IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

特開2024-51454タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法
<>
  • 特開-タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法 図1
  • 特開-タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法 図2
  • 特開-タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法 図3
  • 特開-タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法 図4
  • 特開-タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法 図5
  • 特開-タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法 図6
  • 特開-タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法 図7
  • 特開-タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法 図8
  • 特開-タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法 図9
  • 特開-タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法 図10
  • 特開-タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法 図11
  • 特開-タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法 図12
  • 特開-タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法 図13
  • 特開-タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051454
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240404BHJP
   H04B 5/48 20240101ALI20240404BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20240404BHJP
   G06K 17/00 20060101ALI20240404BHJP
   B41J 3/50 20060101ALI20240404BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20240404BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G06K7/10 268
H04B5/02
H04B1/59
G06K17/00 025
G06K7/10 128
B41J3/50 101Z
B41J3/36 Z
B41J29/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157642
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】中澤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】亀井 龍
【テーマコード(参考)】
2C055
2C061
5K012
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC05
2C055HH00
2C055HH06
2C055HH10
2C055HH15
2C061AP10
2C061AQ05
2C061AS06
2C061AS08
2C061AS11
2C061CG01
2C061CG15
5K012AC06
5K012AC08
5K012AC10
5K012AE12
(57)【要約】
【課題】非目標タグのICが損傷することを防止するタグ書き込みプリンターを提供する。
【解決手段】無線タグが繰り返し搭載された連続媒体を搬送する搬送機構と、書き込み位置で搬送されてきた連続媒体上の無線タグに無線で書き込みを行う書き込み信号を送信する書き込み機構と、前記無線タグに印刷を行う印刷機構と、を備えたタグ書き込みプリンターであって、前記搬送機構は、前記書き込み位置に第1無線タグがある場合に、前記第1無線タグの隣の第2無線タグのアンテナを挟持して前記アンテナによる書き込み信号の受信を妨害するローラーを有する、タグ書き込みプリンターである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグが繰り返し搭載された連続媒体を搬送する搬送機構と、
書き込み位置で搬送されてきた連続媒体上の無線タグに無線で書き込みを行う書き込み信号を送信する書き込み機構と、
前記無線タグに印刷を行う印刷機構と、
を備えたタグ書き込みプリンターであって、
前記搬送機構は、前記書き込み位置に第1無線タグがある場合に、前記第1無線タグの隣の第2無線タグのアンテナを挟持して前記アンテナによる書き込み信号の受信を妨害するローラーを有する、
タグ書き込みプリンター。
【請求項2】
前記搬送機構は、搬送方向に前記ローラーを移動させる第1移動機構を有する、
請求項1に記載のタグ書き込みプリンター。
【請求項3】
前記第1移動機構は、ユーザーの操作に機械的に連動する機構である、
請求項2に記載のタグ書き込みプリンター。
【請求項4】
前記無線タグの位置を検出する検出機構をさらに備え、
前記第1移動機構は、前記検出機構の検出結果に基づいて前記ローラーを移動させる、
請求項2に記載のタグ書き込みプリンター。
【請求項5】
前記ローラーは、前記第2無線タグのICを挟持しない構造である、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のタグ書き込みプリンター。
【請求項6】
前記搬送機構は、搬送方向に直交し搬送される前記連続媒体の表面に平行な方向である交差方向に前記ローラーを移動させる第2移動機構を有する。
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のタグ書き込みプリンター。
【請求項7】
前記ローラーは、同一の第1回転軸周りに設けられた2個の子ローラーから構成され、
前記第2移動機構は、前記子ローラーの間隔を変化させる、
請求項6に記載のタグ書き込みプリンター。
【請求項8】
前記無線タグの位置を検出する検出機構をさらに備え、
搬送方向の上流側から下流側に向かって、前記検出機構、前記ローラー、前記書き込み機構、前記印刷機構の順に並ぶ、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のタグ書き込みプリンター。
【請求項9】
前記第1無線タグ以外の前記無線タグの前記アンテナを挟持して前記アンテナによる書き込み信号の受信を妨害し、かつ、前記第1無線タグを挟持しない妨害ローラーを、前記ローラーを含めて複数備え、
前記妨害ローラーの数は、前記書き込み機構の上流側の数が前記書き込み機構の下流側の数よりも多い、
請求項8に記載のタグ書き込みプリンター。
【請求項10】
前記ローラーの少なくとも表面は導電樹脂からなる、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のタグ書き込みプリンター。
【請求項11】
前記書き込み機構と書き込み位置を包含し電磁波をシールドするシールドケースと、
前記シールドケースから搬送方向の上流に延伸し前記連続媒体を包含するシールド管と、をさらに備え、
前記連続媒体は、前記シールド管の入り口から前記シールド管内に入り、前記シールド管と前記シールドケースとの接続口をくぐり前記シールドケース内の書き込み位置を通って、前記シールドケースの出口から出る、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のタグ書き込みプリンター。
【請求項12】
無線タグが繰り返し搭載された連続媒体を搬送させ、
書き込み位置で搬送されてきた前記連続媒体上の前記無線タグに無線で情報の書き込みを行わせ、
書き込みの後に前記無線タグを前記連続媒体から分離させ、
分離した前記無線タグを管理対象に取り付けさせることで管理対象物を完成させる、
管理対象物生産方法であって、
書き込み位置に第1無線タグがある場合に、前記第1無線タグに続く第2無線タグが送受信を行うアンテナを挟持して前記アンテナの書き込み信号の受信を妨害して搬送をさせる、
管理対象物生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タグ書き込みプリンターおよび管理対象物生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
台紙に複数の無線タグが連続で配置された連続紙を搬送し、当該無線タグに情報を書き込むとともに当該無線タグ等に印刷を行う機能を有するプリンターが知られている。
【0003】
このようなプリンターでは、処理対象となる一連の無線タグを有する連続紙に対して、書き込みシステムから放射される電磁波が目標とする無線タグである目標タグに到達して通信が確立すると書き込みが成功する。しかし、当該電磁波が目標タグ以外の無線タグである非目標タグに到達してしまうと、非目標タグと目標タグとの区別がつかずに、目標タグへの書き込みが失敗する。
【0004】
特許文献1に記載された無線タグ発行装置では、目標とする無線タグである目標タグと無線通信を行う場合に、当該目標タグ以外の無線タグである非目標タグを金属板に近接させて、当該非目標タグのアンテナ特性を変化させることで通信を不能とさせる構造を有している(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-110554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、非目標タグと金属板との擦れが発生して非目標タグのIC(Integrated Circuit)が損傷することが発生する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために一態様は、無線タグが繰り返し搭載された連続媒体を搬送する搬送機構と、書き込み位置で搬送されてきた連続媒体上の無線タグに無線で書き込みを行う書き込み信号を送信する書き込み機構と、前記無線タグに印刷を行う印刷機構と、を備えたタグ書き込みプリンターであって、前記搬送機構は、前記書き込み位置に第1無線タグがある場合に、前記第1無線タグの隣の第2無線タグのアンテナを挟持して前記アンテナによる書き込み信号の受信を妨害するローラーを有する、タグ書き込みプリンターである。
【0008】
上記課題を解決するために一態様は、無線タグが繰り返し搭載された連続媒体を搬送させ、書き込み位置で搬送されてきた前記連続媒体上の前記無線タグに無線で情報の書き込みを行わせ、書き込みの後に前記無線タグを前記連続媒体から分離させ、分離した前記無線タグを管理対象に取り付けさせることで管理対象物を完成させる、管理対象物生産方法であって、書き込み位置に第1無線タグがある場合に、前記第1無線タグに続く第2無線タグが送受信を行うアンテナを挟持して前記アンテナの書き込み信号の受信を妨害して搬送をさせる、管理対象物生産方法である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るタグ書き込みプリンターの概略的な構成例を示す図である。
図2】実施形態に係るタグ書き込みプリンターの内部構造の概略的な構成例を示す図である。
図3】実施形態に係る第1書き込み部の概略的な構成例を示す図である。
図4】実施形態に係る第1連続媒体の無線タグの概略的な構成例を示す図である。
図5】実施形態に係る書き込み部の概略的な構成例を示す外観図である。
図6】実施形態に係るローラーの概略的な構成例を示す図である。
図7】実施形態の変形例に係るローラーの概略的な構成例を示す図である。
図8】実施形態に係るローラーの移動の態様の一例を示す図である。
図9】実施形態に係るローラーの移動の態様の一例を示す図である。
図10】実施形態に係るローラーの移動の態様の一例を示す図である。
図11】実施形態に係るローラーのピッチを制御する処理の手順の一例を示す図である。
図12】実施形態の変形例に係る書き込み部の概略的な構成例を示す図である。
図13】実施形態の変形例に係る第1シールド管の概略的な構成例を示す図である。
図14】実施形態に係る管理対象物生産の処理の手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、実施形態に係るタグ書き込みプリンター1の概略的な構成例を示す図である。
図1には、説明の便宜上、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。
タグ書き込みプリンター1は、装置ケース11と、表示・操作パネル12と、インクカートリッジ交換口13と、排出口14と、前面カバー15および第1ヒンジ15aと、上面カバー16、第2ヒンジ16a、および開閉ロック16bと、を備える。
【0012】
図1の例では、X方向は、印刷ヘッドの主走査方向であり、連続紙の幅方向である。また、Y方向は、タグ書き込みプリンター1の奥行き方向であり、連続紙の搬送方向である。また、Z方向は、鉛直方向であり、タグ書き込みプリンター1の高さ方向である。
なお、XYZ座標は必ずしも直交している必要はなく、交差していればよい。
【0013】
また、タグ書き込みプリンター1を前面から見た場合、装置左方向を+X方向、装置右方向を-X方向とする。また、タグ書き込みプリンター1の装置前方を+Y方向とし、装置後方を-Y方向とする。また、タグ書き込みプリンター1の装置上方を+Z方向、装置下方を-Z方向とする。
【0014】
タグ書き込みプリンター1は、PC(Personal Computer)などの情報処理装置から送信された印刷データに基づいて、連続紙に貼付された印刷媒体に、インクジェット方式で印刷を行う。
【0015】
図2は、実施形態に係るタグ書き込みプリンター1の内部構造の概略的な構成例を示す図である。
タグ書き込みプリンター1は、ロール紙収容部30と、ロール紙装着部31と、紙管33と、搬送機構40と、印刷機構50と、切断機構60と、検出機構70と、を備える。
【0016】
搬送機構40は、搬送ローラー41を備える。搬送ローラー41は、搬送駆動ローラー41aと、搬送従動ローラー41bを備える。
ここで、搬送機構40は、搬送ローラー41と、その駆動部を含んでもよい。
【0017】
印刷機構50は、キャリッジ51と、印刷ヘッド53と、吸着プラテンであるプラテン55と、を備える。
キャリッジ51は、キャリッジ軸51aを備える。
切断機構60は、自動カッター61を備える。自動カッター61は、可動刃61aと、固定刃61bと、を備える。
【0018】
検出機構70は、反射型光学センサー71と、透過型光学センサー73と、を含む。
反射型光学センサー71は、反射センサー発光部71aと、反射センサー受光部71bと、を備える。
透過型光学センサー73は、透過センサー発光部73aと、透過センサー受光部73bと、を備える。
【0019】
また、図2には、ロール紙100、および、ロール紙100から引き出された連続紙20を示してある。
連続紙20では、台紙21に複数の印刷媒体22が貼付されている。
本実施形態では、印刷媒体22は、無線タグである。
また、図2には、連続紙20の搬送経路Kを示してある。
【0020】
また、図2には、無線タグへの書き込みを行う書き込み部が備えられる領域を含む第1領域R1を示してある。
なお、図2の例では、第1領域R1における書き込み部の図示を省略してあり、当該書き込み部については図3以降を用いて説明する。
【0021】
図1および図2を参照して、タグ書き込みプリンター1の概略について説明する。
図1に示すように、タグ書き込みプリンター1は、略直方体形状の装置ケース11を有している。装置ケース11の装置前面には、ディスプレーおよび各種ボタンが配置された表示・操作パネル12が設けられている。また、表示・操作パネル12の-Z方向には、引き出し式のインクカートリッジ交換口13が設けられている。
【0022】
また、装置ケース11の装置前面で、表示・操作パネル12の-X方向には、前面カバー15が設けられている。前面カバー15は、その+Z方向端部に設置された第1ヒンジ15aを中心に回動可能である。前面カバー15が開くと、印刷機構50が露出する。ユーザーは、前面カバー15を開くことにより、連続紙20の紙詰まりを取り除くことができる。
【0023】
また、装置ケース11の装置前面で、前面カバー15の-Z方向には、排出口14が設けられている。排出口14は、印刷機構50による印刷済みの連続紙20であって、切断機構60により短冊状に切断された連続紙20が排出される。
【0024】
また、装置ケース11には、装置上面の-Y方向略半部に、上面カバー16が設けられている。上面カバー16は、その-Y方向端部に設置された第2ヒンジ16aを中心に回動可能である。上面カバー16が開くと、ロール紙収容部30が露出する。ユーザーは、上面カバー16の+Y方向に設置された開閉ロック16bを解除し、上面カバー16を開くことにより、ロール紙100の装着を行うことができる。ロール紙100は、連続紙20を、紙管33を芯としてロール状に巻回したものである。
【0025】
連続紙20は、帯状に形成された台紙21と、複数の印刷媒体22と、を有している。
複数の印刷媒体22は、台紙21の表面、すなわち台紙21の+Z方向から見た面に、一定の間隙を空けて貼付されている。印刷媒体22は、例えばラベルである。
【0026】
また、台紙21の裏面、すなわち台紙21の-Z方向から見た面には、連続紙20の搬送方向、すなわち+Y方向における印刷媒体22の先頭位置を示すブラックマークが印刷されている。したがって、+Y方向における印刷媒体22の先頭位置と、ブラックマークの先頭位置と、は一致している。
なお、本実施形態では、ブラックマークの図示を省略している。
【0027】
印刷媒体22は、台紙21から剥離可能である。また、連続紙20は、複数種類のものが用意されていてもよい。例えば、連続紙20は、台紙21あるいは印刷媒体22の幅、材質、厚みなどが異なるものが用意されていてもよい。また、連続紙20は、無線タグの間隙長さ、Y方向におけるブラックマークの長さが異なるものが用意されていてもよい。ただし、ブラックマークのY方向における長さは、印刷媒体22の長さより短いものとする。また、ブラックマークのX方向における配置は、例えば、台紙21の+X方向の端を基準として、印刷される範囲が規定されている。
【0028】
図2を参照して、タグ書き込みプリンター1の内部構成について説明する。
図2は、搬送経路Kを-X方向から見た断面模式図である。図2に示すように、タグ書き込みプリンター1は、ロール紙収容部30と、搬送機構40と、印刷機構50と、切断機構60と、を備えている。
【0029】
ロール紙収容部30は、ロール紙装着部31を備えている。ロール紙装着部31には、ロール紙100の紙管33が装着される。ロール紙100は、ロール紙装着部31の回転に応じて回転し、この回転に伴って連続紙20が繰り出される。図2に示す例では、連続紙20が繰り出される場合、ロール紙100は、左回りに回転する。
【0030】
搬送機構40は、搬送経路Kに沿って連続紙20を搬送する搬送ローラー41を備えている。搬送ローラー41は、連続紙20の搬送方向において、印刷ヘッド53の上流に配置されている。搬送ローラー41は、搬送モーター等の図示しない駆動源からの動力が伝達されることによって回転駆動される搬送駆動ローラー41aと、搬送駆動ローラー41aに対して従動回転する搬送従動ローラー41bと、を備えている。
【0031】
なお、搬送ローラー41は、連続紙20を正方向、すなわち+Y方向に搬送するだけでなく、逆方向、すなわち-Y方向に搬送することも可能である。
また、本実施形態に係るタグ書き込みプリンター1は、シリアル印刷方式を採用しており、連続紙20を一定速度で搬送するのではなく、間欠的に搬送してもよい。
【0032】
印刷機構50は、連続紙20の搬送方向において、搬送機構40より下流に配置され、キャリッジ51と、印刷ヘッド53と、プラテン55と、を備えている。印刷ヘッド53は、キャリッジ51に搭載されるシリアルタイプのインクジェットヘッドである。また、プラテン55は、搬送経路Kを介して印刷ヘッド53と対向する位置に配置されている。
【0033】
キャリッジ51は、連続紙20の搬送方向と交差する主走査方向、すなわちX方向に延びたキャリッジ軸51aに支持されている。キャリッジ51は、キャリッジ軸51aに沿って、主走査方向に往復移動することで、印刷ヘッド53を走査する。
【0034】
印刷ヘッド53は、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックなど、複数色に対応したノズル列を備えている。印刷ヘッド53は、各色のインクカートリッジからインクの供給を受けて、各ノズル列に設けられたノズルからインクを吐出する。ノズルから吐出されたインクは、連続紙20の印刷媒体22に着弾し、印刷媒体22上に画像が形成される。
【0035】
プラテン55は、上面に複数の吸引孔が形成されており、各吸引孔は、図示しない吸引ファンに連通されている。これにより、連続紙20がプラテン55の上面に吸引された状態で搬送されるため、連続紙20が印刷ヘッド53のノズル面に干渉することを抑制することができる。
【0036】
切断機構60は、連続紙20の搬送方向において、印刷機構50より下流に配置され、連続紙20を切断可能なカッターである自動カッター61を備えている。自動カッター61は、カッターモーター等を有する図示しない駆動源からの動力が伝達されることによって駆動される第1刃である可動刃61aと、搬送経路Kを介して可動刃61aと対向する位置に配置された第2刃である固定刃61bと、を備えている。切断機構60は、連続紙20の印刷済み部分を所定の長さに切断する。
【0037】
上記の構成により、タグ書き込みプリンター1は、ロール紙収容部30から繰り出された連続紙20を、搬送機構40により搬送経路Kに沿って搬送する。また、印刷機構50により、搬送経路Kを搬送されていく連続紙20に対して印刷を行い、切断機構60により、連続紙20を所定の長さに切断する。切断機構60により切断された短冊状の連続紙20は、排出口14から排出される。
【0038】
図4に示すように、タグ書き込みプリンター1は、搬送経路Kに臨んで、2種類の光学センサーを含む検出機構70を備えている。検出機構70は、反射型光学センサー71と、透過型光学センサー73と、を含む。
なお、透過型光学センサーは、透過センサーと呼ばれてもよい。
また、反射型光学センサーは、反射センサーと呼ばれてもよい。
【0039】
反射型光学センサー71は、連続紙20の搬送方向において、搬送ローラー41より上流に配置されている。また、反射型光学センサー71は、搬送経路Kを搬送される連続紙20に向けて-Z方向から光を照射する反射センサー発光部71aと、連続紙20で反射した光を受光する反射センサー受光部71bと、を有している。
【0040】
透過型光学センサー73は、連続紙20の搬送方向において、搬送ローラー41より下流に配置されている。また、透過型光学センサー73は、搬送経路Kを搬送される連続紙20に向けて-Z方向から光を照射する透過センサー発光部73aと、連続紙20を透過した光を受光する透過センサー受光部73bと、を有している。
タグ書き込みプリンター1は、透過型光学センサー73を含む検出機構70の検出結果に基づいて、連続紙20の搬送制御を行う。
【0041】
また、タグ書き込みプリンター1は、透過型光学センサー73の劣化あるいは印刷媒体22の透過率の違いに対応するため、透過型光学センサー73の感度を調整するキャリブレーションを行う。
なお、透過型光学センサー73の感度を調整する場合、透過型光学センサー73の検出位置に、印刷媒体22を合わせて行う。これは、印刷媒体22の厚みおよび紙種によって透過率が違うことから、それぞれの印刷媒体22へ実際に光を照射して、透過型光学センサー73の最適な感度を決定する必要があるためである。
【0042】
本実施形態では、反射型光学センサー71は、ブラックマークの位置を検出するための光学センサーである。すなわち、反射型光学センサー71は、搬送経路Kを搬送される連続紙20に光を照射し、反射型光学センサー71の所定の検出位置にブラックマークが存在するか否かを検出する。タグ書き込みプリンター1の所定の制御部は、反射型光学センサー71の検出値が、あらかじめ定められた閾値より低い場合、当該検出位置にブラックマークが存在すると判断する。
【0043】
また、透過型光学センサー73は、印刷媒体22の位置を検出するための光学センサーである。すなわち、透過型光学センサー73は、搬送経路Kを搬送される連続紙20に光を照射し、透過型光学センサー73の所定の検出位置に印刷媒体22が存在するか否かを検出する。タグ書き込みプリンター1の所定の制御部は、透過型光学センサー73の検出値が、あらかじめ定められた閾値より低い場合、当該検出位置に印刷媒体22が存在すると判断する。
【0044】
なお、透過型光学センサー73のうち、透過センサー受光部73bは、連続紙20により覆われないため、上面カバー16を開放することにより、タグ書き込みプリンター1の内部に侵入した光の影響を受けやすい。この点を配慮して、透過型光学センサー73は、上面カバー16が開放された状態において、露出しない部分に配置される。透過型光学センサー73は、光の影響が少ない位置に配置されることで、装置ケース11の開閉による光の影響を受けない。
【0045】
一方、反射型光学センサー71は、上面カバー16が開放された場合に、露出する部分に配置される。しかしながら、反射型光学センサー71は、反射センサー発光部71aおよび反射センサー受光部71bが、搬送経路Kの下方、すなわち搬送経路Kの-Z方向に配置されており、多くの場合、連続紙20に覆われているため、上面カバー16が開放された状態でも、光の影響を受けない。
【0046】
なお、例えば、搬送経路Kにおいて、連続紙20は、その紙幅によらず、搬送経路Kの+X方向の端部を基準として搬送される。例えば、連続紙20は、搬送経路Kの+X方向の端部に設けられた図示しない固定ガイドと、連続紙20の紙幅に応じてX方向に可動可能な図示しない可動ガイドと、によってガイドされながらY方向に搬送される。
【0047】
このため、透過型光学センサー73の検出位置は、タグ書き込みプリンター1に適用可能な最小紙幅の印刷媒体22を検出できる位置に設定されている。また、反射型光学センサー71の検出位置は、ブラックマークを検出できる位置に設定されている。これらの条件を満たすため、反射型光学センサー71および透過型光学センサー73は、連続紙20の幅方向、すなわちX方向において、略同一位置に配置されている。
【0048】
タグ書き込みプリンター1は、制御部を備えている。
当該制御部は、は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、透過センサー制御回路と、反射センサー制御回路と、を含む。
CPUは、ROMに記憶されたファームウェア等の制御プログラムを読み出し、読み出した制御プログラムをRAMに展開することにより、タグ書き込みプリンター1内の各部を制御する。
【0049】
なお、制御部は、CPU以外のプロセッサーを用いてもよい。プロセッサーは、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路でもあってよい。また、プロセッサーは、1以上のCPUとASIC等のハードウェア回路が協働して動作する構成であってもよい。
【0050】
制御プログラムには、透過型光学センサー73の感度調整を行うためのキャリブレーションプログラムが含まれている。
透過センサー制御回路は、透過センサー受光部73bの出力を増幅する増幅回路、当該増幅回路の増幅率を制御するデジタルポテンショメーター、当該増幅回路の出力をA/D(Analog to Digital)変換するA/D変換回路等を含む。本実施形態において、CPUは、デジタルポテンショメーターにより増幅回路の増幅率を変更することにより、透過型光学センサー73の感度調整を行う。
【0051】
同様に、反射センサー制御回路は、反射センサー受光部71bの出力を増幅する増幅回路、当該増幅回路の増幅率を制御するデジタルポテンショメーター、当該増幅回路の出力をA/D変換するA/D変換回路等を含む。本実施形態では、反射型光学センサー71の感度調整は行わないものとする。
【0052】
搬送機構40は、搬送ローラー41のほか、搬送ローラー41の駆動源となる搬送モーター等を含む。
印刷機構50は、キャリッジ51、印刷ヘッド53およびプラテン55のほか、キャリッジ51の駆動源となるキャリッジモーター、印刷ヘッド53を駆動するヘッド駆動機構等を含む。
切断機構60は、自動カッター61のほか、自動カッター61の駆動源となるカッターモーター等を含む。
【0053】
検出機構70は、透過型光学センサー73と、反射型光学センサー71と、を含む。
なお、透過センサー発光部73aおよび反射センサー発光部71aは、例えば、発光ダイオードを有している。
また、透過センサー受光部73bおよび反射センサー受光部71bは、例えば、フォトトランジスターを有している。
【0054】
図3は、実施形態に係る第1書き込み部201の概略的な構成例を示す図である。
図3には、キャリッジ51、印刷ヘッド53、プラテン55、透過センサー発光部73a、透過センサー受光部73b、第1書き込み機構211、複数のローラーを示してある。
複数のローラーとして、第1aローラー231aおよび第1bローラー231b、第2aローラー232aおよび第2bローラー232b、第3aローラー221aおよび第3bローラー221bを示してある。
第1書き込み部201は、第1書き込み機構211、第1aローラー231aおよび第1bローラー231b、第2aローラー232aおよび第2bローラー232b、第3aローラー221aおよび第3bローラー221bを含む。
【0055】
また、図3には、第1連続媒体251を示してある。第1連続媒体251は、例えば、連続紙である。
第1書き込み機構211は、書き込み用アンテナを備えている。
第1書き込み機構211は、第1連続媒体251に対して上方に配置されている。
第1書き込み機構211は、例えば、固定された位置に設置されていてもよいが、他の例として、移動することが可能な構成が用いられてもよい。
ここで、第1書き込み機構211は、書き込み用アンテナと、書き込みの制御を行う制御部と、を含んでもよい。当該制御部は、タグ書き込みプリンター1の制御部と共用化されていてもよい。
【0056】
第1連続媒体251は、第1台紙261と、複数の無線タグを備えている。
第1連続媒体251の第1台紙261は、ロール紙であり、Y軸にほぼ平行な方向に延伸している。当該方向に沿って、Z軸の+側に相当する上側に複数の無線タグが所定の間隔ごとに連続して第1台紙261に配置されている。
図3の例では、図示を簡易化するために、複数の無線タグのうち、第1書き込み機構211のほぼ下方に存在する第1無線タグT1、第1無線タグT1に対して上流側の隣に存在する第2無線タグT2と、第1無線タグT1に対して下流側の隣に存在する第3無線タグT3に符号を付してある。
図3の例では、下流側から上流側への方向で、第2無線タグT2は、第1無線タグT1に続いている。
【0057】
ここで、本実施形態では、透過センサー発光部73aおよび透過センサー受光部73bからなる透過型光学センサー73によって、第1連続媒体251の無線タグの位置を検出する。本実施形態では、無線タグの位置は、ラベルの位置に相当する。
無線タグの位置は、例えば、無線タグの端の位置であってもよい。
無線タグの位置を検出する手法としては、特に限定はなく、例えば、第1連続媒体251の無線タグの所定位置または他の位置に所定のマークを設けておいて、透過型光学センサー73によって、当該マークの位置を検出する手法が用いられてもよい。当該マークは、例えば、ブラックマークであってもよい。
【0058】
本実施形態では、第1連続媒体251が供給される元の側が上流側であり、第1連続媒体251が印刷後に排出される側が下流側である。
本実施形態では、タグ書き込みプリンター1において、第1連続媒体251が搬送経路に沿って搬送される際に、第1書き込み機構211によって各無線タグのICに所定の情報の書き込み等を行い、そして、印刷ヘッド53などの印刷機構によって各無線タグの表面などに所定の画像を印刷することが可能である。
なお、本実施形態では、書き込み機構が印刷機構と比べて上流側に設けられている場合を示すが、他の例として、書き込み機構が印刷機構と比べて下流側に設けられる構成が用いられてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、第1連続媒体251の第1台紙261から分離された無線タグが管理対象に取り付けられることで、管理対象物が生産される。
図3の例では、生産された管理対象物1001を示してある。
管理対象物1001は、分離された無線タグである分離後無線タグT101が管理対象1011に取り付けられることで、構成されている。
【0060】
ここで、無線タグおよびローラーが配置されるピッチとしては、特に限定はないが、例えば、プラテン55の位置とラベル検出のための透過型光学センサー73の位置との間の距離に応じて、複数個の無線タグのピッチ、および、複数個のローラーのピッチが、決められてもよい。具体例として、16mm以上のピッチが用いられてもよい。
一般に吸着プラテンの材質は金属であり、無線タグがプラテン55の位置まで来ると無線タグの送受信アンテナと当該金属とが密接または密着するため、そのアンテナ特性が無効化されて当該無線タグへの書き込みが不可になる。
このため、本実施形態では、プラテン55の側のローラーの数よりも、ラベル検出位置の側のローラーの数を多くするが、他の構成が用いられてもよい。
【0061】
図4は、実施形態に係る第1連続媒体251の無線タグの概略的な構成例を示す図である。
図4の例では、第1無線タグT1、第2無線タグT2、および、第3無線タグT3の構成例を示してある。
第1無線タグT1は、第1台紙261の上側に配置された、第1IC311、第1-1アンテナ部321および第1-2アンテナ部322を備え、また、これらを上側から覆う第1シートSH1を備える。
第1-1アンテナ部321と第1IC311と第1-2アンテナ部322は、この順で、X軸にほぼ平行な方向に、直列に接続されている。当該方向は、第1連続媒体251が延伸する方向に対して垂直な方向である。
ここで、第1シートSH1は、例えば、第1無線タグT1に含まれると捉えられてもよく、あるいは、第1無線タグT1に対して外部の構成要素であると捉えられてもよい。
なお、無線タグは、RF(Radio Frequency)タグ、あるいは、RFIDタグなどと呼ばれてもよい。
【0062】
図4の例では、第2無線タグT2についても、第2IC331、第2-1アンテナ部341、第2-2アンテナ部342、第2シートSH2を示してある。
また、図4の例では、第3無線タグT3についても、第3IC351、第2-1アンテナ部361、第2-2アンテナ部362、第3シートSH3を示してある。
なお、無線タグ内のIC、各アンテナは、第1台紙261の面において様々な配置で設けられてもよい。
【0063】
図5は、実施形態に係る第1a書き込み部201aの概略的な構成例を示す外観図である。
図5の例では、図3の例に対して、より多くのローラーを有する第1a書き込み部201aを備える場合を示してある。
図5には、第1書き込み機構211、複数のローラーを示してある。本実施形態では、これら複数のローラーは、金属製である。
複数のローラーとして、第1aローラー231aおよび第1bローラー231b、第2aローラー232aおよび第2bローラー232b、第3aローラー221aおよび第3bローラー221b、第4aローラー233aおよび第4bローラー233b、第5aローラー222aおよび第5bローラー222b、第6aローラー223aおよび第6bローラー223bを示してある。
【0064】
第1aローラー231aおよび第1bローラー231b、第2aローラー232aおよび第2bローラー232b、第4aローラー233aおよび第4bローラー233bの順に所定の間隔ごとに、第1書き込み機構211の位置に対して、次第に上流側に配置されている。
第3aローラー221aおよび第3bローラー221b、第5aローラー222aおよび第5bローラー222b、第6aローラー223aおよび第6bローラー223bの順に所定の間隔ごとに、第1書き込み機構211の位置に対して、次第に下流側に配置されている。
【0065】
図5の例では、第1書き込み機構211のほぼ下方に存在する第1無線タグT1が、書き込みのための目標タグとなる。
また、図5の例では、第2無線タグT2および第3無線タグT3などの他の無線タグが、書き込みのための目標ではない非目標タグである。
【0066】
第1無線タグT1が第1書き込み機構211のほぼ下方に存在する状態で、他の所定の無線タグのアンテナ部の上下にローラーが存在するように構成されている。
図5の例では、第1無線タグT1に対して上流側の3個の無線タグと、第1無線タグT1に対して下流側の3個の無線タグと、のそれぞれにおいて、それぞれの無線タグのアンテナ部が上下のローラーにより挟まれる状態となっている。上下に配置された2個のローラーは、これら2個のローラーの間を第1連続媒体251が搬送される際に、その搬送にしたがって回転する。
【0067】
具体例として、第2無線タグT2については、第2-1アンテナ部341および第2-2アンテナ部342の下側に第1aローラー231aが存在し、これらの上側に第1bローラー231bが存在する。
第1aローラー231aおよび第1bローラー231bは、それぞれ、同じ形状を有しており、X軸にほぼ平行な方向に長辺を有する円筒状の形状を有している。当該方向は、第1連続媒体251が搬送される方向に対して垂直な方向である。
他の無線タグについても同様である。
【0068】
ここで、図5の例では、複数の無線タグが連続で配置された連続体である第1連続媒体251が搬送される様子が模式的に示されている。
本実施形態では、第1書き込み機構211の書き込み用アンテナの近くに存在する目標タグと当該書き込み用アンテナとの間で無線通信が行われることが要求される一方、目標タグに隣接する非目標タグと当該書き込み用アンテナとの間では無線通信が行われないことが要求される。
無線タグには送受信用アンテナが備えられており、当該送受信用アンテナで電磁波を受けることにより無線タグ内のICに電力が供給され、書き込み用アンテナとの通信が可能となる。
【0069】
本実施形態に係る第1a書き込み部201aでは、第1書き込み機構211の書き込み用アンテナの真下に目標タグが位置するように、第1連続媒体251の搬送を制御して、当該書き込み用アンテナにより当該目標タグのICに所定の情報を書き込む処理を行う。
ここで、第1連続媒体251の搬送を制御する機能としては、例えば、タグ書き込みプリンター1が備える制御部の機能を利用して実現されてもよい。
【0070】
第1書き込み機構211は、例えば、書き込み用アンテナにより通信することが可能な無線タグから当該無線タグの識別情報を受信することで、当該書き込み用アンテナに対する当該無線タグの相対的な位置を判定することが可能である。ここで、識別情報は、例えば、IDなどと呼ばれてもよい。
また、第1書き込み機構211は、書き込み用アンテナにより同時に複数の無線タグのIDが受信された場合には、第1連続媒体251の搬送位置をずらすことで、各無線タグの位置をずらして、目標タグが適度な位置に存在する状態としてもよい。
【0071】
以上のように、本実施形態では、非目標タグを金属製のローラーに接触させることで非目標タグの送受信用アンテナの特性を変化させ、通信を不能とさせる。これにより、第1書き込み機構211の書き込み用アンテナは、例えば、目標タグのみと通信をすることができ、非目標タグへの誤書き込みを防止することができる。
本実施形態では、第1連続媒体251を搬送する金属製のローラーを利用することで、第1書き込み機構211の書き込み用アンテナによる無線タグへの誤書き込みを防止することができる。
【0072】
つまり、本実施形態では、第1書き込み機構211の書き込み用アンテナから目標タグへの書き込み時に、目標タグ以外の非目標タグのアンテナの特性をローラーによって変化させることで、非目標タグ内のICと当該書き込み用アンテナとの通信を不能とさせる構造となっている。
【0073】
このように、本実施形態では、無線タグの作成において、書き込み対象の隣などのRFIDタグに書き込みが行われないようにするために、無線タグのアンテナ部分に金属ローラーを押し当てることが行われる。本実施形態では、無線タグのアンテナをローラーによって挟持することで、擦れおよび浮きを減らして余計な書き込みを防止することができる。
なお、無線タグのアンテナによる通信を妨害するために用意されているローラーは、例えば、妨害ローラーなどと呼ばれてもよい。
【0074】
具体例として、第1無線タグT1が目標タグであり、第2無線タグT2などが非目標タグであり、第1無線タグT1の第1-1アンテナ部321および第1-2アンテナ部322が書き込み用アンテナと通信を行う送受信アンテナであり、第2無線タグT2の第2-1アンテナ部341および第2-2アンテナ部342が第1aローラー231aおよび第1bローラー231bによって挟まれることで送受信不能になる送受信アンテナである。
【0075】
例えば、ローラーの代わりに金属板が用いられる場合には、金属板との擦れによる無線タグの損傷が懸念されるが、本実施形態では、ローラー構造によるため擦れは生じない。また、ローラーの代わりに金属板が用いられる場合には、金属板の浮きが発生し得るが、本実施形態では、このような浮きは発生しない。ここで、金属板の浮きが発生すると、送受信アンテナの特性が十分に変化しない場合がある。
このように、本実施形態では、非目標タグの送受信アンテナを金属製のローラーに密着させる構成であり、擦れによる損傷を与えてしまうという不具合を低減するように回避することができる。
本実施形態では、非目標タグと金属板との擦れが発生して非目標タグのICが損傷するといった従来の課題を解決することができ、非目標タグのICが損傷することを防止することができる。
【0076】
本実施形態では、RFID書き込みシステムの通信用アンテナの周囲の構造に関し、書き込み目標となる無線タグに隣接する無線タグに接するように金属製のローラーが設けられている。
【0077】
ここで、それぞれのローラーは、例えば、少なくとも表面は金属製である。なお、金属製である態様として、例えば、非金属の材料に導電性物質を含む態様が用いられてもよい。
また、例えば第1aローラー231aおよび第1bローラー231bなどのように、上下の2個のローラーについて、上下のうちの一方のみが少なくとも表面が金属製で、他方は金属製以外である、構成が用いられてもよい。
【0078】
本実施形態では、ローラーは、非目標タグの送受信アンテナに対応する位置に配置された場合に、当該送受信アンテナのアンテナ特性を変化させることで、当該送受信アンテナと第1書き込み機構211の書き込み用アンテナとの無線通信を十分に抑制できればよい。
【0079】
本実施形態では、例えば、第1書き込み機構211に対応する目標タグの位置に対して、少なくとも上流側の隣の非目標タグについては第1書き込み機構211の書き込み用アンテナとの無線通信を十分に抑制するローラーを備える。
また、当該目標タグに対して上流側の隣の隣に相当する2番目の非目標タグ、および、それ以降である3番目以降の非目標タグについては、連続する任意の数の非目標タグに対応してローラーを備えてもよい。具体例として、当該目標タグに対して上流側の2番目の非目標タグまでローラーを備える構成、または、当該目標タグに対して上流側の3番目の非目標タグまでローラーを備える構成、などが用いられてもよい。
【0080】
一方、本実施形態では、例えば、第1書き込み機構211に対応する目標タグの位置に対して、下流側については、ローラーは、備えられてもよく、あるいは、備えられなくてもよい。つまり、書き込み機構に対応する位置と、印刷機構の位置との間に、ローラーが備えられない構成が用いられてもよい。
なお、第1書き込み機構211に対応する目標タグの位置とプラテン55との間に非目標タグが存在する場合には、例えば、当該非目標タグの位置にローラーを備えることで、当該非目標タグと第1書き込み機構211の書き込み用アンテナとの無線通信を抑制することが可能である。
【0081】
ここで、本実施形態では、プラテン55は金属製であり、プラテン55の上方に存在する無線タグについては、送受信アンテナによる誤通信を防止することができる。
【0082】
図6は、実施形態に係るローラーの概略的な構成例を示す図である。
図6には、説明の便宜上、図5に示されるのと同様な第1連続媒体251を示してある。
図6の例では、目標タグが第1無線タグT1であり、他の無線タグが非目標タグである。
本例では、第1無線タグT1の上流側の隣の第2無線タグT2について説明する。
【0083】
第1連続媒体251の上面において、第2無線タグT2の位置に対応する位置に存在する第11ローラー411は、2個の分割ローラーである第1分割ローラー421および第2分割ローラー422から構成される。
第1分割ローラー421は第2無線タグT2の第2-1アンテナ部341の上方を覆う形状を有しており、第2分割ローラー422は第2無線タグT2の第2-2アンテナ部342の上方を覆う形状を有している。
そして、図6の状態では、第1分割ローラー421が第2-1アンテナ部341の上方を覆っており、第2分割ローラー422が第2-2アンテナ部342の上方を覆っており、第2IC331の部分の上方にはローラーの構成部分は存在しない。
【0084】
なお、図6の例では、説明の便宜上、第1分割ローラー421によって覆われている第2-1アンテナ部341と、第2分割ローラー422によって覆われている第2-2アンテナ部342を模式的に示してあるが、実際にはこれらは視覚的には見えない。
【0085】
また、図6には、第11ローラー411の回転軸である第1回転軸J1を示してある。
本実施形態では、第1回転軸J1は、第1分割ローラー421および第2分割ローラー422について、共通の回転軸となっている。
【0086】
ここで、図6の例では、第1連続媒体251の上面に存在するローラーの構成例を示したが、第1連続媒体251の下面に存在するローラーについても同様な構成とされてもよい。
なお、分割ローラーは、子ローラーなどと呼ばれてもよい。
【0087】
図6の例では、第11ローラー411は、ICの位置を回避する位置に存在する構成とされている。
本実施形態では、第2無線タグT2において、第2-1アンテナ部と、第2IC331と、第2-2アンテナ部342と、が並ぶ方向について、第2IC331は中央の位置に存在し、2個の分割ローラーは第2IC331を挟んで対称な位置にある。
【0088】
ここで、2個の分割ローラーである第1分割ローラー421および第2分割ローラー422は、それぞれ、第2-1アンテナ部341および第2-2アンテナ部342のすべてを覆ってもよく、あるいは、一部を覆ってもよい。
【0089】
このように、図6の例では、金属製のローラーは無線タグ内のIC部分を物理的に回避する形状を有して避けることにより、ICの損傷を防止する構造とした。
本例では、無線タグのIC部分を避けてローラーでアンテナ部分を挟持し、無線タグのICにローラーが当たらないようにすることで、無線タグの故障を防止することができる。
【0090】
なお、図6の例では、第1連続媒体251の下面に存在するローラーについては、当該ローラーは金属製でなくてもよい。金属製ではないローラーによって第2IC331の部分が覆われていてもよい。
【0091】
図7は、実施形態の変形例に係る第21ローラー511の概略的な構成例を示す図である。
第21ローラー511は、中心部に円筒状の第1芯部521を備え、第1芯部521の周囲に第1表層部522を備える。
ここで、第1表層部522は、金属製である。
第1芯部521は、ローラーの回転の軸となる。
【0092】
例えば、第1表層部522として、電磁波抑制シートのような軟質な物質が用いられてもよい。これにより、第21ローラー511がICを覆っても、ICを傷付けることを回避することができる。なお、第1芯部521の硬さは任意であってもよい。
電磁波抑制シートとしては、例えば、導電性のゴム、または、導電性の樹脂から構成されるシートが用いられてもよい。なお、樹脂の一例として、ゴムが用いられてもよい。
具体例として、第1芯部521の外周に両面テープなどで電磁波抑制シートが貼り付けられた構成が用いられてもよい。
【0093】
なお、第21ローラー511の材質は、任意に選択されてもよい。
本例のように、無線タグのICの位置にもローラーを被せる場合には、例えば、ローラーの製造時に磁性体材料または導電性材料を使用する。
【0094】
ここで、図7の例では、ローラーの全体の表面に軟質な物質を設ける構成例を示したが、他の例として、ローラーの表面のうちで、無線タグのICに被さる部分のみに軟質な物質を設ける構成が用いられてもよい。本実施形態では、当該部分は、ローラーの長手方向のうちで、無線タグのICの位置に対応する中央部の1周分の表面部分である。
このような構成では、無線タグのICに対応する部分の軟質な物質は、必ずしも導電性でなくてもよく、ウレタンフォームなどからなるスポンジなどであってもよい。
【0095】
図7の例などのように、例えば、無線タグの表面に傷を与えないように、ローラーは、その表面が軟質である構造とされる。
一構成例として、ローラーの全体が、例えば、導電性のゴム、または、導電性の樹脂のような、軟質な金属性の物質から構成されてもよい。
【0096】
図8図9および図10を参照して、実施形態に係るローラーの移動について説明する。
図8図9および図10は、それぞれ、実施形態に係るローラーの移動の態様の一例を示す図である。
図8には、隣り合う無線タグの間のピッチが狭い場合の例を示してある。
図9には、隣り合う無線タグの間のピッチが広い場合の例を示してある。
図10には、隣り合う無線タグの間のピッチがさらに広い場合の例を示してある。
【0097】
ここで、図8図9および図10の例では、ピッチが狭い、ピッチが広い、および、ピッチがさらに広い、とは、これら3つの例における相対的な違いである。
なお、説明の便宜上、図8図10の例では、図3の例と比べて、複数のローラーの数が異なる場合を示してある。
【0098】
また、図8図10の例では、複数のローラーの配置位置を移動させる第1移動機構がタグ書き込みプリンター1の書き込み部に備えられている場合を示す。
第1移動機構の構成としては、特に限定はなく、任意の構成が用いられてもよい。例えば、第1移動機構は、1個のモーターを用いて構成されてもよく、あるいは、2個以上のモーターを用いて構成されてもよい。
【0099】
ここで、第1移動機構は、例えば、タグ書き込みプリンター1において自動的に制御されてもよく、あるいは、ユーザーの操作に応じて制御されてもよい。
第1移動機構は、例えば、第1書き込み機構211によって制御されてもよく、あるいは、他の制御部によって制御されてもよい。当該他の制御部としては、例えば、タグ書き込みプリンター1において別の制御を行う制御部が兼用されてもよい。
【0100】
一例として、タグ書き込みプリンター1の所定の操作部を用いてユーザーが所定の操作を行った場合に、当該操作の内容に応じてタグ書き込みプリンター1が第1移動機構を制御する構成が用いられてもよい。
他の例として、第1移動機構を直接動かす操作部がタグ書き込みプリンター1に設けられて、ユーザーが当該操作部を操作することで、その操作に連動して機械的に第1移動機構を動かす構成が用いられてもよい。
【0101】
操作部としては、特に限定はなく、例えば、ボタン、レバー、ハンドル、あるいは、ダイヤルなどであってもよい。
また、例えば、操作部の操作の程度に応じて第1移動機構の移動の程度を知らせる目盛りが表示されていてもよい。当該目盛りは、例えば、タグ書き込みプリンター1の表示画面に表示されてもよく、あるいは、タグ書き込みプリンター1の筐体などに設けられていてもよい。
【0102】
図8の例について説明する。
図8には、説明の便宜上、図3に示されるのと同様な構成部として、キャリッジ51、印刷ヘッド53、プラテン55、透過センサー発光部73a、透過センサー受光部73b、第1書き込み機構211、第1連続媒体251を示してある。
図8の例では、説明の便宜上、第1連続媒体251では複数の無線タグのピッチが狭いとみなして説明する。
【0103】
また、図8には、複数のローラーが示されている。
これら複数のローラーは5組のローラーであり、それぞれ、第21aローラー621aおよび第21bローラー621b、第22aローラー622aおよび第22bローラー622b、第31aローラー631aおよび第31bローラー631b、第32aローラー632aおよび第32bローラー632b、第33aローラー633aおよび第33bローラー633bである。
【0104】
図8の例では、これら5組のローラーは、第1連続媒体251の搬送経路に沿って、搬送経路の付近に配置されている。
また、第1書き込み機構211の下方の位置を除いて、これら5組のローラーの配置間隔は一定であり、当該配置間隔は第1連続媒体251における複数の無線タグの配置間隔と一致する。
第1書き込み機構211の下方の位置では、目標タグにはローラーを被せないことから、第21aローラー621aおよび第21bローラー621bの組と、第31aローラー631aおよび第31bローラー631bの組との間隔のように、他の部分の間隔と比べて2倍になっている。
このような構成により、第1書き込み機構211の書き込み用アンテナによる書き込み位置に目標タグが位置するときに、当該目標タグの送受信アンテナにローラーを被せずに、他のそれぞれの非目標タグの送受信アンテナにローラーを被せることができる。
【0105】
図9の例について説明する。
図9には、説明の便宜上、図8に示されるのと同様な構成部として、キャリッジ51、印刷ヘッド53、プラテン55、透過センサー発光部73a、透過センサー受光部73b、第1書き込み機構211を示してある。
【0106】
また、図9には、第2連続媒体711を示してある。第2連続媒体711は、第2台紙721の上面に所定の間隔で複数の無線タグを備える。図9の例では、これら複数の無線タグの例として、目標タグの位置にある第11無線タグT11と、非目標タグの位置にある第12無線タグT12および第13無線タグT13に符号を付してあり、他の無線タグについては符号を省略している。
【0107】
ここで、第2連続媒体711の構成は、複数の無線タグの間隔が異なる点を除いて、第1連続媒体251の構成と同様である。
図9の例では、説明の便宜上、第2連続媒体711では複数の無線タグのピッチが広いとみなして説明する。
【0108】
また、図9には、複数のローラーが示されているが、図8に示される状態と比べて、第1移動機構によって配置位置が変更されている。
【0109】
図9の例では、図8の状態と比べて、第1書き込み機構211よりも下流側において最も下流側にある第22aローラー622aおよび第22bローラー622bについて、下側の第22aローラー622aがより下方に移動させられており、上側の第22bローラー622bがより上方に移動させられている。
また、図9の例では、図8の状態と比べて、第1書き込み機構211よりも上流側において最も上流側にある第33aローラー633aおよび第33bローラー633bについて、下側の第33aローラー633aがより下方に移動させられており、上側の第33bローラー633bがより上側に移動させられている。
【0110】
また、図9の例では、図8の状態と比べて、第1書き込み機構211よりも下流側にある第21aローラー621aおよび第21bローラー621bがより下流側に移動させられており、第1書き込み機構211よりも上流側にある第31aローラー631aおよび第31bローラー631b、第32aローラー632aおよび第32bローラー632bがそれぞれより上流側に移動させられている。
なお、この移動に関し、より下流にあるローラー、または、より上流にあるローラーの方が、移動量が大きい。
【0111】
図9の例では、これら3組のローラーは、第2連続媒体711の搬送経路に沿って、搬送経路の付近に配置されている。
また、第1書き込み機構211の下方の位置を除いて、これら3組のローラーの配置間隔は一定であり、当該配置間隔は第2連続媒体711における複数の無線タグの配置間隔と一致する。
第1書き込み機構211の下方の位置では、目標タグにはローラーを被せないことから、第21aローラー621aおよび第21bローラー621bの組と、第31aローラー631aおよび第31bローラー631bの組との間隔のように、他の部分の間隔と比べて2倍になっている。
このような構成により、第1書き込み機構211の書き込み用アンテナによる書き込み位置に目標タグが位置するときに、当該目標タグの送受信アンテナにローラーを被せずに、他のそれぞれの非目標タグの送受信アンテナにローラーを被せることができる。
【0112】
図10の例について説明する。
図10には、説明の便宜上、図8および図9に示されるのと同様な構成部として、キャリッジ51、印刷ヘッド53、プラテン55、透過センサー発光部73a、透過センサー受光部73b、第1書き込み機構211を示してある。
【0113】
また、図10には、第3連続媒体731を示してある。第3連続媒体731は、第3台紙741の上面に所定の間隔で複数の無線タグを備える。図10の例では、これら複数の無線タグの例として、目標タグの位置にある第21無線タグT21と、非目標タグの位置にある第22無線タグT22および第23無線タグT23に符号を付してあり、他の無線タグについては符号を省略している。
【0114】
ここで、第3連続媒体731の構成は、複数の無線タグの間隔が異なる点を除いて、第1連続媒体251あるいは第2連続媒体711の構成と同様である。
図10の例では、説明の便宜上、第3連続媒体731では複数の無線タグのピッチがさらに広いとみなして説明する。
【0115】
また、図10には、複数のローラーが示されているが、図8および図9に示される状態と比べて、第1移動機構によって配置位置が変更されている。
【0116】
図10の例では、図9の状態と比べて、さらに、第1書き込み機構211よりも下流側において最下流から見て2番目に下流側にある第21aローラー621aおよび第21bローラー621bについても、下側の第21aローラー621aがより下方に移動させられており、上側の第21bローラー621bがより上方に移動させられている。
また、図10の例では、図9の状態と比べて、さらに、第1書き込み機構211よりも上流側において最上流から見て2番目に上流側にある第32aローラー632aおよび第32bローラー632bについて、下側の第32aローラー632aがより下方に移動させられており、上側の第32bローラー632bがより上側に移動させられている。
【0117】
なお、図10の例では、下流側において上下方向に移動させられたローラーはほぼ上下方向に並ぶ位置に移動させられており、同様に、上流側において上下方向に移動させられたローラーはほぼ上下方向に並ぶ位置に移動させられている。
【0118】
また、図10の例では、図9の状態と比べて、さらに、第1書き込み機構211よりも上流側にある第31aローラー631aおよび第31bローラー631b、第32aローラー632aおよび第32bローラー632bがより上流側に移動させられている。
【0119】
図10の例では、この1組のローラーは、第3連続媒体731の搬送経路に沿って、搬送経路の付近に配置されている。
また、第1書き込み機構211の下方の位置である目標タグの位置を除いて、この1組のローラーの配置位置は、第3連続媒体731における非目標タグの位置と一致する。
このような構成により、第1書き込み機構211の書き込み用アンテナによる書き込み位置に目標タグが位置するときに、当該目標タグの送受信アンテナにローラーを被せずに、他のそれぞれの非目標タグの送受信アンテナにローラーを被せることができる。
【0120】
図11は、実施形態に係るローラーのピッチを制御する処理の手順の一例を示す図である。
図11に示される処理フローの処理は、例えば、第1移動機構を制御する制御部等によって制御されてもよい。
図11に示される処理フローの処理は、例えば、印刷対象の用紙が搬送されていないときに行われる。本実施形態では、当該用紙は、連続媒体である。
【0121】
ステップS1において、タグ書き込みプリンター1では、アンテナピッチを設定する。そして、タグ書き込みプリンター1では、ステップS2の処理へ移行する。
当該アンテナピッチは、連続媒体における複数の無線タグの送受信アンテナの間隔であり、本実施形態では、これら複数の無線タグの間隔と同じである。
【0122】
ここで、アンテナピッチの設定は、例えば、ユーザーの手動の操作で行われてもよく、あるいは、タグ書き込みプリンター1によってあらかじめ定められた手順で自動的に行われてもよい。
なお、アンテナピッチが設定された後に、例えば、ユーザーが所定の開始ボタン等を操作することに応じてステップS2の処理へ移行してもよく、あるいは、ユーザーによる操作が無く、ステップS2の処理へ移行してもよい。
【0123】
ステップS2において、タグ書き込みプリンター1では、複数のローラーを移動させる第1移動機構のモーターを動作させる。これにより、複数のローラーのそれぞれの位置が変更させられて、隣り合うローラーのピッチが変化する。そして、プリンター2では、ステップS3の処理へ移行する。
【0124】
ステップS3において、タグ書き込みプリンター1では、第1移動機構のモーターのエンコーダーのカウント値を取得する。そして、タグ書き込みプリンター1では、ステップS4の処理へ移行する。
ここで、当該エンコーダーのカウント値は、複数のローラーの位置の変更の程度を表し、本実施形態では、搬送経路に沿ったローラーの配置位置を表す。当該配置位置は、搬送経路に沿ったローラーが2組以上残っている場合には、ローラー間の間隔を表す。
【0125】
ステップS4において、タグ書き込みプリンター1では、取得されたカウント値と設定されたアンテナピッチとが一致するか否かを判定する。
この判定の結果、タグ書き込みプリンター1では、取得されたカウント値と設定されたアンテナピッチとが一致する場合には、ステップS5の処理へ移行する。
一方、この判定の結果、タグ書き込みプリンター1では、取得されたカウント値と設定されたアンテナピッチとが一致しない場合には、ステップS2の処理へ移行して、ステップS2およびステップS3の処理を繰り返す。
【0126】
なお、本例では、ステップS4において、説明を簡易化するために、カウント値とアンテナピッチとが同一の単位で表される場合を示したが、これらの単位が異なる場合には、両者が実質的に一致するか否かが判定される。
【0127】
ステップS5において、タグ書き込みプリンター1では、第1移動機構のモーターを停止させ、本処理フローの処理を終了する。
このような制御により、アンテナピッチに合わせるように、ローラーの配置位置が調整される。
【0128】
ここで、図11に示される処理フローの処理は、例えば、ユーザーの操作に応じて行われてもよい。
例えば、ステップS3およびステップS4の処理において、ユーザーが目視によりエンコーダーのカウント値を読み取り、当該カウント値と設定されたアンテナピッチとが一致するか否かの判定を行ってもよい。この場合、ユーザーは、タグ書き込みプリンター1に対して、当該判定の結果を表す指示操作を行ってもよい。
【0129】
なお、タグ書き込みプリンター1において、最適な書き込み位置を検出するためのキャリブレーションが行われる場合、当該キャリブレーションにおいて、図11に示される処理フローの処理が行われてもよい。
例えば、タグ書き込みプリンター1では、当該キャリブレーション時に、無線タグ間のピッチを検出することが可能であり、検出した無線タグ間のピッチに応じた位置にローラーの位置および間隔を調整することが可能である。
タグ書き込みプリンター1では、例えば、複数のローラーのすべての位置をまとめて自動的に調整してもよい。
【0130】
本実施形態では、連続媒体の台紙の上面に等間隔のピッチで、複数の無線タグが配置されている。
このため、このピッチに合わせるように、複数のローラーの位置が調整される。本実施形態では、第1書き込み機構211の書き込み用アンテナの下方の位置を中心に、上流側の搬送経路に沿ったローラーと、下流側の搬送経路に沿ったローラーとが、対称の位置に配置される。ただし、上流側のローラーの数と、下流側のローラーの数とは、必ずしも同じでなくてもよく、その点では対称にならない場合があり得る。
【0131】
また、第1書き込み機構211の書き込み用アンテナの下方の位置を中心に、上流側あるいは下流側に、2組以上のローラーが搬送経路に沿って存在する場合には、例えば、当該中心から離れていくにしたがって、モーターとローラーとの動作軸間のギア比を増やしていくことにより、当該中心から遠いローラーの方が同じモーター回転角であっても遠くの位置まで移動する制御が行われてもよい。
【0132】
また、図9あるいは図10の例のように、無線タグ間のピッチが大きい連続媒体が使用される場合には、複数のローラーのうちで使用されないローラーが発生し得る。
図9あるいは図10の例のように、第1移動機構は、使用されないローラーが吸着プラテン端またはラベル検出器位置まできたときに、ギア等を切り替えることなどで、ローラーを上方または下方に退避させる構成が用いられてもよい。なお、本実施形態では、プラテン55の最も上流側の端が当該吸着プラテン端に相当し、透過センサー発光部73aおよび透過センサー受光部73bに挟まれる位置が当該ラベル検出器位置に相当する。
【0133】
ここで、図9および図10の例では、不使用のローラーを上方または下方に移動させて退避させる構成を示したが、これに限定されず、不使用のローラーを退避させる場所としては任意の場所が用いられてもよい。
【0134】
図8図10の例では、搬送経路の方向にローラーを移動させる第1移動機構が用いられる場合について説明したが、他の方向にローラーを移動させる移動機構が用いられてもよく、ピッチ方向以外の方向にローラーを移動させる移動機構が用いられてもよい。
【0135】
例えば、搬送方向とは垂直な方向に、ローラーを移動させる第2移動機構が用いられてもよい。当該方向は、例えば、用紙の幅方向などと呼ばれてもよい。
当該第2移動機構は、例えば、使用される連続媒体における無線タグのサイズまたは送受信アンテナの配置位置などに応じて、それに合わせるように、ローラーの位置を変化させる調整を行ってもよい。
【0136】
例えば、図6に示されるような分割ローラーを有するローラーが用いられる場合に、搬送方向とは垂直な方向に、各分割ローラーを移動させる第2A移動機構が用いられてもよい。
当該第2A移動機構は、第1移動機構の一例である。
【0137】
当該第2A移動機構は、例えば、使用される連続媒体における無線タグのサイズまたは送受信アンテナの配置位置などに応じて、それに合わせるように、各分割ローラーの位置を変化させる調整を行ってもよい。
図6の例では、具体例として、第2A移動機構は、第2-1アンテナ部341に合わせるように第1分割ローラー421の配置位置を調整し、第2-2アンテナ部342に合わせるように第2分割ローラー422の配置位置を調整する処理を行ってもよい。
例えば、使用される連続媒体によって、当該連続媒体に存在する無線タグにおける送受信アンテナのサイズまたは位置などが異なる場合があっても、第2A移動機構による分割ローラーの配置の調整によって対応することが可能である。
【0138】
図12は、実施形態の変形例に係る書き込み部の概略的な構成例を示す図である。
図12には、第2書き込み部801を示してある。
第2書き込み部801は、第2書き込み機構811と、シールドケース820と、第1シールド管821と、第2シールド管822と、を備える。
【0139】
また、図12には、第11連続媒体851を示してある。
第11連続媒体851は、第11台紙861の上面に複数の無線タグを備える。
図12の例では、これら複数の無線タグのうちで、第31無線タグT31、第32無線タグT32、および、第33無線タグT33に符号を付してあり、他の無線タグについては符号を省略している。
【0140】
図13は、実施形態の変形例に係る第1シールド管821の概略的な構成例を示す図である。
図13には、説明の便宜上、第1シールド管821に合わせて、3次元直交座標系であるxyz直交座標系を示してある。
図13の例では、y軸に平行な方向が、第11連続媒体851の搬送方向である。
【0141】
ここで、図12および図13の例では、シールドケース820、第1シールド管821および第2シールド管822が備えられている点を除いて、図3の例と同様な構成であるため、同様な点については詳しい説明を省略する。
【0142】
シールドケース820は、金属製のケースであり、第2書き込み機構811およびその下方における目標タグの位置の部分を覆っている。
図12の例では、シールドケース820は、上下方向に長い辺を有する直方体の形状を有しており、一部の面に開口部を有している。
【0143】
シールドケース820の上流側には、第1シールド管821が備えられている。
第1シールド管821は、シールドケース820の上下方向の長さよりも高さが低く、シールドケース820の下方に配置されている。
図12の例では、第1シールド管821は、搬送方向において、目標タグの隣の非目標タグを入れて3個の非目標タグを含む大きさを有している。
第1シールド管821は、第11連続媒体851が搬送される際に通過する2個の面については当該面が除かれており開口部となっている。
また、シールドケース820において、第1シールド管821の開口部と接する部分は開口部となっている。
【0144】
シールドケース820の下流側には、第2シールド管822が備えられている。
図12の例では、下流側の第2シールド管822の構成は、上流側の第1シールド管821の構成に対して対称となっている。
また、図12の例では、シールドケース820は、上流側と下流側とで対称な構成となっている。
【0145】
シールドケース820、第1シールド管821、および、第2シールド管822は、設置された状態では、シールドケース820と第1シールド管821とが接しており、シールドケース820と第2シールド管822とが接しており、全体として一体に見える。
書き込み前の無線タグが矩形導波管の第1シールド管821から入り、書き込み後の無線タグが矩形導波管の第2シールド管822から出る。
【0146】
以下で、シールドを利用したRFIDタグ誤書き込み防止構造について説明する。
本例では、RFIDタグへの書き込み時、目標とする無線タグである目標タグ以外に電磁波が到達しにくくすることで他の無線タグに誤書き込みしないように改善したシールドケースの構造を提供する。
【0147】
従来の構成では、例えば、金属の板金で構成された箱状の構造を有するシールドケースによって、書き込みシステムのアンテナとRFID書き込みシステムから放射される電磁波が目標とする無線タグである目標タグを囲い、他の無線タグである非目標タグへの電磁波到達を防止することが行われていた。
しかしながら、シールドケースには一定の幅の無線タグを通さなければならず、無線タグ幅の開口から通信用電磁波が漏洩する可能性、あるいは、当該開口に外来電磁波が侵入する可能性があった。このため、目標タグへの書き込みが失敗する可能性があった。
【0148】
例えば、従来の構造では、書き込み用アンテナからの電磁波を1つの無線タグに絞り込むため、金属製のシールドケース内にアンテナと目標タグを配置する場合があった。この構造では、無線タグを有する連続媒体が出入りするための開口が必要であり、開口部から電磁波が漏洩することにより近接する非目標タグに誤書き込みしてしまう可能性があった。また、この構造では、外来電磁波がシールドケース内から侵入し、書き込み時の電磁波を妨害し、書き込みに失敗してしまう可能性があった。
【0149】
従来の構造では、RFIDタグが連続で配置された連続媒体に対して、RFID書き込みシステムから放射される電磁波が目標タグに到達して通信が確立すると書き込みが成功する。
しかしながら、書き込みたい目標タグ以外に電磁波が到達してしまうと非目標タグと目標タグとの区別がつかず、目標タグへの書き込みが失敗する場合がある。また、外部からの外来電磁波により通信が妨害されて書き込みが失敗する場合もある。
なお、このような連続媒体は、例えば、RFID書き込み機能付きプリンターで処理される一連の無線タグを有する連続媒体である。
【0150】
このように従来の構造では、金属の板金で構成された箱状の構造を有するシールドケースで書き込みシステムのアンテナと目標タグを囲い非目標タグへの電磁波到達を防止していたが、シールドケースには一定の幅の無線タグを通さなければならず、無線タグ幅の開口から電磁波が漏洩する、もしくは外来電磁波が侵入する可能性があり、それにより目標タグへの書き込みが失敗する可能性があった。
【0151】
これに対して、本例では、無線タグ幅のスリット開口に筒状の矩形の管を接続することにより、無線タグの通る開口を確保しつつ電磁波の漏洩と侵入を低減することを実現する。
本例の構造では、RFID書き込みシステムの通信用アンテナである書き込み用アンテナの周囲の構造として、金属製の板金で構成されて書き込み用アンテナと書き込まれる目標タグを囲う箱状の形状を有するシールドケース820と、第1シールド管821および第2シールド管822を備える。
シールドケース820には無線タグが出入りする開口部が設けられ、当該開口部には矩形の管である第1シールド管821および第2シールド管822が接続される。
【0152】
一例として、矩形の管である第1シールド管821および第2シールド管822のそれぞれの長さは、利用するRFIDの電磁波を減衰させる長さである。
具体例として、当該管の長さは、開口部の長手方向の長さに対して0.5~3倍の長さである。
【0153】
本例の構造では、シールドケース820の開口に矩形の管である第1シールド管821および第2シールド管822を設けることにより、開口から漏洩または侵入する電磁波を抑制し、書き込み不具合の発生率を、従来の構造と比べて、低減することが可能である。
【0154】
本例の構造では、矩形管は、例えば、矩形導波管で知られる形状と同じ構造であってもよく、管内を通過する電磁波の減衰量は、次の通り説明される。
すなわち、導波管の長手方向の長さに応じて、遮断周波数より低い周波数は遮断されることが一般に知られている。このため、通信周波数よりも高い遮断周波数となるように導波管の寸法を設定することにより、導波管から漏洩あるいは導波管へ侵入する電磁波を低減することができる。
【0155】
導波管を進行する電磁波の限界となる波長は、遮断波長λcと呼ばれ、式(1)により表される。なお、遮断波長λcと遮断周波数fcとの関係は、cを光速としたとき、fc=c/λcで表される。
sqrtは、平方根のルートを表す。
【0156】
[数1]
λc=1/sqrt(p1+q1)
p1={m/(2・a1)}
q1={n/(2・b1)}
・・(1)
【0157】
ここで、m、nはそれぞれのx方向及びz方向における波の数を示しており、これはモ-ド数と呼ばれる。特に導波管内を進行することができる最も周波数の低い伝送モ-ドではm=1、n=0となり、当該伝送モードは一般にTE10モードと呼ばれ、そのときの遮断波長λcは、式(2)により表される。
【0158】
[数2]
λc=2・(a1)
・・(2)
【0159】
導波管を通過する任意の波長をλとすると、矩形導波管の減衰量Q1は式(3)により表される。
【0160】
[数3]
Q1=17.372π/λc × sqrt{1-(λc/λ)
【0161】
矩形管の寸法例と減衰量について説明する。本例では、矩形管として、第1シールド管821および第2シールド管822が用いられている。
矩形管の寸法例は次のようになる。
ラベル幅は4インチで112mmである。
両端に5mm余裕幅を追加し、計117mmとなる。
通過周波数は、850MHz~950MHzである。
矩形管の開口部の長手方向の長さは、117mmであり、図13の例では寸法a1である。図13の例では、寸法a1は、横方向の内寸である。
矩形管の開口部の長手方向とは異なる方向の長さは、図13の例では寸法b1である。図13の例では、寸法b1は、縦方向の内寸である。
【0162】
減衰量の計算結果は次のようになる。
導波管の長さが150mmであるときは下記となる。この長さは、図13の例ではy軸に平行な方向である。
850MHzのときの減衰量は26.2dBである。
950MHzのときの減衰量は23.5dBである。
【0163】
また、導波管の長さが100mmであるときは下記となる。この長さは、図13の例ではy軸に平行な方向である。
850MHzのときの減衰量は17.5dBである。
950MHzのときの減衰量は15.7dBである。
【0164】
本例の構成では、RFIDタグである無線タグへの書き込み時、従来の構成と比べて、電磁波が目標タグ以外の非目標タグに到達することを防止することができ、目標タグ以外の非目標タグへの誤書き込みを防止することができる。
本例の構成では、RFIDタグである無線タグへの書き込み時、従来の構成と比べて、外来電磁波が目標タグに到達することを防止することができ、目標タグへの書き込みを正常に行うことができる。
【0165】
なお、図12の例では、シールドケース820に対して、上流側の第1シールド管821と、下流側の第2シールド管822と、を備える構成を示したが、他の例として、上流側の第1シールド管821が備えられて、下流側の第2シールド管822が備えられない構成が用いられてもよい。
【0166】
図14は、実施形態に係る管理対象物生産の処理の手順の一例を示す図である。
図14に示される処理フローの処理は、タグ書き込みプリンター1において行われる。
【0167】
ステップS21において、タグ書き込みプリンター1では、連続媒体を搬送させる。そして、タグ書き込みプリンター1では、ステップS22の処理へ移行する。
【0168】
ステップS22において、タグ書き込みプリンター1では、搬送経路に備えられたローラーを用いることで、書き込み位置の無線タグである目標タグに対して他の無線タグである非目標タグの通信を妨害しつつ、書き込み機構によって目標タグに対して情報の書き込みを行わせる。そして、タグ書き込みプリンター1では、ステップS23の処理へ移行する。
【0169】
ステップS23において、タグ書き込みプリンター1では、書き込み後の無線タグを連続媒体から分離させる。そして、タグ書き込みプリンター1では、ステップS24の処理へ移行する。
【0170】
ここで、連続媒体から無線タグを分離させる処理は、例えば、タグ書き込みプリンター1の分離機構によって自動的に行われてもよく、あるいは、ユーザーによって手動で行われてもよい。
当該分離機構としては、任意の機構が用いられてもよい。
【0171】
ステップS24において、タグ書き込みプリンター1では、分離した無線タグを管理対象に取り付けさせることで、管理対象物を生産する。そして、タグ書き込みプリンター1では、本処理フローの処理を終了する。
【0172】
本実施形態では、無線タグが取り付けられる前の対象を管理対象と呼んでおり、無線タグが取り付けられた管理対象を管理対象物と呼んでいる。
ここで、無線タグを管理対象に取り付けさせる手法としては、特に限定はなく、例えば、無線タグを管理対象に貼付する手法、あるいは、管理対象の収容部に無線タグをはめ込む手法などが用いられてもよい。
【0173】
ここで、無線タグを管理対象に取り付けさせる処理は、例えば、タグ書き込みプリンター1の取付機構によって自動的に行われてもよく、あるいは、ユーザーによって手動で行われてもよい。
当該取付機構としては、任意の機構が用いられてもよい。
【0174】
以上のように、本実施形態に係る管理対象物生産方法では、管理対象に無線タグを取り付けて管理対象物を生産することで、管理対象物を無線タグで管理することができる。
ここで、管理対象としては、様々なものが用いられてもよく、例えば、商品、または、中間部品などであってもよい。
また、管理対象物生産方法の処理は、例えば、プリンター以外の装置によって行われてもよい。
【0175】
一構成例として、タグ書き込みプリンター1は、無線タグが繰り返し搭載された連続媒体を搬送する搬送機構40と、書き込み位置で搬送されてきた連続媒体上の無線タグに無線で書き込みを行う書き込み信号を送信する書き込み機構と、無線タグに印刷を行う印刷機構50と、を備える。
タグ書き込みプリンター1では、搬送機構40は、書き込み位置に第1無線タグがある場合に、第1無線タグの隣の第2無線タグのアンテナを挟持して当該アンテナによる書き込み信号の受信を妨害するローラーを有する。
【0176】
ここで、図3図4図5の例では、第1連続媒体251が連続媒体の一例であり、第1書き込み機構211が書き込み機構の一例であり、第1無線タグT1が第1無線タグの一例であり、第2無線タグT2が第2無線タグの一例であり、第1aローラー231aおよび第1bローラー231bが第2無線タグT2の通信を妨害するローラーの一例である。
【0177】
一構成例として、タグ書き込みプリンター1において、搬送機構40は、搬送方向にローラーを移動させる第1移動機構を有する。
なお、タグ書き込みプリンター1では、第1移動機構は、必ずしも備えられなくてもよい。
【0178】
一構成例として、タグ書き込みプリンター1において、第1移動機構は、ユーザーの操作に機械的に連動する機構である。
一構成例として、タグ書き込みプリンター1において、無線タグの位置を検出する検出機構70をさらに備える。
第1移動機構は、検出機構70の検出結果に基づいてローラーを移動させる。
【0179】
一構成例として、タグ書き込みプリンター1において、ローラーは、第2無線タグのICを挟持しない構造である。
ここで、図6の例では、第2無線タグT2の第2IC331が第2無線タグのICの一例である。
また、図6の例では、第1分割ローラー421および第2分割ローラー422からなる第11ローラー411が、第2無線タグのICを挟持しない構造を有するローラーである。
なお、他の構成例として、第2無線タグのICを挟持するローラーの構造が用いられてもよい。
【0180】
一構成例として、タグ書き込みプリンター1において、搬送機構40は、搬送方向に直交し搬送される連続媒体の表面に平行な方向である交差方向にローラーを移動させる第2移動機構を有する。
なお、タグ書き込みプリンター1では、第2移動機構は、必ずしも備えられなくてもよい。
【0181】
一構成例として、タグ書き込みプリンター1において、ローラーは、同一の第1回転軸周りに設けられた2個の子ローラーから構成される。第2移動機構は、子ローラーの間隔を変化させる。
ここで、図6の例では、第1回転軸J1は、第1回転軸の一例である。
また、図6の例では、第1分割ローラー421および第2分割ローラー422は、それぞれ、子ローラーの一例である。
なお、ローラーの構成としては、他の構成が用いられてもよい。
【0182】
一構成例として、タグ書き込みプリンター1において、無線タグの位置を検出する検出機構70をさらに備える。そして、搬送方向の上流側から下流側に向かって、検出機構70、ローラー、書き込み機構、印刷機構50の順に並ぶ。
ここで、図2図5の例では、第1書き込み機構211が書き込み機構の一例であり、検出機構70と第1書き込み機構211との間の第1aローラー231aおよび第1bローラー231bが、ローラーの一例である。
なお、タグ書き込みプリンター1では、他の配置が用いられてもよい。
【0183】
一構成例として、タグ書き込みプリンター1において、第1無線タグ以外の無線タグのアンテナを挟持してアンテナによる書き込み信号の受信を妨害し、かつ、第1無線タグを挟持しない妨害ローラーを、ローラーを含めて複数備える。妨害ローラーの数は、書き込み機構の上流側の数が書き込み機構の下流側の数よりも多い。
なお、タグ書き込みプリンター1では、妨害ローラーの数としては、他の態様が用いられてもよい。
【0184】
一構成例として、タグ書き込みプリンター1において、ローラーの少なくとも表面は導電樹脂からなる。
図7の例では、第21ローラー511の第1表層部522は、導電樹脂からなってもよい。
なお、ローラーの材質としては、他の態様が用いられてもよい。
【0185】
一構成例として、タグ書き込みプリンター1において、書き込み機構と書き込み位置を包含し電磁波をシールドするシールドケースと、シールドケースから搬送方向の上流に延伸し連続媒体を包含するシールド管と、をさらに備える。連続媒体は、シールド管の入り口からシールド管内に入り、シールド管とシールドケースとの接続口をくぐりシールドケース内の書き込み位置を通って、シールドケースの出口から出る。
図12の例では、シールドケース820がシールドケースの一例であり、第1シールド管821が上流側のシールド管の一例であり、第2書き込み機構811が書き込み機構の一例である。
なお、タグ書き込みプリンター1では、シールドケースおよびシールド管は、必ずしも備えられなくてもよい。
【0186】
一構成例として、管理対象物生産方法は、無線タグが繰り返し搭載された連続媒体を搬送させ、書き込み位置で搬送されてきた連続媒体上の無線タグに無線で情報の書き込みを行わせ、書き込みの後に無線タグを連続媒体から分離させ、分離した無線タグを管理対象に取り付けさせることで管理対象物を完成させる。
そして、管理対象物生産方法は、書き込み位置に第1無線タグがある場合に、第1無線タグに続く第2無線タグが送受信を行うアンテナを挟持して当該アンテナの書き込み信号の受信を妨害して搬送をさせる。
管理対象物生産方法は、例えば、図14の例により実現されてもよい。
【0187】
以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。ここでいう「コンピューターシステム」は、オペレーティングシステムあるいは周辺機器等のハードウェアを含むものとする。「コンピューター読み取り可能な記録媒体」は、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disc)-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。「コンピューター読み取り可能な記録媒体」は、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーあるいはクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。当該揮発性メモリーは、RAMであってもよい。記録媒体は、非一時的記録媒体であってもよい。
【0188】
上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイルであってもよい。差分ファイルは、差分プログラムと呼ばれてもよい。
【0189】
以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能は、プロセッサーにより実現されてもよい。実施形態における各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサーと、プログラム等の情報を記憶するコンピューター読み取り可能な記録媒体により実現されてもよい。プロセッサーは、各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよく、あるいは、各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。プロセッサーはハードウェアを含み、当該ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路のうちの少なくとも一方を含んでもよい。プロセッサーは、回路基板に実装された1または複数の回路装置、あるいは、1または複数の回路素子のうちの一方または両方を用いて、構成されてもよい。回路装置としてはICなどが用いられてもよく、回路素子としては抵抗あるいはキャパシターなどが用いられてもよい。
【0190】
プロセッサーは、CPUであってもよい。ただし、プロセッサーは、CPUに限定されるものではなく、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等のような、各種のプロセッサーが用いられてもよい。プロセッサーは、ASICによるハードウェア回路であってもよい。プロセッサーは、複数のCPUにより構成されていてもよく、あるいは、複数のASICによるハードウェア回路により構成されていてもよい。プロセッサーは、複数のCPUと、複数のASICによるハードウェア回路と、の組み合わせにより構成されていてもよい。プロセッサーは、アナログ信号を処理するアンプ回路あるいはフィルター回路等のうちの1以上を含んでもよい。
【0191】
以上、実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、図2における-Y方向が鉛直下方になるように構成され、側方から書き込みや印刷を行って、印刷後の連続媒体が鉛直上方に出てきてもよい。或いは、図2における+Z方向が鉛直下方になるように構成され、鉛直下方から書き込みや印刷を行ってもよい。また、書き込み機構よりも上流側に印刷機構を設けて、印刷後に書き込みを行ってもよい。印刷を別装置で行うことを想定した場合などは、印刷機構を設けない書き込み装置として本発明を実現してもよい。
【0192】
[付記]
[構成例1]
無線タグが繰り返し搭載された連続媒体を搬送する搬送機構と、
書き込み位置で搬送されてきた連続媒体上の無線タグに無線で書き込みを行う書き込み信号を送信する書き込み機構と、
前記無線タグに印刷を行う印刷機構と、
を備えたタグ書き込みプリンターであって、
前記搬送機構は、前記書き込み位置に第1無線タグがある場合に、前記第1無線タグの隣の第2無線タグのアンテナを挟持して前記アンテナによる書き込み信号の受信を妨害するローラーを有する、
タグ書き込みプリンター。
【0193】
[構成例2]
前記搬送機構は、搬送方向に前記ローラーを移動させる第1移動機構を有する、
[構成例1]に記載のタグ書き込みプリンター。
【0194】
[構成例3]
前記第1移動機構は、ユーザーの操作に機械的に連動する機構である、
[構成例2]に記載のタグ書き込みプリンター。
【0195】
[構成例4]
前記無線タグの位置を検出する検出機構をさらに備え、
前記第1移動機構は、前記検出機構の検出結果に基づいて前記ローラーを移動させる、
[構成例2]に記載のタグ書き込みプリンター。
【0196】
[構成例5]
前記ローラーは、前記第2無線タグのICを挟持しない構造である、
[構成例1]から[構成例4]のいずれか1項に記載のタグ書き込みプリンター。
【0197】
[構成例6]
前記搬送機構は、搬送方向に直交し搬送される前記連続媒体の表面に平行な方向である交差方向に前記ローラーを移動させる第2移動機構を有する。
[構成例1]から[構成例5]のいずれか1項に記載のタグ書き込みプリンター。
【0198】
[構成例7]
前記ローラーは、同一の第1回転軸周りに設けられた2個の子ローラーから構成され、
前記第2移動機構は、前記子ローラーの間隔を変化させる、
[構成例6]に記載のタグ書き込みプリンター。
【0199】
[構成例8]
前記無線タグの位置を検出する検出機構をさらに備え、
搬送方向の上流側から下流側に向かって、前記検出機構、前記ローラー、前記書き込み機構、前記印刷機構の順に並ぶ、
[構成例1]から[構成例3]のいずれか1項に記載のタグ書き込みプリンター。
【0200】
[構成例9]
前記第1無線タグ以外の前記無線タグの前記アンテナを挟持して前記アンテナによる書き込み信号の受信を妨害し、かつ、前記第1無線タグを挟持しない妨害ローラーを、前記ローラーを含めて複数備え、
前記妨害ローラーの数は、前記書き込み機構の上流側の数が前記書き込み機構の下流側の数よりも多い、
[構成例1]から[構成例8]のいずれか1項に記載のタグ書き込みプリンター。
【0201】
[構成例10]
前記ローラーの少なくとも表面は導電樹脂からなる、
[構成例1]から[構成例9]のいずれか1項に記載のタグ書き込みプリンター。
【0202】
[構成例11]
前記書き込み機構と書き込み位置を包含し電磁波をシールドするシールドケースと、
前記シールドケースから搬送方向の上流に延伸し前記連続媒体を包含するシールド管と、をさらに備え、
前記連続媒体は、前記シールド管の入り口から前記シールド管内に入り、前記シールド管と前記シールドケースとの接続口をくぐり前記シールドケース内の書き込み位置を通って、前記シールドケースの出口から出る、
[構成例1]から[構成例10]のいずれか1項に記載のタグ書き込みプリンター。
【0203】
[構成例12]
無線タグが繰り返し搭載された連続媒体を搬送させ、
書き込み位置で搬送されてきた前記連続媒体上の前記無線タグに無線で情報の書き込みを行わせ、
書き込みの後に前記無線タグを前記連続媒体から分離させ、
分離した前記無線タグを管理対象に取り付けさせることで管理対象物を完成させる、
管理対象物生産方法であって、
書き込み位置に第1無線タグがある場合に、前記第1無線タグに続く第2無線タグが送受信を行うアンテナを挟持して前記アンテナの書き込み信号の受信を妨害して搬送をさせる、
管理対象物生産方法。
【符号の説明】
【0204】
1…タグ書き込みプリンター、11…装置ケース、12…表示・操作パネル、13…インクカートリッジ交換口、14…排出口、15…前面カバー、15a…第1ヒンジ、16…上面カバー、16a…第2ヒンジ、16b…開閉ロック、20…連続紙、21…台紙、22…印刷媒体、30…ロール紙収容部、31…ロール紙装着部、33…紙管、40…搬送機構、41…搬送ローラー、41a…搬送駆動ローラー、41b…搬送従動ローラー、50…印刷機構、51…キャリッジ、51a…キャリッジ軸、53…印刷ヘッド、55…プラテン、60…切断機構、61…自動カッター、61a…可動刃、61b…固定刃、70…検出機構、71…反射型光学センサー、71a…反射センサー発光部、71b…反射センサー受光部、73…透過型光学センサー、73a…透過センサー発光部、73b…透過センサー受光部、100…ロール紙、201…第1書き込み部、201a…第1a書き込み部、211…第1書き込み機構、231a…第1aローラー、231b…第1bローラー、232a…第2aローラー、232b…第2bローラー、221a…第3aローラー、221b…第3bローラー、233a…第4aローラー、233b…第4bローラー、222a…第5aローラー、222b…第5bローラー、223a…第6aローラー、223b…第6bローラー、261…第1台紙、311…第1IC、321…第1-1アンテナ部、322…第1-2アンテナ部、331…第2IC、341…第2-1アンテナ部、342…第2-2アンテナ部、351…第3IC、361…第3-1アンテナ部、362…第3-2アンテナ部、411…第11ローラー、421…第1分割ローラー、422…第2分割ローラー、511…第21ローラー、521…第1芯部、522…第1表層部、631a…第31aローラー、631b…第31bローラー、632a…第32aローラー、632b…第32bローラー、633a…第33aローラー、633b…第33bローラー、621a…第21aローラー、621b…第21bローラー、622a…第22aローラー、622b…第22bローラー、711…第2連続媒体、721…第2台紙、731…第3連続媒体、741…第3台紙、801…第2書き込み部、811…第2書き込み機構、820…シールドケース、821…第1シールド管、822…第2シールド管、851…第11連続媒体、861…第11台紙、1001…管理対象物、1011…管理対象、J1…第1回転軸、K…搬送経路、R1…第1領域、SH1…第1シート、SH2…第2シート、SH3…第3シート、T1…第1無線タグ、T2…第2無線タグ、T3…第3無線タグ、T11…第11無線タグ、T12…第12無線タグ、T13…第13無線タグ、T21…第21無線タグ、T22…第22無線タグ、T23…第23無線タグ、T31…第31無線タグ、T32…第32無線タグ、T33…第33無線タグ、T101…分離後無線タグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14