液体供給部32との間に位置する一方の支持部45に設けられてもよい。受光部63は、幅方向Xにおいてメンテナンス部47と隣り合う他方の支持部45に設けられてもよい。
【0039】
干渉物センサー61は、ヘッド36との干渉物を検出する検出部65を有する。本実施形態の検出部65は、光を放つ発光素子と、光を受ける受光素子である。受光部63は、受光素子を有する。投光部62は、発光素子を有する。発光素子と受光素子とを結ぶ光軸は、鉛直方向Zにおいてノズル面38と同じ位置に位置してもよい。
【0040】
図3に示すように、印刷装置10は、カバー67を備える。カバー67は、第2移動部43に備えられてもよい。カバー67は、スライド移動が可能な状態で支持部45に支持されてもよい。
【0041】
カバー67は、検出部65を
図5に示す遮蔽状態と
図3に示す露出状態に切り替え可能である。カバー67は、移動部40の移動に伴って遮蔽状態と露出状態に切り替えられてもよい。遮蔽状態とは、カバー67と検出部65が幅方向Xに並ぶ状態であって、投光部62と受光部63との間にカバー67が位置し、投光部62が放つ光を受光部63が受光できない状態である。遮蔽状態は、媒体支持部28に対してカバー67が検出部65を隠す状態である。露出状態とは、検出部65に対してカバー67が前方Y1にずれた状態であって、投光部62と受光部63との間にカバー67が位置せず、投光部62が放つ光を受光部63が受光できる状態である。露出状態は、媒体支持部28に対して検出部65を露出させる状態である。
【0042】
印刷装置10は、一対のカバー67を備えてもよい。一対のカバー67は、投光部62と受光部63にそれぞれ設けられてもよい。すなわち、一方のカバー67は、投光部62が備える検出部65を遮蔽状態と露出状態に切り替えてもよい。他方のカバー67は、受光部63が備える検出部65を遮蔽状態と露出状態に切り替えてもよい。一対のカバー67の構成及び状態の切り替え方は同じである。そのため、以下の説明では受光部63に対応するカバー67について説明し、投光部62に対応するカバー67についての説明を省略する。
【0043】
印刷装置10は、第1切替部69と、第2切替部70と、を備えてもよい。第1切替部69は、第2切替部70より後方Y2に設けられる。第1移動部41と共に移動するカバー67は、前後方向Yにおいて、第1切替部69と第2切替部70の間を移動可能である。
【0044】
<実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
図3に示すように、カバー67は、第1移動部41が待機位置Pwに位置する時に、露出状態になる。
【0045】
図4に示すように、第1移動部41が待機位置Pwから前方Y1に移動するとき、カバー67は、露出状態のまま前方Y1に移動する。すなわち、干渉物センサー61は、干渉物の検出が可能な状態で前方Y1に移動する。
【0046】
図5に示すように、カバー67は、第1移動部41が終点位置Peまで移動する前に第2切替部70に当たる。第1移動部41は、カバー67の移動が第2切替部70により止められた状態で前方Y1に移動する。これによりカバー67は、干渉物センサー61に対して相対移動して検出部65を遮蔽状態にする。
【0047】
図6に示すように、第1移動部41が終点位置Peから後方Y2に移動するとき、カバー67は、遮蔽状態のまま後方Y2に移動する。すなわち、干渉物センサー61は、ミストなどから検出部65が保護された状態で後方Y2に移動する。
【0048】
図3に示すように、カバー67は、第1移動部41が待機位置Pwまで移動する前に第1切替部69に当たる。第1移動部41は、カバー67の移動が第1切替部69により止められた状態で後方Y2に移動する。これによりカバー67は、干渉物センサー61に対して相対移動して検出部65を露出状態にする。
【0049】
第1移動部41が待機位置Pwに位置するとき、干渉物センサー61は媒体支持部28より後方Y2に位置する。すなわち、干渉物センサー61は、印刷に伴うミストが発生しやすい媒体支持部28から後方Y2に離れた位置に位置する。そのため、検出部65は、露出状態で待機しても汚れが付着しにくい。
【0050】
第1移動部41が待機位置Pwに位置するとき、キャリッジ39及びヘッド36は、ホーム位置Phに位置可能である。ホーム位置Phに位置するヘッド36は、キャップ51によりキャッピングされる。
【0051】
開閉カバー22が開けられて媒体がセットされるとき、第1移動部41は待機位置Pwに位置し、キャリッジ39はホーム位置Phに位置し、媒体支持部28は最も上の位置に位置してもよい。
【0052】
図4に示すように、開閉カバー22が閉じられて印刷が開始されると、制御部53は、キャップ51を下方Z2に移動させると共に、第1移動部41を前方Y1に移動させる。カバー67は、検出部65を露出状態にしたまま前方Y1に移動する。
【0053】
制御部53は、受光部63の受光量が閾値を下回った場合に、ヘッド36がそのまま前方Y1に移動したときに干渉する干渉物があると判断してもよい。干渉物センサー61が干渉物を検出すると、制御部53は、媒体支持部28を下方Z2に移動させる。制御部53は、媒体支持部28を下降させることで、媒体支持部28に支持される媒体がヘッド36に干渉しないようにする。
【0054】
制御部53は、第1移動部41が終点位置Peに移動するまで、干渉物の検出と、媒体支持部28の下降と、を繰り返し実行する。制御部53は、ノズル面38と媒体との鉛直方向Zの距離を印刷に適した距離に調整する。第1移動部41が終点位置Peまで移動する間、キャリッジ39は停止した状態を維持して印刷を行わない。
【0055】
図5に示すように、第1移動部41が終点位置Peに位置すると、カバー67は検出部65を遮蔽状態にする。
図6に示すように、第1移動部41が終点位置Peから後方Y2に移動するとき、キャリッジ39は幅方向Xに往復移動してヘッド36と媒体とを対向させる。ヘッド36は、媒体支持部28に支持される媒体に対向して液体を吐出する。ヘッド36は、媒体に液体を吐出する印刷の途中で、フラッシング部48に液体を吐出するフラッシングを行ってもよい。液体の吐出に伴ってミストが発生しても、カバー67は遮蔽状態であるため、検出部65にミストが付着しにくい。
【0056】
印刷装置10は、前後方向Yへの往復移動を複数回行って印刷してもよい。例えば、1回目の往復移動では、ホワイトインクによる印刷を行ってもよい。例えば、2回目の往復移動では、カラーインクによる印刷を行ってもよい。印刷装置10は、2回目の移動の際にも、干渉物の検出を行ってもよい。
【0057】
メンテナンス部47は、定期的にメンテナンスを行ってもよい。例えばメンテナンス部47は、印刷装置10の電源が投入されたとき、印刷の前、印刷の後などにメンテナンスを行ってもよい。メンテナンス部47は、メンテナンスとして、フラッシング、吸引クリーニング、及びワイピングの少なくとも1つを実行してもよい。
【0058】
メンテナンス部47は、第1移動部41が終点位置Peまで移動したあと、待機位置Pwに戻るまでにメンテナンスを実行してもよい。すなわち、メンテナンス部47は、検出部65を遮蔽状態にしてメンテナンスを実行してもよい。
【0059】
<実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1)カバー67は、検出部65を遮蔽状態と露出状態に切り替え可能である。検出部65を遮蔽状態にすることで、検出部65に付着するミストを低減することができる。したがって、干渉物センサー61のメンテナンスの手間を低減できる。
【0060】
(2)干渉物センサー61は、ヘッド36を搭載する移動部40に設けられる。干渉物センサー61は、ヘッド36と共に移動するため、干渉物センサー61の周囲はミストの多い環境になる虞がある。しかし、カバー67により検出部65を遮蔽状態にすることができるため、検出部65に付着するミストを低減できる。
【0061】
(3)カバー67の状態は、第1移動部41の移動に伴って切り替わる。そのため、カバー67の状態を切り替える機構を別に設ける場合に比べて構成を簡素化することができる。
【0062】
(4)キャリッジ39は、ヘッド36を幅方向Xに移動する。そのため、ヘッド36を幅方向Xに亘って設ける場合に比べ、ヘッド36を小型化できる。
(5)投光部62と受光部63を有する干渉物センサー61にミストが付着すると、ミストにより光が遮られて干渉物の検出ができなくなる虞がある。その点、カバー67によってミストの付着を低減することができるため、ミストの影響を受けやすい干渉物センサー61でも採用することができる。
【0063】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0064】
・印刷部35は、後方Y2に移動するときに媒体の位置を調整し、前方Y1に移動するときに印刷を行ってもよい。カバー67は、後方Y2に移動するときに検出部65を露出状態にし、前方Y1に移動するときに検出部65を遮蔽状態にしてもよい。
【0065】
・印刷部35は、第1幅方向X1と第2幅方向X2とのうち何れか一方にヘッド36が移動するときに印刷を行ってもよく、第1幅方向X1にヘッド36が移動するときと、第2幅方向X2にヘッド36が移動するときとの両方において印刷を行ってもよい。
【0066】
・ヘッド36は、水平面に対して平行であるノズル面38を備えても、水平面に対して傾斜するノズル面38を備えてもよい。
・印刷部35が待機位置Pwに位置する状態で、干渉物センサー61は、媒体支持部28の後端と同じ位置もしくは後端より前方Y1に位置してもよい。干渉物センサー61は、第1移動部41が前方Y1への移動を開始する前から干渉物の検出を行ってもよい。
【0067】
・投光部62と受光部63は、前後方向Yに位置をずらして設けられてもよい。
・カバー67は、投光部62と受光部63のうち一方に設けられてもよい。
・投光部62と受光部63の配置は逆であってもよい。例えば、受光部63は、媒体支持部28と液体供給部32との間に位置する一方の支持部45に設けられてもよい。投光部62は、幅方向Xにおいてメンテナンス部47と隣り合う他方の支持部45に設けられてもよい。
【0068】
・干渉物センサー61は、反射型のセンサーであってもよい。干渉物センサー61は、投光部62と受光部63が一体で形成されてもよい。干渉物センサー61は、投光部62から投光されて干渉物で反射した光を受光部63が受光することで干渉物を検出してもよい。干渉物センサー61は、一対の支持部45のうち片方の支持部45に設けられてもよい。
【0069】
・干渉物センサー61は、光学センサーに限らず、超音波センサーなど任意に選択してもよい。
・移動部40は、第2移動部43を備えない構成としてもよい。媒体支持部28とヘッド36との前後方向Yにおける相対移動は、媒体支持部28が移動することで行ってもよい。
【0070】
・ヘッド36は、シリアルタイプとして構成されてもよいし、ラインタイプとして構成されてもよい。シリアルタイプのヘッド36は、幅方向Xに往復移動しながら印刷を行う。ラインタイプのヘッド36は、幅方向Xに亘って設けられる。ヘッド36がラインタイプである場合、印刷装置10はキャリッジ39を備えない構成としてもよい。
【0071】
・印刷装置10は、カバー67を移動させるカバー移動機構を備えてもよい。制御部53は、カバー移動機構を制御することで遮蔽状態と露出状態を切り替えてもよい。
・カバー67は、鉛直方向Zにスライド移動することで遮蔽状態と露出状態を切り替えてもよい。カバー67は、軸を中心として回転することで遮蔽状態と露出状態を切り替えてもよい。カバー67は、伸縮することで遮蔽状態と露出状態を切り替えてもよい。
【0072】
・印刷装置10は、1つの検出部65に対して複数のカバー67を備えてもよい。複数のカバー67は、例えば前方Y1に位置するカバー67と後方Y2に位置するカバー67が互いに近づくことで遮蔽状態にし、互いに離れることで露出状態にしてもよい。複数のカバー67は、例えば虹彩絞り機構を構成してもよい。すなわち、複数のカバー67は、回転することで互いに相対移動して遮蔽状態と露出状態を切り替えてもよい。
【0073】
・印刷装置10は、干渉物センサー61を移動させるセンサー移動機構を備えてもよい。制御部53は、センサー移動機構を制御することで、干渉物センサー61を移動させてもよい。
【0074】
・干渉物センサー61は、キャリッジ39に設けられてもよい。第1移動部41は、待機位置Pwに位置したままキャリッジ39を幅方向Xに移動させることで、干渉物を検出させてもよい。
【0075】
・媒体としては、例えばTシャツやポロシャツなどに限定されず、例えばトレーナーやパーカーなどであってもよく、被服としての媒体であってもよい。また、媒体としては、可撓性を有する媒体が採用されたが、これに限らず、例えば、UVインクを使用して印刷するスマートフォンケースなど、可撓性を有さない媒体が採用されてもよい。
【0076】
・印刷装置10は、液体の一例としてインクを吐出するように構成されてもよいが、インク以外の液体を吐出するように構成されてもよい。つまり、液体は、媒体に付着することで、媒体に印刷を行うことができるものであれば任意に選択することができる。
【0077】
[定義]
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0078】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0079】
(A)印刷装置は、媒体支持部に支持される媒体に対向して液体を吐出するヘッドと、前記ヘッドとの干渉物を検出する検出部を有する干渉物センサーと、前記検出部を遮蔽状態と露出状態に切り替え可能なカバーと、を備える。
【0080】
この構成によれば、カバーは、検出部を遮蔽状態と露出状態に切り替え可能である。検出部は、検出部を遮蔽状態にすることで、検出部に付着するミストを低減することができる。したがって、干渉物センサーのメンテナンスの手間を低減できる。
【0081】
(B)印刷装置は、前記ヘッドを搭載し、前記媒体支持部を第1方向に跨いだ状態で第2方向に移動する移動部を備え、前記干渉物センサーは、前記移動部に設けられてもよい。
【0082】
この構成によれば、干渉物センサーは、ヘッドを搭載する移動部に設けられる。干渉物センサーは、ヘッドと共に移動するため、干渉物センサーの周囲はミストの多い環境になる虞がある。しかし、カバーにより検出部を遮蔽状態にすることができるため、検出部に付着するミストを低減できる。
【0083】
(C)印刷装置において、前記カバーは、前記移動部の移動に伴って前記遮蔽状態と前記露出状態に切り替えられてもよい。
この構成によれば、カバーの状態は、移動部の移動に伴って切り替わる。そのため、カバーの状態を切り替える機構を別に設ける場合に比べて構成を簡素化することができる。
【0084】
(D)印刷装置は、前記移動部上で前記ヘッドを前記第1方向に移動させるキャリッジを備えてもよい。
この構成によれば、キャリッジは、ヘッドを第1方向に移動する。そのため、ヘッドを第1方向に亘って設ける場合に比べ、ヘッドを小型化できる。
【0085】
(E)印刷装置において、前記干渉物センサーは、投光部と受光部とを有してもよい。
投光部と受光部を有する干渉物センサーにミストが付着すると、ミストにより光が遮られて干渉物の検出ができなくなる虞がある。その点、この構成によれば、カバーによってミストの付着を低減することができるため、ミストの影響を受けやすい干渉物センサーでも採用することができる。
【符号の説明】
【0086】
10…印刷装置、11…筐体、22…開閉カバー、26…表示部、27…操作部、28…媒体支持部、29…支持面、30…媒体収容部、31…収容トレイ、32…液体供給部、33…液体収容部、34…液体供給駆動部、35…印刷部、36…ヘッド、37…ノズル、38…ノズル面、39…キャリッジ、40…移動部、41…第1移動部、42…第1ガイド部、43…第2移動部、44…第2ガイド部、45…支持部、47…メンテナンス部、48…フラッシング部、49…払拭部、50…吸引部、51…キャップ、52…制御基板、53…制御部、61…干渉物センサー、62…投光部、63…受光部、65…検出部、67…カバー、69…第1切替部、70…第2切替部、Pe…終点位置、Ph…ホーム位置、Pw…待機位置、X…幅方向、X1…第1幅方向、X2…第2幅方向、Y…前後方向、Y1…前方、Y2…後方、Z…鉛直方向、Z1…上方、Z2…下方。