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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051453
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 303
B41J2/01 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157641
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】山下 周大
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA23
2C056FA10
2C056HA07
2C056HA29
(57)【要約】
【課題】印刷装置の小型化を図ることができる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置は、媒体を支持する支持面を有する媒体支持部を備える。位置調整部は、交差方向に対して支持面の位置を調整する複数の位置調整機構を有する。位置調整部は、複数の位置調整機構の一部が独立して動くことで支持面の傾きを変更可能であり、複数の位置調整機構の全部が連動して動くことで交差方向に対する支持面の位置を変更可能である。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を支持する支持面を有する媒体支持部と、
前記支持面に支持された媒体に液体を吐出可能であるヘッドと、
前記ヘッドを移動させるヘッド移動部と、
を備え、
前記媒体支持部は、前記支持面と交差する交差方向に対して前記支持面の位置を調整する位置調整部を有し、
前記位置調整部は、前記交差方向に対して前記支持面の位置を調整する複数の位置調整機構を有し、前記複数の位置調整機構の一部が独立して動くことで前記支持面の傾きを変更可能であり、前記複数の位置調整機構の全部が連動して動くことで前記交差方向に対する前記支持面の位置を変更可能である、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記複数の位置調整機構のそれぞれは、ネジ軸を有し、前記ネジ軸が回転することで前記交差方向に対する前記支持面の位置を調整する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置において、
前記複数の位置調整機構のそれぞれは、前記ネジ軸と接続されるプーリーを有し、
前記位置調整部は、前記プーリーに駆動力を伝達する駆動ベルトを有し、前記複数の位置調整機構の全部に設けられる前記プーリーに前記駆動ベルトから駆動力を伝達することにより、前記複数の位置調整機構の全部が連動して動くことで前記交差方向に対する前記支持面の位置を変更可能である、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置において、
前記駆動ベルトを駆動する位置調整駆動部と、
前記位置調整駆動部を駆動させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、駆動条件が成立したときに前記位置調整駆動部を駆動させる、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の印刷装置において、
前記位置調整部は、前記複数の位置調整機構の一部が独立して手動により動くことで前記支持面の傾きを変更可能である、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の印刷装置において、
前記支持面に支持されていない媒体の領域を収容可能である媒体収容部を備え、
前記位置調整部は、前記複数の位置調整機構の全部が連動して動くことで前記交差方向に対する前記媒体収容部の位置を変更可能である、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の印刷装置において、
前記媒体支持部は、前記支持面と平行な方向に移動しないように構成される、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の印刷装置において、
前記ヘッド移動部は、第1ヘッド移動部と、第2ヘッド移動部と、を有し、
前記第1ヘッド移動部は、前記支持面と平行な第1方向に前記ヘッドを移動させ、
前記第2ヘッド移動部は、前記支持面と平行であり、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に前記ヘッドを移動させる、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の印刷装置において、
前記媒体支持部、前記ヘッド及び前記ヘッド移動部を収容する筐体を備え、
前記筐体は、前記支持面を露出する開口部を有する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
請求項9に記載の印刷装置において、
前記筐体は、前記開口部を開閉可能である開閉カバーを有する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の印刷装置において、
前記位置調整部は、前記複数の位置調整機構として4つの位置調整機構を有し、
前記4つの位置調整機構は、前記交差方向からみて矩形状となる位置に設けられる、
ことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、液体を吐出可能であるヘッドを備えた印刷装置が開示されており、Tシャツなどの媒体に印刷が行われる。このような印刷装置では、筐体の外部においてトレイの支持面に媒体が載置された後に、媒体が載置されたトレイを水平方向に移動させることによって、筐体の外部から筐体の内部に媒体を移動させることができる。これにより、筐体の外部において支持面に媒体が載置された後に、筐体の外部から筐体の内部に移動した媒体に対して印刷を行うことができる。
【0003】
このような印刷装置において、媒体を載置する支持面の傾斜を調整可能である傾斜調整部が設けられており、傾斜調整部を調整することにより、媒体を適切に載置させることができる。また、傾斜調整部とは別体で、位置調整部が設けられることが一般的であり、位置調整部を調整することにより、トレイに載置された媒体とヘッドとの距離が適切に制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-220911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような印刷装置では、位置調整部とは別体で傾斜調整部が設けられている。このため、印刷装置の大型化を招いており、印刷装置の小型化を図ることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する印刷装置は、媒体を支持する支持面を有する媒体支持部と、前記支持面に支持された媒体に液体を吐出可能であるヘッドと、前記ヘッドを移動させるヘッド移動部と、を備え、前記媒体支持部は、前記支持面と交差する交差方向に対して前記支持面の位置を調整する位置調整部を有し、前記位置調整部は、前記交差方向に対して前記支持面の位置を調整する複数の位置調整機構を有し、前記複数の位置調整機構の一部が独立して動くことで前記支持面の傾きを変更可能であり、前記複数の位置調整機構の全部が連動して動くことで前記交差方向に対する前記支持面の位置を変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】印刷装置を示す斜視図である。
図2】印刷装置を示す斜視図である。
図3】印刷装置を示す斜視図である。
図4】印刷装置を示す上面図である。
図5】印刷装置を示す正面図である。
図6】印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。
図7】媒体支持部を示す斜視図である。
図8】媒体支持部を示す斜視図である。
図9】トレイ支持部を示す断面図である。
図10】印刷装置を示す正面図である。
図11】媒体支持部を示す斜視図である。
図12】媒体支持部を示す上面図である。
図13】媒体支持部を示す側面図である。
図14】印刷制御処理を示すフローチャートである。
図15】印刷装置を示す上面図である。
図16】印刷装置を示す上面図である。
図17】印刷装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、印刷装置の一実施形態について説明する。以下の説明では、鉛直方向Zと交差(例えば直交)する方向を幅方向Xとし、鉛直方向Z及び幅方向Xと交差する方向を前後方向Yとする。幅方向Xのうち一方を第1幅方向X1とし、幅方向Xのうち他方を第2幅方向X2とする。前後方向Yのうち一方を前方Y1とし、前後方向Yのうち他方を後方Y2とする。鉛直方向Zのうち上方を上方Z1とし、鉛直方向Zのうち下方を下方Z2とする。幅方向Xが第1方向の一例に相当する。前後方向Yが第2方向の一例に相当する。鉛直方向Zが交差方向の一例に相当する。
【0009】
<印刷装置10>
図1に示すように、印刷装置10は、媒体に印刷を行うように構成される。印刷装置10は、液体の吐出により媒体に印刷を行うように構成されてもよい。印刷装置10は、例えばTシャツなどの可撓性を有する媒体に印刷を行うように構成されてもよい。印刷装置10は、ユーザーにより内部に媒体が載置されるように構成されてもよい。
【0010】
<筐体11>
印刷装置10は、筐体11を備える。筐体11は、矩形状であってもよい。筐体11は、前方Y1に向かう前面12を備える。筐体11は、後方Y2に向かう背面13を備える。筐体11は、第2幅方向X2に向かう左側面14を備える。筐体11は、第1幅方向X1に向かう右側面15を備える。筐体11は、上方Z1に向かう天面16を備える。筐体11は、下方Z2に向かう底面17を備える。
【0011】
図2及び図3に示すように、筐体11は、印刷装置10に含まれる各種部材を収容するように構成される。特に、筐体11は、後述する媒体支持部28、液体供給部32、印刷部35及びメンテナンス部47を収容する。
【0012】
筐体11は、筐体フレーム18を備える。筐体フレーム18は、筐体11の外装を構成する。筐体フレーム18は、開口部19を備える。つまり、筐体11は、開口部19を備える。開口部19は、筐体11に収容される各種部材を露出するように構成される。特に、開口部19は、後述する媒体支持部28の支持面29を露出するように構成される。
【0013】
開口部19は、第1開口部20と、第2開口部21とを備える。第1開口部20は、天面16に設けられる。第2開口部21は、前面12に設けられる。第1開口部20と第2開口部21とは、連続するように設けられる。つまり、開口部19は、天面16及び前面12に跨って設けられる。
【0014】
図4に示すように、第1開口部20は、平面視で、前後方向Yに対して前面12と第1位置20Aとの間において開口する。第1位置20Aは、前面12から後方Y2に第1距離D1だけ離れた位置である。第1位置20Aは、背面13から第2距離D2だけ離れた位置である。第1距離D1は、第2距離D2よりも長い。つまり、第1位置20Aは、前後方向Yに対して前面12よりも背面13に近い位置である。前後方向Yに対する前面12と背面13との距離をD0とすると、第1距離D1は、距離D0の半分よりも長い。
【0015】
第1開口部20は、平面視で、幅方向Xに対して第2位置20Bと第3位置20Cとの間で開口する。第1開口部20は、平面視で、幅方向Xに対して第1幅W1に亘って開口する。第1幅W1は、支持面29の第2幅W2よりも長い。このように、第1開口部20は、上方Z1からみて、幅方向Xに対して支持面29よりも長い形状である。
【0016】
特に、第2位置20Bは、上方Z1からみて、支持面29の第1側端部29Aよりも第1幅方向X1側に位置する。第1側端部29Aは、支持面29の第1幅方向X1に対する端部である。第3位置20Cは、上方Z1からみて、支持面29の第2側端部29Bよりも第2幅方向X2側に位置する。第2側端部29Bは、支持面29の第2幅方向X2に対する端部である。このように、第1開口部20は、上方Z1からみて、幅方向Xに対して第1側端部29A及び第2側端部29Bの外側の位置まで開口する。
【0017】
図2及び図3に示すように、筐体11は、開閉カバー22を備える。開閉カバー22は、開口部19を開閉可能である。開閉カバー22は、剛性確保のために板金により構成されてもよい。開閉カバー22は、第1開閉カバー23を備える。第1開閉カバー23は、平板状である。第1開閉カバー23は、第1開口部20を開閉可能である。
【0018】
開閉カバー22は、第2開閉カバー24を備える。第2開閉カバー24は、平板状である。第2開閉カバー24は、第2開口部21を開閉可能である。第2開閉カバー24は、把持部25を備える。把持部25は、ユーザーにより把持可能である。把持部25は、後述する第2開閉カバー24の先端部に設けられる。
【0019】
印刷装置10は、表示部26と、操作部27とを備える。表示部26は、情報を表示するように構成される。操作部27は、ユーザーによって操作可能に構成される。表示部26と操作部27とは、タッチパネルのように一体に構成されてもよいが、別々に構成されてもよい。表示部26と操作部27とは、天面16に設けられるが、これに限らない。
【0020】
<媒体支持部28>
図4及び図5に示すように、印刷装置10は、媒体支持部28を備える。媒体支持部28は、媒体を支持するように構成される。媒体支持部28は、支持面29を備える。支持面29は、上方Z1に向かう面である。支持面29は、媒体を支持するように構成される。特に、支持面29は、媒体の少なくとも印刷領域を支持する面である。
【0021】
媒体支持部28は、支持面29と平行な水平方向に移動しないように構成される。つまり、支持面29は、水平方向に移動しないように構成される。媒体支持部28は、支持面29を鉛直方向Zに対する位置を調整可能である。
【0022】
印刷装置10は、媒体収容部30を備える。媒体収容部30は、筐体11に収容される。媒体収容部30は、少なくとも支持面29の幅方向Xに設けられ、前後方向Yにも設けられてもよい。媒体収容部30は、支持面29に媒体の一部の領域が支持されている場合に、支持面29に支持されていない媒体の一部の領域を収容可能である。
【0023】
特に、媒体収容部30は、収容トレイ31を備える。媒体収容部30は、収容トレイ31により区分された領域を備える。収容トレイ31は、少なくとも支持面29の後方Y2側において媒体収容部30を区画してもよい。
【0024】
<液体供給部32>
印刷装置10は、液体供給部32を備える。液体供給部32は、媒体支持部28及び媒体収容部30よりも第2幅方向X2に設けられる。液体供給部32は、左側面14に対する内壁面に沿うように設けられてもよい。液体供給部32は、後述するヘッド36に液体を供給するように構成される。
【0025】
液体供給部32は、液体収容部33と、液体供給駆動部34とを備える。液体収容部33は、ヘッド36に供給する液体を収容するように構成される。液体収容部33は、着脱可能であるカートリッジ方式であってもよく、液体を補充可能であるタンク方式であってもよい。液体収容部33は、天面が平面であってもよい。
【0026】
液体供給駆動部34は、液体収容部33に収容された液体をヘッド36に供給するために駆動する。液体供給駆動部34は、液体供給ポンプを含んでもよい。液体供給駆動部34は、天面が平面であってもよい。
【0027】
<印刷部35>
印刷装置10は、印刷部35を備える。印刷部35は、媒体に印刷を行うように構成される。特に、印刷部35は、支持面29に支持された媒体に印刷を行うように構成される。
【0028】
印刷部35は、ヘッド36を備える。ヘッド36は、支持面29に支持された媒体に液体を吐出可能である。ヘッド36は、複数のノズル37と、ノズル面38とを備える。ノズル面38は、下方Z2に向かう面である。ノズル面38は、複数のノズル37のそれぞれが開口する面である。複数のノズル37のそれぞれは、液体を吐出可能である。
【0029】
印刷部35は、キャリッジ39を備える。キャリッジ39は、ヘッド36を支持するように構成される。ヘッド36は、シリアルタイプとして構成されるが、ラインタイプとして構成されてもよい。シリアルタイプは、ヘッド36が幅方向Xに移動しながら印刷を行う。ラインタイプは、幅方向Xに亘ってヘッド36が設けられる。
【0030】
印刷部35は、ヘッド移動部40を備える。ヘッド移動部40は、キャリッジ39を移動させるように構成される。つまり、ヘッド移動部40は、ヘッド36を移動させるように構成される。ヘッド移動部40は、水平方向にヘッド36を移動させるように構成される。詳しくは、ヘッド移動部40は、幅方向Xと前後方向Yとにヘッド36を移動させるように構成される。
【0031】
ヘッド移動部40は、第1ヘッド移動部41を備える。第1ヘッド移動部41は、幅方向Xにキャリッジ39を移動させるように構成される。つまり、第1ヘッド移動部41は、幅方向Xにヘッド36を移動させるように構成される。
【0032】
第1ヘッド移動部41は、第1ガイド部42を備える。第1ガイド部42は、支持面29を跨いで幅方向Xに延びるように構成される。第1ガイド部42は、キャリッジ39を幅方向Xに沿って移動可能なようにガイドする。
【0033】
ヘッド移動部40は、第2ヘッド移動部43を備える。第2ヘッド移動部43は、第1ヘッド移動部41を支持するように構成される。第2ヘッド移動部43は、前後方向Yに第1ヘッド移動部41を移動させるように構成される。つまり、第2ヘッド移動部43は、前後方向Yにヘッド36を移動させるように構成される。ヘッド36がラインタイプの場合は、ヘッド移動部40は、第1ヘッド移動部41を備えず、第2ヘッド移動部43を備えるだけでもよい。
【0034】
第2ヘッド移動部43は、一対の第2ガイド部44を備える。一対の第2ガイド部44は、媒体支持部28を挟んで媒体支持部28の第1幅方向X1と第2幅方向X2とに設けられる。一対の第2ガイド部44のそれぞれは、前後方向Yに延びるように構成される。
【0035】
第2ヘッド移動部43は、一対の支持部45を備える。一対の支持部45は、媒体支持部28を挟んで媒体支持部28の第1幅方向X1と第2幅方向X2とに設けられる。一対の支持部45のそれぞれは、第1ヘッド移動部41を支持するように構成される。一対の支持部45は、対応する一対の第2ガイド部44に沿って前後方向Yに移動可能である。このように、ヘッド移動部40は、ヘッド36を搭載し、かつ、媒体支持部28を跨いで水平方向に移動可能である。ヘッド移動部40は、正面視において門型に構成される。
【0036】
ヘッド移動部40は、移動範囲46内でヘッド36を移動可能である。ヘッド36の移動範囲46は、対向位置と退避位置とを含む。対向位置は、ノズル面38が支持面29と対向する位置である。退避位置は、ノズル面38が支持面29と対向しない位置である。退避位置は、待機位置を含む。待機位置は、印刷が行われていないときにヘッド36が配置される位置である。待機位置は、移動範囲46のうち、第1幅方向X1側であって、後方Y2側に位置してもよい。また、退避位置は、メンテナンス位置を含む。メンテナンス位置は、ノズル面38が、後述するメンテナンス部47と対向する位置である。つまり、ヘッド36の移動範囲46は、メンテナンス位置を含む。
【0037】
<メンテナンス部47>
印刷装置10は、メンテナンス部47を備える。メンテナンス部47は、媒体支持部28及び媒体収容部30よりも第1幅方向X1に設けられる。メンテナンス部47は、媒体支持部28及び媒体収容部30に対して鉛直方向Zに重ならない位置に配置される。メンテナンス部47は、ヘッド36をメンテナンスするように構成される。
【0038】
<制御基板52及び電源ユニット54>
図4に示すように、印刷装置10は、制御基板52を備える。制御基板52は、筐体11に収容される。制御基板52は、背面13に対する内壁面に沿うように設けられてもよい。制御基板52は、印刷装置10を制御するための各種の電子部品が実装される基板である。
【0039】
制御基板52は、制御部53を備える。制御部53は、印刷装置10を制御する。制御部53は、印刷装置10で実行される各種動作を制御する。制御部53は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0040】
印刷装置10は、電源ユニット54を備える。電源ユニット54は、筐体11に収容される。電源ユニット54は、右側面15に対する内壁面に沿うように設けられてもよい。電源ユニット54は、印刷装置10に電源を供給するように構成される。
【0041】
<印刷装置10の電気的構成>
次に、図6を参照して、印刷装置10の電気的構成について説明する。
図6に示すように、印刷装置10は、第1駆動部55を備える。第1駆動部55は、キャリッジ39を幅方向Xに沿って移動させる駆動源である。第1駆動部55は、第1ヘッド移動部41に備えられてもよい。
【0042】
印刷装置10は、第2駆動部56を備える。第2駆動部56は、第1ヘッド移動部41を前後方向Yに沿って移動させる駆動源である。第2駆動部56は、第2ヘッド移動部43に備えられてもよい。
【0043】
印刷装置10は、待機位置検出部57を備える。待機位置検出部57は、ヘッド36が待機位置に配置されていることを検出可能である。待機位置検出部57は、第1ヘッド移動部41に備えられてもよい。
【0044】
印刷装置10は、移動位置検出部58を備える。移動位置検出部58は、幅方向Xに移動するヘッド36が配置されている位置を検出可能である。移動位置検出部58は、第1ヘッド移動部41に備えられてもよい。
【0045】
印刷装置10は、前方位置検出部59を備える。前方位置検出部59は、ヘッド36が最前方位置に配置されていることを検出可能である。前方位置検出部59は、第2ヘッド移動部43に備えられてもよい。
【0046】
印刷装置10は、後方位置検出部60を備える。後方位置検出部60は、ヘッド36が最後方位置に配置されていることを検出可能である。後方位置検出部60は、第2ヘッド移動部43に備えられてもよい。
【0047】
印刷装置10は、干渉物検出部61を備える。干渉物検出部61は、ヘッド36の干渉物を検出可能である。干渉物検出部61は、第2ヘッド移動部43に備えられてもよい。干渉物検出部61は、不図示の投光部と受光部とを備えてもよい。投光部と受光部とは、一対の第2ガイド部44に設けられる。
【0048】
印刷装置10は、位置調整部62を備える。位置調整部62は、鉛直方向Zに対して支持面29の位置を調整するように構成される。位置調整部62は、媒体支持部28に備えられてもよい。位置調整部62は、鉛直方向Zに対して収容トレイ31の位置を調整するように構成されてもよい。
【0049】
印刷装置10は、開閉検出部63を備える。開閉検出部63は、第1開閉カバー23の開閉状態を検出可能である。つまり、開閉検出部63は、開閉カバー22の開閉状態を検出可能である。開閉検出部63は、天面16に対する内壁面に設けられるが、これに限らない。
【0050】
制御部53は、ヘッド36、第1駆動部55、第2駆動部56、位置調整部62、液体供給駆動部34及びメンテナンス部47と接続されている。制御部53は、駆動信号を供給することにより、ヘッド36、第1駆動部55、第2駆動部56、位置調整部62、液体供給駆動部34及びメンテナンス部47を制御する。
【0051】
制御部53は、待機位置検出部57、移動位置検出部58、前方位置検出部59、後方位置検出部60、干渉物検出部61及び開閉検出部63と接続される。制御部53は、待機位置検出部57、移動位置検出部58、前方位置検出部59、後方位置検出部60、干渉物検出部61及び開閉検出部63から検出信号を受信可能である。
【0052】
制御部53は、検出信号に基づいて、各種の制御を行う。具体的な一例をあげると、制御部53は、印刷が行われているときに、開閉検出部63によって開閉カバー22が開放されたと検出されたときに、印刷を中止してもよい。
【0053】
<媒体支持部28の詳細構成>
次に、媒体支持部28の詳細構成について説明する。
図7に示すように、媒体支持部28は、トレイ69と、トレイ支持部70とを備える。トレイ69は、透光性を有する部材から構成されてもよい。図中では、トレイ69を二点鎖線で示す場合がある。トレイ69は、支持面29を備える。つまり、トレイ69は、媒体を支持するように構成される。トレイ69は、矩形状であってもよい。トレイ69は、前後方向Yが長手方向であってもよい。
【0054】
トレイ支持部70は、トレイ69を下方Z2側から支持するように構成される。トレイ支持部70は、本体部71を備える。本体部71は、トレイ69を支持するように構成される。
【0055】
トレイ支持部70は、位置決め部72を備える。位置決め部72は、トレイ69の前方Y1側に位置する。位置決め部72は、トレイ69に対する媒体の載置位置を決めるように構成される。特に、位置決め部72は、トレイ69に対する媒体の前後方向Yにおける載置位置を決めるように構成される。位置決め部72は、支持面29と平行な所定の方向に対して線対称な形状である。本実施形態における支持面29と平行な所定の方向は、前後方向Yである。
【0056】
図8に示すように、位置決め部72は、位置変更部73を備える。特に、位置決め部72は、一対の位置変更部73を備えてもよい。位置変更部73は、本体部71に対して前後方向Yに伸縮可能である。一対の位置変更部73の一方は、第1側端部29Aに沿うように設けられる。一対の位置変更部73の他方は、第2側端部29Bに沿うように設けられる。
【0057】
位置変更部73は、本体部71に対する位置決め部72の位置を変更可能である。つまり、位置変更部73は、トレイ69に対する媒体の載置位置を変更可能である。特に、位置変更部73は、トレイ69に対する媒体の載置位置を前後方向Yに変更可能である。
【0058】
位置決め部72は、伸縮部74を備える。伸縮部74は、媒体の形状に応じて伸縮可能である。伸縮部74は、支持面29と平行な伸縮方向に伸縮可能である。本実施形態における支持面29と平行な伸縮方向は、幅方向Xの成分を含む方向であり、伸縮部74は、幅方向Xの成分を含む方向に伸縮可能である。
【0059】
伸縮部74は、第1伸縮部74Aと、第2伸縮部74Bとを備える。第1伸縮部74Aは、第1側端部29Aから第1幅方向X1に突出可能に伸びるように構成される。第2伸縮部74Bは、第2側端部29Bから第2幅方向X2に突出可能に伸びるように構成される。
【0060】
位置決め部72は、位置決め基準部75を備える。位置決め基準部75は、前後方向Yに対して中心となる位置に配置される。これにより、支持面29に媒体を載置する際に、位置決め基準部75により示される媒体の中心となる基準位置が視認可能となる。
【0061】
また、位置決め基準部75は、前後方向Yに対して線対称な位置に配置される。これにより、支持面29に媒体を載置する際に、位置決め基準部75により示される媒体の幅方向Xの基準位置が視認可能となる。
【0062】
ここで、トレイ支持部70について説明する。
図9に示すように、トレイ支持部70において、本体部71は、本体係合部71Aと、付勢部材71Bとを備える。本体係合部71Aは、鉛直方向Zに沿って移動可能である。付勢部材71Bは、本体係合部71Aを下方Z2に向かって付勢する。付勢部材71Bは、コイルばねであってもよい。
【0063】
位置変更部73は、スライドガイド部73Aと、位置変更係合部73Bとを備える。スライドガイド部73Aは、前後方向Yに延びるように構成される。スライドガイド部73Aは、前方Y1において位置決め部72に接続される。スライドガイド部73Aは、後方Y2において本体部71と係合可能である。これにより、スライドガイド部73Aは、本体部71に対して位置決め部72の位置を変更可能となる。
【0064】
位置変更係合部73Bは、スライドガイド部73Aの上方Z1に位置する。位置変更係合部73Bは、本体係合部71Aの下方Z2に位置する。位置変更係合部73Bは、本体係合部71Aと係合可能に構成される。位置変更係合部73Bは、前後方向Yに対して所定間隔で設けられる複数の溝部であってもよい。このように、位置変更係合部73Bは、本体部71と所定間隔で係合するように構成される。位置変更係合部73Bにより、位置変更部73は、本体部71と位置決め部72との位置を所定間隔ごとに変更可能である。
【0065】
<位置調整部62>
図7及び図8に示すように、トレイ支持部70は、位置調整部62を備える。つまり、媒体支持部28は、位置調整部62を備える。位置調整部62は、鉛直方向Zに対して本体部71の位置を調整するように構成される。言い換えると、位置調整部62は、鉛直方向Zに対してトレイ69の位置を調整するように構成される。これにより、位置調整部62は、鉛直方向Zに対して支持面29の位置を調整するように構成される。位置調整部62は、支持面29の位置の調整に連動して、鉛直方向Zに対して収容トレイ31の位置を調整するように構成されてもよい。
【0066】
特に、図5に示すように、位置調整部62は、鉛直方向Zに対して支持面29を印刷位置に調整可能である。印刷位置は、印刷が行われるときに支持面29が配置される位置である。印刷位置は、支持面29がヘッド36の移動範囲46外に配置される位置である。印刷位置は、支持面29がヘッド36の移動範囲46の下方Z2に配置される位置である。印刷位置は、収容トレイ31が第1ガイド部42を前方Y1側から覆い隠さない位置でもある。
【0067】
一方、図10に示すように、位置調整部62は、鉛直方向Zに対して支持面29を載置位置に調整可能である。載置位置は、支持面29に媒体を載置可能であるときに支持面29が配置される位置である。載置位置は、支持面29がヘッド36の移動範囲46内に配置される位置である。載置位置は、印刷が行われないときに支持面29が配置される位置である。載置位置は、収容トレイ31が第1ガイド部42を前方Y1側から覆い隠す位置でもある。これにより、ユーザーが支持面29に媒体を載置する際に、ユーザーが第1ガイド部42を触れることを抑制することができる。第1ガイド部42は、キャリッジ39を幅方向Xに沿って移動させるためにグリースが付着していることもある。このように、ユーザーが支持面29に媒体を載置する際に、ユーザーが第1ガイド部42を触れることによりユーザーの手にグリースが付くことを抑制し、媒体を汚すことも抑制することができる。
【0068】
<位置調整部62の詳細構成>
次に、位置調整部62の詳細構成について説明する。
図11に示すように、位置調整部62は、複数の位置調整機構80を備えてもよい。図中では、発明の理解を容易とするために位置決め部72を省略する場合がある。位置調整部62は、4つの位置調整機構80A~80Dを備えてもよいが、2つ、3つ、5つ以上の位置調整機構を備えてもよい。4つの位置調整機構80A~80Dのそれぞれは、鉛直方向Zに対して支持面29の位置を調整するように構成される。4つの位置調整機構80A~80Dのそれぞれは、水平面に対して平行な位置に設けられる。
【0069】
図12に示すように、4つの位置調整機構80A~80Dのそれぞれは、平面視で矩形状となる位置に設けられる。4つの位置調整機構80A~80Dのそれぞれは、トレイ69の四隅に対応する位置に設けられる。複数の位置調整機構80は、それぞれ同じような構成である。このため、複数の位置調整機構80について、必要に応じて、1つの位置調整機構80Aについて代表して説明する。
【0070】
位置調整部62は、位置調整駆動部81と、駆動ベルト82とを備えてもよい。位置調整駆動部81は、駆動ベルト82を駆動する駆動源である。位置調整駆動部81は、駆動ベルト82を駆動する駆動モーターであってもよい。位置調整駆動部81は、モーター軸81Aを備える。
【0071】
駆動ベルト82は、モーター軸81Aに巻き掛けられている。駆動ベルト82は、モーター軸81Aを介して、位置調整駆動部81からの駆動力を4つの位置調整機構80A~80Dのそれぞれに伝達する。特に、駆動ベルト82は、4つの位置調整機構80A~80Dのそれぞれの後述するプーリー85A~85Dに駆動力を伝達する。
【0072】
位置調整部62は、動力伝達部83を備えてもよい。動力伝達部83は、駆動ベルト82の駆動と連動して、位置調整駆動部81からの動力を4つの位置調整機構80A~80Dのそれぞれに伝達するように構成される。
【0073】
図13に示すように、位置調整機構80Aは、ネジ軸84Aを備えてもよい。ネジ軸84Aは、下端部が底面17に取り付けられている。ネジ軸84Aは、鉛直方向Zに沿うように底面17に取り付けられている。ネジ軸84Aは、不図示の軸受を介して底面17に回転可能に取り付けられている。
【0074】
位置調整機構80Aは、プーリー85Aを備えてもよい。プーリー85Aは、ネジ軸84Aと接続される。プーリー85Aは、不図示の軸受を介してネジ軸84Aの上端部と接続される。プーリー85Aは、駆動ベルト82からの動力が伝達されると、鉛直方向Zに沿う回転軸を中心として、ネジ軸84Aとともに回転する。
【0075】
位置調整機構80Aは、雄ねじブッシュ86Aを備えてもよい。つまり、複数の位置調整機構80のそれぞれは、雄ねじブッシュ86を備えてもよい。雄ねじブッシュ86Aは、本体部71を支持するように本体部71に固定されている。雄ねじブッシュ86Aは、ネジ軸84Aと螺合している。雄ねじブッシュ86Aは、ネジ軸84Aの回転により、本体部71を昇降させる。このため、駆動ベルト82からの動力がプーリー85Aに伝達されると、ネジ軸84Aの回転に応じて、雄ねじブッシュ86Aが昇降することにより、本体部71が昇降する。
【0076】
このように、位置調整機構80Aは、ネジ軸84Aが回転することで鉛直方向Zに対する支持面29の位置を調整するように構成される。特に、制御部53は、条件の成立により位置調整駆動部81を駆動させる。位置調整部62は、位置調整駆動部81の駆動に応じて駆動ベルト82から全てのプーリー85A~85Dに駆動力を伝達する。これにより、位置調整部62は、複数の位置調整機構80A~80Dの全部が連動して動くことで鉛直方向Zに対する支持面29の位置を変更可能である。また、これに加えて、位置調整部62は、支持面29と連動して、鉛直方向Zに対する収容トレイ31の位置を変更可能であり、鉛直方向Zに対する媒体収容部30の位置を変更可能である。
【0077】
一方、位置調整部62は、プーリー85A~85Dから駆動ベルト82を取り外すことが可能である。これにより、プーリー85A~85Dがそれぞれ独立して回転可能となる。つまり、ネジ軸84A~84Dがそれぞれ独立して回転可能となる。そして、位置調整部62は、プーリー85A~85Dから駆動ベルト82を取り外した状態で、複数の位置調整機構80A~80Dの一部が独立して手動により動くことで鉛直方向Zに対する支持面29の傾きを変更可能である。
【0078】
<印刷制御処理>
ここで、図14を参照して印刷制御処理について説明する。印刷制御処理は、所定の周期毎に制御部53によって実行される処理である。ここで、各処理の順序は、各処理の目的から逸脱しない範囲で任意に入れ替え可能である。
【0079】
図14に示すように、ステップS11において、制御部53は、印刷条件が成立したか否かを判定する。この処理において、制御部53は、印刷が行われていない場合においてユーザーからの印刷指示を受け取ることにより、印刷条件が成立したと判定する。制御部53は、印刷条件が成立していないと判定した場合に、印刷制御処理を終了する。一方、制御部53は、印刷条件が成立したと判定した場合に、ステップS12に処理を移行する。
【0080】
ステップS12において、制御部53は、前方移動制御処理を実行する。この処理において、制御部53は、第2ヘッド移動部43によりヘッド36を予め定めた距離だけ前方Y1に移動させるように第2駆動部56を制御する。この処理が終了した場合、制御部53は、ステップS13に処理を移行する。
【0081】
ステップS13において、制御部53は、干渉物検出部61からの検出信号に基づいて、ヘッド36の干渉物を検出したか否かを判定する。制御部53は、干渉物を検出していないと判定した場合に、ステップS14を実行せずに、ステップS15に処理を移行する。一方、制御部53は、干渉物を検出したと判定した場合に、ステップS14に処理を移行する。
【0082】
ステップS14において、制御部53は、位置調整処理を実行する。この処理において、制御部53は、支持面29を予め定めた距離だけ下方Z2に移動させるように位置調整部62を制御する。この処理が終了した場合、制御部53は、再度、ステップS13に処理を移行する。これにより、制御部53は、干渉物が検出されない位置まで、支持面29を下方Z2に移動させるように位置調整部62を制御する。
【0083】
ステップS15において、制御部53は、前方位置検出部59からの検出信号に基づいて、ヘッド36が最前方に到達したか否かを判定する。制御部53は、ヘッド36が最前方に到達していないと判定した場合に、再度、ステップS12に処理を移行する。これにより、制御部53は、ヘッド36が最前方に到達するまで、ヘッド36を前方Y1に移動させ、干渉物が検出されない位置まで、支持面29を下方Z2に移動させるように位置調整部62を制御する。一方、制御部53は、ヘッド36が最前方に到達したと判定した場合に、ステップS16に処理を移行する。
【0084】
ステップS16において、制御部53は、印刷位置調整処理を実行する。この処理において、制御部53は、支持面29を下方Z2に規定距離だけ移動させるように位置調整部62を制御する。これにより、制御部53は、干渉物が検出されない位置から規定距離だけ下方Z2に支持面29を移動させるように位置調整部62を制御する。この処理が終了した場合、制御部53は、ステップS17に処理を移行する。
【0085】
ステップS17において、制御部53は、後方移動制御処理を実行する。この処理において、制御部53は、ヘッド36を予め定めた距離だけ後方Y2に移動させるように第2駆動部56を制御する。この処理が終了した場合、制御部53は、ステップS18に処理を移行する。
【0086】
ステップS18において、制御部53は、幅方向移動制御処理を実行する。この処理において、制御部53は、第1ヘッド移動部41によりヘッド36を予め定めた距離だけ幅方向Xに移動させるように第1駆動部55を制御する。この処理が終了した場合、制御部53は、ステップS19に処理を移行する。
【0087】
ステップS19において、制御部53は、印刷処理を実行する。この処理において、制御部53は、印刷指示に含まれる画像データに基づいて、媒体に印刷を行うようにヘッド36を制御する。この処理が終了した場合、制御部53は、ステップS20に処理を移行する。
【0088】
ステップS20において、制御部53は、移動位置検出部58からの検出信号に基づいて、1パス分の印刷が終了したか否かを判定する。制御部53は、1パス分の印刷が終了していないと判定した場合に、再度、ステップS18に処理を移行する。これにより、制御部53は、1パス分の印刷を行う。一方、制御部53は、1パス分の印刷が終了したと判定した場合に、ステップS21に処理を移行する。
【0089】
ステップS21において、制御部53は、後方位置検出部60からの検出信号に基づいて、ヘッド36が最後方に到達したか否かを判定する。制御部53は、ヘッド36が最後方に到達していないと判定した場合に、再度、ステップS17に処理を移行する。これにより、制御部53は、ヘッド36が最後方に到達するまで、ヘッド36を後方Y2及び幅方向Xに移動させ、媒体に印刷を行うようにヘッド36を制御する。一方、制御部53は、ヘッド36が最後方に到達したと判定した場合に、ステップS22に処理を移行する。
【0090】
ステップS22において、制御部53は、載置位置調整処理を実行する。この処理において、制御部53は、支持面29を上方Z1に移動させることにより支持面29を載置位置まで移動させるように位置調整部62を制御する。この処理が終了した場合、制御部53は、印刷制御処理を終了する。
【0091】
このように、制御部53は、駆動条件が成立したときに、支持面29が載置位置となるように位置調整部62を駆動させる。駆動条件は、印刷が行われておらず、ヘッド36が退避位置に配置されているときに成立する。これにより、位置調整部62は、印刷が行われていない場合において、ヘッド36が退避位置に配置されているときに、鉛直方向Zに対してノズル面38よりも高い位置に支持面29を移動可能である。つまり、位置調整部62は、印刷が行われていない場合において、ヘッド36が退避位置に配置されているときに、移動範囲外から移動範囲内に支持面29を移動可能である。
【0092】
<第1実施形態の作用>
第1実施形態の作用について説明する。
図10に示すように、印刷装置10では、電源が投入されると、ヘッド36が待機位置に配置されている状態で、支持面29が載置位置に配置される。これにより、支持面29は、ヘッド36の移動範囲46内に配置されるように上昇する。
【0093】
図11及び図12に示すように、開口部19が開放し、かつ、支持面29が載置位置に配置された状態で、ユーザーは、プーリー85A~85Dから駆動ベルト82を容易に取り外すことができる。これにより、ユーザーは、複数の位置調整機構80A~80Dの一部を独立して動かすことに応じて、支持面29の傾きを変更することができる。
【0094】
図15に示すように、開口部19が開放し、かつ、支持面29が載置位置に配置された状態で、ユーザーは、Tシャツ99を前方Y1側から支持面29に容易に載置することができる。詳しくは、トレイ69の前方Y1側からTシャツ99の身ごろが通されることにより、Tシャツ99の身ごろの内面が支持面29に載置される。この場合、Tシャツ99の少なくとも印刷領域99Aが支持面29により支持される。
【0095】
また、Tシャツ99を支持面29に載置する際に、位置決め部72によって、支持面29に対するTシャツ99の位置決めが行われる。特に、ユーザーは、位置決め基準部75を基準として、Tシャツ99の幅方向Xに対する中心位置と、Tシャツ99の中心位置から線対称な位置とを視認しながら、Tシャツ99を支持面29に載置することができる。Tシャツ99の幅方向Xに対する中心位置としては、Tシャツ99のタグが一例としてあげられる。Tシャツ99の中心位置から線対称な位置としては、Tシャツ99の首周りの位置が一例としてあげられる。
【0096】
また、Tシャツ99のサイズによって、位置変更部73及び伸縮部74を調整することにより、Tシャツ99を支持面29の適切な位置に載置することもできる。特に、位置変更部73を調整することにより、前後方向Yに対してTシャツ99を支持面29の適切な位置に載置することができる。また、伸縮部74を調整することにより、Tシャツ99の中心位置から線対称な位置を支持面29の適切な位置に載置することができる。
【0097】
そして、図16及び図17に示すように、Tシャツ99の非載置領域99Bが媒体収容部30に収容される。非載置領域99Bは、支持面29により支持されないTシャツ99の一部の領域である。詳しくは、非載置領域99Bは、支持面29の第1幅方向X1、第2幅方向X2及び後方Y2において媒体収容部30に収容される。
【0098】
図5に示すように、開口部19が閉鎖した状態で印刷指示が入力されると、ヘッド36の前方Y1への移動に伴って、位置調整部62は、干渉物が検出されない位置まで支持面29が下方Z2に移動する。これにより、支持面29が印刷位置に配置される。
【0099】
特に、図11図13に示すように、位置調整駆動部81の駆動により、位置調整駆動部81からの駆動力は、駆動ベルト82及び動力伝達部83を介して、プーリー85A~85Dの全部に伝達される。これにより、プーリー85A~85Dの全部が連動して回転することにより、ネジ軸84A~84Dの全部も連動して回転する。そして、雄ねじブッシュ86A~86Dの全部が連動して鉛直方向Zに移動することにより、本体部71を介して、鉛直方向Zに対する支持面29の位置を調整することができる。このように、位置調整部62は、複数の位置調整機構80A~80Dの全部を連動して動かすことに応じて、鉛直方向Zに対する支持面29の位置を調整することができる。
【0100】
そして、ヘッド36の後方Y2への移動に伴って、印刷が行われる。これにより、印刷部35は、ヘッド36が支持面29に衝突することなく、支持面29に載置された媒体に印刷を行うことができる。
【0101】
図10に示すように、印刷が終了すると、ヘッド36が待機位置に配置された状態で、位置調整部62は、支持面29が印刷位置から載置位置に移動する。これにより、位置調整部62は、印刷が行われていない場合には、印刷が行われている場合よりも上方Z1に支持面29の位置を調整することができる。また、支持面29と連動して収容トレイ31が上方Z1に移動し、収容トレイ31が前方Y1側から第1ガイド部42を覆う。これにより、ユーザーが第1ガイド部42を触れることを抑制することができる。
【0102】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態の効果について説明する。
(1)位置調整部62は、鉛直方向Zに対して支持面29の位置を調整する複数の位置調整機構80A~80Dを有する。位置調整部62は、複数の位置調整機構80A~80Dの一部が独立して動くことで支持面29の傾きを変更可能であり、複数の位置調整機構80A~80Dの全部が連動して動くことで鉛直方向Zに対する支持面29の位置を変更可能である。従来において、位置調整部とは別体で傾斜調整部が設けられており、印刷装置の大型化を招いていた。そこで、上記構成とすることで、複数の位置調整機構80A~80Dのうち一部を独立して動かすことと全部を連動して動かすこととにより、支持面29の傾きを変更させることと鉛直方向Zに対する支持面29の位置を変更させることとを行うことができる。これにより、位置調整部62とは別体で傾斜調整部を設ける必要がない。したがって、印刷装置10の小型化を図ることができる。
【0103】
(2)複数の位置調整機構80A~80Dのそれぞれは、ネジ軸84A~84Dを有し、ネジ軸84A~84Dが回転することで鉛直方向Zに対する支持面29の位置を調整する。このため、簡素な構成により、支持面29の傾きを変更させることと、鉛直方向Zに対する支持面29の位置を変更させることとの両方を行うことができる。したがって、印刷装置10の小型化を図ることができる。
【0104】
(3)位置調整部62は、複数の位置調整機構80A~80Dの全部に設けられるプーリー85A~85Dに駆動ベルト82から駆動力を伝達する。これにより、位置調整部62は、複数の位置調整機構80A~80Dの全部が連動して動くことで鉛直方向Zに対する支持面29の位置を変更可能である。このため、プーリー85A~85Dに駆動力を伝達する駆動ベルト82の駆動により、複数の位置調整機構80A~80Dの全部に設けられるプーリー85A~85Dの駆動を介して、複数の位置調整機構80A~80Dの全部を連動して動かすことができる。これにより、簡素な構成により、鉛直方向Zに対する支持面29の位置を変更させることができる。したがって、印刷装置10の小型化を図ることができる。
【0105】
(4)位置調整駆動部81は、駆動ベルト82を駆動する。制御部53は、駆動条件が成立したときに位置調整駆動部81を駆動させる。このため、駆動条件が成立したときに、複数の位置調整機構80A~80Dの全部を連動して動かすことができる。これにより、簡素な構成により、鉛直方向Zに対する支持面29の位置を変更させることができる。したがって、印刷装置10の小型化を図ることができる。
【0106】
(5)位置調整部62は、複数の位置調整機構80A~80Dの一部が独立して手動により動くことで支持面29の傾きを変更可能である。このため、簡素な構成により、支持面29の傾きを変更させることができる。したがって、印刷装置10の小型化を図ることができる。
【0107】
(6)位置調整部62は、複数の位置調整機構80A~80Dの全部が連動して動くことで鉛直方向Zに対する媒体収容部30の位置を変更可能である。このため、媒体を支持する支持面29だけではなく、支持面29に支持されていない媒体の非載置領域99Bを収容可能である媒体収容部30も、鉛直方向Zに対する位置を変更させることができる。
【0108】
(7)媒体支持部28は、媒体の少なくとも印刷領域99Aを支持する支持面29を有する。媒体収容部30は、支持面29に支持されていない媒体の非載置領域99Bを収容可能である。媒体支持部28は、支持面29と平行な方向に移動しないように構成される。ヘッド移動部40は、支持面29と平行な方向にヘッド36を移動させる。従来においては、媒体を載置するためにトレイを筐体の外部まで移動させなければならず、トレイを筐体の外部まで安定して移動させるための機構が必要となり、印刷装置の大型化を招いていた。そこで、上記構成とすることで、支持面29と平行な方向に支持面29を移動させる構成を備える必要がない。したがって、印刷装置10の小型化を図ることができる。特に、媒体収容部30を備える構成を前提とした場合であっても、印刷装置10の小型化を図ることができる。
【0109】
(8)第1ヘッド移動部41は、幅方向Xにヘッド36を移動させ、第2ヘッド移動部43は、前後方向Yにヘッド36を移動させる。このため、ヘッド36を幅方向Xと前後方向Yとに移動させることができ、支持面29と平行な方向に支持面29を移動させる構成を備える必要がない。したがって、印刷装置10の小型化を図ることができる。
【0110】
(9)筐体11は、支持面29を露出する開口部19を有する。このため、筐体11の外部から開口部19を介して、筐体11に収容されている支持面29に媒体を載置することができ、ユーザーの操作性を向上させることができる。
【0111】
(10)筐体11は、開口部19を開閉可能である開閉カバー22を有する。このため、開閉カバー22により開口部19が開放されることにより、筐体11の外部から開口部19を介して、筐体11に収容されている支持面29に媒体を載置することができ、ユーザーの操作性を向上させることができる。一方、開閉カバー22により開口部19が閉鎖されることにより、開口部19を介して筐体11の外部から筐体11の内部に異物が入ることを抑制することができる。
【0112】
(11)筐体11は、媒体支持部28及び印刷部35を収容する。位置調整部62は、印刷が行われていない場合において、ノズル面38が支持面29と対向しない退避位置にヘッド36が配置されているときに、ヘッド36の移動範囲46外から移動範囲46内に支持面29を移動可能である。従来において、媒体を載置するためにトレイを筐体の外部まで移動させなければならなかった。このため、媒体を載置するためのスペースを筐体の外部に確保しなければならなかった。これにより、印刷装置を設置するための設置スペースを十分に取る必要があった。そこで、上記構成とすることで、媒体支持部28及び印刷部35が筐体11に収容されるため、媒体を載置するためのスペースを筐体11の外部に確保する必要がない。したがって、印刷装置10の設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0113】
(12)また、これに加えて、印刷が行われておらず、かつ、ヘッド36が退避位置に配置されているときであれば、支持面29をヘッド36の移動範囲46外から移動範囲46内まで移動させることができる。したがって、支持面29に媒体を載置する際に、ユーザーは筐体11内の第1開口部20により近い位置での作業が可能なため、媒体の取り扱いが容易となり、ユーザーの操作性を向上させることができる。また、印刷装置10の設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0114】
(13)トレイ支持部70は、媒体を載置可能である支持面29を有するトレイ69を支持し、トレイ69に対する媒体の載置位置を決める位置決め部72を有する。従来において、トレイを水平方向に移動させるために、媒体が載置されるトレイ自体に位置決め部が設けられている。このため、トレイが重くなり、トレイを安定して支持するためにも、トレイの軽量化が望まれている。そこで、上記構成とすることで、トレイ69に対する媒体の載置位置を決める位置決め部72が、トレイ69自体ではなく、トレイ69を支持するトレイ支持部70に設けられる。したがって、トレイ69の軽量化を図ることができる。
【0115】
(14)位置決め部72は、トレイ69に対する媒体の載置位置を変更可能である位置変更部73を有する。このため、位置変更部73が位置決め部72に設けられる。したがって、トレイ69に対する媒体の載置位置を変更させることができるとともに、トレイ69の軽量化を図ることができる。
【0116】
(15)位置変更部73は、前後方向Yにおいて、トレイ69に対する媒体の載置位置を変更可能である。このため、前後方向Yに媒体の載置位置を調整することができる。したがって、トレイ69に対する媒体の載置位置を変更させることができるとともに、トレイ69の軽量化を図ることができる。
【0117】
(16)トレイ支持部70は、本体部71を有する。位置変更部73は、本体部71と所定間隔で係合する位置変更係合部73Bを有する。このため、トレイ69に対する媒体の載置位置を所定間隔で調整することができる。したがって、トレイ69に対する媒体の載置位置を変更させることができるとともに、トレイ69の軽量化を図ることができる。
【0118】
(17)位置決め部72は、前後方向Yに対して線対称な形状である。このため、位置決め部72を用いて線対称である媒体を適切に支持面29に載置することができる。したがって、ユーザーの操作性を向上させることができる。
【0119】
(18)位置決め部72は、前後方向Yに対して線対称な位置に位置決め基準部75を有する。このため、位置決め基準部75を視認しながら、媒体を適切に載置面に載置することができる。したがって、ユーザーの操作性を向上させることができる。
【0120】
(19)位置決め部72は、媒体の形状に応じて伸縮可能である伸縮部74を有する。このため、伸縮部74を用いてトレイ69に対する媒体の載置位置を変更させることができる。したがって、トレイ69に対する媒体の載置位置を変更させることができるとともに、トレイ69の軽量化を図ることができる。
【0121】
(20)伸縮部74は、支持面29と平行な方向に伸縮可能である。このため、支持面29と平行な方向に媒体の載置位置を調整することができる。したがって、トレイ69に対する媒体の載置位置を変更させることができるとともに、トレイ69の軽量化を図ることができる。
【0122】
(21)伸縮部74は、幅方向Xの成分を含む方向に伸縮可能である。このため、幅方向Xの成分を含む方向に媒体の載置位置を調整することができる。したがって、トレイ69に対する媒体の載置位置を変更させることができるとともに、トレイ69の軽量化を図ることができる。
【0123】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0124】
・第1開口部20は、平面視において、前後方向Yに対して支持面29と同じ長さの形状であってもよく、前後方向Yに対して支持面29よりも長い形状であってもよい。第1開口部20は、平面視において、幅方向Xに対して支持面29と同じ長さの形状であってもよく、幅方向Xに対して支持面29よりも短い形状であってもよい。
【0125】
・第1開口部20と第2開口部21とは、連続するように構成されなくても、別々に設けられてもよい。開口部19は、天面16と前面12とに跨らずに設けられてもよい。
・開口部19は、天面16と前面12とそれ以外との面に跨って設けられてもよい。つまり、開口部19は、少なくとも天面16及び前面12に跨って設けられてもよい。また、開口部19は、天面16に設けられており、前面12に設けられなくてもよい。つまり、開口部19は、少なくとも天面16に設けられていればよい。
【0126】
・開閉検出部63は、第2開閉カバー24の開閉状態を検出するように構成されてもよい。これにより、第2開閉カバー24の開閉状態に応じた動作が可能となる。したがって、ユーザーの操作性を向上させることができる。また、開閉検出部63は、第2開閉カバー24の開閉状態を検出する第1開閉検出部と、第2開閉カバー24の開閉状態を検出する第2開閉検出部とを備えてもよい。
【0127】
・支持面29は、水平方向に移動しないように構成されるが、例えば、印刷が行われていないときに限り水平方向に微調整可能であってもよく、少なくとも印刷が行われている場合に水平方向に移動しないように構成されればよい。
【0128】
・第1開口部20は、上方Z1からみて、前後方向Yに対して支持面29よりも長い形状であってもよい。
・位置調整部62は、印刷が行われていない状態でメンテナンスを行う場合に、支持面29を載置位置から印刷位置に移動させてもよい。位置調整部62は、印刷が行われている状態でフラッシングなどのメンテナンスを行う場合に、支持面29を継続して印刷位置に配置させてもよい。
【0129】
・位置調整部62は、開閉カバー22が開口部19を開放した状態となったときに、鉛直方向Zに対する支持面29の位置を印刷位置から載置位置に調整してもよい。位置調整部62は、開閉カバー22が開口部19を閉鎖した状態となったときに、鉛直方向Zに対する支持面29の位置を載置位置から印刷位置に調整してもよい。
【0130】
・印刷部35は、1回の印刷指示において、1色の液体を吐出してもよく、複数色の液体を吐出してもよい。印刷部35は、1回の印刷指示において、前後方向Yに対してヘッド36を複数回に亘って移動するときに印刷を行ってもよい。具体的な一例をあげると、印刷部35は、1回の印刷指示が入力されたときに、1回目の後方Y2への移動に伴って白色の液体を吐出し、2回目以降の後方Y2への移動に伴って白色以外の色の液体を吐出してもよい。この場合、位置調整部62は、1回目の前方Y1への移動に伴って、鉛直方向Zに対する支持面29の位置を調整したが、2回目以降の前方Y1への移動に伴って、鉛直方向Zに対する支持面29の位置を調整してもよい。また、制御部53は、2回目以降の前方Y1への移動に伴って干渉物が検出された場合に、エラーとして判定してもよい。また、制御部53は、1回目の前方Y1への移動に伴って、鉛直方向Zに対する支持面29の位置を調整させても干渉物が検出された場合に、エラーとして判定してもよい。
【0131】
・印刷部35は、前方Y1と後方Y2とのうち何れか一方にヘッド36が移動するときに印刷を行ってもよく、前方Y1にヘッド36が移動するときと、後方Y2にヘッド36が移動するときとの両方において印刷を行ってもよい。
【0132】
・印刷部35は、第1幅方向X1と第2幅方向X2とのうち何れか一方にヘッド36が移動するときに印刷を行ってもよく、第1幅方向X1にヘッド36が移動するときと、第2幅方向X2にヘッド36が移動するときとの両方において印刷を行ってもよい。
【0133】
・ヘッド36は、水平面に対して平行であるノズル面38を備えても、水平面に対して傾斜するノズル面38を備えてもよい。
・位置変更部73は、トレイ69に対する媒体の載置位置を、前後方向Yの成分を含む方向に変更可能であってもよい。位置変更部73は、トレイ69に対する媒体の載置位置を幅方向Xに変更可能であってもよい。
【0134】
・伸縮部74は、幅方向Xの成分を含む方向に伸縮可能であればよく、幅方向Xに伸縮可能であってもよい。伸縮部74は、位置変更部73がトレイ69に対して媒体の載置位置を変更する方向と交差する方向に伸縮可能であればよい。伸縮部74は、位置変更部73と同じように、所定間隔で調整可能であってもよい。
【0135】
・位置決め基準部75は、媒体の中央位置と、媒体の中央位置から線対称となる位置との少なくとも何れかを特定可能であればよい。位置決め基準部75は、視認可能であればよく、例えば、位置が特定可能であるマークが付されていても、位置が特定可能である形状であってもよい。位置決め基準部75は、位置変更部73に設けられなくてもよい。位置決め部72は、位置変更部73、伸縮部74及び位置決め基準部75のうち少なくとも何れかを備えなくてもよい。
【0136】
・本実施形態における幅方向Xと前後方向Yとの関係が入れ替わってもよい。つまり、本実施形態の幅方向Xが前後方向Yであり、本実施形態の前後方向Yが幅方向Xであってもよい。
【0137】
・媒体としては、例えばTシャツやポロシャツなどに限定されず、例えばトレーナーやパーカーなどであってもよく、被服としての媒体であってもよい。また、媒体としては、可撓性を有する媒体が採用されたが、これに限らず、例えば、UVインクを使用して印刷するスマートフォンケースなど、可撓性を有さない媒体が採用されてもよい。
【0138】
・印刷装置10は、液体の一例としてインクを吐出するように構成されてもよいが、インク以外の液体を吐出するように構成されてもよい。つまり、液体は、媒体に付着することで、媒体に印刷を行うことができるものであれば任意に選択することができる。印刷装置10は、媒体に液体を吐出することにより媒体に印刷を行うが、これに限らず、例えば、レーザー方式により媒体に印刷を行ってもよい。
【0139】
・本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、所望の選択肢の1つ以上を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が2つであれば1つの選択肢のみ又は2つの選択肢の双方を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば1つの選択肢のみ又は2つ以上の任意の選択肢の組み合わせを意味する。
【0140】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0141】
(A)印刷装置は、媒体を支持する支持面を有する媒体支持部と、前記支持面に支持された媒体に液体を吐出可能であるヘッドと、前記ヘッドを移動させるヘッド移動部と、を備え、前記媒体支持部は、前記支持面と交差する交差方向に対して前記支持面の位置を調整する位置調整部を有し、前記位置調整部は、前記交差方向に対して前記支持面の位置を調整する複数の位置調整機構を有し、前記複数の位置調整機構の一部が独立して動くことで前記支持面の傾きを変更可能であり、前記複数の位置調整機構の全部が連動して動くことで前記交差方向に対する前記支持面の位置を変更可能である。
【0142】
この構成によれば、複数の位置調整機構のうち、一部を独立して動かすことと全部を連動して動かすこととにより、支持面の傾きを変更させることと、交差方向に対する支持面の位置を変更させることとを行うことができる。これにより、位置調整部とは別体で傾斜調整部を設ける必要がない。したがって、印刷装置の小型化を図ることができる。
【0143】
(B)前記印刷装置において、前記複数の位置調整機構のそれぞれは、ネジ軸を有し、前記ネジ軸が回転することで前記交差方向に対する前記支持面の位置を調整してもよい。
この構成によれば、簡素な構成により、支持面の傾きを変更させることと、交差方向に対する支持面の位置を変更させることとの両方を行うことができる。したがって、印刷装置の小型化を図ることができる。
【0144】
(C)前記印刷装置において、前記複数の位置調整機構のそれぞれは、前記ネジ軸と接続されるプーリーを有し、前記位置調整部は、前記プーリーに駆動力を伝達する駆動ベルトを有し、前記複数の位置調整機構の全部に設けられる前記プーリーに前記駆動ベルトから駆動力を伝達することにより、前記複数の位置調整機構の全部が連動して動くことで前記交差方向に対する前記支持面の位置を変更可能であってもよい。
【0145】
この構成によれば、プーリーに駆動力を伝達する駆動ベルトの駆動により、複数の位置調整機構の全部に設けられるプーリーの駆動を介して、複数の位置調整機構の全部を連動して動かすことができる。これにより、簡素な構成により、交差方向に対する支持面の位置を変更させることができる。したがって、印刷装置の小型化を図ることができる。
【0146】
(D)前記印刷装置は、前記駆動ベルトを駆動する位置調整駆動部と、前記位置調整駆動部を駆動させる制御部と、を備え、前記制御部は、駆動条件が成立したときに前記位置調整駆動部を駆動させてもよい。
【0147】
この構成によれば、駆動条件が成立したときに、複数の位置調整機構の全部を連動して動かすことができる。これにより、簡素な構成により、交差方向に対する支持面の位置を変更させることができる。したがって、印刷装置の小型化を図ることができる。
【0148】
(E)前記印刷装置において、前記位置調整部は、前記複数の位置調整機構の一部が独立して手動により動くことで前記支持面の傾きを変更可能であってもよい。
この構成によれば、簡素な構成により、支持面の傾きを変更させることができる。したがって、印刷装置の小型化を図ることができる。
【0149】
(F)前記印刷装置は、前記支持面に支持されていない媒体の領域を収容可能である媒体収容部を備え、前記位置調整部は、前記複数の位置調整機構の全部が連動して動くことで前記交差方向に対する前記媒体収容部の位置を変更可能であってもよい。
【0150】
この構成によれば、媒体を支持する支持面だけではなく、支持面に支持されていない媒体の領域を収容可能である媒体収容部も、交差方向に対する位置を変更させることができる。
【0151】
(G)前記印刷装置において、前記媒体支持部は、前記支持面と平行な方向に移動しないように構成されてもよい。
この構成によれば、支持面と平行な方向に移動させる構成を備える必要がない。したがって、印刷装置の小型化を図ることができる。
【0152】
(H)前記印刷装置において、前記ヘッド移動部は、第1ヘッド移動部と、第2ヘッド移動部と、を有し、前記第1ヘッド移動部は、前記支持面と平行な第1方向に前記ヘッドを移動させ、前記第2ヘッド移動部は、前記支持面と平行であり、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に前記ヘッドを移動させてもよい。
【0153】
この構成によれば、ヘッドを第1方向と第2方向とに移動させることができ、支持面と平行な方向に支持面を移動させる構成を備える必要がない。したがって、印刷装置の小型化を図ることができる。
【0154】
(I)前記印刷装置は、前記媒体支持部、前記ヘッド及び前記ヘッド移動部を収容する筐体を備え、前記筐体は、前記支持面を露出する開口部を有してもよい。
この構成によれば、筐体の外部から開口部を介して、筐体に収容されている支持面に媒体を載置することができ、ユーザーの操作性を向上させることができる。
【0155】
(J)前記印刷装置において、前記筐体は、前記開口部を開閉可能である開閉カバーを有してもよい。
この構成によれば、開閉カバーにより開口部が開放されることにより、筐体の外部から開口部を介して、筐体に収容されている支持面に媒体を載置することができ、ユーザーの操作性を向上させることができる。一方、開閉カバーにより開口部が閉鎖されることにより、開口部を介して筐体の外部から筐体の内部に異物が入ることを抑制することができる。
【0156】
(I)前記印刷装置において、前記位置調整部は、前記複数の位置調整機構として4つの位置調整機構を有し、前記4つの位置調整機構は、前記交差方向からみて矩形状となる位置に設けられてもよい。この構成によれば、(A)と同じような効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0157】
X…幅方向、X1…第1幅方向、X2…第2幅方向、Y…前後方向、Y1…前方、Y2…後方、Z…鉛直方向、Z1…上方、Z2…下方、10…印刷装置、11…筐体、12…前面、13…背面、14…左側面、15…右側面、16…天面、17…底面、18…筐体フレーム、19…開口部、20…第1開口部、20A…第1位置、20B…第2位置、20C…第3位置、21…第2開口部、22…開閉カバー、23…第1開閉カバー、24…第2開閉カバー、25…把持部、26…表示部、27…操作部、28…媒体支持部、29…支持面、29A…第1側端部、29B…第2側端部、30…媒体収容部、31…収容トレイ、32…液体供給部、33…液体収容部、34…液体供給駆動部、35…印刷部、36…ヘッド、37…ノズル、38…ノズル面、39…キャリッジ、40…ヘッド移動部、41…第1ヘッド移動部、42…第1ガイド部、43…第2ヘッド移動部、44…第2ガイド部、45…支持部、46…移動範囲、47…メンテナンス部、52…制御基板、53…制御部、54…電源ユニット、55…第1駆動部、56…第2駆動部、57…待機位置検出部、58…移動位置検出部、59…前方位置検出部、60…後方位置検出部、61…干渉物検出部、62…位置調整部、63…開閉検出部、69…トレイ、70…トレイ支持部、71…本体部、71A…本体係合部、71B…付勢部材、72…位置決め部、73…位置変更部、73A…スライドガイド部、73B…位置変更係合部、74…伸縮部、74A…第1伸縮部、74B…第2伸縮部、75…位置決め基準部、80,80A~80D…位置調整機構、81…位置調整駆動部、81A…モーター軸、82…駆動ベルト、83…動力伝達部、84A~84D…ネジ軸、85A~85D…プーリー、86A…雄ねじブッシュ、99…Tシャツ、99A…印刷領域、99B…非載置領域。
図1
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