IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-振動素子 図1
  • 特開-振動素子 図2
  • 特開-振動素子 図3
  • 特開-振動素子 図4
  • 特開-振動素子 図5
  • 特開-振動素子 図6
  • 特開-振動素子 図7
  • 特開-振動素子 図8
  • 特開-振動素子 図9
  • 特開-振動素子 図10
  • 特開-振動素子 図11
  • 特開-振動素子 図12
  • 特開-振動素子 図13
  • 特開-振動素子 図14
  • 特開-振動素子 図15
  • 特開-振動素子 図16
  • 特開-振動素子 図17
  • 特開-振動素子 図18
  • 特開-振動素子 図19
  • 特開-振動素子 図20
  • 特開-振動素子 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051471
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】振動素子
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
H03H9/19 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157659
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】川内 修
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108BB02
5J108CC04
5J108CC09
5J108DD02
5J108EE03
5J108EE07
5J108EE18
5J108FF06
5J108GG03
5J108GG15
5J108GG16
5J108HH06
(57)【要約】
【課題】衝撃等による破損を抑制することのできる振動素子を提供すること。
【解決手段】振動素子は、表裏関係にある第1面および第2面を備える板状をなし、振動部と、支持部と、振動部と支持部とを連結し支持部よりも厚さが小さい部分を有する連結部と、を有する振動基板と、振動部の第1面に配置されている第1励振電極と、振動部の第2面に配置されている第2励振電極と、支持部に配置されている第1パッド電極と、支持部に配置されている第2パッド電極と、連結部に配置され、第1励振電極と第1パッド電極とを接続している第1接続電極と、連結部に配置され、第2励振電極と第2パッド電極とを接続している第2接続電極と、を有する電極層と、連結部に位置する第1接続電極の上層に配置され、電極層よりも厚さが大きい第1金属膜と、連結部に位置する第2接続電極の上層に配置され、電極層よりも厚さが大きい第2金属膜と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏関係にある第1面および第2面を備える板状をなし、振動部と、支持部と、前記振動部と前記支持部とを連結し前記支持部よりも厚さが小さい部分を有する連結部と、を有する振動基板と、
前記振動部の前記第1面に配置されている第1励振電極と、前記振動部の前記第2面に配置されている第2励振電極と、前記支持部に配置されている第1パッド電極と、前記支持部に配置されている第2パッド電極と、前記連結部に配置され、前記第1励振電極と前記第1パッド電極とを接続している第1接続電極と、前記連結部に配置され、前記第2励振電極と前記第2パッド電極とを接続している第2接続電極と、を有する電極層と、
前記連結部に位置する前記第1接続電極の上層に配置され、前記電極層よりも厚さが大きい第1金属膜と、
前記連結部に位置する前記第2接続電極の上層に配置され、前記電極層よりも厚さが大きい第2金属膜と、を有することを特徴とする振動素子。
【請求項2】
前記第1金属膜および前記第2金属膜は、それぞれ、前記連結部および前記支持部に跨って配置されている請求項1に記載の振動素子。
【請求項3】
前記第1金属膜および前記第2金属膜は、それぞれ、前記連結部および前記振動部に跨って配置されている請求項2に記載の振動素子。
【請求項4】
前記連結部は、前記振動部よりも厚さが小さい部分を有する請求項1に記載の振動素子。
【請求項5】
前記支持部は、前記第1パッド電極が配置されている第1支持部および前記第2パッド電極が配置されている第2支持部を有し、
前記連結部は、前記支持部と前記振動部との間に位置し、前記支持部と前記振動部とを仕切る第1仕切り部と、前記第1支持部と前記第2支持部との間に位置し、前記第1支持部と前記第2支持部とを仕切る第2仕切り部と、を有する請求項1に記載の振動素子。
【請求項6】
前記支持部は、互いに離間して配置されている第1支持部および第2支持部を有し、
前記第1支持部に前記第1パッド電極が配置され、
前記第2支持部に前記第2パッド電極が配置されている請求項1に記載の振動素子。
【請求項7】
前記連結部は、前記第1支持部と前記振動部とを連結する第1連結部と、前記第2支持部と前記振動部とを連結する第2連結部と、を有する請求項6に記載の振動素子。
【請求項8】
前記第1連結部は、前記第1支持部よりも幅が狭く、
前記第2連結部は、前記第2支持部よりも幅が狭い請求項7に記載の振動素子。
【請求項9】
前記連結部の前記第2面、前記支持部の前記第2面および前記振動部の前記第2面は、連続する平坦面であり、
前記第2面側に前記第1金属膜および前記第2金属膜が配置されている請求項1に記載の振動素子。
【請求項10】
前記第1金属膜の上層に配置されている第3金属膜と、
前記第2金属膜の上層に配置されている第4金属膜と、を有する請求項1に記載の振動素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動素子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された振動素子は、振動基板と、振動基板に配置された電極と、を有する。また、振動基板は、振動部と、振動部を支持する支持部と、振動部と支持部とを連結する連結部と、を有し、連結部が支持部および振動部よりも薄くなっている。このような振動素子は、支持部においてパッケージ等の固定対象物に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-141317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の振動素子では、連結部が支持部および振動部よりも薄いため、外部からの衝撃などによって連結部が破損し易いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の振動素子は、表裏関係にある第1面および第2面を備える板状をなし、振動部と、支持部と、前記振動部と前記支持部とを連結し前記支持部よりも厚さが小さい部分を有する連結部と、を有する振動基板と、
前記振動部の前記第1面に配置されている第1励振電極と、前記振動部の前記第2面に配置されている第2励振電極と、前記支持部に配置されている第1パッド電極と、前記支持部に配置されている第2パッド電極と、前記連結部に配置され、前記第1励振電極と前記第1パッド電極とを接続している第1接続電極と、前記連結部に配置され、前記第2励振電極と前記第2パッド電極とを接続している第2接続電極と、を有する電極層と、
前記連結部に位置する前記第1接続電極の上層に配置され、前記電極層よりも厚さが大きい第1金属膜と、
前記連結部に位置する前記第2接続電極の上層に配置され、前記電極層よりも厚さが大きい第2金属膜と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の第1実施形態に係る振動子を示す断面図である。
図2図1の振動子が有する振動素子を示す上面図である。
図3】振動素子の斜視図である。
図4図2中のA-A線断面図である。
図5図2中のB-B線断面図である。
図6】金属膜の図示を省略した振動素子の上面図である。
図7】振動素子の変形例を示す上面図である。
図8】振動素子の変形例を示す上面図である。
図9】振動素子の変形例を示す上面図である。
図10】振動素子の変形例を示す上面図である。
図11】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
図12】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
図13】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
図14】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
図15】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
図16】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
図17】本発明の第2実施形態に係る振動素子を示す断面図である。
図18】本発明の第2実施形態に係る振動素子を示す断面図である。
図19】本発明の第3実施形態に係る振動素子を示す断面図である。
図20】本発明の第3実施形態に係る振動素子を示す断面図である。
図21】本発明の第4実施形態に係る振動素子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の振動素子を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0008】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る振動子を示す断面図である。図2は、図1の振動子が有する振動素子を示す上面図である。図3は、振動素子の斜視図である。図4は、図2中のA-A線断面図である。図5は、図2中のB-B線断面図である。図6は、金属膜の図示を省略した振動素子の上面図である。図7ないし図10は、それぞれ、振動素子の変形例を示す上面図である。図11ないし図16は、それぞれ、振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【0009】
図1に示す振動子1は、パッケージ2と、パッケージ2に収容された振動素子3と、を有する。
【0010】
また、パッケージ2は、ベース21と、リッド22と、を有する。ベース21は、箱状をなし、その上面に開口する凹部211を有する。そして、凹部211の底面に振動素子3が接合部材B1、B2により実装されている。一方、リッド22は、板状をなし、凹部211の開口を塞ぐようにして、シールリング、低融点ガラス等の封止部材23を介してベース21の上面に接合されている。これにより、凹部211が気密封止され、パッケージ2内に収容空間Sが形成される。収容空間Sは、気密であり、減圧状態、好ましくは真空またはそれに近い状態となっている。これにより、粘性抵抗が減り、振動素子3の発振特性が高まる。
【0011】
ベース21およびリッド22の構成材料としては、それぞれ、特に限定されない。例えば、ベース21をアルミナ、チタニア等の各種セラミック材料で構成し、リッド22をコバール等の各種金属材料で構成することができる。これにより、ベース21とリッド22との線膨張係数差が小さくなり、熱応力が生じ難いパッケージ2となる。
【0012】
また、凹部211の底面には一対の内部端子241、242が配置され、ベース21の下面には一対の外部端子251、252が配置されている。内部端子241は、ベース21内に形成された図示しない内部配線を介して外部端子251と電気的に接続されている。同様に、内部端子242は、前記内部配線を介して外部端子252と電気的に接続されている。また、内部端子241は、導電性の接合部材B1を介して振動素子3と電気的に接続され、内部端子242は、導電性の接合部材B2を介して振動素子3と電気的に接続されている。
【0013】
接合部材B1、B2としては、導電性と接合性とを兼ね備えていれば、特に限定されず、例えば、金バンプ、銀バンプ、銅バンプ、はんだバンプ等の各種金属バンプ、銀ペースト、銅ペースト等の各種導電性ペースト、ポリイミド系、エポキシ系、シリコーン系、アクリル系の各種接着剤に銀フィラー等の導電性フィラーを分散させた導電性接着剤等を用いることができる。接合部材B1、B2として前者の金属バンプを用いると、接合部材B1、B2からのガスの発生を抑制でき、収容空間Sの環境変化、特に圧力の上昇を効果的に抑制することができる。また、接合部材B1、B2が濡れ広がらないため、接合部材B1、B2を狭ピッチで配置することができ、振動子1の小型化を図ることができる。一方、接合部材B1、B2として後者の導電性接着剤を用いると、接合部材B1、B2が金属パンプに比べて柔らかくなり、振動素子3に応力が伝わり難くなる。
【0014】
図2および図3に示すように、振動素子3は、ATカットの水晶基板である振動基板4と、振動基板4に配置された電極層5および金属膜6と、を有する。ATカットの水晶基板は、厚みすべり振動モードを有し、三次の周波数温度特性を有している。そのため、優れた温度特性を有する振動素子3となる。ただし、振動基板4のカット角は、特に限定されない。
【0015】
ATカットの水晶基板について簡単に説明すると、水晶基板は、互いに直交する結晶軸X、Y、Zを有している。X軸、Y軸、Z軸は、それぞれ、電気軸、機械軸、光学軸と呼ばれる。ATカットの水晶基板は、X-Z面をX軸回りに所定の角度θ回転させた平面に沿って切り出された「回転Yカット水晶基板」であり、θ=35°15’回転させた平面に沿って切り出した基板を「ATカット水晶基板」という。なお、以下では、角度θに対応してX軸まわりに回転したY軸およびZ軸をY’軸およびZ’軸とする。すなわち、水晶基板は、Y’軸方向に厚みを有し、X-Z’面方向に広がりを有する。また、以下では、各軸の矢印先端側を「プラス側」とも言い、その反対側を「マイナス側」とも言う。
【0016】
振動基板4は、板状であり、表裏関係にある第1面としての上面4aと第2面としての下面4bと、を有する。また、振動基板4は、平面視で、矩形、特にX軸方向を長手とする長方形である。ただし、振動基板4の平面視形状は、特に限定されず、例えば、正方形であってもよいし、円形、楕円形など矩形以外の形状であってもよい。また、振動基板4は、振動部41と、振動部41を支持する支持部42と、振動部41と支持部42との間に位置し、これらを連結する連結部43と、を有する。また、支持部42は、振動部41のX軸方向マイナス側に位置している。このような振動素子3は、図2に示すように、支持部42において接合部材B1、B2を介してベース21に固定されている。
【0017】
なお、本実施形態では、振動部41は、全体が均一な厚みを有する構成となっているが、これに限定されず、所謂「メサ型」、「逆メサ型」であってもよい。
【0018】
また、支持部42および振動部41は、互いに同じ厚さである。これに対して、連結部43は、支持部42よりも厚さが小さい。つまり、図4および図5に示すように、振動部41の厚さをt1とし、支持部42の厚さをt2と、連結部43の厚さをt3としたとき、t3<t1、t3<t2である。これにより、連結部43が振動基板4内で最も薄い部分となる。そのため、連結部43が変形し易くなり、ベース21から加わる応力、特にベース21と振動基板4との線膨張係数差に起因した熱応力を効果的に吸収、緩和することができる。そのため、振動部41に応力が伝わり難くなり、振動特性の変動を効果的に抑制することができる。したがって、優れた振動特性を有する振動素子3となる。
【0019】
t1、t2としては、特に限定されず、振動素子3の周波数によっても異なるが、例えば、30μm以上100μm以下程度とすることができる。また、t3としては、特に限定されず、振動部41の寸法などによっても異なるが、例えば、5μm以上15μm以下程度とすることが好ましく、10μm程度とすることがより好ましい。これにより、連結部43が十分に柔らかくなり、ベース21からの応力をより効果的に吸収、緩和することができる。また、本実施形態では、連結部43の全体が支持部42および振動部41よりも薄くなっているが、これに限定されず、連結部43の少なくとも一部が支持部42および振動部41よりも薄くなっていればよい。
【0020】
また、連結部43は、上下両側に凹んで形成されている。つまり、連結部43の上面4aは、支持部42の上面4aよりも下側に位置し、連結部43の下面4bは、支持部42の下面4bよりも上側に位置している。そして、連結部43の厚さ中心と支持部42および振動部41の厚さ中心とが同じX-Z’平面上に位置している。したがって、振動基板4は、上下対称の形状となる。これにより、振動素子3をベース21に対して上下どちらの向きでも実装することができるため、振動子1の製造が容易となる。
【0021】
また、図6に示すように、支持部42は、2つに分割されており、Z’軸方向に並んで互いに離間して配置された第1支持部421および第2支持部422を有する。第1、第2支持部421、422は、振動部41の中心を通りX軸方向に延びる中心線に対して対称的に配置されている。そして、第1支持部421が接合部材B1と接合され、第2支持部422が接合部材B2と接合されている。このような構成によれば、主に連結部43が変形して第1、第2支持部421、422が離間または接近することで、ベース21から加わる応力をより効果的に吸収、緩和することができる。そのため、ベース21からの応力が振動部41により伝わり難くなり、振動特性の変動を効果的に抑制することができる。したがって、優れた振動特性を有する振動素子3となる。
【0022】
同様に、連結部43は、2つに分割されており、Z’軸方向に並んで互いに離間して配置された第1連結部431および第2連結部432を有する。第1連結部431は、第1支持部421と振動部41とを連結し、第2連結部432は、第2支持部422と振動部41とを連結している。また、第1、第2連結部431、432は、振動部41の中心を通りX軸方向に延びる中心線に対して対称的に配置されている。このような構成によれば、連結部43がより変形し易くなり、第1、第2支持部421、422が離間または接近し易くなる。したがって、ベース21から加わる応力をより効果的に吸収、緩和することができる。そのため、ベース21からの応力が振動部41により伝わり難くなり、振動特性の変動を効果的に抑制することができる。したがって、優れた振動特性を有する振動素子3となる。
【0023】
特に、第1連結部431の幅W31は、第1支持部421の幅W21よりも小さい。つまり、W31<W21である。同様に、第2連結部432の幅W32は、第2支持部422の幅W22よりも小さい。つまり、W32<W22である。これにより、第1、第2支持部421、422の根元部分に当たる第1、第2連結部431、432がそれぞれ柔らかくなり、第1支持部421および第2支持部422が離間または接近し易くなる。したがって、ベース21から加わる応力をより効果的に吸収、緩和することができる。そのため、ベース21からの応力が振動部41により伝わり難くなり、振動特性の変動を効果的に抑制することができる。したがって、優れた振動特性を有する振動素子3となる。
【0024】
図3図4および図5に示すように、電極層5は、振動部41の上面4aに配置された第1励振電極511と、振動部41の下面4bに第1励振電極511と対向して配置された第2励振電極521と、第1支持部421に配置された第1パッド電極512と、第2支持部422に配置された第2パッド電極522と、第1励振電極511と第1パッド電極512とを電気的に接続する第1接続電極513と、第2励振電極521と第2パッド電極522とを電気的に接続する第2接続電極523と、を有する。そして、第1パッド電極512が接合部材B1を介して内部端子241と電気的に接続され、第2パッド電極522が接合部材B2を介して内部端子242と電気的に接続されている。これにより、パッケージ2と振動素子3とが電気的に接続される。
【0025】
また、第1パッド電極512は、第1支持部421の表面全体に形成され、第1接続電極513は、第1連結部431の表面全体に形成されている。同様に、第2パッド電極522は、第2支持部422の表面全体に形成され、第2接続電極523は、第2連結部432の表面全体に形成されている。ただし、第1、第2パッド電極512、522および第1、第2接続電極513、523の配置は、特に限定されない。
【0026】
このような電極層5は、振動基板4の表面に成膜した金属膜をフォトリソグラフィー技法およびエッチング技法を用いてパターニングすることで形成されている。なお、電極層5の構成としては、導電性を有していれば、特に限定されないが、例えば、Cr(クロム)の下地層とAu(金)の表層との積層体で構成することができる。また、電極層5の厚さは、特に限定されないが、3000Å程度である。
【0027】
前述したように、振動素子3では、連結部43を支持部42および振動部41よりも薄くすることによりベース21から加わる応力を吸収、緩和しているが、その分、機械的強度が低下し、衝撃によって破損するおそれがある。そこで、振動素子3は、連結部43を補強するための金属膜6をさらに有する。
【0028】
図2ないし図5に示すように、金属膜6は、第1連結部431に位置する第1接続電極513上に配置され、第1連結部431を補強する第1金属膜61と、第2連結部432に位置する第2接続電極523上に配置され、第2連結部432を補強する第2金属膜62と、を有する。これにより、連結部43の強度が高められ、振動素子3の耐衝撃性を高めることができる。なお、連結部43を薄くし、足りない分の強度を第1、第2金属膜61、62で補う構成とすることで、連結部43の粘り強さが増し、応力の吸収、緩和と機械的強度の確保とをバランスよく両立することができる。
【0029】
なお、本実施形態では、金属膜6は、第1、第2連結部431、432に位置する第1、第2接続電極513、514上に直接配置されているが、これに限定されない。つまり、金属膜6は、第1、第2接続電極513、514との間に他の金属層を介して配置されていてもよい。言い換えると、金属膜6は、第1、第2連結部431、432に位置する第1、第2接続電極513、514の上層に配置されていればよい。
【0030】
また、第1金属膜61は、第1連結部431の表面全体を覆っている。これにより、第1連結部431を効果的に補強することができる。また、第1金属膜61は、第1連結部431と第1支持部421とに跨って形成されている。また、第1金属膜61は、第1連結部431と振動部41とに跨って形成されている。これにより、応力が集中し易い箇所である第1連結部431と第1支持部421との境界部や第1連結部431と振動部41との境界部が第1金属膜61で覆われ、当該部分の機械的強度が向上する。
【0031】
また、第2金属膜62は、第2連結部432の表面全体を覆っている。これにより、第2連結部432を効果的に補強することができる。また、第2金属膜62は、第2連結部432と第2支持部422とに跨って形成されている。また、第2金属膜62は、第2連結部432と振動部41とに跨って形成されている。これにより、応力が集中し易い箇所である第2連結部432と第2支持部422との境界部や第2連結部432と振動部41との境界部が第2金属膜62で覆われ、当該部分の機械的強度が向上する。
【0032】
第1、第2金属膜61、62の厚さt6は、電極層5の厚さt5よりも大きい。つまり、t6>t5である。なお、厚さt6、t5は、平均厚さを意味する。これにより、第1、第2金属膜61、62により連結部43を効果的に補強することができる。厚さt6としては、特に限定されず、振動基板4の寸法等によっても異なるが、例えば、5μm以上50μm以下であることが好ましい。これにより、第1、第2金属膜61、62が十分に厚くなり、振動基板4の補強効果がより顕著となる。
【0033】
なお、第1、第2金属膜61、62の構成材料としては、特に限定されないが、本実施形態では、ニッケル(Ni)で構成されている。これにより、高い強度の第1、第2金属膜61、62が得られる。また、めっき法を用いることで第1、第2金属膜61、62を容易に厚く形成することができる。
【0034】
以上、振動素子3の構成について説明した。ただし、振動素子3の構成は、特に限定されず、例えば、図7ないし図10のような構成であってもよい。なお、図7ないし図10では、説明の便宜上、電極層5および金属膜6の図示を省略している。
【0035】
例えば、本実施形態では、第1連結部431が第1支持部421に対して振動基板4の外縁側に偏って配置され、第2連結部432が第2支持部422に対して振動基板4の外縁側に偏って配置されているが、これに限定されず、図7に示すように、第1連結部431が第1支持部421に対して振動基板4の内側に偏って配置され、第2連結部432が第2支持部422に対して振動基板4の内側に偏って配置されていてもよい。
【0036】
また、図8に示すように、第1連結部431の幅が第1支持部421の幅と等しく、第2連結部432の幅が第2支持部422の幅と等しくてもよい。また、図9に示すように、第1、第2連結部431、432がそれぞれZ’軸方向に並んで複数形成されていてもよい。また、図10に示すように、第1、第2連結部431、432が途中で1回以上屈曲または湾曲した形状であってもよい。
【0037】
次に、振動素子3の製造方法について説明する。まず、図11に示すように、振動基板4の母材であるATカットの水晶基板400を準備する。水晶基板400は、振動基板4よりも大きく、水晶基板400から複数の振動基板4を形成することができる。次に、図12に示すように、水晶基板400をフォトリソグラフィー技法およびエッチング技法を用いてパターニングし、振動基板4を形成する。次に、図13に示すように、振動基板4に電極層5を形成する。電極層5は、振動基板4の表面に金属膜を成膜し、製膜した金属膜をフォトリソグラフィー技法およびエッチング技法を用いてパターニングすることで形成することができる。次に、図14に示すように、振動基板4上に、第1、第2金属膜61、62を成膜する領域が開口するマスクMを形成する。次に、図15に示すように、無電解めっき法により、振動基板4の表面に金属膜6を成膜する。最後に、図16に示すように、マスクMを除去する。これにより、振動素子3が得られる。このような製造方法によれば、簡単に振動素子3を製造することができる。
【0038】
以上、振動子1について説明した。このような振動子1が有する振動素子3は、前述したように、表裏関係にある第1面である上面4aおよび第2面である下面4bを備える板状をなし、振動部41と、支持部42と、振動部41と支持部42とを連結し支持部42よりも厚さが小さい部分を有する連結部43と、を有する振動基板4と、振動部41の上面4aに配置されている第1励振電極511と、振動部41の下面4bに配置されている第2励振電極521と、支持部42に配置されている第1パッド電極512と、支持部42に配置されている第2パッド電極522と、連結部43に配置され、第1励振電極511と第1パッド電極512とを接続している第1接続電極513と、連結部43に配置され、第2励振電極521と第2パッド電極522とを接続している第2接続電極523と、を有する電極層5と、連結部43に位置する第1接続電極513の上層に配置され、電極層5よりも厚さが大きい第1金属膜61と、連結部43に位置する第2接続電極523の上層に配置され、電極層5よりも厚さが大きい第2金属膜62と、を有する。このような構成によれば、連結部43が変形し易くなり、ベース21から加わる応力を効果的に吸収、緩和することができる。そのため、振動部41に応力が伝わり難くなり、応力に起因する振動特性の変動を効果的に抑制することができる。したがって、優れた振動特性を有する振動素子3となる。さらに、連結部43に第1、第2金属膜61、62を配置することで、連結部43が補強され、耐衝撃性に優れた振動素子3となる。
【0039】
また、前述したように、第1金属膜61および第2金属膜62は、それぞれ、連結部43および支持部42に跨って配置されている。このような構成とすることにより、応力が集中し易い箇所である連結部43と支持部42との境界部が第1、第2金属膜61、62で覆われ、当該部分の機械的強度が向上する。
【0040】
また、前述したように、第1金属膜61および第2金属膜62は、それぞれ、連結部43および振動部41に跨って配置されている。このような構成とすることにより、応力が集中し易い箇所である連結部43と振動部41との境界部が第1、第2金属膜61、62で覆われ、当該部分の機械的強度が向上する。
【0041】
また、前述したように、連結部43は、振動部41よりも厚さが小さい部分を有する。このような構成によれば、連結部43が変形し易くなり、ベース21から加わる応力を効果的に吸収、緩和することができる。そのため、振動部41に応力が伝わり難くなり、応力に起因する振動特性の変動を効果的に抑制することができる。
【0042】
また、前述したように、支持部42は、互いに離間して配置されている第1支持部421および第2支持部422を有し、第1支持部421に第1パッド電極512が配置され、第2支持部422に第2パッド電極522が配置されている。これにより、第1、第2支持部421、422が離間または接近することで、ベース21から加わる応力をより効果的に吸収、緩和することができる。そのため、ベース21からの応力が振動部41により伝わり難くなり、振動特性の変動を効果的に抑制することができる。
【0043】
また、前述したように、連結部43は、第1支持部421と振動部41とを連結する第1連結部431と、第2支持部422と振動部41とを連結する第2連結部432と、を有する。これにより、連結部43がより変形し易くなり、第1、第2支持部421、422が離間または接近し易くなる。したがって、ベース21から加わる応力をより効果的に吸収、緩和することができる。
【0044】
また、前述したように、第1連結部431は、第1支持部421よりも幅が狭く、第2連結部432は、第2支持部422よりも幅が狭い。これにより、第1、第2連結部431、432がそれぞれより柔らかくなり、第1支持部421および第2支持部422がより離間または接近し易くなる。したがって、ベース21から加わる応力をより効果的に吸収、緩和することができる。
【0045】
<第2実施形態>
図17および図18は、それぞれ、本発明の第2実施形態に係る振動素子を示す断面図である。なお、図17は、図2中のA-A線断面図に相当する図であり、図18は、図2中のB-B線断面図に相当する図である。
【0046】
本実施形態に係る振動素子3は、さらに、第1金属膜61および第2金属膜62が第1、第2支持部421、422の側面および上下面の全体に形成されていることと、第3金属膜63および第4金属膜64を有すること以外は、前述した第1実施形態の振動素子3と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態の振動素子3に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の各図では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0047】
図17および図18に示す振動素子3は、さらに、第1金属膜61が第1支持部421の側面および上下面の全体に形成されている。具体的には、第1金属膜61は、第1支持部421のX軸方向のマイナス側に位置する側面と、第1支持部421の上面4aと、第1支持部421の下面4bとに、第1パッド電極512を介して形成されている。
【0048】
また、図17および図18に示す振動素子3は、第2金属膜62が第2支持部422の側面および上下面の全体に形成されている。具体的には、第2金属膜62は、第2支持部422のX軸方向のマイナス側に位置する側面と、第1支持部422の上面4aと、第2支持部422の下面4bとに、第2パッド電極522を介して形成されている。
【0049】
また、図17および図18に示す振動素子3は、第1金属膜61上に配置された第3金属膜63と、第2金属膜62上に配置された第4金属膜64と、を有する。これらの構成により、支持部42をより効果的に補強することができる。第3金属膜63および第4金属膜64としては、特に限定されないが、本実施形態では、Au(金)で構成されている。これにより、第1、第2金属膜61、62の腐食、酸化を抑制することができる。また、接合部材B1、B2として利用される金バンプとの相性が良く、振動素子3をベース21により強固に接合することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、第3金属膜63は、第1金属膜61上に直接配置され、第4金属膜64は、第2金属膜62上に直接配置されているが、これに限定されない。つまり、第3金属膜63は、第1金属膜61上に他の金属層を介して配置されていてもよく、第4金属膜64は、第2金属膜62上に他の金属層を介して配置されていてもよい。言い換えると、第3金属膜63は、第1金属膜61の上層に配置されていればよく、第4金属膜64は、第2金属膜62の上層に配置されていればよい。
【0051】
以上のように、本実施形態の振動素子3は、第1金属膜61の上層に配置されている第3金属膜63と、第2金属膜62の上層に配置されている第4金属膜64と、を有する。これにより、支持部42をより効果的に補強することができる。特に、第3金属膜63および第4金属膜64をAu(金)で構成することにより、第1、第2金属膜61、62の腐食、酸化を抑制することができる。また、接合部材B1、B2として利用される金バンプとの相性が良く、振動素子3をベース21により強固に接合することができる。
【0052】
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0053】
<第3実施形態>
図19および図20は、それぞれ、本発明の第3実施形態に係る振動素子を示す断面図である。なお、図19は、図2中のA-A線断面図に相当する図であり、図20は、図2中のB-B線断面図に相当する図である。
【0054】
本実施形態に係る振動素子3は、振動基板4の形状が異なること以外は、前述した第1実施形態の振動素子3と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態の振動素子3に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の各図では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0055】
図19および図20に示す振動素子3は、連結部43の下面4bと、支持部42の下面4bと、振動部41の下面4bと、が連続した平坦面で構成されている。そして、第1金属膜61は、第2連結部431の下面4bに配置され、第2金属膜62は、第2連結部432の下面4bに配置されている。つまり、連結部43の上面4aや側面には、第1、第2金属膜61、62が配置されていない。このような構成とすることにより、振動基板4の外形形状を形成する前に第1、第2金属膜61、62を形成することができる。そのため、第1、第2金属膜61、62の形成精度が高まる。
【0056】
また、本実施形態では、第1金属膜61および第2金属膜62は、第1、第2支持部421、422の下面4bの一部に配置されているが、これに限定されない。つまり、第1金属膜61および第2金属膜62は、第1、第2支持部421、422の下面4bの全体に配置されていてもよい。これにより、応力が集中し易い箇所である第1、第2連結部431、432と第1、第2支持部421、422との境界部の機械的強度を向上できる。
【0057】
また、本実施形態では、第1金属膜61および第2金属膜62は、第1、第2連結部431、432の上面4aおよび下面4aの両方の面に配置されているが、これに限定されない。つまり、第1金属膜61および第2金属膜62は、第1、第2連結部431、432の上面4aおよび下面4aの一方の面のみに配置されていてもよい。この場合、さらに第1金属膜61および第2金属膜62を、第1、第2支持部421、422の上面4aおよび下面4bの一方の面の全体に配置してもよい。
【0058】
以上のように、本実施形態の振動素子3では、連結部43の下面4b、支持部42の下面4bおよび振動部41の下面4bは、連続する平坦面であり、下面4b側に第1金属膜61および第2金属膜62が配置されている。これにより、振動基板4の外形形状を形成する前に第1、第2金属膜61、62を形成することができる。そのため、第1、第2金属膜61、62の形成精度が高まる。
【0059】
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0060】
<第4実施形態>
図21は、本発明の第4実施形態に係る振動素子を示す平面図である。なお、図21では、説明の便宜上、金属膜6の図示を省略している。
【0061】
本実施形態に係る振動素子3は、振動基板4の形状、特に連結部43の形状が異なること以外は、前述した第1実施形態の振動素子3と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態の振動素子3に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の各図では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0062】
図21に示す振動素子3では、連結部43が、支持部42と振動部41との間に位置し、これらを仕切る第1仕切り部43aと、第1支持部421と第2支持部422との間に位置し、これらを仕切る第2仕切り部43bと、を有する。また、第1仕切り部43aは、Z’軸方向に延在し、第2仕切り部43bは、X軸方向に延在して一端が第1仕切り部43aに接続されている。そのため、連結部43は、T字状となっている。このような構成によれば、前述した第1実施形態の構成と比べて、第1、第2支持部421、422が接近または離間し難くなるものの、振動基板4の機械的強度を高めることができる。
【0063】
以上のように、本実施形態の振動素子3では、支持部42は、第1パッド電極512が配置されている第1支持部421および第2パッド電極522が配置されている第2支持部422を有し、連結部43は、支持部42と振動部41との間に位置し、支持部42と振動部41とを仕切る第1仕切り部43aと、第1支持部421と第2支持部422との間に位置し、第1支持部421と第2支持部422とを仕切る第2仕切り部43bと、を有する。このような構成によれば、前述した第1実施形態の構成と比べて、第1、第2支持部421、422が接近または離間し難くなるものの、振動基板4の機械的強度を高めることができる。
【0064】
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0065】
以上、本発明の振動素子を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。
【0066】
また、前述した実施形態では、支持部42が第1、第2支持部421、422に分割されているが、これに限定されない。つまり、1つの支持部42上に第1、第2パッド電極512、522が共に配置されていてもよい。
【0067】
また、前述した実施形態では、振動素子3が振動子1に適用されているが、これに限定されず、さらに、パッケージ2内に振動素子3を発振する発振回路が実装された発振器に適用することもできる。
【符号の説明】
【0068】
1…振動子、2…パッケージ、21…ベース、211…凹部、22…リッド、23…封止部材、241…内部端子、242…内部端子、251…外部端子、252…外部端子、3…振動素子、4…振動基板、4a…上面、4b…下面、400…水晶基板、41…振動部、42…支持部、421…第1支持部、422…第2支持部、43…連結部、43a…第1仕切り部、43b…第2仕切り部、431…第1連結部、432…第2連結部、5…電極層、511…第1励振電極、512…第1パッド電極、513…第1接続電極、521…第2励振電極、522…第2パッド電極、523…第2接続電極、6…金属膜、61…第1金属膜、62…第2金属膜、63…第3金属膜、64…第4金属膜、B1…接合部材、B2…接合部材、M…マスク、S…収容空間、t1…厚さ、t2…厚さ、t3…厚さ、t5…厚さ、t6…厚さ、W21…幅、W22…幅、W31…幅、W32…幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21